説明

着色微粒子組成物及びパーソナルケア製品におけるそれらの使用

【課題】着色微粒子組成物及びパーソナルケア製品におけるそれらの使用
【解決手段】
本発明は、自然できめのある色調の効果を生むマイクロカプセル化着色剤のブレンドを含む、パーソナルケア若しくは化粧品組成物に関する。
美容処理方法は、少なくとも身体の一部への、該パーソナルケア若しくは化粧品組成物の適用を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカプセル化着色剤を含む組成物、及び、パーソナルケア用途におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
メラミンホルムアルデヒドの事前縮合物を含む水性媒質の中に疎水性液体を分散させ、その後pHを下げ、疎水性液体を囲む不浸透アミノプラスト樹脂の殻壁とすることによって、疎水性液体をカプセル化することが知られている。該マイクロカプセルは、無カーボン感圧複写紙で用いるカプセル化インクを提供するために、好ましく用いられる。しかしながら、これらマイクロカプセルはメラミンホルムアルデヒド樹脂ベースであることから、ある条件下ではホルムアルデヒドが放出され、望ましくないというリスクがある。
【0003】
米国特許第5,234,711号明細書は、インク配合物で利用される顔料粒子のカプセル化の方法、及び、化粧品製品に対するそれらの使用を記述する。化粧品製品は特にアイライナーペンを対象にしている。
【0004】
米国特許第5,382,433号明細書及び公開されたPCT出願 国際公開第98/5002号パンフレットは、マイクロカプセル化顔料粒子を含む化粧品スティックの使用を記述する。米国特許第5,382,433号明細書のカプセル化顔料はコアセルベーション重合によって作られる。前記PCT出願は、該化粧品組成物に揮発性溶剤を含ませることによって、この特許を拡張する。該揮発性溶剤は、マイクロカプセル化物質のざらざらした感触を最小化するとして説明される。
【0005】
様々な技術が、カプセル化又は捕捉化着色剤を提供するとして知られている。たとえば、公開されたPCT出願 国際公開第91/06277号パンフレットは、無水塩基又はビヒクル中に分散された、活性化可能な休眠顔料を有する化粧品配合物を記述する。粉末顔料又は液体キャリヤ分散液は、安定で、乾燥し、さらさらしたマイクロサイズ化粒子の粉末を形成するために、マイクロカプセル化される。カプセル化の好ましい方法は、コアセルベーションによるものであり、たとえばマイクロサイズ化された液滴を形成するために、連続的な外側の水相に液体分散液を乳化することによるものであり、コロイド状物質の複合体は、各液滴の上又は回りに析出物が形成し、それによって外壁若しくは殻が形成するような方法で、水相に加えられる。マイクロカプセルは、物理的力に付された場合、破裂し、休眠顔料を放出するように意図されている。
【0006】
米国特許第5,234,711号明細書は、化粧品製品の製造において有用な顔料粒子のカプセル化の方法に関する。顔料粒子の湿潤性、分散性及び耐熱性を増加するためにカプセル化プロセスを用いることが、この開示の目的である。カプセル化方法は、水性媒質中のレドックス又はフリーラジカルなビニル重合を含む。
【0007】
公開された欧州特許出願 欧州特許出願公開第225,799号明細書は、液体、ゲル、ワックス、又は低温で溶融する個体キャリヤ相における、ポリマー殻の中にカプセル化されているマイクロカプセル化された固体の非磁性着色剤物質を記述する。固体着色剤物質の表面の親油性を増加する、シラン又はチタンカップリング剤が殻上に吸収される。
【0008】
公開された欧州特許出願 欧州特許出願公開第445,342号明細書は、樹脂の中に溶媒和染料を配合すること、及び化粧品キャリヤと混合することによって形成される、顔料含有化粧品組成物に関する。存在する顔料の量は、皮膚や爪又は髪に使用されたときに、
魅力的な美容効果を提供するために、十分に存在する顔料の魅力的な量を提供するのに十分である。美容上容認できるいずれの可溶性染料も使用可能である。微粉末に微粉砕できるという条件で、いずれの樹脂も使用し得る。溶媒和染料は、弾性又は溶融樹脂に添加することによって、又は、非重合化樹脂、及び、染料及び樹脂に対する相互溶媒の溶液に染料を溶解し、その後樹脂を重合することによって、又は、染料と樹脂を接触させることによって、樹脂の中に配合される。染料を含浸させた樹脂粉末は、様々な化粧品組成物に用いられていると言われている。
【特許文献1】米国特許第5,234,711号明細書
【特許文献2】米国特許第5,382,433号明細書
【特許文献3】国際公開第98/5002号パンフレット
【特許文献4】国際公開第91/06277号パンフレット
【特許文献5】米国特許第5,234,711号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第225,799号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第445,342号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術は、使用されたときにきめのある自然な色調の色合いを生む、又は、化粧品製品自身上への若しくは化粧品製品自身中に、類似の効果を生み出す、化粧品組成物におけるマイクロカプセル化着色剤のブレンドの使用は記述していない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、有効量のカプセル化着色剤のブレンドを有する、液体のパーソナルケア若しくは化粧品配合物を含む、改良されたパーソナルケア若しくは化粧品組成物であって、マイクロカプセル化着色剤は1乃至50ミクロンの粒子サイズを有し、及び、マイクロカプセル化着色剤のブレンドは、互いに別個である少なくとも二色から選択されるところの組成物を提供するものである。
【0011】
本発明はまた、前述の身体の少なくとも一部への、有効量のカプセル化着色剤を有する液体のパーソナルケア若しくは化粧品配合物の適用を含む、使用方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第一の局面によるマイクロカプセル化粒子、及び、第二の局面による前記方法に由来する製品は、視覚的なパフォーマンスを増強させ、さらには、前記ポリマーマトリクスが長期使用下にあっても、捕捉着色剤のいずれも放出をさせない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ポリマー製品は、ポリマーマトリクスが架橋結合されている場合にさらに増強する。この架橋結合は、マイクロカプセル化プロセスに架橋結合段階を含む結果として成り得る。これは、ポリマー内に自己架橋結合基、たとえばメチロール官能基を有するモノマー反復単位などを含むことによって達成し得る。
【0014】
好ましくは、しかしながら、架橋結合は、水相ポリマーと架橋剤を含むことによって達成される。架橋剤は一般にポリマー鎖の官能基と反応する化合物である。たとえば、ポリマー鎖がアニオン基を含む場合、適切な架橋剤としてはアジリジン、ジエポキシド、カルボジアミド、シラン、及び、アルミニウム又はジルコニウムなどの多価金属を抱合し得る。特に好ましい架橋剤の一種は、炭酸アンモニウムジルコニウムである。他の特に好ましい架橋剤の種類としては、たとえばシラン及びジエポキシドなどの、ポリマー鎖の間に共有結合を形成する化合物等である。
【0015】
架橋結合プロセスは望ましくは脱水段階の間に起こる。したがって、架橋剤が含まれる場合に、それは脱水が開始するまで、一般に休眠状態のままでいる。
【0016】
50℃以上、好ましくは60又は80℃より高いガラス転移温度を有するホモポリマーを形成することができる、疎水性モノマーの特殊な組合せから形成されるポリマーは、着色剤に対する不浸透性に対して相当改善されたパフォーマンスを示す。疎水性モノマーと言うことによって、該モノマーは5g/100ml(水)未満の水への溶解度を有することが意味される。
【0017】
ポリマーに対するガラス転移温度(Tg)は化学工学事典,第19巻、第四版、891頁に、それより低温では(1)全分子の遷移運動、及び、(2)炭素原子数40から50の鎖セグメントのコイル又は非コイル、のどちらも凍結されるところの温度として定義される。それゆえに、そのTgより下ではポリマーは流動やゴム弾性を示さない。ポリマーのTgは、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定され得る。それゆえに、線形温度プログラムによって、既知のTgを有する基準試料及び実験試料を別々に、しかしながら同時に加熱する。2つのヒーターは2つの試料を同一温度に維持する。これを達成するために2つのヒーターに供給される出力は、モニターされ、温度の指標としての比熱の記録として解釈される、基準温度の指標として、これらの間の差異がプロットされる。基準温度が上昇若しくは下降し、並びに、実験試料が転移に近づくにつれて、温度を維持するために要求される熱量は、転移が吸熱的又は発熱的かどうかに依存して、より大きな或いはより小さなものとなる。
【0018】
一般に、該粒子の平均粒子サイズの直径は約100ミクロン未満である。通常、平均粒子サイズの直径はより小さくなる傾向があり、たとえば70又は80ミクロン未満、しばしば40又は50ミクロン未満、該して、平均粒子直径は750ナノメーター乃至40ミクロンである。
【0019】
好ましくは、平均粒子サイズの直径は10乃至40ミクロン、通常、20乃至40ミクロンの範囲にある。平均粒子サイズは、文献内に十分に記録されている標準的な手法による、コールター粒子サイズ分析器によって測定される。
【0020】
理論に限定されることなく、イオン性モノマーと前述の疎水性モノマーとの特定の組合せが、着色剤への不浸透性を改善する原因であるとみなされる、妥当な程度の親水性と硬度を有するポリマーを提供する。
【0021】
前述の疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、メチルメタクリレート、第三ブチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート及びイソボルニルメタクリレートがある。
【0022】
ポリマーの浸透性を不都合に増加することなしに、疎水性モノマーを、少なくとも50℃のガラス転移温度を有するホモポリマーを形成できないエチレン性不飽和カルボン酸エステルに替えることは不可能であることが見出されている。好ましくはやはりTgは少なくとも60℃又はさらに少なくとも80℃であるべきである。たとえば、本発明の疎水性モノマーを他の(メタ)アクリルエステル、たとえば2−エチルヘキシルアクリレートで置換することは適切ではない。最も良い結果は一般に、とても高いTgのポリマーを形成できるモノマーを使用することによって得られる。
【0023】
それゆえ、より好ましくない製品が、疎水性モノマーとしてエチルアクリレート又はプロピルアクリレートを用いて生産される。
【0024】
イオン性モノマーは、アニオン若しくはカチオン基を含み得るか、又はその代わりに、たとえば酸無水物の形で、潜在的にイオン性であり得る。好ましくは、イオン性モノマーはエチレン性不飽和アニオン性の、若しくは潜在的にアニオン性なモノマーである。適切なアニオン性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、クロトン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等がある。好ましいアニオン性モノマーはカルボン酸又は酸無水物である。
【0025】
イオン性モノマーがアニオン性、たとえばカルボン酸又は無水物である場合、揮発性の対イオンはアンモニア又は揮発性アミン成分であり得る。それゆえ、ポリマーは遊離酸の形態で生産され、それから水酸化アンモニウム若しくは、たとえばエタノールアミンなどの揮発性アミンの水溶液で中和される。
【0026】
あるいは、該ポリマーはアニオン性モノマーのアンモニウム塩若しくは揮発性のアミン塩と疎水性モノマーの重合によって製造される。
【0027】
一般に、適切な重合方法のいずれも、マトリクスポリマーを製造し得る。たとえば、該ポリマーは、欧州特許出願公開第697423号明細書又は米国特許第5,070,136号明細書に記述されているような水性エマルジョン重合によって都合良く製造することができる。該ポリマーはそれから水酸化アンモニウム若しくは揮発性アミンの水溶液の添加によって中和され得る。
【0028】
典型的な重合方法において、疎水性モノマーとアニオン性モノマーのブレンドは、適当量の乳化剤を含む水相中で乳化される。該して乳化剤は、水性エマルジョンの形成に適する市販の乳化剤のいずれでもあり得る。
【0029】
望ましくは、これら乳化剤はモノマーの水不混和相よりも水相により溶解される傾向があり、それゆえ、高い親水親油バランス(HLB)を示す傾向がある。モノマーの乳化は、水/非水相を活発な攪拌若しくは剪断にさらすか、又はその代わりに、水/非水相を篩や網に通過させるなどの、既知の乳化技術によってもたらされる。重合はそれから、UV開始剤や熱開始剤などの、適切な開始システムの使用によってもたらされる。適切な重合開始技術は、モノマーの水性エマルジョンの温度を70又は80℃より上に上昇させ、それからモノマーの質量に基づき50乃至100ppmの過硫酸アンモニウムを添加することである。
【0030】
一般に、マトリクスポリマーは最大200,000の分子量を有する(業界標準パラメーターを用いたGPCによって測定される)。好ましくは、ポリマーは50,000より下、たとえば2,000から20,000の分子量を有する。
【0031】
通常、マトリクスポリマーにとっての最適分子量は8,000から12,000前後である。概して、モノマーブレンドは、少なくとも50質量%の疎水性モノマーを含み得、残りはアニオン性モノマーで構成されている。一般に、しかしながら、疎水性モノマーは少なくとも60質量%の量で存在する。
【0032】
好ましい組成物は65乃至90質量%、たとえば70又は75質量%の疎水性ポリマーを含む。
【0033】
特に好ましいマトリクスポリマーはスチレンとアンモニウムアクリレートのコポリマーである。より好ましくは、このポリマーは、本方法が特に炭酸アンモニウムジルコニウムである架橋剤を用いた場合に、使用される。
【0034】
本発明の方法の別案において、イオン性モノマーはカチオン性、又は、エチレン性不飽和アミンなどの、潜在的にカチオン性であり得る。本発明のこの形態において、揮発性対イオン性成分は揮発性酸成分である。それゆえに、本発明のこの形態において、該マトリクスポリマーは、アニオン性モノマーがカチオン性もしくは潜在的にカチオン性なモノマーに替えられた以外は、前述のアニオン性マトリクスポリマーと類似の方法にて形成され得る。一般に、ポリマーは、遊離アミンと、それを中和する、たとえば酢酸、ギ酸、又はさらに炭酸といった適切な揮発性酸などの疎水性モノマーとのコポリマーの形態で製造される。好ましくは、該ポリマーは揮発性カルボン酸にて中和される。疎水性モノマーに対する、カチオン性又は潜在的にカチオン性なモノマーの量は、一般に前述のアニオン性モノマーと同様である。
【0035】
該粒子は、一種以上の着色剤を捕捉し、並びに該着色剤は、たとえば染料、顔料又はレーキなどいずれの着色剤であって良い。概して、適切な着色剤としては、レーキ、酸化鉄、二酸化チタン、硫化鉄、又は化粧品配合物において使用される他の従来の顔料などの、CTFA及びFDAによって化粧品における使用が認められた、いずれの有機若しくは無機の顔料若しくは着色剤をも含む。顔料の例としては、カーボンブラック、D&C赤色7、カルシウムレーキ、D&C赤色30、タルクレーキ、D&C赤色6、バリウムレーキ、あずき色酸化鉄、黄色酸化鉄、茶色酸化鉄、タルク、カオリン、マイカ、チタンマイカ、赤色酸化鉄、ケイ酸マグネシウム、及び酸化チタン、といった無機顔料:及び、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色219号、赤色228号、赤色404号、黄色205号、黄色401号、オレンジ色401号及び青色404号、といった有機顔料等がある。バット染料の例は、赤色226号、青色204号、及び青色201号である。レーキ染料の例としては、アルミニウム、カルシウム又はバリウムとレーキされた、様々な酸性染料等がある。
【0036】
好ましくは、着色剤は水溶性染料の水溶液である。本発明に適切な染料としては、FD&C青色11号、FD&C青色12号、FD&C緑色13号、FD&C赤色13号、FD&C赤色140号、FD&C黄色15号、FD&C黄色16号、D&C青色14号、D&C青色19号、D&C緑色15号、D&C緑色16号、D&C緑色18号、D&Cオレンジ色14号、D&Cオレンジ色15号、D&Cオレンジ色110号、D&Cオレンジ色111号、D&Cオレンジ色117号、FD&C赤色14号、D&C赤色16号、D7C赤色17号、D&C赤色18号、D&C赤色19号、D&C赤色117号、D&C赤色119号、D&C赤色121号、D&C赤色122号、D&C赤色127号、D&C赤色128号、D&C赤色130号、D&C赤色131号、D&C赤色134号、D&C赤色139号、FD&C赤色140号、D&C紫色12号、D&C黄色17号、EXT.D&C黄色17号、D&C黄色18号、D&C黄色111号、D&C茶色11号、EXT.D&C紫色12号、D&C青色16号、及びD&C黄色110号、がある。該染料は周知であり、市販物質であり、それらの化学構造はたとえば、21C.F.R.パート74(1998年4月1日に改定)及び、CTFA化粧品成分ハンドブック(1988),化粧品,トイレタリー及び香料協会 出版、に記載されている。これら出版物はここに参照として組み込まれている。
【0037】
着色剤は、加熱や照射などの適切な誘発メカニズムに付されて色を呈す発色剤などの休眠着色剤である物質であり得る。適切な該捕捉化発色剤は、適切な基質上に被覆されるか又は基質内に配合され、それから、色を呈するために処理される。ポリマー化粒子として発色剤を提供する利点は、望ましい方法でより容易に加工され、基質内へ配合できることである。該発色剤は、ポリマー化粒子に捕捉されても、なおも活性化され得る。
【0038】
化粧品における使用が認められた無機若しくは有機顔料又は着色剤のいずれも、本発明に
おける使用に対して特に好ましい。好ましい顔料としては、レーキ、酸化鉄、二酸化チタン及び疎水性染料等である。認定染料は水溶性またはレーキである。レーキは、可溶染料を顔料組成物の必須部分である反応性又は吸収性の層上に沈殿させることによって製造される有機顔料である。ほとんどのレーキが、アルミニウム、バリウム、又はカルシウム由来である。肌を汚さない(油溶性染料が肌を汚す傾向にある)、一時的な色彩が望まれる場合、これら不溶性顔料が、粉末又は液体のどちらのメークアップ製品においても主に使用される。レーキは、これら製品において、酸化鉄、酸化亜鉛、及び二酸化チタン(極白色顔料)などの無機着色剤とともに用いられる。
【0039】
認定染料のみを使用して一時的なヘアカラーリンスを製造することが可能であっても、水溶性の認定染料が着色製品において主に使用される。これら染料をエマルジョン中に配合する場合、これらは水中油型システムにおいて外側の水相に可溶である。認定染料の様々な溶媒における溶解特性と、反応性化学物質に対する安定性を知ることは、有用である。
【0040】
着色剤は、食物、薬及び/又は化粧品の使用に対して、認証と永久収載をしなければならない。以下の表は、食物、薬及び/又は化粧品の使用に対して認められた、現在利用できる染料及び着色剤を示す。本発明での使用に対する選択された着色剤は、好ましくは、以下の例示的なリストから選択される。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
いくつかの着色剤が認証から免除され、アルミニウム粉末、アンナット、ビスマス酸塩化物、ブロンズ粉末、カラメル、カーマイン、ベータカロテン、水酸化クロム緑、酸化クロム緑色銅(金属粉末)、ジヒドロキシアセトン、二ナトリウムEDTA−銅、フェロシアン化鉄アンモニウム、フェロシアン化鉄、グアニン(真珠エッセンス)、グアイアズレン(アズレン)、酸化鉄、発光性硫化亜鉛、マンガンバイオレット、マイカ、葉ろう石、銀(マニキュアの着色用)、二酸化チタン、ウルトラマリン(青色、緑色、ピンク色、赤色及び紫色)、及び酸化亜鉛などが、化粧品の使用に対して永久収載されている。
【0045】
本発明の方法は、水に不混和な液体の中への、着色剤を含むマトリクスポリマー水溶液の分散を含む。概して、水に不混和な液体は、有機液体及び有機液体のブレンドである。好ましい有機液体は、不揮発性のパラフィン油と揮発性のパラフィン油の混合物である。二種の油は質量で当量用いられ得、しかしながら、一般に、たとえば50から70質量部より多くの不揮発性油と、25から50未満の質量部の揮発性油などのように、不揮発性油が過剰に用いられることがしばしば好まれる。
【0046】
本発明の第二の局面に従った方法において、水に不混和な液体中に両親媒性ポリマー安定剤を含むことは本発明にとって望ましい。該両親媒性安定剤は、たとえば、ハイパーマ(HYPERMER)(登録商標)(ICIより入手可能)などの、適切な市販の両親媒性安定剤のいずれであってもよい。適切な安定剤はまた、国際公開第97/24179号パンフレット内に記述された安定剤を含む。
【0047】
界面活性物質などの該両親媒性安定剤に加えて、他の安定化物質を含むことが可能ではあるが、単独の安定化物質が両親媒性安定剤であることが一般に好まれる。
【0048】
本発明の方法において、脱水段階は簡便な手段のいずれによっても達成され得る。望ましくは、油中の分散液を減圧蒸留に付すことが脱水をもたらす。一般に、これは、たとえば30℃又はそれより高温などの高い温度を要求する。たとえば80から90℃といったより高い温度を用いることも可能ではあり得るが、60又は70℃より下の温度を用いることが一般に好まれる。
【0049】
減圧蒸留のかわりに、噴霧乾燥によって脱水をもたらすことも望ましくあり得る。適切に
は、国際公開第97/34945号パンフレットに記述された噴霧乾燥方法によって達成され得る。脱水段階は、マトリクスポリマーの水溶液、及びまた揮発性対イオン成分から水を除去し、水に不溶で膨潤しない乾燥ポリマーマトリクスとし、該ポリマーマトリクスは、その至るところに分布した着色剤をその中に含む。
【0050】
その中に配合された(マイクロ)カプセル化着色剤を有する、パーソナルケア又は化粧品配合物組成物を使用することは、使用の際に望ましい効果を生みだすことが今や見出された。特に、独自の特徴的な色を有するマイクロカプセル化着色剤のブレンド、特に一種以上の原色のブレンドを含む組成物は、自然な、きめのある肌の色調の効果を生むための効果的な手段である。原色は赤色、黄色及び青色であると理解される。これらカプセル化物のさらなる特徴は、非カプセル化着色剤ではしばしば直面する製粉又は粉砕をなくすことである。
【0051】
本発明によるパーソナルケア組成物は、組成物の総質量に基づいて、0.1乃至40質量%、たとえば1乃至20質量%、特に2乃至15質量%のマイクロカプセル化着色剤、及び、美容上容認できるキャリヤ及び補助剤を含む。水が美容上容認でき、ほとんどの場合に水もまた存在するが、用語「美容上容認できるキャリヤ及び補助剤」は、パーソナルケア又は化粧品組成物に習慣的に使用される、水以外の少なくとも一種の物質を示すことを意味する。
【0052】
0.1乃至50ミクロン、たとえば5乃至40ミクロン、特に10乃至30ミクロンのマイクロカプセル化微粒子の平均直径が好まれる。
【0053】
本発明によるパーソナルケア又は化粧品製剤は、油中水型又は水中油型エマルジョンとして、アルコール性又はアルコール含有配合物として、イオン性又は非イオン性両親媒性脂質の小胞性分散液として、ゲルとして、又は固形スティックとして処方され得、好ましくは、化粧品製剤は液体形態である。
【0054】
油中水型又は水中油型エマルジョンとして、美容上容認できる補助剤は、好ましくは5乃至50%の油相、5乃至20%の乳化剤及び30乃至90%の水を含む。油相は、たとえば一種以上の炭化水素油、ワックス、天然油、シリコン油、脂肪酸エステル又は脂肪族アルコールなどの、化粧品配合物に対して適切な油のいずれをも含み得る。
【0055】
化粧品液体は、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール又はソルビトールといった、モノオール又はポリオールを含み得る。
【0056】
本発明による化粧品配合物は、広く様々な化粧品製剤に含まれ得る。特に、たとえば以下の製剤が考慮される。
−シェービング製剤、たとえば、シェービング石鹸、泡状シェービングクリーム、非泡状シェービングクリーム、フォーム及びジェル、ドライシェービングのためのプレシェーブ製剤、アフターシェーブ類又はアフターシェーブローション、
−スキンケア製剤、たとえば、スキンエマルジョン、マルチエマルジョン、又はスキンオイル、及びボディパウダー、
−パーソナルケア化粧品製剤、たとえば、口紅、アイシャドウ、リキッドメークアップ、デイクリーム又はパウダー、フェイシャルローション、クリーム及びパウダー(ルースまたはプレス)の形態のフェイシャルメークアップ、
−光保護製剤、たとえば、日焼けローション、クリーム及びオイル、日焼け防止剤及び日焼け前製剤、
−デオドラント、たとえば、デオドラントスプレー、ポンプ式スポレー、デオドラントジ
ェル、スティック又は回転塗布剤、
−制汗剤、たとえばスティック、クリーム又は回転塗布型制汗剤、及び
−固体/液体パーソナルクリーニング製品、たとえば石鹸、クレンザー、シャンプー、およびコンディショナー。
【0057】
パーソナルケア製剤の形態に応じて、カプセル化着色剤に加えて、さらなる成分、たとえば金属イオン封鎖剤、付加的な非カプセル化着色剤、香料、増粘剤又は凝固(コンシステンシー調整)剤、皮膚軟化剤、UV吸収剤、皮膚保護剤、酸化防止剤、及び防腐剤、を含む。
【0058】
本発明による組成物は、当業者に周知の方法で、適切なカプセル化着色剤をパーソナルケア配合物の中に物理的に混合することにより、製造され得る。実施例はそれら方法のいくつかを説明する。
【0059】
本方法の一つの実施態様において、パーソナルケア又は化粧品配合物は、該配合物の総質量に基づいて、0.1乃至40質量%、たとえば1乃至20質量%、特に2乃至15質量%のマイクロカプセル化着色剤を含む。
【0060】
本方法の一つの実施態様において、パーソナルケア及び化粧品組成物は、ポリマーマトリクス物質内でそれぞれ提供されるマイクロカプセル化着色剤のブレンドを含む。
【0061】
本方法の一つの実施態様において、パーソナルケア及び化粧品組成物は、油中水型又は水中油型エマルジョンとして、アルコール性又はアルコール含有配合物として、イオン性又は非イオン性両親媒性脂質の小胞性分散液として、ゲルとして、又は固形スティックとして、処方される。
【0062】
本方法の様々な実施態様において、パーソナルケア及び化粧品組成物は、シェービング製剤、スキンケア製剤、パーソナルケア化粧品製剤、光保護製剤、デオドラント若しくは制汗剤、又はパーソナルクリーニング製品の形態にある。
【0063】
以下の実施例は本発明のある実施態様を記述するものであるが、本発明はそれらに限定されない。本発明の精神又は範囲から離れることなくして、ここになされた開示にしたがって、開示された実施態様に多数の変化をなすことが可能であることが、理解されるべきである。これら実施例はそれゆえに、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。むしろ、本発明の範囲は、添付された請求項及びそれらと等価なものによってのみ、決定されるものである。これら実施例における示された全ての部は、他に表示がない限り、質量による。
【実施例】
【0064】
実施例1
396gのスチレンとアンモニウムアクリレートのコポリマーの25%溶液に10gのFD&C青色1号を溶解し、それから、9.9gの50%炭酸アンモニウムジルコニウムを加えることによって、水溶液を製造した。50gの20%ポリマー安定剤、89gのクリストールM14油及び70.4gのイソパーG溶剤を混合することによって、油溶液を製造した。水溶液を攪拌した油溶液に加え、その後高剪断シルバーソンミキサーを用いて油中水型エマルジョンを形成させるために均一化した。15分の乳化後、さらに179gのイソパーGを希釈剤として加えた。
【0065】
得られたエマルジョンを、減圧蒸留能力を有する樹脂ポットに移した。エマルジョンを25℃に温め、ウォーター/イソパーG混合物を約30℃の一定温度の減圧下にて蒸留した
。水及び溶媒の容積がモニターされ、さらなる水が留出物中に集められなくなるまで蒸留が続けられ、それから温度を減圧下で100℃まで上昇させた。油中の乾燥させた染料ポリマー粒子を、それから、アンモニアの除去と、カルボキシル化スチレンベースのマトリクスポリマーを水に不溶な形態へと架橋させるために、100℃で60分間保持した。フラスコの内容物を冷却した。染料ポリマー粒子の油中分散液は安定であり、2ミクロン以下の平均直径を有した。
【0066】
実施例2
10gの水溶性赤色(FD&C赤色7号)をFD&C青色1号染料のかわりに用いたほかは、実施例1と同様に行った。赤色染料ポリマー粒子の油中分散液が得られた。
【0067】
実施例3
10gの赤色顔料(FD&C赤色7号、アルミニウムレーキ)をポリマー溶液の水溶液に分散させたほかは、実施例1と同様に行った。ポリマーマトリクス内にカプセル化された赤色顔料の油中分散液が得られた。
【0068】
実施例4
10gの黄色顔料(D&C黄色10号、アルミニウムレーキ)をポリマー溶液の水溶液に分散させたほかは、実施例1と同様に行った。ポリマーマトリックス内にカプセル化された黄色顔料の油中分散液が得られた。
【0069】
1.口紅
【表4】

【0070】
手順
A相を混合し、90乃至105℃に加熱し、均一化するまで混合した。B相をそれから均質になるまで攪拌しながら加えた。口紅が型に注がれる間、温度を70℃より上に維持した。
【0071】
中程度保護の日焼け止め
【表5】

【0072】
適当な容器の中にA相を加え、中程度の攪拌を開始した。B相を加え、均一化するまで混合した。C相を加え、それからD相を加え、良く混ざり合うまで混合した。
【0073】
タルクを含まないルースフェイスパウダー
【表6】

【0074】
完全に分散するまでAを一緒に粉砕した。BをAに加え、均一化するまで混合した。
【0075】
水中油型フェイシャルファンデーション
【表7】

【0076】
手順
ホモジナイザーを用いてA相の成分を混合し、80℃に加熱を始めた。B相及びC相を加え、1時間均質化した。別のビーカー中に、D相の成分を混合し、80℃に加熱し、均一化するまで混合した。全てのD相の成分が均一化した後、均質化が持続している主相にゆっくりと加えた。D相の添加が終了した後、80℃で15分間均質化し、バッチの冷却を開始した。60℃にて中程度の攪拌を用いるパドルミキシングに替えた。E相を加え、均質化混合物が得られるまで混ぜ合わせた。50℃にてF相を加えた。バッチを室温に達するまで冷却した。
【0077】
1.プレスパウダーアイシャドー(紫色)
【表8】

【0078】
手順
成分を混合し、良く混ぜ合わせた。100℃に加熱し、2000psiで加圧した。
【0079】
ネイルエナメル(紫色)
【表9】

【0080】
手順
A相を混合し、均一化するまで混ぜ合わせた。B相を別の容器中で混合し、均一化するまで混ぜ合わせた。均一化するまで攪拌しながらB相をA相に加えた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロカプセル化着色剤のブレンドを含むパーソナルケア若しくは化粧品組成物であって、マイクロカプセル化着色剤は1乃至50ミクロンの粒子サイズを有し、及び、マイクロカプセル化着色剤のブレンドは互いに別個である少なくとも二色から選択されるところの組成物。
【請求項2】
マイクロカプセル化着色剤のブレンドは少なくとも二種の原色から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
原色は赤色、黄色、青色である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
マイクロカプセル化着色剤のブレンドは組成物の総質量に基づいて0.1乃至40%含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
マイクロカプセル化着色剤は、天然染料、合成染料、有機顔料、無機顔料をカプセル化したポリマーマトリクス物質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ポリマーマトリクス物質は、エチレン性不飽和イオン性モノマーである第一モノマーと、エチレン性不飽和疎水性モノマーである第二モノマーを含むモノマーのブレンドから形成され、エチレン性不飽和疎水性モノマーは50℃以上のガラス転移温度を有するホモポリマーを形成する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
パーソナルケア若しくは化粧品組成物はシェービング製剤、スキンケア製剤、パーソナルケア化粧品製剤、光保護製剤、デオドラント若しくは制汗剤、又はパーソナルクリーニング製品の形態にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
組成物の総質量に基づいて、0.1乃至35質量%のマイクロカプセル化着色剤のブレンドを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
油中水型又は水中油型エマルジョンとして、アルコール性又はアルコール含有配合物として、イオン性又は非イオン性両親媒性脂質の小胞性分散液として、ゲルとして、又は固形スティックとして処方される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
金属イオン封鎖剤、非カプセル化着色剤、香料、増粘剤又は凝固(コンシステンシー調整)剤、皮膚軟化剤、UV吸収剤、皮膚保護剤、酸化防止剤、及び防腐剤からなる群から選択される少なくとも一種のさらなる成分を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
身体の美容処理方法であって、前記身体の少なくとも一部に、請求項1に記載のマイクロカプセル化着色剤のブレンドを含むパーソナルケア又は化粧品組成物を適用することからなる方法。
【請求項12】
マイクロカプセル化着色剤のブレンドは、組成物の総質量に基づいて0.1乃至40質量%含まれる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各々のマイクロカプセル化着色剤は、天然染料、合成染料、有機顔料又は無機顔料をカプセル化したポリマーマトリクス物質を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ポリマーマトリクス物質は、エチレン性不飽和イオン性モノマーである第一モノマーと、エチレン性不飽和疎水性モノマーである第二モノマーを含むモノマーのブレンドから形成
され、エチレン性不飽和疎水性モノマーは50℃以上のガラス転移温度を有するホモポリマーを形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
パーソナルケア若しくは化粧品組成物はシェービング製剤、スキンケア製剤、パーソナルケア化粧品製剤、光保護製剤、デオドラント若しくは制汗剤、又はパーソナルクリーニング製品の形態にある、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
組成物の総質量に基づいて、0.1乃至40質量%のマイクロカプセル化着色剤のブレンドを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
油中水型又は水中油型エマルジョンとして、アルコール性又はアルコール含有配合物として、イオン性又は非イオン性両親媒性脂質の小胞性分散液として、ゲルとして、又は固形スティックとして処方される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
金属イオン封鎖剤、非カプセル化着色剤、香料、増粘剤又は凝固(コンシステンシー調整)剤、皮膚軟化剤、UV吸収剤、皮膚保護剤、酸化防止剤、及び防腐剤からなる群から選択される少なくとも一種のさらなる成分を含む、請求項17に記載の組成物。


【公表番号】特表2006−519211(P2006−519211A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502026(P2006−502026)
【出願日】平成16年2月16日(2004.2.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050131
【国際公開番号】WO2004/075679
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】