説明

石灰質地盤を支持層とする基礎の施工方法

【課題】 基礎構造物を石灰質地盤に支持させ、施工規模、施工工期および施工コストを著しく低減することができる基礎構造物の施工方法を提供すること。
【解決手段】 基礎施工前に物理探査の組合わせにより探査精度および確度を向上させる方法により施工地盤2の地質状態を探査し、空洞部4の必要箇所を地上から周辺地盤相当強度の注入材を充填することで均質化し、施工時は観測施工を行うことで安全な基礎構造物5bとした上で、剛体基礎とした設計ではより付加価値が大きくなり、かつ一連の設計手順をフローチャートとして明確化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石灰質地盤を支持層とする建設構造基礎の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球上の熱帯および亜熱帯地方には、石灰質地盤が海岸線に添って広範に分布しており、国内においては珊瑚礁堆積物で構成された琉球石灰岩層と称する石灰質地盤が代表として存在する。
【0003】
建設分野における基礎構造物の構築に際し、基礎を支持する基盤層は、基礎の上載荷重をはじめとするあらゆる外的荷重に対して抵抗できる支持力が当然ながら求められる。
【0004】
ここで、石灰質地盤は、土粒子自体は比較的崩壊し易いものの地盤としては強固であり、かつ地盤内に大小さまざまな形状の空洞部および弱質部を有することを特徴とし、さらに層状態も固結部と未固結部とが互層をなすという極めて複雑な形成状態を併せ持っているため、地盤強度の分散が大きく、現在まで支持層として評価することは不適切であるとされており、また支持力の算定も困難となっている。
【0005】
このような石灰質地盤が存在する場合については、従来方法によれば石灰質地盤のさらに下層位置に存在する安定的強度が得られる地盤を基盤層とし、基礎の支持地盤としてきた。
【0006】
現状では、石灰質地盤を支持層にすることが難しく、国内においては一層下位に存在する泥岩層を支持地盤として基礎構造物の設計を行うこととなるが、石灰質地盤の層厚は20m〜50mと非常に大きいため、泥岩層支持の設計では基礎構造物の物理的規模が大型化することから、施工に際して過大な費用負担となるなどの課題を有するほか、大深度化に伴い設備面においても実施工上の制約を受けることにつながっている。
【0007】
このように、特殊な性状を理由に支持力を伝達させる地盤としての評価が困難であるため、現時点では石灰質地盤で基礎を支持させる類例が僅少であり、また基礎の信頼性を確保する意味においても全面的な地盤の改良を伴うなど施工量も大きなものとなっている。
【0008】
一方、石灰質地盤の中間層までで基礎構造物の深さを抑えるようにできると、施工規模、施工工期および施工コストを著しく低減させることができるほか、有限である国土の有効的利用につながる大きな効果をもたらす。
【0009】
このように空洞部を内包した石灰質地盤に対する支持力の特性および算定方法、または地盤の評価条件のひとつとなる地盤定数の検証などについては、本発明者が数値解析を進めており、所要の条件を満足する下では基礎施工が可能であるという見解に至っている(例えば、非特許文献1〜4)。
【0010】
【非特許文献1】大内正敏ほか著、「琉球石灰岩層を支持層とした基礎形式について」、第15回沖縄地盤工学研究発表会概要集、2002年発行、第51頁から第54頁
【非特許文献2】大内正敏ほか著、「N値のバラツキを考慮した支持力数値解析」、第16回沖縄地盤工学研究発表会概要集、2003年発行、第23頁から第26頁
【非特許文献3】大内正敏ほか著、「琉球石灰岩層を支持層とした基礎の支持力数値解析について」、第15回沖縄地盤工学研究発表会概要集、2002年発行、第55頁から第58頁
【非特許文献4】大内正敏ほか著、「空洞を有する地盤上の帯基礎の支持力特性について」、第16回沖縄地盤工学研究発表会概要集、2003年発行、第19頁から第22頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような課題に対し、基礎施工前に物理探査方法により施工すべき石灰質地盤の内部状態を探査すること、および必要に応じて石灰質地盤内空洞部に周辺地盤相当強度の注入材を充填することを効率よく組合わせることにより、基礎構造物を石灰質地盤に支持させる施工方法を提供することを主目的とし、その上で、石灰質地盤を基盤層とする場合の適切な基礎構造を選択して、基礎構造物を石灰質地盤に支持させる施工方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明は次のように構成される。
【0013】
第1発明の石灰質地盤を支持層とする基礎の施工方法では、
石灰質地盤を支持層とする基礎の施工方法であって、
基礎施工前に物理探査方法により施工地盤の地質状態を探査し、
地盤の内部状態および地盤強度の分散または偏差を調査した上で基礎の支持が可能な石灰質地盤を特定し、
その特定された石灰質地盤内に散在する空洞部および弱質部の内、設計上空洞部または弱質部の充填が必要とされる箇所の空洞部または弱質部について地上から周辺の石灰質地盤相当強度の注入材を充填することで強度上の均質地盤を形成した後、
その均質地盤に基礎を施工して、前記均質地盤を支持地盤とする石灰質地盤に基礎を支持させることを特徴とする。
【0014】
第2発明では、
第1発明の石灰質地盤を支持層とする基礎の施工方法において、
基礎を剛体基礎とすることで、
石灰質地盤における基礎の周辺地盤への応力伝播を図り、支持地盤の内部応力度の低減および支持地盤の支持力度の増大ならびに基礎の支持地盤に対する支持力影響範囲を拡大させて、
施工する基礎の施工地盤内における剛体基礎下方またはその近辺に散在する空洞部および弱質部の内、設計上空洞部または弱質部の充填が必要とされる空洞部または弱質部を減少させることで、その分、空洞部または弱質部への注入材の充填作業を省略することを特徴とする。
【0015】
第3発明の石灰質地盤を支持層とする基礎の施工方法では、
石灰質地盤を支持層とする基礎の施工方法であって、
基礎施工前に物理探査方法により施工地盤の地質状態を探査し、
地盤の内部状態および地盤強度の分散または偏差を調査した上で基礎の支持が可能な石灰質地盤を特定し、
その特定された石灰質地盤内に築造する基礎をニューマチックケーソン工法で施工するケーソン基礎からなる剛体基礎とし、
かつケーソン沈設過程においてケーソン作業室内から物理探査方法によるケーソン沈設地盤の地質状態の探査および施工地盤内に散在する空洞部および弱質部の内、設計上空洞部または弱質部の充填が必要とされる空洞部または弱質部への注入材の充填作業とを観測施工することを特徴とする。
【0016】
第4発明では、
第1〜第3発明のいずれかに記載の石灰質地盤を支持層とする基礎の施工方法において、
前記物理探査方法は、地震探査法、電気探査法、地下レーダー法、重力探査法、磁気・放射能探査法、ジオトモグラフィ、または音波探査法のいずれかひとつまたは複数の組合わせにより探査の精度および確度を向上させることを特徴とする。
【0017】
第5発明では、
第1〜第4発明のいずれかに記載の石灰質地盤を支持層とする基礎の施工方法を施工するにあたり、
(1)現地調査に基づく基礎の予備設計を行い、(2)石灰質地盤を支持層とする検討および基礎構造の検討ならびに基礎構造の選定を行い、(3)物理探査の結果に基づく基礎の詳細設計を行い、(4)詳細設計された基礎構造それぞれの優位性を検証し、(5)基礎構造および基礎工法を決定する、
上記(1)〜(5)の一連の手順に従い基礎工法選定を含む基礎設計した後、基礎を施工することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、つぎのような効果が得られる。
(A) 石灰質地盤を支持層とする基礎を施工するにあたり、基礎施工前に物理探査方法により施工地盤の内部状態を探査することで、地盤強度の分散または偏差を確認することができるため、調査結果が基礎の支持が可能な石灰質地盤の特定につながり安全かつ確実な施工が可能となり、さらに石灰質地盤内に散在する空洞部または弱質部に地上から周辺地盤相当強度の注入材を充填することで、強度上の均質地盤を形成しその均質地盤を支持地盤とする石灰質地盤に基礎を支持させることが可能となるため、絶対的な安定した基盤層を確保することができる。
(B) また基礎の支持力に乏しい地質状態にある石灰質地盤においては基礎構造を剛体基礎とすることで、基礎の周辺地盤への応力伝播を図り、支持地盤の内部応力度を低減させ、かつ支持地盤の支持力度の増大を図ることで基礎の支持地盤に対する支持力影響範囲を拡大させることができるため、支持地盤に対する支持力影響範囲を増大させると共に周辺地盤への応力伝播も併せて支持地盤の内部応力度を低減させることができるため、施工地盤内に存在する小規模の空洞部または弱質部について設計計算上無視でき、なおかつ空洞部または弱質部の充填作業を省略することが可能となるため施工の省力化につながる。
(C) さらには基礎構造を剛体基礎とした上でニューマチックケーソン工法で施工するケーソン基礎とすることで、物理探査方法によるケーソン沈設地盤および周辺地盤の地質状態の探査および施工地盤内に散在する空洞部または弱質部への注入材の充填作業を、ケーソン沈設過程においてケーソン作業室内から行うことが可能となるため、施工状況に応じた観測施工ができ、一層の安全性と確実性を得ることが可能となる。
(D) 基礎施工前に行う物理探査での方法は、地震探査法、電気探査法、地下レーダー法、重力探査法、磁気・放射能探査法、ジオトモグラフィ、または音波探査法を利用することで、基礎地盤外部から行うことができるため、基礎設計を行うにあたって詳細なデータを把握することが可能となると共に、また必要に応じて物理探査方法を複数種類組み合わせて施工地盤を評価することで、探査の精度および確度の向上を図り、さらに詳密な情報を入手することができるため設計における不確定要素を排除することが可能となる。
(E) 基礎工法選定を含む設計方法の手順を、(1)現地調査に基づく基礎の予備設計を行い、(2)石灰質地盤を支持層とする検討および基礎構造の検討ならびに基礎構造の選定を行い、(3)物理探査の結果に基づく基礎の詳細設計を行い、(4)詳細設計された基礎構造それぞれの優位性を検証し、(5)基礎構造および基礎工法を決定する、上記(1)〜(5)の一連の順序とすることにより石灰質地盤支持の複雑な基礎設計を簡単に明確化することができる。
前記(A)〜(E)のような効果により、有限である国土の有効的活用をもたらすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施について、石灰質地盤を琉球石灰岩層とした上で、基礎構造を杭基礎および剛体基礎とする場合を例に挙げ、さらに剛体基礎においては開削工法およびニューマチックケーソン工法による施工例をもとに、図面を用いて詳細に説明する。
【0020】
図1に示すように、まず、琉球石灰岩層2c,2dの特徴としては、土粒子自体が比較的崩壊し易い性質を有することが挙げられ、これだけではN値の小さい弱い地盤が予想されるが、実際に地盤としては一軸圧縮強度が50N/mmに達するなど、地盤内部に大小さまざまな大きさの空洞部4を多く内包することが可能なほど強固な特性を持ち合わせている。ここで、空洞部4は層境に発生する亀裂などの空隙部や空洞化に至らない弱質部も含むものとし、以降、これら地盤2内において地盤性状が急激に変化する箇所の代表を空洞部として「空洞部4」という記載のもとに説明する。また、図示においては琉球石灰岩層2c,2dを整った層状態であるものとして簡略化することで説明していくが、例えば琉球石灰岩層2cと琉球石灰岩層2dとの区別が不可能であったり、例えば琉球石灰岩層2cの内部に琉球石灰岩層2dが抱囲される箇所があるなど、当然ながら実地盤においては非常に複雑かつ混沌となる場合が存在する。
【0021】
ただし、現在までの実施例においては、図1に示すように琉球石灰岩層2c,2dを支持地盤とした基礎構造物1,5が僅少であり、琉球石灰岩層2c,2dが地盤2内に存在する場合においては、さらにその下層に位置する島尻泥岩層2eをはじめとする基礎の支持力性能に優れる地層を基盤層つまり支持層とし、基礎施工が行われた例が幾つか存在するに留まる。
【0022】
実施例が乏しいもう一つの理由として、琉球石灰岩自体の性状のみならず、琉球石灰岩が堆積し易い地域の地盤2は互層を形成することが多く、また石灰質地盤の固結層2cおよび未固結層2dが複雑に重なり合っていることも地盤の支持力算定において大きな不確定要素となっているため、これら不明瞭な要因を取り除き安全な設計を行うためにも従来では石灰質地盤2c,2dを避けて基礎施工することが必然的な考え方となっていた。
【0023】
当然ながら、琉球石灰岩層2c,2dを突き抜けて島尻泥岩層2eを支持層とした基礎構造は、それらが杭基礎1または剛体基礎5であるなどの構造の種別によらず、長大化、大深度化することとなり、経済性が損なわれることにつながる。
【0024】
もちろん、基礎の施工規模が大型化することにより各種設備の配置数の増大を伴い施工用地の確保が難しくなるばかりでなく、工期面においても相応の長期化を強いられるものとなる。
【0025】
このように、杭基礎1を琉球石灰岩層2c,2dを回避して根入れする最大の理由は、地盤2内の空洞部4の存在であり、基礎杭1b打設後の杭下端部近傍の空洞部4の存在が確認できないまま施工完了してしまうと支持力に多大な影響を及ぼし、杭基礎1本体は設計上の支持力を発揮できないという非常に危険な状態を懸念するためである。
【0026】
つまり、具体的には杭基礎1に作用する支持力影響範囲を示す圧力球根3の範囲に空洞部4の全部または一部が存在するような場合であり、空洞部4については設計上の支持力はゼロとして評価する必要があるため、このような基礎杭1bは杭基礎1の構造要素として計算の上で算入することが不可能となることが理由である。
【0027】
また、図2に示すように、杭基礎1を施工する際に用いられる管理手法のひとつとして基礎杭1bの「打ち止め管理」が挙げられるが、地盤2のN値などの支持力を管理基準として基礎杭1bを打設した場合には、支持力ゼロとなる空洞部4の存在により、圧力球根3が空洞部4に接触せず、かつ設計を満足する深さおよび位置までの根入れが必要となることから、基礎杭1bの杭長は設計上の想定深度よりも遥かに長くしなければならない現象も発生し、基礎杭1bそれぞれの杭長(基礎杭1b下端部の深度)が極端に不揃いにならざるを得ないなど、設計段階から展開した施工計画が実際に反映できないといった大きな問題を残し、施工量はもちろんのこと経済性についても不慮の増資を要することとなる。
【0028】
そこで、本発明の実施形態について図3に示す杭基礎1構造の場合および図4に示す剛体基礎5構造の場合に分けて、琉球石灰岩層2c,2dを基盤層とすることで経済性に富み、かつ安全確実な基礎の施工方法を説明するが、もちろん、基礎構造がこれ以外のものであっても構わない。
【0029】
はじめに、基礎施工前段階として現地踏査などからはじまる地盤調査段階および設計段階について説明する。
【0030】
最初に、琉球石灰岩層2c,2dを基盤層とする基礎施工を考えるには、まず空洞部4をはじめとする施工地盤2内の地質状態を詳細かつ精度よく把握することが大前提となり、本発明においては物理探査方法を効率よく活用して基礎の設計および施工前に地盤状態の情報を得ると共に、基礎の施工過程においても必要に応じて地盤の探査を可能とすることを必要な条件とする。
【0031】
ここで、物理探査方法の種類としては、地震探査法、電気探査法、地下レーダー法、重力探査法、磁気・放射能探査法、ジオトモグラフィ、または音波探査法などがあるが、ここでは電気探査法の中から比抵抗映像法を採用し、またジオトモグラフィの中から比抵抗トモグラフィ法を同時に採用することで、これら異なる感度特性を有する複数の電極配置で同一信号経路を全探査データについて解析に必要な情報量を増加させ高密度電気探査に同様の探査手段を講ずる(以下、ハイブリッド高密度電気探査法という)方法を示すが、周辺も含む地質に左右される部分もあることから、対象地盤との適正に応じて前記のいずれの探査方法を採用してもよく、また精度の向上を図る意味においてこれらの二つ以上の組合わせについても適宜選択自由である。つまり、計測精度などの必要条件が満足されれば、例えば地表面2aからの地震探査法のひとつであるレイリー波探査のみであっても、差し支えない。
【0032】
具体的には、図5に示すように、地表面2aおよび予備設計の前段階で最低限必要となる土質サンプルを得るためのボーリング孔6内に、それぞれ送受信点となる電極7a,7bを設置し、全電極7a,7bの送受信経路7dに亘って地盤2内の比抵抗分布を計測する物理探査を行う。もちろん、浅深度域に安定した基礎の支持が可能な地盤2eが存在し、詳細な探査を要しないことがボーリングデータなどの予備調査段階で判断されれば、この限りではない。
【0033】
この図示では、電極7a,7b、ボーリング孔6および送受信経路7dの状態を解り易く、任意の一断面を切り出して表現しているが、実際の基礎構造物1,5は立体物であることから図6に示すように、地表面2aに設備する電極7aと共に、複数のボーリング孔6を利用することで計画する基礎構造物1,5(図示を省略する)を囲繞する形態で複数の探査面(切断面)7eをもって三次元的に探査および計測結果の評価を行うことが望ましく、より詳細には必要な精度に応じて探査面7eおよび送受信点となる電極7a,7bの設置を増加させればよく、電極7a,7bを移動した後に再計測するなどして実質の計測点数を増加させることも同様である。
【0034】
ハイブリッド高密度電気探査法による比抵抗値から得られるデータの解析終了後には、一探査面7eをひとつの二次元情報とする評価を最終的には演算処理してイメージ映像などの映像として入手することが可能となり、これを必要断面組み合わせて総合的に評価することにより地盤2内部に散在する空洞部4をはじめとする基礎地盤2の地質状態について、三次元の座標値を把握することで、三次元的なイメージ映像にすることが可能となる。
【0035】
これら探査技術および琉球石灰岩層2c,2dへの応用技術は、コンピュータに代表される解析処理技術の発達もあり最近になって高精度化かつ高速化したことで実現可能となったもので、従来の探査技術では精度よく地盤2内部の状態が確認できなかった。
【0036】
このようにハイブリッド高密度電気探査法による解析結果およびボーリングデータや試験掘り結果などの予備調査に基づくデータとを同時に基礎設計における設計資料とすることで、基礎構造物1,5の種類および規模、また地盤2からの支持力を基礎構造物1,5に伝達させる上で最適となる基盤層の決定および基礎の深度ならびに水平位置を特定することが可能となる。
【0037】
ただし、有限である国土の利用などを理由に、基礎構造物1,5の位置、とりわけ水平位置は自由自在に設計できるものとはならないため、当然ながら、ある程度の範囲限定を位置決定の制約条件として設計段階から課すことが必要となる。
【0038】
そこで、図7に示すように、設計に基づく基礎構造物1,5の想定位置10に発生する圧力球根3で現される地盤2の支持力影響範囲内に混在する大小さまざまな空洞部4について、その中の地盤2の支持力に影響を及ぼす空洞部4aの空洞部充填8を地上から行うことで、必要最小限の地盤改良をもって国土の有効利用を図るが、支持力に影響を与えない規模の空洞部4のみで構成される地盤2であることが物理探査の解析結果から判明しているならば、これら空洞部4はそのまま放置することが可能となり、施工性や経済性についてより好適な地盤条件となる。例えば、基礎構造物1に発生する小径の圧力球根3または基礎構造物5に発生する大径の圧力球根3内のまたはその近辺の設計上無視でき得る程度の空洞部4はそのまま放置することが可能になる。
【0039】
ただし、実際には比較的規模の大きい支持力に影響を及ぼす程度の空洞部4aが探査されることが多いため、地上より削孔および注入ロッド8bを有する削孔および注入機械8aを用いて作業者9が探査結果に基づく空洞部4aに対して、ピンポイントにセメント系注入材などで空洞部4aを周辺地盤と同等の地盤強度を確保する状態に改良し、強度的な均質地盤を構成することで対応可能である。この時、セメント系注入材の充填施工量およびセメント系注入材の材料使用量などは必要最小限となることは言うまでもなく、また亀裂などの空隙部や弱質部に対しては恒久グラウトをはじめとする薬液系注入材の利用が効果的であり、さらに弱質部についての充填方法は置換充填や圧密充填などを適宜選択しながら施工するとよい。このことは、以降に記載するセメント系注入材の充填についても同様である。
【0040】
ここで、本発明は基礎構造物として代表的な杭基礎1および剛体基礎5の例を挙げて説明しているが、地盤2が空洞部4,4aを多く包含しており、さらに石灰質地盤2c,2d自体も複雑な互層状態を為すなどの均質性に乏しい地盤2である場所について基礎設計を行わなければならない場合は、剛体基礎5がより有効性を増すこととなる。
【0041】
その理由は、基礎構造物1,5に発生する圧力球根3の規模にあり、一般的に圧力球根3の直径は基礎構造に依存せず、おおよそ基礎幅の1.5倍となるためである。
【0042】
つまり、この例において、剛体基礎5に発生する圧力球根3は、杭基礎1に発生する圧力球根3に比較してより大規模な圧力球根3となり、地盤2の支持力伝達をより広範にわたって基礎構造物5に作用させることを可能とすると共に周辺地盤への応力伝播により支持地盤の内部応力度を低減させ、支持地盤の支持力度の増大を図ることにある。ここで、杭基礎1に作用する支持力特性について、杭基礎1が群杭の形態を採る場合は、その効果を考慮して全体を仮想ケーソン基礎とする支持力の算定が設計の上では可能となるものの、琉球石灰岩層2c,2dのような地盤条件下では、0027段落に記載するように杭長が不揃いとなる事態が危ぶまれたり、また基礎杭1bの下端部をはじめとして基礎杭1bに近接する状態で空洞部4が存在する状態も設計上の検討事項とする必要があるなど、単純に圧力球根3を仮想ケーソン基礎の基礎幅を基準とする規模で期待することは危険側に傾倒する可能性があるため、この場合は地盤2の探査精度を一層向上させ、かつ杭基礎1の設計に要する探査範囲をさらに広範に設定するなどして対応することとなる(図示も省略している)。
【0043】
この現象は、支持力がゼロとなる空洞部4が圧力球根3内に存在する場合であっても、基礎構造物1,5に作用する地盤2の支持力は、圧力球根3に対する空洞部4の体積比率に関係するため小規模の空洞部4については無視することが可能となるためである。
【0044】
換言すれば、杭基礎1構造で設計する場合には、極小規模の空洞部4であっても支持力に影響することが考えられるため、地盤2内部の情報収集を物理探査7をはじめとして基礎杭1b下端部位置を中心として詳細に行う必要があり、逆に剛体基礎5構造で設計する場合には物理探査7の精度を低下させても範囲を拡大して調査する必要がある。
【0045】
つぎに、本発明の基礎施工時における観測施工に着目して、基礎施工段階で実施する発明について説明する。
【0046】
地盤2の条件如何では剛体基礎5が有利であることを先述したが、その中でも地下水位が高い場合については締め切りを必要としないニューマチックケーソン工法によるケーソン基礎が施工およびコストの両面を鑑みて有効である。
【0047】
図8に示すように、ニューマチックケーソン工法の最大の特徴となるケーソン作業室11aの存在は、ケーソン11の沈設段階または床付け段階において不均質な地盤2に対して非常に効力を発揮し、ケーソン作業室11aにおける作業者9は、ケーソン11沈設段階において調査段階で設置したボーリング孔6内に挿設されるケーソン11下方の電極7bの送受信点を利用し、可搬式計測器(電極)7aを地表(掘削地盤)の送受信点とするハイブリッド高密度電気探査を必要に応じて実施する観測施工が可能となる。
【0048】
これより、目視による現地盤の確認以外において、以降の掘削地盤の内部状態を把握することが可能となるほか、掘削地盤面(地表面2a)の近傍について詳細なデータを採取することが可能となることから、調査段階においては高詳細な探査を不要にできる場合も発生してくる。
【0049】
これは、ケーソン11の床付け段階についても同様であり、最も重要となるケーソン着底地盤の状態観測に効果を発揮することは言うまでもなく、もちろん、ハイブリッド高密度電気探査でなくともレイリー波などを利用した物理探査を掘削地盤面(地表面2a)から行ってもよいため、必要となる計測精度に応じて適宜探査方法を選択すればよい。
【0050】
このように、ケーソン作業室11aから行った探査結果に基づくことで、図9に示すように、補足的な空洞部充填8のための作業を実施することが可能となり、非常に確実であり、かつ複雑で特殊な地盤2に対して非常に安全な方法をもって、基礎施工を行うことを可能とするものである。
【0051】
さらに、ニューマチックケーソン工法を採用したケーソン基礎5bの利点は、図10に示すように、ケーソン基礎5bの施工にあたって空洞部4が散在する特殊性状の地盤2の存在を特別に意識することを要しないことであり、ケーソンに外接する空洞部4bについて、通常施工における中埋めコンクリート工(ケーソン11床付け後、コンクリート打設配管12aおよびコンクリート打設ポンプ12bによりケーソン作業室11a内に中埋めコンクリート12を充填させる工程)およびコンタクトグラウト工(ケーソン11側壁に設置される注入口からグラウト配管13aおよびグラウトポンプ13bにより地山緩み部14に対してコンタクトグラウト13を充填させる工程)により空洞部4bの充填作業が半ば自動的に完了することが挙げられ、このことは、基礎施工の安全性および安全に対する省力化施策として有効的に作用するものである。
【0052】
一方、杭基礎1形式の基礎構造をもって設計が可能となる場合については、図11に示すように、杭打ち機15による基礎杭1bの打設段階において、調査段階で設置したボーリング孔6内に挿設される基礎杭1b下方の電極7bの送受信点を利用し、打設される基礎杭1bに地中の送受信点となる電極7cを設置するかまたは基礎杭1b自体に電極7cの機能を搭載することによって、ハイブリッド高密度電気探査を必要かつ基礎杭1bの打設深度に応じて実施する観測施工が可能となる。
【0053】
もちろん、一般的な打ち止め管理による地盤2のN値などの地盤支持力を基準とした管理手法を併用することで、さらに高精度かつ安全な施工管理を可能とするものである。
【0054】
また、剛体基礎5の構造を設計に採用した場合であって、基礎地盤2の地下水位が低く明かり工事で地盤2を掘り下げても出水の心配を伴わない条件にあっては、図12に示すように、開削工法によって直接基礎5aを施工することも可能である。
【0055】
この場合、鋼管矢板5d、腹起こし材5eおよび切り梁5fなどにより山留を行い、バックホウ16などの掘削機械で地山掘削することが代表的であるが、このような工法であっても、調査段階で設置したボーリング孔6内に挿設される直接基礎5a下方の電極7bの送受信点を利用し、可搬式計測器(電極)7aを地表(掘削地盤)の送受信点とするハイブリッド高密度電気探査を必要に応じて実施する観測施工が可能となる。
【0056】
これより、目視による現地盤の確認以外において、以降の掘削地盤の内部状態を把握することが可能となるほか、掘削地盤面(地表面2a)の近傍について詳細なデータを採取することが可能となることから、調査段階においては高詳細な探査を不要にできる場合が発生してくることは、先述のニューマチックケーソン工法を採用した場合の例と同様である。
【0057】
同様に、直接基礎5aの床付け掘削段階についても同じことが言え、最も重要となる基礎着底地盤の状態観測に効果を発揮する。
【0058】
さらに、同様に、直接基礎5aの掘削地盤面(地表面2a)から行った探査結果に基づくことで、図13に示すように、補足的な空洞部充填8の作業を実施することが可能となり、非常に確実であり、かつ複雑で特殊な地盤2に対して非常に安全な方法をもって、基礎施工を行うことを可能とするものである。
【0059】
以上のような杭基礎1および剛体基礎5に代表される基礎構造物を石灰質地盤2c,2dを基盤層として設計する際のフローチャートを図14に示す。
【0060】
図14に示す設計フローチャートにより、調査段階から基礎構造の決定、詳細設計、および不確定要素を伴う場合のリスク対策に至るまでの一連の設計手順が明確化される。以降、[開始]端子から順に説明する。
【0061】
最初に、基礎の設計を[開始]し、準備として基礎の施工対象となる地盤について、地質文献などの資料調査や実施工にあたって支障となる自然物や人工物の調査のための現地踏査をはじめ、土質サンプルを採取するためのボーリング工や試験掘りにより[調査]する。
【0062】
つぎに、前記調査の結果に基づき石灰質地盤に対する基礎の支持力について、その見込みを[予備設計]を行い設計計算書を作成し検討する。この予備設計の結果、当該石灰質地盤に全く基礎を支持する能力がないと判断されれば、従来工法による基礎施工方法を採用することとなり[終了]端子に帰着し、僅かでも可能性が存在するようであれば次のステップに進む。
【0063】
さらに、適応可能な基礎構造について[石灰質地盤支持の適用性]を検討し、この際、予備設計において定められた基礎としての機能を満足する基礎の種類の全てについて、適性を評価することが望ましい。
【0064】
このとき、上記において選考された基礎構造について、それぞれの施工方法を検討に盛り込み、基礎としての安定性、信頼性、施工における現場状況、周囲の環境および必要用地などを比較検討し、[費用対効果]の程度を基礎としての安全性を絶対の条件として推察する。ここで、基準となる指標は従来工法であり、従来工法に比べて大幅な費用の増大または効果の期待が希薄であるといった結果を生ずる基礎構造と施工方法との組合わせについては除外し、再度、異なったパターンで基礎構造とその施工方法とについて[石灰質地盤支持の適用性]の検討を繰り返す(NG)ことで従来施工法に対して費用対効果を得る結果に至る(Good)まで検討する。
【0065】
つぎに、ボーリングデータの追加、不撹乱試料の採取、またはより詳細な物理探査を行うなどする詳細な地盤調査の結果を基に、[詳細設計]を行う。ただし、ここでの結果が基礎設計における諸条件を満足しない場合は、異なった基礎構造を再選定し[石灰質地盤支持の適用性]を検討し、さらに施工方法とを併せ考え[費用対効果]の検討を繰り返し(NG)、地盤、基礎構造、施工法、環境、工期および工費などの諸条件が組み合わされる中で、より効果的な優位性の高い基礎構造を絞り込んでいく(Good)。
【0066】
これより、石灰質地盤を支持層とする基礎の基礎構造およびその基礎の施工方法とを[決定]する。
【0067】
さらに、実施工時における不慮の事態への対応または設計レベルでは不明確な事項の対応として、施工中に行う地盤調査、空洞部のセメント系注入材の充填、または地盤改良などを基礎の施工と同期して観測施工する施工方法を[リスク対策]として、基礎施工の事前に検討しておく。ここで、[リスク対策]にフローする処理[施工方法]は、観測施工などをはじめとして、基本となる基礎施工方法に対する補助的な手段としての位置づけとなる。
【0068】
最後に、[終了]端子に帰着し設計終了となり、このように設計手順を一連の順序とすることにより石灰質地盤支持の複雑な基礎設計を簡単に明確化することができる。
【0069】
以上の説明により、石灰質地盤を基盤層とする基礎を施工するにあたり、基礎施工前に行う物理探査から施工地盤の内部状態を把握することで、基礎構造の種類と規模および設計深度などが確定され、石灰質地盤内に散在する空洞部を均質化する技術を併用すると共に、探査および空洞部充填の両面について観測施工を可能とし、さらに設計方法の手順を簡単かつ明確に示すことにより、従来では基盤層としての評価を得るに困難であった石灰質地盤について基礎構造物を築造可能なレベルに昇華させることが可能となった。
【0070】
なお、本発明を実施する場合、剛体基礎や弾性体基礎またはこの中間に位置する基礎ならびに各種基礎形式の別なく独立または連続した基礎に適用してもよく、当然ながら、地下に構築する構造物であるならば基礎に限定することなく例えば地下室などの容器構造物であっても適用可能であり、また、実施形態に示した構成を適宜設計変更して実施することは本発明の範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】基礎の支持が可能な地盤を基盤層(支持層)とする場合の一般的な従来工法を示す杭基礎の断面図である。
【図2】石灰質地盤を基盤層(支持層)とする場合の一般的な従来工法を示す杭基礎の断面図である。
【図3】本発明による石灰質地盤を基盤層(支持層)とする場合の杭基礎構造を示す実施形態の断面図である。
【図4】本発明による石灰質地盤を基盤層(支持層)とする場合の剛体基礎構造を示す実施形態の断面図である。
【図5】一部の地盤状態の図示を省略した電気探査方法における比抵抗映像法およびジオトモグラフィにおける比抵抗トモグラフィ法との組合わせ探査法を示す物理探査方法の断面図である。
【図6】地盤内部の一探査面に図5における探査方法により得られる物理探査結果を示した透過斜視図である。
【図7】一部の地盤状態の図示を省略した基礎施工前段階における地盤の支持力に影響を及ぼす空洞部の充填作業を示す断面図である。
【図8】ニューマチックケーソン工法によるケーソン基礎のケーソン沈設またはケーソン床付け段階における物理探査状況を示す観測施工の断面図である。
【図9】ニューマチックケーソン工法によるケーソン基礎のケーソン沈設またはケーソン床付け段階における地盤の支持力に影響を及ぼす空洞部の充填作業を示す観測施工の断面図である。
【図10】ニューマチックケーソン工法によるケーソン基礎のケーソン床付け段階における中埋めコンクリート工またはコンタクトグラウト工によるケーソンに外接する空洞部の充填作業を示す断面図である。
【図11】杭基礎の基礎杭打設段階における物理探査状況を示す観測施工の断面図である。
【図12】開削工法による剛体基礎の基礎地盤掘削または地盤掘削完了段階における物理探査状況を示す観測施工の断面図である。
【図13】開削工法による剛体基礎の基礎地盤掘削または地盤掘削完了段階における地盤の支持力に影響を及ぼす空洞部の充填作業を示す観測施工の断面図である。
【図14】石灰質地盤を基盤層(支持層)とする基礎の設計フローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1 杭基礎(基礎構造物)
1a フーチング
1b 基礎杭
2 地盤
2a 地表面
2b 表層
2c 石灰質地盤(固結琉球石灰岩層)
2d 石灰質地盤(未固結琉球石灰岩層)
2e 基礎の支持が可能な地盤(島尻泥岩層)
3 圧力球根
4 空洞部(空隙部または弱質部を含む)
4a 地盤の支持力に影響を及ぼす空洞部
4b ケーソンに外接する空洞部
5 剛体基礎(基礎構造物)
5a 基礎構造物(直接基礎)
5b 基礎構造物(ケーソン基礎)
5c 剛体基礎の想定位置を現す仮想線
5d 鋼管矢板
5e 腹起こし材
5f 切り梁材
6 ボーリング孔
7 物理探査
7a 電極(地表の送受信点)または可搬式計測器
7b 電極(孔内の送受信点)
7c 電極(地中の送受信点)
7d 送受信経路
7e 探査面
8 空洞部充填
8a 削孔および注入機械
8b 削孔および注入ロッド
9 作業者
10 物理探査の結果による基礎の設計規模および位置を現す仮想線
11 ケーソン
11a ケーソン作業室
12 中埋めコンクリート
12a コンクリート打設配管
12b コンクリート打設ポンプ
13 コンタクトグラウト
13a グラウト配管
13b グラウトポンプ
14 地山緩み部
15 杭打ち機
16 バックホウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石灰質地盤を支持層とする基礎の施工方法であって、
基礎施工前に物理探査方法により施工地盤の地質状態を探査し、
地盤の内部状態および地盤強度の分散または偏差を調査した上で基礎の支持が可能な石灰質地盤を特定し、
その特定された石灰質地盤内に散在する空洞部および弱質部の内、設計上空洞部または弱質部の強化が必要とされる箇所の空洞部または弱質部について地上から周辺の石灰質地盤相当強度の注入材を充填することで強度上の均質地盤を形成した後、
その均質地盤に基礎を施工して、前記均質地盤を支持地盤とする石灰質地盤に基礎を支持させることを特徴とする
石灰質地盤を支持層とする基礎の施工方法。
【請求項2】
基礎を剛体基礎とすることで、
石灰質地盤における基礎の周辺地盤への応力伝播を図り、支持地盤の内部応力度の低減および支持地盤の支持力度の増大ならびに基礎の支持地盤に対する支持力影響範囲を拡大させて、
施工する基礎の施工地盤内における剛体基礎下方またはその近辺に散在する空洞部および弱質部の内、設計上空洞部または弱質部の充填が必要とされる空洞部または弱質部を減少させることで、その分、空洞部または弱質部への注入材の充填作業を省略することを特徴とする
請求項1に記載の石灰質地盤を支持層とする基礎の施工方法。
【請求項3】
石灰質地盤を支持層とする基礎の施工方法であって、
基礎施工前に物理探査方法により施工地盤の地質状態を探査し、
地盤の内部状態および地盤強度の分散または偏差を調査した上で基礎の支持が可能な石灰質地盤を特定し、
その特定された石灰質地盤内に築造する基礎をニューマチックケーソン工法で施工するケーソン基礎からなる剛体基礎とし、
かつケーソン沈設過程においてケーソン作業室内から物理探査方法によるケーソン沈設地盤の地質状態の探査、および施工地盤内に散在する空洞部および弱質部の内、設計上空洞部または弱質部の充填が必要とされる空洞部または弱質部への注入材の充填作業とを観測施工することを特徴とする
石灰質地盤を支持層とする基礎の施工方法。
【請求項4】
前記物理探査方法は、地震探査法、電気探査法、地下レーダー法、重力探査法、磁気・放射能探査法、ジオトモグラフィ、または音波探査法のいずれかひとつまたは複数の組合わせにより探査の精度および確度を向上させることを特徴とする
請求項1〜3のいずれか1項に記載の石灰質地盤を支持層とする基礎の施工方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の石灰質地盤を支持層とする基礎の施工方法を施工するにあたり、
(1)現地調査に基づく基礎の予備設計を行い、(2)石灰質地盤を支持層とする検討および基礎構造の検討ならびに基礎構造の選定を行い、(3)物理探査の結果に基づく基礎の詳細設計を行い、(4)詳細設計された基礎構造それぞれの優位性を検証し、(5)基礎構造および基礎工法を決定する、
上記(1)〜(5)の一連の手順に従い基礎工法選定を含む基礎設計した後、基礎を施工することを特徴とする
石灰質地盤を支持層とする基礎の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−225940(P2006−225940A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39915(P2005−39915)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(391035795)株式会社白石 (15)
【出願人】(390036504)日特建設株式会社 (99)
【出願人】(000236610)不動建設株式会社 (136)
【Fターム(参考)】