説明

石炭ガス化石炭移送システム

【課題】ロックホッパとフィードホッパを用い、粉体を加圧して搬送ガスにより連続供給するシステムにおいて、ロックホッパからフィードホッパへの粉体移送時に、フィードホッパから排出するガスを有効利用して、フィードホッパから排出される粉体供給量が変動するのを抑制する。
【解決手段】常圧ホッパとロックホッパ及びフィードホッパが備えられた石炭ガス化石炭移送システムにおいて、フィードホッパからガスを排気するガス排出ラインを配設し、ロックホッパにエアレーションガスを供給するエアレーションガス供給ラインを配設し、ガス排出ラインを経由してフィードホッパから排気する排ガスをロックホッパのエアレーションガス用として供給する連結管をガス排出ラインとエアレーションガス供給ラインに接続するように配設し、この連結管に流量調節弁及び切り替え弁を備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を加圧して連続的に気流搬送する石炭ガス化石炭移送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
粉体を加圧して連続供給する方式としては、ロックホッパシステムがあり、石炭ガス化システムの石炭供給系などに適用されている(例えば、公知例として、特開平2001−3106号公報、特開平10―109754号公報、及び特開平2009−256090号公報を参照)。
【0003】
これらの公知例に記載されたロックホッパシステムによる石炭供給の従来技術について説明する。
【0004】
ロックホッパシステムでは、粉体はフィードホッパに充填されており、フィードホッパから連続的にガス化炉へ供給される。ガス化炉は加圧で運転されるため、フィードホッパの圧力は常時、ガス化炉の圧力よりも高く維持することが、逆流防止のためには必要である。
【0005】
フィードホッパから移送される粉体供給量を制御するためには、搬送ガス量、フィードホッパと搬送先との差圧、及び搬送ライン開度調整弁などが用いられる。特に搬送ライン開度調整弁は弁の開度が一定で、搬送ガス量、及びフィードホッパと搬送先の差圧が一定であれば供給量はほぼ一定である。このため、搬送ライン開度調整弁の開度により、粉体供給量の制御が可能である。
【0006】
ここで、ロックホッパからフィードホッパへの移送時にロックホッパとフィードホッパとの差圧が変動すると、フィードホッパ内の石炭挙動が変化し、搬送管に排出される供給量が変化することにより、定量性が損なわれる。そこで、ロックホッパとフィードホッパの差圧差を解消するために均圧管が配設されている。
【0007】
フィードホッパは加圧状態に保つ必要があるため、フィードホッパへの粉体充填を、常圧状態のホッパから行うことはできない。ロックホッパシステムでは、以下の手順により、フィードホッパからの供給を停止することなくフィードホッパへ粉体を補充することが可能である。
【0008】
まず、常圧ホッパとロックホッパ間の移送管の遮断弁が閉じられた状態で、粉体を常圧ホッパへ充填する。
【0009】
次に、ロックホッパが常圧であり、ロックホッパとフィードホッパ間の移送管の遮断弁及びロックホッパとフィードホッパをつなぐ均圧管の遮断弁が閉じられた状態で、常圧ホッパとロックホッパ間の移送管の遮断弁を開き、常圧ホッパからロックホッパへ粉体を移送する。
【0010】
移送終了後は、常圧ホッパとロックホッパ間の移送管の遮断弁を閉じる。次に、ロックホッパへ加圧ガスを供給し、ロックホッパをフィードホッパと同等の圧力まで加圧する。
【0011】
次に、ロックホッパとフィードホッパ間の移送管の遮断弁及びロックホッパとフィードホッパをつなぐ均圧管の遮断弁を開き、ロックホッパからフィードホッパへ粉体を払い出す。この時、フィードホッパは、粉体の充填により気体部分の容積が減少し、圧力が上昇する。
【0012】
一方、ロックホッパは粉体の払い出しにより気体部分の容積が増加し、圧力が低下する。ロックホッパとフィードホッパをつなぐ均圧管は、このような圧力変動を抑制するために設置されているものである。
【0013】
フィードホッパからガス化炉への粉体供給量の計測方法は、例えば特開平2009−256090号公報に記載されているように、フィードホッパの重量をロードセルで計測し、フィードホッパ重量の減少量から計算することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平2001−3106号公報
【特許文献2】特開平10―109754号公報
【特許文献3】特開平2009−256090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来のロックホッパシステムでは、石炭供給量が±10%程度変動することがある。この現象を発明者らが解析した結果、以下の原因によることが明らかになった。
【0016】
ロックホッパとフィードホッパをつなぐ均圧管を設置しても、ロックホッパからフィードホッパへの粉体移送速度が急激に変化すると、均圧管を流通するガス抜け量が少なくなるため、フィードホッパの圧力が変動する。
【0017】
フィードホッパは常時、搬送先と連通状態にあるので、フィードホッパの圧力が変動すると、フィードホッパと搬送先の差圧が変動する。この差圧の変動により、フィードホッパ内の石炭挙動が変化して、フィードホッパから搬送管により排出される粉体量、あるいは搬送ガス量が変動するため、ロックホッパからフィードホッパへの粉体移送時に、フィードホッパから排出される粉体供給量に大きな変動が生じるという課題がある。
【0018】
本発明の目的は、ロックホッパからフィードホッパへの粉体移送時に、フィードホッパから排出される粉体供給量の変動を抑制し、フィードホッパから排出する排出ガスの有効利用を図り安定に排出できるようにした石炭ガス化石炭移送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の石炭ガス化石炭移送システムは、常圧ホッパとロックホッパ、及び該ロックホッパとフィードホッパとが遮断弁をそれぞれ備えた移送管を介して順次、接続されており、前記常圧ホッパと前記ロックホッパとの間、及び前記ロックホッパと前記フィードホッパとの間に、両者の圧力差を解消する均圧管がそれぞれ配設され、これらの均圧管に遮断弁がそれぞれ備えられた石炭ガス化石炭移送システムにおいて、前記フィードホッパからガスを排気するガス排出ラインを配設し、前記ロックホッパにエアレーションガスを供給するエアレーションガス供給ラインを配設し、前記ガス排出ラインを経由して該フィードホッパから排気する排ガスの一部又は全部を前記ロックホッパのエアレーションガス用として供給する連結管を前記ガス排出ラインと前記エアレーションガス供給ラインに接続するように配設し、前記連結管に流量調節弁及び切り替え弁をそれぞれ備えたことを特徴とする。
【0020】
また本発明の石炭ガス化石炭移送システムは、常圧ホッパとロックホッパ、及び該ロックホッパとフィードホッパとが遮断弁をそれぞれ備えた移送管を介して順次、接続されており、前記常圧ホッパと前記ロックホッパとの間、及び前記ロックホッパと前記フィードホッパとの間に、両者の圧力差を解消する均圧管がそれぞれ配設され、これらの均圧管に遮断弁がそれぞれ備えられた石炭ガス化石炭移送システムにおいて、前記ロックホッパのコーン部にエアレーションガスを供給するエアレーションガス供給ラインを配設し、前記フィードホッパからガスを排気するガス排出ラインを配設すると共に、このガス排出ラインに圧力調節弁を備え、前記エアレーションガス供給ラインと前記圧力調節弁よりも上流に位置する前記ガス排出ラインの部分に接続する連結管を配設し、前記連結管及び前記エアレーションガス供給ラインに切り替え弁をそれぞれ備えたことを特徴とする。
【0021】
また本発明の石炭ガス化石炭移送システムは、常圧ホッパとロックホッパ、及び該ロックホッパとフィードホッパとが遮断弁をそれぞれ備えた移送管を介して順次、接続されており、前記常圧ホッパと前記ロックホッパとの間、及び前記ロックホッパと前記フィードホッパとの間に、両者の圧力差を解消する均圧管がそれぞれ配設され、これらの均圧管に遮断弁がそれぞれ備えられ、前記フィードホッパから粉体を搬送先に供給する搬送管を配設した石炭ガス化石炭移送システムにおいて、前記ロックホッパのコーン部にエアレーションガスを供給するエアレーションガス供給ラインを配設し、前記フィードホッパからガスを排気するガス排出ラインを配設すると共に、このガス排出ラインに圧力調節弁を備え、前記エアレーションガス供給ラインと前記圧力調節弁よりも上流に位置する前記ガス排出ラインの部分に接続する連結管を配設し、前記連結管及び前記エアレーションガス供給ラインに流量調節弁をそれぞれ備え、前記フィードホッパに該フィードホッパ内の粉体の重量を計測するロードセルを設置し、前記フィードホッパ及び搬送先に圧力を計測する圧力計をそれぞれ設置し、前記搬送管に差圧を計測する差圧計を設置し、前記ロードセルで計測した該フィードホッパ内の粉体の重量の計測値から演算される該ロックホッパからフィードホッパ先に供給される粉体の移送速度、前記差圧計で計測した該搬送管の差圧の計測値、及び前記圧力計で計測した該フィードホッパの圧力の計測値に基づいて、前記連結管の流量調節弁及び前記エアレーションガス供給ラインの流量調節弁をそれぞれ操作して前記エアレーションガス供給ラインを流れるエアレーションガスの流量、及び前記連結管を流れるガスの流量を制御する制御装置を設置したことを特徴とする。
【0022】
また本発明の石炭ガス化石炭移送システムは、常圧ホッパとロックホッパ、及び該ロックホッパとフィードホッパとが遮断弁をそれぞれ備えた移送管を介して順次、接続されており、前記常圧ホッパと前記ロックホッパとの間、及び前記ロックホッパと前記フィードホッパとの間に、両者の圧力差を解消する均圧管がそれぞれ配設され、これらの均圧管に遮断弁がそれぞれ備えられた石炭ガス化石炭移送システムにおいて、フィードホッパからガスを排気するフィードホッパのガス排出ラインを配設し、前記ロックホッパにエアレーションガスを供給するエアレーションガス供給ラインを配設し、前記ガス排出ラインを経由して該フィードホッパから排気する排ガスを前記ロックホッパのエアレーションガス用として供給する連絡管を前記ガス排出ラインと前記エアレーションガス供給ラインに接続するように配設し、前記エアレーションガス供給ラインと前記圧力調節弁よりも上流に位置する前記ガス排出ラインの部分に接続する連結管を配設し、前記連結管及び前記エアレーションガス供給ラインに流量調節弁と切り換え弁をそれぞれ備え、前記フィードホッパに該フィードホッパ内の粉体の重量を計測するロードセルを設置し、前記ロードセルで計測した粉体の重量の計測値から演算される該ロックホッパからフィードホッパ先に供給される粉体の移送速度に基づいて、前記連結管の流量調節弁と切り換え弁及び前記エアレーションガス供給ラインの流量調節弁及び切り換え弁をそれぞれ操作して前記エアレーションガス供給ラインを流れるエアレーションガスの流量、及び前記連結管を流れるガスの流量を制御する制御装置を設置したことを特徴とする。
【0023】
また本発明の石炭ガス化石炭移送システムは、常圧ホッパとロックホッパ、及び該ロックホッパとフィードホッパとが遮断弁をそれぞれ備えた移送管を介して順次、接続されており、前記常圧ホッパと前記ロックホッパとの間、及び前記ロックホッパと前記フィードホッパとの間に、両者の圧力差を解消する均圧管がそれぞれ配設され、これらの均圧管に遮断弁がそれぞれ備えられた石炭ガス化石炭移送システムにおいて、前記フィードホッパからガスを排気するガス排出ラインを配設すると共に、このガス排出ラインに圧力調節弁を備え、前記ロックホッパに加圧用ガスを供給する加圧用ガス供給ラインを配設し、前記加圧用ガス供給ラインと前記圧力調節弁よりも上流に位置する前記ガス排出ラインの部分に接続する連結管を配設し、前記連結管に流量調節弁及び切り替え弁をそれぞれ備えたことを特徴とする。
【0024】
また本発明の石炭ガス化石炭移送システムは、常圧ホッパとロックホッパ、及び該ロックホッパとフィードホッパとが遮断弁をそれぞれ備えた移送管を介して順次、接続されており、前記常圧ホッパと前記ロックホッパとの間、及び前記ロックホッパと前記フィードホッパとの間に、両者の圧力差を解消する均圧管がそれぞれ配設され、これらの均圧管に遮断弁がそれぞれ備えられた石炭ガス化石炭移送システムにおいて、前記ロックホッパに加圧用ガスを供給する加圧用ガス供給ラインを配設し、前記フィードホッパからガスを排気するガス排出ラインを配設すると共に、このガス排出ラインに圧力調節弁を備え、前記ロックホッパの加圧用ガス供給ラインと前記圧力調節弁よりも上流に位置する前記ガス排出ラインの部分に接続する連結管を配設し、
前記連結管に流量調節弁及び切り替え弁をそれぞれ備え、前記フィードホッパに該フィードホッパ内の粉体の重量を計測するロードセルを設置し、前記ロードセルで計測した粉体の重量の計測値から演算される該ロックホッパからフィードホッパ先に供給される粉体の移送速度に基づいて前記流量調節弁及び切り替え弁を操作する制御装置を設置したことを特徴とする。
【0025】
また本発明の石炭ガス化石炭移送システムは、常圧ホッパとロックホッパ、及び該ロックホッパとフィードホッパとが遮断弁をそれぞれ備えた移送管を介して順次、接続されており、前記常圧ホッパと前記ロックホッパとの間、及び前記ロックホッパと前記フィードホッパとの間に、両者の圧力差を解消する均圧管がそれぞれ配設され、これらの均圧管に遮断弁がそれぞれ備えられた石炭ガス化石炭移送システムにおいて、前記ロックホッパのコーン部にエアレーションガスを供給するエアレーションガス供給ラインを配設し、前記フィードホッパからガスを排気するガス排出ラインを配設すると共に、このガス排出ラインに圧力調節弁を備え、前記エアレーションガス供給ラインと前記圧力調節弁よりも上流に位置する前記ガス排出ラインの部分に接続する第1の連結管を配設し、前記ロックホッパに加圧用ガスを供給する加圧用ガス供給ラインを配設し、前記加圧用ガス供給ラインと前記第1の連結管を接続する第2の連結管を配設し、前記エアレーションガス供給ライン、前記第1の連結管、及び前記第2の連結管に切り替え弁をそれぞれ備え、前記エアレーションガス供給ライン及び前記第1の連結管にガス流量調節弁をそれぞれ備え、前記ロックホッパに圧力を計測する圧力計を設置し、前記フィードホッパに該フィードホッパ内の粉体の重量を計測するロードセルを設置し、前記圧力計によって計測された該ロックホッパの圧力の計測値に基づいて前記第2の連結管に設置した切り替え弁を操作すると共に、前記ロードセルで計測した該フィードホッパ内の粉体の重量の計測値から演算される該ロックホッパからフィードホッパ先に供給される粉体の移送速度に基づいて前記第1の連結管に設置した流量調節弁を操作する制御装置を設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ロックホッパからフィードホッパへの粉体移送時に、フィードホッパから排出される粉体供給量の変動を抑制し、フィードホッパから排出する排出ガスの有効利用を図り安定に排出できるようにした石炭ガス化石炭移送システムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施例である石炭ガス化石炭移送システムを示した構成図。
【図2】本発明の第2実施例である石炭ガス化石炭移送システムを示した構成図。
【図3】本発明の第3実施例である石炭ガス化石炭移送システムを示した構成図。
【図4】本発明の第4実施例である石炭ガス化石炭移送システムを示した構成図。
【図5】ロックホッパからの払い出し時での差圧及び粉体供給量の変動状況を示す説明図。
【図6】フィードホッパ出口の排ガスをロックホッパのエアレーションガス用として使用した時での差圧及び粉体供給量の運転状況を示す説明図。
【図7】フィードホッパ出口の排ガスをロックホッパの加圧用、及びエアレーションガス用として使用した時での差圧及び粉体供給量の運転状況を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施例である石炭ガス化石炭移送システムの具体的構成について図面を用いて以下に説明する。
【実施例1】
【0029】
本発明の第1実施例である石炭ガス化石炭移送システムの具体的構成について図1を用いて説明する。
【0030】
図1に示した本発明の第1実施例である石炭ガス化石炭移送システムについて説明すると、本実施例の石炭ガス化石炭移送システムは、常圧ホッパ1とロックホッパ2及びフィードホッパ3が遮断弁36、37を介して順次に移送管21、22で接続された構成となっている。
【0031】
前記フィードホッパ3には、ガスを該フィードホッパ3から排出するフィードホッパガス排出ライン42が配設されており、このフィードホッパガス排出ライン42に圧力調節弁9が設置されており、前記ロックホッパ2の下部には、エアレーションガスを該ロックホッパ2に供給するロックホッパエアレーション供給ライン30が配設されている。
【0032】
そして、この圧力調節弁9よりも上流に位置するフィードホッパガス排出ライン42の部分と、前記ロックホッパエアレーション供給ライン30とを接続する連結管50が配設されている。
【0033】
常圧ホッパ1からロックホッパ2を経由してフィードホッパ3に移送された粉体65は、フィードホッパ3の内部に充填されており、フィードホッパ3から搬送管6を通じて連続的に搬送先7に供給される。そして粉体65の搬送先7が加圧状態の場合、フィードホッパ3は常時、搬送先7の圧力よりも高い状態に保持される。
【0034】
フィードホッパ3から粉体65が排出され、フィードホッパ3内の粉体65のレベルが低下すると、フィードホッパ3上部の圧力が低下する。そこで、搬送ガス11の一部を配管27を通じてフィードホッパ3上部に供給し、フィードホッパ3の圧力低下を抑制する。
【0035】
この搬送ガス11の供給量は、配管27に設置したフィードホッパ加圧ガス流量計13で計測し、設定した量の搬送ガス11が供給されるように配管27に設置したフィードホッパ加圧ガス流量調節弁35の開度を調節して制御する。
【0036】
フィードホッパ3から搬送先7に供給する粉体65の粉体供給量を制御するために、フィードホッパ3の出口の搬送管6に流量調整弁として搬送ライン開度調整弁5及び粉体流量計64が設置されている。粉体流量計64で計測した粉体流量値に基づいて後述する制御装置54で演算した指令信号によって搬送ライン開度調整弁5の開度を調節することにより、フィードホッパ3から搬送先7に供給する粉体65の粉体供給量の制御が可能となる。
【0037】
ところで、開度調整弁5入口と出口の差圧が変動すると粉体供給量の定量性が損なわれる。そこで、フィードホッパ3に該フィードホッパ3の圧力(P2)を計測する圧力計58を設置し、粉体65の搬送先7に該搬送先7の圧力(P0)を計測する圧力計56を設置し、フィードホッパ3の圧力(P2)と搬送先7の圧力(P0)との間の圧力差(P2−P0=ΔP)を一定に保つための手段として、フィードホッパ3からガスを排気するために配設した排気管42にフィードホッパ圧力調節弁9を設け、前記圧力計58及び圧力計56で計測したフィードホッパ3の圧力(P2)と搬送先7の圧力(P0)との間の圧力差(P2−P0=ΔP)に基づいて制御装置54で演算した指令信号によって前記フィードホッパ圧力調節弁9を開閉制御してフィードホッパ3から排気管42を通じて排出するガスの流量を調節することにより、フィードホッパ3の圧力(P2)と搬送先7の圧力(P0)との両者間の差圧変動を解消している。
【0038】
フィードホッパ3から搬送管6を通じて搬送先7に供給される粉体65の粉体供給量の測定には、搬送管6に設置した粉体流量計64を用いる。
【0039】
搬送ライン開度調整弁5の開度を少し開くとフィードホッパ3から排出管63を通して排出された粉体65は、搬送ライン開度調整弁5を備えた搬送管6に送られる。制御装置54からの指令信号によって操作される前記開度調整弁5で粉体供給量を調節した後、搬送管6を通して下流の搬送先7に搬送する。
【0040】
搬送管6には粉体65の搬送状況、及び粉体供給量を確認するための手段として粉体流量計64と搬送管差圧測定用(ΔP2)の差圧計47を設置している。
【0041】
フィードホッパ3への搬送ガス11の供給は、搬送ガス11の一部を配管26と配管28を通じてフィードホッパ3下部に供給し、そしてフィードホッパ3内の石炭挙動、及び流動させることによりフィードホッパ3から外部に排出管63を経由してこの搬送ガスを排出させる。
【0042】
配管26を流通する搬送ガス11の供給量は、配管26に設置したフィードホッパ部分流動化流量計12で計測し、設定した量が供給されるように、配管26に設置したフィードホッパ部分流動化流量調節弁34で制御し、この配管26に接続した配管23を通じて、フィードホッパ3下部に供給される。
【0043】
また配管28を流通する搬送ガス11の供給量は、配管28に設置したフィードホッパ部分流動化流量計14で計測し、設定した量が供給されるように、配管28に設置したフィードホッパ部分流動化流量調節弁20で制御し、フィードホッパ3のコーン部に供給される。
【0044】
ここで、搬送管6に設置した粉体流量計64で計測した粉体流量の計測値は、粉体流量計64を通過するガス量の影響を受ける。粉体流量計64を通過するガス量は、フィードホッパ3の圧力P2や、搬送先7の圧力P0の変化に伴って増減する。
【0045】
そこで、粉体流量計64で計測された粉体流量の計測値は、フィードホッパ3に設置されたロードセル25で求めたフィードホッパ3に充填されている粉体量の単位時間あたりの変化により粉体供給量を求め、この値を用いて随時校正する。
【0046】
フィードホッパ3は加圧状態に保つ必要があり、フィードホッパ3への粉体65の充填を、常圧状態の常圧ホッパ1からは行えない。そこで、まず、常圧ホッパ1からロックホッパ2へ通じる移送管21に設置した遮断弁36、及び常圧ホッパ1とロックホッパ2との間に配設された第一の均圧管29に設置した遮断弁31が共に閉じられた状態で、粉体65を常圧ホッパ1へ充填する。
【0047】
次に、ロックホッパ2が常圧であり、ロックホッパ2からフィードホッパ3へ通じる移送管22に設置した遮断弁37、及びロックホッパ2とフィードホッパ3との間に配設された第二の均圧管24に設置した遮断弁32が共に閉じられた状態で、第一の均圧管29の遮断弁31と移送管21の遮断弁36を開け、常圧ホッパ1からロックホッパ2へ粉体65を移送する。粉体65の移送終了後は、第一の均圧管29の遮断弁31と移送管21の遮断弁36を閉じる。
【0048】
次に、ロックホッパ2に加圧ガスを供給するように配設された配管41を流通する供給ガスの供給量は、配管41に設置されたロックホッパ加圧用流量計33‘で計測し、設定した量が供給されるように、配管41に設置されたロックホッパ加圧用流量調節弁33で制御してロックホッパ2へ加圧ガス40を供給し、ロックホッパ2をフィードホッパ3と同等の圧力まで加圧する。
【0049】
ロックホッパ2の加圧後、移送管22の遮断弁37及び第二の均圧管24の遮断弁32を開き、ロックホッパ2から移送管22を通じてフィードホッパ3へ粉体65を払い出す。
【0050】
図5はロックホッパからの払い出し時での差圧及び粉体供給量の変動状況を示す説明図であり、図5に示したように、本実施例の石炭ガス化石炭移送システムにおいて、ロックホッパ2からフィードホッパ3に粉体65を払い出した時の、フィードホッパ3内の粉体65の重量を計測するロードセル25の重量変化値4、フィードホッパ3の圧力P2と搬送先7の圧力P0との差圧である搬送差圧ΔPと、フィードホッパ3から搬送先7に供給される粉体65の粉体供給量Fの経時変化を示す。この時、フィードホッパ3は、粉体65の該フィードホッパ3内への充填により気体部分の容積が減少し、圧力が上昇する。
【0051】
一方、ロックホッパ2は粉体65の該ロックホッパ2からの払い出しにより気体部分の容積が増加し、圧力が低下する。第二の均圧管24は、このような圧力変動を抑制するために設置されている。しかし、第二の均圧管24を設置しても、ロックホッパ2からフィードホッパ3への粉体移送速度が急激に変化すると、フィードホッパ3の圧力が変動する。
【0052】
フィードホッパ3は常時、搬送先7と連通状態にあるので、フィードホッパ3の圧力が変動すると、フィードホッパ3の圧力P2と搬送先7の圧力P0との差圧が変動する(図5中の搬送差圧ΔP)。
【0053】
この差圧の変動により、フィードホッパ3から搬送ライン開度調整弁5により排出される粉体量又は搬送ガス量が変動し、これにより、フィードホッパ3から排出される粉体供給量が大きく変動することがある。
【0054】
この差圧の変動は、粉体流量計64による粉体供給量計測の誤差発生要因となる。また、フィードホッパ3の圧力調節弁9を通過するガス量が増加し、このガスに乗って粉体がホッパ外に排出されることがあるため、瞬間的に搬送先への粉体搬送量が減少することがある。
【0055】
さらに、ロックホッパ2からフィードホッパ3への粉体移送速度が速い場合、フィードホッパ3に残存する粉体65が、ロックホッパ2から落下した粉体65に押しつけられ、ブリッジングが急に解消されて粉体供給量が急増あるいは圧密されて粉体65がブリッジングしやすくなり、粉体の排出に影響を与える。
【0056】
ロックホッパ2からフィードホッパ3に払い出す時の圧力変動を抑制する手段として、フィードホッパ3に設置した圧力調節弁9の開度調節により圧力調節用、及び粉体65の搬送用として供給した不活性ガスの排ガス量を調整するのが一般的であり、この排出ガスの有効利用が必要不可欠である。
【0057】
この問題を解決するために、本実施例の石炭ガス化石炭移送システムでは,フィードホッパ3に設置したガス排出ライン42から排出ガス中の粉体65の除去用として設置したストレーナ19を流通し、フィードホッパ圧力計9‘で計測し、設定した圧力になるように、圧力調節弁9で制御する。
【0058】
このガス排出ライン42のストレーナ19から圧力調節弁9の間の部分の配管と、ロックホッパ2のコーン部に設置したエアレーションガス供給ライン30とを接続する連結管50を設置する。
【0059】
連結管50、及びエアレーションガス供給ライン30にそれぞれ切り替え弁48、49を設置し、更に連結管50に排ガス流量計51’、及び排出ガス流量調節弁51を設置した。
【0060】
ロックホッパ2からフィードホッパ3への粉体65の払い出し時には、連結管50とエアレーションガス供給ライン30に設置した切り替え弁48,49を全開にし、ロックホッパ2下部のエアレーション供給ライン30を流通するように切り替えた後、前記ロックホッパ2から移送管22を通じて前記フィードホッパ3へ供給される粉体65の移送速度に応じて、搬送管6の差圧47、及びフィードホッパ3に設置した圧力計58で計測したフィードホッパ圧力(P2)を監視しながらフィードホッパガス排出ライン42から流通する排ガスを連結管50に流通する。
【0061】
流通した排ガスの供給量は、連結管50に設置した排ガス流量計51‘で計測し、設定した量が供給されるように、排出ガス流量調節弁51の開度を制御しながら所定の流量に設定する。
【0062】
排出ガス流量調節弁51を全開にしても所定の流量に対して不足している場合は、エアレーションガス供給ライン30に設置したエアレーション流量調節弁39の開度を制御し、ガスを補充する。
【0063】
そして、この排出ガス流量調節弁51を制御する制御装置54を設置する。この制御装置54には、フィードホッパ3に設置されたロードセル25の重量変化値4と粉体流量計64で計測されたフィードホッパ3からの粉体供給量の値が入力されるようにする。
【0064】
ロックホッパ2からフィードホッパ3への粉体65の粉体移送速度は、フィードホッパ3に設置されたロードセル25により計測される粉体重量の単位時間あたりの増加量に、粉体流量計64で計測される単位時間あたりのフィードホッパ3からの粉体供給量を加算することで求められる。
【0065】
また、制御装置54にはロックホッパエアレーション供給ライン30と連結管50に設置した切り替えバルブ48、49の開閉操作信号を制御する機能を付加した。
【0066】
このようにして求めたロックホッパ2からフィードホッパ3への粉体65の粉体移送速度が一定になるように、制御装置64は排ガス流量計51‘の流量設定値を求め、排出ガス流量調節弁51を制御する。
【0067】
図6はフィードホッパ出口の排ガスをロックホッパのエアレーションガス用として使用した時での差圧及び粉体供給量の運転状況を示す説明図であり、上記した操作により、図6に示したように、ロックホッパ2からフィードホッパ3への粉体65の払い出し時でも、搬送管差圧47(又はフィードホッパの圧力P2)の変動もなく、粉体供給量の変動が抑制された。
【0068】
本実施例の石炭ガス化石炭移送システムによれば、図6に示したように、ロックホッパ2からフィードホッパ3への粉体65の粉体移送速度が一定に保たれるため、ロックホッパ2とフィードホッパ3の圧力変動の発生が抑制され、また、ロックホッパ2からフィードホッパ3へ落下した粉体が、フィードホッパ3に残存している粉体65を押しつけられて、粉体65の流動特性が変化するようなことが防止される。
【0069】
よって、本実施例の石炭ガス化石炭移送システムでは、フィードホッパ3からの排出ガスの有効利用が図れ、粉体供給量の変動を抑えることが可能である。
【0070】
本実施例によれば、ロックホッパからフィードホッパへの粉体移送時に、フィードホッパから排出される粉体供給量の変動を抑制し、フィードホッパから排出する排出ガスの有効利用を図り安定に排出できるようにした石炭ガス化石炭移送システムが実現できる。
【実施例2】
【0071】
次に本発明の第2実施例である石炭ガス化石炭移送システムの具体的構成について図2を用いて説明する。本実施例の石炭ガス化石炭移送システムは、図1に記載された石炭ガス化石炭移送システムの構成と基本的には同じであるので、両者に共通した構成の説明は省略し、相違する部分についてのみ以下に説明する。
【0072】
図2に示された本実施例の石炭ガス化石炭移送システムにおいては、フィードホッパ2の加圧用、及び搬送用として供給したガスがフィードホッパガス排出ライン42の圧力調節弁9の開度調節により排出するガスの有効利用を図る目的で、排出したガス全量をロックホッパ2の加圧用の一部として供給する方法について、図2を用いて説明する。
【0073】
本実施例の石炭ガス化石炭移送システムでは、第1実施例の石炭ガス化石炭移送システムにおけるロックホッパ加圧用ガスライン41と、フィードホッパガス排出ライン42の圧力調節弁9より上流に位置する部分を接続した連結管53を新しく設けた点以外は、第1実施例の石炭ガス化石炭移送システムと同様である。
【0074】
連結管53は、フィードホッパ3の排出ガスをロックホッパ2の加圧用として使用するための配管である。常圧ホッパ1からロックホッパ2に粉体を受け入れた後、ロックホッパ2からフィードホッパ3の払い出し時には、ロックホッパ2は常圧であるため、フィードホッパ3と同圧にする必要がある。
【0075】
そのため、本実施例の石炭ガス化石炭移送システムでは、加圧専用の不活性ガス供給ライン41にロックホッパ加圧用流量計33‘とロックホッパ加圧用流量調節弁33を設置し、ロックホッパ2からフィードホッパ3への払い出し時に前記ロックホッパ2に供給する加圧ガス40の供給量は、ロックホッパ加圧用流量計33‘で計測し、このロックホッパ加圧用流量計33‘の計測値に基づいてロックホッパ加圧用流量調節弁33を制御することによって設定した供給量が供給されるように構成している。
【0076】
その加圧ガス40の補助用として、フィードホッパ3の圧力調節弁9から排出するガスを有効利用するために、フィードホッパガス排出ラインの圧力調節弁9より上流に位置する部分と、加圧用ガス供給ライン41とを接続する連結管53を設置し、連結管53に排ガス流量調節計51’、排出ガス流量調節弁51、切り替え弁52をそれぞれ設置した。
【0077】
ロックホッパ2を加圧する場合は、切り替え弁52を開にした後、連結管53に設置した排ガス流量調節計51‘、排出ガス流量調節弁51の流量を設定し、ロックホッパ2内に流通する。搬送管6の差圧47、及びフィードホッパ3に設置した圧力計58で計測したフィードホッパ圧力(P2)とロックホッパ2に設置した圧力計57で計測したとロックホッパ圧力(P1)を確認しながら、連結管53に備えた排ガス流量調節計51‘を排出ガス流量調節弁51で調節した。
【0078】
排出ガス流量調節弁51を調節しても所定の流量に対して不足している場合は、加圧用流量調節弁33を制御し、所定のガス量になるようにガスを補充する。ただし、排出ガス流量調節弁51の流量制御で、フィードホッパ3の圧力計58で計測したフィードホッパ圧力(P2)に圧力変動等の影響が生じた場合には、排出ガス流量調節弁51を徐々に閉め、フィードホッパ圧力(P2)が安定になったのを確認後、切り替え弁52を全閉にし、排出ガスの供給を停止する。その後、通常の加圧方法に変更することにより対処する。これらの制御のために前記制御装置54を用いる。
【0079】
本実施例の石炭ガス化石炭移送システムでは、フィードホッパ3から排出するガスの有効利用が可能である。
【0080】
本実施例によれば、ロックホッパからフィードホッパへの粉体移送時に、フィードホッパから排出される粉体供給量の変動を抑制し、フィードホッパから排出する排出ガスの有効利用を図り安定に排出できるようにした石炭ガス化石炭移送システムが実現できる。
【実施例3】
【0081】
次に本発明の第3実施例である石炭ガス化石炭移送システムの具体的構成について図3を用いて説明する。本実施例の石炭ガス化石炭移送システムは、図1に記載された石炭ガス化石炭移送システムの構成と基本的には同じであるので、両者に共通した構成の説明は省略し、相違する部分についてのみ以下に説明する。
【0082】
実施例2は、新規連結管53からフィードホッパ3の排出ガスをロックホッパ2の加圧用として使用した例であるが、更に排出ガスの有効利用を図るためには実施例1と実施例2との組み合わせが望ましい。
【0083】
この例を図3により説明する。本実施例の装置構成は、実施例2の連結管53を備えている点を除けば、実施例1と同様である。
【0084】
図3では、前記連結管50とロックホッパ2の加圧用ガス供給ライン41との間を接続する連結管53を設置し、連結管53に切り替え弁52を設置した。切り替え弁48を閉、切り替え弁52を開にした後、ロックホッパ2を常圧から設定圧力に上昇させるために、圧力計58で計測するフィードホッパ圧力(P2)と連結管50に備えた排出ガス流量計51‘の流量を確認しながら排出ガス流量調節弁51を制御して、ロックホッパ2内に排ガスを供給した。
【0085】
流通した排ガスの供給量は、排ガス流量計51‘で計測し、設定した量が供給されるように、排出ガス流量調節弁51で制御しながら所定の流量に設定する。
【0086】
圧力計57で計測するロックホッパ2の圧力(P1)が圧力計58で計測するフィードホッパ圧力(P2)と同等になったのを確認後、切り替え弁48を全開にし、切り替え弁52を全閉にした後、ロックホッパ2からフィードホッパ3への払い出し操作に入る。
【0087】
連結管50とエアレーションガス供給ライン30に設置した切り替え弁48、49を全開にした後、前記ロックホッパ2から前記フィードホッパ3へ供給される粉体65の移送速度に応じて、搬送管6の差圧47、及びフィードホッパ3に設置した圧力計58で計測したフィードホッパ圧力(P2)を監視しながらロックホッパエアレーション供給ライン30に排ガスを供給した。
【0088】
流通した排ガスの供給量は、排ガス流量計51‘で計測し、設定した量が供給されるように、該排ガス流量計51‘の計測値に基づいて排出ガス流量調節弁51を制御して所定の流量に設定する。尚、排出ガス流量調節弁51を制御しても所定の流量に設定できない場合は、エアレーション流量調節弁39を制御し、ガスを補充する。
【0089】
流通したエアレーションの供給量は、エアレーション流量計39‘で計測し、設定した量が供給されるように、該エアレーション流量計39‘の計測値に基づいてエアレーション流量調節弁39を制御して所定の流量に設定する。
【0090】
また、この排ガス流量計51’を制御する制御装置54を設置する。この制御装置54には、排ガス流量計51’で計測された排出ガス流量、フィードホッパ3に設置されたロードセル4の値、及び粉体流量計64で計測されたフィードホッパ3からの粉体供給量が入力されるようにする。
【0091】
本実施例の石炭ガス化石炭移送システムの場合、制御装置54は、計算されたロックホッパ2からフィードホッパ3への粉体移送速度に応じて、排出ガス流量調節弁51を調節する指令を出す。また、切り替え弁48、49、52の開閉操作等への指令を出す。
【0092】
図7は、フィードホッパ出口の排ガスをロックホッパの加圧用、及びエアレーションガス用として使用した時での差圧及び粉体供給量の運転状況を示す説明図であり、上記した操作によって図7に示したように、ロックホッパ2からフィードホッパ3への粉体65の払い出し時でも、搬送管6の差圧47(又はフィードホッパ3の圧力P2)の変動もなく、粉体供給量の変動が抑制される。
【0093】
本実施例の石炭ガス化石炭移送システムにより、図7に示したように、ロックホッパ2からフィードホッパ3への粉体移送速度を一定に保つことができ、フィードホッパ3から供給される粉体供給量の変動を抑えることが可能である。また、フィードホッパ3から排出するガスの有効利用が可能である。
【0094】
本実施例によれば、ロックホッパからフィードホッパへの粉体移送時に、フィードホッパから排出される粉体供給量の変動を抑制し、フィードホッパから排出する排出ガスの有効利用を図り安定に排出できるようにした石炭ガス化石炭移送システムが実現できる。
【実施例4】
【0095】
次に本発明の第4実施例である石炭ガス化石炭移送システムの具体的構成について図4を用いて説明する。本実施例の石炭ガス化石炭移送システムは、図1に記載された石炭ガス化石炭移送システムの構成と基本的には同じであるので、両者に共通した構成の説明は省略し、相違する部分についてのみ以下に説明する。
【0096】
図4に示された本実施例の石炭ガス化石炭移送システムにおいては、フィードホッパ3からガスを排出するガス排出ライン42の圧力調節弁9の上流側に位置する部分と、ロックホッパ2下部にエアレーションガスを供給するエアレーションガス供給ライン42とを接続する連結管50を備え、フィードホッパ3から排出する排出ガスをロックホッパ2の下部に供給するエアレーションガスとして使用し、そのエアレーションガスの流量を連結管50に設けた流量調節弁51及び切り替え弁48を操作してロックホッパ2からフィードホッパ3への粉体移送速度を一定に保つ実施例について説明する。
【0097】
本実施例の石炭ガス化石炭移送システムでは、ロックホッパ2からフィードホッパ3への払い出し時において、連結管50とエアレーションガス供給ライン30に設置した切り替え弁48、49を全開にした後、前記ロックホッパ2から前記フィードホッパ3へ供給される粉体65の移送速度に応じて、搬送管6の差圧47、及びフィードホッパ3の圧力P2を監視しながらロックホッパエアレーション供給ライン30に排ガスを供給した。
【0098】
流通した排ガスの供給量は、排ガス流量計51‘で計測し、設定した量が供給されるように、該排ガス流量計51‘の計測値に基づいて排出ガス流量調節弁51を制御して所定の流量に設定する。
【0099】
尚、排出ガス流量調節弁51を制御しても所定の流量に設定できない場合は、エアレーション流量調節弁39を制御し、ガスを補充する。
【0100】
流通したエアレーションの供給量は、エアレーション流量計39‘で計測し、設定した量が供給されるように、該エアレーション流量計39‘の計測値に基づいてエアレーション流量調節弁39を制御して所定の流量に設定する。
【0101】
本実施例の石炭ガス化石炭移送システムにより、ロックホッパ2からフィードホッパ3への粉体移送速度を一定に保つことができ、フィードホッパ3からの粉体供給量の変動を抑えることが可能である。また、フィードホッパ3から排出するガスの有効利用が可能である。
【0102】
本実施例によれば、ロックホッパからフィードホッパへの粉体移送時に、フィードホッパから排出される粉体供給量の変動を抑制し、フィードホッパから排出する排出ガスの有効利用を図り安定に排出できるようにした石炭ガス化石炭移送システムが実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は粉体を加圧して連続的に気流搬送する石炭ガス化石炭移送システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0104】
1:常圧ホッパ、2:ロックホッパ、3:フィードホッパ、4:ロードセルの重量変化値、5:搬送ライン開度調整弁、6:搬送管、7:搬送先、9:圧力調節弁、9’:圧力計、11:搬送ガス、14:流量計、15:エアレーションガス、21、22:移送管、23:連結管、24、29:均圧管、25:ロードセル、30:エアレーションガス供給ライン、31、32、36、37:遮断弁、38:間欠弁、39:流量調節弁、39‘:流量計、41:加圧ガス供給ライン、42:ガス排出ライン、43:流量調節弁、43‘:流量計、44:間欠弁、45:常圧ホッパエアレーションガス供給ライン、47:差圧計、48、49:切り替え弁、50、53:連結管、51:流量調節弁、51‘:流量計、52:切り替え弁、54:制御装置、56、57、58:圧力計、64:粉体流量計、65:粉体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
常圧ホッパとロックホッパ、及び該ロックホッパとフィードホッパとが遮断弁をそれぞれ備えた移送管を介して順次、接続されており、前記常圧ホッパと前記ロックホッパとの間、及び前記ロックホッパと前記フィードホッパとの間に、両者の圧力差を解消する均圧管がそれぞれ配設され、これらの均圧管に遮断弁がそれぞれ備えられた石炭ガス化石炭移送システムにおいて、
前記フィードホッパからガスを排気するガス排出ラインを配設し、
前記ロックホッパにエアレーションガスを供給するエアレーションガス供給ラインを配設し、
前記ガス排出ラインを経由して該フィードホッパから排気する排ガスの一部又は全部を前記ロックホッパのエアレーションガス用として供給する連結管を前記ガス排出ラインと前記エアレーションガス供給ラインに接続するように配設し、
前記連結管に流量調節弁及び切り替え弁をそれぞれ備えたことを特徴とする石炭ガス化石炭移送システム。
【請求項2】
常圧ホッパとロックホッパ、及び該ロックホッパとフィードホッパとが遮断弁をそれぞれ備えた移送管を介して順次、接続されており、前記常圧ホッパと前記ロックホッパとの間、及び前記ロックホッパと前記フィードホッパとの間に、両者の圧力差を解消する均圧管がそれぞれ配設され、これらの均圧管に遮断弁がそれぞれ備えられた石炭ガス化石炭移送システムにおいて、
前記ロックホッパのコーン部にエアレーションガスを供給するエアレーションガス供給ラインを配設し、
前記フィードホッパからガスを排気するガス排出ラインを配設すると共に、このガス排出ラインに圧力調節弁を備え、
前記エアレーションガス供給ラインと前記圧力調節弁よりも上流に位置する前記ガス排出ラインの部分に接続する連結管を配設し、
前記連結管及び前記エアレーションガス供給ラインに切り替え弁をそれぞれ備えたことを特徴とする石炭ガス化石炭移送システム。
【請求項3】
常圧ホッパとロックホッパ、及び該ロックホッパとフィードホッパとが遮断弁をそれぞれ備えた移送管を介して順次、接続されており、前記常圧ホッパと前記ロックホッパとの間、及び前記ロックホッパと前記フィードホッパとの間に、両者の圧力差を解消する均圧管がそれぞれ配設され、これらの均圧管に遮断弁がそれぞれ備えられ、前記フィードホッパから粉体を搬送先に供給する搬送管を配設した石炭ガス化石炭移送システムにおいて、
前記ロックホッパのコーン部にエアレーションガスを供給するエアレーションガス供給ラインを配設し、
前記フィードホッパからガスを排気するガス排出ラインを配設すると共に、このガス排出ラインに圧力調節弁を備え、
前記エアレーションガス供給ラインと前記圧力調節弁よりも上流に位置する前記ガス排出ラインの部分に接続する連結管を配設し、
前記連結管及び前記エアレーションガス供給ラインに流量調節弁をそれぞれ備え、
前記フィードホッパに該フィードホッパ内の粉体の重量を計測するロードセルを設置し、
前記フィードホッパ及び搬送先に圧力を計測する圧力計をそれぞれ設置し、
前記搬送管に差圧を計測する差圧計を設置し、
前記ロードセルで計測した該フィードホッパ内の粉体の重量の計測値から演算される該ロックホッパからフィードホッパ先に供給される粉体の移送速度、前記差圧計で計測した該搬送管の差圧の計測値、及び前記圧力計で計測した該フィードホッパの圧力の計測値に基づいて、前記連結管の流量調節弁及び前記エアレーションガス供給ラインの流量調節弁をそれぞれ操作して前記エアレーションガス供給ラインを流れるエアレーションガスの流量、及び前記連結管を流れるガスの流量を制御する制御装置を設置したことを特徴とする石炭ガス化石炭移送システム。
【請求項4】
常圧ホッパとロックホッパ、及び該ロックホッパとフィードホッパとが遮断弁をそれぞれ備えた移送管を介して順次、接続されており、前記常圧ホッパと前記ロックホッパとの間、及び前記ロックホッパと前記フィードホッパとの間に、両者の圧力差を解消する均圧管がそれぞれ配設され、これらの均圧管に遮断弁がそれぞれ備えられた石炭ガス化石炭移送システムにおいて、
フィードホッパからガスを排気するフィードホッパのガス排出ラインを配設し、
前記ロックホッパにエアレーションガスを供給するエアレーションガス供給ラインを配設し、
前記ガス排出ラインを経由して該フィードホッパから排気する排ガスを前記ロックホッパのエアレーションガス用として供給する連絡管を前記ガス排出ラインと前記エアレーションガス供給ラインに接続するように配設し、
前記エアレーションガス供給ラインと前記圧力調節弁よりも上流に位置する前記ガス排出ラインの部分に接続する連結管を配設し、
前記連結管及び前記エアレーションガス供給ラインに流量調節弁と切り換え弁をそれぞれ備え、
前記フィードホッパに該フィードホッパ内の粉体の重量を計測するロードセルを設置し、
前記ロードセルで計測した粉体の重量の計測値から演算される該ロックホッパからフィードホッパ先に供給される粉体の移送速度に基づいて、前記連結管の流量調節弁と切り換え弁及び前記エアレーションガス供給ラインの流量調節弁及び切り換え弁をそれぞれ操作して前記エアレーションガス供給ラインを流れるエアレーションガスの流量、及び前記連結管を流れるガスの流量を制御する制御装置を設置したことを特徴とする石炭ガス化石炭移送システム。
【請求項5】
常圧ホッパとロックホッパ、及び該ロックホッパとフィードホッパとが遮断弁をそれぞれ備えた移送管を介して順次、接続されており、前記常圧ホッパと前記ロックホッパとの間、及び前記ロックホッパと前記フィードホッパとの間に、両者の圧力差を解消する均圧管がそれぞれ配設され、これらの均圧管に遮断弁がそれぞれ備えられた石炭ガス化石炭移送システムにおいて、
前記フィードホッパからガスを排気するガス排出ラインを配設すると共に、このガス排出ラインに圧力調節弁を備え、
前記ロックホッパに加圧用ガスを供給する加圧用ガス供給ラインを配設し、
前記加圧用ガス供給ラインと前記圧力調節弁よりも上流に位置する前記ガス排出ラインの部分に接続する連結管を配設し、
前記連結管に流量調節弁及び切り替え弁をそれぞれ備えたことを特徴とする石炭ガス化石炭移送システム。
【請求項6】
常圧ホッパとロックホッパ、及び該ロックホッパとフィードホッパとが遮断弁をそれぞれ備えた移送管を介して順次、接続されており、前記常圧ホッパと前記ロックホッパとの間、及び前記ロックホッパと前記フィードホッパとの間に、両者の圧力差を解消する均圧管がそれぞれ配設され、これらの均圧管に遮断弁がそれぞれ備えられた石炭ガス化石炭移送システムにおいて、
前記ロックホッパに加圧用ガスを供給する加圧用ガス供給ラインを配設し、
前記フィードホッパからガスを排気するガス排出ラインを配設すると共に、このガス排出ラインに圧力調節弁を備え、
前記ロックホッパの加圧用ガス供給ラインと前記圧力調節弁よりも上流に位置する前記ガス排出ラインの部分に接続する連結管を配設し、
前記連結管に流量調節弁及び切り替え弁をそれぞれ備え、
前記フィードホッパに該フィードホッパ内の粉体の重量を計測するロードセルを設置し、
前記ロードセルで計測した粉体の重量の計測値から演算される該ロックホッパからフィードホッパ先に供給される粉体の移送速度に基づいて前記流量調節弁及び切り替え弁を操作する制御装置を設置したことを特徴とする石炭ガス化石炭移送システム。
【請求項7】
常圧ホッパとロックホッパ、及び該ロックホッパとフィードホッパとが遮断弁をそれぞれ備えた移送管を介して順次、接続されており、前記常圧ホッパと前記ロックホッパとの間、及び前記ロックホッパと前記フィードホッパとの間に、両者の圧力差を解消する均圧管がそれぞれ配設され、これらの均圧管に遮断弁がそれぞれ備えられた石炭ガス化石炭移送システムにおいて、
前記ロックホッパのコーン部にエアレーションガスを供給するエアレーションガス供給ラインを配設し、
前記フィードホッパからガスを排気するガス排出ラインを配設すると共に、このガス排出ラインに圧力調節弁を備え、
前記エアレーションガス供給ラインと前記圧力調節弁よりも上流に位置する前記ガス排出ラインの部分に接続する第1の連結管を配設し、
前記ロックホッパに加圧用ガスを供給する加圧用ガス供給ラインを配設し、
前記加圧用ガス供給ラインと前記第1の連結管を接続する第2の連結管を配設し、
前記エアレーションガス供給ライン、前記第1の連結管、及び前記第2の連結管に切り替え弁をそれぞれ備え、
前記エアレーションガス供給ライン及び前記第1の連結管にガス流量調節弁をそれぞれ備え、
前記ロックホッパに圧力を計測する圧力計を設置し、
前記フィードホッパに該フィードホッパ内の粉体の重量を計測するロードセルを設置し、
前記圧力計によって計測された該ロックホッパの圧力の計測値に基づいて前記第2の連結管に設置した切り替え弁を操作すると共に、前記ロードセルで計測した該フィードホッパ内の粉体の重量の計測値から演算される該ロックホッパからフィードホッパ先に供給される粉体の移送速度に基づいて前記第1の連結管に設置した流量調節弁を操作する制御装置を設置したことを特徴とする石炭ガス化石炭移送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−218860(P2012−218860A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85005(P2011−85005)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】