説明

着色組成物、カラーフィルタ及びその製造方法、液晶表示装置、並びに固体撮像素子

【課題】色純度が高く、薄層化した場合に高い吸光係数が得られると共に、堅牢性(特に耐光性)に優れた着色組成物並びにカラーフィルタ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(a)で表される化合物を含有する着色組成物である〔A:一般式(I)で表されるジピロメテン系化合物が金属又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物の任意の水素原子を一つ除いた残基、L:単結合、2価の連結基、B:テトラシアノキノジメタン系化合物、ビオロゲン系化合物、アントラキノン系化合物、及びテトラアザポルフィリン系化合物より選ばれる化合物の任意の水素原子を一つ除いた残基、R〜R:水素原子、置換基、R:水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基〕。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色組成物、並びにこれを用いたカラーフィルタ及びその製造方法、液晶表示装置、及び固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カラーフィルタは、有機顔料や無機顔料を分散させた顔料分散組成物と、多官能モノマー、重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂、及び必要に応じてその他の成分とを含有して感光性の着色組成物を調製し、これを用いてフォトリソ法、インクジェット法などにより着色パターンを形成することで製造されている。
【0003】
近年、カラーフィルタは、液晶表示素子(LCD)用途においてモニターのみならずテレビ(TV)へと用途が拡大する傾向にある。この用途拡大の傾向に伴ない、カラーフィルタには、色度、コントラストなどにおいて高度の色特性が要求されるに至っている。また、イメージセンサ(固体撮像素子)用途のカラーフィルタにおいても、同様に色ムラの低減、色分解能の向上など色特性の高いものが求められるようになっている。
【0004】
ところが、従来の顔料分散系では、顔料の粗大粒子による散乱の発生、分散安定性不良による粘度上昇等の問題が起きやすく、コントラスト、輝度をさらに向上させることは困難であることが多い。
【0005】
そこで、従来から着色材として、顔料だけでなく、染料を用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。着色剤として染料を使用すると、染料自体の色純度やその色相の鮮やかさにより、画像表示させたときの表示画像の色相や輝度を高めることができ、かつ粗大粒子がなくなるためコントラストを向上させられる点で有用とされている。
【0006】
染料としては、ジピロメテン系染料、ピリミジンアゾ系染料、ピラゾールアゾ系染料、キサンテン系染料など、多種多様な色素母体を持つ化合物が知られている(例えば、特許文献2〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−75375号公報
【特許文献2】特開2008−292970号公報
【特許文献3】特開2007−039478号公報
【特許文献4】特許第3387541号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、着色剤として染料を使用した場合、従来の顔料を使用した場合と比較して、耐光性、耐熱性、電圧保持率の低下を生じ易いという傾向にあり、このうち特に、耐光性の低下はカラーフィルタが有する色特性を変化させることを意味し、色特性を長期間維持する観点からは好ましくない。
また、従来から種々知られている染料化合物では、耐光性が不充分であり、より一層の改善が望まれている。
【0009】
本発明は、色純度が高く、薄層化した場合に高い吸光係数が得られると共に、堅牢性(特に耐光性)に優れた着色組成物、並びにこれを用いたカラーフィルタ及びその製造方法、並びに、長期に亘り画像の色調、色再現性に優れた液晶表示素子及び固体撮像素子を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(a)で表される化合物(互変異性体を含む。)を含有する着色組成物である。
【化1】

【0011】
前記一般式(a)において、Aは、下記一般式(I)で表されるジピロメテン系化合物が金属又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物の任意の水素原子を一つ除いた残基を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。Bは、テトラシアノキノジメタン系化合物、ビオロゲン系化合物、アントラキノン系化合物、及びテトラアザポルフィリン系化合物より選ばれる化合物の任意の水素原子を一つ除いた残基を表す。
【0012】
【化2】

【0013】
前記一般式(I)において、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
【0014】
<2> 前記一般式(a)中のAは、下記一般式(I−3)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物(互変異性体を含む。)の任意の水素原子を一つ除いた残基である前記<1>に記載の着色組成物である。
【0015】
【化3】

【0016】
前記一般式(I−3)において、R、R、R、及びRは、各々独立に水素原子又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属又は金属化合物を表し、X及びXは、各々独立に、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Y及びYは、各々独立に、NRc(Rcは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、又は炭素原子を表す。R及びRは、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。RとYが互いに結合し、5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、RとYが互いに結合し、5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。Xは、Maと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。
【0017】
<3> 前記一般式(a)中のBは、アントラキノン系化合物及びテトラアザポルフィリン系化合物より選ばれる化合物の任意の水素原子を一つ除いた残基である前記<1>又は前記<2>に記載の着色組成物である。
<4> 前記アントラキノン系化合物が、下記の一般式(III)で表されるジアミノアントラキノン系化合物である前記<1>〜前記<3>のいずれか1項に記載の着色組成物である。
【0018】
【化4】

【0019】
前記一般式(III)において、R10、R11、R12、及びR13は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。但し、R10とR11とは同時に水素原子を表すことはなく、R12とR13とは同時に水素原子を表すことはない。
【0020】
<5> 更に、重合性化合物と光重合開始剤とを含む前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の着色組成物である。
<6> 前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の着色組成物を支持体上に付与して形成されたカラーフィルタである。
<7> 前記一般式(a)で表される化合物(互変異性体を含む。)を含有するカラーフィルタである。
<8> 前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の着色組成物を支持体上に塗布して着色層を形成する工程と、形成された前記着色層をパターン状に露光し、現像してパターン状の着色領域を形成する工程と、を有するカラーフィルタの製造方法である。
<9> 前記<6>又は前記<7>に記載のカラーフィルタ、又は前記<8>に記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタを備えた液晶表示装置である。
<10> 前記<6>又は前記<7>に記載のカラーフィルタ、又は前記<8>に記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタを備えた固体撮像素子である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、色純度が高く、薄層化した場合に高い吸光係数が得られると共に、堅牢性(特に耐光性)に優れた着色組成物、並びにこれを用いたカラーフィルタ及びその製造方法を提供することができる。本発明の着色組成物は、青色、緑色、赤色の着色画素が配置されたカラーフィルタの形成に好適に用いられる。また、
本発明によれば、長期に亘り画像の色調、色再現性に優れた液晶表示素子及び固体撮像素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の着色組成物、並びにこれを用いたカラーフィルタ及びその製造方法、及び液晶表示装置、固体撮像素子について、詳細に説明する。
【0023】
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、以下に示す一般式(a)で表される化合物から選ばれる1種又は2種以上を用いて構成されたものであり、好ましくは、更に重合性化合物、光重合開始剤を用いて感光性に構成される。また、本発明の着色組成物は、必要に応じて、更に、アルカリ可溶性樹脂等のバインダー、有機溶剤など、並びに各種添加剤を用いて構成することができる。
【0024】
本発明においては、ジピロメテン系化合物が金属又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物を着色成分として含ませようとする場合に、該ジピロメテン系金属錯体化合物に連結基を介して特定構造の基Bを連結させた化合物を着色剤として含有することで、耐光性、コントラスト、及び輝度に優れた着色画像(例:カラーフィルタの着色画素など)を形成することができる。
【0025】
ジピロメテン系染料の光分解機構は、その作用機構は明確ではないが、光によって励起された励起分子が基底状態に戻らず、一重項酸素などと反応して分解すると考えられ、励起状態の分子をいかに安定な基底状態に戻すかが重要である。励起状態の分子を安定な基底状態に戻すための方法の一つとして、エネルギー移動消光が考えられる。すなわち、励起された分子の電子雲に重なるように、別の電子雲が存在することで、エネルギー移動が生じ、励起分子が基底状態に失活される。本発明においては、一般式(a)で表される化合物は、その分子中に、励起されたジピロメテン系金属錯体化合物(一般式(a)中の残基A)の電子雲に重なるような電子雲を有する特定の化合物に由来する残基Bが連結された構造を有している点に特徴があり、これによりエネルギー移動が生じてジピロメテン系金属錯体化合物部位の励起分子が基底状態に失活される。
一方、励起状態の分子を安定な基底状態に戻すための別の方法として、電子移動消光が考えられる。すなわち、酸化還元電位の高低により光励起状態の分子と基底状態の別の分子との間で電子移動が生じ、励起分子が基底状態に失活される。すなわち、一般式(a)中の残基Aで表されるジピロメテン系金属錯体化合物由来の部位の還元電位(Ered=−0.8〜−1.3)に比べ、残基Bの還元電位は低くなっており(Ered=−0.5〜−1.0)、光励起状態の残基A(ジピロメテン系金属錯体化合物の部位)と基底状態の特定構造の残基Bとの間で電子移動が起こり、励起分子は基底状態に失活される。
前記一般式(a)中の特定構造の残基Bは、上記消光機構のうちいずれかに基づいた構造となっている。
【0026】
また、これらのエネルギー移動効率や電子移動効率は、染料部位である残基Aと消光部位である残基Bとの距離も影響すると考えられ、両者間が近ければ近いほど効率は上がる。そのため、染料部位である残基Aと消光部位である残基Bとが結合されて一分子中に有していることが、これら染料部位と消光部位とをそれぞれ別々の分子として存在する態様よりも消光効率が上がると考えられる。この点に関連して、例えば特開2008−292970号公報に記載のジピロメテン系染料では、特に励起分子のエネルギー移動や電子移動を促進させるような部位を有しないため、基底状態に戻り難く、その結果として耐光性が必ずしも充分といえない場合があると考えられる。
【0027】
(一般式(a)で表される化合物)
本発明の着色組成物は、下記一般式(a)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する。なお、一般式(a)で表される化合物には、その互変異性体も含まれる。
【0028】
【化5】

【0029】
一般式(a)において、Aは、下記一般式(I)で表されるジピロメテン系化合物が金属又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物の任意の水素原子を一つ除いた残基を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。Bは、テトラシアノキノジメタン系化合物、ビオロゲン系化合物、アントラキノン系化合物、及びテトラアザポルフィリン系化合物より選ばれる化合物の任意の水素原子を一つ除いた残基を表す。
【0030】
【化6】

【0031】
前記一般式(I)において、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
【0032】
以下、前記一般式(a)における各基について説明する。
一般式(a)中、Lは、単結合、又は2価の連結基を表す。
Lが2価の連結基を表す場合、2価の連結基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、複素環から2個水素を除いた2価の基、−O−、−S−、―NR−(Rは水素又は1価の置換基を表す。)、−SO−、−CO−、−CS−、−C(=NH)−、又はこれらの複数を組み合わせてなる二価の連結基が好適に挙げられる。2価の連結基としてより好ましくは、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のフェニレン基、スルホニルアミノ基、又はこれらの複数を組み合わせてなる二価の連結基であり、特に好ましくは、炭素数1〜12(中でも、炭素数1〜10、更には炭素数1〜6)のアルキレン基、スルホンアミド基、又はこれらの複数を組み合わせてなる二価の連結基である。
【0033】
次に、一般式(a)中のAで表される、下記一般式(I)で表されるジピロメテン系化合物が金属又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物の任意の水素原子を一つ除いた残基について、詳細に説明する。
【0034】
【化7】

【0035】
一般式(I)中、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は1価の置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
Aで表される残基は、R〜Rを含むジピロメテン系金属錯体化合物に存在するいずれか1つの水素原子が外れてLと結合する。水素原子が外れる位置に特に制限はない。
【0036】
〜Rで表される1価の置換基は、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−ノルボルニル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜18のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、シリル基(好ましくは炭素数3〜38、より好ましくは炭素数3〜18のシリル基で、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリブチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ヘキシルジメチルシリル基)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基で、シクロアルキルオキシ基も含まれる。具体的な例としては、メトキシ基、エトキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ドデシルオキシ基、またシクロアルキルオキシ基であれば、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルオキシ基で、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基が含まれる。具体的な例としては、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、またシクロアルキルオキシカルボニルオキシ基であれば、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜48、よりこの好ましくは炭素数1〜24のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N−ブチルカルバモイルオキシ基、N−フェニルカルバモイルオキシ基、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ基)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ基、N−プロピルスルファモイルオキシ基)、
【0037】
アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜38、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ基、ヘキサデシルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基)、アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアシル基で、例えば、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、テトラデカノイル基、シクロヘキサノイル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−エチル−N−オクチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−メチルN−フェニルカルバモイル基、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル基)、アミノ基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のアミノ基で、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、テトラデシルアミノ基、2−エチルへキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基)、アニリノ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは6〜24のアニリノ基で、例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは1〜18のヘテロ環アミノ基で、例えば、4−ピリジルアミノ基)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは2〜24のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド基、ベンズアミド基、テトラデカンアミド基、ピバロイルアミド基、シクロヘキサンアミド基)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のウレイド基で、例えば、ウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N−フェニルウレイド基)、イミド基(好ましくは炭素数36以下、より好ましくは炭素数24以下のイミド基で、例えば、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基)、
【0038】
スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、ヘキサデカンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルアミノ基で、例えば、N、N−ジプロピルスルファモイルアミノ基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ基)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ基、3−ピラゾリルアゾ基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、オクチルチオ基、シクロヘキシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2−ピリジルチオ基、1−フェニルテトラゾリルチオ基)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ヘキサデシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル基、N−エチル−N−フェニルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル基、オクチルオキシホスホニル基、フェニルホスホニル基)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ基、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ基)を表す。
【0039】
上述した1価の置換基が更に置換可能な基である場合には、上述した各基のいずれかによって更に置換されていてもよい。なお、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0040】
一般式(I)において、RとR、RとR、RとR、及びRとRは、各々独立に、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。なお、形成される環としては、飽和環、又は不飽和環がある。この5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環が挙げられる。
なお、形成される5員、6員、及び7員の環が、更に置換可能な基である場合には、前記置換基Rのいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0041】
また、一般式(I)において、Rがハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基である場合、これらの好ましい範囲は、前述のR〜Rとしてのハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基の好ましい範囲と同様である。
【0042】
一般式(I)において、前記R及びRとしては、上記の中でも、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基が好ましく、カルボンアミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基がより好ましく、カルボンアミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基が更に好ましく、カルボンアミド基、ウレイド基が特に好ましい。
【0043】
一般式(I)において、前記R及びRとしては、上記の中でも、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基が好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基がより好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基が更に好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基が特に好ましい。
【0044】
一般式(I)において、前記R及びRとしては、上記の中でも、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基が好ましく、更に好ましくは置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基である。
【0045】
一般式(I)において、R及びRがアルキル基を表す場合の、該アルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状の置換又は無置換のアルキル基であり、より具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、ベンジル基が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜12の分岐鎖、又は環状の置換又は無置換のアルキル基であり、より具体的には、例えば、イソプロピル基、シクロプロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられ、更に好ましくは、炭素数1〜12の2級又は3級の置換又は無置換のアルキル基であり、より具体的には、例えば、イソプロピル基、シクロプロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
【0046】
一般式(I)において、R及びRがアリール基を表す場合の、該アリール基としては、好ましくは、置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のナフチル基が挙げられ、より好ましくは置換又は無置換のフェニル基である。
及びRがヘテロ環基を表す場合の、該ヘテロ環基としては、好ましくは、置換又は無置換の2−チエニル基、置換又は無置換の4−ピリジル基、置換又は無置換の3−ピリジル基、置換又は無置換の2−ピリジル基、置換又は無置換の2−フリル基、置換又は無置換の2−ピリミジニル基、置換又は無置換の2−ベンゾチアゾリル基、置換又は無置換の1−イミダゾリル基、置換又は無置換の1−ピラゾリル基、置換又は無置換のベンゾトリアゾール−1−イル基が挙げられ、より好ましくは置換又は無置換の2−チエニル基、置換又は無置換の4−ピリジル基、置換又は無置換の2−フリル基、置換又は無置換の2−ピリミジニル基、置換又は無置換の1−ピリジル基が挙げられる。
【0047】
次に、ジピロメテン系金属錯体化合物を形成する金属原子又は金属化合物について説明する。
金属又は金属化合物としては、錯体を形成可能な金属原子又は金属化合物であればいずれであってもよく、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、又は2価の金属塩化物が含まれる。例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe、B等の他に、AlCl、InCl、FeCl、TiCl、SnCl、SiCl、GeClなどの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、Si(OH)等の金属水酸化物も含まれる。
これらの中でも、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、及び製造適性等の観点から、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、B、又はVOが好ましく、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、B、又はVOが更に好ましく、Fe、Zn、Cu、Co、B、又はVO(V=O)が最も好ましい。これらの中でも、特にZnが好ましい。
【0048】
前記一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物において、好ましい態様を以下に示す。すなわち、
一般式(I)において、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され、R及びRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され、R及びRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され、Rが、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で表され、金属原子又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、B、又はVOで表される態様が挙げられる。
【0049】
ジピロメテン系金属錯体化合物のより好ましい態様を以下に示す。すなわち、
前記一般式(I)において、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され、R及びRが、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され、Rが、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で表され、金属原子又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、B又はVOで表される態様が挙げられる。
【0050】
前記一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物の好ましい態様は、下記一般式(I−1)、(I−2)及び(I−3)で表される錯体化合物である。
【0051】
【化8】

【0052】
前記一般式(I−1)において、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表し、Xは、Maに結合可能な基を表し、Xは、Maの電荷を中和するために必要な基を表す。なお、XとXとは、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。
【0053】
一般式(I−1)中のR〜Rは、一般式(I)中のR〜Rと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−1)中のMaは、金属原子又は金属化合物を表し、前記「一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体」における金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
一般式(I−1)中のRは、一般式(I)中のRと同義であり、好ましい態様も同様である。
【0054】
一般式(I−1)におけるXは、Maに結合可能な基であればいずれであってもよく、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)等、更に「金属キレート」[1]坂口武一・上野景平著(1995年 南江堂)、同[2](1996年)、同[3](1997年)等、に記載の化合物に由来する基が挙げられる。中でも、製造の点で、水、カルボン酸化合物、アルコール類、アミン化合物、アミド化合物が好ましく、水、カルボン酸化合物、アミド化合物がより好ましい。
【0055】
一般式(I−1)におけるXは、Maの電荷を中和するために必要な基を表し、例えば、ハロゲン原子又は、水酸基、カルボン酸基、燐酸基、スルホン酸基、R−CONHCO−R(Rは、各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。)、及びR−CONHSO−R(Rは、各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。)等の各基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。中でも、Xは、製造の点で、ハロゲン原子又は、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、R−CONHCO−R、及びR−CONHSO−Rの各基から水素原子を1つ除いた基が好ましく、水酸基、カルボン酸基、及びR−CONHCO−Rの各基から水素原子を1つ除いた基がより好ましい。
【0056】
一般式(I−1)におけるXとXとは互いに結合してMaと共に5員、6員、又は7員の環を形成してもよい。形成される5員、6員、及び7員の環は、飽和環であっても不飽和環であってもよい。また、5員、6員、及び7員の環は、炭素原子及び水素原子のみで構成されていてもよい、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選ばれる原子を少なくとも1個有するヘテロ環であってもよい。
【0057】
【化9】

【0058】
前記一般式(I−2)において、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。R及びR14は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表す。
【0059】
一般式(I−2)中のR〜Rは、一般式(I)中のR〜Rと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−2)中のR〜R13で表される置換基は、一般式(I)で表される化合物のR〜Rで表される置換基と同義であり、その好ましい態様も同様である。一般式(I−2)で表される化合物のR〜R13で表される置換基が更に置換可能な基である場合には、前述した置換基Rのいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0060】
一般式(I−2)中のRは、一般式(I)中のRと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−2)中のR14は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R14の好ましい範囲は、前記Rの好ましい範囲と同様である。R14が更に置換可能な基である場合には、前述した置換基Rのいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0061】
一般式(I−2)中のMaは、金属又は金属化合物を表し、前記「一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体」における金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
【0062】
一般式(I−2)中のRとR、RとR10、R11とR12、R12とR13は、各々独立に、互いに結合して5員、6員、又は7員の飽和環、或いは不飽和環を形成していてもよい。形成される飽和環、又は不飽和環としては、RとR、RとR、RとR、及びRとRで形成される飽和環、又は不飽和環と同義であり、好ましい例も同様である。
【0063】
【化10】

【0064】
前記一般式(I−3)において、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。R及びRは、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表す。X及びXは、各々独立に、NRa(Raは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Y及びYは、各々独立に、NRb(Rbは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、酸素原子、硫黄原子、又は炭素原子を表す。Xは、Maと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。RとYとは互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、RとYとは互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。
【0065】
一般式(I−3)中のR〜R、及びRは、一般式(I)中のR〜R、及びRと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−3)中のMaは、金属又は金属化合物を表し、前記一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体における金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
【0066】
一般式(I−3)中、R及びRは、各々独立に、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜18のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは1〜18のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基)、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜18のアルキルアミノ基で、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、t−ブチルアミノ基、t−オクチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリールアミノ基で、例えば、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基)、又はヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環アミノ基で、例えば、2−アミノピロール基、3−アミノピラゾール基、2−アミノピリジン基、3−アミノピリジン基)を表す。
【0067】
一般式(I−3)中、R及びR表されるアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基が、更に置換可能な基である場合には、前記置換基Rのいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0068】
一般式(I−3)中、X及びXは、各々独立に、NRa、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Raは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは2〜18のアシル基で、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−エチルヘキシル基、ベンゾイル基、シクロヘキサノイル基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜18のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは6〜18のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基)を表す。また、Raが置換可能な場合はさらに置換基で置換されていてもよく、複数の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
及びXとして好ましくは、各々独立に、酸素原子、又は硫黄原子であり、X及びXとして特に好ましくは、ともに酸素原子である。
【0069】
一般式(I−3)中、Y及びYは、各々独立にNRb、硫黄原子、又は炭素原子を表し、Rbは、前記XにおけるRaと同義である。
及びYとして好ましくは、各々独立に、NRb(Rbは水素原子、又は炭素数1〜8のアルキル基)であり、Y及びYとして特に好ましくは、ともにNHである。
【0070】
一般式(I−3)中、RとYとが互いに結合して、R、Y、及び炭素原子と共に5員環(例えば、シクロペンタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン)、6員環(例えば、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ペンタメチレンスルフィド、ジチアン、ベンゼン、ピペリジン、ピペラジン、ピリダジン、キノリン、キナゾリン)、又は7員環(例えば、シクロヘプタン、ヘキサメチレンイミン)を形成してもよい。
【0071】
一般式(I−3)中、RとYとが互いに結合して、R、Y、及び炭素原子と共に5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。形成される5員、6員、及び7員の環は、前記のRとY及び炭素原子で形成される環中の1個の結合が二重結合に変化した環が挙げられる。
【0072】
一般式(I−3)中、RとY、及びRとYが結合して形成される5員、6員、及び7員の環が、更に置換可能な環である場合には、前記置換基Rのいずれかで説明した基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0073】
一般式(I−3)中、XはMaと結合可能な基を表し、前記一般式(I−1)におけるXと同様な基が挙げられる。aは0、1、又は2を表す。
【0074】
一般式(I−3)で表される化合物の好ましい態様を以下に示す。すなわち、
〜R、R、及びMaは、それぞれ、一般式(I)で表される化合物と金属原子又は金属化合物とを含む錯体の好ましい態様であり、X及びXは、各々独立にNRa(Raは水素原子、アルキル基、ヘテロ環基)、又は酸素原子であり、Y及びYは、各々独立にNRb(Rbは水素原子、又はアルキル基)、窒素原子、又は炭素原子であり、Xは酸素原子、又は窒素原子を介して結合する基であり、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基を表すか、RとYとが互いに結合して5員又は6員環を形成し、RとYとが互いに結合して5員、6員環を形成する、aは0又は1で表される態様である。
【0075】
一般式(I−3)で表される化合物のより好ましい態様を以下に示す。即ち、R〜R、R、Maはそれぞれ、一般式(I)で表される化合物と金属原子又は金属化合物とを含む錯体の好ましい態様であり、X及びXは、酸素原子であり、YはNHであり、Yは窒素原子であり、Xは酸素原子、又は窒素原子を介して結合する基であり、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基を表すか、RとYとが互いに結合して5員又は6員環を形成し、RとYとが互いに結合して5員、6員環を形成する、aは0又は1で表される態様である。
【0076】
前記一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物の好ましい態様である、前記一般式(I−1)、(I−2)及び(I−3)で表される錯体化合物のうち、前記一般式(I−3)で表される錯体化合物が、特に好ましい様態である。
【0077】
以下、前記一般式(I−1)〜(I−3)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物の具体例(例示化合物1〜31)を示す。但し、本発明においては、これら化合物に限定されるものではない。
【0078】
【化11】

【0079】
【化12】

【0080】
【化13】

【0081】
【化14】

【0082】
次に、前記一般式(a)中のBについて説明する。
Bは、テトラシアノキノジメタン系化合物、ビオロゲン系化合物、アントラキノン系化合物、又はテトラアザポルフィリン系化合物の任意の水素原子を一つ除いた残基を表す。
【0083】
Bがアントラキノン系化合物又はテトラアザポルフィリン系化合物の任意の水素原子を一つ除いた残基である場合、アントラキノン系化合物又はテトラアザポルフィリン系化合物としてはその吸収スペクトルが前記一般式(a)中のAを形成するジピロメテン系金属錯体化合物の吸収スペクトルと重なっているものであればいずれの化合物でもよい。すなわち、Bを形成するアントラキノン系化合物又はテトラアザポルフィリン系化合物は、400〜700nmに吸収極大を有する化合物であり、本発明において好ましくは、500〜700nmに吸収極大を有し、特に好ましくは550〜700nmに吸収極大を有するアントラキノン化合物、テトラアザポルフィリン化合物である。このような吸収極大を有するアントラキノン化合物、テトラアザポルフィリン化合物であれば、特に構造上限定されるものではない。
【0084】
本発明におけるアントラキノン化合物の中でも、好ましくは下記の一般式(III)で表されるジアミノアントラキノン系化合物である。
【0085】
【化15】

【0086】
前記一般式(III)において、R10〜R13は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。但し、R10とR11とが同時に水素原子を表すことはなく、R12とR13とが同時に水素原子を表すことはない。
【0087】
10〜R13で表されるアルキル基として好ましくは、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
10〜R13で表されるアリール基として好ましくは、炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル、o−メチルフェニル、p−メチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジエチルフェニルビフェニル、2,6−ジブロモフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリルなどが挙げられる。
10〜R13で表されるヘテロ環基として好ましくは、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含む。ヘテロ環基としては、例えば、イミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ナフトチアゾリル、ベンズオキサゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。
また、R10〜R13で表されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基は、更に置換基を有してもよい。置換基の例としては、一般式(I)において先に述べた1価の置換基が挙げられる。
【0088】
以下、前記アントラキノン系色素の具体例を示す。但し、本発明においては、これら化合物に限定されるものではない。
【0089】
【化16】

【0090】
【化17】

【0091】
【化18】

【0092】
本発明におけるテトラアザポルフィリン化合物の中でも、好ましくは下記の一般式(IV)で表されるフタロシアニン系化合物である。
【0093】
【化19】

【0094】
前記一般式(IV)中、R101〜R116は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、Mは、金属又は金属化合物を表す。
一般式(IV)中、Mは、例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、及びFe等、並びに、AlCl、InCl、FeCl、TiCl、SnCl、SiCl、GeClなどの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、Si(OH)等の金属水酸化物が含まれる。
【0095】
一般式(IV)中、R101〜R116は各々独立に、水素原子又は置換基を表し、R101〜R116で表される置換基は、既述の一般式(I)中のR〜Rで表される置換基の例示と同義であり、その好ましい態様も同様である。一般式(IV)で表される化合物のR101〜R116の置換基が更に置換可能な基である場合には、上記R〜Rで説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0096】
以下、一般式(IV)で表されるフタロシアニン系化合物のR101〜R116の置換基の例(T−1〜T141)を示す。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0097】
【化20】

【0098】
【化21】

【0099】
【化22】

【0100】
次に、一般式(IV)で表されるフタロシアニン系化合物の好ましい範囲について、さらに説明する。
前記一般式(IV)で表されるフタロシアニン系色素は、α位の置換体(α置換体)として、(R101とR104)、(R105とR108)、(R109とR112)、及び(R113とR116)の組み合わせの少なくとも1組に置換基を有しているか、β位の置換体(β置換体)として(R102とR103)、(R106とR107)、(R110とR111)、及び(R114とR115)の組み合わせの少なくとも1組に置換基を有しているか、あるいはα位、及びβ位の置換体として、(R101とR103及び/又はR102とR104)、(R105とR107及び/又はR106とR108)、(R109とR111及び/又はR110とR112)、及び(R113とR115及び/又はR114とR116)の組み合わせの中で、少なくとも1組に置換基を有していることが好ましい。
ここで、前記R101〜R116で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルホ基、ホスホニル基、ホスフィノイルアミノ基が挙げられる。Mとしては、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe、TiO、VO等が挙げられる。
【0101】
前記一般式(IV)で表されるフタロシアニン系色素の好ましい範囲として、α置換体(モノ置換体)として(R101又はR104)、(R105又はR108)、(R109又はR112)、及び(R113又はR116)のうち少なくとも一つに置換基を有するか、又は、β置換体(モノ置換体)として(R102又はR103)、(R106又はR107)、(R110又はR111)、及び(R114又はR115)のうち少なくとも一つに置換基を有する化合物である。
ここで、前記R101〜R116で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルホ基、ホスフィノイルアミノ基が挙げられる。Mとしては、Zn、Pd、Cu、Ni、Co、TiO、VO等が挙げられる。
【0102】
前記一般式(IV)で表されるフタロシアニン系色素のより好ましい範囲として、α置換体として(R101又はR104)、(R105又はR108)、(R109又はR112)、及び(R113又はR116)の内の少なくとも3つに置換基を有するか、又は、β置換体として(R102又はR103)、(R106又はR107)、(R110又はR111)、及び(R114又はR115)の内の少なくとも3つに置換基を有する化合物である。
ここで、前記R101〜R116で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、アゾ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルホ基が挙げられる。Mは、Zn、Pd、Cu、Ni、Co、VO等が挙げられる。
【0103】
前記一般式(IV)で表されるフタロシアニン系色素の更に好ましい範囲として、α置換体として(R101又はR104)、(R105又はR108)、(R109又はR112)、及び(R113又はR116)の内の少なくとも3つに同一の置換基を有するか、又は、β置換体として(R102又はR103)、(R106又はR107)、(R110又はR111)、及び(R114又はR115)の内の少なくとも3つに同一の置換基を有する化合物である。
ここで、前記R101〜R116で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルボキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、スルホンアミド基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルホ基が挙げられる。Mとしては、Zn、Pd、Cu、Ni、Co、又はVO等が挙げられる。
【0104】
前記一般式(IV)で表されるフタロシアニン系色素の特に好ましい範囲として、α置換体として(R101又はR104)、(R105又はR108)、(R109又はR112)、及び(R113又はR116)の少なくとも3つに置換基を有するか、又はβ置換体として(R102又はR103)、(R106又はR107)、(R110又はR111)、及び(R114又はR115)の内の少なくとも3つに置換基を有し、その置換基が全て同一の化合物である。
ここで、前記R101〜R116で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、ヘテロ環基、カルボキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、又はスルホ基が挙げられる。Mとしては、Zn、Pd、Cu、Ni、Co、又はVO等が挙げられる。
【0105】
前記一般式(IV)で表されるフタロシアニン系色素の最も好ましい範囲として、α置換体として(R101又はR104)、(R105又はR108)、(R109又はR112)、及び(R113又はR116)の少なくとも3つに置換基を有するか、β置換体として(R102又はR103)、(R106又はR107)、(R110又はR111)、及び(R114又はR115)の内の少なくとも3つに置換基を有し、その置換基全てが同一の化合物であって、該R101〜R116で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、ヘテロ環基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、又はスルホ基が挙げられる。Mとしては、Zn、Cu、Co、VO等が挙げられる。
【0106】
以下、前記フタロシアニン系色素の具体例を示す。但し、本発明においては、これら化合物に限定されるものではない。
【0107】
【化23】

【0108】
【化24】

【0109】
【化25】

【0110】
【化26】

【0111】
【化27】

【0112】
前記一般式(a)中のBがテトラシアノキノジメタン系化合物である場合、例えば、無置換のテトラシアノキノジメタン〔(NC)CCC(CN)〕、及び置換基を有するテトラシアノキノジメタンを挙げることができる。ここでの置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、へテロ環オキシ基などが含まれる。
【0113】
前記一般式(a)中のBがビオロゲン系化合物である場合、4,4’−ビピリジンの窒素原子上にそれぞれ置換基を導入したN,N’−二置換−4,4’−ビピリジニウムより選択され、ここでの置換基としては、例えば炭素数1〜5のアルキル基などが挙げられる。具体的な例としては、1,1’−ジメチル−4,4’−ビピリジニウムジクロリド、1,1’−ジブチル−4,4’−ビピリジニウムジクロリド等を挙げることができる。
【0114】
以下、本発明における一般式(a)で表される化合物の具体例(例示化合物A−1〜A−14)を示す。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0115】
【化28】

【0116】
【化29】

【0117】
【化30】

【0118】
【化31】

【0119】
本発明の着色組成物では、一般式(a)で表される化合物を1種単独で含有してもよいし、二種以上が併用されてもよい。
一般式(a)で表される化合物の着色組成物中における含有量としては、分子量、及びその吸光係数によって異なるが、着色組成物の全固形分に対して、1〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。ジピロメテン系金属錯体化合物の含有量は、1質量%以上であると、良好な色濃度(例えば液晶表示するのに適した色濃度)が得られ、70質量%以下であると、画素のパターニングが良好になる点で有利である。
【0120】
(その他色素)
本発明の着色組成物には、上記以外のその他の色素として、ピロメテン系の染料以外の他の染料を用いることができる。他の染料には特に制限はなく、公知の染料を使用できる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報、特開平6−230210号公報等に記載の色素である。
化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、スクアリリウム系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の染料が使用できる。中でも、キサンテン系、スクアリリウム系が色相の点で好ましい。
【0121】
本発明の着色組成物は、ピロメテン系の染料以外の他の染料を1種単独含有してもよいし、二種以上の染料を併用してもよい。
ピロメテン系の染料以外の他の染料の着色組成物中における含有量としては、本発明における前記一般式(a)で表される化合物との合計量が、着色組成物の全固形分に対して、1〜70質量%となる範囲が好ましく、10〜50質量%となる範囲がより好ましい。ピロメテン系の染料以外の他の染料の含有量は、1質量%以上であると、良好な色濃度(例えば液晶表示するのに適した色濃度)が得られ、70質量%以下であると、画素のパターニングが良好になる点で有利である。
【0122】
(顔料)
本発明の着色組成物は、染料とともに顔料を併用することもできる。顔料としては、平均一次粒子径が10nm以上30nm以下の顔料が好ましい。このような態様であると、色相とコントラストに優れる着色組成物が得られる。
【0123】
顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を用いることができるが、信頼性の観点で有機顔料を用いることが好ましい。本発明において有機顔料としては、例えば、特開2009−256572号公報の段落0093に記載の有機顔料が挙げられる。
また特に、
C.I.Pigment Red 177,224,242,254,255,264、
C.I.Pigment Yellow 138,139,150,180,185、
C.I.Pigment Orange 36,38,71、
C.I.Pigment Green 7,36,58、
C.I.Pigment Blue 15:6、
C.I.Pigment Violet 23
が色再現性の観点で好適であるが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。これら有機顔料は、一種単独で、又は色純度を上げる等のために種々組合せて用いることができる。
【0124】
顔料を用いる場合、本発明の着色組成物中における含有量は、該組成物の全固形分に対して、1〜55質量%であることが好ましく、5〜45質量%がより好ましい。顔料の含有量が前記範囲内であると、優れた色特性を確保するのに有効である。
【0125】
(重合性化合物)
本発明の着色組成物は、少なくとも一種の重合性化合物を含有することが好ましい。重合性化合物としては、例えば少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物であり、公知の組成物を構成する成分から選択して用いることができ、特開2006−23696号公報の段落番号[0010]〜[0020]に記載の成分や、特開2006−64921号公報の段落番号[0027]〜[0053]に記載の成分を挙げることができる。
【0126】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン付加重合性化合物も好適であり、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報に記載のエチレンオキサイド骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
その他の例としては、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号公報の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0127】
具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートEO変性体などが、並びに、市販品としては、NKエステル A−TMMT、NKエステル A−TMM−3、NKオリゴUA−32P、NKオリゴUA−7200(以上、新中村化学工業(株)製)、アロニックス M−305、アロニックス M−306、アロニックス M−309、アロニックス M−450、アロニックス M−402、TO−1382(以上、東亞合成(株)製)、V#802(大阪有機化学工業(株)製)を好ましい例として挙げることができる。
これらの重合性化合物は単独で、あるいは2種以上の併用で用いることができる。
【0128】
着色組成物の全固形分中における重合性化合物の含有量(2種以上の場合は総含有量)としては、10質量%〜80質量%が好ましく、15質量%〜75質量%がより好ましく、20質量%〜60質量%が特に好ましい。
【0129】
(アルカリ可溶性バインダー)
本発明の着色組成物は、少なくとも一種のアルカリ可溶性バインダーを含有することが好ましい。アルカリ可溶性バインダーは、アルカリ可溶性を有すること以外は、特に限定はなく、好ましくは、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選択することができる。
【0130】
アルカリ可溶性バインダーとしては、線状有機高分子重合体であり、且つ、有機溶剤に可溶で、弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。
【0131】
上述したものの他、本発明におけるアルカリ可溶性バインダーとしては、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、等も有用である。また、線状有機高分子重合体は、親水性を有するモノマーを共重合したものであってもよい。この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級若しくは3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のブチル(メタ)アクリレート、又は、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。その他、親水性を有するモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル基、燐酸基、燐酸エステル基、4級アンモニウム塩基、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸基及びその塩由来の基、モルホリノエチル基等を含んでなるモノマー等も有用である。
【0132】
また、アルカリ可溶性バインダーは、架橋効率を向上させるために、重合性基を側鎖に有してもよく、例えば、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有するポリマー等も有用である。上述の重合性基を含有するポリマーの例としては、市販品のKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。また、硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロルヒドリンとのポリエーテル等も有用である。
【0133】
これら各種アルカリ可溶性バインダーの中でも、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
【0134】
前記アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体や、市販品のKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が好ましい。
【0135】
アルカリ可溶性バインダーは、現像性、液粘度等の観点から、重量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)が1000〜2×10の重合体が好ましく、2000〜1×10の重合体がより好ましく、5000〜5×10の重合体が特に好ましい。単独でもちいることも2種以上を併用することもできる。
【0136】
(光重合開始剤)
本発明の着色組成物は、少なくとも一種の光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤は、前記重合性化合物を重合させ得るものであれば、特に制限はなく、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれるのが好ましい。
【0137】
光重合開始剤は、露光光により感光し、重合性化合物の重合を開始、促進する化合物である。波長300nm以上の活性光線に感応し、重合性化合物の重合を開始、促進する化合物が好ましい。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光重合開始剤についても、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。
【0138】
具体的には例えば、オキシムエステル化合物、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体等が挙げられる。 これらの中でも、感度の点から、オキシムエステル化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物が好ましい。
【0139】
オキシムエステル化合物としては、特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特表2004−534797号公報、国際公開第2005/080337号、国際公開第2006/018973号、特開2007−210991号公報、特開2007−231000号公報、特開2007−269779号公報、特開2009−191061号公報、国際公開第2009/131189号に記載の化合物を使用できる。
【0140】
具体的な例としては、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ペンタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘキサンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘプタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(エチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(ブチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−プロピル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−ブチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンなどが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0141】
また、本発明においては、感度、経時安定性、後加熱時の着色の観点から、オキシム系化合物として、下記一般式(1)で表される化合物が好適である。
【0142】
【化32】

【0143】
前記一般式(1)中、R及びXは、各々独立に、1価の置換基を表し、Aは、2価の有機基を表し、Arは、アリール基を表す。nは、1〜5の整数である。
【0144】
有機ハロゲン化化合物の例としては、具体的には、若林等、「Bull Chem. Soc. Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号公報、特開昭48−36281号公報、特開昭55−32070号公報、特開昭60−239736号公報、特開昭61−169835号公報、特開昭61−169837号公報、特開昭62−58241号公報、特開昭62−212401号公報、特開昭63−70243号公報、特開昭63−298339号公報、M.P.Hutt“Journal of Heterocyclic Chemistry”1 (No3),(1970)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物、s−トリアジン化合物が挙げられる。
【0145】
ヘキサアリールビイミダゾール化合物の例としては、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0146】
光重合開始剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、露光波長に吸収を持たない開始剤を用いる場合には、増感剤を使用する必要がある。
【0147】
光重合開始剤の総含有量は、着色組成物中の全固形分に対して、0.5〜30質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましく、5〜18質量%が最も好ましい。この範囲内であると、露光時の感度が高く、また色特性も良好である。
【0148】
(光増感剤)
本発明の着色組成物には光増感剤を加えることもできる。本発明に用いる典型的な増感剤としては、クリベロ〔J. V. Crivello, Adv. in Polymer Sci, 62, 1 (1984)〕に開示しているものが挙げられ、具体的には、ピレン、ペリレン、アクリジン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、ベンゾフラビン、N−ビニルカルバゾール、9,10−ジブトキシアントラセン、アントラキノン、ベンゾフェノン、クマリン、ケトクマリン、フェナントレン、カンファキノン、フェノチアジン誘導体などを挙げることができる。光増感剤は、光重合開始剤に対し、50〜200質量%の割合で添加することが好ましい。
【0149】
(連鎖移動剤)
本発明の着色組成物には連鎖移動剤を加えることもできる。本発明に用いる連鎖移動剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどのN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、N−フェニルメルカプトベンゾイミダゾール、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンなどの複素環を有するメルカプト化合物、及び、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどの脂肪族多官能メルカプト化合物などが挙げられる。
連鎖移動剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の添加量は、本発明の組成物の全固形分に対して、0.01〜15質量%の範囲であることが、感度ばらつきを低減するという観点から好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。
【0150】
(重合禁止剤)
本発明の着色組成物は、重合禁止剤を含有してもよい。
重合禁止剤とは、光や熱により着色組成物中に発生したラジカル等の重合開始種に対して水素供与(又は、水素授与)、エネルギー供与(又は、エネルギー授与)、電子供与(又は、電子授与)などを実施し、重合開始種を失活させ、重合が意図せず開始されることを抑制する役割をはたす物質である。特開2007−334322号公報の段落0154〜0173に記載された重合禁止剤などを用いることができる。
これらの中でも、重合禁止剤としてはp−メトキシフェノールが好ましく挙げられる。
本発明の着色組成物における重合禁止剤の含有量は、エチレン性不飽和化合物の全重量に対して、0.0001〜5質量%が好ましく、0.001〜5質量%がより好ましく、0.001〜1質量%が特に好ましい。
【0151】
(有機溶剤)
本発明の着色組成物は、有機溶剤を含有することができる。
有機溶剤は、並存する各成分の溶解性や着色組成物としたときの塗布性を満足できるものであれば、基本的には特に制限はなく、特に、固形分の溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
【0152】
有機溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキルエステル類(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(具体的には、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等)などが挙げられる。)、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等が挙げられる。
【0153】
また、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
【0154】
これらの有機溶剤は、前述の各成分の溶解性、及びアルカリ可溶性バインダーを含む場合はその溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0155】
有機溶剤の着色組成物中における含有量としては、組成物中の全固形分濃度が10質量%〜80質量%になる量が好ましく、15質量%〜60質量%になる量がより好ましい。
【0156】
(界面活性剤)
本発明の着色組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。
【0157】
具体的には、特開2009−098616号公報の段落0058に記載のノニオン系界面活性剤が挙げられ、中でもフッ素系界面活性剤が好ましい。
本発明に用いることができる他の界面活性剤としては、例えば、市販品である、メガファックF142D、同F172、同F173、同F176、同F177、同F183、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781、同F781−F、同R30、同R08、同F−472SF、同BL20、同R−61、同R−90(DIC(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431、Novec FC−4430(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG7105,7000,950,7600、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)、エフトップEF351、同352、同801、同802(三菱マテリアル電子化成(株)製)、フタージェント250(ネオス(株)製)などが挙げられる。
また、界面活性剤として、下記式(1)で表される構成単位A及び構成単位Bを含み、THFを溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
【0158】
【化33】

【0159】
前記式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、Rは水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Lは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p及びqは重合比を表す重量百分率であり、pは10質量%以上80質量%以下の数値を表し、qは20質量%以上90質量%以下の数値を表し、rは1以上18以下の整数を表し、nは1以上10以下の整数を表す。
【0160】
前記Lは、下記式(2)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。式(2)におけるRは、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2又は3のアルキル基がより好ましい。pとqとの和(p+q)は、p+q=100、すなわち、100質量%であることが好ましい。
【0161】
【化34】

【0162】
前記共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,500以上5,000以下がより好ましい。
【0163】
これら界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。本発明の着色組成物における界面活性剤の添加量は、組成物の全固形分に対して、0.01〜2.0質量%が好ましく、0.02〜1.0質量%が特に好ましい。この範囲であると、塗布性及び硬化膜の均一性が良好となる。
【0164】
(密着改良剤)
本発明の着色組成物は、密着改良剤を含有してもよい。
密着改良剤は、基材となる無機物、例えば、ガラス、シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン等のシリコン化合物、金、銅、アルミニウム等と硬化膜との密着性を向上させる化合物である。具体的には、シランカップリング剤、チオール系化合物等が挙げられる。密着改良剤としてのシランカップリング剤は、界面の改質を目的とするものであり、特に限定することなく、公知のものを使用することができる。
シランカップリング剤としては、特開2009−98616号公報の段落0048に記載のシランカップリング剤が好ましく、中でもγ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましい。これらは1種単独又は2種以上を併用できる。
本発明の着色組成物における密着改良剤の含有量は、全固形分量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.2〜5質量%がより好ましい。
【0165】
(架橋剤)
本発明の着色組成物に補足的に架橋剤を用い、着色組成物を硬化させてなる着色硬化膜の硬度をより高めることもできる。
架橋剤としては、架橋反応により膜硬化を行なえるものであれば、特に限定はなく、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
架橋剤の具体例などの詳細については、特開2004−295116号公報の段落〔0134〕〜〔0147〕の記載を参照することができる。
【0166】
(現像促進剤)
非露光領域のアルカリ溶解性を促進し、着色組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、現像促進剤を添加することもできる。現像促進剤は好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸化合物、分子量1000以下の低分子量フェノール化合物である。
具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等が挙げられる。
【0167】
(その他の添加物)
本発明の着色組成物には、必要に応じて、各種添加物、例えば、充填剤、上記以外の高分子化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加物としては、特開2004−295116号公報の段落〔0155〕〜〔0156〕に記載のものを挙げることができる。
本発明の着色組成物においては、特開2004−295116号公報の段落〔0078〕に記載の光安定剤、同公報の段落〔0081〕に記載の熱重合防止剤を含有することができる。
【0168】
〜着色組成物の調製方法〜
本発明の着色組成物は、前述の各成分と必要に応じて任意成分とを混合することで調製される。
なお、着色組成物の調製に際しては、着色組成物を構成する各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解・分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。例えば、全成分を同時に溶剤に溶解・分散して組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜2つ以上の溶液・分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して組成物として調製してもよい。
上記のようにして調製された着色組成物は、好ましくは、孔径0.01μm〜3.0μm、程度のフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することができる。
【0169】
本発明の着色組成物は、色相及びコントラストに優れた着色膜(好ましくは着色硬化膜)を形成するため、液晶表示装置(LCD)や固体撮像素子(例えばCCD、CMOS等)に用いられるカラーフィルタなどの着色画素形成用として、また、印刷インキ、インクジェットインキ、及び塗料などの作製用途として好適に用いることができる。特に、液晶表示装置用の着色画素形成用途に好適である。
【0170】
<カラーフィルタ及びその製造方法>
本発明のカラーフィルタは、基板と、該基板上に設けられ、前記一般式(a)で表される化合物を含む着色領域、好ましくは本発明の着色組成物からなる着色領域と、を設けて構成されたものである。基板上の着色領域は、カラーフィルタの各画素をなす例えば赤(R)、緑(G)、青(B)等の着色膜で構成されている。
【0171】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、支持体上に既述の着色組成物を塗布し、着色層(以下、着色組成物層ともいう。)を形成する工程(A)と、工程(A)にて形成された着色組成物層をパターン状に露光し、現像して着色領域(着色パターン)を形成する工程(B)とを設けて構成されている。また、本発明のカラーフィルタの製造方法では、特に、工程(B)で形成された着色パターンに対して紫外線を照射する工程(C)と、工程(C)で紫外線が照射された着色パターンに対して加熱処理を行なう工程(D)とを更に設けた態様が好ましい。
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法について、より具体的に説明する。
【0172】
−工程(A)−
本発明のカラーフィルタの製造方法では、まず、支持体上に、既述の本発明の着色組成物を回転塗布、スリット塗布、流延塗布、ロール塗布、バー塗布、インクジェット等の塗布方法により塗布して着色組成物層を形成し、その後、該着色組成物層を加熱(プリベーク)又は真空乾燥などで乾燥させる。
【0173】
支持体としては、例えば、液晶表示装置等に用いられるソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、シリコン基板、樹脂基板などが挙げられる。また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止、或いは表面の平坦化のために、下塗り層を設けてもよい。
【0174】
プリベークの条件としては、ホットプレートやオーブンを用いて、70℃〜130℃で、0.5分間〜15分間程度加熱する条件が挙げられる。
また、着色組成物により形成される着色組成物層の厚みは、目的に応じて適宜選択される。液晶表示装置用カラーフィルタにおいては、0.2μm〜5.0μmの範囲が好ましく、1.0μm〜4.0μmの範囲が更に好ましい。また、固体撮像素子用カラーフィルタにおいては、0.2μm〜5.0μmの範囲が好ましく、0.3μm〜2.5μmの範囲が更に好ましい。なお、着色組成物層の厚みは、乾燥後の膜厚である。
【0175】
−工程(B)−
続いて、本発明のカラーフィルタの製造方法では、支持体上に形成された着色組成物層に対して、パターン露光が行なわれる。露光に適用し得る光もしくは放射線としては、g線、h線、i線、各種レーザー光が好ましく、特にi線が好ましい。照射光にi線を用いる場合、5mJ/cm〜500mJ/cmの露光量で照射することが好ましい。
【0176】
また、その他の露光光源としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、各種レーザー光源、等が使用できる。
【0177】
〜レーザー光源を用いた露光工程〜
レーザー光源を用いた露光方式では照射光は、波長が300nm〜410nmの範囲である波長の範囲の紫外光レーザーが好ましく、さらに好ましくは300nm〜360nmの範囲の波長である。具体的には、特に出力が大きく、比較的安価な固体レーザーのNd:YAGレーザーの第三高調波(355nm)や、エキシマレーザーのXeCl(308nm)、XeF(353nm)を好適に用いることができる。パターン露光量としては、生産性の観点から、1mJ/cm〜100mJ/cmの範囲が好ましく、1mJ/cm〜50mJ/cmの範囲がより好ましい。
【0178】
露光装置としては、特に制限はないが市販されているものとしては、Callisto(ブイテクノロジー株式会社製)やEGIS(ブイテクノロジー株式会社製)やDF2200G(大日本スクリーン株式会社製などが使用可能である。また上記以外の装置も好適に用いられる。
【0179】
続いて、露光後の着色組成物層に対して、現像液にて現像が行なわれる。これにより、着色パターンを形成することができる。 現像液は、着色組成物層の未硬化部を溶解し、硬化部を溶解しないものであれば、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性水溶液を用いることができる。現像液がアルカリ性水溶液である場合、アルカリ濃度が好ましくはpH10〜13となるように調整するのがよい。前記アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性水溶液が挙げられる。
現像時間は、30秒〜300秒が好ましく、更に好ましくは30秒〜120秒である。現像温度は、20℃〜40℃が好ましく、更に好ましくは23℃である。
現像は、パドル方式、シャワー方式、スプレー方式等で行なうことができる。
また、アルカリ性水溶液を用いて現像した後は、水で洗浄することが好ましい。
【0180】
−工程(C)−
本発明のカラーフィルタの製造方法では、特に、着色組成物を用いて形成された着色パターン(画素)に対して、紫外線照射による後露光を行なうこともできる。
【0181】
−工程(D)−
上記のような紫外線照射による後露光が行なわれた着色パターンに対して、さらに加熱処理を行なうことが好ましい。形成された着色パターンを加熱処理(いわゆるポストベーク処理)することにより、着色パターンを更に硬化させることができる。この加熱処理は、例えば、ホットプレート、各種ヒーター、オーブンなどにより行なうことができる。
加熱処理の際の温度としては、100℃〜300℃であることが好ましく、更に好ましくは、150℃〜250℃である。また、加熱時間は、10分〜120分程度が好ましい。
【0182】
このようにして得られた着色パターンは、カラーフィルタにおける画素を構成する。複数の色相の画素を有するカラーフィルタの作製においては、上記の工程(A)、工程(B)、及び必要に応じて工程(C)や工程(D)を所望の色数に合わせて繰り返せばよい。
なお、単色の着色組成物層の形成、露光、現像が終了する毎に(1色毎に)、前記工程(C)及び/又は工程(D)を行なってもよいし、所望の色数の全ての着色組成物層の形成、露光、現像が終了した後に、一括して前記工程(C)及び/又は工程(D)を行なってもよい。
【0183】
本発明のカラーフィルタの製造方法により得られたカラーフィルタ(本発明のカラーフィルタ)は、本発明の着色組成物を用いていることから、色相及びコントラストに優れている。液晶表示装置に用いた場合、良好な色相を達成しながら、分光特性及びコントラストに優れた画像の表示が可能になる。
【0184】
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、既述の本発明のカラーフィルタを備えたものである。
液晶表示装置の定義や各表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【0185】
本発明のカラーフィルタは、中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。更に、本発明はIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN、TN、VA、OCS、FFS、及びR−OCB等にも適用できる。また、本発明のカラーフィルタは、COA(Color−filter On Array)方式にも供することが可能である。
【0186】
本発明のカラーフィルタを液晶表示素子に用いると、従来公知の冷陰極管の三波長管と組み合わせたときに高いコントラストを実現できるが、更に、赤、緑、青のLED光源(RGB−LED)をバックライトとすることによって輝度が高く、また、色純度の高い色再現性の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0187】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、既述の本発明のカラーフィルタを設けて構成されたものである。本発明の固体撮像素子は、耐候性やコントラスト、輝度に優れる本発明のカラーフィルタを備えるため、長期使用に亘って画像の色調、色再現性に優れる。
固体撮像素子の構成としては、本発明のカラーフィルタを備え固体撮像素子として機能する構成であれば特に制限はない。例えば、支持体上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる受光素子を有し、支持体の受光素子形成面側(例えば、受光部以外の部分や色調整用画素部、等)又は該形成面の反対側に本発明のカラーフィルタが備えられた構成が挙げられる。
【実施例】
【0188】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0189】
まず、着色組成物の調製に用いる各成分を以下に示す。
(S−1)顔料分散液:
C.I.ピグメントブルー15:6を12.8部とアクリル系顔料分散剤7.2部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80.0部と混合し、ビーズミルを用いて顔料を充分に分散させることにより調製した顔料分散液
(T−1)光重合性化合物:
カヤラドDPHA(日本化薬(株)製;ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物)
(U−1)バインダー樹脂:
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(75/25[質量比]共重合体(重量平均分子量:12,000)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分40.0質量%)
(V−1)光重合開始剤:
2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノン
(V−2)光重合開始剤:
2−(アセトキシイミノ)−4−(4−クロロフェニルチオ)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−ブタノン
(V−3)光重合開始剤:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)
(W−1)光重合開始助剤:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
(X−1)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(X−2)溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル
(Y−1)界面活性剤:メガファックF781−F(大日本インキ化学工業(株)製)
【0190】
(実施例1)
−B1.着色硬化性組成物(塗布液)の調製−
下記組成中の成分を混合して、着色硬化性組成物を調製した。
<組成>
・既述の例示化合物A−1(一般式(a)で表される化合物)・・・6.9部
・前記(S−1) ・・・43.0部
・前記(T−1) ・・・103.4部
・前記(U−1) ・・・212.2部(固形分換算値:84.9部)
・前記(V−1) ・・・21.2部
・前記(W−1) ・・・3.5部
・前記(X−1) ・・・71.9部
・前記(X−2) ・・・3.6部
・前記(Y−1) ・・・0.06部
【0191】
−B2.着色硬化性組成物によるカラーフィルタの作製及び評価−
前記B1.で得られた着色硬化性組成物(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、色濃度の指標となるx値が0.650となるように塗布し、90℃のオーブンで60秒間乾燥させた(プリベーク)。その後、解像度評価用の10〜100μmのマスク孔幅を有するフォトマスクを介して高圧水銀灯により200mJ/cmにて(照度20mW/cm)露光し、露光後の塗膜をアルカリ現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1質量%水溶液にて覆い、60秒間静止した。静止後、純水をシャワー状に散布して現像液を洗い流した。そして、上記のように露光及び現像が施された塗膜を220℃のオーブンで1時間加熱処理し(ポストベーク)、ガラス基板上にカラーフィルタ用の着色パターン(着色硬化膜)を形成することにより、着色フィルタ基板1(カラーフィルタ)とした。
【0192】
−B3.評価−
上記で得られたカラーフィルタについて下記の評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
【0193】
(1.耐光性)
得られたカラーフィルタに対し、キセノンランプを5万luxで100時間照射(500万lux・h相当)し、色度計MCPD−1000(大塚電子(株)製)にて、照射前後での色差(ΔEab値)を測定し、下記判定基準にしたがって評価した。ΔEab値の小さい方が、耐光性に優れることを示す。
<評価基準>
5:ΔEab値<3
4:3≦ΔEab値<5
3:5≦ΔEab値<10
2:10≦ΔEab値<20
1:20≦ΔEab値
【0194】
(2.コントラスト・輝度の評価)
上記で得られた着色パターン(着色硬化膜)について、下記の方法でコントラスト・輝度を評価した。すなわち、
得られた着色パターンを2枚の偏光フィルムの間に挟み、2枚の偏光フィルムの偏光軸が平行な場合及び垂直な場合の輝度の値を色彩輝度計(トプコン(株)製、型番:BM−5A)を使用して測定し、2枚の偏光フィルムの偏光軸が平行な場合の輝度を垂直な場合の輝度で除して得られた値をコントラストとして求めた。コントラストが高いほど、液晶ディスプレイ用カラーフィルタとして良好な性能を示す。
また、着色パターンの輝度は、オリンパス(株)製の顕微分光測定装置OSP−SP200を用いて測定し、Y値により評価した。Y値が高いほど、液晶ディスプレイ用カラーフィルタとして良好な性能を示す。
【0195】
(実施例2〜12)
実施例1において、例示化合物A−1(一般式(a)で表される化合物)を、下記表1に示す例示化合物(一般式(a)で表される化合物)にそれぞれ代え、色が合うように例示化合物と(S−1)との比率を調節したこと以外は、実施例1と同様にして、着色パターン(着色硬化膜)を形成することにより着色フィルタ基板(カラーフィルタ)を作製した。
【0196】
(実施例13)
実施例1において、着色硬化性組成物を、下記組成中の成分を混合して調製した着色硬化性組成物に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、着色パターン(着色硬化膜)を形成することにより着色フィルタ基板(カラーフィルタ)を作製した。
<組成>
・既述の例示化合物A−1(一般式(a)で表される化合物)・・・6.9部
・前記(S−1) ・・・43.0部
・前記(T−1) ・・・103.4部
・前記(U−1) ・・・212.2部(固形分換算値:84.9部)
・前記(V−2) ・・・21.2部
・前記(W−1) ・・・3.5部
・前記(X−1) ・・・71.9部
・前記(X−2) ・・・3.6部
・前記(Y−1) ・・・0.06部
【0197】
(実施例14)
実施例1において、着色硬化性組成物を、下記組成中の成分を混合して調製した着色硬化性組成物に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、着色パターン(着色硬化膜)を形成することにより着色フィルタ基板(カラーフィルタ)を作製した。
<組成>
・既述の例示化合物A−1(一般式(a)で表される化合物)・・・6.9部
・前記(S−1) ・・・43.0部
・前記(T−1) ・・・103.4部
・前記(U−1) ・・・212.2部(固形分換算値:84.9部)
・前記(V−3) ・・・21.2部
・前記(W−1) ・・・3.5部
・前記(X−1) ・・・71.9部
・前記(X−2) ・・・3.6部
・前記(Y−1) ・・・0.06部
【0198】
(比較例1〜4)
実施例1の着色硬化性組成物の調製において、例示化合物A−1(一般式(a)で表される化合物)を、下記表1に示すように比較化合物にそれぞれ代え、色が合うように比較化合物と(S−1)との比率を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、着色パターン(着色硬化膜)を形成することにより着色フィルタ基板(カラーフィルタ)を作製した。
【0199】
【化35】

【0200】
【化36】

【0201】
(比較例5)
実施例1において、着色硬化性組成物を、下記組成中の成分を混合して調製した着色硬化性組成物に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、着色パターン(着色硬化膜)を形成することにより着色フィルタ基板(カラーフィルタ)を作製した。
<組成>
・前記比較化合物1 ・・・4.7部
・前記(S−1) ・・・42.1部
・下記化合物(R−1)・・・2.3部
・前記(T−1) ・・・103.4部
・前記(U−1) ・・・212.2部(固形分換算値:84.9部)
・前記(V−2) ・・・21.2部
・前記(W−1) ・・・3.5部
・前記(X−1) ・・・71.9部
・前記(X−2) ・・・3.6部
・前記(Y−1) ・・・0.06部
【0202】
【化37】

【0203】
(比較例6)
実施例1において、着色硬化性組成物を、下記組成中の成分を混合して調製した着色硬化性組成物に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、着色パターン(着色硬化膜)を形成することにより着色フィルタ基板(カラーフィルタ)を作製した。
<組成>
・前記比較化合物1 ・・・4.7部
・前記(S−1) ・・・42.1部
・下記化合物(R−2)・・・2.3部
・前記(T−1) ・・・103.4部
・前記(U−1) ・・・212.2部(固形分換算値:84.9部)
・前記(V−2) ・・・21.2部
・前記(W−1) ・・・3.5部
・前記(X−1) ・・・71.9部
・前記(X−2) ・・・3.6部
・前記(Y−1) ・・・0.06部
【0204】
【化38】

【0205】
【表1】

【0206】
前記表1に示すように、従来公知の化合物(比較例1〜2)を用いた場合と比較して高い輝度及び耐光性を示し、さらに従来公知のジピロメテン系金属錯体化合物(比較例3〜4)を用いた場合と比較しても、高い耐光性を示した。また、一般式(a)における残基Aに対応するジピロメテン系金属錯体化合物と残基Bをなす消光部位に対応する化合物(ここではアントラキノン系化合物、テトラアザポルフィリン系化合物)とを、別々の分子として添加した場合(比較例5〜6)と比較しても、高い耐光性を示した。このことから、染料部位と消光部位が近傍に位置することが好ましいことが分かる。
また更に、一般式(a)で表される化合物を含有した着色硬化性組成物を用いて作製されたカラーフィルタでは、コントラストが飛躍的に向上した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(a)で表される化合物を含有する着色組成物。
【化1】


〔式中、Aは、下記一般式(I)で表されるジピロメテン系化合物が金属又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物の任意の水素原子を一つ除いた残基を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。Bは、テトラシアノキノジメタン系化合物、ビオロゲン系化合物、アントラキノン系化合物、及びテトラアザポルフィリン系化合物より選ばれる化合物の任意の水素原子を一つ除いた残基を表す。〕
【化2】


〔一般式(I)中、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。〕
【請求項2】
前記一般式(a)中のAは、下記一般式(I−3)で表されるジピロメテン系金属錯体化合物の任意の水素原子を一つ除いた残基である請求項1に記載の着色組成物。
【化3】


〔一般式(I−3)中、R、R、R、及びRは、各々独立に水素原子又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属又は金属化合物を表し、X及びXは、各々独立に、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Y及びYは、各々独立に、NRc(Rcは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、又は炭素原子を表す。R及びRは、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。RとYが互いに結合し、5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、RとYが互いに結合し、5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。Xは、Maと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。〕
【請求項3】
前記一般式(a)中のBは、アントラキノン系化合物及びテトラアザポルフィリン系化合物より選ばれる化合物の任意の水素原子を一つ除いた残基である請求項1又は請求項2に記載の着色組成物。
【請求項4】
前記アントラキノン系化合物が、下記の一般式(III)で表されるジアミノアントラキノン系化合物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の着色組成物。
【化4】


〔一般式(III)中、R10、R11、R12、及びR13は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。但し、R10とR11とは同時に水素原子を表すことはなく、R12とR13とは同時に水素原子を表すことはない。〕
【請求項5】
更に、重合性化合物と光重合開始剤とを含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の着色組成物を支持体上に付与して形成されたカラーフィルタ。
【請求項7】
下記一般式(a)で表される化合物を含有するカラーフィルタ。
【化5】


〔式中、Aは、下記一般式(I)で表されるジピロメテン系化合物が金属又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物の任意の水素原子を一つ除いた残基を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。Bは、テトラシアノキノジメタン系化合物、ビオロゲン系化合物、アントラキノン系化合物、及びテトラアザポルフィリン系化合物より選ばれる化合物の任意の水素原子を一つ除いた残基を表す。〕
【化6】


〔一般式(I)中、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。〕
【請求項8】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の着色組成物を支持体上に塗布して着色層を形成する工程と、
形成された前記着色層をパターン状に露光し、現像してパターン状の着色領域を形成する工程と、
を有するカラーフィルタの製造方法。
【請求項9】
請求項6又は請求項7に記載のカラーフィルタ、又は請求項8に記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタを備えた液晶表示装置。
【請求項10】
請求項6又は請求項7に記載のカラーフィルタ、又は請求項8に記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタを備えた固体撮像素子。


【公開番号】特開2012−77154(P2012−77154A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222427(P2010−222427)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】