説明

相対位置検出装置、連結構造、及び連結方法

【課題】地中連結を容易にする相対位置検出装置、連結構造、及び連結方法を提供する。
【解決手段】相対位置検出装置は、第一シールド掘進機1の位置に対する第二シールド掘進機2の相対位置を検出する相対位置検出装置であって、第一シールド掘進機1に設けられ、地盤を掘削するとともに第二シールド掘進機2に向けて伸長するボーリングマシン101と、ボーリングマシン101に設けられ、第二シールド掘進機2に向けて伸長し、当該第二シールド掘進機2のカッタ部202のスリットSの間隙よりも小径の伸長部102と、伸長部102に設けられ、放射線を放射する放射部103と、第二シールド掘進機2の内部に設けられ、放射部103が放射する放射線の位置を検出する放射線検出器201と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中掘削に用いられる相対位置検出装置、連結構造、及び連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海底トンネル等の掘削において、両端からシールド掘進機で掘削して掘削路の連結を行う場合、従来、両シールド掘進機を所定位置で相互に一致させる工法が用いられている。この例として、特許文献1に開示されたシールド機相対位置検出装置がある。
【0003】
この装置は、水平ボーリングロッドの先端部に掘削用のカッタビットを設けている。そして、カッタビットにより地盤を掘削しつつ、この水平ボーリングロッドを一方のシールド機(先着側)から他方のシールド機(後着側)に向けて伸長して、水平ボーリング工を行う。
【0004】
ここで、水平ボーリングロッドに取り付けられた磁気センサ及びアイソトープセンサを用いて検出された、他方のシールド機(後着側)のカッタディスクスリットを、水平ボーリングロッドが貫通して、その先端部を他方のシールド機(後着側)のバルクヘッドに近接させている。これにより、先端部の位置が検出されて、この検出された位置に基づいて、掘削路の連結が行われる。
【特許文献1】特許第3701279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の装置では、水平ボーリングロッドの先端部にカッタディスクスリットを貫通させ、水平ボーリングロッドごと他方のシールド機(後着側)のチャンバー内に挿入している。このため、このカッタディスクスリットの間隙が水平ボーリングロッドより小さい小口径シールド機では、両端からの地中掘削における相対位置の検出が困難になるという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、両端からの地中掘削における相対位置の検出を容易にする相対位置検出装置を提供することを目的とする。また、本発明は、地中掘削に用いられる管状部材を回転させずに当該管状部材の端部同士の連結を容易にする連結構造及び連結方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る相対位置検出装置は、第一シールド掘進機の位置に対する第二シールド掘進機の相対位置を検出する相対位置検出装置であって、第一シールド掘進機に設けられ、地盤を掘削するとともに第二シールド掘進機に向けて伸長するボーリングマシンと、ボーリングマシンに設けられ、第二シールド掘進機に向けて伸長し、当該第二シールド掘進機のカッタ部のスリットの間隙よりも小径の伸長部と、伸長部に設けられ、放射線を放射する放射部と、第二シールド掘進機の内部に設けられ、放射部が放射する放射線の位置を検出する放射線検出器と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る相対位置検出装置では、まず、第一シールド掘進機に設けられたボーリングマシンが、第二シールド掘進機に向けて、地盤を掘削しながら伸長する。ここで、当該第二シールド掘進機のカッタ部のスリットの間隙よりも小径の伸長部が、ボーリングマシンから第二シールド掘進機に向けて伸長する。このため、第二シールド掘進機のカッタ部のスリットの間隙がボーリングマシンの径より小さい場合でも、伸長部を第二シールド掘進機内に挿入することができる。そして、伸長部に設けられた放射部が、放射線を放射する。これに対して、第二シールド掘進機の内部で、放射部が放射した放射線の位置が、放射線検出器により検出される。これにより、第一シールド掘進機の位置に対する第二シールド掘進機の相対位置を検出することができる。この結果、両端からの地中掘削における相対位置の検出を容易に行うことができる。
【0009】
また、伸長部は、地盤を掘削する掘削部を備えるのも好ましい。
【0010】
これにより、伸長部が第二シールド掘進機に向けて伸長する際に、地盤を掘削することができる。
【0011】
また、ボーリングマシンは、伸長部の伸長を許容するとともに当該ボーリングマシンが回転する際に伸長部に係止する係止部を備えるのも好ましい。
【0012】
これにより、伸長部の伸長が許容されるとともに第一シールド掘進機に設けられたボーリングマシンを回転させる際に、ボーリングマシンが備える係止部が、伸長部に係止する。このため、第一シールド掘進機に設けられたボーリングマシンのみを回転させれば、ボーリングマシンに加えて伸長部も同時に回転させることが可能となる。従って、地盤をより効率よく掘削することができる。
【0013】
また、第二シールド掘進機に向けて伸長部が伸長した長さを計測する伸長計測部と、伸長計測部を収容する管状部と、を相対位置検出装置が備えるのも好ましい。
【0014】
これにより、伸長計測部が管状部に収容されるため、伸長計測部を例えば地中の泥水や地盤等に汚染させることなく、伸長部が伸長した長さを計測することができる。
【0015】
また、ボーリングマシンに設けられ、磁気を検出する磁気検出器を相対位置検出装置が備え、第二シールド掘進機は、磁気を発生する磁気材料を含むのも好ましい。
【0016】
これにより、第二シールド掘進機が含む磁気材料により磁気が発生され、この磁気が、ボーリングマシンに設けられた磁気検出器により検出される。これにより、第二シールド掘進機の位置に対する第一シールド掘進機の相対位置を検出することができる。この結果、両端からの地中掘削における相対位置の検出を、より容易に行うことができる。
【0017】
本発明に係る連結構造は、地盤の掘削に用いられる管状部材の端部同士を連結する連結構造であって、第一雄ネジ部が外周部に設けられた第一管状部材と、第二雄ネジ部が外周部に設けられた第二管状部材と、第一管状部材の第一雄ネジ部、及び、第二管状部材の第二雄ネジ部に螺合する管状雌ネジ部材と、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る連結構造では、第一管状部材の第一雄ネジ部、及び、第二管状部材の第二雄ネジ部に、管状雌ネジ部材が螺合する。これにより、管状雌ネジ部材のみを回転させて、第一及び第二雄ネジ部に螺合させることで、地中掘削に用いられる管状部材を回転させずに当該管状部材の端部同士の連結を容易に行うことができる。
【0019】
また、管状雌ネジ部材が第一及び第二雄ネジ部に螺合した状態で形成される凹部を埋めるスペーサを備えるのも好ましい。
【0020】
これにより、管状雌ネジ部材が第一及び第二雄ネジ部に螺合した状態で形成される凹部に、スペーサを取り付けて、当該凹部を埋めることができる。このため、第一管状部材と第二管状部材とがより確実に連結される。この結果、第一管状部材と第二管状部材との地中連結を確実に行うことができる。
【0021】
本発明に係る連結方法は、地盤の掘削に用いられる第一管状部材及び第二管状部材の端部同士を連結する連結方法であって、第一管状部材の外周部に設けられた第一雄ネジ部、及び、第二管状部材の外周部に設けられた第二雄ネジ部に螺合する管状雌ネジ部材を、当該第二雄ネジ部のみに螺合させる第一螺合工程と、第一螺合工程後、第二雄ネジ部の端部、及び、第一雄ネジ部の端部を突き合わせる突き合せ工程と、突き合せ工程後、管状雌ネジ部材のみを回転させ、当該管状雌ネジ部材を第一雄ネジ部に螺合させて、当該管状雌ネジ部材が当該第一雄ネジ部及び当該第二雄ネジ部に螺合した状態にさせる第二螺合工程と、を備えることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る連結方法では、まず、第一螺合工程で、管状雌ネジ部材を第二雄ネジ部のみに螺合させる。この後、突き合せ工程で、第二雄ネジ部の端部、及び、第一雄ネジ部の端部を突き合わせる。そして、第二螺合工程で、管状雌ネジ部材のみを回転させ、管状雌ネジ部材を第一雄ネジ部に螺合させて、管状雌ネジ部材が第一雄ネジ部及び第二雄ネジ部に螺合した状態にさせる。これにより、地中掘削に用いられる管状部材を回転させずに当該管状部材の端部同士の連結を容易に行うことができる。
【0023】
また、第二螺合工程後、管状雌ネジ部材が第一及び第二雄ネジ部に螺合した状態で形成される凹部を埋めるスペーサを、取り付け工程を備えるのも好ましい。
【0024】
これにより、管状雌ネジ部材が第一及び第二雄ネジ部に螺合した状態で形成される凹部に、スペーサが取り付けられて、当該凹部が埋められる。このため、第一管状部材と第二管状部材とがより確実に連結される。この結果、管状部材を回転させずに当該管状部材の端部同士の連結を確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、両端からの地中掘削における相対位置の検出を容易にする相対位置検出装置を提供することが可能である。また、本発明によれば、地中掘削に用いられる管状部材を回転させずに当該管状部材の端部同士の連結を容易にする連結構造及び連結方法を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る相対位置検出装置を設けている第一シールド掘進機1及び第二シールド掘進機2の斜視図である。第一シールド掘進機1及び第二シールド掘進機2のそれぞれは、先端部にカッタ部を設け、トンネルの掘削を行いながら両端から互いに向かって進行していく一般的なシールドマシンとしての機能を有している。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る相対位置検出装置は、両シールド掘進機を所定位置で相互に一致させるために、第一シールド掘進機1の位置に対する第二シールド掘進機2の相対位置を、検出するものである。言い換えれば、この装置は、第二シールド掘進機2の位置に対する第一シールド掘進機1の相対位置を、検出するものである。この相対位置検出装置は、ボーリングマシン、伸長部、放射部、放射線検出器、伸長計測部、管状部、及び磁気検出器を備えている。ここでは、ボーリングマシン、伸長部、放射部、伸長計測部、管状部、及び磁気検出器は、第一シールド掘進機1に設けられており、放射線検出器は、第二シールド掘進機2に設けられているとして説明する。
【0029】
図2は、ボーリングマシン101と、第二シールド掘進機2が設けているカッタ部202との関係を示す側面図である。
【0030】
図2に示すように、ボーリングマシン101は、先端部にカッタ部110を設け、地盤を掘削するマシンである。ボーリングマシン101は、回転軸Axの周りでカッタ部110を回転させることによって、地盤の掘削を進める。また、ボーリングマシン101は、第一シールド掘進機1から第二シールド掘進機2に向けて、伸長することができる。この伸長により、ボーリングマシン101は、第一シールド掘進機1から突出した状態となる。このように、ボーリングマシン101は、地盤を掘削しながら第二シールド掘進機2に向けて伸長する。また、ボーリングマシン101は、後述の伸長部102の伸長を許容するとともに伸長部102に係止する係止部111を備えている。係止部111の構造の詳細については、後述する。
【0031】
ボーリングマシン101には、略円筒形状の伸長部102が設けられている。伸長部102は、ボーリングマシン101から第二シールド掘進機2に向けて、ガイド109に沿って伸長する部分である。ガイド109は、ボーリングマシン101の内部に固定されている。なお、伸長部102は、先端部に、地盤を掘削する掘削部105を有している。このため、伸長部102が第二シールド掘進機2に向けて伸長する際に、地盤を掘削することができる。ここで、略円筒形状の伸長部102の直径は、60〜70mm程度であり、第二シールド掘進機2の先端部に設けられたカッタ部202のスリットSの間隙よりも小径である。これにより、伸長部102を、カッタ部202に貫通させて、第二シールド掘進機2内に挿入することができる。伸長部102が伸長する様子の詳細については、後述する。
【0032】
ガイド109の後方(即ち、ボーリングマシン101内における、伸長部102より更に奥の位置)には、伸長計測部106が設けられている。伸長計測部106は、第二シールド掘進機2に向けて伸長部が伸長した長さ(即ちストローク)を計測するセンサである。伸長計測部106は、例えば金属製のロープ108を有しており、このロープ108を介して、伸長計測部106と伸長部102とが接続されている。このロープ108が引っ張り出された長さに基づいて、ストロークが計測される。
【0033】
伸長部102には、管状部107が設けられている。管状部107は、伸長計測部106を収容する管状の部分である。管状部107に伸長計測部106を収容することにより、伸長計測部106を例えば地中の泥水や地盤等に汚染させることなく、ストロークを計測することができる。
【0034】
伸長部102の先端部には、放射部103が設けられている。放射部103は、放射性同位元素(RI、即ちRadio Isotope)を含んでおり、放射線を放射する部分である。
【0035】
ボーリングマシン101の先端部であってカッタ部110の後方部には、磁気検出器104が設けられている。磁気検出器104は、磁気を検出する磁気センサであり、後述の磁気材料が発生する磁気を検出することができる。
【0036】
なお、ボーリングマシン101にはその他に、カッタ部110を駆動させる駆動外周ギア114と、駆動外周ギア114を駆動させる駆動ギア115と、駆動ギア115を油圧で駆動させる油圧モータ116と、送泥及び排泥を行う送排泥管117と、が設けられている。
【0037】
第二シールド掘進機2の先端部には、カッタ部202が設けられており、このカッタ部202より内側の空間には、バルクヘッド203が設けられている。放射線検出器201は、このバルクヘッド203より更に内側の空間に、移動自在に設けられている。即ち、バルクヘッド203が、カッタ部202と放射線検出器201との間に挟まれた位置関係となっている。放射線検出器201は、放射線の位置を検出することができるRIセンサ(即ちシンチレーションカウンタ)である。放射線検出器201は、直径が75mmの円筒形状を有しており、長さは300mm程度である。第二シールド掘進機2内部において、放射線検出器201を自在に移動させることが可能である。この放射線検出器201によって、放射部103が放射する放射線の位置の検出が行われる。
【0038】
カッタ部202は、磁気を発生する磁気材料を含んでいる。この磁気材料とは、例えば棒磁石等である。上記の磁気検出器104を用いることによって、この磁気材料が発生する磁気を検出することができる。これにより、第二シールド掘進機2の位置に対する第一シールド掘進機1の相対位置を検出することが可能となる。
【0039】
図3は、図2に示すカッタ部110のIII−III線矢視図である。
【0040】
図3に示すように、伸長部102の先端の掘削部105は、回転軸Axに垂直な断面の外形形状に関して、略十字形状をなしている。即ち、掘削部105は、この外形形状に関して、外周上に4箇所の凹状部112を有する略円形状をなしている。ボーリングマシン101の先端のカッタ部110は、掘削部105を包囲する略輪形状の包囲部113を、カッタ部110の中心に有している。この包囲部113は、掘削部105の凹状部112に係止する係止部111を4箇所備えている。そして、ボーリングマシン101のカッタ部110を回転軸Axの回りで回転させる際に、カッタ部110の係止部111のそれぞれが、伸長部の凹状部112のそれぞれに係止するように構成されている。このため、ボーリングマシン101のカッタ部110のみを回転軸Axの周りに回転させれば、カッタ部110に加えて掘削部105も同時に回転させることができる。なお、この4箇所の係止部111は、伸長部102が伸長する際のガイドとしての機能を有している。このため、この4箇所の係止部111は、この伸長を許容している。ここで、係止部111は、回転軸Axの回りの回転に関して20°の開き角度を有しており、凹状部112は、回転軸Axの回りの回転に関して40°の開き角度を有している。
【0041】
図4は、伸長部102が伸長した状態における、ボーリングマシン101と、第二シールド掘進機2が設けているカッタ部202との関係を示す側面図である。
【0042】
図4に示すように、伸長部102は、ボーリングマシン101から第二シールド掘進機2に向けて、ガイド109とカッタ部110の包囲部113とに沿って伸長する。ここで、伸長部102の直径は、カッタ部202のスリットSの間隙よりも小径である。これにより、伸長部102を、カッタ部202に貫通させて、第二シールド掘進機2内に挿入することができる。このように挿入した状態において、放射線検出器201を第二シールド掘進機2内部で自在に移動させることにより、放射部103が放射する放射線の位置を検出することができる。
【0043】
図5(a)は、本発明の実施形態に係る連結構造が分離している状態の側面図である。また、図5(b)は、この連結構造が連結している状態の側面図である。また、図6は、図5に示すスペーサ341,342を互いに結合させた状態における第二ボーリングマシン321及びスペーサ341,342のVI−VI線矢視端面図である。
【0044】
図5(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る連結構造3は、地盤の掘削に用いられる管状部材(例えば上記のボーリングマシン)の端部同士を連結するものである。ここでは、この管状部材は、上記のボーリングマシンと同一の構造であるとして説明する。この連結構造3は、ボーリングマシンの端部同士を連結することによるボーリングマシンの伸長作業を行う際等に用いられる。この連結構造3は、第一ボーリングマシン311(第一管状部材)と、第二ボーリングマシン321(第二管状部材)と、管状雌ネジ部材331と、2つのスペーサ341,342と、を備えている。なお、スペーサは1つ以上であれば特に限定されない。ここでは、第一ボーリングマシン311の先端部とは反対側の後端部314に対して、第二ボーリングマシン321の先端部324を連結する場合について説明する。
【0045】
第一ボーリングマシン311の後端部における第一外周部312には、第一雄ネジ部313が設けられている。なお、第一雄ネジ部313の直径は260〜300mm程度である。また、管状雌ネジ部材331が螺入可能な長さは、100mm程度である。
【0046】
同様に、第二ボーリングマシン321の先端部とは反対側の後端部における外周部322には、第二雄ネジ部323が設けられている。なお、第二雄ネジ部323の直径は第一ボーリングマシン311の直径と略等しい。また、管状雌ネジ部材331が螺入可能な長さは、200mm程度である。
【0047】
管状雌ネジ部材331は、内周部に雌ネジ部333が設けられている管状の部材である。管状雌ネジ部材331の内径は、第一雄ネジ部313及び第二雄ネジ部323に螺合できるように、第一雄ネジ部313及び第二雄ネジ部323の外径と略等しく、240mm程度である。また、回転軸Ax方向の長さは200mm程度である。なお、管状雌ネジ部材331を第一雄ネジ部313及び第二雄ネジ部323に螺合させた状態で、管状雌ネジ部材331を所定の回転方向C(図5に示すIV−IV線で矢視した場合における時計回りの方向)に回転させると、管状雌ネジ部材331は、第一ボーリングマシン311の後端部314から先端部に向かう方向に第一雄ネジ部313に螺合するように、構成されている。また、この螺合とともに、管状雌ネジ部材331は、第二ボーリングマシン321の後端部から先端部324に向かう方向に第二雄ネジ部323に螺合するように、構成されている。
【0048】
図6と併せて示すように、スペーサ341,342のそれぞれは、円筒状の部材を、回転軸Axを含む断面で2つに切断した場合に形成される一方及び他方の部材の構造を有している。即ち、スペーサ341,342のそれぞれは、断面が半円弧状となるような曲面を有する板状の部材である。
【0049】
このような構造のために、スペーサ341,342を上記の切断面同士で結合させると、円筒状の部材が形成される。このような結合させると、所定の凹部に嵌合する管状の部材となって、当該凹部を埋めることができる。所定の凹部とは、管状雌ネジ部材331が第一雄ネジ部313及び第二雄ネジ部323に螺合した状態で形成される凹部のことである。スペーサ341,342を互いに連結させるために、1本の六角穴付ボルト343をスペーサ341からスペーサ342に螺入させる。更に、別の1本の六角穴付ボルト343をスペーサ342からスペーサ341に螺入させる。また、スペーサ341,342のそれぞれは、水膨張性シールとしての機能を有している。これにより、スペーサ341,342を所定の凹部に嵌合して当該凹部を埋めた場合に、止水性が確保される。
【0050】
図7(a)〜(d)は、第一ボーリングマシン311及び第二ボーリングマシン321の端部同士を連結する連結方法を順に説明する説明図である。この連結方法は、図7(a)に示す第一螺合工程と、図7(b)に示す突き合せ工程と、図7(c)に示す第二螺合工程と、図7(d)に示す取り付け工程と、を備えている。
【0051】
まず、図7(a)に示すように、第一螺合工程では、管状雌ネジ部材331を、上記の回転方向Cとは逆の回転方向Dに回転させることによって、第二雄ネジ部323のみに螺合させ、第二ボーリングマシン321の先端部324から後端部に向かわせて、第二雄ネジ部の先端部324を突出させる。更に、第一ボーリングマシン311及び第二ボーリングマシン321から、送排泥管117、油圧配管ホース、及びケーブル等のそれぞれを、端部同士で接続できる程度まで引出しておく。そして、端部間の距離L(即ち、第一ボーリングマシン311の後端部314と、第二ボーリングマシン321の先端部324との間の距離)を、300mm程度とする。
【0052】
次に、図7(b)に示すように、突き合せ工程では、まず、送排泥管117、油圧配管ホース、及びケーブル等のそれぞれの端部同士を接続する。そして、これらを接続して抜けないことを確認し、ビニールテープ等で接続部分を巻き、密閉する。また、送排泥管117の抜け止めボルトを2本以上閉め込む。そして、端部間の距離Lが300mmから0mmになるように、第一雄ネジ部313の後端部314と、突出した第二雄ネジ部323の先端部324とを突き合わせる。このとき、後端部314と先端部324との間で間隙が形成されないように突き合わせる。
【0053】
次に、図7(c)に示すように、第二螺合工程では、管状雌ネジ部材331のみを、回転方向Cに回転させることによって、第一ボーリングマシン311の後端部314から先端部に向かう方向に、第二雄ネジ部323に螺合させ、ねじ込む。これによって、管状雌ネジ部材331が第一雄ネジ部313及び第二雄ネジ部323に螺合した状態にさせる。このとき、送排泥管117、油圧配管ホース、及びケーブル等が、第一ボーリングマシン311及び第二ボーリングマシン321から、はみ出していないかを確認する。なお、はみ出している場合は、管状雌ネジ部材331を、回転方向Dに回転させることによって、第一ボーリングマシン311及び第二ボーリングマシン321を分離し、第一螺合工程からやり直す。第二螺合工程が完了した状態(即ち、管状雌ネジ部材331が第一雄ネジ部313及び第二雄ネジ部323に螺合した状態)では、外周面には上記の凹部が形成されている。
【0054】
次に、図7(d)に示すように、取り付け工程では、この凹部に対して、2つのスペーサ341,342を嵌合させて取り付けながら、これらの部材を互いに連結させる。スペーサ341,342を互いに連結させるために、六角穴付ボルト343を用いる。この嵌合及び取り付けによって、凹部を埋めることができる。
【0055】
次に、本実施形態に係る相対位置検出装置の動作及び作用効果について説明する。
【0056】
まず、第一シールド掘進機1に設けられたボーリングマシン101が、第二シールド掘進機2に向けて、地盤を掘削しながら伸長する。ここで、第二シールド掘進機2のカッタ部202のスリットSの間隙よりも小径の伸長部102が、ボーリングマシン101から第二シールド掘進機2に向けて伸長する。このため、第二シールド掘進機2のカッタ部202のスリットSの間隙がボーリングマシン101の径より小さい場合でも、伸長部102を第二シールド掘進機2内に挿入することができる。
【0057】
そして、伸長部102に設けられた放射部103が、放射線を放射する。これに対して、第二シールド掘進機2の内部で、放射部103が放射した放射線の位置が、放射線検出器201により検出される。これにより、第一シールド掘進機1の位置に対する第二シールド掘進機2の相対位置を検出することができる。この位置検出における誤差は、水平方向及び鉛直方向ともに、例えば3mm程度とすることができる。この結果、両端からの地中掘削における相対位置の検出を容易に行うことが可能となる。
【0058】
また、伸長部102が掘削部105を備えることにより、伸長部102が第二シールド掘進機2に向けて伸長する際に、地盤を掘削することができる。この結果、掘削作業をより効率よく行うことが可能となる。
【0059】
また、ボーリングマシン101が係止部111を備えることにより、伸長部102の伸長が許容される。更に、第一シールド掘進機1に設けられたボーリングマシン101のカッタ部110を回転させる際に、係止部111が伸長部102に係止する。このため、第一シールド掘進機1に設けられたボーリングマシン101のカッタ部110のみを回転させれば、カッタ部110に加えて伸長部102も同時に回転させることが可能となる。従って、地盤をより効率よく掘削することができる。
【0060】
また、相対位置検出装置が伸長計測部106及び管状部107を備えることにより、伸長計測部106を例えば地中の泥水や地盤等に汚染させることなく、伸長部102が伸長した長さを計測することができる。
【0061】
また、第二シールド掘進機2が含む磁気材料により磁気が発生され、この磁気が、ボーリングマシン101に設けられた磁気検出器104により検出される。これにより、第二シールド掘進機2の位置に対する第一シールド掘進機1の相対位置を検出することができる。この結果、両端からの地中掘削における相対位置の検出を、より容易に行うことができる。
【0062】
次に、本実施形態に係る連結構造3及び連結方法の動作及び作用効果について説明する。
【0063】
上記の第一螺合工程及び突き合せ工程を経た後で、管状雌ネジ部材331のみを回転方向Cに回転させる。これにより、第一ボーリングマシン311の第一雄ネジ部313、及び、突出した第二ボーリングマシン321の第二雄ネジ部323に、管状雌ネジ部材331が螺合する(第二螺合工程)。この結果、第一ボーリングマシン311も第二ボーリングマシン321も回転させずに、これらボーリングマシンの端部同士の地中連結を容易に行うことができ、作業効率の向上が可能となる。また、第一雄ネジ部313及び管状雌ネジ部材331と、第二雄ネジ部323及び管状雌ネジ部材331とは、それぞれ、雄ネジ部と管状雌ネジ部材331とが互いに螺合しているため、回転軸Ax方向に関する引抜き力を確保することができる。
【0064】
ここで、地盤の掘削に用いられる管状部材やボーリングマシン等の端部同士を接合する際には、従来、溶接によって接合する工法が用いられてきた。しかしながら、溶接作業を行うのに必要な作業スペースは一般的に狭小であるため、全周(即ち、接合する部分全て)を溶接することが困難であった。これに対して、本実施形態に係る連結構造3及び連結方法によれば、管状雌ネジ部材331のみを回転方向Cに回転させることだけで、第一ボーリングマシン311も第二ボーリングマシン321も回転させずに、これらボーリングマシンの端部同士の地中連結を容易に行うことができ、作業効率の向上が可能となる。
【0065】
また、溶接による工法を用いた場合、連結したボーリングマシンを分割させる際にガス切断作業が必要となるため、ボーリングマシン内部の電子機器等を傷つけてしまう恐れがある。これに対して、本実施形態に係る連結構造3及び連結方法によれば、管状雌ネジ部材331のみを回転方向Dに回転させることだけで、ボーリングマシンの端部同士の分割を容易に行うことができ、作業効率の向上が可能となる。
【0066】
また、第一ボーリングマシン311及び第二ボーリングマシン321内に電子機器等が設置されているためにこれら2つのマシンを回転軸Axの周りに回転させることができない場合でも、管状雌ネジ部材331のみを回転方向Cに回転させるだけで連結が可能なため、作業効率の向上が可能となる。
【0067】
また、連結構造3が1つ以上のスペーサ341,342を備えることにより、管状雌ネジ部材331が第一雄ネジ部313及び第二雄ネジ部323に螺合した状態で形成される凹部に、1つ以上のスペーサ341,342を取り付けて嵌合させ、凹部を埋めて、管状雌ネジ部材331の回転を防止することができる(取り付け工程)。このため、第一ボーリングマシン311と第二ボーリングマシン321とが、より確実に連結される。この結果、第一ボーリングマシン311と第二ボーリングマシン321との地中連結を確実に行うことができる。
【0068】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。なお、上記の実施形態及び下記の変形例は、本発明の範囲を制限するものではなく、当業者がこれらの実施形態及び変形例を本発明の特許請求の範囲の主題に反することなく発展させることができるものである。
【0069】
例えば、上記のスペーサの数は、2つであるが、1つ以上であれば特に限定されず、3つでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態に係る相対位置検出装置を設ける第一及び第二シールド掘進機の斜視図である。
【図2】ボーリングマシンとカッタ部との関係を示す側面図である。
【図3】図2に示すカッタ部のIII−III線矢視図である。
【図4】ボーリングマシンとカッタ部との関係を示す側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る連結構造の側面図である。
【図6】図5に示すボーリングマシン及びスペーサのVI−VI線矢視端面図である。
【図7】連結方法を順に説明する説明図である。
【符号の説明】
【0071】
1…第一シールド掘進機
2…第二シールド掘進機
3…連結構造
30…水平ボーリングロッド
31…先端部
40…バルクヘッド
101…ボーリングマシン
102…伸長部
103…放射部
104…磁気検出器
105…掘削部
106…伸長計測部
107…管状部
108…ロープ
109…ガイド
110…カッタ部
111…係止部
112…凹状部
113…包囲部
114…駆動外周ギア
115…駆動ギア
116…油圧モータ
117…送排泥管
201…放射線検出器
202…カッタ部
203…バルクヘッド
311…第一ボーリングマシン
312…第一外周部
313…第一雄ネジ部
314…後端部
321…第二ボーリングマシン
322…第二外周部
323…第二雄ネジ部
324…先端部
331…管状雌ネジ部材
333…雌ネジ部
341,342…スペーサ
343…六角穴付ボルト
A,B…シールド機
Ax…回転軸
C,D…回転方向
L…距離
S…スリット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一シールド掘進機の位置に対する第二シールド掘進機の相対位置を検出する相対位置検出装置であって、
前記第一シールド掘進機に設けられ、地盤を掘削するとともに前記第二シールド掘進機に向けて伸長するボーリングマシンと、
前記ボーリングマシンに設けられ、前記第二シールド掘進機に向けて伸長し、当該第二シールド掘進機のカッタ部のスリットの間隙よりも小径の伸長部と、
前記伸長部に設けられ、放射線を放射する放射部と、
前記第二シールド掘進機の内部に設けられ、前記放射部が放射する前記放射線の位置を検出する放射線検出器と、
を備えることを特徴とする相対位置検出装置。
【請求項2】
前記伸長部は、地盤を掘削する掘削部を備えることを特徴とする請求項1に記載の相対位置検出装置。
【請求項3】
前記ボーリングマシンは、前記伸長部の伸長を許容するとともに当該ボーリングマシンが回転する際に前記伸長部に係止する係止部を備えることを特徴とする請求項2に記載の相対位置検出装置。
【請求項4】
前記第二シールド掘進機に向けて前記伸長部が伸長した長さを計測する伸長計測部と、
前記伸長計測部を収容する管状部と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の相対位置検出装置。
【請求項5】
前記ボーリングマシンに設けられ、磁気を検出する磁気検出器を備え、
前記第二シールド掘進機は、磁気を発生する磁気材料を含む
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の相対位置検出装置。
【請求項6】
地盤の掘削に用いられる管状部材の端部同士を連結する連結構造であって、
第一雄ネジ部が外周部に設けられた第一管状部材と、
第二雄ネジ部が外周部に設けられた第二管状部材と、
前記第一管状部材の前記第一雄ネジ部、及び、前記第二管状部材の前記第二雄ネジ部に螺合する管状雌ネジ部材と、
を備えることを特徴とする連結構造。
【請求項7】
前記管状雌ネジ部材が前記第一及び第二雄ネジ部に螺合した状態で形成される凹部を埋めるスペーサを備えることを特徴とする請求項6に記載の連結構造。
【請求項8】
地盤の掘削に用いられる第一管状部材及び第二管状部材の端部同士を連結する連結方法であって、
前記第一管状部材の外周部に設けられた第一雄ネジ部、及び、前記第二管状部材の外周部に設けられた第二雄ネジ部に螺合する管状雌ネジ部材を、当該第二雄ネジ部のみに螺合させる第一螺合工程と、
前記第一螺合工程後、前記第二雄ネジ部の端部、及び、前記第一雄ネジ部の端部を突き合わせる突き合せ工程と、
前記突き合せ工程後、前記管状雌ネジ部材のみを回転させ、当該管状雌ネジ部材を前記第一雄ネジ部に螺合させて、当該管状雌ネジ部材が当該第一雄ネジ部及び当該第二雄ネジ部に螺合した状態にさせる第二螺合工程と、
を備えることを特徴とする連結方法。
【請求項9】
前記第二螺合工程後、前記管状雌ネジ部材が前記第一及び第二雄ネジ部に螺合した状態で形成される凹部を埋めるスペーサを取り付ける取り付け工程を備えることを特徴とする請求項8に記載の連結方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−308901(P2007−308901A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136954(P2006−136954)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(391004791)カジマメカトロエンジニアリング株式会社 (13)
【Fターム(参考)】