説明

着磁性異物を低減した球状金属酸化物粉末、その製造方法及び用途

【課題】成形時の流動性に富み、かつ電気的なショートを発生させない半導体封止材が提供される。またそのような組成物を調製するのに好適な球状金属酸化物粉末が提供される。
【解決手段】金属酸化物粉末及び金属水酸化物粉末の少なくとも一方からなる原料粉末を炉内に形成された火炎中に噴射して熱処理をし、それを炉に直結された捕集装置で回収する球状金属酸化物粉末の製造工程において、平均粒子径50μm以下の粒子が40m/秒以上の速度で通過する部分の材質を、粒子径1.0μm以下のタングステンカーバイド原料とCoを焼結させた成形体で構成し、原料供給から捕集・回収に至る製造工程において45μm以上の着磁性異物の増加量を10個/50g以下にすることを特徴とする球状金属酸化物粉末の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状金属酸化物粉末、その製造方法及び用途に関する。
【背景技術】
【0002】
球状金属酸化物粉末は、天然に産出される珪石を粉砕したものや、半導体用シリコンウエハ製造工程において発生するシリカ屑や、地殻中に多く存在するアルミナ等の金属酸化物を粉砕して粉状にしたものなどを原料とし、それを粉末状態のまま(例えば特許文献1)、又は水、アルコール等の媒体中に分散させてスラリーとし(例えば特許文献2〜4)、火炎中に噴射して球状化することにより製造されている。
球状金属酸化物粉末は、例えば半導体封止材の分野においては、半導体デバイスのワイヤーの狭ピッチ化に伴い、電気的なショートを発生させないよう異物の量をできるだけ低減したものが望まれている。そこで、原料粉末の火炎噴射からその処理物を捕集系で回収するまでの間に、適宜数の異物除去装置を設け、異物を除去(低減することも含む。以下同じ。)することが行われているが、現在求められているレベルを考慮しても、近い将来求められるレベルを考慮しても十分に満足いく程度に除去されていない。また、捕集系からの回収品に含まれる異物を、更に磁石、篩等を用いて除去することが考えられるが、回収品に含まれる異物の量などによって除去効率が異なり、これもまた現在の要求を十分に満たしえないか、又はそのためには多大な設備、処理時間等が必要であった。
【特許文献1】特開2004−175825号公報
【特許文献2】特開2002−179409号公報
【特許文献3】特開2004−51409号公報
【特許文献4】特開2006−182594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、着磁性異物を低減した球状金属酸化物粉末を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決するものである。
本発明は、金属酸化物粉末及び金属水酸化物粉末の少なくとも一方からなる原料粉末を炉内に形成された火炎中に噴射して熱処理をし、それを炉に直結された捕集装置で回収する球状金属酸化物粉末の製造工程において、平均粒子径50μm以下の粒子が40m/秒以上の速度で通過する部分の材質が粒子径1μm以下のタングステンカーバイド原料をCoと配合して焼結させた成形体で構成することにより、原料供給から捕集・回収に至る製造工程において45μm以上の着磁性異物の増加量を10個/50g以下に低減できる。また本発明において、平均粒子径が50μm以下の粒子が40m/秒以下の速度で通過する部分の材質がアルミナ成形体で構成することが好ましい。さらに本発明は、平均粒子径が50μm以下の粒子が15m/分以下の速度で通過する部分の材質において、回転部がタングステンカーバイド30〜40質量%にNi,Co,Cの合計量を60〜70質量%、を加えたモース硬度8以上の溶射材であり、ケーシングはタングステンカーバイド85%以上、Co10%以上の組成からなり、モース硬度が9.5以上である溶射材であることが好ましい。さらに本発明は、原料粉末をキャリアガスに同伴させ、磁束密度4000ガウス以上の磁石が組み込まれた磁選機に、50〜800kg/hrの割合で通過させ、捕集回収した球状金属酸化物粉末も同様にキャリアガスに同伴させ、磁束密度4000ガウス以上の磁石が組み込まれた磁選機に、50〜800kg/hrの割合で通過させた後、媒体が水、アルコール又はこれらの混合物であり、固形分濃度が5〜50質量%、比重が1.05〜1.42であるスラリーを調製し、これを磁束密度が4000ガウス以上の磁石が装填された磁選機に磁選面流量160〜330L/H・m2の速度で通過させることが好ましい。また、球状金属酸化物粉末は、球状シリカ粉末であることが好ましい。
【0005】
また、本発明は、本発明によって製造された平均粒子径が5〜30μm、球形度が0.80以上、45μm以上の着磁性異物が10個/50g以下であることを特徴とする球状金属酸化物粉末である。本発明においては、球状金属酸化物粉末が球状シリカ粉末であることが好ましい。
【0006】
また、本発明は本発明の球状金属酸化物粉末または球状シリカ粉末を含有してなる樹脂組成物である。更に本発明は、本発明の樹脂組成物においてエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂の硬化促進剤とを含有する樹脂組成物であり、これらの樹脂組成物を用いた半導体封止材である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の着磁性異物を低減した球状金属酸化物粉末を用いることにより、成形時の流動性に富み、かつ電気的なショートの発生の極めて少ない半導体封止材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で用いる原料は、金属酸化物粉末及び金属水酸化物粉末の少なくとも一方からなるものである。それを例示すると、シリカ粉末、アルミナ系粉末、ムライト粉末、コージェライト粉末等である。シリカ粉末としては、天然珪石の粉砕物や、例えばゾルゲル法等による合成物などがある。アルミナ系粉末としては、水酸化アルミニウム、バイヤー法アルミナ等がある。
【0009】
原料粉末は、球状化の容易さの観点から、平均粒子径が5〜50μmであるのが好ましい。これには市販品があるのでそれを用いることができる。それを例示すれば、シリカ粉末としては、商品名F2075で株式会社ニッチツから販売されているもの(平均粒子径20μm)、商品名F3575で株式会社ニッチツから販売されているもの(平均粒子径30μm)があげられる。アルミナ系粉末としては、商品名LS−13で株式会社日軽金から販売されているものがあげられる。
【0010】
原料粉末の火炎による球状化処理と、得られた球状金属酸化物粉末の回収は、常法によって行うことができる。それを概説すれば以下のとおりである。
装置としては、例えばバーナーを備えた炉体に捕集装置が接続されたものが採用される。その一例を示せば特開平11−57451号公報、特開平11−71107号公報である。
炉体は開放型又は密閉型にして、縦型又は横型のいずれであってもよい。捕集装置には、サイクロン、バグフィルター等が用いられる。
火炎の形成は、バーナー(通常は二流体ノズルの中心部に組み込まれているが、この構造には限定されない。)から、燃料ガスと助燃ガスを噴射することによって行うことができる。燃料ガスには水素、天然ガス、アセチレンガス、プロパンガス、ブタン等を用い、助燃ガスには空気、酸素等を用いる。
火炎温度は1730〜2000℃が好ましく、特に1750〜1900℃であることが好ましい。
【0011】
原料粉末はそのままの状態で、つまり乾式で火炎中に噴射することもできるし、水、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、例えば灯油等の液体燃料などの媒体に分散させてスラリーとした状態で、つまり湿式で噴射することもできる。
スラリーの場合、異物除去効果の観点から、原料粉末の濃度は5〜50質量%が好ましく、特に15〜45質量%であることが好ましい。また、スラリー比重(25℃)は、媒体の種類を問わず、シリカ粉末の場合、1.35以下、好ましくは1.05〜1.33とするのが好ましい。アルミナ系粉末の場合、1.59以下、好ましくは1.08〜1.42とするのが好ましい。いずれのスラリーにおいても、媒体は5〜40質量%エタノール水溶液であることが好ましい。
【0012】
原料粉末を火炎中に噴射するには、取扱い性及び量産性の観点から、乾式、湿式のいずれの場合であっても、二流体ノズルを用いることが好ましい。その場合のキャリアガスとしては、通常、助燃ガス又は燃料ガスが用いられるが、炉内温度を調節するなどのために炭酸ガス、窒素ガス等の不燃性ガスを用いることもできる。二流体ノズルからの原料粉末の噴射速度は20m/秒以上とすることが好ましく、25〜50m/秒とするのがより好ましい。
【0013】
捕集装置に回収される複数の球状シリカ粉末のうち、少なくとも一種の粉末の平均粒子径が、30μm超、5〜30μm又は5μm未満であることが好ましい。これによって、今日の需要に対応した粒度を有する球状シリカ粉末(最終製品)を極めて容易に調整することができる。
【0014】
着磁性異物とは、ステンレス磨耗粉や鉄等、磁性を有する物質である。ステンレスは、本来磁性がないと考えられるが、磨耗等により生成する磨耗物は弱磁性体となる。着磁性異物には、初めから原料自体に含まれている異物と原料供給から捕集・回収に至る製造工程において配管磨耗によって混入する異物に分けられる。
【0015】
配管磨耗は、金属酸化物の種類、粒子径、配管内流速に大きく依存する。一般的に、モース硬度が大きい金属酸化物の方が、配管磨耗が大きくなる。例えば、アルミナ(モース硬度:9)はシリカ(モース硬度:7)より配管を磨耗させ易い金属酸化物である。また、金属酸化物の粒子径が大きいほど、粒子の配管内流速が大きいほど、粒子の配管衝突時のエネルギーが大きくなり、配管磨耗を引き起こし易い。そのため配管は、極力曲部をなくした設計をとることが多い。
【0016】
製造工程における配管磨耗によって生じる着磁性異物を極力低減するためには、金属酸化物の種類、粒子径、配管内流速に応じて適正な配管材質を選定することが重要となるが、これまで充分な検討が行われていなかった。
【0017】
例えば、バーナーの原料分散板などは、平均粒子径50μm以下の粒子が、40m/秒以上の高速で通過する箇所であり、平均粒子径50μmは、容易に球状化でき、かつ半導体封止材に適用できる最大平均径である。また、速度40m/秒は、経験則から、この速度を境にして耐用材質を変えなければならない境界速度と見なされている。この箇所に使用される材質は、通常タングステンカーバイドを中心とする超硬合金である。本発明においては、当該箇所に粒子径1μm以下のタングステンカーバイド原料85〜92質量%に、Co8〜15質量%を配合して、焼結させた成形体を使用することが好ましい。本発明のタングステンカーバイド成形体は、タングステンカーバイドの粒子が超微粉であるため、Coを通常より多く配合することができ、極めて緻密な微細構造を有した超硬度体であり、高速度の粒子による摩耗を防止できる。タングステンカーバイド成形体の使用により、原料供給から捕集・回収に至る製造工程において、45μm以上の着磁性異物の増加量を10個/50g以下に低減できる。一方、粒子径1μmを超えるタングステンカーバイド原料を使用した場合には、Coの配合量が3〜5%に制限されるため、成形体の硬度が低下し、配管等が短期間で摩耗するため、製造工程における着磁性異物の増加量が多くなる。
【0018】
平均粒子径が50μm以下で、粒子の速度が40m/秒以下となる空気輸送配管には、通常SUSやゴムが使用されるが、磨耗が著しく問題が生じる。本発明においては、コストと硬度のバランスの点から、アルミナ成形体を配管に内張りすることが好ましい。アルミナ成形体とは、アルミナ粉末にマグネシア粉末、イットリア粉末等を微量添加し、焼結したアルミナ純度90%以上の成形体である。
【0019】
さらに、平均粒子径が50μm以下で、特に粒子の速度が15m/分以下の低流速となる箇所の代表例として、ロータリーバルブやスクリューコンベアが挙げられる。回転部とケーシングには、通常SUSやその鋳物が用いられるが、磨耗による着磁性異物の混入が問題となる。本発明においては、回転部を、タングステンカーバイド30〜40質量%,Ni,Co,Cの合計量を60〜70質量%、モース硬度が8以上の溶射材で構成することが好ましい。ケーシングを、タングステンカーバイド85質量%以上、Co10質量%以上、モース硬度が9.5以上の溶射材で構成することが好ましい。回転部材とケーシング材に硬度差をつけることにより、耐磨耗材同士のかじりを防止できる。そのため、回転部材の硬度をケーシング材の硬度より低くすることが好ましい。
【0020】
回転部材は、ケーシング材よりも低硬度とするが、この部品における磨耗を極力防止するためには、モース硬度を8以上にすることが好ましい。これを満足する組成として、タングステンカーバイド30〜40質量%、その他の成分がNi,Co,Cであることが好ましい。タングステンカーバイド組成が30質量%を下回る場合は、硬度が低くなりすぎ耐磨耗性が劣化する。一方、40質量%を上回る場合は、逆に硬度が高くなりすぎ、ケーシング部との硬度差が充分確保できず、かじりが発生しやすくなる。また、その他組成がNi,Co,C以外からなる場合は、耐熱性、耐食性、高温強度のバランスが損なわれ、寿命が短くなる。
【0021】
ケーシング材は、回転部材よりも高硬度とするために、タングステンカーバイドとCoの組成からなる溶射材で構成することが好ましい。特にタングステンカーバイド85質量%以上、Co10質量%以上の組成からなり、モース硬度9.5以上の溶射材が好適である。
タングステンカーバイドが85質量%未満になると硬度が低下する傾向にあり、配管磨耗の問題や回転部とのかじりが発生し易くなる。また、Coが10質量%未満になると引張強度や破壊靱性が低下する傾向にあり、溶射材にクラックが生じやすく、その進展も速く、寿命が短くなる。
【0022】
球状金属酸化物粉末に含まれる着磁性異物の低減は、適切な配管材質の選定による配管磨耗の防止と着磁性異物の除去の両方によって達成される。着磁性異物の除去手段は特に限定はなく、例えば、磁石、篩、空気分級、比重差分離等によることができるが、操作の容易性の観点から磁石による方法が好ましい。磁石としては、電磁石、永久磁石、超電導磁石等を用いることができる。
【0023】
本発明において、原料粉末が粉砕物である場合、粉砕時に着磁性異物が多く混入する傾向にあるので、特に磁束密度が4000ガウス以上、より好ましくは10000ガウス以上の磁石が組み込まれた異物除去装置(以下磁選機という)に原料粉末を通過させることが好ましい。このような磁選機は、例えば棒状磁石を管体に挿通させたものを一定間隔で、例えば10〜50mm、好ましくは10〜30mmの磁石間隙で、平行又は格子状にして枠体に配列したもの(例えば特開平11−47633号公報)や、更にそれらを数段重ねたものが使用される。市販品には、例えば日本エリーズマグネチックス株式会社、永久磁石式格子型除鉄装置がある。
【0024】
磁石の表面を、樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等で被覆すると、原料粉末と磁石とが接触することにより磁石表面が削れ、着磁性異物が発生することを抑制することができるので好ましい。
【0025】
原料粉末を磁選機に通過させるには、それをキャリアガスに同伴させ、水平方向又は垂直方向(上方向及び下方向)に、一方の口から他方の口に送給すればよい。キャリアガスとしては、火炎を形成させるのに用いた、燃料ガス及び助燃ガスの少なくとも一方であることが好ましい。とくに、酸素50体積%以上、空気50体積%以下の混合ガスが好ましく、中でも酸素ガスが好ましい。供給量は50〜800kg/hrが好ましく、特に300〜600kg/hrが好ましい。これによって、原料粉末が磁石と接触することなく通過することから回避させることができる。
【0026】
粉砕原料を火炎処理して製造された球状金属酸化物粉末は、原料状態で除去できなかった着磁性異物が残留している可能性が高く、磁束密度は4000ガウス以上、より好ましくは10000ガウス以上の磁選機を用い、再度除去することが好ましい。
【0027】
本発明において、捕集回収した粉末に対して着磁性異物除去処理を実施した後、更に含有する着磁性異物量を低減するためには、スラリー状態での処理を加えることが好ましい。媒体には水又は有機液体を用いる。有機液体としては、炭素数1〜6の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物などを用いることができる。なかでも、水、低級アルコール又はこれらの混合物が好ましい。低級アルコールとしては、特にメタノール及びエタノールが好ましい。とりわけエタノール含量が2〜15体積%のエタノール水溶液が好ましい。スラリーの固形分濃度が5〜50質量%、比重が1.05〜1.42であることが好ましい。スラリーの濃度と比重をこのような範囲にすると、磁選機への流通性がよくなるので異物除去効果が高まる。
【0028】
磁選機にスラリーを通過させるには、その下方からスラリーを供給し上部から垂直方向に排出させる連続式が好ましい。スラリーの流量は、磁束密度が4000ガウス以上の磁石が装填された磁選機からの排出量(以下、「磁選面流量」ともいう。)として、160〜330L/H・mとすることが好ましい。とくに、磁力磁束密度が10000ガウス以上の磁石から構成される磁選機に、磁選面流量を160〜250 L/H・mとすることが好ましい。
【0029】
本発明において、金属酸化物粉末は、モース硬度が低く、配管磨耗性の小さい球状シリカ粉末であることが好ましい。
【0030】
本発明の製造方法である配管に磨耗防止できる適正な材質を採用し、更に着磁性異物の除去処理を行うことにより、45μm以上の着磁性異物が10個/50g以下の球状金属酸化物粉末が得られる。着磁性異物の除去効率及び用途特性の点から、回収球状金属酸化物の平均粒子径は5〜30μmが好ましい。また、用途特性となる流動性や粘度の点から平均球形度は0.80以上が好ましい。なお、本発明の球状金属酸化物粉末は、配管磨耗性の小さい球状シリカ粉末であることが好ましい。
【0031】
本発明の樹脂組成物は、本発明のシリカ質粉末又は無機質粉末を含有してなる樹脂組成物である。樹脂組成物中のシリカ質粉末又は無機質粉末の含有率は10〜99質量%であり、さらに好ましくは30〜95質量%である。
【0032】
樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネイト、マレイミド変成樹脂、ABS樹脂、AAS(アクリロニトリルーアクリルゴム・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレン)樹脂等を使用することができる。
【0033】
これらの中で、半導体封止材としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂が好ましい。それを例示すれば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とアルデヒド類のノボラック樹脂をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールSなどのグリシジルエーテル、フタル酸やダイマー酸などの多塩基酸とエポクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル酸エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、アルキル変性多官能エポキシ樹脂、β−ナフトールノボラック型エオキシ樹脂、1,6−ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、2,7−ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビスヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、更には難燃性を付与するために臭素などのハロゲンを導入したエポキシ樹脂等である。中でも、耐湿性や耐ハンダリフロー性の点からは、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格のエポキシ樹脂等が好適である。
【0034】
本発明のエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂の硬化剤、又はエポキシ樹脂の硬化剤とエポキシ樹脂の硬化促進剤を含むものである。エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、クロロフェノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール、イソプロピルフェノール、オクチルフェノール等の群から選ばれた1種又は2種以上の混合物をホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド又はパラキシレンとともに酸化触媒下で反応させて得られるノボラック型樹脂、ポリパラヒドロキシスチレン樹脂、ビスフェノールAやビスフェノールS等のビスフェノール化合物、ピロガロールやフロログルシノール等の3官能フェノール類、無水マレイン酸、無水フタル酸や無水ピロメリット酸等の酸無水物、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン等をあげることができる。エポキシ樹脂と硬化剤との反応を促進させるために、上記した例えばトリフェニルホスフィン、ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール等の硬化促進剤を使用することができる。
【0035】
本発明の樹脂組成物には、更に以下の成分を配合することができる。すなわち、低応力化剤として、シリコーンゴム、ポリサルファイドゴム、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレン系ブロックコポリマーや飽和型エラストマー等のゴム状物質、各種熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂状物質、更にはエポキシ樹脂、フェノール樹脂の一部又は全部をアミノシリコーン、エポキシシリコーン、アルコキシシリコーンなどで変性した樹脂など、シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン等の疎水性シラン化合物やメルカプトシランなど、表面処理剤として、Zrキレート、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤など、難燃助剤として、Sb、Sb、Sbなど、難燃剤として、ハロゲン化エポキシ樹脂やリン化合物など、着色剤として、カーボンブラック、酸化鉄、染料、顔料など、更には離型剤として、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド類、エステル類、パラフィンなどである。
【0036】
本発明の樹脂組成物は、上記各材料の所定量をブレンダーやヘンシェルミキサー等によりブレンドした後、加熱ロール、ニーダー、一軸又は二軸押し出し機等により混練したものを冷却後、粉砕することによって製造することができる。
【0037】
本発明の半導体封止材は、樹脂組成物がエポキシ樹脂を含有してなるものが好ましい。本発明の半導体封止材を用いて半導体を封止するには、トランスファーモールド法、真空印刷モールド法等の常套の成形手段が採用される。
【実施例】
【0038】
〔実施例1〕
粒子の速度が50m/秒となるバーナーの原料分散板を粒子径0.5μmのタングステンカーバイド原料90質量%をCo10質量%と配合して焼結させた成形体で作製した。原料シリカ粉末(平均粒子径20μm、45μm以上の着磁性異物量603個/50g(表1中の「原料粉末」として示す)を使用し、球状シリカ粉末の製造を行い、捕集回収粉末の45μm以上着磁性異物量(表1中の「捕集回収粉末」として示す)を測定し、製造工程における増加量(表1中の「増加量」として示す)を求めた。
〔実施例2〕
粒子の速度が60m/秒となるバーナーの原料分散板を粒子径1μmのタングステンカーバイド原料90質量%をCo10質量%と配合して焼結させた成形体で作製した。原料シリカ粉末(平均粒子径5μm、45μm以上の着磁性異物量833個/50g)を使用し、球状シリカ粉末の製造を行い、捕集回収粉末の45μm以上着磁性異物量を測定し、製造工程における増加量を求めた。
〔実施例3〕
粒子の速度が40m/秒となるバーナーの原料分散板を粒子径1μmのタングステンカーバイド原料90質量%をCo10質量%と配合して焼結させた成形体で作製した。原料シリカ粉末(平均粒子径47μm、45μm以上の着磁性異物量489個/50g)を使用し、球状シリカ粉末の製造を行い、捕集回収粉末の45μm以上着磁性異物量を測定し、製造工程における増加量を求めた。
表1の実施例1〜3が示すように、45μm以上の着磁性異物の製造工程における増加量は10個/50g以下に抑えられた。
〔実施例4〜7〕
粒子の速度が50m/秒となるバーナーの原料分散板を粒子径0.5μmのタングステンカーバイド原料80〜95質量%をCo20〜5質量%と配合して焼結させた成形体で作製した。原料シリカ粉末(平均粒子径20μm)を使用し、球状シリカ粉末の製造を行い、捕集回収粉末の45μm以上着磁性異物量を測定し、製造工程における増加量を求めた。
表1の実施例4〜7が示すように、45μm以上の着磁性異物の製造工程における増加量は10個/50g以下に抑えられた。
【0039】
〔比較例1〕
粒子の速度が30m/秒となるバーナーの原料分散板を粒子径2μmのタングステンカーバイド原料90質量%をCo10質量%と配合して焼結させた成形体で作製した。原料シリカ粉末(平均粒子径62μm、45μm以上の着磁性異物量325個/50g)を使用し、球状シリカ粉末の製造を行い、捕集回収粉末の45μm以上着磁性異物量を測定し、製造工程における増加量を求めた
〔比較例2、3〕
粒子の速度が50m/秒となるバーナーの原料分散板を粒子径3μmのタングステンカーバイド原料90質量%をCo10質量%と配合して焼結させた成形体(比較例2)またはSUS(比較例3)で作製した。表1の平均粒子径と45μm以上の着磁性異物量を有する原料シリカ粉末を使用し、球状シリカ粉末の製造を行い、捕集回収粉末の45μm以上着磁性異物量を測定し、製造工程における増加量を求めた。
表1の比較例1〜3が示すように、45μm以上の着磁性異物の製造工程における増加量は10個/50gを大きく超えるものとなった。
【0040】
〔実施例8〕
粒子の速度が50m/秒であるバーナーの原料分散板を粒子径0.5μmのタングステンカーバイド原料90質量%をCo10質量%して焼結させた成形体で作製し、更に粒子の速度が30m/秒となる空気輸送配管の内側をアルミナ純度が99%であるアルミナ成形体でライニングし、実施例1と同様に球状シリカ粉末を製造した。その結果を表2に示す。
〔実施例9〕
粒子の速度が50m/秒であるバーナーの原料分散板を粒子径0.5μmのタングステンカーバイド原料90質量%をCo10質量%して焼結させた成形体で作製し、更に粒子の速度が30m/秒となる空気輸送配管にSUSを用い、実施例1と同様に球状シリカ粉末を製造した。その結果を表2に示す。
表2の実施例4,5が示すように、45μm以上の着磁性異物の製造工程における増加量は実施例1〜3より、更に少なくなった。
【0041】
〔比較例4〕
粒子の速度が50m/秒であるバーナーの原料分散板を粒子径3μmのタングステンカーバイド原料96質量%をCo4質量%させた成形体で作製し、更に粒子の速度が30m/秒となる空気輸送配管にSUSを用いた以外は比較例2と同様に球状シリカ粉末を製造した。その結果を表2に示す。
〔比較例5〕
粒子の速度が50m/秒であるバーナーの原料分散板をSUSで作製した。更に粒子の速度が30m/秒となる空気輸送配管にSUSを用いた以外は比較例3と同様に球状シリカ粉末を製造した。その結果を表2に示す。
表2の比較例4,5が示すように、45μm以上の着磁性異物の製造工程における増加量は10個/50gを大きく超えるものとなった。
【0042】
〔実施例10〜16〕
粒子の速度が50m/秒であるバーナーの原料分散板を粒子径0.5μmのタングステンカーバイド原料90質量%をCo10質量%して焼結させた成形体で作製し、粒子の速度が30m/秒である空気輸送配管の内側をアルミナ純度が99%であるアルミナ成形体でライニングした。更に粒子の速度が10m/分の低流速であるロータリーバルブの回転部とケーシング部を表3のタングステンカーバイド、Ni、Cr、及びCの組成(質量%)を有する溶射材で構成し、実施例1と同様に球状シリカ粉末を製造した。その結果を表3に示す。
表3の実施例10〜16が示すように、45μm以上の着磁性異物の製造工程における増加量は実施例8,9より、更に少なくなった。
【0043】
〔実施例17〜28〕
配管材質は実施例11と同様に構成し、原料粉末と捕集回収粉末(スラリー処理も含め)に対し、表4〜6に示す条件で着磁性異物除去処理を実施した。処理後に得られた粉末の45μm以上着磁性異物量(表4〜6中の「最終粉末」として示す)を測定した。表4〜6に示す実施例17,18,20,21,25,27の最終粉末に含有される45μm以上の着磁性異物量は、10個/50g以下に抑えられた。
【0044】
〔実施例29、30〕
ニッチツ社製「F2075」(平均粒子径20μm)を原料粉末とし、磁束密度が8000ガウスの磁石が組み込まれた磁選機に600kg/hrの速度で原料粉末を通過させ着磁異物を除去した。粒子の速度が50m/秒であるバーナーの原料分散板を粒子径0.5μmのタングステンカーバイド原料90質量%をCo10質量%して焼結させたタングステンカーバイド成形体で作製し、粒子の速度が30m/秒である空気輸送配管にアルミナ成形体を内張りし、更に粒子の速度が10m/分の低流速であるロータリーバルブの回転部をタングステンカーバイド35%、Ni45%、Cr15%、C5%組成からなる溶射材、ケーシング部をタングステンカーバイド88%、Co12%組成からなる溶射材で構成した製造設備で、着磁石異物を除去した原料粉末を使用し、球状シリカの製造を行った。得られた捕集・回収粉末を再度、磁束密度が8000ガウスの磁石が組み込まれた磁選機に600kg/hrの速度で捕集・回収粉末を通過させ着磁異物を除去した。更に、10vol%エタノールを溶媒とし、固形濃度25質量%、比重1.29となるスラリーを作製し、磁束密度が12000ガウスの磁石が組み込まれた磁選機にスラリーを300L/H・mの磁選面流量で通過させ着磁異物の最終除去処理を実施した後、乾燥させ球状シリカ粉末を製造した。なお、溶融は、LPG60Nm/hr、O 320Nm/hr、旋回空気150Nm/hrの条件で固定し、実施例21では溶融工程の原料粉末のフィード量を300kg/hr、実施例22では200kg/hrとした。この製造方法によって得られた球状シリカ粉末の45μm以上の着磁性異物量、球形度を表7に示す。このシリカ粉末を用い2種類の半導体封止材を作製し、流動性(スパイラルフロー)と電気ショート発生率を評価した。球形度は大きいほど流動性が大きくなり、45μm以上の着磁性異物が10個/50g以下である球状シリカ粉末は、電気ショート発生率が極めて低い結果となった。
【0045】
〔比較例6〕
溶融工程の原料粉末フィード量を400kg/hrとした以外は実施例21と同様に球状シリカ粉末を製造した。
【0046】
〔比較例7〕
バーナーの原料分散板、空気輸送管、ロータリーバルブの材質をSUSとした以外は実施例21と同様に球状シリカ粉末を製造した。

【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
【表5】

【0052】
【表6】

【0053】
【表7】



【0054】
〔45μm以上着磁性異物量の測定方法〕
脱イオン水800mlに試料50gを入れ、ポリテトラフルオロエチレン製撹拌棒でかき混ぜながら、3分間の超音波分散を行い、スラリーを作製した。磁束密度が10000ガウスである棒磁石に、袋状のゴム製被膜(ラテックス(天然ゴム)、長さ180mm、直径25mm)を密着被覆させた。被覆棒磁石をスラリー中に挿入し、25℃で回転数550rpm、1分間スラリーを攪拌した。なお、攪拌は、5秒毎に回転方向が逆になるように行った。被覆棒磁石をスラリーから抜き出し、脱イオン水の入った別のビーカーに5秒間浸した後、脱イオン水が400ml入った別のビーカー上方で、ゴム製被膜と棒磁石との間に脱イオン水を注入し、棒磁石を抜き取った。ゴム製被膜の表面を脱イオン水で洗浄し、ゴム製被膜から着磁性異物を脱離させた。この回収液を超音波分散させた後、直径25mmのナイロンフィルター(目開き35μm)を装着した吸引ろ過装置でろ過し、そのナイロンフィルター上に着磁性異物を収集した。得られたナイロンフィルターを、マイクロスコープ(Hirox製KH−3000モデル)にセットし、100倍の倍率にてフィルター全領域を移動させながら、ナイロンフィルター上に収集された着磁性粒子の個数を計測した。
【0055】
〔スパイラルフロー測定用半導体封止材の製造方法〕
球状シリカ粉末86.5部(質量部、以下同じ)に対し、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂6.7部、フェノール樹脂5.5部、トリフェニルホスフィン0.3部、エポキシシラン0.6部、カーボンブラック0.1部、カルナバワックス0.3部を加え、ヘンシェルミキサーにてドライブレンドした後、同方向噛み合い二軸押出混練機(スクリュー径D=25mm、ニーディングディスク長10Dmm、パドル回転数90〜110rpm、吐出量3.0kg/Hr、混練物温度100±1℃)で加熱混練した。混練物(吐出物)をプレス機にてプレスして冷却した後、粉砕して半導体封止材を製造した。
【0056】
〔スパイラルフロー測定方法〕
EMMI−I−66(Epoxy Molding Material Institute; Instite; Society of Plastic Industry)に準拠したスパイラルフロー測定用金型を取り付けたトランスファー成形機を用い、半導体封止材のスパイラルフロー値を測定した。トランスファー成形条件は、金型温度175℃、成形圧力7.4MPa、保圧時間120秒とした。
【0057】
〔電気ショート発生率評価用半導体封止材の製造方法〕
球状シリカ粉末60.0部(質量部、以下に同じ)ビスフェノールA型エポキシ樹脂17.2部、酸無水物型硬化物20.5部、潜在性硬化剤1.7部、カーボンブラック0.6部を自転公転式攪拌機で混合・分散した。
【0058】
〔電気ショート発生率評価方法〕
プリント回路基板上にIC(1.5mm[X方向]×1.5mm[Y方向]×0.5mm[Z方向])を搭載し、直径15μmの金線を40μmのピッチで基板と配線接続し、上記半導体封止材20mgを塗布、硬化させた後、各配線の抵抗を測定し、電気ショートの発生有無を評価した。このようなパッケージを2000個作製し、電気ショートが1カ所以上発生したパッケージ数を計測した。
【0059】
表1から表5の実施例と比較例の対比から明らかなように、本発明の球状金属酸化物粉末の製造方法により、球状金属酸化物粉末中の着磁性異物を低減することができる。着磁性異物を低減した球状金属酸化物粉末を用いることにより、成形時の流動性に富み、かつ電気的なショートの発生の極めて少ない半導体封止材を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のシリカ質粉末は、自動車、携帯電子機器、パソコン、家庭電化製品等に使用される半導体封止材、半導体が搭載される積層板、更にはパテ、シーリング材、各種ゴム、各種エンジニアプラスチックスなどの充填材として使用される。また、本発明の樹脂組成物は、半導体封止材の他に、ガラス織布、ガラス不織布、その他有機基材に含浸硬化させてなる例えばプリント基板用のプリプレグや、各種エンジニアプラスチックス等として使用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物粉末及び金属水酸化物粉末の少なくとも一方からなる原料粉末を炉内に形成された火炎中に噴射して熱処理をし、それを炉に直結された捕集装置で回収する球状金属酸化物粉末の製造工程において、平均粒子径50μm以下の粒子が40m/秒以上の速度で通過する部分の材質を、粒子径1.0μm以下のタングステンカーバイド原料とCoを焼結させた成形体で構成し、原料供給から捕集・回収に至る製造工程において45μm以上の着磁性異物の増加量を10個/50g以下にすることを特徴とする球状金属酸化物粉末の製造方法。
【請求項2】
平均粒子径50μm以下の粒子が40m/秒以下の速度で通過する部分の材質をアルミナ成形体で構成することを特徴とする請求項1に記載の球状金属酸化物粉末の製造方法。
【請求項3】
平均粒子径50μm以下の粒子が15m/分以下の速度で通過する部分の材質を、回転部は、タングステンカーバイド30〜40質量%にNi,Co,Cの合計量を60〜70質量%、を加えたモース硬度8以上の溶射材であり、ケーシングはタングステンカーバイド85%以上、Co10%以上の組成からなり、モース硬度が9.5以上である溶射材であることを特徴とする請求項1又は 2に記載の球状金属酸化物粉末の製造方法。
【請求項4】
原料粉末をキャリアガスに同伴させ、磁束密度4000ガウス以上の磁石が組み込まれた磁選機に、50〜800kg/hrで通過させ、捕集回収した球状粉末をキャリアガスに同伴させ、磁束密度4000ガウス以上の磁石が組み込まれた磁選機に、50〜800kg/hrで通過させた後、媒体が水、アルコール又はこれらの混合物であり、固形分濃度が5〜50質量%、比重が1.05〜1.42であるスラリーを調製し、これを磁束密度が4000ガウス以上の磁石が組み込まれた磁選機に磁選面流量160〜330L/H・mで通過させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の球状金属酸化物粉末の製造方法。
【請求項5】
球状金属酸化物粉末が球状シリカ粉末であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の球状金属酸化物粉末の製造方法。
【請求項6】
請求項4に記載の製造方法で得られた平均粒子径が5〜30μm、球形度が0.80以上、45μm以上の着磁性異物が10個/50g以下であることを特徴とする球状金属酸化物粉末。
【請求項7】
球状金属酸化物粉末が球状シリカ粉末であることを特徴とする請求項6に記載の球状金属酸化物粉末。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の球状金属酸化物粉末を樹脂に含有させてなる樹脂組成物。
【請求項9】
樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の樹脂組成物を用いた半導体封止材。


【公開番号】特開2009−280473(P2009−280473A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136981(P2008−136981)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】