説明

眼底撮影装置、眼底解析方法、及び眼底解析プログラム

【課題】 手間無く、詳細な診断を行うことができる。
【解決手段】 測定光源から発せられた光を被検眼眼底上で二次元的に走査させるための光スキャナと、測定光源から発せられた測定光と参照光との干渉状態を検出する検出器と、を有し、被検眼眼底の三次元断層像を得るための光コヒーレンストモグラフィーデバイスと、光コヒーレンストモグラフィーデバイスによって取得された三次元断層像に基づいて眼底上の走査位置に関して互いに近接する複数の断層像を抽出し、抽出された複数の断層像をモニタ上に並べて表示する表示制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
被検眼の断層像を撮影する眼底撮影装置、眼底解析方法、及び眼底解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
光走査部(例えば、ガルバノミラー)を用いて眼底上で測定光を走査し、眼底像を得る眼底撮影装置として、眼底断層像撮影装置(例えば、光干渉断層計(Optical Coherence Tomography:OCT))や眼底正面像撮影装置(例えば、走査型検眼装置(Scanning Laser Opthalmoscope:SLO))などが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
病変部の観察を行う場合、検者は、眼底正面像から病変部(注目部分)を確認し、眼底正面像から病変部の位置(部位)を選択する。例えば、検者が、眼底正面像上において所望の走査ラインを選択すると、選択された走査位置に対応する一枚の断層像が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−29467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の眼底断層像を観察する場合、検者は、観察したい位置毎に眼底正面像上で観察位置を選択していく必要があり手間がかかった(図3参照)。また、病変部の状態を全体的に観察したい場合、検者は、観察位置を細かく変更しながら、病変部に関連する各断層像を順次観察する必要があった。したがって、病変部全体での画像評価が困難であった。
【0006】
上記従来技術の問題点に鑑み、手間無く、詳細な診断を行うことができる眼底撮影装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0008】
(1) 測定光源から発せられた光を被検眼眼底上で二次元的に走査させるための光スキャナと、測定光源から発せられた測定光と参照光との干渉状態を検出する検出器と、を有し、被検眼眼底の三次元断層像を得るための光コヒーレンストモグラフィーデバイスと、光コヒーレンストモグラフィーデバイスによって取得された前記三次元断層像に基づいて眼底上の走査位置に関して互いに近接する複数の断層像を抽出し、抽出された複数の断層像をモニタ上に並べて表示する表示制御手段と、を備えることを特徴とする眼底撮影装置。
(2) (1)の眼底撮影装置において、検者によって操作される操作入力手段を有し、
前記表示制御手段は、操作入力手段から入力される操作信号に基づいて複数の断層像として抽出する眼底上の走査領域を変更すると共に、変更された走査領域に対応する複数の断層像をモニタに表示する。
(3) (2)の眼底撮影装置において、被検者眼の正面像を取得するための正面像観察デバイスを有し、前記表示制御手段は、前記複数の断層像と共に、正面像観察デバイスによって取得された正面像をモニタ上に同時に表示すると共に、該正面像上において、モニタに表示された複数の断層像に対応する領域を示す対応表示を正面像上に重畳して表示する。
(4) (3)の眼底撮影装置において、前記表示制御手段は、操作入力手段から入力される操作信号に基づいて前記正面像上における前記対応表示の位置を移動させる表示制御手段であって、該対応表示によって指定された眼底上の走査領域に対応する前記複数の断層像をモニタ上に並べて表示する。
(5) (1)〜(4)のいずれかの眼底撮影装置において、前記表示制御手段は、前記複数の断層像を時系列順に連続的に並べて表示する。
(6) (2)〜(5)のいずれかの眼底撮影装置において、前記表示制御手段は、操作入力手段から入力される第3の操作信号に基づいて、前記複数の断層像を表示する際の表示枚数を変更する。
(7) 測定光源から発せられた光を被検眼眼底上で二次元的に走査させるための光スキャナと、測定光源から発せられた測定光と参照光との干渉状態を検出する検出器と、を有する光コヒーレンストモグラフィーデバイスによって撮影された被検眼眼底の三次元断層像を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された前記三次元断層像に基づいて眼底上の走査位置に関して互いに近接する複数の断層像を抽出し、抽出された複数の断層像をモニタ上に並べて表示する表示制御工程と、を備えることを特徴とする眼底解析方法。
(8) (7)に記載の眼底解析方法をコンピュータで実行する眼底解析プログラム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、手間無く、詳細な診断を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る眼科撮影装置の構成について説明する概略構成図である。なお、本実施形態においては、被検者眼(眼E)の軸方向をZ方向、水平方向をX方向、鉛直方向をY方向として説明する。眼底の表面方向をXY方向として考えても良い。
【0011】
装置構成の概略を説明する。本装置は、被検者眼Eの眼底Efの断層像を撮影するための光コヒーレンストモグラフィーデバイス(OCTデバイス)10である。OCTデバイス10は、干渉光学系(OCT光学系)100と、正面観察光学系200と、固視標投影ユニット300と、演算制御部(CPU)70と、を含む。
【0012】
OCT光学系100は、眼底に測定光を照射する。OCT光学系100は、眼底から反射された測定光と、参照光との干渉状態を受光素子(検出器120)によって検出する。OCT光学系100は、眼底Ef上の撮像位置を変更するため、眼底Ef上における測定光の照射位置を変更する照射位置変更ユニット(例えば、光スキャナ108、固視標投影ユニット300)を備える。制御部70は、設定された撮像位置情報に基づいて照射位置変更ユニットの動作を制御し、検出器120からの受光信号に基づいて断層像を取得する。
【0013】
<OCT光学系>
OCT光学系100は、いわゆる眼科用光断層干渉計(OCT:Optical coherence tomography)の装置構成を持ち、眼Eの断層像を撮像する。OCT光学系100は、測定光源102から出射された光をカップラー(光分割器)104によって測定光(試料光)と参照光に分割する。そして、OCT光学系100は、測定光学系106によって測定光を眼Eの眼底Efに導き,また、参照光を参照光学系110に導く。その後、眼底Efによって反射された測定光と,参照光との合成による干渉光を検出器(受光素子)120に受光させる。
【0014】
検出器120は、測定光と参照光との干渉状態を検出する。フーリエドメインOCTの場合では、干渉光のスペクトル強度が検出器120によって検出され、スペクトル強度データに対するフーリエ変換によって所定範囲における深さプロファイル(Aスキャン信号)が取得される。例えば、Spectral-domain OCT(SD−OCT)、Swept-source OCT(SS−OCT)が挙げられる。また、Time-domain OCT(TD−OCT)であってもよい。
【0015】
光スキャナ108は、測定光源から発せられた光を被検眼眼底上で走査させる。例えば、光スキャナ108は、眼底上で二次元的(XY方向(横断方向))に測定光を走査させる。光スキャナ108は、瞳孔と略共役な位置に配置される。光スキャナ108は、例えば、2つのガルバノミラーであり、その反射角度が駆動機構50によって任意に調整される。
【0016】
これにより、光源102から出射された光束はその反射(進行)方向が変化され、眼底上で任意の方向に走査される。これにより、眼底Ef上における撮像位置が変更される。光スキャナ108としては、光を偏向させる構成であればよい。例えば、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられる。
【0017】
参照光学系110は、眼底Efでの測定光の反射によって取得される反射光と合成される参照光を生成する。参照光学系110は、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであっても良い。参照光学系110は、例えば、反射光学系(例えば、参照ミラー)によって形成され、カップラー104からの光を反射光学系により反射することにより再度カップラー104に戻し、検出器120に導く。他の例としては、参照光学系110は、透過光学系(例えば、光ファイバー)によって形成され、カップラー104からの光を戻さず透過させることにより検出器120へと導く。
【0018】
参照光学系110は、参照光路中の光学部材を移動させることにより、測定光と参照光との光路長差を変更する構成を有する。例えば、参照ミラーが光軸方向に移動される。光路長差を変更するための構成は、測定光学系106の測定光路中に配置されてもよい。
【0019】
<正面観察光学系>
正面観察光学系(正面像観察デバイス)200は、眼底Efの正面画像を得るために設けられている。観察光学系200は、例えば、光源から発せられた測定光(例えば、赤外光)を眼底上で二次元的に走査させる光スキャナと、眼底と略共役位置に配置された共焦点開口を介して眼底反射光を受光する第2の受光素子と、を備え、いわゆる眼科用走査型レーザ検眼鏡(SLO)の装置構成を持つ。
【0020】
なお、観察光学系200の構成としては、いわゆる眼底カメラタイプの構成であってもよい。また、OCT光学系100は、観察光学系200を兼用してもよい。すなわち、正面画像は、二次元的に得られた断層像を形成するデータを用いて取得されるようにしてもよい(例えば、三次元断層像の深さ方向への積算画像、XY各位置でのスペクトルデータの積算値、ある一定の深さ方向におけるXY各位置での輝度データ、網膜表層画像、等)。
【0021】
<固視標投影ユニット>
固視標投影ユニット300は、眼Eの視線方向を誘導するための光学系を有する。投影ユニット300は、眼Eに呈示する固視標を有し、複数の方向に眼Eを誘導できる。
【0022】
例えば、固視標投影ユニット300は、可視光を発する可視光源を有し、視標の呈示位置を二次元的に変更させる。これにより、視線方向が変更され、結果的に撮像部位が変更される。例えば、撮影光軸と同方向から固視標が呈示されると、眼底の中心部が撮像部位として設定される。また、撮影光軸に対して固視標が上方に呈示されると、眼底の上部が撮像部位として設定される。すなわち、撮影光軸に対する視標の位置に応じて撮影部位が変更される。
【0023】
固視標投影ユニット300としては、例えば、マトリクス状に配列されたLEDの点灯位置により固視位置を調整する構成、光源からの光を光スキャナを用いて走査させ、光源の点灯制御により固視位置を調整する構成、等、種々の構成が考えられる。また、投影ユニット300は、内部固視灯タイプであってもよいし、外部固視灯タイプであってもよい。
【0024】
<制御部>
制御部70は、各構成100〜300の各部材など、装置全体を制御する。また、制御部70は、取得された画像を処理する画像処理部、取得された画像を解析する画像解析部、などを兼用する。制御部70は、一般的なCPU(Central Processing Unit)等で実現される。制御部70は、以下に示すように、断層像に基づいて眼底Efを解析する。
【0025】
制御部70は、OCT光学系100の検出器120から出力される受光信号に基づいて画像処理により断層像を取得すると共に、正面観察光学系200の受光素子から出力される受光信号に基づいて正面像を取得する。また、制御部70は、固視標投影ユニット300を制御して固視位置を変更する。
【0026】
メモリ(記憶部)72、表示モニタ75、コントロール部74は、それぞれ制御部70と電気的に接続されている。制御部70は、モニタ75の表示画面を制御する。取得された眼底像は、モニタ75に静止画又は動画として出力される他、メモリ72に記憶される。メモリ72は、例えば、撮影された断層像(例えば、三次元断層像)、正面画像、各断層像の撮影位置情報等の撮影に係る各種情報を記録する。制御部70は、コントロール部74から出力される操作信号に基づいて、OCT光学系100、正面観察光学系200、固視標投影ユニット300の各部材を制御する。コントロール部74は、検者によって操作される操作部材としてマウス74aが接続されている。
【0027】
モニタ75は、装置本体に搭載された表示モニタであってもよいし、パーソナルコンピュータの表示モニタであってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0028】
なお、本実施形態においては、OCT光学系100が観察光学系200を兼ねる場合を例として説明する。制御部70は、光スキャナ108を制御して測定光を二次元に走査し、検出器120から出力される受光信号に基づいて断層像と正面像を動画像として得る。そして、取得された断層像と正面像をモニタ75に表示する。
【0029】
以上のような構成を備える装置において、その制御動作について説明する。検者は、固視標投影ユニット300の固視標を注視するように被検者に指示した後、図示無き前眼部観察用カメラで撮影される前眼部観察像をモニタ75で見ながら、被検眼の瞳孔中心に測定光軸がくるように、図示無きジョイスティックを用いて、アライメント操作を行う。
【0030】
そして、制御部70は、光スキャナ108の駆動を制御し、眼底上で測定光を所定方向に関して走査させ、走査中に検出器120から出力される出力信号から所定の走査領域に対応する受光信号を取得して眼底像を形成する。
【0031】
以下、本実施形態に係る眼底断層像(以下、断層像と記載する)及び眼底正面像(以下、正面像と記載する)の取得手法の一例を示す。制御部70は、検出器120によって検出されたスペクトルデータを処理し、画像処理により断層像及び正面像を形成させる。断層像と正面像は、同時に取得されてもよいし、交互に取得されてもよいし、順次取得されてもよい。すなわち、スペクトルデータは、断層像及び正面像の少なくともいずれかの取得に用いられる。なお、取得された断層像及び正面像は、モニタ75に表示される。
【0032】
検者は、所望の位置にて、図無き撮影スイッチを操作することよって、モニタ75上に表示されている正面像及び断層像の三次元断層像の取得を開始し、静止画として、メモリ72に記憶される。
【0033】
制御部70は、OCT光学系100を制御し、設定された領域に対応する三次元断層像を取得する。そして、制御部70は、OCT光学系100によって三次元断層像を随時取得する。なお、三次元断層像には、XY方向に関して二次元的にAスキャン信号を並べた画像データ、三次元グラフィック画像、などが含まれる。
【0034】
三次元断層像を得るとき、制御部70は、光スキャナ108の動作を制御し、撮像領域に対応する走査範囲において測定光をXY方向に二次元的に走査させることにより三次元断層像を取得する。三次元断層像を得るための走査パターンとしては、例えば、ラスタースキャン、ラジアルスキャン等が考えられる。
【0035】
<画像の表示>
制御部70は、OCTデバイス10によって取得された三次元断層像に基づいて眼底上の走査位置に関して互いに近接する複数の断層像を抽出し、抽出された複数の断層像をモニタ75上に並べて表示する。
【0036】
制御部70は、取得された三次元断層像に基づく正面像及び断層像をモニタ75画面上に表示する。図2は、モニタ75の画面上の構成の一例を示す図である。モニタ75上の右上隅には、正面像P1が表示されている。モニタ75上の左側には、取得された断層像P2が時系列順に連続的に並べて表示されている。複数の断層像P2における各画像の左上隅には、画像識別番号表示93が表示されており、三次元断層像において何枚目に取得された断層像であるかを識別できる。
【0037】
表示可能領域Sは、複数の断層像P2が表示される領域を示しており、断層像の枚数によって、表示可能領域S内に所望の枚数の断層像が収まるように拡大縮小処理が行われる。
【0038】
フレームF1は、正面像P1上において、モニタ75に表示された複数の断層像P2に対応する位置を示すグラフィックである。例えば、フレームF1によって囲まれる眼底領域は、正面像P1上において所定数(例えば、25枚)のBスキャン画像を含む範囲に設定される。モニタ75上において隣接して表示されるBスキャン画像同士は、眼底上の走査位置に関して互いに近接する。走査位置の近接性に関しては、走査位置が連続する複数の断層像の他、断層観察における連続性が確保される程度に走査位置が互いに近接する複数の断層像(例えば、150μm程度)が考えられる。
【0039】
フレームF1の初期位置は、正面像P1の撮影範囲の中心を基準に設定される(撮影領域の中心座標とフレームF1の中心座標が一致する位置)。走査線Bは、フレームF1の中心を通過する走査線を示す。フレームF2は、複数の断層像P2において走査線Bに対応する断層像を示すためのグラフィックである。
【0040】
インデックス表示91は、基準画像を変更するためのものである。検者は、マウス74aを操作することによって、矢印表示92を移動させる。制御部70は、矢印表示92を移動させることによって、撮影された断層像内で基準画像を変更し、それに伴って、正面像P1内のフレームF1及び走査線Bを移動させる。例えば、検者が矢印表示92を左端に移動させるほど、三次元断層像において最初に取得された断層像に近づいていき、右端に移動させるほど、三次元断層像において最後に取得された断層像に近づいていく。もちろん、左端に移動させるほど、最後に取得された断層像に近づいていき、右端に移動させるほど、最初に取得された断層像に近づいていく構成でもよい。
【0041】
枚数設定表示94は、モニタ75上に一度に表示する複数の断層像P2の枚数を設定するためのものである。表示枚数設定部96の数値(例えば、縦横の各設定値)を変更することによって、モニタ75の画面上に表示される断層像の枚数が変更される。断層像の表示枚数の設定は、基準画像を中心として、その前後の断層像の枚数が同じ数となるように、奇数枚数に設定されている。例えば、検者が表示枚数設定部96の数値を5×5から7×7に変更することによって、断層像の表示枚数が25枚から49枚へ変更される。
【0042】
モード切換表示98は、モニタ75上に表示する複数の断層像P2を種々の条件でソートすることによって、モニタ75上に表示する複数の断層像P2、モニタ75上の複数の断層像P2において各断層像の表示順序を変更するために用いられる。例えば、検者は、モード切換表示98のモード設定部99のモード表示を切り換えることによって、モードに応じた条件にてソートされた断層像が表示される(詳細は後述する)。
【0043】
<制御動作>
検者は、モニタ75の画面上に表示される断層像及び正面像を観察して診断を行う。
【0044】
概して、制御部70は、複数の断層像と共に、OCT光学系100によって取得された正面像をモニタ75上に同時に表示する。さらに、制御部70は、正面像上において、モニタ75に表示された複数の断層像に対応する領域を示す対応表示を正面像上に重畳して表示する。
【0045】
また、制御部70は、マウス74aから入力される操作信号に基づいて複数の断層像として抽出する眼底上の走査領域を変更すると共に、変更された走査領域に対応する複数の断層像をモニタ75に表示する。また、制御部70は、マウス74aから入力される操作信号に基づいて正面像上における対応表示の位置を移動させ、対応表示によって指定された眼底上の走査領域に対応する複数の断層像をモニタ75上に並べて表示する。
【0046】
例えば、モニタ75上に正面像P1及び複数の断層像P2が表示される。検者は、検者が所望する眼底領域の断層像を観察するために、正面像P1を観察しながら、フレームF1の位置を上下方向に移動させることによって、モニタ75上に表示されている複数の断層像P2を変更する。
【0047】
検者がマウス74aを操作し、正面像P1中のフレームF1を移動させることによって、制御部70に操作信号が入力される。制御部70は、モニタ75に表示信号を出力することによって、フレームF1の位置を変更させる。
【0048】
制御部70は、フレームF1の位置を変更させるとともに、モニタ75上に表示させる複数の断層像P2を変更する。制御部70は、変更後のフレームF1によって囲まれた眼底領域に対応する断層像をメモリ72から取得して、モニタ75上の画面上に連続的に表示する。制御部70は、モニタ75上に表示するための複数の断層像P2を、フレームF1の位置変更前にフレームF1によって囲まれた眼底領域の断層像から、変更後にフレームF1によって囲まれた眼底領域の断層像に変更する。
【0049】
走査線Bは、フレームF1の中心を通る走査線に設定されているため、走査線Bの位置は、フレームF1の変更に伴って逐次、変更される。制御部70は、走査線Bを変更するとともに、フレームF2によって選択された基準画像の断層像を変更する。制御部70は、変更されたフレームF1によって囲まれた眼底領域において、フレームF1の中心を通る走査線Bの断層像にフレームF2を移動させる。
【0050】
ここで、検者がより広い眼底領域(より多くの断層像)の観察を行う場合、検者はマウス74aを操作して、枚数設定表示94の表示枚数設定部96の数値(設定値)を変更する。検者によって表示枚数設定部96の数値が変更されると、制御部70は、走査線Bの基準画像を中心にその前後の連続的な断層像をメモリ72から取得して表示させる。例えば、検者は、表示枚数設定部96の数値を5×5から7×7に変更する。この場合、変更前(5×5)の複数の断層像P2は、走査線Bを中心として正面像P1の上下方向に12走査線ずつの断層像が表示されている(走査線Bにおける基準画像と合わせて25枚の断層像)。変更後(7×7)の複数の断層像P2は、走査線Bを中心として正面像P1の上下方向に24走査線ずつの断層像が表示される(走査線Bにおける基準画像と合わせて49枚の断層像)。
【0051】
検者によって表示枚数設定部96の数値が変更されると、制御部70は、断層像をメモリ72から取得して表示させる。このとき、制御部70は、表示可能領域S内に、表示枚数設定部96にて設定された枚数の断層像が表示されるように断層像の拡大縮小処理を行う。例えば、断層像の枚数が増加する場合、制御部70は、断層像を縮小処理し表示させる。断層像の枚数が減少する場合、制御部70は、断層像を拡大処理し表示させる。
【0052】
以上のように、複数の断層像を連続的に表示することによって、検者は、所望する眼底位置周辺の複数の断層像を観察することが可能となる。これによって、検者は、眼底位置毎に正面像から断層像を取得する領域を選択する必要がなくなる。また、検者は、所望する眼底位置周辺の複数の断層像を同時に観察することができる。これによって、検者は、複数の断層像間で比較を行うことができ、手間をかけることなく、より詳細な診断を行うことできる。
【0053】
なお、本実施形態においては、正面像に対して、X方向(横方向)の走査線の断層像が連続的に表示される構成としたがこれに限定さない。受光素子83によって検出されたスペクトルデータを処理し、画像処理により断層像及び正面像を形成させたものであれば、制御部70は、連続的な複数の断層像を表示する際の走査線の方向を切換えることができる。例えば、正面像に対して、Y方向(縦方向)の走査線の断層像が連続的に表示される構成でもよい。この場合、走査線方向を切り換えるための構成(例えば、制御部70は、モニタ75上に切換用のアイコンを表示する)を設ける。検者が切換部を操作することによって、モニタ75上の表示は、X方向の走査線の断層像表示からY方向の走査線の断層像表示へと切り換えられる。
【0054】
走査線の方向がY方向に切り換えられた場合、制御部70は、フレームF1及び走査線Bの表示を切り換える。検者は、Y方向用に切り換えられたフレームF1及び走査線B1を移動させることによって、モニタ75上に表示する断層像を変更することができる。
【0055】
なお、本実施形態においては、取得した断層像を連続的に表示する構成としたがこれに限定されない。取得した断層像を所定間隔で並べて表示するようにしてもよい。例えば、1フレーム間隔(51番目に取得された断層像、53番目に取得された断)を空けて表示するようにしてもよい。例えば、100〜105番目にそれぞれ取得された断層像において、制御部70は、1フレームずつ間隔を空けてモニタ75上に表示する(例えば、100番目、102番目、104番目を表示)。これによって、検者は、より広い眼底領域の断層像を同時に観察することができる。
【0056】
なお、本実施形態において、さらに連続的に並べられた断層像を拡大表示可能な構成としてもよい。この場合、検者は、モニタ75上に表示された複数の断層像の内、所望する断層像をマウス74a等を用いることによって、選択する。制御部70は、選択された断層像をモニタ75上に拡大表示する。これによって、検者は、所望する断層像のより詳細な観察が可能となる。
【0057】
なお、本実施形態においては、フレームF1の中心を通る走査線を走査線Bとして設定していたがこれに限定されない。走査線Bは、フレームF1内で移動可能な構成としてもよいし、正面像内を制限無く移動可能な構成としてもよい。
【0058】
なお、本実施形態においては、フレームF1の初期位置を正面像P1の撮影範囲の中心を基準に設定したがこれに限定されない。検者が任意に設定される構成としてもよい。例えば、正面像P1の端とフレームF1の端が一致するように初期位置を設定する。このようにすることによって、検者は、最初に取得された断層像から順に観察をすることができる。
【0059】
なお、本実施形態においては、枚数設定表示94の表示枚数設定部96の数値(設定値)を変更することによって、断層像の表示枚数を変更する構成としたが、これに限定されない。検者がマウス74aを操作して、マウス74aから入力される操作信号に基づいて、複数の断層像を表示する際の表示枚数を変更する構成であればよい。例えば、マウス74aを操作し、フレームF1の幅を広げることによって、断層像の表示枚数が変更される構成であってもよい。
【0060】
なお、本実施形態において、検者は、正面像P1中のフレームF1を操作することによって断層像の表示を変更するようにしたがこれに限定されない。フレームF1、フレームF2、走査線B、インデックス表示91は、それぞれリンクしているため、これらのいずれかが変更されるにともなって他の表示も変更される。このため、検者は、これらのいずれかを操作することによって、断層像の表示を変更することができる。例えば、検者は、インデックス表示91の矢印表示92を操作することによって、撮影された断層像内で基準画像が変更され、モニタ75上に表示される断層像が変更される。それに伴って、正面像P1内のフレームF1及び走査線Bが移動される。また、検者はフレームF2を操作することによっても基準画像が変更されるため、モニタ75上に表示される断層像が変更される。
【0061】
なお、本発明において、検者は、検者によって操作される操作入力手段として、マウス74aを用いて操作をおこなっているがこれに限定されない。コントロール部74としては、マウスに限定されず、押圧式スイッチ、キーボード、タッチパネル、電動ジョイスティック等の種々の操作入力装置が用いられる。
【0062】
なお、本実施形態においては、検者は、モニタ75上のフレームF1、フレームF2、走査線B、インデックス表示91のいずれかを介してモニタ75上の断層像の表示を変更できる構成としたがこれに限定されない。例えば、ジョイスティック等を用いて、取得された断層像をスクロールして、モニタ75上に表示される複数の断層像を変更する構成としてもよい。
【0063】
なお、本実施形態においては、表示枚数の変更は、基準画像が中心となるように、奇数枚数となるように設定したがこれに限定されない。基準画像を中心として、前後の連続的な画像が観察できればよい。例えば、表示枚数が偶数枚数となる場合に、制御部70は、略中心となる画像を基準画像として設定し、その前後の断層像を表示する(例えば、4×4の場合、8枚目又は9枚目の断層像を基準画像として設定する)。また、表示枚数が偶数枚数となる場合には、設定された表示枚数に1枚増やす又は減らす処理を行い、表示枚数を奇数枚数となるように設定する構成でもよい。
【0064】
なお、上記説明において、断層像を並べて表示する際に、断層像が好適に撮影されなかった画像については、モニタ75上に表示しない構成としてもよい。例えば、制御部70は、断層像を並べて表示する際に、断層像の輝度値を算出して、所定の閾値以下であった断層像に関しては、モニタ75上に表示しないようにする。これによって、瞬き等によって撮影に失敗した断層像の表示が行われないため、観察に適した複数の断層像をモニタ75上に表示することが可能となる。また、断層像を並べて表示する際に、断層像が好適に撮影されなかった画像については、好適に撮影されていないことを示す表示を各断層像に表示する構成としてもよい。また、検者が任意に表示するか否かを設定可能な構成としてもよい。
【0065】
<OCTのソート機能>
以下、検者が選択した条件に基づいて、同一被検眼において時系列に取得された断層像を、ソートする方法について説明する。
【0066】
制御部70は、OCTデバイス10によって取得され、メモリ72に記憶された各断層像を処理して断層像の解析結果を取得し、取得された解析結果に関する所定の基準の下に複数の断層像を並び換え、並び換えられた複数の断層像をモニタ75上に並べて表示する。
【0067】
検者は、マウス74aを操作し、モード切換表示98のモード設定部99のモードを切り換える。例えば、表示モードは、マルチモード、層厚モード、差分モード等が挙げられる。マルチモードは、上記記載のように、取得された複数の断層像を時系列順に連続的に並べて表示するモードである。本実施形態において、撮影終了後のモードは、マルチモードに設定されている。
【0068】
層厚モードは、層の厚みを検出し、層の薄い(又は厚い)順に並べて表示するモードである。層厚モードにおいて、制御部70は、メモリ72に記憶された各断層像を処理して断層像の解析結果として各断層像における層厚情報を測定すると共に、層厚の大小を所定の基準として複数の断層像を並び換える。層厚モードでは、層厚の厚みに応じて断層画像を観察できるため、検者は、病変部の早期発見等に用いることができる。例えば、緑内障は、進行するにつれて、層厚が薄くなる。このため、検者は、層厚の薄い部位を観察することで、緑内障の早期発見に役に立てることが可能となる。加齢性黄斑変性は、新生血管が生じ網膜面上に進展することによって網膜上が盛り上がり、層厚が厚くなる。このため、検者は、層厚の厚い部位を観察することで、加齢性黄斑変性の発見に役に立てることが可能となる。
【0069】
差分モードは、正常眼データベースの層厚情報と取得した断層像の層厚情報との差分を取得し、差分が大きい(又は小さい)順に断層像を並べて表示するモードである。差分モードにおいて、制御部70は、正常眼データベースに対する各断層像における解析結果の差分を算出し、差分の大小を所定の基準として複数の断層像を並び換える。差分モードでは、正常眼における情報との差分を観察できるため、検者は、被検眼の異常部位の診断等に用いることができる(詳細は後述する)。
【0070】
なお、以下に説明するソート方法については、差分モードを例に挙げて説明する。
【0071】
検者は、マウス74aを操作し、モード切換表示98のモード設定部99のモードをマルチモードから差分モードに変更する。
【0072】
差分モードでは、取得した断層像と正常眼データベースを利用することによって、正常眼に対する各断層像の差分情報を算出する。正常眼データベースは、正常眼における解析結果(各層の間隔、所定部位の形状、所定部位のサイズ、等)を記憶したものである。正常眼データベースは、メモリ72に記憶される。例えば、制御部70は、正常眼データベースに対する各断層像における層厚情報の差分を算出する。制御部70は、横断方向における各位置の層厚を計測し、計測結果と正常眼データベースにおける計測値(例えば、正常眼の計測値)の差分を算出する。制御部70は、算出した差分に基づいて、複数の断層像を並べて表示する。
【0073】
なお、上記解析において、制御部70が差分の算出結果に基づいて、断層像をソートすることによって、検者はソートされた断層像を観察し、異常部位の診断等に用いることができる。
【0074】
以下、動作について説明する。初めに、検者によって、差分モードへモード切換が行われると、制御部70は、取得された複数の断層像に対して、眼底の層情報を画像処理によりそれぞれ検出する。層を検出する場合、例えば、断層像の輝度レベルが検出され、所定の網膜層(例えば、網膜表面と網膜色素上皮層)に相当する層境界が画像処理により抽出される。そして、層境界の間隔が計測されることにより、層厚が計測される。
【0075】
制御部70は、1フレームの断層像において、計測した層厚と正常眼の層厚の差分を1フレームの断層像の各位置で差分を算出する。もちろん層厚を用いた解析において、複数の層厚の合計値が用いられてもよい。
【0076】
緑内障の進行度の診断に用いる場合、例えば、制御部70は、網膜神経線維層、神経節細胞層の厚みを計測し、計測結果と正常眼データベースとの差分を算出することにより異常部位を特定する。この場合、網膜神経線維層〜神経節細胞層〜内膜状層までの厚みが計測され、差分が算出されるようにしてもよい。
【0077】
図4は、差分の算出結果に基づいて、断層像を並べて表示した場合のモニタ上画面の一例を示す図である。制御部70は、正常眼に対する差分の算出結果に基づいて、断層像を並べて表示する。例えば、制御部70は、複数の断層像間で差分の算出結果を比較し、差分の算出結果が大きいものから順にモニタ75上に並べて表示する。本実施形態において、各断層像における差分の算出結果としては、各断層像内でもっとも大きな差分の算出結果が用いられる。制御部70は、もっとも大きい差分の算出結果を取得するため、1フレームの断層像の各位置において算出された差分の内で比較する。もちろん、各断層像における差分の算出結果として、1フレームの断層像内で、所定位置(例えば、中心部)の差分結果を用いるようにしてもよい。
【0078】
走査線B1は、差分の算出結果が大きいものから順に並べられた複数の断層像P2内のフレームF2で囲まれた断層像(基準画像)に対応する領域を示している。
【0079】
層厚ヒストグラム表示21は、各差分の大きさ毎に正面像P1の領域を分け、正面像内において、各差分の領域がそれぞれどのくらいの割合を占めているかをヒストグラム表示したものである。層厚ヒストグラム表示21は、各差分の領域の割合を示す棒グラフが差分の大きさ毎に色付けで表示されている(例えば、差分が大きくなるにつれて、その領域の割合を示す棒グラフは赤色を表示、差分が小さくなるにつれて薄くなるにつれて、その領域の割合を示す棒グラフに青色を表示)。層厚ヒストグラム表示21は、例えば、棒グラフ22aがもっとも差分の大きい領域を示しており、棒グラフ22bがもっとも差分の小さい領域を示している。棒グラフは、棒グラフ22aに近い棒グラフほど、差分の大きい領域のものを示しており、棒グラフ22bの棒グラフに近づくほど差分が小さい領域のものを示している。検者は、層厚ヒストグラム表示21を観察することで、差分の大きさ毎に分けられた領域の割合が、それぞれどのくらい存在しているかひと目で確認することができる。
【0080】
層厚ヒストグラム表示21には、棒グラフの間を移動可能な矢印表示23が設けられている。検者は、マウス74aを操作することによって、矢印表示23を移動させる。制御部70は、矢印表示23が移動されることによって、差分の算出結果が大きいものから順に並べられた断層像内でモニタ75上に表示させる画像を変更させる。例えば、矢印表示23が棒グラフ22aから棒グラフ22bへ移動されると、制御部70は、モニタ75上に表示させる画像を棒グラフ22bに対応する複数の断層像に変更すると共に、変更された複数の断層像を差分の大きい順に並べて表示する。基準画像が変更されることによって、フレームF2及び正面像P1の走査線B1が移動される。
【0081】
以上のようにして、差分モードへモード切換が行われた際、モニタ75上に表示する断層像や断層像を表示する際の表示順序を変更する。これによって、検者の診断を補助することができ、検者が病変部に発見等に貢献する。また、眼底領域に複数の病変部がある場合においても、容易に病変部の比較を行うことができ、好適に診断を行える。
【0082】
なお、本実施形態において、所定の条件におけるソートが完了した場合に、さらに、モニタ75上に表示する画像を変更してもよい。例えば、差分モードにて、モニタ75上に表示する断層像や断層像を表示する際の表示順序を変更した後、モニタ75上に表示された断層像の内、検者が所定の断層像を選択する。制御部70は、検者によって選択された断層像を基準画像として、その前後に取得された断層像を並べて表示するように変更する。このようにすることによって、検者は、更にソートした断層像を基準画像として、その周辺の断層像を同時に観察することができる。このため、検者は、手間なく、より詳細な診断を行うことができる。
【0083】
なお、本実施形態においては、モード切換について差分モードを例に挙げて説明をしたがこれに限定されない。
【0084】
制御部70は、各断層像を処理して断層像の解析結果を取得し、解析結果に関する所定の基準の下に各断層像を並び換え、並び変えられた各断層像をモニタ上に並べて表示するものであればよい。例えば、上記記載のような層の厚みを検出し、層の薄い(又は厚い)順に並べて表示するモードでもよいし、断層像の輝度値に基づいて並べて表示するモードでもよい。
【0085】
断層像の輝度値に基づいて並べて表示するモードでは、例えば、評価値Sに基づいて断層像を並べて表示する。評価値Sは、S=((画像の平均最大輝度値)−(画像の背景領域の平均輝度値))/(背景領域の輝度値の標準偏差)の式より求められる。すなわち、画像として良好でない画像は、ノイズが大きいため、評価値Sが小さくなる。図5は、評価値Sに基づいて、断層像の表示順序を変更した際のモニタ75上の表示画面の一例を示す図である。モニタ75上には、例えば、評価値Sが大きい順に断層像P2が並べて表示される。正面像P1における走査線B2は、評価値Sが大きい順に並べられた複数の断層像P2内のフレームF2で囲まれた断層像(基準画像)に対応する領域を示している。
【0086】
インデックス表示31は、基準画像を変更するためのものである。検者は、マウス74aを操作することによって、矢印表示32を移動させる。制御部70は、矢印表示32を移動されることによって、撮影された断層像内で基準画像を変更し、それに伴って、正面像P1内の走査線B2を移動させる。
【0087】
OCT確認表示33には、全体マップ表示36と確認方法切換表示37が設けられている。全体マップ表示36には、複数の断層像の全体が断層像毎に評価値Sの結果に応じて、色分けして表示されている(例えば、SSIが高いものに関しては、赤色で表示し、低いものに関しては、緑色で表示する)。確認方法切換表示37は、全体マップ表示36を所定条件にてソートするための条件を切り換えるためのものである。例えば、検者は、マウス74aを操作することによって、確認方法切換表示37のソート条件を切り換える。ソート条件は、例えば、評価値Sが大きい順に全体マップ表示36を並び換える条件や撮影順に並べて表示する条件が挙げられる。以上のように、OCT確認表示33によって、検者は、複数の断層像全体において、どのくらい撮影が適正に行われたか容易に確認することができる。
【0088】
なお、本発明は、経過観察にも用いることができる。例えば、同一被検眼において異なる日時で撮影した画像を用いて経過観察を行うための経過観察モードを設ける。メモリ72には、第1の検査日時にて取得された第1の複数の断層像と、第2の検査日時にて取得された第2の複数の断層像とが記憶される。また、各画像の撮影日、被検者の識別情報が記憶される。
【0089】
経過観察モードにおいて、制御部70は、第1の複数の断層像と第2の複数の断層像とを分割して同時に表示する。それとともに、制御部70は、取得された解析結果に関する所定の基準の下に、第1の複数の断層像をそれぞれ並び換える。さらに、制御部70は、第1の複数の断層像と同じ基準の下に第2の複数の断層像をそれぞれ並び換える。制御部70は、並び換えられた第1の複数の断層像と第2の複数の断層像をそれぞれ表示する。
【0090】
図6は、経過観察モードにおけるモニタ75上の表示画面の一例を示す図である。モニタ75上には、異なる日時で取得された断層像が表示される。P3、P4、P5は、異なる日時で取得された正面像を示している。P6は、P3の正面像におけるフレームF3に囲まれた領域の断層像が並べて同時表示されている。P7は、P4の正面像におけるフレームF4に囲まれた領域の断層像が並べて同時表示されている。P8は、P5の正面像におけるフレームF5に囲まれた領域の断層像が並べて同時表示されている。
【0091】
患者情報表示11は、患者を識別するための情報(性別、年齢等)、それぞれの断層像の撮影日時等が表示される。
【0092】
インデックス表示13は、上記記載と同様に、表示されている断層像を変更するためのものである。検者は、マウス74aを操作することによって、矢印表示14を移動させる。制御部70は、矢印表示14の移動に応じて、P6〜P8の断層像を変更し、それに伴って、正面像P3〜P5内のフレームF3〜F5を移動させる。もちろん、フレームF3〜F5にそれぞれ走査線を設け、走査線の示す断層像をフレーム等で囲み、基準画像として表示するような構成としてもよい。また、正面像P3〜P5にそれぞれインデックス表示を設け、それぞれ断層像の変更ができる構成としてもよい。
【0093】
モード切換表示15は、上記記載と同様に、モニタ75上に表示する断層像を種々の条件でソートすることによって、モニタ75上に表示する断層像や断層像を表示する際の表示順序を変更するために用いられる。
【0094】
以上のように、同一被検眼において、経過観察を行えることができ、病変部の進行等を観察することができる。
【0095】
また、上記実施形態に限定されず、制御部70が第1の複数の断層像と、第2の複数の断層像とを分割して同時に表示すると共に、取得された解析結果に関する所定の基準の下に第1の複数の断層像をそれぞれ並び換える。また、制御部70は、第1の複数の断層像と同じ基準の下に第2の複数の断層像をそれぞれ並び換える。そして、制御部70は、並び換えられた第1の複数の断層像と第2の複数の断層像をそれぞれ表示する構成であってもよい。この場合、メモリ72には、第1の被検者に関する第1の複数の断層像と、第2の被検者に関する第2の複数の断層像とが記憶される。
【0096】
例えば、制御部70は、第1の患者に関して走査位置が連続する第1の複数の断層像と、第1の複数の断層像と同じ走査領域であって第2の患者に関して走査位置が連続する第2の複数の断層像と、比較可能にモニタ75に表示するようにしてもよい。制御部70は、図6と同様に、矢印表示14の移動に応じて、モニタ75上に表示するための複数の断層像を変更し、それに伴って、正面像P3〜P5内のフレームF3〜F5を移動させる。これにより、他患者との網膜の比較が可能となる。
【0097】
なお、経過観察を行う際に、撮影日時の異なる撮影画像間の位置ずれを補正することによって、精度のよい診断が可能となる。例えば、制御部70は、異なる日時にて取得された複数の断層像間の位置ずれ情報を検出し、検出された位置ずれ情報と、複数の断層像間の位置ずれを補正する。
【0098】
例えば、制御部70は、撮影直後の最も新しい正面像を基準とする。もちろん、検者が撮影日時の異なる正面像の内、基準となる画像を選択してもよい。制御部70は、特徴点(乳頭、黄斑、血管等)に基づいて、基準画像に対して、それぞれの正面像のずれ量(平行移動量と回転量)を検出する。制御部70は、検出したずれ量に基づいて、断層像及び正面像のずれを補正する。なお、ずれ補正は、正面像を用いることなく、三次元断層像よりずれ量を検出し、行ってもよい。
【0099】
なお、本発明において、各種画像の表示状態を変更可能な構成を設けてもよい。例えば、断層像のコントラストを調整する機能や断層像を拡大縮小させる機能を設けることが挙げられる。拡大縮小機能の場合、検者が断層像を選択すると、拡大縮小を選択される表示がされ、それらの表示を操作することによって、断層像が拡大縮小される。このとき、異なる日時に撮影された撮影画像においても、一つの画像が拡大縮小されることによって、他の画像においても、同期して拡大縮小される構成としてもよい。
【0100】
なお、本発明においては、本実施形態に記載した装置に限定されない。例えば、上記実施形態の機能を行う眼底解析ソフトウェア(プログラム)をネットワークや各種記憶媒体を介して、システムあるいは装置に供給する。そして、システムあるいは装置のコンピュータ(例えば、CPU等)がプログラムを読み出し、実行することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本実施形態に係る眼科撮影装置の構成について説明する概略構成図である。
【図2】モニタ画面上の構成の一例を示す図である。
【図3】従来装置においてのモニタ上画面の一例を示す図である。
【図4】差分の算出結果に基づいて、断層像を並べて表示した場合のモニタ上画面の一例を示す図である。
【図5】評価値に基づいて、断層像の表示順序を変更した際のモニタ上の表示画面の一例を示す図である。
【図6】経過観察モードにおけるモニタ上の表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0102】
70 制御部
72 メモリ
74 コントロール部
74a マウス
75 モニタ
100 干渉光学系(OCT光学系)
108 光スキャナ
120 検出器
200 正面像観察光学系
300 固視標投影ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定光源から発せられた光を被検眼眼底上で二次元的に走査させるための光スキャナと、測定光源から発せられた測定光と参照光との干渉状態を検出する検出器と、を有し、被検眼眼底の三次元断層像を得るための光コヒーレンストモグラフィーデバイスと、
光コヒーレンストモグラフィーデバイスによって取得された前記三次元断層像に基づいて眼底上の走査位置に関して互いに近接する複数の断層像を抽出し、抽出された複数の断層像をモニタ上に並べて表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする眼底撮影装置。
【請求項2】
請求項1の眼底撮影装置において、
検者によって操作される操作入力手段を有し、
前記表示制御手段は、操作入力手段から入力される操作信号に基づいて複数の断層像として抽出する眼底上の走査領域を変更すると共に、変更された走査領域に対応する複数の断層像をモニタに表示する眼底撮影装置。
【請求項3】
請求項2の眼底撮影装置において、
被検者眼の正面像を取得するための正面像観察デバイスを有し、
前記表示制御手段は、前記複数の断層像と共に、正面像観察デバイスによって取得された正面像をモニタ上に同時に表示すると共に、該正面像上において、モニタに表示された複数の断層像に対応する領域を示す対応表示を正面像上に重畳して表示する眼底撮影装置。
【請求項4】
請求項3の眼底撮影装置において、
前記表示制御手段は、操作入力手段から入力される操作信号に基づいて前記正面像上における前記対応表示の位置を移動させる表示制御手段であって、該対応表示によって指定された眼底上の走査領域に対応する前記複数の断層像をモニタ上に並べて表示する眼底撮影装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの眼底撮影装置において、
前記表示制御手段は、前記複数の断層像を時系列順に連続的に並べて表示する眼底撮影装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれかの眼底撮影装置において、
前記表示制御手段は、操作入力手段から入力される第3の操作信号に基づいて、前記複数の断層像を表示する際の表示枚数を変更する眼底撮影装置。
【請求項7】
測定光源から発せられた光を被検眼眼底上で二次元的に走査させるための光スキャナと、測定光源から発せられた測定光と参照光との干渉状態を検出する検出器と、を有する光コヒーレンストモグラフィーデバイスによって撮影された被検眼眼底の三次元断層像を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された前記三次元断層像に基づいて眼底上の走査位置に関して互いに近接する複数の断層像を抽出し、抽出された複数の断層像をモニタ上に並べて表示する表示制御工程と、
を備えることを特徴とする眼底解析方法。
【請求項8】
請求項7に記載の眼底解析方法をコンピュータで実行する眼底解析プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−27442(P2013−27442A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163878(P2011−163878)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)
【Fターム(参考)】