説明

直流電源給電システム及び照明装置

【課題】商用交流電源と自然エネルギの両方を利用して直流電源を供給するシステムにおいて、発電量が少ないときでも自然エネルギーを効率的に利用できる安価な直流電源給電システムを提供する。
【解決手段】実施形態に係る直流電源給電システム10は、商用交流電源を利用して所定電圧を出力する全波整流回路40と、太陽光エネルギを利用して発電するソーラーセル3、該ソーラーセル3の出力電圧を昇圧する昇圧回路39、該昇圧回路のスイッチングを制御する制御手段47を含むソーラーセル電源回路33と、アノードが前記全波整流回路40に接続される第1ダイオード34、アノードが前記ソーラーセル電源回路33に接続され、カソードが前記第1ダイオード34のカソードと共に出力端に接続される第2ダイオード35を含み、負荷に電力を供給する逆流防止用素子とを具備する。前記制御手段47は、前記ソーラーセル3の出力電圧が所定電圧を維持するように、前記昇圧回路39に対するスイッチング制御信号のデューティー比を可変する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、交流電源を直流電源に変換する直流電源回路と、自然エネルギーを直流電源に変換する発電手段とを用いた直流電源給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば太陽光発電システムは、ソーラーセル出力が天候に大きく左右され、かつ夜間は発電しないことから、ソーラーセルと商用交流電源とを組み合わせ、前記不安定さを商用交流電源で補い、安定した電力を電気機器に供給することが行われている。そして、当該ソーラーセルの日照低下時の出力不足を、瞬断を起すことなくかつハードウェアを増大させずに、連続的に商用交流電源から電力補給を行うことができる太陽電池電源が提案されている。
【0003】
この従来技術の太陽電池電源は、商用交流電源とソーラーセルとをそれぞれ逆流防止用ダイオードを介して直流連系し、ソーラーセルの動作電圧を商用交流電源よりも大きく設定し、日照が充分ある場合にはソーラーセルから電力供給を行い、日照不足でソーラーセルの出力電圧が低下したときには、商用交流電源から電力の供給を行うものである。そして、商用交流電源またはソーラーセルの出力は、電圧変換回路で負荷(例えば照明器具)に対して適切な電圧に変換されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−199676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ソーラーセルを照射する日照は、常時変化しているので、ソーラーセルの出力電圧は、常時かつ短時間で変動する。例えば、太陽光が雲などにより遮られると、日照が急激に変化し、ソーラーセルの出力電圧が急激に低下する。
上記したように、従来技術の太陽電池電源は、商用交流電源とソーラーセルとを逆流防止用ダイオードを介して結合しているため、曇りの日はソーラーセルの出力電圧が低減し、終日商用交流電源から電力の供給を行なうという欠点を有する。
【0006】
ソーラーセルと商用交流電源とを組合せた電源の場合、日照不足でソーラーセルの出力電圧が低下したとき、商用交流電源のみから電力が負荷に供給され、ソーラーセルにより発電された電力が活用されない。
【0007】
本発明の実施形態は、商用交流電源と自然エネルギの両方を利用して直流電源を供給するシステムにおいて、発電量が少ないときでも自然エネルギーを効率的に利用できる安価な直流電源給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る直流電源給電システムは、商用交流電源を利用して所定電圧を出力する全波整流回路と、太陽光エネルギを利用して発電するソーラーセル、該ソーラーセルの出力電圧を昇圧する昇圧回路、該昇圧回路のスイッチングを制御する制御手段47を含むソーラーセル電源回路と、アノードが前記全波整流回路に接続される第1ダイオード、アノードが前記ソーラーセル電源回路に接続され、カソードが前記第1ダイオードのカソードと共に出力端に接続される第2ダイオードを含み、負荷に電力を供給する逆流防止手段とを具備する。前記制御手段は、前記ソーラーセルの出力電圧が所定電圧を維持するように、前記昇圧回路に対するスイッチング制御信号のデューティー比を可変する。
【発明の効果】
【0009】
商用交流電源と自然エネルギの両方を利用して直流電源を供給するシステムにおいて、発電量が少ないときでも自然エネルギーを効率的に利用できる安価な直流電源給電システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態を示す直流電源給電システムの概略回路図である。
【図2】ソーラーセル3を構成する単位ソーラーセル1枚の電気的特性の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
請求項1の発明は、商用交流電源を利用して所定電圧を出力する全波整流回路と;太陽光エネルギを利用して発電するソーラーセルと、該ソーラーセルの出力電圧を昇圧する昇圧回路と、該昇圧回路のスイッチングを制御する制御手段とを含むソーラーセル電源回路と;アノードが前記全波整流回路に接続される第1ダイオード、アノードが前記ソーラーセル電源回路に接続され、カソードが前記第1ダイオードのカソードと共に出力端に接続される第2ダイオードを含み、負荷に電力を供給する逆流防止手段と;を具備し、前記制御手段は、前記ソーラーセルの出力電圧が所定電圧を維持するように、前記昇圧回路に対するスイッチング制御信号のデューティー比を可変することを特徴とする直流電源システム。
【0012】
請求項2の発明は、前記所定電圧は、前記ソーラーセルの出力電力が最大となる電圧であることを特徴とする請求項1記載の直流電源システム。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の直流電源システムと、複数のLEDを含み、前記直流電源システムからの電力を受け発光する照明部とを具備することを特徴とする照明装置。
【0014】
以下、実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、実施形態を示す直流電源給電システム10の概略回路図である。
【0016】
直流電源給電システム10は、発電手段としてのソーラーセル3、昇圧手段としての昇圧回路39、第1及び第2の逆流防止用素子34、35、電圧検出手段としての電圧検出回路36、平滑フィルタ回路37、及び複数の照明器具38を含み、昇圧回路39と全波整流回路40とが逆流防止用素子34、35を介して結合された構成となっている。
【0017】
全波整流回路40は、ノイズフィルタ回路42、全波整流器43、及びコンデンサC11を含む。ノイズフィルタ回路42は、トランスT11を有して形成されている。全波整流器43の入力端子は、ノイズフィルタ回路42を介して商用交流電源Vsに接続されている。全波整流器43の出力端子間にコンデンサC11を接続している。コンデンサC11の低電位側は、コンデンサC12を介してアースEに接続されている。
【0018】
全波整流器40は、商用交流電源Vsからの交流電圧例えばAC100Vを全波整流し、この全波整流電圧をコンデンサC11の両端間に出力する。コンデンサC11は、電圧平滑化及びノイズフィルタ用として機能するものであり、その容量が例えば0.47μFに設定されている。
【0019】
ソーラーセル3は、複数(例えば11枚)の単位ソーラセルが直列接続されていて、自然エネルギーである太陽光から電力を発電する。ソーラーセル3の出力端はコンデンサC15が接続されると共に、電界効果トランジスタQ12を介して昇圧回路39の入力端に接続される。昇圧回路39の正側出力端は逆流防止用素子35を介して全波整流回路40の出力側に接続されている。ソーラーセル3及び昇圧回路39はソーラーセル電源回路33を構成する。
【0020】
第1及び第2の逆流防止用素子34、35は、それぞれダイオードからなり、それぞれのカソード側が共通に接続されている。第1の逆流防止用素子34は、全波整流回路40の高電位側出力端に接続され、第2の逆流防止用素子35は、昇圧回路39の高電位側出力端に接続されている。第1の逆流防止用素子34及び第2の逆流防止用素子35は、照明器具38への出力電流が逆流することを阻止する。
【0021】
全波整流回路40、及びソーラーセル電源回路33の低電位側出力端はノードBで共に接続されている。第1及び第2の逆流防止用素子34、35のそれぞれのカソード側はノードAで共に接続されている。こうして、全波整流回路40とソーラーセル電源回路33とが組み合わされ、ノードA及びBは全波整流回路40及びソーラーセル電源回路33の共通の出力端子となっている。共通の出力端子A及びB間には、全波整流回路40から出力された電圧及びソーラーセル電源回路33から出力された出力電圧のうち、大きい方の電圧が発生する。
【0022】
照明器具38は、負荷として発光ダイオード(LED)45を面状配列していて、複数個の照明器具38が平滑フィルタ回路37を介して前記共通の出力端子A及びB間に並列に接続されている。照明器具38の内部には、図示しない電源装置が配設されており、この電源装置は、所定範囲の電圧例えば370V〜400Vを入力し、発光ダイオード45に所定電流を供給して発光ダイオード45を点灯させるように構成されている。発光ダイオード45は、点灯して可視光例えば白色光を放射する。
【0023】
照明器具38の少なくとも1個には、センサ装置46が接続されている。このセンサ装置46は、例えば人感センサや照度センサなどである。そして、照明器具38内の電源装置は、センサ装置46の動作に応じて発光ダイオード45を点灯/消灯または調光点灯させる。この負荷変動に応じて、前記共通の出力端子間の電圧が変動する。すなわち、照明器具38の電源装置に入力する入力電圧が変動する。
【0024】
平滑フィルタ回路37は、インダクタL12及びコンデンサC14からなり、前記共通の出力端子間に直列にインダクタL12及びコンデンサC14の直列回路が接続されている。平滑フィルタ回路37は、共通の出力端子間の電圧が短時間または急激に変動すると、当該電圧変動を抑制するように作用する。すなわち、共通の出力端子間の電圧が上昇すると、平滑フィルタ回路37には、共通の出力端子間の高電位側から低電位側に電流が流れる。これにより、共通の出力端子間の電圧上昇が抑制される。また、共通の出力端子間の電圧が低下すると、平滑フィルタ回路37から、インダクタL12に蓄えられた電磁エネルギーによる電流やコンデンサC14の放電電流が共通の出力端子間の高電位側に流れるものである。これにより、共通の出力端子間の電圧低下が抑制される。
【0025】
前記共通の出力端子A、B間の電圧が変動するのは、上述した照明器具38の負荷変動の他に、ソーラーセル電源回路33の出力変動が挙げられる。すなわちソーラーセル3は、例えば太陽光が雲などで遮られると、その出力電圧が急激に低下する。
【0026】
電圧検出回路36は、抵抗R13及び抵抗R14の直列回路を含み、前記共通の出力端子A、B間に接続されて、共通の出力端子間に発生する電圧を検出する。また電圧検出回路36は、全波整流回路40からの電圧と、この電圧を超えるソーラーセル電源回路33の出力電圧を検出するために設けられている。
【0027】
一方、昇圧回路39は、電圧検出回路49、電界効果トランジスタQ12、Q13、インダクタL13、ダイオードD12、平滑用コンデンサC16、電圧検出回路49及び第2の制御回路47を含む。第2の制御回路47は電界効果トランジスタQ13をオンオフ制御してソーラーセル3の出力電圧V1を昇圧する。昇圧された電圧は平滑用コンデンサC16により平滑化され、前記共通の出力端子間に出力される。
【0028】
また第2の制御回路47は、電圧検出回路36が検出した前記共通の出力端子間に発生している電圧に対応する電圧を入力し、当該出力端子間電圧が所定値例えばDC420V以上のときには、昇圧回路39の出力電圧が低下するように電界効果トランジスタQ13のオンオフ動作を制御する。
【0029】
更に第2の制御回路47は、電圧検出回路49で検出されたソーラーセル3の出力電圧V1に応じて、電界効果トランジスタQ12をオンオフ制御する。例えば、日照量がある程度あり、ソーラーセル3の出力電圧V1が所定値以上であれば、電界効果トランジスタQ12をオン状態とする。詳細は後述する。
【0030】
次に、本実施形態の作用を詳細に説明する。
【0031】
図2は、ソーラーセル3を構成する単位ソーラーセル1枚の電気的特性の一例を示す図である。横軸は出力電圧[V]、左縦軸は出力電流[A]、右縦軸は出力電力[W]である。ソーラーセル3は前述したように単位ソーラーセルが例えば11枚直列に接続して構成されている。
【0032】
左上に示す数値は日照量である。すなわち、特性a、b、cは、日照量がそれぞれ1000W/m、800W/m、600W/mの場合の電流/電圧特性である。このようにソーラーセルは、0−25V程度までは定電流特性を示し、その後、負荷抵抗の増大に応じて出力電流は減少する。
【0033】
特性d、e、fは、日照量がそれぞれ1000W/m、800W/m、600W/mの場合の出力電力を示す。このようにソーラーセルの出力電力は、電圧(負荷)の増加に伴い25V程度までは直線的に増加するが、その後、傾きは小さくなり、所定電圧Vp(本例では26.2V)でピーク値となり、その後、電圧の増加に伴い急激に減少する。
【0034】
このようにソーラーセルの出力電力は、日照量に関わらず、所定電圧Vpでピークとなる。前述したように、ソーラーセル3は単位ソーラーセルを11枚直列に接続して構成されているので、この電圧Vpはソーラーセル3の出力電圧としては11×Vp[V](=288.2V)として発生する。この電圧(11×Vp)をVptとする。
【0035】
第2の制御部47は、電圧検出回路49にてソーラーセル出力電圧V1を常に検出し、出力電圧V1が電圧Vptに一致するように、昇圧回路39の電圧効果トランジスタQ13に与えるスイッチング制御信号のデューティ比を可変する。この結果、電圧検出器36で検出される電圧V3が所定値例えばDC420V以上のときを除き、ソーラーセル3は常に電圧Vpt、ピーク電力値で発電することになる。従って本実施形態によれば、ソーラーセルの効率的な発電が実現される。
【0036】
更に第2の制御回路47は、電圧検出回路49で検出されたソーラーセル3の出力電圧V1に応じて、電界効果トランジスタQ12を制御する。
【0037】
ソーラーセル3は日照量が少ないと発電量は少なく、昇圧回路39を動作させ電流を流し続けると、出力電圧V1は低電圧を維持する。しかし電流を実質的に停止すると、出力電圧V1は上昇し、昇圧回路39で昇圧した場合に380Vを超える電圧となる。
【0038】
第2の制御回路47はシステムの起動時に、電界効果トランジスタQ12をオフし、出力電圧V1が電力ピーク時の電圧Vptより低い所定電圧Vs1に到達している場合に、電界効果トランジスタQ12をオンすると共に電界効果トランジスタQ13の動作を開始する。また第2の制御回路47はシステムの動作中、出力電圧V1が上記所定電圧Vs1より低いVs2に達した場合、電界効果トランジスタQ12をオフすると共に電界効果トランジスタQ13の動作を停止する。第2の制御回路47は出力電圧V1が所定電圧Vs1に到達してした場合に、電界効果トランジスタQ12をオンすると共に電界効果トランジスタQ13のチョッパー動作を再開する。従って本実施形態によれば、日照が少ない場合でもソーラーセルの効率的な発電を実現することが可能となる。
【0039】
以上の説明はこの発明の実施の形態であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができるものである。例えば、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。また本発明は、太陽光発電システムや風力発電システムなど、自然エネルギーを利用する発電システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
33…ソーラーセル電源回路、36、49…電圧検出回路、37…平滑フィルタ回路、38…照明器具、39、40…全波整流回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流電源を利用して所定電圧を出力する全波整流回路と;
太陽光エネルギを利用して発電するソーラーセルと、該ソーラーセルの出力電圧を昇圧する昇圧回路と、該昇圧回路のスイッチングを制御する制御手段とを含むソーラーセル電源回路と;
アノードが前記全波整流回路に接続される第1ダイオード、アノードが前記ソーラーセル電源回路に接続され、カソードが前記第1ダイオードのカソードと共に出力端に接続される第2ダイオードを含み、負荷に電力を供給する逆流防止手段と;
を具備し、
前記制御手段は、前記ソーラーセルの出力電圧が所定電圧を維持するように、前記昇圧回路に対するスイッチング制御信号のデューティー比を可変することを特徴とする直流電源システム。
【請求項2】
前記所定電圧は、前記ソーラーセルの出力電力が最大となる電圧であることを特徴とする請求項1記載の直流電源システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の直流電源システムと、
複数のLEDを含み、前記直流電源システムからの電力を受け発光する照明部と、
を具備することを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−69225(P2013−69225A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208956(P2011−208956)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】