説明

研削加工方法及び研削加工装置

【課題】加工条件の設定が不適切な場合でも、継続的に研削作業を行えるようにする。
【解決手段】砥石24を回転駆動し、砥石24をワーク1に対して切込み送りすると共に砥石駆動モータ26の研削電力を電力検出回路32により検出し、この検出電力が予め設定された電力値であって非常停止電力値Pmよりも低い送り停止電力値P1に達すると、砥石24を回転駆動させた状態で切込み送りのみを停止させ、その後に検出電力値が予め設定された電力値であって送り停止電力値P1よりも低い送り再開電力値P2まで低下すると、砥石24の切込み送りを再開させるように、NC装置35により砥石24の切込み送り動作を制御するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削加工装置における研削加工方法、及び研削加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
研削加工では、ワークと砥石の関係に応じて適切に研削を行えるように砥石等の回転速度や切込み送り速度等の加工条件を定めるが、加工条件が不適切なために砥石の焼き付き等のトラブルを招くケースも希に見られる。この場合、砥石の焼き付き等が発生したまま加工動作を続けると、装置全体に致命的な損傷を与えるおそれがある。
【0003】
そこで、従来では、砥石駆動用モータの消費電力(回転負荷)を測定すると共に、その許容消費電力値を予め定めておき、測定電力値がその最大値(異常検知用の閾値)を超えると、安全のために強制的に装置を全停止させて、メンテナンス等を行うようにしている。
【特許文献1】特開平4−141364号公報(従来技術の欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最適な加工条件を定めることは経験等を要するため非常に難しく、加工実績の無いワークを従来のような装置で加工すると、強制的に装置が全停止されるケースが少なくない。従って、例えば多品種少量生産に対応する場合には、装置の強制停止と加工条件の修正を繰り返す試行錯誤的な作業となる場合もあり、加工実績の無いワークを円滑に加工することが難しいという課題がある。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みて成されたものであり、加工条件の設定が適切でない場合でも継続的な加工を可能とし、多品種少量生産にかかるワークの加工をより円滑に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の研削加工方法は、砥石を回転駆動し、この砥石とワークとを切込み方向に相対送りすることにより前記ワークを加工すると共にその加工中に砥石の回転負荷を検出し、検出負荷が予め設定された異常検知用の閾値に達した場合に所定の非常停止動作を実行する研削加工方法において、前記異常検知用の閾値よりも低い第1閾値を予め定めておき、砥石の前記相対送りに伴い前記検出負荷が前記第1閾値に達すると、砥石を回転駆動した状態で前記相対送りのみを一旦停止させた後、再開させるようにしたものである。なお、「相対送りのみを一旦停止させ」とは、ワークに砥石を押付けた状態で前記相対送りを一旦停止させる場合の他、ワークから砥石を引き離すことにより前記相対送りを一旦停止させる場合の双方の意味を包含する意味である。
【0007】
このように回転負荷が異常検知用の閾値に達する前に砥石の相対送り(切込み送り)のみを一旦停止させた後、再開させるようにすれば、加工条件が多少適切でない場合でも、装置が非常停止動作に移行されるのを回避しながら継続的に研削加工を行うことが可能となる。すなわち、例えば相対送り速度が速過ぎるような場合には、砥石の相対送りに対して砥石の切込みが追い付かないため、そのままでは直ぐに検出負荷が異常検知用の閾値に達して装置が非常停止動作に移行される。しかし、異常検知用の閾値よりも低い第1閾値まで検出負荷が上昇した時点で、砥石を回転駆動した状態で相対送りのみを一旦停止させてやれば、この停止期間中に加工が進行して回転負荷が低下し、これによって検出負荷が異常検知用の閾値に達するのを避けることができる。従って、検出負荷が第1閾値に達する度に砥石の相対送りを一旦停止させながら研削加工を進めることで、加工条件が多少適切でない場合でも、装置を非常停止動作に移行させることなくワークを継続的に加工することができる。なお、ワークから砥石を引き離すことにより前記相対送りを一旦停止させる場合には、この引き離しによって回転負荷が低下する。従って、この場合も同様に、装置を非常停止動作に移行させることなくワークを継続的に加工することが可能となる。
【0008】
砥石の相対送りを停止させる場合には、例えば一定時間だけ相対送りを停止させるようにしてもよいが、この場合には、回転負荷が充分に下がる前に砥石の相対送りが再開される結果、砥石の相対送りを頻繁に停止させる必要が生じるおそれがある。そのため、上記方法においては、前記第1閾値よりも低い第2閾値を予め定めておき、前記検出負荷が前記第1閾値に達することにより砥石の前記相対送りを停止させた後、前記検出負荷が前記第2閾値まで低下すると砥石の前記相対送りを再開させるようにするのが好ましい。
【0009】
つまり、回転負荷が充分に下がる前に砥石の相対送りを再開させると、相対送り再開後、回転負荷が短期間で第1閾値に達し、結果的に、砥石の相対送りを頻繁に停止させる必要が生じるが、上記方法によれば、砥石の回転負荷を一定の値(第2閾値)まで確実に下げた状態で砥石の相対送りを再開させることができるため、そのような不都合を解消することができる。
【0010】
なお、砥石の目詰まりによりその切れ味の低下が進むと、この場合にも、砥石の相対送り再開後、短期間で回転負荷が第1閾値に達し、結果的に、砥石の相対送りを頻繁に停止させる必要が生じる。従って、このような不都合を回避するために、上記の方法においては、砥石の前記相対送りを再開させた後に、前記検出負荷が予め設定された回数だけ第1閾値に達した場合には、前記砥石をドレスし、その後に砥石の前記相対送りを再開させるのが好適である。
【0011】
一方、本発明に係る研削加工装置は、砥石を回転駆動する砥石駆動手段と、その回転負荷を検出する負荷検出手段と、前記砥石とワークとを切込み方向に相対送りする切込み送り駆動手段と、前記各駆動手段を制御することにより前記ワークを加工する共に当該加工中に、前記負荷検出手段による検出負荷が予め設定された異常検知用の閾値に達した場合に所定の非常停止動作を実行する駆動制御手段とを備え、この駆動制御手段が、前記検出負荷が予め設定された閾値であって異常検知用の閾値よりも低い第1閾値に達すると、砥石を回転駆動した状態で前記相対送りのみを一旦停止させた後、再開させるように構成されるものである。
【0012】
より具体的に、前記駆動制御手段は、前記検出負荷が前記第1閾値に達することにより砥石の前記相対送りを停止させた後、前記検出負荷が予め設定された閾値であって前記第1閾値よりも低い第2閾値まで低下すると砥石の前記相対送りを再開させるように構成されているものである。
【0013】
また、前記砥石の砥石面をドレス可能なドレス工具と、このドレス工具と前記砥石とをドレス送り方向に相対送りするドレス送り駆動手段とを含むドレス手段を備え、前記駆動制御手段が、砥石の前記相対送りを再開した後に、前記検出負荷が予め設定された回数だけ第1閾値に達した場合には、前記ドレス送り駆動手段を制御することにより前記ドレス工具により砥石面をドレスし、その後に砥石の前記相対送りを再開させるように構成される。
【0014】
これらの研削加工装置によれば、上記のような研削加工方法に基づいて良好にワークを加工することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の研削加工方法、及び研削加工装置によると、設定された砥石の相対送り速度が多少速い場合等、加工条件が適切でない場合でも、装置が非常停止動作に移行されるのを回避しながら継続的に研削加工を行うことが可能となる。従って、多品種少量生産にかかるワーク等、加工実績の無いワークを加工する場合でも、研削加工を円滑に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の好ましい実施の形態について図面を用いて説明する。この実施の形態では円筒状のワーク1の端面を研削する平面研削に本発明を適用したものを示すが、本発明はワーク内周面を研削する内面研削やワーク外周面を研削する円筒研削にも適用可能である。
【0017】
図1は、本発明に係る研削加工装置を側面図で概略的に示している。この図に示す研削加工装置は、その基台上に、ワーク1を支持するワーク支持ベッド10と、砥石車22を有するホイールヘッド20、ドレス装置30とを備えている。
【0018】
ワーク支持ベッド10には、ワーク1を保持(固定)するための例えば電磁チャック14を先端(上端)に備えた主軸12が設けられている。主軸12は、図外の主軸駆動モータを駆動源とする駆動機構に連結されており、電磁チャック14により吸着保持したワーク1と一体にワーク支持ベッド10に対して回転駆動されるようになっている。
【0019】
なお、ワーク1は、当実施形態では、例えばクロスローラガイドベアリング等のベアリングレース(外輪)であり、主軸12と同心円上に配置された状態で前記電磁チャック14により保持されている。
【0020】
前記ホイールヘッド20は、基台上に立設される図外のコラムを介して前記ワーク支持ベッド10の上方に配置されている。ホイールヘッド20には、主軸12と平行な砥石軸22が設けられ、この砥石軸22の先端部に砥石24が固定されている。この砥石24は、ワーク1(ベアリングレース(外輪))の端面を研削するための平坦な砥石面を有するカップ側又は平型等の砥石車であり、ホイールヘッド20に内蔵される砥石駆動モータ26の作動により砥石軸22と一体に高速で回転駆動されるようになっている。
【0021】
ホイールヘッド20は、砥石軸22と平行な方向である切込み方向、及びこれと直交する方向(図1では左右方向)に移動可能に設けられている。詳しくは、上記コラムには、水平駆動モータ28の作動により水平方向に移動するテーブル27が設けられており、このテーブル27に対して前記ホイールヘッド20が上下方向に移動可能に支持されると共に送り駆動モータ29により駆動されるようになっている。つまり、砥石軸22及び砥石24が高速で回転駆動され、その回転駆動状態で砥石24がホイールヘッド20と共にテーブル27に対して下降、つまり切込み送りされることで、前記砥石24がワーク1に押付けられてその端面を研削するようになっている。
【0022】
前記ドレス装置30は、基台上であって前記ワーク支持ベッド10の側方位置に固定的に配置されている。ドレス装置30は、ドレス用砥石が固定されたドレス(ドレッシング)工具2を有しており、ドレス装置30上方にホイールヘッド20を移動させた状態で、該ホイールヘッド20の移動に伴い砥石面に沿って前記ドレス工具2をトレースさせることにより、該砥石面をドレス可能となっている。すなわち、当実施形態では、ホイールヘッド20を移動させるための前記水平駆動モータ28等を含む移動機構が本発明に係るドレス送り駆動手段として機能する。
【0023】
なお、ホイールヘッド20には、前記砥石駆動モータ26の消費電力(研削電力)、すなわち砥石24の回転駆動トルク(回転負荷)に対応する値を検出する電力検出回路32(本発明に係る負荷検出手段に相当する)が接続されている。この電力検出回路32の検出信号はNC装置35に入力される。
【0024】
NC装置35(本発明に係る制御手段に相当する)は、砥石24の回転速度、送り速度、及びワーク1の回転速度等、オペレータにより設定された運転条件に基づき、予め記憶されているプログラムに従って所定の研削動作を実行するように、ワーク支持ベッド10やホイールヘッド20等の動作を統括的に制御するもので、本発明に関連する機能構成としてモータ制御部36、判断部37及び記憶部38等を含んでいる。
【0025】
モータ制御部36は、前記モータ26,28,29等の駆動を制御するものである。判断部37は、前記電力検出回路32から入力される検出信号(検出電力値)と予め記憶部38に記憶されている閾値との比較に基づきホイールヘッド20等に所定の動作を行わせるべく前記モータ制御部36に制御信号を出力するものである。記憶部38は、検出電力値に対する前記閾値等のデータを記憶するもので、具体的には、強制的に装置を全停止させるための非常停止電力値Pm(本発明に係る異常検出用の閾値)、この値電力値Pmよりも若干低い値である送り停止電力値P1(本発明に係る第1閾値)、この電力値P1よりさらに低い値であってかつ研削中の標準的な電力値よりも若干高い値に設定される送り再開電力値P2(本発明に係る第2閾値及び第3閾値)等のデータが記憶されている。
【0026】
以下、このNC装置35の制御動作について図2のグラフを参照しながら説明する。
【0027】
まず、水平駆動モータ28等の作動によりテーブル27等が移動し、チャック14により保持されたワーク1の上方位置であって砥石面と被研削面との間に所定の隙間を隔てた位置(図1に示す位置)に砥石24が配置された後、砥石駆動モータ26の作動により砥石軸22及び砥石24が一体に回転駆動される共に、主軸駆動モータの作動によりワーク1が主軸12と一体に回転駆動される。
【0028】
砥石24及びワーク1の回転が安定すると、送り駆動モータ29の作動により砥石24(ホイールヘッド20)の切込み方向への移動が開始され、砥石24がワーク1に接触することにより加工が開始される。
【0029】
砥石24がワーク1に接触すると、砥石24の回転負荷が増加するため電力検出回路32による検出電力値は図2中に実線で示すように急激に上昇する。ここで、砥石24は、一定速度で切込み送りされているため、運転条件が適正で、砥石24の切込み送りが安定的に行われている場合には、砥石24の回転負荷はある時点(t0時点)から略一定となり、従って、図2中の一点鎖線に示すように検出電力値も該時点から略一定の電力値を保って推移する。この場合には、NC装置35は、設定された送り速度を保つように砥石24の送り動作を制御する。
【0030】
これに対し、運転条件が適正ではかった場合、例えば設定された砥石24の送り速度が速すぎた場合には、砥石24の送りに対してワーク1の研削が追い付かないため砥石24の回転負荷は上昇し続ける。従って、検出電力値も横這いとはならず、同図中に実線で示すように上昇を続けることとなる。この場合、検出電力値が予め記憶されている上記送り停止電力値P1に達すると、NC装置35は、送り駆動モータ29を停止し、砥石24を回転駆動したままで砥石24の送り動作のみを停止させる(t1時点)。このように砥石24を回転駆動したままその送りのみを停止させると、その停止期間中に、加工が徐々に進行して回転負荷が低下し、これに伴い検出電力値も低下することとなる。
【0031】
こうして検出電力値が予め設定された上記送り再開電力値P2まで低下すると、NC装置35は、送り駆動モータ29を作動させて砥石24の送りを再開する(t2時点)。
【0032】
そして、以後同様に、NC装置35は、電力検出回路32による検出電力値の変動に応じて、前記送り停止電力値P1、及び送り再開電力値P2を基準に砥石24の送り動作の停止、及び送り動作の再開を繰り返しながら(t3,t4時点等)、最終的に切込み終端位置まで砥石24を切込み送りする。これにより当該ワーク1の研削加工を行う。
【0033】
上記のようなワーク1の研削加工中、検出電流値が送り停止電力値P1に達した後、送り再開電力値P2を下回り、砥石24の送りを再開した後に、予め設定された回数(例えば2回)だけ送り停止電力値P1に達した場合には、NC装置35は、前記テーブル27等を駆動制御することにより砥石24をドレス装置30上に配置すると共に、砥石24の砥石面にドレス工具2を接触させ、この状態でドレス工具2に対して砥石24を所定のドレス送り方向に送ることにより砥石24をドレスし、ドレス後は、砥石24をドレス開始前の送り位置に戻すことにより、当該送り位置から砥石24の送り動作を再開させる。
【0034】
なお、同図中に二点鎖線で示すように、研削加工中、検出電力値が送り停止電力値P1に達した後(t3時点)、砥石24の送り動作を停止させても検出電力値が上昇し続け、該電力値が予め設定された非常停止電力値Pmに達した場合には、NC装置35は、砥石駆動モータ26、主軸駆動モータ、及び送り駆動モータ29を停止させ、これにより装置を強制的に全停止させると共に、図外の表示器を介してオペレータに異常発生を報知する。
【0035】
このように上記の研削加工装置では、砥石24の切込み送り動作中に砥石駆動モータ26の消費電力(研削電力)を検出し、その検出電力値が非常停止電力値Pmに達する前に、砥石24の切込み送り動作のみを一旦停止させて検出電力値の上昇を抑え、検出電力値が一定値(送り再開電力値P2)まで下がるのを待って砥石24の切込み送りを再開させることにより、砥石の送り速度が適切でない場合でも、装置が全停止に至るのを回避してワーク1の研削加工を行い得るようにしている。従って、加工実績の無いワークを対象とする場合等、加工条件が適切でなかったような場合でも、強制的に装置が全停止されて作業が中断するといった不都合を回避しつつワーク1を加工することが可能となる。
【0036】
特に、この研削加工装置では、送り再開電力値P2を予め設定しておき、砥石24の送り動作を停止させた後、検出電力値が送り再開電力値P2まで低下するのを待って送り動作を再開させるので、砥石24の送り動作が頻繁に停止されるといった不都合を回避して、ワーク1の研削加工を円滑に進めることができるという利点がある。すなわち、砥石24の送り動作停止後、一定時間経過後に送り動作を再開させるようにしてもよいが、この場合には、検出電力値(回転負荷)が充分に低下する前に送り動作が再開されることが考えられる。このような場合には、送り動作再開後、電出電力値が短期間で送り停止電力値P1に達して再び送り動作が停止され、結果的に、砥石24の相対送りが頻繁に停止されることとなる。これに対し、上記方法によれば、検出電力値(回転負荷)を所定値(送り再開電力値P2)まで確実に低下させた状態で砥石24の送り動作を再開させるため、上記のような不都合を回避することができ、ワーク1の研削加工を円滑に進めることが可能となる。
【0037】
なお、上記のように砥石24の送り動作を一時的に停止させながらワーク1の研削加工を進めると、その繰り返しによって目詰まり等が改善され一旦低下した砥石24の切れ味が回復する場合がある。従って、このような場合には、砥石24のドレス回数を削減することが可能となり、その分、ワーク1の研削加工をより円滑に進めることが可能となる。
【0038】
ところで、以上説明した研削加工装置(研削加工方法)は、本発明に係る研削加工装置(研削加工方法)の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成(方法)は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0039】
例えば、実施形態では、検出電力値が送り停止電力値P1に達した場合には、その時点の送り位置で砥石24の送り動作を停止させるようにしているが、例えば砥石24を一定量だけ後退させ、これにより送り動作を停止させるようにしてもよい。この場合も、砥石24の送り動作中に検出電力値(研削負荷)を低下させることができるので、上記実施形態と同様の効果を享受することが可能となる。
【0040】
また、実施形態では、砥石24の送り動作停止後、検出電力値が送り再開電力値P2まで低下するのを待って送り動作を再開させるようにしているが、上記した通り、砥石24の送り動作停止後、一定時間経過後に送り動作を再開させるようにしてもよい。但し、その場合には、上述したような不都合、つまり砥石24の送り動作が短時間で頻繁に停止するといった不都合を回避するために適切な時間設定を行うのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る研削加工装置(本発明に係る研削加工方法が実施される研削加工装置)の概略構成図である。
【図2】前記研削加工装置による研削加工における砥石駆動モータの研削電力の時間変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0042】
1 ワーク
10 ワーク支持ベッド
12 主軸
20 ホイールヘッド
24 砥石
26 砥石駆動モータ
30 ドレス装置
32 電力検出回路
35 NC装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砥石を回転駆動し、この砥石とワークとを切込み方向に相対送りすることにより前記ワークを加工すると共にその加工中に砥石の回転負荷を検出し、検出負荷が予め設定された異常検知用の閾値に達した場合に所定の非常停止動作を実行する研削加工方法において、
前記異常検知用の閾値よりも低い第1閾値を予め定めておき、砥石の前記相対送りに伴い前記検出負荷が前記第1閾値に達すると、砥石を回転駆動した状態で前記相対送りのみを一旦停止させた後、再開させることを特徴とする研削加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載の研削加工方法において、
前記第1閾値よりも低い第2閾値を予め定めておき、前記検出負荷が前記第1閾値に達することにより砥石の前記相対送りを停止させた後、前記検出負荷が前記第2閾値まで低下すると砥石の前記相対送りを再開させることを特徴とする研削加工方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の研削加工方法において、
砥石の前記相対送りを再開させた後に、前記検出負荷が予め設定された回数だけ第1閾値に達した場合には、前記砥石をドレスし、その後に砥石の前記相対送りを再開させることを特徴とする研削加工方法。
【請求項4】
砥石を回転駆動する砥石駆動手段と、その回転負荷を検出する負荷検出手段と、前記砥石とワークとを切込み方向に相対送りする切込み送り駆動手段と、前記各駆動手段を制御することにより前記ワークを加工する共に当該加工中に、前記負荷検出手段による検出負荷が予め設定された異常検知用の閾値に達した場合に所定の非常停止動作を実行する駆動制御手段と、を備え、
この駆動制御手段は、前記検出負荷が予め設定された閾値であって異常検知用の閾値よりも低い第1閾値に達すると、砥石を回転駆動した状態で前記相対送りのみを一旦停止させた後、再開させることを特徴とする研削加工装置。
【請求項5】
請求項4に記載の研削加工装置において
前記駆動制御手段は、前記検出負荷が前記第1閾値に達することにより砥石の前記相対送りを停止させた後、前記検出負荷が予め設定された閾値であって前記第1閾値よりも低い第2閾値まで低下すると砥石の前記相対送りを再開させることを特徴とする研削加工装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の研削加工装置において
前記砥石の砥石面をドレス可能なドレス工具と、このドレス工具と前記砥石とをドレス送り方向に相対送りするドレス送り駆動手段とを含むドレス手段を備え、
前記駆動制御手段は、砥石の前記相対送りを再開した後に、前記検出負荷が予め設定された回数だけ第1閾値に達した場合には、前記ドレス送り駆動手段を制御することにより前記ドレス工具により砥石面をドレスし、その後に砥石の前記相対送りを再開させることを特徴とする研削加工装置。

【図1】
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【図2】
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