説明

睫毛用又は眉毛用油性化粧料

【課題】睫毛を太く見せ、目元を際立たせるといった化粧効果(ボリューム効果、カール効果)とその持続性及び使用性や安定性を損ねることなく、リムーバーでの化粧料の除去が容易であり、下瞼への色移りがなく、均一な化粧膜が得られ、ツヤ感、透明性に優れ、色沈みがない睫毛用化粧料および使用性や安定性を損ねることなく、眉毛を整えて、リムーバーでの除去が容易であり、均一な化粧膜が得られ、ツヤ感、透明感に優れ、色沈みがない眉毛用化粧料の提供。
【解決手段】次の成分(A)〜(C):成分(A)α−オレフィンオリゴマー、成分(B)特定のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体により表面処理された表面被覆粉体、成分(C)揮発性油剤を配合する睫毛用又は眉毛用油性化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α−オレフィンオリゴマーと特定のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体により表面処理された表面被覆粉体と揮発性油剤とを配合した睫毛用又は眉毛用油性化粧料に関し、詳しくは、睫毛用化粧料に期待される、睫毛を太く見せ、目元を際立たせるといった化粧効果(ボリューム効果、カール効果)とその持続性及び使用性や安定性を損ねることなく、油性化粧料でありながらリムーバーでの化粧料の除去が容易であり、下瞼への色移りがなく、均一な化粧膜が得られ、ツヤ感、透明性に優れ、色沈みがない睫毛用化粧料に関し、また眉毛に適用した場合も、使用性や安定性を損ねることなく、眉毛を整えて、リムーバーでの化粧料の除去が容易であり、均一な化粧膜が得られ、ツヤ感、透明感に優れ、色沈みがない眉毛用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
睫毛用化粧料は、睫毛を上にカールすることや睫毛を太く、長くみせることで、目元をはっきりさせるといった化粧効果をもつものである。
従来、これらの睫毛用化粧料は、固形状油分、例えばワックス、粉体、皮膜形成剤、水溶性高分子等を中心に構成されており、化粧料として求められる様々な使用性、使用感、及び機能性をもたせるために、水中油型、油中水型、水性型、油性型等、種々の剤型の検討や配合する原料の検討が行われてきた。
例えば、化粧効果の持続性を向上させた技術としては、トリメチルシロキシケイ酸と特定のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体を併用する技術(例えば、特許文献1)や、分岐型炭化水素、水溶性高分子、分岐型高級脂肪酸及び高級アルコールを含有する技術(例えば、特許文献2)があった。
また、化粧の落としやすさについては、非水溶性ポリマー物質と水溶性皮膜形成ポリマーを組み合わせて使用することで、石鹸と水による化粧除去性が容易になるといった技術(例えば特許文献3参照)があった。
さらに、睫毛にツヤ感を付与する技術としては、水溶性カルボキシビニルポリマーと塩基性物質とデキストリンを用いて外観透明性と化粧膜のツヤ感を演出する技術(例えば、特許文献4参照)があった。
また、化粧料を均一に塗布することと、熱安定性を向上させた技術としては、特定のα−オレフィンオリゴマーとポリマーエマルションを組み合わせるもの(例えば、特許文献5参照)があった。
【0003】
【特許文献1】特開平7−196449号公報(第1−4頁)
【特許文献2】特開2005−225798号公報(第1−11頁)
【特許文献3】特表平11−504324号公報(第1−5頁)
【特許文献4】特許第2818831号公報(第1−4頁)
【特許文献5】特開2001−72549号公報(第1−6頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近の市場ニーズは、化粧効果の持続性がありながら、化粧落しが容易で、さらにツヤ感や透明感が得られるものである。従来の水中油型睫毛用化粧料では、油性型睫毛用化粧料に比べ、化粧を落としやすいものであったが、逆に汗や涙に対する化粧持続性が低く、経時で目元がにじんでしまうといった欠点があった。化粧持続性を向上させるため、ワックスや皮膜形成剤量を増加させる方法や、特許文献2のように水溶性高分子と分岐型の油剤を組み合わせる方法があるが、系が硬くなることにより、使用性が悪化したり、ツヤ感が得られなかったりする場合があった。
また、特許文献3のように、非水溶性ポリマー物質と水溶性皮膜形成ポリマーを組み合わせて使用することで、さらに石鹸と水による化粧除去性が容易になるといった試みもなされているが、油性型睫毛用化粧料のような、耐水、耐皮脂性といった化粧効果の持続性は得られなかった。また、特許文献4のように、睫毛にツヤ感を付与するために、水溶性カルボキシビニルポリマーと塩基性物質とデキストリンを用いて外観透明性の高い製剤とする方法は、ツヤ感は得られるものの、化粧料の透明性が高いため着色力が不足し、また、ボリューム効果に関しては満足するものが得られない場合があった。
【0005】
一方、特許文献1のような油性型睫毛用化粧料は、汗や涙に対する化粧持続性を演出することができるが、皮脂に対する化粧効果の持続性が劣る場合もあり、リムーバーで化粧膜を除去することが難しい場合があった。
また、特許文献5のように水系を含む化粧料においては、非揮発性液状油剤を配合する技術はあるが、油性型睫毛用化粧料に非揮発性油剤を多量に配合すると液状油のもつツヤ感を演出することができるものの、配合している色材や体質粉体が色沈みしてしまい、透明感が損なわれるといった欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、睫毛用又は眉毛用油性化粧料において、α−オレフィンオリゴマーと特定のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体により表面処理された表面被覆粉体と揮発性油剤を組み合わせることで、睫毛を太く見せ、目元を際立たせるといった化粧効果(ボリューム効果、カール効果)とその持続性及び使用性や安定性を損ねることなく、油性化粧料でありながらリムーバーでの化粧料の除去が容易であり、下瞼への色移りがなく、均一な化粧膜が得られ、ツヤ感、透明性に優れ、色沈みがない睫毛用油性化粧料が得られること、また眉毛用化粧料としても使用性、安定性を損なうことなく、眉毛を整えて、リムーバーでの化粧料の除去が容易であり、均一な化粧膜が得られ、ツヤ感、透明性に優れ、色沈みがないものが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
次の成分(A)、(B)、(C);
(A)α−オレフィンオリゴマー
(B)粉体を、次のモノマー(a)〜(c);
(a)下記の一般式(1)で示されるモノマー 55〜65質量%
【0007】
【化3】

【0008】
(式中、RはH又はCH、pは2〜6の整数である)
(b)下記一般式(2)で示されるモノマー 20〜30質量%
【0009】
【化4】

【0010】
(式中、RはH又はCH、Rは炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基である)
(c)アクリル酸及び/又はメタクリル酸 15〜20質量%
を重合してなる、シロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体で表面処理することにより得られる表面被覆粉体
(C)揮発性油剤
を配合した睫毛用又は眉毛用油性化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、α−オレフィンオリゴマーと特定のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体により表面処理された表面被覆粉体と揮発性油剤とを配合した睫毛用又は眉毛用油性化粧料に関し、詳しくは、通常の睫毛用化粧料に期待される、化粧効果とその持続性及び使用性や安定性を損ねることなく、油性化粧料でありながらリムーバーでの化粧料の除去が容易であり、下瞼への色移りがなく、均一な化粧膜が得られ、ツヤ感、透明性に優れ、色沈みがない睫毛用化粧料に関し、また眉毛用としても使用性、安定性を損なうことなく、眉毛を整えて、リムーバーでの化粧料の除去が容易であり、均一な化粧膜が得られ、ツヤ感、透明性に優れ、色沈みがない眉毛用化粧料に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の睫毛用又は眉毛用油性化粧料に使用される成分(A)のα−オレフィンオリゴマーは、1−デセンの水添オリゴマーであり、例えば、石油から得たエチレンをα−オレフィン化し、重合、水添することにより得ることができる。本発明において化粧膜のツヤ感を向上させるものであり、通常の化粧料に用いられるものであれば何れのものも使用することができる。例えば、PureSyn100(質量平均分子量:約6700)、PureSyn150(質量平均分子量:約9200)、PureSyn300(質量平均分子量:約14000)、PureSyn1000(質量平均分子量:約31000)、PureSyn3000(質量平均分子量:約55000)(Mobil社製)、ノムコートHPD−C(質量平均分子量:約660)(日清オイリオグループ社製)、Silkflo 364NF Polydecene(質量平均分子量:約450)、Silkflo 366NF Polydecene(質量平均分子量:約550)(Lipo Chemicals社製)等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
本発明の睫毛用又は眉毛用油性化粧料に使用される成分(A)のα-オレフィンオリゴマーの分子量は、質量平均分子量300〜10,000が好ましい。この範囲であれば、より均一な化粧膜が得られ、下瞼に色移りを生じないため好ましい。
本発明の睫毛用又は眉毛用油性化粧料に使用される成分(A)のα−オレフィンオリゴマーの配合量は、0.1〜5質量%(以下、単に「%」で示す)が好ましく、更に0.3〜2%が化粧膜にツヤ感を与え、目元を際立たせるといった化粧効果及びその持続性の点でより好ましい。
【0013】
本発明の睫毛用又は眉毛用油性化粧料に使用される成分(B)は、粉体を特定のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体で表面処理することにより得られる表面被覆粉体である。本発明において、色沈みを防止し、化粧膜のツヤ感を向上させるだけでなく、従来の表面被覆粉体に比べ、リムーバーでの化粧料の除去を容易にすることができる。
本発明において、シロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体とは、シロキシ基含有アクリル酸系共重合体と、シロキシ基含有メタクリル酸系共重合体を意味する。
本発明の表面被覆粉体に用いられるシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体は、以下に示すモノマー(a)〜(c)を重合することにより得ることができるが、構成するモノマーのうち、モノマー(a)の構造は、下記一般式(1)で示されるものである。
【0014】
【化5】

【0015】
(式中、RはH又はCH、pは2〜6の整数である)
【0016】
上記モノマー(a)の好ましい例としては、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルアクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルへキシルメタクリレート等が挙げられ、特にトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレートが好ましい。このモノマー(a)としては特に制限無く、各種市販品を使用することができる。
【0017】
また、モノマー(b)の構造は、下記一般式(2)で示される。
【0018】
【化6】

【0019】
(式中、RはH又はCH、Rは炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基である)
【0020】
上記モノマー(b)の好ましい例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、フェニルアクリレート等が挙げられ、特にメチルメタクリレートが好ましい。このモノマー(b)としては特に制限無く、各種市販品を使用することができる。
【0021】
更にモノマー(c)は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸である。このモノマー(c)のアクリル酸及び/又はメタクリル酸としては特に制限無く、各種市販品を使用することができる。
【0022】
上記シロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体は、これらのモノマーを仕込み量で、モノマー(a)55〜65%、モノマー(b)20〜30%、モノマー(c)15〜20%の割合で添加し、共重合することにより得られる。更にこれには本発明の効果を損なわない範囲で、上記モノマー(a)〜(c)以外に、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルと共重合可能なモノマーを任意に添加し、共重合させてもよい。
【0023】
上記モノマーを共重合させるための重合方法としては、例えば、各モノマーを溶媒中に溶解し、更に、これに重合開始剤を添加して窒素雰囲気中で加熱攪拌する溶液重合法等が挙げられる。前記重合方法において使用する溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコールやアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒が挙げられ、これらを適宜混合して用いる。また、重合反応は通常50〜180℃、好ましくは60〜120℃の温度範囲内において行うことができ、この条件下で5〜15時間程度攪拌することにより完結させることができる。なお、重合反応後のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体溶液はジメチルポリシロキサン等で溶媒置換してもよい。
【0024】
本発明において、シロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体を製造する方法の好ましい一態様としては、まず、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート、メタクリル酸およびメチルメタクリレートと、酢酸ブチル、酢酸エチルおよびイソプロパノール等の溶媒および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等の重合開始剤をフラスコ等の反応容器に入れ、窒素ガスバブリング等で反応容器中の溶存酸素を除き、密封する。次に、反応容器を恒温槽中に移し、60℃程度で攪拌しながら15時間程度かけて重合を行う方法が挙げられる。
【0025】
上記のようにしてモノマー(a)〜(c)を重合させて得られるシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体としては、例えば、下記化学式(3)で示される構造を有するものが挙げられる。このものは、特開2003−342128号公報に記載の発明において美爪料の原料として使用されているものである。また、このシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体は、GPCにおけるポリスチレン換算の数平均分子量において、約3,000〜約200,000、特に約5,000〜約100,000の範囲にあることが好ましい。
【0026】
【化7】

【0027】
(但し、式中のxは35〜50の整数、yは20〜30の整数、zは30〜40の整数であり、Rは下記化学式(4)で表される基である)
【0028】
【化8】

【0029】
上記のようにして作製されたシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体で表面処理される粉体としては、通常、化粧料に用いられる粉体であれば、球状、板状、紡錘状、針状等の粒子の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子の大きさ、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、雲母、合成雲母、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、シリカ、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母、酸化鉄雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン、ナイロン末等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
【0030】
本発明において、前記粉体に前記シロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体を表面被覆処理する方法としては、特に制限されるものではなく、通常公知の処理方法が用いられる。具体的には、直接粉体と混合する方法(乾式処理法)、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の溶媒を用いる方法(湿式法)、気相法、メカノケミカル法等が挙げられる。
【0031】
本発明において、前記粉体に前記シロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体を被覆させる方法の好ましい一態様としては、まず、ヘンシェルミキサー等のミキサーにイソプロピルアルコール等の溶媒となるもの、セリサイト等の被覆される粉体、シロキシ基含有メタクリル酸共重合体を加え、均一分散させる。次に、この分散物を攪拌しながら、100℃程度に加熱し、減圧下で溶媒を留去し、室温まで冷却後、パルベライザー等の粉砕処理機で粉砕して、シロキシ基含有メタクリル酸共重合体で表面を被覆した粉体を得る方法が挙げられる。
【0032】
また、本発明の表面被覆粉体は、更に、化粧料基材への分散性改良、感触改良等の目的で、シリコーン化合物、フッ素化合物、油剤、油脂、高級アルコール、ワックス、水溶性高分子、樹脂等の通常公知の表面処理剤を被覆処理して用いても良い。
【0033】
本発明の成分(B)の表面被覆粉体における、粉体へのシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体の被覆量は、特に制限されないが、表面被覆粉体中の0.05〜15%が好ましく、特に0.1〜10%が好ましい。被覆量がこの範囲であれば、油剤による色沈みがなく、化粧膜のツヤ感を向上させ、かつリムーバーでの化粧料の除去も容易になるため好ましい。
【0034】
本発明の睫毛用又は眉毛用油性化粧料に使用される成分(B)の表面被覆粉体の配合量は、0.1〜15%が好ましく、更に0.5〜10%であると色沈みがなく、化粧膜にツヤ感を与え、目元を際立たせるといった化粧効果及びその持続性、及びリムーバーでの化粧料の除去のしやすさの点でより好ましい。
【0035】
本発明の睫毛用又は眉毛用油性化粧料に使用される成分(C)の揮発性油剤としては、特に制限されないが、例えば、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン等の炭化水素油、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン等のシリコーン類が挙げられる。これらは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の睫毛用又は眉毛用油性化粧料に使用される成分(C)の揮発性油剤の配合量は、20〜80%が好ましく、更に30〜70%が下瞼に色移りがない点や、均一な化粧膜を形成する点でより好ましい。
【0036】
本発明の睫毛用又は眉毛用油性化粧料は、さらに、成分(D)として固形油を配合することにより、睫毛を上に上げ、目元を際立たせるといった化粧効果(カール効果)及び下瞼への色移りのなさを向上させ、眉毛を整える効果を向上させることが可能である。
本発明の睫毛用又は眉毛用油性化粧料に使用される成分(D)の固形油としては、室温で固体の油性成分であり、成分(A)のα−オレフィンオリゴマーか、成分(C)の揮発性油剤に溶解もしくは分散することで、粘性を付与することができるものであれば特に制限されないが、例えば、ポリエチレンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、合成炭化水素ワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、オゾケライト等の炭化水素系類、カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリンワックス、キャンデリラロウ等の天然ロウ類、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤、ロジン酸ペンタエリトリット等のテルペン系樹脂、キャンデリラレジン、ポリイソブチレン、トリメチルシロキシケイ酸等の樹脂類が挙げられる。これらは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の睫毛用又は眉毛用油性化粧料に使用される成分(D)の固形油の配合量は、0.1〜50%が好ましく、更に5〜30%が目元を際立たせるといった化粧効果(カール効果)及びその持続性、眉毛を整える効果を向上させる点でより好ましい。
【0037】
本発明の睫毛用又は眉毛用油性化粧料は、上記の成分(A)〜(D)の他に、通常化粧料に使用される成分、例えば、基材や、エモリエント成分として油性成分、感触調整や着色の目的で粉体成分や繊維、保湿や、粉体分散剤として水性成分、粉体分散や、感触調整の為の界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等の水溶性被膜形成性樹脂、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料、などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0038】
油性成分としては、成分(A)、(B)、(D)以外のものであり、炭化水素類、油脂類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリブテン、等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、リンゴ酸ジイソステアリル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等が挙げられる。
【0039】
粉体成分としては、本発明の効果を損なわない範囲で、特定のシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体により表面被覆処理されていない粉体を配合することができ、また、これら粉体は1種又は2種以上の複合化したものを用いても良く、フッ素化合物、シリコーン系油剤、金属石ケン、界面活性剤、油脂、炭化水素等を用いて公知の方法により表面処理を施したものであっても良い。
【0040】
繊維としては、通常睫毛用化粧料に用いられる繊維であればいずれのものも使用でき、例えば、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維等が挙げられる。これらの繊維は、ポリエチレンテレフタレートとナイロンを層状に重ねた複合繊維のように、1種又は2種以上の複合化したものを用いても良く、フッ素化合物、シリコーン系油剤、金属石ケン、界面活性剤、油脂、炭化水素等を用いて公知の方法により表面処理を施したり、着色剤で着色したものであってもよい。
【0041】
水性成分としては、水または水に可溶なものであり、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類及び水が挙げられる。
水可溶性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、でんぷん糖、ラクチトール等の糖類、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、乳酸ナトリウム等の塩類、アロエベラ、ウィッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられる。
ただし、本発明は睫毛用又は眉毛用油性化粧料であり、その効果を損なわないようにするために、水は1%未満であることが好ましい。
【0042】
界面活性剤としては、化粧品一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがある。例えば、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられる。
【0043】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0044】
本発明の睫毛用又は眉毛用油性化粧料は、睫毛用としては、マスカラ、マスカラ下地、マスカラトップコートなどに応用でき、眉毛用としては、アイブロウ(眉毛用マスカラ)として使用することができる。形態としては、ゲル状、液状等が挙げられるが、中でもゲル状が好ましく、外観は、透明、半透明、不透明それぞれの化粧料として使用することができる。
【実施例】
【0045】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0046】
合成例1:シロキシ基含有メタクリル酸共重合体のジメチルポリシロキサン溶液A
500mLフラスコに、モノマー成分としてのトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート60質量部(以下、単に「部」と略す)、メタクリル酸15部およびメチルメタクリレート25部と、溶媒としての酢酸ブチル110部、酢酸エチル70部およびイソプロパノール30部と、反応開始剤である2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.5部とを仕込んだ。溶存酸素を除くため、このフラスコを窒素ガスでバブリングを行い、密封した。反応容器を恒温槽中に移し、60℃で攪拌しながら15時間かけて重合を行った。重合終了後、ジメチルポリシロキサン(SH200C−6cs:東レ・ダウシリコーン社製)へ溶媒置換を行い、シロキシ基含有メタクリル酸共重合体のジメチルポリシロキサン樹脂溶液(固形分濃度20%)を得た。このシロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体は前記化学式(3)において、x=45、y=25,z=30で示される構造を有するものであった。また、この重合体のGPCにおけるポリスチレン換算の数平均分子量は約20,000であった。
【0047】
合成例2:シロキシ基含有メタクリル酸共重合体のジメチルポリシロキサン溶液B
合成例1において、モノマー成分としてのトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート55部、メタクリル酸15部、メチルメタクリレート30部、に替える以外は、合成例1と同様に製造してシロキシ基含有メタクリル酸共重合体のジメチルポリシロキサン樹脂溶液(固形分濃度20%)を得た。
【0048】
製造例1:表面被覆セリサイト
ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)にイソプロピルアルコール500部、セリサイト(サンシンセリサイトFSE:三信鉱業社製))950部、前記合成例1で製造したシロキシ基含有メタクリル酸共重合体のジメチルポリシロキサン樹脂溶液A(固形分濃度20%)250部を加え、均一分散する。次いで、攪拌しながら、100℃に加熱し、減圧下でイソプロピルアルコールを留去し、室温まで冷却後、パルベライザーで粉砕して表面被覆セリサイトを得た。このもののシロキシ基含有メタクリル酸系共重合体による被覆量は、表面被覆セリサイトの5%であった。
【0049】
製造例2:表面被覆雲母
前記合成例3のセリサイトを雲母に替える以外は、合成例3と同様に処理して、表面被覆タルクを得た。このもののシロキシ基含有メタクリル酸系共重合体による被覆量は、表面被覆雲母の5%であった。
【0050】
製造例3:表面被覆雲母チタン
前記合成例3のセリサイトを雲母に替えて、合成例1で製造したシロキシ基含有メタクリル酸共重合体のジメチルポリシロキサン樹脂溶液Aを、前記合成例2で製造したシロキシ基含有メタクリル酸共重合体のジメチルポリシロキサン樹脂溶液Bに替える以外は、合成例3と同様に処理して、表面被覆雲母チタンを得た。このもののシロキシ基含有メタクリル酸系共重合体による被覆量は、表面被覆雲母チタンの5%であった。
【0051】
製造例4:表面被覆黒酸化鉄
前記合成例3のセリサイト950部を黒酸化鉄980部に替え、シロキシ基含有メタクリル酸共重合体のジメチルポリシロキサン樹脂溶液A(固形分濃度20%)250部を100部に替える以外は、合成例3と同様に処理して、表面被覆黒酸化鉄を得た。このもののシロキシ基含有メタクリル酸系共重合体による被覆量は、表面被覆黒酸化鉄の2%であった。
【0052】
製造例5:表面被覆タルク
前記合成例3のセリサイト950部をタルク900部に替え、シロキシ基含有メタクリル酸共重合体のジメチルポリシロキサン樹脂溶液A(固形分濃度20%)250部を500部に替える以外は、合成例3と同様に処理して、表面被覆タルクを得た。このもののシロキシ基含有メタクリル酸系共重合体による被覆量は、表面被覆タルクの10%であった。
【0053】
製造例6:表面被覆チタン・酸化チタン焼結物
前記合成例3のセリサイト950部をチタン・酸化チタン焼結物990部に替え、シロキシ基含有メタクリル酸共重合体のジメチルポリシロキサン樹脂溶液A(固形分濃度20%)250部を50部に替える以外は、合成例3と同様に処理して、表面被覆チタン・酸化チタン焼結物を得た。このもののシロキシ基含有メタクリル酸系共重合体による被覆量は、表面被覆チタン・酸化チタン焼結物の1%であった。
【0054】
実施例1〜5及び比較例1〜5 マスカラ(ゲル状)
表1に示す処方のマスカラを下記製造方法で調製し、イ.化粧効果(ツヤ感及び透明感)、ロ.色沈みのなさ、ハ.化粧効果の持続、ニ.仕上がり膜の均一性、ホ.下瞼への色移りのなさ、ヘ.リムーバーでの除去のしやすさについて下記の方法により官能評価を行った。その結果もあわせて表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
*1:Silkflo 366NF Polydecene(重量平均分子量:約550、Lipo Chemicals社製)
*2:ハイコールK−500(カネダ社製)
*3:ポリブテン2000H(出光興産社製)
*4:IPソルベント2028(出光興産社製)
*5:ベントン38(NLインダストリー社製)
*6:製造例1の表面被覆セリサイト
*7:サンシンセリサイトFSE、三信鉱業社製
*8:5%メチルハイドロジェンポリシロキサン処理
*9:5%パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン処理
【0057】
(製造方法)
実施例1〜5及び比較例1〜5
A.成分(1)〜(8)を90℃で均一に加熱溶解する。
B.成分(9)〜(20)を均一に混合する。
C.BにAを加え均一に混合する。
D.Cを容器に充填して製品とする。
【0058】
(評価方法)
10名の官能検査パネルにより、各試料を下記イ〜ヘについて、(1)絶対評価基準を用いて7段階に評価し、各試料の評点の平均値を(2)4段階判定基準を用いて判定した。尚、評価項目ニについては、試料を睫毛に塗布し、パネルに通常の生活をしてもらい、12時間後の化粧効果について評価した。また、評価項目ヘについては、以下に示す処方のリムーバー約1gをコットンにとり、使用部位に約5秒間なじませた後、化粧膜をふきとった時の状態について評価を行った。
【0059】
(評価項目)
イ.化粧効果(ツヤ感及び透明感)
ロ.色沈みのなさ
ハ.化粧効果の持続
ニ. 仕上がり膜の均一性
ホ. 下瞼への色移りのなさ
ヘ.リムーバーでの除去のしやすさ
(1)絶対評価基準
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
(2)4段階判定基準
5点を超える :非常に良好:◎
3点を超えて5点以下:良好 :○
2点を超えて3点以下:やや不良 :△
2点以下 :不良 :×
【0060】
評価用リムーバー処方
(成分) (%)
(1)軽質流動イソパラフィン 10
(2)カルボキシメチルセルロース 0.5
(3)水酸化ナトリウム 0.1
(4)精製水 89.3
(5)防腐剤 0.1
(製造方法)
A.成分(2)〜(5)を混合溶解し、(1)を加えて乳化する。
B.Aを容器に充填し製品とする。
【0061】
表1の結果から明らかなように、本発明である実施例1〜5のマスカラは、比較例1〜5のマスカラに比べ、化粧効果(ツヤ感及び透明感)、色沈みのなさ、及びそれらの化粧効果の持続性、仕上がり膜の均一性、下瞼への色移りのなさ、リムーバーでの除去のしやすさすべての面で、はるかに優れた特性を有していることがわかる。さらに、これら本発明品は、全てボリューム効果、カール効果及びその持続性、使用性、安定性にも優れるものであった。
一方、α−オレフィンオリゴマーの代わりに流動パラフィン、ポリブテンを用いた比較例1、2では、特に下瞼への色移りのなさの点で、5%シロキシ基含有メタクリル酸共重合体表面被覆セリサイトの代わりに、未処理のセリサイトを用いた比較例3では化粧効果の持続性の点で、シリコーン処理セリサイト、パーフルオロアルキルリン酸エステル処理セリサイトを用いた比較例4、5では、特にリムーバーでの除去のしやすさ点で満足のいくものが得られなかった。
【0062】
実施例6 マスカラ(ゲル状)
(成分) (%)
(1)ロジン酸ペンタエリスリット 5
(2)キャンデリラレジン*10 5
(3)軽質流動イソパラフィン 54.5
(4)α−オレフィンオリゴマー*11 10
(5)架橋型メチルポリシロキサン混合物*12 1
(6)煙霧状無水ケイ酸 2
(7)シロキシ基含有メタクリル酸共重合体表面被覆雲母*13 10
(8)シロキシ基含有メタクリル酸共重合体表面被覆雲母チタン*14 5
(9)ポリアクリル酸ポリマーエマルション*15 0.1
(10)L−アルギニン 0.1
(11)チタン・酸化チタン焼結物 5
(12)1,3−ブチレングリコール 0.1
(13)精製水 0.1
(14)干渉繊維*16 0.5
(15)エタノール 0.5
(16)フェノキシエタノール 1
(17)香料 0.1
*10:キャンデリラ樹脂E−1(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*11:ノムコートHPD−C(質量平均分子量:約660、日清オイリオグループ社製)
*12:シリコンKSG−16(信越化学工業社製)
*13:製造例2の表面被覆雲母
*14:製造例3の表面被覆雲母チタン
*15:プライマルASE−60(ポリマーラテックス社製、固形分30%)
*16:ポリエチレンテレフタレート、ナイロンを特開平11−1829に従い、51層に積層したもの、10デニール、2mm
(製造方法)
A.成分(1)〜(5)を90℃で均一に加熱溶解する。
B.成分(6)〜(17)を均一に混合する。
C.BにAを加え均一に混合する。
D.Cを容器に充填して製品とする。
以上のようにして得られたマスカラは、化粧効果(ツヤ感及び透明感)、色沈みのなさ、及びそれらの化粧効果の持続性、仕上がり膜の均一性、下瞼への色移りのなさ、リムーバーでの除去のしやすさに優れたものであった。
【0063】
実施例7 マスカラオーバーコート(液状)
(成分) (%)
(1)α−オレフィンオリゴマー*17 10
(2)デカメチルシクロペンタシロキサン 80.8
(3)シロキシ基含有メタクリル酸共重合体表面被覆黒酸化鉄*18 1
(4)着色干渉繊維*19 5
(5)煙霧状無水ケイ酸 3
(6)ヒアルロン酸 0.1
(7)トレハロース 0.1
*17:Silkflo 364NF Polydecene(質量平均分子量:約450、Lipo Chemicals社製)
*18:製造例4の表面被覆黒酸化鉄
*19:ポリエチレンテレフタレート、ナイロンを特開平11−1829に従い、51層に積層したもの、5デニール、1mm、赤色102号0.1%で染着
(製造方法)
A.成分(1)〜(2)を均一に溶解する。
B.成分(3)〜(7)を均一に混合する。
C.BにAを加え均一に混合する。
D.Cを容器に充填して製品とする。
以上のようにして得られたマスカラオーバーコートは、化粧効果(ツヤ感及び透明感)、色沈みのなさ、及びそれらの化粧効果の持続性、仕上がり膜の均一性、下瞼への色移りのなさ、リムーバーでの除去のしやすさに優れたものであった。
【0064】
実施例8 マスカラ下地(ゲル状)
(成分) (%)
(1)ポリイソブチレン*20 1
(2)軽質流動イソパラフィン*4 67.3
(3)α−オレフィンオリゴマー*17 0.1
(4)セスキオレイン酸ソルビタン 0.1
(5)シロキシ基含有メタクリル酸共重合体表面被覆タルク*21 30
(6)酸化チタン 0.5
(7)炭酸カルシウム 1
*20:分子量70万
*21:製造例5の表面被覆タルク
(製造方法)
A.成分(1)〜(4)を均一に溶解する。
B.成分(5)〜(7)を均一に混合する。
C.BにAを加え均一に混合する。
D.Cを容器に充填して製品とする。
以上のようにして得られたマスカラ下地は、化粧効果(ツヤ感及び透明感)、色沈みのなさ、及びそれらの化粧効果の持続性、仕上がり膜の均一性、下瞼への色移りのなさ、リムーバーでの除去のしやすさに優れたものであった。
【0065】
実施例9 眉毛用マスカラ(液状)
(成分) (%)
(1)α−オレフィンオリゴマー*11 73.7
(2)デカメチルシクロペンタシロキサン 5
(3)トリメチルシロキシケイ酸 1
(3)シロキシ基含有メタクリル酸共重合体
表面被覆チタン・酸化チタン焼結物*22 10
(4)無水ケイ酸 10
(5)レーヨン繊維*23 0.1
(6)タルク 0.1
(7)ローズマリーエキス 0.1
*22:製造例6の表面被覆チタン・酸化チタン焼結物
*23:0.5デニール、0.3mm
(製造方法)
A.成分(1)〜(4)を90℃で均一に溶解する。
B.成分(5)〜(7)を均一に混合する。
C.BにAを加え均一に混合する。
D.Cを容器に充填して製品とする。
以上のようにして得られた眉毛用マスカラは、眉毛を整え、化粧効果(ツヤ感及び透明感)、色沈みのなさ、及びそれらの化粧効果の持続性、仕上がり膜の均一性、リムーバーでの除去のしやすさに優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C);
(A)α−オレフィンオリゴマー
(B)粉体を、次のモノマー(a)〜(c);
(a)下記の一般式(1)で示されるモノマー 55〜65質量%
【化1】

(式中、RはH又はCH、pは2〜6の整数である)
(b)下記一般式(2)で示されるモノマー 20〜30質量%
【化2】

(式中、RはH又はCH、Rは炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基である)
(c)アクリル酸及び/又はメタクリル酸 15〜20質量%
を重合してなる、シロキシ基含有(メタ)アクリル酸系共重合体で表面処理することにより得られる表面被覆粉体
(C)揮発性油剤
を配合したことを特徴とする睫毛用又は眉毛用油性化粧料。
【請求項2】
さらに成分(D)固形油を配合したことを特徴とする請求項1に記載の睫毛用又は眉毛用油性化粧料。
【請求項3】
成分(A)のα−オレフィンオリゴマーの質量平均分子量が、300〜10,000であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の睫毛用又は眉毛用油性化粧料。
【請求項4】
成分(A)のα−オレフィンオリゴマーの配合量が0.1〜5質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の睫毛用又は眉毛用油性化粧料。

【公開番号】特開2008−88069(P2008−88069A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267796(P2006−267796)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】