説明

真空処理装置

【課題】小型で設置面積の小さい真空処理装置を提供する。
【解決手段】真空容器の内部に配置されその上に処理対象の試料が載置される試料台504と、この試料台504と前記側壁との間で試料台の側方を囲んで且つ側壁と空間を空けて配置されその内側でプラズマが形成される略円筒形上の内側壁部材533と、この内側壁部材533の上端部または下端部の周縁に配置されフランジ部と、前記内側壁部材533と前記真空容器の側壁との間の空間及び前記内側壁部材の内側を減圧するための排気手段508とを備え、前記内側壁部材533が前記真空容器内が減圧された状態でその上端部及び下端部がそれに接した部材から力を受けてその位置が前記真空容器の内側で固定されるとともに、前記フランジ部が前記力を受けて前記内側壁部材533の内側と外側とを封止するシールを挟んで押圧されるプラズマ処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧された装置内部で処理対象を処理する真空処理装置に係り、特に装置内において処理対象の半導体基板(ウエハ)をプラズマを用いて処理する装置に係る。
【背景技術】
【0002】
上記のような装置、特に、減圧された装置内において処理対象を処理する装置においては、処理の微細化、精密化とともに、処理対象である基板の処理の効率の向上が求められてきた。このために、近年では、一つの装置に複数の処理室が接続されて備えられたマルチチャンバ装置が開発され、処理対象の基板に対して一つの装置で複数行程の処理を施すことにより、処理の効率を向上させることが行われてきた。
【0003】
このような複数の処理室あるいはチャンバを備えて処理を行う装置では、それぞれの処理室あるいはチャンバが、内部のガスやその圧力が減圧可能に調節され基板を搬送するためのロボットアーム等が備えられた搬送室(搬送チャンバ)に接続されている。
【0004】
このような構成により、処理前または処理後の基板は1つの処理室から他の処理室へ減圧されたり不活性ガスが導入された搬送室内を搬送され、外気と接触することなく処理が連続的に施される。このため基板の汚染が抑制され処理の歩留まりや効率が向上する。
【0005】
また、処理室や搬送室の内側を昇圧あるいは減圧する時間を省いたり削減したりすることができ、処理の工程が短縮され基板の処理全体に係る手間や時間を抑えて処理の効率が向上する。
【0006】
また、このような装置では各処理室が装置から着脱可能に備えられており、装置本体を交換しなくとも処理室やその組合せを換えることで新しい処理のプロセスに対応することができ、ひいては基板処理を行って製品を製造するコストを低く抑えることができる。
【0007】
このような処理室が着脱可能に設けられた真空処理装置の従来の技術は、特許文献1に開示されたものが知られている。この従来技術では、半導体ウエハを処理する各プロセスチャンバがウエハ搬送チャンバに着脱可能に取り付けられている。さらに、各プロセスチャンバはその下方にX軸、Y軸あるいはZ軸方向の移動ステージが備えられ、これらのステージの移動によって各プロセスチャンバのウエハ搬送チャンバへの取り付け位置を調節するものである。本従来技術は、このような構成により各プロセスチャンバの搬送チャンバに対する位置決めを容易にして着脱作業を容易にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−267808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来技術では、次のような点について考慮が足らず、問題が有った。
【0010】
上記のように、複数の処理室(プロセスチャンバ)が装置に隣り合って配置される場合、装置下方の移動ステージを含むガイド機構のために着脱されるユニットの大きさが大きくなり、装置の接地面積が大きくなってしまう。このため装置が設置されるクリーンルーム等のフロア上の設置可能な台数が低くなり、複数台の装置を稼働して製品を製造する場合の製造効率が低くなってしまうという点については、考慮されていなかった。
【0011】
また、この設置面積を小さくしようとしてガイド機構を小さくすると、複数の処理室の間のスペースが小さくなるが、これが各処理室を接続/脱離作業を行ったりメンテナンスを行ったりする空間の低減につながり、脱着やメンテナンス作業の効率が低下して作業の時間が長くなり、ひいては装置が稼働していない非稼働時間が長くなって装置の稼働効率が低下してしまい、製造コストが高くなってしまうという問題が有ったが、これについても考慮されていなかった。
【0012】
また、上記従来技術では各処理室と搬送チャンバとの接続を考慮しているが、処理室内で処理を行うための各機器、例えば、処理ガス、空気の供給、排気機構や電源、処理室内の部品の冷却のための冷媒供給機構等の着脱作業を容易にするための構成については、考慮されていなかった。つまり、処理室の着脱の際、位置合わせ以外の作業の効率を向上するための構成について考慮されておらず、作業の時間が長くなり装置の稼働効率が損なわれてしまうという問題点が有った。
【0013】
さらに、各処理室の取り付け後、それぞれの処理室において安定して所期の性能を実現するための構成については考慮が足らなかった。すなわち、各処理室を取り付け後、取り付け前の処理室とは構成が異なる場合、取り付けた処理室毎に所期の性能が得られるように取り付け後の調整を行う必要が有り、着脱あるいはメンテナンスのための時間が長くなり、装置の稼働効率が低下してしまうという問題については考慮されていなかった。
【0014】
また、上記の従来技術では、1つの処理室がメンテナンスや着脱作業時には、ウエハ搬送チャンバに取り付けられた他の処理室では処理を行うことができず、ある特定の処理室の着脱やメンテナンス作業の間隔がその装置におけるこれらの作業の間隔となってしまい、他の処理室の処理が行えるにも係わらず装置が停止していた。このため、装置の稼働効率を著しく損なってしまっていたという問題点については考慮されていなかった。
【0015】
さらには、各処理室内の作業を行う場合、この処理室の内部の圧力を外気圧とほぼ等しくし、作業終了後には処理室で作業を行うため処理室内を減圧する必要がある。この昇圧/減圧の時間が長い場合には、相対的に処理室で処理することの時間を損なってしまうことになり、装置としての稼働効率が損なわれてしまい、ひいては製品の製造コストを大きくしてしまうという問題点については考慮されていなかった。
【0016】
本発明の目的は、小型で設置面積の小さい真空処理装置を提供することにある。
【0017】
本発明の別の目的は、メンテナンスや機器の取り付け、取り外しといった作業が容易な真空処理装置を提供することに有る。
【0018】
本発明の更に別の目的は、稼働効率を向上させた真空処理装置を提供することに有る。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記課題を解決するために、設置される床面に対してその位置が固定された側壁を有しその内側と外側とが封止可能な真空容器と、この真空容器の内部に配置されその上に処理対象の試料が載置される試料台と、この試料台と前記側壁との間で試料台の側方を囲んで且つ側壁と空間を空けて配置されその内側でプラズマが形成される略円筒形上の内側壁部材と、この内側壁部材の上端部または下端部の周縁に配置されフランジ部と、前記内側壁部材と前記真空容器の側壁との間の空間及び前記内側壁部材の内側を減圧するための排気手段とを備え、前記内側壁部材が前記真空容器内が減圧された状態でその上端部及び下端部がそれに接した部材から力を受けてその位置が前記真空容器の内側で固定されるとともに、前記フランジ部が前記力を受けて前記内側壁部材の内側と外側とを封止するシールを挟んで押圧されるプラズマ処理装置とした。
【0020】
本発明の他の特徴は、前記内側壁部材が前記フランジ部の外周端が嵌合わされて前記内側壁部材の位置が固定されるプラズマ処理装置にある。
【0021】
本発明の他の特徴は、前記シールが前記フランジ部の押圧される面においてその試料台側に偏らせて配置され、前記フランジ部の外周端が前記真空容器の大気側に面したプラズマ処理装置にある。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、小型で設置面積の小さい真空処理装置を提供することができる。また、メンテナンスや機器の取り付け、取り外しといった作業が容易な真空処理装置を提供することができる。さらに、稼働効率を向上させた真空処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】本発明の実施例に係る真空処理装置の全体構成を示す前方から見た斜視図である。
【図1B】図1Aに示す真空処理装置の全体構成を示す後方から見た斜視図である。
【図2A】図1に示す実施例に係る真空処理装置の構成の概略を示す上面図である。
【図2B】図1に示す実施例に係る真空処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図3A】各ユニットの構成の概略を示す斜視図であり、各処理ユニットのまとまりを示す図である。
【図3B】各ユニットの構成の概略を示す斜視図であり、各々のユニットを分けて示す図である。
【図3C】各ユニットの構成の概略を示す斜視図であり、各々のユニットを分けて示す図である。
【図3D】各ユニットの構成の概略を示す斜視図であり、各々のユニットを分けて示す図である。
【図4】図1に示す実施例の制御ユニットと各処理ユニットとの位置関係を説明する側面図である。
【図5A】図1に示す処理ユニットのうち処理ユニットにおける処理チャンバ部の構成の概略を示す縦断面図である。
【図5B】図5Aに示す実施例の放電室部及び真空室部の接続部分の構成を示す縦断面図である。
【図6】図5に示す処理ユニットの処理チャンバ部の構成の概略を示す横断面図である。
【図7】図5に示す処理室部の部品の取出しを説明する縦断面図である。
【図8】図5に示す処理室部の部品の取出しを説明する縦断面図である。
【図9】図6に示す処理室部の処理チャンバ部の下部の構成の概略を示す横断面図である。
【図10】図1に示す真空処理装置のエッチング処理ユニットの構成の概略を示す図である。
【図11】図10に示す処理ユニットの側面を示す図である。
【図12A】図10に示すベッドを本実施例の真空処理装置外側後方から見た側面図である。
【図12B】図10に示すベッドを本実施例の真空処理装置外側上方から見た上面図である。
【図13A】図10に示すベッドを本実施例の真空処理装置内側から見た側面図である。
【図13B】図10に示すベッドを本実施例の真空処理装置外側側方から見た側面図である。
【図14】図1に示す実施例の信号及び流体の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施例について、以下、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施例に係る真空処理装置の全体構成を示す斜視図である。図1Aは前方から見た図であり、図1Bは後方から見た斜視図である。
【0025】
この図において、本実施例の真空処理装置100は大きく前後2つのブロックに分けられる。装置本体100の前方側は装置に供給されたウエハが大気圧下で減圧されるチャンバへ搬送されて処理室へ供給される大気側ブロック101である。装置本体100の後方側は、処理ブロック102である。この処理ブロック102には、減圧してウエハを処理する処理室を有する処理ユニット103,103’及び104,104’とこれらの処理室にウエハを減圧下で搬送する搬送ユニット105及びこの搬送ユニット105と大気側ブロック101とを接続する複数のロック室とを備えており、これらは減圧されて高い真空度の圧力に維持可能なユニットであり、処理ブロックは真空ブロックである。
【0026】
大気側ブロック101は、内部に搬送ロボット(図示せず)を備えた筐体108を有し、この筐体108に取り付けられ処理用またはクリーニング用のウエハが収納されているウエハカセット109及びダミーウエハ用のダミーカセット110を備えている。さらに、搬送ロボットはこれらのカセット109,110とロック室ユニット106との間でウエハを搬入あるいは搬出する作業を行う。また、大気側ブロック101はその筐体108上に位置合せ部111を備えて、この位置合せ部111内において搬送されるウエハをカセット109,110或いはロック室ユニット106内のウエハ配置の姿勢に合わせてその位置合わせを行う。
【0027】
また、本実施例における処理ブロック102の処理ユニット103,103’,104,104’は、処理ユニット103,103’が、カセット109から処理ブロック102に搬送されるウエハのエッチング処理を行うエッチング室を備えたエッチング処理ユニットであり、処理ユニット104,104’がウエハをアッシング処理するアッシング処理ユニットであり、搬送ユニット105はこれらの処理ユニットが着脱可能に取り付けられ内部が高い真空度に減圧されて維持される搬送室112を備えている。
【0028】
さらに、この処理ブロック102には、上記処理ユニット103,103’,104,104’との間に配置され、これらのユニットあるいは処理室に必要なガスや液体等の流体の供給を調節する流量調節装置(Mass Flow Controller)を含む制御ユニット107a,107bが処理ユニット103,103’,104,104’に隣接して配置されている。また、処理ブロック102の下部には、上記した各々の処理ユニットに対応して各々必要なガス、冷媒の貯留部、排気部やこれらに電力供給する電源等のユーティリティを収納する矩形状のベッドとこれらを収納するフレーム106が配置されている。処理ユニット103,104の処理室部分や制御ユニット107、ベッドはこのフレーム106から取外し及び取り付け可能に構成され配置されている。
【0029】
図2は、図1に示す実施例に係る真空処理装置100の構成の概略を示す平面図であり、図2Aは上方から見た図、図2Bは側方から見た図である。本実施例において、装置本体100の前方側に配置された大気側ブロック101は、大気圧下でウエハを搬送、収納、位置決め等の取り扱いをする部分であり、後方側の処理ブロック102は、大気圧から減圧された圧力下でウエハを搬送、処理等を行いウエハを載置した状態で圧力を上下させる部分である。
【0030】
また、上記の通り、搬送ユニット105を構成する搬送室112と大気ブロック101との間には、これらを接続しこれらの間でウエハをやりとりするロック室113,113’が配置されている。これらロック室113或いは113’は、その内側が減圧され搬送室112内部に配置されたロボットアーム(図示せず)に載せられて搬送されてきたウエハが設置された後内側が大気圧まで昇圧されて大気側ブロック101内に配置された別のロボットアーム(図示せず)に載せられて大気側ブロック101側に取り出される。この取り出されたウエハは、前記カセット109内の元の位置に戻されるか、これらのいずれかのカセットに戻される。あるいは、これらカセット109のいずれかから前記ロボットアームにより取り出されたウエハが外気圧に設定されたロック室113aまたは113b内に設置された後、内部が減圧されて同じく減圧された搬送室112内のロボットアームに載せられて搬送室112内を通って前記処理ユニット103,103’または104,104’のいずれかに搬送される。
【0031】
上記作動を行うために、ロック室113または113’には、大気側ブロック101と搬送ユニットの搬送室との間を接続して、この内側に搬送されるウエハが載置された状態で内部の圧力を上昇あるいは減少させ、これを維持するガス排気装置とガス供給装置とが接続されている。このため、このロック室113は、その前後に開放あるいは閉塞して内部を密封するゲートバルブ(図示せず)が配置されている。さらに、これらの内側にはウエハが載置される台を配置しておりウエハが内部の圧力の上昇、下降の際に移動しないよう固定する手段を備えている。つまり、これらロック室113,113’は、内側にウエハを載置した状態で、形成される内外の圧力の差に耐えてシールする手段を備えた構成となっている。
【0032】
上記のように、搬送ユニット105は、内側が減圧され各処理室103,104とロック室113との間でウエハを搬送するロボットアーム(図示せず)が内部に配置された搬送室112と、上記複数のロック室113,113’とで構成されている。なお、本実施例では、試料搬送装置5061台を搬送室112内部に配置して、搬送室112の周囲に配置した4台の処理ユニットと大気側ブロック101との間で試料をやりとりする。
【0033】
また、上記のように、本実施例では、処理ユニット103,103’及び104,104’は、エッチング処理ユニット2つとアッシング処理ユニット2つとからなり、これらユニットは、搬送ユニット105の多角形の搬送室112の各辺に接続されて備えられており、エッチング処理ユニット103,103’の2つは搬送室112の奥側の2つの辺に接続され、アッシング処理ユニット104,104’の2つはそれぞれがエッチング処理ユニット103,103’の隣接する辺に接続され、さらに搬送室112の残る辺にロック室113,113’が接続されている。つまり、本実施例では、搬送室112の周囲に2つのエッチング処理室と2つのアッシング処理室とを備えている。
【0034】
また、本実施例は、これら搬送ユニット105に接続された処理ユニット103,103’及び104,104’はこの搬送ユニット105に対して着脱可能に構成されていると共に、搬送ユニット105において、ロック室113,113’と搬送室112とは、着脱可能に構成されて接続されている。
【0035】
本実施例において、これら処理ユニット103,103’及び104,104’と、搬送ユニット105とを含んで構成される処理ブロック102は、大きく上下に分けられ、それぞれ、その内側が減圧されて被処理対象の半導体ウエハ等の試料が取り扱われるチャンバ部とこのチャンバ部の下方に配置されてこれを支持しており、これらチャンバに必要な機器が内側に配置されるフレーム106である。さらには、前記処理ユニットは、処理室を内側に含むチャンバ部及びこの処理室に対応したユーティリティを収納するベッド部とに分けられる。
【0036】
本実施例において、フレーム106は、搬送チャンバ112の下方に配置されたセンターフレーム204と、この周囲に配置された4つのベッドフレーム205とを有して構成される。センターフレーム204は搬送ユニット105或いは搬送チャンバ112の下方に配置されてこれらとこれらに接続された処理ユニットや機器を支持する支持台であり、このために必要な強度を備えるように梁により略直方体形状に構成されている。このセンターフレーム204の内側には空間があり、上記したユーティリティや各処理ユニットに必要な配管、配線が配置されて収納される空間として用いられる。
【0037】
また、センターフレーム204は、搬送チャンバ112の中央側に配置され、特に本実施例では、搬送チャンバ112の床への投影の内側に位置するように配置されており、このセンターフレーム204の周囲に各処理ユニット用のベッドフレーム205が配置される。すなわち、略直方体形状のセンターフレーム204の4つの辺、または面に対向してこれらと適宜空間を空けて略直方体形状のベッドフレーム205が4つ配置されている。このとき、各ベッドフレーム205は搬送チャンバ112の下方に入り込むように配置されており、上記搬送チャンバ112の床への投影面に重なるように位置して、処理ブロック102の設置面積をより小さくするようにしている。
【0038】
本実施例では、ベッド部はベッドフレームとこの内側に収納されて配置されるベッドとを有して構成されている。ベッド部は、略直方体形状を有し、上部のチャンバ部に必要なユーティリティ、制御器、熱交換器等を内部に収納する。ベッドフレームは、その上方に配置されたチャンバ部を支持する強度を有し、梁が構成する略直方体形状を有しており、その内側にベッドが、その外側にこれを覆うプレートが配置されている。
【0039】
ユーティリティは、例えば、処理室内を減圧するための排気ポンプや温度調節器、各センサ等に電力を供給するための電源、各処理ユニットに入出力される信号を授受してこれを調節するための信号インターフェース処理室内で試料であるウエハがその上に載置され固定される試料台に供給するためのガスの貯留部、試料台を冷却するための冷媒の貯留部や冷媒を熱交換して循環させるための冷凍サイクルの熱交換器が挙げられる。
【0040】
ベッドは、これらのユーティリティを収納し、略直方体形状のベッドフレームに接続されてこれに収納されている。また、このフレーム106を構成するベッドフレーム205内には、収納するベッド内の各ユーティリティが駆動されるに必要なインターフェース部を備えている。処理室(チャンバ)部は、搬送室112とその各辺において所定の接続用のゲートで接続される。また、この処理室部に対応するベッド部は搬送室112の下方のフレーム106に収納され装置本体100と接続される。
【0041】
本実施例では、各処理室部とこれに対応するベッド部との組合せが1つの処理ユニットを構成している。この1つの処理ユニットがまとまりとして、装置本体100或いは搬送ユニット105(搬送室112)に取付、取外し可能に接続されている。また、1つの処理ユニットにおいて、処理部は搬送ユニット105に接続された状態で、下方の対応するベッド部を取付/取外ししてもよく、逆にベッド部をフレーム106に接続した状態で上方の処理室部を取付、取外ししてもよい。
【0042】
さらに、大気側ブロック101の後方で、処理ブロック102との間には、ロック室113が配置されているが、フレーム106あるいは各ベッドとの間に間隙が形成されている。この大気側ブロック101の背面側は、処理ブロックに供給されるガス、冷媒、電源等の供給路となっている。すなわち、このような真空処理装置100が設置される場所は、典型的にはクリーンルームのような空気が浄化される室内であるが、複数の装置を設置する場合には、装置本体100に供給される各種のガス、冷媒、電源は、別の箇所に、例えば、装置本体を設置するフロアとは別フロアに纏めて配置して各装置本体に管路を付設して供給されるものが、一般的である。本実施例は、別箇所からのガスや冷媒の管路、あるいは電源からの電線といった供給ラインの接続インターフェース201が大気側ブロックの背面部に設けられている。
【0043】
さらに、接続インターフェース部201で処理ブロック102側へ供給される各ユーティリティの供給路に接続される。接続インタフェース部201からの管路や電線等の供給は、供給ブロック203として纏められ、ロック室113下方と搬送室112の中央部下方を通り、フレーム106を構成する各ベッドフレーム205に設けられたインターフェース部を介して各ベッドに接続されている。また、処理に必要なガス等一部は処理ユニット103,104の間で制御ユニット107上でこれに隣接して配置された供給路204を通り、制御ユニット107に接続される。
【0044】
従来は、このような別フロアの供給源から各処理室に別々に導くよう管路や電線等を付設していたため、処理室を整備調整したり別の使用のものに交換したりする場合には取外しや取付作業が繁雑となって作業効率を損なっていた。また、各管路や電線を調節したりこの流れの状態を表示するメータ等の表示手段は、各々の処理室毎に設けられているため使用者が装置の動作状態を判断することが容易ではなかった。また、各処理室周りにこれらの管路が付設されているため、装置全体での必要な設置面積が実質的に大きくなって、1つのフロアに設置できる装置の数が減少してしまったり、作業のためのスペースが低減して作業効率を低下してしまったりするという問題が生じていた。本実施例では、上記の通りの構成により、十分な作業スペースを確保すると共に動作確認を容易に行えるように構成され、また、設置面積が低減する。
【0045】
すなわち、上記接続インターフェース201で接続されて処理ブロック102側へ供給される各供給ラインの状態を検知する検知手段とこの検知された出力の結果を表示して使用者が容易に装置の動作状態を検知できるよう検知出力を表示する表示手段を備えた表示部202が筐体108の背面部に配置されている。また、これらの供給ラインによる供給を調節する或いは調節の指令を入力できる調節手段を設けても良い。
【0046】
また、この筐体108の背面と処理ブロック102のフレーム106との間に間隔が設けられており、この間隔は使用者が入って処理ユニット104や搬送室112、ロック室113について作業することができるスペースであると共に、接続インターフェース部201や筐体108背面の表示部202を確認したり、調節、整備したりすることができるスペースとなっている。さらに、これら供給ラインからの供給に係る装置の動作に関する情報の表示と調節する手段とを集中的に配置している。これにより、装置を稼働させるために必要な作業が容易になり、装置の稼働効率が向上する。
【0047】
また、本実施例では処理側ブロック102の各ユニットに必要なユーティリティの供給路は纏めて配置されている。装置100の設置フロア下のフロア等の他箇所からの供給管や電線等の供給路を纏めて大気ブロック101の筐体108背面に配置したことで、装置本体100をフロアに設置する場合や装置の整備や交換作業を行う場合で供給路の取付、接続、取外しの作業が容易となり作業効率が向上する。
【0048】
また、本実施例では、接続インタフェース部201からの管路や電線等の供給ラインは、纏められて配置され、ロック室113下方と搬送室112の中央部下方を通り、本実施例では搬送チャンバ112下方のセンターフレーム204内側の空間に配置されて、フレーム106を構成するベッドフレーム205に配置されたインターフェース部を介して各ベッドに接続されるが、接続インターフェース部201からの供給ラインの各管路、電線が直接フレーム106内ベッドに収納された装置に接続されるようにしても良い。
【0049】
つまり、各ユニットが搬送室112を囲むように配置され、上記の供給路203が配置される空間は、装置の内方側あるいは中央部側に配置されている。このような配置空間は、搬送室112、ロック室113の下方であって、各処理ユニットのベッドの間の空間に配置される。このため、供給路203の取付、接続、取外しといった作業のための空間が確保でき、作業が容易となり作業効率が向上し、ひいては装置の稼働効率が向上する。また、ユーティリティの接続部が装置の内方側、つまり搬送室113の下方であり、各ベッド間の空間に面するように配置されているので上記作業のための空間が少なく、装置の周囲に配管や線路とその接続部等を設ける場合よりも設置面積が低減され同じフロア面積に対して設置可能な台数が増大する。
【0050】
図3は、図1に示す本実施例における各ユニットの構成の概略を示す斜視図である。図3Aは、各処理ユニットのまとまりを示している。一方、図3B,図3C,図3Dは各々のユニットを分けて示す図である。図3Bはエッチング処理ユニット103、図3Cはアッシング処理ユニット104、図3DはMFC(Mass Flow Controller)を含む制御ユニットを示している。
【0051】
この図のように、各処理ユニット103,104はそれぞれ上下に処理部103a,104aとフレーム106に収納され接続されるベッド部103b,104bとを備えている。これらのうちエッチング処理ユニット103の処理部103a,103bの間にはガスや循環する冷媒、電力の供給のための管路 、線路が配置されて両者を接続している一方で、図示していないフレーム106上に配置された複数の支持梁により処理部103aがベッド上に支持されている。制御ユニット107は、上記のようにエッチング処理ユニット103とアッシング処理ユニット104との間に配置されており、これらの処理ユニットのベッド部103b,104bのフレーム106上に取り付けられて配置されている。この制御ユニット107は、これを挟んで配置された処理ユニットが必要なガス等のこれら処理ユニットへの供給を調節する装置である。例えば、内部に配置された流量調節器がエッチング処理ユニット103の処理部103a内に配置された処理室(チャンバ)へのガスや電力の供給を調節する調節器が内部に配置されている。
【0052】
図4は、図1に示す実施例の制御ユニットと各処理ユニットとの位置関係を説明する側面図である。制御ユニット107がエッチングを行う処理ユニット103とアッシングを行う104の間に位置して配置されている。この制御ユニット107内には上記の通り各処理ユニットへの供給を調節する制御器401,402を備えている。
【0053】
本実施例では、エッチング処理ユニット103やアッシング処理ユニット104へ供給される処理ガス、処理室内の試料の温度調節に用いられるガス、冷媒の流量とその速度とを調節する流量調節器の複数が制御ユニット107内部に配置される。特に、制御ユニット107の内側において、エッチング処理ユニット用流量調節器が上方に、アッシング処理ユニット用流量調節器が下方に配置される。これらの流量調節器を含む制御ユニット内に配置された装置の整備、交換のために必要な開閉するアクセスドア403,404が上下に配置されている。
【0054】
例えば、処理室へ供給される冷媒や水といった液体、ガスの貯留部やこれらの流れを調節するバルブやこのバルブを駆動するモータ等の駆動手段が収納され配置される。こうした調節器は各処理室毎に用意される。何故なら、本実施例の処理ユニットは搬送室112或いは装置本体100から着脱可能な構成となっており、1つの装置本体100において異なる処理を行える処理ユニットを複数備えて試料であるウエハを処理するものであり、その処理も異なる処理に対して異なる仕様の処理ユニットを用意して処理ユニットを交換することで、1つの装置で多様な処理を行えることを特徴としている。異なるガス種類や温度等の処理の仕様の異なる処理ユニットに対応して、最適な処理の条件と装置の動作を実現するために、各々の処理ユニットについて独立した調節を実現することが望ましいからである。
【0055】
このような真空処理装置において、本実施例の制御ユニット107,107’は、2つの処理ユニットの間に配置されており、各ユニットに対して接続が容易に構成されている。このため、処理ユニットや制御ユニットの取付、取外しの作業が容易となり、作業時間が短縮される。
【0056】
また、制御ユニット107,107’内の各処理ユニットに対応する機器は、上下に配置されており、配置に必要なスペースを低減できる。処理ユニット同士の間の空間を有効に利用することで、処理ユニット同士の距離を小さくして装置全体の設置面積が低減される。また、各処理室へ供給される流体の流路長さの差異を低減することが容易となる。このため、処理ユニットあるいは処理室部の交換、変更の前後で、処理室への流路長の差異が抑制される。このようにして、整備、交換あるいは別ユニットの取付といった取付、取外しを行った場合に前後で性能の差が生じてしまうことを抑制し、使用者にとって、制御ユニット107での調節を容易にするとともに、装置全体の歩留まりを向上することができる。
【0057】
図10,11を用いて、エッチング処理ユニットの構成の詳細について説明する。図10は、図1に示す真空処理装置のエッチング処理ユニットの構成の概略を示す図である。図11は、図10に示す処理ユニットの側面を示す図である。
【0058】
これらの図において、エッチング処理ユニット103’上部を構成する処理チャンバ部103’aは、その内側が減圧されて電磁波が放射されて導入されプラズマが形成される放電室が備えられた放電室部1001と、この放電室部1001の下部に配置されて放電室と連通し同様に内部が減圧され放電室内のプラズマや反応生成物、ガスが放電室から流入する真空室部1002と、放電室部1001の上方に配置され前記放電室に導入される電磁波の電波源となる電磁波発生装置が配置された電波源部1003と、真空室部の下方に配置され前記真空室内と連通可能にされて真空室内のプラズマ、反応生成物等を排気するとともに真空室、放電室を減圧するための排気ポンプが配置された排気部1004を備えて構成されている。さらに、真空室部1002の下方でベッド部103’bと接続して真空室部1002を支持する支持梁1005が備えられている。なお、放電室部1001、真空室部1002、電波源部1003は、点線で示すカバーで覆われていてもよい。また、放電室部1001或いは真空室部1002と搬送チャンバ112との間で試料を搬送するための開口を有する接続部もこの処理チャンバ部103’aに備えられている。
【0059】
さらに、処理チャンバ部103’aの下方に配置されたベッド部103’bは、ベッドフレーム205とこの内側に配置されたベッド1000を備えている。さらに、このベッド部103’bの上方で処理チャンバ部103’aに隣接して制御ユニット107’が配置されている。上記の通り、この制御ユニット107’は、その内側に処理チャンバ部103’a或いは放電室部1001、真空室部1002に供給するためのガス、冷媒等の流体の流れを調節する流量調節器404’とともに、アッシング処理ユニット104’(図1,2に図示)用の流量調節器403’及びこれらの調節、保守作業をするためのアスセスドア402’,401’とが備えられている。
【0060】
また、図示されていないが、制御ユニット107’は、処理ユニット103’aの真空室部1001、電波源部1003を保持して上下に持上げ、降下して移動させ内部を開放して保守、点検作業を容易にするためのクレーン、リフター等の起重装置が備えられている。このため、制御ユニット107’は、その内側に取り付けられたこれら装置を支持して保持するために必要な強度を有するフレームを備えており、このフレーム内に上記流量調節器403’,404’が配置され、外側がプレートやアクセスドア401’,402’で覆われている。
【0061】
ベッド部103’bを構成するベッドフレーム205にはベッド1000が取り付けられており、このベッド1000内部にユーティリティが配置される。以下、図12,13を用いて詳細に説明する。
【0062】
図12は、図10に示すベッドを本実施例の真空処理装置外側後方から見た側面図(図12A)と上方から見た上面図(図12B)である。図13は、図10に示すベッドを本実施例の真空処理装置内側から見た側面図(図13A)と装置外側側方から見た側面図(図13B)である。
【0063】
これらの図において、ベッド部103’bは、ベッドフレーム205を構成して略直方体形状に構成された支持梁1201を有している。この支持梁1201はベッド1000を保持するとともに、前記支持梁1005、制御ユニット107’とが接続されてこれらを支持する。このために十分な強度を備えている。また、この支持梁1201の周囲に、金属製のプレートが取り付けられて内側を覆っており、ベッド部103’bの略直方体の表面を形成している。このプレートによりベッド103’bの上面は平面を構成し、必要に応じて作業者がこの上に載ることができる。このため処理ユニット103’a周囲の空間をメンテナンス用のスペースとして使用することができ、作業の効率が向上するとともに、装置の設置面積をより小さくすることができる。
【0064】
さらに、支持梁1201を構成する部材にはこのベッド1000内に配置されるユーティリティを収納する引出し1202と、この引出し1202をベッド部103’bの外側と内側との間で略水平に移動可能に支持するレール1203が取り付けられている。このため、通常はベッド部103’b内にユーティリティを収納しておき、必要に応じてユーティリティをベッド部103’b或いは装置100外側に移動させることができる。例えば、ユーティリティに含まれる電源装置の保守、交換や調節の場合にこれらに容易に接近できる。このために、作業が容易となり作業時間が短縮され、また、作業用のスペースの利用効率が向上する。
【0065】
本実施例では、これらのユーティリティは、処理チャンバ部103’aに備えられた各装置の電力を供給する電源装置1204,1205,1206この電力の供給を調節する調節装置1207である。上記引出し1202は、レール1203に支持されてこれに沿って移動可能であるとともに、レール1203、支持梁1201或いはベッドフレーム205から取り外し可能に構成され、別に用意した引出しと交換可能に構成されていてもよい。
【0066】
また、上記のようにベッドフレーム205には、装置100の内側または搬送チャンバ112の下方の空間に対向した部分、或いはセンターフレーム204に対向して面する側に、まとめ供給ブロック203の配線、配管とベッド1000内のユーティリティとの間を接続するためのインターフェース部1301が取り付けられている。このインターフェース部1301を介しベッド内部の装置と外部の装置とが接続される。また、このインターフェース部1301は、ベッド部103’b或いはベッドフレーム205について、水平方向のいずれか一方に偏らせて取り付けられ固定されている。
【0067】
インターフェース部1301は、ベッド1000内部の電源部1204〜1206、調節器1207等ユーティリティと装置本体との間の窓口であるとともに、これらの間の接続を調節する調節器である。このインターフェース部1301には、電源部1204〜1206への電力や、処理チャンバ部103’aと装置本体100との間のデータ信号、制御司令信号を授受するコネクタや、ベッド1000内に配置されたガス、冷媒等の流体の貯留部からの配管と装置本体100の纏め供給ブロック203内の配管との間の接続を行うコネクタが配置されている。
【0068】
ベッド1000に備えられた引き出し1202内に配置された電源1204〜1206等のユーティリティは、引出し1202の略水平方向への移動に伴って移動するよう引出し1202上に固定されている。このため、これらユーティリティとベッドフレーム205側との間の接続が引出し1202の移動に伴って保たれるように、延長接続チューブ1210に、配線を纏めて収納して配置している。さらに、インターフェース部1301のベッド内側にこのインターフェース部1301を介して授受される信号や電力の入出力を調節する調節装置1208が配置されており、この入出力調節装置1208を介して前記電源1204〜1206や電源調節器1207とが接続される。
【0069】
延長接続チューブ1210の一端は、引出し1201上に固定され、内部を通る配線が延長して引き出され引出し1202内に配置された各ユーティリティに接続される。他端側は、ベッド1000のベッドフレーム1205側に固定され、特に、調節装置1208側に固定されて内部の配線は調節装置1208に接続されている。延長チューブ1210は、引き出し1202の移動に伴って延び/曲げ自在にできるように、複数の間接部で隣接するものと連結して接続された複数のチューブを連ねて構成されている。引き出された際には、これら複数チューブが延びるように連なって引き出し1202と調節装置1208側とを繋ぎ、引き出し1202が収納された場合には、間接部を支点に曲げられた状態で引き出し1202と調節装置1208側とを繋いでいる。このような構成により、ユーティリティの保守、点検、取り付け、取り外し等の作業の際は、延長接続ケーブル1210を取り外すことで配線部を纏めて取り扱うことができ、ユーティリティのベッド1000への取り付け、取り外しや接続の入り/切りの作業が容易となる。
【0070】
また、本実施例では、ベッドフレーム205に固定されて移動しない部分にも、ユーティリティが配置されている。これらのユーティリティは、保守、点検や接続作業の頻度や接続の可否に応じて配置される。上記インターフェース部1301には、この引出し1202内に配置されずこれとともに移動しないユーティリティに関するコネクタも配置される。このようなユーティリティとしては、例えば、電力や信号配線の経路の接続をオン/オフする入出力スイッチ部1209や、ガスや冷媒の貯留部1212が挙げられる。これらや、ベッドフレーム205自体やこれに取り付けられた平板状の固定搭載板1202’上に配置される。
【0071】
本実施例では、ベッド部103’b、ベッド1000、引出し1202の取り外しや、処理チャンバ部103’aの保守、点検等の作業の際に、ベッド部103’bへの電力、信号の全体を一斉に、あるいは指定した一部を入り/切り可能なスイッチ1211を備えている。このようなスイッチ1211の操作により、処理チャンバ部103’aへ供給される電力や信号が入り/切りでき、処理ユニット全体或いは特定の一部の動作をオン/オフできる。このようなスイッチを操作することで、保守、点検の作業に必要な時間が短縮され、作業が容易となる。また、作業の確度が向上し、作業の安全性が向上する。本実施例は、このスイッチ1211を入出力調節装置1208上のベッド1000内表面に配置しており、引出し1202を引出しすれば容易にスイッチ1211に接近でき操作が可能となる。
【0072】
また、こうしたスイッチ1211は、インターフェース部1301上に設けてもよい。インターフェース部1301は、ベッド部103’bの取り付けや取り外し、あるいはユーティリティの取り付け/取り外し、または保守点検の際に使用者が使う部分であり、できるだけ近くにスイッチ1209を配置することで使用者がこのスイッチの操作の必要性について認識しやすく、安全性や作業の効率が向上する。
【0073】
図14に、本実施例の信号や電力等の配線、ガス、熱交換媒体等の配管の接続の概要を説明する。図14は、図1に示す実施例の信号及び流体の流れを示す模式図である。特に、本図14は処理ブロック102を上方から見た状態で、各ユニットでの配線、配管の接続の概略を示している。この配線、配管の接続において、信号、電力あるいはガス、熱交換媒体等の流体は、装置100が設置された床下に配置された電源部1401及びガスや熱交換媒体を貯留している流体源である貯留部1402から装置100に配置された接続インターフェース202及び表示部202を介して処理ブロック102の各処理ユニットに伝達される。また、配線、配管は表示部202を通って、その周囲に各処理ユニットが配置された処理ブロックの中央側(内方側)を通るように配置されて一端が各処理ユニットと接続されている。
【0074】
つまり、表示部202からの配線、配管は、ロック室、搬送室112を含む搬送ユニット105の下方でこれらを支持するベースフレーム204の内側の下方に配置された配管、配線用の配置スペース1403内に纏められて設置されている。この配置スペース1403内に配置された各配線、配管は、略直方体形状のベースフレーム204の側面部の周囲に配置された各処理ユニット下部に配置された各ベッド部のインターフェース部で各処理ユニットと接続される。
【0075】
配置スペース1403内に配置された配線、配管は、配線は処理ブロック102の左側と右側とに配置される処理ユニットのための供給或いは戻り用の配管、及びこれら用の信号及び電力の配線が右側、左側用それぞれに用意されており、これらが各々纏められて配置されている。供給用の配管は、配置スペース1403の処理ユニット側出口の外側でエッチング処理ユニット103及びアッシング処理ユニット104毎に分岐されて各々の処理ユニット用に配管が配置される。戻り用の配管は、逆に各処理ユニット用の配管がその内部を流れる流体が合流して配置スペース1403内を流れるように接続される。一方、配置スペース内では1つに纏められた複数処理ユニット用の配線は配置スペース外では各処理ユニット毎に分離される。
【0076】
分岐後の配管は各処理ユニットのインターフェース部に接続される。例えば、右側エッチング処理ユニット103のベッド部103bのインターフェース部1301やアッシング処理ユニット104のベッド部104bのインターフェース部1401に接続される。エッチング処理ユニット103のベッド部103bにおいて、その搬送室112下方側を向いた面の一方に偏らせて配置されベースフレーム204に対向する位置に配置されたインターフェース部1301に接続された配管は、ベッド部103b内でベッド1000に固定された部分に配置される貯留部1212に接続され、この貯留部1212からベッド部103b上方の制御ユニット107内に搭載された制御器402に接続される。この制御器402からエッチング処理ユニット103の処理チャンバ部103aに対して流体が供給される。
【0077】
一方、エッチング処理ユニット103のインターフェース部1301に接続された配線のうち、一部は電源装置1204に代表されるユーティリティに接続され、他の一部は調節装置1208を介して電源装置1204等ユーティリティへ接続される。また、調節装置1208からはこの調節装置1208を介して直接処理チャンバ部103aと、他の一部は電源装置1204を介して処理チャンバ部103aと接続される。
【0078】
他方、アッシング処理ユニット104のベッド部104bにおいて、その搬送室112下方側を向いた面の一方に偏らせて配置されベースフレーム204に対向する位置に配置されたインターフェース部1401に接続された配管は、ベッド部104b内でベッド1000に固定された部分に配置される貯留部1412に接続され、この貯留部1412からベッド部104b上方の制御ユニット107内に搭載された制御器401に接続される。この制御器401からエッチング処理ユニット104の処理チャンバ部104aに対して流体が供給される。
【0079】
一方、アッシング処理ユニット104のインターフェース部1401に接続された配線は、エッチング処理ユニット103と同様に、そのうちの一部は電源装置1404に代表されるユーティリティに接続され、他の一部は調節装置1408を介して電源装置1404等ユーティリティへ接続される。また、調節装置1408からはこの調節装置1408を介して直接処理チャンバ部104aと、他の一部は電源装置1404を介して処理チャンバ部104aと接続される。
【0080】
本実施例のインターフェース部1301は、略直方体形状のベッド部の搬送室側或いは搬送室の中央側に向いた面に配置され、特に、左右のいずれか一方に偏らされて配置されており、搬送室の中央側または内側により近い位置に配置されている。また、略直方体形状のベッド部同士をその面を対向させて配置させる場合に、インターフェース部同士がより近い位置に配置される。このようにすることで、インターフェース部での配管、配線の取り付け/取り外しの作業をまとめて行うことができ、作業の効率が向上する。さらに、ベッド部同士をより近接させて配置でき、装置全体の設置面積をより小さくできるとともに、処理ユニットの下方で作業者が載って作業できる足場をより広く確保して装置の設置効率を向上させることができる。
【0081】
さらには、必要な場合のみにベッド部内の装置を引き出して作業できるので、装置周囲に必要な作業用スペースを抑えることができ、装置の設置面積の低減と設置効率の向上が可能となる。
【0082】
次に、本実施例の処理ユニットの構成の詳細について図5乃至図9を用いて説明する。まず、図5,6を用いて処理ユニットの特徴的な構成について説明する。図5Aは、図1に示す処理ユニットのうち処理ユニットにおける処理チャンバ部の構成の概略を示す縦断面図である。図6は、図5Aに示す処理ユニットの処理チャンバ部の構成の概略を示す横断面図である。特に、エッチング処理ユニット103の処理室部の構成を示している。
【0083】
この図において、処理チャンバ部103aの上部を構成する処理室部500は、搬送室112に接続されておりこれらの間に配置された開閉する大気ゲートバルブ514によりその間が連通あるいは遮断される。この大気ゲートバルブ514が開放された状態で搬送室112内部の空間と処理室部500の内側の空間とが連通し両者の圧力は略等しくなる。大気ゲートバルブ514の開放時に試料であるウエハが搬送室112内部から処理室部内に配置された試料台504上に搬送されて載置される。
【0084】
本実施例では、試料が試料台504上に試料が載置されたことを検知して確認後大気ゲートバルブ514を閉塞し処理室部500内部と搬送室112内部とを遮断し、処理室部内を密封して処理を開始する。処理室部500を搬送室112から取外し、或いは整備する作業を行う場合、大気ゲートバルブ514は閉塞状態とし、処理室部500内を大気圧まで昇圧後この処理室部500の真空容器を形成する外側チャンバ511,512内を開放して大気に暴露する。
【0085】
この図に示すように、処理チャンバ500の上部は放電室部1001が配置されており、この放電室部1001は、真空容器の蓋を構成する蓋部材542と、この蓋部材542の内側に配置されたアンテナ部材と、このアンテナ部材の側方と上方とに配置され放電室部を囲んで配置された磁場発生部と、このアンテナ部材の下方に配置された天井部材とを含んで構成されている。また、磁場発生部上方にはアンテナ部材が放出するUHF帯やVHF帯の電波を供給する電波源部525が配置されている。アンテナ部材はSUS等の導電性部材で構成された蓋部材542の内側に配置された平板形状のアンテナ526と、このアンテナ526と蓋部材542との間に配置されてこれらの間を絶縁するとともにアンテナ526から放出される電波を下方の天井部材側に伝導するために配置されたリング形状を備えた少なくとも1つの誘電体528を有している。
【0086】
さらに、天井部材は、伝達されてきた電波を下方の処理室内側に伝導するため石英等の誘電体で構成された(石英)プレート503と、この石英プレートの下方に配置されて供給された処理用のプロセスガスを処理室の内側に分散して導入するための複数の孔が形成されたシャワープレート534を有している。
【0087】
シャワープレート534の下方であって試料台504の上方に形成された空間は、供給されたプロセスガスに石英プレート503を通って導入された電波と磁場発生部から供給された磁場との相互作用によりプラズマが形成される放電室532となっている。さらに、石英プレート503とシャワープレート534との間は微小な隙間を空けて空間が形成されており、この空間に放電室532に供給されるべきプロセスガスが先ず供給され、シャワープレート534を貫通してこの空間と放電室532とを連通してプロセスガスが通流する上記孔を通って放電室532に流入する。上記空間はプロセスガスが複数の孔から分散して放電室532に流入するよう設けられたバッファ室529となっている。このプロセスガスは、プロセスガスライン501及びプロセスガス遮断バルブ502を介してガス等流体の処理ユニット103への供給を調節する制御器402から供給される。
【0088】
このようにして、複数の孔からプロセスガスを分散して放電室532に導入するとともに、これらの孔は試料台504上に試料が載置される位置に対向した位置を主にして配置されており、ガスをより均一となるように分散できるバッファ室529の働きとともに、プラズマの密度を均一にすることを図っている。また、蓋部材542の下方で石英プレート503及びシャワープレート534の外周側には下部リング537が配置されており、この下部リング537の内部にはバッファ室529にプロセスガスが通流するガスライン501と連通したガス通路が設けられている。
【0089】
さらに、シャワープレート534の下方には、下部リング537とシャワープレート534とにこれらの下面で接して配置され真空容器の内側でプラズマに面して放電室532の空間を区画する放電室内側壁部材533が備えられている。この内側壁部材533の外周側にはこれを取り囲んで配置された放電室外側壁部材536が備えられており、この放電室の内側壁部材533の外側の壁面と外側壁部材536の内側の壁面とが対向して接触している。なお、本実施例では、内側壁部材533、外側壁部材536は各々略円筒形状を有しほぼ同心となるように構成されている。外側壁部材536の外周面には、ヒータが巻き付けられて配置され、外側壁部材536の温度を調節することでこれに接触した内側壁部材533の表面の温度を調節している。
【0090】
この外側壁部材536の外周側には、その下面に接触する放電室ベースプレート535が配置されている。この放電室べースプレート535の下面でその下方に配置される真空室部と接続する。なお、内側壁部材533は放電室532内部のプラズマ、電極の役目を果たす試料台504に対する接地電極の作用をする部材でもあり、プラズマの電位を安定させるために必要な面積を有している。この接地電極としての作用のために、接触されて接続される外側壁部材536或いは蓋部材537との間での熱伝導とともに導電性を十分確保する必要が有る。
【0091】
内側壁部材533と外側壁部材536及び蓋部材537とはともに、導電性を有する部材で構成され、処理室部500外側の大気側へ露出されており、接地のための配線の接続が容易となるように構成されている。
【0092】
本実施例では、上記のように放電室部1001の下方に真空室部1002が配置され、真空容器を構成する真空室部1002の外壁部材は大きく上下に分けられる。上部は搬送室112またはこれに取り付けられ搬送室112を構成する部材にボルト等で取り付けられその位置が固定された上部外側チャンバ511である。一方、下部は上記上部外側チャンバ511の部材に下方からボルト等で取り付けられ固定され、さらに、下方からベッド部103bのベッドフレーム205上に取り付けられた支持梁1005に支持されている。つまり、上部、下部外側チャンバ511,512は、搬送室112またはベッド部103bに対して、或いは装置100が設置される床面に対してその位置が固定されている。
【0093】
ここで、処理室部500の真空室部1002の外壁を構成して上下に配置された外側チャンバ511,512の内側に1つ以上のチャンバが配置されており、一方が他方の内側に配置された多重チャンバとなっている。本実施例では、内外2つのチャンバを有している。すなわち、上部外側チャンバ511の内側に内側チャンバ509が、下部外側チャンバ512の内側に内側チャンバ510が備えられている。つまり、上下2つの内側チャンバ509,510が備えられている。試料台504は内側チャンバ509,510の内側に配置されており、最も内側のチャンバの内部は、プラズマが形成され、ガス、反応性生物が流れて排気される真空室532’を構成する。
【0094】
この真空室532’は上方の放電室532と連通するとともに、説明するように内側チャンバ509と外側チャンバ511の間の空間と連通可能に構成され排気手段により減圧されるとともに、試料の処理の際に放電室532内のプラズマ、ガス、反応性生物が移動できるように配置されている。
【0095】
また、内側チャンバ509,510は導電性を備えて、外側チャンバ511,512に対して導通を有して、所定の電位とされる。内側チャンバ509,510は上記のようにその内側のプラズマと面しており、処理を安定させるため、あるいはプラズマ内の粒子との相互作用を安定にするために、特定の電位に設定される必要が有る。本実施例では、内側チャンバ509,510を接して接地地電位に設定している。これにより、上記放電室内側壁部材533と同様プラズマの電位が安定するとともに相互作用が安定する。
【0096】
接地させるため、内側チャンバ509、あるいは510は導電性部材で構成されており、内側チャンバ509の上端部あるいは下端部で導電性部材で構成された外側チャンバと導通するように構成されている。内側チャンバ510は、その下面で、同様に導電性部材で構成された下部外側チャンバ512の上面と接触して接続されており、導通が確保される。外側チャンバ511,512を配線接続して接地することで、内側チャンバ509または内側チャンバ510が接地される。
【0097】
また、真空室部1001上に搭載された放電室部1002は、放電室532及び真空室532’が減圧されるとともに、真空室部1002を押圧するように下方に微小距離移動して真空室部1002に力を印加する。このようにして真空室部1002と放電室部1001との接触する部分で、放電室部1001及び真空室部1002の内側と外側との間を封止するシールを有効に機能させる。
【0098】
上記した放電室部1001は放電室ベースプレート535が真空室部1002と接触してこれを押圧する。放電室ベースプレート535の下面は、試料台(電極)ベースプレート524の上面と接触し、この試料台ベースプレート524の下面が処理チャンバ500の上部外側チャンバ511の上面と接触し、これらが接続されている。放電室ベースプレート535は、一方で、上部内側チャンバ509の上端またはこの近傍を含む上端部に設けられたフランジ部の上方に配置され、このフランジ部を介して試料台ベースプレート524を上方から押しつけて押圧力を伝える構成となっている。上部内側チャンバ509のフランジ部の外周側において試料台ベースプレート535が上部外側チャンバ511を押しつけて接触しこれに押圧力を印加する。
【0099】
本実施の例では、真空室を構成する壁の表面の温度を調節して、その表面とプラズマやこれに含まれる粒子、ガス、反応性生物との相互作用を調節している。このようにプラズマとこれに面する真空室の壁面との相互作用を適切に調節することで、プラズマの密度や組成等プラズマの特性を所望の状態にすることができる。一方、本実施例の構成では真空室部1002を構成する内側チャンバ511、外側チャンバ512の間には排気手段により減圧されて高い真空度に維持される空間が有り、このため真空室532’を構成する内側チャンバ511の温度を調節するには工夫が必要となる。
【0100】
本実施例では、放電室ベースプレート535の内側に熱交換媒体が通流する媒体通路541を配置し、この媒体通路541内を水等の熱交換媒体が循環して通流することで放電室ベースプレート535の温度を調節し、この放電室ベースプレート535と内側チャンバ509の部材との間に配置されてこれらを接続する部材を介して内側チャンバ509の温度を調節している。つまり、放電室ベースプレート535と内側チャンバ509の側壁部材とが熱的に接続されており、両者間で熱が伝導されて熱交換される。熱伝導して熱交換が可能であれば、これらの間に別部材を配置してもよい。放電室部1001と真空室部1002とが接続される部分の詳細な構成を図5Bを用いて説明する。
【0101】
図5Bは、図5Aに示す実施例の放電室部及び真空室部の接続部分の構成を示す縦断面図である。蓋部材542の下方であって石英プレート503の下方及びシャワープレート534の側方にこれらの外周側を囲んで蓋下部リング537配置されている。この蓋下部リング537は、その下向きの表面が下方の放電室内側壁部材533の表面と対向して接している。また、石英プレート503はその上部は大気側に露出しており、放電室532、真空室532’が減圧された場合には大気に基づく外圧力が印加され、この力は蓋下部リング537、放電室内側壁部材533に対して下向きに押圧する力として伝達される。また、蓋下部リング537及び放電室内側壁部材533はその一部が外部の大気側に露出しており、このため石英プレート503と蓋下部リング537とが接触する面、及び蓋下部リング537と放電室内側壁部材533とが接触する面には減圧される内側と外側との間を封止するシールが配置されている。
【0102】
また、放電室内側壁部材533はその内側の放電室532を囲む略円筒形状を有し、その上部の外周側には円筒の外周に沿って略水平方向の外側に延在するフランジ部が設けられており、このフランジ部の上表面が蓋下部リング537の下面と対向して上記シールを介して接触し両者は接続される。放電室内側壁部材533のフランジ部下面の下方及びこの円筒形状部分の外周面に沿った位置に放電室外側壁部材536が配置されて、両者はこれらの面で接触し接続されている。この放電室外側面部材536の外周には、上記のように、その周囲に沿ってヒータ540が配置されており、このヒータ540は放電室外側壁部材536とこれに接続されている放電室内側壁部材533の温度を調節する。
【0103】
このように、放電室内側壁部材533は、そのフランジ部において蓋部材537を介して印加される押し付け力を受け、このフランジ部から下方の部材に力を印加して伝達しており、伝達された力を放電室外側壁部材536の上面で受けている。このように押圧する力を、2つの部材が対向して接触する面で受けることによりこの接触面での両者の接触面積が増大し熱伝導や導電の性能が向上する。放電室外側壁部材536の外周面は外気に露出しているため、放電室内側壁部材533と接触して接続する放電室外側壁部材536の上面にシールが配置されている。一方、内側壁部材533の外周面と外側壁部材536の内周面とが対向して接続される接触面には、シールは配置されておらず、この接続部分は放電室532或いは真空室532’に面しているのでこれらが減圧されるにともない減圧される。
【0104】
さらに、放電室外側壁部材536はその外周に沿って外周側に延在したフランジ部を有し、このフランジ部の下面と放電室ベースプレート524の内周端部の上面とが対向して接触して接続されている。両者は、放電室ベースプレート524上方から挿入されたボルトにより締結されている。この構成により、より大きな接触面積を得られ、押し付け力、熱を下方により効率良く下方に伝達でき、導電性も向上する。なお、本実施例では、放電室部外側壁部材536は熱伝達、導電性及び処理中の汚染等を配慮してアルミで構成されるが、放電室ベースプレート535は内部を熱伝達媒体が通流することから熱伝達、導電性とともに腐食を考慮してSUSの部材で構成されている。
【0105】
放電室ベースプレート524の下方には、上部内側チャンバ部材509が配置され、これらの間には、これら各々と接触して接続される中間部材509’が配置されている。なお、この中間部材509’は放電室532または真空室532’に面してこれらを区画する壁面を構成しており、プラズマ或いはガス、反応生成物に面する。この中間部材509’は放電室内側壁部材533の下端部の外周側にこの外周に沿って配置されたリング状の形状を有し、所定の大きさの幅を有するフランジ部を内周側と外周側とに有し、これらを繋げる段差部を有している。内周側のフランジ部は上部内側チャンバ509の上端と放電室内側壁部材533下端部との間に配置され、これらと接続する、中間の部材となっている。ここで内側フランジ部は、その内周端の端面で放電室内側壁部材533の下端外周面と接触し、内側フランジ部上面で放電室外側壁部材536の下面と接触し、接続されている。内側フランジ部上面と放電室外側壁部材536との接触面の外周側には、シールが配置されており、処理室外部の大気側と内側との間を封止している。この構成では、これらの接触面の内側の大部分は放電室532、真空室532’が減圧されるに伴って減圧され、接触面両側の部材の熱伝達が阻害される。
【0106】
さらに、中間部材509’の外側フランジ部は放電室ベースプレート535の下面と上部内側チャンバ509の上端部の表面とに接触して接続され、放電室ベースプレート535と上部内側チャンバ509とを接続している。上部内側チャンバ509は、外側フランジ部が接続される箇所では、その上端または上端近傍に略水平方向に延在するフランジ部を有してその上端部は断面が略L字またはT字となっている。このフランジ部上面と上方の中間部材509’の外側フランジ部下面とが接触されて接続されている。中間部材509’の外側フランジ部の内周側(真空室、放電室の中央側)或いは内側チャンバ509の側壁部上端のフランジ部の内周側には内側と外側との間を封止するシールが配置されている。中間部材509’の外側フランジ部の外周端部及び内側チャンバ509の側壁上端のフランジ部の外周端は、処理室部500の外部の大気に露出されるか、あるいは大気圧の外部と連通されており、その表面での圧力はおよそ大気圧となっている。
【0107】
このため、中間部材509’と内側チャンバ509の側壁部上端のフランジ部とが接触する面の間にあるいは中間部材509’の外側フランジ部と放電室ベースプレート535の下面とが接触する面の間に大気が存在している。さらには、この接触面には石英プレート503、蓋下部リング537等に印加される大気圧による押圧力が伝達され、接触面積を大きくしている。これにより、この接触部分を介した熱伝導や導電の性能が向上する。また、内側チャンバ509上端のフランジ部下面と試料台ベースプレート524の上面とが接触する接触面にもシールが配置されている。
【0108】
なお、放電室ベースプレート535をその下方に配置された真空室ベースプレート524に対してボルト等を用いて締結するさいに、上部内側チャンバ509を下方に押し付ける押圧力が掛かるとともに、そのフランジ部と接触して接続された部分で押し付けられる試料台ベースプレート524と上部内側チャンバ509の下部と接触して押し付けられる試料台504の支持ベース部材とに略垂直な方向に押圧力が掛かるよう、予め吊下げ梁505及びこれに支持された支持ベース部材523とがわずかな距離上方に浮いた状態となるように弾性を有する弾性リング538が、試料台ベースプレーと524と吊下げ梁505の上部との間に配置されている。
【0109】
処理対象である試料が内側チャンバ509,510内の試料台504上に載置されるには、内側チャンバ509あるいは510にウエハが搬送されることのできるゲートが必要となる。さらに、このゲートを開閉して密封してこのチャンバの内側と外側の空間を遮断し連通するバルブが必要となる。
【0110】
本実施例は、処理室部500の内側と搬送室112の内側との間に設けられたゲートを開放しあるいは閉塞して密封することで両者を連通、遮断する大気ゲートバルブ504と内側チャンバ509の内側と外側とを開放し或いは閉塞して密封することで両者を連通、遮断するプロセスゲートバルブ513とを備えている。大気ゲートバルブ514は、搬送室112の内側の側壁上に配置されて駆動手段522によって上下及び水平方向に移動可能に構成されており、内側側壁上でゲートを密封するよう閉塞し、あるいは開放する。また、真空容器を構成する外チャンバ509に、搬送室112と処理室部500が接続されたときに前記搬送室112側のゲートと連通する位置にゲートが設けられる。
【0111】
この位置は、図6に示すように搬送室112内のウエハ搬送用のロボットアームである試料搬送装置506がウエハを搬送する際にウエハ及びロボットアームの接触する等の処理の支障が生じない位置であることが必要である。また、内側チャンバ509が外側チャンバ511内に設置された状態で外側チャンバのゲート或いは搬送室112のゲートに対向する位置にプロセスゲートが配置されており、このプロセスゲートを通ってウエハが搬送される。
【0112】
さらに、このプロセスゲートを開放、閉塞して密封するためのプロセスゲートバルブ 513が、外チャンバ511と内チャンバ509との間の空間に配置され、プロセスゲートバルブ514は、その下方の駆動手段521によって上下及び水平方向に移動可能に構成されており、閉塞時に内チャンバ509の側壁上に配置されて内側側壁上でゲートを密封するよう閉塞し、あるいは開放する。プロセスゲートは、ウエハを搬送する搬送室内のロボットアームがウエハを搬送した状態でウエハ及びロボットアームと接触しない位置と形状で配置されている。
【0113】
上記の構成において、各ゲートバルブはウエハの搬送の際に支障がし生じないよう開放される。また、ウエハを処理する際には、最も内側のチャンバ、本実施例では内側チャンバ509に設けられたゲートを閉じるゲートバルブ、プロセスゲートバルブ513と大気ゲートバルブ514とは閉塞されて密封され、これらの内外の空間の間を遮断する。また、処理室を取外し、或いは整備作業等で真空容器を開放する場合には、大気ゲートバルブ514は閉塞された状態で、プロセスゲートバルブ513は開放され外側チャンバ511の内側における内側チャンバ509の内外の空間を連通する。この際、プロセスガスを処理室部500内には供給しないようプロセスガス遮断バルブ502を駆動してプロセスガスライン501を遮断して閉塞する。
【0114】
上記のように、本実施例では、プロセスゲートバルブ513を開放して外側チャンバ511内の内チャンバ509の内側、外側を連通し略同じ圧力に設定、あるいは調節可能に構成している。このようにすることで、この内側チャンバ509あるいは510は、内外の大きな圧力差による荷重が小さくなり部材の厚さや大きさを低減することができる。
【0115】
処理室部500の真空容器である外側チャンバ511の内側を整備作業をする場合には大気ゲートバルブ514を閉塞して外側チャンバ511内を密封してこれを確認後、プロセスゲートバルブ513を開放する。プロセスゲートが連通され内側チャンバ513内外の空間が連通された状態で、大気開放バルブ515を開放して処理室部500外部と内部とを連通させ、処理室部500内の外側チャンバ511,512内の圧力を昇圧して略大気圧まで上昇させる、すなわち、大気開放する。
【0116】
この大気開放後、処理室部500内を開放する。まず、処理室部500の外側チャンバ511の上部に配置されてこの内側を密封している蓋503を上方に持ち上げて開放する。この際、クレーン等で上方に持ち上げても良いが、予めヒンジ部を設けておき、ヒンジを軸にして上方に跳ね上げて180度以上開くようにしても良い。次に、内側チャンバ509を整備する作業を行う。この整備作業、例えば清掃や交換、修理等を容易に行えるようにするため、内側チャンバ509を外側チャンバ511から取出して、処理室部500から取外しても良い。
【0117】
上記のように、内側チャンバ509の内外が略動圧となるまで調整、あるいは維持可能な構成を備えるので、チャンバ部材の厚さが抑制される。このため、内側チャンバ509の重量が軽減され取外し等取り扱い作業が容易となり、作業時間が低減され装置の稼働効率が向上する。
【0118】
本実施例では、内側チャンバは上下2つ備えられており、試料台504のブロックの上下に509,510に分けられる。つまり、内側チャンバ509の下方に試料台504ブロックが配置されている。試料台504のブロックは、試料台本体504とこれを支持し試料台504を中心の軸にして軸周りに支持梁520を配置している。本実施例では、内側チャンバ509及び外側チャンバ511と試料台本体504とは略円筒形をしており、内側チャンバ509内の試料台504上の空間のガスが、この支持梁同士の間の空間であって内側チャンバ509の間の空間を通路として下方へ流れる。
【0119】
支持梁520は試料台本体504とこの本体の周囲に配置されたリング状の支持ベース部材523との間を連結して試料台504を内側チャンバ509内に保持している。上記支持べース部材523と支持梁520、及び支持ベース部材523と連結されてこれをつり下げるつり下げ梁505内には、上記試料台504本体へ供給されるガスや冷媒の供給管や電力の送電線がその内側に配置されている。このようにして、試料台本体504と支持梁520、支持ベース523とを一体のブロックとして持ち上げて外側チャンバ511外へ持ち上げて取出すことができる。このような試料台504の整備や交換等は内側チャンバ509の整備よりも頻度が少なく、ブロックとして一体に移動可能な構成とすることで、装置の整備作業の効率が向上できる。
【0120】
また、真空室部1002の下部には、真空室532’或いは放電室532の状態を検出するためのセンサ539が配置されている。すなわち、下部外側チャンバ512の側壁部には、センサを収納する穴が形成されこの内側に真空室532’内の圧力、ガス組成、プラズマの発光等を検知してこれらの状態を検出するセンサ539が配置されている。このセンサ539、またはこれを収納する穴に連通する通路が、下部外側チャンバ512、及び下部内側チャンバ510に形成されている。この通路の開口は下部内側チャンバ510の側面に配置されており、この通路を介して真空室532’内のガス、プラズマ等がセンサ539へ伝達される。
【0121】
試料台504のブロックの下方に下側の内側チャンバ510が配置されており、この内側チャンバ510の中央側部分には開口が配置されている。この開口部は内側チャンバ510の下方であって試料台504の下方に配置された排気バルブ507や排気ポンプ508を備えた排気手段と連通しており、試料台504の周囲を流れる内側チャンバ509内のガスが通流する部分である。つまり、試料台504周囲の支持梁520同士の間の空間と試料台504下方の内側チャンバ510内の空間が処理室部500内の処理ガス、プラズマ中の粒子や反応性生物の粒子が流れて排気される排気経路となっている。
【0122】
処理室部500の排気手段である排気バルブ507は、その下方に配置された排気ポンプ508と内側チャンバ510の内側の空間との間を連通あるいは遮断することのできる板状のシャッター複数を備え、このシャッターを回転させて開口している排気通路面積を可変に調節して排気流量や速度を調節するシャッター式排気バルブである。このように、本実施例では、排気手段が試料台504の下方、特に直下方に配置されている。そして、内側チャンバ509内の試料台504の上方の空間内のプラズマや処理ガス、反応性生物は試料台504の周囲とその下方の内側チャンバ510内の空間を介して排気バルブ507までの排気経路を流れる。
【0123】
複数の支持梁520は試料台504を中心の軸に略軸対象の位置に配置されており、各支持梁同士の間の空間を流れて試料台504直下方の排気バルブ507までの流れる各々の排気経路の長さは略等しくなるように構成されている。このため、試料台504上方のプラズマ中のガスや荷電粒子、反応性生物の流れは試料台504あるいはこの上に載置される略円板形状の試料であるウエハの周方向についてより均一に近くなり、このウエハ上方の空間においてプラズマ中の上記物質の粒子の分布はより均一となる。このため、ウエハの処理がより均一化される。
【0124】
本実施例では、排気手段は、シャッターを複数備えた排気バルブ507とその下方の排気ポンプ508とを備え、排気バルブ507はそのバルブが試料台504の直下方に配置されている。この複数枚の板状のシャッタは図のように各々略水平(ウエハ面方向)に配置され各々に取り付けられた軸を中心に各シャッタが回転して、前記内側チャンバ510の開口と排気ポンプ508との間で連通する面積を調節する。これらの軸を回転させて行くと各シャッタの板同士が接触をして前記開口を封止して閉塞する。また、各シャッターの板が試料台504方向(上方向)に略平行となった際に連通する面積が最も大きくなる。図示していないが排気バルブ507はこれらシャッタの回転を調節するモータ等の駆動手段を備えており、排気手段はこれらシャッタの開口面積と排気ポンプ508の駆動を調節することで排気の量とその速度とを調節している。
【0125】
また、図9にも示すように、試料台504下方で排気バルブ507上方には、外側下部チャンバ512に設けられた排気開口531’上部を覆ってこれを開閉(開口/遮断)する排気ゲートプレート530が配置されている。この排気ゲートプレート530は略円板形状を有し一部の外縁周端に外側に延在した腕部531の対を少なくとも1つをその一部として有し、この腕部531の下方に配置されたプッシャ531’の上端が上下に動作することで、この上端に繋がれた腕部531を持ち上げ/下げして排気開口531’を開閉する。この排気ゲートプレート530はその下方への投影面は上方の試料台504の投影面内に収まるように、また、腕部531’の投影面は上方の支持梁520の投影面内に収まるか、少なくとも一部が重なるように配置されている。
【0126】
また、図5Aに示すように、排気ゲートプレート530は、プラズマを形成して試料の処理を行う際にはプッシャ531によりその上方の試料台504部及び支持梁520の下面に近接或いは接触するまで持ち上げられ移動される。これにより、試料の処理に伴って排気される処理室内のプラズマやプロセスガスの残り、反応生成物等の流れが排気ゲートプレート530により阻害されることを抑制でき、排気の効率を向上させ、さらには支持梁520及び試料台504下方の真空室532’内の阻害され乱された排気の流れを安定させるために必要な空間が抑えられ処理チャンバ部がより小型化され排気時間の短縮、ひいては処理の効率が向上する。さらに、上記の構成では、粒子が排気ゲートプレート530に付着することを抑制している。このことによりこの排気ゲートプレート530の交換や付着物除去等のメンテナンスの間隔を長くできる。
【0127】
図7を用いて、処理室部500の内側の整備の作業を説明する。図7は、図5に示す処理室部の部品の取出しを説明する縦断面図である。処理室部500内の内側チャンバ509の内外の空間の圧力が略同一であることが確認された後、放電室部1001が開放される。まず、処理チャンバユニット103aに電力が供給されていないことを確認した上で、放電室部1001の上部に配置された電波源部525及びコイル527を含む磁場発生部と、下方の真空室部とともに真空容器構成する蓋部材527とその内側のアンテナ部材とを制御ユニット107内に配置したクレーンやリフター等の起重器を利用して上方に移動する。本実施例では、蓋部材542及びアンテナ部材とその下方のプレート503の上面とは、大気に露出されているので、これらの上方への移動は放電室532、真空室532’内側が減圧されている状態でも可能である。
【0128】
その後、プレート503、その下方の蓋下部リング537、シャワープレート534を上方に移動させ取り外す。さらに、放電室内側壁部材533を上方に持ち上げて取り外す。次に、放電室外側壁部材536、放電室ベースプレート535を上方に移動させる。本実施例では、これらはボルトで締結されて接続されており、これらを纏めて一度に移動させても良い。さらに、放電室ベースプレート535の搬送室112側の端部にはヒンジ部543が配置されており、このヒンジ部543を支点として、放電室ベースプレート535を、さらにはこれに接続された状態で放電室外側壁部材536を上方に持ち上げても良い。
【0129】
このようにして、放電室部1001が上方に移動されて、放電室532、真空室532’が大気開放される。次に、真空室部1002の内側の部材を取り外す。開放して大気暴露した外側チャンバ511の内側から上部の内側チャンバ509を上方に持ち上げて取出す。プロセスゲートバルブ513を外側チャンバ511内から取外すか、プロセスゲートバルブ513が内側チャンバ509から開放された状態にして内側チャンバ509を上方に持ち上げて取出す。その後、プロセスゲートバルブ513を取外し、外側チャンバ511外へ取出す。
【0130】
内側チャンバ509,510は、試料台504の支持梁520と支持ベース部材523を挟んで上下に分割されて配置されている。試料台504ブロックを一体で上方に持ち上げて外チャンバ511外へ取出した後、下部の内側チャンバ510を上方へ取外し、外側チャンバ511の内側側壁面を清掃あるいは修理等整備作業を行う。この作業について、図8を用いて説明する。
【0131】
図8は、図5に示す処理室部の部品の取出しを説明する縦断面図である。上記の通り、上部の内側チャンバ509を上方に取出して後、試料台504ブロックを持ち上げて処理室部500外へ移動させる。この移動は、図示するように予め試料台ベースプレート524に設けられたヒンジ部543’を軸にしてこの試料台ベースプレート524につり下げ梁505で連結された試料台504をブロックごと上方に回転して良いし、クレーン等起重器で上方に持ち上げても良い。本実施例では、ヒンジ部543、543’は各々位置を変えて配置されているが、処理室部500の搬送室112側に配置されており、処理室部500の内側を開放して保守、点検、交換等を行う際に、担当者が作業を行うためのスペースを処理室部500の周囲に確保している。さらには、試料台ベースプレート524は、その下方に吊下げ梁505によって繋がれた試料台504を有しており、ヒンジ543’を支点に回転させて持ち上げする場合の試料台504、支持梁505の通る空間を確保しなければならないが、ヒンジ部543’を搬送室112側に配置することで真空室部1002を小型化でき、搬送室112から試料を搬送するため搬送室112内に配置された試料搬送装置506のロボットアームの大きさを小さくして搬送室112を小型化できる。これにより装置の設置面積をより小さくすることができる。更には、搬送室112の上面にこれらヒンジにより持ち上げられた部材を載せておく、或いは支持する部材を配置できるので、作業の効率や安全性が向上する。
【0132】
試料台504のブロックを取出して後に下部の内側チャンバ510を取出す。取出された上下の内側チャンバ509,510は清掃、修理等の整備を受けるか、あるいは新しい部品と交換される。さらにこれら内側チャンバ509,510を取出した後、外側チャンバ511,512の内側側壁面を清掃し、必要に応じて修理等整備を行う。また、同様に排気バルブも必要に応じ整備、交換する。これらの作業を行った後、以上説明した手順と逆の手順で組み立てられる。蓋503を処理室部500に取り付け後、各ガスや冷媒、電力のラインを接続する。
【0133】
このように、本実施例では多重のチャンバの内のチャンバの外側のゲートと対向する位置にゲートとこれを開放、閉塞するバルブを備えている。外側のゲートをバルブを閉じて閉塞している際には処理室内内側を大気開放することで処理室を取外し、あるいは部品の取付、取外しが可能である。こうして、ユニットの処理室部の取付または取外しを他のユニットの処理室で処理を行いつつ実施できる。
【0134】
また、内側チャンバの内外を同じ圧力に調整、維持可能であり、内側チャンバ部材を軽減し取付または取外し作業が容易となり作業効率が向上しひいては装置の稼働効率が向上する。
【0135】
また、内側チャンバが上下に分割されており、取り扱いが容易となり、作業時間を低減し、装置の稼働効率が向上する。試料台をブロックとして取り扱い可能であり、作業頻度の相対的に低い部分はブロックとして纏めて移動させ、作業効率を向上させる。
【0136】
また、試料台の下方に、特に直下方に排気手段が配置され、プラズマ等の処理室内粒子の排気の経路が曲がることを抑制できる。これにより排気速度が向上し、作業時間が短縮され装置本体の稼働効率が向上する。さらには、試料台下方に複数枚のシャッタを備える排気バルブを備え、試料台下方での排気のバッファ空間が低減され排気時間がさらに低減される。
【0137】
また、試料台の支持梁はこの試料台を中心として略軸対象に配置され試料台下方の排気手段に対して排気の経路をより直行化できる。さらには、試料台の周囲を通る排気経路の長さに差異が生じることを抑制し、処理室内のプラズマ等の粒子の流れを均一化し試料台上のウエハ上方の粒子の密度がより均一化されウエハの処理が安定する。
【符号の説明】
【0138】
101…大気側ブロック
102…処理ブロック
103,104…処理ユニット
105…搬送ユニット
106…フレーム
107…制御ユニット
108…筐体
109…ウエハカセット
110…ダミーカセット
111…位置合せ部
113…ロック室
201…接続インターフェース
202…表示部
203…供給路
401,402…アクセスドア
500…処理室部
501…プロセスガスライン
502…プロセスガス遮断バルブ
504…試料台
506…試料搬送装置
507…排気バルブ
508…排気ポンプ
509,510…内側チャンバ
511,512…外側チャンバ
513…プロセスゲートバルブ
514…大気ゲートバルブ
515…大気開放バルブ
520…支持梁
521…駆動手段
522…駆動手段
523…支持ベース部材
524…外側蓋。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置される床面に対してその位置が固定された側壁を有しその内側と外側とが封止可能な真空容器と、
この真空容器の内部に配置されその上に処理対象の試料が載置される試料台と、
この試料台と前記側壁との間で試料台の側方を囲んで且つ側壁と空間を空けて配置されその内側でプラズマが形成される略円筒形上の内側壁部材と、
この内側壁部材の上端部または下端部の周縁に配置されフランジ部と、
前記内側壁部材と前記真空容器の側壁との間の空間及び前記内側壁部材の内側を減圧するための排気手段とを備え、
前記内側壁部材が前記真空容器内が減圧された状態でその上端部及び下端部がそれに接した部材から力を受けてその位置が前記真空容器の内側で固定されるとともに、
前記フランジ部が前記力を受けて前記内側壁部材の内側と外側とを封止するシールを挟んで押圧されるプラズマ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマ処理装置であって、前記内側壁部材が前記フランジ部の外周端が嵌合わされて前記内側壁部材の位置が固定されるプラズマ処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載のプラズマ処理装置であって、前記シールが前記フランジ部の押圧される面においてその試料台側に偏らせて配置され、前記フランジ部の外周端が前記真空容器の大気側に面したプラズマ処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のプラズマ処理装置であって、前記フランジ部と接して前記内側壁部材を押圧する部材がこの部材の上方に配置された部材に接合された状態で前記内側壁部材の上方に脱離可能に構成されたプラズマ処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のプラズマ処理装置であって、前記フランジ部が前記内側壁部材と前記真空容器との間で導通させる手段を挟んで押圧され前記内側壁部材の位置が固定されるプラズマ処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載のプラズマ処理装置であって、前記シールが前記内側壁部材と前記真空容器との間で導通させる機能を備えたプラズマ処理装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−50479(P2010−50479A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−245463(P2009−245463)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【分割の表示】特願2004−64638(P2004−64638)の分割
【原出願日】平成16年3月8日(2004.3.8)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】