説明

真空発生システム

【課題】真空発生器を動作させるのに用いた圧縮空気の有効利用を図る。
【解決手段】真空発生システム1において、コンプレッサ11から吐出される圧縮空気により動作する真空発生器13の後段に真空発生器28を設け、真空発生器13と真空発生器28との間にタンク22を設ける。真空発生器13から排出された圧縮空気はタンク22に蓄積される。真空発生器28は、タンク22に蓄積された圧縮空気を用いて動作する。また、経路24により、コンプレッサ11とタンク22とを真空発生器13を介さずに接続する。これにより、コンプレッサ11からタンク22へ圧縮空気を直接的に供給することもでき、真空発生器13が停止している期間でも、真空発生器28を動作させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気を利用して真空を発生させる真空発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、真空発生器は、流入ポート、ノズル、ディフューザ、排出ポートおよび真空ポートを備えている。このような構成を有する真空発生器は、空気圧源から吐出される圧縮空気を流入ポートに流入させ、流入ポートから流入した圧縮空気をノズルで絞ることにより流速を高め、流速の高められた圧縮空気を、ディフューザを通過させて排出ポートから排出し、この圧縮空気の高速流により真空ポートの圧力を低下させ、真空ポートに真空を発生させる。
【0003】
真空発生器は、真空ポートに吸着パッドを接続し、真空ポートに真空を発生させることにより吸着パッドに吸着力を発生させ、ガラス、ウェハ、基板などの被加工物を把持し、搬送する装置などに適用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、真空発生器の排出ポートから排出される圧縮空気は、通常、大気に放出される。しかし、この圧縮空気は、真空発生器を動作させるために用いられたものの、まだ多くのエネルギーを有している。したがって、この圧縮空気をただ大気に放出してしまうことは、エネルギーの無駄となる。
【0005】
特に、ガラス、ウェハ、基板などの被加工物の搬送を行う工場では、複数の真空発生器が用いられることが多く、これらの真空発生器から排出される圧縮空気を大気にただ放出することは、多大のエネルギーが無駄となり、好ましくない。
【0006】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、圧縮空気の有効利用を図ることができる真空発生システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の真空発生システムは、空気圧源と、前記空気圧源から吐出された圧縮空気を流入させる第1の流入ポート、前記第1の流入ポートから流入した圧縮空気を排出する第1の排出ポート、および前記第1の流入ポートから流入して前記第1の排出ポートから排出する圧縮空気により真空を発生させる第1の真空ポートを有する第1の真空発生器と、前記第1の真空ポートに接続された第1の吸着パッドと、前記第1の真空発生器の排出ポートから排出された圧縮空気を蓄積する第1のタンクと、前記第1のタンクから吐出された圧縮空気を流入させる第2の流入ポート、前記第2の流入ポートから流入して圧縮空気を排出する第2の排出ポート、および前記第2の流入ポートから流入して前記第2の排出ポートから排出する圧縮空気により真空を発生させる第2の真空ポートを有する第2の真空発生器と、前記第2の真空ポートに接続された第2の吸着パッドとを備えている。
【0008】
上述した本発明の真空発生システムにおいて、前記空気圧源から吐出された圧縮空気を、前記第1の真空発生器を介さずに前記第1のタンクに供給する経路を備えることが望ましい。
【0009】
また、上述した本発明の真空発生システムにおいて、前記第1のタンクから吐出された圧縮空気を蓄積する第2のタンクを備えることが望ましい。この場合には、前記第1のタンクから吐出されて前記第2のタンクに蓄積された圧縮空気を前記第2の流入ポートに流入させる。
【0010】
また、上述した本発明の真空発生システムにおいて、前記第1のタンクから吐出された圧縮空気を前記第2のタンクに供給する経路の途中に、前記第1のタンクから吐出された圧縮空気を増圧する増圧器を設けてもよい。
【0011】
この場合、前記増圧器により、前記第1のタンクから吐出された圧縮空気を10ないし20倍に増圧してもよい。
【0012】
また、上述した本発明の真空発生システムにおいて、前記第2の真空ポートと前記第2の吸着パッドとの間に設けられた第3のタンクと、前記第3のタンクと前記第2の吸着パッドとの間に設けられ、前記第3のタンクと前記第2の吸着パッドとの間の接続・遮断を切り換える切換弁とを備える構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
上述した本発明によれば、第1の真空発生器を動作させるために用いた圧縮空気を再利用して第2の真空発生器を動作させることができ、圧縮空気の有効利用を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は本発明の真空発生システムの第1の実施形態を示している。図1中の真空発生システム1において、コンプレッサ11は圧縮空気を吐出する。
【0016】
切換弁12は2ポート2位置切換弁であり、コンプレッサ11と真空発生器13との間に設けられ、コンプレッサ11と真空発生器13との間の接続・遮断を切り換える。
【0017】
真空発生器13は、切換弁12とタンク22との間に設けられ、コンプレッサ11から吐出された圧縮空気を利用して真空を発生させる。真空発生器13は、真空を発生させるエジェクタ14、真空発生用の2ポート2位置切換弁15、真空破壊用の2ポート2位置切換弁16、および真空破壊時の圧縮空気の流量を調整する絞り弁17を備えている。エジェクタ14は切換弁12とタンク22との間に設けられている。また、エジェクタ14は、コンプレッサ11から吐出された圧縮空気を流入させる流入ポート14A、流入ポート14Aから流入した圧縮空気を排出する排出ポート14B、および流入ポート14Aから流入して排出ポート14Bから排出する圧縮空気により真空を発生させる真空ポート14Cを有する。真空発生用の切換弁15は切換弁12とエジェクタ14との間に設けられている。真空破壊用の切換弁16は切換弁12と接続点Aとの間に設けられている。接続点Aはエジェクタ14の真空ポート14Cと吸着パッド18との間の経路19の途中に位置する。絞り弁17は切換弁16と接続点Aとの間に設けられている。
【0018】
吸着パッド18は、エジェクタ14の真空ポート14Cに接続された経路19の先端に接続されている。吸着パッド18は、真空ポート14Cに発生した真空により吸着力を発生し、被工作物20を把持する。
【0019】
切換弁21は、エジェクタ14の真空ポート14Cと接続点Aとの間に設けられた2ポート2位置切換弁であり、真空ポート14Cと吸着パッド18との間の接続・遮断を切り換える。
【0020】
タンク22は、真空発生器13と真空発生器28との間に接続され、真空発生器13におけるエジェクタ14の排出ポート14Bから排出された圧縮空気を蓄積する。タンク22は、内部の圧力を検出する圧力センサを備え、内部の圧力が過剰になったときには、内部の圧縮空気を大気に放出する弁を備えている。
【0021】
チェック弁23は、真空発生器13とタンク22との間に設けられ、タンク22から真空発生器13へ圧縮空気が流れるのを阻止する。
【0022】
経路24は、コンプレッサ11とタンク22との間を接続し、コンプレッサ11から吐出された圧縮空気を、真空発生器13を介さずにタンク22に供給する。
【0023】
レギュレータ25は経路24の途中に設けられ、コンプレッサ11からタンク22に経路24を介して供給される圧縮空気を減圧し、経路24を介してタンク22に流入する圧縮空気の圧力を所定の圧力(以下、「補充空気圧力」という。)に調整する。
【0024】
切換弁26は2ポート2位置切換弁であり、経路24の途中に設けられ、レギュレータ25とタンク22との間に配置されている。切換弁26は、経路24を介するコンプレッサ11とタンク22との間の接続・遮断を切り換える。
【0025】
切換弁27は2ポート2位置切換弁であり、タンク22と真空発生器28との間に設けられ、タンク22と真空発生器28との間の接続・遮断を切り換える。
【0026】
真空発生器28は、切換弁27の流出側に設けられ、タンク22から吐出された圧縮空気を利用して真空を発生させる。真空発生器28は、真空を発生させるエジェクタ29、真空発生用の2ポート2位置切換弁30、真空破壊用の2ポート2位置切換弁31、および真空破壊時の圧縮空気の流量を調整する絞り弁32を備えている。エジェクタ29は切換弁27の流出側に設けられている。また、エジェクタ29は、タンク22から吐出された圧縮空気を流入させる流入ポート29A、流入ポート29Aから流入した圧縮空気を排出する排出ポート29B、および流入ポート29Aから流入して排出ポート29Bから排出する圧縮空気により真空を発生させる真空ポート29Cを有する。真空発生用の切換弁30は切換弁27とエジェクタ29の流入ポート29Aとの間に設けられている。真空破壊用の切換弁31は切換弁27と接続点Bとの間に設けられている。接続点Bはエジェクタ29の真空ポート29Cと吸着パッド34との間の経路35の途中に位置する。絞り弁32は切換弁31と接続点Bとの間に設けられている。エジェクタ29の真空ポート29Cにはサイレンサ33が接続されている。
【0027】
吸着パッド34は、エジェクタ29の真空ポート29Cに接続された経路35の先端に接続されている。吸着パッド34は、真空ポート29Cに発生した真空により吸着力を発生し、被工作物36を把持する。
【0028】
切換弁37は、エジェクタ29の真空ポート29Cと接続点Bとの間に設けられた2ポート2位置切換弁であり、真空ポート29Cと吸着パッド34との間の接続・遮断を切り換える。
【0029】
このような構成を有する真空発生システム1において、切換弁15を、切換弁12とエジェクタ14の流入ポート14Aとの間を接続する位置に切り換え、切換弁16を、切換弁12と接続点Aとの間を遮断する位置に切り換え、切換弁12を、コンプレッサ11とエジェクタ14の流入ポート14Aとを接続する位置に切り換え、コンプレッサ11を駆動し、そして、切換弁21を、エジェクタ14の真空ポート14Cと吸着パッド18との間を接続する位置に切り換える。これにより、真空発生器13が動作する。すなわち、コンプレッサ11から吐出された圧縮空気が、エジェクタ14の流入ポート14Aに流入し、排出ポート14Bから排出される。これにより、真空ポート14Cに真空が発生し、吸着パッド18に吸着力が発生し、被工作物20を把持することが可能になる。
【0030】
さらに、エジェクタ14の排出ポート14Cから排出された圧縮空気は、チェック弁23を通過してタンク22に流入し、タンク22内に蓄積される。
【0031】
一方、切換弁26を、経路24を介してコンプレッサ11とタンク22とを接続する位置に切り換えることにより、コンプレッサ11から吐出された圧縮空気が経路24を介してタンク22に流入し、タンク22に蓄積される。この圧縮空気の圧力は、レギュレータ25により低減され、補充空気圧力に調整される。
【0032】
真空発生器13から排出された圧縮空気、またはコンプレッサ11から経路24を介して供給された圧縮空気がタンク22内に蓄積されることにより、タンク22内の圧力が増していく。そして、タンク22内の圧力が所定の圧力(以下、「タンク内設定圧力」という。)に達した後、切換弁30を、切換弁27とエジェクタ29の流入ポート29Aとの間を接続する位置に切り換え、切換弁31を切換弁27と接続点Bとを遮断する位置に切り換え、切換弁27を、タンク22とエジェクタ29の流入ポート29Aとを接続する位置に切り換え、そして、切換弁37を、エジェクタ29の真空ポート29Cと吸着パッド34との間を接続する位置に切り換える。これにより、真空発生器28が動作する。すなわち、タンク22から吐出された圧縮空気が、エジェクタ29の流入ポート29Aに流入し、排出ポート29Bから排出される。これにより、真空ポート29Cに真空が発生し、吸着パッド34に吸着力が発生し、被工作物36を把持することが可能になる。排出ポート29Bから排出された圧縮空気はサイレンサ33を介して大気へ放出される。
【0033】
なお、真空発生器13において、吸着パッド18により把持した被工作物20を吸着パッド18から分離するときには、切換弁16を、切換弁12と接続点Aとを接続する位置に切り換える。これにより、コンプレッサ11から吐出された圧縮空気が経路19に供給され、真空が破壊され、吸着パッド18の吸着力が失われ、被工作物20が吸着パッド18から離れる。また、真空発生器28において、吸着パッド34により把持した被工作物36を吸着パッド34から分離するときには、切換弁31を、切換弁27と接続点Bとを接続する位置に切り換える。これにより、タンク22から吐出された圧縮空気が経路35に供給され、真空が破壊され、吸着パッド34の吸着力が失われ、被工作物36が吸着パッド34から離れる。
【0034】
真空発生システム1において、コンプレッサ11から吐出される圧縮空気の圧力は例えば0.5MPaである。エジェクタ14の動作圧力は例えば0.5MPaである。真空発生器13から排出されてタンク22に流入する圧縮空気の圧力は例えば0.02MPaである。経路24を介してタンクに流入する圧縮空気の圧力(補充空気圧力)は例えば0.2MPaである。タンク22のタンク内設定圧力は例えば0.2MPaである。タンク22の容積は例えば24L(リットル)である。エジェクタ29の動作圧力は例えば0.2MPaである。
【0035】
真空発生システム1によれば、真空発生器13を動作させるために用いた圧縮空気を再利用して真空発生器28を動作させることができ、圧縮空気の有効利用を図ることができる。
【0036】
また、真空発生器13を動作させるために用いた圧縮空気をタンク22に蓄積し、タンク22から吐出される圧縮空気を用いて真空発生器28を動作させることにより、真空発生器28の動作を安定させることができる。すなわち、タンク内所定圧力となるまでタンク22に圧縮空気を蓄積することにより、真空発生器28、すなわちエジェクタ29を動作させるのに必要な圧縮空気の圧力を確実に確保することができる。具体的には、真空発生器13から排出される圧縮空気の圧力が小さい場合でも、あるいは真空発生器13が動作を停止している場合でも、タンク22に圧縮空気を蓄積することにより、タンク内所定圧力を確保することができ、エジェクタ29を動作させるのに必要な圧縮空気の圧力を得ることができる。また、タンク22により、真空発生器13から排出された圧縮空気の脈動を除去することができる。
【0037】
さらに、経路24によってコンプレッサ11から吐出する圧縮空気を、真空発生器13を介さずにタンク22に供給することにより、真空発生器13から排出される圧縮空気の圧力が小さい場合でも、あるいは真空発生器13が動作を停止している場合でも、タンク22内に圧縮空気を確実に蓄積することができる。これにより、真空発生器13の動作と、真空発生器28の動作とを独立させることができる。例えば、真空発生器13の動作時期と真空発生器28の動作時期とを相互に異ならせることができる。
【0038】
(第2の実施形態)
図2は本発明の真空発生システムの第2の実施形態を示している。図2中の真空発生システム2において、図1中の真空発生システム1と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0039】
図2中の真空発生システム2では、真空発生装置13と真空発生装置28との間(具体的にはチェック弁23と切換弁27との間)に位置する接続点Cに分岐経路41の一端を接続し、分岐経路41の他端をタンク42に接続する。タンク42は図1中のタンク22と同様の構成を有する。このような構成を有する真空発生システム2によっても、図1中の真空発生システム1と同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
(第3の実施形態)
図3は本発明の真空発生システムの第3の実施形態を示している。図3中の真空発生システム3において、図1中の真空発生システム1と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
図3中の真空発生システム3では、後段の真空発生装置28において、経路35の途中であって、エジェクタ29の真空ポート29Cと切換弁37との間に、タンク45を設けると共に、真空ポート29Cとタンク45との間にチェック弁46を設ける。
【0042】
このような構成を有する真空発生システム3において、切換弁27および30によりタンク22とエジェクタ29との間を接続し、切換弁31により切換弁27と接続点Bとの間を遮断し、切換弁37によりタンク45と吸着パッド34との間を遮断した状態で、タンク22から吐出される圧縮空気をエジェクタ29に供給する。この圧縮空気がエジェクタ29の流入ポート29Aから流入し、排出ポート29Bから排出されることにより、真空ポート29Cに真空が発生し、この真空のエネルギーがタンク45に蓄積される。タンク45内の負圧が所定の負圧(以下、「タンク内設定負圧」という。)よりも大きな負圧となった後、切換弁37を、タンク45と吸着パッド34とを接続する位置に切り換える。これにより、吸着パッド34に吸着力が発生し、被工作物36の把持が可能になる。
【0043】
真空発生システム3によれば、タンク45に真空のエネルギーを蓄積することにより、吸着パッド34に安定した吸着力を発生させることができ、被工作物36の把持を確実に行うことが可能になる。
【0044】
(第4の実施形態)
図4は本発明の真空発生システムの第4の実施形態を示している。図4中の真空発生システム4において、図1中の真空発生システム1と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
図4中の真空発生システム4では、タンク22と真空発生器28との間に、タンク22から吐出する圧縮空気を蓄積するタンク51を設ける。さらに、タンク22とタンク51との間に、タンク22とタンク51との間の接続・遮断を切り換える2ポート2位置切換弁52を設ける。さらに、切換弁52とタンク51との間に、タンク51からタンク22に向けて圧縮空気が流れるのを阻止するチェック弁53を設ける。
【0046】
このような構成を有する真空発生システム4において、切換弁27によりタンク51と真空発生器28との間を遮断した状態で、切換弁52を、タンク22とタンク51との間を接続する位置に切り換える。これにより、タンク22から吐出した圧縮空気がタンク51に流入し、この圧縮空気がタンク51に蓄積される。圧縮空気の流入によりタンク51内の圧力が所定の圧力(以下、「タンク内設定圧力」という。)を超えた後、切換弁を、タンク51と真空発生器28とを接続する位置に切り換える。これにより、タンク51により吐出する圧縮空気が真空発生器28に供給され、この圧縮空気により真空発生器28を動作させることが可能になる。
【0047】
真空発生システム4において、コンプレッサ11から吐出される圧縮空気の圧力は例えば0.5MPaである。エジェクタ14の動作圧力は例えば0.5MPaである。真空発生器13から排出されてタンク22に流入する圧縮空気の圧力は例えば0.02MPaである。経路24を介してタンクに流入する圧縮空気の圧力(補充空気圧力)は例えば0.2MPaである。タンク22のタンク内設定圧力は例えば0.2MPaである。タンク22の容積は例えば24Lである。タンク51のタンク内設定圧力は例えば0.2MPaである。タンク51の容積は例えば5Lである。エジェクタ29の動作圧力は例えば0.2MPaである。
【0048】
真空発生システム4によれば、後段の真空発生器28を動作させるのに必要な圧縮空気をタンク51内に確実に確保することができる。すなわち、タンク22に圧縮空気が十分に蓄積されている期間に、タンク22内の圧縮空気の一部をタンク51へ移し、タンク51内に十分な圧縮空気を蓄えておくことができる。これにより、真空発生器13の稼働状態およびタンク22内の圧縮空気の蓄積状態に関わりなく、タンク51内の圧縮空気のみで真空発生器28を動作させることができる。したがって、真空発生器13およびタンク22に対する真空発生器28の独立性を高めることできる。
【0049】
また、タンク22に蓄積された圧縮空気が、真空発生器28以外の他のアクチュエータ(図示せず)などにも使用される場合には、他のアクチュエータによる圧縮空気の使用に先立って、タンク22に蓄積された圧縮空気の一部をタンク51に予め確保しておくことができ、他のアクチュエータによる圧縮空気の使用量に拘わらず、真空発生器28を動作させることができる。
【0050】
(第5の実施形態)
図5は本発明の真空発生システムの第5の実施形態を示している。図5中の真空発生システム5において、図1中の真空発生システム1または図4中の真空発生システム4と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
図5中の真空発生システム5では、タンク22とタンク51との間(具体的には、切換弁52とチェック弁53との間)に増圧器55を設ける。増圧器55は例えば増圧弁である。タンク22から吐出する圧縮空気は、増圧器55により増圧され、タンク51に流入し、タンク51に蓄積される。
【0052】
真空発生システム5において、コンプレッサ11から吐出される圧縮空気の圧力は例えば0.5MPaである。エジェクタ14の動作圧力は例えば0.5MPaである。真空発生器13から排出されてタンク22に流入する圧縮空気の圧力は例えば0.02MPaである。経路24を介してタンクに流入する圧縮空気の圧力(補充空気圧力)は例えば0.1MPaである。タンク22のタンク内設定圧力は例えば0.1MPaである。タンク22の容積は例えば24Lである。タンク51のタンク内設定圧力は例えば0.4MPaである。タンク51の容積は例えば5Lである。増圧器55の増圧比は例えば1:4である。エジェクタ29の動作圧力は例えば0.4MPaである。
【0053】
真空発生システム5によれば、タンク22から吐出する圧縮空気を増圧器55により増圧する。これにより、タンク22内に蓄積された圧縮空気の圧力が、後段の真空発生器28の動作圧力に比べて低くても、真空発生器28の動作圧力を満たす圧縮空気を作り出すことができる。また、増圧器55により増圧した圧縮空気をタンク51に蓄積することにより、真空発生器28の動作を安定化させることができる。さらに、増圧器55として、増圧比がより大きい増圧器を用いれば、後段の真空発生器28として、動作圧力のより大きい真空発生器を用いることが可能になる。
【0054】
(第6の実施形態)
図6は本発明の真空発生システムの第6の実施形態を示している。図6中の真空発生システム6において、図1中の真空発生システム1または図5中の真空発生システム5と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
図6中の真空発生システム6では、図5に示す真空発生システム5に設けられていた経路24、レギュレータ25、切換弁26をいずれも備えていない。
【0056】
真空発生システム6において、コンプレッサ11から吐出される圧縮空気の圧力は例えば0.5MPaである。エジェクタ14の動作圧力は例えば0.5MPaである。真空発生器13から排出されてタンク22に流入する圧縮空気の圧力は例えば0.02MPaである。タンク22のタンク内設定圧力は例えば0.02MPaである。タンク22の容積は例えば24Lである。タンク51のタンク内設定圧力は例えば0.12MPaである。タンク51の容積は例えば5Lである。増圧器55の増圧比は例えば1:6である。エジェクタ29の動作圧力は例えば0.12MPaである。
【0057】
真空発生システム6によれば、増圧器55により、タンク22内に蓄積された圧縮空気を増圧することにより、後段の真空発生器28の動作圧力を満たす圧力を有する圧縮空気を作り出すことができる。このように、タンク22内に蓄積された圧縮空気を増圧器55により増圧して、真空発生器28を動作させるのに十分な圧力を有する圧縮空気を得ることができるのであれば、タンク22内に蓄積する圧縮空気の圧力は低くてもよい。したがって、タンク22に供給する圧縮空気は、真空発生器13から排出される圧縮空気だけで十分である。すなわち、圧縮空気をコンプレッサ11からタンク22へ真空発生器13を介さずに供給しなくてもよい。それゆえ、真空発生システム6は、図5に示す真空発生システム5に設けられていた経路24、レギュレータ25および切換弁26を排除することができる。よって、真空発生システム6は、真空発生システム5よりも部品点数を減らすことができ、製造コストを下げることができる。
【0058】
(第7の実施形態)
図7は本発明の真空発生システムの第7の実施形態を示している。図7中の真空発生システム7において、図1中の真空発生システム1または図6中の真空発生システム6と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
図7中の真空発生システム7では、図6中の真空発生システム6における増圧器55に代えて、1:10ないし1:20の増圧比を有する増圧器56を設ける。
【0060】
真空発生システム7において、コンプレッサ11から吐出される圧縮空気の圧力は例えば0.5MPaである。エジェクタ14の動作圧力は例えば0.5MPaである。真空発生器13から排出されてタンク22に流入する圧縮空気の圧力は例えば0.02MPaである。タンク22のタンク内設定圧力は例えば0.02MPaである。タンク22の容積は例えば24Lである。タンク51のタンク内設定圧力は例えば0.2ないし0.4MPaである。タンク51の容積は例えば5Lである。エジェクタ29の動作圧力は例えば0.2ないし0.4MPaである。
【0061】
真空発生システム7では、1:10ないし1:20の増圧比を有する増圧器56を設け、増圧器56により、タンク22から吐出される圧縮空気を10ないし20倍に増圧する。これにより、前段の真空発生器13から排出される圧縮空気の圧力が低くても、この圧力を増幅器56により大幅に増加させ、比較的高い動作圧力を有する後段の真空発生器28を動作させることができる。
【0062】
なお、真空発生システム1、2、3、4、5、6または7において、コンプレッサ11とタンク22との間に、複数の真空発生器を並列的に設けてもよい。また、真空発生システム1、3、4、5、6または7において、タンク22の後段に複数の真空発生器を並列的に設けてもよい。また、真空発生システム2において、接続点Cの後段に複数の真空発生器を並列的に設けてもよい。また、真空発生システム4、5、6または7において、タンク51の後段に複数の真空発生器を並列的に設けてもよい。また、真空発生システム1、2、3、4、5、6または7において、真空発生器28の後段に他の真空発生器を接続してもよい。
【0063】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う真空発生システムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の真空発生システムの第1の実施形態を示す回路図である。
【図2】本発明の真空発生システムの第2の実施形態を示す回路図である。
【図3】本発明の真空発生システムの第3の実施形態を示す回路図である。
【図4】本発明の真空発生システムの第4の実施形態を示す回路図である。
【図5】本発明の真空発生システムの第5の実施形態を示す回路図である。
【図6】本発明の真空発生システムの第6の実施形態を示す回路図である。
【図7】本発明の真空発生システムの第7の実施形態を示す回路図である。
【符号の説明】
【0065】
1、2、3、4、5、6、7 真空発生システム
11 コンプレッサ
13 真空発生器(第1の真空発生器)
14 エジェクタ
14A 流入ポート(第1の流入ポート)
14B 排出ポート(第1の排出ポート)
14C 真空ポート(第1の真空ポート)
18 吸着パッド(第1の吸着パッド)
22、42 タンク(第1のタンク)
24 経路
28 真空発生器(第2の真空発生器)
29 エジェクタ
29A 流入ポート(第2の流入ポート)
29B 排出ポート(第2の排出ポート)
29C 真空ポート(第2の真空ポート)
34 吸着パッド(第2の吸着パッド)
37 切換弁
45 タンク(第3のタンク)
51 タンク(第2のタンク)
55、56 増圧器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧源と、
前記空気圧源から吐出された圧縮空気を流入させる第1の流入ポート、前記第1の流入ポートから流入した圧縮空気を排出する第1の排出ポート、および前記第1の流入ポートから流入して前記第1の排出ポートから排出する圧縮空気により真空を発生させる第1の真空ポートを有する第1の真空発生器と、
前記第1の真空ポートに接続された第1の吸着パッドと、
前記第1の真空発生器の排出ポートから排出された圧縮空気を蓄積する第1のタンクと、
前記第1のタンクから吐出された圧縮空気を流入させる第2の流入ポート、前記第2の流入ポートから流入して圧縮空気を排出する第2の排出ポート、および前記第2の流入ポートから流入して前記第2の排出ポートから排出する圧縮空気により真空を発生させる第2の真空ポートを有する第2の真空発生器と、
前記第2の真空ポートに接続された第2の吸着パッドとを備えていることを特徴とする真空発生システム。
【請求項2】
前記空気圧源から吐出された圧縮空気を、前記第1の真空発生器を介さずに前記第1のタンクに供給する経路を備えていることを特徴とする請求項1に記載の真空発生システム。
【請求項3】
前記第1のタンクから吐出された圧縮空気を蓄積する第2のタンクを備え、
前記第1のタンクから吐出されて前記第2のタンクに蓄積された圧縮空気を前記第2の流入ポートに流入させることを特徴とする請求項1または2に記載の真空発生システム。
【請求項4】
前記第1のタンクから吐出された圧縮空気を前記第2のタンクに供給する経路の途中に、前記第1のタンクから吐出された圧縮空気を増圧する増圧器を設けることを特徴とする請求項3に記載の真空発生システム。
【請求項5】
前記増圧器は、前記第1のタンクから吐出された圧縮空気を10ないし20倍に増圧することを特徴とする請求項4に記載の真空発生システム。
【請求項6】
前記第2の真空ポートと前記第2の吸着パッドとの間に設けられた第3のタンクと、
前記第3のタンクと前記第2の吸着パッドとの間に設けられ、前記第3のタンクと前記第2の吸着パッドとの間の接続・遮断を切り換える切換弁とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の真空発生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−120103(P2010−120103A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294559(P2008−294559)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(590000558)株式会社妙徳 (37)
【Fターム(参考)】