説明

着信応答条件変更機能を有する電話装置

【課題】外部から着信応答条件の登録(着信拒否対象リストからの登録削除または着信受入対象リストへの登録)要求を行い、着信側でこれら要求を受付け、着信を許容する機会を与える電話装置を提供する。
【解決手段】着信応答条件変更機能を有する電話装置の変更要求受付手段が所定の着信コマンドの付帯メッセージに記載された変更要求、もしくは、着信が拒否されていない電話番号または通信回線から伝達された変更要求を受付け、変更要求受付手段が受付けた変更要求が予め定められた変更条件を満足しているか否かを判定し、前記変更条件を満足している場合に、変更要求に従って着信応答条件登録手段に登録されている着信応答条件を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から着信の受入を要求する機能を備えた電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電話装置において着信を受付けるか否かを判断する方法として、着信時に通知された発信者番号があらかじめメモリに登録された着信受入対象リスト外の電話番号であれば、着信拒否の設定を行って迷惑メールを遮断する方法が知られている。(特許文献1)
【0003】
また、通話対象の電話帳リストと着信拒否対象の電話番号を登録しておく着信拒否リストとを備え、ユーザの判断と操作によって、電話帳リストに電話番号を登録する場合には、当該電話番号を着信拒否リストから削除する方法が知られている。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−8735号公報
【特許文献2】特開2005−57517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の方法では、例えば着信拒否対象リストとして構成された着信応答条件から特定の発信者情報を削除することは、着信側ユーザの判断と操作のみによって行なわれるため、一度着信拒否対象として着信拒否対象リストに登録されてしまうと、発信者側から着信拒否対象リストからの登録削除や着信側ユーザに対して着信拒否登録削除の依頼を伝達することができないため、別の者や真意の用件で連絡を取りたい場合など、一切電話をかけることができなくなってしまうという不都合があった。
【0006】
本発明の課題は、外部から着信応答条件の登録(着信拒否対象リストからの登録削除または着信受入対象リストへの登録)要求を行い、着信側でこれら要求を受付け、着信を許容する機会を与える電話装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の着信応答条件変更機能を有する電話装置では、外部からの受入要求を受信する変更要求受付手段は、所定の着信コマンドの付帯メッセージに記載された変更要求、もしくは、着信が拒否されていない電話番号または通信回線から伝達された変更要求を受付け、前記着信応答条件変更手段は、前記変更要求受付手段が受付けた変更要求が予め定められた変更条件を満足しているか否かを判定し、前記変更条件を満足している場合に、前記変更要求に従って前記着信応答条件登録手段に登録されている着信応答条件を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電話装置によれば、外部からの受入要求を受信する機能をもたせたことによって、発信者の意図を誤解して着信拒否対象として登録した場合でも、再度発信者に訂正の機会を与えることができ、また外部からの受入要求に通信の目的や内容を付加して通知することにより、事前に発信者や通信の目的を確認することが可能となり、安全かつ便利な着信受入条件を設定することができる。
【0009】
また、外部からの受入要求を表示する手段を設け、該電話装置において、受入要求を確認し、着信側ユーザの承諾操作によって、着信応答条件の登録(着信拒否対象リストからの登録削除や着信受入対象リストへの登録)を指示することもできる 。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明の電話装置を利用するシステム構成図である。
【図2】図2は本発明装置のブロック構成図である。
【図3】図3は本発明装置における制御部のフローチャートである。
【図4】図4は本発明による着信応答条件登録部の登録イメージである。
【図5】図5はIP電話システムにおける着信通知メッセージと付帯情報の例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の電話装置を利用するシステム構成の概要を示す全体構成図である。
【0013】
本システムは、着信が許容された発信側の電話装置1a、着信が許容されていない発信側の電話装置1bと、本発明による電話装置3とから構成され、通信網2を介して接続されている。
【0014】
また、電話装置3と通信網2は、通常の着信用として使用する通常着信用回線6aと、着信が許容されていない発信側電話装置1bからの受付要求及び設定変更を行う設定変更受付用回線6bで接続されている。電話装置3は、設定変更受付用回線6bを介した変更要求を受け付ける変更要求受付部と変更条件を満足している場合には着信応答条件を変更する着信応答条件変更部を備えている。
【0015】
なお、図1においては、通常着信用回線6aと設定変更受付用回線6bとは別の回線として記載されているが、同一の物理的な回線を用いて、機能的に異なる通信回線として構成することも可能である。
【0016】
図2は、本発明による電話装置のブロック構成図である。電話装置3は、通信網2と接続され、通話に使用する電話番号に属する回線インタフェースa部311と、着信応答条件の登録変更用として使用される電話番号に属する回線インタフェースb部321とを備えている。
【0017】
また、電話装置3は、前記回線インタフェースa部への着信を検出する着信検出部312と、着信通知情報から発信者のID(電話番号)を抽出する着信情報抽出部313と、着信の受入可否の対象となる発信者ID(電話番号)が登録された着信応答条件登録部302と、前記着信情報抽出部313で抽出した発信者番号と前記着信応答条件登録部302の登録内容とを比較して着信の受入可否を判断する制御部301と、着信の受付・応答を通知する受入通知部314と、着信応答動作表示手段として発信者情報や着信が規制された相手先から着信であることを表示する表示部303と、発信や応答操作、着信の許容と着信応答条件の変更を手動で指示する操作部304と、音声信号の送受信を行う音声通信部318と、音声信号の入出力を行う送受話器308とを備えている。
【0018】
また、電話装置3は、前記回線インタフェースb部への着信を検出する着信検出部322と、受信した着信通知時の付帯メッセージから特定内容(発信者名、電話番号、通信の目的等)を含む受入要求を抽出する着信情報抽出部323と、前記着信情報抽出部323で抽出した特定内容から変更可否を判断する制御部301と、着信の受付・応答を通知する受入通知部324と、前記着信応答条件登録部302の登録内容変更時に変更手順及び変更内容を相手先に報知するガイダンス送出部328を備えている。
【0019】
そして、制御部301は、着信応答条件の変更要求を受け付ける変更要求受付部331、着信応答条件に従って自電話装置の着信応答動作を制御する着信応答制御部332、着信応答条件登録部302に登録されている着信応答条件を変更する着信応答条件変更部333、前記着信応答動作制御部332の動作状況を表示部303に表示する着信応答動作表示部334、あるいは、前記変更要求受付部331が変更要求を受け付ける受付条件を登録する受付条件登録部335を備えている。
【0020】
本実施例において、回線インタフェースa部311は、着信応答条件登録部302に登録された電話番号からの着信を拒否し、回線インタフェースb部321は、無条件に着信を許容するよう構成されており、着信が許容されていない発信者は、回線インタフェースb部321に対して電話をかけ、受入を要求する。
【0021】
また本実施例では、表示部303と操作部304と送受話器308を含む電話機として説明しているが、これらを内線電話機とし外部に切り離し、残りの部分を交換機やサーバとして構成させることもできる。また、本実施例では、受付条件登録部335は、着信応答条件登録部302内に構成されているが、受付条件登録部335を着信応答条件登録部302と別の登録部として構成することも可能である。
【0022】
図3は、本発明による電話装置における制御部301の動作フローである。まず、前記通常着信回線6aを使用する電話番号(回線インタフェースa部(311))に対して通常の着信が行われた場合の制御について説明する。
【0023】
待機状態(S3000)において、着信検出部312で着信を検出すると(S3001,Y)、回線インタフェースb部への着信でなく(S3002,N)、かつ着信情報抽出部313において着信通知情報に付帯情報が付加されていない場合(S3003、N)、発信者の電話番号を抽出する(S3004)。
【0024】
制御部301において、S3004で抽出した発信者の電話番号と着信応答条件登録部302に登録された情報(電話番号)とを比較して、一致するものがあった場合(S3005,Y)は、判定結果を着信拒否とし、一致するものがなかった場合(S3005、N)は、判定結果を着信許容とする。
【0025】
ここで、着信が許容されていない発信側電話装置1bから着信した場合、S3005の判定結果が着信拒否(一致)となり(S3005,Y)、受入通知部314から着信拒否レスポンスを返送し(S3021)、待機状態に戻る(S3000)。
また、着信が許容されている発信側電話装置1aから着信した場合、S3005の判定結果が着信許容(不一致)となり(S3005,N)、受入通知部314から着信受付レスポンスを返送する(S3006)。
【0026】
操作部304においてオフフック等の応答操作がなされた場合(S3007,Y)、受入通知部314から応答レスポンスを返送し(S3008)、通話路を接続して通話状態に移行する(S3009)。次に、発信者側より通話が切断された場合(S3010,Y)、受入通知部314から切断リクエストを送信し(S3011)、待機状態に戻る(S3000)。
【0027】
次に、本発明による電話装置における前記設定変更受付用回線6bを使用する電話番号(回線インタフェースb部(321))に対して変更要求の制御がなされた場合、もしくは、前記通常着信回線6aを使用する電話番号(回線インタフェースa部(311))に対して変更要求の付帯情報が付加された着信を検出した場合について説明する。
【0028】
待機状態(S3000)において、着信検出部322で回線インタフェースb部321への着信を検出した場合(S3001,YおよびS3002,Y)、もしくは着信検出部312で着信を検出した際に着信情報抽出部313において着信通知情報に付加された付帯情報を検出すると(S3003、Y)、受信した着信通知情報から特定内容(発信者名、電話番号、通信の目的等)を含む受入要求を抽出する(S3031)。
【0029】
次に、制御部301の変更要求受付部331は、特定内容(発信者名、電話番号、通信の目的等)を含む受入要求を受け付け、前記抽出された前記特定内容と対応する電話番号が着信応答条件登録部302に登録されている場合(S3032,Y)には、着信応答制御部332の制御により、受入通知部324から着信受付レスポンスを返送し(S3033)、着信応答動作表示部334の制御により、着信が規制された相手先から着信が到来したことや発信者電話番号や通話の目的を表示部303に表示する(S3034)。
【0030】
次に、操作部304において着信の受付を承認することを示すオフフック操作や特定ボタンを押下等による受入承諾操作がなされた場合(S3035,Y)、着信応答条件変更部333の制御により、該当する発信者電話番号等の着信拒否対象情報を着信応答条件登録部302の登録内容から削除(変更)する(S3036)。
【0031】
次に、着信応答制御部332の制御により、受入通知部324から応答レスポンスを返送し(S3037)、ガイダンス送出部328から着信応答条件登録部302の設定内容を変更したことを発信側に報知する(S3038)。次に、受入通知部324から切断リクエストを送信し(S3039)、待機状態に戻る(S3000)。
【0032】
付帯情報を受信しなかった場合(S3003,N)や、S3032の判定結果が着信許容(不一致)と判断した場合(S3032,N)や、受入承諾操作がなされなかった場合(S3035,N)は、切断リクエストを送信し(S3011またはS3039)、待機状態に戻る(S3000)。
【0033】
本実施例では、付帯情報の特定内容を用いて、着信応答条件登録部302の内容変更の可否を判断しているが、着信応答条件の登録変更に使用する電話番号(回線インタフェースb部(321))への着信通知から抽出した発信者番号のみを条件判断に用いて簡易なシステムを構成することもできる。
【0034】
また、本実施例では、特定通信回線インタフェースへの着信によって着信応答条件登録部302の内容変更を要求する構成を示したが、所定の宛先に対する特定内容が記述されたメールの受信や、所定のサイトへのアクセス(受入要求設定)などによって、着信応答条件登録部302の内容変更の要否を判断してもよい。
【0035】
図4は、本発明による着信応答条件登録部302の情報内容の一例を示す図である。着信応答条件登録部302の登録内容には、電話番号402以外に発信者(ユーザ)の名称401や接続の規制時間403などの付加情報を記録し、ユーザ毎の着信許容判定や時間帯による着信許容判定などの条件を加味して着信の許容/拒否を判断することができる。
【0036】
また、変更要求受付部331が変更要求を受け付ける際の受付条件404を着信応答条件登録部302に記録しても良い。例えば、特別の通信目的や緊急の通信内容等を受付条件404として記録することができる。図4に示すように、着信応答条件登録部302の情報内容として、項番毎に、発信者の名称401、発信者の電話番号402、常時の着信拒否や時間帯内の着信拒否といった規制時間403、あるいは、通話目的である、緊急連絡、発注、災害通報などの受付条件404を記録することができる。
【0037】
図5は、IP電話システムにおける着信通知メッセージと付帯情報の例として、着信時のINVITEリクエスト500の場合が示されている。着信時のINVITEリクエスト500に含まれる発信者名称(ディスプレイネーム)501や発信者電話番号(Fromヘッダ)502を参照し、また拡張ヘッダを付加した通話の目的503などを用いて着信の許容/拒否を判断するように構成することができる。
【0038】
なお、本発明の電話装置に用いる通信回線は、発信者番号を通知可能な一般の加入電話回線でもよい。
【符号の説明】
【0039】
1a 発信側電話端末
1b 発信側電話端末
2 通信網
3 電話装置
6a 通常着信用回線
6b 設定変更受付用回線
301 制御部
302 着信応答条件登録部(拒否リスト)
303 表示部
304 操作部
312 着信検出部
313 着信情報抽出部
314 受入通知部
318 音声通信部
322 着信検出部
323 着信情報抽出部
324 受入通知部
328 ガイダンス送出部
331 変更要求受付部
332 着信応答制御部
333 着信応答条件変更部
334 着信応答動作表示部
335 受付条件登録部
401 名称
402 電話番号
403 規制時間
404 受付条件
500 INVITEリクエスト
501 発信者名称
502 発信者電話番号
503 通話の目的

【特許請求の範囲】
【請求項1】
登録されている着信応答条件に従って着信に対する応答動作を制御する電話装置であって、着信応答条件を登録する着信応答条件登録手段と、通信網経由で前記着信応答条件登録手段に登録されている着信応答条件の変更要求を受付ける変更要求受付手段と、前記着信応答条件登録手段に登録されている着信応答条件を変更する着信応答条件変更手段と、前記着信応答条件に従って自電話装置の着信応答動作を制御する着信応答制御手段を有し、
前記変更要求受付手段は、所定の着信コマンドの付帯メッセージに記載された変更要求、もしくは、着信が拒否されていない電話番号または通信回線から伝達された変更要求を受付け、前記着信応答条件変更手段は、前記変更要求受付手段が受付けた変更要求が予め定められた変更条件を満足しているか否かを判定し、前記変更条件を満足している場合に、前記変更要求に従って前記着信応答条件登録手段に登録されている着信応答条件を変更することを特徴とする着信応答条件変更機能を有する電話装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話装置において、
前記着信応答条件登録手段に登録されている着信応答条件は、発信者電話番号または月日または曜日または時間帯に応じた着信応答の選択条件であって、前記変更要求受付手段が受付けた変更要求に応じて変更できる条件は予め範囲が限定されていることを特徴とする着信応答条件変更機能を有する電話装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電話装置において、
前記変更要求受付手段が変更要求を受付ける受付条件を登録する受付条件登録手段をさらに有し、
前記変更要求受付手段は、前記受付条件登録手段に登録された受付条件を満足する変更要求のみを受付けることを特徴とする着信応答条件変更機能を有する電話装置。
【請求項4】
登録されている着信応答条件に従って着信に対する応答動作を制御する電話装置であって、
着信応答条件を登録する着信応答条件登録手段と、前記着信応答条件登録手段に登録されている着信応答条件を変更する着信応答条件変更手段と、前記着信応答条件に従って自電話装置の着信応答動作を制御する着信応答制御手段と、前記着信応答制御手段の動作状況を表示する着信応答動作表示手段を有し、
前記着信応答動作表示手段は、前記着信応答制御手段が着信を許容しないと判断したとき、前記着信応答条件登録手段に登録されている当該着信に係る着信応答条件を変更するか否かを操作者に選択させるための表示内容を自電話装置の表示部に表示することを特徴とする着信応答条件変更機能を有する電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−166209(P2010−166209A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5562(P2009−5562)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】