説明

着信音編集機能を備えた通信端末、電子メールシステム、電子メール着信通知方法及び制御プログラム

【課題】着信音を聞くことによって、電子メールに込められた発信者のメッセージの概要を、簡単に、かつ迅速に知り、高い利便性を得る。
【解決手段】主制御部16は、感情認識部21に、感情情報抽出処理を実行させて、電子メールを構成するテキストデータに基づいて、感情情報を抽出させる。次に、主制御部16は、音声合成部23に、編曲処理を実行させて、抽出された感情情報に基づいて、着信音を編曲させ、編曲されて着信音を音声出力部11に出力させる。ユーザは、メール着信時に、感情情報に基づいて編曲された着信音を聞くことによって、発信者を知ると共に、電子メールに込められた発信者のメッセージの概要を、直感的に、かつ迅速に知ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、着信音編集機能を備えた通信端末、電子メールシステム、電子メール着信通知方法及び制御プログラムに係り、例えば、電子メール着信時の着信音を通信相手別に設定可能な携帯電話機等の着信音編集機能を備えた通信端末、電子メールシステム、電子メール着信通知方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動中や外出先でも使用可能であるという高い利便性によって、携帯端末としての携帯電話機が広く普及してきている。携帯電話機は、通常、本来の通話機能のほか、例えば電子メールの送受信やインターネットに接続してホームページの閲覧が可能なデータ通信機能を有している。
電子メールは、既存の通信手段としての郵便や電話等に比べて、速報性及び同報性を同時に満たし、ファクシミリ等に比べて、携帯電話機を用いた場合には、移動中でも通信が可能であるなど、高い利便性や手軽さも得られる。
【0003】
携帯電話機においては、着信時には、リンガ発生器からの着信音の出力や、着信通知ランプの点滅、バイブレータの振動等によって、着信したことをユーザに知らせるようにされている(例えば、特許文献1、特許文献2等参照。)。
また、近年は、ユーザがオリジナル着信音(着信メロディ音)を自作し、さらに、着信音を発信相手として予想される者毎に設定して、着信時に発信者を識別できるようにもなっている。
【0004】
このような機能を有する携帯電話機101は、図18に示すように、当該携帯電話機本体の構成各部を制御する制御部102と、制御部102が実行する処理プログラムや各種データ等を記憶するための記憶部103と、アンテナ104を介して無線電波の送受信を行い、所定のプロトコルに従って通話やデータ通信を行うために用いられる無線通信部105と、液晶表示装置からなり例えば機能設定画面や、待受画面等が表示される表示部106と、例えば周囲の風景や人物等を撮影するための電子カメラユニット107と、例えば、動画再生時及び着信時に音声を出力する音声出力部108と、受話音声出力用スピーカからなる受話部109と、LEDを有し例えば着信時や通話時に発光する発光部110と、数字や文字の入力操作等を行うための多数の各種操作キー等からなる操作部111と、送話音声を入力するマイクロフォンからなる送話部112と、振動によって例えば着信を通知するための振動部113とが実装されて概略構成されている。
【0005】
記憶部103に記憶されている電話帳情報は、氏名と、対応する電話番号及び着信通知用のメロディ名とを含んでいる。
制御部102は、着信の有無を監視し、着信有りを検知した場合は、発信者を特定し、電話帳情報に基づいて、対応する着信音(着信メロディ音)を選択し、音声出力部を制御して、音声出力部108から、所定の発信者からの呼出しを知らせる着信音を出力させる。
これによって、ユーザは、着信したことはもちろん、誰から呼び出しを受けているかも知ることができる。
【0006】
電子メールを受信した後、所定の操作を行い、電子メール本文を読むことによって、発信者の要件や感情を知ることができる。
なお、従来より、ユーザが電子メール本文を表示させて読まなくても、受信した電子メールを音声合成によって自動的に読み上げる技術が知られており、この際、無味乾燥な表現を避けるために、感情認識エンジンを用いて、電子メール本文の内容を解析し、対応する感情情報を抽出し、抽出した感情情報(喜怒哀楽等)に基づいて、合成音声のピッチやパワー等を変更し、抑揚を持たせるなどして、情緒性を付加する技術が提案されている(例えば、特許文献3等参照。)。
【特許文献1】特開2002−244980号公報
【特許文献2】特開2005−269541号公報
【特許文献3】特開2002−041411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、利便性に乏しいという点である。
すなわち、着信音を聞くことによって、発信者を知ることができるものの、メーラを起動させて、キー操作により、メールを開いて本文を読まない限り、電子メール本文に込められた発信者の喜怒哀楽等の感情や要件(趣旨)までは知ることができなかった。
したがって、例えば、相手から返答を待っているような場合で、発信者の感情や意志(返信の場合は、少なくとも肯定的か否定的か等)を迅速に知りたくても、メール本文を確認している余裕がないようなときや、一時に連続して多数の返信を受けるようなときに、ユーザにとって操作が煩雑で不便であった。
【0008】
なお、特許文献1には、電子メールのタイトルに応じて、転送メール、返信メール、又は新規メールを判定し、電子メールの種類に応じて、着信音を変更する技術が開示され、特許文献2には、通話で発信者側の端末で、発信者の状況に応じて、受信側の端末で着信音が変更されるように、予め決められたパラメータ指定情報を送信する技術が開示されているが、いずれの技術を応用しても、電子メール本文の内容について、例えば、発信者の感情や要件(趣旨)まで詳しくは知ることができない。
【0009】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、例えば、着信音を聞くことによって、電子メールに込められた発信者のメッセージの概要を、簡単に、かつ迅速に知り、高い利便性を得ることができる着信音編集機能を備えた通信端末、電子メールシステム、電子メール着信通知方法及び制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、ネットワークを介して所定の送信者端末から電子メールを受信した際に、予め設定された着信音を出力して、上記所定の送信者端末からの電子メールが届いた旨を知らせる機能を備えてなる通信端末に係り、受信した上記電子メールの内容から、如何なる情緒の電子メールであるかを認識し、当該認識結果に基づいて、予め設定された上記着信音に対して変調又は編集し、変調又は編集された着信音を出力するメール着信音編集手段を備えてなることを特徴としている。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の着信音編集機能を備えた通信端末に係り、上記メール着信音編集手段は、上記電子メールの内容から、送信者の感情に係る情報を抽出する感情情報抽出手段と、抽出された感情情報に基づいて、上記着信音を編曲する編曲手段と、編曲された上記着信音を出力する着信音出力手段とを有してなることを特徴としている。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の着信音編集機能を備えた通信端末に係り、感情情報に対応付けられて、編集前の元着信音に対する編曲情報を記憶した編曲情報記憶手段を有し、上記編曲手段は、上記感情情報抽出手段によって抽出された感情情報に基づいて、該感情情報に対応する上記編曲情報を上記編曲情報記憶手段から検索して取得する編曲情報取得手段と、上記編曲情報に基づいて上記元着信音を編曲して編曲済み着信音として合成する音声合成手段とを有することを特徴としている。
【0013】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の着信音編集機能を備えた通信端末に係り、上記編曲手段は、所定の設定操作によって、感情情報に対応付けて、上記元着信音に対する上記編曲情報を生成する編曲情報生成手段を有することを特徴としている。
【0014】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の着信音編集機能を備えた通信端末に係り、上記編曲情報生成手段は、上記編曲情報を、複数の音楽的特徴量について、それぞれ、予め提示された複数の指標情報のうちの1つの選択された指標情報の組合せとして生成することを特徴としている。
【0015】
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の着信音編集機能を備えた通信端末に係り、上記編曲手段は、上記編曲情報に基づいて、上記各指標情報に対応するパラメータの設定値を求めるパラメータ設定値生成手段を有し、上記音声合成手段は、上記設定値に基づいて、上記元着信音を編曲することを特徴としている。
【0016】
また、請求項7記載の発明は、請求項5又は6記載の着信音編集機能を備えた通信端末に係り、上記音楽的特徴量は、着信音の少なくとも音圧、音域、強弱、テンポを含むことを特徴としている。
【0017】
また、請求項8記載の発明は、請求項3乃至7のいずれか1に記載の着信音編集機能を備えた通信端末に係り、上記送信者端末又は上記送信者に対応付けて、上記元着信音を記憶した着信音記憶手段を有していることを特徴としている。
【0018】
また、請求項9記載の発明は、請求項2乃至8のいずれか1に記載の着信音編集機能を備えた通信端末に係り、上記感情情報抽出手段は、上記電子メールの内容を単語に分割し、各単語に、単語を分類するタグ情報を対応付け、上記タグ情報のなかから上記感情情報を抽出することを特徴としている。
【0019】
また、請求項10記載の発明は、請求項1乃至10のいずれか1に記載の着信音編集機能を備えた通信端末に係り、上記メール着信音編集手段は、予め編集された複数種類の着信音のなかから、上記認識結果に基づいて、所定の着信音を選択して出力することを特徴としている。
【0020】
また、請求項11記載の発明は、ネットワークを介して、第1の通信端末と第2の通信端末とが接続され、電子メールの送受信を行うための電子メールシステムに係り、上記第1の通信端末又は/及び上記第2の通信端末として、請求項1乃至10のいずれか1に記載の着信音編集機能を備えた通信端末が用いられることを特徴としている。
【0021】
また、請求項12記載の発明は、ネットワークを介して所定の送信者端末から電子メールを受信した際に、予め設定された着信音を出力して、上記所定の送信者端末からの電子メールが届いた旨を知らせる電子メール着信通知方法に係り、受信した上記電子メールの内容から、如何なる情緒の電子メールであるかを認識し、当該認識結果に基づいて、予め設定された上記着信音に対して変調又は編集し、変調又は編集された着信音を出力するメール着信音編集ステップを含むことを特徴としている。
【0022】
また、請求項13記載の発明は、請求項12記載の電子メール着信通知方法に係り、上記メール着信音編集ステップは、上記電子メールの内容から、送信者の感情に係る情報を抽出する感情情報抽出ステップと、抽出された感情情報に基づいて、上記着信音を編曲する編曲ステップと、編曲された上記着信音を出力する着信音出力ステップとを含むことを特徴としている。
【0023】
また、請求項14記載の発明は、請求項13記載の電子メール着信通知方法に係り、上記編曲ステップは、上記感情情報抽出ステップで抽出された感情情報に基づいて、該感情情報に対応する上記編曲情報を、感情情報に対応付けられて、編集前の元着信音に対する編曲情報を記憶した編曲情報記憶手段から検索して取得する編曲情報取得ステップと、上記編曲情報に基づいて上記元着信音を編曲して編曲済み着信音として合成する音声合成ステップとを含むことを特徴としている。
【0024】
また、請求項15記載の発明は、請求項14記載の電子メール着信通知方法に係り、上記編曲ステップは、所定の設定操作によって、感情情報に対応付けて、上記元着信音に対する上記編曲情報を生成する編曲情報生成ステップを含むことを特徴としている。
【0025】
また、請求項16記載の発明は、請求項15記載の電子メール着信通知方法に係り、上記編曲情報生成ステップは、上記編曲情報を、複数の音楽的特徴量について、それぞれ、予め提示された複数の指標情報のうちの1つの選択された指標情報の組合せとして生成することを特徴としている。
【0026】
また、請求項17記載の発明は、請求項16記載の電子メール着信通知方法に係り、上記編曲ステップは、上記編曲情報に基づいて、上記各指標情報に対応するパラメータの設定値を求めるパラメータ設定値生成ステップを含み、上記音声合成ステップでは、上記設定値に基づいて、上記元着信音を編曲することを特徴としている。
【0027】
また、請求項18記載の発明は、請求項16又は17記載の電子メール着信通知方法に係り、上記音楽的特徴量は、着信音の少なくとも音圧、音域、強弱、テンポを含むことを特徴としている。
【0028】
また、請求項19記載の発明は、請求項13乃至18のいずれか1に記載の電子メール着信通知方法に係り、上記感情情報抽出ステップでは、上記電子メールの内容を単語に分割し、各単語に、単語を分類するタグ情報を対応付け、上記タグ情報のなかから上記感情情報を抽出することを特徴としている。
【0029】
また、請求項20記載の発明は、請求項12乃至19のいずれか1に記載の電子メール着信通知方法に係り、上記メール着信音編集ステップでは、予め編集された複数種類の着信音のなかから、上記認識結果に基づいて、所定の着信音を選択して出力することを特徴としている。
【0030】
また、請求項21記載の発明に係る制御プログラムは、コンピュータに請求項12乃至20のうちいずれか1に記載の電子メール着信通知方法を実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0031】
この発明の構成によれば、メール着信音編集手段が、受信した電子メールの内容から、如何なる情緒の電子メールであるかを認識し、認識結果に基づいて、予め設定された着信音に対して変調又は編集し、変調又は編集された着信音を出力するので、例えば、着信音を聞くことによって、電子メールに込められた発信者のメッセージの概要を、簡単に、かつ迅速に知ることができ、高い利便性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
メール着信音編集手段が、受信した電子メールの内容から、如何なる情緒の電子メールであるかを認識し、認識結果に基づいて、予め設定された着信音に対して変調又は編集し、変調又は編集された着信音を出力することによって、例えば、着信通知用着信音を聞いて、電子メールに込められた発信者のメッセージの概要を、簡単に、かつ迅速に知り、高い利便性を得るという目的を実現した。
【実施例1】
【0033】
図1は、この発明の第1の実施例である携帯電話機の構成を示すブロック図、図2は、同携帯電話機を含む電子メールシステムの構成を示す図、図3は、同電子メールシステムの構成を説明するための説明図、図4は、同携帯電話機の主要部の構成を示すブロック図、図5は、同携帯電話機の記憶部の電話帳情報記憶部の構成を示す図、図6は、同記憶部の編曲情報テーブル記憶部の構成を示す図、図7は、同記憶部の感情情報テーブル記憶部の構成を示す図、図8は、同電子メールシステムの通信管理センタの構成を示すブロック図、図9及び図10は、同携帯電話機の動作を説明するためのフローチャート、また、図11及び図12は、同携帯電話機の動作を説明するための説明図である。
【0034】
この例の電子メールシステム1は、図2及び図3に示すように、ユーザA,B,…が用いる携帯電話機2a,2b,…と、携帯電話機2a,2b,…が接続可能な移動通信網3とを備えてなり、移動通信網3は、移動通信事業者Xが管理する通信管理センタ4を介して、インターネット5に接続可能とされている。
例えば、携帯電話機2b(2c,2d,…)から送信されたユーザA宛ての電子メールは、通信管理センタ4を経由し、最寄の基地局を介して携帯電話機2aに供給される。
【0035】
この例の携帯電話機2a(2b,2c,…)は、折畳可能な筐体を備えると共に、本来の通話機能のほか、例えば電子メールの送受信やインターネットに接続してホームページの閲覧が可能なデータ通信機能を有し、図1に示すように、上部ユニット7と下部ユニット8とが、折畳可能なようにヒンジ部で相互に結合されて構成されている。
【0036】
上部ユニット7は、図1及び図4に示すように、折畳可能な扁平な筐体を構成する上部筐体に、スピーカからなり、例えば、動画の再生時及び着信時に音声を出力する音声出力部11と、受話音声出力用スピーカからなる受話部12と、液晶表示装置からなり例えば機能設定画面や、待受画面等が表示される表示部13と、LEDを有し例えば着信時や通話時に発光する発光部14と、例えば周囲の風景や人物等を撮影するための電子カメラユニット15とが実装されて概略構成されている。
【0037】
下部ユニット8は、図1及び図4に示すように、折畳可能な扁平な筐体を構成する下部筐体に、当該携帯電話機本体の構成各部を制御する主制御部16と、主制御部16が実行する処理プログラムや各種データ等を記憶するための記憶部17と、アンテナ18を介して無線電波の送受信を行い、所定のプロトコルに従って通話やデータ通信を行うために用いられる無線通信部19と、受信した電子メールのテキストデータから感情情報を抽出するための感情認識エンジンとしての感情認識部21と、設定された編集情報に対応した音声合成パラメータを生成する音声合成パラメータ生成部22と、元着信音を編集情報に応じて編曲する音声合成部23と、数字や文字の入力操作等を行うための多数の各種操作キー等からなる操作部24と、送話音声を入力するマイクロフォンからなる送話部25と、振動によって例えば着信を通知するための振動部26とが実装されて概略構成されている。
【0038】
主制御部16は、CPU(中央処理装置)等を有してなり、記憶部17に記憶された各種処理プログラムを実行し、記憶部17に確保された各種レジスタやフラグを用いて、構成各部を制御し、通信制御処理や、メール着信通知制御処理、着信音編集設定操作制御処理等を実行する。
ここで、メール着信通知制御処理は、着信音選定処理と、感情認識制御処理と、編曲情報選択処理と、音声合成制御処理と、編曲済着信音出力処理とを含んでいる。
また、着信音編集設定操作制御処理は、設定画面表示制御処理と、感情パターン毎に編曲情報を設定する編曲情報設定処理と、音声合成パラメータ生成制御処理と、仮編曲済着信音出力処理と、確定された設定内容を登録する感情テーブル登録処理とを含んでいる。
【0039】
主制御部16は、メール着信通知制御処理のうち、着信音選定処理では、電子メール着信時に、通信相手に対応した着信音(元着信音)を検索し選定する。ここで、主制御部16は、電話帳情報記憶部29に、通信相手が登録され、かつ、着信音が指定されている場合には、この指定着信音を選定し、通信相手が登録されていない場合や、登録されていても着信音が指定されていない場合には、予め決められた通常着信音を選定する。
また、主制御部16は、感情認識制御処理では、感情認識部21に、電子メールのテキストデータを渡し、感情認識処理を実行させて、感情情報を得る。
【0040】
また、主制御部16は、編曲情報選択処理では、感情認識部21から得た感情情報に対応する編曲情報(音声合成パラメータ)を、感情情報テーブル記憶部33に記憶された感情情報テーブルから検索して得る。
また、主制御部16は、音声合成制御処理では、編曲情報(音声合成パラメータ)を音声合成部23に渡し、音声合成処理を実行させて、編曲済着信音を得る。
また、主制御部16は、編曲済着信音出力処理では、編曲済着信音を音声出力部11に出力させる。
【0041】
主制御部16は、着信音編集設定操作制御処理のうち、設定画面表示制御処理では、ユーザによって、操作部24を介して所定の操作がなされると、表示部13に感情テーブル設定画面を表示させる(図11参照)。
また、主制御部16は、編曲情報設処理では、感情パターン(例えば、「悲しい」、「うれしい」、「怒り」、「楽しい」等)毎に、表示部13に編曲情報テーブルを表示させて、ユーザの設定操作によって、各音楽的特徴量(例えば、音圧、音域、強弱、テンポ)の程度が設定された編曲情報を得る。
【0042】
また、主制御部16は、音声合成パラメータ生成制御処理では、編曲情報を、音声合成パラメータ生成部22に渡して、音声合成パラメータ生成処理を実行させ、感情パターン毎に、各音楽的特徴量(設定項目)に対応した音声合成パラメータを得る。
また、主制御部16は、仮編曲済着信音出力処理では、指定された試聴用着信音(元曲)情報と、仮編曲情報(音声合成パラメータ)を音声合成部23に渡し、音声合成処理を実行させて、編曲済着信音を得て、音声出力部11に出力させる。
また、主制御部16は、感情テーブル登録処理では、ユーザによって、操作部24を介して所定の確定操作がなされると、確定された設定内容を感情情報テーブル記憶部33に登録する。
【0043】
記憶部17は、ROM、RAM等の半導体メモリ等からなり、制御部16が実行する各種処理プログラム等が記憶されたプログラム記憶部と、設定情報等の各種情報が記憶された情報記憶部とを有すると共に、この記憶部17には、制御部16がプログラム実行時に用いる各種レジスタやフラグが確保されている。
プログラム記憶部には、通信制御処理プログラムや、メール着信通知制御処理プログラム、着信音編集設定操作制御処理プログラム等の各種処理プログラム等が記憶されている。
【0044】
記憶部17の情報記憶部は、図4に示すように、通信相手に対応付けられて電話番号や電子メールアドレス、住所、メロディ名、メロディコード等が記憶された電話帳情報記憶部29と、着信時に出力させる複数の着信音(元着信音)が記憶されたメロディ情報記憶部31と、編曲情報が記憶された編曲情報テーブル記憶部32と、感情パターンに対応付けられて編曲情報と音声合成パラメータが記憶された感情情報テーブル記憶部33とを有している。
電話帳情報記憶部29には、図5に示すように、通信相手の氏名に対応付けられて電話番号や電子メールアドレス、住所、メロディ名、メロディコードが記憶されている。
メロディ情報記憶部31には、メロディ情報として、編曲前の着信音(元着信音)のほか、編曲済の着信音が記憶される。
【0045】
編曲情報テーブル記憶部32には、図6に示すように、編曲情報として、例えば、音圧、音域、強弱、テンポ等に関する設定項目が記憶されている。
感情情報テーブル記憶部33には、図7に示すように、感情パターン(例えば、「悲しい」、「うれしい」、「怒り」、「楽しい」等の単一の情報)に対応付けられて、設定された編曲情報(感情パターンに応じて、音圧、音域、強弱、テンポの大きさ等が設定された情報の組合せ)と、音声合成パラメータ(編曲情報に応じて生成されたHch(high channel)、Mch(middle channel)、Lch(low channel)、テンポ等の設定値の組合せ)が記憶されている。
情報記憶部には、このほかに、通信履歴情報や、文字メッセージ情報、音声付き動画ファイル等の各種情報が記憶される。
【0046】
感情認識部21は、例えば、受信した電子メールのテキストデータを単語に分け、分類のためのタグ情報を付加して、文章の内容を解析する形態素解析処理と、タグ情報から感情情報を抽出する感情情報抽出処理とを実行する。
また、感情認識部21は、「悲しい」、「うれしい」等の感情ワード(情緒ワード)が記述されていなくても、前後の単語や文面から、感情情報を抽出する。例えば、「明日は待ちに待った遠足の日です。晴れるといいな。」という電子メール本文に基づいて、「待ちに待った」から「うれしい」という感情情報を抽出する。
音声合成パラメータ生成部22は、感情パターンに応じて設定された音圧、音域、強弱、テンポの大きさの組合せに適合するように、パラメータとしてのHch、Mch、Lch、テンポの設定値の組合せを求める。
音声合成部23は、元着信音を編集情報に対応した音声合成パラメータに基づいて編曲して、編曲済み着信音として合成する。
【0047】
無線通信部19は、RF回路や、変復調回路、ベースバンド処理回路等からなり、音声やデータを変調してアンテナ18を介して無線電波として送信すると共に、無線電波をアンテナ19を介して受信して音声やデータに復調し、所定のプロトコルに従って通話やデータ通信を行うために用いられる。
操作部24は、ブラウザを起動させてホームページを閲覧するためのブラウザモード選択キー、操作を決定するために用いられる決定キー、操作メニューを表示させるためのメニューキー、文字入力モードを切り換えるための入力モード切替えキー、電話帳を登録したり検索するための電話帳キー、音声通話を行うために用いる通話開始キー、操作を1つ前の状態へ戻すクリアキー、及び電源の入切りを行った各種操作を中止するために用いられる電源キーを含む機能キー群と、表示部13に表示された表示画面上のカーソルを上下左右方向へ移動させるためのカーソルキーと、例えば数字等を入力するためのテンキー群とを有している。
【0048】
通信管理センタ4は、図8に示すように、ユーザ情報等を管理する情報管理サーバ35と、例えば携帯端末2a(2b,2c,…)から送信されてきた電子メールや携帯端末2a(2b,2c,…)へ送信された電子メールを蓄積し管理するメールサーバ36と、移動通信網3を例えばインターネット5に接続するための接続処理サーバ37とを有している。
情報管理サーバ35(メールサーバ36、接続処理サーバ37)は、CPU等からなり、記憶部に記憶された所定の制御プログラムに従って構成各部を制御する制御部と、ROM、RAMや、FD(フレキシブル・ディスク)、HD(ハード・ディスク)、CD−ROMが装着されるFDD、HDD、CD−ROMドライバ等からなり、各種プログラムやデータが記憶される記憶部と、所定のプロトコルに従ってデータ通信を行うための通信部と、例えばキーボードやマウス等からなり、各種の指令や必要な情報を入力するために用いられる操作部とを有している。
情報管理サーバ35の記憶部には、各携帯端末2a(2b,2c,…)の現在位置情報や、各ユーザA(B,C,…)の加入者番号及び課金情報を含むユーザ情報等が常時更新された状態で記憶されている。
【0049】
次に、図9乃至12を参照して、上記構成の携帯電話機2aの動作について説明する。
例として、携帯端末2aへ、他の携帯端末2b,2c,…から電子メールが送信される場合について説明する。
ユーザAは、予め、表示部13に設定画面を表示させ、感情テーブルを設定しておく。
電源投入後、この例の携帯電話機2aの主制御部16は、操作者による入力操作や着信を待機する待受けモードに入る。
主制御部16は、ユーザによって、操作部24を介して設定画面表示のための所定の操作がなされ、設定画面表示操作有りと判断すると(ステップSA11(図9))、ステップSA12で、図11に示すように、表示部13に感情テーブル設定画面を表示させる(ステップSA12)。
【0050】
次に、主制御部16は、複数の感情パターン(例えば、「悲しい」、「うれしい」、「怒り」、「楽しい」等)のうちの1つが選択されると(ステップSA13)、表示部13に、図6に示すような編曲情報テーブルを表示させる。
この編曲情報テーブルは、音楽的特徴量(設定項目、この例では、音圧、音域、強弱、テンポ)毎に、それぞれ、複数の指標情報が提示されている。指標情報としては、例えば、音圧では、「高い」、「やや高い」、「普通」、「やや低い」、「低い」が提示される。
次に、主制御部16は、ユーザの設定操作によって、各音楽的特徴量(この例では、音圧、音域、強弱、テンポ)について、それぞれ、1つの指標情報が選択されると、選択された指標情報の組合せとして、編曲情報を得る(ステップSA14)。これによって、各音楽的特徴量の程度(強さや高低、速さ等)が仮設定される。
次に、主制御部16は、設定された編曲情報を、音声合成パラメータ生成部22に渡して、音声合成パラメータ生成処理を実行させ、感情パターン毎に、各音楽的特徴量に対応した音声合成パラメータを得る(ステップSA15)。
【0051】
音声合成パラメータ生成部22は、感情パターンに応じて設定された音圧、音域、強弱、テンポの程度の組合せに適合するように、パラメータとしてのHch、Mch、Lch、テンポの設定値の組合せを求める。
次に、主制御部16は、ユーザの設定操作によって、試聴用着信音を選択する(ステップSA16)。
次に、主制御部16は、選択された試聴用着信音(元着信音)情報と、仮編曲情報としての音声合成パラメータを音声合成部23に渡し、音声合成処理を実行させて、編曲済着信音を得て、音声出力部11に出力させる(ステップSA17)。音声合成部23は、元着信音に音声合成パラメータを付加して、編曲済み着信音として合成する。
【0052】
次に、ステップSA18で、ユーザによる試聴後、ユーザが了承して、確定操作がなされた場合は、主制御部16は、ステップSA19へ進み、ユーザが了承せず、未確定の場合は、ステップSA14へ戻って、再設定を行い、この設定処理を確定操作がなされるまで繰り返し実行する。
次に、主制御部16は、ステップSA19で、当該感情パターンについて確定された設定内容(感情パターンに対する編曲情報の割当て)を感情情報テーブル記憶部33に保存する。
次に、主制御部16は、ステップSA20で、次設定がある場合、すなわち、他の感情パターンについて設定がある場合は、ステップSA12へ戻り、次設定無しの場合は、全ての感情パターンについて確定されたものとし、感情情報テーブル記憶部33に、内容が更新された感情情報テーブルを記憶する(ステップSA21)。
【0053】
主制御部16は、電子メールの着信の有無を監視し(ステップSB11(図10))、携帯端末2bからメールサーバ36を介して、無線通信部19が電子メールを受信し、無線通信部19から着信信号を受け取り、着信有りを検知した場合は、電話帳情報記憶部29にアクセスし、通信相手(発信者)を特定し、通信相手に対応した着信音(元着信音)を検索し選定する(ステップSB12)。
すなわち、主制御部16は、電話帳情報記憶部29に、指定された着信音が登録されているか否か調べる(ステップSB13)。
【0054】
主制御部16は、電話帳情報記憶部29に、通信相手が登録され、かつ、着信音が指定されている場合には、この指定着信音を選定し(ステップSB14)、通信相手が登録されていない場合や、登録されていても着信音が指定されていない場合には、予め決められた通常着信音を選定し(ステップSB15)、ステップSB17へ進む。
ステップSB17では、主制御部16は、感情認識部21に、電子メールのテキストデータを渡し、感情認識処理を実行させて、感情情報を得る。
【0055】
感情認識部21は、例えば、受信した電子メールのテキストデータを単語に分け、分類のためのタグ情報を付加して、文章の内容を解析する形態素解析処理と、タグ情報から感情情報を抽出する感情情報抽出処理とを実行する。
感情認識部21は、例えば、図12に示すように、「明日は待ちに待った遠足の日です。晴れるといいな。」という電子メール本文に基づいて、「待ちに待った」から「うれしい」という感情情報を抽出する。
次に、主制御部16は、感情情報テーブル記憶部33に記憶された感情情報テーブルについて、感情認識部21によって、テキストデータから抽出された感情情報に、予め記憶された感情パターンに一致するものがあるか否か調べる(ステップSB18)。
【0056】
次に、主制御部16は、ステップSB19で、該当データ有りと判断した場合には、ステップSB20へ進み、該当データ無しと判断した場合には、ステップSB23へ進む。 次に、主制御部16は、ステップSB20で、感情情報に対応する編曲情報を選択する。
主制御部16は、例えば、「うれしい」という感情情報を取得すると、感情情報テーブル記憶部33に記憶された感情情報テーブルから、「うれしい」に対応させて、「高音でダイナミックに鳴音させる」ための編曲情報を得る。
次に、主制御部16は、編曲情報(音声合成パラメータ)を音声合成部23に渡し、音声合成処理を実行させて、編曲済着信音を得る(ステップSB21)。主制御部16は、例えば、「高音でダイナミックに鳴音させる」ための編曲情報に対応させて、イコライジングパラメータのHcHと、テンポ情報とを音声合成部23に渡す。音声合成部23は、元着信音に音声合成パラメータを付加して、編曲済み着信音として合成する。
【0057】
次に、主制御部16は、この編曲済み着信音を着信音として確定し、メロディ情報記憶部31に記憶させる(ステップSB22)。
次に、主制御部16は、元着信音に対して、着信音の強弱や高低、テンポ等が変更された編曲済着信音(着信メロディ音)を音声出力部11に出力させ、例えば、「うれしい」という感情情報に対応させて、高音でダイナミックに鳴音させる(ステップSA23)。また、主制御部16は、同時に振動部26を振動させる。
なお、以上の説明では、所定の着信音と抽出された感情情報とに基づいて、編集情報を選択して、新しいメロディ情報を合成する場合について述べたが、既に、受信した電子メールの着信音と編集情報との組合せに対応するメロディ情報が編曲済であり、メロディ情報記憶部31に記憶されている場合には、新めて合成することなく、編曲済のメロディ情報を用いる。
【0058】
このように、この例の構成によれば、着信音を聞くだけで、着信音の旋律によって、発信者を特定し、かつ、着信音の鳴り方(元着信音に対する変化)によって、電子メールの本文で表現された発信者の感情に係る情報を知ることができる。そして、この感情情報によって、電子メールの本文の内容の少なくとも一部を直感的に推測することができ、高い利便性を得ることができる。
したがって、例えば、相手から返答を待っているような場合で、電子メール本文を確認している余裕がないようなときや、一時に纏まって返信を受けるようなときに、メールテキストを開くことなく、迅速にかつ簡単に相手の感情や意志(少なくとも、肯定的内容か否定的内容か等)を知ることができる。
【0059】
なお、感情認識部21によって、例えば、「うれしい」、「悲しい」等の直接的記述がなされていなくても、「待ちに待った」という記述から「うれしい」という感情情報を正確に抽出することができる。
また、感情情報テーブル記憶部33には、感情パターンに対応付けられて、編曲情報として、例えば、音圧、音域、強弱、テンポ等に関する設定項目が記憶され、携帯電話機2a自体の独立した機能として、着信音編集機能を有しているので、場所及び時間を問わず、着信音の編曲を、簡単かつ手軽に行うことができる。
【0060】
ここで、記憶部17においては、編曲情報テーブル記憶部32に記憶された編曲情報テーブルに、音楽的特徴量毎に、それぞれ、予め用意された複数の指標情報が提示されていると共に、予め用意された感情パターン毎に、各音楽的特徴量の指標情報を選択することによって、感情パターン毎に編集情報が設定されて、感情情報テーブル記憶部33に、感情パターンに対応付けられた編曲情報が感情情報テーブルとして記憶されるので、ユーザにとっての編曲情報の設定のための十分な自由度を確保しつつ、ユーザは、自身の好みや感覚に適合するように、編曲情報を簡単かつ迅速に設定することができる。
すなわち、着信音を自在に調製して、発信者の感情判別や、電子メールの趣旨の直感的な推測を行い易くすることができるので、使い勝手の良い高い利便性を得ることができる。しかも、ユーザは、着信音の編曲操作や、出力される着信音の変化を楽しむことができる。
【実施例2】
【0061】
図13は、この発明の第2の実施例である携帯電話機の記憶部の構成を示す図、図14は、同記憶部のテーブル選択情報部の構成を説明するための説明図、また、図15乃至図17は、同記憶部の感情情報テーブル記憶部に記憶された感情情報テーブルの構成を示す図である。
この例が上述した第1の実施例と大きく異なるところは、付加情報を選択することで、簡単に設定可能とした点である。
これ以外の構成は、上述した第1の実施例の構成と略同一であるので、第1の実施例と同一の構成要素については、例えば、図13において、図4で用いた符号と同一の符号を付し、その説明を簡略にする。
【0062】
この例の携帯電話機の記憶部41は、図13に示すように、電話帳情報記憶部29と、メロディ情報記憶部31と、編曲情報テーブル記憶部32と、感情情報テーブルを選択するためのテーブル選択情報記憶部42と、予め設定済の複数の感情情報テーブルが記憶された感情情報テーブル記憶部43とを有している。
テーブル選択情報記憶部42には、図14に示すように、着信音の調子(普通、強調、抑え目)が互いに異なる3種類の感情情報テーブル43a,43b,43cのうちの1つの感情情報テーブル43a(43b,43c)が選択可能なように提示され、設定操作に応じて、選択された感情情報テーブルが指示されている。
【0063】
感情情報テーブル記憶部43には、図15乃至図17に示すように、3種類の感情情報テーブル43a,43b,43cが記憶されている。
この例では、各感情情報テーブル43a(43b,43c)において、感情パターンと、対応する編曲情報(パターンE〜パターンE)とは、第1の実施例の内容と同一とされている。
また、各感情情報テーブル43a(43b,43c)は、着信音の調子(普通、強調、抑え目)に応じて、基準音声合成パラメータに対する変化分を示す付加情報と、各音楽的特徴量毎に基準音声合成パラメータに付加情報が付加されて生成された調整済の音声合成パラメータとを含んでいる。
ここで、基準音声合成パラメータや、付加情報は、ユーザが予め設定することによって生成されたものを用いても、製造時に設定してものを用いても良い。
【0064】
ユーザは、そのときの気分や感情に適合した編曲パターンとなるように、感情情報テーブル43a(43b,43c)を選択する。
例えば、「今日は楽しい気分なので、強調された調子にしよう。」と考えたときは、感情情報テーブル43bを選択する。また、例えば、気分が優れないときに、「気持ちを落ち付かせる癒し系の抑えた調子にしよう。」と考えたときは、感情情報テーブル43cを選択する。また、気分の起伏がないときは、付加情報が含まれない感情情報テーブル43aを選択する。
【0065】
主制御部44は、選択された感情情報テーブル43a(43b,43c)の調整済の音声合成パラメータを、音声合成部23に渡し、音声合成処理を実行させて、編曲済着信音を得る。音声合成部23は、調整済の元着信音に音声合成パラメータを付加して、ユーザの気分に適合した編曲済み着信音として合成する。
ここで、ユーザによって、感情パターンの追加や、同一種類の感情パターンの細分化等の設定が可能なように構成して、より繊細な表現を行うようにしても良い。
【0066】
この例の構成によれば、上述した第1の実施例と略同様の効果を得ることができる。
加えて、用意された感情情報テーブルを選択するのみで、編曲情報の設定や変更が可能であるので、設定操作に熟達していないユーザにとっても、簡単に編曲情報の設定を行うことができる。
また、ユーザは、例えば、自分が設定した複数の感情情報テーブルのなかから、所望の感情情報テーブルを選択して、そのときの気分や感情に適合した編曲パターンで着信音を聞くことができる。例えば、気分を害しているときに、気持ちを逆なでするような着信音の出力を避けることができる。したがって、ユーザの好みや感覚に一段と適合させることができる。
【実施例3】
【0067】
この例が上述した第1の実施例と大きく異なるところは、電子メールのテキストに複数種の感情情報が含まれる場合に電子メールの本文の全体の趣旨を推定可能なように構成した点である。
これ以外の構成は、上述した第1の実施例の構成と略同一であるので、その説明を簡略にする。
【0068】
この例の携帯電話機では、主制御部は、電子メールのテキストに複数種の感情情報が含まれる場合に、頻度の高い感情情報を主たる感情情報と推定する。
この例の感情認識部は、例えば、受信した電子メールのテキストデータを単語に分け、分類のためのタグ情報を付加して、文章の内容を解析する形態素解析処理と、タグ情報から感情情報を抽出する感情情報抽出処理と、最多頻度の感情情報を主たる感情情報と推定する趣旨推定処理とを実行する。
【0069】
この例の構成によれば、上述した第1の実施例と略同様の効果を得ることができる。
加えて、電子メールの本文が比較的複雑であっても、感情情報を正確に抽出し、主たる感情情報を推定することができる。
【実施例4】
【0070】
この例が上述した第1の実施例と大きく異なるところは、着信音毎に感情テーブルを設定可能なように構成した点である。
これ以外の構成は、上述した第1の実施例の構成と略同一であるので、その説明を省略する。
【0071】
この例の構成によれば、上述した第1の実施例と略同様の効果を得ることができる。
加えて、着信音の編曲で、一段と繊細な表現を行うことができる。
【実施例5】
【0072】
この例が上述した第1の実施例と大きく異なるところは、感情テーブルを設定する際に、複数の着信音について連続して試聴可能なように構成した点である。
これ以外の構成は、上述した第1の実施例の構成と略同一であるので、その説明を省略する。
【0073】
この例の構成によれば、上述した第1の実施例と略同様の効果を得ることができる。
加えて、比較的頻繁に用いられる着信音が複数ある場合に、編曲情報の設定し忘れを防止することができる。
【0074】
以上、この発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
例えば、上述した実施例では、例えば、感情認識処理や、音声合成処理等を、それぞれ、独立したハードウェアで実行する場合について述べたが、例えば、感情認識処理や、音声合成処理等を、主制御部が、対応する制御プログラムを実行することによって行うようにしても良い。
また、一部又は全部を専用のハードウェアを用いて行い、一部を対応するプログラムを実行して処理するようにしても良い。
また、感情認識処理や、音声合成処理の一部を専用のハードウェアを用いて行い、一部を主制御部が対応するプログラムを実行して処理するようにしても良い。
【0075】
また、ネットワークとして、移動通信網を用いて、この移動通信網を経由して、電子メールの送受信を行う場合について述べたが、もちろん、固定網を含めた場合にも、また、固定網のみの場合にも適用できるし、インターネットに接続する場合にも、接続しない場合にも適用できる。また、公衆回線に限らず、専用回線を含む場合にも適用できる。
また、メールサーバは、単数とは限らず複数設けても良いし、また、集中させて配置しても、ネットワーク上に分散させて配置しても良い。
また、編曲情報として、音色や、和音(ハーモニ)等を追加しても良い。また、感情認識処理で、通常の単語だけでなく、絵文字等も感情認識の対象としても良い。
【0076】
また、電子メールの作成及び送受信のために用いられるプログラムとしてのメーラが、通常の電子メールの作成や送受信のための処理プログラムに加えて、メール着信通知制御処理プログラム等を含むように構成しても良い。
また、着信音は、ネットワークを介してダウンロードされたものでも、製造時に用意されたものでも良い。
また、試聴用の着信音については、ユーザの選択によらなくても、自動的に通常着信音を選択するようにしても良い。
また、電子メールとして、狭義の電子メールのほか、ショートメッセージや、インスタントメッセージ等を受信する場合に適用できる。
【0077】
また、第3の実施例で、電子メールのテキストに複数種の感情情報が含まれる場合に、頻度の高い感情情報を主たる感情情報と推定する場合について述べたが、複数種の感情情報に対応する編曲情報を複数選択し、それぞれの編曲情報に対応するメロディの出力時間を、例えばその重要度に応じて変化させるように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0078】
携帯端末としては、携帯電話機のほか、着信通知機能を有する簡易型携帯電話(PHS)端末や、携帯情報端末(PDA)、携帯型のコンピュータを用いる場合に適用できる。また、通信端末としては、携帯端末のほか、据置型のパーソナルコンピュータ等を用いる場合に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】この発明の第1の実施例である携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図2】同携帯電話機を含む電子メールシステムの構成を示す図である。
【図3】同電子メールシステムの構成を説明するための説明図である。
【図4】同携帯電話機の主要部の構成を示すブロック図である。
【図5】同携帯電話機の記憶部の電話帳情報記憶部の構成を示す図である。
【図6】同記憶部の編曲情報テーブル記憶部の構成を示す図である。
【図7】同記憶部の感情情報テーブル記憶部の構成を示す図である。
【図8】同電子メールシステムの通信管理センタの構成を示すブロック図である。
【図9】同携帯電話機の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】同携帯電話機の動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】同携帯電話機の動作を説明するための説明図である。
【図12】同携帯電話機の動作を説明するための説明図である。
【図13】この発明の第2の実施例である携帯電話機の記憶部の構成を示す図である。
【図14】同記憶部のテーブル選択情報部の構成を説明するための説明図である。
【図15】同記憶部の感情情報テーブル記憶部に記憶された感情情報テーブルの構成を示す図である。
【図16】同記憶部の感情情報テーブル記憶部に記憶された感情情報テーブルの構成を示す図である。
【図17】同記憶部の感情情報テーブル記憶部に記憶された感情情報テーブルの構成を示す図である。
【図18】従来技術を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0080】
1 電子メールシステム
2a,2b,… 携帯電話機(着信音編集機能を備えた通信端末)
3 移動通信網(ネットワーク)
11 音声出力部(着信音出力手段)
16,44 主制御部(メール着信音編集手段、編曲手段の一部、編曲情報取得手段、編曲情報生成手段)
17,41 記憶部
21 感情認識部(感情情報抽出手段)
22 音声合成パラメータ生成部(編曲手段の一部、パラメータ設定値生成手段)
23 音声合成部(編曲手段の一部、音声合成手段)
31 メロディ情報記憶部(着信音記憶手段)
32 編曲情報テーブル記憶部(編曲情報記憶手段)
33,43 感情情報テーブル記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して所定の送信者端末から電子メールを受信した際に、予め設定された着信音を出力して、前記所定の送信者端末からの電子メールが届いた旨を知らせる機能を備えてなる通信端末であって、
受信した前記電子メールの内容から、如何なる情緒の電子メールであるかを認識し、当該認識結果に基づいて、予め設定された前記着信音に対して変調又は編集し、変調又は編集された着信音を出力するメール着信音編集手段を備えてなることを特徴とする着信音編集機能を備えた通信端末。
【請求項2】
前記メール着信音編集手段は、前記電子メールの内容から、送信者の感情に係る情報を抽出する感情情報抽出手段と、抽出された感情情報に基づいて、前記着信音を編曲する編曲手段と、編曲された前記着信音を出力する着信音出力手段とを有してなる
ことを特徴とする請求項1記載の着信音編集機能を備えた通信端末。
【請求項3】
感情情報に対応付けられて、編集前の元着信音に対する編曲情報を記憶した編曲情報記憶手段を有し、前記編曲手段は、前記感情情報抽出手段によって抽出された感情情報に基づいて、該感情情報に対応する前記編曲情報を前記編曲情報記憶手段から検索して取得する編曲情報取得手段と、前記編曲情報に基づいて前記元着信音を編曲して編曲済み着信音として合成する音声合成手段とを有することを特徴とする請求項2記載の着信音編集機能を備えた通信端末。
【請求項4】
前記編曲手段は、所定の設定操作によって、感情情報に対応付けて、前記元着信音に対する前記編曲情報を生成する編曲情報生成手段を有することを特徴とする請求項3記載の着信音編集機能を備えた通信端末。
【請求項5】
前記編曲情報生成手段は、前記編曲情報を、複数の音楽的特徴量について、それぞれ、予め提示された複数の指標情報のうちの1つの選択された指標情報の組合せとして生成することを特徴とする請求項4記載の着信音編集機能を備えた通信端末。
【請求項6】
前記編曲手段は、前記編曲情報に基づいて、前記各指標情報に対応するパラメータの設定値を求めるパラメータ設定値生成手段を有し、前記音声合成手段は、前記設定値に基づいて、前記元着信音を編曲することを特徴とする請求項5記載の着信音編集機能を備えた通信端末。
【請求項7】
前記音楽的特徴量は、着信音の少なくとも音圧、音域、強弱、テンポを含むことを特徴とする請求項5又は6記載の着信音編集機能を備えた通信端末。
【請求項8】
前記送信者端末又は前記送信者に対応付けて、前記元着信音を記憶した着信音記憶手段を有していることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1に記載の着信音編集機能を備えた通信端末。
【請求項9】
前記感情情報抽出手段は、前記電子メールの内容を単語に分割し、各単語に、単語を分類するタグ情報を対応付け、前記タグ情報のなかから前記感情情報を抽出することを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1に記載の着信音編集機能を備えた通信端末。
【請求項10】
前記メール着信音編集手段は、予め編集された複数種類の着信音のなかから、前記認識結果に基づいて、所定の着信音を選択して出力することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1に記載の着信音編集機能を備えた通信端末。
【請求項11】
ネットワークを介して、第1の通信端末と第2の通信端末とが接続され、電子メールの送受信を行うための電子メールシステムであって、
前記第1の通信端末又は/及び前記第2の通信端末として、請求項1乃至10のいずれか1に記載の着信音編集機能を備えた通信端末が用いられることを特徴とする電子メールシステム。
【請求項12】
ネットワークを介して所定の送信者端末から電子メールを受信した際に、予め設定された着信音を出力して、前記所定の送信者端末からの電子メールが届いた旨を知らせる電子メール着信通知方法であって、
受信した前記電子メールの内容から、如何なる情緒の電子メールであるかを認識し、当該認識結果に基づいて、予め設定された前記着信音に対して変調又は編集し、変調又は編集された着信音を出力するメール着信音編集ステップを含むことを特徴とする電子メール着信通知方法。
【請求項13】
前記メール着信音編集ステップは、前記電子メールの内容から、送信者の感情に係る情報を抽出する感情情報抽出ステップと、抽出された感情情報に基づいて、前記着信音を編曲する編曲ステップと、編曲された前記着信音を出力する着信音出力ステップとを含むことを特徴とする請求項12記載の電子メール着信通知方法。
【請求項14】
前記編曲ステップは、前記感情情報抽出ステップで抽出された感情情報に基づいて、該感情情報に対応する前記編曲情報を、感情情報に対応付けられて、編集前の元着信音に対する編曲情報を記憶した編曲情報記憶手段から検索して取得する編曲情報取得ステップと、前記編曲情報に基づいて前記元着信音を編曲して編曲済み着信音として合成する音声合成ステップとを含むことを特徴とする請求項13記載の電子メール着信通知方法。
【請求項15】
前記編曲ステップは、所定の設定操作によって、感情情報に対応付けて、前記元着信音に対する前記編曲情報を生成する編曲情報生成ステップを含むことを特徴とする請求項14記載の電子メール着信通知方法。
【請求項16】
前記編曲情報生成ステップは、前記編曲情報を、複数の音楽的特徴量について、それぞれ、予め提示された複数の指標情報のうちの1つの選択された指標情報の組合せとして生成することを特徴とする請求項15記載の電子メール着信通知方法。
【請求項17】
前記編曲ステップは、前記編曲情報に基づいて、前記各指標情報に対応するパラメータの設定値を求めるパラメータ設定値生成ステップを含み、前記音声合成ステップでは、前記設定値に基づいて、前記元着信音を編曲することを特徴とする請求項16記載の電子メール着信通知方法。
【請求項18】
前記音楽的特徴量は、着信音の少なくとも音圧、音域、強弱、テンポを含むことを特徴とする請求項16又は17記載の電子メール着信通知方法。
【請求項19】
前記感情情報抽出ステップでは、前記電子メールの内容を単語に分割し、各単語に、単語を分類するタグ情報を対応付け、前記タグ情報のなかから前記感情情報を抽出することを特徴とする請求項13乃至18のいずれか1に記載の電子メール着信通知方法。
【請求項20】
前記メール着信音編集ステップでは、予め編集された複数種類の着信音のなかから、前記認識結果に基づいて、所定の着信音を選択して出力することを特徴とする請求項12乃至19のいずれか1に記載の電子メール着信通知方法。
【請求項21】
コンピュータに請求項12乃至20のうちいずれか1に記載の電子メール着信通知方法を実行させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2007−258992(P2007−258992A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79825(P2006−79825)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】