説明

着色剤を含む骨形成組成物

骨形成組成物は、皮下の標的組織部位、または、その付近における移植のために提供され、骨形成組成物は、着色剤が成長因子に色を与え、使用者に標的組織部位またはその付近における成長因子を見ることを可能にする、成長因子および着色剤を含む。いくつかの態様において、骨修復を促進するために、方法が提供され、方法は、骨形成因子-2、および、混合物を形成する着色剤の混合;着色剤が使用者に多孔質コラーゲンマトリックス上または内部の骨形成因子-2の分布を見ることを可能にする、多孔質コラーゲンマトリックスの表面への混合物の適用;および、骨修復が必要である標的組織部位またはその付近への多孔質コラーゲンマトリックスの移植を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
骨は、不純なヒドロキシアパタイト、コラーゲン、およびさまざまな非コラーゲンタンパク質、および、埋め込まれた(embedded)細胞および接着細胞から構成される、複合物質である。疾患、先天的欠陥、または事故が原因で、ヒトは、そのヒトの体内の、1つまたはそれ以上の骨または軟骨領域の一部またはすべてを、失うか、または喪失し、および/または、骨および/または軟骨の不適切な成長または形成を有する可能性がある。
【0002】
哺乳動物の骨組織は、成長および自然な骨折治癒の期間に活性をもつ、1つまたはそれ以上のタンパク性の物質を含むことが知られている。これらの物質は、骨形成が結果として生じる、細胞的事象の発生学的なカスケード(developmental cascade)を誘導することができる。典型的に、骨形成の発生学的なカスケードは間葉細胞の走化性、前駆細胞の増殖、軟骨の分化、血管浸潤、骨形成、再形成、および骨髄分化に関与する。
【0003】
骨が損傷を受けた際、特に、損傷が複雑であり、患者に重大な危険を及ぼし、および/または、適切に治療できない場合に、損傷した骨を修復するために、しばしば骨移植手術が行われる。骨移植はまた、椎骨間固定の補助、変形の矯正、または、脊椎の骨折への構造的支持体の提供にも用いられる。骨折の治療に加えて、骨移植はまた、先天性欠損症、外傷、または骨がんの手術によって引き起こされる骨の欠陥の治療にも用いられる。
【0004】
骨移植が欠陥の修復を補助することができる、少なくとも3つの方法がある。1番目は、移植片内における新しい骨の形成であり、骨形成と呼ばれる。2番目は移植片内に含まれる分子(例えば、骨形成因子)が、患者の細胞を骨形成が可能な細胞へと変換させる過程である、骨誘導である。3番目はしばしば移植材料を含むマトリックスが、レシピエントの骨および細胞がその上で新しい骨を形成することができる足場として働く、物理的作用である骨伝導である。
【0005】
移植用の骨の源は、自家移植と呼ばれる、患者自身の体内の骨(例えば、股関節、頭蓋骨、肋骨など)より入手することができるか、または、同種移植と呼ばれる、組織バンクに凍結および保存さている他人から取られた骨より入手することができる。骨の源は、異なる種の動物から得ることも可能であり、異種移植と呼ばれる。
【0006】
いくつかの移植手術では、骨と共に、または骨の代わりに、様々な天然および合成マトリックスを使用する(例えば、コラーゲン、シリコーン、アクリル、ヒドロキシアパタイト、硫酸カルシウム、セラミックなど)。骨の欠損部にマトリックスを配置するため、外科医は骨の欠損部の上の皮膚を切開し、そして、欠損部に適合するようにマトリックスを成形する。当業者に既知の通り、成長因子(例えば、骨形成因子-2)を、患者の体において新しい骨および/または軟骨の形成が始まることを促進させるために、マトリックス上に配置することができる。これらの成長因子は、触媒によく似た働きをして、必要な細胞(限定するものではないが、間葉幹細胞、骨芽細胞、および破骨細胞を含む)にマトリックスへのより迅速な浸潤を促し、それが最終的に細胞を介する過程を経て吸収され、そして、新たに形成された骨が骨欠損部、またはその付近に沈着する。この様式において、重度の骨折を治療することが可能であり、そして、椎骨は首尾よく固定される。
【0007】
外科医が骨欠損部にマトリックスを置くためにそれを扱う際に時々、過剰量の成長因子(例えば、骨形成因子)がマトリックスから漏れることがあり、それは、新たな骨および/または軟骨の成長のための安定した微小環境を減少させる可能性がある。それはまた、マトリックスが標的部位において骨および/または軟骨の成長を最大限に促進する時間にわたって、その完全な有効性を保持することができないようにする可能性もある。つまり、骨および/または軟骨修復を改善する、新たな骨形成組成物および方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
骨および/または軟骨の修復を改善する、組成物および方法を提供する。これらの骨形成組成物の使用により、骨、軟骨、および/または関連組織の成長が促進され得る。いくつかの態様において、骨形成組成物は、使用者(例えば、医師、看護師、助手など)が、明白に識別できる色(例えば、緑、青など)で見ることを可能にし、そのため、使用者は、成長因子の適用を見ることができる。いくつかの態様において、骨形成組成物は、組成物と対照的な(例えば、白またはベージュのマトリックス上に緑または青の組成物)色であるマトリックスに適用され、そのため、使用者は、マトリックス上の成長因子の適用の一貫性を見ることができるか、あるいは、マトリックスからの成長因子の望まれない漏出を見ることができる。この方法によって、マトリックスは、標的部位において骨成長を促進している時間にわたって、その有効性を維持することができる。
【0009】
いくつかの態様において、骨形成組成物は、皮下の標的組織部位、または、その付近の移植のために提供され、骨形成組成物は、成長因子および着色剤を含み、着色剤は成長因子に色を与えることにより、使用者が標的組織部位またはその付近において成長因子を移植することを可能にする。
【0010】
いくつかの態様において、骨形成組成物は、皮下の標的組織部位、またはその付近での移植のために提供され、骨形成組成物は、成長因子、着色剤、および、多孔質のコラーゲン表面を含む生分解性マトリックスを含み、着色剤と成長因子を混合する際、着色剤は成長因子に色を与え、使用者が多孔質のコラーゲン表面上または内部の成長因子の分布を見ることを可能にする。
【0011】
いくつかの態様において、骨修復が必要である患者において、前記治療を促進させるための方法が提供され、この方法は、着色剤が混合物に色を与える、骨形成因子-2および着色剤を混合して混合物を形成する工程;着色剤が使用者に多孔質コラーゲンマトリックス上または内部の骨形成因子-2の分布を見ることを可能にする、多孔質コラーゲンマトリックスの表面へ混合物を適用する工程;および、骨修復が必要である標的組織部位またはその付近における多孔質コラーゲンマトリックスを移植する工程;を含む。
【0012】
様々な態様の付加的な特徴および利点は、以下の記述において一部分は明記され、そして、一部分は記述より明らかになるか、または、様々な態様に実施によって学ばれるであろう。様々な態様の目的およびその他の利点は、記述および添付の請求項において特に指摘される要素および組み合わせによって、理解され、そして達成されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
本明細書および添付の請求項の目的に関して、別に示されない限り、明細書および請求項で使用される、構成成分の量、物質のパーセンテージまたは比率、反応条件、およびその他の数値を表すすべての数は、すべての例において“約”という言葉によって修飾されるものとして理解される。したがって、逆に示されない限り、以下の明細書および添付の請求項において説明する数値パラメーターは、本出願によって得られることが求められる望ましい特性に依存して変化することができる近似値である。最低限でも、そして、請求の範囲に対する均等論の適用を制限する意図としてではなく、各数値パラメーターは、少なくとも、報告される有効数字を考慮し、そして、通常の丸めの技術を適用することにより、解釈されるべきである。
【0014】
広い発明の範囲を説明する数値の範囲およびパラメータは近似値であることにかかわらず、数値は可能な限り正確なものである。しかしながら、いずれの数値も、本質的に、それぞれの試験的測定において見出される標準偏差から必然的に生じる結果である、ある程度の誤差を含む。さらに、本明細書中に開示されるすべての範囲は、そこに含まれるあらゆる部分的範囲を含むと理解されるべきである。例えば、“1〜10”の範囲は、最小値1と最大値10の間(およびそれを含む)の、あらゆる部分的範囲、つまり、1と等しいまたは1より大きい最小値、および、10と等しいまたは10より小さい最大値を有する、あらゆる部分的範囲、例えば5.5〜10、を含む。
【0015】
加えて、他に定義されない、あるいは、文脈から明らかでない限り、本明細書中で使用される、すべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味をもつ。
【0016】
明確に述べられない、あるいは、文脈から明らかでない限り、以下の用語または表現は、以下に提供される定義を有する:
定義
本明細書および添付の請求項において使用される場合、単数形“a”、“an”および“the”は、特にかつ明白に1つの指示対象に限定されない限り、複数形の指示対象を含むことを意味する。つまり、例えば、“a matrix”という表示は、1、2、3またはそれ以上の数のマトリックスを含む。
【0017】
“生分解性”という用語には、マトリックスのすべてまたは一部分が、酵素の作用によって、加水分解作用によって、および/または人体内のその他の同様の機構によって、時間をかけて分解するであろうことが含まれる。様々な態様において、“生分解性”には、マトリックス(例えば、微小粒子、ミクロスフェアなど)が、治療薬が放出される、あるいは、放出されている間にまたはその後に、体内において、毒性のない成分へと、破壊する、または分解することができることが含まれる。“生体内分解性”は、マトリックスが、少なくとも部分的には、周囲の組織、液体中に見出される物質との接触によって、あるいは、細胞の作用によって、時間をかけて徐々に破壊する、または分解するであろうことを意味する。“生体吸収性”または“生体再吸収性”とは、骨形成組成物が、人体内で、例えば細胞または組織によって、破壊および吸収されるであろうことを意味する。“生体適合性”とは、マトリックスが、標的組織部位において、重大な組織炎症または壊死を引き起こさないであろうことを意味する。
【0018】
“哺乳動物”という用語は、ヒトには限られず、チンパンジー、類人猿、オランウータンおよびサルといったその他の霊長類、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウシ、ウマなどを、限定しないが含む、分類学の“哺乳類”分類の生物を言う。
【0019】
“標的組織部位”という用語は、治療される組織の位置を意味することが意図される。典型的には、マトリックスの配置部位は最適な標的化薬物送達を提供する標的部位と同じであるだろう。しかしながら、本出願は、標的部位またはその付近における配置部位においてマトリックスを配置することができ、それにより治療薬を周囲の血管系に送達することができ、薬物を望ましい付近の標的部位に運搬すること、も意図する。本明細書中で使用される場合、“(場所)でまたはその付近で(at or near)”という用語は、配置部位および標的部位が、近接している態様を含む。
【0020】
“治療的有効量”または“有効量”は、投与された際に、例えば、骨、軟骨、および/またはその他の組織(例えば、血管組織)の成長の促進、炎症の阻害、痛みの軽減または緩和、免疫学的応答の阻害を介する状態の改善などの、生物学的活性の変化を、薬物が結果としてもたらすものである。患者に投与される用量は、薬物の投与薬物速度論的特性、投与経路、患者の状態および特性(性別、年齢、体重、健康状態、サイズなど)、症状の程度、併用療法、治療の頻度、および望ましい効果を含む、様々な因子に応じて、単回または複数回投与であることができる。いくつかの態様において、製剤は即放性用に設計される。その他の態様において、製剤は徐放性用に設計される。その他の態様において、製剤は、1つまたはそれ以上の即放性表面および1つまたはそれ以上の徐放性表面を含む。いくつかの態様において、骨形成組成物は有効量の成長因子を含む。
【0021】
“即放性”という表現は、体内に導入され、そして、薬物の溶解または吸収の遅延または延長を意図することなく、それが投与された位置において、溶解または吸収されることを可能にする、1つまたはそれ以上の治療薬のことを言うものとして、本明細書中で使用される。
【0022】
“徐放性(sustained release)”および“持続放出(sustain release)”(長時間放出(extended release)または制御放出(controlled release)とも言われる)という表現は、ヒトまたはその他の哺乳動物の体内に導入され、そして、規定の時間にわたって、かつ、既定の時間を通して望ましい治療効果に達するのに十分な治療レベルにおいて、持続的または継続的に絶え間なく1つまたはそれ以上の治療薬を放出する、1つまたはそれ以上の治療薬のことを言うものとして本明細書中で使用される。持続的または継続的な放出の連続という表示は、薬物ビーズ、泡、および/またはその成分のin vivoでの生分解の結果として、あるいは、(1または複数の)治療薬または治療薬の複合体の、代謝的変化または溶解の結果として起こる、放出を含むことが意図される。
【0023】
本出願の“マトリックス”は、骨および/または軟骨修復、再生、および/または増生の足場として使用される。典型的には、マトリックスは、細胞遊走における柔軟な足場として機能する、相互接続孔をもつ3-Dマトリックスを提供する。マトリックスの形態は、細胞遊走を導き、そして、細胞は、マトリックス中へ、あるいは、マトリックス上にそれぞれ移動することができる。次に細胞は、増殖し、そして、新たな組織を合成して、骨および/または軟骨を形成することができる。
【0024】
疾患または症状との関連で使用される場合、“治療する”および“治療”という用語は、疾患または症状の兆候または症候、または免疫学的応答を緩和する目的で、骨軟骨の修復手術、患者(ヒトまたはその他の哺乳動物)への1つまたはそれ以上の薬物の投与を含むことができるプロトコールを実行することを言う。緩和は、疾患あるいは症状の兆候または症候の出現の後だけでなく、出現に先だって起こり得る。つまり、治療すること、または治療には、疾患または望ましくない状態を予防することまたは予防が含まれる。加えて、治療すること、治療、予防すること、または予防は、兆候または症候の完全な緩和を必要とせず、治癒を必要とせず、そして、具体的には患者への限界効果しかもたないプロトコールが含まれる。いくつかの態様において、骨形成組成物を使用して、軟骨下のあるいは状態の、骨軟骨のあるいは状態の、硝子軟骨のあるいは状態の、および/または関節丘(condyle)の欠損部を治療することができる。
【0025】
“軟骨下”という用語には、関節軟骨(joint cartilage)の下部の領域が含まれる。“軟骨下骨”という用語には、軟骨帯のすぐ下で、かつ、手足の骨構造の大部分を形成する海綿骨または小柱骨の上の、薄いが非常に高密度の骨の層が含まれる。“骨軟骨”には、1つまたは複数の損傷が起こり得る場所である、軟骨および骨を複合した領域が含まれる。“骨軟骨の欠損部”には、軟骨および軟骨化骨の複合的損傷である損傷が含まれる。“硝子軟骨”には、細胞外コラーゲンマトリックス全体に散在する小腔内に位置する同原軟骨細胞群を含む軟骨が含まれる。“関節丘”には、骨の先端の丸い関節表面が含まれる。
【0026】
“骨形成組成物”という表現は、骨成長を促進する物質を含む組成物を言う。いくつかの態様において、本明細書中で記述される骨形成組成物を、その他の手術部位、特に骨成長が望まれる部位に送達することができる。これらは、例えば、脊椎の修復(例えば椎骨固定)頭蓋欠損、腸骨稜バックフィリング、寛骨臼欠損、脛骨プラトーの修復において、長骨欠損、脊椎部位欠損または同様のものを含む。前記方法を使用して、外傷(開放骨折および閉鎖骨折を含む)、疾患、または例えば先天的欠損によって引き起こされる、これらまたはその他の骨における、大きいまたは小さい欠損を治療することができる。
【0027】
“担体”という用語には、希釈剤、アジュバント、緩衝液、賦形剤、または組成物がそれと共に投与されることができるビヒクルが含まれる。担体は、例えば、水、および、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの、石油、動物、野菜または合成由来の油を含む油である、滅菌液が含まれてもよい。成長因子には担体が含まれてもよい。
【0028】
“賦形剤”という用語には、望ましい濃度または安定化効果を提供するために、薬剤組成物に加えられる非治療的な薬剤が含まれる。非経口製剤用の賦形剤には、例えば、油(例えば、菜種、綿実、ピーナッツ、ベニバナ、ゴマ、大豆)、脂肪酸およびその塩およびエステル(例えばオレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸)、アルコール(例えば、エタノール、ベンジルアルコール)、ポリアルコール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコール、例えばPEG 3350)、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80)、ゼラチン、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、塩(例えば、塩化ナトリウム)、コハク酸およびその塩(例えば、コハク酸ナトリウム)、アミノ酸およびその塩(例えば、アラニン、ヒスチジン、グリシン、アルギニン、リジン)、酢酸またはその塩またはエステル(例えば、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム)、クエン酸およびその塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、安息香酸およびその塩、リン酸およびその塩(例えば、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム)、乳酸およびその塩、ポリ乳酸、グルタミン酸およびその塩(例えば、グルタミン酸ナトリウム)、カルシウムおよびその塩(例えば、CaCl2、酢酸カルシウム)、フェノール、糖(例えば、グルコース、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース)、エリスリトール、アラビトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、非イオン性界面活性剤(例えば、TWEEN 20、TWEEN 80)、イオン性界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、クロロブタノール、DMSO、水酸化ナトリウム、グリセリン、m-クレゾール、イミダゾール、プロタミン、亜鉛およびその塩(例えば、硫酸亜鉛)、チメロサール、メチルパラベン、プロピルパラベン、カルボキシメチルセルロース、クロロブタノール、およびヘパリンが含まれる。成長因子には賦形剤が含まれてもよい。
【0029】
“凍結乾燥された”または“フリーズドライ”という用語には、少なくとも50%の水分が取り除かれる、凍結乾燥などの乾燥工程を受けた物質の状態が含まれる。成長因子は、凍結乾燥される、またはフリーズドライにされることができる。
【0030】
“保存料”には、製剤中の細菌またはその他の汚染微生物の生育を遅らせる、または排除するために、製剤に一般的に添加される、静菌性、殺菌性、静真菌性、または殺真菌性の化合物が含まれる。保存料には、例えば、ベンジルアルコール、フェノール、塩化ベンザルコニウム、m-クレゾール、チメロソール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、および同様の物が含まれる。薬学的に許容可能な保存料のその他の例は、USP中に見出されることができる。成長因子は、保存料を有するか、または、保存料なしである可能性がある。
【0031】
発明の特定の態様の詳細について、以下に言及がなされるであろう。本発明は、説明される態様とともに記述されるが、それらが、発明をそれらの態様に限定することを意図しないことは理解されるであろう。反対に、本発明は、添付の請求項によって定義される発明内に含まれ得る、すべての選択肢、修正、および同等のものを含めることを意図する。
【0032】
骨および/また軟骨修復を改善する、組成物および方法が提供される。これらの骨形成組成物の使用により、骨、軟骨および/または関連組織の成長が促進され得る。いくつかの態様において、骨形成組成物は、使用者(例えば、医師、看護師、助手など)が、明白に識別できる色(例えば、緑、青など)で見ることを可能にし、それにより使用者は、成長因子の適用を見ることができる。いくつかの態様において、骨形成組成物は、組成物と対照的な色であるマトリックスに適用され(例えば、白またはベージュのマトリックス上に緑または青の組成物)、それにより使用者は、マトリックス上の成長因子の適用の一貫性を見ることができるか、あるいは、マトリックスからの成長因子の望まれない漏出を見ることができる。この方法によって、マトリックスは、標的部位において骨成長を促進している時間にわたって、その有効性を維持することができる。
【0033】
以下の表題は、いかなる方法においても開示を限定することを意味しない;どの1つの表題のもとの態様も、その他のいずれの表題のもとの態様と共に使用されることができる。
【0034】
マトリックス
マトリックスは、in vivoで、三次元の組織形成の過程を導く、細胞への組織足場を提供する。マトリックスの形態は、細胞遊走を導き、そして、細胞は、足場の中へ、あるいは、上に移動することができる。次に細胞は、増殖し、そして新たな組織を合成して、骨および/または軟骨を形成することができる。いくつかの態様において、1つまたはそれ以上の組織マトリックスは、お互いに積み重なっている。
【0035】
いくつかの態様において、マトリックスは多数の孔を含む。いくつかの態様において、少なくとも10%の孔が、その最も広い部分において約10マイクロメーターと約500マイクロメーターの間である。いくつかの態様において、少なくとも20%の孔が、その最も広い部分において約50マイクロメーターと約150マイクロメーターの間である。いくつかの態様において、少なくとも30%の孔が、その最も広い部分において約30マイクロメーターと約70マイクロメーターの間である。いくつかの態様において、少なくとも50%の孔が、その最も広い部分において約10マイクロメーターと約500マイクロメーターの間である。いくつかの態様において、少なくとも90%の孔が、その最も広い部分において約50マイクロメーターと約150マイクロメーターの間である。いくつかの態様において、少なくとも95%の孔が、その最も広い部分において約100マイクロメーターと約250マイクロメーターの間である。いくつかの態様において、100%の孔が、その最も広い部分において約10マイクロメーターと約300マイクロメーターの間である。
【0036】
いくつかの態様において、マトリックスは少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約90%の多孔率を有する。孔は細胞の内部成長、骨、軟骨および/または血管組織の形成またはリモデリングを補助することができる。
【0037】
マトリックスは、天然および/または合成の物質を含むことができる。例えば、組織足場は、ポリ(アルファ-ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PG)、ポリ(アルファ-ヒドロキシ酸)のポリエチレングリコール(PEG)複合体、ポリオルトエステル(POE)、ポリアスピリン、ポリホスファゼン(polyphosphagenes)、コラーゲン、加水分解コラーゲン、ゼラチン、加水分解ゼラチン、加水分解ゼラチンの画分、エラスチン、デンプン、アルファ化デンプン(pre-gelatinized starch)、ヒアルロン酸、キトサン、アルギン酸塩、アルブミン、フィブリン、酢酸アルファトコフェロール、コハク酸d-アルファトコフェロールなどのビタミンEアナログ、D,L-ラクチドまたはL-ラクチド、-カプロラクトン、デキストラン、ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA-g-PLGA、PEGT-PBT共重合体(polyactive)、メタクリレート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、PEO-PPO-PEO(プルロニック)、PEO-PPO-PAA共重合体、PLGA-PEO-PLGA、PEG-PLG、PLA-PLGA、ポロキサマー407、PEG-PLGA-PEGトリブロッグ共重合体、SAIB(ショ糖酢酸イソ酪酸エステル)、ポリジオキサノン、メタクリル酸メチル(MMA)、MMAおよびN-ビニルピロリドン、ポリアミド、酸化セルロース、グリコール酸およびトリメチレンカーボネートの共重合体、ポリエステルアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン、ヒアルロン酸、キトサン、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0038】
いくつかの態様において、マトリックスは吸収性セラミック(例えば、ヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、バイオガラス、硫酸カルシウムなど)、チロシン--アミノ酸--を介するペンダント基がエチルエステル(DTE)または遊離カルボン酸塩(DT)またはそれらの組み合わせである、チロシン由来ポリカーボネート、ポリ(DTE-コ-DTカーボネート)を含み得る。
【0039】
いくつかの態様において、マトリックスはコラーゲンを含む。例となるコラーゲンには、ヒトまたは非ヒト(ウシ、ヒツジ、および/またはブタ)のコラーゲン、および、組換えコラーゲン、またはこれらの組み合わせが含まれる。適切なコラーゲンの例には、限定するものではないが、ヒトI型コラーゲン、ヒトII型コラーゲン、ヒトIII型コラーゲン、ヒトIV型コラーゲン、ヒトV型コラーゲン、ヒトVI型コラーゲン、ヒトVII型コラーゲン、ヒトVIII型コラーゲン、ヒトIX型コラーゲン、ヒトX型コラーゲン、ヒトXI型コラーゲン、ヒトXII型コラーゲン、ヒトXIII型コラーゲン、ヒトXIV型コラーゲン、ヒトXV型コラーゲン、ヒトXVI型コラーゲン、ヒトXVII型コラーゲン、ヒトXVIII型コラーゲン、ヒトXIX型コラーゲン、ヒトXXI型コラーゲン、ヒトXXII型コラーゲン、ヒトXXIII型コラーゲン、ヒトXXIV型コラーゲン、ヒトXXV型コラーゲン、ヒトXXVI型コラーゲン、ヒトXXVII型コラーゲン、およびヒトXXVIII型コラーゲン、またはこれらの組み合わせが含まれる。コラーゲンはさらに、上に列挙されたコラーゲン型のいずれかのヘテロ-およびホモ-三量体を含み得る。いくつかの態様において、コラーゲンは、ヒトI型コラーゲン、ヒトII型コラーゲン、ヒトIII型コラーゲンのヘテロ-およびホモ-三量体、またはこれらの組み合わせが含まれる。
【0040】
いくつかの態様において、マトリックスは移植市場由来のコラーゲン含有生体材料を含み、それは、骨欠損部において配置された際、その周りに患者の新しい骨が成長するであろう足場を提供し、標的部位の治癒につれて、徐々に担体マトリックスに取って代わる。適切な担体マトリックスの例には、限定するものではないが、テネシー州MemphisのMedtronic Sofamor Danek, Inc.によって生産されるMasterGraft(登録商標)Matrix;テネシー州MemphisのMedtronic Sofamor Danek, Inc.により製造されるMasterGraft(登録商標)Putty;ニュージャージー州PlainsboroのIntegra LifeSciences Corporationにより製造される吸収性コラーゲンスポンジ(“ACS”);ヒドロキシアパタイトで覆われたウシ皮膚コラーゲン線維、例えば、米国Johnson & Johnsonにより販売されるHealos(登録商標);コラーゲンスポンジ、例えば、フランスColetica S Aにより販売されるHemostagene(登録商標)、または例えば、米国Integra Life Sciences Inc.より販売されるHelisat(登録商標);および、インディアナ州WarsawのZimmer Holdings, Inc.により製造されるCollagraft(登録商標)Bone Graft Matrixが含まれ得る。
【0041】
いくつかの態様において、マトリックスは骨由来物質の粒子を含み得る。骨由来物質には、1つまたはそれ以上の非脱塩骨粒子、脱塩骨粒子、軽度に脱塩された骨粒子、および/または有機物除去された(deorganified)骨粒子が含まれ得る。
【0042】
いくつかの態様において、マトリックスは、例えば、皮質骨、自家移植骨、同種移植骨、および/または異種移植骨などの、採取された骨細胞および/または骨組織と共に、移植される(seeded)ことができる。いくつかの態様において、マトリックスは、採取された軟骨細胞、および/または軟骨組織(例えば、自家移植、同種移植、および/または異種移植の軟骨組織)とともに移植されることができる。例えば、標的組織部位への挿入の前に、マトリックスは、移植骨組織/細胞、通常は、患者から吸引される骨組織/細胞によって、容量において約3:1、2:1、1:1、1:3、または1:2の割合で、湿らされることができる。骨組織/細胞は、提供されるマトリックスに浸すことができ、そして、マトリックスは手または機械によって混ぜ合わせられることができ、それによって、成形しやすい堅さを得て、結果として欠損部に詰められることができる。いくつかの態様において、マトリックスは、移植部位において正確な配置および保持を可能にする、柔軟で水に溶解しない担体を提供する。
【0043】
マトリックスは、無機セラミックおよび/または骨代用物質などの無機物質を含むことができる。例となる無機物質または骨代用物質には、限定するものではないが、アラゴナイト、ダーライト(dahlite)、カルサイト、非晶質炭酸カルシウム、バテライト、ウェデライト(weddellite)、フーウェル石、スツルバイト、尿酸塩、フェリハイドライト(ferrihydrate)、フランコライト、モノハイドロカルサイト、磁鉄鉱、針鉄鉱、象牙質、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リンケイ酸カルシウム(calcium phosphosilicate)、リン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、アルファ-リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、β-リン酸三カルシウム、リン酸テトラカルシウム、非晶質リン酸カルシウム、リン酸オクタカルシウム、BIOGLASSTM、フルオロアパタイト、塩素燐灰石、マグネシウム置換リン酸三カルシウム、炭酸ヒドロキシアパタイト、ヒドロキシアパタイトの置換体(例えば、骨由来ヒドロキシアパタイトは、フッ素、塩素、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどのその他のイオンで置換されることができる)、またはこれらの組み合わせまたは誘導体が含まれる。
【0044】
いくつかの態様において、組織は、マトリックスの移植後、約1カ月から約6カ月以内に、少なくとも約50%の程度でマトリックスに浸潤するであろう。いくつかの態様において、マトリックスの約75%が、マトリックスの移植後、約2〜3ヶ月以内に組織によって浸潤されるであろう。いくつかの態様において、マトリックスは、十分に、例えば約90%またはそれ以上が、マトリックスの移植後、約6カ月以内に、組織によって浸潤される、または覆われるであろう。いくつかの態様において、マトリックスは、移植後、約9〜12カ月以内に、組織によって、完全に浸潤される、または覆われるであろう。
【0045】
いくつかの態様において、マトリックスは0.25 mm〜5 mm、または約0.4 mm〜約2 mm、または0.4 mm〜約1 mmの厚さを有する。明らかに、異なる骨欠損は(例えば、骨軟骨欠陥)、異なるマトリックスの厚さを必要とする可能性がある。
【0046】
いくつかの態様において、マトリックスは、約1.6 g/cm3と約0.05 g/cm3との間の密度を有する。いくつかの態様において、マトリックスは、約1.1 g/cm3と約0.07 g/cm3との間の密度を有する。例えば密度は、約1 g/cm3より小さい、約0.7 g/cm3より小さい、約0.6 g/cm3より小さい、約0.5 g/cm3より小さい、約0.4 g/cm3より小さい、約0.3 g/cm3より小さい、約0.2 g/cm3より小さい、または約0.1 g/cm3より小さい可能性がある。
【0047】
マトリックスの形状は、それが置かれる部位に合わせることができる。例えば、それは、小片、栓、ピン、釘、円柱、ブロック、V字、シートなどの形状であることができる。
いくつかの態様において、マトリックスの直径または対角線は、1 mm〜50 mmの範囲であることができる。いくつかの態様において、マトリックスの直径または対角線は、1 mm〜30 mm、または、内視鏡用カニューレを通り抜けるために十分小さいが、骨欠損(例えば、骨軟骨欠陥)の大きさを埋めるために必要である、マトリックスの数を最小にするのに十分大きい、5 mm〜10 mmの範囲であることができる。
【0048】
いくつかの態様において、マトリックスは、注入成形、加圧成形、ブロー成形、熱成形、金型プレス(die pressing)、鋳込成形、電解加工、レーザー切断、ウォータージェット加工、電気泳動成形、粉末射出成形、砂型成形、シェル型成形、失われた組織足場の型の成形(lost tissue scaffold casting)、石こう型成形、セラミック型成形、インベストメント成形、真空成形、永久型成形(permanent-mold casting)、スラッシュ成形、圧力成形、金型成形、遠心成形、高圧成形(squeeze casting)、圧延(rolling)、鍛造、スエージング、押し出し、せん断、スピニング、粉末冶金圧縮、またはそれらの組み合わせによって、作られることができる。
【0049】
いくつかの態様において、治療薬(1つまたはそれ以上の成長因子を含む)は、マトリックス上またはマトリックス中に、手、静電噴霧、イオン噴霧または浸透(impregnating)、振動性分散(超音波処理を含む)、ノズル噴霧、圧縮空気補助噴霧(compressed-air-assisted spraying)、ブラッシング、および/または注入によって、配置されることができる。例えば、rhBMP-2などの成長因子が、マトリックス上またはマトリックス中に配置されることができる。
【0050】
いくつかの態様において、マトリックスは、無菌の物質、および/または保存料のない物質を含むことができる。
マトリックスは、例えば、腹腔鏡、関節鏡、神経内視鏡、内視鏡、直腸鏡の手術、または同様のものなどの手術において、手または機械によって移植されることができる。
【0051】
成長因子
いくつかの態様において、成長因子および/または治療薬は、マトリックス上またはマトリックス中に、手、静電噴霧、イオン噴霧または浸透(impregnating)、振動性分散(超音波処理を含む)、ノズル噴霧、圧縮空気補助噴霧(compressed-air-assisted spraying)、ブラッシング、および/または注入によって、配置されることができる。例えば、rhBMP-2などの成長因子は、生分解性マトリックスが投与される前に、医師によって、生分解性担体上または生分解性担体中に配置されることができるか、あるいは、それはあらかじめ、製造業者から入手可能であってよい。
【0052】
生分解性マトリックスは、少なくとも1つの成長因子を含み得る。これらの成長因子には、骨誘導剤(例えば、骨がなかった領域に新たな骨成長を引き起こす薬剤)および/または骨伝導剤(例えば、マトリックス内に、および/またはマトリックスを介して、細胞の内部成長を引き起こす薬剤)が含まれる。骨誘導剤は、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド組成物であることができる。骨誘導剤のポリヌクレオチド組成物には、限定するものではないが、単離された骨形成因子(BMP)ポリヌクレオチド、血管内皮成長因子(VEGF)ポリヌクレオチド、結合組織成長因子(CTGF)ポリヌクレオチド、オステオプロテゲリンポリヌクレオチド、増殖分化因子(GDF類)ポリヌクレオチド、軟骨由来形成因子(CDMP類)ポリヌクレオチド、Limミネラル化タンパク質(LMP類)ポリヌクレオチド、血小板由来成長因子(PDGFまたはrhPDGF)ポリヌクレオチド、インスリン様成長因子(IGF)ポリヌクレオチドまたは形質転換成長因子ベータ(TGF-ベータ)ポリヌクレオチドが含まれる。骨誘導剤のポリヌクレオチド組成物には、限定するものではないが、着目する骨誘導ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子治療ベクターが含まれる。遺伝子治療方法では、しばしば、ポリヌクレオチドを利用し、それが標的組織による骨誘導ポリペプチドの発現に必要な、プロモーターまたはその他の遺伝子エレメントと、動作可能であるように結合または連結された、骨誘導ポリペプチドをコードする。そのような遺伝子治療および送達技術は、当技術分野において既知である(例えば、その開示が、その全体において本明細書中で参照として援用される、国際公開番号WO90/11092を参照のこと)。適切な遺伝子治療ベクターには、限定するものではないが、宿主ゲノムに組み込まない遺伝子治療ベクターが含まれる。あるいは、適切な遺伝子治療ベクターには、限定するものではないが、宿主ゲノムに組み込ませる遺伝子治療ベクターが含まれる。
【0053】
いくつかの態様において、ポリヌクレオチドはプラスミド製剤において送達される。プラスミドDNAまたはRNA製剤とは、ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム製剤、リポフェクチン、沈殿剤、などのものを含む、細胞への侵入の補助、推進または促進するために作用する送達媒体のない、骨誘導ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を言う。あるいは、遺伝子治療組成物は、リポソーム製剤およびリポフェクチン製剤において送達することができ、それらを当業者において良く知られる方法を用いて調製されることができる。一般的な方法は、例えば、その開示が、それらの全体において本明細書中で参照として援用される、米国特許番号5,593,972、5,589,466、および5,580,859に記述される。
【0054】
遺伝子治療ベクターはさらに、限定するものではないが、例えば、本明細書中で参照として援用される、米国特許番号5,652,224に記述されるものを含む、適切なアデノウイルスベクターを含む。
【0055】
単離された骨誘導剤のポリペプチド組成物には、限定するものではないが、単離された骨形成因子(BMP)ポリペプチド、血管内皮成長因子(VEGF)ポリペプチド、結合組織成長因子(CTGF)ポリペプチド、オステオプロテゲリンポリペプチド、増殖分化因子(GDF類)ポリペプチド、軟骨由来形成因子(CDMP類)ポリペプチド、Limミネラル化タンパク質(LMP類)ポリペプチド、血小板由来成長因子(PDGFまたはrhPDGF)ポリペプチド、インスリン様成長因子(IGF)ポリペプチドまたは形質転換成長因子ベータ(TGF-ベータ707)ポリペプチドが含まれる。骨誘導剤のポリペプチド組成物には、限定するものではないが、全長タンパク質、フラグメントまたはその変異体が含まれる。
【0056】
単離された骨誘導剤の変異体には、限定するものではないが、in vivoにおいて骨誘導剤の活性の持続時間を増加させるように設計される、ポリペプチド変異体が含まれる。典型的には、変異体骨誘導剤には、限定するものではないが、in vivoにおけるそれらの半減期を増加させるために、ポリエチレングリコール(PEG)成分と結合する(ペグ化(pegylation)としても知られる)、全長タンパク質またはそのフラグメントが含まれる。ポリペプチドをペグ化する方法は、当技術分野において、よく知られている(ペグ化ポリペプチドを生成する方法の例として、例えば、米国特許番号6,552,170、および欧州特許番号0,401,384を参照のこと)。いくつかの態様において、単離された骨誘導剤は、融合タンパク質として提供される。1つの態様において、骨誘導剤は、ヒトIgGのFc部分を有する融合タンパク質として入手可能である。別の態様において、骨誘導剤は、ヘテロ-またはホモ二量体、または、多量体として、入手可能である。いくつかの融合タンパク質の例には、限定するものではないが、成熟骨誘導ポリペプチドとヒト免疫グロブリンG(IgG)のFc部分とのリガンド融合が含まれる。融合タンパク質および同じものをコードする構築物を作成する方法は、当技術分野においてよく知られている。
【0057】
マトリックス内に含まれる単離された骨誘導剤は、典型的に無菌である。限定しない方法において、無菌性は、例えば滅菌ろ過膜(例えば、0.2ミクロン膜またはフィルター)によるろ過によって、容易に達せられる。1つの態様において、単離された骨誘導剤は、1つまたはそれ以上の骨形成因子ファミリー(“BMP類”)の構成員である。BMP類は、内部骨組織の骨誘導活性または成長促進活性を有するか、あるいは、プロコラーゲン前駆体として機能すると考えられる、タンパク質の分類である。BMPファミリーの既知の構成員には、限定するものではないが、BMP-1、BMP-2、BMP-3、BMP-4、BMP-5、BMP-6、BMP-7、BMP-8、BMP-9、BMP-10、BMP-11、BMP-12、BMP-13、BMP-15、BMP-16、BMP-17、BMP-18およびそのポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および成熟ポリペプチドまたは同じものをコードするポリヌクレオチドが含まれる。
【0058】
骨誘導剤として使用されるBMP類は、1つまたはそれ以上のBMP-1;BMP-2;BMP-3;BMP-4;BMP-5;BMP-6;BMP-7;BMP-8;BMP-9;BMP-10;BMP-11;BMP-12;BMP-13;BMP-15;BMP-16;BMP-17;またはBMP-18;および、全長BMP、またはこれらのフラグメント、または、それらの組み合わせを含む、これらのBMP類の1つまたはそれ以上のあらゆる組み合わせを、ポリペプチドか、あるいは、列挙されたすべてのBMP類のポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレオチドのどちらかとして含む。単離されたBMP骨誘導剤は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、全長タンパク質、またはそれらの組み合わせとして、投与されることができる。
【0059】
別の態様において、単離された骨誘導剤には、破骨細胞による移植部位周辺の骨組織の骨吸収を阻害するために、破骨細胞形成阻害因子が含まれる。破骨細胞および破骨細胞形成阻害因子には、限定するものではないが、オステオプロテゲリンポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および、成熟オステオプロゲリンタンパク質、ポリペプチド、または同じものをコードするポリヌクレオチドが含まれる。オステオプロテゲリンは、TNF-受容体スーパーファミリーの構成員であり、そして、骨吸収の負の調節因子として機能する、骨芽細胞から分泌されるデコイ受容体である。本タンパク質は、そのリガンド、オステオプロテゲリンリガンド(TNFSF11/OPGL)に特異的に結合し、その両方は、破骨細胞成長の、重要な細胞外調節因子である。
【0060】
破骨細胞形成阻害因子には、さらに、限定するものではないが、米国特許番号5,534,524および6,455,541(それら全体において、その内容が本明細書中で参照として援用される)に記述されるものなどのビスフォスフォネート、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、米国特許番号5,658,935(その全体において、本明細書中で参照として援用される)に記述されるものなどの、複素環式化合物、米国特許番号5,397,796および5,554,594(それら全体において、その内容が本明細書中で参照として援用される)に記述されるものなどの、2,4-ジオキシイミダゾリジンおよびイミダゾリジン誘導体化合物、米国特許番号6,313,119(その全体において、本明細書中で参照として援用される)に記述されるものなどの、スルホンアミド誘導体、または、米国特許番号6,492,356(その全体において、本明細書中で参照として援用される)に記述されるものなどの、アシルグアニジン化合物などの、化合物が含まれる。
【0061】
別の態様において、単離された骨誘導剤には、結合組織成長因子ファミリー(“CTGF類”)の1つまたはそれ以上の構成員が含まれる。CTGF類は、結合組織上での成長促進活性を有すると考えられる、タンパク質の分類である。CTGFファミリーの既知の構成員には、限定するものではないが、CTGF-1ポリヌクレオチド、CTGF-2ポリヌクレオチド、CTGF-4ポリヌクレオチド、またはそれらのポリペプチド、および、成熟タンパク質、ポリペプチド、または同じものをコードするポリヌクレオチドが含まれる。
【0062】
別の態様において、単離された骨誘導剤には、血管内皮成長因子ファミリー(“VEGF類”)の1つまたはそれ以上の構成員が含まれる。VEGF類は、血管組織上での成長促進活性を有すると考えられる、タンパク質の分類である。VEGFファミリーの既知の構成員には、限定するものではないが、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、またはそれらのポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および、成熟VEGF-A、タンパク質、ポリペプチド、または同じものをコードするポリヌクレオチドが含まれる。
【0063】
別の態様において、単離された骨誘導剤には、形質転換成長因子-ベータファミリー(“TGFベータ類”)の1つまたはそれ以上の構成員が含まれる。TGF-ベータ類は、結合組織を含む様々な範囲の組織上での成長促進活性を有すると考えられる、タンパク質の分類である。TGF-ベータファミリーの既知の構成員には、限定するものではないが、TGF-ベータ-1、TGF-ベータ-2、TGF-ベータ-3、そのポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および、成熟タンパク質、ポリペプチド、または同じものをコードするポリヌクレオチドが含まれる。
【0064】
別の態様において、単離された骨誘導剤には、1つまたはそれ以上の増殖分化因子(“GDF類”)が含まれる。既知のGDF類には、限定するものではないが、GDF-1、GDF-2、GDF-3、GDF-7、GDF-10、GDF-11、およびGDF-15が含まれる。例えば、単離された骨誘導剤として有用であるGDF類には、限定するものではないが、以下のGDF類が含まれる:GenBankアクセッション番号M62302、AAA58501、およびAAB94786に相当する、GDF-1ポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および、成熟GDF-1ポリペプチド、または同じものをコードするポリヌクレオチド。GenBankアクセッション番号BC069643、BC074921、Q9UK05、AAH69643、またはAAH74921に相当する、GDF-2ポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および、成熟GDF-2ポリペプチド、または同じものをコードするポリヌクレオチド。GenBankアクセッション番号AF263538、BC030959、AAF91389、AAQ89234、またはQ9NR23に相当する、GDF-3ポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および、成熟GDF-3ポリペプチド、または同じものをコードするポリヌクレオチド。GenBankアクセッション番号AB158468、AF522369、AAP97720、またはQ7Z4P5に相当する、GDF-7ポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および、成熟GDF-7ポリペプチド、または同じものをコードするポリヌクレオチド。GenBankアクセッション番号BC028237またはAAH28237に相当する、GDF-10ポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および、成熟GDF-10ポリペプチド、または同じものをコードするポリヌクレオチド。
【0065】
GenBankアクセッション番号AF100907、NP#005802または095390に相当する、GDF-11ポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および、成熟GDF-11ポリペプチド、または同じものをコードするポリヌクレオチド。GenBankアクセッション番号BC008962、BC000529、AAH00529、またはNP#004855に相当する、GDF-15ポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および、成熟GDF-15ポリペプチド、または同じものをコードするポリヌクレオチド。
【0066】
別の態様において、単離された骨誘導剤には、軟骨由来形成因子(CDMP)およびLimミネラル化タンパク質(LMP)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが含まれる。既知のCDMP類およびLMP類には、限定するものではないが、CDMP-1、CDMP-2、LMP-1、LMP-2、またはLMP-3が含まれる。
【0067】
単離された骨誘導剤として有用であるCDMP類およびLMP類には、限定するものではないが、以下のCDMP類およびLMP類が含まれる:GenBankアクセッション番号NM#000557、U13660、NP#000548またはP43026に相当する、CDMP-1ポリヌクレオチドおよびポリペプチド、および、成熟CDMP-1ポリペプチド、または同じものをコードするポリヌクレオチド。GenBankアクセッション番号P55106に相当する、CDMP-2ポリペプチド、および、成熟CDMP-2ポリペプチド。GenBankアクセッション番号AF345904またはAAK30567に相当する、LMP-1ポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および、成熟LMP-1ポリペプチド、または同じものをコードするポリヌクレオチド。GenBankアクセッション番号AF345905またはAAK30568に相当する、LMP-2ポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および、成熟LMP-2ポリペプチド、または同じものをコードするポリヌクレオチド。GenBankアクセッション番号AF345906またはAAK30569に相当する、LMP-3ポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および、成熟LMP-3ポリペプチド、または同じものをコードするポリヌクレオチド。
【0068】
別の態様において、単離された骨誘導剤には、骨形成因子(BMP類)、結合組織成長因子(CTGF類)、血管内皮成長因子(VEGF類)、オステオプロテゲリンまたはその他のあらゆる破骨細胞形成阻害剤、増殖分化因子(GDF類)、軟骨由来形成因子(CDMP類)、Limミネラル化タンパク質(LMP類)または形質転換成長因子-ベータ(TGF-ベータ類)のいずれか1つのファミリーの、1つまたはそれ以上の構成員、および、それらの混合物または組み合わせが含まれる。
【0069】
別の態様において、生体活性製剤において有用である、1つまたはそれ以上の単離された骨誘導剤は、BMP-1、BMP-2、BMP-3、BMP-4、BMP-5、BMP-6、BMP-7、BMP-8、BMP-9、BMP-10、BMP-11、BMP-12、BMP-13、BMP-15、BMP-16、BMP-17、BMP-18、またはそれらのあらゆる組み合わせ;CTGF-1、CTGF-2、CGTF-3、CTGF-4、またはそれらのあらゆる組み合わせ;VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、またはそれらのあらゆる組み合わせ;GDF-1、GDF-2、GDF-3、GDF-7、GDF-10、GDF-11、GDF-15、またはそれらのあらゆる組み合わせ;CDMP-1、CDMP-2、LMP-1、LMP-2、LMP-3、またはそれらのあらゆる組み合わせ;オステオプロテゲリン;TGF-ベータ-1、TGF-ベータ-2、TGF-ベータ-3、またはそれらのあらゆる組み合わせ;またはこれらの群の1つまたはそれ以上の構成員のあらゆる組み合わせからなる群より、選択される。
【0070】
いくつかの態様において、BMP-7および/またはGDF-5は、1〜2 mg/ccマトリックスにおいて使用されることができる。
成長因子の濃度は、望ましい骨形成効果の、望ましい長さまたは程度に基づいて、変化され得る。同様に、成長因子の持続放出の期間が、例えば、徐放性製剤内に存在するポリマーのパーセントを変更すること、徐放性製剤を含む組成物の操作、様々な分解時間および特性を有するポリマーを含む、ポリマー内への製剤のマイクロカプセル封入、および、1つまたはそれ以上の分解性ポリマーにより様々な厚さにおいて製剤を層状にすること、によって変更されることができることは、当業者に理解されるであろう。これらの徐放性製剤は、そのため、自然治癒過程を促進する、成長因子の特化された持続放出を提供するように、設計されることができる。
【0071】
成長因子は、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、またはリン酸ナトリウムなどの緩衝剤およびpH調整剤;分解/放出調節剤;薬物放出調節剤:乳化剤;塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、酢酸フェニル水銀および硝酸フェニル水銀、硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チメロサール、メチルパラベン、ポリビニルアルコール、およびフェニルエチルアルコールなどの保存料;溶解性調節剤;安定化剤;および/または凝集調節剤などの、不活性物質を含み得る。いくつかの態様において、成長因子は、無菌のおよび/または保存料のない、物質を含むことができる。
【0072】
これらの上記不活性成分は、成長因子および/またはその他の治療薬の運搬、安定化、および放出の調節を含む、多機能的な目的を有することができる。持続放出過程は、例えば、溶解-拡散メカニズムによるものである可能性があり、あるいは、それは、浸食-持続過程により管理されることができる。
【0073】
いくつかの態様において、成長因子を含む薬学的に許容可能な製剤は、製剤がフリーズドライまたは凍結乾燥された製剤であるように、提供される。典型的に、フリーズドライまたは凍結乾燥された製剤において、成長因子の有効量が提供される。凍結乾燥された製剤は、投与または使用のために、溶液、懸濁液、エマルション、またはその他のあらゆる適当な形態に、再構成されることができる。凍結乾燥された製剤が、着色剤を含むことができるか、または成長因子を再構成するために使用される液体が、着色剤を含むことができる。凍結乾燥された製剤は、典型的にまず液体として調製され、次に凍結および乾燥される。凍結乾燥前の全液体容量は、凍結乾燥された製剤の最終再構成容量より少ない、等しい、または多い可能性がある。凍結乾燥過程は、当業者によりよく知られており、そして、典型的には、制御された条件下で、凍結された製剤からの水の昇華を含む。
【0074】
凍結乾燥された製剤は、広い範囲の温度において、保存されることができる。凍結乾燥された製剤は、例えば、4℃で冷蔵されるか、または、室温(例えば、約25℃)など、30℃以下で保存されることができる。
【0075】
成長因子の凍結乾燥された製剤は、典型的に、水溶液を添加して凍結乾燥された製剤を溶解することによって、使用のために再構成される。多種類の水溶液を使用して、凍結乾燥された製剤を再構成することができる。いくつかの態様において、凍結乾燥された製剤は、水を使用して再構成される。いくつかの態様において、着色剤を、成長因子を再構成する希釈剤に添加することができる。いくつかの態様において、凍結乾燥された製剤を、水を含む溶液(例えば、USP WFI、または注射用水)、または静菌性水(例えば、0.9%のベンジルアルコールを含むUSP WFI)によって再構成することができる。しかしながら、緩衝液および/または賦形剤を含む溶液および/または1つまたはそれ以上の薬学的に許容可能な担体(carries)もまた、使用することができる。いくつかの態様において、溶液はあらゆる保存料を含まない(例えば、保存料なしである)。
【0076】
いくつかの態様において、凍結乾燥された成長因子(例えばBMP)は、製造業者によってバイアル中に配置されることができ、そして次に外科医が、着色剤を含む希釈剤と凍結乾燥された成長因子とを混合することができる。次に、この混合物を、標的組織部位に非経口投与することができる。本明細書中で使用される場合、“非経口”という用語は、消化管を回避する投与様式を言い、そして、例えば、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下、手術中、髄腔内、椎間内(intradiskally)、椎間周辺(peridiskally)、硬膜外、脊椎周辺(perispinally)、関節内、またはそれらの組み合わせを含む。
【0077】
いくつかの態様において、成長因子(例えばBMP)は、無色の溶液であり、そして、使用者が標的組織部位および/またはマトリックスへの成長因子の適用を直ちに見ることができるために、着色剤を無色の溶液に添加することができる。いくつかの態様において、成長因子および着色剤の混合物はマトリックスに適用され、そして次に、使用者はマトリックス上でのその分布を見ることができる。
【0078】
成長因子、例えば骨形成因子の量は、骨および/または軟骨の成長を引き起こすのに十分であることができる。いくつかの態様において、成長因子はrhBMP-2であり、そして、生分解性マトリックス立方センチメートル当たり1〜2 mgの量で、1つまたはそれ以上のマトリックス中に含まれる。いくつかの態様において、rhBMP-2形成因子の量は、生分解性マトリックス立方センチメートル(cc)当たり2.0〜2.5 mgである。
【0079】
いくつかの態様において、成長因子は液体担体(例えば、緩衝水溶液)中において供給される。例となる緩衝水溶液には、限定するものではないが、TE、HEPES(2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]エタンスルホン酸)、MES(2-モルホリノエタンスルホン酸)、酢酸ナトリウム緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液、リン酸ナトリウム緩衝液、Tris緩衝液(例えば、Tris-HCL)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセロール、塩化カルシウム、またはそれらの組み合わせが含まれる。様々な態様において、緩衝液濃度は、約1 mM〜100 mMであることができる。いくつかの態様において、BMP-2は、スクロース、グリシン、L-グルタミン酸、塩化ナトリウム、および/またはポリソルベート80を含む、媒体(緩衝液を含む)中において提供される。
【0080】
いくつかの態様において、マトリックスまたはマトリックスに接触する成分(例えば、移植においてマトリックスと分離している栓)の移植の際、マトリックスのいくらかの加圧が生じ、骨成長因子由来の緩衝液の、担体からの漏出を引き起こし、それによって、マトリックス上における成長因子のより高い濃度(例えば、マトリックス1 cc当たり2 mg〜2.5 mgのrhBMP-2)の保持を引き起こす。この高濃度の成長因子は、局所の一時的な骨吸収、および過剰な破骨細胞の形成、および骨破壊を導く可能性がある。これは、宿主組織に囲まれた栓移植片の不十分な融合、および修復の失敗を結果としてもたらし得る。いくつかの態様において、成長因子の局所での放出は、周辺組織に局所刺激を引き起こす可能性がある。いくつかの態様において、マトリックスからの成長因子の漏出は、新たな骨および/または軟骨成長のための、安定した微小環境を減少させる可能性がある。それはまた、マトリックスが、標的部位において最大限に骨成長を促進するための時間にわたって、その完全な有効性を保持することができなくさせる可能性がある。
【0081】
いくつかの態様において、いくらかの加圧が、マトリックスの上部由来の成長因子の下部への移動を引き起こし、そしてそのため、欠損部の微小環境にさらされるマトリックスの上部において、低濃度の成長因子(例えば、マトリックス1 cc当たり0.05 mg〜1 mgのrhBMP-2)をもたらし、それは、マトリックスが移植された部位において軟骨形成を促進することができる。いくつかの例において、これは、特に、より多い軟骨組織が必要とされる場所において、望ましい可能性がある。
【0082】
いくつかの態様において、マトリックスが骨軟骨栓と共に使用される場合、もし加圧が生じると、マトリックスの孔が閉じ、そして、軟骨の表面から栓が落ち、そのため、栓の表面がもはや軟骨の表面と同一平面でなくなる。これは、不十分な組織成長を引き起こすであろう。
【0083】
いくつかの態様において、骨修復が必要な患者において骨修復を促進する方法が提供され、この方法は、成長因子(例えば、骨形成因子-2)と混合物の色を与える着色剤とを混合して、混合物を形成する工程;着色剤が、多孔質コラーゲンマトリックス上または内部に分布する成長因子を、使用者が見ることを可能にする、多孔質コラーゲンマトリックス表面へ混合物を適用する工程;および、骨修復の必要がある標的組織部位またはその付近に、多孔質コラーゲンマトリックスを移植する工程;を含む。この方法により、使用者は、マトリックス上の成長因子の分布を見ることができおよび/または、マトリックスからの着色剤の漏出によって、マトリックスが過剰に加圧されていることを見ることができる。
【0084】
着色剤
成長因子に着色剤を添加することによって、使用者は、単純に色を観察することにより成長因子の漏出を探すによって、マトリックスの過剰な加圧が生じるかを、可視化することができる。この方法によって、色がマトリックスから離れて見える場合、使用者はマトリックスを廃棄し、吸引器具によって漏出物を除去することができるか、あるいは、加圧が過剰ではない場合、マトリックスを押圧することをやめることができる。
【0085】
いくつかの態様において、成長因子に着色剤を添加することによって、使用者は、マトリックスの加圧だけでなく、マトリックスへの着色剤の適用も可視化することができる。使用者は、マトリックスを見ることができ、そして、マトリックスの1つまたはそれ以上の表面に成長因子が適用されたか、あるいは、マトリック上またはマトリックス中に成長因子が均一に分布しているかを、単純にマトリックスに沿った色の分布を見ることによって、決定することができる。
【0086】
いくつかの態様において、見ることを容易にするために、着色剤はマトリックスと全く対照的な色を有することができる。例えば、マトリックスは白またはベージュであり、そして、成長因子を伴う着色剤は、緑または青であることができる。この方法によって、成長因子を容易に見ることができる。いくつかの態様において、着色剤および/またはマトリックスは、周囲の組織および/または血液と全く対照的である色であることができる。例えば、手術が出血性のものであるだろう場合には、赤色を避けることができる。
【0087】
いくらかの加圧は、成長因子の放出を引き起こすことができ(例えば0.75 M Paまたは0.5 M Paまたは0.25 M Paより小さい圧力)、それは、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、または0.5% w/wまたはw/vより少ない成長因子を放出する可能性があることは当業者によって理解されるであろう。例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%より多いか、またはすべての成長因子がマトリックスから漏出するとき、マトリックスは、加圧状態にある可能性がある。
【0088】
成長因子を着色するために使用することができる着色剤は、商業的に入手可能な天然および人工の着色料を含む。1つまたはそれ以上の着色剤は、成長因子製剤中に含まれるか、または使用時にあるいは製造業者によって、それに添加され、そしてその後、使用時に再構成されることができる。
【0089】
着色剤は、成長因子に望ましい色を与えるために、骨形成組成物中に、全組成物(w/w、w/v、v/v)に対して、約0.5%と99%の間、または1%と90%の間、または10%と70%の間、または20%と50%の間、または約1%と約20%の間、または約0.5%と約10%の間の量(w/w、w/v、またはv/v)であることができる。
【0090】
いくつかの態様において、着色剤は、緩衝液および成長因子から分離されているであろう。いくつかの態様において、着色剤および液体緩衝液(例えば、スクロース、グリシン、L-グルタミン酸、塩化ナトリウム、および/またはポリソルベート80を含む)は、1つのバイアル中に共に存在し、それを使用して、それもまた別のバイアル中にある、凍結乾燥されたかまたはフリーズドライされた成長因子(例えば、rhBMP-2)を再構成することができる。2つが混合された時点で、使用者は直ちに成長因子の投与を可視化できる。
【0091】
色とは、可視スペクトル内のあらゆる色を意味することが理解される。いくつかの態様において、着色剤の特定の色は、可視光に伝えられる。いくつかの態様において、着色剤の色は、赤、黄、緑、青、紫などのものであることができる。着色剤は、物質または組成物に色を与えることが意図された物質を意味することが理解される。着色剤は、望ましい色を与えるためにそのための顔料を含み得る。顔料は、微粒子からなる天然または合成の物質であり、色素とは対照的に、それは、しばしば使用する媒体に不溶であり、その主な機能は着色を与えることである。顔料は、無機顔料、有機顔料(たとえば、カーボンブラック(Cl 77 266)またはD & C赤36)、レーキまたは真珠光沢顔料であることができる。レーキは、不溶性粒子に吸着した染料であり、それらの組み合わせは使用する媒体中で本質的に不溶のままである。真珠光沢顔料は、天然または合成の物質であり、光を分散および反射し、虹色または光沢効果を与える。色素は、コチニールカルミン(Cl 75 470)などの天然有機色素、または、ハロアシッド、アゾ、またはアントラキノン色素などの、合成有機色素を含み得る。色素には、硫酸銅などの、無機色素が含まれてもよい。
【0092】
特にジルコニウム、セリウム、亜鉛の金属酸化物、または、酸化クロム(Cl 77 288)、二酸化チタン(Cl 77 891)、黒色、黄色、赤および褐色の酸化鉄(Cl 77 499、 Cl 77 492またはCl 77 491)、マンガンバイオレット(Cl 77 742)、群青(Cl 77 007)、紺青(Cl 77 510)、水酸化クロム(Cl 77 289)、銀粉、アルミニウム粉、またはそれらの組み合わせである、無機顔料を、使用することができる。
【0093】
レーキは、一般的に、粒子に有機色素が吸着した金属塩(特に、Al、Zr、CaまたはNa)からなり、例えば、アルミナ、硫酸バリウム、コロフォニーおよび同様のものからなる。レーキは、以下の名前ののもとに知られるものを含む:D & C赤21(Cl 45 380)、D & Cオレンジ5(Cl 45 370)、D & C赤27(Cl 45 410)、D & Cオレンジ10(Cl 45 425)、D & C赤3(Cl 45 430)、D & C赤7(Cl 15 850:1)、D & C赤4(Cl 15 510)、D & C赤33(Cl 17 200)、D & C黄5(Cl 19 140)、D & C黄6(Cl 15 985)、D & C緑5(Cl 61 570)、D & C黄10(Cl 77 002)、D & C緑3(Cl 42 053)、D & C青1(Cl 42 090)。
【0094】
真珠光沢顔料には、オキシ塩化ビスマス、または、酸化チタン、酸化鉄または天然顔料でコーティングされたマイカ、例えば、有色二酸化チタンコーティングマイカを含むことができる。1つまたはそれ以上の上記着色剤の組み合わせは、製剤の望ましい色を作るために使用されることができる。
【0095】
いくつかの態様において、着色剤は、混合の前、間、および後において、その色を維持する。例えば、いくつかの態様において、着色剤は、色の変化の促進を生じる、特定のpHおよび/または温度特性を必要としない(例えば、赤から青への色変化を引き起こすpH、または、透明から青への変化を引き起こす温度)。むしろ、いくつかの態様において、着色剤は、成長因子および/または希釈剤との混合の前、間、および後において、その色を維持する。つまり、この態様において、特別なUV光、または検出器具は必要とされず、そして、着色剤は、成長因子の混合および投与の期間中、その色を維持するであろう。着色剤は、正常色覚者の裸眼に明白に容易に見えるであろう。これは、特定のPHまたは温度に到達したときに色が変化する、熱設定性(thermosetting)色素、または、pH感受性色素とは異なる。
【0096】
いくつかの態様において、着色剤(つまり混合された際の成長因子)は、ヒトの目(メガネ、顔面保護物(face shield)および/またはコンタクトを着用している使用者を含む)によって容易に見ることができるであろう。いくつかの例となる着色剤は、FDAに認可された合成剤または天然剤である。これらには、D&C紫#2、D&C赤#22、D&C赤#27、D&C赤#28、D&C赤#33、D&Cオレンジ#4、D&C黄#10、D&C緑#5、D&C緑#8、D&C赤No. 6バリウムレーキ、D&C赤No. 7カルシウムレーキ、D&C赤No. 7カルシウムレーキ、D&C赤No. 7カルシウムレーキ、D&C赤No. 27アルミニウムレーキ、D&C赤No. 27 Zr/Alチタン02レーキ、D&C赤No. 28アルミニウムレーキ、D&C赤No. 30タルクレーキ、D&C黄No. 10アルミニウムレーキ、FD&C青1、FD&C緑3、FD&C赤40、FD&C黄5、FD&C黄6、D&C緑5、D&C緑8、D&Cオレンジ4、D&Cオレンジ5、D&C赤22、D&C赤33D、D&C紫2、アナトー、オキシ塩化ビスマス、カーマインカロチン-ベータ、水酸化クロムグリーン、酸化クロムグリーン、フェロシアン化鉄、ヘナ、酸化鉄、マンガンバイオレット、マイカ、二酸化チタン、ウルトラマリン、酸化亜鉛、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0097】
いくつかの態様において、着色料は、1つまたはそれ以上のFD&C青No. 1 - ブリリアントブルーFCF、E133(青色)、FD&C青No. 2 - インジゴチン、E132(紺青色)、FD&C緑No. 3 - ファストグリーンFCF、E143(帯青緑色)、FD&C赤No. 40 - アルラレッドAC、E129(赤色)、FD&C赤No. 3 - エリトロシン、E127(ピンク色)、FD&C黄No. 5 - タートラジン、E102(黄色)、FD&C黄No. 6 - サンセットイエローFCF、E110(オレンジ色)、コンゴレッド、インディゴ、メチレンブルー、またはそれらの組み合わせを含む。
【0098】
いくつかの態様において、着色剤は、医療機器内または上における使用目的で、米国FDAによって認可される。これらの着色剤は、酸化クロムグリーン(青緑顔料)、フタロシアニングリーン(顔料)、7,16-ジクロロ-6,15-ジヒドロ-5,9,14,18-アントラジンテトラオンまたはC.I.バットブルー6(バット色素)、7,16-ジクロロ-6,15-ジヒドロ-5,9,14,18-アントラジンテトラオンまたはC.I.バットグリーン(バット色素)、D&C青No. 9(その他の添加物をともなうA.C.I.バットブルー6)、FD&C青No. 2(レーキ)、D&C青No. 6(水溶性色素)、D&C緑No. 5(顔料)、D&C緑No. 6(水溶性色素)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0099】
いくつかの態様において、着色剤は、例えば、拡大鏡、顕微鏡、所定の波長における分光光度計などの機器によって、可視化されることができる。
典型的に、成長因子および着色剤を、液状希釈剤(例えばWFIおよび着色剤)および成長因子を含む、あるいは、希釈剤、着色剤、および成長因子を別々に含む、二相または三相システムとして医師に提供することができるか、あるいは、成長因子および/または着色剤を、マトリックス上またはマトリックス中に配置することができ、そして希釈剤を、成長因子および/または着色剤を再構成するために、マトリックスに適用することができる。使用者は、成長因子の適用を見ることができるであろう。成長因子、および/または着色剤は、異なる形態(例えば、粉末、液体、ゲル形態、など)であることができる。これらを、手術室において、真空撹拌チャンバー内で混合することができ(または、真空撹拌チャンバーを使用せずに混合することができ)、マトリックス上またはマトリックス内に分布され、そして、準備が整った骨空洞に挿入されることができる。
【0100】
いくつかの態様において、着色剤は、成長因子および/またはマトリックスの機能を阻害、または、大幅に阻害しない。
さらなる治療薬
本出願の成長因子ヲ、マトリックス上またはマトリックス中に、その他の治療薬とともに、配置することができる。例えば、成長因子ヲ、静電噴霧、イオン噴霧または浸透(impregnating)、振動性分散(超音波処理を含む)、ノズル噴霧、圧縮空気補助噴霧(compressed-air-assisted spraying)、ブラッシング、および/または注入によって、担体上または担体中に配置することができる。
【0101】
例となる治療薬には、限定するものではないが、組換えの、非グリコシル化型のヒトインターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)である、キネレット(登録商標)(アナキンラ)、または、IL-1の働きを阻害するモノクローナル抗体であるAMG-108などの、IL-1阻害剤が含まれる。治療薬には、グルタメートおよびアスパルテートなどの興奮性アミノ酸、NMDA受容体、AMPA受容体および/またはカイニン酸受容体へのグルタメート結合のアンタゴニストまたは阻害剤もまた、含まれる。インターロイキン-1受容体アンタゴニスト、サリドマイド(TNF-α放出阻害剤)、サリドマイド類似体(マクロファージによるTNF-αの産生を減少させる)、キナプリル(TNF-αを上方制御するアンジオテンシンIIの阻害剤)、IL-11などのインターフェロン(TNF-α受容体発現を調節する)、およびアウリン-トリカルボン酸(TNF-αを阻害する)もまた、炎症を減少させる治療薬として有用である可能性がある。のぞましい場合は上記のペグ化型が使用される可能性があることが、さらに意図される。さらにその他の治療薬の例には、ジチオカルバメート(dilhiocarbamate)といった抗酸化物質などのNFカッパB阻害剤、および、例えばスルファサラジンなどのその他の化合物が含まれる。
【0102】
使用に適する治療薬の例には、限定するものではないが、抗炎症剤、鎮痛剤、または骨誘導性成長因子、または、それらの組み合わせも含まれる。抗炎症剤には、限定するものではないが、アパゾン、セレコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサル、エノール酸(ピロキシカム、メロキシカム)、エトドラク、フェナム酸(メフェナム酸、メクロフェナム酸)、金、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、サリチル酸塩、スルファサラジン[2-ヒドロキシ-5-[-4-[C2-ピリジニルアミノ)スルホニル]アゾ]安息香酸、スリンダク、テポキサリン、およびトルメチン;および、ジチオカルバメートなどの抗酸化剤、コルチゾール、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベータメタゾン、デキサメタゾン、ベクロメタゾン、フルチカゾンといったステロイド、または、それらの組み合わせが含まれる。
【0103】
適当な鎮痛剤には、限定するものではないが、アセトアミノフェン、ブピバカイン(bupivicaine)、フルオシノロン、リドカイン、ブプレノルフィンなどのオピオイド鎮痛剤、ブトルファノール、デキストロモルアミド、デゾシン、デキストロプロポキシフェン、ジアセチルモルヒネ(diamorphine)、フェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ケトベミドン、レボメタジル、メペリジン(mepiridine)、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、アヘン、オキシコドン、パパベレタム、ペンタゾシン、ペチジン、フェノペリジン、ピリトラミド、デキストロプロポキシフェン、レミフェンタニル、チリジン、トラマドール、コデイン、ジヒドロコデイン、メプタジノール、デゾシン、エプタゾシン、フルピルチン、アミトリプチリン、カルバマゼピン、ガバペンチン、プレガバリン、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0104】
いくつかの態様において、スタチンを使用することができる。スタチンには、限定するものではないが、アトルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン(開示全体が本明細書中で参照として援用される、米国特許番号3,883,140を参照のこと)、ベロスタチン(シンビノリン(synvinolin)とも呼ばれる;これらの開示全体が本明細書中で参照として援用される、米国特許番号4,448,784および4,450,171を参照のこと)、フルバスタチン、ロバスタチン、ロスバスタチンおよびフルインドスタチン(Sandoz XU-62-320)、ダルバスタチン(欧州特許出願番号738510 A2、開示全体が本明細書中で参照として援用される)、エプタスタチン、ピタバスタチン、またはその薬学的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせが含まれる。様々な態様において、スタチンは、スタチンの(+)Rおよび(-)-S光学異性体の混合物を含むことができる。様々な態様において、スタチンは、スタチンの1:1のラセミ混合物を含むことができる。
【0105】
キット
マトリックス、着色剤、成長因子、および骨形成組成物を投与するための装置は、滅菌可能であることができる。様々な態様において、1つまたはそれ以上の骨形成組成物の成分および/またはそれを投与するための医療装置は、最終梱包における、最終滅菌段階において、放射線によって滅菌可能であることができる。産物の最終滅菌は、別々に滅菌される各産物成分、および、無菌環境において組み立てられる最終梱包を必要とする、無菌処理などの処理によるよりも、より高い滅菌性の保証を提供する。
【0106】
典型的に、様々な態様において、ガンマ放射線が最終滅菌段階において使用され、それは装置の深くまで浸透するガンマ線からのイオン化エネルギーを使用することと関係する。ガンマ線は微生物を殺すことにおいて非常に効果的であり、それらは残留物を残さず、また、装置に放射活性を与えるのに十分なエネルギーももたない。ガンマ線は、装置が梱包されている際に使用されることができ、そして、ガンマ滅菌は高圧または真空状態を必要としない、つまり、梱包シール、およびその他の構成要素は、ストレスを加えられない。さらに、ガンマ放射線は、透過性梱包材料の必要性を排除する。
【0107】
いくつかの態様において、骨形成組成物は耐湿性包装によって梱包され、そしてその後、ガンマ線照射によって最終滅菌されることができる。使用において、外科医は1つまたはすべての構成要素を、使用のために滅菌包装から取り出す。
【0108】
様々な態様において、電子線(e-beam)放射を使用して、1つまたはそれ以上の装置の構成要素を滅菌することができる。電子線放射は、一般に低浸透性および高線量率によって特徴づけられる、イオン化エネルギーの形態を含む。電子線照射は、微生物の生殖細胞を含む、接触する様々な化学結合および分子結合を変化させる点においてガンマ処理と同様である。電子線滅菌のために産生される電子線は、電気の加速および変換によって生じる、集中した、高電荷の電子の流れである。
【0109】
その他の方法もまた、骨形成組成物および/または1つまたはそれ以上の装置の構成要素を滅菌するために使用されることができ、限定するものではないが、例えば、エチレンオキサイドを用いる、または、蒸気滅菌などの、ガス滅菌を含む。
【0110】
様々な態様において、成長因子、着色剤、マトリックス、および/または希釈剤を含む、キットが提供される。キットは、マトリックスの移植に使用されるために、骨形成組成物と共に組み合わされる付加的な部分を含むことができる(例えば、スポンジ、メッシュなど)。キットは、マトリックスを第一区画に含むことができる。第二区画には、成長因子、希釈剤、および着色剤を保有するバイアル、および、局所の薬物送達に必要とされるその他のあらゆる器具が含まれてもよい。第三区画には、手袋、布、創傷被覆材、および、移植過程の滅菌性を維持するためのその他の手術用供給品、および、着色剤を伴う再構成後の成長因子の色を示す色見本、および取扱説明書が含まれてもよい。第四区画には、追加の針および/または縫合糸が含まれてもよい。それぞれの道具は、放射線滅菌されるプラスチック袋に、別々に包装されることができる。第五区画には、放射線画像用の薬剤が含まれてもよい。キットのカバーは、移植手術の説明を含むことができ、そして、透明なプラスチックカバーが、区画の滅菌性を維持するために、上にかけて置かれることができる。
【0111】
本明細書中の教示の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書中に記述される様々な態様に対して、様々な修正および変換がなされることができることは、当業者には明白であろう。つまり、様々な態様は、本教示の範囲内の様々な態様のその他の修正および変換を含めることが、意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮下の標的組織部位またはその付近における移植のための、成長因子および着色剤を含む骨形成組成物であり、着色剤が成長因子に色を与え、使用者に標的組織部位またはその付近における成長因子の移植を可能にする、前記骨形成組成物。
【請求項2】
マトリックス表面上またはマトリックス表面内部における成長因子の分布を使用者が見ることを可能にするために、成長因子および着色剤が、生分解性マトリックスの少なくとも表面上または中に配置される、請求項1の骨形成組成物。
【請求項3】
組成物の色が裸眼に可視である、請求項2の骨形成組成物。
【請求項4】
着色剤がマトリックスの色と対照的な色を含む、請求項2の骨形成組成物。
【請求項5】
着色剤が標的組織部位と対照的な色を含む、請求項2の骨形成組成物。
【請求項6】
(i)成長因子が無色の骨形成因子-2溶液を含み;(ii)着色剤が染料を含み;そして(iii)生分解性マトリックスが多孔質コラーゲンを含む、請求項2の骨形成組成物。
【請求項7】
生分解性マトリックスが加圧された場合、使用者に見えるように、マトリックスが成長因子および着色剤を放出する、請求項2の骨形成組成物。
【請求項8】
生分解性マトリックスが加圧されない状態である場合、そのマトリックスが成長因子および着色剤を保持する、請求項2の骨形成組成物。
【請求項9】
生分解性マトリックスが、コラーゲン、吸収性ポリマー、ゼラチン、吸収性セラミック、またはそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項2の骨形成組成物。
【請求項10】
皮下の標的組織部位またはその付近における移植のための、成長因子;着色剤;および、多孔質コラーゲン表面を含む生分解性マトリックスを含む骨形成組成物であり、着色剤と成長因子とを混合する際、着色剤が成長因子に色を与え、使用者に多孔質コラーゲン表面上またはその中における成長因子の分布を見ることを可能にする、前記骨形成組成物。
【請求項11】
組成物の色が裸眼に可視である、請求項10の骨形成組成物。
【請求項12】
着色剤がマトリックスの色と対照的な色を含む、請求項10の骨形成組成物。
【請求項13】
着色剤が標的組織部位と対照的な色を含む、請求項10の骨形成組成物。
【請求項14】
成長因子が無色の骨形成因子-2溶液を含み、そして着色剤が色素を含む、請求項10の骨形成組成物。
【請求項15】
生分解性マトリックスが加圧された場合、使用者が見えるように、そのマトリックスが成長因子および着色剤を放出する、請求項14の骨形成組成物。
【請求項16】
生分解性マトリックスが加圧されない状態である場合、そのマトリックスが成長因子および着色剤を保持する、請求項14の骨形成組成物。
【請求項17】
着色剤が混合物に色を与える、骨形成因子-2および着色剤を混合して混合物を形成する工程;着色剤が使用者に多孔質コラーゲンマトリックス上または内部の骨形成因子-2の分布を見ることを可能にする、多孔質コラーゲンマトリックスの表面に対して混合物を適用する工程;および、骨修復が必要である標的組織部位またはその付近における多孔質コラーゲンマトリックスを移植する工程;を含む、骨修復が必要である患者において、骨修復を促進するための方法。
【請求項18】
骨形成因子-2が、無色の溶液、および色素を含む着色剤を含む、請求項17による骨修復を促進するための方法。
【請求項19】
マトリックスが加圧された場合、使用者が見えるように、生分解性マトリックスが骨形成因子-2および着色剤を放出する、請求項17による骨修復を促進するための方法。
【請求項20】
着色剤がマトリックスの色と対照的な色を含む、請求項17による骨修復を促進するための方法。

【公表番号】特表2012−500087(P2012−500087A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523852(P2011−523852)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2009/052360
【国際公開番号】WO2010/021823
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】