説明

相変化メモリセル及びそれを利用した相変化メモリデバイス

【課題】本発明は、相変化メモリセル及びそれを利用した相変化メモリデバイスに関するものである。
【解決手段】本発明の相変化メモリセルは、書き込み回路及び読み出し回路を含む。前記書き込み回路は、第一電極と、カーボンナノチューブ構造体と、第二電極と、を含む。前記第一電極、前記カーボンナノチューブ構造体及び前記第二電極は、相互に直列接続される。前記書き込み回路は、相変化メモリセルにデータを書き込む。前記読み出し回路は、第三電極と、相変化層と、第四電極と、を含む。前記第三電極、前記相変化層及び前記第四電極は、相互に直列接続される。少なくとも一部の前記相変化層及び少なくとも一部の前記カーボンナノチューブ構造体は、相互に積層して設置される。前記読み出し回路は、前記相変化メモリセルからデータを読み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相変化メモリセル及びそれを利用した相変化メモリデバイスに関し、特にカーボンナノチューブ構造体を利用した相変化メモリセル及びそれを利用した相変化メモリデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
メモリデバイスは、情報産業において、重要な素子である。その中で、相変化メモリデバイスは、特殊な相変化物質の結晶相と非晶質相との間における電気伝導性または抵抗差の特性を用いて情報を記憶するためのメモリデバイスである。該相変化メモリデバイスは、動作速度が速く、耐久力に優れ、且つ長い時間データを保持できるという利点を有するため、近年、次世代不揮発性メモリデバイスとして注目されている。前記不揮発性メモリデバイスは、現在携帯電話、デジタルカメラ、MP3プレーヤーまたは携帯電話メモリなどに応用されている。
【0003】
往来の前記相変化メモリデバイスは、半導体または金属からなる加熱素子を利用して、該相変化メモリデバイスにおける相変化材料を加熱させる。しかし、前記加熱素子を繰り返し使用すると、容易に変形したり酸化したりするので、前記相変化メモリデバイスの使用寿命が短くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第101239712号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第101284662号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第101314464号明細書
【特許文献4】中国特許出願公開第100411979号明細書
【特許文献5】中国特許出願公開第1982209号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、前記課題を解決するために、本発明は、使用寿命が長い相変化メモリセル及びそれを利用した相変化メモリデバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の相変化メモリセルは、書き込み回路及び読み出し回路を含む。前記書き込み回路は、第一電極と、カーボンナノチューブ構造体及び第二電極と、を含む。前記第一電極、前記カーボンナノチューブ構造体及び前記第二電極は、相互に直列接続される。前記書き込み回路は、相変化メモリセルにデータを書き込む。前記読み出し回路は、第三電極と、相変化層及び第四電極と、を含む。前記第三電極、前記相変化層及び前記第四電極は、相互に直列接続される。少なくとも一部の前記相変化層及び少なくとも一部の前記カーボンナノチューブ構造体は、相互に積層して設置される。前記読み出し回路は、前記相変化メモリセルからデータを読み出す。
【0007】
本発明の相変化メモリセルは、カーボンナノチューブ構造体と、相変化層と、第一電極と、第二電極及び第三電極と、を含む。少なくとも一部の前記相変化層及び少なくとも一部の前記カーボンナノチューブ構造体が、相互に積層して設置される。前記第一電極及び前記第二電極は、それぞれカーボンナノチューブ構造体に電気的に接続される。前記第一電極及び前記第二電極は、前記カーボンナノチューブ構造体に第一電圧を提供する。前記第三電極は、前記相変化層に電気的に接続される。前記第三電極及び前記第一電極は、前記相変化層に第二電圧を提供する。
【0008】
本発明の相変化メモリデバイスは、基板と、複数の行電極引き出し線と、複数の列電極引き出し線及び複数の相変化メモリセルと、を含む。前記複数の行電極引き出し線は、相互に間隔をあけて、且つ平行に前記基板の一つの表面に設置される。前記複数の列電極引き出し線は、相互に間隔をあけて、且つ平行に前記複数の行電極引き出し線が設置された前記基板の、一つの表面に、前記複数の行電極引き出し線と電気的に絶縁された状態で、前記複数の行電極引き出し線と交差して配置されて、複数の格子が形成される。前記一つの相変化メモリセルは、一つの前記格子に対応し、カーボンナノチューブ構造体と、相変化層と、第一電極及び第二電極と、を含む。少なくとも一部の前記相変化層及び少なくとも一部の前記カーボンナノチューブ構造体は、相互に積層して設置される。前記第一電極及び前記第二電極は、前記カーボンナノチューブ構造体にそれぞれ電気的に接続される。前記第一電極及び前記第二電極は、前記カーボンナノチューブ構造体に第一電圧を提供する。一つの前記格子において、一つの前記行電極引き出し線は、前記相変化層に電気的に接続され、一つの前記列電極引き出し線及び前記第一電極は、前記相変化層に第二電圧を提供する。
【発明の効果】
【0009】
従来の技術に比べて、本発明の相変化メモリセル及びそれを利用した相変化メモリデバイスは、カーボンナノチューブ構造体を加熱素子として利用し、相変化材料を加熱させる。前記カーボンナノチューブ構造体における複数のカーボンナノチューブは、優れた熱伝導性及び化学的安定性を有するので、前記相変化メモリセル及びそれを利用した相変化メモリデバイスの使用寿命は長くなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係る相変化メモリセルの上面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る相変化メモリセルに用いられるドローン構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】図2中のカーボンナノチューブフィルムのカーボンナノチューブセグメントの構造を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係る相変化メモリセルに用いられる綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明の実施例1に係る相変化メモリセルに用いられる同じ方向に配列されたカーボンナノチューブを含むプレシッド構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の実施例1に係る相変化メモリセルに用いられる異なる方向に配列されたカーボンナノチューブを含むプレシッド構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】本発明の実施例1に係る相変化メモリセルに用いられる非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】本発明の実施例1に係る相変化メモリセルに用いられるねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】本発明の実施例1に係る相変化メモリセルの製造過程を示す図である。
【図10】本発明の実施例2に係る相変化メモリセルの上面図である。
【図11】図10に示した相変化メモリセルのV-V線に沿って切断した断面図である。
【図12】本発明の実施例2に係る相変化メモリセルの製造過程を示す図である。
【図13】本発明の実施例3に係る相変化メモリセルの上面図である。
【図14】図13に示した相変化メモリセルのVIII-VIII線に沿って切断した断面図である。
【図15】本発明の実施例3に係る二つの相変化層を含む相変化メモリセルの構造図である。
【図16】図15に示した相変化メモリセルのX-X線に沿って切断した断面図である。
【図17】本発明の実施例4に係る相変化メモリの上面図である。
【図18】本発明の実施例4に係る相変化メモリの製造過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0012】
(実施例1)
図1を参照すると、本発明の相変化メモリセル10は、基板100と、少なくとも一つのカーボンナノチューブ構造体110と、少なくとも一つの相変化層120と、第一電極132と、第二電極134と、第三電極136と、第四電極138と、を含む。前記基板100は、前記カーボンナノチューブ構造体110と、前記相変化層120と、前記第一電極132と、前記第二電極134と、第三電極136と、第四電極138と、を支持する。また、少なくとも前記カーボンナノチューブ構造体110の一部及び前記相変化層120は、相互に積層して設置される。
【0013】
更に、前記相変化メモリセル10は、書き込み回路及び読み出し回路を含む。前記書き込み回路は、相互に直列接続された前記第一電極132と、前記カーボンナノチューブ構造体110と、前記第二電極134と、を含み、前記相変化メモリセル10にデータを書き込むことができる。前記読み出し回路は、相互に直列接続された前記第三電極136と、前記相変化層120と、前記第四電極138と、を含み、前記相変化メモリセル10からデータを読み出すことができる。
【0014】
前記基板100は、絶縁基板で、セラミックス、ガラス、樹脂、石英またはそれらの混合物のいずれかの一種からなる。前記基板100は耐高温性を有するため、前記相変化メモリセル10を作動させた際、前記基板100の形状は変形せず、例えば、400℃以下の環境下でも、前記基板100の形状は変化しない。また、前記基板100の寸法及び厚さは、前記相変化メモリセル10における必要な作動温度によって選択することができる。前記基板100は、フレキシブル材料からなることが好ましく、例えば、前記基板100は、ポリイミド、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂またはポリアミド樹脂などからなる。本実施例において、前記基板100は、ポリイミドからなり、その厚さは20μmである。
【0015】
前記カーボンナノチューブ構造体110の寸法及び形状は、実際の応用に応じて選択することができる。例えば、前記カーボンナノチューブ構造体110の寸法及び形状は、前記相変化メモリセル10の寸法及び形状によって選択でき、その形状は、三角形、正方形、長方形、円形、楕円形または他の幾何学的形状であることができる。本実施例において、前記カーボンナノチューブ構造体110の形状は長方形である。前記カーボンナノチューブ構造体110の長さは50nm〜900μmであり、その幅は20nm〜600μmである。本実施例において、前記カーボンナノチューブ構造体110の長さは70μmであり、その幅は50μmである。前記カーボンナノチューブ構造体110の厚さは、0.5nm〜100μmであるが、5nm、20nm、5μmまたは20μmであってもよい。
【0016】
前記カーボンナノチューブ構造体110は、複数のカーボンナノチューブからなる。前記複数のカーボンナノチューブは、前記カーボンナノチューブ構造体110の表面に平行している。前記カーボンナノチューブ構造体110には、前記複数のカーボンナノチューブが配向し又は配向せずに配置されている。前記複数のカーボンナノチューブの配列方法により、前記カーボンナノチューブ構造体110は非配向型のカーボンナノチューブ構造体及び配向型のカーボンナノチューブ構造体に分類される。本実施例における非配向型のカーボンナノチューブ構造体では、カーボンナノチューブが異なる方向に沿って配置され、又は絡み合っている。配向型のカーボンナノチューブ構造体では、前記複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列している。
【0017】
前記カーボンナノチューブ構造体110は、自立構造を有するものである。ここで、自立構造とは、支持体材を利用せず、前記カーボンナノチューブ構造体110を独立して利用することができる形態のことである。即ち、前記カーボンナノチューブ構造体110を対向する両側から支持して、前記カーボンナノチューブ構造体110の構造を変化させずに、前記カーボンナノチューブ構造体110を懸架させることができることを意味する。前記カーボンナノチューブ構造体110は、分子間力で接続して均一に配列された複数のカーボンナノチューブからなる。
【0018】
自立構造を有する前記カーボンナノチューブ構造体110としては、以下の(一)〜(四)のものが挙げられる。
【0019】
(一)ドローン構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体110は、図2に示すように、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルム143aを含む。このカーボンナノチューブフィルムは、ドローン構造カーボンナノチューブフィルム(drawn carbon nanotube film)である。前記カーボンナノチューブフィルム143aは、超配列カーボンナノチューブアレイから引き出して得られたものである。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、端と端が接続されている。即ち、単一の前記カーボンナノチューブフィルム143aは、分子間力で長軸方向に端部同士が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。図2及び図3を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルム143aは、複数のカーボンナノチューブセグメント143bを含む。前記複数のカーボンナノチューブセグメント143bは、長軸方向に沿って、分子間力で端と端が接続されている。それぞれのカーボンナノチューブセグメント143bは、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブ145を含む。単一の前記カーボンナノチューブセグメント143bにおいて、前記複数のカーボンナノチューブ145の長さは同じである。前記カーボンナノチューブフィルム143aを有機溶剤に浸漬させることにより、前記カーボンナノチューブフィルム143aの強靭性及び機械強度を高めることができる。前記カーボンナノチューブフィルム143aの幅は100μm〜10cmに設けられ、厚さは0.5nm〜100μmに設けられる。
【0020】
前記カーボンナノチューブ構造体110は、積層された複数の前記カーボンナノチューブフィルムを含むことができる。この場合、隣接する前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で結合されている。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、それぞれ0°〜90°の角度で交差している。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが0°以上の角度で交差する場合、前記カーボンナノチューブ構造体110に複数の微孔が形成される。又は、前記複数のカーボンナノチューブフィルムは、隙間なく並列されることもできる。前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、特許文献1に掲載されている。
【0021】
(二)綿毛構造カーボンナノチューブフィルム
図4を参照すると、前記カーボンナノチューブ構造体110は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは綿毛構造カーボンナノチューブフィルム(flocculated carbon nanotube film)である。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブは、絡み合い、等方的に配列されている。前記カーボンナノチューブ構造体110においては、前記複数のカーボンナノチューブが均一に分布されている。複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されている。単一の前記カーボンナノチューブの長さは、10μm以上であり、200nm〜900cmであることが好ましい。前記複数のカーボンナノチューブは、分子間力で接近して、相互に絡み合い、カーボンナノチューブネット状構造体が形成されている。前記複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されて、多くの微小な穴が形成されている。ここでの単一の前記微小な穴の直径は、10μm以下である。前記カーボンナノチューブ構造体110におけるカーボンナノチューブは、相互に絡み合って配置されるので、該カーボンナノチューブ構造体110は柔軟性に優れ、任意の形状に曲げて形成させることができる。用途に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体110の長さ及び幅を調整することができる。前記カーボンナノチューブ構造体110の厚さは、1μm〜1mmである。前記綿毛構造カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、特許文献2に掲載されている。
【0022】
(三)プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム
図5及び図6を参照すると、前記カーボンナノチューブ構造体110は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは、プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム(pressed carbon nanotube film)である。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは、等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。前記カーボンナノチューブフィルムは、押し器具を利用して、所定の圧力をかけて前記カーボンナノチューブアレイを押し、該カーボンナノチューブアレイを圧力で倒すことにより形成された、シート状の自立構造を有するものである。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの配列方向は、前記押し器具の形状及び前記カーボンナノチューブアレイを押す方向により決められる。
【0023】
単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが配向せずに配置される場合には、該カーボンナノチューブフィルムは、等方的に配列されている複数のカーボンナノチューブを含み、隣接するカーボンナノチューブ同士が分子間力で相互に引き合わさって接続される。また、該カーボンナノチューブフィルムは、平面等方性を有し、該カーボンナノチューブフィルムは、平面を有する押し器具を利用して、カーボンナノチューブアレイが成長している基板に垂直な方向に沿って、前記カーボンナノチューブアレイを押すことにより形成される。
【0024】
単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが配向して配列される場合には、該カーボンナノチューブフィルムは、同じ方向に沿って配列した複数のカーボンナノチューブを含む。ローラー形状を有する押し器具を利用して、同じ方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイを同時に押すと、基本的に同じ方向に配列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。また、ローラー形状を有する押し器具を利用して、異なる方向に沿って、前記カーボンナノチューブアレイを同時に押すと、前記異なる方向に沿って、選択的な方向に配列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0025】
前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの傾斜角度は、前記カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブと該カーボンナノチューブフィルムの表面とは角度βを成し、該角度βは0°以上15°以下であるが、好ましくは、前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが該カーボンナノチューブフィルムの表面に平行する。前記圧力が大きくなるほど、前記傾斜角度も大きくなる。また、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さは、前記カーボンナノチューブアレイの高さ及び該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。即ち、前記カーボンナノチューブアレイの高さが高くなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が小さくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さは大きくなる。これとは逆に、カーボンナノチューブアレイの高さが低くなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が大きくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さは小さくなる。前記プレシッド構造カーボンナノチューブフィルムの厚さは、50μmである。前記プレシッド構造カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、特許文献3に掲載されている。
【0026】
(四)カーボンナノチューブワイヤ
前記カーボンナノチューブ構造体110は、一本又は数本のカーボンナノチューブワイヤからなることができる。前記カーボンナノチューブ構造体110が、一本のカーボンナノチューブワイヤからなる場合、該カーボンナノチューブワイヤを曲げて、柔軟性高分子構造体の一つの表面に敷くことによって、一定の面積を有する平面状のカーボンナノチューブ構造体110を形成することができる。前記カーボンナノチューブ構造体110が、数本のカーボンナノチューブワイヤからなる場合、該数本のカーボンナノチューブワイヤは、相互に平行して配列される。又は、前記数本のカーボンナノチューブワイヤを、相互に交叉させて、網状のカーボンナノチューブ構造体110を形成する。前記カーボンナノチューブ構造体110におけるカーボンナノチューブワイヤは、前記非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ又はそれらの組み合わせのいずれか一種からなることができる。
【0027】
図7を参照すると、前記非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。前記カーボンナノチューブセグメントは、同じ長さ及び幅を有する。さらに、各々の前記カーボンナノチューブセグメントには、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列している。前記複数のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。前記カーボンナノチューブセグメントの長さ、厚さ、均一性及び形状は制限されない。一本の前記非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの長さは制限されず、その直径は0.5nm〜100μmである。
【0028】
図8を参照すると、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの長手方向に沿って、対向する両端に相反する力を印加することにより、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。この時、前記複数のカーボンナノチューブは、前記カーボンナノチューブワイヤの中心軸を軸に、螺旋状に配列されている。好ましくは、前記ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。さらに、各々の前記カーボンナノチューブセグメントには、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。前記カーボンナノチューブセグメントの長さ、厚さ、均一性及び形状は制限されない。また、一本の前記ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの長さは制限されず、その直径は0.5nm〜100μmである。前記カーボンナノチューブワイヤの製造方法は、特許文献4及び特許文献5に掲載されている。
【0029】
更に、前記ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを有機溶剤に浸漬させることにより、前記ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの強靭性及び機械強度を高めることができる。前記ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、自立構造を有するドローン構造カーボンナノチューブフィルムから得られるので、該ねじれ状カーボンナノチューブワイヤも自立構造を有する。前記ねじれ状カーボンナノチューブワイヤにおいて、隣接するカーボンナノチューブは、隙間を有するので、前記ねじれ状カーボンナノチューブワイヤも複数の微孔を有する。前記複数の微孔のサイズは10μm以下である。
【0030】
少なくとも一部の前記相変化層120及び少なくとも一部の前記カーボンナノチューブ構造体110は、相互に積層して設置される。また、前記相変化層120の表面は、前記カーボンナノチューブ構造体100の表面に平行し、且つ前記カーボンナノチューブ構造体100における複数のカーボンナノチューブの配列方向にも平行する。本実施例において、少なくとも一部の前記相変化層120及び少なくとも一部の前記カーボンナノチューブ構造体110は、相互に積層して設置される。更に、前記カーボンナノチューブ構造体100及び前記相変化層120の間に熱伝導層(図示せずに)を設置し、該熱伝導層によって、前記カーボンナノチューブ構造体110からの熱を前記相変化層120に伝導する。前記熱伝導層120は、金、銀、銅又は他の熱伝導材料からなる。また、前記カーボンナノチューブ構造体110からの熱を前記相変化層120に伝導できれば、前記相変化層120及び前記カーボンナノチューブ構造体110は、間隔をあけて設置してもよい。
【0031】
前記相変化層120の厚さは10nm〜200nmであり、その形状は、三角形、正方形、長方形、円形、楕円形または他の幾何学的形状であることができる。前記相変化層120の面積は、前記カーボンナノチューブ構体110の面積より小さく、且つ全て前記カーボンナノチューブ構造体110の表面に設置される。本実施例において、前記相変化層120形状は円形であり、その直径は20nm〜250μmである。
【0032】
前記相変化層120は、ゲルマニウム−アンチモン−テルル(Ge−Sb−Te、GST)、鉛−ゲルマニウム−テルル(PbGeTe)、シリコン−アンチモン−テルル、シリコンテルル、カルコゲニドまたはカルコゲニド合金からなる。前記カーボンナノチューブ構造体110を加熱させるその過程において、前記相変化層120の材料の温度が変わると、前記相変化層120は非晶質状態から結晶状態へ、または、結晶状態から非晶質状態へと変わる。本実施例において、前記相変化層120は、ゲルマニウム−アンチモン−テルルからなり、その元の状態は、高抵抗の非晶質状態である。前記相変化層120の、高抵抗の非晶質状態から低抵抗の結晶状態に相変化する温度は200℃〜300℃で、低抵抗の結晶状態から高抵抗の非晶質状態に相変化する温度は400℃〜500℃である。
【0033】
前記第一電極132及び前記第二電極134は、金属または酸化インジウムスズ(ITO)などの電気伝導材料からなる。前記第一電極132及び前記第二電極134の厚さは100nm〜100μmであるが、20nm〜50nmであることが好ましい。本実施例において、前記第一電極132及び前記第二電極134の材料は、導電性ペーストからなる。該導電性ペーストは、金属粉末、低融点のガラス粉末及び接着剤からなる。前記金属粉末は銀粉で、前記接着剤はテルピネオール又はエチルセルロースであることが好ましい。前記導電性ペーストにおいて、前記金属粉末の重量比は50%〜90%であり、前記低融点のガラス粉末の重量比は2%〜10%であり、前記接着剤の重量比は8%〜40%である。前記第一電極132及び前記第二電極134は、スクリーン印刷法によって、導電性ペーストを前記カーボンナノチューブ構造体110の一部の表面に印刷することにより形成される。前記第一電極132及び前記第二電極134に電圧を印加した際に、前記カーボンナノチューブ構造体110の熱によって前記相変化層120が相変化温度に達することができるのであれば、該導電ペーストの形状、寸法及び位置は制限されない。本実施例において、前記第一電極132及び前記第二電極134は、相互に対向して設置され、且つ前記カーボンナノチューブ構造体110の対向する両端における各々のカーボンナノチューブに、電気的にそれぞれ接続されている。つまり、前記第一電極132及び前記第二電極134は、前記カーボンナノチューブ構造体110に電気的に接続されている。
【0034】
前記第三電極136及び前記第四電極138は、それぞれ前記相変化層120に電気的に接続されている。本実施例において、前記第三電極136及び前記第四電極138は、前記相変化層120の一部の表面に設置される。具体的には、前記相変化層120は、前記第三電極136、前記第四電極138及び前記カーボンナノチューブ構造体100の間に設置される。前記第三電極136及び前記第四電極138に電圧を印加することによって、前記相変化層120に電流が流れる。また、前記第四電極138は、前記カーボンナノチューブ構造体110のみに電気的に接続されることもできる。本実施例において、前記第四電極138を省略することもできる。この場合、前記相変化層120に電流が流れるように、前記第三電極136及び前記第一電極132の間に電圧を印加し、または前記第三電極136及び前記第二電極134の間に電圧を印加する。前記第三電極136、前記相変化層120及び前記第一電極132/前記第二電極134は、相互に直列接続される。
【0035】
前記第三電極136及び前記第四電極138の形状及び寸法は、実際の応用に応じて選択でき、且つそれらの材料は、前記第一電極132及び前記第二電極134の材料と同じである。本実施例において、前記第三電極136及び前記第四電極138の材料は、導電性ペーストである。
【0036】
前記相変化メモリセル10の作動工程は、データを書き込む第一段階と、データを読み出す第二段階と、データをリセットする第三段階と、を含む。前記相変化層120の元の状態は、高抵抗の非晶質状態である。この場合、該相変化層120のデータは“0”である。前記相変化層120の状態が、低抵抗の結晶状態である場合、該相変化層120のデータは“1”である。
【0037】
前記第一段階において、前記第一電極132及び前記第二電極134に電圧を印加すると、前記カーボンナノチューブ110は熱を生じ、前記カーボンナノチューブ110からの熱によって、前記相変化層120は加熱される。前記相変化層120の温度が、相変化温度に達すると、前記相変化層120の相変化材料は、高抵抗の非晶質状態から低抵抗の結晶状態に相変化する。
【0038】
前記第二段階において、前記第三電極136及び前記第四電極138に電圧を印加すると、前記相変化層120に電流が流れる。前記電流が小さい場合、前記相変化層120は相変化しないが、前記電流を測定すると、前記相変化層120の抵抗値を得ることができる。該相変化層120の測定された抵抗値が、前記相変化層120の元の抵抗値であれば、該相変化層120のデータは“0”である。しかし、該相変化層120の測定された抵抗値が、前記相変化層120の元の抵抗値より小さい場合、該相変化層120のデータは“1”である。
【0039】
前記第三段階において、前記相変化層120に電流を供給して、該相変化層120を加熱させた後、急速に冷却することによって、前記相変化層120の相変化材料は、低抵抗の結晶状態から高抵抗の非晶質状態に相変化する。
【0040】
図9を参照すると、前記相変化メモリセル10の製造方法は、基板100を提供するステップS11と、前記基板100の一つの表面にカーボンナノチューブ構造体110及び相変化層120を積層させて、前記カーボンナノチューブ構造体110を前記基板100及び前記相変化層120の間に設置させるステップS12と、第一電極132及び第二電極134を間隔を開けて、前記カーボンナノチューブ構造体110の表面に設置し、また、第三電極136及び第四電極138を間隔を開けて、前記相変化層120の表面に設置させるステップS13と、を含む。
【0041】
前記ステップS12において、前記相変化層120は、スクリーン印刷法、イオンビーム蒸着法、電子ビーム蒸着法、化学蒸着法またはスパッタリング法によって、前記基板110の表面に形成される。本実施例において、前記相変化層120は、スパッタリング法によって、前記基板110の表面に形成される。前記カーボンナノチューブ構造体110は、自立構造を有する連続的な構造体で、前記基板100の表面に直接形成させる。
【0042】
前記ステップS13において、前記第一電極132、前記第二電極134、前記第三電極136及び前記第四電極138は、スクリーン印刷法、イオンビーム蒸着法、電子ビーム蒸着法、化学蒸着法またはコーティング法によって形成される。本実施例において、前記第一電極132、前記第二電極134、前記第三電極136及び前記第四電極138は、スクリーン印刷法によって前記基板100の表面に形成される。具体的には、前記第一電極132及び前記第二電極134は、間隔を開けて、前記カーボンナノチューブ構造体110の対向する両端にそれぞれ設置される。前記第三電極136及び前記第四電極138は、間隔を開けて、前記相変化層120の、前記カーボンナノチューブ構造体110に隣接する表面とは反対の表面に設置される。これにより、前記相変化層120は、前記カーボンナノチューブ構造体110、前記第三電極136及び前記第四電極138の間に設置される。
【0043】
本実施例の前記相変化メモリセル10の製造方法は、次の優れた点がある。第一に、前記相変化メモリセル10における前記カーボンナノチューブ構造体110は、自立構造を有するので、該カーボンナノチューブ構造体110を、直接前記基板100の表面に設置して、前記相変化層120に熱を提供することができる。従って、その製造工程が簡単である。第二に、前記カーボンナノチューブ構造体110及び前記相変化層120は、相互に積層されて設置されるので、前記相変化メモリセル10の機械的強度及び加熱効率を向上させる。
【0044】
(実施例2)
図10及び図11を参照すると、本実施例の相変化メモリセル20は、基板200と、カーボンナノチューブ構造体210と、相変化層220と、第一電極232と、第二電極234と、第一行電極引き出し線242と、第二行電極引き出し線244と、第一列電極引き出し線246と、第二列電極引き出し線248と、を含む。前記相変化メモリセル20は、第一回路及び第二回路を含む。前記第一回路は、直列接続された前記第一行電極引き出し線242と、前記第一電極232と、前記第二電極234と、前記カーボンナノチューブ構造体210と、前記第一列電極引き出し線246と、を含む。前記第一回路はデータ書き込み回路であり、前記相変化メモリセル20にデータを書き込むことができる。前記第二回路は、直列接続された第二行電極引き出し線244と、前記カーボンナノチューブ構造体210と、前記相変化層220と、前記第二列電極引き出し線248と、を含む。前記第二回路は読み取り回路であり、前記相変化メモリセル20からデータを読み取ることができる。前記第一回路及び前記第二回路は、相変化メモリセル20のデータをリセットすることができる。
【0045】
具体的には、前記第一行電極引き出し線242及び前記第二行電極引き出し線244は、相互に間隔をあけて、且つ平行に前記基板200の一つの表面に設置される。前記第一列電極引き出し線246及び前記第二列電極引き出し線248も、相互に間隔をあけて、且つ平行に前記基板200の一つの表面に設置される。前記第一行電極引き出し線242は、前記第一列電極引き出し線246と前記第二列引き出し線248に交差して且つ間隔を開けて、絶縁層201によって電気的に絶縁された状態で設置される。また、前記第二行電極引き出し線244は、前記第一列電極引き出し線246と前記第二列電極引き出し線248に交差して且つ間隔を開けて、絶縁層201によって電気的に絶縁された状態で設置される。
【0046】
前記相変化層220及び前記カーボンナノチューブ構造体210は、相互に積層されて、前記第二行電極引き出し線244と前記第二列電極引き出し線248とが交差する位置に設置される。前記第一回路の前記第一行電極引き出し線242及び前記第一列電極引き出し線246に電圧を印加すると、電流が前記第一行電極引き出し線242から、前記カーボンナノチューブ構造体210を通じて、前記第一列電極引き出し線246へと流れる。前記第二回路の前記第二行電極引き出し線244及び前記第二列電極引き出し線248に電圧を印加すると、電流が前記第二行電極引き出し線244から、前記カーボンナノチューブ構造体210及び前記相変化層220を通じて、前記第二列電極引き出し線248へと流れる。
【0047】
前記第一行電極引き出し線242と前記第二行電極引き出し線244との距離は、50nm〜2cmである。前記第一行電極引き出し線242及び前記第二行電極引き出し線244の幅はそれぞれ30nm〜100μmで、その厚さはそれぞれ10nm〜100nmである。また、前記第一行電極引き出し線242及び前記第二行電極引き出し線244は、金属または酸化インジウムスズなどの導電性材料からなる。本実施例において、前記第一行電極引き出し線242及び前記第二行電極引き出し線244は、導電性ペーストからなり、スクリーン印刷法によって形成される。
【0048】
前記絶縁層201の材料は制限されず、例えば、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)または五酸化タンタル(Ta)などの材料である。前記絶縁層201の厚さも制限されず、実際の応用に応じて選択することができる。しかし、前記絶縁層201の厚さは50nm〜200nmであることが好ましい。前記第一列電極引き出し線246及び前記第二列電極引き出し線248が、前記第一行電極引き出し線242及び前記第二行電極引き出し線244とそれぞれ交差する角度は10°〜90°であるが、90°であることが好ましい。即ち、前記第一列電極引き出し線246及び前記第二列電極引き出し線248は、前記第一行電極引き出し線242及び前記第二行電極引き出し線244にそれぞれ垂直する。
【0049】
前記カーボンナノチューブ構造体210の材料及び構造は、実施例1の前記カーボンナノチューブ110の材料及び構造と同じである。前記カーボンナノチューブ構造体210は、前記第二行電極引き出し線244と前記第二列電極引き出し線248と交差する位置に設置され、且つ前記第二行電極引き出し線244の一部を被覆し、該第二行電極引き出し線244に電気的に接続される。更に、前記カーボンナノチューブ構造体210と前記第二行電極引き出し線244と、が接触する部分表面を絶縁層(図示せず)で被覆することによって、前記カーボンナノチューブ構造体210と前記前記第二行電極引き出し線244との接触面積を小さくさせる。これによって、電流の大部分は、前記カーボンナノチューブ構造体210に流れ、前記カーボンナノチューブ構造体210から熱を発生させる。本実施例において、前記カーボンナノチューブ構造体210を、直接前記基板200の一つの表面に設置した後、リソグラフィー、電子エッチング、プラズマエッチングなどの方法で処理することによって、異なる形状に形成することができる。
【0050】
前記相変化層220は、前記カーボンナノチューブ構造体210と積層して設置される。本実施例において、前記相変化層220の一つの表面は、前記カーボンナノチューブ構造体210の、前記基板200に隣接する表面とは反対の表面に隣接される。更に、前記カーボンナノチューブ構造体210及び前記相変化層220の間に熱伝導層(図示せず)が設置され、該熱伝導層によって、前記カーボンナノチューブ構造体210からの熱は、前記相変化層220に伝導される。前記相変化層220の材料及び構造は、実施例1の前記相変化層120の材料及び構造と同じである。
【0051】
更に、前記カーボンナノチューブ構造体210及び前記相変化層220において、コーティング法またはスクリーン印刷法を用いて、前記基板200の表面から離れた表面に絶縁層(図示せず)を設け、前記カーボンナノチューブ構造体210及び前記相変化層220を被覆させる。これにより、前記カーボンナノチューブ構造体210からの熱の損失を減少させ、前記相変化層220の相変化する温度に達するまでの時間を短縮することができるため、前記相変化メモリセル20の応答速度を向上させることができる。
【0052】
前記第一電極232は、帯状電極であり、前記第一行電極引き出し線242から前記第二行電極引き出し線244へ延伸している。具体的には、前記第一電極232の延伸する方向は、前記第一行電極引き出し線242に垂直である。前記第一電極232の一端は、前記第一行電極引き出し線242に電気的に接続され、前記第一電極232の他端は、前記カーボンナノチューブ構造体210に電気的に接続される。前記第一電極232及び前記第二列電極引き出し線248は、互いに間隔をあけて設置される。更に、前記第一電極232は、絶縁層201によって、前記第二行電極引き出し線244と電気的に絶縁した状態で設置される。また、前記第一電極232を省略することもできる。この場合、前記第一行電極引き出し線242は、直接前記カーボンナノチューブ構造体210に電気的に接続される。
【0053】
前記第二電極234は、帯状電極であり、前記第一列電極引き出し線246から前記第二列電極引き出し線248の方向へ延伸している。具体的には、前記第二電極234の延伸する方向は、前記第一列電極引き出し線246に垂直である。前記第二電極234の一端は、前記第一列電極引き出し線246に電気的に接続され、前記第二電極234の他端は、前記カーボンナノチューブ構造体210に電気的に接続される。前記第一電極232、前記カーボンナノチューブ構造体210及び前記第二電極234は、直列接続され、閉回路が形成される。前記第一列電極引き出し線246、前記カーボンナノチューブ構造体210及び前記第一行電極引き出し線242は、前記閉回路によって、第一回路を形成する。前記第一回路は、前記相変化メモリセル20にデータを書き込む。また、前記第一電極234は、省略することもできる。この場合、前記第一列電極引き出し線246は、直接前記カーボンナノチューブ構造体210に電気的に接続される。
【0054】
前記相変化メモリセル20を作動させる場合、前記第一行電極引き出し線242は、前記相変化メモリセル20の第一書き込み電極となり、前記第二行電極引き出し線244は、前記相変化メモリセル20の第一読み出し電極となり、前記第一列電極引き出し線246は、前記相変化メモリセル20の第二書き込み電極となり、前記第二列電極引き出し線248は、前記相変化メモリセル20の第二読み出し電極となる。
【0055】
前記相変化メモリセル20にデータを書き込む時、電圧または信号を前記第一読み出し電極及び前記第二の書き込み電極に提供すると、電流が前記第一回路に流れる。これにより、前記カーボンナノチューブ構造体210は熱を生じ、且つ該熱によって、前記高抵抗の非晶質状態の相変化層220を加熱して、相変化温度まで達成させる。
【0056】
前記相変化メモリセル20からデータを読み出す時、電圧を前記第一列電極引き出し線246及び前記第二列電極引き出し線248に提供すると、電流が前記第二回路に流れる。前記電流が小さい場合、前記相変化層220は相変化しない。しかし前記第二回路の電流を測定することで、前記電流前記相変化層220の抵抗値を得ることができる。従って、前記相変化層220の元の抵抗値と比べることにより、前記相変化層220の相変化状態を通して、前記相変化メモリセル20からデータを読み出すことができる。
【0057】
図12を参照すると、前記相変化メモリセル20の製造方法は、基板200を提供するステップS21と、前記基板200の一つの表面に間隔をあけて前記第一行電極引き出し線242及び前記第二行電極引き出し線244を設置するステップS22と、前記第一行電極引き出し線242及び前記第二行電極引き出し線244が設置された前記基板200の一つの表面に前記カーボンナノチューブ構造体210を設置し、該カーボンナノチューブ構造体210を前記第二行電極引き出し線244に電気的に接続させるステップS23と、前記カーボンナノチューブ構造体210の、前記基板に隣接する表面とは反対の表面に前記相変化層220を設置するステップS24と、前記第一行電極引き出し線242及び前記第二行電極引き出し線244が設置された前記基板200の一つの表面に、前記第一列電極引き出し線246と、前記第二列電極引き出し線248と、前記第一電極232と、前記第二電極234と、を設置し、前記第一電極232を前記第一行電極引き出し線242及び前記カーボンナノチューブ構造体210に電気的に接続し、前記第二電極234を前記第一列電極引き出し線246及び前記カーボンナノチューブ構造体210に電気的に接続し、前記第二列電極引き出し線248を前記相変化層220に電気的に接続させるステップS25と、を含む。
【0058】
前記ステップS21において、前記基板200は絶縁板である。本実施例において、前記基板200はフレキシブル基板である。
【0059】
前記ステップS22において、前記第一行電極引き出し線242及び前記第二行電極引き出し線244は、スクリーン印刷法、イオンビーム蒸着法、電子ビーム蒸着法、またはスパッタリング法によって前記基板100の表面に形成される。前記第一行電極引き出し線242及び前記第二行電極引き出し線244は、相互に平行する。
【0060】
前記ステップS23において、前記カーボンナノチューブ構造体210は、自立構造を有する連続的な構造体で、前記基板200の表面に直接形成させる。本実施例において、前記カーボンナノチューブ構造体210は、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムである。前記カーボンナノチューブ構造体210は、前記第二行電極引き出し線244の一部を被覆し、該第二行電極引き出し線244に電気的に接続される。
【0061】
前記ステップS25において、前記第一列電極引き出し線246、前記第二列電極引き出し線248、前記第一電極232及び前記第二電極234の製造方法は、前記第一行電極引き出し線242の製造方法と同じである。前記絶縁層201は、前記第一列電極引き出し線246及び前記第一行電極引き出し線242の間に設置し、前記第一列電極引き出し線246と前記第一行電極引き出し線242と、を電気的に絶縁された状態で設置される。更に、前記絶縁層201は、前記第一列電極引き出し線246及び前記第二行電極引き出し線244のの間に設置される。
【0062】
(実施例3)
図13及び図14を参照すると、本実施例の相変化メモリセル30は、基板300と、カーボンナノチューブ構造体310と、相変化層320と、第一電極332と、第二電極334と、第一行電極引き出し線342と、第二行電極引き出し線344と、第一列電極引き出し線346と、第二列電極引き出し線348と、を含む。実施例2に比べると、前記相変化メモリセル30は、次の異なる点がある。前記相変化メモリセル30において、前記相変化層320は、前記基板300の一つの表面に設置される。前記カーボンナノチューブ構造体310は、前記相変化層320の、前記基板300に隣接する表面とは反対の表面に設置される。また、前記相変化層320は、前記第二行電極引き出し線344に電気的に接続され、前記カーボンナノチューブ構造体310は、前記第二列電極引き出し線348に電気的に接続される。
【0063】
前記相変化層320は、前記基板300の一つの表面に設置され、前記第二行電極引き出し線344の一部分を被覆する。前記カーボンナノチューブ構造体310は、前記第二行電極引き出し線344と前記第二列電極引き出し線348と、が交差する部分に設置される。具体的には、前記カーボンナノチューブ構造体310は、前記相変化層320及び前記第二列電極引き出し線348の間に設置され、前記第二列電極引き出し線348に電気的に接続される。前記第一行電極引き出し線342、前記第一電極332、前記カーボンナノチューブ構造体310、前記第二電極334及び第一列電極引き出し線346は、直列接続され、第一回路を形成する。前記第二列電極引き出し線348、前記カーボンナノチューブ構造体310、前記相変化層320及び前記第二行電極引き出し線344は、直列接続され、第二回路を形成する。前記カーボンナノチューブ構造体310の面積は、前記相変化層320より大きいことが好ましい。即ち、前記相変化層320は、前記カーボンナノチューブ構造体310によって、全て被覆される。本実施例において、前記相変化層320は円形であり、その直径は50μm〜250μmである。
【0064】
前記相変化層30の製造方法は、前記基板300を提供するステップS31と、前記基板300の一つの表面に前記第一行電極引き出し線342及び第二行電極引き出し線344を、間隔を開けて且つ平行に設置するステップS32と、前記相変化層320を提供し、該相変化層320を前記第二行電極引き出し線344に電気的に接続させるステップS33と、前記カーボンナノチューブ構造体310を前記相変化層320の、前記基板に隣接する表面とは反対の表面に設置させるステップS34と、前記第一行電極引き出し線342及び前記第二行電極引き出し線344が設置された前記基板300の表面に、前記第一列電極引き出し線346と、前記第二列電極引き出し線348と、前記第一電極332と、前記第二電極334と、を設置し、前記第一電極332を前記第一行電極引き出し線342及び前記カーボンナノチューブ構造体310に電気的に接続し、前記第二電極334を前記第一列電極引き出し線346及び前記カーボンナノチューブ構造体310に電気的に接続し、前記第二列電極引き出し線348を前記相変化層320に電気的に接続させるステップS35と、を含む。
【0065】
(実施例4)
図15及び図16を参照すると、本実施例の相変化メモリセル40は、基板400と、カーボンナノチューブ構造体410と、第一相変化層4201と、第二相変化層4202と、第一電極432と、第二電極434と、第一行電極引き出し線442と、第二行電極引き出し線444と、第一列電極引き出し線446及び第二列電極引き出し線448と、を含む。実施例3の前記相変化メモリセル30に比べると、本実施例の前記カーボンナノチューブ構造体410は、前記第一相変化層4201及び前記第二相変化層4202の間に設置され、前記第二列電極引き出し線448に電気的に接続される。即ち、前記第二相変化層4202は、前記カーボンナノチューブ構造体410の、前記第一相変化層4201に隣接する表面とは反対の表面に設置される。
【0066】
前記第一行電極引き出し線442、前記第一電極432、前記第二電極434及び第一列電極引き出し線446は、直列接続され、第一回路を形成する。前記第二列電極引き出し線448、前記第一相変化層4201、前記カーボンナノチューブ構造体410、前記第二相変化層4202、及び前記第二行電極引き出し線444は、直列接続され、第二回路を形成する。
【0067】
前記相変化メモリセル40を作動させた時、一つの前記相変化層は、その相変化状態は変化しない。しかし、もう一つの前記相変化層は、その相変化状態が変化する。これにより、前記相変化メモリセル40の使用寿命が長くなる。
【0068】
前記相変化層40の製造方法は、基板400を提供するステップS41と、前記基板400の一つの表面に前記第一行電極引き出し線442及び前記第二行電極引き出し線444を間隔をあけて且つ平行に設置するステップS42と、前記第一相変化層4201を提供し、該第一相変化層4201を前記第二行電極引き出し線444に電気的に接続させるステップS43と、前記カーボンナノチューブ構造体410前記第一相変化層4201の、前記基板に隣接する表面とは反対の表面に設置するステップS44と、前記第二相変化層4202を前記カーボンナノチューブ構造体410の、前記第一相変化層4201に隣接する表面とは反対の表面に設置されるステップS45と、前記第一行電極引き出し線442及び前記第二行電極引き出し線444が設置された前記基板400の表面に、前記第一列電極引き出し線446と、前記第二列電極引き出し線448と、前記第一電極432と、前記第二電極434と、を設置し、前記第一電極432を前記第一行電極引き出し線442及び前記カーボンナノチューブ構造体410に電気的に接続し、前記第二電極434を前記第一列電極引き出し線446及び前記カーボンナノチューブ構造体410に電気的に接続し、前記第二列電極引き出し線448を前記第二相変化層4202に電気的に接続させるステップS46と、を含む。
【0069】
(実施例5)
図17を参照すると、相変化メモリデバイス50は、基板500と、複数の第一行電極引き出し線542と、複数の第二行電極引き出し線544と、複数の第一列電極引き出し線546と、複数の第二列電極引き出し線548と、複数の相変化メモリセル504と、を含む。前記複数の第一行電極引き出し線542、前記複数の第二行電極引き出し線544、前記複数の第一列電極引き出し線546、前記複数の第二列電極引き出し線548及び前記複数の相変化メモリセル504は、前記基板500の一つの表面に設置される。
【0070】
前記複数の第一行電極引き出し線542は、相互に間隔をあけて、且つ平行に設置され、前記複数の第二行電極引き出し線544は、相互に間隔をあけて、且つ平行に設置される。前記複数の第一行電極引き出し線542及び前記複数の第二行電極引き出し線544は、それぞれ相互に平行し、且つ交互に設置される。即ち、単一の前記第一行電極引き出し線542は、二つの前記第二行電極引き出し線544に隣接し、単一の前記第二行電極引き出し線544は、二つの前記第一行電極引き出し線542に隣接する。これと同様に、前記複数の第一列電極引き出し線546及び前記複数の第二列電極引き出し線548は、それぞれ相互に平行し、且つ交互に設置される。即ち、単一の前記第一列電極引き出し線546は、二つの前記第二列電極引き出し線548に隣接し、単一の前記第二列電極引き出し線548は、二つの前記第一列電極引き出し線546に隣接する。前記複数の第一行電極引き出し線542及び前記複数の第二行電極引き出し線544は、前記複数の第一列電極引き出し線546及び前記複数の第二列電極引き出し線548と交差して、絶縁状態で設置され、且つ格子502が形成される。前記一つの相変化メモリセル504は、一つの前記格子502に対応して設置され、カーボンナノチューブ構造体510と、相変化層520と、第一電極532と、第二電極534と、を含む。
【0071】
前記一つの相変化メモリ構造体504及び前記一つの前記格子502は、一つの相変化メモリセルを形成する。前記一つの相変化メモリセルは、前記実施例2、3、4に説明された前記相変化メモリセル20、前記相変化メモリセル30及び前記相変化メモリセル40のいずれかの一種である。本実施例において、前記複数の相変化メモリ構造体504は、一定の配列方式で配列されている。前記同じ行に位置する複数の前記相変化メモリ構造体504は、該行に配列された前記第一行電極引き出し線542及び前記第二行電極引き出し線544に電気的に接続されている。また、前記同じ列に位置する複数の前記相変化メモリ構造体504は、該列に配列された前記第一列電極引き出し線546及び前記第二列電極引き出し線548に電気的に接続されている。また、複数の前記相変化メモリ構造体504は、別々に制御することができる。複数の前記相変化メモリ構造体504の配列方式及び密度は制限されず、実際の応用に応じて選択でき、大容量データストレージ及び読み取りに使用することができる。
【0072】
図18を参照すると、前記相変化メモリデバイス50の製造方法は、前記基板500を提供するステップS51と、前記基板500の一つの表面に前記複数の第一行電極引き出し線542及び前記複数の第二行電極引き出し線544を相互に間隔をあけて、且つ平行に設置するステップS52と、前記カーボンナノチューブ構造体510を提供し、該カーボンナノチューブ構造体510を前記複数の第一行電極引き出し線542及び前記複数の第二行電極引き出し線544の、前記基板500に隣接する表面とは反対の表面に設置するテップS53と、前記カーボンナノチューブ構造体510をパターニングし、複数のカーボンナノチューブユニット5101を形成させるステップS54と、前記一つのカーボンナノチューブユニット5101の、前記複数の第一行電極引き出し線542及び前記複数の第二行電極引き出し線544に隣接する表面とは反対の表面に一つの相変化層520を設置するステップS55と、前記複数の第一行電極引き出し線542及び前記複数の第二行電極引き出し線544が設置された基板500の一つの表面に、複数の第一列電極引き出し線546と、前記複数の第二列電極引き出し線548と、前記複数の第一電極532及び複数の第二電極534と、を相互に間隔をあけて且つ平行に設置するステップS56であって、前記複数の第一列電極引き出し線546及び前記複数の第二列電極引き出し線548は、前記複数の行電極引き出し線と電気的に絶縁された状態で、前記複数の行電極引き出し線と交差するように配置され、複数の格子を形成し、一つの前記第一電極532及び一つの前記第二電極534を、一つの前記格子に設置させるステップS56と、を含む。
【0073】
前記ステップS52において、前記複数の第一行電極引き出し線542及び前記複数の第二行電極引き出し線544の製造方法は、前記基板500の一つの表面に、前記複数の第一行電極引き出し線542を相互に間隔をあけて、且つ平行に設置する第一ステップと、前記複数の第二行電極引き出し線544を相互に間隔をあけて、且つ平行に設置し、前記複数の第一行電極引き出し線542に対して平行に、且つ交互に設置する第二ステップと、を含む。即ち、単一の前記第一行電極引き出し線542は、二つの前記第二行電極引き出し線544に隣接し、単一の前記第二行電極引き出し線544は、二つの前記第一行電極引き出し線542に隣接する。同様に、単一の前記第一列電極引き出し線546は、二つの前記第二列電極引き出し線548に隣接し、単一の前記第二列電極引き出し線548は、二つの前記第一列電極引き出し線546に隣接する。
【0074】
前記ステップS53において、前記カーボンナノチューブ構造体510は、前記基板500の全ての表面と、前記複数の第一行電極引き出し線542及び前記複数の第二行電極引き出し線544を被覆する。
【0075】
前記ステップS54において、リソグラフィー、エッチングまたは反応性イオンエッチングなどの方法によって、前記カーボンナノチューブ構造体510をパターニングし、且つ不要なカーボンナノチューブ構造体510の一部は、実際の応用に応じて取り除く。これにより、前記カーボンナノチューブ構造体510は、前記複数のカーボンナノチューブユニット5101を形成する。具体的には、前記複数のカーボンナノチューブユニット5101は、前記第二行電極引き出し線544の一部を間隔をあけて被覆する。本実施例において、前記カーボンナノチューブ構造体510をパターニングする方法は、レーザ装置(図示せず)を提供するサブステップS541と、前記レーザ装置を利用して、前記カーボンナノチューブ構造体510の一部を除去し、前記複数のカーボンナノチューブユニット5101を形成するサブステップS542と、を含む。
【0076】
前記サブステップS541において、前記レーザ装置は、アルゴンイオンレーザーまたは炭酸ガスレーザーである。前記レーザ装置は、パルスレーザービームを放射する。前記レーザ装置のパワーは、1ワット〜100ワットである。前記カーボンナノチューブ構造体510に照射するレーザーのパワー密度は0.053×1012ワット/mである。本実施例において、前記レーザービームが、前記カーボンナノチューブ構造体510を照射すると、レーザスポットが前記カーボンナノチューブ構造体510上に形成される。前記レーザスポットの形状は円形であり、その直径は1μm〜5mmである。
【0077】
前記サブステップS542において、前記カーボンナノチューブ構造体510が、前記レーザーによって照射された場合、前記カーボンナノチューブ構造体510において、前記レーザーによって照射された位置に対応する複数のカーボンナノチューブは、焼かれ、他の部分の複数のカーボンナノチューブは焼かれずに残る。これにより、前記カーボンナノチューブ構造体510は、前記複数のカーボンナノチューブユニット5101を形成する。この時、前記レーザーのエネルギーは、前記カーボンナノチューブ構造体510に集まるので、前記相変化層520などの元素に影響を与えない。また、前記レーザーを前記カーボンナノチューブ構造体510に照射する角度は制限されない。本実施例において、前記レーザーは、前記カーボンナノチューブ構造体510に対して90°の角度で照射する。
【0078】
更に、前記カーボンナノチューブ構造体510は、反応性イオンエッチング法によって、前記複数のカーボンナノチューブユニット5101を形成することもできる。前記複数のカーボンナノチューブユニット5101の製造方法は、マスク(図示せず)を提供するサブステップaと、該マスクを前記カーボンナノチューブ構造体510の表面に設置するサブステップbと、エッチングガスを提供し、前記反応性イオンエッチング法によって、前記カーボンナノチューブ構造体510をエッチングして、前記複数のカーボンナノチューブユニット5101を形成するサブステップcと、を含む。
【0079】
前記サブステップcにおいて、前記反応性イオンエッチング法で利用したエッチングガスは、前記カーボンナノチューブ構造体510はエッチングするが、前記マスクはエッチングしない。また、前記エッチングガスは、実際の応用に応じて選択することができる。本実施例において、前記エッチングガスは、四フッ化メタン(CF)及び六フッ化硫黄(SF)である。前記四フッ化メタンの流速は10sccm〜50sccmで、前記六フッ化硫黄の流速は2sccm〜20sccmである。前記カーボンナノチューブ構造体510をエッチングする工程において、実際の応用に応じて前記カーボンナノチューブ構造体510の不要な部分を取り除くことができる。
【0080】
本実施例の相変化メモリセル50の製造方法は、次の優れた点がある。第一に、前記カーボンナノチューブ構造体510は、自立構造を有するので、前記基板500の表面に直接設置することが可能であり、且つ容易にエッチングできる。また、前記複数のカーボンナノチューブユニット5101を形成することができるので、その製造工程が簡単で、コストが低く、大量生産にも適する。第二に、リソグラフィーまたはエッチングの方法によって、形成された前記複数のカーボンナノチューブユニット5101が加熱素子として、前記複数のカーボンナノチューブユニット5101の寸法を精確に制御する。これにより、高い精度の相変化メモリデバイスを製造することができる。
【符号の説明】
【0081】
10、20、30、40、 相変化メモリセル
110、210、310、410、510 カーボンナノチューブ構造体
100、200、300、400、500 基板
120、220、320、520 相変化層
132、232、332、432、532 第一電極
134、234、334、434、534 第二電極
136 第三電極
138 第四電極
143a カーボンナノチューブフィルム
143b カーボンナノチューブセグメント
145 カーボンナノチューブ
201 絶縁層
248、348、448、548 第二列電極引き出し線
242、342、442、542 第一行電極引き出し線
244、344、444、544 第二行電極引き出し線
246、346、446、546 第一列電極引き出し線
4201 第一相変化層
4202 第二相変化層
50 相変化メモリデバイス
504 相変化メモリ構造体
5101 カーボンナノチューブユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書き込み回路及び読み出し回路を含む相変化メモリセルにおいて、
前記書き込み回路は、第一電極と、カーボンナノチューブ構造体と、第二電極と、を含み、
前記第一電極、前記カーボンナノチューブ構造体及び前記第二電極は、相互に直列接続され、
前記書き込み回路は、前記相変化メモリセルにデータを書き込み、
前記読み出し回路は、第三電極と、相変化層と、第四電極と、を含み、
前記第三電極、前記相変化層及び前記第四電極は、相互に直列接続され、
少なくとも一部の前記相変化層及び少なくとも一部の前記カーボンナノチューブ構造体は、相互に積層して設置され、
前記読み出し回路は、前記相変化メモリセルからデータを読み出すことを特徴とする相変化メモリセル。
【請求項2】
カーボンナノチューブ構造体と、相変化層と、第一電極と、第二電極と、第三電極と、を含む相変化メモリセルにおいて、
少なくとも一部の前記相変化層及び少なくとも一部の前記カーボンナノチューブ構造体は、相互に積層して設置され、
前記第一電極及び前記第二電極は、前記カーボンナノチューブ構造体にそれぞれ電気的に接続され、
前記第一電極及び前記第二電極は、前記カーボンナノチューブ構造体に第一電圧を提供し、
前記第三電極は、前記相変化層に電気的に接続され、
前記第三電極及び前記第一電極は、前記相変化層に第二電圧を提供することを特徴とする相変化メモリセル。
【請求項3】
基板と、複数の行電極引き出し線と、複数の列電極引き出し線と、複数の相変化メモリセルと、を含む相変化メモリデバイスにおいて、
前記複数の行電極引き出し線は、相互に間隔をあけて、且つ平行に前記基板の一つの表面に設置され、
前記複数の列電極引き出し線は、相互に間隔をあけて、且つ平行に前記複数の行電極引き出し線が設置された前記基板の、一つの表面に、前記複数の行電極引き出し線と電気的に絶縁された状態で、前記複数の行電極引き出し線と交差して配置されて、複数の格子が形成され、
一つの前記相変化メモリセルは、一つの前記格子に対応し、カーボンナノチューブ構造体と、相変化層と、第一電極と、第二電極と、を含み、
少なくとも一部の前記相変化層及び少なくとも一部の前記カーボンナノチューブ構造体は、相互に積層して設置され、
前記第一電極及び前記第二電極は、前記カーボンナノチューブ構造体にそれぞれ電気的に接続され、
前記第一電極及び前記第二電極は、前記カーボンナノチューブ構造体に第一電圧を提供し、
一つの前記格子において、一つの前記行電極引き出し線は、前記相変化層に電気的に接続され、一つの前記列電極引き出し線及び前記第一電極は、前記相変化層に第二電圧を提供することを特徴とする相変化メモリデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−8947(P2013−8947A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−102563(P2012−102563)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】