説明

石鹸組成物

【課題】クリーミーな泡質で使用感、溶解性および使用後の保湿効果に優れた石鹸組成物の提供。
【解決手段】アルキレンオキシド誘導体(a)、脂肪酸アルカリ金属塩(b)、グリセリン(c)および水(d)を含む石鹸組成物であって、該アルキレンオキシド誘導体(a)が、式(I)で示される誘導体:Gly−[O−(AO)(BO)−H] (I)(式中、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基、(AO)はオキシプロピレン基(PO)とオキシエチレン基(EO)とを合計でmモル含有するオリゴマー部分であり、mは2〜100の値であり、そして該オリゴマー部分において、POとEOとの質量比(PO/EO)は3/2〜1/4である。BOは炭素数4のオキシアルキレン基であり、そしてnはBOの平均付加モル数であって、0.5〜5の値である。)が含有される石鹸組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石鹸組成物に関し、さらに詳しくは、クリーミーな泡質で使用感、使用後の保湿効果(しっとり感)、起泡性および溶解性に優れ、そして生産性に優れた石鹸組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石鹸が洗浄剤として広く使用されてきたのは、製造が容易であって、起泡性に優れており、かつ使用後のさっぱり感が好まれているためである。この優れた性能をさらに改善するために、様々な検討が行われている。
【0003】
石鹸を使用する場合、泡質がクリーミーであれば使用感を飛躍的に改善し得ることが知られている。泡質をクリーミーにした石鹸としては、例えば、特許文献1には、石鹸素地にジブチルヒドロキシトルエン、クエン酸および高級脂肪酸を添加した固形石鹸が開示され、特許文献2には、脂肪酸石鹸に多価アルコール、脂肪酸アルカノールアミドおよび高級脂肪酸を添加した石鹸組成物が開示されている。しかし、これらの石鹸組成物においても、泡質が十分クリーミーであるといえない場合がある。
【0004】
石鹸はまた、使用後、皮膚につっぱり感および刺激を感じることがある。これらは肌荒れの原因となるおそれがあるので、保湿効果に優れ、皮膚に対してマイルドな石鹸組成物が種々検討されている。例えば、特許文献3には、石鹸にグリセリンエステルおよび高級脂肪酸を添加した固形洗浄剤組成物が開示され、特許文献4には、石鹸に純米醸造酒を添加した皮膚洗浄組成物が開示され、特許文献5には、石鹸にアガリクス茸抽出液を添加した皮膚洗浄料が開示され、そして特許文献6には、石鹸にクロレラ粉末、両性界面活性剤などを添加した石鹸が開示されている。しかし、これらの石鹸組成物においても、十分な保湿効果および肌に対するマイルドさが得られない場合がある。
【0005】
さらに、石鹸の生産工程には石鹸素地の押出、型打などの工程がある。これらの工程において石鹸素地の水分量、添加成分、素地の組成などにより押し出し不良、ひび割れおよびささくれを生じるなど成型性に問題を生じる場合があり、生産性が低下することがある。これらの問題を改善するために、特許文献7には、石鹸素地にラウリン酸およびカリ石鹸を添加した石鹸組成物が開示され、特許文献8には、脂肪酸石鹸に非イオン界面活性剤、無機塩およびシリコーンを添加した石鹸が開示され、特許文献9には、石鹸にグリセリン、ポリグリセリン脂肪酸などを添加した固形石鹸が開示され、そして特許文献10には、カプリン酸、ペラルゴン酸などを含む固形石鹸組成物が開示されている。しかし、これらの石鹸の生産時にも問題を生じる場合がある。
【特許文献1】特開平8−27490号公報
【特許文献2】特開2002−60796号公報
【特許文献3】特開平8−283794号公報
【特許文献4】特開平9−40547号公報
【特許文献5】特開2000−191513号公報
【特許文献6】特開2003−238993号公報
【特許文献7】特開平8−27489号公報
【特許文献8】特開2000−309795号公報
【特許文献9】特開平3−6297号公報
【特許文献10】特開平6−33097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、クリーミーな泡質で使用感、使用後の保湿効果(しっとり感)、起泡性および溶解性に優れ、そして生産性に優れた石鹸組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、特定のアルキレンオキシド誘導体、脂肪酸アルカリ金属塩、グリセリンおよび水を特定の比率で組み合わせることにより、目的とする石鹸組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明の石鹸組成物は、アルキレンオキシド誘導体(a)、脂肪酸アルカリ金属塩(b)、グリセリン(c)および水(d)を含む石鹸組成物であって、該アルキレンオキシド誘導体(a)が、式(I)で示される誘導体:
Gly−[O−(AO)(BO)−H] (I)
(式中、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基、(AO)はオキシプロピレン基(PO)とオキシエチレン基(EO)とを合計でmモル含有するオリゴマー部分であり、mは2〜100の値であり、そして該オリゴマー部分において、POとEOとの質量比(PO/EO)は3/2〜1/4である。BOは炭素数4のオキシアルキレン基であり、そしてnはBOの平均付加モル数であって、0.5〜5の値である。)であり、該石鹸組成物中に、該アルキレンオキシド誘導体(a)が0.01〜30質量%、該脂肪酸アルカリ金属塩(b)が40〜99質量%、該グリセリン(c)が0.01〜30質量%、そして該水(d)が0.01〜20質量%の割合で含有される。なお、BOで表される炭素数4のオキシアルキレン基とは、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基および/またはオキシテトラメチレン基を意味する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の石鹸組成物は、クリーミーな泡質で使用感、使用後の保湿効果(しっとり感)、起泡性および溶解性に優れ、そして生産性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の石鹸組成物は、下記のアルキレンオキシド誘導体(a)(以下、化合物a、a成分などという場合がある)、脂肪酸アルカリ金属塩(b)(以下、化合物b、b成分などという場合がある)、グリセリン(c)(以下、c成分などという場合がある)および水(d)(以下、d成分などという場合がある)を含み、必要に応じて添加剤などを含む。以下、これらについて順次説明する。
【0011】
(アルキレンオキシド誘導体(a))
本発明の石鹸組成物に用いられるグリセリン誘導体(a)は、グリセリンにプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドをそれぞれグリセリンに対して3〜150モル当量の割合で付加させた後に、ブチレンオキシドをグリセリンに対して1.5〜15モル当量の割合で付加させて得られる。すなわち、アルキレンオキシド誘導体(a)は、いったん、POとEOとの付加物を合成した後、ブチレンオキシドをブロック状で付加することにより得られる。
【0012】
プロピレンオキシド(PO)およびエチレンオキシド(EO)の質量比(PO/EO)は3/2〜1/4であり、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの付加形態は、ランダム状でもブロック状でもよい。より高い保湿効果を発揮するためには、ランダム状で付加することが好ましい。プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの質量比(PO/EO)が1/4未満の場合、生産性が低下する。3/2を超える場合、保湿効果が弱くなる。
【0013】
プロピレンオキシド(PO)およびプロピレンオキシド(EO)の平均付加モル数は、2〜100の範囲にあることが好ましい。POおよびEOの平均付加モル数が2未満であれば、良好な保湿効果を得ることができず、平均付加モル数が100を超えると、押し出し不良および型離れ不良が生じるおそれがある。
【0014】
炭素数4のアルキレンオキシド(BO)の平均付加モル数は、0.5〜5の範囲にあることが好ましい。BOの平均付加モル数が0.5未満であれば、クリーミーな泡質を得ることができず、平均付加モル数が5を超えると、良好な起泡性が得られにくくなる。
【0015】
炭素数4のアルキレンオキシドとしては、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド(テトラヒドロフラン)などが挙げられる。これらの中で、入手の容易さ、反応制御の容易さなどの点から、1,2−ブチレンオキシドが好ましい。
【0016】
通常、グリセリンにこれらのアルキレンオキシドを付加させる場合、アルカリ触媒、相関移動触媒、ルイス酸触媒などを用いて付加反応を行う。一般的には、水酸化カリウムなどのアルカリ触媒を用いることが好ましい。
【0017】
(脂肪酸アルカリ金属塩(b))
本発明の石鹸組成物に用いられる脂肪酸アルカリ金属塩(b)は、当業者が通常用いる方法で製造される。製造方法としては、例えば、油脂けん化法、脂肪酸中和法、メチルエステルけん化法などが挙げられ、製造時に使用する装置も連続式およびバッチ式のいずれでもよい。脂肪酸アルカリ金属塩を製造するために用いられる油脂、脂肪酸および脂肪酸の低級アルキルエステルとしては、当業者が通常石鹸の製造に用いる油脂などが挙げられる。例えば、牛脂、ヤシ油、パーム油、パーム核油、オリーブ油、コーン油、ヒマワリ油、ヒマシ油、またはこれらの油脂の硬化油、半硬化油などの油脂;これらの油脂を構成する脂肪酸;これらの脂肪酸のメチルエステル、エチルエステルなどの脂肪酸の低級アルキルエステル;およびこれらの混合物が挙げられる。
【0018】
これらの油脂などから石鹸を調製するためのアルカリ剤は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物が好ましい。
【0019】
さらに、石鹸組成物には、脂肪酸アルカリ金属塩と脂肪酸とを並存させることが一般的である。本発明においては、脂肪酸アルカリ金属塩を調製した後に脂肪酸を添加してもよいし、上記油脂と上記アルカリ剤とを反応させる時に、アルカリ剤の添加量を少なくして未反応の遊離脂肪酸を残存させてもよい。
【0020】
(グリセリン(c))
本発明の石鹸組成物に用いられるグリセリン(c)は、精製されたグリセリンまたは油脂およびグリセリン誘導体に由来する未精製のグリセリンのいずれを用いてもよい。グリセリンを添加することによって、a成分とグリセリンとの相乗効果により、優れた保湿効果が得られる。
【0021】
(水(d))
本発明の石鹸組成物に用いられる水(c)は、例えば加熱により含まれる水分を蒸発させるか、または別途水分を添加して水分量を規定の範囲内となるように調節してもよい。これらの中で、加熱して水分量を調節する方が好ましい。
【0022】
(添加剤)
本発明の石鹸組成物に含まれ得る添加剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤などの各種活性剤;シリカ、タルク、カオリン、酸化チタン、セリライト、マイカなどの鉱物系粉末化物;シャクヤクエキス、ムクロジエキス、シソエキス、ヨクイニンエキス、トウキエキスなどの天然植物エキス類;セルロース末、各種油性剤などの泡質改善剤;グリセリンカルボン酸エステル、ポリグリセリンまたはその誘導体、ソルビトール、プロピレングリコールなどのポリオール類;リン脂質またはその誘導体、スクワラン、カチオンポリマーなどの保湿剤;結晶セルロース、モモ核、アンズ核、トウモロコシ穂軸、マンナンなどのスクラブ剤;トコフェノール、ビタミンCまたはその誘導体などの抗酸化剤;ヒドロキシエタンジスルホン酸またはその塩、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、クエン酸またはその塩などのキレート剤;活性炭;各種色素;顔料;香料などが挙げられる。これらの添加剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内で石鹸組成物に含有させることができる。
【0023】
(石鹸組成物)
本発明の石鹸組成物は、上述のように、アルキレンオキシド誘導体(a成分)脂肪酸アルカリ金属塩(b成分)、グリセリン(c成分)および水(d成分)を特定の割合で含み、必要に応じて添加剤などを含む。
【0024】
a成分は、石鹸組成物に0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%の割合で含まれる。0.01質量%未満の場合は、使用感、泡質および溶解性が悪くなり、さらに生産性に悪影響を及ぼす。30質量%を超える場合は、起泡性が悪くなる。a成分は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0025】
b成分は、石鹸組成物に40〜99質量%、好ましくは50〜99質量%、さらに好ましくは60〜98質量%の割合で含まれる。40質量%未満の場合は、起泡性が悪くなる。99質量%を超える場合は、使用感(しっとり感)および溶解性が悪くなる。b成分は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0026】
c成分は、石鹸組成物に0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜10質量%の割合で含まれる。0.01質量%未満の場合は、使用感(しっとり感)悪くなり、石鹸素地のまとまりが低下することによる石鹸の生産性および歩留まりの低下を招く。さらに、a成分との相乗効果も得られない。30質量%を超える場合は、石鹸素地の粘度の増加、固形成の低下、特定環境におけるグリセリンのしみ出しによる汗かき現象などにより、生産性および歩留まりの低下を招く。
【0027】
d成分は、石鹸組成物に0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜15質量%の割合で含まれる。0.01質量%未満の場合は、固形化する時の成型性が低下し生産性の低下を招く。20質量%を超える場合は、石鹸素地の粘度の増加、ふやけ、固形性の低下、ブロッキングなどにより生産性および歩留まりの低下を招く。
【0028】
本発明の石鹸組成物は、固形石鹸として用いてもよく、粉砕工程および乾燥工程を経て粉末石鹸として用いてもよい。さらに、本発明の石鹸組成物は、身体用および洗顔用にも用いることができる。
【実施例】
【0029】
次に実施例によって、本発明をさらに詳細に説明する。
【0030】
(合成例1)ポリオキシブチレン(BO)(5モル)ポリオキシエチレン(EO)(10モル)ポリオキシプロピレン(PO)(10モル)グリセリンエーテル(EOとPOとのランダム付加物)の合成
グリセリン92gと触媒としての水酸化カリウム6gとをオートクレーブ容器中に仕込んだ。容器内の空気を乾燥窒素で置換した後、撹拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次いで、滴下装置でエチレンオキシド440gとプロピレンオキシド570gとの混合物を容器中に滴下し、2時間撹拌した。次いで、ブチレンオキシド360gを容器中に滴下し、さらに2時間撹拌し反応させた。反応後、容器から反応物を採取し、塩酸でpH6.5に調整した。次いで、水分を除去するために0.095MPa(ゲージ圧)まで減圧して、100℃で1時間処理した。次いで、塩を除去するためにろ過して目的の化合物a1を得た。
【0031】
(合成例2)
合成例1と同様にして、a成分として化合物a2を合成した。化合物a1および化合物a2の組成を表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
(比較合成例1)ポリオキシブチレン(BO)(5モル)ポリオキシエチレン(EO)(5モル)ポリオキシプロピレン(PO)(18モル)グリセリンエーテル(EOとPOとのランダム付加物)の合成
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの使用モル数を変えた以外は、合成例1と同様の方法で化合物a’(m=7.7、n=1.7、PO/EO=6.5/1)を得た。
【0034】
(実施例1)
5L双腕式混練機(入江商会(株)製PNV−5型)を用いてパーム油部分硬化脂肪酸(上昇融点46℃)700gおよびヤシ油脂肪酸(日本油脂(株)製、「ヤシ脂肪酸」)300gを70℃で溶解した。次いで28質量%水酸化ナトリウム水溶液(キシダ化学(株)製、「試薬特級水酸化ナトリウム」に蒸留水を加え28質量%にした)を、上記の脂肪酸混合物と等モルとなるように用いて中和した。中和点はフェノールフタレイン指示液を用いて微紅色であることを確認した。次いで、ステアリン酸(日本油脂(株)製、「NAA−180」)を純石鹸分に対して2質量%添加して過脂肪酸とした。得られた生成物(ニートソープ)に合成例1で調製したアルキレンオキシド誘導体(化合物a1)およびグリセリン(日本油脂(株)製、「RG」)を表2に示す割合となるように添加した。次いで、水分量が10%になるまで加熱しながら撹拌し、石鹸素地を得た。この石鹸素地を型打ち機により型打ちし、固形石鹸を得た。
【0035】
得られた石鹸について、(1)使用感、(2)起泡性、(3)泡質、(4)溶解性、(5)保湿性および(6)生産性の評価を下記の方法で行った。
【0036】
(1)使用感
10名の女性(10〜30代)をパネラーとして、得られた石鹸を使用してもらった。使用感について、下記の基準で判定してもらった。
2点:つっぱり感およびぬめり感を感じず、良好な洗い上がりであると感じた場合。
1点:わずかにつっぱり感およびぬめり感を感じた場合。
0点:強いつっぱり感およびぬめり感を感じた場合。
10名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が14〜20点(使用感が良好な石鹸)
△:合計点が7〜13点 (使用感が普通である石鹸)
×:合計点が0〜6点 (使用感が悪い石鹸)
【0037】
(2)起泡性
10名の女性(10〜30代)をパネラーとして、得られた石鹸を手に取って泡立ててもらった。泡立てた時の起泡性について、下記の基準で判定してもらった。
2点:泡が速やかにかつ豊かに立ち、起泡性が良好であると感じた場合。
1点:豊かに泡立つまでに若干時間を要すると感じた場合。
0点:泡立つまでに非常に時間を要し、泡量も豊かでないと感じた場合。
10名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が14〜20点(起泡性が良好な石鹸)
△:合計点が7〜13点 (起泡性が普通である石鹸)
×:合計点が0〜6点 (起泡性が悪い石鹸)
【0038】
(3)泡質
10名の女性(10〜30代)をパネラーとして、得られた石鹸を手に取って泡立ててもらった。泡立てた時の泡質について、下記の基準で判定してもらった。
2点:非常にクリーミーな泡質であると感じた場合。
1点:少しクリーミーではあるが、よりクリーミーであることが望ましいと感じた場合。
0点:クリーミーではないと感じた場合。
10名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が14〜20点(泡質がクリーミーな石鹸)
△:合計点が7〜13点 (泡質が普通である石鹸)
×:合計点が0〜6点 (泡質が悪い石鹸)
【0039】
(4)溶解性
10名の女性(10〜30代)をパネラーとして、得られた石鹸を手に取って溶かしてもらった。溶かした時の溶解性について、下記の基準で判定してもらった。
2点:容易に溶解することができ、溶け残りがない場合。
1点:時間をかければすべて溶解し、溶け残りがない場合。
0点:溶けにくく、時間をかけても溶け残りがある場合。
10名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が14〜20点(溶解性が良好な石鹸)
△:合計点が7〜13点 (溶解性が普通である石鹸)
×:合計点が0〜6点 (溶解性が悪い石鹸)
【0040】
(5)保湿性
10名の女性(10〜30代)をパネラーとして、石鹸を手に取って泡立ててもらった。次いで流水で十分にすすぎ、タオルで水分を拭き取った後の状態について、下記の基準で判定してもらった。
2点:しっとりとした保湿感を感じた場合。
1点:わずかに保湿感を感じた場合。
0点:保湿感を感じなかった場合。
10名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が14〜20点(保湿効果に優れた石鹸)
△:合計点が7〜13点 (保湿効果が普通である石鹸)
×:合計点が0〜6点 (保湿効果が悪い石鹸)
【0041】
(6)生産性
石鹸素地を押し出し機および型打ち機を用いて成型した時の成型のし易さ(生産性)について、下記の基準で判定した。
○:ひび、割れおよび型離れに問題がなく、生産性が良好である。
△:ひび、割れおよび型離れにやや問題があり、生産性にわずかに影響を及ぼす。
×:ひび、割れおよび型離れに問題があり、生産性に悪影響を及ぼす。
【0042】
結果を表2に示す。
【0043】
(実施例2および3)
実施例1と同様にして、表2に示す各成分を表2に示す割合で配合した。得られた固形石鹸について、実施例1と同様にして、上記(1)〜(6)の評価を行った。結果を表2に示す。
【0044】
(比較例1および2)
比較例1では、a成分のアルキレンオキシド誘導体を用いず、そして比較例2では本発明に用いられるアルキレンオキシド誘導体とは異なる比較合成例1で調製したアルキレンオキシド誘導体(化合物a’)を用いた以外は、実施例1と同様にして、表2に示す各成分を表2に示す割合で配合した。得られた固形石鹸について、実施例1と同様にして、上記(1)〜(6)の評価を行った。結果を表2に示す。
【0045】
【表2】

【0046】
本発明の石鹸組成物(固形石鹸)は、クリーミーな泡質で使用感、使用後の保湿効果(しっとり感)、起泡性および溶解性に優れ、そして生産性に優れていた。
【0047】
一方、比較例1および2では、十分な性能が得られなかった。比較例1では、a成分が含まれていないため、使用感、泡質、溶解性および保湿効果が悪く、生産性も良いとはいえなかった。比較例2では、a成分と異なるグリセリン誘導体が含まれているため、使用感、起泡性、泡質、溶解性および保湿効果十分ではなく、さらに生産性が悪かった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の石鹸組成物は、クリーミーな泡質で使用感に優れ、かつ使用後はしっとりとし、保湿効果に優れており、さらに生産性にも優れているので、固形石鹸などに利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキレンオキシド誘導体(a)、脂肪酸アルカリ金属塩(b)、グリセリン(c)および水(d)を含む石鹸組成物であって、
該アルキレンオキシド誘導体(a)が、式(I)で示される誘導体:
Gly−[O−(AO)(BO)−H] (I)
(式中、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基、(AO)はオキシプロピレン基(PO)とオキシエチレン基(EO)とを合計でmモル含有するオリゴマー部分であり、mは2〜100の値であり、そして該オリゴマー部分において、POとEOとの質量比(PO/EO)は3/2〜1/4である。BOは炭素数4のオキシアルキレン基であり、そしてnはBOの平均付加モル数であって、0.5〜5の値である。)であり、
該石鹸組成物中に、該アルキレンオキシド誘導体(a)が0.01〜30質量%、該脂肪酸アルカリ金属塩(b)が40〜99質量%、該グリセリン(c)が0.01〜30質量%、そして該水(d)が0.01〜20質量%の割合で含有される、石鹸組成物。

【公開番号】特開2006−206807(P2006−206807A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−23007(P2005−23007)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000004341)日本油脂株式会社 (896)
【Fターム(参考)】