説明

石炭ガス化炉のスラグ監視装置及び石炭ガス化炉

【課題】石炭ガス化炉において、スラグ溶融バーナの耐久性低下及び燃料消費の増加を抑制すること。
【解決手段】石炭ガス化炉のスラグ監視装置100は、溶融したスラグが流出するスラグホール3を観測するスラグホールカメラ11と、スラグホール3から流出したスラグが冷却水5の水面5Hへ落下する様子を観測する水面カメラ12と、スラグが水面5Hに落下した音を観測する落下音センサ13と、スラグホールカメラ11により観測されたスラグホール3の開口面積と、水面カメラにより観測されたスラグの落下筋及び前記スラグの落下位置とに基づいて、スラグの固化付着箇所を判定する処理装置20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭ガス化炉のコンバスタから排出されるスラグの排出状況を監視することに関する。
【背景技術】
【0002】
石炭をガス化して得られた石炭ガスによりガスタービンを駆動して発電する技術がある。石炭をガス化するためには、石炭ガス化炉が使用される。石炭をガス化すると、石炭ガス化炉には燃え滓としてスラグが残る。このようなスラグは、石炭ガス化炉から排出される必要がある。スラグは充分に高温であれば流動性を有するため、一般に、石炭ガス化炉の下部に設けられたスラグホールから連続的に排出される。スラグホールの下方には、冷却水を満たしたスラグ排出筒が設けられ、スラグは、冷却水によって冷却されて固化された後、スラグ排出筒から排出される。
【0003】
スラグの固化によるスラグホールの閉塞やスラグの流動の不安定化を回避することは、石炭ガス化炉の運転において重要である。したがって、石炭ガス化炉を正常に運転するためには、スラグの排出状況を監視する必要がある。例えば、特許文献1には、ガス化溶融炉において生成される溶融スラグを監視する方法が開示されている。これは、スラグ排出口から流下される溶融スラグを撮像して、その画像から抽出されたスラグ流下部に、複数本の分離又は枝分かれを確認したときに、スラグ排出口を閉塞する恐れがある堆積固化スラグが生成されたと判断して、固化スラグ除去手段を作動させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−295824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、スラグの堆積がスラグホールである場合には、スラグ溶融バーナを起動してスラグを溶融させればよいが、スラグホールから離れた箇所にスラグが堆積している場合、スラグ溶融バーナでは堆積しているスラグを溶融できない。この場合、スラグ溶融バーナを無駄に用いることになり、スラグ溶融バーナの耐久性低下及び燃料消費の増加を招くおそれがある。特許文献1は、かかる問題点について考慮されておらず、改善の余地がある。本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、石炭ガス化炉において、スラグ溶融バーナの耐久性低下及び燃料消費の増加を抑制すること、スラグ監視装置における判断情報の複雑化による信頼性向上と排出状況判断の高度化を図ることのうち少なくとも一つを達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る石炭ガス化炉のスラグ監視装置は、溶融したスラグが流出するスラグホールを観測するスラグホール観測手段と、前記スラグホールから流出した前記スラグが冷却水の水面へ落下する様子を観測する水面観測手段と、前記スラグホール観測手段により観測された前記スラグホールの開口面積と、前記水面観測手段により観測された前記スラグの落下筋及び前記スラグの落下位置とに基づいて、前記スラグの固化付着箇所を判定する処理装置と、を備えること特徴とする。
【0007】
本発明は、スラグホール観測手段により観測されたスラグホールの開口面積と、水面観測手段により観測されたスラグの落下筋及びスラグの落下位置とに基づいて、スラグの固化付着箇所を判定する。これによって、スラグ溶融バーナを用いてもスラグを取り除けない箇所にスラグが固化付着している場合には、スラグ溶融バーナを用いないでスラグを取り除く判断が可能になる。その結果、石炭ガス化炉において、スラグ溶融バーナの無用な使用を回避できるので、スラグ溶融バーナの耐久性低下及び燃料消費の増加を抑制できる。また、スラグ監視装置における判断情報の複雑化による信頼性向上と排出状況判断の高度化を図ることができる。
【0008】
本発明の好ましい態様としては、前記石炭ガス化炉のスラグ監視装置において、前記処理装置は、前記スラグの落下筋が所定の本数、かつそれぞれの落下筋が、それぞれ予め規定した所定のスラグ落下位置である場合、前記スラグホールが前記固化付着箇所であると判定し、前記スラグホールに固化付着したスラグを溶融するためのスラグ溶融バーナを点火することが望ましい。これによって、石炭ガス化炉において、スラグ溶融バーナの無用な使用を回避できるので、スラグ溶融バーナの耐久性低下及び燃料消費の増加を抑制できる。
【0009】
本発明の好ましい態様としては、前記石炭ガス化炉のスラグ監視装置において、前記石炭ガス化炉のスラグ監視装置は、前記スラグが前記水面に落下した音を観測するスラグ落下音観測手段を備え、前記スラグホール観測手段と、前記水面観測手段と、前記スラグ落下音観測手段とのうち少なくとも一つが故障した場合、前記処理装置は、正常に動作しているものから得られる情報に基づき、前記スラグの監視を継続することが望ましい。これによって、スラグの流動状況を監視する際に必要な情報を取得する機器類に異常が発生しても、石炭ガス化炉の運転を継続できる。
【0010】
本発明の好ましい態様としては、前記石炭ガス化炉のスラグ監視装置において、前記スラグが落下する水に向かって検出波を発信する少なくとも一つの送波センサと、当該送波センサが発信した前記検出波を受信する複数の受波センサとで構成される水中スラグ観測手段を前記スラグ落下音観測手段の下方に設け、前記処理装置は、複数の前記受波センサによって検出される前記検出波に基づいて、前記冷却水の中に存在する固化スラグの堆積を評価することが望ましい。これによって、固化スラグの堆積を精度よく判定できる。
【0011】
本発明の好ましい態様としては、前記石炭ガス化炉のスラグ監視装置において、前記送波センサは1個であり、前記冷却水の水面から下方に向かって移動して、所定の場所で検出波を発信することが望ましい。これによって、送波センサの個数を低減できるので、石炭ガス化炉のスラグ監視装置の製造コストを低減できる。
【0012】
本発明の好ましい態様としては、前記石炭ガス化炉のスラグ監視装置において、検出波を送受信できる第1の送受波センサ及び第2の送受波センサで構成される水中スラグ観測手段を前記スラグ落下音観測手段の下方に設け、前記処理装置は、前記第1の送受波センサと前記第2の送受波センサとの間で送信と受信との関係を切り替え、検出された前記検出波の経路に基づいて前記冷却水の中に存在する固化スラグの堆積を評価することが望ましい。これによって、固化スラグの大きさを推定する際の精度が向上する。
【0013】
本発明の好ましい態様としては、前記石炭ガス化炉のスラグ監視装置において、前記スラグ落下音観測手段に異常が発生した場合、前記水中スラグ観測手段で前記スラグが前記水面に落下した音を観測することが望ましい。これによって、スラグ落下音観測手段に異常が発生した場合でも、スラグの流動状況の監視を継続できるので、石炭ガス化炉の運転を停止するおそれが低減できる。
【0014】
本発明の好ましい態様としては、前記石炭ガス化炉のスラグ監視装置において、前記スラグホール観測手段はカメラであり、前記処理装置は、前記石炭ガス化炉の起動バーナ点火中には前記カメラのゲインを自動調整モードかつ前記カメラのシャッター速度を最大又は任意とし、石炭投入中には前記カメラのゲインとシャッター速度とを一定の値とすることが望ましい。これにより、輝度の比較ができるので、石炭のガス化時には、スラグの流動状況をより確実に監視できる。
【0015】
本発明の好ましい態様としては、前記石炭ガス化炉のスラグ監視装置において、前記処理装置は、前記スラグホール観測手段から得られる画像の輝度に基づいて、前記スラグホール観測手段の入光部の汚れを判定し、前記入光部の汚れが許容できない場合には、当該入光部を洗浄する洗浄手段を起動することが望ましい。これにより、安定したスラグの流動状況の監視が実現できる。
【0016】
本発明の好ましい態様としては、前記石炭ガス化炉のスラグ監視装置において、前記処理装置は、前記水面観測手段から得られる画像の輝度に基づいて、前記水面観測手段の入光部の汚れを判定し、前記入光部の汚れが許容できない場合には、当該入光部を洗浄する洗浄手段を起動することが望ましい。これにより、安定したスラグの流動状況の監視が実現できる。
【0017】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る石炭ガス化炉は、前記石炭ガス化炉のスラグ監視装置を備えることを特徴とする。この石炭ガス化炉は、上述した石炭ガス化炉のスラグ監視装置を備えるので、スラグ溶融バーナの無用な使用を回避して、スラグ溶融バーナの耐久性低下及び燃料消費の増加を抑制できる。また、スラグ監視装置における判断情報の複雑化による信頼性向上と排出状況判断の高度化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、石炭ガス化炉において、スラグ溶融バーナの耐久性低下及び燃料消費の増加を抑制すること、スラグ監視装置における判断情報の複雑化による信頼性向上と排出状況判断の高度化を図ることのうち少なくとも一つを達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本実施形態に係る石炭ガス化炉のスラグ監視装置の全体構成図である。
【図2】図2は、スラグホールカメラ及び水面カメラによって得られた画像の一例を示す模式図である。
【図3】図3は、スラグホールカメラ及び水面カメラによって得られた画像において着目する領域と評価パラメータとの対応を示す説明図である。
【図4】図4は、本実施形態において落下音を判定する方法の説明図である。
【図5】図5は、本実施形態において、スラグの流動状況を監視する際の評価ロジックの一例を示す図である。
【図6】図6は、スラグが固化して付着し堆積した箇所を判定するための評価ロジックを示す図である。
【図7】図7は、スラグが固化して付着し堆積した箇所を判定するための評価ロジックを示す図である。
【図8】図8は、スラグ溶融バーナを作動させるか否かを判定するための評価ロジックを示す図である。
【図9】図9は、スラグホールが閉塞するおそれのあることを判定するための評価ロジックを示す図である。
【図10】図10は、スラグ溜め内の固化スラグを監視する方法の説明図である。
【図11】図11は、スラグ溜め内の固化スラグを監視する方法の説明図である。
【図12】図12は、スラグ溜め内の固化スラグを監視するための評価ロジックを示す図である。
【図13】図13は、スラグホールカメラのゲイン及びシャッター速度を切り替える時期を説明するための図である。
【図14】図14は、スラグホールカメラや水面カメラがスラグ排出筒内を監視する際の構造を示す概略図である。
【図15】図15は、監視窓を洗浄することを判定するための評価ロジックを示す図である。
【図16】図16は、監視窓を洗浄することを判定するための評価ロジックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下に開示する構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0021】
図1は、本実施形態に係る石炭ガス化炉のスラグ監視装置の全体構成図である。石炭ガス化炉のスラグ監視装置(以下、スラグ監視装置という)100は、石炭ガス化炉1において石炭をガス化する過程で発生するスラグの流動状況を監視する装置である。石炭ガス化炉1は、石炭とガス化剤(空気、酸素富化空気、O等)とが投入され、石炭を燃焼させるコンバスタ1Cと、石炭が投入されてこれをガス化させるリダクタ1Rと、コンバスタ1Cから排出されるスラグを回収するスラグ排出筒4とを含んで構成される。リダクタ1Rにおいては、コンバスタ1Cにおいて石炭が燃焼したことにより発生する高温により石炭の熱分解が行われ、炭素に酸素、水蒸気が反応してガス化される。
【0022】
スラグ排出筒4は、図1に示すように、石炭ガス化炉1の下方(鉛直方向側)に設けられる。石炭ガス化炉1を構成するコンバスタ1Cの下部には、円錐状のスラグタップ2が設けられている。コンバスタ1Cで石炭が燃焼し、また、リダクタ1Rで石炭がガス化された後に生成される溶融状態のスラグは、スラグタップ2に設けられた円形のスラグホール3を介して排出される。スラグホール3の縁には、排出されるスラグの流出を案内する溝(流出案内溝)が複数(例えば2つ、180度間隔で対向する位置)形成される。流出案内溝の断面積は、2条のスラグ流が定常的に流下するように設計されている。スラグ排出筒4の下方には、冷却水5がある。スラグホール3から排出された溶融状態のスラグは、冷却水5に流下する。スラグ排出筒4の下部には、スラグ溜め7(ガス化炉からのスラグ排出装置(例えば、吹出管、弁、クラッシャー等)の許容寸法以上のスラグを分離する装置(例えばスクリーン等))が設けられており、冷却水5に落下して固化したスラグ(固化スラグ)8Rが溜められる。
【0023】
スラグ監視装置100は、スラグホール観測手段である第1カメラ(以下スラグホールカメラという)11と、水面観測手段である第2カメラ(以下水面カメラという)12と、処理装置20とを含んで構成される。本実施形態において、スラグ監視装置100は、さらにスラグ温度計測手段である分光計10及びスラグ落下音観測手段である落下音センサ13を備える。スラグホールカメラ11は、溶融したスラグが流出するスラグホール3を撮像して観測する。水面カメラ12は、スラグホール3から流出した、溶融したスラグがスラグ排出筒4の下方の冷却水5の水面5Hへ落下する様子を撮像して観測する。
【0024】
落下音センサ13は、スラグが冷却水5の水面5Hに落下した音を観測する。処理装置20は、例えば、コンピュータで構成されており、スラグホールカメラ11により観測されたスラグホール3の開口面積と、水面カメラ12により観測されたスラグの落下筋及びスラグの水面5Hへの落下位置とに基づいて、スラグが固化して付着した箇所(固化付着箇所)を判定する。処理装置20には、スラグを監視する監視手段(スラグホールカメラ11や水面カメラ12等)や、表示手段であるディスプレイ21、音声発生手段であるスピーカ22、制御対象機器CAが接続される。
【0025】
スラグホールカメラ11は、スラグ排出筒4の側壁の外側に設けられている。スラグホールカメラ11は、スラグ排出筒4の側壁に設けられているスラグホール監視窓を介してスラグホール3及びスラグホール3の周辺を撮像し、スラグホール画像を生成する。分光計10は、スラグ排出筒4の側壁の外側に設けられている。分光計10は、スラグホール3の中心部(微少域)を視野にして、スラグホール観察窓を通して、スラグホール3の中心部の温度を測定する。水面カメラ12は、スラグ排出筒4の側壁の外側に設けられている。水面カメラ12は、スラグ排出筒4の側壁に設けられている水面監視窓を介して冷却水5の水面5Hを撮像し、水面の画像を生成する。
【0026】
スラグ落下音観測手段である落下音センサ13は、冷却水5の水中に設けられている。落下音センサ13としては、例えば、ハイドロホンを用いることができる。落下音センサ13は、自身に入力される音を電気信号に変換して出力する。スラグホールカメラ11は、画像処理ボード11Bに接続されている。画像処理ボード11Bは、スラグホールカメラ11によって取得されたスラグホールの画像をディジタルデータ化する。これによって得られた画像を、スラグホール監視画像という。なお、スラグホール監視画像は、スラグホールの輝度分布データを含んでいる。スラグホールの輝度分布データは、スラグホール監視画像に含まれる各画素の輝度を示すデータで構成されている。
【0027】
分光計10は、専用IFボード10Bに接続されている。専用IFボード10Bは、分光計10によって測定された、スラグホール3の中心温度を示す温度データを生成する。水面カメラ12は、画像処理ボード12Bに接続されている。画像処理ボード12Bは、水面カメラ12によって取得された水面の画像をディジタルデータ化する。これによって得られた画像を、水面監視画像という。なお、水面監視画像は、水面の輝度分布データを含んでいる。水面の輝度分布データは、水面監視画像に含まれる各画素の輝度で構成されている。
【0028】
落下音センサ13の出力は、増幅器13Aに入力される。増幅器13Aは、落下音センサ13が出力する電気信号を増幅する。増幅器13Aの出力は、バンドパスフィルタ(BPF)13Fに入力される。BPF13Fは、増幅器13Aの出力のうち、冷却水5にスラグが落下することによって発生する落下音の帯域の成分を含む所定の監視帯域の信号を通過させて出力する。BPF13Fの出力は、A/D変換器13Cに入力される。A/D変換器13Cは、BPF13Fが出力するアナログ信号をディジタル化する。A/D変換器13Cは、落下音センサ13が取得する音のうち、スラグが冷却水5に落下することによって発生する音の帯域を含む所定の監視帯域の成分のディジタルデータを出力することになる。このディジタルデータを、以下、水中音監視データという。
【0029】
スラグ溜め7の周囲には、スラグ溜め7の冷却水5中に存在する固化したスラグ(固化スラグ)8Rを観測する水中スラグ観測手段14が設けられる。水中スラグ観測手段14は、落下音センサ13の下方に配置される。本実施形態において、水中スラグ観測手段14は、検出波を発信する複数(本実施形態では4個)の送波センサ14Tと、送波センサ14Tが発信した検出波を受信する、複数(本実施形態では4個)の受波センサ14Rとで構成される。水中スラグ観測手段14は、送波センサ14Tから発信した検出波の減衰度合いを受波センサ14Rで検出することにより、スラグ溜め7内の固化スラグ8Rを観測する。固化スラグ8Rの存在により、検出波が減衰することを利用して、送波センサ14Tから発信された検出波が大きく減衰している受波センサ14Rが存在する場合、この受波センサ14Rと、検出波を発信した送波センサ14Tとの間に固化スラグ8Rが存在すると判定できる。
【0030】
送波センサ14Tには、増幅器14TAが接続され、増幅器14TAにはD/A変換器14TCが接続され、D/A変換器14TCは処理装置20に接続される。スラグ溜め7内の固化スラグ8Rを観測する場合、処理装置20は、検出波の発信命令を発信する。この命令により、所定の周波数(例えば、120kHzの超音波)の検出波を発生させる信号(検出波発生信号)が生成される。検出波発生信号は、D/A変換器14TCでアナログデータに変換され、増幅器14TAで増幅されて、送波センサ14Tへ入力される。この入力により、送波センサ14Tは、検出波発生信号に対応する周波数の検出波を発信する。
【0031】
送波センサ14Tが発信した検出波を受信した受波センサ14Rは、検出波受信信号を出力する。この出力は、増幅器14RAに入力される。増幅器14RAは、受波センサ14Rが出力する電気信号を増幅する。増幅器14RAの出力は、バンドパスフィルタ(BPF)14RFに入力される。BPF14RFは、増幅器14RAの出力のうち、不要な周波数帯域を除去して出力する。BPF14RFの出力は、A/D変換器14RCに入力される。A/D変換器14RCは、BPF14RFが出力するアナログ信号をディジタル化して、処理装置20へ入力する。このディジタルデータを、以下、固化スラグ監視データという。
【0032】
画像処理ボード11B、専用IFボード10B、画像処理ボード12B、及びA/D変換器13Cは、処理装置20に接続される。処理装置20は、少なくともスラグホール輝度分布データ、水面輝度分布データ、及び水中音監視データからスラグの排出状態を監視し、診断する。このとき、処理装置20は、必要に応じて温度データも用いる。処理装置20は、監視、診断の結果、必要があると判断したときには、スラグ溶融バーナ点火指令を出力してスラグホール3の周囲に設けられるスラグ溶融バーナ6(制御対象機器CAに相当する)を点火して作動させ、また、ディスプレイ21やスピーカ22を用いて、各種の警報出力を出力する。
【0033】
図2は、スラグホールカメラ及び水面カメラによって得られた画像の一例を示す模式図である。図3は、スラグホールカメラ及び水面カメラによって得られた画像において着目する領域と評価パラメータとの対応を示す説明図である。図2には、スラグホールカメラ11によって取得されたスラグホール監視画像9Hと、水面カメラ12によって取得された水面監視画像9Wとが示されている。
【0034】
スラグホール監視画像9Hには、スラグホール3とその周辺とが含まれており、水面監視画像9Wには、水面5Hが含まれている。スラグホール監視画像9H及び水面監視画像9Wには、スラグの流動状況を監視するにあたって、着目する領域ROI(1)〜ROI(5)が設定される(ROI:Region Of Interest)。また、スラグの流動状況を監視する場合、スラグホール3から流下するスラグの筋(スラグ筋)8A、8Bを検出し、これに着目する。スラグ筋8A、8Bを検出する場合、処理装置20は、スラグホール監視画像9H及び水面監視画像9Wの所定位置に配置したスラグ筋検出位置SLにおいて、それぞれの画像における輝度に基づきスラグ筋8A、8Bの有無や位置を検出する。
【0035】
ROI(1)には、スラグが流れ出るスラグホール3と、流れ出たスラグ筋8A、8Bとが写される。したがって、ROI(1)には、スラグホール3と、スラグホール3の直下のスラグ流との状態とが現れる。ROI(2)は、スラグホール3に概ね重なる矩形状領域である。ROI(2)には、スラグホール3の状態が写される。したがって、ROI(2)には、スラグホール3の状態が現れる。なお、スラグホール監視画像9Hを生成するスラグホールカメラ11は、スラグホール3を斜めから撮像するので、スラグホール3は、スラグホール監視画像9Hにおいては楕円形に写される。
【0036】
ROI(3)は、矩形状領域であって、水面5Hにスラグが落下する領域である。ROI(3)には、2本のスラグ筋8A、8Bが写される。したがって、ROI(3)には、水面5Hに落下するスラグ流の状態が現れる。なお、スラグ筋の本数は、スラグホール3の縁に形成される、上述した流出案内溝の本数による。本実施形態では、2本の流出案内溝を備えるので、異常がない場合、2本のスラグ筋8A、8Bがスラグホール3から流下する。
【0037】
ROI(4)は、矩形状の領域であって、スラグホール3から流下するスラグ筋8A、8Bのうち、一方のスラグ筋8Aが水面5Hに落下する領域である。したがって、ROI(4)には、水面5Hに落下する一方のスラグ流の状態が現れる。また、ROI(5)は、矩形状の領域であって、スラグホール3から流下するスラグ筋8A、8Bのうち、もう一方のスラグ筋8Bが水面5Hに落下する領域である。したがって、ROI(5)には、水面5Hに落下するもう一方のスラグ流の状態が現れる。
【0038】
スラグホール3側の画像、すなわち、スラグホール監視画像9Hでは、ROI(1)、ROI(2)及びスラグ筋検出位置SLにおいて、それぞれの評価パラメータを用いてスラグの流動状況が監視される。ROI(1)において、スラグの流動状況を監視する際に用いられる評価パラメータは、高輝度面積及び低輝度面積である。ROI(1)の高輝度面積とは、スラグ監視画像に規定されたROI(1)において、所定値よりも輝度が高い領域の面積である。また、ROI(1)の低輝度面積とは、スラグ監視画像に規定されたROI(1)において、所定値よりも輝度が低い領域の面積である。
【0039】
ROI(2)において、スラグの流動状況を監視する際に用いられる評価パラメータは、開口部高輝度面積である。ROI(2)の開口部高輝度面積とは、スラグホール監視画像9Hに規定された、スラグホール3の開口部を示すROI(2)において、所定値よりも輝度が高い領域の面積である。スラグ筋検出位置SLにおいて、スラグの流動状況を監視する際に用いられる評価パラメータは、スラグホール3から流下するスラグ筋の本数である。
【0040】
水面5H側の画像、すなわち、水面監視画像9Wでは、ROI(3)、ROI(4)、ROI(5)及びスラグ筋検出位置SLにおいて、それぞれの評価パラメータを用いてスラグの流動状況が監視される。ROI(3)において、スラグの流動状況を監視する際に用いられる評価パラメータは、輝度変動率及び低輝度面積である。ROI(3)の輝度変動率とは、水面監視画像に規定されたROI(3)において、処理周期毎の輝度の変動量である。また、ROI(3)の低輝度面積とは、水面監視画像に規定されたROI(3)において、所定値よりも輝度が低い領域の面積である。
【0041】
ROI(4)及びROI(5)において、スラグの流動状況を監視する際に用いられる評価パラメータは、高輝度面積である。ROI(4)、ROI(5)の高輝度面積とは、水面監視画像9Wに規定された、スラグ筋8A、8Bが水面5Hへ落下する領域を示すROI(4)、ROI(5)において、所定値よりも輝度が高い領域の面積である。スラグ筋検出位置SLにおいて、スラグの流動状況を監視する際に用いられる評価パラメータは、スラグホール3から流下するスラグ筋の本数である。
【0042】
図4は、本実施形態において落下音を判定する方法の説明図である。本実施形態において、処理装置20は、落下音センサ13により検出される落下音から、スラグホール3からスラグが連続して落下しているか、断続的に落下しているか、あるいは落下していないかを判定する。本実施形態では、落下音センサ13により検出される落下音の周波数fがバンドA又はバンドBに入っている場合に、前記落下音の音圧に基づいて、スラグの落下状況が判定される。ここで、バンドAの周波数帯域はf1以上f2以下であり、バンドBの周波数帯域は、f3以上f4以下である(f1<f2<f3<f4)。
【0043】
処理装置20は、落下音センサ13により取得された落下音の周波数fを取得し、この周波数fがバンドA又はバンドBに入っており、かつ前記落下音の音圧が第1閾値h1よりも小さい場合には、スラグは未落下であると判定する。また、処理装置20は、落下音の周波数fがバンドA又はバンドBに入っており、かつ前記落下音の音圧が第1閾値h1以上で第2閾値h2よりも小さい場合には、スラグは連続落下であると判定する。また、処理装置20は、落下音の周波数fがバンドA又はバンドBに入っており、かつ前記落下音の音圧が第2閾値h2よりも大きい場合には、スラグは断続落下であると判定する。ここで、本実施形態において、第1閾値h1及び第2閾値h2は、周波数の増加とともに大きくなる。
【0044】
図5は、本実施形態において、スラグの流動状況を監視する際の評価ロジックの一例を示す図である。本実施形態において、次の(1)〜(4)のANDがN回繰り返された場合、処理装置20は、スラグ流動が安定していると判定する(J1)。
(1)スラグホールカメラ11が正常であること。
(2)水面カメラ12が正常であること。
(3)落下音センサ13が正常であること。
(4)条件(a)、(b)、(c)のうち、少なくとも一つが成立すること。
【0045】
ここで、条件(a)は、スラグホール3側においてスラグ筋が1よりも多く、かつROI(1)の高輝度面積が設定値よりも大きいことであり、条件(b)は、落下音が連続又は断続であることであり、条件(c)は、水面5H側においてスラグ筋が1よりも多いこと、あるいはROI(3)の輝度変動量が設定値よりも大きいことのうち少なくとも一方が成立することである。
【0046】
また、上述した(1)〜(3)と、次の(5)とのANDがN回繰り返される場合、処理装置20は、スラグ流動が不安定になる傾向があると判定して、スラグ流動の注意を促す(J2)。
(5)上述した条件(a)、(b)、(c)が一つも成立しないこと。
【0047】
スラグホールカメラ11、水面カメラ12、落下音センサ13のうち少なくとも一つが故障した場合、処理装置20は、正常に動作しているものから得られる情報に基づき、スラグの流動状況の監視を継続する。例えば、処理装置20は、落下音センサ13が故障した場合、落下音センサ13から得られるスラグの落下状態の情報、及び落下音センサが正常か否かの情報は用いないで、スラグホールカメラ11及び水面カメラ12から得られる情報のみを用いてスラグの流動状況を監視する。
【0048】
この場合、図5に示す評価ロジックから、落下音センサ13から得られる情報を除いて再構築された評価ロジックを用いてスラグの流動状況が監視される。同様に、水面カメラ12が故障した場合には、図5に示す評価ロジックから、水面カメラ12から得られる情報を除いて再構築された評価ロジックを用いてスラグの流動状況が監視される。また、水面カメラ12及び落下音センサ13の両方が故障した場合、図5に示す評価ロジックから、落下音センサ13から得られる情報及び水面カメラ12から得られる情報を除いて再構築された評価ロジックを用いてスラグの流動状況が監視される。
【0049】
このように、本実施形態では、スラグホールカメラ11、水面カメラ12、落下音センサ13のうち少なくとも一つが故障した場合、正常に動作しているものから得られる情報に基づき、スラグの流動状況の監視を継続する。これにより、監視の精度は多少低下するものの、石炭ガス化炉1の運転を停止しなくてもよい。なお、スラグホールカメラ11、水面カメラ12、落下音センサ13のうち少なくとも一つが故障した場合、正常に動作しているものから得られる情報に基づき、スラグの流動状況の監視を継続することは、以下の例においても同様である。
【0050】
[固化付着箇所判定]
図6、図7は、スラグが固化して付着し堆積した箇所を判定するための評価ロジックを示す図である。本実施形態において、処理装置20は、スラグホールカメラ11により観測されたスラグホール3の開口面積と、水面カメラ12により観測されたスラグの落下筋及びスラグの落下位置とに基づいて、スラグが固化して付着し堆積した箇所(固化付着箇所)を判定する。より具体的には、次の条件(6)、(7)がすべて成立すること、及び条件(8)〜(10)のいずれか一つが成立することの両方がN回続いた場合(図6参照)、処理装置20は、スラグホール3にスラグは堆積していないが、スラグホール3の周辺にスラグが固化付着して堆積し、スラグ溶融バーナ6を作動させても堆積したスラグを取り除くことができないと判定する。この場合、処理装置20は、スラグ溶融バーナ6の点火指令を発信しない(J31)。
【0051】
また、条件(6)、(7)がすべて成立すること、及び条件(8)〜(10)がすべて成立しないことの両方がN回続いた場合(図6参照)、処理装置20は、スラグホール3にスラグが堆積していると判定し、スラグ溶融バーナ6の点火指令を発信する(J32)。
【0052】
(6)ROI(2)の開口部高輝度部面積が、設定値(1)よりも小さいこと。
(7)スラグホールカメラ11が正常であること。
(8)水面カメラ12が正常で、かつROI(4)の高輝度面積率が設定値よりも大きいこと。
(9)水面カメラ12が正常で、かつROI(5)の高輝度面積率が設定値よりも大きいこと。
(10)水面カメラ12が正常で、かつ水面カメラ12によって得られる、水面5Hへ落下するスラグ筋が所定の本数(本実施形態では2本)であること。
【0053】
ここで、条件(10)における所定の本数は、スラグホール3の縁に形成される流出案内溝の本数に依存する(以下同様)。監視窓とスラグホール3との中間部にスラグがある場合において、スラグホールの二つの流出案内溝からスラグが流下しているときには、水面への着水点は略定位置(ROI(4)、ROI(5)内)であるが、スラグホール3にスラグが堆積すると、スラグの流下位置が変化し、流出案内溝に関係なく流下するため、確率的に水面への落下位置は定位置(ROI(4)、ROI(5)内)とはならない。このため、上述したように、スラグホール3にスラグが堆積したことと、スラグホール3にスラグは堆積していないが、スラグホール3の周辺にスラグが固化付着して堆積していることとを判定できる。
【0054】
また、図7に示すように、さらに、落下音センサ13から得られる情報を追加して、スラグの固化付着箇所を判定してもよい。より具体的には、条件(6)、(7)がすべて成立すること、及び条件(8)〜(11)のいずれか一つが成立することの両方がN回続いた場合(図7参照)、処理装置20は、スラグホール3にスラグは堆積していないが、スラグホール3の周辺にスラグが固化付着して堆積し、スラグ溶融バーナ6を作動させても堆積したスラグを取り除くことができないと判定する。この場合、処理装置20は、スラグ溶融バーナ6の点火指令を発信しない(J31)。また、条件(6)、(7)がすべて成立すること、及び条件(8)〜(11)がすべて成立しないことの両方がN回続いた場合(図7参照)、処理装置20は、スラグホール3にスラグが堆積していると判定し、スラグ溶融バーナ6の点火指令を発信する(J32)。
(11)落下音センサ13が正常で、かつ落下音センサ13によって検出された落下音が連続又は断続であること。
【0055】
図7に示す判定ロジックは、図6に示す判定ロジックに落下音センサによる判定を追加したものである。これは、スラグの流下を判定する際の信頼性向上を考慮したものである。水面へのスラグの流下が定位置であれば、落下音は応答する。このとき、落下音センサが異常の場合には、自動的に図6に示す判定ロジックを用いて、スラグが固化して付着し堆積した箇所を判定する。
【0056】
処理装置20が、スラグホール3にスラグは堆積していないが、スラグホール3の周辺にスラグが固化付着して堆積した場合、処理装置20は、例えば、ディスプレイ21にその旨を表示させる。この場合、スラグ溶融バーナ6を作動させても堆積したスラグを取り除くことができない。このため、例えば、スラグホール3の周辺にスラグが堆積しやすい場所を予め調査しておき、その部分にスラグを溶融させる加熱手段を配置して、これを作動させることにより、スラグホール3の周辺に堆積したスラグを取り除く。
【0057】
このように、本実施形態では、スラグの固化付着箇所が判定できるので、スラグホール3にスラグが堆積した場合にはスラグ溶融バーナ6を作動させ、スラグホール3から離れた箇所にスラグが堆積している場合にはスラグ溶融バーナ6を作動させないように制御できる。これによって、スラグ溶融バーナ6では堆積しているスラグを溶融できない場合、スラグ溶融バーナ6を作動させないので、スラグ溶融バーナ6の無駄な使用を回避して、スラグ溶融バーナ6の耐久性低下及び燃料消費の増加を抑制できる。
【0058】
なお、スラグの固化付着箇所を判定する場合、処理装置20は、通常はスラグホールカメラ11、水面カメラ12及び落下音センサ13を用いて(図7の評価ロジック)、スラグの固化付着箇所を判定し、落下音センサ13が故障等した場合には、スラグホールカメラ11及び水面カメラ12のみを用いて(図6の評価ロジック)、スラグの固化付着箇所を判定してもよい。このようにすれば、落下音センサ13が正常である場合には、より精度の高い判定が可能になるとともに、落下音センサ13に異常が発生した場合であってもスラグの固化付着箇所を判定できるので、石炭ガス化炉1を停止しなくてもよい。
【0059】
図8は、スラグ溶融バーナを作動させるか否かを判定するための評価ロジックを示す図である。図8に示すように、次の(12)、(13)の条件がすべて満たされる場合が連続してN回発生した場合、処理装置20は、スラグの固化付着箇所はスラグホール3であると判定し、スラグ溶融バーナ6の点火を促す(図8のJ4)。
(12)スラグホールカメラ11によって取得されるROI(2)の開口部高輝度面積が第1の設定値よりも小さいこと。
(13)スラグホールカメラ11が正常であること。
スラグホール3の開口部高輝度面積が小さくなっているのは、スラグホール3がスラグの堆積により閉塞していることが原因であると考えられ、前記開口部高輝度面積が第1の設定値よりも小さい場合、処理装置20は、スラグホール3へのスラグの堆積が許容できないと判定する。この場合、処理装置20は、ディスプレイ21やスピーカ22により、スラグ溶融バーナ6の点火を促す旨を報知する。作業者は、この報知を受けて、スラグ溶融バーナ6を点火して作動させ、スラグホール3に堆積したスラグを取り除く。このように、スラグホール3にスラグが堆積したことを予め報知するので、石炭ガス化炉1を安定して運転できる。なお、上記条件(12)、(13)が連続してN回満たされた場合、処理装置20は、自動的にスラグ溶融バーナ6を点火し、作動させてもよい。
【0060】
図9は、スラグホールが閉塞するおそれのあることを判定するための評価ロジックを示す図である。図9に示すように、次の(14)、(15)の条件がすべて満たされる場合が連続してN回発生した場合、処理装置20は、スラグホール3が閉塞するおそれがあると判定し(図9のJ5)、その旨を報知する。
(14)スラグホールカメラ11によって取得されるROI(2)の開口部高輝度面積が第2の設定値よりも小さいこと。
(15)スラグホールカメラ11が正常であること。
スラグホール3の開口部高輝度面積が第2の設定値よりも小さい場合、処理装置20は、スラグホール3が閉塞するおそれがあると判定する。この場合、処理装置20は、ディスプレイ21やスピーカ22により、スラグホール3が閉塞するおそれがあることを報知する。これによって、作業者は、例えば、石炭ガス化炉1の運転条件を変更し、かつスラグ溶融バーナ6を点火してスラグを溶融させることによって、スラグホール3に堆積したスラグを取り除く。このように、スラグホール3が閉塞するおそれがあることを予め報知するので、石炭ガス化炉1を安定して運転できる。
【0061】
[冷却水中に存在する固化スラグの監視]
図10、図11は、スラグ溜め内の固化スラグを監視する方法の説明図である。上述したように、スラグ溜め7の冷却水5中に存在する固化スラグ8Rは、水中スラグ観測手段14により観測される。図10に示すように、水中スラグ観測手段14は、複数の送波センサ14T1、14T2、14T3、14T4と、複数の受波センサ14R1、14R2、14R3、14R4とで構成される。処理装置20は、複数の受波センサ14R1、14R2、14R3、14R4によって検出される前記検出波の経路の数で、固化スラグ8Rの堆積を評価する。ここで、本実施形態において、受波センサ及び送波センサが配列される方向は水平方向であるが、これに限定されず、受波センサ及び送波センサを垂直方向に配列してもよいし、受波センサと送波センサとを互い違いに配列してもよい。
【0062】
本実施形態では、それぞれの送波センサ14T1、14T2、14T3、14T4がスラグ溜め7内の冷却水5に向かって発信した検出波を、それぞれの受波センサ14R1、14R2、14R3、14R4が受信する。検出波を発信した送波センサと、発信された検出波を受信した受波センサとを結ぶ直線が、検出波が通過した経路となる。スラグ溜め7内に固化スラグ8Rが存在する場合、固化スラグ8Rを通過する検出波は、固化スラグ8Rが存在しない場所を通過する検出波よりも減衰の程度が大きくなる。すなわち、検出波の経路が固化スラグ8Rによって遮断されることになる。
【0063】
したがって、固化スラグ8Rを通過した検出波を受信した送波センサは、固化スラグ8Rを通過しない検出波を受信した送波センサよりも、低い音圧の検出波を検出することになる。これは、検出された、あるいは遮断された検出波の経路の数によって、固化スラグ8Rの存在を検出できることを意味する。処理装置20は、受波センサが検出した検出波の音圧に基づき、検出波を発信した送波センサ(検出波の経路が検出される)と、他よりも低い音圧の検出波を検出した受波センサ(検出波の経路が検出されない)との間に、固化スラグ8Rが存在すると判定できる。また、遮断された検出波の経路により、固化スラグ8Rの大きさも推定できる。
【0064】
図10に示す例では、送波センサ14T1が発信した検出波は、すべての受波センサ14R1、14R2、14R3、14R4で検出される。したがって、送波センサ14T1と、それぞれの受波センサ14R1、14R2、14R3、14R4との間に検出波の経路が形成される。一方、送波センサ14T4が発信した検出波は、受波センサ14R1、14R2では検出されるが、受波センサ14R3、14R4では検出されない(あるいは音圧レベルが受波センサ14R1、14R2よりも低い)。
【0065】
この場合、送波センサ14T4と、それぞれの受波センサ14R1、14R2との間には検出波の経路が形成されるが、送波センサ14T4と、それぞれの受波センサ14R3、14R4との間には検出波の経路が形成されない。したがって、処理装置20は、この結果から、送波センサ14T4と、それぞれの受波センサ14R3、14R4との間に固化スラグ8Rが存在すると判定し、固化スラグ8Rの高さ(鉛直方向における寸法)は、送波センサ14T4と受波センサ14R3との間に形成される検出波の経路よりも小さいと推定する。
【0066】
通常、送波センサは、検出波を発信できるとともに、検出波を受信できる機能を有する。同様に、受波センサは、検出波を受信できるとともに、検出波を発信できる機能を有する。したがって、図10に示す例においては、検出波を送受信できる第1の送受波センサとして送波センサ14T1、14T2、14T3、14T4を用い、検出波を送受信できる第2の送受波センサとして受波センサ14R1、14R2、14R3、14R4を用いて水中スラグ観測手段14を構成してもよい。この場合、処理装置20は、第1の送受波センサと第2の送受波センサとの間で送信と受信との関係を切り替え、それぞれの関係において検出された検出波の経路の数に基づいて、冷却水5の中に存在する固化スラグ8Rの堆積を評価する。
【0067】
送波センサと受波センサとの間における送信と受信との関係は固定されるので、固化スラグ8Rが、送波センサ側、あるいは受波センサ側に偏在している場合、固化スラグ8Rの大きさや場所の検出精度が低下する場合がある。この場合、上述したように第1の送受波センサと第2の送受波センサとの間で送信と受信との関係を切り替えることによって検出された検出波の経路を用いることにより、固化スラグ8Rの大きさや場所の検出精度の低下を抑制できる。
【0068】
図11に示す水中スラグ観測手段14aは、一つの送波センサ14T1と、複数の受波センサ14R1、14R2、14R3、14R4とを用い、送波センサ14T1の位置を鉛直方向と平行な方向(図11の矢印M方向)へ移動させ、所定の場所で送波センサ14Tに検出波を発信させることにより、冷却水5の中に存在する固化スラグ8Rの堆積を評価する。例えば、図10に示す送波センサ14T1、14T2、14T3、14T4のそれぞれの位置に送波センサ14T1を移動させ、それぞれの位置で検出波を発信させれば、図10に示す水中スラグ観測手段14aと同様の効果が得られる。図11に示す水中スラグ観測手段14aは、送波センサが1個で済むので、水中スラグ観測手段14aの製造コストを低減できる。
【0069】
図12は、スラグ溜め内の固化スラグを監視するための評価ロジックを示す図である。図12に示すように、次の(16)、(17)の条件がすべて満たされる場合、処理装置20は、スラグ溜め7内の固化スラグ8Rを破砕する時期であると判定し、スラグクラッシャを作動させる旨、報知する(図12のJ6)。作業者は、この報知を受けて、スラグクラッシャを作動させ、スラグ溜め7内の固化スラグ8Rを破砕させて、スラグ溜め7から排出させる。
(16)水中スラグ観測手段14等により検出された検知経路率(所定強度の検出波を検出した受波センサ14Rの数/全受波センサ14Rの数)が設定値よりも大きく、所定の大きさを超える固化スラグ8Rがスラグ溜め7に存在すると判定できること。
(17)水中スラグ観測手段14等が正常であること。
【0070】
また、図12に示すように、次の(18)、(19)の条件がすべて満たされる場合がN回連続で発生すると、処理装置20は、スラグ溜め7内にスラグブリッジが存在すると判定し、その旨、報知する(図12のJ7)。
(18)水面カメラ12が正常であること。
(19)水面カメラ12によって取得されたROI(4)の高輝度面積が設定値よりも大きいか、水面カメラ12によって取得されたROI(5)の高輝度面積が設定値よりも大きいかのうち、少なくとも一方が成立すること。
【0071】
また、図12に示すように、次の(20)、(21)の条件がすべて満たされる場合、処理装置20は、スラグ溜め7内の固化スラグ8Rを検出する機器が故障したと判定する(図12のJ8)。この場合、作業者は、故障した機器を修理あるいは交換する。
(20)水中スラグ観測手段14等が正常でない、すなわち異常であること。
(21)水面カメラ12が正常でない、すなわち異常であること。
【0072】
なお、処理装置20は、落下音センサ13に異常が発生した場合、水中スラグ観測手段14又は14aで、スラグが水面5Hに落下した音を観測してもよい。例えば、水中スラグ観測手段14は、複数の送波センサと受波センサとを備えているので、例えば、これらの送波、受波センサの一つをスラグ落下音検出手段に利用して、スラグが水面5Hに落下する音を検出する。また、水中スラグ観測手段14aは、送波センサが1個であるが、1個の送波センサを、時分割によりスラグ落下音検出手段及び水中スラグ観測手段14aとして共用してもよい。これによって、落下音センサ13に異常が発生した場合であっても、スラグの流動状況の監視を継続できるので、石炭ガス化炉1の運転を停止するおそれが低減できる。
【0073】
[カメラのゲイン及びシャッター速度の切り替え]
図13は、スラグホールカメラのゲイン及びシャッター速度を切り替える時期を説明するための図である。本実施形態においては、スラグホール観測手段であるスラグホールカメラ11のゲイン及びシャッター速度が、条件に応じて次のように切り替えられる。処理装置20は、石炭ガス化炉1の起動バーナが点火している最中(図13のt1〜t3の間)には、スラグホールカメラ11のゲインを自動調整モードとし、かつスラグホールカメラ11シャッター速度を最大又は任意とする。
【0074】
そして、石炭ガス化炉1に石炭が投入されている最中(図13のt2以降)には、スラグホールカメラ11のゲインとシャッター速度とを一定の値とする。より具体的には、起動バーナが消火して(t=t3)から所定の時間が経過した時点(t=t4)で、スラグホールカメラ11のゲインとシャッター速度とが一定の値へ切り替えられる。このように、所定の時間を設けるのは、コンバスタ1C内における石炭の燃焼が安定するのを待つためである。
【0075】
図13に示す例では、石炭の投入が開始され、かつ起動バーナが消火した場合に、スラグホールカメラ11のゲインとシャッター速度とが一定の値へ切り替えられる。起動バーナが消火してから石炭が投入される場合には、石炭の投入が開始されてからスラグホールカメラ11のゲインとシャッター速度とが一定の値へ切り替えられるようにしてもよい。
【0076】
石炭の投入が開始されると、石炭ガス化炉1が石炭ガスを生成し始めるので、スラグが生成される。したがって、スラグの流動状況を監視する必要がある。この場合、スラグホール3を観測するスラグホールカメラのゲインやシャッター速度が自動に変更されると、輝度の変化を評価できなくなるので、スラグの流動状況を監視する場合には、スラグホールカメラ11のゲイン及びシャッター速度を一定の値に切り替える。これによって、スラグの流動状況を確実に、かつ精度よく監視できる。なお、水面カメラ12についても、スラグホールカメラ11と同様にゲイン及びシャッター速度を変更してもよい。
【0077】
[洗浄]
図14は、スラグホールカメラや水面カメラがスラグ排出筒内を監視する際の構造を示す概略図である。図14に示すように、スラグ排出筒4の壁面4Wから、スラグホール3や水面5Hを監視するための保護筒30が突出している。保護筒30のスラグ排出筒4の内部側には、スラグホールカメラ11や水面カメラ12、あるいは分光計10の入光部である監視窓31が取り付けられており、その内側(保護筒30側)には、光ファイバ33が配置される。光ファイバ33は、スラグホールカメラ11や水面カメラ12、あるいは分光計10の受光部まで引き回されている。このように、スラグホールカメラ11や水面カメラ12、あるいは分光計10は、監視窓31及び光ファイバ33を介して、スラグ排出筒4の内部を監視する。
【0078】
スラグ排出筒4の内部に配置される監視窓31の表面32は、スラグや塵等で汚れやすい。このため、定期的に洗浄ノズル34から洗浄液(例えば水)を監視窓31へ吹き付けて、監視窓31の表面32を洗浄する。これによって、スラグホールカメラ11や水面カメラ12、あるいは分光計10により、スラグ排出筒4の内部におけるスラグの流動状況を確実にかつ安定して監視できる。本実施形態において、後述するように、処理装置20は、スラグホールカメラ11あるいは水面カメラから得られる画像の輝度に基づいて、コンバスタ1C内におけるスラグホールカメラ11や水面カメラ12、あるいは分光計10の入光部の汚れを判定する。ここで、洗浄ノズル34は、監視窓31を取り付けた保護筒30に一体化した構造でもよい。好ましくは、監視窓31の表面32に常温シール用ガスを投入し、表面32の汚れを検出した場合、洗浄ノズル34から洗浄液を吹き出して洗浄する。さらに、洗浄後、洗浄ノズル34の内部や監視窓31の表面32の残留液を除去するためのパージガスを噴出させることが効果的である。なお、パージガスは、シール用ガスノズルと共用してもよい。
【0079】
図15、図16は、監視窓を洗浄することを判定するための評価ロジックを示す図である。図15に示すように、次の(22)〜(26)の条件がすべて満たされる状態がN回連続して発生すると、処理装置20は、スラグホールカメラ11の監視窓を洗浄する時期であると判定し、ディスプレイ21やスピーカ22でその旨を報知する(図15のJ9)。この場合、作業者は、スラグホールカメラ11の監視窓を洗浄する洗浄ノズルを作動させて、前記監視窓を洗浄する。なお、処理装置20が、スラグホールカメラ11の監視窓を洗浄する時期であると判定したら、処理装置20がスラグホールカメラ11の監視窓を洗浄する洗浄ノズルを作動させて、前記監視窓を洗浄させるようにしてもよい。
【0080】
(22)スラグホールカメラ11により取得されるROI(2)において、輝度が所定の値以下である領域の面積が、設定値よりも大きいこと。
(23)スラグホールカメラ11が正常であること。
(24)次の条件(d)と(e)との少なくとも一方が成立すること。ここで条件(d)は、スラグホールカメラ11によって検出されるスラグ筋の数が1よりも大きいことと、水面カメラにより取得されるROI(3)の輝度変動量が設定値よりも大きいこととのうち、少なくとも一方が成立することであり、条件(e)は、落下音センサ13により検出されるスラグの落下音が連続又は断続であることである。
(25)水面カメラ12が正常であること。
(26)落下音センサ13が正常であること。
【0081】
また、図16に示すように、次の(27)〜(31)の条件がすべて満たされる状態がN回連続して発生すると、処理装置20は、水面カメラ12の監視窓を洗浄する時期であると判定し、ディスプレイ21やスピーカ22でその旨を報知する(図16のJ10)。この場合、作業者は、水面カメラ12の監視窓を洗浄する洗浄ノズルを作動させて、前記監視窓を洗浄する。なお、処理装置20が、水面カメラ12の監視窓を洗浄する時期であると判定したら、処理装置20が水面カメラ12の監視窓を洗浄する洗浄ノズルを作動させて、前記監視窓を洗浄させるようにしてもよい。
【0082】
(27)水面カメラ12により取得されるROI(3)において、輝度が所定の値以下である領域の面積が、設定値よりも大きいこと。
(28)水面カメラ12が正常であること。
(29)スラグホールカメラ11によって検出されるスラグ筋の数が1よりも大きいこと、落下音センサ13により検出されるスラグの落下音が連続又は断続であることのうち、少なくとも一つが成立すること。
(30)スラグホールカメラ11が正常であること。
(31)落下音センサ13が正常であること。
【0083】
以上、本実施形態では、スラグホール観測手段により観測されたスラグホールの開口面積と、水面観測手段により観測されたスラグの落下筋及びスラグの落下位置とに基づいて、スラグの固化付着箇所を判定する。これによって、スラグ溶融バーナを用いてもスラグを取り除けない箇所にスラグが固化付着している場合には、スラグ溶融バーナの無用な使用を回避できる。その結果、石炭ガス化炉において、スラグ溶融バーナの耐久性低下及び燃料消費の増加を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明に係る石炭ガス化炉のスラグ監視装置及び石炭ガス化炉は、石炭ガス化炉のコンバスタから排出されるスラグの排出状況を監視することに有用である。
【符号の説明】
【0085】
1 石炭ガス化炉
1C コンバスタ
1R リダクタ
2 スラグタップ
3 スラグホール
4 スラグ排出筒
4W 壁面
5 冷却水
5H 水面
6 スラグ溶融バーナ
8A、8B スラグ筋
8R 固化スラグ
10 分光計
10B 専用I/Fボード
11 スラグホールカメラ(第1カメラ)
11B、12B 画像処理ボード
12 水面カメラ(第2カメラ)
13 落下音センサ
13A 増幅器
13C、14RC A/D変換器
14、14a 水中スラグ観測手段
14R、14R1、14R2、14R3、14R4 受波センサ
14T、14T1、14T2、14T3、14T4 送波センサ
14RA、14TA 増幅器
14TC D/A変換器
20 処理装置
21 ディスプレイ
22 スピーカ
30 保護筒
31 監視窓
32 表面
33 光ファイバ
34 洗浄ノズル
100 スラグ監視装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融したスラグが流出するスラグホールを観測するスラグホール観測手段と、
前記スラグホールから流出した前記スラグが冷却水の水面へ落下する様子を観測する水面観測手段と、
前記スラグホール観測手段により観測された前記スラグホールの開口面積と、前記水面観測手段により観測された前記スラグの落下筋及び前記スラグの落下位置とに基づいて、前記スラグの固化付着箇所を判定する処理装置と、
を備えること特徴とする石炭ガス化炉のスラグ監視装置。
【請求項2】
前記処理装置は、
前記スラグの落下筋が所定の本数、かつそれぞれの落下筋が、それぞれ予め規定した所定のスラグ落下位置である場合、前記スラグホールが前記固化付着箇所であると判定し、前記スラグホールに固化付着したスラグを溶融するためのスラグ溶融バーナを点火すること
を特徴とする請求項1に記載の石炭ガス化炉のスラグ監視装置。
【請求項3】
前記石炭ガス化炉のスラグ監視装置は、前記スラグが前記水面に落下した音を観測するスラグ落下音観測手段を備え、
前記スラグホール観測手段と、前記水面観測手段と、前記スラグ落下音観測手段とのうち少なくとも一つが故障した場合、
前記処理装置は、正常に動作しているものから得られる情報に基づき、前記スラグの監視を継続すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の石炭ガス化炉のスラグ監視装置。
【請求項4】
前記スラグが落下する水に向かって検出波を発信する少なくとも一つの送波センサと、当該送波センサが発信した前記検出波を受信する複数の受波センサとで構成される水中スラグ観測手段を前記スラグ落下音観測手段の下方に設け、
前記処理装置は、複数の前記受波センサによって検出される前記検出波に基づいて、前記冷却水の中に存在する固化スラグの堆積を評価すること
を特徴とする請求項3に記載の石炭ガス化炉のスラグ監視装置。
【請求項5】
前記送波センサは1個であり、前記冷却水の水面から下方に向かって移動して、所定の場所で検出波を発信すること
を特徴とする請求項4に記載の石炭ガス化炉のスラグ監視装置。
【請求項6】
検出波を送受信できる第1の送受波センサ及び第2の送受波センサで構成される水中スラグ観測手段を前記スラグ落下音観測手段の下方に設け、
前記処理装置は、前記第1の送受波センサと前記第2の送受波センサとの間で送信と受信との関係を切り替え、検出された前記検出波の経路に基づいて前記冷却水の中に存在する固化スラグの堆積を評価すること
を特徴とする請求項3に記載の石炭ガス化炉のスラグ監視装置。
【請求項7】
前記スラグ落下音観測手段に異常が発生した場合、前記水中スラグ観測手段で前記スラグが前記水面に落下した音を観測すること
を特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の石炭ガス化炉のスラグ監視装置。
【請求項8】
前記スラグホール観測手段はカメラであり、
前記処理装置は、前記石炭ガス化炉の起動バーナ点火中には前記カメラのゲインを自動調整モードかつ前記カメラのシャッター速度を最大又は任意とし、石炭投入中には前記カメラのゲインとシャッター速度とを一定の値とすること
を特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の石炭ガス化炉のスラグ監視装置。
【請求項9】
前記処理装置は、
前記スラグホール観測手段から得られる画像の輝度に基づいて、前記スラグホール観測手段の入光部の汚れを判定し、前記入光部の汚れが許容できない場合には、当該入光部を洗浄する洗浄手段を起動すること
を特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の石炭ガス化炉のスラグ監視装置。
【請求項10】
前記処理装置は、
前記水面観測手段から得られる画像の輝度に基づいて、前記水面観測手段の入光部の汚れを判定し、前記入光部の汚れが許容できない場合には、当該入光部を洗浄する洗浄手段を起動すること
を特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の石炭ガス化炉のスラグ監視装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の石炭ガス化炉のスラグ監視装置を備えることを特徴とする石炭ガス化炉。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−64414(P2011−64414A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216050(P2009−216050)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000241957)北海道電力株式会社 (78)
【出願人】(000222037)東北電力株式会社 (228)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(000242644)北陸電力株式会社 (112)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(000180368)四国電力株式会社 (95)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【出願人】(000217686)電源開発株式会社 (207)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【出願人】(504437018)株式会社 クリーンコールパワー研究所 (6)
【Fターム(参考)】