説明

直流交流変換装置を接続可能なモータ駆動制御装置

【課題】DC/AC変換装置を接続可能なモータ駆動制御装置において、モータ駆動制御装置に接続したDC/AC変換装置に接続されたモータの出力が大きい場合でも、AC/DC変換回路が過負荷状態になる事態を回避することができるモータ駆動制御装置を提供する。
【解決手段】接続部11にDC/AC変換回路20を接続したときのモータ4,5,6,19の出力の合計がAC/DC変換回路12によって供給可能な電力を超えると予測される場合、制御装置16は、モータ4,5,6,19の出力の合計をAC/DC変換回路12によって供給可能な電力以下に維持しながらAC/DC変換回路12からDC/AC変換回路13,14,15,20への直流電圧又は直流電流の供給又は供給停止を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械、産業機械、ロボット等の軸に設けられた少なくとも一つのモータを駆動及び制御するモータ駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなモータ駆動制御装置では、モータの回転速度を制御するために、3相交流電源のような商用交流電源からの交流電圧又は交流電流を一度直流電圧又は直流電流に変換し、その後、任意の周波数の交流電圧又は交流電流に変換し、変換した交流電圧又は交流電流をモータに供給する。このために、モータ駆動制御装置は、交流電圧又は交流電流を直流電圧又は直流電流に変換する一つの交流直流(AC/DC)変換回路が接続され、直流電圧又は直流電流を交流電圧又は交流電流に変換し、変換した交流電圧又は交流電流をモータに供給する少なくとも一つの直流交流(DC/AC)変換回路と、を有する。
【0003】
従来、モータ駆動制御装置によって駆動及び制御できるモータを追加するために、モータ駆動制御装置の外部にある少なくとも一つのDC/AC変換装置を接続可能なモータ駆動制御装置が提案されている(例えば、特許文献1)。この場合、DC/AC変換装置は、モータ駆動制御装置に追加されたモータをDC/AC変換装置によって駆動及び制御できるようにするために、直流電圧又は直流電流を交流電圧又は交流電流に変換し、変換した交流電圧又は交流電流を、モータ駆動制御装置に追加されたモータに供給する。このようなモータ駆動制御装置にDC/AC変換装置を接続すると、AC/DC変換回路は、少なくとも一つの直流交流変換回路と少なくとも一つの直流交流変換装置のうちの少なくとも一方に直流電圧又は直流電流を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3626152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のDC/AC変換装置を接続可能なモータ駆動制御装置においては、モータ駆動制御装置に少なくとも一つのDC/AC変換装置を接続し、DC/AC変換装置に接続されたモータを駆動する場合、DC/AC変換装置に接続されたモータの出力が(例えば、モータ駆動制御装置のDC/AC変換回路に接続されたモータの出力より)大きいために、駆動されるモータの出力の合計がAC/DC変換回路によって供給可能な電力を超える事態が生じうる。したがって、従来のDC/AC変換装置を接続可能なモータ駆動制御装置によれば、駆動されるモータの出力の合計がAC/DC変換回路によって供給可能な電力を超えることによってAC/DC変換回路が過負荷状態になるという不都合がある。
【0006】
本発明の目的は、DC/AC変換装置を接続可能なモータ駆動制御装置において、モータ駆動制御装置に接続したDC/AC変換装置に接続されたモータの出力が大きい場合でも、AC/DC変換回路が過負荷状態になる事態を回避することができるモータ駆動制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるモータ駆動制御装置は、交流電圧又は交流電流を直流電圧又は直流電流に変換する交流直流変換回路に接続されたモータ駆動制御装置であって、交流直流変換回路から直流電圧又は直流電流が供給され、供給された直流電圧又は直流電流を交流電圧又は交流電流に変換し、変換した交流電圧又は交流電流を第1の個数のモータに供給する第1の個数の第1の直流交流変換回路と、直流電圧又は直流電流を交流電圧又は交流電流に変換し、変換した交流電圧又は交流電流を第2の個数のモータに供給する第2の個数の第2の直流交流変換回路を、交流直流変換回路が少なくとも一つの第1の直流交流変換回路と少なくとも一つの第2の直流交流変換回路のうちの少なくとも一方に直流電圧又は直流電流を供給できるように接続可能な接続部と、接続部に第2の直流交流変換回路を接続したときの第1の個数のモータの出力と第2の個数のモータの出力の合計が交流直流変換回路によって供給可能な電力を超えると予測される場合、第1の個数のモータの出力と第2の個数のモータの出力の合計を交流直流変換回路によって供給可能な電力以下に維持しながら交流直流変換回路から第1の個数の第1の直流交流変換回路及び第2の個数の第2の直流交流変換回路への直流電圧又は直流電流の供給又は供給停止を制御する制御回路と、を有することを特徴とする。
【0008】
好適には、接続部に第2の直流交流変換回路を接続したときの第1の個数のモータの出力と第2の個数のモータの出力の合計が交流直流変換回路によって供給可能な電力を超えると予測される場合、制御回路は、第1の個数のモータと第2の個数のモータのうちの駆動すべきモータが接続された少なくとも一つの第1の直流交流変換回路と少なくとも一つの第2の直流変換回路のうちの少なくとも一方への直流電圧又は直流電流の供給を停止する。
【0009】
好適には、接続部に第2の直流交流変換回路を接続したときの第1の個数のモータの出力と第2の個数のモータの出力の合計が交流直流変換回路によって供給可能な電力を超えると予測される場合、制御回路は、第1の個数のモータと第2の個数のモータのうちの駆動すべきモータの少なくとも一つの出力を制限するよう直流電圧又は直流電流の供給を制御する。
【0010】
好適には、接続部に第2の直流交流変換回路を接続したとき、制御回路は、モータ駆動制御装置の外部にある装置からの第1の個数のモータに対する位置指令、回転速度指令又はトルク指令及び第2の個数のモータに対する位置指令、回転速度指令又はトルク指令に基づいて、第1の個数のモータの出力と第2の個数のモータの出力の合計を予測する。
【0011】
好適には、接続部に第2の直流交流変換回路を接続したとき、制御回路は、第1の個数のモータ及び第2の個数のモータの動作状態に基づいて、第1の個数のモータの出力と第2の個数のモータの出力の合計を予測する。
【0012】
本発明による他のモータ駆動用制御装置は、直流電圧又は直流電流を交流電圧又は交流電流に変換し、変換した交流電圧又は交流電流を第1のモータに供給する第1の直流交流変換回路を有するモータ駆動用制御装置であって、モータ駆動用制御装置の外部にある直流交流変換装置を接続可能な直流交流変換装置接続手段を更に有し、直流交流変換装置は、直流電圧又は直流電流を交流電圧又は交流電流に変換し、変換した交流電圧又は交流電流を第2のモータに供給する第2の直流交流変換回路を有し、直流交流変換装置接続手段は、モータ駆動用制御装置に直流交流変換装置を接続したとき、第1のモータの停止時に直流交流変換装置に直流電圧又は直流電流を供給可能であることを特徴とする。なお、直流交流変換装置接続手段は、例えば、通信ポート、端子台及び制御回路によって構成される。
【0013】
好適には、直流交流変換装置接続手段は、モータ駆動用制御装置に直流交流変換装置を接続したとき、第1のモータの駆動時に瞬時的に直流交流変換装置に直流電圧又は直流電流を供給可能である。
【0014】
好適には、第1のモータは、スピンドルモータ又はサーボモータである。
【0015】
好適には、第2のモータは、刃物台を有する旋盤の回転工具用のモータと背面主軸用のモータのうちの少なくとも一方である。
【0016】
好適には、第2のモータは、マシニングセンタの工具交換のためのモータとワークパレット交換のためのモータのうちの少なくとも一方である。
【0017】
好適には、交流電圧又は交流電流を直流電圧又は直流電流に変換する交流直流変換回路を更に有し、交流直流変換回路及び第1の直流交流変換回路が一つのモジュールによって構成されている。
【0018】
本発明による他のモータ駆動用制御装置は、直流電圧又は直流電流を交流電圧又は交流電流に変換し、変換した交流電圧又は交流電流を第1のモータに供給する第1の直流交流変換回路を有するモータ駆動用制御装置であって、モータ駆動用制御装置の外部にある直流交流変換装置を接続可能な直流交流変換装置接続手段を更に有し、直流交流変換装置は、直流電圧又は直流電流を交流電圧又は交流電流に変換し、変換した交流電圧又は交流電流を第2のモータに供給する第2の直流交流変換回路を有し、直流交流変換装置接続手段は、モータ駆動用制御装置に直流交流変換装置を接続したとき、第1のモータの駆動時に直流交流変換装置に直流電圧又は直流電流を供給可能であり、第1のモータ及び第2のモータの動作状態に基づいて、第1のモータの出力と第2のモータの出力のうちの少なくとも一方を制限することを特徴とする。
【0019】
好適には、第1のモータの出力及び第2のモータの出力を計算する出力計算回路を更に有する。
【0020】
好適には、直流交流変換装置接続手段は、外部からの指令に応じて第1のモータの出力と第2のモータの出力のうちの少なくとも一方を制限する。
【0021】
好適には、直流交流変換装置接続手段は、第1のモータに対する回転速度指令及び第2のモータに対する回転速度指令に基づいて第1のモータの出力と第2のモータの出力のうちの少なくとも一方を制限する。
【0022】
好適には、交流電圧又は交流電流を直流電圧又は直流電流に変換する交流直流変換回路を更に有し、交流直流変換回路及び第1の直流交流変換回路が一つのモジュールによって構成されている。
【発明の効果】
【0023】
本発明によるモータ駆動制御装置によれば、接続部に直流交流変換装置を接続したときの第1の個数のモータの出力と第2の個数のモータの出力の合計が交流直流変換回路によって供給可能な電力を超えると予測される場合、第1の個数のモータの出力と第2の個数のモータの出力の合計を交流直流変換回路によって供給可能な電力以下に維持しながら交流直流変換回路から第1の個数の直流交流変換回路及び第2の個数の直流交流変換装置への直流電圧又は直流電流の供給又は供給停止を制御する。これによって、モータ駆動制御装置に接続した直流交流変換装置に接続されたモータの出力が大きい場合でも、交流直流変換回路が過負荷状態になる事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明によるモータ駆動制御装置の第1の実施の形態のブロック図である。
【図2】本発明によるモータ駆動制御装置の第2の実施の形態のブロック図である。
【図3】本発明によるモータ駆動制御装置の第3の実施の形態のブロック図である。
【図4】本発明によるモータ駆動制御装置の第4の実施の形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明によるモータ駆動制御装置の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、図面中、同一構成要素には同一符号を付す。
図1は、本発明によるモータ駆動制御装置の第1の実施の形態のブロック図である。図1において、モータ駆動制御装置1は、商用交流電源としての3相交流電源2に接続した電源供給部3と、第1の個数のモータとしての3個のモータ4,5,6を駆動するモータ駆動部7と、数値制御装置(CNC)、ロボット制御装置等の上位の制御装置として機能する外部制御回路8と信号の送受信を行うための通信ポート9と、モータ駆動制御装置1の外部にあるDC/AC変換装置10に接続可能な接続部11と、を有する。
【0026】
電源供給部3は、3相交流電源2から供給される交流電圧又は交流電流を直流電圧又は直流電流に変換するAC/DC変換回路12を有する。モータ駆動部7は、第1の個数の第1の直流交流変換回路としてのDC/AC変換回路13,14,15と、制御回路16と、を有する。なお、本実施の形態では、AC/DC変換回路12及びDC/AC変換回路13,14,15が一つのモジュールによって構成されている。
【0027】
接続部11は、AC/DC変換回路12がDC/AC変換回路13,14,15の少なくとも一つとDC/AC変換装置10のうちの少なくとも一方に直流電圧又は直流電流を供給できるようにDC/AC変換装置10に接続可能である。このために、接続部11は、モータ駆動制御装置1の外部にあるDC/AC変換装置10と信号の送受信を行うための通信ポート17と、モータ駆動制御装置1をDC/AC変換装置10に電気的に接続可能にする端子台18と、を有する。図1において、接続部11にDC/AC変換装置10が接続された状態を示すが、接続部11は、DC/AC変換装置11を取外し自在の構成を有する。
【0028】
DC/AC変換回路13,14,15は、制御対象の工作機械(例えば、旋盤)又は産業機械(例えば、マシニングセンタ)が備える制御軸のモータ4,5,6に対応して設けられる。したがって、DC/AC変換回路13,14,15は、AC/DC変換回路12から供給される直流電圧又は直流電流を任意の周波数の交流電圧又は交流電流に変換し、変換した交流電圧又は交流電流をモータ4,5,6に供給し、モータ4,5,6をそれぞれ駆動する。本実施の形態では、モータ4をスピンドルモータとし、モータ5,6をサーボモータとするが、モータ4,5,6を、工作機械又は産業機械で用いられる他のモータとすることもできる。
【0029】
制御回路16は、例えばCPUによって構成され、モータ4,5,6の各回転速度を制御する回転速度制御回路、モータ4,5,6にそれぞれ供給する電流を制御する電流制御回路等の各種制御回路を有する。これによって、制御回路16は、外部制御回路8からの指令、DC/AC変換装置10からの制御信号及び状態信号、DC/AC変換回路13,14,15からの状態信号、操作部(図示せず)からの指令等を受信し、これらの指令、制御信号、状態信号等に基づいて、モータ4,5,6の駆動、すなわち、DC/AC変換回路13,14,15への直流電圧又は直流電流の供給、DC/AC変換装置10への直流電圧又は直流電流の供給等の各種制御を行う。
【0030】
DC/AC変換装置10は、制御対象の周辺に配置される機器や設備の制御軸である周辺軸を駆動する周辺軸用の第2の個数のモータとしての1個のモータ19を駆動する。このために、DC/AC変換回路10は、第2の個数の第2の交流直流変換回路としての1個のDC/AC変換回路20と、制御回路21と、接続部11に接続可能な接続部22と、外部制御回路8との信号の送受信を行うための通信ポート23と、を有する。
【0031】
DC/AC変換回路20は、モータ駆動制御装置1から供給される直流電圧又は直流電流を任意の周波数の交流電圧又は交流電流に変換し、変換した交流電圧又は交流電流をモータ19に供給し、モータ19を駆動する。制御回路21は、外部制御回路8からの指令、モータ駆動制御装置1からの制御信号、DC/AC変換回路20からの状態信号、操作部(図示せず)からの指令等を受信し、これらの指令、制御信号、状態信号等に基づいて、モータ19の駆動、すなわち、DC/AC変換回路20への直流電圧又は直流電流の供給等の各種制御を行う。
【0032】
接続部22は、AC/DC変換回路12がDC/AC変換回路13,14,15の少なくとも一つとDC/AC変換装置10のうちの少なくとも一方に直流電圧又は直流電流を供給できるように接続部11に接続可能である。このために、接続部22は、通信ポート17を通じてモータ駆動制御装置1と信号の送受信を行うための通信ポート24と、端子台18を通じてDC/AC変換装置10をモータ駆動制御装置1に電気的に接続可能にする端子台25と、を有する。
【0033】
本実施の形態では、モータ19を、一つの刃物台を有する旋盤の回転工具用のモータと背面主軸用のモータのうちの一方又はマシニングセンタの工具交換のためのモータとワークパレット交換のためのモータのうちの一方とするが、モータ19を、工作機械又は産業機械の周辺に配置される機器又は設備の制御軸である周辺軸を駆動する周辺軸用の他のモータとすることもできる。
【0034】
本実施の形態によれば、端子台18を端子台25に電気的に接続したとき、すなわち、接続部11にDC/AC変換回路20を接続したとき、モータ駆動制御装置1の制御対象である工作機械又は産業機械の構成に基づく外部制御回路8又は操作部(図示せず)からの指令に基づいて、制御回路16は、モータ駆動制御装置の外部にある装置(外部制御回路8、操作部(図示せず)等)からのモータ4,5,6,19に対する位置指令、回転速度指令又はトルク指令に基づいて、モータ4,5,6,19の出力の合計を予測する。
【0035】
そして、制御回路16は、予測したモータ4,5,6,19の出力の合計と、AC/DC変換回路12によって供給可能な電力とを比較する。なお、AC/DC変換回路12によって供給可能な電力に関する情報は、制御回路16がモータの出力の合計とAC/DC変換回路12によって供給可能な電力との比較を行う度にAC/DC変換回路12から制御回路16に供給される。モータ4,5,6,19の出力の合計がAC/DC変換回路12によって供給可能な電力を超えると予測した場合、制御回路16は、モータ4,5,6,19の出力の合計をAC/DC変換回路12によって供給可能な電力以下に維持しながらAC/DC変換回路12からDC/AC変換回路13,14,15,20への直流電圧又は直流電流の供給又は供給停止を制御する。このために、制御回路16は、モータ4,5,6,19のうちの駆動すべきモータ(例えば、モータ4,5,19)が接続されたDC/AC変換回路13,14,15,20のうちの少なくとも一つへの直流電圧又は直流電流の供給を停止する。
【0036】
ここで、駆動すべきモータがモータ4,5,19であり、モータ19の出力がモータ4,5の出力の合計よりも大きいためにモータ4,5,19の出力の合計がAC/DC変換回路12によって供給可能な電力を超え、モータ4,5の出力の合計とモータ19の出力のいずれもがAC/DC変換回路12によって供給可能な電力以下であると予測される場合について説明する。この場合、先ず、制御回路16は、モータ19を駆動するようDC/AC変換回路20への直流電圧又は直流電流の供給を行うとともにモータ4,5の駆動を停止するようDC/AC変換回路13,14への直流電圧又は直流電流の供給を停止するよう制御する。モータ19の駆動によって行われる処理が終了した後、制御回路16は、モータ4,5を駆動するようDC/AC変換回路13,14への直流電圧又は直流電流の供給を行うとともにモータ19の駆動を停止するようDC/AC変換回路20への直流電圧又は直流電流の供給を停止するよう制御する。
【0037】
したがって、本実施の形態によれば、モータ駆動制御装置1に接続したDC/AC変換装置10に接続されたモータ19の出力が大きい場合でも、AC/DC変換回路12が過負荷状態になる事態を回避することができる。
【0038】
なお、処理時間の短縮のために、制御回路16は、端子台18を端子台25に電気的に接続したとき、モータ4,5,6の駆動時に瞬時的(例えば、数十ミリ秒から数ミリ秒の間の時間)にAC/DC変換回路12からDC/AC変換回路20に直流電圧又は直流電流を供給可能にすることもできる。この場合、モータ4,5,6の出力とモータ19の出力の合計がAC/DC変換回路13によって供給可能な電力を瞬時的に超えたとしても、AC/DC変換回路13の瞬時的な過負荷状態による悪影響は及ぼされない。
【0039】
図2は、本発明によるモータ駆動制御装置の第2の実施の形態のブロック図である。図2において、モータ駆動制御装置31は、モータ駆動部7と、通信ポート9と、接続部11と、を有する。なお、図2において、3相交流電源2、モータ4,5,6、モータ駆動部7、外部制御回路8、通信ポート9、DC/AC変換装置10、接続部11、AC/DC変換回路12及びモータ19は、図1に示した第1の実施の形態の3相交流電源2、モータ4,5,6、モータ駆動部7、外部制御回路8、通信ポート9、DC/AC変換装置10、接続部11、AC/DC変換回路12及びモータ19と同一構成を有するので、これらの説明を省略する。
【0040】
本実施の形態では、AC/DC変換回路12を有する電源供給部32が、モータ駆動制御装置31の外部に設けられている。すなわち、電源供給部32は、モータ駆動制御装置31を構成するモジュールとは別のモジュールによって構成される。
【0041】
本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様に、モータタ4,5,6,19の出力の合計がAC/DC変換回路12によって供給可能な電力を超えると予測した場合、制御回路16は、モータ4,5,6,19の出力の合計をAC/DC変換回路12によって供給可能な電力以下に維持しながらAC/DC変換回路12からDC/AC変換回路13,14,15,20への直流電圧又は直流電流の供給又は供給停止を制御する。これによって、モータ駆動制御装置1に接続したDC/AC変換装置10に接続されたモータ19の出力が大きい場合でも、AC/DC変換回路12が過負荷状態になる事態を回避することができる。
【0042】
また、本実施の形態においても、制御回路16は、端子台18を端子台25に電気的に接続したとき、モータ4,5,6の駆動時に瞬時的(例えば、数十ミリ秒から数ミリ秒の間の時間)にAC/DC変換回路12からDC/AC変換回路20に直流電圧又は直流電流を供給可能にすることができる。
【0043】
図3は、本発明によるモータ駆動制御装置の第3の実施の形態のブロック図である。図3において、モータ駆動制御装置41は、電源供給部42と、モータ駆動部7と、通信ポート9と、接続部11と、を有する。なお、図3において、3相交流電源2、モータ4,5,6、モータ駆動部7、外部制御回路8、通信ポート9、DC/AC変換装置10、接続部11、AC/DC変換回路12及びモータ19は、図1に示した第1の実施の形態の3相交流電源2、モータ4,5,6、モータ駆動部7、外部制御回路8、通信ポート9、DC/AC変換装置10、接続部11、AC/DC変換回路12及びモータ19と同一構成を有するので、これらの説明を省略する。また、本実施の形態では、AC/DC変換回路12及びAC/DC変換回路13,14,15が一つのモジュールによって構成されている。
【0044】
また、図3において、モータ4,5,6,19は、図1に示した第1の実施の形態のモータ4,5,6,19と同一構成を有するが、本実施の形態では、モータ4をスピンドルモータ以外のモータとし、モータ5,6をサーボモータ以外のモータとし、モータ19を、一つの刃物台を有する旋盤の回転工具用のモータと背面主軸用のモータうちの一方又はマシニングセンタの工具交換のためのモータとワークパレット交換のためのモータのうちの一方以外のモータとする。
【0045】
さらに、図3において、制御回路16,21は、図1に示した第1の実施の形態の制御回路16,21と同一構成を有するが、本実施の形態では、制御回路16は、後に説明するように、モータ4,5,6,19のモータの動作状態を監視し、モータ4,5,6,19の動作状態に基づいてモータ4,5,6,19の出力をそれぞれ制限する。
【0046】
本実施の形態によれば、端子台18を端子台25に電気的に接続したとき、制御回路16は、モータ4,5,6,19の動作状態に基づいて、モータ4,5,6,19の出力の合計を予測する。このために、電源供給部43は、AC/DC変換回路12の他に出力計算回路43を有する。出力計算回路43は、制御回路16を介してAC/DC変換回路13,14,15,19からモータ4,5,6,19の状態信号がそれぞれ供給され、状態信号に基づいて予測されるモータ4,5,6,19の出力をそれぞれ計算する。そして、出力計算回路43は、計算した予測されるモータ4,5,6,19の出力についての情報を制御回路16に供給する。なお、出力計算回路43を制御回路7に設けてもよく、この場合、AC/DC変換回路12が供給可能な電力に関する情報が電源供給部42から制御回路7に供給される。
【0047】
制御回路16は、出力計算回路43から供給された予測されるモータ4,5,6,19の出力に基づいて、モータ4,5,6,19の出力の合計を予測する。そして、制御回路16は、予測したモータ4,5,6,19の出力の合計と、AC/DC変換回路12によって供給可能な電力とを比較する。モータ4,5,6,19の出力の合計がAC/DC変換回路12によって供給可能な電力を超えると予測した場合、制御回路16は、モータ4,5,6,19の出力の合計をAC/DC変換回路12によって供給可能な電力以下に維持しながらAC/DC変換回路12からDC/AC変換回路13,14,15,20への直流電圧又は直流電流の供給又は供給停止を制御する。このために、制御回路16は、モータ4,5,6,19のうちの駆動すべきモータ(例えば、モータ4,5,19)の少なくとも一つの出力を制限するようDC/AC変換回路13,14,15,20への直流電圧又は直流電流の供給を制御する。
【0048】
モータ4,5,6,19の出力の合計がAC/DC変換回路12によって供給可能な電力を超えると予測した場合にモータ4,5,6,19の出力のうちの少なくとも一つを制限するために、制御回路16は、制御回路16において予め設定された出力制限規則又は操作部(図示せず)からの指令に応じて、出力を制限するモータを選択する。
【0049】
駆動すべきモータがモータ4,5,6,19であり、モータ19の出力がモータ4,5,6の出力の合計よりも大きいためにモータ4,5,6,19の出力の合計がAC/DC変換回路12によって供給可能な電力を超えると予測される場合、制御回路16は、モータ4,5,6の出力を通常の出力(モータ4,5,6,19の出力の合計をAC/DC変換回路12によって供給可能な電力以下であるときに生成される出力)に維持しながらAC/DC変換器13,14,15に直流電圧又は直流電流を供給するよう制御するとともに、モータ19の出力を通常の出力より低い出力(例えば、通常の出力の80%の出力)に制限するようAC/DC変換器20に直流電圧又は直流電流を供給するよう制御する。
【0050】
なお、駆動すべきモータがモータ4,5,6,19であり、モータ19の出力がモータ4,5,6の出力の合計よりも大きいためにモータ4,5,6,19の出力の合計がAC/DC変換回路12によって供給可能な電力を超えると予測される場合において、制御回路16は、モータ4,5,6,19の出力を同一の割合で通常の出力より低い出力(例えば、通常の出力の90%の出力)に制限するようAC/DC変換器20に直流電圧又は直流電流を供給するよう制御することもできる。
【0051】
したがって、本実施の形態によれば、モータ駆動制御装置1に接続したDC/AC変換装置10に接続されたモータ19の出力が大きい場合でも、AC/DC変換回路12が過負荷状態になる事態を回避することができ、各モータ4,5,6,19の動作状態に応じたモータ4,5,6,19の出力を確保できる。
【0052】
図4は、本発明によるモータ駆動制御装置の第4の実施の形態のブロック図である。図4において、モータ駆動制御装置51は、モータ駆動部7と、通信ポート9と、接続部11と、を有する。なお、図4において、3相交流電源2、モータ4,5,6、モータ駆動部7、外部制御回路8、通信ポート9、DC/AC変換装置10、接続部11、AC/DC変換回路12及びモータ19は、図1に示した第1の実施の形態の3相交流電源2、モータ4,5,6、モータ駆動部7、外部制御回路8、通信ポート9、DC/AC変換装置10、接続部11、AC/DC変換回路12及びモータ19と同一構成を有するので、これらの説明を省略する。また、本実施の形態では、AC/DC変換回路12及びAC/DC変換回路13,14,15が別のモジュールによって構成されている。
【0053】
本実施の形態では、AC/DC変換回路12及び出力計算回路43を有する電源供給部52が、モータ駆動制御装置51の外部に設けられている。すなわち、電源供給部52は、モータ駆動制御装置51を構成するモジュールとは別のモジュールによって構成される。
【0054】
本実施の形態によれば、上記第3の実施の形態と同様に、モータ4,5,6,19の出力の合計がAC/DC変換回路12によって供給可能な電力を超えると予測した場合にモータ4,5,6,19の出力のうちの少なくとも一つを制限するために、制御回路16は、制御回路16において予め設定された出力制限規則又は操作部(図示せず)からの指令に応じて、出力を制限するモータを選択する。
【0055】
したがって、モータ駆動制御装置51を構成するモジュールとは別のモジュールによって電源供給部42を構成した場合でも、モータ駆動制御装置1に接続したDC/AC変換装置10に接続されたモータ19の出力が大きいときにAC/DC変換回路12が過負荷状態になる事態を回避することができ、各モータ4,5,6,19の動作状態に応じたモータ4,5,6,19の出力を確保できる。
【0056】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。例えば、商用交流電源として3相交流電源2を用いたが、3相以外の多相交流電源を商用交流電源として用いることもできる。また、第1の個数のモータとして3個のモータ4,5,6を駆動する場合について説明したが、3個以外の個数のモータを駆動する場合にも本発明を適用することができる。さらに、第2の個数のDC/AC変換装置すなわち第2の直流交流変換器として1個のDC/AC変換器20をモータ駆動制御装置1,31,41,51に接続する場合について説明したが、複数のDC/AC変換器20をモータ駆動制御装置1,31,41,51に接続する場合にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1,31,41,51 モータ駆動制御装置
2 3相交流電源
3,32,42,52 電源供給部
4,5,6,19 モータ
7 モータ駆動部
8 外部制御回路
9,17,24 通信ポート
10 DC/AC変換装置
11,22 接続部
12 AC/DC変換回路
13,14,15,20 DC/AC変換回路
16,21 制御回路
18,25 端子台
43 出力計算回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧又は交流電流を直流電圧又は直流電流に変換する交流直流変換回路に接続されたモータ駆動制御装置であって、
前記交流直流変換回路から直流電圧又は直流電流が供給され、供給された直流電圧又は直流電流を交流電圧又は交流電流に変換し、変換した交流電圧又は交流電流を第1の個数のモータに供給する第1の個数の第1の直流交流変換回路と、
直流電圧又は直流電流を交流電圧又は交流電流に変換し、変換した交流電圧又は交流電流を第2の個数のモータに供給する第2の個数の第2の直流交流変換回路を、前記交流直流変換回路が少なくとも一つの前記第1の直流交流変換回路と少なくとも一つの前記第2の直流交流変換回路のうちの少なくとも一方に直流電圧又は直流電流を供給できるように接続可能な接続部と、
前記接続部に前記第2の直流交流変換回路を接続したときの前記第1の個数のモータの出力と前記第2の個数のモータの出力の合計が前記交流直流変換回路によって供給可能な電力を超えると予測される場合、前記第1の個数のモータの出力と前記第2の個数のモータの出力の合計を前記交流直流変換回路によって供給可能な電力以下に維持しながら前記交流直流変換回路から前記第1の個数の第1の直流交流変換回路及び前記第2の個数の第2の直流交流変換回路への直流電圧又は直流電流の供給又は供給停止を制御する制御回路と、
を有することを特徴とするモータ駆動制御装置。
【請求項2】
前記接続部に前記第2の直流交流変換回路を接続したときの前記第1の個数のモータの出力と前記第2の個数のモータの出力の合計が前記交流直流変換回路によって供給可能な電力を超えると予測される場合、前記制御回路は、前記第1の個数のモータと前記第2の個数のモータのうちの駆動すべきモータが接続された少なくとも一つの前記第1の直流交流変換回路と少なくとも一つの前記第2の直流変換回路のうちの少なくとも一方への前記直流電圧又は直流電流の供給を停止する請求項1に記載のモータ駆動制御装置。
【請求項3】
前記接続部に前記第2の直流交流変換回路を接続したときの前記第1の個数のモータの出力と前記第2の個数のモータの出力の合計が前記交流直流変換回路によって供給可能な電力を超えると予測される場合、前記制御回路は、前記第1の個数のモータと前記第2の個数のモータのうちの駆動すべきモータの少なくとも一つの出力を制限するよう前記直流電圧又は直流電流の供給を制御する請求項1に記載のモータ駆動制御装置。
【請求項4】
前記接続部に前記第2の直流交流変換回路を接続したとき、前記制御回路は、前記モータ駆動制御装置の外部にある装置からの前記第1の個数のモータに対する位置指令、回転速度指令又はトルク指令及び前記第2の個数のモータに対する位置指令、回転速度指令又はトルク指令に基づいて、前記第1の個数のモータの出力と前記第2の個数のモータの出力の合計を予測する請求項2に記載のモータ駆動制御装置。
【請求項5】
前記接続部に前記第2の直流交流変換回路を接続したとき、前記制御回路は、前記第1の個数のモータ及び前記第2の個数のモータの動作状態に基づいて、前記第1の個数のモータの出力と前記第2の個数のモータの出力の合計を予測する請求項3に記載のモータ駆動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−228162(P2012−228162A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−12400(P2012−12400)
【出願日】平成24年1月24日(2012.1.24)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】