説明

睫毛メイキャップ組成物およびコンディショニングキット

【課題】迅速なチャージング効果、十分なコンシステンシーおよび良好な滑性を同時に有する化粧品組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、連続水相、少なくとも1種のアルケンモノマーを含むコポリマーから選択される少なくとも1種の化合物、少なくとも1種の極性ワックス、および少なくとも1種の特定の界面活性剤を含む、ケラチン繊維をメイキャップまたはケアするための非治療用化粧品組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続水相、少なくとも1種のアルケンモノマーを含むコポリマーから選択される少なくとも1種の化合物、少なくとも1種の極性ワックス、および少なくとも1種の特定の界面活性剤を含む、ケラチン繊維(睫毛、眉毛または毛髪など)をメイキャップまたはケアするための非治療用化粧品組成物に関する。
【0002】
本発明は、特に、マスカラまたは眉毛用製品の形態である。より特定すれば、本発明はマスカラに関する。
【背景技術】
【0003】
「マスカラ」という用語は、ケラチン繊維に塗布することが意図された組成物を意味する。即ち、マスカラは、ケラチン繊維メイキャップ組成物、ケラチン繊維メイキャップベース、もしくはベースコート、トップコートとしても知られている、マスカラ上に塗布される組成物、またはケラチン繊維を処理するための化粧品組成物であってもよい。マスカラは、より特定すれば、ヒトケラチン繊維、ならびにつけ睫毛を対象とする。
【0004】
睫毛用「マスカラ」としても知られている、アイメイキャップ組成物は、一般に、ポリマーおよび顔料も含む水相中に、少なくとも1種の界面活性剤を用いて分散されたワックスまたはワックスの混合物からなる。
【0005】
一般に、ワックスおよびポリマーの定性的および定量的選択によって、メイキャップ組成物のための所望の塗布仕様、例えば、その流動度、その被覆力および/またはそのカール力が調整される。したがって、特に睫毛に塗布した場合、レングスニング、カーリングおよび/またはシックニング(チャージング効果)などの様々な効果を生じさせる種々の組成物を製造することが可能である。
【0006】
本発明は、より特定すれば、ケラチン繊維、特に睫毛上に、チャージングメイキャップとしても知られている、厚いメイキャップを生じさせるのに有用な組成物を提案することを対象とする。本発明の目的では、「ケラチン繊維」という用語は、毛髪、睫毛および眉毛を包含し、さらに合成かつらおよびつけ睫毛にまで及ぶ。
【0007】
現在入手可能なメイキャップ組成物では、この効果は、一般にケラチン繊維、より特定すれば睫毛上にメイキャップ組成物のいくつかの被覆を重ね合わせることによって得られる。さらに、睫毛に特定する場合、この効果は、いくつかの睫毛を一緒にした集合、即ち睫毛同士がくっつくことを伴うことが非常に多い。
【0008】
これを行うために、組成物と最初に接触したときから睫毛にかなりのチャージをするのに十分な固体の濃度を有する、特定のメイキャップ組成物が提案されている。しかし、このような組成物は、塗布時に濃くなりすぎて、睫毛の表面全体上にわたり該組成物が均一に塗布されることを可能にするのに必要な変形能をもはや有さないことがあり得る。
【0009】
さらに、このような組成物は、塗布時の心地良さおよび快適性という点からは理想的ではない。即ち、これらは、塗布中べたつきおよび乾燥感を有することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】EP-A-1034776
【特許文献2】FR-A-2792190
【特許文献3】EP-A-847752
【特許文献4】US5188899
【特許文献5】FR-A-2232303
【特許文献6】US5162410
【特許文献7】WO2004/073626
【特許文献8】WO04/055081
【特許文献9】US4887622
【特許文献10】FR2796529
【特許文献11】FR2761959
【特許文献12】FR2792618
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Handbook of Pressure Sensitive Adhesives、Donatas Satas編、第3版、1989、609〜619頁
【非特許文献2】J.Soc.Cosm.Chem.1954(5巻)、249〜256頁
【非特許文献3】「Encyclopedia of Chemical Technology、Kirk-Othmer」、22巻、333〜432頁、第3版、1979、Wiley
【非特許文献4】「Microemulsions Theory and Practice」、L.M.Prince編、Academic Press(1977)、21〜32頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
明白な理由で、迅速なチャージング効果、十分なコンシステンシーおよび良好な滑性を同時に提供し、それによって、特にブラシで塗布した場合、べたつきまたは乾燥感を有さない組成物を得ることが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記の特性は、連続水相、少なくとも1種のアルケンモノマーを含むコポリマーから選択される少なくとも1種の化合物、少なくとも1種の極性ワックスおよび塩の形態で水相中に存在する少なくとも1種のイオン性界面活性剤を含む組成物を用いることによって得ることができることを見出した。
【0014】
より詳細には、本発明の1つの主題は、連続水相、少なくとも1種のアルケンモノマーを含むコポリマーから選択される少なくとも1種の化合物、少なくとも1種の極性ワックスおよび塩の形態で水相中に存在する少なくとも1種のイオン性界面活性剤を含む、ケラチン繊維をメイキャップまたはケアするための非治療用化粧品組成物である。
【0015】
本発明の主題はまた、本発明による組成物のケラチン繊維への塗布を含む、ケラチン繊維をメイキャップまたはケアするための非治療用美容方法である。
【0016】
本発明の主題はまた、
i)少なくとも1つの区画を区切る容器、および
ii)前記区画の内部に収納される本発明による組成物
を含む、ケラチン繊維、特に睫毛または眉毛をメイキャップおよび/またはケアするための組成物のコンディショニング用キットである。
【0017】
この組成物は、ヒト睫毛、眉毛または毛髪などのケラチン繊維に塗布してもよく、特に眼の領域と適合性がある生理学的に許容される媒体、即ち非毒性媒体を含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
少なくとも1種のアルケンモノマーを含むコポリマー、特に、エチレンベースのコポリマー
「アルケンモノマー」という用語は、その直鎖または分枝の炭素ベース鎖が炭素-炭素二重結合を含む炭化水素モノマーを意味する。本発明によるアルケンは、したがってヘテロ原子を持っていない。
【0019】
「コポリマー」という用語は、2種の異なるモノマーを含むポリマーを意味する。
【0020】
このような化合物は、以下から選択してもよい:
- アルケンと酢酸ビニルのコポリマー、好ましくはエチレンと酢酸ビニルのコポリマー。
【0021】
このようなコポリマーは、低融点、炭化水素ベースのワックスとの良好な相溶性および様々な支持物、特にケラチン繊維への良好な付着性を兼ね備えるという利点を有する。
【0022】
以下のコポリマーを使用してもよい。即ち、酢酸ビニル/オクタデセンまたは酢酸ビニル/1-ドデセン。
【0023】
ポリマーの総重量に対して、5重量%から50重量%の間、好ましくは10重量%から45重量%の間、好ましくは20重量%から40重量%の間の酢酸ビニルを好ましくは含む、エチレンと酢酸ビニルのコポリマーが好ましくは使用される。コポリマー中の酢酸ビニルモノマーの含量を増加させると、ケラチン繊維への付着性を増大させることを可能にする。
【0024】
挙げることができる、エチレン/酢酸ビニルコポリマーの例には、Du Pont de Nemours社によって商品名Elvaxとして販売されているもの、特に、化合物Elvax 4OW、Elvax 14OW、Elvax 20OW、Elvax 205W、Elvax 21OWおよびElvax 310が含まれる。
【0025】
Evatane 28-800などの、Arkema社によって商品名Evataneとして販売されている製品も挙げることができる。
- 直鎖または分枝のα-オレフィン、特にC2〜C16、さらに好ましくはC2〜C12α-オレフィンのコポリマー。
【0026】
好ましくは、これらのコポリマーは、バイポリマーまたはターポリマーであり、とりわけバイポリマーである。
【0027】
本発明の組成物に推奨されるバイポリマーの中で、エチレンとC4〜C16、好ましくはC4〜C12α-オレフィンのバイポリマーおよびプロピレンとC4〜C16、好ましくはC4〜C12α-オレフィンのバイポリマーを挙げることができる。より好ましくは、α-オレフィンは、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテンおよび4-メチル-1-ペンテンから選択される。
【0028】
これらのモノマーの中で、1-ブテンおよび1-オクテンが特に好ましい。
【0029】
推奨されるバイポリマーは、10%〜35%の範囲の結晶化度を有するエラストマーである。
【0030】
これらのバイポリマーは、優先的にメタロセン触媒を介して合成される。
【0031】
このようなバイポリマーは、Dow Chemical社によって商品名Affinity(プラストマー)として、およびDu Pont de Nemours社によって商品名Engage(エラストマー)として販売されている。
【0032】
エチレン-ブテンバイポリマーは、Exxon社によって商品名Exact Resinsとして、およびElenac社によって商品名Luflexenとして販売されている。
【0033】
ターポリマーの中で、エチレン、プロピレンおよびC4〜C16、好ましくはC4〜C12α-オレフィンのターポリマーを挙げることができる。
【0034】
これらのターポリマーにおいて、C4〜C16α-オレフィンの含量は、先に示した通りであり、好ましいα-オレフィンは、ブテン、ヘキセンおよびオクテンである。
【0035】
特許出願EP-A-l034776に記載されている好ましいコポリマーは、特に、エチレンおよびオクテンのコポリマー、例えば、Dow Plastics社によって注文番号Affinity、例えばAffinity GA 1900、GA 1950として販売されている製品であり得る。
- エチレンまたはプロピレンとシクロオレフィンのコポリマー、特にバイポリマー。
【0036】
一般に、このコポリマーのシクロオレフィンの含量は、20モル%未満である。
【0037】
使用することができるシクロオレフィンの中で、シクロブテン、シクロヘキセン、シクロオクタジエン、ノルボルネン、ジメタノオクタヒドロナフタレン(DMON)、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネンおよび4-ビニルシクロヘキセンを挙げることができる。
【0038】
このクラスの推奨されるコポリマーは、エチレンとノルボルネンのコポリマーである。これらのコポリマーのノルボルネン含量は、一般に、要求される結晶性を有するためには18モル%未満であり、これらのコポリマーは、メタロセン触媒を介して合成される。
【0039】
適したエチレン/ノルボルネンコポリマーは、三井石油化学社または三井石化社によって商品名Apelとして、およびHoechst-Celanese社によって商品名Topasとして販売されている。
- スチレンブロック(ジブロック、トリブロック、マルチブロック、ラジアルまたはスター)を含み、エチレン/C3〜C4アルキレンブロックを含むコポリマー
好ましくは水素化されたジブロックコポリマーとして、スチレン-エチレン/プロピレンコポリマーおよびスチレン-エチレン/ブタジエンコポリマーを挙げることができる。ジブロックポリマーは、特に、Kraton Polymers社によって商品名Kraton(登録商標)G1701Eとして販売されている。
【0040】
好ましくは水素化されたトリブロックコポリマーとして、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマーおよびスチレン-ブタジエン-スチレンコポリマーを挙げることができる。トリブロックポリマーは、特に、Kraton Polymers社によって商品名Kraton(登録商標)G1650、Kraton(登録商標)G1652、Kraton(登録商標)D1101、Kraton(登録商標)D1102およびKraton(登録商標)D1160として販売されている。
【0041】
水素化されたスチレン-ブチレン/エチレン-スチレントリブロックコポリマーと水素化されたエチレン-プロピレン-スチレンスターポリマーとの混合物も使用することができ、このような混合物は、特にイソドデカン中にある。このような混合物は、例えば、Penreco社によって商品名Versagel(登録商標)M5960およびVersagel(登録商標)M5670として販売されている。
- およびこれらの混合物。
【0042】
これらのコポリマーは、脂肪相を増粘し、特に、ワックスの混合物をこれらのワックスの融点を超える温度で増粘することを可能にする。この、脂肪相の増粘は、水相中に存在するイオン性界面活性剤の存在下でより効果的な乳化を可能にする。この高粘度はまた、高温で脂肪相中の顔料の非常に良好な分散体を有すること、および配合物の色の非常に高い強度を得ることを可能にする。
【0043】
脂肪相の有効な増粘を達成するために、これらのコポリマーは、30000ダルトン超、好ましくは50000ダルトン超、より優先的には60000ダルトン超の、ポリスチレン等価物で表される重量平均分子質量Mwを好ましくは有する。
【0044】
重量平均分子質量Mwは、30000から300000ダルトンの間、好ましくは50000から200000ダルトンの間で有利には選択される。
【0045】
これらのコポリマーは、単独で、またはHandbook of Pressure Sensitive Adhesives、Donatas Satas編、第3版、1989、609〜619頁に記載されている粘着付与樹脂、後に説明されるワックスおよびその組合せから選択される少なくとも1種の化合物との混合物として使用してもよい。粘着付与樹脂は、ロジン、ロジン誘導体および炭化水素ベースの樹脂およびその混合物から特に選択してもよい。特に、大きな比率のインデンモノマーと小さい比率の、スチレン、メチルインデンおよびメチルスチレン、およびその混合物から選択されるモノマーの重合から誘導される樹脂などの、インデンベースの炭化水素系樹脂を挙げてもよい。これらの樹脂は、場合によって水素化されてもよい。該粘着付与樹脂は、290〜1150の範囲の分子量を有してもよい。挙げることができるインデンベースの樹脂の例には、特に、Eastman Chemical社によって商品名Regalite、特に、Regalite R 1100、Regalite R 1090、Regalite R-7100、Regalite R1010炭化水素樹脂およびRegalite R1125炭化水素樹脂として販売されている、インデン/メチルスチレン/水素化スチレンコポリマーが含まれる。
【0046】
エチレン/酢酸ビニルコポリマーをベースとする混合物として、挙げることができる例には、National Starch社によって商品名Coolbindとして販売されている製品が含まれる。
【0047】
好ましくは、これらのコポリマーは、組成物の総重量に対して0.5重量%以上、好ましくは0.7重量%以上、さらに好ましくは0.8重量%以上、好ましくは1重量%以上の固体含量で組成物中に存在する。
【0048】
好ましくは、これらのコポリマーは、組成物の総重量に対して0.5重量%から20重量%の間、好ましくは1重量%から10重量%の間の固体含量で組成物中に存在する。この濃度範囲は、容易に取扱い可能のままでありながら、脂肪相のかなりの増粘を得ることを可能にする。
【0049】
これらのコポリマーは、純粋な形態であるか、または水相もしくは有機溶媒相中に加えられていてもよい。
【0050】
連続水相
本発明による組成物は、水相を構成する水性媒体を含み、これは、組成物の連続相を形成する。したがって、本発明による組成物の水相は、連続水相である。
【0051】
「連続水相を有する組成物」という用語は、この組成物は、23μS/cm(マイクロジーメンス/cm)超の25℃で測定された導電率を有することを意味し、導電率は、例えば、Mettler Toledo製MPC227導電率測定器およびInlab 730導電率測定セルを用いて測定される。測定セルを組成物中に浸漬して、セルの2個の電極の間に形成しがちな気泡を除去する。導電率の読みは、導電率測定器の値が安定化すると直ちに得る。少なくとも3回の連続的な測定の平均を決定する。
【0052】
この水相は、実質的に水からなっていてもよく、また、水と水混和性溶媒(水中の混和性が25℃で50重量%を超える)、例えば、エタノールまたはイソプロパノールなどの1〜5個の炭素原子を含む低級モノアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコールおよびジプロピレングリコールなどの2〜8個の炭素原子を含むグリコール、C3〜C4ケトンおよびC2〜C4アルデヒドならびにこれらの混合物を含んでいてもよい。
【0053】
好ましくは、この水相(水および場合によって水混和性溶媒)は、組成物の総重量に対して少なくとも30重量%に等しく、好ましくは少なくとも40重量%に等しく、好ましくは少なくとも45重量%に等しい含量で存在する。
【0054】
好ましくは、この水相(水および場合によって水混和性溶媒)は、組成物の総重量に対して30重量%から90重量%の間、好ましくは40重量%から80重量%の間、好ましくは45重量%から70重量%の間の含量で存在する。
【0055】
塩の形態で(または塩化された形態で)水相中に存在するイオン性界面活性剤
本発明による組成物は、塩の形態で水相中に存在する少なくとも1種のイオン性界面活性剤を含む。このような界面活性剤は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの強塩基による中和の後、完全に塩化された形態で存在する。
【0056】
この界面活性剤は、組成物の総重量に対して、特に、0.1重量%〜20重量%、さらに好ましくは0.3重量%〜15重量%の範囲の割合で存在してもよい。
【0057】
「塩の形態で水相中に存在するイオン性界面活性剤」という用語は、連続水性媒体(水および場合によって水混和性溶媒)中にイオン化された形態で存在するイオン性界面活性剤を意味する。
【0058】
このような界面活性剤は、ステアリン酸/トリエタノールアミン系およびステアリン酸/2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール系(これは、脂肪相中に存在するステアリン酸と、水相中に存在するトリエタノールアミンまたは2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(非塩化形態で)とが組成物中においてin situで混合して、部分的にトリエタノールアミンステアレートまたは2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールステアレートを形成することが関与する)とは特に異なる。
【0059】
このような界面活性剤は、少なくとも1種のアルケンモノマーを含むコポリマーを高温でより効果的に乳化を可能にする。
【0060】
本発明によれば、水中油型エマルジョンを得るのに適切に選択された乳化剤が一般に使用される。特に、25℃でGriffinの意味で8以上のHLB(親水性親油性バランス)を有する乳化剤を使用することができる。
【0061】
GriffinによるHLB値は、J.Soc.Cosm.Chem.1954(5巻)、249〜256頁に定義されている。
【0062】
これらの界面活性剤は、アニオン性、カチオン性および両性界面活性剤または乳化界面活性剤から選択してもよい。界面活性剤の性質および(乳化)作用の定義については、文献「Encyclopedia of Chemical Technology、Kirk-Othmer」、22巻、333〜432頁、第3版、1979、Wileyを、アニオン性および両性界面活性剤については、特に、この参考文献の347〜377頁を参照することができる。
【0063】
本発明による、水相中に塩の形態で存在するイオン性界面活性剤は、
a)アニオン性界面活性剤、例えば、
- ポリオキシエチレン化脂肪酸塩、特に、アルカリ金属塩から誘導されるもの、およびこれらの混合物;
- リン酸エステルおよびこれらの塩、例えば、「オレス-10リン酸DEA」(Croda社製Crodafos N 10)またはモノセチルリン酸一カリウム(Givaudan製Amphisol K);
- スルホスクシネート、例えば、「PEG-5ラウリルクエン酸スルホコハク酸二ナトリウム」および「リシノレアミドMEAスルホコハク酸二ナトリウム」;
- アルキルエーテルスルフェート、例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウム;
- イセチオネート;
- アシルグルタメート、例えば、「水添タロウグルタミン酸二ナトリウム」(味の素社によって販売されているAmisoft HS-21R(登録商標))およびステアロイルグルタミン酸ナトリウム(味の素社によって販売されているAmisoft HS-11PF(登録商標))、およびこれらの混合物;
- 大豆誘導体、例えば、大豆カリウム;
- シトレート、例えば、クエン酸ステアリン酸グリセリル(Degussa製Axol C 62 Pellets);
- プロリン誘導体、例えば、パルミトイルプロリンナトリウム(SEPPIC製Sepicalm VG)またはパルミトイルサルコシンナトリウム、パルミトイルグルタミン酸マグネシウム、パルミチン酸およびパルミトイルプロリンの混合物(SEPPIC製Sepifeel One);
- ラクチレート、例えば、ステアロイルラクチレートナトリウム(Karlshamns AB製Akoline SL);
- サルコシネート、例えば、パルミトイルサルコシンナトリウム(Nikkol sarcocinate PN)またはステアロイルサルコシンとミリストイルサルコシンとの75/25混合物(Croda製Crodasin SM);
- スルホネート、例えば、C14〜C17sec-アルキルスルホン酸ナトリウム(Clariant製Hostapur SAS 60);
- グリシネート、例えば、ココイルグリシンナトリウム(味の素製Amilite GCS-12);
b)両性界面活性剤、例えば、N-アルキルアミノアセテートおよびココアンホジ酢酸二ナトリウムなどのN-アシルアミノ酸、ならびにステアラミンオキシドなどのアミンオキシド、あるいは、シリコーン界面活性剤、例えば、Phoenix Chemical社によって商品名Pecosil PS 100(登録商標)として販売されている製品などのリン酸ジメチコンコポリオール
から選択される。
【0064】
追加の界面活性剤
この乳化系はまた、水中ワックス型または水中油型エマルジョンを得るために適切に選択される少なくとも1種の追加の界面活性剤を含む。
【0065】
特に、25℃で8以上の、Griffinの意味のHLB(親水性親油性バランス)を有する乳化剤を使用してもよい。
【0066】
これらの追加の界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性界面活性剤または乳化界面活性剤から選択してもよい。界面活性剤の性質および(乳化)作用の定義については、Kirk-Othmerの「Encyclopedia of Chemical Technology」、22巻、333〜432頁、第3版、1979、Wileyを、アニオン性、両性および非イオン性界面活性剤については、特に、この参考文献の347〜377頁を参照することができる。
【0067】
これらの追加の界面活性剤は以下から優先的に選択してもよい。
【0068】
a)単独でまたは混合物として使用される、25℃で8以上のHLBを有する非イオン性界面活性剤;特に、
- 糖類エステルおよびエーテル、例えば、セチルステアリルグルコシドとセチルおよびステアリルアルコールとの混合物、例えば、SEPPIC製Montanov 68;
- グリセロールのオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化エーテル(これは、1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含んでもよい);
- 脂肪アルコール(特に、C8〜C24、好ましくはC12〜C18アルコール)のオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化エーテル(これは、1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含んでもよい)、例えば、30個のオキシエチレン基を含むオキシエチレン化ステアリルアルコールエーテル(CTFA名ステアレス-30)、20個のオキシエチレン基を含むオキシエチレン化セテアリルアルコールエーテル(CTFA名セテアレス-20)およびShell Chemicalsによって商品名Neodol 25-7(登録商標)として販売されている7個のオキシエチレン基を含むC12〜C15脂肪アルコールの混合物のオキシエチレン化エーテル(CTFA名C12〜15 Pareth-7);
- ポリエチレングリコール(これは、1〜150個のエチレングリコール単位を含んでもよい)の脂肪酸エステル(特に、C8〜C24、好ましくはC16〜C22の酸)、例えば、ICI Uniqema社によって商品名Myrj 52P(登録商標)として販売されているステアリン酸PEG-50およびモノステアリン酸PEG-40;
- オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化グリセリルエーテル(これは、1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含んでもよい)の脂肪酸エステル(特に、C8〜C24、好ましくはC16〜C22の酸)、例えば、SEPPIC社によって商品名Simulsol 220 TM(登録商標)として販売されているモノステアリン酸PEG-200グリセリル;30個のエチレンオキシド基でポリエトキシル化されたステアリン酸グリセリル、例えば、Goldschmidt社によって販売されている製品Tagat S(登録商標)、30個のエチレンオキシド基でポリエトキシル化されたオレイン酸グリセリル、例えば、Goldschmidt社によって販売されている製品Tagat O(登録商標)、30個のエチレンオキシド基でポリエトキシル化されたヤシ脂肪酸グリセリル、例えば、Sherex社によって販売されている製品Varionic LI 13(登録商標)、30個のエチレンオキシド基でポリエトキシル化されたイソステアリン酸グリセリル、例えば、Goldschmidt社によって販売されている製品Tagat L(登録商標)、および30個のエチレンオキシド基でポリエトキシル化されたラウリン酸グリセリル、例えば、Goldschmidt社製の製品Tagat I(登録商標);
- オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化ソルビトールエーテル(これは、1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含んでもよい)の脂肪酸エステル(特に、C8〜C24好ましくはC16〜C22の酸)、例えば、Croda社によって商品名Tween 20(登録商標)として販売されているポリソルベート20およびCroda社によって商品名Tween 60(登録商標)として販売されているポリソルベート60;
- ジメチコンコポリオール、例えば、Dow Corning社によって商品名Q2-5220(登録商標)として販売されている製品;
- 安息香酸ジメチコンコポリオール(Finetex社製Finsolv SLB 101(登録商標)および201(登録商標));
- EO/PO重縮合物としても知られている、プロピレンオキシドとエチレンオキシドのコポリマー;
- およびこれらの混合物
を挙げてもよい。
【0069】
EO/PO重縮合物は、より特定すれば、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックからなるコポリマー、例えば、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合物である。これらのトリブロック重縮合物は、例えば、以下の化学構造
H-(O-CH2-CH2)a-(O-CH(CH3)-CH2)b-(O-CH2-CH2)a-OH
[式中、aは2〜120の範囲であり、bは1〜100の範囲である]
を有する。
【0070】
EO/PO重縮合物は、好ましくは1000〜15000の範囲、さらに好ましくは2000〜13000の範囲の重量平均分子量を有する。有利には、前記EO/PO重縮合物は、蒸留水中10g/lで、20℃以上、好ましくは60℃以上の曇り点を有する。曇り点は、ISO規格1065に従って測定される。本発明により使用することができるEO/PO重縮合物として、ICI社によって商品名Synperonic(登録商標)、例えば、Synperonic PE/L44(登録商標)およびSynperonic PE/F127(登録商標)として販売されている、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合物を挙げることができる。
【0071】
b)25℃で8未満のHLBを有する非イオン性界面活性剤(1種または複数の上述したものなどの、25℃で8超のHLBを有する非イオン性界面活性剤と場合によって組み合わせて)、例えば
- 糖類のエステルおよびエーテル、例えば、ステアリン酸スクロース、ヤシ脂肪酸スクロースおよびステアリン酸ソルビタン、およびこれらの混合物、例えば、ICI社によって販売されているArlatone 2121(登録商標);
- 脂肪アルコール(特に、C8〜C24、好ましくはC12〜C18アルコール)のオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化エーテル(これは、1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含んでもよい)、例えば、2個のオキシエチレン基を含むステアリルアルコールのオキシエチレン化エーテル(CTFA名:ステアレス-2);
- ポリオール、特に、グリセロールまたはソルビトールの脂肪酸エステル(特に、C8〜C24好ましくはC16〜C22の酸)、例えば、Goldschmidt社によって商品名Tegin M(登録商標)として販売されている製品などのステアリン酸グリセリル、Huls社によって商品名Imwitor 312(登録商標)として販売されている製品などのラウリン酸グリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル-2、トリステアリン酸ソルビタンまたはリシノレイン酸グリセリル;
- レシチン、例えば、大豆レシチン(例えば、Cargill製Emulmetik 100 J、またはLucas Meyer製Biophilic H);
- Dow Corning社によって商品名Q2-3225C(登録商標)として販売されているシクロメチコン/ジメチコンコポリオールの混合物、
c)アニオン性界面活性剤、例えば、
- C16〜C30脂肪酸塩、特に、アミンから誘導されるもの、例えば、トリエタノールアミンステアレートおよび/または2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールステアレート;
しかし好ましくは、本特許出願による組成物は、1%未満のトリエタノールアミンステアレートおよび1%未満の2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールステアレートを含む。
【0072】
使用することができる界面活性剤はまた、ポリマーの界面活性剤、特に、熱ゲル化ポリマーであり得る。
【0073】
一実施形態によれば、本特許出願による化粧品組成物は、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満のトリエタノールアミンを含み、さらに好ましくはトリエタノールアミンを含まない。別の実施形態によれば、本特許出願による化粧品組成物は、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満の2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールを含み、さらに好ましくは2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールを含まない。
【0074】
一変形によれば、本特許出願による化粧品組成物は、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満のトリエタノールアミンステアレートを含み、さらに好ましくはトリエタノールアミンステアレートを含まない。他の変形によれば、本特許出願による化粧品組成物は、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満の2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールステアレートを含み、さらに好ましくは2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールステアレートを含まない。
【0075】
一実施形態によれば、この組成物はまた、好ましくは10〜30個の炭素原子を含む、脂肪アルコールから選択される共界面活性剤を含む。「10〜30個の炭素原子を含む脂肪アルコール」という表現は、10〜30個の炭素原子を含む、任意の飽和または不飽和、分枝または非分枝の純粋な脂肪アルコールを意味する。
【0076】
10〜26個の炭素原子、さらに好ましくは10〜24個の炭素原子、さらに好ましくは14〜22個の炭素原子を含む脂肪アルコールが、好ましくは使用される。
【0077】
この組成物中で使用することができる脂肪アルコールとして、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、セテアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物)、ベヘニルアルコールおよびエルシルアルコール、ならびにこれらの混合物を特に挙げてもよい。セチルアルコールが好ましくは使用される。
【0078】
このような脂肪アルコールは、特に、Sasol社によって商品名Nafolとして販売されている。
【0079】
脂肪アルコールは、組成物の総重量に対して0.2重量%〜20重量%、好ましくは0.3重量%〜10重量%の範囲の含量で存在してもよい。
【0080】
この組成物の主要な界面活性剤系として、好ましくは、組成物は以下の界面活性剤系を含む。
- 塩の形態で水相中に存在するイオン性界面活性剤として、少なくとも1種のリン酸エステル塩;
- 25℃で8超のHLBを有する、少なくとも1種のオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化された、C12〜C18脂肪アルコールのエーテル(これは、1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含んでもよい);
- 25℃で8未満のHLBを有する、少なくとも1種のオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化された、C12〜C18脂肪アルコールのエーテル(これは、1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含んでもよい);
- および、場合によって、14〜22個の炭素原子を含む少なくとも1種の脂肪アルコール。
【0081】
「主要な界面活性剤系」という用語は、それが存在しないと、安定な組成物の形成をもたらさない系を意味する。
【0082】
「安定な」という用語は、45℃で2カ月間オーブン中に収納した後、室温に戻った後、組成物の薄層を指の間ですり動かした場合、粒子の手触りがなにも感じられない組成物を意味する。
【0083】
有利には、主要な界面活性剤系として上述の界面活性剤系は、この組成物の唯一の界面活性剤系である。
【0084】
「唯一の」という用語は、任意の可能性のある追加の界面活性剤系が、1%を超えない、好ましくは0.5%を超えない量で存在することを意味する。より好ましくは、「唯一の」という用語は、いずれの他の界面活性剤系も完全に存在しないことを表す。
【0085】
水溶性ゲル化剤
本発明による組成物は、水溶性ゲル化剤を含んでもよい。
【0086】
本発明による組成物中で使用することができる水溶性ゲル化剤は、
アクリル酸もしくはメタクリル酸またはこれらの塩およびエステルのホモポリマーまたはコポリマー、特に、Allied Colloid社によって商品名Versicol F(登録商標)またはVersicol K(登録商標)、Ciba-Geigy社によってUltrahold 8(登録商標)、およびSynthalen Kタイプのポリアクリル酸として販売されている製品;
Hercules社によって商品名Reten(登録商標)としてそのナトリウム塩の形態で販売されているアクリル酸とアクリルアミドのコポリマー、Vanderbilt社によって商品名Darvan 7(登録商標)として販売されているポリメタクリル酸ナトリウム、およびHenkel社によって商品名Hydagen F(登録商標)として販売されているポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩;
Pemulenタイプのポリアクリル酸/アルキルアクリレートコポリマー;
Clariant社によって販売されているAMPS(アンモニアで部分的に中和され、高度に架橋されたポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸);
SEPPIC社によって販売されている、Sepigel(登録商標)またはSimulgel(登録商標)タイプのAMPS/アクリルアミドコポリマー、および
ポリオキシアルキレン化AMPS/アルキルメタクリレートコポリマー(架橋または非架橋)、
タンパク質、例えば、コムギタンパク質および大豆タンパク質などの植物起源のタンパク質;ケラチン、例えば、ケラチン加水分解物およびスルホン酸ケラチンなどの動物起源のタンパク質;
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどのセルロースのポリマー、ならびに四級化セルロース誘導体;
ポリアクリレートまたはポリメタクリレートなどのアクリル酸ポリマーまたはコポリマー;
ビニルポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテルとリンゴ酸無水物のコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸のコポリマー、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー;ビニルピロリドンとカプロラクタムのコポリマー;ポリビニルアルコール;
場合によって修飾された、天然起源のポリマー、例えば、
アラビアゴム、グアーガム、キサンタン誘導体、カラヤガム;
アルギネートおよびカラゲナン;
グリコサミノグリカン、ヒルアロン酸およびこれらの誘導体;
セラック樹脂、サンダラックゴム、ダンマー樹脂、エレミゴムおよびコーパル樹脂;
デオキシリボ核酸;
コンドロイチンスルフェートなどのムコ多糖類、
およびこれらの混合物
から選択してもよい。
【0087】
これらの水溶性ゲル化剤のいくつかは、被膜形成性ポリマーとしての役割も果たす。
【0088】
水溶性ゲル化ポリマーは、組成物の総重量に対して0.01重量%〜50重量%、好ましくは0.5重量%〜30重量%、さらに好ましくは1重量%〜20重量%、さらに好ましくは2重量%〜10重量%の範囲の固体含量で本発明による組成物中に存在してもよい。
【0089】
極性ワックス
本特許出願による組成物は、少なくとも1種の極性ワックスを含む。この極性ワックスは、粘稠な、チャージングテクスチャを得るのに必須である。
【0090】
「ワックス」という用語は、室温(25℃)で固体であり、固体/液体の状態の可逆的変化を有し、変形可能であってもなくてもよく、40℃以上の融点を有する(120℃まで達してもよい)親油性化合物を意味する。特に、本発明に使用するのに適したワックスは、45℃以上、特に55℃以上の融点を有してもよい。
【0091】
「親油性化合物」という用語は、150mgKOH/g未満の酸価および水酸基価を有する化合物を意味する。
【0092】
本発明の目的では、融点は、ISO規格11357-3;1999に記載された、熱分析(DSC)によって観察される最大吸熱ピークの温度に対応する。ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、TA Instruments社によって商品名MDSC 2920として販売されている熱量計を用いて測定してもよい。
【0093】
測定プロトコルは、以下の通りである。
【0094】
るつぼ中に収納したワックス試料5mgを、10℃/分の加熱速度で-20℃から100℃までの範囲の第1の温度上昇にかけ、次いで、10℃/分の冷却速度で100℃から-20℃まで冷却し、最後に、5℃/分の加熱速度で-20℃から100℃までの範囲の第2の温度上昇にかける。第2の温度上昇の間、空のるつぼとワックス試料を含むるつぼによって吸収される力の差の変化を温度の関数として測定する。化合物の融点は、温度の関数としての吸収された力の差の変化を表す曲線のピークの頂部に対応する温度値である。
【0095】
極性ワックスは、炭化水素ベースのワックスおよび/またはフルオロワックスであってもよく、植物、鉱物、動物および/または合成起源であってもよい。
【0096】
「極性ワックス」という用語は、これらの化学構造中に、炭素および水素原子に加えて、O、NまたはPなどの、電気陰性の高い少なくとも1種のヘテロ原子を含むワックスを意味する。
【0097】
極性ワックスは、組成物の総重量に対して1重量%〜50重量%、さらに好ましくは2重量%〜40重量%、さらに好ましくは5重量%〜30重量%の範囲の含量で存在してもよい。
【0098】
極性ワックスとして、炭化水素ベースのワックス、例えば、ミツロウ、ラノリンロウ;コメロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オーリクリーロウ、モクロウ、果実ロウ、セラックロウおよびスマックロウ;モンタンロウを特に使用してもよい。
【0099】
好ましい一実施形態によれば、ミツロウ、コメヌカロウおよびカルナウバロウ、およびこれらの混合物から選択される炭化水素ベースのワックスが使用される。
【0100】
直鎖または分枝のC8〜C32脂肪鎖を含む、動物油または植物油の接触水素化によって得られるワックスも挙げることができる。
【0101】
これらの油の中で、水素化ホホバ油、水素化ヒマワリ油、水素化ヒマシ油、水素化ヤシ油および水素化ラノリン油、Heterene社によって商品名Hest 2T-4Sとして販売されているビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレート、およびHeterene社によって商品名Hest 2T-4Bとして販売されているビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラベヘネートを特に挙げてもよい。
【0102】
Sophim社によって、商品名Phytowax Olive 18 L 57として販売されている、ステアリルアルコールでエステル化されたオリーブ油の水素化で得られたワックス、または商品名Phytowax Ricin 16L64および22L73として販売されている、セチルアルコールでエステル化されたヒマシ油の水素化で得られたワックスを使用してもよい。このようなワックスは、特許出願FR-A-2792190に記載されている。
【0103】
脂肪酸と炭水化物との反応から得られたワックス、例えば、注文番号Cromaderm BとしてCrodaによって販売されているポリベヘン酸スクロースなどのスクロースの二糖類タイプを挙げてもよい。
【0104】
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の「粘着性」ワックス、即ち、0.7N.s以上の粘着性および3.5MPa以下の硬度を有するワックスを含んでもよい。
【0105】
粘着性ワックスを用いると、睫毛に容易に塗布され、睫毛に十分に付着し、滑らかで、均一な、シックニングメイキャップの結果を形成する化粧品組成物を得ることを特に可能にし得る。
【0106】
使用される粘着性ワックスは、0.7N.s〜30N.sの範囲、特に1N.s以上、特に1N.s〜20N.sの範囲、特に2N.s以上、特に2N.s〜10N.sの範囲、および特に2N.s〜5N.sの範囲の粘着性を特に有してもよい。
【0107】
ワックスの粘着性は、45°の角度を成す円錐形のアクリル酸ポリマーのスピンドルを装備した、Rhea社によって商品名TA-TX2i(登録商標)として販売されているテクスチュロメーターを用いて、時間の関数として力の変化(圧縮力または伸張力)を20℃で測定することによって決定される。
【0108】
この測定プロトコルは、以下の通りである:
ワックスをワックスの融点+10℃に等しい温度で溶融する。溶融ワックスを直径25mm、深さ20mmの容器中に注ぐ。ワックスを、室温(25℃)で24時間、ワックスの表面が平坦で滑らかであるように再結晶させ、次いで、粘着性を測定する前に、ワックスを20℃で少なくとも1時間保管する。
【0109】
テクスチュロメーターのスピンドルを、0.5mm/sの速度で移動させ、次いで、侵入深さ2mmまでワックスに侵入する。スピンドルが2mmの深さまでワックスに侵入したとき、スピンドルを1秒間(緩和時間に対応する)静止させ、次いで、0.5mm/sの速度で取り出す。
【0110】
緩和時間の間、この力(圧縮力)は、ゼロになるまで大幅に低下し、次いで、スピンドルを取り出す間、この力(伸張力)はマイナスになり、次いで値0まで再度上昇する。粘着性は、時間の関数としての力の曲線の、力のマイナスの値(伸張力)に対応する曲線の部分についての積分に対応する。粘着性値は単位N.sで表される。
【0111】
使用することができる粘着性ワックスは、一般に、3.5MPa以下、特に0.01MPa〜3.5MPaの範囲、特に0.05MPa〜3MPaの範囲、さらに0.1MPa〜2.5MPaの範囲の硬度を有する。
【0112】
硬度は、圧縮力を測定することによって決定され、これは、0.1mm/秒の測定速度で移動し、侵入深さ0.3mmまでワックス中に侵入する、直径2mmのステンレス鋼シリンダーを装備した、Rheo社によって商品名TA-XT2として販売されているテクスチュロメーターを用いて20℃で測定される。
【0113】
測定プロトコルは以下の通りである:
ワックスをワックスの融点+10℃に等しい温度で溶融する。溶融ワックスを直径25mm、深さ20mmの容器中に注ぐ。ワックスを、室温(25℃)で24時間、ワックスの表面が平坦で滑らかであるように再結晶させ、次いで、硬度または粘着性を測定する前に、ワックスを20℃で少なくとも1時間保管する。
【0114】
テクスチュロメーターのスピンドルを、0.1mm/sの速度で移動させ、次いで、侵入深さ0.3mmまでワックスに侵入する。スピンドルが0.3mmの深さまでワックスに侵入したとき、スピンドルを1秒間(緩和時間に対応する)静止させ、次いで、0.5mm/sの速度で取り出す。
【0115】
硬度値は、ワックスと接触するテクスチュロメーターシリンダーの面積で除算した、測定された最大圧縮力である。
【0116】
使用することができる粘着性ワックスには、単独もしくは混合物としてのC2O〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(20〜40個の炭素原子を含むアルキル基)、特に、式(II)のC2O〜C40アルキル12-(12'-ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート、
【0117】
【化1】

【0118】
[式中、mは18〜38の範囲の整数である]
または式(II)の化合物の混合物が含まれる。
【0119】
このようなワックスは、特に、Koster Keunen社によって商品名Kester Wax K 82 P(登録商標)およびKester Wax K 80 P(登録商標)として販売されている。
【0120】
上記ワックスは、一般に45℃未満の溶融開始点を有する。
【0121】
このワックス(複数可)は、ワックスの水性微分散体の形態で存在してもよい。「ワックスの水性微分散体」という表現は、前記ワックス粒子のサイズが約1μm以下であるワックス粒子の水性分散体を意味する。
【0122】
ワックス微分散体は、コロイド状ワックス粒子の安定な分散体であり、特に、「Microemulsions Theory and Practice」、L.M.Prince編、Academic Press(1977)、21〜32頁に説明されている。
【0123】
特に、これらの微分散体ワックスは、界面活性剤、および場合によって一部の水の存在下でワックスを溶融し、続いて、撹拌しながら温水を徐々に加えることによって得てもよい。油中水型のエマルジョンの中間形成が観測され、続いて、転相によって水中油型のミクロエマルジョンが最後に生成される。冷却すると、固体ワックスコロイドの安定な微分散体が得られる。
【0124】
微分散体ワックスはまた、超音波、高圧ホモジナイザーまたはターボミキサーなどの撹拌手段を用いて、ワックス、界面活性剤および水の混合物を撹拌することによって得てもよい。
【0125】
微分散体ワックスの粒子は、1μm未満(特に、0.02μm〜0.99μmの範囲)、好ましくは0.5μm未満(特に、0.06μm〜0.5μmの範囲)の平均サイズを好ましくは有する。
【0126】
これらの粒子は、実質的には、ワックスまたはワックスの混合物からなる。しかし、これらは、少量の油性および/またはペースト状脂肪添加剤、界面活性剤および/または一般的な脂溶性添加剤/活性薬を含んでもよい。
【0127】
MicroPowders社によって商品名MicroEase 114S(登録商標)として販売されている製品などの、合成ワックスのミクロワックスを特に挙げてもよい。
【0128】
好ましくは、極性ワックスは、炭化水素ベースのワックス、例えば、ミツロウ、ラノリンロウ;コメヌカロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オーリクリーロウ、モクロウ、果実ロウ、セラックロウおよびスマックロウ;モンタンロウ、水素化ヒマシ油、水素化ラノリン油、脂肪酸と炭水化物との反応から得られたワックス、例えば、注文番号Cromaderm BとしてCrodaによって販売されているポリベヘン酸スクロースなどのスクロースの二糖類タイプ、ヒドロキシエステルワックス、例えば、Koster Keunen社によって商品名Kester Wax K 82 P(登録商標)およびKester Wax K 80 P(登録商標)として販売されているものなどのC2O〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレートワックスから選択される。
【0129】
より好ましくは、極性ワックスは、炭化水素ベースのワックス、例えばミツロウ、コメヌカロウおよびカルナウバロウ、粘着性ワックス、即ち、0.7N.s以上の粘着性および3.5MPa以下の硬度を有するワックス(この粘着性ワックスは、好ましくはヒドロキシエステルワックス、好ましくは、Koster Keunen社によって商品名Kester Wax K 82 P(登録商標)およびKester Wax K 80 P(登録商標)として販売されているものなどの、C2O〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレートワックスである)、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0130】
追加のワックス
本発明による組成物はまた、上に挙げた極性ワックスと異なる1種または複数の追加のワックスを含んでもよい。このような追加のワックスは、非極性ワックスである。
【0131】
本発明の状況で考慮される非極性ワックスは、上に示したワックスの定義を満たす。
【0132】
「非極性」という用語は、その化学構造中に、O、NまたはPなどの任意の電気陰性の高いヘテロ原子を含まないワックスを意味する。
【0133】
非極性ワックスは、炭化水素ベースまたはフルオロワックスであり、鉱物および/または合成起源であってもよい。
【0134】
非極性ワックスは、組成物の総重量に対して1重量%〜50重量%、好ましくは1重量%〜40重量%、さらに好ましくは1重量%〜10重量%の範囲の含量で存在してもよい。
【0135】
本発明に使用するのに適した非極性ワックスの例示として、微結晶ワックス、パラフィンおよびオゼケライト;ポリエチレンワックス、フィッシャー-トロプシュ合成によって得られるワックスおよび蝋質のコポリマー、ならびにまたこれらのエステル;シリコーンワックスおよびフルオロワックスを特に挙げてもよい。
【0136】
特定の一実施形態によれば、パラフィンが追加のワックスとして使用される。
【0137】

本発明による組成物はまた、室温(25℃)および大気圧(760mmHg)で液体である、1種または複数の油または非水性脂肪物質を含んでもよい。
【0138】
この油は、揮発性油および/または不揮発性油、ならびにこれらの混合物から選択してもよい。
【0139】
この油(複数可)は、組成物の総重量に対して0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%の範囲の含量で本発明による組成物中に存在してもよい。
【0140】
本発明の目的では、「揮発性油」という用語は、皮膚またはケラチン繊維と接触したとき、室温および大気圧で1時間未満で蒸発することが可能な油を意味する。本発明の揮発性有機溶媒(複数可)および揮発性油は、室温および大気圧で、特に0.13Pa〜40000Pa(10-3〜300mmHg)の範囲、特に1.3Pa〜13000Pa(0.01〜100mmHg)の範囲、より特定すれば1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の範囲の非0の蒸気圧を有する、室温で液体である揮発性有機溶媒および化粧品用油である。
【0141】
「不揮発性油」という用語は、室温および大気圧で皮膚またはケラチン繊維上に少なくとも数時間留まり、特に1O-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する油を意味する。
【0142】
これらの油は、炭化水素ベースの油、シリコーン油またはフルオロ油、ならびにこれらの混合物であってもよい。
【0143】
「炭化水素ベースの油」という用語は、主として水素および炭素原子ならびに場合によって酸素、窒素、硫黄またはリン原子を含む油を意味する。揮発性炭化水素ベースの油は、8〜16個の炭素原子を含む炭化水素ベースの油、特に分枝のC8〜C16アルカン、例えば、石油起源のC8〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、例えば、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)、イソデカンおよびイソヘキサデカン、例えば、商品名IsoparまたはPermethylとして販売されている油、分枝のC8〜C16エステルおよびイソヘキシルネオペンタノエート、ならびにこれらの混合物から選択してもよい。他の揮発性炭化水素ベースの油、例えば石油留出物、特に、Shell社によって商品名Shell Soltとして販売されているものを使用してもよい。揮発性溶媒は、好ましくは、8〜16個の炭素原子を含む揮発性炭化水素ベースの油、およびこれらの混合物から選択される。
【0144】
さらに使用することができる揮発性油には、揮発性シリコーン、例えば、揮発性線状または環状シリコーン油、特に、粘度≦8センチストークス(8×1O-6m2/秒)を有し、特に2〜7個のケイ素原子を含むもの(これらのシリコーンは、1〜10個の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシ基を場合によって含む)が含まれる。本発明で使用することができる揮発性シリコーン油として、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンおよびドデカメチルペンタシロキサン、ならびにこれらの混合物を特に挙げてもよい。
【0145】
さらに、一般式(I)の線状揮発性アルキルトリシロキサン油
【0146】
【化2】

【0147】
[式中、Rは、2〜4個の炭素原子を含み、1個または複数の水素原子がフッ素または塩素原子で置換されていてもよいアルキル基を表す]
を挙げてもよい。
【0148】
挙げることができる、一般式(I)の油の中には次のものがある。
【0149】
3-ブチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、
3-プロピル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、および
3-エチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン
[Rは、それぞれ、ブチル基、プロピル基またはエチル基である、式(I)の油に対応する]。
【0150】
ノナフルオロメトキシブタンまたはペルフルオロメチルシクロペンタンなどの、揮発性フルオロ溶媒も使用してもよい。
【0151】
この組成物はまた、不揮発性の炭化水素ベースの油および/またはシリコーン油および/またはフルオロ油から特に選択される、少なくとも1種の不揮発性油を含んでもよい。
【0152】
特に挙げることができる不揮発性炭化水素ベースの油には、
- 植物起源の炭化水素ベースの油、例えば、グリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリド(この脂肪酸は、C4〜C24の多様な鎖長を有してもよく、これらの鎖は、直鎖または分枝、および飽和または不飽和のこともあり;これらの油は、特に、コムギ胚芽油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ゴマ種油、トウモロコシ油、アンズ油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、ナタネ油、綿実油、ハシバミ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、マロー油、クロフサスグリ油、ツヨイグサ油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライ麦油、サフラワー油、ククイ油、トケイソウ油およびマスクローズ油であり;あるいは、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社によって販売されているものまたはDynamit Nobel社によって商品名Miglyol 810、812および818として販売されているものである);
- 10〜40個の炭素原子を含む合成エーテル;
- 鉱物または合成起源の直鎖または分枝の炭化水素、例えば、ワセリン、ポリデセン、Parleamなどの水素化ポリイソブテン、およびスクアラン、ならびにこれらの混合物;
- 合成エステル、例えば、式R1COOR2の油(式中、R1は、1〜40個の炭素原子を含む直鎖または分枝の脂肪酸残基を表し、R2は、特に、1〜40個の炭素原子を含む分枝の炭化水素ベースの鎖を表し、R1+R2≧10であることを条件とする)、例えば、パーセリン油(オクタン酸セトステアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、C12〜C15アルキルベンゾエート、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、ジオクタン酸プロピレングリコールなどのアルキルまたはポリアルキルオクタノエート、デカノエートまたはリシノレート;乳酸イソステアリルおよびマレイン酸ジイソステアリルなどのヒドロキシ化エステル;ならびにペンタエリスリトールエステル;
- 室温で液体である、12〜26個の炭素原子を含む分枝および/または不飽和炭素ベースの鎖を含む脂肪アルコール、例えば、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノールまたは2-ウンデシルペンタデカノール;
- 高級脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸またはリノレン酸;
- カーボネート、
- アセテート、
- シトレート、
ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0153】
本発明による組成物に使用することができる不揮発性シリコーン油は、不揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)、懸垂状であるおよび/またはシリコーン鎖の末端にあり、それぞれが2〜24個の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンおよび2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートであってもよい。
【0154】
本発明で使用することができるフルオロ油には、特に、文献EP-A-847752に記載されている、フルオロシリコーン油、フルオロポリエーテルまたはフルオロシリコーンがある。
【0155】
被膜形成性ポリマー
本発明による組成物は、少なくとも1種のアルケンモノマーを含むコポリマーに加えて、少なくとも1種の被膜形成性ポリマーを含んでもよい。
【0156】
この被膜形成性ポリマーは、組成物の総重量に対して0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%、さらに好ましくは1重量%〜15重量%の範囲の固体(または活性物質)含量で本発明による組成物中に存在してもよい。
【0157】
本発明では、「被膜形成性ポリマー」という表現は、それ自体によってまたは補助の被膜形成剤の存在下で、ケラチン繊維に付着する肉眼的に連続な被膜を形成することが可能であるポリマーを意味する。
【0158】
親水性の被膜形成性ポリマーは、水溶性ポリマーまたは水性媒体中の分散体であってもよい。
【0159】
本発明の組成物に使用することができる被膜形成性ポリマーの中で、フリーラジカルタイプもしくは重縮合物タイプの合成ポリマー、および天然起源のポリマー、ならびにこれらの混合物を挙げてもよい。
【0160】
「フリーラジカル被膜形成性ポリマー」という表現は、不飽和、特にエチレン性不飽和モノマーの重合によって得られ、各モノマーは、(重縮合物とは異なり)単独重合することが可能であるポリマーを意味する。
【0161】
挙げることができる水溶性被膜形成性ポリマーの例には、
- タンパク質、例えば、コムギまたは大豆タンパク質などの植物起源のタンパク質;ケラチン、例えば、ケラチン加水分解物およびスルホン酸ケラチンなどの動物起源のタンパク質;
- ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどのセルロースポリマー、ならびにさらに四級化セルロース誘導体;
- ポリアクリレートまたはポリメタクリレートなどのアクリル酸ポリマーまたはコポリマー;
- ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸のコポリマー、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー;ビニルピロリドンとカプロラクタムのコポリマー;ポリビニルアルコール;
- アニオン性、カチオン性、両性または非イオン性のキチンまたはキトサンポリマー;
- アラビアゴム、グアーガム、キサンタン誘導体およびカラヤガム;
- アルギネートおよびカラゲナン;
- グリコアミノグリカン、およびヒルアロン酸ならびにこれらの誘導体;
- セラック樹脂、サンダラックゴム、ダンマー樹脂、エレミゴムおよびコーパル樹脂;
- デオキシリボ核酸;
- コンドロイチンスルフェートなどのムコ多糖類;
ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0162】
被膜形成性ポリマーはまた、一般に、ラテックスまたは擬ラテックスとして知られている、水相中に分散された粒子の形態で組成物中に存在してもよい。これらの分散体を調製するための技術は、当業者にはよく知られている。
【0163】
使用することができる被膜形成性ポリマーの水性分散体には、Avecia-Neoresins社によって商品名Neocryl XK-90(登録商標)、Neocryl A-1070(登録商標)、Neocryl A-1090(登録商標)、Neocryl BT-62(登録商標)、Neocryl A-1079(登録商標)およびNeocryl A-523(登録商標)、Dow Chemical社によってDow Latex 432(登録商標)、ダイトー化成工業によってDaitosol 5000 AD(登録商標)またはDaitosol 5000 SJ(登録商標);Interpolymer社によってSyntran 5760(登録商標)、Rohm & Haas社によってAllianz Opt(登録商標)として販売されているアクリル酸分散体、またはAvecia-Neoresins社によって商品名Neorez R-981(登録商標)およびNeorez R-974(登録商標)、Noveon社によってAvalure UR-405(登録商標)、Avalure UR-410(登録商標)、Avalure UR-425(登録商標)、Avalure UR-450(登録商標)、Sancure 875(登録商標)、Avalure UR-445(登録商標)およびSancure 2060(登録商標)、Bayer社によってImpranil 85(登録商標)、Hydromer社によってAquamere H-1511(登録商標)として販売されている水性ポリウレタン分散体;Eastman Chemical Products社によって商品名Eastman AQ(登録商標)として販売されているスルホポリエステル、ビニル分散体、例えば、Mexomer PAM(登録商標)、水性ポリ酢酸ビニル分散体、例えば、日進化学製Vinybran(登録商標)またはUnion Carbide社によって販売されているもの、ビニルピロリドン、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドとラウリルジメチルプロピルメタクリルアミドアンモニウムクロライドのターポリマー、例えばISP製Styleze W、ポリウレタン/ポリアクリル酸ハイブリッドポリマーの水性分散体、例えば、Air Products社によって注文番号Hybridur(登録商標)として販売されているもの、またはNational Starch製Duromer(登録商標)、およびコア/シェルタイプの分散体、例えば、Atofina社によって注文番号Kynar(コア:フルオロ;シェル:アクリル酸)として販売されているもの、または文献US5188899(コア:シリカ;シェル:シリコーン)に記載されているもの、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0164】
本発明による組成物の別の実施形態の変形によれば、被膜形成性ポリマーは、有機溶媒または上記のものなどの油を含む液体脂肪相中に溶解したポリマーであってもよい(したがって、この被膜形成性ポリマーは脂溶性ポリマーと言われる)。この液体脂肪相は、好ましくは、揮発性油を、場合によっては不揮発性油と混合して含み、この油は、上記のものから選択されることもある。
【0165】
挙げることができる脂溶性ポリマーの例には、ビニルエステル(このビニル基は、エステル基の酸素原子に直接結合しており、ビニルエステルは、エステル基のカルボニルに結合した1〜19個の炭素原子の飽和で直鎖または分枝の炭化水素ベースの基を含む)と、ビニルエステル(すでに存在するビニルエステル以外)、α-オレフィン(8〜28個の炭素原子を含む)、アルキルビニルエーテル(この場合、アルキル基は、2〜18個の炭素原子を含む)、またはアリル性もしくはメタアリル性エステル(エステル基のカルボニルに結合した、1〜19個の炭素原子の飽和で直鎖もしくは分枝の炭化水素ベースの基を含む)であり得る、少なくとも1種の他のモノマーとのコポリマーがある。
【0166】
これらのコポリマーは、架橋剤を用いて架橋されていてもよく、架橋剤は、ビニルタイプまたはアリル性もしくはメタアリル性タイプ、例えば、テトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、オクタン二酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニルおよびオクタデカン二酸ジビニルのいずれかあってもよい。
【0167】
挙げることができるこれらのコポリマーの例には、以下のコポリマーがある:酢酸ビニル/ステアリン酸アリル、酢酸ビニル/ラウリン酸ビニル、酢酸ビニル/ステアリン酸ビニル、酢酸ビニル/オクタデセン、酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸アリル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル/1-オクタデセン、酢酸ビニル/1-ドデセン、ステアリン酸ビニル/エチルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/セチルビニルエーテル、ステアリン酸ビニル/酢酸アリル、2,2-ジメチルオクタン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、2,2-ジメチルペンタン酸アリル/ラウリン酸ビニル、ジメチルプロピオン酸ビニル/ステアリン酸ビニル、ジメチルプロピオン酸アリル/ステアリン酸ビニル、0.2%のジビニルベンゼンで架橋された、プロピオン酸ビニル/ステアリン酸ビニル、0.2%のジビニルベンゼンで架橋された、ジメチルプロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、0.2%のテトラアリルオキシエタンで架橋された、酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、0.2%のジビニルベンゼンで架橋された、酢酸ビニル/ステアリン酸アリル、0.2%のジビニルベンゼンで架橋された、酢酸ビニル/1-オクタデセン、および0.2%のジビニルベンゼンで架橋された、プロピオン酸アリル/ステアリン酸アリル。
【0168】
さらに挙げることができる脂溶性被膜形成性ポリマーには、脂溶性コポリマー、特に、9〜22個の炭素原子を含むビニルエステル、またはアルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレート(アルキル基は、10〜20個の炭素原子を含む)の共重合から生じるものが含まれる。
【0169】
このような脂溶性コポリマーは、ポリステアリン酸ビニル、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテルまたはフタル酸ジアリルコポリマーを用いて架橋されたポリステアリン酸ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸ステアリル、ポリラウリン酸ビニルおよびポリ(メタ)アクリル酸ラウリルコポリマー(これらのポリ(メタ)アクリレートは、エチレングリコールジメタクリレートまたはテトラエチレングリコールジメタクリレートを用いて架橋することが可能である)から選択してもよい。
【0170】
上記に定義された脂溶性コポリマーは、既知であり、特に、特許出願FR-A-2232303に記載されている。これらは、2000〜500000、好ましくは4000〜200000の範囲の重量平均分子量を有し得る。
【0171】
また、本発明で使用することができる脂溶性被膜形成性ポリマーとして、ポリアルキレン、特に、ポリブテンなどのC2〜C20アルケンのコポリマー、直鎖または分枝の飽和または不飽和C1〜C8アルキル基を有するアルキルセルロース、例えば、エチルセルロースおよびプロピルセルロース、ビニルピロリドン(VP)のコポリマー、特に、ビニルピロリドンとC2〜C40、さらに好ましくはC3〜C20アルケンとのコポリマーを挙げてもよい。本発明で使用することができるVPコポリマーの例として、VP/酢酸ビニル、VP/メタクリル酸エチル、ブチル化ポリビニルピロリドン(PVP)、VP/メタクリル酸エチル/メタクリル酸、VP/エイコセン、VP/ヘキサデセン、VP/トリアコンテン、VP/スチレンまたはVP/アクリル酸/メタクリル酸ラウリルのコポリマーを挙げることができる。
【0172】
また、シリコーン樹脂を挙げてもよく、これらは、一般にシリコーン油中に可溶性または膨潤可能であり、架橋ポリオルガノシロキサンポリマーである。シリコーン樹脂の命名法は、名称「MDTQ」として知られており、この樹脂は、それが含む様々なシロキサンモノマー単位に応じて表現され、それぞれの文字「MDTQ」は単位のタイプを特徴づける。
【0173】
挙げることができる市販されているポリメチルシルセスキオキサン樹脂の例には、
Belsil PMS MKなどの、注文番号Resin MKとしてWacker社によって、
注文番号KR-220Lとして信越社によって
販売されているものが含まれる。
【0174】
挙げることができるシロキシシリケート樹脂には、General Electric社によって注文番号SR1000として、またはWacker社によって注文番号TMS 803として販売されているものなどのトリメチルシロキシシリケート(TMS)樹脂が含まれる。信越社によって商品名KF-7312J、およびDow Corning社によってDC 749およびDC 593として販売されている、シクロメチコンなどの溶媒中で販売されているトリメチルシロキシシリケート樹脂も挙げることができる。
【0175】
上記に挙げたものなどのシリコーン樹脂とポリジメチルシロキサンのコポリマー、例えば、注文番号Bio-PSAとしてDow Corning社によって販売され、文献US5162410に記載されている感圧接着剤コポリマー、あるいは上記のものなどのシリコーン樹脂と文献WO2004/073626に記載のジオルガノシロキサンの反応から誘導されるシリコーンコポリマーをさらに挙げてもよい。
【0176】
被膜形成性ポリマーはまた、非水相中に分散された粒子の形態で組成物中に存在してもよい。被膜形成性ポリマーの非水性分散体の例として、イソドデカン中のアクリル酸分散体、例えば、Chimex社製 Mexomer PAP(登録商標)、液体脂肪相中のグラフト化エチレン性ポリマー、好ましくはアクリル酸ポリマー(このエチレン性ポリマーは、特に文献WO04/055081に記述されているように、この粒子の表面で追加の安定剤の非存在下で分散されていることが有利である)の粒子の分散体を挙げることができる。
【0177】
本発明による組成物は、被膜形成性ポリマーと共に被膜の形成を促進する可塑剤を含んでもよい。このような可塑剤は、所望の機能を満たすことが可能な当業者には知られている任意の化合物から選択してもよい。
【0178】
この組成物はまた、染料、充填剤および繊維、およびこれらの混合物などの、一般に化粧品で使用される成分を含んでもよい。
【0179】
染料
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の染料、例えば粉状の染料、脂溶性染料および水溶性染料を含んでもよい。
【0180】
粉末染料は、顔料およびパール光沢剤から選択してもよい。
【0181】
顔料は、白色または着色されていても、鉱物および/または有機物であっても、コートされていてもされていなくともよい。挙げることができる鉱物顔料の中には、場合によって表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛または酸化セリウム、さらに酸化鉄または酸化クロム、マンガンバイオレット、群青、クロムハドレートおよびアイアンブルーがある。挙げることができる有機顔料の中には、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、およびコチニールカルミンをベースとするまたはバリウム、ストロンチウム、カルシウムもしくはアルミニウムをベースとするレーキがある。
【0182】
パール光沢剤は、チタンまたはオキシ塩化ビスマスでコートされた雲母などの白色パール光沢顔料、酸化鉄を有するチタン雲母、特に、アイアンブルーまたは酸化クロムを有するチタン雲母、上述のタイプの有機顔料を有するチタン雲母などの着色パール光沢顔料、およびさらにオキシ塩化ビスマスをベースとするパール光沢顔料から選択してもよい。
【0183】
脂溶性染料には、例えば、スーダンレッド、D&Cレッド17、D&Cグリーン6、β-カロテン、大豆油、スーダンブラウン、D&Cイエロー11、D&Cバイオレット2、D&Cオレンジ5、キノリンイエローおよびアナトーがある。
【0184】
これらの染料は、組成物の総重量に対して0.01重量%〜30重量%の範囲の含量で存在してもよい。
【0185】
充填剤
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の充填剤を含んでもよい。
【0186】
充填剤は、当業者には周知であり、化粧品組成物に一般に使用されているものから選択してもよい。充填剤は、鉱物または有機物で、層状または球状であってもよい。タルク、雲母、シリカ、カオリン、ポリアミド粉末、例えば、Atochem社によって商品名Orgasol(登録商標)として販売されているNylon(登録商標)、ポリ-β-アラニン粉末およびポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマーの粉末、例えばTeflon(登録商標)、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルなどのエキスパンデッドポリマーの中空マイクロスフェア、例えば、Nobel Industrie社によって商品名Expancel(登録商標)として販売されている製品、アクリル酸粉末、例えば、Dow Corning社によって商品名Polytrap(登録商標)として販売されているもの、ポリメタクリル酸メチル粒子およびシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、東芝製Tospearls(登録商標))、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空のシリカマイクロスフェア(Maprecos製Silica Beads(登録商標))、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、8〜22個の炭素原子、特に12〜18個の炭素原子を含む有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛およびミリスチン酸マグネシウムを挙げることができる。
【0187】
加熱すると膨張することが可能な化合物、特に熱膨張性粒子、例えば、塩化ビニリデン/アクリロニトリル/メタクリル酸メチルのコポリマー、またはアクリロニトリルホモポリマーの非エキスパンデッドマイクロスフェア(例えば、Akzo Nobel社によって、それぞれ、注文番号Expancel(登録商標)820 DU 40およびExpancel(登録商標)007WUとして販売されているもの)を使用することも可能である。
【0188】
充填剤は、組成物の総重量に対して0.1重量%〜25重量%、特に1重量%〜20重量%を占めてもよい。
【0189】
繊維
本発明による組成物はまた、レングスニング効果の改良を可能にする繊維を含んでもよい。
【0190】
「繊維」という用語は、長さLおよび直径Dの物体を意味し、LはDより非常に大きく、Dは、繊維の横断面が内接される円の直径であるものと理解される。特に、比L/D(または
形状係数)は、3.5〜2500、特に5〜500、特に5〜150の範囲で選択される。
【0191】
本発明の組成物に使用することができる繊維は、合成または天然起源の鉱物または有機繊維であってもよい。該繊維は、短いまたは長い、単独のまたは構成された、例えば、編組みされた、および中空または中実であってもよい。該繊維は、任意の形状を有してもよく、意図される個々の応用に応じて、特に、円形または多角形(正方形、六角形もしくは八画形)の横断面を有してもよい。特に、これらの末端は、損傷を防止するために平滑であり、および/またはつや出しされる。
【0192】
特に、繊維は、1μm〜10mm、好ましくは0.1mm〜5mm、さらに好ましくは0.3mm〜3.5mmの範囲の長さを有する。該繊維の横断面は、2nm〜500μmの範囲、好ましくは100nm〜100μm、さらに好ましくは1μm〜50μmの範囲の直径の円の中であってもよい。この繊維の重量または番手は、デニールまたはデシテックス単位で示されることが多く、糸9km当たりのグラム単位の重量を表す。特に、本発明による繊維は、0.15〜30デニール、さらに好ましくは0.18〜18デニールの範囲で選択される番手を有してもよい。
【0193】
本発明の組成物に使用することができる繊維は、硬質または非硬質の繊維から選択してもよく、合成または天然、鉱物または有機起源であってもよい。
【0194】
さらに、この繊維は、表面処理されていてもされてなくともよく、コートされていてもされてなくともよく、着色されていてもされてなくともよい。
【0195】
本発明による組成物に使用することができる繊維として、ポリアミド(Nylon(登録商標))繊維などの非硬質繊維、あるいはポリイミドアミド繊維、例えば、Rhodia社によって商品名Kermel(登録商標)およびKermel Tech(登録商標)として販売されているもの、または特に、Du Pont de Nemours社によって商品名Kevlar(登録商標)として販売されているポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)(もしくはアラミド)繊維などの硬質繊維を挙げることができる。
【0196】
繊維は、組成物の総重量に対して0.01重量%〜10重量%、特に0.1重量%〜5重量%、特に0.3重量%〜3重量%の範囲の含量で本発明による組成物中に存在してもよい。
【0197】
美容活性薬剤
本発明による組成物に使用することができる美容活性薬剤として、酸化防止剤、防腐剤、芳香剤、中和剤、皮膚軟化剤、保湿剤、ビタミンおよび遮蔽剤、特にサンスクリーン剤を特に挙げてもよい。
【0198】
言うまでもなく、当業者であれば、考慮する添加によって本発明による組成物の有利な特性が悪影響を受けないか、または実質的に受けないように留意して、場合による追加の添加剤および/またはその量を選択するであろう。
【0199】
この組成物は、固体、半固体または液体の形態であってもよい。
【0200】
この組成物は、特に、懸濁液、分散体、溶液、ゲル、エマルジョン、特に、水中油型(O/W)エマルジョン、水中ワックス型エマルジョンまたは多相エマルジョン(W/O/Wもしくはポリオール/O/W)の形態、クリーム、ペースト、ムース、特に、イオン性もしくは非イオン性脂質のベシクルの分散体、2相もしくは多相ローション、スプレー、粉末またはペースト、特にソフトペーストの形態であってもよい。各組成物は、好ましくはリーブイン組成物である。
【0201】
本発明による組成物は、化粧品の分野で一般に使用される既知の方法を介して製造することができる。
【0202】
本発明による組成物は、前記組成物を含む少なくとも1つの区画で区切られている容器中で調整することができ、前記容器は閉鎖部材で閉鎖される。
【0203】
この容器は、特に、より線によって保持された剛毛の配列を含むブラシの形態のアプリケーターを好ましくは伴う。このようなねじれたブラシは、特に、特許US4887622に記載されている。該アプリケーターはまた、特に成型によって得られる複数の塗布部材を含む櫛の形態であってもよい。このような櫛は、例えば、特許FR2796529に記載されている。アプリケーターは、例えば、特許FR2761959に記載の様に、容器にしっかりと取り付けられてもよい。有利には、アプリケーターは、それ自体が閉鎖部材にしっかりと取り付けられた軸にしっかりと取り付けられていてもよい。
【0204】
この閉鎖部材は、ねじ切りによって容器に結合していてもよい。代替として、閉鎖部材と容器の間の連結はねじ切り以外、特にバヨネット機構を介して、クリック締めによってまたは締め付けによって行われる。「クリック締め」という用語は、特に、ある部分、特に閉鎖部材の弾力的変形によって材料のリムまたはビードを通過し、続いてリムまたはビードが通過した後、前記部分の弾力的に応力を受けない位置まで戻ることが関与する任意のシステムを意味する。
【0205】
この容器は、少なくとも一部は熱可塑性材料でできていてもよい。挙げることができる熱可塑性材料の例には、ポリプロピレンおよびポリエチレンが含まれる。
【0206】
代替として、この容器は、非熱可塑性材料、特に、ガラスまたは金属(もしくは合金)でできている。
【0207】
この容器は、容器の開口の領域に配置された液切りを好ましくは装備する。このような液切りは、アプリケーターおよび場合によって、それがしっかりと取り付けられ得る軸をふき取ることを可能にする。このような液切りは、例えば、特許FR2792618に記載されている。
【0208】
以下に示す実施例は、本発明の非限定的な例示として示される。別段の言及がなければ、示した量は質量百分率(%)として表される。
【実施例1】
【0209】
マスカラ
【0210】
【表1】

【0211】
ワックス、コポリマー、セチルアルコール、ステアレス-2およびステアレス-20を85℃で溶融する。次いで、黒色酸化鉄顔料を激しく撹拌しながらこの脂肪相中に分散させる。第2のビーカー中で、セチルリン酸カリウムを含む水相を混合し、85℃まで加熱する。
【0212】
次いで、脂肪相に、これも85℃に加熱された水相を激しく撹拌しながら加えることによってエマルジョンを調製する。次いで、全体をパドル撹拌で室温まで冷却する。
【0213】
組成物1および比較例を、その塗布性、付着性およびチャージング性に関して10人の専門家のパネルによって評価する。各パラメータについて0〜10の範囲のスコアとし、スコア0は有効性ゼロ、スコア10は最大の有効性とする。
【0214】
組成物1は、比較例より、塗布したとき有意により乾燥しておらず、より瞬時に付着し、よりチャージング性があると判定される。
【0215】
さらに、本発明による組成物1は、比較例より濃い黒色を有する生成物をもたらす。
【実施例2】
【0216】
マスカラ
【0217】
【表2】

【0218】
組成物2は、水相中に塩の形態で存在する本発明によるイオン性界面活性剤、即ち、セチルリン酸カリウムを含み、一方、比較例は、標準的な界面活性剤系、即ち、ステアリン酸/トリエタノールアミンの組合せを含む。
【0219】
得られた組成物2は、柔らかで滑らかであり、マスカラブラシを用いて塗布するのが非常に容易であることが明らかになり、一方、比較例は、非常に濃い粒状のペーストを示し、塗布し難い。
【実施例3】
【0220】
繊維を含むマスカラ
【0221】
【表3】

【実施例4】
【0222】
マスカラ
【0223】
【表4】

【0224】
ワックス、コポリマー、セチルアルコールおよびステアレス-2を85℃で溶融する。次いで、黒色酸化鉄顔料を激しく撹拌しながらこの脂肪相中に分散させる。第2のビーカー中で、セチルリン酸カリウム、アラビアゴムおよびヒドロキシエチルセルロースを含む水相を混合し、85℃まで加熱する。
【0225】
次いで、脂肪相に、これも85℃に加熱された水相を激しく撹拌しながら加えることによってエマルジョンを調製する。次いで、アクリレートコポリマーを水性溶液として添加するために、全体をパドル撹拌で室温まで冷却する。
【0226】
組成物4は、比較例より濃い黒色を有する生成物をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続水相、少なくとも1種のアルケンモノマーを含むコポリマーから選択される少なくとも1種の化合物、少なくとも1種の極性ワックスおよび塩の形態で水相中に存在する少なくとも1種のイオン性界面活性剤を含む、ケラチン繊維をメイキャップまたはケアするための非治療用化粧品組成物。
【請求項2】
少なくとも1種のアルケンモノマーを含むコポリマーから選択される化合物が、
- アルケンと酢酸ビニルのコポリマー、好ましくはエチレンと酢酸ビニルのコポリマー;
- 直鎖または分枝α-オレフィン、特にC2〜C16、さらに好ましくはC2〜C12α-オレフィンのコポリマー;
- エチレンとオクテンのコポリマー;
- エチレンまたはプロピレンとシクロオレフィンのコポリマー;
- スチレンブロック(ジブロック、トリブロック、マルチブロック、ラジアルまたはスター)を含み、エチレン/C3〜C4アルキレンブロックを含むコポリマー;
- およびこれらの混合物
から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種のアルケンモノマーを含むコポリマーから選択される化合物が、前記ポリマーの総重量に対して、20重量%から40重量%の間の酢酸ビニルを含む、エチレンと酢酸ビニルのコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種のアルケンモノマーを含むコポリマーから選択される化合物が、組成物の総重量に対して1重量%以上の固体含量で存在することを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1種のアルケンモノマーを含むコポリマーから選択される化合物が、組成物の総重量に対して0.5重量%から20重量%の範囲、好ましくは1重量%から10重量%の範囲の固体含量で存在することを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の組成物。
【請求項6】
極性ワックスが、ミツロウ、ラノリンロウ、コメロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オーリクリーロウ、モクロウ、果実ロウ、セラックロウおよびスマックロウ、モンタンロウ、水素化ヒマシ油、水素化ラノリン油、脂肪酸と炭水化物との反応から得られたワックス、およびC20〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレートワックスから選択されることを特徴とする、請求項1から5の一項に記載の組成物。
【請求項7】
極性ワックスが、組成物の総重量に対して1重量%から50重量%の間、好ましくは2重量%から40重量%の間の量で存在することを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の組成物。
【請求項8】
水相が、組成物の総重量に対して、少なくとも30重量%に等しく、好ましくは少なくとも40重量%に等しい量で存在することを特徴とする、請求項1から7の一項に記載の組成物。
【請求項9】
塩の形態で水相中に存在するイオン性界面活性剤が、
- ポリオキシエチレン化脂肪酸塩、およびこれらの混合物;
- リン酸エステルおよびこれらの塩;
- スルホスクシネート;
- アルキルエーテルスルフェート;
- イセチオネート;
- アシルグルタメート、およびこれらの混合物;
- 大豆誘導体;
- シトレート;
- プロリン誘導体;
- ラクチレート;
- サルコシネート;
- スルホネート;
- グリシネート;
- N-アシルアミノ酸;
- アミンオキシド;
- リン酸ジメチコンコポリオール
から選択されることを特徴とする、請求項1から8の一項に記載の組成物。
【請求項10】
塩の形態で水相中に存在するイオン性界面活性剤が、組成物の総重量に対して0.1重量%から20重量%の間、好ましくは0.3重量%から15重量%の間の量で存在することを特徴とする、請求項1から9の一項に記載の組成物。
【請求項11】
主要な界面活性剤系として、
- 少なくとも1種のリン酸エステル塩;
- 25℃で8超のHLBを有する、少なくとも1種のオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化された、C12〜C18脂肪アルコールのエーテル(これは、1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含んでもよい);
- 25℃で8未満のHLBを有する、少なくとも1種のオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化された、C12〜C18脂肪アルコールのエーテル(これは、1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含んでもよい);
- および、場合によって、14〜22個の炭素原子を含む少なくとも1種の脂肪アルコール
を含むことを特徴とする、請求項1から10の一項に記載の組成物。
【請求項12】
1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満のトリエタノールアミンを含み、さらに好ましくはトリエタノールアミンを含まないことを特徴とする、請求項1から11の一項に記載の組成物。
【請求項13】
1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満の2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールを含み、さらに好ましくは2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールを含まないことを特徴とする、請求項1から12の一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の化粧品組成物のケラチン繊維への塗布を含む、ケラチン繊維をメイキャップまたはケアするための非治療用美容方法。
【請求項15】
i)少なくとも1つの区画を区切る容器、および
ii)前記区画の内部に収納される、ケラチン繊維メイキャップおよび/またはケア用の、請求項1から13の一項に記載の組成物
を含む、ケラチン繊維をメイキャップおよび/またはケアするための組成物のコンディショニング用キット。

【公開番号】特開2010−83891(P2010−83891A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−225167(P2009−225167)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】