説明

眼用レンズの着色方法

本発明は、コンタクトレンズや眼内レンズ等において、文字や記号等のマーキングや所定領域への着色など、レンズ成形後に事後的な着色処理を施すに際して利用できる、レーザー光を利用した従来にない新規な着色方法を提供することを、目的とする。 かかる目的を達成するために、本発明においては、色素を含む材料からなる色素プレート14をコンタクトレンズ等の眼用レンズ10の一方の面12に重ね合わせるように配設する。そして、かかる状態下で、色素プレート14にレーザー光20を照射して、色素プレート14から眼用レンズ10に色素を移行させて眼用レンズ10に着色を施すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、コンタクトレンズや眼内レンズ,角膜インプラント等のように眼球に対してその内部や表面に直接に装用される眼用レンズに対して、レンズが完成したあとから事後的に着色することの出来る、眼用レンズに対する新規な着色方法に関するものである。
【背景技術】
上述の如き眼用レンズは、可視光線に対する透過性が要求されることは勿論であるが、紫外線等からの眼の保護やファッション性の向上,レンズ識別用の表示など、さまざまな目的で着色されることが多い。また、眼用レンズにおける着色材の種類や着色の濃度,着色の部位,大きさ等に関しては、着色の目的等に応じて、各種のものが存在している。
ところで、着色された眼用レンズを得るに際しては、予めレンズ材料に染料や顔料等の着色材を含有させることも考えられるが、特定の部位だけを着色する場合などにおいては、レンズ製造上の理由のほか、多様な要求に対して個別的に対応するため等の目的から、レンズの完成後に、事後的に着色することが必要とされる場合がある。
具体的には、例えば、コンタクトレンズにおいて、表裏や左右の判別のためにマーキングを施す場合が挙げられる。かかるマーキングは、特定の文字や記号を付することによって行われるものであり、例えば特許文献1(特公平5−67932号公報)に示されているように成形型に刻印しておいた文字等をコンタクトレンズの成形時に転写したり、特許文献2(特公昭62−37368号公報)に開示されているように完成したコンタクトレンズにレーザービームで刻印することによってマーキングすることも考えられるが、コンタクトレンズ表面にマーキングの凹部が存在すると、装用感が悪化したり、そこに異物が堆積し易い等という問題がある。そこで、コンタクトレンズを部分的に着色して視認可能な文字等を表示することによってマーキングを施すことが検討されているのである。
ところが、従来から知られている染色や印刷による着色マーキング方法では、コンタクトレンズのポリマー中に侵入し易い特定の染料を採用するものであることから、ポリマー中への分散の制御が難しく、分散した染料による悪影響も懸念される場合があった(後記の特許文献3,特許文献4,特許文献5,特許文献6を参照)。また、特にハードタイプのコンタクトレンズでは、染料が内部に侵入し難いことから、着色マーキングし難く、或いは染色が薄くなったり、脱色や剥離によって十分な耐久性が得られ難いという問題があった。更に、レーザービームやUV光などの光線を用いてコンタクトレンズの特定部位を変色させて着色マーキングする方法も提案されているが、特定のレンズ材料を採用したり感光物質をレンズ材料に含有させたりする必要があることから実用的ではない(後記の特許文献7を参照)。
また、コンタクトレンズ等の眼用レンズに対して、レンズ成形後に任意の色に着色することの出来る技術は未だ提供されていないのが現状であり、ましてや、眼用レンズにおける特定の領域だけに対してレンズ完成後に着色することは、従来技術において極めて困難であった。それ故、例えば、近用部と遠用部を備えたバイフォーカルタイプのコンタクトレンズレンズにおいて、レンズ完成後に遠用部だけを着色することなどは、従来技術において決して容易ではなかったのである。
【特許文献1】 特公平5−67932号公報
【特許文献2】 特公昭62−37368号公報
【特許文献3】 特開昭62−186221号公報
【特許文献4】 特開平4−270312号公報
【特許文献5】 特開昭61−211382号公報
【特許文献6】 特開昭62−31821号公報
【特許文献7】 特開昭64−13520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、各種の眼用レンズに対して、レンズが完成したあとから事後的に着色することが出来、眼用レンズの材料の種類等に拘わらず、高度の耐久性をもって着色することの出来る、眼用レンズの技術分野において全く新規で且つ極めて有用な着色方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
(本発明の態様1)
本発明の態様1の特徴とするところは、色素を含む材料からなる色素プレートを眼用レンズの一方の面に重ね合わせるように配設して、該色素プレートにレーザー光を照射することにより、該色素プレートから該眼用レンズに該色素を移行させて該眼用レンズに着色を施す眼用レンズの着色方法にある。
このような本態様に従えば、コンタクトレンズや眼内レンズ等の眼用レンズに対して、その製造後において事後的に、任意の領域に任意の形状と色をもって着色することが可能となる。なお、レーザービームを利用した眼用レンズへの着色技術としては、前述の特許文献2や特許文献7に開示されているものが従来から存在するが、特に、本発明方法の着色技術にあっては、特許文献2に開示されている如きレーザービームを利用したレンズ着色技術に比して、レンズ表面に刻印等の大きな凹部を形成するものでなく略平滑なレンズ表面が維持されることから、レンズの強度低下等といった不具合が問題となることがなく、また、特許文献7に開示されている如きレーザービームを利用したレンズ用着色技術に比して、眼用レンズの材料による特別な制限を受けることもないのである。
なお、グラビア印刷に代表される印刷画像形成の技術分野では、特開平8−106006号公報や特開平8−104058号公報に記載されているように、色素を含むソースフィルムにターゲットフィルムを重ね合わせて、レーザー光を照射することによりレーザーアブレーションを生じさせてターゲットフィルムに色素転写するフィルム印刷法や、アブレーションしきい値以下の強度のレーザー光を照射することにより色素を未分解のままでターゲットフィルムに注入するフィルム印刷法が、既に提案されていた。しかしながら、これらは専ら色調の再現性が重視される印刷原版や液晶ディスプレイ等表示体用のカラーフィルタへの適用技術として提供されていたものに過ぎず、全く技術分野が異なり、生体に直接に装用されるコンタクトレンズ等の眼用レンズにおける着色に関しては、採用される材料が特徴的であることや生体への影響が重視される等といった要求特性が相違する異分野であることもあって、これまで適用の検討すら為されていないのが実情であり、眼用レンズの分野では、専ら、前述の如き眼用レンズの分野に特有のマーキング方法が採用されていたのである。
このような状況下、本発明者は、コンタクトレンズ等の眼用レンズにおける着色に際して、レーザーアブレーションを利用してコンタクトレンズに色素転写したり、アブレーションしきい値以下の強度のレーザー光を照射して色素を未分解のままでコンタクトレンズに注入する技術を適用することの有効性について着目し、実験および検討を繰り返した結果、そのようなレーザー光を利用した色素の転写や注入が、特別な各種高分子材料からなるコンタクトレンズの着色に有効であり、特に、表面の平滑性が要求されるコンタクトレンズにおいてその表面を略平滑に維持したままに後工程で着色することが可能であると共に、色素の拡散も制御することが容易であって、従来技術の染色に比して高い安全性も得られるなどということを新たに見い出し得たのであって、特殊な技術分野であるコンタクトレンズ等の眼用レンズにおいてこそ、かくの如きレーザー光を利用した色素の転写や注入による特定の着色技術が非常に有効な着色方法であるという、新たな知見を得るに至ったのである。そして、本発明は、このような新たな知見に基づいて完成されたものであって、特に、以下に述べるような各種の態様において、一層有利に実施され得ることとなる。
(本発明の態様2)
本発明の態様2は、前記態様1に従う眼用レンズの着色方法であって、前記レーザー光として、前記色素プレートにおけるアブレーションしきい値以下の強度のものを該色素プレートに照射することを、特徴とする。
(本発明の態様3)
本発明の態様3は、前記態様1又は2に従う眼用レンズの着色方法であって、前記レーザ光として拡散型のものを採用し、前記眼用レンズにおける光学部の少なくとも一部の領域に対して着色を施すことを、特徴とする。
(本発明の態様4)
本発明の態様4は、前記態様1乃至3の何れかに従う眼用レンズの着色方法であって、前記着色部位が前記眼用レンズにおいて局部的とされて、前記着色により目視可能なマーキングを該眼用レンズに施すことを、特徴とする。
(本発明の態様5)
本発明の態様5は、前記態様4に従う眼用レンズの着色方法であって、前記眼用レンズにおける光学部を外れた周辺部に対して前記マーキングを施すことを、特徴とする。
(本発明の態様6)
本発明の態様6は、前記態様5に従う眼用レンズの着色方法であって、前記眼用レンズの前記周辺部における前記マーキングを施す位置において、そこに照射される前記レーザ光の照射方向を、該眼用レンズの光学中心軸よりも該マーキングを施す位置での該眼用レンズの表面の曲率半径方向に傾斜させることを、特徴とする。
(本発明の態様7)
本発明の態様7は、前記態様4乃至6の何れかに従う眼用レンズの着色方法であって、前記眼用レンズにおける前記一方の面に表面亀裂を発生させて、該表面亀裂に対して前記色素を入り込ませるようにして移行させることを、特徴とする。
(本発明の態様8)
本発明の態様7は、前記態様7に従う眼用レンズの着色方法であって、前記表面亀裂を、前記色素プレートに照射されるレーザー光によるアブレーションを利用して、前記表面亀裂を発生させることを、特徴とする。
(本発明の態様9)
本発明の態様9は、前記態様8に従う眼用レンズの着色方法であって、前記レーザー光として集光型のものを採用し、前記色素プレート上に集光させるようにすることを、特徴とする。
(本発明の態様10)
本発明の態様10は、前記態様4乃至9の何れかに従う眼用レンズの着色方法であって、前記表面亀裂の深さを50μm以下とすることを、特徴とする。
(本発明の態様11)
本発明の態様11は、前記態様1乃至10の何れかに従う眼用レンズの着色方法であって、前記眼用レンズにおける前記色素の移行領域を、該眼用レンズの前記一方の面の表面から50μm以下とすることを、特徴とする。
(本発明の態様12)
本発明の態様12は、前記態様1乃至11の何れかに従う眼用レンズの着色方法であって、前記レーザー光としてパルスレーザー光を採用することを、特徴とする。
(本発明の態様13)
本発明の態様13は、前記態様1乃至12の何れかに従う眼用レンズの着色方法であって、前記眼用レンズにおける一方の面に対して前記色素プレートを実質的に密接して重ね合わせた状態下で、該色素プレートに対して前記レーザー光を照射することを、特徴とする。
(本発明の態様14)
本発明の態様14は、前記態様1乃至13の何れかに従う眼用レンズの着色方法であって、前記レーザー光を前記眼用レンズを透過させて前記色素プレートに照射することを、特徴とする。
(本発明の態様15)
本発明の態様15は、前記態様1乃至14の何れかに従う眼用レンズの着色方法において、前記眼用レンズが含水性材料で形成されたものであって、該眼用レンズを含水せしめた状態下で前記レーザー光を照射して該眼用レンズに着色を施すことを、特徴とする。
(本発明の態様16)
本発明の態様16は、前記態様1乃至15の何れかに従う眼用レンズの着色方法であって、前記眼用レンズを液中に浸漬せしめた状態下で前記レーザー光を照射して該眼用レンズに着色を施すことを、特徴とする。
(本発明の態様17)
本発明の態様17は、前記態様1乃至16の何れかに従う眼用レンズの着色方法であって、前記色素プレートとして、フタロシアニン系の色素を含むものを採用することを、特徴とする。
(本発明の作用・効果)
上述の本発明の態様1乃至17の各一つに記載の本発明方法に従えば、何れも、レーザー光を利用することによって、眼用レンズにおける任意の形状や領域に対して色素を被着させることが出来るのであり、従来のレーザービームによる刻印方法のようにレンズ表面に大きな凹部を形成することなく、実質的な平滑なレンズ表面を維持したままで、レンズ成形後において事後的に、各種の文字や記号等のマーキングを施したり、従来では極めて困難であった限定領域のみに着色することなどが、極めて容易に実現可能となるのである。
特に、前述の本発明の態様2に記載の着色方法に従えば、レンズ表面に対して実質的に何等の変化を伴うことなく、色素を注入することが出来るのであり、しかも、レーザー光でエネルギーを与えられてレンズ内に注入された色素は、従来の単純な染色方法による着色に比して、その後における不必要なレンズ内での拡散が抑えられることから、人体の眼に直接に装用される眼用レンズにおいても、色素による問題が有利に回避され得ると共に、体液に晒されたり頻繁な洗浄が繰り返されるような装用状態下でも、良好な着色効果が長期間に亘って有利に維持され得るのである。
また、前述の本発明の態様8に記載の着色方法に従えば、レンズ表面に対して実用上で十分な平滑性が認められる程度の微小な亀裂が生ぜしめられて、そこに色素が入り込むことで保持され得ることから、亀裂によって色素のレンズ内への侵入が促進されると共に、たとえレンズ内に侵入しなくても色素が亀裂内に機械的にも保持されることとなる。それ故、上述の本発明の態様2に記載の着色方法と同様に、コンタクトレンズや眼内レンズ等の眼用レンズにおいて、極めて優れた着色効果が発揮され得るのである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に従うレーザー光を用いた着色方法を実施するための一態様をモデル的に示す説明図である。
第2図は、本発明に従うレーザー光を用いた着色方法を実施するための別の態様をモデル的に示す説明図である。
第3図は、本発明に従うレーザー光を用いた着色方法を実施するための更に別の態様をモデル的に示す説明図である。
第4図は、本発明に従うレーザー光を用いた着色方法を実施するための更に別の態様をモデル的に示す説明図である。
第5図は、本発明に従うレーザー光を用いた着色方法を実施するための更に別の態様をモデル的に示す説明図である。
第6図は、本発明の第1実施例において着色されたハードコンタクトレンズの着色部位を示す顕微鏡写真である。
第7図は、本発明の第2実施例において着色されたソフトコンタクトレンズの着色部位を示す顕微鏡写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について説明する。
先ず、前述の「発明の開示」の欄における本発明の態様1乃至15において採用される色素プレートを構成する色素としては、着色機能を有する染料や顔料であって人体に対する毒性のないものであれば採用可能であるが、色彩や透孔性,入手のし易さ,取扱い易さの他、採用する波長域のレーザー光の吸収特性などを考慮して、適当なものが選択される。なお、本発明における色素とは、通常の色材の分野でいう色素にとどまらず、紫外線から近赤外線の波長域、好ましくは波長(λ)が190〜1100nmの範囲内に、光線吸収の極大域をもった物として定義される。従って、可視光線の領域内にとどまらず、赤外線を吸収,反射する化合物や、紫外線を吸収,反射する化合物も、本発明における色素の範疇に含まれる。
より具体的には、本発明における色素としては、例えば、フタロシアニン系色素やアゾ系色素,アントラキノン系色素,蛍光色素,各種重合性色素とモノマーの共重合体などが好適に採用される他、各種無機顔料やUV吸収剤、近赤外吸収剤などを色素として採用することも可能である。なお、蛍光色素としては、フェニルメタン系やキサンテン系,チアゾール系,チアジン系の蛍光染料等が例示されると共に、UV吸収剤である色素としては、ベンゾフェノン系,トリアゾール系,各種重合性吸収剤とモノマーの共重合体などが採用され得る。勿論、これらの色素は、必要に応じて複数種類を混合して用いることも可能である。
そして、このような色素は、例えば適当な大きさの粒子状としたものを加圧成形して一体的なプレート構造体とすることによって、色素プレートとして用いられる。なお、かかる色素プレートの加圧成形に際しては、色素に対して適当な結合剤や接合剤,増量剤等が必要に応じて添加されて均一混合される。用いられる結合剤等としては、例えばオレフィン系樹脂やスチレン系樹脂,アクリル系樹脂,ビニル系樹脂,ポリアミド系樹脂,ポリエステル系樹脂,フェノール樹脂,シリコーン樹脂など、色素が機能する波長域の光線に対して光線透過率の高い有機高分子化合物が、好適に採用される。
なお、色素プレートに採用される色素や、それに添加される上記結合剤等としては、照射されるレーザー光のエネルギーを吸収するものが、特に好適に採用される。蓋し、照射されるレーザー光のエネルギーを吸収することによって、それが運動エネルギーとして色素プレートの微粒子に与えられて、色素プレートからの色素の効率的な飛散が実現されると考えられるからである。
また、色素プレートは、上述の如き加圧成形による他、例えば色素を適当な溶剤溶液中に均一に分散させたり溶解させたものを用い、それを適当なプレート基板上にキャスティングやコーティング,スピンコーティング,ディッピング等で付着させた後、乾燥等によって溶剤を除去して得ることも可能である。その際に用いられるプレート基板の形成材料は、後述するレーザー光を色素プレート側から照射する場合には、レーザー光の透過率の高いものとして、例えばガラスや石英等が好適に採用される。
特に、プレート基板上に色素プレートを積層形成することにより、色素プレートを十分に薄肉とすることが出来る。即ち、目的とする着色の程度にもよるが、色素プレートは、一般に、0.1〜50重量%の色素濃度において、0.1μm以上の色素層の厚さ寸法があれば着色を行うことが可能であり、一般に1μm〜1mmの肉厚寸法で形成されることから、プレート基板を採用することによって、無駄なく且つ十分な肉厚寸法の色素プレートを、取扱い等に良好な強度を確保しつつ有利に得ることが出来るのである。
一方、本発明が適用される眼用レンズとしては、眼内レンズやコンタクトレンズが例示的に挙げられるが、特にコンタクトレンズとしては、ハードタイプとソフトタイプの何れも対象となる。即ち、眼用レンズは元来、可視光線に対して高い透過率を有するものであることから、本発明においては、材質等による制限を特に受けることなく、各種の眼用レンズが対象となり得る。具体的には、PHEMA(ポリハイドロキシエチルメタクリレート)やPVP(ポリビニルピロリドン)等からなる含水性ソフトコンタクトレンズや、アクリルゴムやシリコーン等からなる非含水性ソフトコンタクトレンズ,フッ素化合物やPMMA(メタクリル樹脂)等からなるハードコンタクトレンズ、或いはシリコーンやアクリル系のエラストマー等からなる眼内レンズなどの何れに対しても、適用可能である。
なお、含水性の材料で形成された眼用レンズに対して本発明を適用するに際しては、乾燥状態にある眼用レンズに対して着色を施すことも可能であるが、適当な割合まで含水させて膨潤させた状態、好ましくは略完全に膨潤させた状態の眼用レンズを採用し、かかる膨潤状態の眼用レンズに対して着色を施すことが望ましい。これにより、乾燥状態の眼用レンズに着色した場合に比して、膨潤に起因して発生するおそれのある色落ちが回避されると共に、膨潤状態での眼用レンズの使用時における着色領域の外縁部の寸法的精度や鮮明度が有利に確保され得るなどの利点が期待できる。
そして、予め所定の材料を用いて目的とする光学特性を備えた形状で成形された眼用レンズに対して、上述の如き色素プレートを用いて事後的に着色を施すに際しては、レーザ光が用いられる。かかるレーザー光としては、波長(λ)が280〜1600nmのものが好適に採用される。用いる色素プレートの色素材料によって最適な波長が異なるが、特に眼用レンズを透過させてレーザー光を照射する場合には、この波長域を外れると、上述の如き一般に採用される眼用レンズ材料によるレーザー光線の吸収率が大きくなってしまうおそれがある。好適なレーザー光源としては、エキシマ(XeCl)レーザー,アレキサンドライトレーザー,Nd−YAGレーザー,YAG2倍波,YAG3倍波,Nd−ガラスレーザー,チタン・サファイアレーザーなどが挙げられるが、特に眼用レンズ側からレーザー光を照射する場合には、眼用レンズ材料による吸収の問題を考慮して、280〜1600nmのレーザー光を採用することが望ましく、更に、眼用レンズにUV吸収剤等が添加されている場合には、UV吸収剤等によるレーザー光の吸収の問題を回避するために、有効波長(λ)が400〜1200nmのレーザー光を効率的に得るために、Nd−YAGレーザーまたはYAG2倍波がーザを採用することが望ましい。
而して、このようなレーザー光源によって得られるレーザー光を、眼用レンズの着色面に重ね合わせるように配設した色素プレートに対して照射して、色素プレートの色素を眼用レンズに移送させることによって、眼用レンズへの着色を行う。
ここにおいて、眼用レンズに重ね合わせた色素プレートに対するレーザー光の照射は、大気中で行うことも可能であるが、例えば蒸留水や適当な浸透圧に調整された水などの適当な液中に眼用レンズと色素プレートの重ね合わせ部位を配して行っても良い。具体的には、眼用レンズと色素プレートを重ね合わせたものを、適当な液体を収容せしめたセル内で位置固定して浸漬せしめた状態で、レーザー光を外部からセル内に照射して行うことが出来る。これにより、レーザー光の色素プレートや眼用レンズに対する照射条件を調節したり、レーザー光によって色素プレートから飛散する色素の飛散特性を調節したり、後述する眼用レンズ表面に対する微小亀裂の発生を調節したり、などすることもできる。特に、含水材料からなる眼用レンズを着色するに際しては、眼用レンズを水中に浸漬させた状態で着色することによって、膨潤状態での着色作業が有利に実現され得る。
また、レーザー光の照射によって色素を色素プレートから眼用レンズに移行させる方法乃至は原理としては、二種類あり、それらの何れを採用することも可能であるが、何れの方法乃至は原理を採用するかによって、好ましいレーザー光の照射態様等が異なることとなる。
具体的には、第一の方法は、前述の「発明の開示」の欄における本発明の態様2に示されているように、レーザー光として、色素プレートにおけるアブレーションしきい値以下の強度のものを採用して色素プレートに照射するものである。このような低強度のレーザー光を採用すれば、色素プレートに存在する色素粒子が、溶融や分解を殆ど生ずることなく元来の色を高度に保持したままの状態で飛散せしめられて眼用レンズに移行して堆積或いは侵入することにより、眼用レンズに着色が施されることとなる。なお、採用されるレーザー光は、色素プレートから色素を飛散させて眼用レンズに移行させるために、色素プレートにおける色素の飛散しきい値以上に設定されることは言うまでもないが、好適には、色素プレートにおけるアブレーションのしきい値の70%以上の強度に設定される。これにより、色素プレートから飛散した色素を眼用レンズの内部に効率的に侵入させて着色することが可能となる。
なお、アブレーションしきい値は、色素プレートに対して一義的に定義できるものではないが、本発明では、使用する色素プレートに対して使用するレーザー光を1ショット照射し、その色素プレートを接触型の表面形状測定装置(例えば、SLOAN社製のDEKTAK3030ST(商標名))によって観察した時、レーザー光の照射面に0.1μm以上の形態変化が起こり得る照射表面での最小のレーザー光強度(mJ/cm)を、アブレーションしきい値1というものとする。
このような第一のレーザー照射の一態様が、第1図にモデル的に例示されている。かかる図中、10は、眼内レンズ等の眼用レンズであり、その着色すべき一方の面12において、色素プレート14の表面16に対して重ね合わせられるようにして配設されている。なお、眼用レンズ10と色素プレート14の重ね合わせ面12,16は、1.0mm以下の僅かな隙間が存在していても良いが、色素プレート14から飛散した色素を眼用レンズ10内に効率的に注入させるためには、実質的に密着状態とすることが望ましい。そして、図示されているように、所定のレーザー光源18から、眼用レンズを10を透過させて色素プレート14にレーザー光20を照射させることにより、色素プレート14から色素22を飛散させて眼用レンズ10の表面12に移行させ、眼用レンズ10内に注入させて着色することが出来るのである。
なお、このようにして眼用レンズ10を着色して特定の記号や文字を表示するには、例えばレーザー光20の色素プレート14に対する照射位置を目的とする表示形態に沿って移動させることによって、或いは目的とする表示形態に対応したマスキングを採用してレーザー光20を色素プレート14に照射することによって、実現可能である。
また、眼用レンズの表面に対して一層広い領域に着色する必要がある場合には、例えば第2図に示されているように、拡散光学系24等によって得られた拡散レーザー光26を採用して、色素プレート14における広い領域に対して略均一にレーザー光26を照射して、コンタクトレンズ等の眼用レンズ28の表面12の広範囲に色素22を移行させて注入することも可能である。
一方、第二の方法は、前述の「発明の開示」の欄における本発明の態様8に示されているように、レーザー光として、色素プレートにおけるアブレーションしきい値より大きな強度のものを採用して色素プレートに照射するものである。このような高強度のレーザー光を採用すれば、色素プレートに存在する色素粒子が、レーザーアブレーション(レーザー爆触)によって、分解し或いは適当な条件下では未分解のまま飛散せしめられて眼用レンズに移行して堆積或いは内部に侵入することにより、眼用レンズに着色が施されることとなる。
なお、かかる第二の方法において採用されるレーザー光は、前述の第一の方法と同様な各種レーザーが採用可能であるが、第一の方法と異なり、その強度が、採用する色素プレートに応じて、そのアブレーションのしきい値より大きな値に設定される。好適には、前述の「発明の開示」の欄における本発明の態様7に示されているように、眼用レンズの着色表面に対して表面亀裂を発生させ得るだけのレーザーアブレーションが生ぜしめられ得る強度が採用される。また、より好適には、前述の「発明の開示」の欄における本発明の態様10に示されているように、かかる表面亀裂が眼用レンズの表面から50μm以下となるように、更に好適には10μm以下となるように、レーザー光の強度が設定される。これにより、眼用レンズの表面に発生した亀裂を通じて、そこに飛散した色素を眼用レンズの内部に確実に侵入させて保持せしめることが可能となる。
具体的には、採用される眼用レンズ材料や色素プレート材料によって異なるが、レーザー光源を含む装置コスト等も考慮して、一般に、照射される色素プレート表面でのレーザー光のエネルギー量が、0.5〜500mJ/cmとなるように設定される。特に眼用レンズ側への適当な作用を考慮すると4〜120mJ/cmのエネルギー量が色素プレート表面で得られるようにすることが望ましく、また、眼用レンズ表面に適当な大きさの亀裂を生ぜしめるためには、4〜20mJ/cmのエネルギー量が色素プレート表面で得られるようにすることが望ましい。
すなわち、このように眼用レンズの表面に対して、装用感等に関して表面の平滑性が実質的に損なわれない程度の微小な亀裂を発生させて、そこに顔料や染料等を侵入させて保持せしめることにより、確実に且つ物理的にも色素をレンズ内部に侵入させて保持せしめることが出来るのであり、特に、局部的着色による文字や記号等の識別表示が、極めて有利に実現可能となるのである。なお、かかる亀裂は、着色表示の良好な視認性を確保すると共に、必要以上の大きさの亀裂に起因する眼用レンズの汚れを防止するために、より好ましくは、0.5〜5μmの深さ寸法に設定されると共に、幅寸法も好ましくは60μm以下、より好ましくは5〜20μmに設定される。
このような第二のレーザー照射態様が、第3図にモデル的に例示されている。なお、かかる図中では、前記第2図と同様な構造とされた部材および部位に対して、それぞれ、第2図と同一の符号を付することにより、その詳細な説明を省略する。特に第3図に示された態様では、前述の「発明の開示」の欄における本発明の態様9に示されているように、そのレーザー光源18から照射されるレーザー光30として集光型のものが採用されており、色素プレート14におけるその表面16近くに集光するように設定されている。これにより、眼用レンズ10の表面12の着色部位に対して表面亀裂を発生させ得るだけのレーザーアブレーションを、色素プレート14の表面16に対して効率的に生ぜしめることが可能となる。
なお、眼用レンズ10と色素プレート14の重ね合わせ面12,16は、1.0mm以下の僅かな隙間が存在していても良いが、レーザーアブレーションによって色素プレート14から飛散した色素を眼用レンズ10に対して効率的に被着させると共に、かかるレーザーアブレーションによって眼用レンズ10の表面12に適当な亀裂を効率的に発生させるためには、10μm以上で且つ0.5mm以下の隙間の大きさに設定することが望ましい。
また、上述の第一のレーザー照射態様と第二のレーザー照射態様との何れにおいても、前述の「発明の開示」の欄における本発明の態様12に示されているように、そのレーザー光源18から照射されるレーザー光としては、パルスレーザー光が好適に採用される。蓋し、パルス幅や回数を制御することによって、色素プレート14に作用せしめるエネルギーを容易に調節することが出来るからである。なお、パルス幅としては、色素プレート14に対して適当なエネルギーを効率的に及ぼして色素の移行を実現するために、1μsよりも短いことが望ましく、装置コスト等を考慮すると、1ns以上で且つ1μs未満のパルス幅が好適に採用される。また、照射するパルス回数も、多くなると色素プレートへのエネルギー蓄積が問題となる場合があることからり、一般に、1〜30ショットが望ましく、より好適には1〜10ショットでパルスレーザー光20,26,30が照射される。
さらに、上述の第一のレーザー照射態様と第二のレーザー照射態様との何れにおいても、第1図〜第3図では、何れも、眼用レンズ10側から、該眼用レンズ10を透過させてレーザー光20,26,30が色素プレート14に照射されていたが、色素プレート14が十分に薄肉であり、また前述の如く色素プレート14が適当なプレート基板上に膜状に成形された場合には該プレート基板がレーザー光を透過し得るものであれば、色素プレート14側からレーザー光を照射させることも可能である。
また、第3図では、眼用レンズ10として、例えばコンタクトレンズ等の湾曲した部分球殻形状のものが示されており、その球状凹面12側に色素プレート14を重ね合わせて、レーザー光30を照射する態様が示されていたが、その他、例えば第4図に示されているように、コンタクトレンズ等の眼用レンズ10における球状凸面32側に色素プレート14を重ね合わせるように配設して色素プレート14にレーザー光30を照射することによって、眼用レンズ10の球状凸面側に着色することも、同様に可能である。
なお、第3図や第4図に示されているように、眼用レンズ10において着色する表面12,32がレンズ光学中心軸に対して傾斜している場合には、前述の「発明の開示」の欄における本発明の態様6に記載の如く、例えば、第5図に示されているように、レーザー光30の照射中心軸(照射方向)36を、該レンズ光学中心軸34よりも着色位置の曲率半径方向に向けて傾斜させることが望ましく、特に好適には、図示されている如く、眼用レンズ10の表面12において着色する表面部位の曲率半径と略一致する方向からレーザー光30が照射せしめられる。これにより、着色を目的とする位置に、レーザー光30を、一層均一且つ効率的にしかも安定して照射することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明は、かかる実施形態の記載によって限定されるものでない。また、本発明の構成および作用効果をより明確にするために、以下に幾つかの実施例を示すが、本発明がこれらの実施例によって限定的に解釈されるものでないことは、言うまでもない。
【実施例】
(第1実施例)
眼用レンズとしてのコンタクトレンズに対して、その光学部の中央部分に対してポイント的な着色を行う試験を実施した。試験体であるコンタクトレンズは、株式会社メニコンからメニコンZ(商標)として市販されている、PMMA(メタクリル樹脂)を材料とした非含水タイプのハードコンタクトレンズであり、乾燥状態で使用した。用いた色素は、セイカゲン−O−ブルー Lot911001の粉体であり、これを加圧成形することによってプレート状としたものを色素プレートとして採用した。そして、この色素プレートをハードコンタクトレンズの一方の面に対して実質的に密着状態で重ね合わせて保持せしめた状態下で、レーザー光を照射した。採用したレーザー光は、波長が1064nmのYAGレーザーを採用した。また、レーザー光は、前述の第3図に示されているように集光型のものを採用し、コンタクトレンズを透過させて色素プレートにおいてコンタクトレンズに重ね合わせられた側の表面近くに集光するように焦点を合わせて照射した。その際のレーザー光の照射条件は、色素プレートにレーザーアブレーションが生ぜしめられるように、色素プレート表面において4.0mJ/cmの強度となるように設定し、パルス幅が4nsのパルスレーザーを5ショット照射した。
これにより、得られたコンタクトレンズの着色状態の顕微鏡写真(カラー)を第6図に示す。かかる顕微鏡写真にも示されているように、コンタクトレンズの表面には、レーザーアブレーションによって表面面積が100μm×100μm程度の領域に色素の転写による着色が認められた。また、コンタクトレンズにおける着色部位には、深さが3μm程度で表面面積が15μm×15μm程度の亀裂が認められ、この亀裂を中心として放射状に着色していることが確認された。なお、この着色は、亀裂部分以外においても、その後のコンタクトレンズの水による洗浄や、ハードコンタクトレンズ用洗浄保存液による洗浄によっても除かれないことを確認した。
(第2実施例)
第1実施例と同様にコンタクトレンズの光学部の中央部分に対してポイント的な着色を行う試験を実施した。試験体であるコンタクトレンズは、株式会社メニコンからメニコンソフト72(商標)として市販されている、DMMA(ジメチルアクリルアミド)とN−VP(N−ビニルピロリドン)の共重合体の材料とした含水タイプのソフトコンタクトレンズを採用した。このソフトコンタクトレンズを十分に膨潤せしめた後に、一方の面の水分を良く拭き取って色素プレートに対して実質的に密着状態で貼り合わせ、それを蒸留水で満たした石英セル内に設置して、レーザー光の照射位置にセットした。その他、用いた色素プレートや採用したレーザー光、および着色処理条件は、前記第1実施例と同一である。
これにより、得られたコンタクトレンズの着色状態の顕微鏡写真(カラー)を第7図に示す。かかる顕微鏡写真にも示されているように、コンタクトレンズの表面には、レーザーアブレーションによって表面面積が20μm×20μm程度の領域に色素の転写による着色が認められた。また、コンタクトレンズにおける着色部位には、深さが3μm程度で表面面積が15μm×15μm程度の亀裂が認められ、この亀裂の内部だけでなくレンズ内にも色素が入り込んで着色していることが確認された。なお、この着色は、その形態から、亀裂部分から入り込んだ色素がコンタクトレンズ内に侵入して拡散したものと考えられる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
色素を含む材料からなる色素プレートを眼用レンズの一方の面に重ね合わせるように配設して、該色素プレートにレーザー光を照射することにより、該色素プレートから該眼用レンズに該色素を移行させて該眼用レンズに着色を施すことを特徴とする眼用レンズの着色方法。
【請求項2】
前記レーザー光として、前記色素プレートにおけるアブレーションしきい値以下の強度のものを該色素プレートに照射する請求項1に記載の眼用レンズの着色方法。
【請求項3】
前記レーザー光として拡散型のものを採用し、前記眼用レンズにおける光学部の少なくとも一部の領域に対して着色を施す請求項1又は2に記載の眼用レンズの着色方法。
【請求項4】
前記着色部位が前記眼用レンズにおいて局部的とされて、前記着色により目視可能なマーキングを該眼用レンズに施す請求項1乃至3の何れかに記載の眼用レンズの着色方法。
【請求項5】
前記眼用レンズにおける光学部を外れた周辺部に対して前記マーキングを施す請求項4に記載の眼用レンズの着色方法。
【請求項6】
前記眼用レンズの前記周辺部における前記マーキングを施す位置において、そこに照射される前記レーザー光の照射方向を、該眼用レンズの光学中心軸よりも該マーキングを施す位置での該眼用レンズの表面の曲率半径方向に傾斜させる請求項5に記載の眼用レンズの着色方法。
【請求項7】
前記眼用レンズにおける前記一方の面に表面亀裂を発生させて、該表面亀裂に対して前記色素を入り込ませるようにして移行させる請求項4乃至6の何れかに記載の眼用レンズの着色方法。
【請求項8】
前記表面亀裂を、前記色素プレートに照射されるレーザー光によるアブレーションを利用して、前記表面亀裂を発生させる請求項7に記載の眼用レンズの着色方法。
【請求項9】
前記レーザー光として集光型のものを採用し、前記色素プレート上に集光させるようにする請求項8に記載の眼用レンズのマーキング方法。
【請求項10】
前記表面亀裂の深さを50μm以下とする請求項4乃至9の何れかに記載の眼用レンズの着色方法。
【請求項11】
前記眼用レンズにおける前記色素の移行領域を、該眼用レンズの前記一方の面の表面から50μm以下とする請求項1乃至10の何れかに記載の眼用レンズの着色方法。
【請求項12】
前記レーザー光としてパルスレーザー光を採用する請求項1乃至11の何れかに記載の眼用レンズの着色方法。
【請求項13】
前記眼用レンズにおける一方の面に対して前記色素プレートを実質的に密接して重ね合わせた状態下で、該色素プレートに対して前記レーザー光を照射する請求項1乃至12の何れかに記載の眼用レンズの着色方法。
【請求項14】
前記レーザー光を前記眼用レンズを透過させて前記色素プレートに照射する請求項1乃至13の何れかに記載の眼用レンズの着色方法。
【請求項15】
前記眼用レンズが含水性材料で形成されたものであって、該眼用レンズを含水せしめた状態下で前記レーザー光を照射して該眼用レンズに着色を施す請求項1乃至14の何れかに記載の眼用レンズの着色方法。
【請求項16】
前記眼用レンズを液中に浸漬せしめた状態下で前記レーザー光を照射して該眼用レンズに着色を施す請求項1乃至15の何れかに記載の着色方法。
【請求項17】
前記色素プレートとして、フタロシアニン系の色素を含むものを採用する請求項1乃至16の何れかに記載の眼用レンズの着色方法。

【国際公開番号】WO2005/050292
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【発行日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−510766(P2005−510766)
【国際出願番号】PCT/JP2003/014955
【国際出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】