説明

着信管理装置、着信管理方法および着信管理プログラム

【課題】コールセンタにおける顧客の満足度を向上させる。
【解決手段】顧客からの発呼が着信され、回線が接続された場合に、発呼にかかる電話番号を取得する電話番号取得部301と、顧客に対して、用件を発話するように告知する発話告知部302と、顧客による発話を録音する録音制御部303と、回線を切断する切断制御部305と、録音内容を電話番号と関連付けして記憶する録音内容記憶部304と、記憶された録音内容を所定のオペレータに対して再生出力する録音内容再生部306と、いずれかの対応オペレータからの対応要求情報を取得する対応要求情報取得部308と、取得された対応要求情報に基づいて、顧客の電話番号に対して発呼する発呼制御部309と、発呼にかかる回線を対応オペレータに接続する接続制御部310と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コールセンタシステムに用いられ、交換機と、前記交換機が接続可能な複数のオペレータ端末装置と、前記オペレータ端末装置に接続されるとともに、前記交換機を備えまたは前記交換機に接続される着信管理装置、当該着信管理装置に実行させる着信管理方法および着信管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、多くの業種がコールセンタを設置し、顧客からの多種多様な問い合わせに対応している。そのため、多数のオペレータによって問い合わせを効率よく処理し、顧客に不具合を感じさせないために、顧客に関する情報や顧客の要望に応じて担当者(オペレータ)を決定する技術が存在する(たとえば、特許文献1、2を参照。)。
【0003】
また従来技術にかかるクレーム対応支援システムが存在する(たとえば、特許文献3を参照。)。このクレーム対応支援システムは、顧客からの接続に対して、最初に情報センタが応対し、クレームがどのレベルに属するものかを、あらかじめ用意した設問とそれに対する回答を基に決定し、どの技能レベルのオペレータに引き継ぐのがよいかを決定した後、一旦回線接続を断つ。その後、情報センタは最適なオペレータを選定し、そのオペレータ端末機を呼び出してクレームに関する情報を転送する。オペレータは、準備ができた段階で顧客を電話で呼び出し、クレーム処理を実行していた。
【0004】
このように構成することによって、まず、情報センタが顧客からの電話を受け、クレーム内容に応じたランク分けをおこない、クレーム内容に対応可能なオペレータから顧客に対して応答できるようにしたので、オペレータの人数以上の回線を持つことが可能になり、また、オペレータが事前にクレームの対応方法を調査した後に顧客に電話応対ができるため、1クレームあたりの回線占有率を減少できる。さらに、クレーム内容に応じたランク分けをおこない、クレーム内容に対応可能なオペレータから顧客に対し応答するため、顧客の説明するクレーム内容を容易にオペレータが理解できるようになる。この結果、顧客の負担が軽減され、顧客満足度の維持および向上を図ることが可能になる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−358410号公報
【特許文献2】特開2002−312566号公報
【特許文献3】特開2003−6418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術(たとえば、上記特許文献1、2)では、問い合わせが殺到し、対応できるオペレータがいない場合には、顧客に対して、『そのままお待ちいただくか、しばらく経ってからおかけ直しください』との返答メッセージを自動で出力する。顧客は返答メッセージにしたがって、長時間待たされたり、かけ直した場合には、つながらないなど、不快感を募らせる原因となっている。
【0007】
また,上記従来技術(たとえば、上記特許文献3)では、オペレータが対応しない状態で長時間待たされることは緩和されるが、用件を口頭にて伝える前に、ボタン操作など顧客にとって煩雑な操作があるため、はじめから口頭のみにて用件を伝えたいという顧客の要望に応えることができないという問題点があった。
【0008】
また、顧客との会話の中で、顧客が用件の要点をうまく整理して話すことができない場合に、その話を聞くのに多くの時間を費やしてしまい、結果として応対効率を低下させ、オペレータの人手不足を助長し、その結果、顧客の待ち時間が長くなってしまうという問題点があった。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、コールセンタにおける顧客の満足度を向上させることが可能な着信管理装置、着信管理方法、および着信管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明にかかる着信管理装置は、コールセンタシステムに用いられ、交換機を備えまたは前記交換機に接続されるとともに、前記交換機が接続可能な複数のオペレータ端末装置に接続される着信管理装置であって、前記交換機によって顧客からの発呼が着信され、回線が接続された場合に、当該発呼にかかる電話番号を前記交換機から取得する電話番号取得手段と、前記交換機を介して、前記顧客に対して、用件に関する内容を発話するように告知する告知手段と、前記顧客による発話を録音する録音手段と、前記交換機を制御して、前記回線を切断する切断制御手段と、前記録音手段によって録音される録音内容を前記電話番号と関連付けして、所定の記憶領域に記憶する録音内容記憶手段と、前記録音内容記憶手段に記憶された録音内容を所定のタイミングで所定のオペレータのオペレータ端末装置に対して再生出力する再生手段と、前記録音内容に対する前記所定のオペレータのうちのいずれかの対応オペレータのオペレータ端末装置からの対応要求情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された対応要求情報に基づいて、前記交換機を制御して、前記顧客の電話番号に対して発呼する発呼制御手段と、前記交換機を制御して、前記発呼制御手段による発呼にかかる回線を前記対応オペレータのオペレータ端末装置に接続する接続制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる着信管理装置は、コールセンタシステムに用いられ、交換機を備えまたは前記交換機に接続されるとともに、前記交換機が接続可能な複数のオペレータ端末装置に接続される着信管理装置であって、前記交換機によって顧客からの発呼が着信された場合に、前記交換機を介して、前記顧客に対して、用件に関する内容を発話するように告知する告知手段と、前記顧客による発話を録音する録音手段と、前記録音手段によって録音中の録音内容を前記電話番号と関連付けして、所定の記憶領域に記憶する録音内容記憶手段と、前記録音内容記憶手段に記憶された録音内容を所定のタイミングで所定のオペレータのオペレータ端末装置に対して再生出力する再生手段と、前記録音内容に対する前記所定のオペレータのうちのいずれかの対応オペレータのオペレータ端末装置からの対応要求情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された対応要求情報に基づいて、前記交換機を制御して、前記発呼にかかる回線を前記対応オペレータのオペレータ端末装置に接続する接続制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる着信管理装置は、上記の発明において、前記取得手段が、前記対応オペレータのオペレータ端末装置から、前記対応要求情報の代わりに他のオペレータを指名する指名情報を取得し、前記接続制御手段が、前記取得手段によって取得された指名情報に基づいて、前記着信を指名されたオペレータのオペレータ端末装置に接続することを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる着信管理装置は、上記の発明において、再生手段が、前記録音内容を録音された速度よりも速い速度で再生出力することを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる着信管理方法は、コールセンタシステムに用いられ、交換機を備えまたは前記交換機に接続されるとともに、前記交換機が接続可能な複数のオペレータ端末装置に接続される着信管理装置による着信管理方法であって、前記交換機によって顧客からの発呼が着信され、回線が接続された場合に、当該発呼にかかる電話番号を前記交換機から取得する電話番号取得工程と、前記交換機を介して、前記顧客に対して、用件に関する内容を発話するように告知する告知工程と、前記顧客による発話を録音する録音工程と、前記交換機を制御して、前記回線を切断する切断工程と、前記録音工程によって録音される録音内容を前記電話番号と関連付けして、所定の記憶領域に登録する録音内容登録工程と、前記登録された録音内容を所定のタイミングで所定のオペレータのオペレータ端末装置に対して再生出力する再生工程と、前記録音内容に対する前記所定のオペレータのうちのいずれかの対応オペレータのオペレータ端末装置からの対応要求情報を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された対応要求情報に基づいて、前記交換機を制御して、前記顧客の電話番号に対して発呼する発呼工程と、前記交換機を制御して、前記発呼工程による発呼にかかる回線を前記対応オペレータのオペレータ端末装置に接続する接続工程と、を前記着信管理装置に実行させることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる着信管理方法は、コールセンタシステムに用いられ、交換機を備えまたは前記交換機に接続されるとともに、前記交換機が接続可能な複数のオペレータ端末装置に接続される着信管理装置による着信管理方法であって、前記交換機によって顧客からの発呼が着信された場合に、前記交換機を介して、前記顧客に対して、用件に関する内容を発話するように告知する告知工程と、前記顧客による発話を録音する録音工程と、前記録音工程によって録音中の録音内容を前記電話番号と関連付けして、所定の記憶領域に登録する録音内容登録工程と、前記登録された録音内容を所定のタイミングで所定のオペレータのオペレータ端末装置に対して再生出力する再生工程と、前記録音内容に対する前記所定のオペレータのうちのいずれかの対応オペレータのオペレータ端末装置からの対応要求情報を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された対応要求情報に基づいて、前記交換機を制御して、前記発呼にかかる回線を前記対応オペレータのオペレータ端末装置に接続する接続工程と、を前記着信管理装置に実行させることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる着信管理プログラムは、コールセンタシステムに用いられ、交換機を備えまたは前記交換機に接続されるとともに、前記交換機が接続可能な複数のオペレータ端末装置に接続される着信管理装置に実行させる着信管理プログラムであって、前記交換機によって顧客からの発呼が着信され、回線が接続された場合に、当該発呼にかかる電話番号を前記交換機から取得する電話番号取得工程と、前記交換機を介して、前記顧客に対して、用件に関する内容を発話するように告知する告知工程と、前記顧客による発話を録音する録音工程と、前記交換機を制御して、前記回線を切断する切断工程と、前記録音工程によって録音される録音内容を前記電話番号と関連付けして、所定の記憶領域に登録する録音内容登録工程と、前記登録された録音内容を所定のタイミングで所定のオペレータのオペレータ端末装置に対して再生出力する再生工程と、前記録音内容に対する前記所定のオペレータのうちのいずれかの対応オペレータのオペレータ端末装置からの対応要求情報を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された対応要求情報に基づいて、前記交換機を制御して、前記顧客の電話番号に対して発呼する発呼工程と、前記交換機を制御して、前記発呼工程による発呼にかかる回線を前記対応オペレータのオペレータ端末装置に接続する接続工程と、を前記着信管理装置に実行させることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる着信管理プログラムは、コールセンタシステムに用いられ、交換機を備えまたは前記交換機に接続されるとともに、前記交換機が接続可能な複数のオペレータ端末装置に接続される着信管理装置に実行させる着信管理プログラムであって、前記交換機によって顧客からの発呼が着信された場合に、前記交換機を介して、前記顧客に対して、用件に関する内容を発話するように告知する告知工程と、前記顧客による発話を録音する録音工程と、前記録音工程によって録音中の録音内容を前記電話番号と関連付けして、所定の記憶領域に登録する録音内容登録工程と、前記登録された録音内容を所定のタイミングで所定のオペレータのオペレータ端末装置に対して再生出力する再生工程と、前記録音内容に対する前記所定のオペレータのうちのいずれかの対応オペレータのオペレータ端末装置からの対応要求情報を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された対応要求情報に基づいて、前記交換機を制御して、前記発呼にかかる回線を前記対応オペレータのオペレータ端末装置に接続する接続工程と、を前記着信管理装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、顧客からの発呼に即座に対応できない場合であっても、顧客に不快感を与えない。また、顧客の用件の要点を効率的に理解することができ、その後の顧客との対応を円滑に進めることができる。これによって、顧客からの発呼に即座に対応できない場合であっても、顧客に不快感を与えることなく、コールセンタにおける顧客の満足度を向上させることが可能な着信管理装置、着信管理方法および着信管理プログラムが得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる着信管理装置、着信管理方法および着信管理プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
(システムの概要)
まず、この発明にかかる着信管理装置を含むコールセンタシステムの全体構成について説明する。図1は、コールセンタシステムの概要を示すブロック図である。図1において、コールセンタシステムは、着信管理装置として機能するサーバ100と、顧客情報データベース101と、サーバ100および顧客情報データベース101を接続するネットワーク102と、東京コールセンタ(システム)110と、大阪コールセンタ(システム)120とを備える。ただし、コールセンタは2つには限定されず、1つでもよく、また3つ以上であってもよい。
【0021】
東京コールセンタ110は、第1交換機111と、第1交換機111によって接続を制御される複数のオペレータ端末装置112から構成される。大阪コールセンタ120も東京コールセンタ110と同様に、第2交換機121と、第2交換機121によって接続を制御される複数のオペレータ端末装置122から構成される。
【0022】
第1交換機111と第2交換機121とは専用回線にて接続されているとともに、第1交換機111および第2交換機121は、専用回線またはネットワーク102を介してサーバ100に接続されている。各コールセンタのオペレータ端末装置112、122はネットワーク102を介してサーバ100に接続されている。なお、図1においては、サーバ100は1台で構成したが、複数台から構成されそれぞれが互いに接続される構成であってもよい。また、サーバ100と交換機111,121をそれぞれ別体で構成したが、交換機111,121は、サーバ100内に設けられていてもよい。
【0023】
サーバ100は、コールセンタシステム全体の制御を司る。特に、第1交換機111および第2交換機121を制御して、顧客からの着信を各交換機に接続可能なオペレータ端末装置112,122へ接続する。また、サーバ100は、ネットワーク102を介して、オペレータ端末装置112,122のうち、着信が接続されたオペレータ端末装置へ、顧客情報データベース101から取得した上記顧客に関する情報を送信する。また、サーバ100は、オペレータ端末装置112,122から送信された顧客との更新状況に関する履歴情報を記録する。
【0024】
顧客情報データベース101は、顧客情報を蓄積する。顧客情報は、顧客からの電話番号によって特定することが可能であり、具体的には、たとえば顧客の個人情報(識別番号、氏名、住所など)や、カードの種類、保有枚数、限度額、利用状況などが含まれる。また、顧客情報には、当該顧客の過去の問い合わせに関する履歴情報について情報が含まれている。
【0025】
なお、顧客情報データベース101は、ネットワーク102を介してサーバ100と接続される代わりに、サーバ100内に設けられていてもよい。また、図1においては、サーバ100は1台で構成したが、複数台から構成されそれぞれが互いにネットワーク102などによって接続される構成であってもよい。
【0026】
オペレータ端末装置112または122は、第1交換機111または第2交換機121に接続される会話機能を備えた、たとえばハンドセット、マイクロフォン付きのヘッドセットなどと、ネットワーク102を介してサーバ100に接続される表示機能および入力機能を備えた、たとえばパーソナルコンピュータ端末装置とによって構成される。表示装置には、顧客情報データベース101に登録された着信中の顧客に関する情報の全部または一部が表示される。
【0027】
またオペレータ端末装置112または122は、入力装置(たとえばキーボードやマウスなど)によって、上記顧客に関する各種情報や上記顧客からの依頼事項などを入力することもできる。さらに各オペレータ端末装置112,122同士間での会話およびデータ通信をおこなうこともできる。
【0028】
(着信管理装置のハードウエア構成)
図2は、本実施の形態にかかる着信管理装置として機能するサーバのハードウエア構成を示すブロック図である。図2において、サーバ100は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、HDD(ハードディスクドライブ)204と、HD(ハードディスク)205と、FDD(フレキシブルディスクドライブ)206と、着脱可能な記録媒体の一例としてのFD(フレキシブルディスク)207と、ディスプレイ208と、I/F(インタフェース)209と、キーボード210と、ポインティングデバイス211と、スキャナ212と、プリンタ213を備えている。そして、上記各構成部はバス200によってそれぞれ接続されている。
【0029】
CPU201は、サーバ100の全体の制御を司る。ROM202は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。HDD204は、CPU201の制御にしたがってHD205に対するデータのリード/ライトを制御する。HD205は、HDD204の制御で書き込まれたデータを記憶する。
【0030】
FDD206は、CPU201の制御にしたがってFD207に対するデータのリード/ライトを制御する。FD207は、FDD206の制御で書き込まれたデータを記憶したり、FD207に記録されたデータを情報処理装置へ読み取らせたりする。着脱可能な記録媒体として、FD207のほか、CD−ROM(CD−R、CD−RW)、MO、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカードなどであってもよい。ディスプレイ208は、文書、画像、機能情報などのデータを表示する。たとえば、TFT液晶ディスプレイのほか、CRT、プラズマディスプレイや有機ELディスプレイなどであってもよい。
【0031】
I/F(インタフェース)209は、通信回線を通じてネットワーク102に接続され(または第1交換機111、第2交換機121に直接接続され)、ネットワーク102を介して、他のサーバ、オペレータ端末装置112,122を含む他の情報処理装置、顧客情報データベース101を含む各種データベースなどに接続される。そして、I/F209は、ネットワーク102と装置内部とのインタフェースを司り、他のサーバ、他の情報処理装置、各種データベースからのデータの入出力を制御する。I/F209は、たとえばモデムやLANアダプタなどである。またI/F209は、USBなどの外部入出力としても用いることができる。そのほか、顧客情報を含む各種データ入力をするためのキーボード210、ポインティングデバイス211、スキャナ212と、各種データを出力するためのプリンタ213と、を備えていてもよい。
【0032】
(着信管理装置の機能的構成)
つぎに、着信管理装置として機能するサーバの機能的構成について説明する。図3は、本実施の形態にかかる着信管理装置として機能するサーバの機能的構成を示すブロック図である。図3において、サーバ100は、電話番号取得部301と、発話告知部302と、録音制御部303と、録音内容記憶部304と、切断制御部305と、録音内容再生部306と、顧客情報取得部307と、対応要求情報取得部308と、発呼制御部309と、接続制御部310と、を含む構成となっている。
【0033】
電話番号取得部301は、第1交換機111または第2交換機121によって顧客からの発呼が着信され、回線が接続された場合に、当該発呼にかかる電話番号に関する情報を第1交換機111または第2交換機121から取得する。電話番号取得部301は、たとえば図2に示すROM202、RAM203、HD205、FD207に記憶されたプログラムをCPU201が実行することによって、さらにI/F209によってその機能を実現する。
【0034】
通常の発呼の場合は、発呼元の電話番号情報が送信されてくるので、第1交換機111または第2交換機121はその電話番号情報をサーバ100へ送信し、電話番号取得部301はその電話番号情報を受信することによって電話番号を取得する。
【0035】
そして、着信した電話番号を取得後、顧客の通話中に顧客データベースを検索し、 顧客データベースに当該電話番号があるか否かを確認するとよい。顧客データベース内に当該着信した電話番号が存在しない場合は、 顧客に対して折り返しのための連絡先電話番号や氏名などを発話させたり、入力させたりする。これによって、折り返しを確実におこなわせることができるとともに、いたずら、冷やかしによる発呼に対する効率的な対応を取ることできる。
【0036】
また、会員登録時に、顧客(会員)本人の音声(肉声)を会員情報と関連付けして登録しておくとなおよい。これによって、発話された音声を、登録された音声とを比較することによって、顧客を識別するようにしてもよい。たとえ電話番号などの顧客情報が一致していたとしても、音声が一致しない場合には、その旨をオペレータが容易に人視することができるようになる。これによって、なりすましによる被害を確実に防止することができる。
【0037】
また、電話番号情報が取得できない場合は、顧客に対して、電話番号情報をたとえばキーを用いて入力するように要求し、顧客からの電話番号情報の入力があった場合にのみ、つぎのステップへ進むようにしてもよい。
【0038】
発話告知部302は、第1交換機111または第2交換機121を介して、発呼してきた顧客に対して、用件に関する内容を発話するように告知する。具体的には、たとえば『こちらはコールセンタです。ご用件を録音いたしますのでお話ください。』という内容で、顧客に対して用件に関する内容を発話させるような告知をすればよい。発話告知部302は、たとえば図2に示すROM202、RAM203、HD205、FD207に記憶されたプログラムをCPU201が実行することによって、さらにI/F209によってその機能を実現する。
【0039】
録音制御部303は、第1交換機111または第2交換機121を介して、顧客による発話を録音する。録音制御部303は、たとえば図2に示すROM202、RAM203、HD205、FD207に記憶されたプログラムをCPU201が実行することによって、さらにI/F209によってその機能を実現する。
【0040】
録音内容記憶部304は、録音制御部303によって録音される録音内容を電話番号取得部301によって取得された電話番号と関連付けして、所定の記憶領域に記憶する。録音内容記憶部304は、たとえば図2に示すRAM203、HD205、FD207などによってその機能を実現する。
【0041】
切断制御部305は、前記録音制御部303による録音が終了した後、第1交換機111または第2交換機121を制御して、上記顧客との回線を切断する。回線を切断する前に、あらかじめ切断する旨(具体的には、たとえば『一旦お電話を切らせていただきます。ご用件の内容を検討の上、改めましてこちらからお電話いたします。』など)を顧客に対して告知するようにしてもよい。切断制御部305は、たとえば図2に示すROM202、RAM203、HD205、FD207に記憶されたプログラムをCPU201が実行することによって、さらにI/F209によってその機能を実現する。
【0042】
録音内容再生部306は、録音内容記憶部304に記憶された録音内容を所定のタイミングで所定のオペレータのオペレータ端末装置に対して再生出力する。録音内容再生部306は、たとえば図2に示すROM202、RAM203、HD205、FD207に記憶されたプログラムをCPU201が実行することによって、さらにI/F209によってその機能を実現する。所定のタイミングおよび所定のオペレータの内容については後述する。録音内容再生部306は、録音内容を録音された速度よりも速い速度で再生するようにしてもよい。これによって、オペレータは顧客からの用件の内容をより早く把握することができる。再生速度は、オペレータ端末装置から、オペレータの操作によって変更できるようにするとなおよい。
【0043】
顧客情報取得部307は、電話番号取得部301によって取得された顧客の電話番号情報に基づいて、顧客情報データベース101にアクセスし、当該電話番号情報に関連付けされて登録されている顧客情報の全部またはあらかじめ定められた一部を顧客情報データベース101から抽出する。そして、録音内容再生部306によって当該顧客の録音内容が再生出力されているオペレータ端末装置へ、録音内容の再生出力が開始されるタイミングで当該顧客情報の全部またはあらかじめ定められた一部を表示可能に送信する。顧客情報取得部307は、たとえば図2に示すROM202、RAM203、HD205、FD207に記憶されたプログラムをCPU201が実行することによって、さらにI/F209によってその機能を実現する。
【0044】
対応要求情報取得部308は、録音内容に対する所定のオペレータのうちのいずれかの対応オペレータのオペレータ端末装置からの対応要求情報を取得する。対応要求情報取得部308は、たとえば図2に示すROM202、RAM203、HD205、FD207に記憶されたプログラムをCPU201が実行することによって、さらにI/F209によってその機能を実現する。対応要求情報とは、当該オペレータが、当該顧客からの用件に対する対応をおこなうことを示す情報である。具体的には、後述する図8に示す「対応する」ボタンの押下信号であってもよい。
【0045】
また、対応オペレータのオペレータ端末装置から、対応要求情報の代わりに他のオペレータを指名する指名情報を取得する。具体的には、後述する図8に示す「転送する」ボタンの押下信号であってもよい。対応オペレータは、録音内容を確認し、その結果、困難な対応のため、自らのスキルでは対応できないと判断した場合に、対応可能なスキルを持った他のオペレータを指名することができる。また、履歴情報から、前回対応したオペレータが対応した方がよいと判断した場合に、当該オペレータを指名することができる。
【0046】
発呼制御部309は、第1交換機111または第2交換機121を制御して、当該顧客の電話番号に対して発呼する。発呼制御部309は、たとえば図2に示すROM202、RAM203、HD205、FD207に記憶されたプログラムをCPU201が実行することによって、さらにI/F209によってその機能を実現する。
【0047】
接続制御部310は、第1交換機111または第2交換機121を制御して、発呼制御部309による発呼にかかる回線、または現在接続中の回線を上記対応オペレータのオペレータ端末装置に接続する。これによって、対応オペレータと顧客との直接会話が可能になる。接続制御部310は、対応要求情報取得部308によって取得された指名情報に基づいて、着信を指名されたオペレータのオペレータ端末装置に接続することができる。接続制御部310は、たとえば図2に示すROM202、RAM203、HD205、FD207に記憶されたプログラムをCPU201が実行することによって、さらにI/F209によってその機能を実現する。
【0048】
(コールセンタシステムの処理手順)
図4は、本実施の形態にかかる着信管理装置を含むコールセンタシステムの処理の手順を示すフローチャートである。図4のフローチャートにおいて、まず、第1交換機111または第2交換機121が、顧客からの発呼を着信したか否かを判断する(ステップS401)。ここで、着信があるのを待って、着信があった場合(ステップS401:Yes)は、第1交換機111または第2交換機121は、当該顧客との回線を接続し(ステップS402)、当該顧客の電話番号を取得し、取得した電話番号情報をサーバ100へ出力する(ステップS403)。
【0049】
つぎに、サーバ100は、第1交換機111または第2交換機121を介して、顧客に対して音声ガイダンスを出力する(ステップS404)とともに、サーバ100は、第1交換機111または第2交換機121を介して顧客の発話の録音を開始する(ステップS405)。
【0050】
つぎに、サーバ100は、発話が終了したか否かを判断する(ステップS406)。発話が終了したか否かの判断についての詳細については後述する(図5を参照)。ここで、発話が終了するのを待って、終了した場合(ステップS406:Yes)は、サーバ100は、顧客の発話の録音を終了する(ステップS407)とともに、サーバ100は、第1交換機111または第2交換機121を制御して、当該顧客との回線を切断する(ステップS408)。
【0051】
そして、所定のタイミングで、録音された内容を所定のオペレータ(1名または複数名)へ再生出力する(ステップS409)。このステップにおける録音内容の再生出力処理の詳細については後述する(図6を参照)。
【0052】
その後、サーバ100は、ステップS409において録音内容の再生出力をおこなったオペレータまたは複数のオペレータのいずれかのオペレータ(対応オペレータ)から当該録音内容に対する対応要求情報を取得したか否かを判断する(ステップS410)。ここで、対応要求情報を取得するのを待って、対応要求情報を取得した場合(ステップS410)は、即座に顧客の電話番号へ発呼する(ステップS411)とともに、当該対応オペレータのオペレータ端末装置に接続し(ステップS412)、一連の処理を終了する。
【0053】
つぎに、発話の終了判断処理について説明する。図5は、顧客の発話の終了判断処理の手順を示すフローチャートである。図5のフローチャートにおいて、顧客の発話を録音中に、顧客の端末装置において所定の終了操作があったか否かを判断する(ステップS501)。所定の終了操作とは、顧客の端末装置(たとえば電話機)の所定のボタン押下の操作である。発話が終了した場合は、所定のボタンを押下するようにとの説明は、図4のステップS404の音声ガイダンスの際に顧客に告知するようにしておけばよい(たとえば『ご用件がおわりましたら、「♯」ボタンをお押しください。録音が終了します。』という内容にすればよい)。
【0054】
また、折り返し電話の時刻指定を希望される場合には、あわせて発話してもらうようにするとよい。さらに、折り返し希望時刻だけ、テンキーを用いて入力させるようにしてもよい。入力された折り返し希望時刻は、後述する図8の所定欄にあわせて表示することができる。
【0055】
ステップS501において、終了操作がなかった場合(ステップS501:No)は、顧客によって回線が切断されたか否かを判断する(ステップS502)。そして、回線が切断されていない場合(ステップS502:No)は、無音の状態が所定時間(たとえば10秒)以上連続したか否かを判断する(ステップS503)。
【0056】
無音の状態の連続時間の測定は、サーバ100内に備えられた図示を省略するタイマーを用いて、たとえば無音状態になることで、当該タイマーを始動し、発話があると、当該タイマーをリセットする。そうして当該タイマーが10秒以上経過したか否かを判断するようにするとよい。ここで、未だ無音の状態が所定時間以上連続していない場合(ステップS503:No)は、ステップS501へ戻る。
【0057】
そして、終了操作があった場合(ステップS501:Yes)、回線が切断された場合(ステップS502:Yes)、または無音の状態が所定時間以上連続した場合(ステップS503:Yes)は、発話終了と判断し(ステップS504)、一連の処理を終了する。
【0058】
つぎに、録音内容の再生出力処理について説明する。図6は、オペレータ端末装置に対する録音内容の再生出力処理の手順を示すフローチャートである。図6のフローチャートにおいて、図4のステップS407,S408において、録音が終了し、回線が切断されてから、所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS601)。この所定時間は任意に設定することができる。また所定時間が「0」であってもよい。所定時間は、コールセンタシステムの規模(オペレータの人数)、顧客からの着信頻度などを考慮して決めるようにすればよい。また、曜日や時刻などによって可変になるように設定することもできる。
【0059】
ステップS601において、所定時間が経過するのを待って、経過した場合(ステップS601:Yes)は、つぎに、接続可能なオペレータ端末装置があるか否かを判断する(ステップS602)。接続可能なオペレータ端末装置とは、たとえば、他の顧客との電話対応中であるとか、他の顧客の録音内容が再生中であるとか、休憩中であるものを除き、対応待機中のオペレータのオペレータ端末装置である。また、オペレータ端末装置側から、接続可能な状態を示す操作がおこなわれることによって、サーバ100はその状態を認識するようにしてもよい。
【0060】
ここで、接続可能なオペレータ端末装置が少なくとも1台以上ある場合(ステップS602:Yes)は、接続可能なオペレータ端末装置に対して、録音内容を再生出力し(ステップS604)、一連の処理を終了する。
【0061】
ここで、接続可能なオペレータ端末装置が複数台ある場合は、それらの全部または一部の装置に対して、録音内容を同時に再生出力するようにしてもよい。また、あらかじめ定められた優先順位に基づいて、あらかじめ定められた台数の接続可能なオペレータ端末装置に対してのみ再生出力をするようにしてもよい。優先順位の定め方の一例としては、たとえば、当日の顧客対応数を考慮してもよく、オペレータの経験値やスキルを登録しておき、その内容に基づいて、優先順位を定めるようにしてもよい。
【0062】
ステップS602において、接続可能なオペレータ端末装置が1台もない場合(ステップS602:No)は、つぎに、接続不可の状態から接続可能な状態へとなったオペレータ端末装置があるか否かを判断する(ステップS603)。ここで、接続可能になるオペレータ端末装置が発生するのを待って、発生した場合(ステップS603:Yes)には、当該オペレータ端末装置に対して録音内容の再生出力をおこない(ステップS604)、一連の処理を終了する。
【0063】
また図7は、本実施の形態にかかる着信管理装置を含むコールセンタシステムの別の処理の手順を示すフローチャートである。図4に示したフローチャートでは、顧客からの発呼にかかる回線を一旦切断した後に、再度、当該顧客の電話番号に対して発呼するのに対して、図7のフローチャートでは、切断することなく、オペレータの端末装置に接続する。
【0064】
図7のフローチャートにおいて、まず、第1交換機111または第2交換機121が、顧客からの発呼を着信したか否かを判断する(ステップS701)。ここで、着信があるのを待って、着信があった場合(ステップS701:Yes)は、第1交換機111または第2交換機121は、当該顧客との回線を接続する(ステップS702)。その際、当該顧客の電話番号を取得してもよい。
【0065】
つぎに、サーバ100は、第1交換機111または第2交換機121を介して、顧客に対して音声ガイダンスを出力する(ステップS703)とともに、サーバ100は、第1交換機111または第2交換機121を介して顧客の発話の録音を開始する(ステップS704)。
【0066】
その後、顧客による録音がおこなわれている最中に、サーバ100は、所定のタイミングで、録音された内容を所定のオペレータ(1名または複数名)へ再生出力する(ステップS705)。このステップにおける録音内容の再生出力処理の詳細については上述した図6の内容と同様でよい。
【0067】
その後、サーバ100は、ステップS705において録音内容の再生出力をおこなったオペレータまたは複数のオペレータのいずれかのオペレータ(対応オペレータ)から当該録音内容に対する対応要求情報を取得したか否かを判断する(ステップS706)。ここで、対応要求情報を取得するのを待って、対応要求情報を取得した場合(ステップS706:Yes)は、接続中の回線を当該対応オペレータのオペレータ端末装置に接続し(ステップS707)、一連の処理を終了する。
【0068】
図8および図9は、オペレータ端末装置の表示画面の内容の一例を示す説明図である。図8において、表示画面800には、着信があった顧客の「ファイル番号」、「着信日時」、着信があった時点から現時点までの経過時間を示す「着信からの経過時間」、回線を切断した時点から現時点までの経過時間を示す「回線切断からの経過時間」、録音がなされた時間を示す「録音時間」をそれぞれ表示する。
【0069】
また、電話番号取得部301が取得した顧客の「電話番号」、当該電話番号に基づいて、顧客情報取得部307が、顧客情報データベース101から取得(抽出)した「お客様指名」、「会員番号」、「お問合せ履歴」、「お問合せ回数」、をそれぞれ表示する。顧客による折り返し希望時刻の入力があった場合は、「折り返し希望時刻」もあわせて表示する。
【0070】
「お問合せ履歴」には、当該顧客が過去に問い合わせた日付、内容、その際に対応した担当オペレータに関する情報を新しい順に表示する。この順序は、担当者別、内容別などによってもソートすることができる。また、「お問合せ回数」から、当該顧客が過去に何回問い合わせをおこなったかを瞬時に知ることができる。
【0071】
アイコン801は、録音内容を再生する際に、再生時間が容易に分かるように、インジケータ上を刻々と移動する。また、アイコン801の表示位置をオペレータが移動させることによって、移動させた時間から再生が開始される。このように、アイコン801を移動させることによって録音内容を繰り返し再生させたり、内容を飛ばして先の部分を再生させたりすることができる。
【0072】
またアイコン802は、再生速度を調整する際に用いる。アイコン802を上側へ移動させることによって再生速度が上がり、反対に、アイコン802を下側へ移動させることによって再生速度は下がる。中心位置に移動させることによって、録音された速度と同じ速度によって再生することができる。
【0073】
コメント表示欄803は、オペレータが録音内容についてのコメントを入力した場合に、その入力内容を表示する。ここで、表示されている内容は、転送処理をした場合に、転送先にオペレータの表示装置に、入力者のIDとともに表示されることになる。
【0074】
「対応する」ボタン804は、録音内容を確認したオペレータが、顧客への対応をする場合に押下する。これによって、対応要求情報がサーバ100へ送信される。また「転送する」ボタン805は、自ら対応せず、他のオペレータに対応を任せたい場合に押下する。この「転送する」ボタン805が押下された場合には、どのオペレータに転送するかを選択する別画面(図示を省略)が表示される。別画面では、他のオペレータを選択する際、各オペレータが対応可能であるかの状態もあわせて表示するようにするとよい。
【0075】
また「終了処理する」ボタン806は、録音内容がいたずらであったり、無音であったり、対応する必要がない場合にのみ、押下するボタンである。「終了処理する」ボタン806が押下された場合には、オペレータによって入力されコメント表示欄803に表示された内容とともに履歴を登録して、処理を終了する。ただし、無音の場合は、顧客の不満の表れとも考えられるので、終了処理をせずに、「対応する」ボタン804を押下して、顧客の反応を伺うようにしてもよい。
【0076】
このように、顧客の待ち時間(着信からの経過時間、回線切断からの経過時間など)がオペレータにとって一目で分かるとともに、顧客の用件の録音時間も一目で分かるため、迅速な対応計画を立てる支援をし、少しでも速く、待ち状態の顧客に対応することができる。そのため、顧客の満足度を向上させることができる。
【0077】
図9にあっては、図7のフローチャートに示したように、回線が接続された状態で録音内容が再生されている際に表示される表示画面の一例である。図9にあっては、表示画面上に「回線接続中」を色を変えたり、点滅させたりして、オペレータの注意を喚起するように表示する。回線は接続中のため、「回線切断からの経過時間」には何も表示しない。アイコン901は、現時点までの録音時間(57秒)に対して、再生出力がどのくらいなされているかをインジケータ上で視覚的に表示する。
【0078】
録音速度よりも高速にて再生しているため、いずれ追いついてリアルタイムで顧客の発話を確認することができるようになる。「転送する」ボタン805の押下によって回線を接続する代わりに、録音に再生が追いついた時点で、自動的に回線を接続するようにしてもよい。
【0079】
このように、回線を接続したまま、顧客には用件を録音させ、録音した内容を高速で再生したり、必要に応じて再生し直したりすることで、顧客の用件の内容を十分に理解し、対応準備を整えた上で顧客との対話ができることにより、不要な保留や他のオペレータへの転送を減らすことできる。そのため、顧客の満足度を向上させることができる。
【0080】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1交換機111または第2交換機121によって顧客からの発呼が着信され、回線が接続された場合に、当該発呼にかかる電話番号を第1交換機111または第2交換機112から取得する電話番号取得部301と、第1交換機111または第2交換機112を介して、顧客に対して、用件に関する内容を発話するように告知する発話告知部302と、顧客による発話を録音する録音制御部303と、第1交換機111または第2交換機112を制御して、回線を切断する切断制御部305と、録音制御部303によって録音される録音内容を電話番号と関連付けして、所定の記憶領域に記憶する録音内容記憶部304と、録音内容記憶部304に記憶された録音内容を所定のタイミングで所定のオペレータのオペレータ端末装置121,122に対して再生出力する録音内容再生部306と、録音内容に対する所定のオペレータのうちのいずれかの対応オペレータのオペレータ端末装置からの対応要求情報を取得する対応要求情報取得部308と、対応要求情報取得部308によって取得された対応要求情報に基づいて、第1交換機111または第2交換機112を制御して、顧客の電話番号に対して発呼する発呼制御部309と、第1交換機111または第2交換機112を制御して、発呼制御部309による発呼にかかる回線を対応オペレータのオペレータ端末装置121,122に接続する接続制御部310と、を備える。
【0081】
これにより、「とりあえず問い合わせ用件だけでも伝えておきたい」という顧客の要望に応えることができ、録音している間は、顧客に対して、待たされているという不快な感覚を和らげることができる。
【0082】
また、本実施の形態によれば、第1交換機111または第2交換機112によって顧客からの発呼が着信された場合に、第1交換機111または第2交換機112を介して、顧客に対して、用件に関する内容を発話するように告知する発話告知部302と、顧客による発話を録音する録音制御部303と、録音制御部303によって録音中の録音内容を電話番号と関連付けして、所定の記憶領域に記憶する録音内容記憶部304と、録音内容記憶部304に記憶された録音内容を所定のタイミングで所定のオペレータのオペレータ端末装置に対して再生出力する録音内容再生部306と、録音内容に対する所定のオペレータのうちのいずれかの対応オペレータのオペレータ端末装置121,122からの対応要求情報を取得する対応要求情報取得部308と、対応要求情報取得部308によって取得された対応要求情報に基づいて、第1交換機111または第2交換機112を制御して、発呼にかかる回線を対応オペレータのオペレータ端末装置121,122に接続する接続制御部310と、を備える。
【0083】
これにより、顧客がうまくまとめて話ができなくて、話が長くなっても、高速再生機能を用いる(録音内容を高速で再生したり、全ての録音内容を聞くまでもなく、部分的に飛ばしながら確認する)ことで、用件の要点できるだけ短時間で把握でき、要点理解のための時間を短縮することができる。
【0084】
なお、本実施の形態においては、顧客からの着信にかかる電話番号の取得を、交換機を用いておこなうこととしたが、これに限定されるものではない。たとえば、IP電話を用いた場合などは、交換機がなくても顧客からの着信にかかる電話番号を容易に取得することができる。したがって、交換機を用いて電話番号を取得するのは、一手段にすぎないものである。
【0085】
また、本実施の形態で説明した着信管理方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように、本発明にかかる着信管理装置、着信管理方法および着信管理プログラムは、コールセンタの着信管理に用いるのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態にかかるコールセンタシステムの概要を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態にかかるサーバのハードウエア構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態にかかる着信管理装置(サーバ100)の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態にかかる着信管理装置を含むコールセンタシステムの処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】顧客の発話の終了判断処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】オペレータ端末装置に対する録音内容の再生出力処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態にかかる着信管理装置を含むコールセンタシステムの別の処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】オペレータ端末装置の表示画面の内容の一例を示す説明図(その1)である。
【図9】オペレータ端末装置の表示画面の内容の一例を示す説明図(その2)である。
【符号の説明】
【0088】
100 (サーバ)
101 顧客情報データベース
102 ネットワーク
110 東京コールセンタ
111 第1交換機
112,122 オペレータ端末装置
120 大阪コールセンタ
121 第2交換機
301 電話番号取得部
302 発話告知部
303 録音制御部
304 録音内容記憶部
305 切断制御部
306 録音内容再生部
307 顧客情報取得部
308 対応要求情報取得部
309 発呼制御部
310 接続制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コールセンタシステムに用いられ、交換機を備えまたは前記交換機に接続されるとともに、前記交換機が接続可能な複数のオペレータ端末装置に接続される着信管理装置であって、
前記交換機によって顧客からの発呼が着信され、回線が接続された場合に、当該発呼にかかる電話番号を前記交換機から取得する電話番号取得手段と、
前記交換機を介して、前記顧客に対して、用件に関する内容を発話するように告知する告知手段と、
前記顧客による発話を録音する録音手段と、
前記交換機を制御して、前記回線を切断する切断制御手段と、
前記録音手段によって録音される録音内容を前記電話番号と関連付けして、所定の記憶領域に記憶する録音内容記憶手段と、
前記録音内容記憶手段に記憶された録音内容を所定のタイミングで所定のオペレータのオペレータ端末装置に対して再生出力する再生手段と、
前記録音内容に対する前記所定のオペレータのうちのいずれかの対応オペレータのオペレータ端末装置からの対応要求情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された対応要求情報に基づいて、前記交換機を制御して、前記顧客の電話番号に対して発呼する発呼制御手段と、
前記交換機を制御して、前記発呼制御手段による発呼にかかる回線を前記対応オペレータのオペレータ端末装置に接続する接続制御手段と、
を備えたことを特徴とする着信管理装置。
【請求項2】
コールセンタシステムに用いられ、交換機を備えまたは前記交換機に接続されるとともに、前記交換機が接続可能な複数のオペレータ端末装置に接続される着信管理装置であって、
前記交換機によって顧客からの発呼が着信された場合に、前記交換機を介して、前記顧客に対して、用件に関する内容を発話するように告知する告知手段と、
前記顧客による発話を録音する録音手段と、
前記録音手段によって録音中の録音内容を前記電話番号と関連付けして、所定の記憶領域に記憶する録音内容記憶手段と、
前記録音内容記憶手段に記憶された録音内容を所定のタイミングで所定のオペレータのオペレータ端末装置に対して再生出力する再生手段と、
前記録音内容に対する前記所定のオペレータのうちのいずれかの対応オペレータのオペレータ端末装置からの対応要求情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された対応要求情報に基づいて、前記交換機を制御して、前記発呼にかかる回線を前記対応オペレータのオペレータ端末装置に接続する接続制御手段と、
を備えたことを特徴とする着信管理装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記対応オペレータのオペレータ端末装置から、前記対応要求情報の代わりに他のオペレータを指名する指名情報を取得し、
前記接続制御手段は、前記取得手段によって取得された指名情報に基づいて、前記着信を指名されたオペレータのオペレータ端末装置に接続することを特徴とする請求項2に記載の着信管理装置。
【請求項4】
再生手段は、前記録音内容を録音された速度よりも速い速度で再生出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の着信管理装置。
【請求項5】
コールセンタシステムに用いられ、交換機を備えまたは前記交換機に接続されるとともに、前記交換機が接続可能な複数のオペレータ端末装置に接続される着信管理装置による着信管理方法であって、
前記交換機によって顧客からの発呼が着信され、回線が接続された場合に、当該発呼にかかる電話番号を前記交換機から取得する電話番号取得工程と、
前記交換機を介して、前記顧客に対して、用件に関する内容を発話するように告知する告知工程と、
前記顧客による発話を録音する録音工程と、
前記交換機を制御して、前記回線を切断する切断工程と、
前記録音工程によって録音される録音内容を前記電話番号と関連付けして、所定の記憶領域に登録する録音内容登録工程と、
前記登録された録音内容を所定のタイミングで所定のオペレータのオペレータ端末装置に対して再生出力する再生工程と、
前記録音内容に対する前記所定のオペレータのうちのいずれかの対応オペレータのオペレータ端末装置からの対応要求情報を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された対応要求情報に基づいて、前記交換機を制御して、前記顧客の電話番号に対して発呼する発呼工程と、
前記交換機を制御して、前記発呼工程による発呼にかかる回線を前記対応オペレータのオペレータ端末装置に接続する接続工程と、
を前記着信管理装置に実行させることを特徴とする着信管理方法。
【請求項6】
コールセンタシステムに用いられ、交換機を備えまたは前記交換機に接続されるとともに、前記交換機が接続可能な複数のオペレータ端末装置に接続される着信管理装置による着信管理方法であって、
前記交換機によって顧客からの発呼が着信された場合に、前記交換機を介して、前記顧客に対して、用件に関する内容を発話するように告知する告知工程と、
前記顧客による発話を録音する録音工程と、
前記録音工程によって録音中の録音内容を前記電話番号と関連付けして、所定の記憶領域に登録する録音内容登録工程と、
前記登録された録音内容を所定のタイミングで所定のオペレータのオペレータ端末装置に対して再生出力する再生工程と、
前記録音内容に対する前記所定のオペレータのうちのいずれかの対応オペレータのオペレータ端末装置からの対応要求情報を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された対応要求情報に基づいて、前記交換機を制御して、前記発呼にかかる回線を前記対応オペレータのオペレータ端末装置に接続する接続工程と、
を前記着信管理装置に実行させることを特徴とする着信管理方法。
【請求項7】
コールセンタシステムに用いられ、交換機を備えまたは前記交換機に接続されるとともに、前記交換機が接続可能な複数のオペレータ端末装置に接続される着信管理装置に実行させる着信管理プログラムであって、
前記交換機によって顧客からの発呼が着信され、回線が接続された場合に、当該発呼にかかる電話番号を前記交換機から取得する電話番号取得工程と、
前記交換機を介して、前記顧客に対して、用件に関する内容を発話するように告知する告知工程と、
前記顧客による発話を録音する録音工程と、
前記交換機を制御して、前記回線を切断する切断工程と、
前記録音工程によって録音される録音内容を前記電話番号と関連付けして、所定の記憶領域に登録する録音内容登録工程と、
前記登録された録音内容を所定のタイミングで所定のオペレータのオペレータ端末装置に対して再生出力する再生工程と、
前記録音内容に対する前記所定のオペレータのうちのいずれかの対応オペレータのオペレータ端末装置からの対応要求情報を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された対応要求情報に基づいて、前記交換機を制御して、前記顧客の電話番号に対して発呼する発呼工程と、
前記交換機を制御して、前記発呼工程による発呼にかかる回線を前記対応オペレータのオペレータ端末装置に接続する接続工程と、
を前記着信管理装置に実行させることを特徴とする着信管理プログラム。
【請求項8】
コールセンタシステムに用いられ、交換機を備えまたは前記交換機に接続されるとともに、前記交換機が接続可能な複数のオペレータ端末装置に接続される着信管理装置に実行させる着信管理プログラムであって、
前記交換機によって顧客からの発呼が着信された場合に、前記交換機を介して、前記顧客に対して、用件に関する内容を発話するように告知する告知工程と、
前記顧客による発話を録音する録音工程と、
前記録音工程によって録音中の録音内容を前記電話番号と関連付けして、所定の記憶領域に登録する録音内容登録工程と、
前記登録された録音内容を所定のタイミングで所定のオペレータのオペレータ端末装置に対して再生出力する再生工程と、
前記録音内容に対する前記所定のオペレータのうちのいずれかの対応オペレータのオペレータ端末装置からの対応要求情報を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された対応要求情報に基づいて、前記交換機を制御して、前記発呼にかかる回線を前記対応オペレータのオペレータ端末装置に接続する接続工程と、
を前記着信管理装置に実行させることを特徴とする着信管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−224861(P2009−224861A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64342(P2008−64342)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(594103301)三井住友カード株式会社 (39)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【Fターム(参考)】