説明

相乗的効果を奏する割合でγ−及びα−インターフェロンを含有する安定化製剤

本発明は、非経口的(液体又は凍結乾燥)に又は局所的(ゲル、軟膏、又はクリーム)に施用することが意図され、また悪性又は良性の非生理学的な組織又は器官の細胞成長に関わる病理学的事象を治療するための、種々の量の組換えγ及びαインターフェロンを高い割合で含む、安定な医薬品製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオテクノロジー及び医学に関し、特に、人間の種々の組織又は器官における細胞成長を阻止するための相乗的な効果を奏する割合で組換えインターフェロンγ及びαを含有する安定した医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
I型インターフェロン(英語でinterferons)といい、IFNと短縮される)の様々な作用は、その利用において多大な治療可能性をもたらす。IFNの利用は、様々なタイプの癌、とりわけ白血病(US5830455)、基底細胞腫(US5028422)、扁平上皮癌(US5256410)、乳癌(US5024833)、胃腸腫瘍(US5444064;5814640)、及び光線性角化症(US5002764)が含まれる様々なタイプの癌の治療に有益である。異なる細胞型は、IFNに対して異なる感受性を示し、その成長を阻害する濃度は、広範にわたって変化することがあり(Borden E.ら(1981)、血液学の進歩(Progress in Hematology)、vol XII、Brown EB.編、299〜339)、その範囲内では、細胞成長を阻害する能力(Dahl H.(1983)、ヒトインターフェロン及び細胞成長阻害(Human interferon and cell growth inhibition)、VII、インターフェロン活性の可逆性(Reversibility of interferon activities)、J Interferon Animal、3:327〜332;Willson J.K.V.、Bittnerら(1984)、ヒト腫瘍幹細胞アッセイにおける、卵巣癌細胞成長に対するヒトインターフェロンの抗増殖活性(Antiproliferative activity of human interferons against ovarian cancer cells growth in human tumor stem cell assay)、J Interferon Animal、4:441〜447;Hu R.、Gan Y.ら(1993)、ヒトリンパ芽球腫インターフェロンαの、いくつかの成分に関する多数の結合部位に関する証拠(Evidence for multiple binding sites for several components of human lymphoblastoid interferon−alpha)、J Biol Chem、268:12591〜12595)及び抗腫瘍活性(Quesada JR.、Talpaz M.ら(1986)、癌患者におけるインターフェロンの臨床的毒性(Clinical toxicity of interferons in cancer patients):J Clin Oncol、4:234〜243参照)にその細胞成長を阻害する能力の差が示される。癌療法でのIFNの使用は、in vitro研究及びこれらの強力な生体分子が保有する性質からの期待を、満足させていない。種々の治療スケジュールについて試験をしたが、明らかな有益な効果及び効果は得られなかった(Strander H.及びOberg K.(1992)、インターフェロンの臨床使用(Clinical use of interferons)、充実性腫瘍インターフェロン(Solid tumors INTERFERON)、原理及び医学的用途(Principles and Medical Applications)、Baron S.、Coppenhaver DH.、Dianzani F.、Fleischmann WR.、Jr.Hughes TK.、Jr.Klimpel GR.、Niesel DW.、Staton GJ.、及びTyring SK.版、533〜561)。
【0003】
治療でより良好な効果を得るために、IFNを高用量で用いたが、様々な要因により、とりわけ前記用量でもたらされる副作用により、有益で可能性のある期待される応答は現れない(Lane H.C.(1990)、無症候性ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の患者におけるインターフェロン−α(Interferon−alpha in patients with asymptomatic human immunodeficiency virus(HIV)infection)、無作為プラセボ対照試験(A randomized,placebo−controlled trial)、Annals of internal Medicate、112:805〜811)。
【0004】
さらに、IFNは、その相乗効果を活用する組合せ形態で使用されてきた。IFNα及びIFNγの組合せについては、ケロイド線維芽細胞からの培養物を用いたin vitro研究で述べられている(Tredget EE.、Wang R.ら(2000)、肥大性瘢痕組織及び線維芽細胞における成長因子−β mRNA及びタンパク質の形質転換:in vitro及びin vivoでのIFN−α及びIFN−γによる拮抗作用(Transforming growth factor−beta mRNA and protein in hypertrophic scar tissues and fibroblasts:antagonism by IFN−alpha and IFN−gamma invitro and in vivo)、J Interferon Cytokine Animal、20:143〜151)。この研究では、IFNα及びγの組合せ利用について述べているが、得られたデータは、in vitro及び子供のケロイド由来の細胞から得られたものである。これらの筆者は、いかなる臨床試験も行っておらず、インターフェロンに対する応答が少ない成人ケロイド細胞にIFNの組合せが及ぼす影響については評価しなかった。
【0005】
特許EP0107498は、メラノーマHs294Tの細胞系におけるインターフェロンα及びγの組合せを示すが、基底細胞腫又はグリア芽細胞腫(GL−5)又は喉頭癌(HEp−2)の初代培養物のような、その他の細胞タイプに対する影響について述べていない。
【0006】
また天然IFNα及び組換えIFNγの交互利用は、腎及び肺転移の治療に関しても述べられている(Fujii A.、Yui−In K.ら(1999)、転移性腎細胞癌に対する天然インターフェロン−α及び組換えインターフェロン−γの交互投与の予備結果(Preliminary results of the alternating administration of natural interferon−alpha and recombinant interferon−gamma for metastasic renal cell carcinoma)BJU Int.;84:399〜404)。IFNα2又はα4又はハイブリッドΔ4α2Bgl II α1とIFNγとの組合せは、細胞系RT4(膀胱癌)及びA2182(肺腺癌)で述べられており、I型IFN又はIFNγ単独の場合よりも優れた抗増殖作用を保有する(Hubbell H.R.、Craft J.TO.ら(1987)、組換えα−インターフェロンと組換えγ−インターフェロンとの相乗的抗増殖効果(Synergistic antiproliferative effect of recombinant alpha−interferons with recombinant gamma−interferon)J Biol Response Mod.、6:141〜153)。IFNγ(1000IU/mL)及びIFNα2(1000IU/mL)の相乗的効果は、細胞系A459(肺胞腫瘍)(Martyre M.C.、Beaupain R.ら(1987)、連続器官型培養で維持されたヒト癌結節における、ヒト組換えIFN−α及び−γの混合による抗増殖活性の増強(Potentiation of antiproliferative activity by mix of human recombinant IFN−alpha 2 and −gamma on growth of human cancer nodules maintained in continuoUSorganotypic culture)Eur J Cancer Clin Oncol、23:917〜920)で、並びに非小細胞肺未分化癌から確立された細胞系(Hand A.、Pelin K.ら(1993)、化学療法と組み合わせたインターフェロン−α及びインターフェロン−γ:非小細胞肺癌細胞系におけるin vitro感受性研究(Interferon−alpha and interferon−gamma combined with chemotherapy:in vitro sensitivity studies in non−small cell lung−cancer cell lines)、Anticancer Drugs、4:365〜368)で示されている。
【0007】
IFNα及びIFNγの組合せは、細胞系HepG2を用いた研究(Mizukoshi E.、Kaneko S.ら(1999)、IFN−γによるI型インターフェロン受容体の上方制御(Up−regulation of type I interferon receptor by IFN−gamma)、J Interferon Cytokine Animal、19:1019〜1023)、及び細胞系AVA5を用いた研究(Okuse C.、Rinaudo J.A.ら(2005)、インターフェロン併用療法によるin vitroでのC型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス活性の強化(Enhancement of antiviral activity against hepatitis C virUSin vitro by interferon combination therapy)、Antiviral Animal、65:23〜34)で述べられている。これらの筆者は、細胞系HepG2におけるα及びγインターフェロンの組合せについて、抗増殖作用を測定しておらず、またより有効な割合についても決定していない。さらに、その相乗効果は、細胞系Hepa1〜6、マウス肝細胞癌において、TNFα及びIFNγに関して調査されてきた(Sasagawa T.、Hlaing M.ら(2000)、IFN−γ及びTNF−αによる、マウス肝細胞癌Hepa 1〜6細胞におけるアポトーシスの相乗的誘導(Synergistic induction of apoptosis in murine hepatoma Hepa 1−6 cells by IFN−GAMMA and TNF−alpha)、Biochem Biophys Common Animal、272:674〜680)。
【0008】
US5190751特許には、IFNα及びγの組合せによる、B型及びT型の白血病細胞系の成長の阻害が記述されている。評価されたT細胞系の中で、成長阻害作用の増強が観察されたものはなく、ある実験条件では、この組合せの作用が拮抗的であった。特許EP010749及び刊行物(Czarniecki C.W.、Fennie C.W.ら(1984)、大腸菌(Esherichia coli)由来ヒトα、β、及びγインターフェロンの相乗的抗ウイルス及び抗増殖活性(Synergistic antiviral and antiproliferative activities of Esherichia coli−derived human alpha,beta,and gamma interferons)、J Virol.49:490〜496)には、IFNα及びγの組合せが必ずしも相乗的であるとは限らず拮抗的になることがあることも示されている。非常に広範にわたる組合せの効力について述べられているが、それは実証されていない。
【0009】
これらのデータは、所与の組織又は器官における不適切な細胞成長を治療するのに最適な組合せを確立するには、どの条件が好ましいものであるかを特定することを可能にする実験的定義についてIFNα及びγの組合せの利用を評価すべきであることを示している。そのような理由で、療法及び適切な用量を裏付けるために、これらはin vitro実験及び対照臨床試験で評価されるべきである。
【0010】
グリオーマの細胞系を用いた研究では、IFNγが、研究された腫瘍細胞の増殖及び移動などの悪性腫瘍の特徴に影響を及ぼした(Knupfer M.M.、Knupfer H.ら(2001)、インターフェロン−γがA172ヒトグリア芽細胞腫の成長及び移動を阻害する(Interferon−gamma inhibits growth and migration of A172 human glioblastoma cells)、Anticancer Animal、21:3989〜3994)。その他の点では、グリオーマの治療のためにIFNγを用いた場合の負の結果が、報告されている(Mahaley M.S.、Bertsch L.,Jr.ら(1988)、再発性グリオーマの全身性γ−インターフェロン療法(Systemic gamma−interferon therapy for recurrent gliomas)、J Neurosurg、69:826〜829)。IFNγ及びIFNβの同時使用は、細胞系GBM−18の成長、多剤耐性星状細胞腫の阻害に有効であった(Reddy P.G.ら(1991)、再発性グリオーマの全身性γインターフェロン療法(Systemic gamm−interferon therapy for recurrent gliomas)、J Natl Cancer Inst、83:1307〜1315)。その上、これらの腫瘍を治療するための、IFNγとα−ジフルオロメチルオルニチン(DFMO)との組合せが記述されている(US4499072)。特許US5002879は、リンホカイン及びIL−2によって活性化されたキラー細胞のそばでDFMOを利用する、類似療法について述べている。IFNαに関し、その他の薬物との組合せは、グリオーマの治療において好ましくない作用をもたらし、有毒であることが示された(Bckner J.C.、Burch P.A.ら(1998)、再発性グリオーマ患者の、組換えインターフェロン−α−2a及びエフロールニチンの第2相臨床試験(Phase II trial of recombinant interferon−alpha−2a and eflornithine in patients with recurrent glioma)、J Neurooncol、36:65〜70;Chang S.M.、Barker F.G.ら(1998)、再発性グリオーマの高用量経口タモキシフェン及び皮下インターフェロンα−2a(High dose oral temoxifen and subcutaneoUSinterferon alpha−2a for recurrent glioma)、J Neurooncol、37:169〜176)。次いで、このタイプの腫瘍の治療には、in vitro実験及び臨床試験に基づくその組合せの割合の適切な選択に基づいて、IFNα及びIFNγを組み合わせた使用が向いている可能性がある。
【0011】
喉頭は、口腔後の上気道消化管で、癌が2番目により頻発する場所である。喉頭癌は、頭部及び頸部で最も頻発する腫瘍であり、最も一般的な喉頭癌は、扁平上皮癌である(全ての症例の95%)。喉頭腫瘍T3及びT4の症例での生存は、喉頭切除がなされた患者の約30%でわずか約5年である(Djordjevic V.、Milovanovic J.ら(2004)、悪性喉頭腫瘍の根治手術(Radical surgery of the malignant Laryngeal tumors)、Minutes Chir Lugosl、51:31〜35)。放射線療法及び化学療法は、この癌腫の治療に有効ではないことが示されている(Chen W.、Guo X.ら(2004)、喉頭癌再発及び頸部転移に関する臨床療法の長期経過観察(Long−term follow−up observation of clinical therapy for laryngeal carcinoma recurrence and cervical metastasis)、Lin Cuang Er Bi Yan Hou Ke Za Zhi、18:536〜537)。
【0012】
それにも関わらず、IFNαを併用した多剤化学療法は、喉頭癌の治療に有益であった(Mantz C.A.、Vokes E.E.(2001)、局所領域的に進行した喉頭癌の管理における、逐次誘導化学療法及び併用化学放射線療法(Sequential induction chemotherapy and concomitant chemoradiotherapy in the management of locoregionally advanced laryngeal cancer)、Ann Oncol、12:343〜347)。IL−2及びIFNαの組合せは、喉頭癌の療法として第2相試験で評価されたが、その結果は満足のいくものではなかった(Clayman G.L.、Young G.ら(1992)、インターロイキン−2及びインターフェロンαで治療した頭頸部癌患者における、リンホカイン活性化キラー細胞活性の調節因子の検出(Detection of regulatory factors of lymphokine−activated killer cell activity in head and neck cancer patients treated with inteleukin−2 and interferon alpha)、Ann Otol Rhinol Laryngol、101:909〜915)。喉頭腫瘍の療法では、あまり進歩がない。IFNα及びγの組合せ使用は、このタイプの腫瘍と闘うために、既存の療法を改善するのに寄与できると考えられる。
【0013】
US5503828特許は、IFNα2及びIFNα8と、IFNα4、α7、α10、α16、α17、及びα21によって形成された群のIFNの1つ又は複数の追加の種との、対立遺伝子を、少なくとも50%含有することを特徴とする、インターフェロンの組成物について述べている。一方、特許US4503035は、IFNαの一部の種の調製を示すが、α1、α5、α14、及びIFNωは含まない。これらの特許は、組換えIFNγ及びIFNα2の組合せによって形成された製剤について述べていない。
【0014】
US5762923特許は、IFNαを安定化させるのに十分な量の非イオン性界面活性剤及びベンジルアルコールで水中に希釈され、更に酸緩衝液を含有するインターフェロン液状組成物について詳述する。一方、US4847079特許は、インターフェロン及びチメロサールの医薬品組成物について述べているのに対し、特許US4675184は、多価アルコール及び安定剤としての有機緩衝液及び従来の担体又はpH3〜6の希釈剤を含むインターフェロン製剤を示している。組成物は、さらに、陰イオン界面活性剤及び/又はアルブミンを安定剤として有することができる。特許US5236707及びUS5431909には、安定剤としてのアミン(脂肪族第1級アミン)及びリチウムの有機塩が記載されており、これは、インターフェロンが分解するのを防止し、インターフェロンを安定させるものである。
【0015】
US4496537特許は、ヒト血清アルブミン組成物、及びアラニン又はグリシン、水、及びpHを6.5から8.0の間に維持することが可能な緩衝系を含む、インターフェロン−αの液状安定製剤に言及している。
【0016】
US5935566特許は、pHを4.5から7.1の範囲内に維持することが可能な緩衝系、安定剤としてのポリソルベート80、キレート剤としてのEDTA、等張剤としての塩化ナトリウム、及び抗菌保存剤としてのm−クレゾールを組成物中に含む、インターフェロン−αの安定な製剤について述べている。
【0017】
US0170207特許は、pHを4.5から9.0の範囲内に維持することが可能な緩衝系、安定剤、非イオン性界面活性剤、及び浸透圧の調節剤を組成物中に含む、インターフェロン−αの安定な製剤について述べている。
【0018】
WO89/04177出願には、pHを4.0から6.0の範囲内に維持する緩衝溶液、安定剤としてのポリヒドロキシル糖、及び非イオン性界面活性剤を含有する、インターフェロン−γの液状医薬製剤が記載されている。US4895716特許は、緩衝グリシン/酢酸溶液中に溶かしたラクトビオン酸によるインターフェロン−γを安定化するための組成物及び方法に言及する。
【0019】
US5676942特許は、自然源から得られたI型インターフェロンのサブタイプによって形成され、しかしインターフェロンγとは組み合わされておらず且つこれらの組合せの割合が定められていない、医薬品組成物について述べており、これらの組成物は、腫瘍の治療ではなくウイルス感染に関してのみ記述されている。前述の報告の中で、相乗的な組合せで組換えIFNγ及びα2を一緒に含有する医薬製剤の利用、特徴付け、又は言及がなされているものはない。組合せ利用の可能性は、IFNγ及びI型IFNが、確立された療法及び/又はそれらの組合せに対する耐性の種々の程度の細胞成長の治療のために、明確な割合で混合された場合に存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
これらの内容に留意して、良性又は悪性組織形成を有する個人での安全、効加的、簡単、広範な使用を可能にする割合で、これらIFNを含有する、安定な医薬製剤の開発が必要である。本発明は、組合せのより最適な取り扱いを可能にし、これらの治療の患者への治療上の貢献が、より実現可能なものになる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、前述の問題を解決し、非経口的に(液体又は凍結乾燥)又は局所的な方法(ゲル、軟膏、又はクリーム)で、安定な医薬製剤を提供する。これらは、組織又は器官の生理学的良性又は悪性成長に拘らず、病理学的事象を治療するための相乗的な効果を奏する割合で組換えインターフェロンγ及びαを種々の量で含有し、更に医薬品として許容される賦形剤又はビヒクルも含有する。
【0022】
これらの製剤は、IFNに対する種々の感受性の細胞系を用いたin vitroアッセイ、及び種々の腫瘍の臨床試験、並びに医薬品として許容される種々の賦形剤又はビヒクルの存在下での、組換えIFNγ及びα2の生物学的及び物理化学的安定性の評価の結果である。
【0023】
凍結乾燥された安定な医薬製剤は、酢酸アンモニウム又はナトリウム、コハク酸ナトリウム、リン酸ナトリウム及び/又はカリウム、又はクエン酸/リン酸ナトリウムにすることができる、pHを4.9から7.5の間に維持可能な緩衝溶液中に混合された、組換えIFNγ及びα2からなる。
【0024】
またこれらの製剤は、少なくとも、非還元糖化合物、アミノ酸、界面活性剤、及び安定化ポリマーから選択される成分からなる。非還元糖は、サッカロース又はトレハロースにすることができ、アミノ酸は、グリシン、ヒスチジン、又はロイシンにすることができ、一方、界面活性剤は、記述されたポリソルベート20又はポリソルベート80であり、同様に安定化ポリマーは、ポリエチレングリコール、デキストラン、又はヒドロキシエチルである。
【0025】
本発明の具体例は、緩衝溶液を、10から20mMの間の濃度範囲で用いるべきであると定義した。サッカロース又はトレハロースは、5から100mg/mLの間で使用すべきであり、グリシン、ヒスチジン、又はロイシンは、1から20mg/mLの間の濃度範囲で用いるべきである。ポリソルベートは、0.01から1mg/mLの間で用いるべきであり、一方、ポリエチレングリコール、デキストラン、及びヒドロキシエチルデンプンでは、5から50mg/mLの間の濃度範囲で用いられる。
【0026】
本発明のいくつかの具体例は、5.6×10IUから1.4×10IUの間の濃度範囲の組換えIFNγ、及び6.8×10IUから1.7×10IUの間の濃度範囲の組換えIFNα2を含有する、凍結乾燥した安定な医薬製剤について述べる。或いは、2.0×10IUから0.5×10IUの間の濃度範囲の組換えIFNγ、及び12.0×10IUから3.0×10IUの間の濃度範囲の組換えIFNα2を含有する、凍結乾燥した安定な医薬製剤について述べる。或いは、4.0×10IUから1.0×10IUの間の濃度範囲の組換えIFNγ、及び80.0×10IUから20×10IVの間の濃度範囲の組換えIFNα2を含有する、凍結乾燥した安定な医薬製剤について述べる。この製剤は、さらに、リン酸2水素カリウム0.0802g、2水和リン酸水素2ナトリウム0.249g、サッカロース4g、グリシン0.8g、Tween 20 0.03g、ポリエチレングリコール6000 1g、及び100mLにするのに十分な量の注射用蒸留水、またはそれぞれ均等な割合で、0.5mL、1mL、5mL、及び10mLにするのに十分な量の注射用蒸留水を含有する。
【0027】
定められた組合せの範囲で組換えIFNγ及びIFNαを混合する定義は、アイソボログラム分析の後に得られた。凍結乾燥した安定な医薬製剤の1つにおいて、5.6×10IUから1.4×10IUの間の組換えIFNγ、及び6.8×10IUから1.7×10IUの間の濃度範囲の組換えIFNα2の濃度は、ケロイド(Kel 5a、Kel 17a)及びCBC III由来の初代培養物の成長阻害の研究の分析から達成された。アイソボログラム研究の後、in vitro細胞成長を21%、43%、及び47%にそれぞれ低下させる100IU/mL(10ng/mL)の組換えIFNγと100IU/mL(0.5ng/mL)の組換えIFNα2bとの組合せが、明らかにされた(実施例1、2、及び3、図1、表1参照)。
【0028】
製剤用の、2.0×10IUから0.5×10IUの間の濃度範囲の組換えIFNγと12.0×10IUから3.0×10IUの間の濃度範囲の組換えIFNα2との混合物は、臨床試験及び比較による治療症例の報告を利用して、定義された。無作為対照3重盲検臨床試験は、上記にて定義された安定な凍結乾燥製剤を利用して、基底細胞腫患者の病巣内(I.L.)治療の効力を評価した(実施例7、表9、10、11、及び12参照)。
【0029】
これらの割合の定義にも関与した、比較による治療症例の報告では、類表皮癌患者(患者1)と、多発性再発基底細胞腫及び移植を経た患者(患者2)とを治療した(それぞれ、実施例8、図5、b、c、d;患者1、及び図6、b、c;患者2参照)。
【0030】
4.0×10IUから1.0×10IUの間の濃度範囲の組換えIFNγ、及び80×10IUから20×10IUの間の濃度範囲の組換えIFNα2を含有する製剤は、50IU/mL(5ng/mL)の組換えIFNγ及び100IU/mL(0.5ng/mL)の組換えIFNα2bによるグリア芽細胞腫(GL−5)細胞の成長阻害の研究結果の分析によって定義された。このようにして、55%の成長阻害が実現される(実施例3)。さらに、細胞系HEp−2による研究の分析を考慮した。この場合、IFNの量は、組換えIFNγが5IU/mL(0.5ng/mL)であり、組換えIFNα2bの量が75IU/mL(0.375ng/mL)である。これによって、in vitro細胞成長を76%低下させるのに最適な組合せが実現される(実施例1、2、及び3参照)。
【0031】
さらに、医薬品として安定な液状製剤が開発された。これらの製剤で、組換えIFNγ及びαの割合は、凍結乾燥製剤に関して述べたように維持されたが、その医薬成分は、これらIFNの混合物により大きな安定性をもたらすように、変化させた。
【0032】
この研究の結果として、本発明の具体例は、緩衝溶液と、少なくとも非還元糖、アミノ酸、界面活性剤、安定化ポリマー、酸化防止/キレート化成分、及び等張化剤から選択される成分とを含有する、液体安定医薬製剤について述べている。これらの製剤は、ちょうどメチル−及びプロピル−パラベンの混合物のような保存剤を含有しても、しなくともよい水ベースの溶媒を用いる。
【0033】
本発明の別の具体例は、4.9から6.5の間のpHを維持することが可能な緩衝溶液を用いる、液状安定医薬製剤を定義付ける。この緩衝液は、酢酸アンモニウム又はナトリウム、コハク酸ナトリウム、リン酸ナトリウム及び/又はカリウム塩、クエン酸塩/リン酸塩にすることができる。これらの製剤は、界面活性剤としてポリソルベート20又はポリソルベート80を、酸化防止剤/キレート剤としてEDTA又はアセチル−システインを用いることができ、一方、アミノ酸は、ヒスチジン、L−アルギニン、L−アラニン、グリシン、又はリシンを含むことができる。安定化ポリマーとして、ヒドロキシエチルデンプン又はデキストランの利用が定められ、等張化剤として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、プロピレングリコール、マンニトール、グリセロール、サッカロース、又はトレハロースが定められる。
【0034】
本発明の具体例は、液状安定医薬製剤が緩衝液を10から100mMの間の濃度範囲で用いることに、重点を置く。この製剤中、ポリソルベートは、0.01から1mg/mLの濃度範囲で用いられ、EDTA又はアセチル−システインは、0.01から1mg/mLの間の濃度範囲内で用いられる。アミノ酸ヒスチジン、L−アルギニン、L−アラニン、グリシン、又はリシンは、1から20mg/mLの間の濃度であり、ヒドロキシエチルデンプン及びデキストランは、5から50mg/mLの濃度範囲で用いられ、等張化剤は、溶液を等張化するのに十分な量であることがわかる。
【0035】
その他の具体例は、前述の組換えIFNγ及びαの混合物の物理化学的及び生物学的安定性に必要な、液状安定医薬製剤の医薬成分全ての量について説明する。これらの液状製剤は、IFNの他に、酢酸ナトリウム0.708g、酢酸0.079g、Tween20 0.01g、マンニトール5g、並びにそれぞれ均等な割合で、100mL、並びに0.5mL、1mL、5mL、及び10mLになるよう十分な量の注射用蒸留水を含有する。
【0036】
本発明は、細胞の良性又は悪性過成長の治療に役立てることができる、IFNγ及びαの混合物の割合を定める。これによって、腫瘍又はその他の細胞成長の異常事象の治療においてインターフェロンを用いることにより今日まで実現されてきた場合に比べ、より少ない用量、より少ない治療時間で、同じ治療効果を維持、又は優れた効果を発揮することが可能になる。用量の低下によって、より少ない副作用又はより低い強度が期待され、それにより、患者により良好な生活の質をもたらすことになり、これら強力な薬物の使用の利益を得ることが可能になる。
【0037】
本発明は、これまでに記述されていない、組換えIFNγ及びIFNα2の混合物の製剤であって、この治療的組合せの取り扱い及び臨床使用並びにそれらの商業化を容易にする、製剤を定義する。
【0038】
本発明で記述される増殖阻害に相乗的な効果を奏する割合で組換えIFNγ及びα2の混合物を含有する凍結乾燥及び液状の安定な医薬製剤は、広範にわたる臨床的用途を有する。これらの製剤をin vivoで利用することにより、重要な腫瘍学的疾患では、組換えIFNγ及びIFNα2の組合せが、同時に且つ腫瘍内で有効に利用されることが示される。
【0039】
この組合せは、その個別の成分に関して得られた場合と比べ、腫瘍に対して、より短い時間でより高い審美的効果を伴って同等の治療効果を発揮することが可能である。これらの組合せの使用によって、癌と闘うためのより大きな治療可能性を提供することが可能になる。これは、本発明の具体例において、凍結乾燥又は液体の製剤を、独立した形態で、又は化学療法、放射線療法若しくは両方との組合せで充実性良性又は悪性腫瘍の治療において使用できることを明らかにした点で重要である。
【0040】
その他の治療薬と組み合わせたこれらの製剤の利用は、シスプラチンと共に用いた組換えIFNγ及びIFNα2の組合せによる、巨大基底細胞腫瘍の患者の治療で得られた結果で支持されている(実施例10及び図9参照)。
【0041】
本発明では、インターフェロンγ及びα2の組合せ使用が、非常に悪い予測を持ち且つ審美的効果を歪める腫瘍をどのように減少させ且つ/又は治癒させるのか、記述されている。
【0042】
制御されていない細胞成長が支配的である、いくつかの良性及び腫瘍学的部分の特徴によれば、これらは、上記製剤を用いた治療を受け易くすることができる。その中には、急性若しくは慢性骨髄性白血病、急性若しくは慢性リンパ球性白血病、並びにT若しくはB細胞の白血病及び中枢神経系のリンパ腫など、造血組織からの細胞の腫瘍がある。喉頭癌、喉頭乳頭腫症、リンパ腫、類表皮及び皮内腫、リンパ肉腫、神経線維腫、及び脂腺過形成も治療することができる。これら医薬製剤の使用により、星状細胞腫、多形グリア芽細胞腫、上衣細胞腫、神経節細胞腫、毛様細胞性星状細胞腫、混合膠腫、乏突起細胞腫、視神経のグリア細胞腫、原始神経外胚葉性腫瘍、聴神経腫瘍、脊索腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、神経線維腫症、脳の偽腫瘍、結節性硬化症、転移性脳腫瘍などの末梢及び中枢神経系の腫瘍に役立てることができる。治療を受け易いその他の腫瘍は、海綿状血管腫、肝細胞腺腫、限局性結節性過形成、松果体部腫瘍、下垂体腺腫、血管腫瘍、髄膜癌腫症、チェリー状血管腫、皮脂腺過形成である。基底細胞腫、扁平上皮癌、皮膚線維腫、化膿性肉芽腫、皮膚母斑、並びに脂漏性及び光線性角化症などの皮膚の腫瘍も、これら医薬製剤による治療から利益を受けることができる。
【0043】
本発明の別の具体例は、これらの製剤を、線維症、異形成、及び過形成などの増殖事象の治療に用いることができることを述べている。
【0044】
本発明の具体例として、実施7、8、及び10で実施され且つ記述される臨床試験の結果によれば、筋肉内、腫瘍内、及び病巣周囲に製剤を施用する方法が定められる。その他の具体例は、半固体のグラム数で、0.32×10IUから0.08×10IUの間の濃度範囲のIFNγ、及び2.0×10IUから0.5×10IUの間の濃度範囲のIFNα2を含有する、局所安定医薬製剤の施用について述べている。製剤は、IFNγ2.2%、IFNα 0.58%、セチルアルコール4%、ワセリン10%、Tween60 2%、及びメチルパラベン、プロピンパラベン0.2%によって構成されたクリームである。さらに、軟膏の組成は、IFNγ2.2%、IFNα 0.58%、白色固体ワセリン60%、重液ワセリン10%、スパン20 3%、メチルパラベン及びプロピルパラベン0.2%によって処方された。最後に、ゲル製剤は、IFNγ2.2%、IFNα 0.58%、カルボポル940 0.5%、メチルパラベン及びプロピルパラベン0.2%、水酸化ナトリウム0.2%、エチレンジアミノ4酢酸2ナトリウムカルシウム0.01%、及びエタノール2%によって構成される。
【0045】
これらの製剤全ては、温度の変動に耐性があり、これは製品の製造、その輸送、及び貯蔵に有益である。インターフェロンの凝集が防止され、したがって、この製品の長期使用中に免疫原性をもたらすのに、より少ないリスクが提示される。半固体の製剤は、その非侵襲的で安全な形により、それを所有する患者が用いることが可能になる。本発明の別の具体例として、独立形態で又は化学療法、放射線療法、又は両方の併用と組み合わせて利用される、皮膚又は粘膜の充実性良性又は悪性腫瘍の治療におけるこれらの局所安定製剤の使用が定められる。
【0046】
本発明の別の具体例は、リンパ腫、類表皮及び皮内腫、リンパ肉腫、神経線維腫、皮脂腺過形成、血管腫、限局性結節性過形成、上衣細胞腫、神経節細胞腫、毛様細胞性星状細胞腫、髄膜腫、松果体部腫瘍、下垂体腺腫、血管腫瘍、髄膜癌腫症、神経線維腫症、チェリー状血管腫、脂腺過形成、基底細胞腫、扁平上皮癌、皮膚線維腫、化膿性肉芽腫、皮膚母斑、脂漏性及び光線性角化症、及びコンジロームの治療に、この局所安定医薬製剤を使用できることについて述べている。
【0047】
本発明の別の具体例は、前述の濃度及び関係を有する組換えIFNγのバイアル、組換えIFNαのバイアルと、IFNの希釈及び/又は溶解に十分な量の注射用蒸留水とを含むキットの構造について述べている。キットには、IFNの一方を含有するバイアルの1つで事前に混合される、IFNを同時投与するための、注射器及び適切な針が入っている。
【実施例】
【0048】
(実施例1)
初代細胞培養物での組換えIFNγ又はαによる細胞成長の阻害
皮膚生検材料を、正常な皮膚から、及び手術又は火傷による損傷が原因で基底細胞腫又はケロイドを発症した患者から得た。外植片法により、この組織サンプルをすぐに培地DMEM中に置き、断片化して、初代培養物を得た。組換えIFNγ及びαの抗増殖性効果の評価のため、下記の初代培養物、即ちケロイドからの線維芽細胞初代培養物(CPF)(1、2、5、7、8、15、17、19、20、24、26、27、31、32)、基底細胞腫(CBC III)からのCPF、及び正常な皮膚からのCPF(FibN3及びFibN5)を評価した。CPFを、ゲンタマイシン(50μg/ml)及びウシ胎児血清(CBS)12%を含有する培地混合物RPMI−1640/DMEM中で成長させた。全ての培養物を、湿度5%のCOインキュベータ内で、37℃でインキュベートした。IFNの抗増殖作用を決定するために、細胞を、96マイクロウェルプレートに5×10細胞/mLで播いた。播いた後、24時間後に、新鮮な培地に交換することによって同期させた。種々の濃度のIFNの存在下、96時間のインキュベーションの終わりに、クリスタルバイオレット染色法を利用し、580nmでの吸光度を測定し、リーダプレートを利用して、評価された実験条件の3種の複製物の生存率を決定した。その結果を、生細胞のカウントを基にした成長%と定義した。
成長%=(AT72h−AC0h/AC72h−AC0h)×100
AT72h=72時間処理した細胞の吸光度
AC72h=72時間処理した対照細胞の吸光度
AC0h=IFNで処理する前の細胞の吸光度
【0049】
図1には、ケロイドCPFの成長に対する組換えIFNγ又はαの抗増殖作用が示されている。観察されるように、IFNγ又はα2bは、様々な初代培養物で細胞増殖を阻害するが、その他は、この増殖を刺激する。対照として、初代培養物FibN3及びFibN5を、並びにCBCIII、及びHEp−2、U1752、及びGL−5細胞系生検材料からの初代培養物を評価した。
【0050】
(実施例2)
確立された細胞系での組換えIFNγ又はα組換え体による細胞成長の阻害
研究がなされたヒト細胞系は、Jurkat(ATCC、TIB−152)、GL−5(Perea S.ら(1993)、Minutes Cient Venez、44:22〜27)、HEp−2(ATCC、CCL23)であった。細胞GL−5をDMEM中で培養し、HEp−2は、ゲンタマイシン(50μg/ml)及び10%CBSを含有するMEM−CANE中で培養した。Jurkat細胞は、ゲンタマイシン及び10%CBSと共にRPMI培地中でインキュベートした。全ての培養物を、湿度5%のCOインキュベータ内で、37℃でインキュベートした。GL−5及びHEp−2に対する抗増殖作用を評価するために、3×10細胞/mLで細胞を播いた。Jurkat細胞の場合は、これらを10細胞/mLまで播いた。種々の濃度のIFNの存在下で、72時間インキュベーションした後、バイオレットクリスタル染色法を利用し、580nmでの吸光度を測定し、リーダプレートを利用して、3種の複製物の生存率を評価した。その結果は、実施例1に記述されるように、生細胞のカウントを基にした成長%と定義した。表1及び図1からわかるように、細胞系HEp−2(喉頭癌)及びGL−5(グリア芽細胞腫から)は、IFNγに対して非常に感受性があり、IFNαに対してはそうではなかった。
【0051】
【表1】

【0052】
表1では、細胞系HepG2(肝細胞腫)がこれらのIFNには感受性がなく、細胞系Jurkat(リンパ腫T)では、IFNαが最も有効なものであり、この結果は、リンパ組織からの腫瘍の治療にIFNα2を首尾良く用いることに一致することが観察される。
【0053】
(実施例3)
初代培養及び細胞系に対しより有効な抗増殖作用を有する組換えIFNγ及びαの組合せ
CBC−III及びケロイド(Kel−5a及びKel−17a)CPFと細胞系HEp−2及びGL−5を利用して、細胞成長阻害の相乗的活性を有する最適な混合物を定めるために、組換えIFNγ及びα2bによる組合せの研究を実施した。この研究で得られたデータは、アイソボログラムを構築して分析した。成人ケロイド(kel 5a及びkel 17a)の生検材料由来のCPFのアイソボログラム研究から、成長阻害に最適な相乗効果を奏する組合せは、100IU/mL(10ng/mL)のIFNγ及び100IU/mL(0.5ng/mL)のIFNα2bからなるべきことが定められた。この組合せにより、細胞成長は、インビトロで21%(Kel 5a)及び43%(kel 17a)低下する(図2及び3)。
【0054】
図4のアイソボログラムには、100IU/mL(10ng/mL)のIFNγと100IU/mL(0.5ng/mL)のIFNα2bとの組合せが相乗的であり、CBC IIIのin vitro細胞成長を47%低下させる点で最も効加的であることが示されている。図5に示されるアイソボログラムによれば、GL−5の細胞の成長を阻害するのに最適な相乗的組合せは、50IU/mL(3ng/mL)のIFNγと600IU/mL(5ng/mL)のIFNα2bである。この組合せにより、in vitro細胞成長が55%低下する。
【0055】
図6に示されるアイソボログラムには、HEp−2細胞に対して最良の抗増殖作用を得るのに最適な、IFNγ及びαの相乗的組合せが示されている。IFNの量は、IFNγが5IU/mL(0.5ng/mL)であり、IFNα2bが75IU/mL(0.375ng/mL)である。この最適な組合せにより、in vitro細胞成長の低下は76%に達する。
【0056】
(実施例4)
水溶液中のインターフェロンα−2b及びγの混合物の安定性に対する、緩衝溶液のpH、イオン種、及び濃度の影響
組換えインターフェロンγ及びαの、相乗的組合せの液体及び凍結乾燥製剤の安定性を研究するために、IFNを、その対応する活性医薬成分(IFA)から、種々のアッセイ製剤:緩衝溶液、個々の賦形剤を含む緩衝溶液混合物、及び様々な賦形剤を含む緩衝溶液混合物中に希釈した。種々の製剤のバイアルの代表的なサンプルを、インターフェロンの安定性を評価するために、種々の処理、即ち凍結−解凍、凍結乾燥、撹拌して37℃にし、光及び温度の影響を与えるサイクルにかけた。種々の処理の後、種々のアッセイ、即ち物理的外観、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、逆相液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)、及び分子排除クロマトグラフィー(ME−HPLC)を通じて、物理化学的安定性を評価した。生物学的安定性は、各インターフェロンに特異的な免疫−酵素アッセイ(ELISA)によって、及びウイルス細胞病原作用の阻害の生物学的アッセイによって評価した。
【0057】
これらの製剤全てのデザインに関する研究を、中間濃度のインターフェロン(IFNγが0.5MIU、及びIFNα2bが3.0MIU)の混合物に関して実施した。得られた製剤の最終的な変形例(2重に調製した)により、相乗的組成物が調製され、その安定性を評価した。
【0058】
官能特性:製剤の外観の分析によって決定した(無色透明、且つタンパク質の凝集がない状態で維持された)。凍結乾燥製剤では、凍結乾燥した生成物の外観も分析した。
【0059】
湿分:凍結乾燥した生成物の残留湿分の含量を、湿分放射計(モデルTIM 550)の計器を用いる、カールフィッシャーヨウ素還元滴定技法によって決定した。
【0060】
化学安定性:タンパク質の純度及び分解の程度(the magnitude of the degradation)を、溶媒遊離のシステム、ダイオード配列検出器、オーブン、及びデータ処理システムを備えたHPLCシステム(メルク−日立)を使用して、保存カラムC8 Vydac(Vydac、Hesperia、CA)を備えたカラムC8 VydacでRP−HPLCによって決定した。タンパク質の純度は、SDS−PAGEでも決定した。
【0061】
凝集の決定:組換えIFNγ及びIFNα2bの凝集を、Superdex−75 HR 10/30カラム(Amersham Pharmacia Biotech AB、スウェーデン)を使用した分子排除HPLCと、溶媒遊離システム、ダイオード配列検出器、オーブン、及びデータ処理システムを備えたHPLEシステム(メルク−日立)とによって測定した。共有結合凝集体の量は、SDS−PAGEによって決定した。
【0062】
αインターフェロンELISA:このアッセイは、本発明者らの実験室で開発された(H.Santana、Espino Y.ら(1999)、組換えヒトインターフェロンα−2bの分析のための、サンドイッチ型酵素結合免疫吸着アッセイ(A sandwich−type enzyme−linked immunosorbent assay for the analysis of recombinant human interferon α−2b)、Biotechnology Techniques、13、341〜346)。このアッセイは、モノクローナル抗体を用い、報告された方法に従って実施された。測定は、本明細書では、初期サンプルのELISA活性を100%と見なして、各製剤変形例からの種々のサンプルにおける、インターフェロンα−2bの残留ELISA活性のパーセンテージとして報告する。
【0063】
インターフェロンγELISA:このアッセイは、本発明者らの実験室で開発された(Bouyon R.、Santana H.ら(2003)、組換えヒトγインターフェロンに関する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)の開発及び検証(Development and validation of an enzyme−linked immunosorbent assay(ELISA) for recombinant human gamma interferon)、Journal of Immunoassay and Immunochemistry、24:1〜10)。このアッセイは、モノクローナル抗体を用い、報告された方法に従って実施された。測定は、本明細書では、初期サンプルのELISA活性を100%と見なして、各製剤変形例からの種々のサンプルにおける、インターフェロンγの残留ELISA活性のパーセンテージとして報告する。
【0064】
抗ウイルス生物活性の定量:生物活性の測定は、Ferrero J.、Ochagavia ME.ら(1994、Titulacion de la actividad antiviral del interferon utilizando el sistema de equipos SUMA、Biotecnologia Aplicada、11:34〜42)に記述されるように実施した。生物活性の計算は、Ferrero J.、Duany L.ら(1997、Nuevo programa de calculo,cuantificacion de la activated antiviral de interferones madiante la inhibicion del efecto citopatogenico utilizando el sistema de equipos SUMA、Biotecnologia Aplicada、14:267〜269)に記述されるように実施した。生物活性は、本明細書では、初期サンプルの生物活性を100%とみなして、残留生物活性のパーセンテージとして報告した。活性成分の安定性におけるpHの影響を知るために、種々の緩衝溶液中に、即ちクエン酸/リン酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、及び酢酸緩衝液中にIFNγを0.5MIU及びIFNα2bを3.0MIU含有する、種々の製剤を調製した。組換えIFNγ及びIFNα2bと緩衝溶液との混合物を含有する製剤を、凍結−解凍のサイクルにかけ、45℃で保存し、種々の時間間隔でELISAによって分析した。製剤は、4から8の間のpHを有するように、且つ緩衝溶液が0.1Mの濃度にあるように調製した。表2、3、及び4は、凍結−解凍の3サイクル後に、且つ種々の時間間隔で、3から12日まで、45℃で実施されたアッセイの結果を報告している。
【0065】
【表2】


D=日;ND=不検出
IFN/4=クエン酸/リン酸緩衝液pH4.0中の製剤
IFN/5=クエン酸/リン酸緩衝液pH5.0中の製剤
IFN/6=クエン酸/リン酸緩衝液pH6.0中の製剤
IFN/7=クエン酸/リン酸緩衝液pH7.0中の製剤
IFN/8=クエン酸/リン酸緩衝液pH8.0中の製剤
【0066】
【表3】


D=日;ND=不検出
IFN/5=リン酸緩衝液pH5.0中の製剤
IFN/6=リン酸緩衝液pH6.0中の製剤
IFN/7=リン酸緩衝液pH7.0中の製剤
IFN/8=リン酸緩衝液pH8.0中の製剤
【0067】
これらの表(2、3、4)のデータは、5から8の間のpH値、好ましくは5及び7に近いpHで、酢酸、リン酸、及び酢酸−リン酸緩衝液中の、製剤が、凍結−解凍サイクル中に適切な安定性を有することを示す。水溶液中の熱安定性は、好ましくは酢酸及びリン酸緩衝液中で、5から5.6の間のpH値のときに、より大きかった。
【0068】
表5のデータは、より高い緩衝液濃度の製剤が、pH5.5でより低い濃度の場合よりも、凍結−解凍サイクル中により良好な安定性を示したことを示し、特に、種々の評価された緩衝液中のIFNγに対して良好な安定性を示した。それにも関わらず、熱安定性の結果は、酢酸緩衝液及びその後のリン酸緩衝液中で、pH5.5の場合により良好であった。クエン酸−リン酸緩衝液での熱安定性は、低濃度の緩衝液中でより良好であった。
【0069】
【表4】


D=日;ND=不検出
IFN/C4=クエン酸緩衝液pH4.0中の製剤
IFN/C5=クエン酸緩衝液pH5.0中の製剤
IFN/C6=クエン酸緩衝液pH6.0中の製剤
IFN/A4=酢酸緩衝液pH4.0中の製剤
IFN/A5=酢酸緩衝液pH5.0中の製剤
IFN/A5.6=酢酸緩衝液pH5.6の製剤
【0070】
【表5】


D=日;ND=不検出
IFN/C−F25:クエン酸−リン酸緩衝液pH5.5、25mM中の製剤
IFN/C−F50:クエン酸−リン酸緩衝液pH5.5、50mM中の製剤
IFN/C−F100:クエン−リン酸酸緩衝液pH5.5、100mM中の製剤
IFN/Fk25:リン酸カリウム緩衝液pH5.5、25mM中の製剤
IFN/Fk50:リン酸カリウム緩衝液pH5.5、50mM中の製剤
IFN/Fk100:リン酸緩衝液5.5、100mM中の製剤
IFN/FNA 25:リン酸ナトリウム緩衝液pH5.5、25mM中の製剤
IFN/FNA 50:リン酸ナトリウム緩衝液pH5.5、50mM中の製剤
IFN/FNA 100:リン酸ナトリウム緩衝液pH5.5、100mM中の製剤
IFN/A 25:酢酸緩衝液pH5.5、25mM中の製剤
IFN/A 50:酢酸緩衝液pH5.5、50mM中の製剤
IFN/A 100:酢酸緩衝液pH5.5、100mM中の製剤
【0071】
(実施例5)
凍結乾燥製剤(バイアル当たり、IFNγが1.4×10IU、IFNα2bが1.7×10IU)
組成:IFNγ2.8×10IU、IFNα2b3.4×10IU、リン酸2水素カリウム0.0802g、リン酸水素2ナトリウム2水和物0.249g、サッカロース4g、グリシン0.8g、Tween 20 0.03g、ポリエチレングリコール6000 1g、100mLにするのに十分な量の注射用蒸留水。
【0072】
インターフェロンを除く全ての成分について、測定し、注射用蒸留水で希釈した。この溶液のpHをチェックし、必要に応じて、希(1:2)酢酸又は1M NaOHで7.2±0.2の値に調節する。IFNγ及びIFNα2bの活性医薬品成分を添加し、適切な濃度まで希釈した。この溶液を、滅菌形態に濾過し、バイアルに充填し、栓で蓋をして、クラス100領域で凍結乾燥し、そこで処理を実施した。最後に、バイアルを覆って密封し、生成物を、2から8℃の間で保存した。表6は、用いられた凍結乾燥サイクルの主なパラメータを示す。
【0073】
【表6】

【0074】
確立された時間間隔で、サンプルを採取し、生成物の残留湿分の含量、IFNγ及びIFNα2b(ELISAによる)、生物活性、RP−HPLCによる純度、及び凍結乾燥生成物の外観、並びにこれを溶かして元に戻したものについて、分析した。結果を表7に示す。
【0075】
【表7】


充填された体積は、0.5mL/バイアル;STI:凍結乾燥すると均一な白色;溶かして元に戻した後は、透明無色溶液、本質的に粒子を含まない。
【0076】
(実施例6)
凍結乾燥製剤(バイアル当たり、IFNγ0.5×10IU、及びIFNα2b3.0×10IU)
組成:1.0×10 IU、IFNα2b6.0×10 IU、リン酸2水素カリウム0.0802g、リン酸水素2ナトリウム2水和物0.249g、サッカロース4g、グリシン0.8g、Tween 20 0.03g、ポリエチレングリコール6000 1g、100mLにするのに十分な量の注射用蒸留水。この調製方法は、実施例5の凍結乾燥製剤で述べたものと同じであった。
【0077】
確立された時間間隔で、サンプルを採取し、生成物の残留湿分の含量、IFNγ及びIFNα2bの含量(ELISAによる)、生物活性、RP−HPLCによる純度、及び凍結乾燥生成物の外観、並びにこの凍結乾燥生成物を溶かして元に戻したものについて、分析をした。この結果を、表8に示す。
【0078】
【表8】


充填された体積は、0.5mL/バイアル;STI:凍結乾燥すると均一な白色;溶かして元に戻した後は、透明無色溶液、本質的に粒子を含まない。
【0079】
(実施例7)
安定化凍結乾燥医薬製剤(バイアル当たり、IFNγが0.5×10IU、IFNα2bが3.0×10IU)による臨床試験。CBCにおける病巣内施用。
実施例6で述べた安定な凍結乾燥医薬製剤を、直径4cm未満の病巣を有する皮膚の任意の部位及びタイプのCBCについて臨床及び組織診断がなされた59名の患者を含む、3重盲検対照無作為臨床試験の実施の際に用いた。これらの患者を、無作為に3つの治療群に割り当てた。病巣は、組換えIFNα2bの用量の半分(1.5×10IU/mL)、又は組換えIFNγの用量の半分(0.25×10IU/mL)、又は安定な凍結乾燥製剤(バイアル当たり、IFNγを0.5×10IU、IFNα2bを3.0×10IUを含む)で病巣内治療した。それぞれI、II、及びIII群である。IFNを、週当たり3回、連続して3週間、連続して9週間、1週間に1回、又は病巣全体が消失するまでで治療の臨床効果を評価する。IFNα2b、IFNγ、及び製剤(バイアル当たり、IFNγを0.5×10IU、IFNα2bを3.0×10IU)により、それぞれ、群の病巣の9.5%、35.3%、及び5.3%が病巣サイズの50%未満に縮小した。残りの病巣では、客観的奏効率(全体的な消失又は減少が、初期サイズの50%超である)90.5%、57.9%、及び94.7%(それぞれI、II、及びIII群)が観察された。どの病巣も、進行しなかった(表9参照)。「治療が終了しなかった患者」の層では、相乗的抗増殖作用を有する組換えIFNγ及びα2bを含有した製剤での治療の優位性が、観察される(IFNα2Bによる治療に対しては、差が17%であり、IFNγに対しては、差が27%である)。「治療が11週間未満の患者」の層では、製剤の優位性が観察される。IFNγに対しては差が約30%であり、IFNα2bに対しては27%である。完全応答の割合は、より高い(IFNα2b治療に対する優位性は>40%、IFNγ治療に対しては>30%)。注射が12回未満の患者では、製剤で治療した群において100%の好ましい応答が実現した(そのうち、50%がRC)。他の2つの群では、好ましい応答のパーセンテージが67%であり(そのうち、33.3%がRC)、即ち、併用療法では約33%の差が実現された。表9参照。
【0080】
【表9】

【0081】
表10からわかるように、組換えIFNγ及びα2bを含有する安定な凍結乾燥製剤では、インターフェロンの場合よりも短時間で、臨床的完全応答を得ることが可能であり、IFNαよりも約4週間前という差があった。
【0082】
【表10】

【0083】
治療なしの症例では、ケロイドの形成が観察され、これに対して治療がなされた全ての症例は、通常の感受性、通常の弾性を有し、又は乾燥、脆弱性、及び粗さがわずかに減少し存在しない、病巣の良好な瘢痕形成が生じた。色に関しては、製剤で治療した患者の大多数において、治療箇所に通常の発色が観察され(47.4%)、これはINF αによる群で観察された場合(28.6%)の2倍であった。試験の終わりに、製剤で治療した群では、表11に示されるIFNα2b単独で治療した群(52.4%)よりも、大きな割合で、平らな創傷が観察された(63.2%)。
【0084】
【表11】

【0085】
インターフェロンの組合せは、その生成又は強度に関して治療群間で統計的な差が検出されなかったので、有害事象を増強しなかった。一般に、それらは軽く(71.2%)、又は適度であり、十分に耐用性があった。有害で重篤な事象も非常に重篤な事象も示さなかった(表12)。
【0086】
【表12】

【0087】
この表からわかるように、各治療群で最も頻繁な有害事象は、IFNα、IFNγ、及びこれらの組合せに関して、それぞれ、熱(38.5%、60.8%、及び26.2%)、筋肉痛(38.5%、3.9%、及び31%)、及び悪寒(12.8%、19.6%、及び21.4%)であった。示される有害事象の合計は、IFNγで治療した患者の群において、わずかに上回った。
【0088】
一般に併用治療では、IFNα群に対し、4週間前で完全応答が32%優れており、注入量は25%未満であった。この組合せは、有害事象を増強せず、完全臨床応答による患者の治療を終了させた後1年の経過観察中に、いくらかの再発が見られた。美容上の観点から、この結果は非常に良く、ほとんどが平らで正色素性の創傷をもたらした。
【0089】
(実施例8)
皮膚腫瘍を持ち、標準的な治療を受けていない患者における、組換えIFNγ及びα2bの混合物の同時使用(compasionaluse)の結果。症例報告。
患者1
患者EPR:HC:302396 年齢:82才、性別:男性、個人的病理前駆症状(APP):n/r 国立腫瘍及び放射線研究所(National Institute of Oncology and Radiology)(INOR)に、胸部前部領域の皮膚の腫瘍が付託された(17/10/01)者に、電子高周波療法を施し、潰瘍形態に成長した後、03/07/01に外科的に切除した。結果:有棘細胞癌が不完全に切除された。患者は、高い縁部を有する当初の腫瘍の場所に3cmの残留腫瘍病巣を持つに到った。物理的観察では、局所的な転移性結節腫を示さなかった。腫瘍に対する放射線療法が示され、29/01/02に終了した:60co 50Gy+X線 12Gy。腫瘍当たりの総用量は、62gyであった。
【0090】
1カ月後、患者は、鎖骨及び胸鎖乳突筋の下3分の1に、固定腫瘍を示し、短時間で腫瘍は素早く成長し、04/03/02には、右鎖骨の内側3分の1、首の付け根、及び胸骨の一部に10×8cmの大きな潰瘍化創傷を示し、全ては胸部前部に向かっていた。外科的介入を患者に提示した。患者の年齢が82才であり、手術によるリスクが高いことから、外科的介入を行うことは拒否された。次いで病巣内IFNによる治療を推奨した。
【0091】
サイズの大きい腫瘍(12.5×9cm及び厚さ1〜1.5cm)が、骨及び筋肉に固定された。IFNの施用を、周囲の3セクターに計画した。各セクターには、約5cmの組織(1.5×1.5)に溶液1.5mLを浸潤させて、注射用蒸留水6mL中、0.5×10IUのIFNγ+6×10IUのIFNα2bの用量にし、3週間にわたって週当たり3回注射した(図7a)。生成物を5回施用した後(2週間)、より高い用量のIFNγを施用することを決定した(2倍、1×10IU)。前回の投薬量では有害事象がなかったこと、及び前回の臨床研究の情報では両方のインターフェロンの相乗効果が示されたことから、用量の上昇を提示して、非常の大きい腫瘍により良好な結果を得ることを試みた。
【0092】
全体として、患者には、治療の2カ月で、全用量が25×10IUのIFNγ+162×10IUのIFNα2bになるように、27回施用した。5回目の施用で、創傷縁部が正常な皮膚と同レベルになる平坦化が認められた。(図7b)。治療開始から1カ月後、患者は、上腕神経叢の浸潤、鎖骨の暴露、壊死、及び骨折が観察される右上部に、強い痛みを訴えた。#20の施用では、注射した場所に腫瘍成長の停止が観察されたが、このように腫瘍の中心部では、小葉状の形に成長した(図7c)。この状態は、24回目の施用時にも観察された。その他に、敗血症及び壊死が、腫瘍性潰瘍の中心に現れた。治療開始から正確に2カ月後(施用#27)、患者は、鎖骨下動脈の浸潤による動脈出血に罹患し、患者のヘモグロビンは80g/Lに低下し、治療を15日間中断し、その終わりに、連続出血のために元に戻り、進行性無力症になった。患者は、動脈切断によって2カ月後に死亡した。注射部位は、腫瘍成長がない状態で維持された。最初の8回の施用では、いくつかの有害事象は熱(39℃)、悪寒、病巣周辺の紅斑のように現れたが、その全ては強度が軽微で、短時間であった。結論:注射部位での臨床応答が達成され、少なくとも2カ月間続き、副作用は、重要なものではなくなった。
【0093】
患者2
患者LGR:HC:158390 年齢:65才 性別:女性、APP:n/r。顔全面が多数の癌に罹患している患者。患者は、外科的介入を受け、移植片を持つ左眼の下眼瞼に数回放射線治療を行った。現在、眼瞼縁部に直径5mmの腫瘍再発が見られ、別の平らな瘢痕状創傷が、眼瞼の下に頬骨に向かって生じている(図8a)。代替の治療は、既に多数の治療がなされた対象に対する新しい手術である。同じ眼の上眼瞼には、前に治療しなかった7mmの別の基底癌がある。
【0094】
08/05/02に、4mLの病巣内IFN(0.5×10IUのIFNγ+3×10IUのIFNα2b)による、3週間にわたり週3回の治療を提示した。全体として、患者は、インターフェロンの総用量35×10IU(5×10IUのIFNγ+30×10IUのIFNα2b)を10回に分けて受けた。4分の1の浸潤では、瘢痕状創傷が消失し、眼瞼には、腫瘍の場所に壊死した潰瘍があった(図8b)。治療の2カ月後、眼瞼には腫瘍がなく、頬骨の瘢痕状の平らな創傷の消失が観察された(図8c)。局所領域効果が得られた。IFNでは直接治療されなかったので外科的に切除していた左眼の上眼瞼の基底癌に、50%の減少が観察された。3年後、患者は依然として、IFNによる浸潤病巣の制御下にあった。光強度及び短時間といういくつかの有害事象が、熱(39℃)、悪寒、及び結膜浮腫のように治療した眼に現れたが、冷湿布により緩和された。
【0095】
結論:患者は、2005年8月までに完全臨床寛解となり(最後の対照)、副作用は最小限に抑えられた。
【0096】
(実施例9)
凍結乾燥製剤(バイアル当たり、0.5×10IUのIFNγ及び10×10IUのIFNα2b)
組成:IFNγ1.0×10IU、IFNα2b20×10IU、リン酸2水素カリウム0.0802g、リン酸水素2ナトリウム2水和物0.249g、サッカロース4g、グリシン0.8g、Tween20 0.03g、ポリエチレングリコール6000 1g、100mLになるまで十分な量の注射用蒸留水。
【0097】
調製方法は、実施例5の凍結乾燥製剤で述べたものと同じであった。
【0098】
確立された時間間隔でサンプルを採取し、生成物の残留湿分の含量、IFNγ及びIFNα2bの含量(ELISAによる)、生物活性、RP−HPLCによる純度、及び凍結乾燥生成物の外観、並びにこの凍結乾燥生成物を溶かして元に戻したものについて分析した。結果を表13に示す。
【0099】
【表13】


充填された体積は、0.5mL/バイアル;STI:凍結乾燥すると均一な白色;溶かして元に戻した後は、透明無色溶液、本質的に粒子を含まない。
【0100】
(実施例10)
シスプラチンと組み合わせた、0.5MIUのIFNγ及び10.0MIUのIFNα2b/バイアルによって構成された、安定な凍結乾燥製剤の使用。症例の報告。
患者3
患者JGA:HC:年齢:33才、性別:男性、APP:患者n/r、INORに記録、左眼の内角に侵入した基底細胞癌を有し、数回の外科的介入及び放射線治療を受けた。ここで、この患者は、頭蓋骨の基部の骨に達した潰瘍化腫瘍を有する(図9a)。軸方向コンピュータ断層撮影(TAC)による検証では、鼻及び眼窩内壁の骨に空洞が観察され、耐えられない悪臭が左鼻孔に放たれ、化膿した黄色分泌物が同じ場所に存在していた。
【0101】
創傷の拡大により、21日間隔で6サイクルの用量を投じるシスプラチンを用いた全身化学療法と同時に、製剤(0.5MIUのIFNγ及び10.0MIUのIFNα2b/バイアル)を、3週間にわたって週3回、局所的に浸潤させる併用療法を行うことを決定した。
【0102】
3回目の施用の終わりに、既に重要な一部の臨床応答が観察され、眼瞼を開かせ、悪臭を低下させた。これと同時に、結膜浮腫の強度が中程度であることが示された。完全臨床寛解は1カ月後に認められる。この応答は、化学療法の終わりまで維持される。熱及び悪寒などと、創傷の瘢痕の場所に現れる痛みなど、有害事象はごくわずかであった。1年後、患者は完全臨床寛解を維持している(図9b)。
【0103】
(実施例11)
液状安定医薬製剤(バイアル当たり1.4×10IUのIFNγ及び1.7×10IUのIFNα2b)
組成:IFNγ2.8×10IU、IFNα2b3.4×10IU、酢酸ナトリウム0.708g、酢酸0.079mL、Tween20 0.01g、マンニトール5g、100mLにするのに十分な量の注射用蒸留水。
【0104】
インターフェロンを除く全ての成分を計量し、注射用蒸留水に懸濁した。溶液のpHをチェックし、必要に応じて、希酢酸(1:2)又は1M NaOHで5.5±0.2の値に調節した。組換えIFNγ及びIFNα2bの活性医薬成分を添加し、適切な濃度に希釈した。
【0105】
溶液を、滅菌状態で濾過した。バイアルに製剤を充填し、カバーし、クラス100領域で密封した。最後に、生成物を2から8℃の間で保存する。いくつかのサンプルを、製造された製剤から採取し、8℃及び2℃で6カ月間保存した。
【0106】
確定された時間間隔で、サンプルを採取し、生成物の残留湿分の含量、IFNγ及びIFNα2bの含量(ELISAによる)、生物活性、RP−HPLCによる純度、及び凍結乾燥生成物の外観、並びにこの凍結乾燥生成物を溶かして元に戻したものについて分析した。結果を表14に示す。
【0107】
【表14】


充填された体積は、0.5mL/バイアル;STI:凍結乾燥すると均一な白色;溶かして元に戻した後は、透明無色溶液、本質的に粒子を含まない。
【0108】
(実施例12)
液体安定医薬製剤(バイアル当たり0.5×10IUのIFNγ及び3.0×10IUのIFNα2b)
組成:IFNγ2.0×10IU、IFNα2b12.0×10IU、酢酸ナトリウム0.708g、酢酸0.079mL、Tween20 0.01g、マンニトール5g、100mLにするのに十分な量の注射用蒸留水。
【0109】
調製方法は、実施例11の凍結乾燥製剤で述べたものと同じであった。
【0110】
確定された時間間隔で、サンプルを採取し、生成物の残留湿分の含量、IFNγ及びIFNα2bの含量(ELISAによる)、生物活性、RP−HPLCによる純度、及び凍結乾燥生成物の外観、並びにこの凍結乾燥生成物を溶かして元に戻したものについて分析した。結果を表15に示す。
【0111】
【表15】


充填された体積は、0.5mL/バイアル;STI:凍結乾燥すると均一な白色;溶かして元に戻した後は、透明無色溶液、本質的に粒子を含まない。
【0112】
(実施例13)
液体安定医薬製剤(バイアル当たり0.5×10IUのIFNγ及び10×10IUのIFNα2b)
組成:IFNγ2.0×10IU、IFNα2b40×10IU、酢酸ナトリウム0.708g、酢酸0.079mL、Tween20 0.01g、マンニトール5g、100mLにするのに十分な量の注射用蒸留水。
【0113】
調製方法は、実施例11の凍結乾燥製剤で述べたものと同じであった。
【0114】
確定された時間間隔で、サンプルを採取し、生成物の残留湿分の含量、IFNγ及びIFNα2bの含量(ELISAによる)、生物活性、RP−HPLCによる純度、及び凍結乾燥生成物の外観、並びにこの凍結乾燥生成物を溶かして元に戻したものについて分析した。結果を表16に示す。
【0115】
【表16】


充填された体積は、0.5mL/バイアル;STI:凍結乾燥すると均一な白色;溶かして元に戻した後は、透明無色溶液、本質的に粒子を含まない。
【0116】
(実施例14)
半固体医薬製剤(半固体1g当たり0.16×10IUのIFNγ及び1.0×10IUのIFNα2b)
好ましくはクリーム、軟膏、又はゲルとしての、局所施用のための医薬製剤。医薬品調製物は、組換えインターフェロンγ及びαインターフェロン2bを、活性成分として含有する。その組成は、IFNγが1.6×10IU、及びIFNα2bが1×10IUであり、半固体100gにするのに十分な量である。
【0117】
クリームの調製:クリームを調製するために、固体ワセリン及びセチルアルコールを75℃で融解し、絶え間なく撹拌しながら混合し、このプロセスの終わりまで維持する。均質化したら、Tween 60を混合物に組み込む。その一方で、メチル−及びプロピル−パラベンを90℃の水に溶解し、この温度が75℃まで下がったら、先の混合物に組み込む。引き続き、エマルジョンを37℃までゆっくりと冷却し、組換えIFNγ及びIFNα2bを含有する水溶液に組み込む。得られたクリームを、15gのチューブに4℃で保存する(表17参照)。
【0118】
【表17】

【0119】
軟膏の調製:容器内で、パラベンを90℃の水に溶解し、次いで放置して37℃に冷却する。別の容器内で、液体ワセリン及びSpan 20を、絶え間なく撹拌しながら混合する。引き続き、両方の容器の内容物を混合し、温度が37℃よりも下がったら、組換えIFNγ及びIFNα2bを組み入れ、絶え間ない撹拌を維持する。次いで、均質化が実現するまで白色ワセリンを組み入れる。得られた軟膏を、15gのチューブ内で4℃で保存する(表18参照)。
【0120】
【表18】

【0121】
ゲルの調製:EDTA、パラベン、及びアルコールを別々の容器で溶解し、次いでプロピレングリコールを添加する。次いでこれらの溶液を、絶え間なく撹拌しながら混合し、塊が存在しない濁った分散液が得られるまで、激しく撹拌しながらカルボポル940をゆっくりと組み入れる。これとは別に、適切な容器内で1N水酸化ナトリウム溶液を調製し、製剤の残りの成分を含有する分散液に、撹拌しながらゆっくりと添加する。引き続き、IFNγ及びIFNα2bを、穏やかに撹拌しながら組み入れる。ゲルが形成されたら、4℃で15gのチューブに詰める(表19参照)。
【0122】
【表19】

【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】1000IU/mLの組換えIFNγ又はIFNα2による、ケロイドを持つ成人患者の生検由来の線維芽細胞初代細胞培養物の、成長阻害を示す図である。
【図2】ケロイド(Kel5a)からの線維芽細胞初代細胞培養物での、組換えIFNγ及びIFNα2bの組合せによる細胞成長阻害のアイソボログラムである。
【図3】ケロイド(Kel17a)からの線維芽細胞初代細胞培養物での、組換えIFNγ及びIFNα2bの組合せによる細胞成長阻害のアイソボログラムである。
【図4】基底細胞腫(CBC III)からの線維芽細胞初代細胞培養物での、組換えIFNγ及びIFNα2bの組合せによる細胞成長阻害のアイソボログラムである。
【図5】グリア芽細胞腫GL−5の細胞系での、組換えIFNγ及びIFNα2bの組合せによる細胞成長阻害のアイソボログラムである。
【図6】喉頭HEp−2からの細胞系での、組換えIFNγ及びIFNα2bの組合せによる細胞成長阻害のアイソボログラムである。
【図7】組換えIFNγ及びIFNα2bの組合せで治療した、類表皮癌の患者である。
【図8】組換えIFNγ及びIFNα2bの組合せで治療した、再発性基底細胞腫の患者である。
【図9】組換えIFNγ及びIFNα2bの組合せ及びシスプラチンで治療した、再発性基底細胞腫の患者である。A:治療前、B:治療から1年後。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織又は器官の、良性の非生理学的な又は悪性の細胞成長を特徴とする、病理学的事象を治療するための、相乗効果を奏する割合で種々の量の組換えインターフェロンγ及びαを含み、さらに医薬品として許容される賦形剤又は担体を含む、非経口的(液体又は凍結乾燥)に又は局所的(ゲル、軟膏、クリーム)に施用される安定化医薬製剤。
【請求項2】
緩衝溶液と、少なくとも非還元糖化合物、アミノ酸、界面活性剤、及び安定化ポリマーから選択される成分とを含む、請求項1に記載の凍結乾燥安定化医薬製剤。
【請求項3】
酢酸アンモニウム若しくは酢酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、リン酸ナトリウム及び/又はカリウム塩、及びクエン酸−リン酸塩など、pHを4.9から7.5の間に維持する能力を有する緩衝液が用いられ、非還元糖として、サッカロース又はトレハロースが用いられ、アミノ酸として、グリシン、ヒスチジン、又はロイシンが用いられ、界面活性剤として、ポリソルベート20又はポリソルベート80が用いられ、安定化ポリマーとして、ポリエチレングリコール、又はデキストラン、又はヒドロキシメチルデンプンが用いられる、請求項2に記載の凍結乾燥安定化医薬製剤。
【請求項4】
緩衝液が、10から20mMの間の濃度範囲で用いられ、サッカロース又はトレハロースが5から100mg/mLの間の濃度範囲で用いられ、グリシン、ヒスチジン、又はロイシンが1から20mg/mLの間の濃度範囲で用いられ、ポリソルベートが0.01から1mg/mLの間の濃度範囲で用いられ、ポリエチレングリコール、デキストラン、又はヒドロキシエチルデンプンが5から50mg/mLの間の濃度範囲で用いられる、請求項3に記載の凍結乾燥安定化医薬製剤。
【請求項5】
それぞれ均等に、5.6×10IUから1.4×10IUの間の濃度範囲にあるIFNγ、及び6.8×10IUから1.7×10IUの間の濃度範囲にあるIFNα2、リン酸2水素カリウム0.0802g、リン酸水素2ナトリウム2水和物0.249g、サッカロース4g、グリシン0.8g、Tween20 0.03g、ポリエチレングリコール6000 1g、並びに100mL及び0.5mL、1mL、5mL、及び10mLにするのに十分な量の注射用蒸留水からなる、請求項2に記載の凍結乾燥安定化医薬製剤。
【請求項6】
それぞれ均等に、2.0×10IUから0.5×10IUの間の濃度範囲にあるIFNγ、及び12.0×10IUから3.0×10IUの間の濃度範囲にあるIFNα2、リン酸2水素カリウム0.0802g、リン酸水素2ナトリウム2水和物0.249g、サッカロース4g、グリシン0.8g、Tween20 0.03g、ポリエチレングリコール6000 1g、並びに100mL及び0.5mL、1mL、5mL、及び10mLにするのに十分な量の注射用蒸留水からなる、請求項2に記載の凍結乾燥安定化医薬製剤。
【請求項7】
それぞれ均等に、4.0×10IUから1.0×10IUの間の濃度範囲にあるIFNγ、及び80×10IUから20×10IUの間の濃度範囲にあるIFNα2、リン酸2水素カリウム0.0802g、リン酸水素2ナトリウム2水和物0.249g、サッカロース4g、グリシン0.8g、Tween20 0.03g、ポリエチレングリコール6000 1g、並びに100mL、及び0.5mL、1mL、5mL、及び10mLにするのに十分な量の注射用蒸留水からなる、請求項2に記載の凍結乾燥安定化医薬製剤。
【請求項8】
緩衝溶液と、少なくとも非還元糖化合物、アミノ酸、界面活性剤、安定化剤ポリマー、キレート化/酸化防止化合物、及び等張剤から選択される成分とを含み、メチル−パラベン又はプロピル−パラベンの混合物などの保存剤を含有してもしなくてもよい水溶媒を用いる、請求項1に記載の液体安定化医薬製剤。
【請求項9】
酢酸アンモニウム若しくは酢酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、リン酸ナトリウム及び/又はカリウム塩、及びクエン酸−リン酸塩など、pHを4.9から6.5の間に維持する能力を有する緩衝液が用いられ、界面活性剤として、ポリソルベート20又はポリソルベート80が使用され、酸化防止剤/キレート剤として、EDTA又はアセチル−システインが使用され、アミノ酸として、ヒスチジン、L−アルギニン、L−アラニン、グリシン、又はリシンが使用され、安定剤ポリマーとして、ヒドロキシエチルデンプン又はデキストランが使用され、等張剤として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、プロピレングリコール、マンニトール、グリセロール、サッカロース、又はトレハロースが使用される、請求項8に記載の液体安定化医薬製剤。
【請求項10】
緩衝液が、10から100mMの間の濃度範囲で用いられ、ポリソルベートが、0.01から1mg/mLの間の濃度範囲で用いられ、EDTA又はアセチル−システインが、0.01から1mg/mLの間の濃度範囲で用いられ、ヒスチジン、L−アルギニン、L−アラニン、グリシン、又はリシンが1から20mg/mLの間の濃度範囲で用いられ、ヒドロキシエチルデンプン及びデキストランが、5から50mg/mLの間の濃度範囲で用いられ、等張剤が、溶液を等張性にするのに十分な量である、請求項9に記載の液体安定化医薬製剤。
【請求項11】
それぞれ均等に、5.6×10IUから1.4×10IUの間の濃度範囲にあるIFNγ、及び6.8×10IUから1.7×10IUの間の濃度範囲にあるIFNα2、酢酸ナトリウム0.708g、酢酸0.079mL、Tween20 0.01g、マンニトール5g、並びに100mL及び0.5mL、1mL、5mL、及び10mLにするのに十分な量の注射用蒸留水からなる、請求項9に記載の液体安定化医薬製剤。
【請求項12】
それぞれ均等に、2.0×10IUから0.5×10IUの間の濃度範囲にあるIFNγ、及び12.0×10IUから3.0×10IUの間の濃度範囲にあるIFNα2、酢酸ナトリウム0.708g、酢酸0.079mL、Tween20 0.01g、マンニトール5g、並びに100mL及び0.5mL、1mL、5mL、及び10mLにするのに十分な量の注射用蒸留水からなる、請求項9に記載の液体安定化医薬製剤。
【請求項13】
それぞれ均等に、4.0×10IUから1.0×10IUの間の濃度範囲にあるIFNγ、及び80×10IUから20×10IUの間の濃度範囲にあるIFNα2、酢酸ナトリウム0.708g、酢酸0.079mL、Tween20 0.01g、マンニトール5g、並びに100mL及び0.5mL、1mL、5mL、及び10mLにするのに十分な量の注射用蒸留水からなる、請求項9に記載の液体安定化医薬製剤。
【請求項14】
悪性又は良性の充実性腫瘍を治療するために、独立に、又は化学療法、放射線療法、若しくは両方の組合せと併せて用いられる、請求項1から13までに記載の安定化医薬製剤。
【請求項15】
喉頭癌、喉頭乳頭腫症、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、T細胞白血病、B細胞白血病、中枢神経系リンパ腫、リンパ腫、類上皮腫、皮内腫、リンパ肉腫、神経線維腫、皮脂腺過形成、海綿状血管腫、肝細胞腺腫、限局性結節性過形成、星状細胞腫、多形グリア芽細胞腫、上衣細胞腫、神経節神経腫、若年性毛様細胞性星状細胞腫、混合膠腫、乏突起細胞腫、視神経グリア細胞腫、脊索腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、松果体腫瘍、下垂体腺腫、原始神経外胚葉性腫瘍、聴神経腫瘍、血管腫瘍、髄膜癌腫症、神経線維腫症、脳偽腫瘍、結節性硬化症、転移性脳腫瘍、チェリー様血管腫、皮脂腺過形成、基底細胞癌、扁平上皮癌、皮膚線維腫、化膿性肉芽腫、皮膚母斑、脂漏性角化腫、光線性角化症を治療するための、請求項14に記載の安定化医薬製剤。
【請求項16】
線維症、異形成、及び過形成のような増殖的事象を治療するための、請求項1から13までに記載の安定化医薬製剤。
【請求項17】
筋肉内、腫瘍内、及び病巣内に施用される、請求項1から13までに記載の安定化医薬製剤。
【請求項18】
半固体1g当たり、0.32×10IUから0.08×10IUの間の濃度範囲内にある組換えIFNγ、及び2.0×10IUから0.5×10IUの間の濃度範囲にある組換えIFNα2を含む、請求項1に記載の局所安定化医薬製剤。
【請求項19】
IFNγ2.2%、IFNα2b0.58%、セチルアルコール4%、ワセリン10%、Tween60 2%、メチルパラベン、プロピルパラベン0.2%、及び蒸留水csp81.2%を含む、請求項18に記載の安定化医薬クリーム。
【請求項20】
IFNγ2.2%、IFNα2 0.58%、白色固体ワセリン60%、重液ワセリン10%、Span20 3%、メチルパラベン及びプロピルパラベン0.2%、及び蒸留水csp24.02%を含む、請求項18に記載の安定化軟膏。
【請求項21】
IFNγ2.2%、IFNα2 0.58%、カルボポル940 0.5%、メチルパラベン及びプロピルパラベン0.2%、水酸化ナトリウム0.2%、エチレンジアミノ4酢酸カルシウム2ナトリウム0.01%、エタノール2%、及び蒸留水csp84.31%を含む、請求項18に記載の安定化医薬製剤ゲル。
【請求項22】
皮膚又は粘膜の悪性又は良性の充実性腫瘍を治療するために、独立に、又は化学療法、放射線療法、若しくは両方の組合せと併せて用いられる、請求項18から21までに記載の局所安定化医薬製剤。
【請求項23】
リンパ腫、類上皮腫、皮内腫、リンパ肉腫、神経線維腫、皮脂腺過形成、血管腫、限局性結節性過形成、上衣細胞腫、神経節神経腫、若年性毛様細胞性星細胞腫、髄膜腫、松果体腫瘍、下垂体腺腫、血管腫瘍、髄膜癌腫症、神経線維腫症、チェリー様血管腫、皮脂腺過形成、基底細胞癌、扁平上皮癌、皮膚線維腫、化膿性肉芽腫、皮膚母斑、脂漏性角化症、光線性角化症、及びコンジローマを治療するための、請求項22に記載の局所安定化医薬製剤。
【請求項24】
前記請求項で定義された濃度のIFNγ及びIFNαが維持されるようにIFNバイアルの内容物を混合するために、組換えIFNγの1つ又は複数のバイアルを、組換えIFNα2の対応するバイアルと共に含み、さらに、注射用蒸留水のバイアル、注射器、IFNの混合及び患者への混合物の施用を実施するのに十分な針を含む、請求項5から7まで及び11から13までに記載の医薬形態。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−513682(P2009−513682A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538252(P2008−538252)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【国際出願番号】PCT/CU2006/000011
【国際公開番号】WO2007/051431
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(304012895)セントロ デ インジエニエリア ジエネテイカ イ バイオテクノロジア (46)
【Fターム(参考)】