説明

真空炉及びこの真空炉を用いた磁場中加熱処理装置

【課題】外側部材の材質にかかわらず外部への熱の放散を抑制しながら、赤外線による加熱下で真空状態を形成することが可能な真空炉及び、この真空炉を用いた磁場中加熱処理装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、赤外線を透過する素材で形成される内管14と、内管14との間に外側空間S2を形成する外管16と、外側空間S2内に配置され、加熱対象物Wに対して内管14を通じて赤外線を照射する加熱手段18と、加熱可能な位置に加熱対象物Wを保持する保持手段20と、外側空間S2内で加熱手段18と外管16との間を遮るように配置され、加熱手段18からの赤外線を反射する複数枚の輻射シールド板22とを備え、各輻射シールド板22は、外管16の内面と直交する方向に並び、隣り合う輻射シールド板22同士がその並び方向に互いに間隔を置くように、それぞれ配置されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空中で加熱対象物を加熱するための真空炉、及びこの真空炉を用いた磁場中加熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、酸化させることなく焼結や熱処理を行うために加熱対象物を真空中で加熱する真空炉としては、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
前記の真空炉は、図3に示されるように、ウエハ等の加熱対象物wを格納する石英チューブ102と、この石英チューブ102を外側から囲む加熱炉104と、この加熱炉104を外側から囲む外枠106とを備える。石英チューブ102は、石英で形成された上下に延びる管である。この石英チューブ102では、当該石英チューブ102に設けられた排気口108に真空ポンプ等の第1の排気手段(図示省略)が接続され、この第1の排気手段によって石英チューブ102内が真空排気されることで内部空間s1が真空となる。加熱炉104は、石英チューブ102内に格納された加熱対象物wを加熱するためのもので、当該加熱炉104の内側に向けて赤外線を発する。外枠106は、ステンレスで形成された箱型容器である。この外枠106では、当該外枠106に設けられた排気口110に第2の排気手段(図示省略)が接続され、この第2の排気手段によって外枠106内が真空排気されることで石英チューブ102と外枠106との間に形成される外側空間s2が真空となる。
【0004】
このように構成される真空炉100では、石英チューブ102内に加熱対象物wが格納されたあと、前記第1及び第2の排気手段(図示省略)によって内部空間s1と外側空間s2とがそれぞれ真空排気され、真空となる。このように真空にされたあと加熱炉104が赤外線を内側に向けて、即ち、石英チューブ102に向けて発する。この赤外線は、石英チューブ102内に透過され、加熱対象物wに到達する。このようにして到達した輻射赤外線により加熱対象物wが加熱されることで、真空中での加熱対象物wの加熱処理が行われる。
【0005】
このとき、加熱炉104によって石英チューブ102が加熱されて軟化するが、石英チューブ102の内部空間s1と当該石英チューブ102の周りの空間(外側空間s2)とが共に真空であるため、石英チューブ102の内部と外部とで圧力差が僅かにしか生じず、この圧力差による石英チューブ102の変形は生じない。
【特許文献1】特開平6−232065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の真空炉100では、外枠106の材質の選定が困難となる。例えば、外枠106が石英で形成されると、当該外枠106が加熱炉104からの赤外線によって加熱されて軟化し、真空の外側空間s2と大気圧である外枠106の外部との圧力差によって変形するおそれがある。さらに、外枠106が石英で形成されると、当該外枠106と他の構造材との接合が困難となる。
【0007】
また、加熱炉104からの赤外線による熱が真空炉100(外枠106)の表面に伝熱するのを抑止するために外枠106を厚くすると、真空炉100の構造が大型化するといった問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、外側部材の材質にかかわらず外部への熱の放散を抑制しながら、赤外線による加熱下で真空状態を形成することが可能な真空炉及び、この真空炉を用いた磁場中加熱処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、上記課題を解消すべく、本発明に係る真空炉は、真空中で加熱対象物を加熱するための真空炉であって、赤外線を透過する素材で形成され、排気可能な内部空間を囲む内管と、この内管を外側から囲むことで、前記内管との間に前記内部空間と独立して排気可能な外側空間を形成する外管と、前記外側空間内において前記内管の外周面に沿って周方向に配置され、前記内管内の前記加熱対象物を加熱するために前記加熱対象物に対して前記内管を通じて赤外線を照射する加熱手段と、前記内部空間内で前記加熱手段によって加熱可能な位置に前記加熱対象物を保持する保持手段と、前記外側空間内で前記加熱手段と前記外管との間を遮るように配置され、前記加熱手段からの赤外線を反射する複数枚の輻射シールド板とを備え、各輻射シールド板は、前記外管の内面と直交する方向に並び、隣り合う輻射シールド板同士がその並び方向に互いに間隔を置くように、それぞれ配置されることを特徴とする。尚、本発明において真空とは、真空に近い圧力まで減圧された状態をいう。
【0010】
前記加熱手段は、前記外側空間内に配置されるため、前記内管と対向する方向以外は、前記外管によって囲まれている。このうち、前記内管への赤外線は、当該内管を透過してその内部の試料を加熱する一方、前記外管に向かう赤外線は、前記輻射シールド板によって反射されることにより、前記赤外線による熱の当該真空炉の表面への伝導が抑制される。さらに、前記真空にされた外側空間に前記複数枚の輻射シールド板が配置されることによって前記輻射シールド板を配置するのに必要な空間を小さくすることができる。
【0011】
具体的には、前記複数枚の輻射シールド板は、前記外側空間内に配置されているため、この外側空間が真空にされることで隣り合う輻射シールド板同士の間の空間も真空となる。真空では熱の伝導が低いことから、各輻射シールド板の厚み、及び隣り合う輻射シールド板同士の間隔を狭くしても前記輻射シールド板の並ぶ方向における十分な断熱効果を得ることができる。従って、前記外側空間において、前記加熱手段と前記外管との間隔が狭くても、断熱に必要な枚数の前記輻射シールド板の配置が可能となる。そのため、前記外管の径方向の大きさや、軸方向の大きさをあまり大きくすることなく、前記外側空間に前記複数枚の輻射シールド板を配置することができる。
【0012】
本発明に係る真空炉においては、前記複数枚の輻射シールド板は、少なくとも、前記外管の径方向において前記加熱手段と前記外管との間を遮るように配置されるのが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、前記真空炉の前記径方向側の表面温度の上昇を抑制しつつ当該真空炉の前記径方向の小型化を図ることができる。即ち、前記加熱手段から前記径方向外側に向かう赤外線が前記輻射シールド板によって反射されるため、この赤外線による熱の前記真空炉における前記径方向側の表面への熱の伝導が抑制され、当該真空炉の前記径方向側の表面温度の上昇を抑制しつつ前記外管の内周面と前記加熱手段との距離を小さくすることができる。
【0014】
前記複数枚の輻射シールド板は、さらに、前記外管の軸方向においても前記加熱手段と前記外管との間を遮るように配置され、前記径方向に配置された複数枚の輻射シールド板の前記軸方向の端部と、前記軸方向に配置された複数枚の輻射シールド板の前記径方向外側の端部とが互いに接続されるのがより好ましい。
【0015】
かかる構成とすることで、前記外管の軸方向側の表面温度の上昇を抑制しつつ当該外管の前記軸方向の小型化を図ることができると共に前記真空炉の表面全体への熱の伝導がより抑制される。
【0016】
これは、前記加熱手段から前記軸向に向かう赤外線が前記輻射シールド板によって反射されるため、この赤外線による熱の前記外管における前記軸方向側の表面への熱の伝導が抑制され、当該外管の前記軸方向側の表面温度の上昇を抑制しつつ前記外管の前記軸方向側内面と前記加熱手段との距離を小さくすることができるからである。また、前記加熱手段が前記内管と対向する方向以外、前記輻射シールド板によって囲まれた状態となるため、前記加熱手段が照射する赤外線のうち内管内に向かう方向以外へ向かう赤外線が前記輻射シールド板によって反射され、前記真空炉の表面への熱の伝導がより抑制されるからである。
【0017】
また、前記内管と前記外管とは、それぞれ石英で形成されるのが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、前記内管が石英からなるため、前記加熱手段からの赤外線が前記内部空間内に効率よく透過され、この赤外線によって前記加熱対象物が効率よく加熱される。また、前記内管と同じく前記外管が石英で形成されることで、例えば、石英と金属との接合のようにメタライズ処理を行う必要がなく、溶着によって容易に接合することができ、前記外側空間を気密状態に保ち易い。
【0019】
また、大気圧状態から所定の真空度まで気密状態の空間内の排気をする低真空度ポンプと、前記所定の真空度からさらに真空度の高い高真空度まで前記空間内の排気をする高真空度ポンプとを備え、前記高真空度ポンプの吸気部が前記内部空間内を排気するために前記内管に接続され、前記低真空度ポンプの吸気部が前記高真空度ポンプを介して前記内部空間内を排気するために前記高真空度ポンプの排気部に接続されると共に前記外側空間内を排気するために前記外管にも接続される構成であってもよい。
【0020】
かかる構成によれば、前記内管と前記外管とに別々の排気系が接続される場合に比べ、排気のためのポンプが少なくて済み、当該真空炉の小型化及び省コスト化が図られる。
【0021】
詳細には、前記高真空度ポンプは、前記低真空度ポンプで所定の真空度まで粗排気したのち、その状態からさらに排気して高真空度を達するポンプであるため、前記高真空度ポンプが接続される排気系には、当該高真空度ポンプの他に前記粗排気用の低真空度ポンプが必要となる。そこで、前記内管に接続される排気系における前記粗排気用の低真空度ポンプと、前記外管に接続される排気系の低真空度ポンプとを共通の低真空度ポンプとすることによってポンプの数を減らすことが可能となる。
【0022】
また、本発明に係る磁場中加熱処理装置は、強磁場中で加熱対象物の加熱処理を行う磁場中加熱処理装置であって、前記真空炉と、前記真空炉の周囲に配置され、前記真空炉内に磁場を形成する超伝導電磁石とを備え、前記超伝導電磁石は、前記真空炉内で加熱される前記加熱対象物に磁場を印加するように前記真空炉の周囲に配置される超伝導コイルと、この超伝導コイルを当該超伝導コイルが超伝導状態となる温度に保持しつつ収容する低温容器とを有し、前記真空炉は、輻射シールド板が前記加熱手段から前記外管へ向かう赤外線を反射することで前記低温容器内への前記赤外線による熱の影響を抑制するように構成されることを特徴とする。
【0023】
かかる構成によれば、前記真空炉の内部空間を加熱下にて真空状態にしながら、この内部空間に強磁場を形成できる。しかも、この強磁場の形成のために、内部を低温に維持しなければならない前記容器内への前記真空炉からの熱の影響を抑制することができる。即ち、前記真空炉の表面温度の上昇が抑制されることで、前記真空炉から前記容器への熱の移動が抑制され、前記容器内で低温に保持される前記超伝導コイルへの前記真空炉からの熱の影響を抑制できる。そのため、前記真空炉の加熱時においても、前記超伝導コイルの超伝導状態が維持され、前記加熱対象物に対して安定した強磁場を印加し続けることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上より、本発明によれば、外側部材の材質にかかわらず外部への熱の放散を抑制しながら、赤外線による加熱下で真空状態を形成することが可能な真空炉、及びこの真空炉を用いた磁場中加熱処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0026】
本発明に係る磁場中加熱処理装置は、加熱対象物を真空雰囲気で強磁場を印加しつつ加熱処理を行うためのものである。このような装置の用途としては、以下のものがある。
【0027】
・熱電素子材料の特性向上
2000年以降に発見された熱伝素子材料には酸化物が多く、この酸化物の結晶構造が層構造をなし、磁場中で、ある方向に当該酸化物の結晶の向きが揃う(配向する)ことが知られている。また、前記酸化物において、結晶の向きが揃うと材料特性が向上することも知られている。但し、前記酸化物の結晶を配向させるためには、超伝導マグネットでのみ初めて発生することができる10T以上の磁場を要する場合が多い。また、前記酸化物は、基本的には焼成されて製品となるため、強磁場中で前記結晶が配向されたのち、その場で焼成されることが必要となる。従って、前記酸化物のような熱電素子材料の特性向上を図るためには、磁場と雰囲気(真空度)とを同時に制御しつつ加熱処理を行える当該磁場中加熱処理装置が用いられる。
【0028】
・アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素、アパタイト等の機械的性質改善
これら材料も、強磁場中で配向することが知られている。例えば、人工骨に用いられるアパタイトは、原料粉を焼成して製造されるが、このとき粉の結晶方向が制御されていないと材料特性が等方性になると考えられる。一方、人体内の骨(主成分がアパタイト)の結晶は、配向していることが知られている。そのため、前記原料粉が磁場中で配向・焼成されれば、本当の骨に近い力学特性を持った人工骨の製造が期待できる。このような材料の機械的性質改善のために、磁場中での配向・焼成を行える当該磁場中加熱処理装置が用いられる。
【0029】
これらの他にも、鉄鋼材料や非鉄金属材料中の析出を磁場で制御する試みが各所で行われており、このような試みにおいて加熱処理過程で雰囲気を制御できる当該磁場中加熱処理装置が用いられる。
【0030】
また、加熱処理過程で雰囲気が真空であることが重要な半導体用熱処理やシリコンの単結晶育成過程において当該磁場中加熱処理装置が用いられ、他にも活性金属(例えばチタン)の精錬、撹拌、浮上等においても高真空環境が必要となるため、当該磁場中加熱処理装置が用いられる。
【0031】
尚、本実施形態に係る磁場中加熱処理装置に組み込まれる真空炉は、磁場中に置かれて使用されるものに限らない。
【0032】
以下、磁場中加熱処理装置について具体的に説明する。磁場中加熱処理装置は、図1に示されるように、真空中で加熱対象物(以下、単に「試料」とも称する。)Wを加熱するための真空炉10と、試料Wに磁場を印加するための超伝導マグネット(超伝導電磁石)50とを備える。
【0033】
真空炉10は、二重管(真空炉本体)12と、二重管12内を真空(減圧)排気する排気系30とを備える。この二重管12の内部には、試料Wを加熱するための加熱用ヒーター(加熱手段)18と、試料Wを保持する試料ステージ(保持手段)20と、赤外線を反射する複数枚の輻射シールド板22とが配置されている。
【0034】
二重管12は、内管14と外管16とで構成され、内管14内には試料Wを配置するための内部空間S1が形成され、内管14と外管16との間には加熱用ヒーター18を配置するための外側空間S2が形成される。内管14は、内部空間S1を囲み、直径が一定で一方の端部開口が閉じた管である。本実施形態においては、内管14は、上下に延び、下端部開口が閉じた管である。この内管14は、上端部の上部開口部15から排気可能に構成される。また、上部開口部15の周辺には内管14の径方向に拡がるフランジ15aが設けられている。
【0035】
外管16は、内管14を外側から囲む、即ち、内管14よりも直径の大きな管で、内管14の外周面と外管16の内周面との間に外側空間S2を形成する。具体的には、外管16は、当該外管16の内周面と内管14の外周面とが一定の間隔となるように内管14の外側を囲み、この外管16の軸方向両端部が内管14の外周面に接合されることで内管14に取り付けられる。この外管16の上端部には、排気口部17が設けられ、この排気口部17から内部空間S1と独立して外側空間S2を排気することが可能である。
【0036】
このように構成される内管14と外管16とは、それぞれ石英で形成される。そうすることで、例えば、石英と金属との接合のようにメタライズ処理を行う必要がなく、溶着によって内管14と外管16とを容易に接合することができ、外側空間S2を気密状態に保ち易い。しかし、内管14と外管16とを形成する材質は、石英に限定されず、また、必ずしも同じ材質のものに限られない。
【0037】
排気系30は、ロータリーポンプ(低真空度ポンプ)32とターボ分子ポンプ(高真空度ポンプ)34とを備える。ロータリーポンプ32は、大気圧状態から所定の真空度(本実施形態においては、10−3Torr程度)まで内部空間S1内及び外側空間S2内を排気(減圧)するためのポンプである。ターボ分子ポンプ34は、前記所定の真空度からさらに真空度の高い高真空度(本実施形態においては、10−6Torr程度)まで内部空間S1内を排気(減圧)するためのポンプである。
【0038】
これらロータリーポンプ32とターボ分子ポンプ34とは、ターボ分子ポンプ34の吸気部34aが排気管36を介して内管14の上部開口部15に接続され、ロータリーポンプ32の吸気部32aが排気管38を介してターボ分子ポンプ34の排気部34bに接続される。また、ロータリーポンプ32の吸気部32aは、排気管38を介して外管16の排気口部17にも接続されている。尚、排気管36と内管14の上部開口部15とは、排気管36の内管14側端部に設けられたフランジ36aと上部開口部15のフランジ15aとによって取り外し可能に接続されている。また、同様に、排気管38と外管16の排気口部17とも取り外し可能に接続されている。
【0039】
このように排気系30が構成されることで、内管14と外管16とに別々の排気系が接続される場合に比べ、排気のためのポンプ(ロータリーポンプ32)が少なくて済む。即ち、ターボ分子ポンプ34が接続される排気系には、当該ターボ分子ポンプ34の他に、ターボ分子ポンプ34の排気部34bに接続される粗排気用のロータリーポンプ32が必要となるが、外管16に接続されるロータリーポンプと共通のロータリーポンプ32とすることによってポンプの数を減らすことが可能となる。
【0040】
尚、ターボ分子ポンプ34の接続方法としては、本実施形態のように内管14の一方側端部から排気するように接続する方法に限定されず、内管14の両端から排気するような接続方法であってもよい(図2(a)参照)。また、内管14と外管16とに別々の排気系30a,30bが接続されてもよい(図2(b)参照)。この場合、排気系30aには、ターボ分子ポンプ34とロータリーポンプ32とが配置され、排気系30bには、排気系30aとは別のロータリーポンプ132が配置されるため、本実施形態のようにポンプの数を少なくすることはできない。
【0041】
加熱用ヒーター18は、内管14の内部空間S1内の試料Wを加熱するために試料Wに対して内管14を通じて赤外線を照射するものである。この加熱用ヒーター18は、外側空間S2において内管14の外周面に沿って周方向に配置される。本実施形態においては、加熱用ヒーター18にはカンタルや白金ロジウム合金が用いられる。尚、加熱用ヒーター18は、カンタルや白金ロジウム合金に限定されず、赤外線の照射によって試料Wを加熱できれば他の材質であってもよい。
【0042】
試料ステージ20は、内管14の内部空間S1内において、加熱用ヒーター18によって加熱可能な位置、詳細には、内管14の軸方向において加熱用ヒーター18が配置された位置に試料Wを保持するものである。この試料ステージ20には、保持される試料Wの上下に内部輻射シールド板24が別部材(図示省略)を介して接続されている。この内部輻射シールド板24は、試料Wに照射された赤外線が内管14の上下方向から外部に出ないように、上下方向に向かう赤外線を反射(遮断)するためのもので、内管14内を横断するように塞ぐ。具体的には、複数枚の内部輻射シールド板24が内管14の軸方向に並び、隣り合う内部輻射シールド板24同士がその並び方向に互いに間隔を置くように、それぞれ配置される(図1参照)。隣り合う内部輻射シールド板24同士の間には、前記間隔を維持するために、スペーサ25が設けられている。このような内部輻射シールド板24が接続された試料ステージ20は、試料Wを保持した状態で内管14の内部空間S1内に挿入される。尚、内部輻射シールド板24とスペーサ25とは、外側空間S2に配置される輻射シールド板22とスペーサ23と同じ材質で形成される。
【0043】
輻射シールド板22は、外側空間S2内で加熱用ヒーター18と外管16との間を遮るように配置され、加熱用ヒーター18から外管16へ向かう赤外線を反射する(遮る)ものである。輻射シールド板22は、厚さが一定の板状体であり、試料Wを加熱する際の温度での蒸気圧が無視可能なほど低く、輻射率が低く、非磁性であり、且つ高温耐性(融点が高く、軟化しない)を有する材質で形成されている。本実施形態において、輻射シールド板22は、モリブデンで形成されているが、これに限定されず、ニオブやタンタル、タングステン等であってもよい。また、本実施形態においては、輻射シールド板22の表面は、断熱効率を向上させるため、赤外線を反射するように構成される。
【0044】
この輻射シールド板22は、複数枚が層構造をなすように並んでいる。具体的には、複数枚の輻射シールド板22は、外管16の径方向側の内面と直交する方向(図1においては左右方向)に並んでいる。そして、各輻射シールド板22は、その並び方向に互いに間隔を置くように、それぞれ配置される。そのため、隣り合う輻射シールド板22の間には、層状の空間が形成される。即ち、輻射シールド板22と前記層状の空間とが交互に積層されたように配置される。この層状の空間を形成するために、隣り合う輻射シールド板22の間にスペーサ23が配置されている。このスペーサ23には、断熱性の高い材質が用いられており、本実施形態においては、セラミックスが用いられている。尚、スペーサ23は、セラミックス製に限定されず、モリブデンやニオブ等で形成されてもよい。
【0045】
このように並ぶ複数枚の輻射シールド板22では、各輻射シールド板22の厚みが小さく、隣り合う輻射シールド板22同士の間隔が狭いが、当該輻射シールド板22の並ぶ方向における十分な断熱効果を得ることができる。これは、複数枚の輻射シールド板22が配置される外側空間S2が試料Wの加熱時に真空排気されるため、隣り合う輻射シールド板22間の熱の伝導が低くなり、しかも当該輻射シールド板22が輻射率の小さい材質で形成されているからである。
【0046】
このように輻射シールド板22の厚みを小さくし、隣り合う輻射シールド板22間の間隔を狭くしても十分な断熱効果が得られるため、外側空間S2において、加熱用ヒーター18と外管16との間隔が狭くても、断熱に必要な枚数の輻射シールド板22の配置が可能となる。そのため、外管16の径方向の大きさをあまり大きくすることなく、外側空間S2に複数枚の輻射シールド板22を配置することができる。即ち、真空炉10の小型化が可能となる。
【0047】
複数枚の輻射シールド板22は、加熱用ヒーター18の外側(内管14と反対側)だけでなく、上側及び下側にも加熱用ヒーター18と外管16との間を遮るように配置されている。具体的には、加熱用ヒーター18の外側に配置された輻射シールド板22同様に、複数枚の輻射シールド板22が層構造をなすように並んでいる。これら複数枚の輻射シールド板22は、その並び方向に互いに間隔を置くように外管16の軸方向側の内面と直交する方向(図1においては上下方向)に並んでいる。そのため、隣り合う輻射シールド板22の間には、層状の空間が形成される。この層状の空間を形成するために、隣り合う輻射シールド板22の間には、前記同様のスペーサ23が配置されている。
【0048】
上下に配置される輻射シールド板22は、外管16の径方向外側の端部が加熱用ヒーター18の外側に配置された輻射シールド板22の外管16の軸方向の端部と接続されている。詳細には、この接続部位では、加熱用ヒーター18の外側に配置された複数枚の輻射シールド板22と前記上側(又は下側)に配置される複数枚の輻射シールド板22とが共に層構造をなしており、対応する層の輻射シールド板22同士がそれぞれ接続されている。
【0049】
このように輻射シールド板22が配置されることで、外管16の軸方向の大きさをあまり大きくすることなく、外側空間S2に複数枚の輻射シールド板22を配置することができる。また、加熱用ヒーター18が照射する赤外線のうち内管14内に向かう方向以外へ向かう赤外線が輻射シールド板22によって反射され、外管16へ到達できなくなる。尚、複数枚の輻射シールド板22は、外管16の内周面や加熱用ヒーター18と近接して配置される必要は無く、外管16と加熱用ヒーター18との間を遮るように配置されていれば、外管16及び加熱用ヒーター18の両方から離れた位置に配置されてもよい。
【0050】
超伝導マグネット50は、真空炉内に磁場を形成するためのものである。具体的には、超伝導マグネット50は、前記磁場を形成するため超伝導コイル52と、この超伝導コイル52を超伝導状態となる温度に保持しつつ収容するクライオスタット(低温容器)54とを有する。
【0051】
クライオスタット54は、内部に超伝導コイル52を収納するための収納空間S3が形成され、この収納空間S3が真空にされる真空容器である。このクライオスタット54は、内周面54aと外周面54bとの間隔の大きな円筒状の外観を有し、中心軸に沿った内周面54aに囲まれた領域に真空炉10が配置される。
【0052】
超伝導コイル52は、クライオスタット54の収納空間S3内に収納され、真空炉10と中心軸を共通にするソレノイドコイルである。この超伝導コイル52は、超伝導線材がアルミやSUSで形成された巻き枠(図示省略)に巻線されることで形成される。本実施形態では、超伝導線材は、NbTi及び/又はNb3Snで形成されている。
【0053】
超伝導コイル52の周囲には、当該超伝導コイル52への外部からの熱の影響を抑制すると共に当該超伝導コイル52の冷却を補助するための熱シールド56が設けられている。この熱シールド56は、輻射率のよい材質で形成されており、本実施形態においては、高純度のアルミニウムが用いられている。
【0054】
これら超伝導コイル52と熱シールド56とには、極低温冷凍機58が接続されている。この極低温冷凍機58は、超伝導コイル52が超伝導状態を保持できるよう超伝導コイル52と熱シールド56とを冷却するためのものである。
【0055】
以上のように構成される磁場中加熱処理装置では、以下のようにして試料Wの磁場中での加熱処理が行われる。
【0056】
試料ステージ20に試料Wを保持させ、この試料Wを保持した状態の試料ステージ20を内管14の上部開口部15から内部空間S1内に挿入する。このとき、内管14の上部開口部15と排気管36とは取り外されている。そして、内管14内に試料ステージ20が挿入された後、内管14の上部開口部15と排気管36とのフランジ15a,36a同士がボルト等によって連結される。
【0057】
この状態でロータリーポンプ32が作動し、外側空間S2内が排気され減圧される。また、このロータリーポンプ32は、吸気部32aがターボ分子ポンプ34の排気部34bにも接続されているため、ターボ分子ポンプ34を介して内管14の内部空間S1内も排気して減圧する。このようにして共通のロータリーポンプ32によって、内部空間S1と外側空間S2とが所定の真空度まで減圧される。
【0058】
内部空間S1内と外側空間S2内とが所定の真空度に達すると、ターボ分子ポンプ34が作動して、内部空間S1内をさらに真空度の高い高真空状態まで減圧する。本実施形態においては、外側空間S2が10−3Torr、内部空間S1が10−5Torrとなるように減圧(真空排気)される。
【0059】
一方、超伝導マグネット50が作動して、内部空間S1内の試料Wが保持されている領域において、一様な磁場(強磁場)が形成される。このとき超伝導コイル52の超伝導状態を保持し、安定して前記磁場を形成するために、超伝導コイル52は、極低温でクライオスタット54内に収納されている。本実施形態においては、磁力線が垂直方向を向き磁場強度が一様な磁場(本実施形態においては、10T程度)が形成される。このような磁場が形成されることで、試料Wに磁場が印加される。
【0060】
このようにして、内部空間S1と外側空間S2とがそれぞれ所定の真空度まで減圧され、試料Wに磁場が印加された状態で、加熱用ヒーター18を作動させる。加熱用ヒーター18から放射された赤外線は、内管14を透過して試料Wに到達する。このようにして到達した赤外線(輻射赤外線)により試料Wが加熱されることで、真空中で磁場が印加された試料Wの加熱処理が行われる。本実施形態においては、試料Wは、1000℃以上で加熱処理される。
【0061】
一方、加熱用ヒーター18が照射した赤外線のうち、内管14の外周面での反射等によって、試料Wへ向かわなかった赤外線は、外管16へ向かう。この、外管16へ向かった赤外線は、輻射シールド板22によって反射される。即ち、試料Wへ向かわず外管16に向かった赤外線は、加熱用ヒーター18と外管16との間を遮るように配置される輻射シールド板22によって反射され、外管16に到達できない。
【0062】
また、輻射シールド板22で反射される際に赤外線のエネルギーの一部が熱として吸収され、この熱が輻射シールド板22を通過して裏面(赤外線が入射したのと反対側の面)から放出される。そして、隣り合う輻射シールド板22に到達した熱は、この輻射シールド板22を通過して裏面から放出される。このような過程を繰り返し、前記反射の際に輻射シールド板22に吸収された熱が複数枚の輻射シールド板22をその並ぶ方向に通過しようとするが、外側空間S2が真空にされることで、前記熱は、複数枚の輻射シールド板22を通過することができず、又は、極僅かしか通過できない。
【0063】
これは、外側空間S2が真空状態であるため、輻射シールド板22の裏面から放出される熱が輻射赤外線としてしか移動できないため輻射シールド板22間での熱の伝導が低いこと、また輻射シールド板22が輻射率の小さい材質で形成されているため、入射した赤外線に対して裏面から輻射される赤外線の強度が小さいこと等から複数枚の輻射シールド板22においては、その並ぶ方向における十分な断熱効果を得ることができるからである。
【0064】
このような複数枚の輻射シールド板22によって、加熱用ヒーター18からの赤外線による熱が外管16へ到達できず、若しくは、僅かしか到達できないため、赤外線による加熱によって外管16の表面温度、即ち、真空炉10の表面温度の上昇が抑制される。
【0065】
これに対し、内管14では、前記のように試料Wに向かう赤外線が当該内管14の管壁を透過して試料Wに到達するため、この赤外線が透過した部位が加熱される。
【0066】
ことのき、内管14が石英で形成されているため、当該内管14における前記加熱された部位が軟化するが、外管16によって前記軟化した部位の変形が抑制される。即ち、内管14における加熱によって軟化した部位では、当該内管14の径方向外側に外管16によって囲まれた外側空間S2が形成されているため大気圧が直接加わることがなく、大気圧と真空にされた内部空間S1との圧力差による変形が生じない。さらに、外側空間S2も真空にされるため、前記軟化した部位では、外側空間S2と内部空間S1との圧力差が小さく、前記軟化した部位において前記圧力差による変形は生じない。また、外管16は、加熱されないので軟化せず、内管14の軟化する部位を挟んで上下で内管14と接合されているため、内管14を支持して変形を抑制する。
【0067】
また、内管14が石英で形成されることで、当該内管14における加熱用ヒーター18によって加熱された部位のガス透過率が大きくなるが、外管16によってガス透過率が大きくなった部位からの内管14内への外気の透過が抑制される。即ち、加熱によってガス透過率が大きくなった部位には、前記同様、内管14の径方向外側に外管16によって囲まれた外側空間S2が形成され、この外側空間が真空にされることで、前記ガス透過率が大きくなった部位から内部空間S1に空気等が侵入し、当該内部空間S1の真空度を低下させることがない。換言すると、内管14が石英で形成されていても、外管16によって真空の外側空間S2を設けることで、加熱時の内管14内の真空度の維持が容易となった。
【0068】
以上のような真空炉10、即ち、加熱時における表面の温度の上昇を抑制可能とした真空炉10を用いることで、本実施形態における磁場中加熱処理装置では、真空炉10の内部空間S1を加熱下にて真空状態にしながら、この内部空間S1に強磁場を形成できる。しかも、この強磁場の形成のために、内部を低温に維持しなければならないクライオスタット54内への真空炉10からの熱の影響を抑制することができる。即ち、真空炉10の表面温度の上昇が抑制されることで、真空炉10からクライオスタット54への熱の移動が抑制され、クライオスタット54内で低温に保持される超伝導コイル52への真空炉10からの熱の影響を抑制できる。そのため、真空炉10の加熱時においても、超伝導コイル52の超伝導状態が維持され、試料Wに対して安定した磁場を印加し続けることができる。
【0069】
尚、本発明の磁場中加熱処理装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0070】
例えば、本実施形態において、真空炉10の試料Wが保持される部位に形成される磁場は、磁力線が垂直方向を向くような磁場であるが、これに限定されず、前記部位において、水平方向に磁場が印加されるように、超伝導コイル52が配置されてもよく、カスプ磁場の中心領域が前記部位になるように超伝導コイル52が配置されてもよい。
【0071】
また、真空炉10は、本実施形態においては、上下に延びる二重管12が用いられるが、水平方向に延びるような構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本実施形態に係る磁場中加熱処理装置の概略構成図を示す。
【図2】他実施形態に係る真空炉であって、(a)は、内管と外管とにそれぞれ別の排気系が接続された真空炉の概略構成図を示し、(b)は、内管の両端から排気する排気系が接続された真空炉の概略構成図を示す。
【図3】従来の真空炉の概略構成図を示す。
【符号の説明】
【0073】
10 真空炉
14 内管
16 外管
18 加熱用ヒーター(加熱手段)
20 試料ステージ(保持手段)
22 輻射シールド板
50 超伝導マグネット(超伝導電磁石)
52 超伝導コイル
54 クライオスタット
S1 内部空間
S2 外側空間
W 試料(加熱対象物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空中で加熱対象物を加熱するための真空炉であって、
赤外線を透過する素材で形成され、排気可能な内部空間を囲む内管と、
この内管を外側から囲むことで、前記内管との間に前記内部空間と独立して排気可能な外側空間を形成する外管と、
前記外側空間内において前記内管の外周面に沿って周方向に配置され、前記内管内の前記加熱対象物を加熱するために前記加熱対象物に対して前記内管を通じて赤外線を照射する加熱手段と、
前記内部空間内で前記加熱手段によって加熱可能な位置に前記加熱対象物を保持する保持手段と、
前記外側空間内で前記加熱手段と前記外管との間を遮るように配置され、前記加熱手段からの赤外線を反射する複数枚の輻射シールド板とを備え、
各輻射シールド板は、前記外管の内面と直交する方向に並び、隣り合う輻射シールド板同士がその並び方向に互いに間隔を置くように、それぞれ配置されることを特徴とする真空炉。
【請求項2】
請求項1に記載の真空炉において、
前記複数枚の輻射シールド板は、前記外管の径方向において前記加熱手段と前記外管との間を遮るように配置されることを特徴とする真空炉。
【請求項3】
請求項2に記載の真空炉において、
前記複数枚の輻射シールド板は、前記外管の軸方向においても前記加熱手段と前記外管との間を遮るように配置され、
前記径方向に配置された複数枚の輻射シールド板の前記軸方向の端部と、前記軸方向に配置された複数枚の輻射シールド板の前記径方向外側の端部とが互いに接続されることを特徴とする真空炉。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の真空炉において、
前記内管と前記外管とは、それぞれ石英で形成されることを特徴とする真空炉。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の真空炉において、
大気圧状態から所定の真空度まで気密状態の空間内の排気をする低真空度ポンプと、
前記所定の真空度からさらに真空度の高い高真空度まで前記空間内の排気をする高真空度ポンプとを備え、
前記高真空度ポンプの吸気部が前記内部空間内を排気するために前記内管に接続され、前記低真空度ポンプの吸気部が前記高真空度ポンプを介して前記内部空間内を排気するために前記高真空度ポンプの排気部に接続されると共に前記外側空間内を排気するために前記外管にも接続されることを特徴とする真空炉。
【請求項6】
強磁場中で加熱対象物の加熱処理を行う磁場中加熱処理装置であって、
前記請求項1乃至5の何れか1項に記載の真空炉と、
前記真空炉の周囲に配置され、前記真空炉内に磁場を形成する超伝導電磁石とを備え、
前記超伝導電磁石は、前記真空炉内で加熱される前記加熱対象物に磁場を印加するように前記真空炉の周囲に配置される超伝導コイルと、この超伝導コイルを当該超伝導コイルが超伝導状態となる温度に保持しつつ収容する低温容器とを有し、
前記真空炉は、輻射シールド板が前記加熱手段から前記外管へ向かう赤外線を反射することで前記低温容器内への前記赤外線による熱の影響を抑制するように構成されることを特徴とする磁場中加熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−48478(P2010−48478A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213883(P2008−213883)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】