説明

真空中の物質との電極の接触方法

スパッタ付着プロセスを改良する方法が提供されている。本方法は、下記のステップ、(a)真空を設けるステップと、(b)設けられた真空中に電極(10、34、34’、44、44’)を設けるステップと(c)、前記電極(10、34、34’、44、44’)と接触しない、前記真空中に基板を設けるステップと、(d)真空中に装置(22、22’、24、24’、26、26’、28、28’、30、36、36’、48、48’)をもたらすステップとを備える。本装置は、電極に対して相対運動状態であり、接触ゾーン全体にわたり電極と接触している。本装置は、電極から固体物質を取り除いたりあるいは電極に固体物を貼付したりする。本方法は、簡単なメカニズムによって行われる。複雑なエレクトロニクスあるいは精巧な制御アルゴニズムを必要としない。本方法は、真空中で行われる、すなわち、真空を破壊する必要なく、そのために機械停止期間が減少される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタ付着プロセス、例えば、磁気的に機能強化されたスパッタリングプロセスを改良する方法に関する。「improving(改良する)」という用語は、長期間プラズマプロセスの安定を改良すること、あるいは、コーティングの均質性を改良すること、あるいは、スパッタ付着の間の機械停止期間を減少することである。
【背景技術】
【0002】
アーク放電の問題点
マグネトロンスパッタ付着プロセス(磁気的に機能強化されたスパッタリング)において、閉ループの形状をとって配置される磁石のアレーは、ターゲットの後に取り付けられる。したがって、閉ループの形状をとる磁界はターゲットの前に形成されて、スパッタリングゾーンを画定する。磁界はその磁界に閉じ込められる放電から電子を生じて、スパイラルパターンで進み、それにより、ダイオードスパッタリングと比べると極めて強いイオン化(プラズマ)と高いスパッタ割合とを生成する。回転する円筒形マグネトロンがターゲットとして円筒形カソードを使用する。この構成において、円筒形カソードは固定磁石アレーによって連続的に回転する。回転する円筒形構成は高いターゲット物質消費およびずっと多いターゲット物質が利用可能であるという事実による高いコーティング性能、高い出力密度を使用する可能性、ACプロセスにおける機能強化されたアノード機能性、反応プロセスにおける低いアーク割合などの平面のマグネトロン構成全体にわたりいくつかの利点を有する。
【0003】
しかしながら、低いアーク割合にもかかわらず、アーク放電は特に反応プロセスにおいて依然として主要な問題点のままである。反応スパッタ付着の間、反応ガス(O2あるいはN2など)が、基板の上に誘電体層(酸化物あるいは窒化物)を形成するために不活性ガスの次にスパッタリングチャンバに導入される。しかしながら、欠点は、基板のために意図される誘電体層がさらにターゲット表面の上に、特に、レーストラックの次のエリアにも形成されることである。回転可能なターゲットの場合、スパッタされないレーストラックの次のゾーンはエンドゾーンと称される。
【0004】
回転する円筒形マグネトロンアセンブリにおいて、ターゲット(カソード)はターゲットの新しい部分がスパッタリングゾーンに連続的に呈されるように、固定磁石アレー全体にわたり連続的に回転される。
【0005】
これは、ターゲットの侵食ゾーン(erosion zone)がカソードの周辺全体を備えることを意味する。換言すれば、ターゲットはエンドゾーンを除いて(スパッタリングゾーンを超えて)プラズマによって連続的に洗浄される。これは、誘電体相の蓄積が単に回転する円筒形ターゲットのエンドゾーンにおいて生じることを意味する。
【0006】
陽イオンによるボンバードメントにより、この誘電体層は正電気を帯びて充電するのに対して、ターゲットはマイナス電気を帯びてバイアスがかけられる。充電が特定のレベルを蓄積すると、その充電はアーク放電によって分散される(誘電体層の機能停止が生じる)。アーク放電はプロセスの安定性を生じ、コーティングにおける不均質性と欠陥とへ導き、スパッタ装置への損傷を引き起こすことがある。
レーストラックのコーナーにおける溝形成
【0007】
回転する円筒形マグネトロンは、溝が形成されるレーストラックのコーナーの位置決めにおけるターゲットのエンドゾーンを除いて、ターゲットチューブ全長にわたる等しいターゲット消費を確実にする。レーストラックのコーナーで、ターゲットはレーストラックの直線部分と比べると長い期間プラズマの下で移動する。これにより、レーストラックの直線部分と比べるとレーストラックのコーナーにおける高いターゲット物質消費へと導く。レーストラックのコーナーのゾーン内のターゲット物質が完全に消費されると、ターゲットはかなりの量の可変物質がターゲットの主部分全体にわたりまだ存在するとはいえ置き換えられる必要がある。
【0008】
従来技術は、ドッグボーンの形状をとる円筒形ターゲットを提供した。ドッグボーン状ターゲットはレーストラックのコーナーのゾーンにおいて多くのターゲット物質を使用可能にさせる。ドッグボーン状ターゲットはターゲットの極めて早い消費を回避する。しかしながら、ドッグボーンは、脆弱性、熱伝導率、物質コスト、生産プロセスなどのいくつかの理由のため、全ての物質に必ずしも役だてられ、そして、可能性があるとは限らない。
【0009】
ターゲットの弊害
例えば、アルゴン酸素混合物の環境におけるITO(Indium Tin Oxide(インジウム酸化スズ))スパッタリングターゲットの連続スパッタリングにおいて、小結節と称される黒い物質がターゲットの表面に出現する。これらの小結節は、成長することが多い。これらの小結節は絶縁性質によりスパッタされないか、スパッタされることが少ない。これらの小結節はスパッタリングの間アーク放電を生じ、スパッタされた薄いフィルムにおける不均質性および粒子の源となる。許容可能な作動のために、小結節組成、したがって、アーク放電および減少したスパッタ領域が非常に強くなると、スパッタプロセスは中断されることがあり、小結節は再スタートの前に機械的に取り除かれる必要がある。
【0010】
US−A−6,106,681には、ITOスパッタリングターゲットを洗浄する方法が論じられている。スパッタリングの前にあるいは停止の間に、ITOスパッタリングターゲットは多数の振動の超音波洗浄に施されるか、あるいは別の方法として、接着テープがITOスパッタリングターゲットの表面に貼られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来技術の欠点を回避することである。
本発明の第二の目的は、長期間のプラズマプロセスの安定性を改良することである。
本発明の第三の目的は、基板のコーティング均質性を改良することである。
本発明の第四の目的は、スパッタ付着の間の機械停止期間を減少することである。
本発明の第五の目的は、さらにまた、アーク放電を減少することである。
本発明の第六の目的は、ターゲット上の溝形成を減少することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一般的態様によれば、スパッタ付着プロセスを改良する方法が提供されている。その方法は、下記のステップ、
a)真空を設けるステップと、
b)その真空中に電極を設けるステップと、
c)前記真空中に前記電極と接触しない基板を設けるステップと、
d)真空中に、電極に対して相対運動状態で、接触ゾーン全体にわたり電極と接触している装置をもたらすステップと、
を備え、
その装置は電極から固体である物質を除去したり、あるいは電極に固体である物質を付着させたりする方法。
基板と電極との間の相対運動および基板と電極との間の接触は、連続的かあるいは断続的でよい。装置は、例えば、真空状態を破壊する必要なく、基板充電サイクルの中間に回転するターゲットに適用されることが可能である。あるいは、それは電極の速度の結果として起こる電極と連続接触状態になっていることを可能にする−すなわち、装置と電極との間に相対運動がない−時々、断絶される−相対運動を生成するもの−物質が取り除かれるかあるいは貼付されるとき。
【0013】
この方法は、いくつかの点で有利である。その方法は簡単である。実際に、方法は簡単なメカニズムによって行われる。複雑なエレクトロニクスあるいは精巧な制御アルゴリズムを必要としない。そのうえ、その方法はすなわち、スパッタ付着プロセスの間にあるいはスパッタ付着サイクルの一部として真空中で行われ、そのために、機械停止期間は減少される。さらに、その方法はスパッタリング装置からターゲットを取り外す必要なく、現場で行われることが可能である。
【0014】
電極は、例えば、カソードとして機能する円筒形ターゲットなどのカソードでよい。本発明の文脈における円筒形ターゲットの利点は、円筒形ターゲットが回転するので、接触装置は動かないで静止していることである。円筒形ターゲットの回転の間、装置は連続的にあるいは断続的に、物質をターゲットから取り除くかあるいは物質をターゲットにつけ加えるかでよい。
【0015】
電極は、さらに基板と接触状態になっていないアノードでよい。このアノードは、回転可能なまたは回転できる、円筒形チューブでよい。あるいは、それは−Sleck et al.へのUS 5683558に説明されるなどの−金属ワイヤブラシでよく、その金属ワイヤの先端は、陰電荷のコレクタとしての機能を果たす。このような‘金属ワイヤブラシ’は、あらゆる形状を有することが可能であるが、円形の細長い形状であることが好ましい。ブラシは装置に対して移動可能である。
【0016】
真空チャンバの壁あるいはシールドは、さらにアノードとしての機能を果たすことが可能である。次に、装置は固定真空チャンバに対して移動する必要がある。
【0017】
本発明の第一の実施形態において、物質は電極から取り除かれる。本明細書では、装置はターゲットあるいはその一部の硬度を超えるか、あるいは、ターゲットあるいはその一部の硬度に等しい硬度を有することが好ましい。装置は、−例として−摩耗手段あるいは切断手段あるいはつや出し手段であり、その意図は電極から物質を取り除くことである。
【0018】
本発明の第二の実施形態において、物質は電極につけ加えられる。本明細書では、装置はターゲットあるいはその一部の硬度未満であるか、あるいは、ターゲットあるいはその一部の硬度に等しい硬度を有することが好ましい。それが電極に物質を貼付するように意図されるとき、それは、−再度一例として−供給メカニズムあるいはアプリケータあるいは当分野で既知であるようなあらゆる他の装置によって行われることが可能である。
【0019】
様々な別の方法が、さらに電極、主にターゲットと装置との間の接触ゾーンに対して可能である。
【0020】
第一の別の方法において、接触ゾーンはエンドゾーンとオーバーラップする、例えば、エンドゾーンをカバーする、例えば、エンドゾーンに等しい。エンドゾーンは、スパッタされないゾーンである。
【0021】
第二の別の方法において、接触ゾーンはレーストラックのコーナーのゾーンとオーバーラップする、例えば、レーストラックのコーナーのゾーンをカバーする、例えば、ターゲットのレーストラックのコーナーのゾーンである。
【0022】
第三の別の方法において、接触ゾーンは侵食ゾーン(erosion zone)をオーバーラップする、例えば、侵食ゾーンをカバーする、例えば、侵食ゾーンである。侵食ゾーンは、標準のターゲット消費、さらに、直線レーストラックのゾーンである。
【0023】
数ある中で、本発明の第三の別の方法は、特に、いわゆる‘小結節’形成に影響されやすい物質に有用である。‘小結節’は、ターゲット物質の付着の間にターゲットの表面に形成する局部的な異常である。小結節は、硬度あるいは導電率において、じかに接する環境と異なり、それによって、スパッタリングプロセスの均一性を妨げる。下記の物質は、特に小結節形成に対する感度として周知である。
ITO−インジウム酸化スズ−ターゲット、あるいは、
ZnAlO−アルミニウムでドープを施された酸化亜鉛
TiNと、Tiと、CoTiと、Al
【0024】
その方法は、ITOターゲットに最も適している。
【0025】
本発明は、ここでは、添付の図面を参照していっそう詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1Aは、回転する円筒形ターゲット10の断面図であり、それは、固定磁石アセンブリ12の周りを回転する。磁石アセンブリは、結果として磁界13になる。
【0027】
図1Bは、ターゲット10の平面図である。電気力および磁気力の組み合せた効果は、ターゲット10の表面に、いわゆる、レーストラック14を生成する。このレーストラック14は、ターゲット物質がスパッタされる領域である。
【0028】
レーストラック14は、ターゲット10に三つの異なるタイプのゾーンを画定する。
【0029】
第一のタイプのゾーンが、主要部分を形成し、侵食ゾーン16と称され、レーストラック14の直線部分に相当する。侵食ゾーン16において、スパッタリングの間のターゲット物質の消費は、ほぼ等しい。
【0030】
第二のタイプのゾーンがエンドセクションに見られ、エンドゾーン18と称される。エンドゾーン18において、ターゲット物質はスパッタされない(あるいは、スパッタされるのが極めて少ない)、換言すれば、ターゲット物質はエンドゾーン18において消費されない。
【0031】
第三のタイプのゾーンが、レーストラックのコーナー20のゾーンである。上述されるように、レーストラックのコーナー20のゾーンにおいて、ターゲット10は、侵食ゾーン16と比べると長い期間プラズマの下で移動するので、通常溝が形成される。これにより、レーストラックのコーナー20のゾーンにおいて、より高いターゲット物質消費となり、溝の生成ということになる。
【0032】
本発明は、ターゲットの異なるゾーンにおける様々な問題点のためのさまざまな解決策を提供する。
【実施例1】
【0033】
図2は、物質が回転する円筒形ターゲット10のエンドゾーン18に主として貼付される本発明の第一の実施例を示す。22と22’によってそれぞれ参照される左側および/または右側のベルト状物質が、回転するターゲット10の左側および右側のエンドゾーン18にそれぞれこすりつけられる。ベルト状物質22、22’は、付着チャンバに対して固定され得る、あるいは、往復運動を行うことが可能である、あるいは、ターゲットとともに移動可能であり、時々、ターゲットと装置との間に運動を生成するために断絶される。ベルト状物質22、22’の下方側には、ターゲット10の物質よりも低い硬度を有する導電性物質が設けられている。ターゲット10の回転時、また、導電性物質の低い硬度により、この導電性物質の層がエンドゾーン18の全ての部分を含む周辺に貼付される。結果として、アーク感知可能エリアが導電状態に保持される。充電が生じない。アーク放電が回避される。
【0034】
実施例の問題として、ターゲット10は、アルミニウム、亜鉛あるいはスズからなるのがよく、ベルト状物質22、22’には、グラファイトブロックが設けられることができる。
【実施例2】
【0035】
図3は、物質が回転する円筒形ターゲット10のエンドゾーン18から主として取り除かれる本発明の第二の実施例を示す。適切なブレード、ナイフ状またはチゼル切断ツールあるいはスクレーピング装置24、24’には、ターゲット10の物質に等しいあるいはターゲット10よりも高い硬度が設けられている。これらの装置24、24’は、ターゲット10の左側および右側のエンドゾーン18にそれぞれ接触する。ターゲット10の回転時、ターゲット10の物質の薄い層は取り除かれる。その結果、エンドゾーン18における好ましくない誘電体物質の蓄積が回避されなくとも減少される。このように、充電の恐れおよびアーク放電の関連する恐れは減少される。
【0036】
一例として、ターゲット10の物質は、亜鉛でよく、装置24、24’の接触表面物質は炭化タングステンでよい。
【実施例3】
【0037】
図4は物質がターゲット10のレーストラックのコーナーのゾーン20に貼付される第三の実施例を示す。ロール26、26’は、例えば、スプリングシステム(図示せず)によって、レーストラックのコーナー20の左側および右側のゾーンにそれぞれ当てられる。ロール26、26’の表面は、ターゲット10の表面の線速度と異なる線速度を有することができ、そのためにロール26、26’とターゲット10との間にスリップがある。ロール26、26’には、ターゲット10の物質よりも低いスパッタ割合と低い硬度の物質が設けられている。ターゲット10の回転時、またロール26、26’の物質の低い硬度により、物質はターゲット10の全ての部分の周辺に貼付される。
【0038】
貼付された物質の低いスパッタ割合により、レーストラックのコーナー20のゾーンにおけるスパッタ割合は減速し、溝形成は減少あるいは回避される。
【0039】
実施例の問題として、ターゲット10は、亜鉛、スズ、チタニウムあるいはシリコンからなり、ロール26、26’には、それらの鏡面にグラファイトが設けられることができる。
【実施例4】
【0040】
実施例4は、実施例1と実施例3との組み合せである。図5は物質がレーストラックのコーナー20のゾーンと円筒形回転ターゲット10のエンドゾーン18との両方に貼付される第四の実施例を示す。物質の貼付は、二つのロール28、28’によって行われることができる。
【実施例5】
【0041】
図6は物質がITOターゲット10のエロージョンゾーン16から取り除かれる第五の実施例を示す。平たいブレード状スプリング32にそれぞれ取り付けられる異なるスクレーパの平たいブレード状部分31を備える移動可能なスクレーパ30が、キャリアロッド33を回転することによってエロージョンゾーン16とレーストラックのコーナー20のゾーンとを接触させることが可能である。平たいブレード状スプリングは電気絶縁物質から作られることが好ましい。上記に説明されるように、ITOターゲットの表面は小結節29の存在を示し、それによりスパッタされたコーティングにアーク放電あるいは不均質性を生じることがある。スクレーパ30はITOターゲット10の回転時、小結節29を取り除く。
【0042】
物質の取り除きの間、ターゲットはこの可能性が許される(電極に相対する基板の位置決めに左右される)とはいえ、スパッタリングモードでないことが好ましいことは、上記から明らかである。次に、スパッタリングサイクルは停止されるとはいえ、その方法は真空の破壊あるいは洗浄のためのターゲットの取り外しを必要としない。破壊物の破片51は、スパッタリング装置の汚染を防止するために、標準どおりの基板とほぼ同じ寸法を有し、その基板の代わりをするコレクタプレート50に収集されることが好都合である。真空の存在は、洗浄の間装置における粉塵増殖を防止するのに役立つ。
【0043】
第1の別の実施形態(図示せず)において、スクレーパは回転するターゲットに押圧される細長い円筒形金属ブラシから構成される。ブラシは回転時、ターゲットに接して回転されることが可能である。
【0044】
第二の別の実施形態(図示せず)において、スクレーパはチゼルが旋盤の工作物船体にわたり移動するように、ターゲット全体にわたり移動する切断ツールから構成されることができる。
【実施例6】
【0045】
図7は物質が回転するアノード34、34’から取り除かれる第六の実施例を示す。カソードターゲット10に次いで、二つの回転する円筒形アノード34、34’が設けられる。ブラシ36、36’は、左側および右側のアノード34、34’をそれぞれこすりつける。アノードが回転するとき、アノード34、34’の周辺表面全体は洗浄される。アノード34への誘電体物質の蓄積が回避される。
【0046】
その結果、アノードが機能し続け消滅しない。
実施例の問題として、アノード34は、ステンレススチールから作られることが可能であり、ブラシ36、36’は、高炭素スチールから作られることが可能である。別の方法として、スチールウールが、アノード34を洗浄するのに使用されることが可能である。
【実施例7】
【0047】
図8は二つの収集アノード44、44’を有する第七の実施例を視覚化している。各電極はそれ自体の軸周りに回転する細長い円筒形金属ワイヤブラシ44、44’の形状をとるアノードである。複数の金属ワイヤ46、46’が、磁気アレー12によって閉じ込められるプラズマ42によって平面ターゲット40から取り除かれるターゲット物質を収集する。図示されるワイヤの数はブラシにおけるワイヤの真実の数に対応せず、それらのサイズおよび長さは縮尺製図して描かれていない。回転する間に、ワイヤブラシは、装置48、48’に接触する。装置はワイヤを屈曲し、それによってワイヤに収集されるターゲット物質を取り除く。装置はセラミック材料などのような絶縁材料から作られることが好ましい。再度、破壊物の破片51は、スパッタリング装置を汚染しないようにコレクタプレート50に収集される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1A】円筒形ターゲットの断面図である。
【図1B】図1Aの円筒形ターゲットの平面図である。
【図2】物質がターゲットのエンドゾーンに貼付される本発明の第一の実施例を示す図である。
【図3】物質がターゲットのエンドゾーンから取り除かれる本発明の第二の実施例を示す図である。
【図4】物質がターゲットのレーストラックのコーナーのゾーンに貼付される本発明の第三の実施例を示す図である。
【図5】物質がレーストラックのコーナーのゾーンとターゲットのエンドゾーンとの両方に貼付される本発明の第四の実施例を示す図である。
【図6】物質がターゲットのエロージョンゾーンから取り除かれる本発明の第五の実施例を示す図である。
【図7】物質が回転するアノードから取り除かれる本発明の第六の実施例を示す図である。
【図8】物質が回転する金属ワイヤブラシのアノードから取り除かれる本発明の第七の実施例を示す図である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパッタ付着プロセスを改良する方法であって、
前記方法は、下記のステップ、
a)真空を設けるステップと、
b)前記真空中に、電極を設けるステップと、
c)前記真空中に、前記電極と接触しない基板を設けるステップと、
d)前記電極に対して相対運動状態で、接触ゾーン全体にわたり電極と機械的に接触している装置を、前記真空中にもたらすステップと、
を備え、
前記装置は前記電極から固体である物質を取り除いたり、あるいは前記電極に固体である物質を付着させたりする方法。
【請求項2】
前記装置は前記電極から物質を取り除くために、前記電極あるいはその一部の硬度を超えるか、あるいは、前記電極あるいはその一部の硬度に等しい硬度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記装置は前記電極に物質を付着するために、前記電極あるいはその一部の硬度より小さいか、あるいは、前記電極あるいはその一部の硬度に等しい硬度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電極はカソードである、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記カソードは回転可能な円筒形ターゲットである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記電極はアノードである、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記アノードは真空チャンバ壁あるいはシールドである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アノードは回転可能な円筒形チューブである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記アノードは回転可能なブラシである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記ターゲットはスパッタされないエンドゾーンを有し、前記接触ゾーンは前記エンドゾーンとオーバーラップする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ターゲットはレーストラックのコーナーのゾーンを有し、前記接触ゾーンは前記レーストラックのコーナーのゾーンとオーバーラップする、請求項1、2、3、4、5または10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ターゲットは侵食ゾーンを有し、前記接触ゾーンは前記侵食ゾーンとオーバーラップする、請求項1、2、3、4、5、10または11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ターゲットはITOターゲットである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記装置は前記電極に対して断続的に相対運動状態であり、前記装置は前記電極と断続的に接触状態である、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記装置は前記電極に対して連続的に相対運動状態であり、前記装置は前記電極と断続的に接触状態である、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記装置は前記電極に対して断続的に相対運動状態であり、前記装置は前記電極と連続的に接触状態である、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記装置は前記電極に対して連続的に相対運動状態であり、前記装置は前記電極と連続的に接触状態である、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−521468(P2006−521468A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505433(P2006−505433)
【出願日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050210
【国際公開番号】WO2004/085699
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(505360502)
【Fターム(参考)】