眼の薬物療法において有用なアプタマー治療薬
本発明は、個々に、または2つ以上が組み合わさって、サイトカイン、増殖因子、および細胞表面タンパク質に結合することができる核酸治療用組成物と、緑内障および眼に関する他の増殖性障害を処置する際に該核酸治療用組成物を送達する方法とを提供する。本発明は、術後組織瘢痕に関与することで緑内障にかかった眼でのIOP増加とこの他の緑内障の病理学的プロセスとを遮ることができるTGFβ2および血小板由来成長因子サイトカインに対する特異的結合親和性を有するアプタマー治療薬を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般的には核酸治療薬の分野に関し、より具体的には、個々に、または2つ以上が組み合わさって、サイトカイン、増殖因子および細胞表面アクセプターに結合できる核酸治療組成物、ならびに、緑内障および他の増殖性眼障害の処置でこれらの核酸治療薬を送達するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
アプタマーは、標準的なワトソン・クリック塩基対形成以外の相互作用を通じて分子特異的な結合親和性を有する核酸分子である。
【0003】
ファージディスプレイまたはモノクローナル抗体(MAbs)により生成されるペプチド同様、アプタマーは、選択したターゲットに特異的に結合し、結合により前記ターゲットがもつ機能を阻害する。ランダム配列オリゴヌクレオチド・プール(図1)からのインビトロでの選択工程により、アプタマーは、増殖因子、転写因子、酵素、免疫グロブリンおよびアクセプターを含む100を超えるタンパク質につき生成されている。アプタマーは通常10〜15kDaのサイズ(30〜45ヌクレオチド)であり、nM以下の親和性でターゲットと結合し、近縁なターゲットを区別している(例えば、同一遺伝子ファミリーに属する他のタンパク質には結合しない)。一連の構造研究により次のことが明らかになっている。アプタマーは、抗体−抗原コンプレックスの親和性および特異性を左右する、同じ型の結合相互作用(例えば、水素結合、静電相補性、疎水的接触、および立体排除)を利用することができる。
【0004】
アプタマーは、高い特異性および親和性、生物学的有効性、ならびに優れた薬物動態学的特性など、治療(および診断)に用いるのに好都合な特徴が多い。さらに、特に抗体およびその他のタンパク質生物製剤と比べ、アプタマーは優位な競争力をもつ。以下、例を示す。
【0005】
1)スピードおよび制御 アプタマーはインビトロでの工程のみにより産生されるため、最初の治療リードを迅速に産生することができる。インビトロでの選択により、アプタマーの特異性および親和性を厳密に制御することができ、有毒ターゲットおよび非免疫原性ターゲットの両方に対するリードを産生することができる。
【0006】
2)毒性および免疫原性 アプタマーは総じて、毒性または免疫原性がほとんどないか全くないことが実証されている。ラットまたはマーモットに、高レベル(1日あたり10mg/kgを90日間)のアプタマーを慢性的に投薬しても、いかなる臨床的、細胞学的、または生化学的方法によっても毒性がないことが観察されている。モノクローナル抗体は抗体自身への免疫応答により有効性が厳密に制限されていることが多く、抗体からアプタマーを誘発することは非常に困難である(アプタマーはMHCからのT細胞により存在できず、免疫応答では一般的に核酸断片を認識しないようになることが最も適当な理由である)。
【0007】
3)投与 現在承認されている抗体治療は全て静脈内注射(通常2〜4時間以上)により投与されるが、アプタマーは皮下注射により投与できる。この違いは比較的低い可溶性が最大の要因であり、治療用モノクローナル抗体(MAbs)は大量使用が必要なものがほとんどである。良好な可溶性(>150mg/ml)および比較的低い分子量(アプタマー:10〜50kDa;抗体:150kDa)のため、アプタマーは1週間あたりの用量が0.5mlより少ない分量を注入すればよい。サルによる研究では、皮下投与によるアプタマーの生物学的利用能は>80%である(Tuckerら、J.Chromatography B.732:203−212,1999)。さらに、サイズが小さいため、アプタマーは抗体または抗体断片が浸透できない狭窄構造領域にも浸透することができ、アプタマーにもとづく治療または予防のもう一つの有用性として挙げられる。
【0008】
4)拡張性およびコスト 治療用アプタマーは化学的に合成されるため、必要に応じてすぐにスケーリングして生産需要を満たすことができる。大規模タンパク質生産プラントの資本コストは巨大で大規模タンパク質生産は困難であるため、現在のところスケーリング生産はいくつかの生物製剤に限られているが、オリゴヌクレオチドは単一の大規模合成機で1年あたり100kgまで生産することができ、比較的穏当な初期投資しか必要としない。現在のアプタマー合成商品原価は、キログラムスケールで500ドル/gと見積もられており、高度に最適化された抗体の商品原価と遜色がない。工程開発の継続的改善により、5年間で商品原価が<100ドル/gに低下することが期待されている。
【0009】
5)安定性 治療用アプタマーは化学的に安定している。アプタマーは本質的に、熱および変性剤などの因子にさらされることにより活性を取り戻す性質を有し、凍結乾燥粉末として室温で長期間(>1年)保存することができる。コントロール的に、抗体は冷蔵保存しなければならない。
【0010】
(緑内障)
失明の2大要因は緑内障および加齢性黄斑変性症(AMD)である。緑内障は、アメリカ合衆国で220万人、世界では6500万人の患者が発症している、眼の増殖性障害である。緑内障は、眼からの体液排出量の低下および眼内圧(IOP)上昇と関連がある。IOPが高い場合、個々の神経線維細胞死が失明につながる。失明は、特有の視神経円板損傷、神経線維層欠損、抹消から始まる視野欠失、および最終的な盲目により明らかになる。緑内障の進行は現在のところ不可逆である。しかし、体液生産およびIOPを調節する治療薬により進行を遅らせることはできる。現状では、進行した緑内障の処置のための選り抜きの治療剤は、柵状織切除により送達される細胞毒性薬である。緑内障患者の処置の手術は、アメリカ合衆国で1年間におよそ120、000回と見積もられている。
【0011】
緑内障処置の第一線では、通常、眼液レベルを調節する治療薬を使用する。緑内障ろ過顕微手術または柵状織切除は第二線の処置である。これらの処置では小さな裂け目を眼の強膜に作り、体液が小疱に流れ出すことによりIOPを低下させる。しかし、手術後の合併症が重大な問題であり、失明につながる可能性がある。手術による合併症は、不完全な創傷治癒および瘢痕によりIOPが高くなり再手術が必要になる場合に起こる。柵状織切除の間、抗生物質および副腎皮質ステロイドをサブジャンクティバルに脳弓下部に注入することができる。または抗生物質および副腎皮質ステロイドに浸したコラーゲンシールドにより、術後瘢痕の伸長を制御するために眼を覆うことができる。瘢痕の影響に対処するため、マイトマイシン−Cおよび5−フルオロウラシルなどの代謝拮抗剤により術後瘢痕の伸長が制御されている。2回目の排液手術が実施されたときに術後のIOPが25%よりも低下しなかった場合に柵状織切除が失敗したとされる。
【0012】
柵状織切除の失敗を防ぐため、局所ステロイドおよび/または抗線維剤が一般的に用いられている。手術後にはステロイド様プレドニゾロン酢酸塩1%を1日あたり4〜6回用いることが多く、4〜8週間後に漸減する。アトロピン1%またはシクロペントレート1%などの毛様筋調節薬は、浅前房の傾向がある場合は1日4回まで用いることができる。過剰な術後の結膜下線維症を防ぐため、マイトマイシンCおよび5−フルオロウラシルなどの付属の代謝拮抗剤が用いられる。代謝拮抗剤は線維芽細胞増殖および続いて起こる瘢痕組織形成を阻害する。マイトマイシンCは5−FUよりも100倍強力である。ともに高い成功率をもたらすが、合併症発症率も高いためケースバイケースで使用を決定する。マイトマイシンC(0.2〜0.5mg/ml溶液)または5−FU(25〜50mg/ml溶液)を、強膜フラップ解剖前に、セルロース・スポンジまたはろ紙に染み込ませて上強膜に1〜5分間、適用することができる。マイトマイシンCまたは5−FUを強膜フラップ下部に適用することも可能であり、予測される線維症リスクに応じて暴露時間を変えることができる。さらに、手術の間、創傷の縁に触れないようにして前記結膜のテノン嚢層を前記スポンジにより覆う。除去後は、全領域を塩溶液によりまんべんなく洗浄する。5−FUのアリコート(5mg)を結膜下に送達することができる。総注入回数は、フィルタリング小疱機能および角膜上皮の耐性に応じて調節される。5−FUに関する合併症としては、角膜および結膜の上皮毒性、角膜潰瘍、結膜創傷の漏出、結膜下出血または不注意な眼内への5−FU拡散が挙げられる。
【0013】
体液流出、低眼圧症(低IOP)、および一般的な組織毒性を含む深刻な合併症は、柵状織切除の繰り返し、および代謝拮抗剤治療の利用により発症する(Blindishら、Ophthalmology(2002),109:1336−1341;Belyeaら、Am J Ophthalmol(1999),124:40−45;Kupinら、Am J Ophthalmol(1995),119:30−39)。代謝拮抗剤はさらに、眼の組織を損傷して低IOPを引き起こし、または失明にさえも至る可能性がある。緑内障処置における代謝拮抗剤治療の失敗は、スネレン視力検査のツーラインドロップにより定義される(Membreyら、(2000).Br J Ophthalmology,84:1154−58)。
【0014】
緑内障の進行は、眼における形質転換増殖因子サイトカインのレベル増加と関連がある。前記形質転換増殖因子β(TGFβサブファミリー)は、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3の3つのメンバーから成る。TGFβは機能が複数あるサイトカインであり、成長、分化、および発達を制御する。TGFβは多くの異なる細胞型で発現し、ほとんどの細胞がTGFβに応答する。形質転換増殖因子ベータ2(TGFβ2)は25kDのホモダイマー増殖因子サイトカインであり、細胞増殖、分化、および細胞外マトリクス形成に関与している。アクセプター(I〜V型)にはTGFβ2に対する細胞応答を媒介するものがいくつかあり、そのアイソフォームTGFβ−1およびTGFβ−3は種々の細胞に存在する。II型アクセプターは、TGFβ2に応答する主要なシグナルアクセプターであるが、TGFβ2はIII型に対する結合親和性が高く、II型依存性シグナリングを増強するのは、シグナリングタイプのアクセプターではないと考えられている。
【0015】
体にはTGFβ1が優勢である部分が多いが、眼ではTGFβ2が優勢な形態である。形質転換増殖因子ベータ2(TGFβ2)は眼球の創傷治癒に関与しており、緑内障手術に関連した瘢痕で何らかの役割を果たしていることが提唱されている。前記の眼球瘢痕応答はTGFβ2により媒介される(Cordeiroら、Invest Ophthalmol.Vis.Sci.(1999),40:1975−1982)。TGFβ2のレベル上昇は、正常眼における制御レベルと比較したときの緑内障眼中の眼房水により検出される:21pM 緑内障眼 対 12pM 正常眼(Ochiaiら、Jpn J.Ophthalmol.(2002),46:249−253)。小柱網細胞は、毛様体細胞と同様、TGFβ2を発現・分泌する。TGFβ2により、加齢性緑内障眼で観測される水分拍出システム中に細胞外成分が過剰に蓄積することが示唆されている(Tripathiら、Exp.Eye Res.(1994),58:523−528)。
【0016】
現在、TGFβ2特異的抗体など代替治療利用の臨床試験が進行中である。TGFβ2特異的抗体は、緑内障のための眼手術を受ける患者の過剰な術後瘢痕を防ぐことが示されている(Broadwayら、Adjunctive anti−TGFβ2 human MAb as a novel agent to prevent scarring following phacotrabeculectomy.May 2002,ARVO Meeting Poster #3331)。しかし、眼における抗体治療では、炎症または異種抗体に対する免疫応答など、望ましくない副作用が発生し、2次的な緑内障眼のIOP増加を起こす恐れがある。また、ウサギ・モデルでは眼におけるTGFβ2発現を阻害するアンチセンス核酸により手術痕が減少し、手術結果が改善されるという研究がなされている(Cordeiroら、Gene Therapy(2003),10:59−71)。しかし、前記アプローチでは眼の正常な手術後の治癒および組織再生産工程を妨げる可能性があり、眼および周辺組織の細胞毒性を助長する恐れがある。したがって、この代替治療の利用は、現在の緑内障治療において、完全には副作用および2次的な有害作用を排除しきれていない。
【0017】
(加齢性黄斑変性症(AMD))
加齢性黄斑変性症(AMD)は網膜黄斑が退行した状態である。AMDはアメリカ合衆国では50歳以上の最も一般的な失明の原因であり、AMDの有病率は年齢とともに増加する。アメリカ合衆国だけで1500万人がAMDを発症している。AMDは、網膜に栄養分を与える動脈が硬化することにより発症する。硬化により、網膜組織では、機能を果たし成長するための酸素・栄養が欠乏する。結果として、中心視が衰える。網膜下部における異常な血管成長の有無により、AMDはウェット型(新生血管型)またはドライ型(非新生血管型)に分類される。
【0018】
ウェット型AMDは、黄斑変性症に苦しむ患者の約10%が発症している。酸素が欠乏している網膜組織への血液供給を改善しようとして新しい血管が形成されるときにウェット型が発症する。しかしながら、このような新しい血管は非常に繊細で簡単に壊れ、出血および周辺組織の損傷を引き起こす。このウェット型は、クラシックまたはオカルトの2つのタイプに分けることができる。患者の70%超がオカルトタイプのウェット型である。これまで、視野を安定化させるため、または異常血管の成長を制限するための従来のレーザー光凝固による治療は、クラシックタイプのウェット型患者のみに施されてきた。残り大多数のウェット型AMD患者にはこのようなレーザー処置ができない。異常血管のみならずその上の網膜黄斑までも破壊するため、現在のレーザー治療では、処置した眼の視覚が改善されないことがほとんどである。
【0019】
ドライ型AMDはより一般的であるが、通常は被害が軽度であり、失明はよりゆるやかに進行する。ドライ型AMDの特徴は網膜のドルーゼおよび色素欠失である。ドルーゼは小さい、網膜層に形成される黄色がかった沈着物である。現在のところ、ドライ型に対する実績のある処置は無いが、失明はよりゆるやかな傾向にあり、障害の進行がより遅い。現在のところ、ドライ型黄斑変性症に対する実績のある薬物療法は無い。
【0020】
(増殖性硝子体網膜症(PVR))
その他の失明の原因は網膜剥離である。網膜剥離は一般的な集団では1年間に1:10、000の割合で発生している。しかし、網膜剥離の発生率が増加する眼障害および全身性障害と関連した状態は様々である。この障害状態としては、糖尿病、高度近視、偽水晶体および無水晶体、ブラントおよび貫通性の眼外傷、および後天性免疫不全症に関連したサイトメガロウイルス性網膜炎が挙げられる。硝子体切除は網膜剥離の標準的な治療法である。1年間に、アメリカ合衆国内で約200、000の硝子体切除、アメリカ合衆国外で300、000の硝子体切除が行われている。網膜剥離の約10%、または世界では1年あたり62、600事例およびアメリカ合衆国で1年あたり約2、800事例、増殖性硝子体網膜症(PVR)は発生している。PVRは網膜の再付着手術が失敗する最も一般的な原因である。
【0021】
血小板由来増殖因子(PDGF)は強力な分裂促進因子であり、種々の増殖性障害で重要な役割を果たすことが知られている。PDGFは、異常な増殖およびPVRにおけるグリア細胞および網膜色素内皮細胞(RPE)の転移調節に関与していると想定されている。
【0022】
PDGFはAサブユニットおよびBサブユニットのダイマーを形成する。すなわち、ABヘテロダイマー、AAホモダイマー、およびBBホモダイマーである。PDGFは正常な細胞増殖の調節、組織などの病理的な細胞増殖の媒介、線維症、増殖性障害、および血管形成で極めて重要な役割を果たす。PDGFは再狭窄、腎臓瘢痕、創傷治癒、および癌に関与している。腫瘍細胞株の多くはPDGFを分泌し、PDGFアクセプター(PDGF−R)を大量に発現する。PDGFのアミノ酸配列はある癌遺伝子に似ている。
【0023】
網膜でPDGFが高度に発現することにより、血管細胞および非血管細胞がともに増殖して網膜剥離を引き起こす。PDGFは、小柱網細胞の増殖を促進し、網膜色素上皮の六方晶系細胞から扁平細胞への脱分化を増強し、α平滑筋アクチン発現を増加させ、筋類似物質分化およびコラーゲンゲル収縮を増強する。AMD患者の硝子体ではそれらのレベルが上昇している。
【0024】
TGFβ、VEGF、BFGF、HGF、およびIL−6Pを含む増殖因子の多くのがPVRに寄与しているが、PDGFが最も重要な役割を果たしていることが示されている。
【0025】
PVRは、網膜の穴または割れ目が関与する網膜剥離を起こす、最も一般的な合併症である。PVRは、硝子体腔内、ならびに網膜表面前面および背面上の細胞膜(主にはグリア細胞および網膜色素上皮細胞から成るが、線維芽細胞および炎症細胞も含む)の成長に関与している。これらの基本的に瘢痕組織である膜は網膜を牽引し、最初の網膜剥離処置が成功した後であっても、網膜剥離が再発する。PVRは、成功裡に処置された網膜の割れ目の自然発症的な再開烈と関連があり、新たな網膜の割れ目を発達させることがある。PVRは、膜収縮の結果である、網膜の深刻な歪みおよび”硬直”と関連することがあり、この状態は視覚損傷を起こす。
【0026】
PDGFは小柱網細胞の増殖を促進し、網膜色素上皮の六方晶系細胞から平滑細胞への脱分化を増強し、α平滑筋アクチンの発現を増加させ、筋類似物質分化およびコラーゲンゲル収縮を増強する。PVR患者の硝子体膜および前網膜では、PDGFレベルが上昇している。実験モデルでは、PDGFRの無い細胞ではPVR誘発に効果が無い。特に、PDGF−AAにより、血管細胞の関与なしに高度なグリア細胞の増殖および網膜剥離の牽引が起こる。PDGF−αRはPVR発症の原因となるイベントを促進させ得ることが示されている。PDGF変異体は全てPDGF刺激による細胞周期の進行を阻害することができるが、そのキナーゼ活性およびPVR阻害能は異なる。切断されたアクセプターはPVR阻害に効果がある。
【0027】
PVR発達段階は次に示すとおりである。
1)血液網膜関門の分解
2)走化作用および細胞転移
3)細胞増殖
4)細胞外マトリクスのリモデリングによる膜形成
5)収縮
PDGFは、以下に述べるPVR発達の5段階それぞれにおいて重要な役割を果たしている。
【0028】
上記RPEは、血液網膜関門の外部のように網膜ホメオスタシスおよび視覚機能を調節する脈絡膜および神経網膜間に細胞モザイクを形成する。PVRの最初の段階はRPE細胞の脱分化である。RPE細胞の脱分化では、有糸分裂静止状態の六方晶系形から平滑な形に変形して上皮の特徴を失う形態変化が起こる。さらに、RPE細胞はサイトケラチンの発現を低下させ、α平滑筋アクチン(α−SMA)の発現を開始する。α−SMAは収縮能が作用するのに必須であり、時間に依存して増加する。PDGFはRPE細胞の脱分化、筋類似物質の分化、およびα−SMA発現を増強する。
【0029】
血液網膜関門の分解により、RPE細胞、グリア細胞、線維芽細胞、マクロファージ、白血球、および血清成分など種々の細胞型が硝子体および網膜下のスペースに入り込むことができる。RPEおよびグリア細胞が優勢な型である。これら細胞は網膜および硝子体ゲルに付着する。PDGFはRPE細胞およびグリア細胞を転移させる潜在的刺激因子である。
【0030】
網膜および硝子体ゲルに一度付着すると、これらの細胞は大々的に増殖する。PDGFはRPEおよびグリア細胞の増殖を引き起こし、DNA合成を誘発する。
【0031】
RPE細胞は、筋線維芽細胞または間葉状細胞に分化転換し、網膜表面および硝子体内で網膜上膜を形成し、細胞外マトリクスの合成を開始する。正常なRPE細胞はPDGFまたはPDGFアクセプターを発現しない。しかし、PDGFおよびPDGFアクセプターはPVR膜を形成するRPE細胞では高度に発現する。PDGFは線維芽細胞の合成およびコラーゲンの沈着を刺激する。最終的に、これらの膜が付着網膜に対して収縮力および牽引力を及ぼし、割れ目の再開口および網膜剥離を引き起こす。PDGFはRPEの収縮能を増強し、線維芽細胞およびコラーゲンゲル収縮を刺激する。
【0032】
(増殖性糖尿病網膜症(PDR))
増殖性糖尿病網膜症(PDR)は糖尿病の合併症であり、網膜血管の変化により発症する。網膜の血管が損傷を受けた場合、血液が漏出し、もろい、ブラシ様ブランチおよび瘢痕組織が成長することがある。これにより、網膜が脳に送る視覚イメージがかすむか歪む可能性がある。糖尿病網膜症は先進国における失明の大きな原因であり、25歳から74歳の糖尿病患者では主要因である。糖尿病網膜症は、アメリカ合衆国では1年間に発生する新たな失明のうち12、000から24、000ケースの原因となっている。糖尿病患者の25%が糖尿病網膜症に苦しんでおり、I型糖尿病では5年後には60%、10〜15年後には80%に発症率が増加すると見積もられている。アメリカ合衆国の患者人口は500万であり、潜在的なアメリカ合衆国における市場規模は50億ドルである。この障害は、高血糖、基底膜肥厚、周皮細胞欠失、出血および網膜剥離の牽引により失明を起こし得る毛細血管瘤および前網膜の新血管新生により特徴づけられる。
【0033】
非増殖性糖尿病網膜症は、網膜内毛細血管瘤、出血、神経線維層梗塞、硬性白斑、および微小管異常により特徴付けられる。黄斑浮腫は失明の主たるメカニズムである。黄斑浮腫は、黄斑(網膜の中央領域)毛細血管の毛細血管瘤から血管が漏出することにより発症する。漏出により、硬性白斑または胞状変化と関連がある黄斑性肥厚が進行することがあり、しばしば種々の程度の中枢盲を引き起こす。増殖性糖尿病網膜症は網膜の新血管新生により特徴づけられる。増殖性糖尿病網膜症は、存在、位置、深刻度、および出血を伴う網膜の新血管新生活性により等級分けされている。増殖性糖尿病網膜症は深刻な失明と関連がある。糖尿病網膜症は、次に示す症状に起因すると考えられる。血行上の問題により、網膜の部位が酸素不足または虚血状態になる。新血管新生により、十分な酸素レベルを維持するために硝子体中で新血管が成長を開始するようになる。新たに形成された毛細血管からの血液滲出および瘢痕組織の形成により、網膜の牽引が起こり小さな裂傷が発生する。裂傷が発生すると体液が網膜層の下部または中に蓄積し、剥離が起こる。患者は、かすみ目、フローター、潮紅、そして出血、浮腫、および瘢痕組織形成による突然の失明を体験する。
【0034】
硝子体切除は、以前は手術不能とされることが多かった網膜障害の修復に用いられる顕微手術の手順である。網膜が深刻な損傷をうける前に実施されれば、硝子体切除は成功率90%である。
【0035】
他の増殖因子との相乗作用により、PDGF−BはPDR病原として重要な役割を果たす。低酸素血症によりPDGF−Bの発現が増加する。PDGF−Bが網膜で高度に発現すると、血管細胞および非血管細胞がともに増殖して網膜剥離を引き起こす。PDGF−Bは、アストロサイト、周皮細胞、および内皮細胞といった網膜中のいくつかの細胞型の増殖を誘発する。これらの細胞は網膜表面で増殖し、細胞が内顆粒層に転移して網膜を牽引することにより、網膜襞外部および剥離の焦点領域が拡大して完全な網膜剥離となる。
【0036】
PDR膜のこの特徴が、治療を困難なものにしており、通常、単に表面から膜を剥離するよりも網膜を取り除いて連携を断つことが必要とされている。PDGFはPDGFR−bを通じて内皮細胞に直接作用し、血管形成を誘発する。PDGFは、正常な細胞増殖および組織など病理的細胞増殖の媒介、線維症、増殖性障害、および血管形成の調節に極めて重要な役割を果たしている。PDGFは再狭窄、腎臓瘢痕、創傷治癒および癌に関与している。PDGFは線維芽細胞、平滑筋細胞、神経膠細胞に作用し、結合組織細胞の増殖を刺激する。
【0037】
(その他の増殖因子サイトカイン、および細胞表面タンパク質)
その他の増殖因子サイトカイン、および細胞表面タンパク質は眼球の創傷治癒に関与し、緑内障手術と関連した瘢痕で何らかの役割を果たしていることが示唆されている。そのようなサイトカイン、細胞表面タンパク質および種々の眼障害に関与している増殖因子としては、ICAM−1、IGF−1、VEGF/JVEGF−R、TNF−α、およびαVβ3が挙げられる。細胞接着分子1(ICAM−1)は、76〜115kDaの、糖尿病性網膜症で特に重要な役割を果たしている5つの細胞外免疫グロブリン様ドメインをもつ表面糖タンパク質である。ICAM−1により媒介される白血球停滞は、糖尿病性網膜症の病原である。ICAM−1と白血球(好中球、好塩基球、リンパ球、好酸球、単球)表面のβ2インテグリンとの相互作用は、ICAM−1の内皮への固着および経内皮の炎症部位への転移にとって重要である。ICAM−1は糖尿病性網膜症患者網膜の脈管構造への白血球付着を促進する。また、毛細血管が血液フローを支持できないために不可逆的な網膜虚血を生じる病変により起こる、網膜内皮細胞の損傷および死にICAM−1は関与している。ICAM−1生物活性を阻害することにより、糖尿病網膜の白血球停滞が妨げられ、血液網膜柵の衰弱を強力に防ぐことができる。
【0038】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)はプロインシュリン(50%)に50%の相同性をもつ7.5kDaのペプチドであり、成長ホルモンの制御下、主に肝臓で産生される。IGF−1は潜在的な細胞増殖の分裂促進因子/刺激因子であり、強力な抗アポトーシス剤である。IGF−1の機能は6つのIGF結合タンパク質(IGFBP)により調節され、発育段階および栄養条件によりレベルは影響を受ける。IFG−1の効果は、細胞の増殖および保護、抵抗性から、酸化ストレス、骨および筋肉の成長促進、ならびに神経細胞の保護にまで及ぶ。IGF−1は血管形成に関与し、IGF−1はVEGFとともに、増殖性糖尿病網膜症(PDR)に何らかの役割を果たしている。PDRは糖尿病の合併症であり、網膜の血管内変化により発症する。網膜の血管が損傷を受けた場合、血液が漏出し、もろい、ブラシ様ブランチおよび瘢痕組織が成長することがある。これにより、網膜が脳に送る視覚イメージにかすみまたは歪みが生じる。
【0039】
血管内皮増殖因子および血管内皮増殖因子アクセプター(VEGFおよびVEGF/R)の転写は、糖化最終産物およびインシュリンの存在により増加する。糖尿病の網膜に糖化最終産物が蓄積すると新血管新生を促し、結果として失明することがある。インシュリンによるVEGF合成の刺激により、インシュリン治療を施された後の糖尿病患者では一時的に網膜の新血管新生を促進されることがある。
【0040】
網膜の炎症および血管形成の間、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)は増加して眼中に存在している。TNF−αは小柱網細胞の増殖を促進し、小柱網、マトリクス・メタプロテナーゼ、および組織阻害剤の発現を調節する。インテグリン・アルファ5ベータ3(αVβ3)はAMDにおけると同様、PDRにおいても血管形成を促進する(Enaidaら、Fukushima J Med Sci.44(1):43−52.(1998))。
【0041】
したがって、サイトカイン、増殖因子、および細胞表面アクセプターに特異的な、眼の障害処置における有害な副作用を有意に削減または根絶する、障害の進行をほとんど止めるような治療薬が必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0042】
(発明の要旨)
アプタマーが特異性を有することから、緑内障にかかった眼でのIOP増加をもたらす瘢痕組織形成または他の細胞イベントを促進するサイトカイン、増殖因子、または細胞表面タンパク質に対して特異的に結合することができる治療薬としてアプタマーを用いることが可能である。本発明は、術後組織瘢痕に関与することで緑内障にかかった眼でのIOP増加とこの他の緑内障の病理学的プロセスとを遮ることができるTGFβ2および血小板由来成長因子サイトカインに対する特異的結合親和性を有するアプタマー治療薬を提供する。
【0043】
一実施形態では、本発明は、眼病治療に有用なTGFβ1、TGFβ2、またはTGFβ3との結合が可能なアプタマー組成物を提供する。
【0044】
一実施形態では、本発明は眼病治療に有用な血小板由来増殖因子(PDGF)との結合が可能なアプタマー組成物を提供する。
【0045】
一実施形態では、本発明は眼病治療に有用なICAM−1との結合が可能なアプタマー組成物を提供する。
【0046】
一実施形態では、本発明は眼病治療に有用なIGF−1との結合が可能なアプタマー組成物を提供する。
【0047】
一実施形態では、本発明は眼病治療に有用なVEGF/VEGF−Rとの結合が可能なアプタマー組成物を提供する。
【0048】
一実施形態では、本発明は眼病治療に有用なTNF−αとの結合が可能なアプタマー組成物を提供する。
【0049】
一実施形態では、本発明は眼病治療に有用なαVβ3との結合が可能なアプタマー組成物を提供する。
【0050】
別の実施形態では、本発明はTGFβ2媒介細胞増殖をともなう増殖性障害を治療するために、被験体に対して本発明の組成物で被験体を処置する方法を提供する。
【0051】
別の実施形態では、本発明はPDGF媒介細胞増殖をともなう増殖性障害を治療するために、被験体に対して本発明の組成物で被験体を処置する方法を提供する。
【0052】
別の実施形態では、本発明はICAM−1媒介細胞増殖をともなう増殖性障害を治療するために、被験体に対して本発明の組成物で被験体を処置する方法を提供する。
【0053】
別の実施形態では、本発明はIGF−1媒介細胞増殖をともなう増殖性障害を治療するために、被験体に対して本発明の組成物で被験体を処置する方法を提供する。
【0054】
別の実施形態では、本発明はVEGF/VEGF−R媒介細胞増殖をともなう増殖性障害を治療するために、被験体に対して本発明の組成物で被験体を処置する方法を提供する。
【0055】
別の実施形態では、本発明はTNF−α媒介細胞増殖をともなう増殖性障害を治療するために、被験体に対して本発明の組成物で被験体を処置する方法を提供する。
【0056】
別の実施形態では、本発明はαVβ3媒介細胞増殖をともなう増殖性障害を治療するために、被験体に対して本発明の組成物で被験体を処置する方法を提供する。
【0057】
別の実施形態では、本発明は、核酸治療用組成物と、サイトカイン、増殖因子、および細胞表面アクセプターに対して個々に、またはPDGF、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、ICAM−1、IGF1、VEGF−R、VEGF、TNFα、およびαVβ3の2種類以上の組み合わせに対して結合することができる核酸治療薬を送達する方法とを提供する。
【0058】
別の実施形態では、本発明は核酸治療用組成物と、PDGFおよびVEGFに対して結合することができる核酸治療薬を送達する方法とに関する。一実施形態では、核酸治療薬は単一の核酸アプタマーであり、該アプタマーはPDGFに結合可能な第1のドメインと、VEGFに結合可能な第2のドメインとを有する。別の実施形態では、核酸治療薬は、PDGFに結合可能な第1の核酸アプタマーと、VEGFに結合可能な第2のアプタマーとを有する。ここで、第1および第2の核酸アプタマーは、同一の核酸アプタマーではない。
【0059】
別の実施形態では、本発明は、薬理学的および薬力学的性質が改善された高分子量PEG誘導体化(PEG−derivatized)核酸(例えば、アプタマー)複合体と、そのような複合体を生産する方法とを提供する。
【0060】
一実施形態では、本発明の高分子量PEG−核酸(例えば、アプタマー)複合体と、高分子量複合体(すなわち、PEG−核酸−PEG−核酸−PEG−核酸複合体)を形成するために同一ニ機能性(homo−bifunctional)PEGを用いて、そのような複合体を生産する方法とを提供する。
【0061】
一実施形態では、高分子量PEG−核酸(例えば、アプタマー)複合体と、多重PEG化複合体(すなわち、PEG−核酸−PEG複合体)単一機能性PEGとともにニ反応性核酸(例えば、反応性部位を2つ持つ核酸)を用いて、そのような複合体を生産する方法とを提供する。
【0062】
一実施形態では、本発明の高分子量ポリエチレングリコール(PEG)−核酸結合体を、眼性障害および障害の予防および/または処置のための治療薬として用いることができる。
【0063】
一態様では、本発明の高分子量PEG−アプタマー組成物は核酸と安定化部分を含む。この安定化部分は、連結部分であって、該連結部分は核酸分子とは異なるものである。一実施形態では、この連結部分はポリアルキレングリコールである。適当なポリアルキレングリコールとして、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)がある。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)連結部分が多活性化(multi−activated)される。例えば、PEG連結部分は二活性化(bi−activated)される。一実施形態では、アプタマーの第1および第2の部分がPEG連結部分によって連結されており、この際、アプタマー組成物の一次構造を直線的配置となるようにする。この直線的配置では、第1のアプタマーがポリエチレングリコール連結部分の第1の末端に連結し、第2のアプタマーがポリエチレングリコール連結部分の第2の末端に連結する。いくつかの態様では、1つ以上のPEG部分が2つ以上の核酸アプタマー部分に分離されている。例えば、高分子量アプタマー組成物の直線配置は、核酸−PEG−核酸−PEG−核酸である。いくつかの実施形態では、高分子量アプタマー組成物の直線配置は、REG−核酸−REG−核酸−REG−核酸である。いくつかの実施形態では、この高分子量アプタマー組成物は、10kDを超える分子量、20kDを超える分子量、40kDを超える分子量、および80kDを超える分子量からなる群から選択される分子量を持つ。本発明のこの態様にもとづくいくつかの高分子量アプタマー組成物は、血小板由来増殖因子(PDGF)に対して結合することができる。本発明のこの態様にもとづくいくつかの高分子量アプタマー組成物は、TGFβ2に結合することができる。
【0064】
別の態様では、本発明はアプタマーと2つ以上の非核酸安定化部分とを含む高分子量PEG−アプタマー組成物を提供する。適当な安定化部分としては、例えば、ポリアルキレングリコールが挙げられる。適当なポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)がある。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)連結部分が多活性化される。例えば、PEG連結部分は二活性化される。
【0065】
本発明はまた、本明細書で説明する高分子量アプタマー組成物を含む治療用組成物を提供する。
【0066】
別の態様では、本発明は、本明細書で説明される高分子量アプタマー組成物を治療上有効な量で投与する工程を含む被検体の障害を処置する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
(発明の詳細な説明)
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、下記の付随的な説明で述べられている。本明細書に記載する方法および材料に類似または等価ななんらかの方法および材料を本発明の実施または試験で用いることができるが、好ましい方法および材料をここで説明する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、そのような説明から明らかになる。この明細書では、文脈が明確に指示しない限り、単数形は複数形も包含する。定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、この発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を持つ。意味が異なる場合は本明細書で調整する。
【0068】
本明細書で述べたすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参照文献は、本明細書の内容の一部を構成するものとして、それらの内容の全体を援用する。
刊行物および特許文献の引用は、いずれもが関連の先行技術であると認めることを意図したものではなく、また同一物の内容または日付に関する何らかの承認を構成するものではない。不一致がある場合、定義を含めて本明細書が調整する。また、以下に説明する材料、方法、および実施例は例証することのみを意図したものであって、限定することを意図したものではない。
【0069】
(SELEX(登録商標)プロセス)
アプタマーを生成するための適当な方法は、概ね図1に示される「指数関数的エンリッチメントによるリガンドの系統的進化(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)(SELEX(登録商標))」と題されたプロセスによる。SELEX(登録商標)プロセスは、標的分子に対して特異性が高い核酸分子のインビトロ進化のための方法であり、米国特許出願第07/536,428号(1990年6月11日出願、現時点では放棄されている)、「核酸リガンド」と題された米国特許第5,475,096号、および「核酸リガンド」と題された米国特許第5,270,163号(国際公開第91/19813パンフレットも参照)に記載されている。各々のSELEX同定核酸リガンドは、所定の標的化合物または分子の特異的リガンドである。SELEX(登録商標)プロセスは、核酸が、種々の二次元および三次元構造を形成するための十分な能力と、単量体か重合体かにかかわらず、実質的にいかなる化合物にもリガンド(形態特異的結合対)として作用する、その単量体で利用可能な十分な化学的多用性とを持つという固有の洞察に基づいている。また、任意の大きさまたは組成の分子を標的として用いることができる。
【0070】
SELEX(登録商標)は、開始点として、標準的なDNA合成装置上での化学合成に由来するランダム配列を含む単一鎖オリゴヌクレオチドの大きなライブラリーに依存する。いくつかの例では、100%ランダム・オリゴヌクレオチドの集団がスクリーニングされる。他の例では、その集団内の核オリゴヌクレオチドがランダム配列と、オリゴヌクレオチド集団のすべての分子によって共有される配列を含む5’末端および/または3’末端にある少なくとも1つの固定配列とを含む。固定配列としては、PCR配列のハイブリダイゼーション部位、RNAポリメラーゼ(例えばT3、T4、T7、およびSP6)のプロモータ配列、制限部位、またはホモポリマー配列(例えば、ポリAまたはポリT領域)、触媒コア、アフィニティーカラムに対する選択的結合部位、ならびに目的とするオリゴヌクレオチドのクローニングおよび/または塩基配列決定を容易にする他の配列が挙げられる。
【0071】
オリゴヌクレオチドのランダム配列部分は、任意の長さからなり、リボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチドを含み、さらに修飾または合成ヌクレオチドもしくはヌクレオチド類似体を含むことができる。例えば、米国特許第5,958,691号、第5,660,985号、第5,958,691号、第5,698,687号、第5,817,635号、および第5,672,695号、PCT国際公報第92/07065号パンフレットを参照せよ。ランダム・オリゴヌクレオチドは、周知の固相オリゴヌクレオチド合成法を用いてホスホジエステル連結ヌクレオチドから合成することができる(Froehlerら、Nucl.Acid Res.14:5399−5467(1986);Froehlerら、Tet.Lett.27:5575−5578(1986))。また、オリゴヌクレオチドを液相法、例えばトリエステル合成法を用いて合成することもできる(Soodら、Nucl.Acid Res.4:2557(1977);Hiroseら、Tet.Lett.,28:2449(1978))。DNA自動合成装置上でおこなわれる典型的な合成では、1015〜1017が得られる。配列を設計する際に、ランダム配列の十分に大きな領域が、各々の合成された分子がユニーク配列となり得る可能性を高める。
【0072】
ランダム化配列を合成するために、4種類のヌクレオチド全てからなる混合物を、合成プロセス中の各ヌクレオチド付加工程で添加することで、ヌクレオチドをランダムに取り込ませることが可能となる。一実施形態では、ランダム・オリゴヌクレオチドは、全体的にランダムな配列を有する。しかし、別の実施形態では、ランダム・オリゴヌクレオチドは非ランダムまたは部分的にランダムな配列の範囲を含むことができる。部分的にランダムな配列は、各付加工程で異なるモル比で4種類のヌクレオチドを添加することで生成することができる。
【0073】
テンプレート分子は、30〜50ランダム・ヌクレオチドからなる内部領域をフランキングする固定5’および3’末端配列を一般に含む。標準的(1μmole)スケール合成によって、ほとんどのSELEX実験にとっては十分な1015〜1016の個々のテンプレート分子が得られる。この開始ライブラリーから、組換えT7RNAポリメラーゼを用いてインビトロ転写によってRNAライブラリーが生ずる。次に、このライブラリーを標的と混合する。結合に好都合な条件下で標的を混合し、一般的な選択スキームを用いて、結合、分離、および増幅の工程を繰り返しておこない、実質的に結合親和性と選択性との任意の所望の基準を達成する。ランダム配列のセグメントを好ましくは含む核酸混合物から開始する場合、SELEX(登録商標)法は、結合に好適な条件下で上記混合物を標的と接触させる工程と、標的分子に対して特異的に結合した核酸から未結合の核酸を分離する工程と、核酸−標的複合体を解離させる工程と、該核酸−標的複合体から解離した核酸を増幅させてリガンドがエンリッチされた核酸混合物を生じさせる工程と、これらの結合、分離、解離、および増幅を、上記標的分子に対する高特異性高親和性核酸リガンドを生じさせるのに必要なサイクル数だけ繰り返す工程とを含む。
【0074】
数多くの潜在的な配列および構造を含むと考えられる核酸混合物内には、所定の標的に対する結合親和性が広範囲にわたる。例えば、20ヌクレオチド・ランダム化配列を含む核酸混合物は、420候補可能性がある。標的に対した高親和性定数を持つ候補が標的に対して結合する可能性が最も高い。分離、解離、および増幅後、第2の核酸混合物を生成し、高結合親和性候補に対してエンリッチした。選択のさらなるラウンドでは、結果として生ずる核酸混合物が主として1つだけの配列またはわずかな数の配列で構成されるようになるまで、徐々に最良のリガンドを支持していく。次に、これらをクローニングして塩基配列を決定し、純粋なリガンドとして結合アッセイを個々に調べる。
【0075】
選択および増幅のサイクルは、所望のゴールに達するまで繰り返される。最も一般的なケースでは、選択/増幅は、サイクルを繰り返しても結合強度の著しい改善が得られなくなるまで続けられる。この方法を、約1018種類の異なる核酸種の試料採取に用いてもよい。試験混合物の核酸は、効果的な増幅のために望ましくは必要な保存配列と同様にランダム配列部を含む。核酸配列変異体の生産は、数多くの方法でおこなうことができ、該方法として、ランダム核酸配列の合成とランダムに切断された細胞核酸からのサイズ選択とが挙げられる。可変配列部分は、完全または部分的なランダム配列を含むものであってもよく、またランダム配列によって取り込まれた保存配列の福次的な部分を含むものであってもよい。試験配列における配列の変化の誘導または増加は、選択および増幅の繰り返しに先立って、またはその過程で突然変異誘起によっておこなうことができる。
【0076】
SELEX(登録商標)の一実施形態では、選択プロセスは、選択された標識に対して最も強く結合するそれらの核酸リガンドを単離する時点で効率的であることから、たった1回の選択および増幅サイクルが必要とされるだけである。そのような効率的な選択は、例えば、クロマトグラフィー型のプロセスでおこなうことが可能である。このプロセスでは、カラム上に結合した標識に結合する核酸の親和性が、最も高い親和性を有する核酸リガンドの分離および単離を可能にするのにカラムが十分であるようにして、作用する。
【0077】
多くの場合、単一核酸リガンドが同定されるまでSELEX(登録商標)の反復工程を実行することが必ずしも望ましいというわけではない。標的特異的リガンド溶液は、多数の保存配列と、標的に対する核酸リガンドの親和性に著しく影響を与えることなく置換または付加し得る多数の配列を持つ核酸構造またはモチーフからなる1つのファミリーを含むものであってもよい。完了前にSELEX(登録商標)プロセスを終わらせることで、核酸リガンド溶液ファミリーの多くのメンバーの配列を決定することが可能である。
【0078】
種々の核酸の一次構造、二次構造、および三次構造が存在することは知られている。最も一般的に非ワトソン−クリック・タイプ相互作用に関係していることが示された構造またはモチーフは、ヘアピン・ループ、対称および非対称的な出っ張り(buldges)、疑似結目(pseudoknots)と呼ばれるもの、およびそれらの無数の組み合わせである。そのような既知のモチーフのほとんどが、30ヌクレオチドに満たない核酸配列に形成される。この理由から、隣接する無作為の部分によるSELEX手順が約20〜50のヌクレオチドの間にランダム部分を含んでいる核酸配列で開始されることが、しばしば好ましいとされる。
【0079】
中心的なSELEX(登録商標)法に、数多くの特定の目的を達成するための変更が加えられた。例えば、米国特許第5,707,796号には、曲がったDNA等、特定の後続的特徴を有する核酸分子を選択するためにゲル電気泳動と組み合わせてSELEX(登録商標)を用いることが記載されている。米国特許第5,763,177号には、標的分子と結合、および/もしくは光架橋結合でき、かつ/もしくは標的分子を光不活性化させることが可能な光反応グループを含む核酸リガンドを選択するためのSELEX(登録商標)をベースとした方法が記載されている。米国特許第5,567,588号および米国特許出願第08/792,075号(1997年1月31日出願、発明の名称「Flow Cell SELEX」)には、標的分子に対した高および低親和性を持つオリゴヌクレオチド間で高効率の分離を達成するSELEX(登録商標)に基づいた方法が記載されている。米国特許第5,496,988号には、SELEX(登録商標)プロセスを実施した後に、改善された核酸リガンドを得る方法が記載されている。米国特許第5,705,337号には、リガンドをその標的に対して共有結合させる方法が記載されている。SELEX(登録商標)を用いて、標的分子上の複数の部位に結合する核酸リガンドを得ることができ、また標的上の特異的結合部位に対して結合する非核酸種を誘導する核酸リガンドを得ることができる。
【0080】
また、SELEX(登録商標)は、タンパク質(核酸結合タンパク質、および生物学的作用の一部として核酸と結合することが知られていないタンパク質の両方)を含む生体高分子および低分子、共同因子、および他の低分子といった、想定可能な任意の標的と結合する核酸リガンドの単離および同定の手段を提供する。例えば、カフェインおよび近縁種(テオフィリン)に対して高親和性をもって結合することができるSELEX(登録商標)を介して同定された核酸配列を開示している米国特許第5,580,737号を参照せよ。
【0081】
カウンターSELEX(登録商標)は、1種類以上の非標識分子に対して交差反応性によって核酸リガンド配列を除去することによって、標的分子に対する核酸リガンドの特異性を改善するための方法である。カウンターSLEX(登録商標)は、(a)核酸候補混合物を調製する工程と、(b)該候補混合物を標的と接触させ、候補混合物に関連した標的に対する増加親和性を持つ核酸を候補混合物の残留物から分けることが可能な工程と、(c)候補混合物の残留物から親和性が増加した核酸を分離する工程と、(d)非標的分子に対して特異的親和性を持つ核酸リガンドが除去されるように、親和性が増加した核酸を1種類以上の非標的分子と接触させる工程と、(e)標的分子に対して特異的親和性を持つ核酸を増幅させて、標的分子に対して相対的に高い親和性と特異性とを持つ核酸配列に対してエンリッチされた核酸の混合物を生成する工程とを有する。
【0082】
治療薬およびワクチンとしての核酸の使用で遭遇される1つの潜在的な問題は、ホスホジエステル形態にあるオリゴヌクレオチドが、所望の効果が発現される前に、エンドヌクレアーゼおよびエクソヌクレアーゼ等の細胞内および細胞外酵素によって、体液中で急速に分解される可能性があることである。SELEX方法は、このように、高親和性核酸リガンドの同定を含むもので、該高親和性核酸リガンドは、このリガンドに対して改善された特性(例えば、インビボ安定性の改善または送達特性の改善)を与える修飾ヌクレオチドを含む。そのような修飾の例として、リボースおよび/またはホスフェートおよび/または塩基部分での化学的置換が挙げられる。修飾ヌクレオチドを含むSELEX同定核酸については、米国特許第5,660,985号に説明されており、リボースの2’部位、ピリミジンの5’部位、およびプリンの8’部位で化学修飾されたヌクレオチド誘導体を含むオリゴヌクレオチドについて説明されている。米国特許第5,756,703号は、種々の2’修飾ピリミジンを含むオリゴヌクレオチドを記載している。米国特許第5,580,737号は、2’−アミノ(2’−NH2)、2’−フルオロ(2’−F)、および/または2’−O−メチル(2’−OMe)置換基によって修飾されたヌクレオチドを1つ以上含む高特異性核酸リガンドについて説明している。
【0083】
この発明で考察される核酸リガンドの修飾としては、限定されるものではないが、核酸リガンド塩基に対して、または全体として核酸リガンドに対して、さらなる電荷、極率、疎水性、水素結合、静電気的相互作用、および流率(fluxionality)を取り入れる他の化学基を提供するものが挙げられる。そのような修飾としては、限定されるものではないが、2’位糖修飾、5’位ピリミジン修飾、8’位プリン修飾、環外アミンでの修飾、4−チオウリジンの置換、5’臭化または5’ヨウ素ウラシルの置換、主鎖修飾、ホスホロチオエートまたはアルキル・ホスフェート修飾、メチル化、異常な塩基対組み合わせ(例えば、イソ塩基およびイソグアニジン)、その他が挙げられる。修飾もまた、キャッピング等の3’および5’修飾を含む。本発明の好ましい実施形態では、核酸リガンドは、ピリミジン残基の糖部分上で2’−フルオロ(2’−F)修飾されたRNA分子である。
【0084】
修飾は、プレまたはポストSELEXプロセス修飾であってよい。プレSELEX修飾は、SELEX標的に対する特異性と改善されたインビトロ安定性との両方を持つ核酸リガンドを生ずる。2’−OH核酸リガンドに対するポストSELEXプロセス修飾は、核酸リガンドの結合能力に悪影響を及ぼすことなくインビボ安定性の改善を達成し得る。
【0085】
他の修飾は、当業者に知られている。そのような修飾を、ポストSELEXプロセス(既に同定された未修飾のリガンドの修飾)またはSELEXプロセスへの取り込みによって、おこなってもよい。
【0086】
上記SELEX方法は、米国特許第5,637,459号および米国特許第5,683,867号に記載されているように、選択されたオリゴヌクレオチドを他の選択されたオリゴヌクレオチドおよび非オリゴヌクレオチド機能単位と結合させることを包含する。SELEX法は、さらに、診断用または治療用の複合体において、選択されたリガンドを親油性または非イムノゲン高分子量化合物を、米国特許第6,011,020号に記載されているように、結合させることを包含する。診断用または治療用の複合体において、親油性化合物(例えば、ジアシル・グリセロールまたはジアルキル・グリセロール)と結合するVEGF核酸リガンドが、米国特許第5,859,228号に記載されている。
【0087】
ポリアルキレングリコール等の親油性化合物(例えばグリセロール脂質または非イムノゲンの高分子化合物)に結合したVEGF核酸リガンドは、米国特許第6,051,698号でさらに記載される。非免疫原性、高分子化合物または親油性化合物と結合するVEGF核酸リガンドは、PCT国際公報第98/18480号パンフレットに、さらに記載されている。これらの特許および出願は、広範囲の形状およびその他の性能と、他の分子の所望の特性を持つオリゴヌクレオチドの効率的な増幅および複製特性との組合せを可能にする。
【0088】
SELEX法を経た小さくて柔軟なペプチドに対する核酸リガンドの同定も探求した。小ペプチドは柔軟な構造を持ち、通常、複数のコンホーマーが釣り合った状態で溶液中に存在することから、はじめは結合親和性が柔軟なペプチドの結合により失われた立体配座的なエントロピーによって限定されるものと考えられた。しかし、溶液中の小ペプチドに対する核酸リガンドの同定の実現可能性は、米国特許第5,648,214号に示された。この特許では、サブスタンスP(アミノ酸11個からなるペプチド)に対する高親和性RNA核酸を同定した。
【0089】
ヌクレアーゼおよび加水分解に対して耐性を示すオリゴヌクレオチド集団を生成するために、修飾オリゴヌクレオチドを用いることができ、該ヌクレオチドは1つ以上の置換基分子間連結、改変糖、改変塩基、またはそれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、P(O)O基がP(O)S(「チオエート」)、P(S)P(ジチオエート)、P(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)R’、CO、またはCH2(「ホルムアセタール」)、または3’−アミン(−NH−CH2−CH2)によって置換されるオリゴヌクレオチドを提供する。ここで、RまたはR’は、個々にHまたは置換もしくは非置換アルキルである。連結基は、−O−,−N−、または−S−連結を介して隣接ヌクレオチドに結合することができる。オリゴヌクレオチドに含まれる全ての連結が同定される必要があるわけではない。
【0090】
さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは修飾糖基(例えば、1つ以上の水酸基がハロゲンによって置換されたもの)、脂肪族基、またはエーテルもしくはアミンとして機能させられたものから構成される。一実施形態では、フラノース残基の2’位がO−メチル、O−アルキル、S−アルキル、S−アリル、もしくはハロ基のいずれかによって置換される。2’修飾糖を合成するための方法は、Sproatら、Nucl.Acid Res.19:733−738(1991);Cottenら、Nucl.Acid Res.19:2629−2635(1991);およびHobbsら、Biochemistry 12:5138−5145(1973)に記載されている。2−フルオロ−リボヌクレオチド・オリゴマーの使用は、非置換リボまたはデオキシリボ・オリゴヌクレオチドを用いて生成されるものよりも10〜100倍、標的分子に対する核酸センサー分子の感度を増加させることができる(Pagratisら、Nat.Biotechnol.15:68−73(1997))。このことは、標的分子に対して付加的な結合相互作用を与え、核酸センサー分子の二次構造の安定性を増加させる(Krausら、Journal of Immunology 160:5209−5212(1998);Piekenら、Science 253:314−317(1991);Linら、Nucl.Acids Res.22:5529−5234(1994);Jellinekら、Biochemistry 34:11363−11372(1995);Pagratisら、Nat.Biotechnol 15:68−73(1997))。
【0091】
核酸アプタマー分子は、通常、5〜20サイクルの手順で選択される。一実施形態では、初期選択段階でのみ異質性が導入され、該異質性は複製プロセス全体を通して起こらない。
【0092】
DNA配列の開始ライブラリーは、DNA合成装置上で自動化学合成することによって生成される。T7RNAポリメラーゼまたは修飾T7RNAポリメラーゼを用いて、この配列ライブラリーをインビトロでRNAに翻訳し、さらに精製する。一実施例では、5’固定;ランダム;3’−固定配列を30〜50ヌクレオチドを持つランダム配列によって分離する。
【0093】
(2’O−Me SELEX(登録商標))
さらに、米国特許出願第60/430,761号(2002年12月3日出願)、米国特許仮出願第60/487,474(2003年7月15日出願)、米国特許仮出願第60/517,039号(2003年11月4日出願)、および米国特許出願第10/729,581号(2003年12月3日出願)(これら出願の各々の内容全体を本明細書の一部として援用する)に記載されているように、SELEX(登録商標)法を実施して2’修飾アプタマーを生成する。
【0094】
本発明は、非修飾オリゴヌクレオチドよりも安定したオリゴヌクレオチドを作る修飾ヌクレオチド(例えば、2’位に修飾を受けたヌクレオチド)を含むアプタマー等の安定化オリゴヌクレオチドを生産するための材料および方法も提供する。本発明の材料および方法によって生成される安定化オリゴヌクレオチドはまた、熱および物理的分解に対してと同様に、酵素的および化学的分解に対してもよりいっそうの安定性を有する。例えば、2’−O−メチル・ヌクレオチドを含んでいるオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ耐性で、安価に合成される。2’−O−メチル・ヌクレオチドが生物系で遍在するにもかかわらず、天然のポリメラーゼは2’−O−メチルNTPを生理学的条件の下の基質と認めない。このように、2’−O−メチル・ヌクレオチドを宿主DNAへリサイクルすることに関する安全性についての懸念はない。
【0095】
一実施形態では、本発明はATP、GTP、CTP、TTP、およびUTPヌクレオチドの2’−OH、2’−F、2’−デオキシ、および2’−OMe修飾の組み合わせを提供する。別の実施形態では、本発明はATP、GTP、CTP、TTP、およびUTPヌクレオチドの2’−OH、2’−F、2’−デオキシ、2’−OMe、2’−NH2、および2’−メトキシエチル修飾の、
56組み合わせを提供する。
【0096】
本発明の2’修飾アプタマーは修飾ポリメラーゼ(例えば修飾T7ポリメラーゼ)を使用して生成され、該ポリメラーゼはフラノース2’位での修飾ヌクレオチド取り込み率が野生型ポリメラーゼよりも大きい。例えば、Y639F変異に加えて、アラニンまたは他の小さなアミノ酸、残基に変えられる位置784にヒスチジンを持つ二重T7ポリメラーゼ変異体(Y639F/H784A)は、すでにその大きな2’置換基の取り込みに関して説明されており、また修飾ピリミジンNTPを取り込むために使われている。アラニン残基に変えられる位置784にヒスチジンを有する単一突然変異体T7ポリメラーゼ(H784A)もまた、説明されている(Padillaら、Nucleic Acids Rearch,2002,30:138)。Y639F/H784A二重突然変異体7ポリメラーゼとH784A単一変異体T7ポリメラーゼとの両方で、より小さなアミノ酸への変化が、大きなヌクレオチド置換基(例えば、2’−Oメチル置換ヌクレオチド)の取り込みを可能にする。
【0097】
2’−修飾アプタマーの生産で重要なもうひとつの要素は、転写混合物に二価のマグネシウムとマンガンの両方を使用することである。塩化マグネシウム濃度と塩化マンガン濃度との異なる組合せが、2’−Oメチル化転写産物の収率に影響を及ぼすことがわかっており、塩化マグネシウムおよび塩化マンガンの最適濃度は、二価イオンの複合体を作るNTPの転写反応混合物での濃度に依存する。
【0098】
GMPまたはグアノシンによる初回抗原刺激転写も、重要である。その結果、このようにして生ずる任意の転写産物の5’−端末ヌクレオチドは、2’−OHGである可能性がある。GMP(またはグアノシン)の好ましい濃度は、0.5mMで有り、またより好ましい濃度は1mMである。PEG、好ましくはPEG−8000)を転写反応に含むことが修飾ヌクレオチドの取り込みを最大にする上で有用であることも分かった。
【0099】
(TGFβ2およびPDGFに対する結合親和性を持つアプタマー)
本発明は、眼病に関与するヒト・サイトカイニン、増殖因子、または細胞表面タンパク質に対して結合することができる修飾および非修飾核酸アプタマー治療薬を提供する。一実施形態では、本発明のアプタマーは、高親和性でTGFβ2に結合してインビトロでのミンク肺上皮細胞増殖のTGFβ2媒介阻害を逆転させることができる。これらのアプタマーを、図1に示す「指数関数的エンリッチメントによるリガンドの系統的進化(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)(SELEX(登録商標))」と呼ばれるプロセスを用いて生成することができる。
【0100】
本発明の修飾RNAアプタマーは、天然ヒトTGFβ2と結合する。これらのアプタマーの生化学的特徴付けに関して、成熟TGFβ2の2形態である天然およびN末端ヒス標識バージョンを、大腸菌(E.coli)で生成した。リホールディングと精製の後、機能的TGFβ2が得られた。これらのTGFβ2タンパク質は、細胞をベースとしたアッセイで活性があった。N末端標識は活性およびアプタマー結合に影響を及ぼしたが、アプタマーに対する親和性はかなり大きく減少した。さらに別の2つの突然変異体TGFβ2(K94N、S59T/R60K/K94N)を、TGFβ2の既知のアイソフォームに基づいて生成した。K94N突然変異体は、天然TGFβ2の親和性に至適する親和性でアプタマーに結合することができた。一方、S59T/R60K/K94N突然変異体は、アプタマーに対する親和性が著しく減少した。同様に、アプタマーは、細胞をベースとしたアッセイでのS59T/R60K/K94N突然変異体の生物活性よりも高い有効性で天然およびK94NTGFβ2の生物活性を阻害した。公開された結晶構造にもとづいて、位置59および60の2つの置換がダイマーの境界面に存在し、またTGFβ2のN末端に隣接し、さらに位置94の他の置換基がII型アクセプター結合部位近傍にある。可溶性TGF−βアクセプターによる結合競合アッセイによって、III型アクセプターがアプタマー結合と競合するが、II型アプタマーでは競合が起こらないことが明らかになった。また、われわれは、2つのアプタマーがTGFβ2の1種類のダイマーと結合はするが、他の2種類のダイマーとは結合しないことも示した。本発明のアプタマーは、TGF−βIII型アクセプター結合部位またはその近傍でTGFβ2と結合して、その生物学的機能を阻害すると考えられている。
【0101】
本発明のTGFβ2に対して特異性および結合親和性を持つアプタマーは、上記したSELEXプロセスによって選択される。SELEXプロセスの一部として、TGFβ2に対して結合するために選択される配列は、結合親和性を持つ最小の配列を決定するために最小化されて、最小化配列のランダムまたは直接的な突然変異誘発を実行することで最適化され、もし親和性が増加した場合は、代わりに、配列内のどの位置が結合活性にとって必須であるかが決定される。さらに、インビボ分解に対してアプタマーを安定化させるための修飾配列を取り込んだ配列によって選択を実行することができる。
【0102】
以下の実施例に記載したように生物学的アッセイによって示されたような最も高い親和性および特異的結合を持つ選択されたアプタマーは、TGFβ2が病因に関係している症状を処置するための適当な治療薬である。あるいは、PDGFに対する特異性について選択されたアプタマーは、PDGFが病因に関係している症状を処置するための適当な治療薬である。
【0103】
本発明のいくつかのアプタマー組成物は、血小板由来増殖因子(PDGF)のいくつかのダイマーに対する結合親和性および特異性を有する。本発明のアプタマー組成物は、PDGF・BBホモダイマーに対して、またABヘテロダイマーに対して結合親和性を持つが、AAホモダイマーに対しては結合親和性を持たない。
【0104】
本発明のアプタマー組成物を、TGFβ2−またはPDGF−媒介増殖性障害が関与する眼障害を持つ被検体を処置するための治療用組成物として用いることができる。例えば、PDGFに対して選択的であるアプタマーは、PVR、PDR、およびAMD等の眼障害の治療に用いることができる。また、PDGFアプタマーを単独で、あるいは他の既知の治療薬、例えば抗VEGF治療薬、抗炎症剤、増幅抑制剤、抗菌剤、抗真菌剤、および抗微生物剤と組み合わせて投与することができる。TGFβ2アプタマーは、トラベクレクトミー後に起こる損傷または障害(例えば、瘢痕)を処置するために用いることができる。したがって、TGFβ2アプタマーの投与は、トラベクレクトミー前、トラベクレトミー中、またはその後で、行うことができる。TGFβ2アプタマーを、単独で、または他の既知の治療法(例えば抗炎症剤、抗増殖性剤、抗菌剤、抗真菌剤、および抗微生物剤)と組み合わせて投与することができる)。
【0105】
(柵状織切除におけるTGFβ2特異的アプタマー治療薬)
本発明のTGFβ2アプタマーは、点眼液に適用可能である。この方法は非侵襲性であって、患者の同意を得る容易さを高める。微小装置、微小粒子、またはスポンジを介して投与する場合、適用は先に述べたように手術中に行われる。
【0106】
TGFβ2アプタマーの投与は、眼の中に放出する前に混合される送達溶液によって高分子持続性送達装置で凍結乾燥して行うことが可能である。高分子マトリックスからの持続的な送達によって、特異的な組織を標的にすることができ、また患者の安心感とコンプライアンスとを高めるという長所が得られる。PLGA(ポリ乳酸コグリコール酸(polylacticcoglycolic acid))は、選択の余地のあるカプセル化マトリックスであり、1970年代から縫合材料として、また組織工学の足場として用いられている。それは生体適合性を有し、またその毒性および分解速度論についてはよく研究されている。
【0107】
また、TGFβ2アプタマーの投与は、高分子コンタクト・レンズ持続性送達装置に凍結乾燥して行うことが可能である。コンタクト・レンズ型アプタマー治療薬送達装置は、患者の投薬コンプライアンスを増加させ、コンスタントなゼロ次送達が保証される一方で、保険医療提供者にとってはアプタマー治療薬の適用が容易になる。
【0108】
結膜下投与は、5−FUについて上述の方法で、100マイクロリットル量で用いることが可能である。
【0109】
TGFβ2アプタマーは、確定された有効量を点眼液として、微小装置、微小粒子、またはスポンジを用いて投与されるか、あるいは前区(anterior segment)近傍で結膜下投与される。TGFβ2アプタマーを保存のために凍結乾燥することが可能であり、防腐剤を含むことなく無菌かつ水性の重炭酸イオン緩衝液で投与する。
【0110】
TGFβ2アプタマーの投薬量は、0.1〜200mgkg−1である。動物のためのTGFβ2アプタマーの好ましい投薬は、0.1〜100mgkg−1である。動物のためのTGFβ2アプタマーのより好ましい投薬は、0.1〜10mgkg−1である。動物のためのTGFβ2アプタマーの最も好ましい投薬は、0.1〜1mgkg−1である。ヒトのための投薬量は、7〜70mgkg−1である。
【0111】
(加齢黄斑変性症(AMD)のPDGFアプタマー治療薬)
PDGFは、他の増殖因子による相乗作用でAMDの病因において重要な役割を果たす。低酸素症は、PDGFの発現を増加させ、またPDGFはPDFFR−bを介して直接、内皮細胞に作用して新脈管形成を誘導する。PDGFは線維芽細胞、平滑筋細胞、および神経膠細胞に作用して、結合組織細胞の激増を刺激する。
【0112】
動物のためのPDGFアプタマーの投薬量は、0.1〜200mgkg−1である。動物のためのPDGFアプタマーの好ましい投薬は、0.1〜100mgkg−1である。動物のためのPDGFアプタマーのより好ましい投薬は、0.1〜10mgkg−1である。動物のためのPDGFアプタマーの最も好ましい投薬は、0.1〜11mgkg−1である。ヒトのための投薬量は、7〜70mgkg−1である。
【0113】
PDGFアプタマーの注入は、単一用量を100μl送達容量の確定有効濃度で単一用量を硝子体内注射することで行うことができる。注射は、表面麻酔および5%のポビドンヨード溶液を点滴した後、30ゲージ針およびツペルクリン注射器を使用して毛様体扁平部を通しておこなう。投薬前に、バイアル・ストッパーを、70%のアルコールで拭く。PDGFアプタマーは凍結乾燥して保存し、使用の際に10mMのリン酸ナトリウムと0.9%の塩化ナトリウム緩衝液とから構成される無菌液に溶かして用いる。硝子体内投与は、眼内に効率的に浸透を許すことを用いて多くの眼内障害で用いられている。網膜色素上皮と網膜毛細管との堅い複合体は血液−眼バリアとして用いられ、該バリアはガラス質のものに治療薬が浸透するのを阻害する。この投与経路は、全身投与で経験されることがある潜在的副作用を回避し、治療領域の効率的なターゲッティングを可能にする。
【0114】
また、PDGFアプタマーを経強膜的に送達することが可能である。経強膜的な送達は、後区(posterior segment)に治療薬を投与する実行可能なモードである。強膜は、大きくてアクセス可能な面を有するとともに水和の度合いが高いことから、水溶性物質に対して伝導性を生じる。それはまた、細胞が比較的欠けていることから、治療薬を結合または隔離することができるタンパク質分解酵素またはタンパク質結合部位がわずかしかない。強膜は、分子量が大きい因子および分子量が小さい因子の両方に対して透過性を有する。また、透過性は経年的な減少を示さないことから、年配者になると発症率が高まるAMD等の慢性障害の処置にとっては好都合である。それは非破壊的であり、浸襲性が最小限であり、また標的送達を達成する。その上、徐放性強膜装置によって治療用PDGFアプタマーの一貫性のある放出が可能となる。
【0115】
(増殖性硝子体網膜症(PVR)のPDGFアプタマー治療薬)
PVRのための手術は硝子体切除術(毛様体扁平部硝子体切除術)で切り出し、この硝子体切除術に続いて、外科医は、通常、網膜が平たくなるのを助け、それを眼の外壁に再び付着させて保持するために、独特の気体または体液を目に点滴する。PDGFアプタマーは、単一用量を100μl送達容量の確定有効濃度で単一用量を硝子体内注射することでおこなうことができる。注射は、表面麻酔および5%のポビドンヨード溶液を点滴した後、30ゲージ針およびツペルクリン注射器を使用して毛様体扁平部を通しておこなう。投薬に先立って、バイアル・ストッパーを70%アルコールで拭く。PDGFアプタマーは凍結乾燥して保存し、使用の際に10mMのリン酸ナトリウムと0.9%の塩化ナトリウム緩衝液とから構成される無菌液に溶かして用いる。硝子体内投与は、眼内に効率的に浸透を許すことを用いて多くの眼内障害で用いられている。網膜色素上皮と網膜毛細管との堅い複合体は血液−眼バリアとして用いられ、該バリアはガラス質のものに治療薬が浸透するのを阻害する。この投与経路は、全身投与に経験しうる潜在的副作用を回避し、治療領域の効率的なターゲッティングを可能にする。
【0116】
PDGFアプタマーを、生物分解可能なマイクロサイズ・ポリマー系を経て送達してもよい。このアプタマーを、所定の放出率を持つ高分子にカプセル化することが可能である。このことによって、局所送達、一貫した投薬量、および安定したコンプライアンスが確実になる。送達は、アプタマーに可変的な透過性を持つ高分子被覆ペレットを経ておこなうことができる。このインプラントを、硝子体切除術中、毛様体扁平部を通して外科的に挿入することができる。
【0117】
また、PDGFアプタマーを経強膜的に送達することが可能である。経強膜的な送達は、後区(posterior segment)に治療薬を投与する実行可能なモードである。強膜は、大きくてアクセス可能な面を有するとともに水和の度合いが高いことから、該面が水溶性物質に対して貢献できる。それはまた、細胞が比較的欠けていることから、治療薬を結合または隔離することができるタンパク質分解酵素またはタンパク質結合部位がわずかしかない。強膜は、分子量が大きい因子および分子量が小さい因子の両方に対して透過性を有する。また、透過性は経年的な減少を示さないことから、年配者になると発症率が高まるAMD等の慢性障害の処置にとっては好都合である。それは非破壊的であり、浸襲性が最小限であり、また標的送達を達成する。その上、徐放性強膜装置によって治療用のPDGFアプタマーの一貫性のある放出が可能となる。
【0118】
(増殖性糖尿病性網膜症(PDR)におけるPDGFアプタマー治療薬)
PDGFアプタマーは、単一用量を100μl送達容量の確定有効濃度で単一用量を硝子体内注射することでおこなうことができる。注射は、表面麻酔および5%のポビドンヨード溶液を点滴した後、30ゲージ針およびツペルクリン注射器を使用して毛様体扁平部を通しておこなう。投薬前に、バイアル・ストッパーを、70%のアルコールで拭く。PDGFアプタマーは凍結乾燥して保存し、使用の際に10mMのリン酸ナトリウムと0.9%の塩化ナトリウム緩衝液とから構成される無菌液に溶かして用いる。硝子体内投与は、眼内に効率的に浸透を許すことを用いて多くの眼内障害で用いられている。網膜色素上皮と網膜毛細管との堅い複合体は血液−眼バリアとして用いられ、該バリアはガラス質のものに治療薬が浸透するのを阻害する。この投与経路は、全身投与に経験しうる潜在的副作用を回避し、治療領域の効率的なターゲッティングを可能にする。
【0119】
また、PDGFアプタマーを経強膜的に送達することが可能である。経強膜的な送達は、後区(posterior segment)に治療薬を投与する実行可能なモードである。強膜は、大きくてアクセス可能な面を有するとともに水和の度合いが高いことから、該面が水溶性物質に対して貢献できる。それはまた、細胞が比較的欠けていることから、治療薬を結合または隔離することができるタンパク質分解酵素またはタンパク質結合部位がわずかしかない。強膜は、分子量が大きい因子および分子量が小さい因子の両方に対して透過性を有する。また、透過性は経年的な減少を示さないことから、年配者になると発症率が高まるAMD等の慢性障害の処置にとっては好都合である。それは非破壊的であり、浸襲性が最小限であり、また標的送達を達成する。その上、徐放性強膜装置によって治療用のPDGFアプタマーの一貫性のある放出が可能となる。
【0120】
(サイトカイン増殖因子および細胞表面タンパク質に対する結合特異性を有するアプタマー
種々の眼障害に関係するサイトカイン、細胞表面タンパク質、および増殖因子は、ICAM−1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、IGF−1、VEGF/NVEGF−R、TNF−α、血管ポエチン、およびαVβ3を含む。細胞接着分子1(ICAM−1)は、5つの細胞外免疫グロブリン様領域を持つ76ないし115kDa表面糖タンパク質であり、糖尿病網膜症で特に重要な役割を果たす。ICAM−1によって媒介される白血球症は、糖尿病網膜症の病因の原因となる。白血球(好中球、好塩基性細胞、リンパ球、好酸球、および単球)の表面にあるβ2インテグリンに対するICAM−1相互作用は、内皮に対するそれらの安定した癒着と炎症部位に対する経内皮移動とにとって重要である。ICAM−1は、糖尿病網膜症での網膜脈管構造に対する白血球の癒着を促進するもので、血流のサポートを毛細管ができないことを通して不可逆性網膜虚血を生ずる病巣を介して網膜内皮細胞障害と死亡とに関係している。ICAM−1生物活性の阻害は、糖尿病性網膜白血球症を防ぎ、血液網膜関門の破壊を力強く防ぐ。
【0121】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)は、7.5kDaのペプチドであり、プロインスリン(50%)に対して50%の相同性を持ち、さらに成長ホルモンの制御下の肝臓で主に生産される。IGF−1は、細胞増殖のための強力なマイトジェン/刺激因子であり、かつ強力な抗アポトーシス因子でもある。その機能は6つのIGF結合蛋白質(IGFBPs)によって調整され、そのレベルは発生段階および栄養によって影響される。その効果は、細胞増殖および保護、酸化ストレスに対する耐性、骨および筋肉の成長促進、ならびに神経細胞の保護にまで及ぶ。IGF−1は、増殖性糖尿病性網膜症(PDR)で役割を果たすVEGFによる新脈管形成に関係する。PDRは、網膜での血管の変化に起因する糖尿病合併症である。網膜の血管が損傷を受ける場合、該血管から血液が漏れて壊れやすくなり、ブラシのような枝分かれと瘢痕組織とが増える可能性がある。このことによって、網膜が脳に送る視像をぼやけさせたり、歪めたりしてしまう。
【0122】
血管内増殖因子とそのアクセプター(VEGFおよびVEGF/R)転写は、インスリンによる糖化最終生成物によって強化される。糖尿病性網膜の糖化最終産物の蓄積は新生血管形成に貢献、結果として視力の喪失をもたらし得る。インスリンによるVEGF合成の刺激は、インスリン治療が開始された後、インスリンによるVEGF合成の刺激は糖尿病患者での網膜新生血管形成の一時的な加速をもたらす可能性がある。VEGF−165に対するアプタマーの解離定数(Kd)が300pMで、IC50値が1nMであることがわかった。
【0123】
眼内での腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−α)のレベルは、炎症および新脈管形成の網膜プロセスの間、上昇している。TNF−αは、強角膜線維柱帯細胞の増殖を促進し、強角膜線維柱帯、マトリックスメタロプロテアーゼ、および組織阻害物質発現を調整し、MMP−1、3、および9ならびにTIM−1発現を増加させ、さらにTIM−2を減少させる。血管ポエチンは、2つの形態(Ang−1およびAng−2)で生ずる血管新生増殖因子である。アンジオポエチンに対するアプタマーが、10nMの解離定数(Kd)を有し、またTNF−α処置HUVEC細胞でのアポトーシスのAng−1およびAng−2媒介阻害をブロックする能力を持つことがわかった。インテグリン・アルファ5ベータ3(αVβ3)は、AMDの場合と同様にPDRで新脈管形成を促進する(Enaidaら、Fukushima J Med Sci.44(1):43−52.(1998))。
【0124】
本発明のアプタマーは、個々に、または組み合わせて、ICAM−1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、IGF−1、VEGF/VEGF−R、TNF−α、およびαVβ3に結合ができ、それらの情報伝達活性を阻害し、それによって眼障害病因でのそれらの役割を阻害する。
【0125】
(PEG誘導体化核酸)
高分子量の非免疫原性のポリマーによる核酸の誘導体化は、核酸の薬物動態学的および薬力学的な特性を変える可能性があることから、該核酸がより効果的な治療薬となる。活性の良好な変化として、ヌクレアーゼによる耐崩壊性の増加、腎臓を介した濾過の減少、免疫系への暴露の減少、および全身への治療薬の分布を挙げることができる。
【0126】
本発明のアプタマー組成物を、ポリアルキレングリコール(PAG)部分により誘導体化することが可能である。PAG誘導体化核酸の例は米国特許出願第10/718,833号(2003年11月21日出願)(この内容全体を本明細書の一部として援用する)で見いだされる。本発明で使用される典型的なポリマーとして、別名としてまたはポリ(エチレンオキシド)(PEO)としてしられているポリ(エチレングリコール)(PEG)と、ポリプロピレングリコール(ポリイソプロピレングリコールを含む)とが挙げられる。さらに、異なるアルキレンオキシド(例えばエチレンオキシドとプロピレンオキサイド)のランダムまたはブロック・コポリマーが、多くの用途で使われている。その最も頻度が高い形態において、ポリアルキレングリコール(例えばPEG)は水酸基で各々の末端が終わる直鎖状重合体:HO−CH2CH2O−(CH2CH2O)n−CH2CH2−OHである。このポリマー、アルファー、オメガ−ジヒドロキシポリ(エチレングリコール)もまた、HO−PEG−OHとして表すことができる。ここで、−PEG−シンボルは以下の構造単位を表す。すなわち、−CH2CH2O−(Ch2CH2O)n−CH2CH2−、式中、nは一般に約4から約10,000までの範囲である。
【0127】
示したように、PEG分子は二官能性で、しばしばPEGジオールと呼ばれる。PEG分子の末端部は相対的に非反応性のヒドロキシ基を含む部分(OH基)であり、該化合物の反応性部位で他の化合物に対してPEGが付着するために、該部分は官能部分に対して活性化され、あるいは該部分に変換される。そのような活性化PEGジオールは、ここでは二活性化PEGと称する。例えば、PEGジオールの終端部分は、比較的非反応性のヒドロキシル部分の置換によって、アミノ部分での選択反応のために活性炭酸塩エステルとして機能させられた−OH(N−ヒドロキシ・スクシニミドからのスクシンイミジル活性エステル部分)を持つ。
【0128】
多くの用途で、PEG分子が単官能性(または単活性化)であるために、基本的に非反応性部分によってPEG分子を一端でキャッピングすることが望ましい。活性PEGに対して一般に多数の反応性部位を提示するタンパク質治療薬の場合、二官能性活性化PEGによって広範囲な架橋が導かれ、十分に機能しない凝集体が生ずる。単活性化PEGを生成するために、PEGジオール分子の末端上の一水酸基は一般に非反応性メトキシ末端部分(−OCH3)によって置換される。PEG分子の他方のキャッピングされていない末端は、タンパク質糖の表面または分子上の反応性部位での付着のために活性化され得る反応性末端部分に変えられる。
【0129】
PAGは、概して水および多くの有機溶媒に対する溶解性を有し、また毒性および免疫原性が欠けている高分子化合物(ポリマー)である。PAGの用途の一つとして、該ポリマーを不溶性の分子に共有結合させて、結果として得られるPAG−分子「結合体(conjugate)」を可溶性にする。例えば、水不溶性薬物パクリタキセル(paclitaxel)が、PEGと結合した場合、水溶性となることが示されている。Greenwaldら、J Org.Chem.,60:331−336(1995)。PAG複合体は、しばしば、溶解度と安定性とを強化するだけでなく、分子の血液循環半減期の延長にも用いられる。
【0130】
本発明のポリアルキル化化合物のサイズは、概ね5ないし80kDである。本発明の他のPAG化合物のサイズは、10ないし80kDである。本発明のさらに他のPAG化合物のサイズは、10ないし60kDである。例えば、PAGポリマーのサイズは、少なくとも10、20、30、40、50、60、または80kDである。そのようなポリマーは直鎖状または分岐状である。
【0131】
生物学的に発現されたタンパク質治療薬とはコントロール的に、核酸治治療薬は活性化モノマー・ヌクレオチドから典型的に化学合成される。PEG−核酸複合体の調製は、同じ反復性のモノマー合成を使用しているPEGを組み込むことによっておこなうことが可能である。例えば、ホスホラミダイト形態への転換によって活性化されたPEGを、固相オリゴヌクレオチド合成に取り込むことができる。あるいは、オリゴヌクレオチド合成を、反応性PEG付着点の部位特異的な取り込みによって完了させることができる。最も一般には、これは5’末端での遊離した一級アミンの付加(固相法の最後の結合工程で修飾因子ホスホラミダイトを使用して組み込まれる)によって達成された。このアプローチを用いることで、反応性PEG(例えば、それが反応して、アミンとの結合を築くように、活性化されたもの)は精製されたオリゴヌクレオチドと結合され、カップリング反応が溶液で実行される。
【0132】
治療薬の体内分布を変えるPEG結合の能力は、多数の因子(例えば、水力学的な半径に関して測定したものとして)に関連している。より大きい複合体(>10kDa)が腎臓を経てより効果的に濾過を妨害し、さらに小さい高分子(例えばペプチド、アンチセンス・オリゴヌクレオチド)の血清半減期を増加させることが、知られている。濾過を妨害するPEG複合体の能力は、PEGのサイズにより約50kDaまで増加することが示された(さらなる増加は、半減期が腎臓による除去よりはむしろマクロファージ媒介代謝によって定められるようになることから、有益な効果が最小になる)。
【0133】
高分子量PEG(>10kDa)の生産は難しく、非効率的で、かつ高価である。高分子量ポリエチレングリコール(PEG)−核酸結合体の合成に向けたルートとして、以前の仕事の焦点は、より高い分子量の活性化PEG生成に向けられた。そのような分子を生成する1つの方法は、2個以上のPEGが活性化群を運んでいる中心のコアに付着している分枝状活性化PEGの形成を含む。1種類以上のPEGを化合物上の反応基での他の化合物の1種類以上のPEGの結合のために、これらの高分子量PEG分子、すなわち相対的に非反応性ヒドロキシル(−OH)部分を活性化または該部分に変換させることができる。分岐状活性化PEGは、2種類以上の末端を有し、また2つ以上の末端が活性化されるケースでは、そのような活性化高分子量PEG分子が多活性化PEGとして呼ばれる。いくつかのケースでは、分岐PEG分子内の全ての末端が活性化されるわけではない。分岐PEG分子の2つの末端が活性化される場合、PEG分子が二結合性PEGとして言及される。いくつかの例では、分岐PEG分子にあるたった一つの末端が単活性化(mono−activated)として言及される。このアプローチの一例として、反応のために続けて活性化されるリジン・コアに対して、2種類のモノメトキシPEGの付着によって、活性化PEGが調製される(Harrisら、Nature,vol.2:214−221,2003)。
【0134】
本発明は、多数のPEG化核酸(図示、例えば図2に示されるように)が含まれる高分子量PEG−核酸(好ましくは、アプタマー)を合成するコスト効率が高い別のルートを提供する。本発明はまた、PEG結合多量体のオリゴヌクレオチド(例えば二量体化されたアプタマー(例えば、図2で例示されるように))も包含する。本発明はまた、高分子量組成物に関連し、PEG安定化部分はリンカーである。このリンカーは、アプタマーの異なる部分、例えば、高分子量アプタマー組成物の直線配列が、例えば核酸−PEG−核酸−PEG−核酸であるように、アプタマーの異なる部分を分離するリンカーである。
【0135】
本発明の高分子量組成物として、少なくとも10kDの分子量を持つものが挙げられる。組成物は、概ね大きさが10ないし80kDである。高分子量組成物は、少なくとも10、20、30、40、50、60、または80kDである。そのようなポリマーは直鎖状または分岐状である。
【0136】
安定化部分は分子または分子の一部分であり、本発明の高分子量アプタマー組成物の薬物動態学的および薬力学的な性質を改良する。場合によっては、安定化部分は分子または二個以上にアプタマーを持つ分子またはアプタマー・ドメインの部分であり、または本発明の高分子量アプタマー組成物の全体的な回転性の自由を提供する。安定化部分を、直鎖状もしくは分岐状、ホモポリマー、またはヘテロポリマーであるポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール)とすることができる。他の安定化部分として、ペプチド核酸(PNA)としてのポリマーが含まれる。オリゴヌクレオチドもまた安定化部分であり、そのようなオリゴヌクレオチドとして、修飾ヌクレオチド、および/または修飾連結(例えば、ホスホチオエート)を含むことができる。安定化部分は、アパタマー組成物の欠くことのできない部分である。すなわち、それはアプタマーに対して共有結合している。
【0137】
本発明の組成物は、二個以上の核酸部分が少なくとも1つのポリアルキレングリコール部分に共有結合した高分子量アプタマー組成物を含む。ポリアルキレングリコール部分は、安定化部分として機能する。ポリアルキレングリコール部分がアプタマーにいずれの末端でも共有結合している組成物において、ポリアルキレングリコールが1つの分子で核酸部分を結合するように、ポリアルキレングリコールは連結部分であると言われる。そのような組成物において、共有結合分子の一次構造は、直鎖状の配置である核酸−PAG−核酸を含む。一例は、一次構造の核酸−PEG−核酸を持つ組成物である。別の実施例は、直鎖状である(核酸−PFG−核酸−PEG−核酸)。
【0138】
核酸−PEG−核酸結合体を生産するために、それが一つの反応性部位(例えば、それが単活性化される)を持つように、核酸が最初に合成される。好ましい実施形態では、この反応性部位は、オリゴヌクレオチドの固相法における最後の工程として修飾因子ホスホラミダイトの追加によって5’末端に導入されるアミノ基である。修飾オリゴヌクレオチドの脱保護および精製をおこなった後、活性化PEGの自然発生的な加水分解を最小化する溶液で、高濃度で再構成される。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドの濃度は1mMであり、再構成された溶液は200mMのNaHCO3緩衝液(pH8.3)を含む。上記結合体の合成は、かなり精製された二官能性PEGのゆっくりとした段階的付加によって開始される。好ましい実施形態では、PEGジオールは、スクシンイミジルプロピオン酸による誘導体化によって両端で活性化される(二活性化)。反応の後で、PEG−核酸結合体を、ゲル電気泳動または液体クロマトグラフィによって精製して、完全に結合したものと、部分的に結合したものと、非結合のものとに分ける。多数のPAG分子が連結し(例えば、ランダムまたはブロック・コポリマー)、またはより小さなPAG鎖が連結して種々の長さ(または分子量)を達成する。非PAGリンカーは、種々の長さのPAG鎖間で用いられる。
【0139】
本発明の一高分子量組成物は、以下:
【0140】
【化1】
(40K分岐PEG−配列番号19−0.1KDaPEG−配列番号35−0.1KDaPEG−配列番号36)の構造を有する。2’−O−メチル修飾ヌクレオチドに下線を引き、2’−フルオロ修飾ヌクレオチドをイタリックにした。2’−O−メチル、2’−フルオロ修飾は、ヌクレアーゼに対してアプタマーを安定化させてそのインビボでの半減期を高める。3’−3’−dTキャップもまたエクソヌクレアーゼ耐性を高める。例えば、米国特許第5,674,685号、第5,668,264号、第6,207,816号、および第6,229,002号を参照せよ。これらの各々の内容全体を本明細書の一部として援用する。
【0141】
(反応性核酸のPAG−誘導体化)
高分子量PAG−核酸−PAG複合体は、二つ以上の反応性部位を含む核酸であり、単官能性活性化PEGの反応によって調製される。一実施形態において、核酸は二反応性または二活性化であって、2つの反応性部位と、従来のホスホラミダイト合成(例えば、図2に示すような3’−5’−PEG化反応)を通してオリゴヌクレオチドに導入される5’−アミノ基および3’アミノ基と、を含む。他の実施形態では、反応性部位を、一級アミンが結合する部位として、例えば、ピリミジンの5−位、プリンの8−位、またはリボースの2’−位を用いて、内部位置に導入することができる。そのような実施形態では、核酸は数回活性化され、あるいは複数の反応性部位を持つことができて、多重活性化(multiply activated)と呼ばれる。合成および精製後、自然発生的な加水分解が最小化される一方で、オリゴヌクレオチド反応性部位による選択反応が促進される条件下で、修飾オリゴヌクレオチドを単活性化PEGと結合する。好ましい実施形態では、1メトキシ−PEGをスクシンイミジルプロピオン酸で活性化し、共役反応をpH8.3で実施する。二置換PEGの合成を誘導するために、化学量論的に過剰なPEGを、オリゴヌクレオチドの割合に比例させて供給する。反応後、PEG−核酸結合体の精製を、ゲル電気泳動または液体クロマトグラフィによっておこない、完全に結合したものと、部分的に結合したものと、非結合のものとに分ける。図2は、PEG化核酸アプタマーを合成するための2通りの戦略を説明するための図である。
【0142】
連結ドメインは、それに結合した1つ以上のポリアルキレングリコール部分を有することもできる。そのようなPAGを長さが異なるものにすることができ、また適当な組み合わせにすることで、組成物を所望の分子量にすることが可能である。
【0143】
特定のリンカーの効果は、その化学組成と長さとに影響される。あまりにも長いリンカー、あまりにも短いリンカー、または好適ではない立体化学的および/またはイオン相互作用を形成するリンカーは、アプタマーと標的とのあいだの複合体の形成を排除する。核酸間の距離にまたがるのに必要な長さよりも長いリンカーが、リガンドの有効量を減らすことで、結合安定性を低下させる可能性がある。したがって、標的に対する親和性を最大限にするために、リンカーの組成と長さとを最適化させることがしばしば必要となる。
【0144】
(薬学的組成物)
本発明は、アプタマー分子を含む薬学的組成物も包含する。この組成物は、内用に適し、また単独で、もしくは1種類以上の意訳的に許容される担体と組み合わせて、本発明の薬理活性化合物を有効量含む。これらの化合物は、もしも毒性があったとしても毒性がかなり低いという点で、特に有用である。
【0145】
本発明の組成物は、症状(例えば障害または障害)の処置または予防に用いることができ、あるいは患者でのそのような障害または障害の症状を軽減させるために用いることができる。本発明の組成物は、アプタマーが特異的に結合する標的に関連した、あるいは該標的によって引き起こされた障害または障害を患っている、あるいは該障害または障害にかかりやすくなっている被検体に対して投与するのに、有用である。
【0146】
上記標的の一例として、症状に関連したタンパク質が挙げられ、例えば、この標的タンパク質が症状を生じさせる。
【0147】
本発明の組成物を、症状を呈する患者を処置する方法で用いることができる。上記方法は、患者に対して、症状に関連した標的(例えば、タンパク質)に結合するアプタマーを含む組成物を投与することで、その標的に対する該組成物の結合が標的の生物学的機能を変え、その結果症状が処置される。
【0148】
症状を呈する患者、例えばこの発明の方法によって処置される患者は、哺乳類、より詳しくはヒトである。
【0149】
実際には、上記化合物またはその医薬的に許容される塩類の投与は、常食因子活性(緑内障および他の増殖性眼障害におけるTGFβ2媒介細胞増殖)を阻害するのに十分な量で、おこなわれる。
【0150】
本発明の1つの態様は、眼障害のために他の処置と組み合わせられた本発明のアプタマー組成物を含む。本発明のアプタマー組成物は、例えば、2つ以上のアプタマーを含むものであってもよい。いくつかの例では、本発明のアプタマー組成物は、1種類以上の本発明の化合物を含み、手術にあわせて投与、あるいは別の有用な組成物(例えば抗炎症剤、免疫抑制薬、または抗ウイルス薬)と組み合わせて投与される。さらにまた、先に述べたように、本発明の化合物の投与は、アルキル化薬、代謝拮抗物質、分裂抑制剤、または細胞毒性抗生物質のような化学療法薬と組み合わせておこなってもよい。一般に、そのような組合せに用いられる既知の治療薬の現在利用可能な剤形が適当である。
【0151】
「併用療法(combination therapy)」(または「共同療法(co−therapy)」)は、本発明のアプタマー組成物と、これらの治療薬の相互作用から有益効果を得ることを目的とする特異的処置療法の一部として、少なくとも第2の因子とを投与することを含む。組合せの有益効果は、治療薬の組合せから生じる薬物動態学的または薬力学的な相互作用を含むが、これに限定されるものではない。これらの治療薬を組み合わせた投与は、概して所定の期間(通常、選択される組合せによって、分、時間、日、または週)にわたって実施される。
【0152】
「併用療法」は、一般にはそうではないが、本発明の組成物に偶然的な、または任意の結果としてなる2種類以上のそれらの治療薬を個々の単独療法の一部として投薬することを包含することを目的としている。実質的に同時の方法では、「併用療法」は、すなわち、各々の治療薬が異なる時間(これらの治療薬の投与と同様に)に投与される経時的な方法の中のこれらの治療薬の投与または治療薬のうちの少なくとも2つを包含することを目的とする。実質的に同時投与を達成することができる。例えば、被検体に対して各治療薬が一定の比率で含まれた単一のカプセルを投与することで、あるいは各々の治療薬をそれぞれ単一のカプセルに入れて倍数単位で投与することができる。
【0153】
各々の治療薬の経時的投与または実質的同時投与は、適当な任意のルート、例えば、限定されるものではないが、局所ルート、経口ルート、静脈内ルート、筋内ルート、および粘膜組織を通る直接吸収によって、成し遂げられる。複数の治療薬を同一のルートで、あるいは異なるルートで投与することができる。例えば、選択された組み合わせの第1の治療薬を注射で投与する一方で、その組み合わせの他の治療薬を局所投与することが可能である。
【0154】
あるいは、例えば、全ての治療薬を局所投与してもよく、もしくは全ての治療薬を注射によって投与してもよい。治療薬が投与される順序は、かろうじて重要な意味を持つものではない。「併用療法」も、他の生物活性のある成分と非薬物療法(例えば手術)とのさらなる組合せで先に述べたように、治療薬の投与を包含することができる。併用療法が非薬物処置をさらに含む場合、治療薬と非薬物処置との組合せの相互作用からの有益効果が達成される限り、非薬物処置を任意の適当な時間に実施することができる。例えば、適当なケースでは、非薬物処置が治療薬の投与から、おそらく日または週単位で一時的に除去された場合でも、有益効果をいぜんとして達成することができる。
【0155】
本発明の化合物および他の薬理活性因子を、同時に、順々に、または組み合わせて、患者に投与することが可能である。本発明の組合せを使用する場合、本発明の化合物と他の薬理活性因子とが同じ医薬的に許容される担体にあってもよく、それによって同時に投与されることはいうまでもない。これらが、同時に投与される従来の経口剤形に含まれてもよい。「組み合わせ(combination)」という用語は、さらに、複数の化合物がそれぞれ別の剤形で提供され、順々に投与される場合のこともいう。
【0156】
好ましくは、眼治療薬の投与は、局所投与または結膜下注射による。ほとんどの眼薬の反復局所適用は、結膜下注射で達成される眼内薬物レベルと同等のレベルを結果としてもたらす。しかし、結膜下注射は、眼内への浸透が劣る薬剤(例えば抗生物質)を投与する場合は有利である。結膜下注射によって、高局所濃度の薬物が少量の投薬で得ることができるので、全身的な副作用が回避される。高組織中濃度を、角膜または結膜の上皮層に十分に浸透しない薬剤で得ることもできる。この方法は、局所用の薬物を確実に使用することは不可能な患者で有用である。眼内薬物を手術の終わりに注射することで、局所または全身薬物療法の必要性を回避することができる。結膜下注射は、前結膜とテノン嚢との間に針を通すことを伴う。このことを、眼瞼を通して、または直接結膜下空間におこなうことができる。テノン嚢は注入された薬物と眼球との間に横たわるので、強膜全体に吸収される薬物の量が最小化される。実際に、結膜下注射後の薬物吸収のメカニズムは、角膜を通しての二次的吸収による針穿刺部位を通しての薬物の単なる漏出であると考えられる。
【0157】
種々の眼障害は、結膜下コルチコステロイドを用いた治療を受ける。コルチコステロイドについては、下位結膜で投与された薬物がその下にある強膜を透過する。このことは、ランダムにそれを注射することよりむしろ炎症の部位に直に隣接して薬物を配置することの正当性を示唆している。5−フルオロウラシル(抗線維芽細胞因子)の結膜下注射が、リスクの大きい緑内障トラベクレクトミー手術後に、しばしば使われる。結膜下麻酔が、現在トラベクレクトミーまたは白内障手術のために球周囲または球後麻酔に代わるものとして使われる。
【0158】
結膜下薬物投与は、重篤な角膜障害(例えば細菌性潰瘍)の処置で有用である。全身薬物投与によって得ることができるかなり高濃度の抗生物質を、結膜下注射で影響を受けた角膜組織において達成することができる。結膜下抗生投与は、細菌性眼内炎の全身または硝子体内の抗生物質療法への最初のサプリメントとして有用でもある。
【0159】
本発明の組成物および併用療法は、本明細書に記載されているように、安定化剤、担体および/または被包製剤を含む種々の医薬賦形剤と組み合わせて投与可能である。
【0160】
注射可能な用途に適した剤形を滅菌し、注射針を容易に通過する性質が得られる程度に流動化させなければならない。また、それは製造及び貯蔵の条件下に安定でなければならず、さらにバクテリアおよび菌類のような微生物の汚染作用から守られなければならない。
【0161】
本発明の治療的または薬理学的組成物は、通常、医薬的に許容された媒体に溶解または分散された併用治療薬の成分が有効量含まれる。医薬的に許容可能な媒体または担体は、いずれかおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌薬および抗真菌薬、等張および吸収遅延剤等を含む。医薬作用物質に対してそのような媒体および薬剤を用いることは当技術分野で周知である。補助的活性成分を、本発明の治療用組成物に取り込むこともできる。
【0162】
医薬または薬理学的組成物の調製は、本発明の開示を検討することで当業者に理解される。概して、液溶体または懸濁液として、そのような組成物を、注射剤として、溶液または懸濁液、注射前の液体として適当な固形として、経口投与のための錠剤または他の固体として、時間放出カプセルとして、あるいは現在用いられている他の形態、例えば点眼、クリーム、ローション剤、塗剤、および吸入剤のいずれかとして、調製することができる。手術野での特定の領域を処置するために外科医、医師、または保健医療従事者による無菌製剤(例えば生理食塩水をベースとした洗浄液)の使用もまた、特に有用である。作動場所で特定地域を処置する外科医、医師またはヘルスケア従事者による無菌の製剤(例えば生理食塩水に基づく洗浄)の使用は、特に有用であることもできる。組成物の送達を、微小装置、微小粒子、またはスポンジを介しておこなうことも可能である。
【0163】
製剤に対して、投薬剤形と互換性がある方法で、また薬理学的に効果がある量で、治療薬が投与される。製剤は種々の剤形(例えば上述の注射可能溶液のタイプ)で容易に投与されるが、薬物放出カプセル等を用いることもできる。
【0164】
この文脈において、投与される組成物の活性成分量および容量は、処置される宿主動物次第である。投与のために必要な活性化合物の正確な量は、開業医の判断次第であって、各々の個体に特有である。
【0165】
活性化合物を分散させるのに必要な組成物の最小量が典型的に利用される。投与のための適当な方法は、可変的でもあるが、典型的には、まず初めに化合物を投与し、その結果をモニターし、さらなる間隔でさらに制御された用量を与える。
【0166】
錠剤またはカプセル(例えばゼラチンカプセル)の剤形での経口投与のために、薬物活性成分を、エタノール、グリセロール、水等の非毒性で経口投与される医薬的に許容可能な不活性担体と組み合わせて投与することができる。さらに、所望もしくは必要な際に、適当なバインダー、滑沢剤、崩壊剤、および色素を混合物に取り込ませることもできる。適当なバインダーとして、澱粉、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンのり、ゼラチン、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、および/またはポリビニルピロリドン、天然の糖(例えばブドウ糖またはベータ‐ラクトース)、穀物甘味料、天然ゴム(例えば、アカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム)、ポリエチレングリコール、ワックス等を含む。これらの剤形で使用される滑沢剤として、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、二酸化ケイ素、滑石、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩またはポリエチレングリコールが挙げられる。崩壊薬は、澱粉(メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム澱粉、寒天、アルギン酸またはそのソーダ塩)または起沸性混合物、などを含むが、これに限定されるものではない。希釈剤として、例えば、ラクトース、ブドウ糖、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシンが挙げられる。
【0167】
注射可能組成物は、望ましくは水性の等張液または懸濁液であり、坐薬は脂肪乳化剤または懸濁液から有利に調製される。組成物を殺菌することが可能であり、または/あるいは佐剤(例えば保存剤、安定化剤、湿潤または乳化剤、溶液プロモーター、浸透圧を調整するための塩類、および/または緩衝液)を含むものであってもよい。加えて、それらは他の治療的に有益な物質を含むことも可能である。上記組成物は、それぞれ従来の混合、造粒、または塗被法によって調製され、活性成分の含有量が約0.1〜75%、好ましくは約1〜50%である。
【0168】
本発明の化合物を、持効性および徐放性錠剤のような経口の剤形またはカプセル、ピル、散剤、顆粒、エリキシル剤、チンキ、懸濁液、シロップ剤、およびエマルジョンとして投与することもできる。
【0169】
液体、特に注射可能な組成物は、例えば、溶解または分散することによって調製することができる。活性成分を医薬的に精製された溶媒(例えば、水、生理食塩水、水溶性デキストロース、グリセロール、およびエタノール)に溶解することで、注射可能な溶液または懸濁液が作られる。その上、注射に先だって液体に溶解するために適当な固体形態を、処方することができる。注射可能組成物は、望ましくは水性の等張液または懸濁液である。組成物は殺菌可能であり、および/または佐剤(例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤、または乳化剤、溶液プロモーター、浸透圧を調整するための塩類、および/または緩衝液)を含むことができる。加えて、それは他の治療的に有益な物質を含むこともできる。
【0170】
本発明の化合物を、静脈内(ボーラスおよび注入)、腹腔内、皮下、または筋内形態で投与することができ、これらは全て全当医薬技術分野で当業者に周知の形態が用いられる。注射剤は、従来の形態、すなわち液体溶液または懸濁液として調製される。
【0171】
非経口注射剤投与が、通常、皮膚、筋内、または静脈あるいは注入に対して一般に用いられる。さらに、非経口投与のための1つのアプローチは、緩効性または徐放性の系を移植することである。米国特許第3,710,795号(本明細書に援用)によれば、このことによって、一定レベルの投薬が保たれることが保証される。
【0172】
さらに、本発明にとって好ましい化合物を、適当な鼻腔内ビヒクル局所投与を介して、または当業者に周知の経皮用スキン・パッチを用いて経皮ルートを介して、投与することができる。経皮送達系の形態で投与するために、投薬量投与は、もちろん、投与計画の全体を通じて断続的であるというよりはむしろ連続的である。他の好ましい局所製剤として、活性成分の濃度が0.01%ないし15%(w/wまたはw/v)まで変動するクリーム、軟膏、ローション剤、エアゾール・スプレー、およびゲルが挙げられる。
【0173】
固形組成物のために、医薬等級のマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、滑石、セルロース、ブドウ糖、スクロース、炭酸マグネシウム等を含む賦形剤を用いることが可能である。上に定義した活性化合物を、例えば、ポリアルキレン・グリコール(例えば、プロピレングリコール)を用いて坐薬として処方してもよい。いくつかの実施形態では、坐薬は脂肪乳化剤または懸濁液から有利に調製される。
【0174】
本発明の化合物はまた、小型単層ベシクル、大型単層ベシクル、および多層ベシクルのようなリポソーム送達系の形態で投与できる。リポソームは、種々のリン脂質から形成でき、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンを含む。いくつかの実施形態において、米国特許第5,262,564号で述べられるように、脂質成分の被膜を、薬物をカプセル化している脂質層を形成するために、薬物の水溶液によって水和する。例えば、本明細書に記載したアプタマー毒性および/リボ・レポーター分子が、当技術分野で公知の方法を用いて、脂肪親和性化合物または非免疫原、高分子量化合物との複合体として提供される。核酸結合複合体の例は、米国特許第6,011,020号で提供されている。
【0175】
本発明の化合物はまた、標的となりうる薬剤担体としての溶解性ポリマーに結合させることもできる。そのようなポリマーとして、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリ・ヒドロキシプロピル−メタクリルアミド−パラ−へノール、ポリヒドロキシエチレンスパンアミドフェノール、またはパルミトイル残基によって置換されたポリエチレンオキシドポリリジンを挙げることができる。さらにまた、本発明の化合物は有用な薬物の徐放を達成する上で有用な生分解性ポリマーのクラスと結合することも可能であり、該ポリマーとして、ポリ乳酸、ポリエプシロン・カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリル酸、およびヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロック・コポリマーが挙げあれる。
【0176】
必要に応じて、投与される薬学的組成物は、僅かな量の無毒の補助物質(例えば湿潤剤または乳化剤)、pH緩衝剤、ならびに他の物質(例えば酢酸ナトリウムおよびトリエタノールアミン・オレイン酸剤)を含むことも可能である。
【0177】
化合物を利用している投与計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性、および症状、処置すべき症状の重症度、投与経路、患者の腎機能および肝性機能、および特定の化合物もしくはそれに用いられる塩を含む種々の因子に従って選択される。通常熟練した医師または獣医は、状態の経過を予防するか、対処するか、抑えることが要求される薬物の有効量を容易に決めることができ、また処方することができる。
【0178】
本発明の経口投与は、示された効果に対して用いられる場合、経口的に約0.05〜1,000mg/日の範囲で変動する。成物は、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100.0、250.0、500.0、および1,000.0mgの活性成分を含んでいる記録された錠剤の形で、好ましくは提供される。本発明の化合物の効果的血漿レベルは、1日で体重1kgあたり0.002mgから50mgの範囲で変動する。本発明の化合物を単一の1日量で投与することが可能であり、あるいは1日の総投与量が毎日2、3、または4回の分割量で投与してもよい。
【実施例】
【0179】
(実施例1)
(TGFβ2タンパク質の精製および特徴付け)
完全長ヒトTGFβ2成熟タンパク質をコードする合成ポリヌクレオチドをpRSET 大腸菌(E.coli)発現ベクターにクローニングし、さらにBL21(pLys)株の形質転換を行った。形質転換細胞を、TGFβ2タンパク質が高レベルで発現しかつ封入小体を形成する条件下で、成長させた。封入小体を精製し、可溶化した。TGFβ2を再び折り重ね、S75サイズ排除クロマトグラフィー(図4A)により精製した。His標識TGFβ2もまた、His6プラスTGFβ2のN末端の30の余分なアミノ酸を加えることで生成した。位置59(S→T),60(R→K)そして94(K→N)の突然変異体、ここではS59T/R60K/K94N突然変異体と呼ぶ、を突然変異生成により導かれた部位に導入した。His標識と突然変異TGFβ2の両方を、野生型TGFβ2に関わるものと同じ手順を用い、発現し、再び折り重ね、そして精製した。図4Bは、S75サイズ排除クロマトグラフィーでのTGFβ2の溶出プロフィルを示し、TGFβ2ダイマーを含む断片のピークが図4CのPAGEバンドに対応することを、図4Bのボックスで指し示してある。
【0180】
(実施例2)
(TGFβ2タンパク質のTGFβ2特異的アプタマーへの結合)
アプタマーを精製されたヒトまたは齧歯類のTGFβ2タンパク質に結合するための解離定数を、32P標識RNAを用いたニトロセルロース・フィルター・パーティショニングにより測定した。インビトロで、転写されたRNAを子牛の腸のアルカリ性ホスファターゼ(New England Biolabs)で処理し、5’−トリホスファターゼを取り除いた。次いで、γ−32P−ATPとT4ポリヌクレオチドキナーゼ(New England Biolabs)による培養で放射標識した。組み込まれなかった標識はゲルフィルタレーションで取り除いた。このRNAを更にポリアクリルアマミドゲル電気泳動(PAGE)により精製した。水中の精製された32P標識アプタマーは使用の直前に、95℃で3分間加熱し、次いで結合緩衝液(50mM Hepes、pH7.4、1mM MgCl2、1mM CaCl2、3mM KCl、140mM NaCl、0.1 mg/ml BSA、0.01mg/ml tRNA)中で10分間室温培養することで、折り重ねた。結合反応(100μL)はアプタマー(<0.1nM)を過剰なTGFβ2タンパク質(0.2〜100nM)に加えることで開始させ、次いで10〜30分間室温で平行状態にさせた。
【0181】
ニトロセルロース・フィルターパーティショニングはミニホルド(Minifold(登録商標)1、96−ウエル・ドット・ブロット・マニホルド(well Dot−Blot manifolds)(Schleicher&Schuell)上で実施した。タンパク質結合アプタマーと残りのフリーアプタマーを、夫々、湿ったプロトラン(Protran)ニトロセルロース(Schleicher&Schuell)とハイボンドP(Hybond−P)二フッ化ビニリデン樹脂(Amersham Biosciences)フィルター上で真空吸引しつつ捕捉し、ホスファーイメージャー(Amersham Biosciences)で定量化した。夫々のTGFβ2濃度でのタンパク質結合アプタマーの割合は、プロトランとハイボンド−Pフィルター(CPMtotal)上の分当たりカウント(CPM)に対するプロトランニトロセルロースフィルター(CPMNC)上の分当たりカウントの比率によりプロットした。解離定数(KD)の推計は、TGFβ2の濃度(即ち,[TGFβ2])に依存するデータを標準結合等温線に適合させることで入手した:
CPMNC/CPMtotal=Cmax/(1+KD/[TGFβ2]total)
ここで、Cmaxは飽和[TGFβ2]においてCPMNC/CPMtotalの最高観測値と等しく、このことはTGFβ2を認識する能力のある正しく折り重ねられたアプタマーの割合を反映していると思われる。
【0182】
(競合アッセイ) 高分子量のポリエチレングリコール(PEG)成分で修飾されたある種のアプタマーは、ニトロセルロースに非特異的に結合するので、標準的なニトロセルロース・フィルターパーティショニング測定には敏感に反応しなかった。こうしたアプタマーは、十分特性付けのされた例えばARC77といったアプタマーとの競合において、測定した。
【0183】
アプタマー競合反応は、32P標識ARC77(<0.1nM)の結合緩衝液中で、標識されていない競合アプタマー(0.05−300nM)の濃度を増していく事前培養により準備した。結合反応を、アプタマーサンプルをTGFβ2タンパク質に加えることで開始し、2.5nMの最終的なタンパク質濃度を得た。非放射性標識(コールド)競合相手が存在しない場合、32P標識ARC77の〜約30%は、一般的にはこの[TGFβ2]でポロトランニトロセルロース膜に結合することが観察できた。結合される32P標識ARC77の減少は、競合相手の濃度増加の関数として観察でき、次のモデルによりうまく説明できた。
【0184】
【数1】
式中、A*は32P標識ARC77、PはTGFβ2タンパク質、Aは非放射性標識(コールド)競合アプタマー、K1はタンパク質と放射性標識(ホット)アプタマー間の相互作用のための解離定数、そしてK2はタンパク質と非放射性(コールド)アプタマー間の相互作用のための解離定数である。K2の推計は、[A*]<<[P]totalの条件下でこのモデルから導かれた方程式2にデータを適合させ、CPMNC/CPMtotal 対 [非放射性標識(コールド)競合相手]([A]total)をプロットすることで入手した。
【0185】
【数2】
式中、[P・A]は2次方程式で記述できる。
【0186】
【数3】
各々の競合測定は、上記の標準結合測定により決定されたK1の独立した計測を伴い、それを適合の中に含めた。
【0187】
図5Aと5Bは、TGFβ2特異的アプタマーの変化する濃度へのTGFβ2タンパク質の結合を示している。(A)32P標識ARC77(<0.1nM)を、ヒト(黒丸)またはラット(白四角)TGFβ2タンパク質の濃度増加と共に培養し、結合をニトロセルロース・フィルター・パーティショニングで分析した。これらのアプタマーのKd値は、ARC77は3.6+/−0.6、ARC78は4.0+/−0.5、そしてARC81は5.1+/−0.4であった。Kdの推計はデータを方程式1に適合して入手した。(B)代替的に、アプタマー解離定数の推計をヒトTGFβ2に結合するための32P標識ARC77との競合から入手した。非放射標識ARC77(白三角)とARC81(黒四角)の競合結合の結果(図5Bで示される)は、データを上記方程式2に適合させることで入手した。
【0188】
(実施例3)
(TGFβ2アプタマーの種特異的結合)
本発明による3つのアプタマー組成物、ARC77、ARC78、そしてARC81について、ヒトおよび齧歯類TGFβ2への種結合特異性および結合親和性に関し、実施例2の方法により比較した。
【0189】
図6Aおよび6Bで見られるとおり、ARC81アプタマーはMLEC増殖のヒトTGFβ2仲介による阻害を逆転させた。図6Aは、ARC77、ARC78そしてARC81アプタマーが、50pg/mLのTGFβ2の対増殖効果を阻害することを示している。コントロールとして入れておいた抗TGFβ2抗体(R&D,AF−302−NA)もまた細胞増殖上の眼房水の低濃度効果を逆転させた。図6Bは、ARC77アプタマーが齧歯類版よりTGFβ2のヒト型に対してより効力のあることを示している。総じて、これらのデータはARC77、ARC78そしてARC81アプタマーが細胞増殖を用いて測定されるTGFβ2の生物活性を逆転させうることを示している。ARC77アプタマーはまた、齧歯類に対するTGFβ2のヒト版への特異性を実証した。図6Cは、ARC77アプタマーが、ヒト野生型(WT)、マウス(NTK)そしてヒトTGFβ2のN末端His標識版に対し異なった結合親和性を持つことを示している。即ち、ヒト野生型(WT)で2.5+/−0.3nM、マウスで80+/−5nM、そしてHis標識で>500nMとなる。
【0190】
MLECをウエル当たり2,000細胞ずつプレートし、37℃で4時間培養した。アプタマーとTGFβ2を表示された濃度で、37℃で16時間にわたり追加した。細胞増殖をBrdU incorporationを用いて計測した。BrdU測定は製造者(Roche Diagnostics)の推奨どおりに行った。
【0191】
(実施例4)
(眼房水抗原投与(Challenge)測定)
ARC81は眼房水により仲介されるMLEC増殖の阻害を逆転する。図7Aは、1000nMのARC81が低濃度ウサギ眼房水(たとえば、<10%)の増殖抑制効果を阻害したことを示している。コントロールとして入れておいた対TGFβ2抗体(R&D、AF−302−NA))もまた、細胞増殖に関わる低濃度眼房水の効果を逆転させた。図7Bと7Cは、ARC81抗体および抗TGFβ2抗体が、用量依存性方式よりMLEC増殖のウサギ眼房水の仲介による阻害を救ったことを示している。総じて、これらのデータはARC81アプタマーが眼房水内でのTGFβ2の生物活性を逆転させうることを示している。
【0192】
(MLECアッセイ) ミンクの肺上皮細胞増殖測定を2日間かけて実施した。第1日(1−1)ミンク肺上皮細胞(MLEC)から培地を吸引採取した。
(1−2)MLECを10mlの1×PBSで洗った。(1−3)3mLのトリプシンを加え、37℃で3分間トリプシナイズした。(1−4)10mLの0.5% FBS培地でクエンチした。(1−5)1000rpmで3.3分間スピンした。(1−6)上清を吸引した。(1−7)ペレットを10mlの0.5% FBSメディアで再懸濁した。(1−8)10μLの細胞懸濁を数えた。(1−9)細胞密度をmL当たり80,000細胞に調整した。(1−10)ウエル当たり50μLの細胞を黒底の96ウエルプレートに加えた(ウエル当たり4,000細胞)。プレーティング過程において、細胞の沈殿と不均等なプレーティングを避けるために、ピッペットアップ・ダウンを行った。(1−11)5% CO2の中で37℃にて4時間細胞を培養し、細胞の粘着性を増加させた。(1−12)アプタマー(または、メディア、または例えば抗体などの試験試薬)を25μL加えた。好ましくは、外側のウエルは細胞の処理には使用しない。(1−13)TGFβ2(一般的には25pg/mL)を25μL加えた。そして、(1−14)5%CO2中で37℃にて一晩細胞を培養した。
【0193】
第2日(2−1)20μLのBrdUを2mLの0.5%FBS培養液に混合した。(2−2)BrdU混合液を10mL/ウエル加えた。(2−3)細胞を5%CO2中で37℃にて3時間培養した。(2−4)培養液を取り除き、プレートをペーパータオル上でふき取って乾かした。(2−5)ウエル当たり200μLのFixDenat溶液を加え、室温(RT)で30分間培養した。(2−6)FixDenat溶液を取り除き、プレートをペーパータオル上でふき取って乾かした。(2−7)ウエル当たり100μLのanti−BrdU POD溶液を加え、室温で90分間培養した。(2−8)anti−BrdU POD溶液を取り除き、プレートをペーパータオル上でふき取って乾かした。(2−9)プレートを200μL/ウエルの洗浄溶液で3回洗い、5分間室温で培養し、次いでプレートをペーパータオル上でふき取って乾かした。(2−10)基質溶液を100μL/ウエル加え、室温、暗闇中で3分間培養した。そして(2−11)PSPルシフェラーゼ1プログラムによりTopCount(Packard Bioscience Co.,Downers Grove,Ill.)上でプレートを読んだ。
【0194】
MLECは2000細胞/ウエルをプレートし、37℃で4時間培養した。アプタマー、抗体、眼房水そしてTGFβ2を指示された濃度で37℃にて16時間にわたり加えた。細胞増殖をBrdU incorporationを用いて計測した。BrdU測定は製造者(Roche Diagnostics)の推奨どおりに行った。
【0195】
(実施例5)
(TGFβ2−特異的アプタマーの選択最小化および特徴付け)
本発明の修飾RNAアプタマー、例えばARC77(配列番号1)は、天然ヒトTGFβ2に結合し、ミンク肺上皮細胞(MLEC)阻害アッセイでのTGFβ2効果を阻害することができる。このアプタマーの生化学的特徴付けをさらにおこなうために、成熟TGFβ2の2つの形態である天然のものおよびN末端His標識されたものを大腸菌(E.coli)で生成した。再折りたたみおよび精製後、複数の機能的TGFβ2を得た。これらのTGFβ2は細胞ベースのアッセイで活性を示した。アプタマーに対する親和性がかなりの程度に減少する間、N末端の標識(タグ)が活性とアプタマー結合とに影響を及ぼした。さらに、2つの変異体TGFβ2(標識K94NおよびS59T/R60K/K94N)を、TGFβ2の既知のアイソフォームに基づいて生成した。K94N変異体は、天然のTGFβ2の結合に相当する親和性で、アプタマーに結合することができた。しかし、S59T/R60K/K94N変異体は、アプタマーに対する親和性が著しく低下していた。同様に、アプタマーは、細胞ベースのアッセイで、S59T/R60K/K94N突然変異体の生物活性よりも高い力価で天然およびK94N TGFβ2sの生物活性を阻害した。公開されている結晶構造に基づいて、59位および60位での置換はダイマーインタフェースの近傍にあり、またTGFβ2のN末端に隣接し、さらに94位での他の置換はII型アクセプター結合部位に近い。可溶性TGF−bアクセプターによる結合競合アッセイは、III型アクセプターがアプタマー結合と競合するが、II型アクセプターとは競合しないことを明らかにした。データは、2つのアプタマーが1つのダイマーTGFβ2に結合し、本発明のアプタマーがTGF−bIII型アクセプター結合部位近傍またはその部位に結合し、その生物学的機能を阻害することを示した。
【0196】
アプタマーの最小化および突然変異誘起/修飾分析。図8Aは、配列番号1(ARC77)のTGFβ2アプタマーの選択、最小化および特徴付けを説明するための図である。残基の欠失と、それによって生ずる結合親和性に対する効果とを、図8A中の文章で、また図8B中の表で示す。図8A中、囲まれた残基は、高度に保存された残基を示す。TGFβに対するアプタマーの親和性の測定を、ドットブロット法によるタンパク質結合アッセイによっておこなった(図8B)。TGFβ2アプタマーは、MLE細胞増殖に対するTGFβ2の阻害効果を覆すことができる。スクランブルされたアプタマー(図8C中、「ARC77転写(transcribed)」と標識された)を負のコントロールとして用い、一方TGFβ中和抗体を正のコントロールとして用いた(不図示)。
【0197】
図9は、スクリーンで測定されるアプタマー/TGFβ2ダイマーのストイキオメトリーを示す。フルオレセインまたはビオチンで標識された異なる濃度のアプタマーを、抗FITCアクセプタービーズまたはストレプトアビジン・ドナー・ビーズに結合させ、TGFβ2ホモダイマーで処理した。シグナルの測定は、フュージョン(Fusion)プレート・リーダー((Packard Bioscience Co.,Downers Grove,Ill.)を用いておこなった。
【0198】
図10Aは、種々の修飾および/または突然変異の効果を野生型TGFβ2に対して測定することで得られたTGFβ2のアプタマー結合部位のマッピングを示す。3種類のヒトTGFβ2変異体(すなわち野生型TGFβ2、長い標識(タグ)形状のTGFβ2、および短い標識(タグ)形状のTGFβ2)について試験した。また、2種類の突然変異体についても試験した。K94NおよびS59T/R60K/K94N突然変異を、クイック・チェンジ部位特異的突然変異によって、野生型TGFβ2に導入した。これらのタンパク質(すなわち、野生型(S59T)、R60K/K94N、K94N、N長タグTGFβ2、およびN短タグTGFβ2)の各々を、TGFb2アプタマーの存在下でインキュベートし、それらのEC100値、結合親和性、およびIC50値(nM)を測定した(図10B)。これらのタンパク質に対するアプタマーの結合親和性をドットプロットによって測定した。アプタマーの阻害活性のIC50値を、MLEC増殖アッセイによって測定した。
【0199】
図11は、トランスフォーミング成長因子III型アクセプターがTGFβ2でアプタマーの結合を遮断することができることを示す。TGFβ2とのアプタマー結合を決定するドットブロット法によるアッセイを、可溶性III型またはII型アクセプターのいずれかとTGFβ2をプレインキュベートした後に実行した。Ki値の算出を、データを単一競合モデルデータにあてはめることでおこなった。
【0200】
(表1 アプタマー配列)
配列番号1 ARC77−TGFβ2
5’−GGAGGfUfUAfUfUAfCAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfCfC−3T−3’
配列番号2 ARC78−TGFβ3
5’−NH2−GGAGGfUfUAfUfUAfCAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfCfC−3T−3’
配列番号3 ARC79−TGFβ2
5’−mGmGmAmGmGfUfUAfUfUmAfCmAmGmAmGfUfCfUGfUAfUAmGfCfUmGfUmAfCfUfCfc−3T−3’
配列番号4 ARC81−TGFβ2
5’−NH2−mGmGmGmGfUfUAfUfUmAfCmAmGmAmGfUfCfUGfUAfUAmGfCfUmGfUmAfCfCfC−3T−3’
配列番号5 ARC82−TGFβ2
5’−mGGmGmGfUfUmAfUfUAfCAmGmAmGfUfCfUmGfUmAfUmAmGfCfUmGfUAfCfCfC−3T−3’
配列番号6 ARC111−TGFβ2
5’−[20KPEG]−NH2−GGAGGfUfUAfUfUAfCAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfCfC−3T−3’
配列番号7 ARC112−TGFβ2
5’−[PEG30K]−NH2−GGAGGfUfUAfUfUAfCAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfCfC−3T−3’
配列番号8 ARC113−TGFβ2
5’−[PEG40K]−NH2−GGAGGfUfUAfUfUAfCAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfCfC−3T−3’
配列番号9 ARC117−TGFβ2
5’−[PEG20K]−NH2−mGmGmGmGfUfUAfUfUmAfCmAmGmAmGfUfCfUGfUAfUAmGfCfUmGfUmAfCfCfC−3T−3’
配列番号10 ARC118−TGFβ2
5’−[PEG30K]−NH2−mGmGmGmGfUfUAfUfUmAfCmAmGmAmGfUfCfUGfUAfUAmGfCfUmGfUmAfCfCfC−3T−3’
配列番号11 ARC119−TGFβ2
5’−[PEG30K]−NH2−mGmGmGmGfUfUAfUfUmAfCmAmGmAmGfUfCfUGfUAfUAmGfCfUmGfUmAfCfCfC−3T−3’
配列番号12 ARC120−TGFβ2
5’−[PEG20K]−NH2−mGGmGmGfUfUmAfUfAfCAmGmAmGfUfCfUmGfUmAfUmAmGfCfUmGfUAfCfCfC−3T−3’
配列番号13 ARC121−TGFβ2
5’−[PEG30K]−NH2−mGGmGmGfUfUmAfUfUAfCAmGmAmGfUfCfUmGfUmAfUmAmGfCfUmGfUAfCfCfC−3T−3’
配列番号14 ARC122−TGFβ2
5’−[PEG40K]−NH2−mGGmGmGfUfUmAfUfUAfCAmGmAmGfUfCfUmGfUmAfUmAmGfCfUmGfUAfCfCfC−3T−3’
配列番号21 ARC152−TGFβ2
5’−[NH2]−mGmGmAmGmGfUfUAFUfUmAfCmAmGmAmGfUfCfUGfUAfUAmGfCfUmGfUmAfCfUfCfC−3T−3’
配列番号4 ARC154−TGFβ2
5’−[NH2]−mGmGmAmGmGfUfUAfUfUmAfCmAmGmAmGfUfCfUGfUAfUAmGfCfUmGfUmAfCfUfCfC−3T−3’
配列番号23 ARC155−TGFβ2
5’C−[NH2]−mGGmGmGfUfUmAfUfUAfCAmGmAmGfUfCfUmGfUmAfUmAmGfCfUmGfUAfCfCfC−3T−3’
配列番号24 ARC156−TGFβ2
5’−[tatp]−[NH2]−mGGmGmGfUfUmAfUfUAfCAmGmAmGfUfCfUmGfUmAfUmAmGfCfUmGfUAfCfCfC−3T3’
配列番号25 ARC157−TGFβ2
5’−[antp]−[NH2]−mGGmGmGfUfUmAfUfUAfCAmGmAmGfUfCfUmGfUmAfUmAmGfCfUmGfUAfCfCfC−3T−3’
配列番号26 ARC158−TGFβ2
5’−[arg7]−[NH2]−mGGmGmGfUfUmAfUfUAfCAmGmAmGfUfCfUmGfUmAfUmAmGfCfUmGfUAfCfCfC−3T−3’
配列番号27 ARC159−TGFβ2
5’−[NH2]−[NH2]−mGmGmAmGmGmUmUmAmUmUmAmCmAmGmAmGmUmCmUmGmUmAmUmAmGmCmUmGmUmAmCmUmCmC−3T−3’
。
【0201】
(実施例6)
(癌障害処置でのPDGFアプタマー)
血小板由来増殖因子(PDGF)は、強い分裂促進因子(マイトジェン)であって、種々の増殖性障害において重要な役割を果たすことが知られている。下記の表1は、マウスで試験された眼障害処置で有用な3種類の試料アプタマーの投薬濃度を示す。若い週齢5〜6週目の雄マウスに対して静脈内投与する用量を1mg/kgとし、あるいは皮下投与する用量を1、5、および20mg/kgとする。静脈内投与後に取られる時間点を、0、5、10、20、および40分、1、2、4、6、8、および10時間とする。皮下投与後の時間点を0、10、20、および40分、1、2、4、6、8、10、および12時間とする。ARC125(配列番号16)およびARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)に対する結合親和性がkd値100pMでPDGF・ABとBBとを結合する。ARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)を、ssDNAプールから選択し、その後2’−O−メチル(下線)および2’−フッ化(イタリック)によって修飾した。2’−O−メチル、2’−フッ化修飾は、ヌクレアーゼに対してアプタマーを安定化させ、インビボでの半減期を増加させる。3’−3’−dTキャップは、ポリヌクレオチド末端加水分解酵素に対する耐性を増加させる。40K PEG群は、ARC126のPK特性を増加させる。
【0202】
(表2 PDGF特異的アプタマー)
【0203】
【表2】
1:aアニオン交換HPLCおよび/CGEで測定
2,3:アプタマー重量のみを用いて計算
ARC123(配列番号15)、ARC124(配列番号16)、およびARC125(配列番号17)をssDNAから選択し、PDFG・ABおよびBBアクセプターとKd値100pMで結合させた。これらは任意の修飾基を持たないが、エクソヌクレアーゼ耐性を増加させるために3’−3’−dTキャップを有する。
【0204】
(表3 PDGFアプタマー)
ARC123(配列番号15):
5’−TdGdGdGdAdGdGdGdCdGdCdGTTdCTTdCdGTdGdGTTdAdCTTTTdAdGTdCdCdCdG−3T−3’
ARC124(配列番号16):
5’−dCdAdCdAdGdGdCTdAdCdGdGdCdAdCdGTdAdGdAdGdCdATdCdAdCdCdATdGdATdCdCTdGTdG−3T−3’
ARC125(配列番号17):
5’−TdAdCTdCdAdGdGdGdCdAdCTdGdCdAdAdGdCdAdATTdGTdGdGTdCdCdCdAdATdGdGdGdCTdGdAdGTdA−3T−3’
ARC126(配列番号18−PEG−配列番号33−PEG−配列番号34)(機能性アプタマー):
5’−[NH2]−dCdAdGdGdCfUdAfCmG(配列番号18)−PEG−dCdGTdAmGdAmGdCdAfUfCmA(配列番号33)−PEG−TdGdATfCfCfUmG−3T−3’(配列番号34)
ARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)(PEG化機能性アプタマー):
5’−[PEG40K]−NH2-dCdAdGdGdCfUdAfCmG(配列番19)−PEG−dCdGTdAmGdAmGdCdAfUfCmA(配列番号35)−PEG−TdGdATfCfCfUmG−3T−3’(配列番号36)
ARC128(PEG−配列番号20−PEG−配列番号37−PEG−配列番号38−3T)(スクランブルされたコントロール):
5’−[PEG40K]−NH2−dCdAdGfCmGfUdAfCmG(配列番号20)−PEG−dCdGTdAdCdCmGdATfUfCmA(配列番号37)−PEG−TdGdAdAdGfCfUmG−3T−3’(配列番号38)
。
【0205】
図13Aおよび13Bは、ARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)の結合曲線およびKd値を示すもので、ARC127がPDGFのBBおよびABアイソフォームを認識するが、AAアイソフォーム単独に対しては認識しないことを示している。図14Aおよび図14Bは、ARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)が、等しい親和性で、ヒトおよびラットPDGFに結合すること、さらにPDGF誘導3T3細胞増殖を阻害するARC127の能力が、PDGF誘導3T3増幅を阻害する抗PDGF抗体(アップステート/細胞シグナリング溶液)の能力に匹敵することを示している。
【0206】
図15に示される一連の画像は、ARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)が特に網膜色素性上皮性(RPE)細胞の移動を妨げることを示し、その一方でARC128(PEG−配列番号20−PEG−配列番号37−PEG−配列番号38−3T)(コントロールとして使用されるスクランブルされたアプタマー)が活性を持たないことを示している。特に、図15AはPDGFが存在しない場合のRPE細胞の移動を示す。図15Bは、100ngの/mlのPDGFで、RPE細胞の移動を示す。図15Cは、PDGFおよび100mMのARC127によるRPE細胞の移動を示す図であり、ARC127の阻害効果を示す。図15Dは、PDGFおよび100mMのARC128によるRPE細胞の移動を示す図であり、スクランブルされたアプタマーコントロール(すなわち、ARC128)による阻害効果が無いことを示している。図15Eおよび15Fに示すグラフは、RPE細胞移動の際のPDGF濃度の増加性効果を表す。
【0207】
図16は、37℃、95%血漿でのARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)のインビトロ血漿安定性を示す。修飾ARC127の半減期(t1/2)は、全DNA含有量のt1/2よりも14倍大きかった。
【0208】
(実施例7)
(ARC127の薬物動態学および生物活性プロフィール)
薬物動態研究(03002〜002)を実施して、マウスでの静脈内(IV)、腹腔内(IP)、および皮下(SC)投与を介するARC127の薬物速度論を決定した。下記の表4は、腹腔内投与および皮下投与に対するバイオアベイラビリティがIV、IP、およびSCで高いことを示している10mg/kg用量での研究の結果を示す。
図17は、IV、IP、およびSC経路による投与を介して50時間後用量を通してARC127アプタマーの濃度をnMで示す。ARC127は、すでに以下の特徴を持つことがわかっている。すなわち、解離定数(kd)が100pM、細胞IC50値が2nM、細胞毒性観察されず、糸球体腎炎、再狭窄、癌、および肺高血圧症のための動物モデルの有効性、1mg/kgでのCmaxが2μM、溶解度が20mg/ml、ならびに全身半減期が、実施例12に示すように、6〜12時間(静脈内注射)および3.87日(硝子体内注射)である。ARC127は種々の投与経路によって注射可能であり、該経路として静脈内、腹腔内、皮下、および硝子体内が挙げられる。ARC127のバイオアベイラビリティが、腹腔内注射を経た場合62.5%であり、皮下注射を経た場合24.0%であることがわかった。
【0209】
(表4 10mg/kgでのマウスのIV、IP、およびSCを経たARC127の薬物動態学的なプロフィール)
【0210】
【表4】
本明細書で用いられるように、Cmaxは最大観察血清中濃度または最大観察血漿中濃度のことをいう。AUCは濃度−時間曲線下の領域のことをいう。AUClastは、最終時点までの濃度−時間曲線下の領域のことをいう。AUCinfは、無限に推定される場合の濃度−時間曲線下の領域のことをいう。T1/2は、終端の半減期のことをいう。Clは、クリアランスのことをいう。MRTは、平均滞留時間のことをいう。MRTinfは、無限の平均滞留時間のことをいう。さらに、Vssは見かけの分布容積のことをいう。
【0211】
さらに、第2の研究を、ARC127後IV投与の生物活性プロフィールを決定するために実行した。競争結合実験データの結果は、薬物動態学的なデータと整合していて、ARC127がインビボで48時間以上、測定可能な活性を出すことを示す(図18を参照せよ)。これらのデータは、ARC127が、Kd値が100pMで細胞IC50値が2nMであるインビボ有効性による強力な抗PDGFアプタマーであることを証明する。加えて、この有効性は、多数のインビボモデルで示された。薬物動態学的/薬力学的研究は、ARC127の全身半減期が6〜12時間、1mg/kgでのCmaxが2μMであることを示している。また、実施例4に記載したアッセイを用いて測定したように、ARC127は硝子体液中での半減期が3.5日であった。一緒にすると、ARC127が強力な抗PDGFアプタマーであること示しているこれらのデータは、抗VEGF因子と同時投与した場合に、新規抗血管新生特性を持つ新規の治療薬であり、またPDRおよびAMD増殖性眼障害での新規治療薬であると同様に、新規の腫瘍学的薬剤として有用であることを示している。
【0212】
(実施例8)
(硝子体内投与のためのTGFβ2治療用アプタマー)
TGFβ2に対する結合親和性によるアプタマーは、約100μL/眼の注入量による硝子体内経路を経て、約250μL/眼の注入量による結膜下経路を経て、約250〜1,00μL/眼の注入量による静脈内経路を経て、投与される。これらの投与経路の各々の用量は、硝子体内投与の場合、0.5〜5mg/眼、結膜下投与の場合、1〜5mg(結合無しのアプタマー質量)、および静脈内投与の場合、1〜20mg/kgである。これらの経路の各々についての濃度は、硝子体内投与の場合、1〜5mg/0.250ml=4〜20mg/ml、結膜下経路の場合、1〜5mg/0.100ml=10〜50mg/ml、さらに静脈内投与の場合、1〜20mg/0.250〜1.0ml=1〜80mg/mlである。体内分布時間経過は、硝子体内および結膜下投与経路の場合、前容量、5分、30分、1、6、12、24、および72時間、さらに静脈内投与経路の場合、前用量、5、30分、1、6、12、24、および48時間である。図12は、ARC77アプタマーの構成を示すとともに、修飾されたアプタマーの領域を説明するための図である。
【0213】
(表4 TGFβ2アプタマー配列)
ARC77 配列番号1:(34nt;細胞IC50=10nM,KD=1nM)17,2’OHプリン;17,2’F−ピリミジン;5’−G−G−A−G−G−fU−fU−A−fU−fU−A−fC−A−G−A−G−fU−fC−fU−G−fU−A−fU−A−G−fC−fU−G−fU−A−fC−fU−fC−fC−[3’T];KD=1nM,9不可変位置は下線を引いた。
ARC79 配列番号3:(34nt,細胞IC50=10nM,KD=1nM)下線を引いた4つの必須リボ−ヌクレオチドを除く2’−Ome RNAによるリボ残基の置換を介した改善された化学物質/ヌクレアーゼ安定性。
【0214】
(実施例9)
(TGFβ2ドープ再選択SELEX(登録商標)アプタマー)
ドープ再選択(doped reselection)SELEX(登録商標)を、ドープ再(Doped re−)SELEXで使用したライブラリーおよびプライマーを用いてTGFβ2に対しておこなった(小文字が、30%の不純物を添加された残基を表す)。これらのライブラリーを増幅して別々に転写し、その後、最初のラウンドのために組み合わせた。
配列番号28 TK.82.140.A(14i−1)
TCGGGCGAGTCGTCTGgaaggaat−tttactacaacgttacttccgcatcctccCCGCATCGTCCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA
配列番号29 TK.82.140.B(21a−4)
TCGGGCGAGTCGTCTGgcggacttagtatatacatacgactaaacaacgccgcCCGCATCGTCCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA
配列番号30 TK.82.140.C(21a−21)
TCGGGCGAGTCGTCTGggagtacagctatacagactctgtaataa−cctccCCGCATCGTCCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA
配列番号31 5’−Primer TK.82.140.D(センス)
TAATACGACTCACTATAGGGAGGACGATGCGG
配列番号32 3’−プライマーTK.82.140.E(アンチセンス)
TCGGGCGAGTCGTCTG
。
【0215】
TGFβ2再選択のためのドープ再選択SELEX(登録商標)手順を、以下の通りに実行した。テンプレート調製のために、ドープDNAライブラリーを、PAGEを使用して精製し、PCRによって増幅した。精製されたPCR産物を、つぎに2’−Fピリミジン・ヌクレオチド(2’−OHプリン・リボヌクレオチド)の存在下で、Y639F RNAポリメラーゼを用いて転写した。結果として生じるRNAプールを、第1回目の選択で使用した。
【0216】
SELEX(登録商標)選択の最初の2回は、ニトロセルロース膜(NC)スポットによっておこなった。500pmolのヒトTGFβ2(hTGFβ2)を、予洗処理したNC膜上にスポッティングして空気乾燥した。次にフィルターを室温で1時間、ダルベッコ・リン酸塩緩衝食塩水(1mMのMgCl2(DPBS))で3RNAドープ・プールの組み合わせともに、インキュベートした。このフイルターをDPBSで3回洗浄し、TGFβ2結合RNAを予熱95C溶出緩衝液(7M尿素、100mM酢酸ナトリウム(pH5.0)、3mMEDTA)で溶出した。溶出RNAをフェノール/クロロフォルムで抽出し、エタノールで沈殿させた後、逆転写してPCRによる増幅をおこなった。結果として生じた転写テンプレートをY639F単一変異体RNAポリメラーゼで、2’−Fピリミジン・ヌクレオチドおよび2’−OHプリン・リボヌクレオチドの存在下、転写し、次のラウンドに送った。
【0217】
第3ラウンドから疎水性プレートによるSELEX、SELEXを疎水性プレート選択によって実施した。100μlの20nM TGFβ2をNUNC MaxiSorp Plate(ポジティブ・プレート)とともに1時間、37℃でDPBS(0.1mg/mltRNAなし)中でインキュベートした。一方、RNAプール(0.1mg/mltRNAあり)を負の選択のためにネガティブ・プレートで1時間、37℃でインキュベートした。タンパク質プレートをDPBSで6回洗浄した。事前選択RNAプールをポジティブ/プレートで、1時間、37℃でインキュベートした。このプレートをDPBSで6回洗浄して未結合RNAを除去した。次に、逆転写をこのプレートで実行した。つぎに、逆転写をPCR増幅した。結果として生ずる転写テンプレートをY639FRNAポリメラーゼで、2’−Fピリミジン・ヌクレオチドおよび2’−OHプリン・リボヌクレオチドの存在下、転写し、次のラウンドに送った。
【0218】
TGFβ2を0.2mg/mlBSAおよび0.2mg/mltRNAを含むDPBSで連続希釈し、32P標識RNA(<20pM)を室温で30分間、TGFβ2とともにインキュベートした。マルチチャンネル・ピペッターを用いて、試料を、事前に湿らせた0.45ミクロン・ニトロセルロースと、ハイボンド(Hybond)メンブレン、および3MM濾紙(順序は上から下へ)とからなるマルチウエル・マニフォールド・ホールディング・レイヤーにピペッティングし、吸引し、さらにDPBS(tRNA含む)で3回洗浄した。3枚のフィルター全部を空気乾燥し、ホスホイメージャー・プレート(phosphorimager plate)にさらし、イメージ・クアント(ImageQuant)で分析した。表5に示す完全長アプタマー配列がTGFβ2に結合しているのがわかった。
【0219】
(表5 TGFβ2ドープ再選択完全長アプタマー配列)
S5CR12−27 GGGAGGACGAUGCGGAUCGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACGAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号39)
AMX(71)_F7* GGGAGGACGAUGCGGAUCGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号40)
AMX(71)_A11 GGGAGGACGAUGCGGAUCGAAUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACGGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号41)
AMX(71)_B9 GGGAGGACGAUGGGGAUCGAGUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACGAUCAGACGACUCGCCCGA(配列番号42)
AMX(71)_B11 GGGAGGACGAUGCGGAUGGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACCAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号43)
AMX(71)_C11 GGGAGGACGAUGCGGAUAGAGCAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号44)
ARC232
S5CR8−15 GGGAGGACGAUGCGGAUAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号45)
AMX(71)_G9 GGGAGGACGAUGCGGACAGAGUAUUAUAGAGUAUGUGUAGCUAUACCGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号46)
S5R12−33 GGGAGGACGAUGCGGACAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号47)
S5R12−12 GGGAGGACGAUGCGGACAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUGCAGACGACUCGCCCGA (配列番号48)
AMX(71)_F11 GGGAGGACGAUGCGGACAGAGCAUUAUAGAGUGUGUAUAGCUGUACUGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号49)
AMX(71)_F3 GGGAGGACGAUGCGGACAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUAUCAGACGACUCGCCCAA (配列番号50)
ARC235
S5CR8−45 GGGAGGACGAUGCGGACAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUGUCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号51)
ARC228
S5R8−10 GGGAGGACGAUGCGGACAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号52)
AMX(71)_H7 GGGAGGACGAUGCGGAAAGAGUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACUUUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号53)
AMX(71)_D10 GGGAGGACGAUGCGGAANGAAUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACCAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号54)
S5CR12−12 GGGAGGACGAUGCGGAAGGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACCAGACGACUCGCCCGA (配列番号55)
S5CR12−15 GGGAGGACGAUGCGGAAGGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACCAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号56)
AMX(71)_H10 GGGAGGACGAUGCGGAAGGAAUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACCAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号57)
ARC233
S5CR8−18 GGGAGGACGAUGCGGAGGGAUUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACCCUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号58)
AMX(71)_A8 GGGAGGACGAUGCGGAGGGAAUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACCAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号59)
AMX(71)_H9 GGGAGGACGAUGCGGAGAAGAGUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACUUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号60)
AMX(74)_G6 GGGAGGACGAUGCGGAGAGAUUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUGUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号61)
ARC231
S5CR8−14 GGGAGGACGAUGCGGAACGAAUAUUACAGAGUAUGUAUAGCUGUACGGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号62)
S5CR8−28 GGGAGGACGAUGCGGAGUGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACACAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号63)
AMX(71)_A10 GGGAGGACGAUGCGGUGUGAAUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACCAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号64)
AMX(74)_F1 GGGAGGACGAUGCGGUGUGAAUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACCACCAGACGACUCGCCCGA (配列番号65)
ARC227
S5R8−1 GGGAGGACGAUGCGGUGUGAGUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACCACCAGACGACUCGCCCGA (配列番号66)
AMX(71)_B3 GGGAGGACGAUGCGGUCCGCAUUAUCUUCUACGUUACAUAUACUAUCUCUGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号67)
AMX(71)_D11 GGGAGGACGAUGCGGUCGGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAAACCGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号68)
AMX(74)_A2 GGGAGGACGAUGCGGUAAGAGUAUUACAGAGUAUGUAUAGCUGUACUUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号69)
AMX(74)_E4 GGGAGGACGAUGCGGUGAGAAUAUUACAGAGUAUGUAUAGCUGUACUUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号70)
AMX(74)_F4 GGGAGGACGAUGCGGUGAGAAUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUCGCCAGACGACUCGCCCAA (配列番号71)
AMX(74)_F3 GGGAGGANGANGCGGUGAGAGUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号72)
ARC229
S5R8−43 GGGAGGACGAUGCGGUGAGAGUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACUCGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号73)
ARC234
S5CR8−32 GGGAGGACGAUGCGGUGAGAGUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACCACCAGACGACUCGCCCGA (配列番号74)
AMX(71)_D9 GGGAGGACGAUGCGGUAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACACUCAGACGACUCGCCCAA (配列番号75)
AMX(71)_H12 GGGAGGACGAUGCGGUAGAGUAUUAGAGAGUAUGUAUAGCUAUACCAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号76)
AMX(71)_G7 GGGAGGACGAUGCGGUGGGAAUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACCCUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号77)
S5CR12−14 GGGAGGACGAUGCGGGCGGAAUAUUAUAGAGUAUGGAUAGCUAUACCGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号78)
ARC230
S5R8−45 GGGAGGACGAUGCGGGACAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号79)
AMX(71)_B7 GGGAGGACGAUGCGGGCAGAGUAUUAUAGAGUACGUAUAGCUAUACUGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号80)
AMX(71)_A9 GGGAGGACGAUGCGGGCAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号81)
AMX(71)_G8 GGGAGGACGAUGCGGGUGGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUAUCAGACGACUCGCCCAA (配列番号82)
AMX(74)_A3 GGGAGGACGAUGCGGGUAGAUUAUUACAGAGUCUGUAUAGCUGUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号83)
AMX(74)_E2 GGGAGGACGAUGCGGGUAGAAUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号84)
AMX(74)_H1 GGGAGGACGAUGCGGGUAGAAUAUUACAGAGUAUGUAUAGCUGUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号85)
AMX(74)_C3 GGGAGGACGA
UGCGGGGAGAAUAUUACAGAGUAUGUAUAGCUGUACUUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号86)
AMX(74)_A1 GGGAGGACGAUGCGGGGAGAAUAUUACAGAGUAUGUAUAGCUGUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号87)
AMX(74)_B3 GGGAGGACGAUGCGGGGAGAUUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号88)
AMX(74)_G3 GGGAGGACGAUGCGGGGAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号89)
AMX(74)_D3 GGGAGGACGAUGCGGGAAGAGUAUUACAGAGUAUGUAUAGCUGUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号90)
AMX(74)_E6 GGGAGGACGAUGCGGGCAAAGUAUUGUAGAGUAUGCAUAGCUAUAUUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号91)
21a−21 GGGAGGACGAUGCGGGGAGGUUAUUACAGAGUCUGUAUAGCUGUACUCCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号92)
14i−1 GGGAGGACGAUGCGGGGAGGAUGCGGAAGUAACGUUGUAGUAAAAUGCCUUCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号93)
21a−4 GGGAGGACGAUGCGGGCGGCGUUGUUUAGUCGUAUGUAUAUACUAAGUCCGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号94)
。
【0220】
上に示した完全長アプタマー配列に関する結合データを表6に示す。図19Aおよび19Bは、表5に示す完全長配列の結合プロットである。
【0221】
(表6 MLEC阻害アッセイで実施された結合データ)
【0222】
【表6】
(表7 最小化TGFβ2ドープ再選択アプタマー)
CW128.10.A(S5CR12−27)
AfUfCGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCGAfU[3T] (配列番号95)
CW128.10.B(AMX(71)_F7)
AfUfCGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUAfU[3T] (配列番号96)
CW128.10.C(AMX(71)_A11)
AfUfCGAAfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCGGfU[3T] (配列番号97)
CW128.10.D(AMX(71)_B9)
AfUfCGAGfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCGAfU[3T] (配列番号98)
ARC285
8.10.E(AMX(71)_B11)
AfUGGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfU[3T] (配列番号99)
CW128.10.F(AMX(71)_C11)
AfUAGAGfCAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUAfU[3T] (配列番号100)
CW128.10.G(S5CR8−15,完全長ARC232)
AfUAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUAfU[3T] (配列番号101)
CW128.10.H(AMX(71)_G9)
AfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUGfUAGfCfUAfUAfCfCGfU[3T] (配列番号102)
CW128.10.I(S5R12−33)
AfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfC[3T] (配列番号103)
CW128.10.J(S5R12−12)
AfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUG[3T] (配列番号104)
CW128.10.K(AMX(71)_F11)
AfCAGAGfCAfUfUAfUAGAGfUGfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUGfU[3T] (配列番号105)
CW128.10.L(AMX(71)_F3)
AfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUAfU[3T] (配列番号106)
ARC283,CW128.10.M(S5CR8−45,完全長ARC235)
AfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfUfC[3T] (配列番号107)
ARC286,
CW128.10.N(S5R8−10,完全長ARC22B)
AfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfU[3T] (配列番号108)
CW128.10.O(AMX(71)_H7)
AAAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUfUfU[3T] (配列番号109)
CW128.10.P(AMX(71)_D10) AANGAAfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfU[3T] (配列番号110)
CW128.10.Q(S5CR12−12)
AAGGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfC[3T] (配列番号111)
ARC281
CW128.10.R(S5CR12−15)
AAGGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfU[3T] (配列番号112)
ARC287
CW128.10.S(AMX(71)_H10)
AAGGAAfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfU[3T] (配列番号113)
CW128.10.T(S5CR8−18,完全長ARC233)
AAfCGAAfUAfUfUAfCAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCGGfU[3T] (配列番号114)
ARC282
CW128.10.U(AMX(71)_A8)
AGGGAAfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfU[3T] (配列番号115)
CW128.10.V(AMX(71)_H9)
AGAAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUfU[3T] (配列番号116)
CW128.10.W(AMX(74)_G6)
AGAGAfUfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUGfC[3T] (配列番号117)
CW128.11.A(S5CR8−14,完全長ARC231)
AAfCGAAfUAfUfUAfCAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCGGfU[3T] (配列番号118)
CW128.11.B (S5CR8−28)
AGfUGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCAfCAfU[3T] (配列番号119)
CW128.11.C(AMX(71)_A10)
fUGfUGAAfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfU[3T] (配列番号120)
CW128.11.D(AMX(74)_F1)
fUGfUGAAfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfC[3T] (配列番号121)
CW128.11.E(S5R8−1,完全長ARC227)
fUGfUGAGfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfC[3T] (配列番号122)
CW128.11.F(AMX(71)_B3)
fUfCfCGfCAfUfUAfUfCfUfUfCfUAfCGfUfUAfCAfUAfUAfCfUAfUfCfUfCfUGfU[3T] (配列番号123)
CW128.11.G(AMC(71)_D11)
fUfCGGAGfUAfUfUAfUAGAfUAfUGfUAfUAGfCfUAAAfCfCGfU[3T] (配列番号124)
CW128.11.H(AMX(74)_A2)
fUAAGAGfUAfUfUAfCAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfUGfC[3T] (配列番号125)
CW128.11.I(AMX(74)_E4)
fUGAGAAfUAfUfUAfCAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfUGfC[3T] (配列番号126)
CW128.11.J(AMX(74)_F4)fUGAGAAfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUfCGfC[3T] (配列番号127)
CW128.11.K(AMX(74)_F3)
fUGAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfC[3T] (配列番号128)
CW128.11.L(S5R8−43,完全長ARC229)
fUGAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUfCGfC[3T] (配列番号129)
CW128.11.M(S5CR8−32,完全長ARC234)
fUGAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfC[3T] (配列番号130)
CW128.11.N(AMX(71)_D9)
fUAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCAfCfU[3T] (配列番号131)
CW128.11.O(AMX(71)_H12)
fUAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfU[3T] (配列番号132)
CW128.11.P(AMX(71)_G7)
AAfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGGCfUAfUAfCfCfCfU[3T] (配列番号133)
CW128.11.Q(S5CR12−14)
GfCGGAAfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGGAfUAGfCfUAfUAfCfCGfU[3T] (配列番号134)
ARC284
CW128.11.R(S5R8−45,完全長ARC230)
GAfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfU[3T] (配列番号135)
CW128.11.S(AMX(71)_B7)
GfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfCGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfU[3T] (配列番号136)
CW128.11.T(AMX(71)_A9)
GfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfU[3T] (配列番号137)
CW128.11.fU(AMX(71)_G8)
GfUGGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUAfU[3T] (配列番号138)
CW128.11.V(AMX(74)_A3)
GfUAGAfUfUAfUfUAfCAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUGfC[3T] (配列番号139)
CW128.11.W(AMX(74)_E2)
GfUAGAAfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfC[3T] (配列番号140)
CW128.12.A(AMX(74)_H1)
GfUAGAAfUAfUfUAfCAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUGfC[3T] (配列番号141)
CW128.12.B(AMX(74)_C3)
GGAGAAfUAfUfUAfCAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfUGfC[3T] (配列番号142)
CW128.12.C(AMX(74)_A1)
GGAGAAfUAfUfUAfCAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUGfC[3T] (配列番号143)
CW128.12.D(AMX(74)_B3)
GGAGAfUfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfC[3T] (配列番号144)
CW128.12.E(AMX(74)_G3)
GGAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfC[3T] (配列番号145)
CW128.12.G(AMX(74)_D3)
GAAGAGfUAfUfUAfCAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUGfC[3T] (配列番号146)
CW128.12.G(AMX(74)_E6)
GfCAAAGfUAfUfUGfUAGAGfUAfUGfCAfUAGfCfUAfUAfUfUGfC[3T] (配列番号147)
CW128.12.H(21a−21,完全長ARC236)
GGAGGfUfUAfUfUAfCAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfCfC[3T] (配列番号148)
CW128.12.I(14i−1,完全長ARC237)
GGAGGAfUGfCGGAAGfUAAfCGfUfUGfUAGfUAAAAfUfUfCfCfUfUfC[3T] (配列番号149)
CW128.12.J(21a−4,完全長ARC241)
GfCGGfCGfUfUGfUfUfUAGfUfCGfUAfUGfUAfUAfUAfCfUAAGfUfCfCGfC[3T] (配列番号150)
。
【0223】
(表8 切断(truncated)アプタマーに関する結合情報)
【0224】
【表8】
図20A、図20B、および図20Cは、表7に示された切断アプタマーの結合プロットを示す。
【0225】
(実施例10)
(VEGFレセプター2(VEGF42)特異的アプタマーの選択最小化および特徴付け)
VEGFレセプター2(VEGF R2)(別名KDR分子)に対するアプタマーを、半自動化SELEX(登録商標)手順を使用して単離していた。15ラウンドにわたる選択を、3週間にわたって実行した。48クローンを同定し、9つのファミリーにグループ分けした。これらの配列を分析して、機能的部分(functional motifs)を同定した。VEGFアクセプターに対するアプタマーが、1〜3nMの範囲内のKd値を持つことがわかった。
【0226】
(実施例11)
(薬物動態学および生物活性 ARC81、ARC117、およびARC119のプロフィール)
薬物動態研究を実施してARC81、ARC117、およびARC119(それぞれ配列番号4、9、および11のTGFβ2アプタマー)の薬物動態を、マウスの結膜下投与を介して測定した。これらのアプタマーを、10mg/mlの濃度で処方した。試料の収集は、投与後0、0.5、1、2、6、12、24、48と96時間目におこなった。図21A、21B、および21Cは、結膜下投与を経て50時間後用量を通して各々のアプタマーの眼房水および/または血漿中濃度(nM)を示す。下記の表9は、左右それぞれの眼に対して、用量1mg/眼(すなわち2.0mg/動物)での本研究の結果を示す。
【0227】
(表9 左右それぞれの眼に対して1mg/眼でマウスに対する結膜下投与を介したARC81、ARC117、およびARC119の薬物動態プロフィール)
【0228】
【表9】
結膜下投与後、眼房水でARC81、117、および119が検出された。非PEG化アプタマー(すなわち、ARC81)が体循環に急速に入った(例えば0.5時間未満)。非PEG化アプタマーの眼房水濃度は、遅延性のtmax(アプタマーの再循環によると考えられる)を示した。PEG化アプタマー(すなわち、ARC117およびARC119)は、類似の血漿t1/2を示した。PEG化によるVdの減少および遅延tmaxの証拠は、注射部位の近傍での強い蓄積(depot)効果を暗示している。これらのPEG化アプタマーは、ともに眼房水で検出され、外科部位で蓄積されることがわかった。
【0229】
(実施例12)
(ARC126、ARC127、およびNX1838の薬物動態および生物活性プロフィールの比較)
薬物動態研究を実施して、ARC126(配列番号18−PEG−配列番号33−PEG−配列番号34)およびARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)(2つのPDGFアプタマー)とNX1838(ウサギにおけるVEGF−165に対する既知のPEG接合アプタマー)との薬物動態を測定および比較した。研究は、結膜下注射を用いてオランダ・ペルテッド・ウサギ・モデルで実施した。アプタマーを、両方の眼に対して用量1.0mg/眼で、100ml硝子体内注射を介して投与した。眼房水、硝子体液、および血漿由来の試料を、アプタマーの投与前、ならびに0.25時間、6時間、24時間、72時間、7日、4日、および21日目に採取した。図22A、22B、および22Cは、25日後投与を通した各々のアプタマーの硝子体液および/または血漿中濃度を示す。
下記の表10は、ARC126およびARC127アプタマーについての本研究の結果を示す。
【0230】
(表10 ARC126およびARC127の薬物動態プロフィール)
【0231】
【表10】
図22Aで示される結果は、非区画(NCA)分析を使用して得られた。ウサギ硝子体液量は、約1.0〜1.5mlであった。ARC126およびARC127アプタマーに対する比較において、ガラス質のウサギのNX1838の半減期は、約83時間(すなわち3.46日)であることがわかっており、霊長類硝子体のNX1838の半減期は約94時間または3.92日であることがわかった。
【0232】
図22Bと22Cで見られるように、Cmax(ガラス質の)はARC127のための約100のμMであった。図22Bおよび図22Cで見られるように、Cmax(硝子体)は、ARC127について約100μMであった。非PEG化およびPEG化アプタマー複合体の両方について、Cmax(vit)は、約100mmであった。PEG化アプタマーのC(vit)は、t=30日(40K PEG)で約250nMであった。PEG化アプタマーと非PEGアプタマーとのAUC値の比は、1.79であった。非PEG化アプタマーの半減期は、約2.25日であり、またPEG化アプタマーの半減期は約3.87日であった。見かけの分布容積(Vss)は、1.25〜1.42mLであり、このことは両複合体が硝子体区画中に残っていたことを示している。クリアランス値(Cl)は0.29〜0.52mL/d(≦50nmol/日)であり、最大血漿レベルは≦10nMであった。非PEG化アプタマー複合体の眼房水濃度は、t≦24時間でナノモル・レベルであった。
【図面の簡単な説明】
【0233】
【図1】図1は、ランダム配列オリゴヌクレオチドのプールを用いたインビボアプタマー選択(SELEX(登録商標))プロセスを説明する図である。
【図2】図2は、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)−核酸結合体の合成に関する種々の戦略を示す。
【図3】図3Aは、ARC82TGFβ2治療用アプタマー(配列番号151)を説明するための図である。また、図3BはARC82の血漿内半減期プロフィールを示すグラフである。
【図4】図4Aは、S75サイズ排除クロマトグラフィーを説明するためのフローチャートである。図4Bは、S75サイズ排除クロマトグラフィーにおけるTGFβ2の溶出プロフィルである。図4Cは、TGFβ2ダイマーPAGEバンドを含むポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)ゲルを説明するための図である。
【図5】図5Aは、ARC77TGFβ−2特異的アプタマーの濃度を増加させるためのヒト(黒丸)またはラット(白四角)TGFβ−2タンパク質結合を示すグラフである。図5は、ヒトTGFβ2に関して32P標識ARC77と競合する非放射標識ARC77(白三角)およびARC81(白四角)の競合的結合(等式2により推定されるアプタマー解離定数に適合)を示すグラフである。
【図6】図6Aは、ARC77、ARC78、およびARC81アプタマーによるTGFβ2の阻害を示すグラフである。図6Bは、TGFβ2におるヒトおよび齧歯目の抗増殖効果がARC77アプタマーによって阻害されることを示すグラフである。図6Cは、ARC77ヒト野生型(WT)、マウス(NTK)、およびN末端がHis標識されたヒトTGF2の解離定数(Kd)を示すグラフである。
【図7】図7Aは、ARC81アプタマーおよびコントロール(抗TGFβ2抗体)による低濃度ウサギ眼房水の抗増殖効果の阻害を示すグラフである。図7Bおよび7Cは、ARC81アプタマーおよび抗TGFβ2コントロール抗体によるMLEC増殖の1.5%ウサギ眼房水媒介阻害の用量依存的救出を説明するグラフである。
【図8】図8Aは、配列番号1の修飾TGFβ2アプタマーに関する最小化および突然変異誘起/修飾戦略を説明する図である。図8Bは、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3に対する修飾TGFβ2アプタマー(図8A)の解離定数(Kd)を示す表である。図8Cは、NLEC細胞増殖に対するTGFβ2の阻害効果を図8Aの修飾TGFβ2アプタマーが逆転させることを示すグラフである。
【図9】図9Aは、TGFβ2アプタマー/TGFβ2複合体のストイキオメトリーを示すグラフである。図9Bは、検出可能な程度に標識されたTGFβ2アプタマーとTGFβ2ホモダイマーとの相互作用を説明するための図である。
【図10】図10Aは、野生型、N末端側長タグ、およびN末端側短タグ変異体ヒトTGFβ2を用いたアプタマー結合部位のマッピングを説明するための図である。図10Bは、野生型TGFβ2、ヒトTGFβ2のN末端側長タグ変異体、ヒトTGFβ2の末端側短タグ変異体、および2つのTGFβ2突然変異体(K94N、S59T/R60K/K94N)のEC100値、解離定数、IC50値が挙げられた表である。
【図11】図11Aは、ドット・ブロット・アッセイの説明図およびアプタマー結合部位のTGFIII型アクセプターを示すグラフである。図11Bは、アプタマーとトランスフォーミング成長因子III型アクセプター結合部位との潜在的共通部分を説明するための図である。
【図12】図12は、TGFβ2アプタマーARC77(配列番号1)の修飾領域を説明するための図である。
【図13】図13Aは、ヒトPDGFのBB、AA、およびABアイソフォームのARC127(配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36)の結合曲線を示すグラフと、ARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)のKd値ならびに血小板由来成長因子のBB、AA、およびABアイソフォームが挙げられた表とを示す図である。図13Bは、ヒトおよびラットPDGFのBBアイソフォームのARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)の結合曲線を示すグラフと、ARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)ならびにヒト、ラット、およびマウスPDGFのBBアイソフォームのKd値が挙げられた表とを示す図である。
【図14】図14Aは、ヒトおよびラットPDGFにARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)アプタマー結合を示すグラフである。図14Bは、ARC127アプタマーによるPDGF誘導3T3細胞増殖の阻害とコントロール抗体によるPDGF誘導3T3細胞増殖の阻害とを比較するグラフである。
【図15−1】図15Aは、PDGF非存在下での網膜色素性上皮性(RPE)細胞の移動を示す画像である。図15Bは、PDFG(100ng/ml)の存在下でのRPE細胞の移動を示す画像である。図15Cは、PDFGおよびARC127アプタマーの存在下でのRPE細胞の移動を示す画像である。図15Dは、PDFGとARC128アプタマーとの存在下でのRPE細胞の移動を示す画像である。
【図15−2】図15Eおよび15Fは、RPE細胞移動に対するPDFG濃度増加の効果を示すグラフである。
【図16】図16は、修飾ARC127アプタマーおよびARC127アプタマー(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)の全DNA含有量のインビトロ血漿安定性を示すグラフである。
【図17】図17は、IV、IP、およびSC経路を介した投薬後50時間経過過程でのARC127アプタマーの濃度を示すグラフである。
【図18】図18は、48時間までのインビボで測定可能なARC127活性を示すグラフである。
【図19】図19Aおよび19Bは、表5に示した完全長TGFβ2アプタマー配列の結合プロットを示すグラフである。
【図20−1】図20A、20B、および20Cは、表7に示したトランケートTGFβ2アプタマーの結合プロットを示すグラフである。
【図20−2】図20A、20B、および20Cは、表7に示したトランケートTGFβ2アプタマーの結合プロットを示すグラフである。
【図21A】図21A、図21B、および図21Cは、48時間までの測定可能なARC117およびARC119アプタマーのインビボ活性を示すグラフである。
【図21B】図21A、図21B、および図21Cは、48時間までの測定可能なARC117およびARC119アプタマーのインビボ活性を示すグラフである。
【図21C】図21A、図21B、および図21Cは、48時間までの測定可能なARC117およびARC119アプタマーのインビボ活性を示すグラフである。
【図22A】図22A、図22B、および図22Cは、それぞれ少なくとも25日間までに得られたARC126およびARC127ならびにNX1838アプタマーのインビボ活性を示すグラフである。
【図22B】図22A、図22B、および図22Cは、それぞれ少なくとも25日間までに得られたARC126およびARC127ならびにNX1838アプタマーのインビボ活性を示すグラフである。
【図22C】図22A、図22B、および図22Cは、それぞれ少なくとも25日間までに得られたARC126およびARC127ならびにNX1838アプタマーのインビボ活性を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般的には核酸治療薬の分野に関し、より具体的には、個々に、または2つ以上が組み合わさって、サイトカイン、増殖因子および細胞表面アクセプターに結合できる核酸治療組成物、ならびに、緑内障および他の増殖性眼障害の処置でこれらの核酸治療薬を送達するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
アプタマーは、標準的なワトソン・クリック塩基対形成以外の相互作用を通じて分子特異的な結合親和性を有する核酸分子である。
【0003】
ファージディスプレイまたはモノクローナル抗体(MAbs)により生成されるペプチド同様、アプタマーは、選択したターゲットに特異的に結合し、結合により前記ターゲットがもつ機能を阻害する。ランダム配列オリゴヌクレオチド・プール(図1)からのインビトロでの選択工程により、アプタマーは、増殖因子、転写因子、酵素、免疫グロブリンおよびアクセプターを含む100を超えるタンパク質につき生成されている。アプタマーは通常10〜15kDaのサイズ(30〜45ヌクレオチド)であり、nM以下の親和性でターゲットと結合し、近縁なターゲットを区別している(例えば、同一遺伝子ファミリーに属する他のタンパク質には結合しない)。一連の構造研究により次のことが明らかになっている。アプタマーは、抗体−抗原コンプレックスの親和性および特異性を左右する、同じ型の結合相互作用(例えば、水素結合、静電相補性、疎水的接触、および立体排除)を利用することができる。
【0004】
アプタマーは、高い特異性および親和性、生物学的有効性、ならびに優れた薬物動態学的特性など、治療(および診断)に用いるのに好都合な特徴が多い。さらに、特に抗体およびその他のタンパク質生物製剤と比べ、アプタマーは優位な競争力をもつ。以下、例を示す。
【0005】
1)スピードおよび制御 アプタマーはインビトロでの工程のみにより産生されるため、最初の治療リードを迅速に産生することができる。インビトロでの選択により、アプタマーの特異性および親和性を厳密に制御することができ、有毒ターゲットおよび非免疫原性ターゲットの両方に対するリードを産生することができる。
【0006】
2)毒性および免疫原性 アプタマーは総じて、毒性または免疫原性がほとんどないか全くないことが実証されている。ラットまたはマーモットに、高レベル(1日あたり10mg/kgを90日間)のアプタマーを慢性的に投薬しても、いかなる臨床的、細胞学的、または生化学的方法によっても毒性がないことが観察されている。モノクローナル抗体は抗体自身への免疫応答により有効性が厳密に制限されていることが多く、抗体からアプタマーを誘発することは非常に困難である(アプタマーはMHCからのT細胞により存在できず、免疫応答では一般的に核酸断片を認識しないようになることが最も適当な理由である)。
【0007】
3)投与 現在承認されている抗体治療は全て静脈内注射(通常2〜4時間以上)により投与されるが、アプタマーは皮下注射により投与できる。この違いは比較的低い可溶性が最大の要因であり、治療用モノクローナル抗体(MAbs)は大量使用が必要なものがほとんどである。良好な可溶性(>150mg/ml)および比較的低い分子量(アプタマー:10〜50kDa;抗体:150kDa)のため、アプタマーは1週間あたりの用量が0.5mlより少ない分量を注入すればよい。サルによる研究では、皮下投与によるアプタマーの生物学的利用能は>80%である(Tuckerら、J.Chromatography B.732:203−212,1999)。さらに、サイズが小さいため、アプタマーは抗体または抗体断片が浸透できない狭窄構造領域にも浸透することができ、アプタマーにもとづく治療または予防のもう一つの有用性として挙げられる。
【0008】
4)拡張性およびコスト 治療用アプタマーは化学的に合成されるため、必要に応じてすぐにスケーリングして生産需要を満たすことができる。大規模タンパク質生産プラントの資本コストは巨大で大規模タンパク質生産は困難であるため、現在のところスケーリング生産はいくつかの生物製剤に限られているが、オリゴヌクレオチドは単一の大規模合成機で1年あたり100kgまで生産することができ、比較的穏当な初期投資しか必要としない。現在のアプタマー合成商品原価は、キログラムスケールで500ドル/gと見積もられており、高度に最適化された抗体の商品原価と遜色がない。工程開発の継続的改善により、5年間で商品原価が<100ドル/gに低下することが期待されている。
【0009】
5)安定性 治療用アプタマーは化学的に安定している。アプタマーは本質的に、熱および変性剤などの因子にさらされることにより活性を取り戻す性質を有し、凍結乾燥粉末として室温で長期間(>1年)保存することができる。コントロール的に、抗体は冷蔵保存しなければならない。
【0010】
(緑内障)
失明の2大要因は緑内障および加齢性黄斑変性症(AMD)である。緑内障は、アメリカ合衆国で220万人、世界では6500万人の患者が発症している、眼の増殖性障害である。緑内障は、眼からの体液排出量の低下および眼内圧(IOP)上昇と関連がある。IOPが高い場合、個々の神経線維細胞死が失明につながる。失明は、特有の視神経円板損傷、神経線維層欠損、抹消から始まる視野欠失、および最終的な盲目により明らかになる。緑内障の進行は現在のところ不可逆である。しかし、体液生産およびIOPを調節する治療薬により進行を遅らせることはできる。現状では、進行した緑内障の処置のための選り抜きの治療剤は、柵状織切除により送達される細胞毒性薬である。緑内障患者の処置の手術は、アメリカ合衆国で1年間におよそ120、000回と見積もられている。
【0011】
緑内障処置の第一線では、通常、眼液レベルを調節する治療薬を使用する。緑内障ろ過顕微手術または柵状織切除は第二線の処置である。これらの処置では小さな裂け目を眼の強膜に作り、体液が小疱に流れ出すことによりIOPを低下させる。しかし、手術後の合併症が重大な問題であり、失明につながる可能性がある。手術による合併症は、不完全な創傷治癒および瘢痕によりIOPが高くなり再手術が必要になる場合に起こる。柵状織切除の間、抗生物質および副腎皮質ステロイドをサブジャンクティバルに脳弓下部に注入することができる。または抗生物質および副腎皮質ステロイドに浸したコラーゲンシールドにより、術後瘢痕の伸長を制御するために眼を覆うことができる。瘢痕の影響に対処するため、マイトマイシン−Cおよび5−フルオロウラシルなどの代謝拮抗剤により術後瘢痕の伸長が制御されている。2回目の排液手術が実施されたときに術後のIOPが25%よりも低下しなかった場合に柵状織切除が失敗したとされる。
【0012】
柵状織切除の失敗を防ぐため、局所ステロイドおよび/または抗線維剤が一般的に用いられている。手術後にはステロイド様プレドニゾロン酢酸塩1%を1日あたり4〜6回用いることが多く、4〜8週間後に漸減する。アトロピン1%またはシクロペントレート1%などの毛様筋調節薬は、浅前房の傾向がある場合は1日4回まで用いることができる。過剰な術後の結膜下線維症を防ぐため、マイトマイシンCおよび5−フルオロウラシルなどの付属の代謝拮抗剤が用いられる。代謝拮抗剤は線維芽細胞増殖および続いて起こる瘢痕組織形成を阻害する。マイトマイシンCは5−FUよりも100倍強力である。ともに高い成功率をもたらすが、合併症発症率も高いためケースバイケースで使用を決定する。マイトマイシンC(0.2〜0.5mg/ml溶液)または5−FU(25〜50mg/ml溶液)を、強膜フラップ解剖前に、セルロース・スポンジまたはろ紙に染み込ませて上強膜に1〜5分間、適用することができる。マイトマイシンCまたは5−FUを強膜フラップ下部に適用することも可能であり、予測される線維症リスクに応じて暴露時間を変えることができる。さらに、手術の間、創傷の縁に触れないようにして前記結膜のテノン嚢層を前記スポンジにより覆う。除去後は、全領域を塩溶液によりまんべんなく洗浄する。5−FUのアリコート(5mg)を結膜下に送達することができる。総注入回数は、フィルタリング小疱機能および角膜上皮の耐性に応じて調節される。5−FUに関する合併症としては、角膜および結膜の上皮毒性、角膜潰瘍、結膜創傷の漏出、結膜下出血または不注意な眼内への5−FU拡散が挙げられる。
【0013】
体液流出、低眼圧症(低IOP)、および一般的な組織毒性を含む深刻な合併症は、柵状織切除の繰り返し、および代謝拮抗剤治療の利用により発症する(Blindishら、Ophthalmology(2002),109:1336−1341;Belyeaら、Am J Ophthalmol(1999),124:40−45;Kupinら、Am J Ophthalmol(1995),119:30−39)。代謝拮抗剤はさらに、眼の組織を損傷して低IOPを引き起こし、または失明にさえも至る可能性がある。緑内障処置における代謝拮抗剤治療の失敗は、スネレン視力検査のツーラインドロップにより定義される(Membreyら、(2000).Br J Ophthalmology,84:1154−58)。
【0014】
緑内障の進行は、眼における形質転換増殖因子サイトカインのレベル増加と関連がある。前記形質転換増殖因子β(TGFβサブファミリー)は、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3の3つのメンバーから成る。TGFβは機能が複数あるサイトカインであり、成長、分化、および発達を制御する。TGFβは多くの異なる細胞型で発現し、ほとんどの細胞がTGFβに応答する。形質転換増殖因子ベータ2(TGFβ2)は25kDのホモダイマー増殖因子サイトカインであり、細胞増殖、分化、および細胞外マトリクス形成に関与している。アクセプター(I〜V型)にはTGFβ2に対する細胞応答を媒介するものがいくつかあり、そのアイソフォームTGFβ−1およびTGFβ−3は種々の細胞に存在する。II型アクセプターは、TGFβ2に応答する主要なシグナルアクセプターであるが、TGFβ2はIII型に対する結合親和性が高く、II型依存性シグナリングを増強するのは、シグナリングタイプのアクセプターではないと考えられている。
【0015】
体にはTGFβ1が優勢である部分が多いが、眼ではTGFβ2が優勢な形態である。形質転換増殖因子ベータ2(TGFβ2)は眼球の創傷治癒に関与しており、緑内障手術に関連した瘢痕で何らかの役割を果たしていることが提唱されている。前記の眼球瘢痕応答はTGFβ2により媒介される(Cordeiroら、Invest Ophthalmol.Vis.Sci.(1999),40:1975−1982)。TGFβ2のレベル上昇は、正常眼における制御レベルと比較したときの緑内障眼中の眼房水により検出される:21pM 緑内障眼 対 12pM 正常眼(Ochiaiら、Jpn J.Ophthalmol.(2002),46:249−253)。小柱網細胞は、毛様体細胞と同様、TGFβ2を発現・分泌する。TGFβ2により、加齢性緑内障眼で観測される水分拍出システム中に細胞外成分が過剰に蓄積することが示唆されている(Tripathiら、Exp.Eye Res.(1994),58:523−528)。
【0016】
現在、TGFβ2特異的抗体など代替治療利用の臨床試験が進行中である。TGFβ2特異的抗体は、緑内障のための眼手術を受ける患者の過剰な術後瘢痕を防ぐことが示されている(Broadwayら、Adjunctive anti−TGFβ2 human MAb as a novel agent to prevent scarring following phacotrabeculectomy.May 2002,ARVO Meeting Poster #3331)。しかし、眼における抗体治療では、炎症または異種抗体に対する免疫応答など、望ましくない副作用が発生し、2次的な緑内障眼のIOP増加を起こす恐れがある。また、ウサギ・モデルでは眼におけるTGFβ2発現を阻害するアンチセンス核酸により手術痕が減少し、手術結果が改善されるという研究がなされている(Cordeiroら、Gene Therapy(2003),10:59−71)。しかし、前記アプローチでは眼の正常な手術後の治癒および組織再生産工程を妨げる可能性があり、眼および周辺組織の細胞毒性を助長する恐れがある。したがって、この代替治療の利用は、現在の緑内障治療において、完全には副作用および2次的な有害作用を排除しきれていない。
【0017】
(加齢性黄斑変性症(AMD))
加齢性黄斑変性症(AMD)は網膜黄斑が退行した状態である。AMDはアメリカ合衆国では50歳以上の最も一般的な失明の原因であり、AMDの有病率は年齢とともに増加する。アメリカ合衆国だけで1500万人がAMDを発症している。AMDは、網膜に栄養分を与える動脈が硬化することにより発症する。硬化により、網膜組織では、機能を果たし成長するための酸素・栄養が欠乏する。結果として、中心視が衰える。網膜下部における異常な血管成長の有無により、AMDはウェット型(新生血管型)またはドライ型(非新生血管型)に分類される。
【0018】
ウェット型AMDは、黄斑変性症に苦しむ患者の約10%が発症している。酸素が欠乏している網膜組織への血液供給を改善しようとして新しい血管が形成されるときにウェット型が発症する。しかしながら、このような新しい血管は非常に繊細で簡単に壊れ、出血および周辺組織の損傷を引き起こす。このウェット型は、クラシックまたはオカルトの2つのタイプに分けることができる。患者の70%超がオカルトタイプのウェット型である。これまで、視野を安定化させるため、または異常血管の成長を制限するための従来のレーザー光凝固による治療は、クラシックタイプのウェット型患者のみに施されてきた。残り大多数のウェット型AMD患者にはこのようなレーザー処置ができない。異常血管のみならずその上の網膜黄斑までも破壊するため、現在のレーザー治療では、処置した眼の視覚が改善されないことがほとんどである。
【0019】
ドライ型AMDはより一般的であるが、通常は被害が軽度であり、失明はよりゆるやかに進行する。ドライ型AMDの特徴は網膜のドルーゼおよび色素欠失である。ドルーゼは小さい、網膜層に形成される黄色がかった沈着物である。現在のところ、ドライ型に対する実績のある処置は無いが、失明はよりゆるやかな傾向にあり、障害の進行がより遅い。現在のところ、ドライ型黄斑変性症に対する実績のある薬物療法は無い。
【0020】
(増殖性硝子体網膜症(PVR))
その他の失明の原因は網膜剥離である。網膜剥離は一般的な集団では1年間に1:10、000の割合で発生している。しかし、網膜剥離の発生率が増加する眼障害および全身性障害と関連した状態は様々である。この障害状態としては、糖尿病、高度近視、偽水晶体および無水晶体、ブラントおよび貫通性の眼外傷、および後天性免疫不全症に関連したサイトメガロウイルス性網膜炎が挙げられる。硝子体切除は網膜剥離の標準的な治療法である。1年間に、アメリカ合衆国内で約200、000の硝子体切除、アメリカ合衆国外で300、000の硝子体切除が行われている。網膜剥離の約10%、または世界では1年あたり62、600事例およびアメリカ合衆国で1年あたり約2、800事例、増殖性硝子体網膜症(PVR)は発生している。PVRは網膜の再付着手術が失敗する最も一般的な原因である。
【0021】
血小板由来増殖因子(PDGF)は強力な分裂促進因子であり、種々の増殖性障害で重要な役割を果たすことが知られている。PDGFは、異常な増殖およびPVRにおけるグリア細胞および網膜色素内皮細胞(RPE)の転移調節に関与していると想定されている。
【0022】
PDGFはAサブユニットおよびBサブユニットのダイマーを形成する。すなわち、ABヘテロダイマー、AAホモダイマー、およびBBホモダイマーである。PDGFは正常な細胞増殖の調節、組織などの病理的な細胞増殖の媒介、線維症、増殖性障害、および血管形成で極めて重要な役割を果たす。PDGFは再狭窄、腎臓瘢痕、創傷治癒、および癌に関与している。腫瘍細胞株の多くはPDGFを分泌し、PDGFアクセプター(PDGF−R)を大量に発現する。PDGFのアミノ酸配列はある癌遺伝子に似ている。
【0023】
網膜でPDGFが高度に発現することにより、血管細胞および非血管細胞がともに増殖して網膜剥離を引き起こす。PDGFは、小柱網細胞の増殖を促進し、網膜色素上皮の六方晶系細胞から扁平細胞への脱分化を増強し、α平滑筋アクチン発現を増加させ、筋類似物質分化およびコラーゲンゲル収縮を増強する。AMD患者の硝子体ではそれらのレベルが上昇している。
【0024】
TGFβ、VEGF、BFGF、HGF、およびIL−6Pを含む増殖因子の多くのがPVRに寄与しているが、PDGFが最も重要な役割を果たしていることが示されている。
【0025】
PVRは、網膜の穴または割れ目が関与する網膜剥離を起こす、最も一般的な合併症である。PVRは、硝子体腔内、ならびに網膜表面前面および背面上の細胞膜(主にはグリア細胞および網膜色素上皮細胞から成るが、線維芽細胞および炎症細胞も含む)の成長に関与している。これらの基本的に瘢痕組織である膜は網膜を牽引し、最初の網膜剥離処置が成功した後であっても、網膜剥離が再発する。PVRは、成功裡に処置された網膜の割れ目の自然発症的な再開烈と関連があり、新たな網膜の割れ目を発達させることがある。PVRは、膜収縮の結果である、網膜の深刻な歪みおよび”硬直”と関連することがあり、この状態は視覚損傷を起こす。
【0026】
PDGFは小柱網細胞の増殖を促進し、網膜色素上皮の六方晶系細胞から平滑細胞への脱分化を増強し、α平滑筋アクチンの発現を増加させ、筋類似物質分化およびコラーゲンゲル収縮を増強する。PVR患者の硝子体膜および前網膜では、PDGFレベルが上昇している。実験モデルでは、PDGFRの無い細胞ではPVR誘発に効果が無い。特に、PDGF−AAにより、血管細胞の関与なしに高度なグリア細胞の増殖および網膜剥離の牽引が起こる。PDGF−αRはPVR発症の原因となるイベントを促進させ得ることが示されている。PDGF変異体は全てPDGF刺激による細胞周期の進行を阻害することができるが、そのキナーゼ活性およびPVR阻害能は異なる。切断されたアクセプターはPVR阻害に効果がある。
【0027】
PVR発達段階は次に示すとおりである。
1)血液網膜関門の分解
2)走化作用および細胞転移
3)細胞増殖
4)細胞外マトリクスのリモデリングによる膜形成
5)収縮
PDGFは、以下に述べるPVR発達の5段階それぞれにおいて重要な役割を果たしている。
【0028】
上記RPEは、血液網膜関門の外部のように網膜ホメオスタシスおよび視覚機能を調節する脈絡膜および神経網膜間に細胞モザイクを形成する。PVRの最初の段階はRPE細胞の脱分化である。RPE細胞の脱分化では、有糸分裂静止状態の六方晶系形から平滑な形に変形して上皮の特徴を失う形態変化が起こる。さらに、RPE細胞はサイトケラチンの発現を低下させ、α平滑筋アクチン(α−SMA)の発現を開始する。α−SMAは収縮能が作用するのに必須であり、時間に依存して増加する。PDGFはRPE細胞の脱分化、筋類似物質の分化、およびα−SMA発現を増強する。
【0029】
血液網膜関門の分解により、RPE細胞、グリア細胞、線維芽細胞、マクロファージ、白血球、および血清成分など種々の細胞型が硝子体および網膜下のスペースに入り込むことができる。RPEおよびグリア細胞が優勢な型である。これら細胞は網膜および硝子体ゲルに付着する。PDGFはRPE細胞およびグリア細胞を転移させる潜在的刺激因子である。
【0030】
網膜および硝子体ゲルに一度付着すると、これらの細胞は大々的に増殖する。PDGFはRPEおよびグリア細胞の増殖を引き起こし、DNA合成を誘発する。
【0031】
RPE細胞は、筋線維芽細胞または間葉状細胞に分化転換し、網膜表面および硝子体内で網膜上膜を形成し、細胞外マトリクスの合成を開始する。正常なRPE細胞はPDGFまたはPDGFアクセプターを発現しない。しかし、PDGFおよびPDGFアクセプターはPVR膜を形成するRPE細胞では高度に発現する。PDGFは線維芽細胞の合成およびコラーゲンの沈着を刺激する。最終的に、これらの膜が付着網膜に対して収縮力および牽引力を及ぼし、割れ目の再開口および網膜剥離を引き起こす。PDGFはRPEの収縮能を増強し、線維芽細胞およびコラーゲンゲル収縮を刺激する。
【0032】
(増殖性糖尿病網膜症(PDR))
増殖性糖尿病網膜症(PDR)は糖尿病の合併症であり、網膜血管の変化により発症する。網膜の血管が損傷を受けた場合、血液が漏出し、もろい、ブラシ様ブランチおよび瘢痕組織が成長することがある。これにより、網膜が脳に送る視覚イメージがかすむか歪む可能性がある。糖尿病網膜症は先進国における失明の大きな原因であり、25歳から74歳の糖尿病患者では主要因である。糖尿病網膜症は、アメリカ合衆国では1年間に発生する新たな失明のうち12、000から24、000ケースの原因となっている。糖尿病患者の25%が糖尿病網膜症に苦しんでおり、I型糖尿病では5年後には60%、10〜15年後には80%に発症率が増加すると見積もられている。アメリカ合衆国の患者人口は500万であり、潜在的なアメリカ合衆国における市場規模は50億ドルである。この障害は、高血糖、基底膜肥厚、周皮細胞欠失、出血および網膜剥離の牽引により失明を起こし得る毛細血管瘤および前網膜の新血管新生により特徴づけられる。
【0033】
非増殖性糖尿病網膜症は、網膜内毛細血管瘤、出血、神経線維層梗塞、硬性白斑、および微小管異常により特徴付けられる。黄斑浮腫は失明の主たるメカニズムである。黄斑浮腫は、黄斑(網膜の中央領域)毛細血管の毛細血管瘤から血管が漏出することにより発症する。漏出により、硬性白斑または胞状変化と関連がある黄斑性肥厚が進行することがあり、しばしば種々の程度の中枢盲を引き起こす。増殖性糖尿病網膜症は網膜の新血管新生により特徴づけられる。増殖性糖尿病網膜症は、存在、位置、深刻度、および出血を伴う網膜の新血管新生活性により等級分けされている。増殖性糖尿病網膜症は深刻な失明と関連がある。糖尿病網膜症は、次に示す症状に起因すると考えられる。血行上の問題により、網膜の部位が酸素不足または虚血状態になる。新血管新生により、十分な酸素レベルを維持するために硝子体中で新血管が成長を開始するようになる。新たに形成された毛細血管からの血液滲出および瘢痕組織の形成により、網膜の牽引が起こり小さな裂傷が発生する。裂傷が発生すると体液が網膜層の下部または中に蓄積し、剥離が起こる。患者は、かすみ目、フローター、潮紅、そして出血、浮腫、および瘢痕組織形成による突然の失明を体験する。
【0034】
硝子体切除は、以前は手術不能とされることが多かった網膜障害の修復に用いられる顕微手術の手順である。網膜が深刻な損傷をうける前に実施されれば、硝子体切除は成功率90%である。
【0035】
他の増殖因子との相乗作用により、PDGF−BはPDR病原として重要な役割を果たす。低酸素血症によりPDGF−Bの発現が増加する。PDGF−Bが網膜で高度に発現すると、血管細胞および非血管細胞がともに増殖して網膜剥離を引き起こす。PDGF−Bは、アストロサイト、周皮細胞、および内皮細胞といった網膜中のいくつかの細胞型の増殖を誘発する。これらの細胞は網膜表面で増殖し、細胞が内顆粒層に転移して網膜を牽引することにより、網膜襞外部および剥離の焦点領域が拡大して完全な網膜剥離となる。
【0036】
PDR膜のこの特徴が、治療を困難なものにしており、通常、単に表面から膜を剥離するよりも網膜を取り除いて連携を断つことが必要とされている。PDGFはPDGFR−bを通じて内皮細胞に直接作用し、血管形成を誘発する。PDGFは、正常な細胞増殖および組織など病理的細胞増殖の媒介、線維症、増殖性障害、および血管形成の調節に極めて重要な役割を果たしている。PDGFは再狭窄、腎臓瘢痕、創傷治癒および癌に関与している。PDGFは線維芽細胞、平滑筋細胞、神経膠細胞に作用し、結合組織細胞の増殖を刺激する。
【0037】
(その他の増殖因子サイトカイン、および細胞表面タンパク質)
その他の増殖因子サイトカイン、および細胞表面タンパク質は眼球の創傷治癒に関与し、緑内障手術と関連した瘢痕で何らかの役割を果たしていることが示唆されている。そのようなサイトカイン、細胞表面タンパク質および種々の眼障害に関与している増殖因子としては、ICAM−1、IGF−1、VEGF/JVEGF−R、TNF−α、およびαVβ3が挙げられる。細胞接着分子1(ICAM−1)は、76〜115kDaの、糖尿病性網膜症で特に重要な役割を果たしている5つの細胞外免疫グロブリン様ドメインをもつ表面糖タンパク質である。ICAM−1により媒介される白血球停滞は、糖尿病性網膜症の病原である。ICAM−1と白血球(好中球、好塩基球、リンパ球、好酸球、単球)表面のβ2インテグリンとの相互作用は、ICAM−1の内皮への固着および経内皮の炎症部位への転移にとって重要である。ICAM−1は糖尿病性網膜症患者網膜の脈管構造への白血球付着を促進する。また、毛細血管が血液フローを支持できないために不可逆的な網膜虚血を生じる病変により起こる、網膜内皮細胞の損傷および死にICAM−1は関与している。ICAM−1生物活性を阻害することにより、糖尿病網膜の白血球停滞が妨げられ、血液網膜柵の衰弱を強力に防ぐことができる。
【0038】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)はプロインシュリン(50%)に50%の相同性をもつ7.5kDaのペプチドであり、成長ホルモンの制御下、主に肝臓で産生される。IGF−1は潜在的な細胞増殖の分裂促進因子/刺激因子であり、強力な抗アポトーシス剤である。IGF−1の機能は6つのIGF結合タンパク質(IGFBP)により調節され、発育段階および栄養条件によりレベルは影響を受ける。IFG−1の効果は、細胞の増殖および保護、抵抗性から、酸化ストレス、骨および筋肉の成長促進、ならびに神経細胞の保護にまで及ぶ。IGF−1は血管形成に関与し、IGF−1はVEGFとともに、増殖性糖尿病網膜症(PDR)に何らかの役割を果たしている。PDRは糖尿病の合併症であり、網膜の血管内変化により発症する。網膜の血管が損傷を受けた場合、血液が漏出し、もろい、ブラシ様ブランチおよび瘢痕組織が成長することがある。これにより、網膜が脳に送る視覚イメージにかすみまたは歪みが生じる。
【0039】
血管内皮増殖因子および血管内皮増殖因子アクセプター(VEGFおよびVEGF/R)の転写は、糖化最終産物およびインシュリンの存在により増加する。糖尿病の網膜に糖化最終産物が蓄積すると新血管新生を促し、結果として失明することがある。インシュリンによるVEGF合成の刺激により、インシュリン治療を施された後の糖尿病患者では一時的に網膜の新血管新生を促進されることがある。
【0040】
網膜の炎症および血管形成の間、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)は増加して眼中に存在している。TNF−αは小柱網細胞の増殖を促進し、小柱網、マトリクス・メタプロテナーゼ、および組織阻害剤の発現を調節する。インテグリン・アルファ5ベータ3(αVβ3)はAMDにおけると同様、PDRにおいても血管形成を促進する(Enaidaら、Fukushima J Med Sci.44(1):43−52.(1998))。
【0041】
したがって、サイトカイン、増殖因子、および細胞表面アクセプターに特異的な、眼の障害処置における有害な副作用を有意に削減または根絶する、障害の進行をほとんど止めるような治療薬が必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0042】
(発明の要旨)
アプタマーが特異性を有することから、緑内障にかかった眼でのIOP増加をもたらす瘢痕組織形成または他の細胞イベントを促進するサイトカイン、増殖因子、または細胞表面タンパク質に対して特異的に結合することができる治療薬としてアプタマーを用いることが可能である。本発明は、術後組織瘢痕に関与することで緑内障にかかった眼でのIOP増加とこの他の緑内障の病理学的プロセスとを遮ることができるTGFβ2および血小板由来成長因子サイトカインに対する特異的結合親和性を有するアプタマー治療薬を提供する。
【0043】
一実施形態では、本発明は、眼病治療に有用なTGFβ1、TGFβ2、またはTGFβ3との結合が可能なアプタマー組成物を提供する。
【0044】
一実施形態では、本発明は眼病治療に有用な血小板由来増殖因子(PDGF)との結合が可能なアプタマー組成物を提供する。
【0045】
一実施形態では、本発明は眼病治療に有用なICAM−1との結合が可能なアプタマー組成物を提供する。
【0046】
一実施形態では、本発明は眼病治療に有用なIGF−1との結合が可能なアプタマー組成物を提供する。
【0047】
一実施形態では、本発明は眼病治療に有用なVEGF/VEGF−Rとの結合が可能なアプタマー組成物を提供する。
【0048】
一実施形態では、本発明は眼病治療に有用なTNF−αとの結合が可能なアプタマー組成物を提供する。
【0049】
一実施形態では、本発明は眼病治療に有用なαVβ3との結合が可能なアプタマー組成物を提供する。
【0050】
別の実施形態では、本発明はTGFβ2媒介細胞増殖をともなう増殖性障害を治療するために、被験体に対して本発明の組成物で被験体を処置する方法を提供する。
【0051】
別の実施形態では、本発明はPDGF媒介細胞増殖をともなう増殖性障害を治療するために、被験体に対して本発明の組成物で被験体を処置する方法を提供する。
【0052】
別の実施形態では、本発明はICAM−1媒介細胞増殖をともなう増殖性障害を治療するために、被験体に対して本発明の組成物で被験体を処置する方法を提供する。
【0053】
別の実施形態では、本発明はIGF−1媒介細胞増殖をともなう増殖性障害を治療するために、被験体に対して本発明の組成物で被験体を処置する方法を提供する。
【0054】
別の実施形態では、本発明はVEGF/VEGF−R媒介細胞増殖をともなう増殖性障害を治療するために、被験体に対して本発明の組成物で被験体を処置する方法を提供する。
【0055】
別の実施形態では、本発明はTNF−α媒介細胞増殖をともなう増殖性障害を治療するために、被験体に対して本発明の組成物で被験体を処置する方法を提供する。
【0056】
別の実施形態では、本発明はαVβ3媒介細胞増殖をともなう増殖性障害を治療するために、被験体に対して本発明の組成物で被験体を処置する方法を提供する。
【0057】
別の実施形態では、本発明は、核酸治療用組成物と、サイトカイン、増殖因子、および細胞表面アクセプターに対して個々に、またはPDGF、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、ICAM−1、IGF1、VEGF−R、VEGF、TNFα、およびαVβ3の2種類以上の組み合わせに対して結合することができる核酸治療薬を送達する方法とを提供する。
【0058】
別の実施形態では、本発明は核酸治療用組成物と、PDGFおよびVEGFに対して結合することができる核酸治療薬を送達する方法とに関する。一実施形態では、核酸治療薬は単一の核酸アプタマーであり、該アプタマーはPDGFに結合可能な第1のドメインと、VEGFに結合可能な第2のドメインとを有する。別の実施形態では、核酸治療薬は、PDGFに結合可能な第1の核酸アプタマーと、VEGFに結合可能な第2のアプタマーとを有する。ここで、第1および第2の核酸アプタマーは、同一の核酸アプタマーではない。
【0059】
別の実施形態では、本発明は、薬理学的および薬力学的性質が改善された高分子量PEG誘導体化(PEG−derivatized)核酸(例えば、アプタマー)複合体と、そのような複合体を生産する方法とを提供する。
【0060】
一実施形態では、本発明の高分子量PEG−核酸(例えば、アプタマー)複合体と、高分子量複合体(すなわち、PEG−核酸−PEG−核酸−PEG−核酸複合体)を形成するために同一ニ機能性(homo−bifunctional)PEGを用いて、そのような複合体を生産する方法とを提供する。
【0061】
一実施形態では、高分子量PEG−核酸(例えば、アプタマー)複合体と、多重PEG化複合体(すなわち、PEG−核酸−PEG複合体)単一機能性PEGとともにニ反応性核酸(例えば、反応性部位を2つ持つ核酸)を用いて、そのような複合体を生産する方法とを提供する。
【0062】
一実施形態では、本発明の高分子量ポリエチレングリコール(PEG)−核酸結合体を、眼性障害および障害の予防および/または処置のための治療薬として用いることができる。
【0063】
一態様では、本発明の高分子量PEG−アプタマー組成物は核酸と安定化部分を含む。この安定化部分は、連結部分であって、該連結部分は核酸分子とは異なるものである。一実施形態では、この連結部分はポリアルキレングリコールである。適当なポリアルキレングリコールとして、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)がある。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)連結部分が多活性化(multi−activated)される。例えば、PEG連結部分は二活性化(bi−activated)される。一実施形態では、アプタマーの第1および第2の部分がPEG連結部分によって連結されており、この際、アプタマー組成物の一次構造を直線的配置となるようにする。この直線的配置では、第1のアプタマーがポリエチレングリコール連結部分の第1の末端に連結し、第2のアプタマーがポリエチレングリコール連結部分の第2の末端に連結する。いくつかの態様では、1つ以上のPEG部分が2つ以上の核酸アプタマー部分に分離されている。例えば、高分子量アプタマー組成物の直線配置は、核酸−PEG−核酸−PEG−核酸である。いくつかの実施形態では、高分子量アプタマー組成物の直線配置は、REG−核酸−REG−核酸−REG−核酸である。いくつかの実施形態では、この高分子量アプタマー組成物は、10kDを超える分子量、20kDを超える分子量、40kDを超える分子量、および80kDを超える分子量からなる群から選択される分子量を持つ。本発明のこの態様にもとづくいくつかの高分子量アプタマー組成物は、血小板由来増殖因子(PDGF)に対して結合することができる。本発明のこの態様にもとづくいくつかの高分子量アプタマー組成物は、TGFβ2に結合することができる。
【0064】
別の態様では、本発明はアプタマーと2つ以上の非核酸安定化部分とを含む高分子量PEG−アプタマー組成物を提供する。適当な安定化部分としては、例えば、ポリアルキレングリコールが挙げられる。適当なポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)がある。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)連結部分が多活性化される。例えば、PEG連結部分は二活性化される。
【0065】
本発明はまた、本明細書で説明する高分子量アプタマー組成物を含む治療用組成物を提供する。
【0066】
別の態様では、本発明は、本明細書で説明される高分子量アプタマー組成物を治療上有効な量で投与する工程を含む被検体の障害を処置する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
(発明の詳細な説明)
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、下記の付随的な説明で述べられている。本明細書に記載する方法および材料に類似または等価ななんらかの方法および材料を本発明の実施または試験で用いることができるが、好ましい方法および材料をここで説明する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、そのような説明から明らかになる。この明細書では、文脈が明確に指示しない限り、単数形は複数形も包含する。定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、この発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を持つ。意味が異なる場合は本明細書で調整する。
【0068】
本明細書で述べたすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参照文献は、本明細書の内容の一部を構成するものとして、それらの内容の全体を援用する。
刊行物および特許文献の引用は、いずれもが関連の先行技術であると認めることを意図したものではなく、また同一物の内容または日付に関する何らかの承認を構成するものではない。不一致がある場合、定義を含めて本明細書が調整する。また、以下に説明する材料、方法、および実施例は例証することのみを意図したものであって、限定することを意図したものではない。
【0069】
(SELEX(登録商標)プロセス)
アプタマーを生成するための適当な方法は、概ね図1に示される「指数関数的エンリッチメントによるリガンドの系統的進化(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)(SELEX(登録商標))」と題されたプロセスによる。SELEX(登録商標)プロセスは、標的分子に対して特異性が高い核酸分子のインビトロ進化のための方法であり、米国特許出願第07/536,428号(1990年6月11日出願、現時点では放棄されている)、「核酸リガンド」と題された米国特許第5,475,096号、および「核酸リガンド」と題された米国特許第5,270,163号(国際公開第91/19813パンフレットも参照)に記載されている。各々のSELEX同定核酸リガンドは、所定の標的化合物または分子の特異的リガンドである。SELEX(登録商標)プロセスは、核酸が、種々の二次元および三次元構造を形成するための十分な能力と、単量体か重合体かにかかわらず、実質的にいかなる化合物にもリガンド(形態特異的結合対)として作用する、その単量体で利用可能な十分な化学的多用性とを持つという固有の洞察に基づいている。また、任意の大きさまたは組成の分子を標的として用いることができる。
【0070】
SELEX(登録商標)は、開始点として、標準的なDNA合成装置上での化学合成に由来するランダム配列を含む単一鎖オリゴヌクレオチドの大きなライブラリーに依存する。いくつかの例では、100%ランダム・オリゴヌクレオチドの集団がスクリーニングされる。他の例では、その集団内の核オリゴヌクレオチドがランダム配列と、オリゴヌクレオチド集団のすべての分子によって共有される配列を含む5’末端および/または3’末端にある少なくとも1つの固定配列とを含む。固定配列としては、PCR配列のハイブリダイゼーション部位、RNAポリメラーゼ(例えばT3、T4、T7、およびSP6)のプロモータ配列、制限部位、またはホモポリマー配列(例えば、ポリAまたはポリT領域)、触媒コア、アフィニティーカラムに対する選択的結合部位、ならびに目的とするオリゴヌクレオチドのクローニングおよび/または塩基配列決定を容易にする他の配列が挙げられる。
【0071】
オリゴヌクレオチドのランダム配列部分は、任意の長さからなり、リボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチドを含み、さらに修飾または合成ヌクレオチドもしくはヌクレオチド類似体を含むことができる。例えば、米国特許第5,958,691号、第5,660,985号、第5,958,691号、第5,698,687号、第5,817,635号、および第5,672,695号、PCT国際公報第92/07065号パンフレットを参照せよ。ランダム・オリゴヌクレオチドは、周知の固相オリゴヌクレオチド合成法を用いてホスホジエステル連結ヌクレオチドから合成することができる(Froehlerら、Nucl.Acid Res.14:5399−5467(1986);Froehlerら、Tet.Lett.27:5575−5578(1986))。また、オリゴヌクレオチドを液相法、例えばトリエステル合成法を用いて合成することもできる(Soodら、Nucl.Acid Res.4:2557(1977);Hiroseら、Tet.Lett.,28:2449(1978))。DNA自動合成装置上でおこなわれる典型的な合成では、1015〜1017が得られる。配列を設計する際に、ランダム配列の十分に大きな領域が、各々の合成された分子がユニーク配列となり得る可能性を高める。
【0072】
ランダム化配列を合成するために、4種類のヌクレオチド全てからなる混合物を、合成プロセス中の各ヌクレオチド付加工程で添加することで、ヌクレオチドをランダムに取り込ませることが可能となる。一実施形態では、ランダム・オリゴヌクレオチドは、全体的にランダムな配列を有する。しかし、別の実施形態では、ランダム・オリゴヌクレオチドは非ランダムまたは部分的にランダムな配列の範囲を含むことができる。部分的にランダムな配列は、各付加工程で異なるモル比で4種類のヌクレオチドを添加することで生成することができる。
【0073】
テンプレート分子は、30〜50ランダム・ヌクレオチドからなる内部領域をフランキングする固定5’および3’末端配列を一般に含む。標準的(1μmole)スケール合成によって、ほとんどのSELEX実験にとっては十分な1015〜1016の個々のテンプレート分子が得られる。この開始ライブラリーから、組換えT7RNAポリメラーゼを用いてインビトロ転写によってRNAライブラリーが生ずる。次に、このライブラリーを標的と混合する。結合に好都合な条件下で標的を混合し、一般的な選択スキームを用いて、結合、分離、および増幅の工程を繰り返しておこない、実質的に結合親和性と選択性との任意の所望の基準を達成する。ランダム配列のセグメントを好ましくは含む核酸混合物から開始する場合、SELEX(登録商標)法は、結合に好適な条件下で上記混合物を標的と接触させる工程と、標的分子に対して特異的に結合した核酸から未結合の核酸を分離する工程と、核酸−標的複合体を解離させる工程と、該核酸−標的複合体から解離した核酸を増幅させてリガンドがエンリッチされた核酸混合物を生じさせる工程と、これらの結合、分離、解離、および増幅を、上記標的分子に対する高特異性高親和性核酸リガンドを生じさせるのに必要なサイクル数だけ繰り返す工程とを含む。
【0074】
数多くの潜在的な配列および構造を含むと考えられる核酸混合物内には、所定の標的に対する結合親和性が広範囲にわたる。例えば、20ヌクレオチド・ランダム化配列を含む核酸混合物は、420候補可能性がある。標的に対した高親和性定数を持つ候補が標的に対して結合する可能性が最も高い。分離、解離、および増幅後、第2の核酸混合物を生成し、高結合親和性候補に対してエンリッチした。選択のさらなるラウンドでは、結果として生ずる核酸混合物が主として1つだけの配列またはわずかな数の配列で構成されるようになるまで、徐々に最良のリガンドを支持していく。次に、これらをクローニングして塩基配列を決定し、純粋なリガンドとして結合アッセイを個々に調べる。
【0075】
選択および増幅のサイクルは、所望のゴールに達するまで繰り返される。最も一般的なケースでは、選択/増幅は、サイクルを繰り返しても結合強度の著しい改善が得られなくなるまで続けられる。この方法を、約1018種類の異なる核酸種の試料採取に用いてもよい。試験混合物の核酸は、効果的な増幅のために望ましくは必要な保存配列と同様にランダム配列部を含む。核酸配列変異体の生産は、数多くの方法でおこなうことができ、該方法として、ランダム核酸配列の合成とランダムに切断された細胞核酸からのサイズ選択とが挙げられる。可変配列部分は、完全または部分的なランダム配列を含むものであってもよく、またランダム配列によって取り込まれた保存配列の福次的な部分を含むものであってもよい。試験配列における配列の変化の誘導または増加は、選択および増幅の繰り返しに先立って、またはその過程で突然変異誘起によっておこなうことができる。
【0076】
SELEX(登録商標)の一実施形態では、選択プロセスは、選択された標識に対して最も強く結合するそれらの核酸リガンドを単離する時点で効率的であることから、たった1回の選択および増幅サイクルが必要とされるだけである。そのような効率的な選択は、例えば、クロマトグラフィー型のプロセスでおこなうことが可能である。このプロセスでは、カラム上に結合した標識に結合する核酸の親和性が、最も高い親和性を有する核酸リガンドの分離および単離を可能にするのにカラムが十分であるようにして、作用する。
【0077】
多くの場合、単一核酸リガンドが同定されるまでSELEX(登録商標)の反復工程を実行することが必ずしも望ましいというわけではない。標的特異的リガンド溶液は、多数の保存配列と、標的に対する核酸リガンドの親和性に著しく影響を与えることなく置換または付加し得る多数の配列を持つ核酸構造またはモチーフからなる1つのファミリーを含むものであってもよい。完了前にSELEX(登録商標)プロセスを終わらせることで、核酸リガンド溶液ファミリーの多くのメンバーの配列を決定することが可能である。
【0078】
種々の核酸の一次構造、二次構造、および三次構造が存在することは知られている。最も一般的に非ワトソン−クリック・タイプ相互作用に関係していることが示された構造またはモチーフは、ヘアピン・ループ、対称および非対称的な出っ張り(buldges)、疑似結目(pseudoknots)と呼ばれるもの、およびそれらの無数の組み合わせである。そのような既知のモチーフのほとんどが、30ヌクレオチドに満たない核酸配列に形成される。この理由から、隣接する無作為の部分によるSELEX手順が約20〜50のヌクレオチドの間にランダム部分を含んでいる核酸配列で開始されることが、しばしば好ましいとされる。
【0079】
中心的なSELEX(登録商標)法に、数多くの特定の目的を達成するための変更が加えられた。例えば、米国特許第5,707,796号には、曲がったDNA等、特定の後続的特徴を有する核酸分子を選択するためにゲル電気泳動と組み合わせてSELEX(登録商標)を用いることが記載されている。米国特許第5,763,177号には、標的分子と結合、および/もしくは光架橋結合でき、かつ/もしくは標的分子を光不活性化させることが可能な光反応グループを含む核酸リガンドを選択するためのSELEX(登録商標)をベースとした方法が記載されている。米国特許第5,567,588号および米国特許出願第08/792,075号(1997年1月31日出願、発明の名称「Flow Cell SELEX」)には、標的分子に対した高および低親和性を持つオリゴヌクレオチド間で高効率の分離を達成するSELEX(登録商標)に基づいた方法が記載されている。米国特許第5,496,988号には、SELEX(登録商標)プロセスを実施した後に、改善された核酸リガンドを得る方法が記載されている。米国特許第5,705,337号には、リガンドをその標的に対して共有結合させる方法が記載されている。SELEX(登録商標)を用いて、標的分子上の複数の部位に結合する核酸リガンドを得ることができ、また標的上の特異的結合部位に対して結合する非核酸種を誘導する核酸リガンドを得ることができる。
【0080】
また、SELEX(登録商標)は、タンパク質(核酸結合タンパク質、および生物学的作用の一部として核酸と結合することが知られていないタンパク質の両方)を含む生体高分子および低分子、共同因子、および他の低分子といった、想定可能な任意の標的と結合する核酸リガンドの単離および同定の手段を提供する。例えば、カフェインおよび近縁種(テオフィリン)に対して高親和性をもって結合することができるSELEX(登録商標)を介して同定された核酸配列を開示している米国特許第5,580,737号を参照せよ。
【0081】
カウンターSELEX(登録商標)は、1種類以上の非標識分子に対して交差反応性によって核酸リガンド配列を除去することによって、標的分子に対する核酸リガンドの特異性を改善するための方法である。カウンターSLEX(登録商標)は、(a)核酸候補混合物を調製する工程と、(b)該候補混合物を標的と接触させ、候補混合物に関連した標的に対する増加親和性を持つ核酸を候補混合物の残留物から分けることが可能な工程と、(c)候補混合物の残留物から親和性が増加した核酸を分離する工程と、(d)非標的分子に対して特異的親和性を持つ核酸リガンドが除去されるように、親和性が増加した核酸を1種類以上の非標的分子と接触させる工程と、(e)標的分子に対して特異的親和性を持つ核酸を増幅させて、標的分子に対して相対的に高い親和性と特異性とを持つ核酸配列に対してエンリッチされた核酸の混合物を生成する工程とを有する。
【0082】
治療薬およびワクチンとしての核酸の使用で遭遇される1つの潜在的な問題は、ホスホジエステル形態にあるオリゴヌクレオチドが、所望の効果が発現される前に、エンドヌクレアーゼおよびエクソヌクレアーゼ等の細胞内および細胞外酵素によって、体液中で急速に分解される可能性があることである。SELEX方法は、このように、高親和性核酸リガンドの同定を含むもので、該高親和性核酸リガンドは、このリガンドに対して改善された特性(例えば、インビボ安定性の改善または送達特性の改善)を与える修飾ヌクレオチドを含む。そのような修飾の例として、リボースおよび/またはホスフェートおよび/または塩基部分での化学的置換が挙げられる。修飾ヌクレオチドを含むSELEX同定核酸については、米国特許第5,660,985号に説明されており、リボースの2’部位、ピリミジンの5’部位、およびプリンの8’部位で化学修飾されたヌクレオチド誘導体を含むオリゴヌクレオチドについて説明されている。米国特許第5,756,703号は、種々の2’修飾ピリミジンを含むオリゴヌクレオチドを記載している。米国特許第5,580,737号は、2’−アミノ(2’−NH2)、2’−フルオロ(2’−F)、および/または2’−O−メチル(2’−OMe)置換基によって修飾されたヌクレオチドを1つ以上含む高特異性核酸リガンドについて説明している。
【0083】
この発明で考察される核酸リガンドの修飾としては、限定されるものではないが、核酸リガンド塩基に対して、または全体として核酸リガンドに対して、さらなる電荷、極率、疎水性、水素結合、静電気的相互作用、および流率(fluxionality)を取り入れる他の化学基を提供するものが挙げられる。そのような修飾としては、限定されるものではないが、2’位糖修飾、5’位ピリミジン修飾、8’位プリン修飾、環外アミンでの修飾、4−チオウリジンの置換、5’臭化または5’ヨウ素ウラシルの置換、主鎖修飾、ホスホロチオエートまたはアルキル・ホスフェート修飾、メチル化、異常な塩基対組み合わせ(例えば、イソ塩基およびイソグアニジン)、その他が挙げられる。修飾もまた、キャッピング等の3’および5’修飾を含む。本発明の好ましい実施形態では、核酸リガンドは、ピリミジン残基の糖部分上で2’−フルオロ(2’−F)修飾されたRNA分子である。
【0084】
修飾は、プレまたはポストSELEXプロセス修飾であってよい。プレSELEX修飾は、SELEX標的に対する特異性と改善されたインビトロ安定性との両方を持つ核酸リガンドを生ずる。2’−OH核酸リガンドに対するポストSELEXプロセス修飾は、核酸リガンドの結合能力に悪影響を及ぼすことなくインビボ安定性の改善を達成し得る。
【0085】
他の修飾は、当業者に知られている。そのような修飾を、ポストSELEXプロセス(既に同定された未修飾のリガンドの修飾)またはSELEXプロセスへの取り込みによって、おこなってもよい。
【0086】
上記SELEX方法は、米国特許第5,637,459号および米国特許第5,683,867号に記載されているように、選択されたオリゴヌクレオチドを他の選択されたオリゴヌクレオチドおよび非オリゴヌクレオチド機能単位と結合させることを包含する。SELEX法は、さらに、診断用または治療用の複合体において、選択されたリガンドを親油性または非イムノゲン高分子量化合物を、米国特許第6,011,020号に記載されているように、結合させることを包含する。診断用または治療用の複合体において、親油性化合物(例えば、ジアシル・グリセロールまたはジアルキル・グリセロール)と結合するVEGF核酸リガンドが、米国特許第5,859,228号に記載されている。
【0087】
ポリアルキレングリコール等の親油性化合物(例えばグリセロール脂質または非イムノゲンの高分子化合物)に結合したVEGF核酸リガンドは、米国特許第6,051,698号でさらに記載される。非免疫原性、高分子化合物または親油性化合物と結合するVEGF核酸リガンドは、PCT国際公報第98/18480号パンフレットに、さらに記載されている。これらの特許および出願は、広範囲の形状およびその他の性能と、他の分子の所望の特性を持つオリゴヌクレオチドの効率的な増幅および複製特性との組合せを可能にする。
【0088】
SELEX法を経た小さくて柔軟なペプチドに対する核酸リガンドの同定も探求した。小ペプチドは柔軟な構造を持ち、通常、複数のコンホーマーが釣り合った状態で溶液中に存在することから、はじめは結合親和性が柔軟なペプチドの結合により失われた立体配座的なエントロピーによって限定されるものと考えられた。しかし、溶液中の小ペプチドに対する核酸リガンドの同定の実現可能性は、米国特許第5,648,214号に示された。この特許では、サブスタンスP(アミノ酸11個からなるペプチド)に対する高親和性RNA核酸を同定した。
【0089】
ヌクレアーゼおよび加水分解に対して耐性を示すオリゴヌクレオチド集団を生成するために、修飾オリゴヌクレオチドを用いることができ、該ヌクレオチドは1つ以上の置換基分子間連結、改変糖、改変塩基、またはそれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、P(O)O基がP(O)S(「チオエート」)、P(S)P(ジチオエート)、P(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)R’、CO、またはCH2(「ホルムアセタール」)、または3’−アミン(−NH−CH2−CH2)によって置換されるオリゴヌクレオチドを提供する。ここで、RまたはR’は、個々にHまたは置換もしくは非置換アルキルである。連結基は、−O−,−N−、または−S−連結を介して隣接ヌクレオチドに結合することができる。オリゴヌクレオチドに含まれる全ての連結が同定される必要があるわけではない。
【0090】
さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは修飾糖基(例えば、1つ以上の水酸基がハロゲンによって置換されたもの)、脂肪族基、またはエーテルもしくはアミンとして機能させられたものから構成される。一実施形態では、フラノース残基の2’位がO−メチル、O−アルキル、S−アルキル、S−アリル、もしくはハロ基のいずれかによって置換される。2’修飾糖を合成するための方法は、Sproatら、Nucl.Acid Res.19:733−738(1991);Cottenら、Nucl.Acid Res.19:2629−2635(1991);およびHobbsら、Biochemistry 12:5138−5145(1973)に記載されている。2−フルオロ−リボヌクレオチド・オリゴマーの使用は、非置換リボまたはデオキシリボ・オリゴヌクレオチドを用いて生成されるものよりも10〜100倍、標的分子に対する核酸センサー分子の感度を増加させることができる(Pagratisら、Nat.Biotechnol.15:68−73(1997))。このことは、標的分子に対して付加的な結合相互作用を与え、核酸センサー分子の二次構造の安定性を増加させる(Krausら、Journal of Immunology 160:5209−5212(1998);Piekenら、Science 253:314−317(1991);Linら、Nucl.Acids Res.22:5529−5234(1994);Jellinekら、Biochemistry 34:11363−11372(1995);Pagratisら、Nat.Biotechnol 15:68−73(1997))。
【0091】
核酸アプタマー分子は、通常、5〜20サイクルの手順で選択される。一実施形態では、初期選択段階でのみ異質性が導入され、該異質性は複製プロセス全体を通して起こらない。
【0092】
DNA配列の開始ライブラリーは、DNA合成装置上で自動化学合成することによって生成される。T7RNAポリメラーゼまたは修飾T7RNAポリメラーゼを用いて、この配列ライブラリーをインビトロでRNAに翻訳し、さらに精製する。一実施例では、5’固定;ランダム;3’−固定配列を30〜50ヌクレオチドを持つランダム配列によって分離する。
【0093】
(2’O−Me SELEX(登録商標))
さらに、米国特許出願第60/430,761号(2002年12月3日出願)、米国特許仮出願第60/487,474(2003年7月15日出願)、米国特許仮出願第60/517,039号(2003年11月4日出願)、および米国特許出願第10/729,581号(2003年12月3日出願)(これら出願の各々の内容全体を本明細書の一部として援用する)に記載されているように、SELEX(登録商標)法を実施して2’修飾アプタマーを生成する。
【0094】
本発明は、非修飾オリゴヌクレオチドよりも安定したオリゴヌクレオチドを作る修飾ヌクレオチド(例えば、2’位に修飾を受けたヌクレオチド)を含むアプタマー等の安定化オリゴヌクレオチドを生産するための材料および方法も提供する。本発明の材料および方法によって生成される安定化オリゴヌクレオチドはまた、熱および物理的分解に対してと同様に、酵素的および化学的分解に対してもよりいっそうの安定性を有する。例えば、2’−O−メチル・ヌクレオチドを含んでいるオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ耐性で、安価に合成される。2’−O−メチル・ヌクレオチドが生物系で遍在するにもかかわらず、天然のポリメラーゼは2’−O−メチルNTPを生理学的条件の下の基質と認めない。このように、2’−O−メチル・ヌクレオチドを宿主DNAへリサイクルすることに関する安全性についての懸念はない。
【0095】
一実施形態では、本発明はATP、GTP、CTP、TTP、およびUTPヌクレオチドの2’−OH、2’−F、2’−デオキシ、および2’−OMe修飾の組み合わせを提供する。別の実施形態では、本発明はATP、GTP、CTP、TTP、およびUTPヌクレオチドの2’−OH、2’−F、2’−デオキシ、2’−OMe、2’−NH2、および2’−メトキシエチル修飾の、
56組み合わせを提供する。
【0096】
本発明の2’修飾アプタマーは修飾ポリメラーゼ(例えば修飾T7ポリメラーゼ)を使用して生成され、該ポリメラーゼはフラノース2’位での修飾ヌクレオチド取り込み率が野生型ポリメラーゼよりも大きい。例えば、Y639F変異に加えて、アラニンまたは他の小さなアミノ酸、残基に変えられる位置784にヒスチジンを持つ二重T7ポリメラーゼ変異体(Y639F/H784A)は、すでにその大きな2’置換基の取り込みに関して説明されており、また修飾ピリミジンNTPを取り込むために使われている。アラニン残基に変えられる位置784にヒスチジンを有する単一突然変異体T7ポリメラーゼ(H784A)もまた、説明されている(Padillaら、Nucleic Acids Rearch,2002,30:138)。Y639F/H784A二重突然変異体7ポリメラーゼとH784A単一変異体T7ポリメラーゼとの両方で、より小さなアミノ酸への変化が、大きなヌクレオチド置換基(例えば、2’−Oメチル置換ヌクレオチド)の取り込みを可能にする。
【0097】
2’−修飾アプタマーの生産で重要なもうひとつの要素は、転写混合物に二価のマグネシウムとマンガンの両方を使用することである。塩化マグネシウム濃度と塩化マンガン濃度との異なる組合せが、2’−Oメチル化転写産物の収率に影響を及ぼすことがわかっており、塩化マグネシウムおよび塩化マンガンの最適濃度は、二価イオンの複合体を作るNTPの転写反応混合物での濃度に依存する。
【0098】
GMPまたはグアノシンによる初回抗原刺激転写も、重要である。その結果、このようにして生ずる任意の転写産物の5’−端末ヌクレオチドは、2’−OHGである可能性がある。GMP(またはグアノシン)の好ましい濃度は、0.5mMで有り、またより好ましい濃度は1mMである。PEG、好ましくはPEG−8000)を転写反応に含むことが修飾ヌクレオチドの取り込みを最大にする上で有用であることも分かった。
【0099】
(TGFβ2およびPDGFに対する結合親和性を持つアプタマー)
本発明は、眼病に関与するヒト・サイトカイニン、増殖因子、または細胞表面タンパク質に対して結合することができる修飾および非修飾核酸アプタマー治療薬を提供する。一実施形態では、本発明のアプタマーは、高親和性でTGFβ2に結合してインビトロでのミンク肺上皮細胞増殖のTGFβ2媒介阻害を逆転させることができる。これらのアプタマーを、図1に示す「指数関数的エンリッチメントによるリガンドの系統的進化(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)(SELEX(登録商標))」と呼ばれるプロセスを用いて生成することができる。
【0100】
本発明の修飾RNAアプタマーは、天然ヒトTGFβ2と結合する。これらのアプタマーの生化学的特徴付けに関して、成熟TGFβ2の2形態である天然およびN末端ヒス標識バージョンを、大腸菌(E.coli)で生成した。リホールディングと精製の後、機能的TGFβ2が得られた。これらのTGFβ2タンパク質は、細胞をベースとしたアッセイで活性があった。N末端標識は活性およびアプタマー結合に影響を及ぼしたが、アプタマーに対する親和性はかなり大きく減少した。さらに別の2つの突然変異体TGFβ2(K94N、S59T/R60K/K94N)を、TGFβ2の既知のアイソフォームに基づいて生成した。K94N突然変異体は、天然TGFβ2の親和性に至適する親和性でアプタマーに結合することができた。一方、S59T/R60K/K94N突然変異体は、アプタマーに対する親和性が著しく減少した。同様に、アプタマーは、細胞をベースとしたアッセイでのS59T/R60K/K94N突然変異体の生物活性よりも高い有効性で天然およびK94NTGFβ2の生物活性を阻害した。公開された結晶構造にもとづいて、位置59および60の2つの置換がダイマーの境界面に存在し、またTGFβ2のN末端に隣接し、さらに位置94の他の置換基がII型アクセプター結合部位近傍にある。可溶性TGF−βアクセプターによる結合競合アッセイによって、III型アクセプターがアプタマー結合と競合するが、II型アプタマーでは競合が起こらないことが明らかになった。また、われわれは、2つのアプタマーがTGFβ2の1種類のダイマーと結合はするが、他の2種類のダイマーとは結合しないことも示した。本発明のアプタマーは、TGF−βIII型アクセプター結合部位またはその近傍でTGFβ2と結合して、その生物学的機能を阻害すると考えられている。
【0101】
本発明のTGFβ2に対して特異性および結合親和性を持つアプタマーは、上記したSELEXプロセスによって選択される。SELEXプロセスの一部として、TGFβ2に対して結合するために選択される配列は、結合親和性を持つ最小の配列を決定するために最小化されて、最小化配列のランダムまたは直接的な突然変異誘発を実行することで最適化され、もし親和性が増加した場合は、代わりに、配列内のどの位置が結合活性にとって必須であるかが決定される。さらに、インビボ分解に対してアプタマーを安定化させるための修飾配列を取り込んだ配列によって選択を実行することができる。
【0102】
以下の実施例に記載したように生物学的アッセイによって示されたような最も高い親和性および特異的結合を持つ選択されたアプタマーは、TGFβ2が病因に関係している症状を処置するための適当な治療薬である。あるいは、PDGFに対する特異性について選択されたアプタマーは、PDGFが病因に関係している症状を処置するための適当な治療薬である。
【0103】
本発明のいくつかのアプタマー組成物は、血小板由来増殖因子(PDGF)のいくつかのダイマーに対する結合親和性および特異性を有する。本発明のアプタマー組成物は、PDGF・BBホモダイマーに対して、またABヘテロダイマーに対して結合親和性を持つが、AAホモダイマーに対しては結合親和性を持たない。
【0104】
本発明のアプタマー組成物を、TGFβ2−またはPDGF−媒介増殖性障害が関与する眼障害を持つ被検体を処置するための治療用組成物として用いることができる。例えば、PDGFに対して選択的であるアプタマーは、PVR、PDR、およびAMD等の眼障害の治療に用いることができる。また、PDGFアプタマーを単独で、あるいは他の既知の治療薬、例えば抗VEGF治療薬、抗炎症剤、増幅抑制剤、抗菌剤、抗真菌剤、および抗微生物剤と組み合わせて投与することができる。TGFβ2アプタマーは、トラベクレクトミー後に起こる損傷または障害(例えば、瘢痕)を処置するために用いることができる。したがって、TGFβ2アプタマーの投与は、トラベクレクトミー前、トラベクレトミー中、またはその後で、行うことができる。TGFβ2アプタマーを、単独で、または他の既知の治療法(例えば抗炎症剤、抗増殖性剤、抗菌剤、抗真菌剤、および抗微生物剤)と組み合わせて投与することができる)。
【0105】
(柵状織切除におけるTGFβ2特異的アプタマー治療薬)
本発明のTGFβ2アプタマーは、点眼液に適用可能である。この方法は非侵襲性であって、患者の同意を得る容易さを高める。微小装置、微小粒子、またはスポンジを介して投与する場合、適用は先に述べたように手術中に行われる。
【0106】
TGFβ2アプタマーの投与は、眼の中に放出する前に混合される送達溶液によって高分子持続性送達装置で凍結乾燥して行うことが可能である。高分子マトリックスからの持続的な送達によって、特異的な組織を標的にすることができ、また患者の安心感とコンプライアンスとを高めるという長所が得られる。PLGA(ポリ乳酸コグリコール酸(polylacticcoglycolic acid))は、選択の余地のあるカプセル化マトリックスであり、1970年代から縫合材料として、また組織工学の足場として用いられている。それは生体適合性を有し、またその毒性および分解速度論についてはよく研究されている。
【0107】
また、TGFβ2アプタマーの投与は、高分子コンタクト・レンズ持続性送達装置に凍結乾燥して行うことが可能である。コンタクト・レンズ型アプタマー治療薬送達装置は、患者の投薬コンプライアンスを増加させ、コンスタントなゼロ次送達が保証される一方で、保険医療提供者にとってはアプタマー治療薬の適用が容易になる。
【0108】
結膜下投与は、5−FUについて上述の方法で、100マイクロリットル量で用いることが可能である。
【0109】
TGFβ2アプタマーは、確定された有効量を点眼液として、微小装置、微小粒子、またはスポンジを用いて投与されるか、あるいは前区(anterior segment)近傍で結膜下投与される。TGFβ2アプタマーを保存のために凍結乾燥することが可能であり、防腐剤を含むことなく無菌かつ水性の重炭酸イオン緩衝液で投与する。
【0110】
TGFβ2アプタマーの投薬量は、0.1〜200mgkg−1である。動物のためのTGFβ2アプタマーの好ましい投薬は、0.1〜100mgkg−1である。動物のためのTGFβ2アプタマーのより好ましい投薬は、0.1〜10mgkg−1である。動物のためのTGFβ2アプタマーの最も好ましい投薬は、0.1〜1mgkg−1である。ヒトのための投薬量は、7〜70mgkg−1である。
【0111】
(加齢黄斑変性症(AMD)のPDGFアプタマー治療薬)
PDGFは、他の増殖因子による相乗作用でAMDの病因において重要な役割を果たす。低酸素症は、PDGFの発現を増加させ、またPDGFはPDFFR−bを介して直接、内皮細胞に作用して新脈管形成を誘導する。PDGFは線維芽細胞、平滑筋細胞、および神経膠細胞に作用して、結合組織細胞の激増を刺激する。
【0112】
動物のためのPDGFアプタマーの投薬量は、0.1〜200mgkg−1である。動物のためのPDGFアプタマーの好ましい投薬は、0.1〜100mgkg−1である。動物のためのPDGFアプタマーのより好ましい投薬は、0.1〜10mgkg−1である。動物のためのPDGFアプタマーの最も好ましい投薬は、0.1〜11mgkg−1である。ヒトのための投薬量は、7〜70mgkg−1である。
【0113】
PDGFアプタマーの注入は、単一用量を100μl送達容量の確定有効濃度で単一用量を硝子体内注射することで行うことができる。注射は、表面麻酔および5%のポビドンヨード溶液を点滴した後、30ゲージ針およびツペルクリン注射器を使用して毛様体扁平部を通しておこなう。投薬前に、バイアル・ストッパーを、70%のアルコールで拭く。PDGFアプタマーは凍結乾燥して保存し、使用の際に10mMのリン酸ナトリウムと0.9%の塩化ナトリウム緩衝液とから構成される無菌液に溶かして用いる。硝子体内投与は、眼内に効率的に浸透を許すことを用いて多くの眼内障害で用いられている。網膜色素上皮と網膜毛細管との堅い複合体は血液−眼バリアとして用いられ、該バリアはガラス質のものに治療薬が浸透するのを阻害する。この投与経路は、全身投与で経験されることがある潜在的副作用を回避し、治療領域の効率的なターゲッティングを可能にする。
【0114】
また、PDGFアプタマーを経強膜的に送達することが可能である。経強膜的な送達は、後区(posterior segment)に治療薬を投与する実行可能なモードである。強膜は、大きくてアクセス可能な面を有するとともに水和の度合いが高いことから、水溶性物質に対して伝導性を生じる。それはまた、細胞が比較的欠けていることから、治療薬を結合または隔離することができるタンパク質分解酵素またはタンパク質結合部位がわずかしかない。強膜は、分子量が大きい因子および分子量が小さい因子の両方に対して透過性を有する。また、透過性は経年的な減少を示さないことから、年配者になると発症率が高まるAMD等の慢性障害の処置にとっては好都合である。それは非破壊的であり、浸襲性が最小限であり、また標的送達を達成する。その上、徐放性強膜装置によって治療用PDGFアプタマーの一貫性のある放出が可能となる。
【0115】
(増殖性硝子体網膜症(PVR)のPDGFアプタマー治療薬)
PVRのための手術は硝子体切除術(毛様体扁平部硝子体切除術)で切り出し、この硝子体切除術に続いて、外科医は、通常、網膜が平たくなるのを助け、それを眼の外壁に再び付着させて保持するために、独特の気体または体液を目に点滴する。PDGFアプタマーは、単一用量を100μl送達容量の確定有効濃度で単一用量を硝子体内注射することでおこなうことができる。注射は、表面麻酔および5%のポビドンヨード溶液を点滴した後、30ゲージ針およびツペルクリン注射器を使用して毛様体扁平部を通しておこなう。投薬に先立って、バイアル・ストッパーを70%アルコールで拭く。PDGFアプタマーは凍結乾燥して保存し、使用の際に10mMのリン酸ナトリウムと0.9%の塩化ナトリウム緩衝液とから構成される無菌液に溶かして用いる。硝子体内投与は、眼内に効率的に浸透を許すことを用いて多くの眼内障害で用いられている。網膜色素上皮と網膜毛細管との堅い複合体は血液−眼バリアとして用いられ、該バリアはガラス質のものに治療薬が浸透するのを阻害する。この投与経路は、全身投与に経験しうる潜在的副作用を回避し、治療領域の効率的なターゲッティングを可能にする。
【0116】
PDGFアプタマーを、生物分解可能なマイクロサイズ・ポリマー系を経て送達してもよい。このアプタマーを、所定の放出率を持つ高分子にカプセル化することが可能である。このことによって、局所送達、一貫した投薬量、および安定したコンプライアンスが確実になる。送達は、アプタマーに可変的な透過性を持つ高分子被覆ペレットを経ておこなうことができる。このインプラントを、硝子体切除術中、毛様体扁平部を通して外科的に挿入することができる。
【0117】
また、PDGFアプタマーを経強膜的に送達することが可能である。経強膜的な送達は、後区(posterior segment)に治療薬を投与する実行可能なモードである。強膜は、大きくてアクセス可能な面を有するとともに水和の度合いが高いことから、該面が水溶性物質に対して貢献できる。それはまた、細胞が比較的欠けていることから、治療薬を結合または隔離することができるタンパク質分解酵素またはタンパク質結合部位がわずかしかない。強膜は、分子量が大きい因子および分子量が小さい因子の両方に対して透過性を有する。また、透過性は経年的な減少を示さないことから、年配者になると発症率が高まるAMD等の慢性障害の処置にとっては好都合である。それは非破壊的であり、浸襲性が最小限であり、また標的送達を達成する。その上、徐放性強膜装置によって治療用のPDGFアプタマーの一貫性のある放出が可能となる。
【0118】
(増殖性糖尿病性網膜症(PDR)におけるPDGFアプタマー治療薬)
PDGFアプタマーは、単一用量を100μl送達容量の確定有効濃度で単一用量を硝子体内注射することでおこなうことができる。注射は、表面麻酔および5%のポビドンヨード溶液を点滴した後、30ゲージ針およびツペルクリン注射器を使用して毛様体扁平部を通しておこなう。投薬前に、バイアル・ストッパーを、70%のアルコールで拭く。PDGFアプタマーは凍結乾燥して保存し、使用の際に10mMのリン酸ナトリウムと0.9%の塩化ナトリウム緩衝液とから構成される無菌液に溶かして用いる。硝子体内投与は、眼内に効率的に浸透を許すことを用いて多くの眼内障害で用いられている。網膜色素上皮と網膜毛細管との堅い複合体は血液−眼バリアとして用いられ、該バリアはガラス質のものに治療薬が浸透するのを阻害する。この投与経路は、全身投与に経験しうる潜在的副作用を回避し、治療領域の効率的なターゲッティングを可能にする。
【0119】
また、PDGFアプタマーを経強膜的に送達することが可能である。経強膜的な送達は、後区(posterior segment)に治療薬を投与する実行可能なモードである。強膜は、大きくてアクセス可能な面を有するとともに水和の度合いが高いことから、該面が水溶性物質に対して貢献できる。それはまた、細胞が比較的欠けていることから、治療薬を結合または隔離することができるタンパク質分解酵素またはタンパク質結合部位がわずかしかない。強膜は、分子量が大きい因子および分子量が小さい因子の両方に対して透過性を有する。また、透過性は経年的な減少を示さないことから、年配者になると発症率が高まるAMD等の慢性障害の処置にとっては好都合である。それは非破壊的であり、浸襲性が最小限であり、また標的送達を達成する。その上、徐放性強膜装置によって治療用のPDGFアプタマーの一貫性のある放出が可能となる。
【0120】
(サイトカイン増殖因子および細胞表面タンパク質に対する結合特異性を有するアプタマー
種々の眼障害に関係するサイトカイン、細胞表面タンパク質、および増殖因子は、ICAM−1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、IGF−1、VEGF/NVEGF−R、TNF−α、血管ポエチン、およびαVβ3を含む。細胞接着分子1(ICAM−1)は、5つの細胞外免疫グロブリン様領域を持つ76ないし115kDa表面糖タンパク質であり、糖尿病網膜症で特に重要な役割を果たす。ICAM−1によって媒介される白血球症は、糖尿病網膜症の病因の原因となる。白血球(好中球、好塩基性細胞、リンパ球、好酸球、および単球)の表面にあるβ2インテグリンに対するICAM−1相互作用は、内皮に対するそれらの安定した癒着と炎症部位に対する経内皮移動とにとって重要である。ICAM−1は、糖尿病網膜症での網膜脈管構造に対する白血球の癒着を促進するもので、血流のサポートを毛細管ができないことを通して不可逆性網膜虚血を生ずる病巣を介して網膜内皮細胞障害と死亡とに関係している。ICAM−1生物活性の阻害は、糖尿病性網膜白血球症を防ぎ、血液網膜関門の破壊を力強く防ぐ。
【0121】
インスリン様増殖因子−1(IGF−1)は、7.5kDaのペプチドであり、プロインスリン(50%)に対して50%の相同性を持ち、さらに成長ホルモンの制御下の肝臓で主に生産される。IGF−1は、細胞増殖のための強力なマイトジェン/刺激因子であり、かつ強力な抗アポトーシス因子でもある。その機能は6つのIGF結合蛋白質(IGFBPs)によって調整され、そのレベルは発生段階および栄養によって影響される。その効果は、細胞増殖および保護、酸化ストレスに対する耐性、骨および筋肉の成長促進、ならびに神経細胞の保護にまで及ぶ。IGF−1は、増殖性糖尿病性網膜症(PDR)で役割を果たすVEGFによる新脈管形成に関係する。PDRは、網膜での血管の変化に起因する糖尿病合併症である。網膜の血管が損傷を受ける場合、該血管から血液が漏れて壊れやすくなり、ブラシのような枝分かれと瘢痕組織とが増える可能性がある。このことによって、網膜が脳に送る視像をぼやけさせたり、歪めたりしてしまう。
【0122】
血管内増殖因子とそのアクセプター(VEGFおよびVEGF/R)転写は、インスリンによる糖化最終生成物によって強化される。糖尿病性網膜の糖化最終産物の蓄積は新生血管形成に貢献、結果として視力の喪失をもたらし得る。インスリンによるVEGF合成の刺激は、インスリン治療が開始された後、インスリンによるVEGF合成の刺激は糖尿病患者での網膜新生血管形成の一時的な加速をもたらす可能性がある。VEGF−165に対するアプタマーの解離定数(Kd)が300pMで、IC50値が1nMであることがわかった。
【0123】
眼内での腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−α)のレベルは、炎症および新脈管形成の網膜プロセスの間、上昇している。TNF−αは、強角膜線維柱帯細胞の増殖を促進し、強角膜線維柱帯、マトリックスメタロプロテアーゼ、および組織阻害物質発現を調整し、MMP−1、3、および9ならびにTIM−1発現を増加させ、さらにTIM−2を減少させる。血管ポエチンは、2つの形態(Ang−1およびAng−2)で生ずる血管新生増殖因子である。アンジオポエチンに対するアプタマーが、10nMの解離定数(Kd)を有し、またTNF−α処置HUVEC細胞でのアポトーシスのAng−1およびAng−2媒介阻害をブロックする能力を持つことがわかった。インテグリン・アルファ5ベータ3(αVβ3)は、AMDの場合と同様にPDRで新脈管形成を促進する(Enaidaら、Fukushima J Med Sci.44(1):43−52.(1998))。
【0124】
本発明のアプタマーは、個々に、または組み合わせて、ICAM−1、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、IGF−1、VEGF/VEGF−R、TNF−α、およびαVβ3に結合ができ、それらの情報伝達活性を阻害し、それによって眼障害病因でのそれらの役割を阻害する。
【0125】
(PEG誘導体化核酸)
高分子量の非免疫原性のポリマーによる核酸の誘導体化は、核酸の薬物動態学的および薬力学的な特性を変える可能性があることから、該核酸がより効果的な治療薬となる。活性の良好な変化として、ヌクレアーゼによる耐崩壊性の増加、腎臓を介した濾過の減少、免疫系への暴露の減少、および全身への治療薬の分布を挙げることができる。
【0126】
本発明のアプタマー組成物を、ポリアルキレングリコール(PAG)部分により誘導体化することが可能である。PAG誘導体化核酸の例は米国特許出願第10/718,833号(2003年11月21日出願)(この内容全体を本明細書の一部として援用する)で見いだされる。本発明で使用される典型的なポリマーとして、別名としてまたはポリ(エチレンオキシド)(PEO)としてしられているポリ(エチレングリコール)(PEG)と、ポリプロピレングリコール(ポリイソプロピレングリコールを含む)とが挙げられる。さらに、異なるアルキレンオキシド(例えばエチレンオキシドとプロピレンオキサイド)のランダムまたはブロック・コポリマーが、多くの用途で使われている。その最も頻度が高い形態において、ポリアルキレングリコール(例えばPEG)は水酸基で各々の末端が終わる直鎖状重合体:HO−CH2CH2O−(CH2CH2O)n−CH2CH2−OHである。このポリマー、アルファー、オメガ−ジヒドロキシポリ(エチレングリコール)もまた、HO−PEG−OHとして表すことができる。ここで、−PEG−シンボルは以下の構造単位を表す。すなわち、−CH2CH2O−(Ch2CH2O)n−CH2CH2−、式中、nは一般に約4から約10,000までの範囲である。
【0127】
示したように、PEG分子は二官能性で、しばしばPEGジオールと呼ばれる。PEG分子の末端部は相対的に非反応性のヒドロキシ基を含む部分(OH基)であり、該化合物の反応性部位で他の化合物に対してPEGが付着するために、該部分は官能部分に対して活性化され、あるいは該部分に変換される。そのような活性化PEGジオールは、ここでは二活性化PEGと称する。例えば、PEGジオールの終端部分は、比較的非反応性のヒドロキシル部分の置換によって、アミノ部分での選択反応のために活性炭酸塩エステルとして機能させられた−OH(N−ヒドロキシ・スクシニミドからのスクシンイミジル活性エステル部分)を持つ。
【0128】
多くの用途で、PEG分子が単官能性(または単活性化)であるために、基本的に非反応性部分によってPEG分子を一端でキャッピングすることが望ましい。活性PEGに対して一般に多数の反応性部位を提示するタンパク質治療薬の場合、二官能性活性化PEGによって広範囲な架橋が導かれ、十分に機能しない凝集体が生ずる。単活性化PEGを生成するために、PEGジオール分子の末端上の一水酸基は一般に非反応性メトキシ末端部分(−OCH3)によって置換される。PEG分子の他方のキャッピングされていない末端は、タンパク質糖の表面または分子上の反応性部位での付着のために活性化され得る反応性末端部分に変えられる。
【0129】
PAGは、概して水および多くの有機溶媒に対する溶解性を有し、また毒性および免疫原性が欠けている高分子化合物(ポリマー)である。PAGの用途の一つとして、該ポリマーを不溶性の分子に共有結合させて、結果として得られるPAG−分子「結合体(conjugate)」を可溶性にする。例えば、水不溶性薬物パクリタキセル(paclitaxel)が、PEGと結合した場合、水溶性となることが示されている。Greenwaldら、J Org.Chem.,60:331−336(1995)。PAG複合体は、しばしば、溶解度と安定性とを強化するだけでなく、分子の血液循環半減期の延長にも用いられる。
【0130】
本発明のポリアルキル化化合物のサイズは、概ね5ないし80kDである。本発明の他のPAG化合物のサイズは、10ないし80kDである。本発明のさらに他のPAG化合物のサイズは、10ないし60kDである。例えば、PAGポリマーのサイズは、少なくとも10、20、30、40、50、60、または80kDである。そのようなポリマーは直鎖状または分岐状である。
【0131】
生物学的に発現されたタンパク質治療薬とはコントロール的に、核酸治治療薬は活性化モノマー・ヌクレオチドから典型的に化学合成される。PEG−核酸複合体の調製は、同じ反復性のモノマー合成を使用しているPEGを組み込むことによっておこなうことが可能である。例えば、ホスホラミダイト形態への転換によって活性化されたPEGを、固相オリゴヌクレオチド合成に取り込むことができる。あるいは、オリゴヌクレオチド合成を、反応性PEG付着点の部位特異的な取り込みによって完了させることができる。最も一般には、これは5’末端での遊離した一級アミンの付加(固相法の最後の結合工程で修飾因子ホスホラミダイトを使用して組み込まれる)によって達成された。このアプローチを用いることで、反応性PEG(例えば、それが反応して、アミンとの結合を築くように、活性化されたもの)は精製されたオリゴヌクレオチドと結合され、カップリング反応が溶液で実行される。
【0132】
治療薬の体内分布を変えるPEG結合の能力は、多数の因子(例えば、水力学的な半径に関して測定したものとして)に関連している。より大きい複合体(>10kDa)が腎臓を経てより効果的に濾過を妨害し、さらに小さい高分子(例えばペプチド、アンチセンス・オリゴヌクレオチド)の血清半減期を増加させることが、知られている。濾過を妨害するPEG複合体の能力は、PEGのサイズにより約50kDaまで増加することが示された(さらなる増加は、半減期が腎臓による除去よりはむしろマクロファージ媒介代謝によって定められるようになることから、有益な効果が最小になる)。
【0133】
高分子量PEG(>10kDa)の生産は難しく、非効率的で、かつ高価である。高分子量ポリエチレングリコール(PEG)−核酸結合体の合成に向けたルートとして、以前の仕事の焦点は、より高い分子量の活性化PEG生成に向けられた。そのような分子を生成する1つの方法は、2個以上のPEGが活性化群を運んでいる中心のコアに付着している分枝状活性化PEGの形成を含む。1種類以上のPEGを化合物上の反応基での他の化合物の1種類以上のPEGの結合のために、これらの高分子量PEG分子、すなわち相対的に非反応性ヒドロキシル(−OH)部分を活性化または該部分に変換させることができる。分岐状活性化PEGは、2種類以上の末端を有し、また2つ以上の末端が活性化されるケースでは、そのような活性化高分子量PEG分子が多活性化PEGとして呼ばれる。いくつかのケースでは、分岐PEG分子内の全ての末端が活性化されるわけではない。分岐PEG分子の2つの末端が活性化される場合、PEG分子が二結合性PEGとして言及される。いくつかの例では、分岐PEG分子にあるたった一つの末端が単活性化(mono−activated)として言及される。このアプローチの一例として、反応のために続けて活性化されるリジン・コアに対して、2種類のモノメトキシPEGの付着によって、活性化PEGが調製される(Harrisら、Nature,vol.2:214−221,2003)。
【0134】
本発明は、多数のPEG化核酸(図示、例えば図2に示されるように)が含まれる高分子量PEG−核酸(好ましくは、アプタマー)を合成するコスト効率が高い別のルートを提供する。本発明はまた、PEG結合多量体のオリゴヌクレオチド(例えば二量体化されたアプタマー(例えば、図2で例示されるように))も包含する。本発明はまた、高分子量組成物に関連し、PEG安定化部分はリンカーである。このリンカーは、アプタマーの異なる部分、例えば、高分子量アプタマー組成物の直線配列が、例えば核酸−PEG−核酸−PEG−核酸であるように、アプタマーの異なる部分を分離するリンカーである。
【0135】
本発明の高分子量組成物として、少なくとも10kDの分子量を持つものが挙げられる。組成物は、概ね大きさが10ないし80kDである。高分子量組成物は、少なくとも10、20、30、40、50、60、または80kDである。そのようなポリマーは直鎖状または分岐状である。
【0136】
安定化部分は分子または分子の一部分であり、本発明の高分子量アプタマー組成物の薬物動態学的および薬力学的な性質を改良する。場合によっては、安定化部分は分子または二個以上にアプタマーを持つ分子またはアプタマー・ドメインの部分であり、または本発明の高分子量アプタマー組成物の全体的な回転性の自由を提供する。安定化部分を、直鎖状もしくは分岐状、ホモポリマー、またはヘテロポリマーであるポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール)とすることができる。他の安定化部分として、ペプチド核酸(PNA)としてのポリマーが含まれる。オリゴヌクレオチドもまた安定化部分であり、そのようなオリゴヌクレオチドとして、修飾ヌクレオチド、および/または修飾連結(例えば、ホスホチオエート)を含むことができる。安定化部分は、アパタマー組成物の欠くことのできない部分である。すなわち、それはアプタマーに対して共有結合している。
【0137】
本発明の組成物は、二個以上の核酸部分が少なくとも1つのポリアルキレングリコール部分に共有結合した高分子量アプタマー組成物を含む。ポリアルキレングリコール部分は、安定化部分として機能する。ポリアルキレングリコール部分がアプタマーにいずれの末端でも共有結合している組成物において、ポリアルキレングリコールが1つの分子で核酸部分を結合するように、ポリアルキレングリコールは連結部分であると言われる。そのような組成物において、共有結合分子の一次構造は、直鎖状の配置である核酸−PAG−核酸を含む。一例は、一次構造の核酸−PEG−核酸を持つ組成物である。別の実施例は、直鎖状である(核酸−PFG−核酸−PEG−核酸)。
【0138】
核酸−PEG−核酸結合体を生産するために、それが一つの反応性部位(例えば、それが単活性化される)を持つように、核酸が最初に合成される。好ましい実施形態では、この反応性部位は、オリゴヌクレオチドの固相法における最後の工程として修飾因子ホスホラミダイトの追加によって5’末端に導入されるアミノ基である。修飾オリゴヌクレオチドの脱保護および精製をおこなった後、活性化PEGの自然発生的な加水分解を最小化する溶液で、高濃度で再構成される。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドの濃度は1mMであり、再構成された溶液は200mMのNaHCO3緩衝液(pH8.3)を含む。上記結合体の合成は、かなり精製された二官能性PEGのゆっくりとした段階的付加によって開始される。好ましい実施形態では、PEGジオールは、スクシンイミジルプロピオン酸による誘導体化によって両端で活性化される(二活性化)。反応の後で、PEG−核酸結合体を、ゲル電気泳動または液体クロマトグラフィによって精製して、完全に結合したものと、部分的に結合したものと、非結合のものとに分ける。多数のPAG分子が連結し(例えば、ランダムまたはブロック・コポリマー)、またはより小さなPAG鎖が連結して種々の長さ(または分子量)を達成する。非PAGリンカーは、種々の長さのPAG鎖間で用いられる。
【0139】
本発明の一高分子量組成物は、以下:
【0140】
【化1】
(40K分岐PEG−配列番号19−0.1KDaPEG−配列番号35−0.1KDaPEG−配列番号36)の構造を有する。2’−O−メチル修飾ヌクレオチドに下線を引き、2’−フルオロ修飾ヌクレオチドをイタリックにした。2’−O−メチル、2’−フルオロ修飾は、ヌクレアーゼに対してアプタマーを安定化させてそのインビボでの半減期を高める。3’−3’−dTキャップもまたエクソヌクレアーゼ耐性を高める。例えば、米国特許第5,674,685号、第5,668,264号、第6,207,816号、および第6,229,002号を参照せよ。これらの各々の内容全体を本明細書の一部として援用する。
【0141】
(反応性核酸のPAG−誘導体化)
高分子量PAG−核酸−PAG複合体は、二つ以上の反応性部位を含む核酸であり、単官能性活性化PEGの反応によって調製される。一実施形態において、核酸は二反応性または二活性化であって、2つの反応性部位と、従来のホスホラミダイト合成(例えば、図2に示すような3’−5’−PEG化反応)を通してオリゴヌクレオチドに導入される5’−アミノ基および3’アミノ基と、を含む。他の実施形態では、反応性部位を、一級アミンが結合する部位として、例えば、ピリミジンの5−位、プリンの8−位、またはリボースの2’−位を用いて、内部位置に導入することができる。そのような実施形態では、核酸は数回活性化され、あるいは複数の反応性部位を持つことができて、多重活性化(multiply activated)と呼ばれる。合成および精製後、自然発生的な加水分解が最小化される一方で、オリゴヌクレオチド反応性部位による選択反応が促進される条件下で、修飾オリゴヌクレオチドを単活性化PEGと結合する。好ましい実施形態では、1メトキシ−PEGをスクシンイミジルプロピオン酸で活性化し、共役反応をpH8.3で実施する。二置換PEGの合成を誘導するために、化学量論的に過剰なPEGを、オリゴヌクレオチドの割合に比例させて供給する。反応後、PEG−核酸結合体の精製を、ゲル電気泳動または液体クロマトグラフィによっておこない、完全に結合したものと、部分的に結合したものと、非結合のものとに分ける。図2は、PEG化核酸アプタマーを合成するための2通りの戦略を説明するための図である。
【0142】
連結ドメインは、それに結合した1つ以上のポリアルキレングリコール部分を有することもできる。そのようなPAGを長さが異なるものにすることができ、また適当な組み合わせにすることで、組成物を所望の分子量にすることが可能である。
【0143】
特定のリンカーの効果は、その化学組成と長さとに影響される。あまりにも長いリンカー、あまりにも短いリンカー、または好適ではない立体化学的および/またはイオン相互作用を形成するリンカーは、アプタマーと標的とのあいだの複合体の形成を排除する。核酸間の距離にまたがるのに必要な長さよりも長いリンカーが、リガンドの有効量を減らすことで、結合安定性を低下させる可能性がある。したがって、標的に対する親和性を最大限にするために、リンカーの組成と長さとを最適化させることがしばしば必要となる。
【0144】
(薬学的組成物)
本発明は、アプタマー分子を含む薬学的組成物も包含する。この組成物は、内用に適し、また単独で、もしくは1種類以上の意訳的に許容される担体と組み合わせて、本発明の薬理活性化合物を有効量含む。これらの化合物は、もしも毒性があったとしても毒性がかなり低いという点で、特に有用である。
【0145】
本発明の組成物は、症状(例えば障害または障害)の処置または予防に用いることができ、あるいは患者でのそのような障害または障害の症状を軽減させるために用いることができる。本発明の組成物は、アプタマーが特異的に結合する標的に関連した、あるいは該標的によって引き起こされた障害または障害を患っている、あるいは該障害または障害にかかりやすくなっている被検体に対して投与するのに、有用である。
【0146】
上記標的の一例として、症状に関連したタンパク質が挙げられ、例えば、この標的タンパク質が症状を生じさせる。
【0147】
本発明の組成物を、症状を呈する患者を処置する方法で用いることができる。上記方法は、患者に対して、症状に関連した標的(例えば、タンパク質)に結合するアプタマーを含む組成物を投与することで、その標的に対する該組成物の結合が標的の生物学的機能を変え、その結果症状が処置される。
【0148】
症状を呈する患者、例えばこの発明の方法によって処置される患者は、哺乳類、より詳しくはヒトである。
【0149】
実際には、上記化合物またはその医薬的に許容される塩類の投与は、常食因子活性(緑内障および他の増殖性眼障害におけるTGFβ2媒介細胞増殖)を阻害するのに十分な量で、おこなわれる。
【0150】
本発明の1つの態様は、眼障害のために他の処置と組み合わせられた本発明のアプタマー組成物を含む。本発明のアプタマー組成物は、例えば、2つ以上のアプタマーを含むものであってもよい。いくつかの例では、本発明のアプタマー組成物は、1種類以上の本発明の化合物を含み、手術にあわせて投与、あるいは別の有用な組成物(例えば抗炎症剤、免疫抑制薬、または抗ウイルス薬)と組み合わせて投与される。さらにまた、先に述べたように、本発明の化合物の投与は、アルキル化薬、代謝拮抗物質、分裂抑制剤、または細胞毒性抗生物質のような化学療法薬と組み合わせておこなってもよい。一般に、そのような組合せに用いられる既知の治療薬の現在利用可能な剤形が適当である。
【0151】
「併用療法(combination therapy)」(または「共同療法(co−therapy)」)は、本発明のアプタマー組成物と、これらの治療薬の相互作用から有益効果を得ることを目的とする特異的処置療法の一部として、少なくとも第2の因子とを投与することを含む。組合せの有益効果は、治療薬の組合せから生じる薬物動態学的または薬力学的な相互作用を含むが、これに限定されるものではない。これらの治療薬を組み合わせた投与は、概して所定の期間(通常、選択される組合せによって、分、時間、日、または週)にわたって実施される。
【0152】
「併用療法」は、一般にはそうではないが、本発明の組成物に偶然的な、または任意の結果としてなる2種類以上のそれらの治療薬を個々の単独療法の一部として投薬することを包含することを目的としている。実質的に同時の方法では、「併用療法」は、すなわち、各々の治療薬が異なる時間(これらの治療薬の投与と同様に)に投与される経時的な方法の中のこれらの治療薬の投与または治療薬のうちの少なくとも2つを包含することを目的とする。実質的に同時投与を達成することができる。例えば、被検体に対して各治療薬が一定の比率で含まれた単一のカプセルを投与することで、あるいは各々の治療薬をそれぞれ単一のカプセルに入れて倍数単位で投与することができる。
【0153】
各々の治療薬の経時的投与または実質的同時投与は、適当な任意のルート、例えば、限定されるものではないが、局所ルート、経口ルート、静脈内ルート、筋内ルート、および粘膜組織を通る直接吸収によって、成し遂げられる。複数の治療薬を同一のルートで、あるいは異なるルートで投与することができる。例えば、選択された組み合わせの第1の治療薬を注射で投与する一方で、その組み合わせの他の治療薬を局所投与することが可能である。
【0154】
あるいは、例えば、全ての治療薬を局所投与してもよく、もしくは全ての治療薬を注射によって投与してもよい。治療薬が投与される順序は、かろうじて重要な意味を持つものではない。「併用療法」も、他の生物活性のある成分と非薬物療法(例えば手術)とのさらなる組合せで先に述べたように、治療薬の投与を包含することができる。併用療法が非薬物処置をさらに含む場合、治療薬と非薬物処置との組合せの相互作用からの有益効果が達成される限り、非薬物処置を任意の適当な時間に実施することができる。例えば、適当なケースでは、非薬物処置が治療薬の投与から、おそらく日または週単位で一時的に除去された場合でも、有益効果をいぜんとして達成することができる。
【0155】
本発明の化合物および他の薬理活性因子を、同時に、順々に、または組み合わせて、患者に投与することが可能である。本発明の組合せを使用する場合、本発明の化合物と他の薬理活性因子とが同じ医薬的に許容される担体にあってもよく、それによって同時に投与されることはいうまでもない。これらが、同時に投与される従来の経口剤形に含まれてもよい。「組み合わせ(combination)」という用語は、さらに、複数の化合物がそれぞれ別の剤形で提供され、順々に投与される場合のこともいう。
【0156】
好ましくは、眼治療薬の投与は、局所投与または結膜下注射による。ほとんどの眼薬の反復局所適用は、結膜下注射で達成される眼内薬物レベルと同等のレベルを結果としてもたらす。しかし、結膜下注射は、眼内への浸透が劣る薬剤(例えば抗生物質)を投与する場合は有利である。結膜下注射によって、高局所濃度の薬物が少量の投薬で得ることができるので、全身的な副作用が回避される。高組織中濃度を、角膜または結膜の上皮層に十分に浸透しない薬剤で得ることもできる。この方法は、局所用の薬物を確実に使用することは不可能な患者で有用である。眼内薬物を手術の終わりに注射することで、局所または全身薬物療法の必要性を回避することができる。結膜下注射は、前結膜とテノン嚢との間に針を通すことを伴う。このことを、眼瞼を通して、または直接結膜下空間におこなうことができる。テノン嚢は注入された薬物と眼球との間に横たわるので、強膜全体に吸収される薬物の量が最小化される。実際に、結膜下注射後の薬物吸収のメカニズムは、角膜を通しての二次的吸収による針穿刺部位を通しての薬物の単なる漏出であると考えられる。
【0157】
種々の眼障害は、結膜下コルチコステロイドを用いた治療を受ける。コルチコステロイドについては、下位結膜で投与された薬物がその下にある強膜を透過する。このことは、ランダムにそれを注射することよりむしろ炎症の部位に直に隣接して薬物を配置することの正当性を示唆している。5−フルオロウラシル(抗線維芽細胞因子)の結膜下注射が、リスクの大きい緑内障トラベクレクトミー手術後に、しばしば使われる。結膜下麻酔が、現在トラベクレクトミーまたは白内障手術のために球周囲または球後麻酔に代わるものとして使われる。
【0158】
結膜下薬物投与は、重篤な角膜障害(例えば細菌性潰瘍)の処置で有用である。全身薬物投与によって得ることができるかなり高濃度の抗生物質を、結膜下注射で影響を受けた角膜組織において達成することができる。結膜下抗生投与は、細菌性眼内炎の全身または硝子体内の抗生物質療法への最初のサプリメントとして有用でもある。
【0159】
本発明の組成物および併用療法は、本明細書に記載されているように、安定化剤、担体および/または被包製剤を含む種々の医薬賦形剤と組み合わせて投与可能である。
【0160】
注射可能な用途に適した剤形を滅菌し、注射針を容易に通過する性質が得られる程度に流動化させなければならない。また、それは製造及び貯蔵の条件下に安定でなければならず、さらにバクテリアおよび菌類のような微生物の汚染作用から守られなければならない。
【0161】
本発明の治療的または薬理学的組成物は、通常、医薬的に許容された媒体に溶解または分散された併用治療薬の成分が有効量含まれる。医薬的に許容可能な媒体または担体は、いずれかおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌薬および抗真菌薬、等張および吸収遅延剤等を含む。医薬作用物質に対してそのような媒体および薬剤を用いることは当技術分野で周知である。補助的活性成分を、本発明の治療用組成物に取り込むこともできる。
【0162】
医薬または薬理学的組成物の調製は、本発明の開示を検討することで当業者に理解される。概して、液溶体または懸濁液として、そのような組成物を、注射剤として、溶液または懸濁液、注射前の液体として適当な固形として、経口投与のための錠剤または他の固体として、時間放出カプセルとして、あるいは現在用いられている他の形態、例えば点眼、クリーム、ローション剤、塗剤、および吸入剤のいずれかとして、調製することができる。手術野での特定の領域を処置するために外科医、医師、または保健医療従事者による無菌製剤(例えば生理食塩水をベースとした洗浄液)の使用もまた、特に有用である。作動場所で特定地域を処置する外科医、医師またはヘルスケア従事者による無菌の製剤(例えば生理食塩水に基づく洗浄)の使用は、特に有用であることもできる。組成物の送達を、微小装置、微小粒子、またはスポンジを介しておこなうことも可能である。
【0163】
製剤に対して、投薬剤形と互換性がある方法で、また薬理学的に効果がある量で、治療薬が投与される。製剤は種々の剤形(例えば上述の注射可能溶液のタイプ)で容易に投与されるが、薬物放出カプセル等を用いることもできる。
【0164】
この文脈において、投与される組成物の活性成分量および容量は、処置される宿主動物次第である。投与のために必要な活性化合物の正確な量は、開業医の判断次第であって、各々の個体に特有である。
【0165】
活性化合物を分散させるのに必要な組成物の最小量が典型的に利用される。投与のための適当な方法は、可変的でもあるが、典型的には、まず初めに化合物を投与し、その結果をモニターし、さらなる間隔でさらに制御された用量を与える。
【0166】
錠剤またはカプセル(例えばゼラチンカプセル)の剤形での経口投与のために、薬物活性成分を、エタノール、グリセロール、水等の非毒性で経口投与される医薬的に許容可能な不活性担体と組み合わせて投与することができる。さらに、所望もしくは必要な際に、適当なバインダー、滑沢剤、崩壊剤、および色素を混合物に取り込ませることもできる。適当なバインダーとして、澱粉、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンのり、ゼラチン、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、および/またはポリビニルピロリドン、天然の糖(例えばブドウ糖またはベータ‐ラクトース)、穀物甘味料、天然ゴム(例えば、アカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム)、ポリエチレングリコール、ワックス等を含む。これらの剤形で使用される滑沢剤として、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、二酸化ケイ素、滑石、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩またはポリエチレングリコールが挙げられる。崩壊薬は、澱粉(メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム澱粉、寒天、アルギン酸またはそのソーダ塩)または起沸性混合物、などを含むが、これに限定されるものではない。希釈剤として、例えば、ラクトース、ブドウ糖、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシンが挙げられる。
【0167】
注射可能組成物は、望ましくは水性の等張液または懸濁液であり、坐薬は脂肪乳化剤または懸濁液から有利に調製される。組成物を殺菌することが可能であり、または/あるいは佐剤(例えば保存剤、安定化剤、湿潤または乳化剤、溶液プロモーター、浸透圧を調整するための塩類、および/または緩衝液)を含むものであってもよい。加えて、それらは他の治療的に有益な物質を含むことも可能である。上記組成物は、それぞれ従来の混合、造粒、または塗被法によって調製され、活性成分の含有量が約0.1〜75%、好ましくは約1〜50%である。
【0168】
本発明の化合物を、持効性および徐放性錠剤のような経口の剤形またはカプセル、ピル、散剤、顆粒、エリキシル剤、チンキ、懸濁液、シロップ剤、およびエマルジョンとして投与することもできる。
【0169】
液体、特に注射可能な組成物は、例えば、溶解または分散することによって調製することができる。活性成分を医薬的に精製された溶媒(例えば、水、生理食塩水、水溶性デキストロース、グリセロール、およびエタノール)に溶解することで、注射可能な溶液または懸濁液が作られる。その上、注射に先だって液体に溶解するために適当な固体形態を、処方することができる。注射可能組成物は、望ましくは水性の等張液または懸濁液である。組成物は殺菌可能であり、および/または佐剤(例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤、または乳化剤、溶液プロモーター、浸透圧を調整するための塩類、および/または緩衝液)を含むことができる。加えて、それは他の治療的に有益な物質を含むこともできる。
【0170】
本発明の化合物を、静脈内(ボーラスおよび注入)、腹腔内、皮下、または筋内形態で投与することができ、これらは全て全当医薬技術分野で当業者に周知の形態が用いられる。注射剤は、従来の形態、すなわち液体溶液または懸濁液として調製される。
【0171】
非経口注射剤投与が、通常、皮膚、筋内、または静脈あるいは注入に対して一般に用いられる。さらに、非経口投与のための1つのアプローチは、緩効性または徐放性の系を移植することである。米国特許第3,710,795号(本明細書に援用)によれば、このことによって、一定レベルの投薬が保たれることが保証される。
【0172】
さらに、本発明にとって好ましい化合物を、適当な鼻腔内ビヒクル局所投与を介して、または当業者に周知の経皮用スキン・パッチを用いて経皮ルートを介して、投与することができる。経皮送達系の形態で投与するために、投薬量投与は、もちろん、投与計画の全体を通じて断続的であるというよりはむしろ連続的である。他の好ましい局所製剤として、活性成分の濃度が0.01%ないし15%(w/wまたはw/v)まで変動するクリーム、軟膏、ローション剤、エアゾール・スプレー、およびゲルが挙げられる。
【0173】
固形組成物のために、医薬等級のマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、滑石、セルロース、ブドウ糖、スクロース、炭酸マグネシウム等を含む賦形剤を用いることが可能である。上に定義した活性化合物を、例えば、ポリアルキレン・グリコール(例えば、プロピレングリコール)を用いて坐薬として処方してもよい。いくつかの実施形態では、坐薬は脂肪乳化剤または懸濁液から有利に調製される。
【0174】
本発明の化合物はまた、小型単層ベシクル、大型単層ベシクル、および多層ベシクルのようなリポソーム送達系の形態で投与できる。リポソームは、種々のリン脂質から形成でき、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンを含む。いくつかの実施形態において、米国特許第5,262,564号で述べられるように、脂質成分の被膜を、薬物をカプセル化している脂質層を形成するために、薬物の水溶液によって水和する。例えば、本明細書に記載したアプタマー毒性および/リボ・レポーター分子が、当技術分野で公知の方法を用いて、脂肪親和性化合物または非免疫原、高分子量化合物との複合体として提供される。核酸結合複合体の例は、米国特許第6,011,020号で提供されている。
【0175】
本発明の化合物はまた、標的となりうる薬剤担体としての溶解性ポリマーに結合させることもできる。そのようなポリマーとして、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリ・ヒドロキシプロピル−メタクリルアミド−パラ−へノール、ポリヒドロキシエチレンスパンアミドフェノール、またはパルミトイル残基によって置換されたポリエチレンオキシドポリリジンを挙げることができる。さらにまた、本発明の化合物は有用な薬物の徐放を達成する上で有用な生分解性ポリマーのクラスと結合することも可能であり、該ポリマーとして、ポリ乳酸、ポリエプシロン・カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリル酸、およびヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロック・コポリマーが挙げあれる。
【0176】
必要に応じて、投与される薬学的組成物は、僅かな量の無毒の補助物質(例えば湿潤剤または乳化剤)、pH緩衝剤、ならびに他の物質(例えば酢酸ナトリウムおよびトリエタノールアミン・オレイン酸剤)を含むことも可能である。
【0177】
化合物を利用している投与計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性、および症状、処置すべき症状の重症度、投与経路、患者の腎機能および肝性機能、および特定の化合物もしくはそれに用いられる塩を含む種々の因子に従って選択される。通常熟練した医師または獣医は、状態の経過を予防するか、対処するか、抑えることが要求される薬物の有効量を容易に決めることができ、また処方することができる。
【0178】
本発明の経口投与は、示された効果に対して用いられる場合、経口的に約0.05〜1,000mg/日の範囲で変動する。成物は、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100.0、250.0、500.0、および1,000.0mgの活性成分を含んでいる記録された錠剤の形で、好ましくは提供される。本発明の化合物の効果的血漿レベルは、1日で体重1kgあたり0.002mgから50mgの範囲で変動する。本発明の化合物を単一の1日量で投与することが可能であり、あるいは1日の総投与量が毎日2、3、または4回の分割量で投与してもよい。
【実施例】
【0179】
(実施例1)
(TGFβ2タンパク質の精製および特徴付け)
完全長ヒトTGFβ2成熟タンパク質をコードする合成ポリヌクレオチドをpRSET 大腸菌(E.coli)発現ベクターにクローニングし、さらにBL21(pLys)株の形質転換を行った。形質転換細胞を、TGFβ2タンパク質が高レベルで発現しかつ封入小体を形成する条件下で、成長させた。封入小体を精製し、可溶化した。TGFβ2を再び折り重ね、S75サイズ排除クロマトグラフィー(図4A)により精製した。His標識TGFβ2もまた、His6プラスTGFβ2のN末端の30の余分なアミノ酸を加えることで生成した。位置59(S→T),60(R→K)そして94(K→N)の突然変異体、ここではS59T/R60K/K94N突然変異体と呼ぶ、を突然変異生成により導かれた部位に導入した。His標識と突然変異TGFβ2の両方を、野生型TGFβ2に関わるものと同じ手順を用い、発現し、再び折り重ね、そして精製した。図4Bは、S75サイズ排除クロマトグラフィーでのTGFβ2の溶出プロフィルを示し、TGFβ2ダイマーを含む断片のピークが図4CのPAGEバンドに対応することを、図4Bのボックスで指し示してある。
【0180】
(実施例2)
(TGFβ2タンパク質のTGFβ2特異的アプタマーへの結合)
アプタマーを精製されたヒトまたは齧歯類のTGFβ2タンパク質に結合するための解離定数を、32P標識RNAを用いたニトロセルロース・フィルター・パーティショニングにより測定した。インビトロで、転写されたRNAを子牛の腸のアルカリ性ホスファターゼ(New England Biolabs)で処理し、5’−トリホスファターゼを取り除いた。次いで、γ−32P−ATPとT4ポリヌクレオチドキナーゼ(New England Biolabs)による培養で放射標識した。組み込まれなかった標識はゲルフィルタレーションで取り除いた。このRNAを更にポリアクリルアマミドゲル電気泳動(PAGE)により精製した。水中の精製された32P標識アプタマーは使用の直前に、95℃で3分間加熱し、次いで結合緩衝液(50mM Hepes、pH7.4、1mM MgCl2、1mM CaCl2、3mM KCl、140mM NaCl、0.1 mg/ml BSA、0.01mg/ml tRNA)中で10分間室温培養することで、折り重ねた。結合反応(100μL)はアプタマー(<0.1nM)を過剰なTGFβ2タンパク質(0.2〜100nM)に加えることで開始させ、次いで10〜30分間室温で平行状態にさせた。
【0181】
ニトロセルロース・フィルターパーティショニングはミニホルド(Minifold(登録商標)1、96−ウエル・ドット・ブロット・マニホルド(well Dot−Blot manifolds)(Schleicher&Schuell)上で実施した。タンパク質結合アプタマーと残りのフリーアプタマーを、夫々、湿ったプロトラン(Protran)ニトロセルロース(Schleicher&Schuell)とハイボンドP(Hybond−P)二フッ化ビニリデン樹脂(Amersham Biosciences)フィルター上で真空吸引しつつ捕捉し、ホスファーイメージャー(Amersham Biosciences)で定量化した。夫々のTGFβ2濃度でのタンパク質結合アプタマーの割合は、プロトランとハイボンド−Pフィルター(CPMtotal)上の分当たりカウント(CPM)に対するプロトランニトロセルロースフィルター(CPMNC)上の分当たりカウントの比率によりプロットした。解離定数(KD)の推計は、TGFβ2の濃度(即ち,[TGFβ2])に依存するデータを標準結合等温線に適合させることで入手した:
CPMNC/CPMtotal=Cmax/(1+KD/[TGFβ2]total)
ここで、Cmaxは飽和[TGFβ2]においてCPMNC/CPMtotalの最高観測値と等しく、このことはTGFβ2を認識する能力のある正しく折り重ねられたアプタマーの割合を反映していると思われる。
【0182】
(競合アッセイ) 高分子量のポリエチレングリコール(PEG)成分で修飾されたある種のアプタマーは、ニトロセルロースに非特異的に結合するので、標準的なニトロセルロース・フィルターパーティショニング測定には敏感に反応しなかった。こうしたアプタマーは、十分特性付けのされた例えばARC77といったアプタマーとの競合において、測定した。
【0183】
アプタマー競合反応は、32P標識ARC77(<0.1nM)の結合緩衝液中で、標識されていない競合アプタマー(0.05−300nM)の濃度を増していく事前培養により準備した。結合反応を、アプタマーサンプルをTGFβ2タンパク質に加えることで開始し、2.5nMの最終的なタンパク質濃度を得た。非放射性標識(コールド)競合相手が存在しない場合、32P標識ARC77の〜約30%は、一般的にはこの[TGFβ2]でポロトランニトロセルロース膜に結合することが観察できた。結合される32P標識ARC77の減少は、競合相手の濃度増加の関数として観察でき、次のモデルによりうまく説明できた。
【0184】
【数1】
式中、A*は32P標識ARC77、PはTGFβ2タンパク質、Aは非放射性標識(コールド)競合アプタマー、K1はタンパク質と放射性標識(ホット)アプタマー間の相互作用のための解離定数、そしてK2はタンパク質と非放射性(コールド)アプタマー間の相互作用のための解離定数である。K2の推計は、[A*]<<[P]totalの条件下でこのモデルから導かれた方程式2にデータを適合させ、CPMNC/CPMtotal 対 [非放射性標識(コールド)競合相手]([A]total)をプロットすることで入手した。
【0185】
【数2】
式中、[P・A]は2次方程式で記述できる。
【0186】
【数3】
各々の競合測定は、上記の標準結合測定により決定されたK1の独立した計測を伴い、それを適合の中に含めた。
【0187】
図5Aと5Bは、TGFβ2特異的アプタマーの変化する濃度へのTGFβ2タンパク質の結合を示している。(A)32P標識ARC77(<0.1nM)を、ヒト(黒丸)またはラット(白四角)TGFβ2タンパク質の濃度増加と共に培養し、結合をニトロセルロース・フィルター・パーティショニングで分析した。これらのアプタマーのKd値は、ARC77は3.6+/−0.6、ARC78は4.0+/−0.5、そしてARC81は5.1+/−0.4であった。Kdの推計はデータを方程式1に適合して入手した。(B)代替的に、アプタマー解離定数の推計をヒトTGFβ2に結合するための32P標識ARC77との競合から入手した。非放射標識ARC77(白三角)とARC81(黒四角)の競合結合の結果(図5Bで示される)は、データを上記方程式2に適合させることで入手した。
【0188】
(実施例3)
(TGFβ2アプタマーの種特異的結合)
本発明による3つのアプタマー組成物、ARC77、ARC78、そしてARC81について、ヒトおよび齧歯類TGFβ2への種結合特異性および結合親和性に関し、実施例2の方法により比較した。
【0189】
図6Aおよび6Bで見られるとおり、ARC81アプタマーはMLEC増殖のヒトTGFβ2仲介による阻害を逆転させた。図6Aは、ARC77、ARC78そしてARC81アプタマーが、50pg/mLのTGFβ2の対増殖効果を阻害することを示している。コントロールとして入れておいた抗TGFβ2抗体(R&D,AF−302−NA)もまた細胞増殖上の眼房水の低濃度効果を逆転させた。図6Bは、ARC77アプタマーが齧歯類版よりTGFβ2のヒト型に対してより効力のあることを示している。総じて、これらのデータはARC77、ARC78そしてARC81アプタマーが細胞増殖を用いて測定されるTGFβ2の生物活性を逆転させうることを示している。ARC77アプタマーはまた、齧歯類に対するTGFβ2のヒト版への特異性を実証した。図6Cは、ARC77アプタマーが、ヒト野生型(WT)、マウス(NTK)そしてヒトTGFβ2のN末端His標識版に対し異なった結合親和性を持つことを示している。即ち、ヒト野生型(WT)で2.5+/−0.3nM、マウスで80+/−5nM、そしてHis標識で>500nMとなる。
【0190】
MLECをウエル当たり2,000細胞ずつプレートし、37℃で4時間培養した。アプタマーとTGFβ2を表示された濃度で、37℃で16時間にわたり追加した。細胞増殖をBrdU incorporationを用いて計測した。BrdU測定は製造者(Roche Diagnostics)の推奨どおりに行った。
【0191】
(実施例4)
(眼房水抗原投与(Challenge)測定)
ARC81は眼房水により仲介されるMLEC増殖の阻害を逆転する。図7Aは、1000nMのARC81が低濃度ウサギ眼房水(たとえば、<10%)の増殖抑制効果を阻害したことを示している。コントロールとして入れておいた対TGFβ2抗体(R&D、AF−302−NA))もまた、細胞増殖に関わる低濃度眼房水の効果を逆転させた。図7Bと7Cは、ARC81抗体および抗TGFβ2抗体が、用量依存性方式よりMLEC増殖のウサギ眼房水の仲介による阻害を救ったことを示している。総じて、これらのデータはARC81アプタマーが眼房水内でのTGFβ2の生物活性を逆転させうることを示している。
【0192】
(MLECアッセイ) ミンクの肺上皮細胞増殖測定を2日間かけて実施した。第1日(1−1)ミンク肺上皮細胞(MLEC)から培地を吸引採取した。
(1−2)MLECを10mlの1×PBSで洗った。(1−3)3mLのトリプシンを加え、37℃で3分間トリプシナイズした。(1−4)10mLの0.5% FBS培地でクエンチした。(1−5)1000rpmで3.3分間スピンした。(1−6)上清を吸引した。(1−7)ペレットを10mlの0.5% FBSメディアで再懸濁した。(1−8)10μLの細胞懸濁を数えた。(1−9)細胞密度をmL当たり80,000細胞に調整した。(1−10)ウエル当たり50μLの細胞を黒底の96ウエルプレートに加えた(ウエル当たり4,000細胞)。プレーティング過程において、細胞の沈殿と不均等なプレーティングを避けるために、ピッペットアップ・ダウンを行った。(1−11)5% CO2の中で37℃にて4時間細胞を培養し、細胞の粘着性を増加させた。(1−12)アプタマー(または、メディア、または例えば抗体などの試験試薬)を25μL加えた。好ましくは、外側のウエルは細胞の処理には使用しない。(1−13)TGFβ2(一般的には25pg/mL)を25μL加えた。そして、(1−14)5%CO2中で37℃にて一晩細胞を培養した。
【0193】
第2日(2−1)20μLのBrdUを2mLの0.5%FBS培養液に混合した。(2−2)BrdU混合液を10mL/ウエル加えた。(2−3)細胞を5%CO2中で37℃にて3時間培養した。(2−4)培養液を取り除き、プレートをペーパータオル上でふき取って乾かした。(2−5)ウエル当たり200μLのFixDenat溶液を加え、室温(RT)で30分間培養した。(2−6)FixDenat溶液を取り除き、プレートをペーパータオル上でふき取って乾かした。(2−7)ウエル当たり100μLのanti−BrdU POD溶液を加え、室温で90分間培養した。(2−8)anti−BrdU POD溶液を取り除き、プレートをペーパータオル上でふき取って乾かした。(2−9)プレートを200μL/ウエルの洗浄溶液で3回洗い、5分間室温で培養し、次いでプレートをペーパータオル上でふき取って乾かした。(2−10)基質溶液を100μL/ウエル加え、室温、暗闇中で3分間培養した。そして(2−11)PSPルシフェラーゼ1プログラムによりTopCount(Packard Bioscience Co.,Downers Grove,Ill.)上でプレートを読んだ。
【0194】
MLECは2000細胞/ウエルをプレートし、37℃で4時間培養した。アプタマー、抗体、眼房水そしてTGFβ2を指示された濃度で37℃にて16時間にわたり加えた。細胞増殖をBrdU incorporationを用いて計測した。BrdU測定は製造者(Roche Diagnostics)の推奨どおりに行った。
【0195】
(実施例5)
(TGFβ2−特異的アプタマーの選択最小化および特徴付け)
本発明の修飾RNAアプタマー、例えばARC77(配列番号1)は、天然ヒトTGFβ2に結合し、ミンク肺上皮細胞(MLEC)阻害アッセイでのTGFβ2効果を阻害することができる。このアプタマーの生化学的特徴付けをさらにおこなうために、成熟TGFβ2の2つの形態である天然のものおよびN末端His標識されたものを大腸菌(E.coli)で生成した。再折りたたみおよび精製後、複数の機能的TGFβ2を得た。これらのTGFβ2は細胞ベースのアッセイで活性を示した。アプタマーに対する親和性がかなりの程度に減少する間、N末端の標識(タグ)が活性とアプタマー結合とに影響を及ぼした。さらに、2つの変異体TGFβ2(標識K94NおよびS59T/R60K/K94N)を、TGFβ2の既知のアイソフォームに基づいて生成した。K94N変異体は、天然のTGFβ2の結合に相当する親和性で、アプタマーに結合することができた。しかし、S59T/R60K/K94N変異体は、アプタマーに対する親和性が著しく低下していた。同様に、アプタマーは、細胞ベースのアッセイで、S59T/R60K/K94N突然変異体の生物活性よりも高い力価で天然およびK94N TGFβ2sの生物活性を阻害した。公開されている結晶構造に基づいて、59位および60位での置換はダイマーインタフェースの近傍にあり、またTGFβ2のN末端に隣接し、さらに94位での他の置換はII型アクセプター結合部位に近い。可溶性TGF−bアクセプターによる結合競合アッセイは、III型アクセプターがアプタマー結合と競合するが、II型アクセプターとは競合しないことを明らかにした。データは、2つのアプタマーが1つのダイマーTGFβ2に結合し、本発明のアプタマーがTGF−bIII型アクセプター結合部位近傍またはその部位に結合し、その生物学的機能を阻害することを示した。
【0196】
アプタマーの最小化および突然変異誘起/修飾分析。図8Aは、配列番号1(ARC77)のTGFβ2アプタマーの選択、最小化および特徴付けを説明するための図である。残基の欠失と、それによって生ずる結合親和性に対する効果とを、図8A中の文章で、また図8B中の表で示す。図8A中、囲まれた残基は、高度に保存された残基を示す。TGFβに対するアプタマーの親和性の測定を、ドットブロット法によるタンパク質結合アッセイによっておこなった(図8B)。TGFβ2アプタマーは、MLE細胞増殖に対するTGFβ2の阻害効果を覆すことができる。スクランブルされたアプタマー(図8C中、「ARC77転写(transcribed)」と標識された)を負のコントロールとして用い、一方TGFβ中和抗体を正のコントロールとして用いた(不図示)。
【0197】
図9は、スクリーンで測定されるアプタマー/TGFβ2ダイマーのストイキオメトリーを示す。フルオレセインまたはビオチンで標識された異なる濃度のアプタマーを、抗FITCアクセプタービーズまたはストレプトアビジン・ドナー・ビーズに結合させ、TGFβ2ホモダイマーで処理した。シグナルの測定は、フュージョン(Fusion)プレート・リーダー((Packard Bioscience Co.,Downers Grove,Ill.)を用いておこなった。
【0198】
図10Aは、種々の修飾および/または突然変異の効果を野生型TGFβ2に対して測定することで得られたTGFβ2のアプタマー結合部位のマッピングを示す。3種類のヒトTGFβ2変異体(すなわち野生型TGFβ2、長い標識(タグ)形状のTGFβ2、および短い標識(タグ)形状のTGFβ2)について試験した。また、2種類の突然変異体についても試験した。K94NおよびS59T/R60K/K94N突然変異を、クイック・チェンジ部位特異的突然変異によって、野生型TGFβ2に導入した。これらのタンパク質(すなわち、野生型(S59T)、R60K/K94N、K94N、N長タグTGFβ2、およびN短タグTGFβ2)の各々を、TGFb2アプタマーの存在下でインキュベートし、それらのEC100値、結合親和性、およびIC50値(nM)を測定した(図10B)。これらのタンパク質に対するアプタマーの結合親和性をドットプロットによって測定した。アプタマーの阻害活性のIC50値を、MLEC増殖アッセイによって測定した。
【0199】
図11は、トランスフォーミング成長因子III型アクセプターがTGFβ2でアプタマーの結合を遮断することができることを示す。TGFβ2とのアプタマー結合を決定するドットブロット法によるアッセイを、可溶性III型またはII型アクセプターのいずれかとTGFβ2をプレインキュベートした後に実行した。Ki値の算出を、データを単一競合モデルデータにあてはめることでおこなった。
【0200】
(表1 アプタマー配列)
配列番号1 ARC77−TGFβ2
5’−GGAGGfUfUAfUfUAfCAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfCfC−3T−3’
配列番号2 ARC78−TGFβ3
5’−NH2−GGAGGfUfUAfUfUAfCAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfCfC−3T−3’
配列番号3 ARC79−TGFβ2
5’−mGmGmAmGmGfUfUAfUfUmAfCmAmGmAmGfUfCfUGfUAfUAmGfCfUmGfUmAfCfUfCfc−3T−3’
配列番号4 ARC81−TGFβ2
5’−NH2−mGmGmGmGfUfUAfUfUmAfCmAmGmAmGfUfCfUGfUAfUAmGfCfUmGfUmAfCfCfC−3T−3’
配列番号5 ARC82−TGFβ2
5’−mGGmGmGfUfUmAfUfUAfCAmGmAmGfUfCfUmGfUmAfUmAmGfCfUmGfUAfCfCfC−3T−3’
配列番号6 ARC111−TGFβ2
5’−[20KPEG]−NH2−GGAGGfUfUAfUfUAfCAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfCfC−3T−3’
配列番号7 ARC112−TGFβ2
5’−[PEG30K]−NH2−GGAGGfUfUAfUfUAfCAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfCfC−3T−3’
配列番号8 ARC113−TGFβ2
5’−[PEG40K]−NH2−GGAGGfUfUAfUfUAfCAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfCfC−3T−3’
配列番号9 ARC117−TGFβ2
5’−[PEG20K]−NH2−mGmGmGmGfUfUAfUfUmAfCmAmGmAmGfUfCfUGfUAfUAmGfCfUmGfUmAfCfCfC−3T−3’
配列番号10 ARC118−TGFβ2
5’−[PEG30K]−NH2−mGmGmGmGfUfUAfUfUmAfCmAmGmAmGfUfCfUGfUAfUAmGfCfUmGfUmAfCfCfC−3T−3’
配列番号11 ARC119−TGFβ2
5’−[PEG30K]−NH2−mGmGmGmGfUfUAfUfUmAfCmAmGmAmGfUfCfUGfUAfUAmGfCfUmGfUmAfCfCfC−3T−3’
配列番号12 ARC120−TGFβ2
5’−[PEG20K]−NH2−mGGmGmGfUfUmAfUfAfCAmGmAmGfUfCfUmGfUmAfUmAmGfCfUmGfUAfCfCfC−3T−3’
配列番号13 ARC121−TGFβ2
5’−[PEG30K]−NH2−mGGmGmGfUfUmAfUfUAfCAmGmAmGfUfCfUmGfUmAfUmAmGfCfUmGfUAfCfCfC−3T−3’
配列番号14 ARC122−TGFβ2
5’−[PEG40K]−NH2−mGGmGmGfUfUmAfUfUAfCAmGmAmGfUfCfUmGfUmAfUmAmGfCfUmGfUAfCfCfC−3T−3’
配列番号21 ARC152−TGFβ2
5’−[NH2]−mGmGmAmGmGfUfUAFUfUmAfCmAmGmAmGfUfCfUGfUAfUAmGfCfUmGfUmAfCfUfCfC−3T−3’
配列番号4 ARC154−TGFβ2
5’−[NH2]−mGmGmAmGmGfUfUAfUfUmAfCmAmGmAmGfUfCfUGfUAfUAmGfCfUmGfUmAfCfUfCfC−3T−3’
配列番号23 ARC155−TGFβ2
5’C−[NH2]−mGGmGmGfUfUmAfUfUAfCAmGmAmGfUfCfUmGfUmAfUmAmGfCfUmGfUAfCfCfC−3T−3’
配列番号24 ARC156−TGFβ2
5’−[tatp]−[NH2]−mGGmGmGfUfUmAfUfUAfCAmGmAmGfUfCfUmGfUmAfUmAmGfCfUmGfUAfCfCfC−3T3’
配列番号25 ARC157−TGFβ2
5’−[antp]−[NH2]−mGGmGmGfUfUmAfUfUAfCAmGmAmGfUfCfUmGfUmAfUmAmGfCfUmGfUAfCfCfC−3T−3’
配列番号26 ARC158−TGFβ2
5’−[arg7]−[NH2]−mGGmGmGfUfUmAfUfUAfCAmGmAmGfUfCfUmGfUmAfUmAmGfCfUmGfUAfCfCfC−3T−3’
配列番号27 ARC159−TGFβ2
5’−[NH2]−[NH2]−mGmGmAmGmGmUmUmAmUmUmAmCmAmGmAmGmUmCmUmGmUmAmUmAmGmCmUmGmUmAmCmUmCmC−3T−3’
。
【0201】
(実施例6)
(癌障害処置でのPDGFアプタマー)
血小板由来増殖因子(PDGF)は、強い分裂促進因子(マイトジェン)であって、種々の増殖性障害において重要な役割を果たすことが知られている。下記の表1は、マウスで試験された眼障害処置で有用な3種類の試料アプタマーの投薬濃度を示す。若い週齢5〜6週目の雄マウスに対して静脈内投与する用量を1mg/kgとし、あるいは皮下投与する用量を1、5、および20mg/kgとする。静脈内投与後に取られる時間点を、0、5、10、20、および40分、1、2、4、6、8、および10時間とする。皮下投与後の時間点を0、10、20、および40分、1、2、4、6、8、10、および12時間とする。ARC125(配列番号16)およびARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)に対する結合親和性がkd値100pMでPDGF・ABとBBとを結合する。ARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)を、ssDNAプールから選択し、その後2’−O−メチル(下線)および2’−フッ化(イタリック)によって修飾した。2’−O−メチル、2’−フッ化修飾は、ヌクレアーゼに対してアプタマーを安定化させ、インビボでの半減期を増加させる。3’−3’−dTキャップは、ポリヌクレオチド末端加水分解酵素に対する耐性を増加させる。40K PEG群は、ARC126のPK特性を増加させる。
【0202】
(表2 PDGF特異的アプタマー)
【0203】
【表2】
1:aアニオン交換HPLCおよび/CGEで測定
2,3:アプタマー重量のみを用いて計算
ARC123(配列番号15)、ARC124(配列番号16)、およびARC125(配列番号17)をssDNAから選択し、PDFG・ABおよびBBアクセプターとKd値100pMで結合させた。これらは任意の修飾基を持たないが、エクソヌクレアーゼ耐性を増加させるために3’−3’−dTキャップを有する。
【0204】
(表3 PDGFアプタマー)
ARC123(配列番号15):
5’−TdGdGdGdAdGdGdGdCdGdCdGTTdCTTdCdGTdGdGTTdAdCTTTTdAdGTdCdCdCdG−3T−3’
ARC124(配列番号16):
5’−dCdAdCdAdGdGdCTdAdCdGdGdCdAdCdGTdAdGdAdGdCdATdCdAdCdCdATdGdATdCdCTdGTdG−3T−3’
ARC125(配列番号17):
5’−TdAdCTdCdAdGdGdGdCdAdCTdGdCdAdAdGdCdAdATTdGTdGdGTdCdCdCdAdATdGdGdGdCTdGdAdGTdA−3T−3’
ARC126(配列番号18−PEG−配列番号33−PEG−配列番号34)(機能性アプタマー):
5’−[NH2]−dCdAdGdGdCfUdAfCmG(配列番号18)−PEG−dCdGTdAmGdAmGdCdAfUfCmA(配列番号33)−PEG−TdGdATfCfCfUmG−3T−3’(配列番号34)
ARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)(PEG化機能性アプタマー):
5’−[PEG40K]−NH2-dCdAdGdGdCfUdAfCmG(配列番19)−PEG−dCdGTdAmGdAmGdCdAfUfCmA(配列番号35)−PEG−TdGdATfCfCfUmG−3T−3’(配列番号36)
ARC128(PEG−配列番号20−PEG−配列番号37−PEG−配列番号38−3T)(スクランブルされたコントロール):
5’−[PEG40K]−NH2−dCdAdGfCmGfUdAfCmG(配列番号20)−PEG−dCdGTdAdCdCmGdATfUfCmA(配列番号37)−PEG−TdGdAdAdGfCfUmG−3T−3’(配列番号38)
。
【0205】
図13Aおよび13Bは、ARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)の結合曲線およびKd値を示すもので、ARC127がPDGFのBBおよびABアイソフォームを認識するが、AAアイソフォーム単独に対しては認識しないことを示している。図14Aおよび図14Bは、ARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)が、等しい親和性で、ヒトおよびラットPDGFに結合すること、さらにPDGF誘導3T3細胞増殖を阻害するARC127の能力が、PDGF誘導3T3増幅を阻害する抗PDGF抗体(アップステート/細胞シグナリング溶液)の能力に匹敵することを示している。
【0206】
図15に示される一連の画像は、ARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)が特に網膜色素性上皮性(RPE)細胞の移動を妨げることを示し、その一方でARC128(PEG−配列番号20−PEG−配列番号37−PEG−配列番号38−3T)(コントロールとして使用されるスクランブルされたアプタマー)が活性を持たないことを示している。特に、図15AはPDGFが存在しない場合のRPE細胞の移動を示す。図15Bは、100ngの/mlのPDGFで、RPE細胞の移動を示す。図15Cは、PDGFおよび100mMのARC127によるRPE細胞の移動を示す図であり、ARC127の阻害効果を示す。図15Dは、PDGFおよび100mMのARC128によるRPE細胞の移動を示す図であり、スクランブルされたアプタマーコントロール(すなわち、ARC128)による阻害効果が無いことを示している。図15Eおよび15Fに示すグラフは、RPE細胞移動の際のPDGF濃度の増加性効果を表す。
【0207】
図16は、37℃、95%血漿でのARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)のインビトロ血漿安定性を示す。修飾ARC127の半減期(t1/2)は、全DNA含有量のt1/2よりも14倍大きかった。
【0208】
(実施例7)
(ARC127の薬物動態学および生物活性プロフィール)
薬物動態研究(03002〜002)を実施して、マウスでの静脈内(IV)、腹腔内(IP)、および皮下(SC)投与を介するARC127の薬物速度論を決定した。下記の表4は、腹腔内投与および皮下投与に対するバイオアベイラビリティがIV、IP、およびSCで高いことを示している10mg/kg用量での研究の結果を示す。
図17は、IV、IP、およびSC経路による投与を介して50時間後用量を通してARC127アプタマーの濃度をnMで示す。ARC127は、すでに以下の特徴を持つことがわかっている。すなわち、解離定数(kd)が100pM、細胞IC50値が2nM、細胞毒性観察されず、糸球体腎炎、再狭窄、癌、および肺高血圧症のための動物モデルの有効性、1mg/kgでのCmaxが2μM、溶解度が20mg/ml、ならびに全身半減期が、実施例12に示すように、6〜12時間(静脈内注射)および3.87日(硝子体内注射)である。ARC127は種々の投与経路によって注射可能であり、該経路として静脈内、腹腔内、皮下、および硝子体内が挙げられる。ARC127のバイオアベイラビリティが、腹腔内注射を経た場合62.5%であり、皮下注射を経た場合24.0%であることがわかった。
【0209】
(表4 10mg/kgでのマウスのIV、IP、およびSCを経たARC127の薬物動態学的なプロフィール)
【0210】
【表4】
本明細書で用いられるように、Cmaxは最大観察血清中濃度または最大観察血漿中濃度のことをいう。AUCは濃度−時間曲線下の領域のことをいう。AUClastは、最終時点までの濃度−時間曲線下の領域のことをいう。AUCinfは、無限に推定される場合の濃度−時間曲線下の領域のことをいう。T1/2は、終端の半減期のことをいう。Clは、クリアランスのことをいう。MRTは、平均滞留時間のことをいう。MRTinfは、無限の平均滞留時間のことをいう。さらに、Vssは見かけの分布容積のことをいう。
【0211】
さらに、第2の研究を、ARC127後IV投与の生物活性プロフィールを決定するために実行した。競争結合実験データの結果は、薬物動態学的なデータと整合していて、ARC127がインビボで48時間以上、測定可能な活性を出すことを示す(図18を参照せよ)。これらのデータは、ARC127が、Kd値が100pMで細胞IC50値が2nMであるインビボ有効性による強力な抗PDGFアプタマーであることを証明する。加えて、この有効性は、多数のインビボモデルで示された。薬物動態学的/薬力学的研究は、ARC127の全身半減期が6〜12時間、1mg/kgでのCmaxが2μMであることを示している。また、実施例4に記載したアッセイを用いて測定したように、ARC127は硝子体液中での半減期が3.5日であった。一緒にすると、ARC127が強力な抗PDGFアプタマーであること示しているこれらのデータは、抗VEGF因子と同時投与した場合に、新規抗血管新生特性を持つ新規の治療薬であり、またPDRおよびAMD増殖性眼障害での新規治療薬であると同様に、新規の腫瘍学的薬剤として有用であることを示している。
【0212】
(実施例8)
(硝子体内投与のためのTGFβ2治療用アプタマー)
TGFβ2に対する結合親和性によるアプタマーは、約100μL/眼の注入量による硝子体内経路を経て、約250μL/眼の注入量による結膜下経路を経て、約250〜1,00μL/眼の注入量による静脈内経路を経て、投与される。これらの投与経路の各々の用量は、硝子体内投与の場合、0.5〜5mg/眼、結膜下投与の場合、1〜5mg(結合無しのアプタマー質量)、および静脈内投与の場合、1〜20mg/kgである。これらの経路の各々についての濃度は、硝子体内投与の場合、1〜5mg/0.250ml=4〜20mg/ml、結膜下経路の場合、1〜5mg/0.100ml=10〜50mg/ml、さらに静脈内投与の場合、1〜20mg/0.250〜1.0ml=1〜80mg/mlである。体内分布時間経過は、硝子体内および結膜下投与経路の場合、前容量、5分、30分、1、6、12、24、および72時間、さらに静脈内投与経路の場合、前用量、5、30分、1、6、12、24、および48時間である。図12は、ARC77アプタマーの構成を示すとともに、修飾されたアプタマーの領域を説明するための図である。
【0213】
(表4 TGFβ2アプタマー配列)
ARC77 配列番号1:(34nt;細胞IC50=10nM,KD=1nM)17,2’OHプリン;17,2’F−ピリミジン;5’−G−G−A−G−G−fU−fU−A−fU−fU−A−fC−A−G−A−G−fU−fC−fU−G−fU−A−fU−A−G−fC−fU−G−fU−A−fC−fU−fC−fC−[3’T];KD=1nM,9不可変位置は下線を引いた。
ARC79 配列番号3:(34nt,細胞IC50=10nM,KD=1nM)下線を引いた4つの必須リボ−ヌクレオチドを除く2’−Ome RNAによるリボ残基の置換を介した改善された化学物質/ヌクレアーゼ安定性。
【0214】
(実施例9)
(TGFβ2ドープ再選択SELEX(登録商標)アプタマー)
ドープ再選択(doped reselection)SELEX(登録商標)を、ドープ再(Doped re−)SELEXで使用したライブラリーおよびプライマーを用いてTGFβ2に対しておこなった(小文字が、30%の不純物を添加された残基を表す)。これらのライブラリーを増幅して別々に転写し、その後、最初のラウンドのために組み合わせた。
配列番号28 TK.82.140.A(14i−1)
TCGGGCGAGTCGTCTGgaaggaat−tttactacaacgttacttccgcatcctccCCGCATCGTCCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA
配列番号29 TK.82.140.B(21a−4)
TCGGGCGAGTCGTCTGgcggacttagtatatacatacgactaaacaacgccgcCCGCATCGTCCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA
配列番号30 TK.82.140.C(21a−21)
TCGGGCGAGTCGTCTGggagtacagctatacagactctgtaataa−cctccCCGCATCGTCCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA
配列番号31 5’−Primer TK.82.140.D(センス)
TAATACGACTCACTATAGGGAGGACGATGCGG
配列番号32 3’−プライマーTK.82.140.E(アンチセンス)
TCGGGCGAGTCGTCTG
。
【0215】
TGFβ2再選択のためのドープ再選択SELEX(登録商標)手順を、以下の通りに実行した。テンプレート調製のために、ドープDNAライブラリーを、PAGEを使用して精製し、PCRによって増幅した。精製されたPCR産物を、つぎに2’−Fピリミジン・ヌクレオチド(2’−OHプリン・リボヌクレオチド)の存在下で、Y639F RNAポリメラーゼを用いて転写した。結果として生じるRNAプールを、第1回目の選択で使用した。
【0216】
SELEX(登録商標)選択の最初の2回は、ニトロセルロース膜(NC)スポットによっておこなった。500pmolのヒトTGFβ2(hTGFβ2)を、予洗処理したNC膜上にスポッティングして空気乾燥した。次にフィルターを室温で1時間、ダルベッコ・リン酸塩緩衝食塩水(1mMのMgCl2(DPBS))で3RNAドープ・プールの組み合わせともに、インキュベートした。このフイルターをDPBSで3回洗浄し、TGFβ2結合RNAを予熱95C溶出緩衝液(7M尿素、100mM酢酸ナトリウム(pH5.0)、3mMEDTA)で溶出した。溶出RNAをフェノール/クロロフォルムで抽出し、エタノールで沈殿させた後、逆転写してPCRによる増幅をおこなった。結果として生じた転写テンプレートをY639F単一変異体RNAポリメラーゼで、2’−Fピリミジン・ヌクレオチドおよび2’−OHプリン・リボヌクレオチドの存在下、転写し、次のラウンドに送った。
【0217】
第3ラウンドから疎水性プレートによるSELEX、SELEXを疎水性プレート選択によって実施した。100μlの20nM TGFβ2をNUNC MaxiSorp Plate(ポジティブ・プレート)とともに1時間、37℃でDPBS(0.1mg/mltRNAなし)中でインキュベートした。一方、RNAプール(0.1mg/mltRNAあり)を負の選択のためにネガティブ・プレートで1時間、37℃でインキュベートした。タンパク質プレートをDPBSで6回洗浄した。事前選択RNAプールをポジティブ/プレートで、1時間、37℃でインキュベートした。このプレートをDPBSで6回洗浄して未結合RNAを除去した。次に、逆転写をこのプレートで実行した。つぎに、逆転写をPCR増幅した。結果として生ずる転写テンプレートをY639FRNAポリメラーゼで、2’−Fピリミジン・ヌクレオチドおよび2’−OHプリン・リボヌクレオチドの存在下、転写し、次のラウンドに送った。
【0218】
TGFβ2を0.2mg/mlBSAおよび0.2mg/mltRNAを含むDPBSで連続希釈し、32P標識RNA(<20pM)を室温で30分間、TGFβ2とともにインキュベートした。マルチチャンネル・ピペッターを用いて、試料を、事前に湿らせた0.45ミクロン・ニトロセルロースと、ハイボンド(Hybond)メンブレン、および3MM濾紙(順序は上から下へ)とからなるマルチウエル・マニフォールド・ホールディング・レイヤーにピペッティングし、吸引し、さらにDPBS(tRNA含む)で3回洗浄した。3枚のフィルター全部を空気乾燥し、ホスホイメージャー・プレート(phosphorimager plate)にさらし、イメージ・クアント(ImageQuant)で分析した。表5に示す完全長アプタマー配列がTGFβ2に結合しているのがわかった。
【0219】
(表5 TGFβ2ドープ再選択完全長アプタマー配列)
S5CR12−27 GGGAGGACGAUGCGGAUCGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACGAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号39)
AMX(71)_F7* GGGAGGACGAUGCGGAUCGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号40)
AMX(71)_A11 GGGAGGACGAUGCGGAUCGAAUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACGGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号41)
AMX(71)_B9 GGGAGGACGAUGGGGAUCGAGUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACGAUCAGACGACUCGCCCGA(配列番号42)
AMX(71)_B11 GGGAGGACGAUGCGGAUGGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACCAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号43)
AMX(71)_C11 GGGAGGACGAUGCGGAUAGAGCAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号44)
ARC232
S5CR8−15 GGGAGGACGAUGCGGAUAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号45)
AMX(71)_G9 GGGAGGACGAUGCGGACAGAGUAUUAUAGAGUAUGUGUAGCUAUACCGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号46)
S5R12−33 GGGAGGACGAUGCGGACAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号47)
S5R12−12 GGGAGGACGAUGCGGACAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUGCAGACGACUCGCCCGA (配列番号48)
AMX(71)_F11 GGGAGGACGAUGCGGACAGAGCAUUAUAGAGUGUGUAUAGCUGUACUGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号49)
AMX(71)_F3 GGGAGGACGAUGCGGACAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUAUCAGACGACUCGCCCAA (配列番号50)
ARC235
S5CR8−45 GGGAGGACGAUGCGGACAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUGUCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号51)
ARC228
S5R8−10 GGGAGGACGAUGCGGACAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号52)
AMX(71)_H7 GGGAGGACGAUGCGGAAAGAGUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACUUUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号53)
AMX(71)_D10 GGGAGGACGAUGCGGAANGAAUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACCAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号54)
S5CR12−12 GGGAGGACGAUGCGGAAGGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACCAGACGACUCGCCCGA (配列番号55)
S5CR12−15 GGGAGGACGAUGCGGAAGGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACCAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号56)
AMX(71)_H10 GGGAGGACGAUGCGGAAGGAAUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACCAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号57)
ARC233
S5CR8−18 GGGAGGACGAUGCGGAGGGAUUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACCCUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号58)
AMX(71)_A8 GGGAGGACGAUGCGGAGGGAAUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACCAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号59)
AMX(71)_H9 GGGAGGACGAUGCGGAGAAGAGUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACUUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号60)
AMX(74)_G6 GGGAGGACGAUGCGGAGAGAUUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUGUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号61)
ARC231
S5CR8−14 GGGAGGACGAUGCGGAACGAAUAUUACAGAGUAUGUAUAGCUGUACGGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号62)
S5CR8−28 GGGAGGACGAUGCGGAGUGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACACAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号63)
AMX(71)_A10 GGGAGGACGAUGCGGUGUGAAUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACCAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号64)
AMX(74)_F1 GGGAGGACGAUGCGGUGUGAAUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACCACCAGACGACUCGCCCGA (配列番号65)
ARC227
S5R8−1 GGGAGGACGAUGCGGUGUGAGUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACCACCAGACGACUCGCCCGA (配列番号66)
AMX(71)_B3 GGGAGGACGAUGCGGUCCGCAUUAUCUUCUACGUUACAUAUACUAUCUCUGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号67)
AMX(71)_D11 GGGAGGACGAUGCGGUCGGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAAACCGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号68)
AMX(74)_A2 GGGAGGACGAUGCGGUAAGAGUAUUACAGAGUAUGUAUAGCUGUACUUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号69)
AMX(74)_E4 GGGAGGACGAUGCGGUGAGAAUAUUACAGAGUAUGUAUAGCUGUACUUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号70)
AMX(74)_F4 GGGAGGACGAUGCGGUGAGAAUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUCGCCAGACGACUCGCCCAA (配列番号71)
AMX(74)_F3 GGGAGGANGANGCGGUGAGAGUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号72)
ARC229
S5R8−43 GGGAGGACGAUGCGGUGAGAGUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACUCGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号73)
ARC234
S5CR8−32 GGGAGGACGAUGCGGUGAGAGUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACCACCAGACGACUCGCCCGA (配列番号74)
AMX(71)_D9 GGGAGGACGAUGCGGUAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACACUCAGACGACUCGCCCAA (配列番号75)
AMX(71)_H12 GGGAGGACGAUGCGGUAGAGUAUUAGAGAGUAUGUAUAGCUAUACCAUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号76)
AMX(71)_G7 GGGAGGACGAUGCGGUGGGAAUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACCCUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号77)
S5CR12−14 GGGAGGACGAUGCGGGCGGAAUAUUAUAGAGUAUGGAUAGCUAUACCGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号78)
ARC230
S5R8−45 GGGAGGACGAUGCGGGACAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号79)
AMX(71)_B7 GGGAGGACGAUGCGGGCAGAGUAUUAUAGAGUACGUAUAGCUAUACUGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号80)
AMX(71)_A9 GGGAGGACGAUGCGGGCAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUGUCAGACGACUCGCCCGA (配列番号81)
AMX(71)_G8 GGGAGGACGAUGCGGGUGGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUAUCAGACGACUCGCCCAA (配列番号82)
AMX(74)_A3 GGGAGGACGAUGCGGGUAGAUUAUUACAGAGUCUGUAUAGCUGUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号83)
AMX(74)_E2 GGGAGGACGAUGCGGGUAGAAUAUUAUAGAGUCUGUAUAGCUAUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号84)
AMX(74)_H1 GGGAGGACGAUGCGGGUAGAAUAUUACAGAGUAUGUAUAGCUGUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号85)
AMX(74)_C3 GGGAGGACGA
UGCGGGGAGAAUAUUACAGAGUAUGUAUAGCUGUACUUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号86)
AMX(74)_A1 GGGAGGACGAUGCGGGGAGAAUAUUACAGAGUAUGUAUAGCUGUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号87)
AMX(74)_B3 GGGAGGACGAUGCGGGGAGAUUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号88)
AMX(74)_G3 GGGAGGACGAUGCGGGGAGAGUAUUAUAGAGUAUGUAUAGCUAUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号89)
AMX(74)_D3 GGGAGGACGAUGCGGGAAGAGUAUUACAGAGUAUGUAUAGCUGUACUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号90)
AMX(74)_E6 GGGAGGACGAUGCGGGCAAAGUAUUGUAGAGUAUGCAUAGCUAUAUUGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号91)
21a−21 GGGAGGACGAUGCGGGGAGGUUAUUACAGAGUCUGUAUAGCUGUACUCCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号92)
14i−1 GGGAGGACGAUGCGGGGAGGAUGCGGAAGUAACGUUGUAGUAAAAUGCCUUCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号93)
21a−4 GGGAGGACGAUGCGGGCGGCGUUGUUUAGUCGUAUGUAUAUACUAAGUCCGCCAGACGACUCGCCCGA (配列番号94)
。
【0220】
上に示した完全長アプタマー配列に関する結合データを表6に示す。図19Aおよび19Bは、表5に示す完全長配列の結合プロットである。
【0221】
(表6 MLEC阻害アッセイで実施された結合データ)
【0222】
【表6】
(表7 最小化TGFβ2ドープ再選択アプタマー)
CW128.10.A(S5CR12−27)
AfUfCGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCGAfU[3T] (配列番号95)
CW128.10.B(AMX(71)_F7)
AfUfCGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUAfU[3T] (配列番号96)
CW128.10.C(AMX(71)_A11)
AfUfCGAAfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCGGfU[3T] (配列番号97)
CW128.10.D(AMX(71)_B9)
AfUfCGAGfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCGAfU[3T] (配列番号98)
ARC285
8.10.E(AMX(71)_B11)
AfUGGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfU[3T] (配列番号99)
CW128.10.F(AMX(71)_C11)
AfUAGAGfCAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUAfU[3T] (配列番号100)
CW128.10.G(S5CR8−15,完全長ARC232)
AfUAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUAfU[3T] (配列番号101)
CW128.10.H(AMX(71)_G9)
AfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUGfUAGfCfUAfUAfCfCGfU[3T] (配列番号102)
CW128.10.I(S5R12−33)
AfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfC[3T] (配列番号103)
CW128.10.J(S5R12−12)
AfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUG[3T] (配列番号104)
CW128.10.K(AMX(71)_F11)
AfCAGAGfCAfUfUAfUAGAGfUGfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUGfU[3T] (配列番号105)
CW128.10.L(AMX(71)_F3)
AfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUAfU[3T] (配列番号106)
ARC283,CW128.10.M(S5CR8−45,完全長ARC235)
AfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfUfC[3T] (配列番号107)
ARC286,
CW128.10.N(S5R8−10,完全長ARC22B)
AfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfU[3T] (配列番号108)
CW128.10.O(AMX(71)_H7)
AAAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUfUfU[3T] (配列番号109)
CW128.10.P(AMX(71)_D10) AANGAAfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfU[3T] (配列番号110)
CW128.10.Q(S5CR12−12)
AAGGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfC[3T] (配列番号111)
ARC281
CW128.10.R(S5CR12−15)
AAGGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfU[3T] (配列番号112)
ARC287
CW128.10.S(AMX(71)_H10)
AAGGAAfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfU[3T] (配列番号113)
CW128.10.T(S5CR8−18,完全長ARC233)
AAfCGAAfUAfUfUAfCAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCGGfU[3T] (配列番号114)
ARC282
CW128.10.U(AMX(71)_A8)
AGGGAAfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfU[3T] (配列番号115)
CW128.10.V(AMX(71)_H9)
AGAAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUfU[3T] (配列番号116)
CW128.10.W(AMX(74)_G6)
AGAGAfUfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUGfC[3T] (配列番号117)
CW128.11.A(S5CR8−14,完全長ARC231)
AAfCGAAfUAfUfUAfCAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCGGfU[3T] (配列番号118)
CW128.11.B (S5CR8−28)
AGfUGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCAfCAfU[3T] (配列番号119)
CW128.11.C(AMX(71)_A10)
fUGfUGAAfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfU[3T] (配列番号120)
CW128.11.D(AMX(74)_F1)
fUGfUGAAfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfC[3T] (配列番号121)
CW128.11.E(S5R8−1,完全長ARC227)
fUGfUGAGfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfC[3T] (配列番号122)
CW128.11.F(AMX(71)_B3)
fUfCfCGfCAfUfUAfUfCfUfUfCfUAfCGfUfUAfCAfUAfUAfCfUAfUfCfUfCfUGfU[3T] (配列番号123)
CW128.11.G(AMC(71)_D11)
fUfCGGAGfUAfUfUAfUAGAfUAfUGfUAfUAGfCfUAAAfCfCGfU[3T] (配列番号124)
CW128.11.H(AMX(74)_A2)
fUAAGAGfUAfUfUAfCAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfUGfC[3T] (配列番号125)
CW128.11.I(AMX(74)_E4)
fUGAGAAfUAfUfUAfCAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfUGfC[3T] (配列番号126)
CW128.11.J(AMX(74)_F4)fUGAGAAfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUfCGfC[3T] (配列番号127)
CW128.11.K(AMX(74)_F3)
fUGAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfC[3T] (配列番号128)
CW128.11.L(S5R8−43,完全長ARC229)
fUGAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUfCGfC[3T] (配列番号129)
CW128.11.M(S5CR8−32,完全長ARC234)
fUGAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfC[3T] (配列番号130)
CW128.11.N(AMX(71)_D9)
fUAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCAfCfU[3T] (配列番号131)
CW128.11.O(AMX(71)_H12)
fUAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfCAfU[3T] (配列番号132)
CW128.11.P(AMX(71)_G7)
AAfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGGCfUAfUAfCfCfCfU[3T] (配列番号133)
CW128.11.Q(S5CR12−14)
GfCGGAAfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGGAfUAGfCfUAfUAfCfCGfU[3T] (配列番号134)
ARC284
CW128.11.R(S5R8−45,完全長ARC230)
GAfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfU[3T] (配列番号135)
CW128.11.S(AMX(71)_B7)
GfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfCGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfU[3T] (配列番号136)
CW128.11.T(AMX(71)_A9)
GfCAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfU[3T] (配列番号137)
CW128.11.fU(AMX(71)_G8)
GfUGGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUAfU[3T] (配列番号138)
CW128.11.V(AMX(74)_A3)
GfUAGAfUfUAfUfUAfCAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUGfC[3T] (配列番号139)
CW128.11.W(AMX(74)_E2)
GfUAGAAfUAfUfUAfUAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfC[3T] (配列番号140)
CW128.12.A(AMX(74)_H1)
GfUAGAAfUAfUfUAfCAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUGfC[3T] (配列番号141)
CW128.12.B(AMX(74)_C3)
GGAGAAfUAfUfUAfCAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfUGfC[3T] (配列番号142)
CW128.12.C(AMX(74)_A1)
GGAGAAfUAfUfUAfCAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUGfC[3T] (配列番号143)
CW128.12.D(AMX(74)_B3)
GGAGAfUfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfC[3T] (配列番号144)
CW128.12.E(AMX(74)_G3)
GGAGAGfUAfUfUAfUAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUAfUAfCfUGfC[3T] (配列番号145)
CW128.12.G(AMX(74)_D3)
GAAGAGfUAfUfUAfCAGAGfUAfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUGfC[3T] (配列番号146)
CW128.12.G(AMX(74)_E6)
GfCAAAGfUAfUfUGfUAGAGfUAfUGfCAfUAGfCfUAfUAfUfUGfC[3T] (配列番号147)
CW128.12.H(21a−21,完全長ARC236)
GGAGGfUfUAfUfUAfCAGAGfUfCfUGfUAfUAGfCfUGfUAfCfUfCfC[3T] (配列番号148)
CW128.12.I(14i−1,完全長ARC237)
GGAGGAfUGfCGGAAGfUAAfCGfUfUGfUAGfUAAAAfUfUfCfCfUfUfC[3T] (配列番号149)
CW128.12.J(21a−4,完全長ARC241)
GfCGGfCGfUfUGfUfUfUAGfUfCGfUAfUGfUAfUAfUAfCfUAAGfUfCfCGfC[3T] (配列番号150)
。
【0223】
(表8 切断(truncated)アプタマーに関する結合情報)
【0224】
【表8】
図20A、図20B、および図20Cは、表7に示された切断アプタマーの結合プロットを示す。
【0225】
(実施例10)
(VEGFレセプター2(VEGF42)特異的アプタマーの選択最小化および特徴付け)
VEGFレセプター2(VEGF R2)(別名KDR分子)に対するアプタマーを、半自動化SELEX(登録商標)手順を使用して単離していた。15ラウンドにわたる選択を、3週間にわたって実行した。48クローンを同定し、9つのファミリーにグループ分けした。これらの配列を分析して、機能的部分(functional motifs)を同定した。VEGFアクセプターに対するアプタマーが、1〜3nMの範囲内のKd値を持つことがわかった。
【0226】
(実施例11)
(薬物動態学および生物活性 ARC81、ARC117、およびARC119のプロフィール)
薬物動態研究を実施してARC81、ARC117、およびARC119(それぞれ配列番号4、9、および11のTGFβ2アプタマー)の薬物動態を、マウスの結膜下投与を介して測定した。これらのアプタマーを、10mg/mlの濃度で処方した。試料の収集は、投与後0、0.5、1、2、6、12、24、48と96時間目におこなった。図21A、21B、および21Cは、結膜下投与を経て50時間後用量を通して各々のアプタマーの眼房水および/または血漿中濃度(nM)を示す。下記の表9は、左右それぞれの眼に対して、用量1mg/眼(すなわち2.0mg/動物)での本研究の結果を示す。
【0227】
(表9 左右それぞれの眼に対して1mg/眼でマウスに対する結膜下投与を介したARC81、ARC117、およびARC119の薬物動態プロフィール)
【0228】
【表9】
結膜下投与後、眼房水でARC81、117、および119が検出された。非PEG化アプタマー(すなわち、ARC81)が体循環に急速に入った(例えば0.5時間未満)。非PEG化アプタマーの眼房水濃度は、遅延性のtmax(アプタマーの再循環によると考えられる)を示した。PEG化アプタマー(すなわち、ARC117およびARC119)は、類似の血漿t1/2を示した。PEG化によるVdの減少および遅延tmaxの証拠は、注射部位の近傍での強い蓄積(depot)効果を暗示している。これらのPEG化アプタマーは、ともに眼房水で検出され、外科部位で蓄積されることがわかった。
【0229】
(実施例12)
(ARC126、ARC127、およびNX1838の薬物動態および生物活性プロフィールの比較)
薬物動態研究を実施して、ARC126(配列番号18−PEG−配列番号33−PEG−配列番号34)およびARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)(2つのPDGFアプタマー)とNX1838(ウサギにおけるVEGF−165に対する既知のPEG接合アプタマー)との薬物動態を測定および比較した。研究は、結膜下注射を用いてオランダ・ペルテッド・ウサギ・モデルで実施した。アプタマーを、両方の眼に対して用量1.0mg/眼で、100ml硝子体内注射を介して投与した。眼房水、硝子体液、および血漿由来の試料を、アプタマーの投与前、ならびに0.25時間、6時間、24時間、72時間、7日、4日、および21日目に採取した。図22A、22B、および22Cは、25日後投与を通した各々のアプタマーの硝子体液および/または血漿中濃度を示す。
下記の表10は、ARC126およびARC127アプタマーについての本研究の結果を示す。
【0230】
(表10 ARC126およびARC127の薬物動態プロフィール)
【0231】
【表10】
図22Aで示される結果は、非区画(NCA)分析を使用して得られた。ウサギ硝子体液量は、約1.0〜1.5mlであった。ARC126およびARC127アプタマーに対する比較において、ガラス質のウサギのNX1838の半減期は、約83時間(すなわち3.46日)であることがわかっており、霊長類硝子体のNX1838の半減期は約94時間または3.92日であることがわかった。
【0232】
図22Bと22Cで見られるように、Cmax(ガラス質の)はARC127のための約100のμMであった。図22Bおよび図22Cで見られるように、Cmax(硝子体)は、ARC127について約100μMであった。非PEG化およびPEG化アプタマー複合体の両方について、Cmax(vit)は、約100mmであった。PEG化アプタマーのC(vit)は、t=30日(40K PEG)で約250nMであった。PEG化アプタマーと非PEGアプタマーとのAUC値の比は、1.79であった。非PEG化アプタマーの半減期は、約2.25日であり、またPEG化アプタマーの半減期は約3.87日であった。見かけの分布容積(Vss)は、1.25〜1.42mLであり、このことは両複合体が硝子体区画中に残っていたことを示している。クリアランス値(Cl)は0.29〜0.52mL/d(≦50nmol/日)であり、最大血漿レベルは≦10nMであった。非PEG化アプタマー複合体の眼房水濃度は、t≦24時間でナノモル・レベルであった。
【図面の簡単な説明】
【0233】
【図1】図1は、ランダム配列オリゴヌクレオチドのプールを用いたインビボアプタマー選択(SELEX(登録商標))プロセスを説明する図である。
【図2】図2は、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)−核酸結合体の合成に関する種々の戦略を示す。
【図3】図3Aは、ARC82TGFβ2治療用アプタマー(配列番号151)を説明するための図である。また、図3BはARC82の血漿内半減期プロフィールを示すグラフである。
【図4】図4Aは、S75サイズ排除クロマトグラフィーを説明するためのフローチャートである。図4Bは、S75サイズ排除クロマトグラフィーにおけるTGFβ2の溶出プロフィルである。図4Cは、TGFβ2ダイマーPAGEバンドを含むポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)ゲルを説明するための図である。
【図5】図5Aは、ARC77TGFβ−2特異的アプタマーの濃度を増加させるためのヒト(黒丸)またはラット(白四角)TGFβ−2タンパク質結合を示すグラフである。図5は、ヒトTGFβ2に関して32P標識ARC77と競合する非放射標識ARC77(白三角)およびARC81(白四角)の競合的結合(等式2により推定されるアプタマー解離定数に適合)を示すグラフである。
【図6】図6Aは、ARC77、ARC78、およびARC81アプタマーによるTGFβ2の阻害を示すグラフである。図6Bは、TGFβ2におるヒトおよび齧歯目の抗増殖効果がARC77アプタマーによって阻害されることを示すグラフである。図6Cは、ARC77ヒト野生型(WT)、マウス(NTK)、およびN末端がHis標識されたヒトTGF2の解離定数(Kd)を示すグラフである。
【図7】図7Aは、ARC81アプタマーおよびコントロール(抗TGFβ2抗体)による低濃度ウサギ眼房水の抗増殖効果の阻害を示すグラフである。図7Bおよび7Cは、ARC81アプタマーおよび抗TGFβ2コントロール抗体によるMLEC増殖の1.5%ウサギ眼房水媒介阻害の用量依存的救出を説明するグラフである。
【図8】図8Aは、配列番号1の修飾TGFβ2アプタマーに関する最小化および突然変異誘起/修飾戦略を説明する図である。図8Bは、TGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3に対する修飾TGFβ2アプタマー(図8A)の解離定数(Kd)を示す表である。図8Cは、NLEC細胞増殖に対するTGFβ2の阻害効果を図8Aの修飾TGFβ2アプタマーが逆転させることを示すグラフである。
【図9】図9Aは、TGFβ2アプタマー/TGFβ2複合体のストイキオメトリーを示すグラフである。図9Bは、検出可能な程度に標識されたTGFβ2アプタマーとTGFβ2ホモダイマーとの相互作用を説明するための図である。
【図10】図10Aは、野生型、N末端側長タグ、およびN末端側短タグ変異体ヒトTGFβ2を用いたアプタマー結合部位のマッピングを説明するための図である。図10Bは、野生型TGFβ2、ヒトTGFβ2のN末端側長タグ変異体、ヒトTGFβ2の末端側短タグ変異体、および2つのTGFβ2突然変異体(K94N、S59T/R60K/K94N)のEC100値、解離定数、IC50値が挙げられた表である。
【図11】図11Aは、ドット・ブロット・アッセイの説明図およびアプタマー結合部位のTGFIII型アクセプターを示すグラフである。図11Bは、アプタマーとトランスフォーミング成長因子III型アクセプター結合部位との潜在的共通部分を説明するための図である。
【図12】図12は、TGFβ2アプタマーARC77(配列番号1)の修飾領域を説明するための図である。
【図13】図13Aは、ヒトPDGFのBB、AA、およびABアイソフォームのARC127(配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36)の結合曲線を示すグラフと、ARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)のKd値ならびに血小板由来成長因子のBB、AA、およびABアイソフォームが挙げられた表とを示す図である。図13Bは、ヒトおよびラットPDGFのBBアイソフォームのARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)の結合曲線を示すグラフと、ARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)ならびにヒト、ラット、およびマウスPDGFのBBアイソフォームのKd値が挙げられた表とを示す図である。
【図14】図14Aは、ヒトおよびラットPDGFにARC127(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)アプタマー結合を示すグラフである。図14Bは、ARC127アプタマーによるPDGF誘導3T3細胞増殖の阻害とコントロール抗体によるPDGF誘導3T3細胞増殖の阻害とを比較するグラフである。
【図15−1】図15Aは、PDGF非存在下での網膜色素性上皮性(RPE)細胞の移動を示す画像である。図15Bは、PDFG(100ng/ml)の存在下でのRPE細胞の移動を示す画像である。図15Cは、PDFGおよびARC127アプタマーの存在下でのRPE細胞の移動を示す画像である。図15Dは、PDFGとARC128アプタマーとの存在下でのRPE細胞の移動を示す画像である。
【図15−2】図15Eおよび15Fは、RPE細胞移動に対するPDFG濃度増加の効果を示すグラフである。
【図16】図16は、修飾ARC127アプタマーおよびARC127アプタマー(PEG−配列番号19−PEG−配列番号35−PEG−配列番号36−3T)の全DNA含有量のインビトロ血漿安定性を示すグラフである。
【図17】図17は、IV、IP、およびSC経路を介した投薬後50時間経過過程でのARC127アプタマーの濃度を示すグラフである。
【図18】図18は、48時間までのインビボで測定可能なARC127活性を示すグラフである。
【図19】図19Aおよび19Bは、表5に示した完全長TGFβ2アプタマー配列の結合プロットを示すグラフである。
【図20−1】図20A、20B、および20Cは、表7に示したトランケートTGFβ2アプタマーの結合プロットを示すグラフである。
【図20−2】図20A、20B、および20Cは、表7に示したトランケートTGFβ2アプタマーの結合プロットを示すグラフである。
【図21A】図21A、図21B、および図21Cは、48時間までの測定可能なARC117およびARC119アプタマーのインビボ活性を示すグラフである。
【図21B】図21A、図21B、および図21Cは、48時間までの測定可能なARC117およびARC119アプタマーのインビボ活性を示すグラフである。
【図21C】図21A、図21B、および図21Cは、48時間までの測定可能なARC117およびARC119アプタマーのインビボ活性を示すグラフである。
【図22A】図22A、図22B、および図22Cは、それぞれ少なくとも25日間までに得られたARC126およびARC127ならびにNX1838アプタマーのインビボ活性を示すグラフである。
【図22B】図22A、図22B、および図22Cは、それぞれ少なくとも25日間までに得られたARC126およびARC127ならびにNX1838アプタマーのインビボ活性を示すグラフである。
【図22C】図22A、図22B、および図22Cは、それぞれ少なくとも25日間までに得られたARC126およびARC127ならびにNX1838アプタマーのインビボ活性を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の障害の処置のための薬学的組成物であって、該薬学的組成物は該障害に関与する標的に対して特異的に結合するアプタマーを含み、該標的に対する前記アプタマーの結合が、該標的の効果を実質的に減少させる、薬学的組成物。
【請求項2】
前記障害が細胞増殖性障害である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記障害が眼内圧の増加によって特徴づけられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記障害が緑内障である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記障害が術後瘢痕である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記標的が、サイトカイン、増殖因子、および細胞表面タンパク質からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記標的が、形質転換増殖因子ベータ、血小板由来増殖因子、細胞内接着分子−1、インスリン様増殖因子−1、血管内皮増殖因子、腫瘍壊死因子アルファ、およびインテグリン・アルファ5ベータ3からなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記標的が、形質転換増殖因子ベータ1、形質転換増殖因子ベータ2、または形質転換増殖因子ベータ3である、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記形質転換増殖因子ベータが、形質転換増殖因子ベータ2である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記標的が血小板由来増殖因子である、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
非アプタマー医薬品をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記非アプタマー医薬品は、麻酔薬、抗炎症剤、抗血管形成剤、抗増殖性剤、抗菌剤、抗ウイルス薬、および抗真菌薬からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記障害に関与する標的に対して特異的に結合する第2のアプタマーをさらに含み、該標的に対する該第2のアプタマーの結合が、該標的の効果を実質的に減少させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記第1および第2のアプタマーは、前記障害に関与する同一の型の標的に対して特異的に結合する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記第1および第2のアプタマーは、前記障害に関与する異なる型の標的に対して特異的に結合する、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記アプタマーは、前記障害に関与する1種より多い型の標的に対して特異的に結合する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
配列番号1〜14、21〜27、39〜149、および150からなる群から選択されるアプタマーを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項18】
ARC77、ARC78、ARC81、およびARC154からなる群から選択されるアプタマーを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項19】
配列番号15、16、および17からなる群から選択されるアプタマーを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項20】
ARC123、ARC124、ARC125、ARC126、ARC127、およびARC128からなる群から選択されるアプタマーを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項21】
眼の疾患の処置のためのアプタマー治療薬であって、該アプタマーは、形質転換増殖因子ベータ2(TGFβ2)に対する結合特異性を有し、該TGFβ2に対する該アプタマーの結合が、眼疾患状態にある細胞増殖におけるTGFβ2の効果を実質的に減少させる、アプタマー治療薬。
【請求項22】
眼の疾患の処置のためのアプタマー治療薬であって、該アプタマーは、形質転換増殖因子ベータ2(TGFβ2)に対する結合特異性を有し、該TGFβ2に対する前記アプタマーの結合が、術後瘢痕におけるTGFβ2の効果を実質的に減少させる、アプタマー治療薬。
【請求項23】
眼の疾患の処置のためのアプタマー治療薬であって、該アプタマーは、血小板由来増殖因子に対する結合特異性を有し、該血小板由来増殖因子に対する該アプタマーの結合が、眼疾患状態にある細胞増殖における血小板由来増殖因子の効果を実質的に減少させる、アプタマー治療薬。
【請求項24】
眼の疾患の処置のためのアプタマー治療薬であって、該アプタマーは、血小板由来増殖因子に対する結合特異性を有し、該血小板由来増殖因子に対する該アプタマーの結合が、術後瘢痕における血小板由来増殖因子の効果を実質的に減少させる、アプタマー治療薬。
【請求項25】
眼の細胞増殖性障害を処置する方法であって、治療有効量のアプタマー治療薬を患者に投与する工程を包含し、前記アプタマーが該障害に関与する標的に対する結合特異性を有し、該標的に対する該アプタマーの結合が該眼障害での細胞増殖における該標的の効果を実質的に減少させる、方法。
【請求項26】
前記標的が、サイトカイン、増殖因子、および細胞表面タンパク質からなる群から選択される、請求項25の方法。
【請求項27】
前記標的が、形質転換増殖因子ベータ、血小板由来増殖因子、細胞内接着分子−1、インスリン様増殖因子−1、血管内皮増殖因子、腫瘍壊死因子アルファ、およびインテグリン・アルファ5ベータ3からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記アプタマー治療薬が眼窩に投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記アプタマー治療薬が硝子体内注射によって投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記アプタマー治療薬が結膜下注射によって投与される、請求項25の方法。
【請求項31】
前記アプタマー治療薬が局所投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
眼に存在する眼房水中での安定性を高めるために、前記アプタマーが改変されている、請求項1の組成物。
【請求項33】
前記アプタマーが修飾ヌクレオチドを含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記アプタマーがポリアルキレングリコール部分を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
前記ポリアルキレングリコール部分がポリエチレングリコールである、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記アプタマーが修飾ヌクレオチドをさらに含む、請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
前記第1および第2のアプタマーが、ポリエチレングリコール部分によって連結され、そしてさらに前記アプタマー組成物の一次構造が直線的配置を含み、該直線的配置において、該第1のアプタマーが該PEG連結部分の第1の末端に連結され、該第2のアプタマーが該PEG連結部分の第2の末端に連結されている、請求項13に記載の組成物。
【請求項38】
前記第1のアプタマーが、末端ポリエチレングリコール部分にさらに連結され、前記アプタマー組成物の一次構造が、ポリエチレングリコール−第1のアプタマーポリエチレングリコール−第2のアプタマーの直線的配置を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
配列番号1〜27、33〜150、および151からなる群から選択される配列を含む、アプタマー組成物。
【請求項1】
眼の障害の処置のための薬学的組成物であって、該薬学的組成物は該障害に関与する標的に対して特異的に結合するアプタマーを含み、該標的に対する前記アプタマーの結合が、該標的の効果を実質的に減少させる、薬学的組成物。
【請求項2】
前記障害が細胞増殖性障害である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記障害が眼内圧の増加によって特徴づけられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記障害が緑内障である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記障害が術後瘢痕である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記標的が、サイトカイン、増殖因子、および細胞表面タンパク質からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記標的が、形質転換増殖因子ベータ、血小板由来増殖因子、細胞内接着分子−1、インスリン様増殖因子−1、血管内皮増殖因子、腫瘍壊死因子アルファ、およびインテグリン・アルファ5ベータ3からなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記標的が、形質転換増殖因子ベータ1、形質転換増殖因子ベータ2、または形質転換増殖因子ベータ3である、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記形質転換増殖因子ベータが、形質転換増殖因子ベータ2である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記標的が血小板由来増殖因子である、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
非アプタマー医薬品をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記非アプタマー医薬品は、麻酔薬、抗炎症剤、抗血管形成剤、抗増殖性剤、抗菌剤、抗ウイルス薬、および抗真菌薬からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記障害に関与する標的に対して特異的に結合する第2のアプタマーをさらに含み、該標的に対する該第2のアプタマーの結合が、該標的の効果を実質的に減少させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記第1および第2のアプタマーは、前記障害に関与する同一の型の標的に対して特異的に結合する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記第1および第2のアプタマーは、前記障害に関与する異なる型の標的に対して特異的に結合する、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記アプタマーは、前記障害に関与する1種より多い型の標的に対して特異的に結合する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
配列番号1〜14、21〜27、39〜149、および150からなる群から選択されるアプタマーを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項18】
ARC77、ARC78、ARC81、およびARC154からなる群から選択されるアプタマーを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項19】
配列番号15、16、および17からなる群から選択されるアプタマーを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項20】
ARC123、ARC124、ARC125、ARC126、ARC127、およびARC128からなる群から選択されるアプタマーを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項21】
眼の疾患の処置のためのアプタマー治療薬であって、該アプタマーは、形質転換増殖因子ベータ2(TGFβ2)に対する結合特異性を有し、該TGFβ2に対する該アプタマーの結合が、眼疾患状態にある細胞増殖におけるTGFβ2の効果を実質的に減少させる、アプタマー治療薬。
【請求項22】
眼の疾患の処置のためのアプタマー治療薬であって、該アプタマーは、形質転換増殖因子ベータ2(TGFβ2)に対する結合特異性を有し、該TGFβ2に対する前記アプタマーの結合が、術後瘢痕におけるTGFβ2の効果を実質的に減少させる、アプタマー治療薬。
【請求項23】
眼の疾患の処置のためのアプタマー治療薬であって、該アプタマーは、血小板由来増殖因子に対する結合特異性を有し、該血小板由来増殖因子に対する該アプタマーの結合が、眼疾患状態にある細胞増殖における血小板由来増殖因子の効果を実質的に減少させる、アプタマー治療薬。
【請求項24】
眼の疾患の処置のためのアプタマー治療薬であって、該アプタマーは、血小板由来増殖因子に対する結合特異性を有し、該血小板由来増殖因子に対する該アプタマーの結合が、術後瘢痕における血小板由来増殖因子の効果を実質的に減少させる、アプタマー治療薬。
【請求項25】
眼の細胞増殖性障害を処置する方法であって、治療有効量のアプタマー治療薬を患者に投与する工程を包含し、前記アプタマーが該障害に関与する標的に対する結合特異性を有し、該標的に対する該アプタマーの結合が該眼障害での細胞増殖における該標的の効果を実質的に減少させる、方法。
【請求項26】
前記標的が、サイトカイン、増殖因子、および細胞表面タンパク質からなる群から選択される、請求項25の方法。
【請求項27】
前記標的が、形質転換増殖因子ベータ、血小板由来増殖因子、細胞内接着分子−1、インスリン様増殖因子−1、血管内皮増殖因子、腫瘍壊死因子アルファ、およびインテグリン・アルファ5ベータ3からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記アプタマー治療薬が眼窩に投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記アプタマー治療薬が硝子体内注射によって投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記アプタマー治療薬が結膜下注射によって投与される、請求項25の方法。
【請求項31】
前記アプタマー治療薬が局所投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
眼に存在する眼房水中での安定性を高めるために、前記アプタマーが改変されている、請求項1の組成物。
【請求項33】
前記アプタマーが修飾ヌクレオチドを含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記アプタマーがポリアルキレングリコール部分を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
前記ポリアルキレングリコール部分がポリエチレングリコールである、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記アプタマーが修飾ヌクレオチドをさらに含む、請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
前記第1および第2のアプタマーが、ポリエチレングリコール部分によって連結され、そしてさらに前記アプタマー組成物の一次構造が直線的配置を含み、該直線的配置において、該第1のアプタマーが該PEG連結部分の第1の末端に連結され、該第2のアプタマーが該PEG連結部分の第2の末端に連結されている、請求項13に記載の組成物。
【請求項38】
前記第1のアプタマーが、末端ポリエチレングリコール部分にさらに連結され、前記アプタマー組成物の一次構造が、ポリエチレングリコール−第1のアプタマーポリエチレングリコール−第2のアプタマーの直線的配置を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
配列番号1〜27、33〜150、および151からなる群から選択される配列を含む、アプタマー組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15−2】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20−1】
【図20−2】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15−2】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20−1】
【図20−2】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【公表番号】特表2006−516288(P2006−516288A)
【公表日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501092(P2006−501092)
【出願日】平成16年1月21日(2004.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/001661
【国際公開番号】WO2004/064760
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(504466487)アーケミックス コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月21日(2004.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/001661
【国際公開番号】WO2004/064760
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(504466487)アーケミックス コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】
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