説明

研磨方法及び研磨装置

【課題】表面に膜が形成されていない、例えば反応性半導体単体からなるベア基板であっても、基板表面を研磨するのと同時に基板表面のダメージ量を測定することで、研磨の進行状態を監視しながら研磨できるようにする。
【解決手段】研磨中に、光電流式ダメージ量測定方式、フォトルミネッセンス光式ダメージ量測定方式、及びラマン光式ダメージ量測定方式の少なくとも一つのダメージ量測定方式を用いて基板表面のダメージ量を測定し、該基板表面のダメージ減少量から研磨の進行状態を監視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨方法及び研磨装置に係わり、特にSiCやGaNからなる単体基板や、SiCやGaNを載せた接合基板(エピタキシャル基板)等の基板の表面(被加工面)を平坦に研磨しながら、研磨の進行状態を監視して、研磨終点(研磨停止又は研磨条件の変更)等のタイミングを決定するようにした研磨方法及び研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体デバイスの高集積化に伴う配線の微細化、及び多層化の要求によって、半導体ウェハ等の基板の表面に形成した金属膜等の膜表面の高い平坦度が要求されている。このため、基板表面に形成した膜表面の凹凸を化学機械研磨(CMP)により除去して平坦化することが広く行われている。化学機械研磨においては、所定の研磨を行った後に、所望の位置で研磨を終了させるため、膜の研磨中に膜の研磨状態を監視する必要がある。このため、基板表面に形成した導電性の金属膜に誘導磁場を与え、膜表面に発生する渦電流の減衰量を渦電流センサで検知して金属膜の膜厚を測定することで、研磨状態を監視することが一般に行われている。
【0003】
また、出願人らは、基板表面に形成された膜の表面(被研磨面)に光を照射し、該表面からの反射光を分光器でスペクトル分解し、得られたスペクトルデータから膜の厚さを測定することで、研磨状態を監視することを提案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−154928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、ベア基板と呼ばれる半導体単体からなる基板の作製工程では、インゴットと呼ばれる半導体材料の塊を基板状に切断加工した後に、基板表面のダメージ除去を目的とした研磨が行われる。しかしながら、従来例にあっては、その測定原理から、基板表面に形成した膜の除去や該膜表面の平坦化を目的とする研磨の進行状態を監視することができるものの、ベア基板等の膜を有さない基板表面のダメージ除去を目的とする研磨を行いながら研磨の進行状態を監視することはできない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて為されたもので、表面に膜が形成されていない、例えば半導体単体からなるベア基板であっても、基板表面を研磨するのと同時に基板表面のダメージ量を測定することで、研磨の進行状態を監視しながら研磨できるようにした研磨方法及び研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、処理液の存在下で、光透過性研磨具と基板表面とを互いに接触させつつ相対運動させて基板表面を研磨する研磨方法において、基板表面に励起光を照射した時に基板と研磨具に設けた金属配線とを繋ぐ導線に流れる電流値を測定して基板表面のダメージ量を測定する光電流式ダメージ量測定方式、基板表面に励起光を照射した時に該表面から放出されるフォトルミネッセンス光を測定して基板表面のダメージ量を測定するフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定方式、及び基板表面に可視の単色光を照射して該表面からの反射光に含まれるラマン光を測定して基板表面のダメージ量を測定するラマン光式ダメージ量測定方式の少なくとも一つのダメージ量測定方式を用いて基板表面のダメージ量を測定し、該基板表面のダメージ減少量から研磨の進行状態を監視することを特徴とする研磨方法である。
【0008】
このように、光電流式ダメージ量測定方式、フォトルミネッセンス光式ダメージ量測定方式、及びラマン光式ダメージ量測定方式の少なくとも一つのダメージ量測定方式を用いることで、表面に膜が形成されていない、例えば半導体単体からなるベア基板であっても、基板表面を研磨するのと同時に基板表面のダメージ量を測定して、基板表面のダメージ減少量から研磨の進行状態を監視することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、処理液の存在下で、基板表面に励起光を照射し、同時に基板にバイアス電位を印加して基板表面に酸化物を形成し、基板表面に形成された酸化物と研磨具とを互いに接触させつつ相対運動させて酸化物を研磨除去しながら、基板表面に励起光を照射した時に該表面から放出されるフォトルミネッセンス光を測定して基板表面のダメージ量を測定するフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定方式、及び基板表面に可視の単色光を照射して該表面からの反射光に含まれるラマン光を測定して基板表面のダメージ量を測定するラマン光式ダメージ量測定方式の少なくとも一方のダメージ量測定方式を用いて基板表面のダメージ量を測定し、該基板表面のダメージ減少量から研磨の進行状態を監視することを特徴とする研磨方法である。
【0010】
基板にバイアス電位を印加して基板表面に酸化物を形成しながら基板表面の研磨を行う場合には、フォトルミネッセンス光式ダメージ量測定方式及びラマン光式ダメージ量測定方式の少なくとも一方のダメージ量測定方式を用いることで、基板表面を研磨するのと同時に基板表面のダメージ量を測定して、基板表面のダメージ減少量から研磨の進行状態を監視することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、処理液の存在下で、基板表面に励起光を照射して基板表面に酸化物を形成し、基板表面に形成された酸化物と研磨具とを互いに接触させつつ相対運動させて酸化物を研磨除去しながら、基板と研磨具に設けた金属配線とを繋ぐ金属配線に流れる電流値を測定して基板表面のダメージ量を測定する光電流式ダメージ量測定方式、基板表面に励起光を照射した時に該表面から放出されるフォトルミネッセンス光を測定して基板表面のダメージ量を測定するフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定方式、及び基板表面に可視の単色光を照射して該表面からの反射光に含まれるラマン光を測定して基板表面のダメージ量を測定するラマン光式ダメージ量測定方式の少なくとも一つのダメージ量測定方式を用いて基板表面のダメージ量を測定し、該基板表面のダメージ減少量から研磨の進行状態を監視することを特徴とする研磨方法である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記基板はGa元素を含有する半導体で、前記処理液はGaイオンを含有する液性が中性域のpH緩衝溶液からなることを特徴とする請求項2または3記載の研磨方法である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、処理液の存在下で、基板表面と研磨具とを互いに接触させつつ相対運動させて基板表面を研磨しながら、基板表面に可視の単色光を照射して該表面からの反射光に含まれるラマン光を測定して基板表面のダメージ量を測定するラマン光式ダメージ量測定方式を用いて基板表面のダメージ量を測定し、該基板表面のダメージ減少量から研磨の進行状態を監視することを特徴とする研磨方法である。
【0014】
例えば、研磨レートや平坦度等の表面の仕上がり状態との兼合いから、基板表面に励起光を照射したり、基板にバイアス電圧を印加したりしながら基板表面を研磨できない場合がある。このような場合にあっては、基板表面に励起光を照射したり、基板にバイアス電圧を印加したりする必要がない、ラマン光式ダメージ量測定方式を用いることで、基板表面を研磨するのと同時に基板表面のダメージ量を測定して、基板表面のダメージ減少量から研磨の進行状態を監視することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、前記処理液は、弱酸性の水または空気が溶解した水、または電解イオン水で、前記研磨具の前記基板表面に接触する部位には導電性部材が設けられていることを特徴とする請求項5記載の研磨方法である。
【0016】
請求項7に記載の発明は、処理液を保持する容器と、前記容器内に前記処理液に浸漬させて配置される光透過性研磨具と、基板を保持して前記容器内の前記処理液中に浸漬させ前記研磨具に接触させる基板ホルダと、前記研磨具と前記基板ホルダで保持した基板とを互いに接触させつつ相対移動させる移動機構と、基板表面に励起光を照射した時に基板と研磨具に設けた金属配線とを繋ぐ導線に流れる電流値を測定して基板表面のダメージ量を測定する光電流式ダメージ量測定装置、基板表面に励起光を照射した時に該表面から放出されるフォトルミネッセンス光を測定して基板表面のダメージ量を測定するフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定装置、及び基板表面に可視の単色光を照射して該表面からの反射光に含まれるラマン光を測定して基板表面のダメージ量を測定するラマン光式ダメージ量測定装置の少なくとも一つのダメージ量測定装置を有することを特徴とする研磨装置である。
【0017】
請求項8に記載の発明は、光透過性研磨具と、基板を保持して前記研磨具に接触させる基板ホルダと、前記研磨具と前記基板ホルダで保持した基板とを互いに接触させつつ相対移動させる移動機構と、前記研磨具と前記基板ホルダで保持した基板との接触部に処理液を供給する処理液供給部と、基板表面に励起光を照射した時に基板と研磨具に設けた金属配線とを繋ぐ導線に流れる電流値を測定して基板表面のダメージ量を測定する光電流式ダメージ量測定装置、基板表面に励起光を照射した時に該表面から放出されるフォトルミネッセンス光を測定して基板表面のダメージ量を測定するフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定装置、及び基板表面に可視の単色光を照射して該表面からの反射光に含まれるラマン光を測定して基板表面のダメージ量を測定するラマン光式ダメージ量測定装置の少なくとも一つのダメージ量測定装置を有することを特徴とする研磨装置である。
【0018】
請求項9に記載の発明は、前記基板ホルダで保持して前記容器内の前記処理液内に浸漬させた基板表面に励起光を照射する光源及び基板にバイアス電位を印加する電源の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項7または8記載の研磨装置である。
【0019】
請求項10に記載の発明は、前記基板はGa元素を含有する半導体で、前記処理液はGaイオンを含有する液性が中性域のpH緩衝溶液からなることを特徴とする請求項9記載の研磨装置である。
【0020】
請求項11に記載の発明は、前記処理液は、水、空気が溶解した水または電解イオン水で、前記研磨具の前記基板表面に接触する部位には導電性部材が設けられていることを特徴とする請求項7または8記載の研磨装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、表面に膜が形成されていない、例えば半導体単体からなるベア基板であっても、光電流式ダメージ量測定方式、フォトルミネッセンス光式ダメージ量測定方式またはラマン光式ダメージ量測定方式で基板表面を研磨するのと同時に基板表面のダメージ量を測定して、基板表面のダメージ減少量から研磨の進行状態を監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】光電流式ダメージ量測定方式の概念を示す概要図である。
【図2】光電流式ダメージ量測定方式の概念を示すバンド図である。
【図3】光電流式ダメージ量測定方式における研磨時間と光電流値との関係を示すグラフである。
【図4】フォトルミネッセンス光式ダメージ量測定方式の概念を示す概要図である。
【図5】フォトルミネッセンス光式ダメージ量測定方式の概念を示すバンド図である。
【図6】フォトルミネッセンス光式ダメージ量測定方式における研磨時間と発光強度との関係を示すグラフである。
【図7】ラマン光式ダメージ量測定方式の概念を示す概要図である。
【図8】ラマン光式ダメージ量測定方式におけるレーリー光と研磨前後のラマン光とを示すグラフである。
【図9】本発明の実施形態の研磨装置を備えた平坦化システムの全体構成を示す平面図である。
【図10】図9に示す平坦化システムに備えられている本発明の実施形態の研磨装置の概要を示す断面図である。
【図11】図10に示す研磨装置の基板ホルダを示す拡大断面図である。
【図12】図10に示す研磨装置の研磨具を示す拡大断面図である。
【図13】研磨具の他の例を示す拡大断面図である。
【図14】図9に示す平坦化システムに備えられている本発明の他の実施形態の研磨装置の概要を示す断面図である。
【図15】図14に示す研磨装置の研磨具を示す拡大断面図である。
【図16】図10に示す研磨装置に備えられているフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定装置における、励起光と研磨前後のフォトルミネッセンス光を示すグラフである。
【図17】図10に示す研磨装置に備えられている光電流式ダメージ量測定装置で研磨中に光電流を測定した時の研磨時間と光電流との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
先ず、基板表面に励起光を照射した時に基板と研磨具に設けた金属配線とを繋ぐ導線に流れる電流値を測定して基板表面のダメージ量を測定する光電流式ダメージ量測定方式の概念を、図1に示す概要図及び図2に示すバンド図を参照して説明する。
【0024】
図1に示すように、処理液(図示せず)の存在下で、光透過性研磨具10と基板ホルダ11で保持した、例えばGaNからなる基板Wの表面(被研磨面)とを互いに接触させつつ相対運動させて基板Wの表面(例えばGaN表面)を研磨する。この研磨中に、基板Wの表面に光源12から、研磨具10を透過させて、基板(例えばGaN)Wのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光(励起光)を照射するとともに、研磨具10に設けた金属配線(図示せず)と基板Wとを導線13で繋ぎ、この導線13に沿って流れる電流値を電流計14で測定する。
【0025】
このように、基板Wの表面に光源12から基板Wのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光(励起光)、例えばGaNのバンドギャップは3.42eVでバンドギャップ相当波長は365nmであるので、GaNを研磨するのであれば、例えば波長312nmの光を照射すると、図2に示すように、価電子帯電子が伝導帯へと励起されて、電子・正孔対が形成される。そして、基板Wの表面ダメージ量が少ない場合、生成された電子の一部は、基板Wの表面のバンドの曲りにより、基板Wの表面から離れ(図2中の矢印1)、光電流として導線13に沿って流れる。これに対し、基板Wの表面ダメージ量が大きい場合、生成された電子は、基板Wの表面ダメージにより形成されたダメージ準位に沿って移動し(図2中の矢印2)、更に正孔と再結合することで消滅する。これにより、基板Wの表面ダメージ量が多いと導線13に沿って流れる光電流値は小さく、基板Wの表面ダメージ量が少なくなるにつれて、導線13に沿って流れる光電流値は大きくなる関係を持つ。このため、研磨を行う工程において、この光電流値を測定することで、基板Wの表面ダメージ量を測定し、研磨の進行状態を監視することができる。
【0026】
例えば、研磨が進行して基板Wの表面ダメージ量が減少するにつれて、図3に示すように、電流計14に流れる電流値が上昇し、基板Wの表面ダメージが除去されると電流計14に流れる電流値の上昇が止まって一定の値となる。このため、研磨中に、光電流値を測定し、光電流値の上昇が止まり一定値になる時点を研磨終点とすることができる。
【0027】
次に、基板表面に励起光を照射した時に該表面から放出されるフォトルミネッセンス光を測定して基板表面のダメージ量を測定するフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定方式の概念を、図4に示す概要図及び図5に示すバンド図を用いて説明する。
【0028】
図4に示すように、処理液(図示せず)の存在下で、光透過性研磨具10と基板ホルダ11で保持した、例えばGaNからなる基板Wの表面(被研磨面)とを互いに接触させつつ相対運動させて基板Wの表面(例えばGaN表面)を研磨する。この研磨中に、基板Wの表面に光源12から、研磨具10を透過させて、基板(例えばGaN)Wのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光(励起光)を照射するとともに、基板Wの表面から放出されるフォトルミネッセンス光を分光器16でスペクトル解析し、基板Wのバンドギャップに相当する波長、例えばGaNにあっては365nmの波長の強度をモニタする。
【0029】
このように、基板Wの表面に基板Wのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光(励起光)を照射すると、図5に示すように、帯電子が伝導帯へと励起され、電子・正孔対が形成される。基板Wの表面ダメージ量が少ない場合、励起された電子は価電子帯へと直接移動し、正孔と再結合して平衡状態に戻る(図5中の矢印1)。この過程において、バンドギャップに対応したエネルギーを持つフォトルミネッセンス光が観測される。一方、基板Wの表面ダメージ量が多い場合、励起された電子は、結晶の周期性の崩れにより形成されるエネルギー準位を経由して価電子帯へと移動し正孔と再結合する(図5中の矢印2)。
【0030】
この過程においては、観察されるフォトルミネッセンス光の波長はバンドギャップに対応する波長よりも長波長側にシフトするか、または非発光性再結合となりフォトルミネッセンス光自体が観察されなくなる。つまり、基板Wの表面ダメージ量が多いとフォトルミネッセンス光のバンドギャップに対応する波長成分は小さく、基板Wの表面ダメージ量が少なくなるにつれてフォトルミネッセンス光のバンドギャップに対応する波長成分が大きくなる関係を持つ。このため、研磨を行う工程において、フォトルミネッセンス光の基板Wのバンドギャップに相当する波長の強度を測定することで、基板Wの表面ダメージを測定し、研磨の進行状態を監視することができる。
【0031】
例えば、基板Wから放出されるフォトルミネッセンス光を分光器16でスペクトル解析し、基板Wのバンドギャップに相当する波長(例えば、365nm)の強度をモニタすると、図6に示すように、研磨が進行し基板Wの表面ダメージ量が減少するにつれて光強度が上昇し、基板Wの表面ダメージが除去されると光強度の上昇が止まり一定の値となる。この光強度の上昇が止まり一定値になる時点を研磨終点とすることができる。
【0032】
基板表面に可視の単色光を照射して該表面からの反射光に含まれるラマン光を測定して基板表面のダメージ量を測定するラマン光式ダメージ量測定方式の概念を図7に示す概要図に用いて説明する。
【0033】
図7に示すように、処理液(図示せず)の存在下で、光透過性研磨具10と基板ホルダ11で保持した、例えばGaNからなる基板Wの表面(被研磨面)とを互いに接触させつつ相対運動させて基板Wの表面(例えばGaN表面)を研磨する。この研磨中に、レーザ光源17から、研磨具10を透過させて、基板Wの表面に向けて可視の単色光を照射し該表面からの反射光に含まれるラマン光を分光器18でスペクトル解析を行って測定する。
【0034】
半導体基板に適当な波長の光を当てると、半導体基板表面からの反射光には、当てた光と同じ波長の光が散乱される(レーリー光)以外に、波長がすこしずれた光(ラマン光)が含まれることが知られている。このずれの幅は、結晶構造の周期性に依存するため、基板表面のダメージ量が少なく結晶構造の乱れが無い場合は、波長のずれ幅は、半導体基板の表面材質に特有の値となることが知られている。基板表面のダメージ量が大きい場合には、結晶構造の乱れにより波長のずれ幅が変化する。このため、ラマン光のスペクトルを測定することで、基板表面のダメージを測定し、研磨の進行状態を監視することができる。
【0035】
例えば、研磨中に基板Wの表面にレーザ光源17から可視の単色光を照射し、該表面からの反射光を分光器18でスペクトル解析を行うと、図8に示すように、入射光と同波長、同半値幅を持つレーリー光および入射光より長波長側にシフトしたラマン光が測定される。基板Wの表面のダメージが大きいとラマン光スペクトル強度が低下し半値幅が大きくなり、基板Wの表面ダメージが小さいとラマン光スペクトル強度が増大し半値幅が小さくなる。研磨中にこのラマン光スペクトルをモニタすることで研磨の進行状態を監視することができ、ラマン光スペクトルの強度又は半値幅が変化しなくなった時点を研磨終点とすることができる。
【0036】
図9は、本発明の実施形態の研磨装置を備えた平坦化システムの全体構成を示す平面図である。この平坦化システムは、GaN単体からなるGaN基板表面を研磨し、該表面のダメージを除去して平坦化するようにしている。
【0037】
図9に示すように、この平坦化システムは、略矩形状のハウジング1を備えており、ハウジング1の内部は、隔壁1a,1b,1cによって、ロード/アンロード部2と研磨部3と洗浄部4とに区画されている。これらのロード/アンロード部2、研磨部3及び洗浄部4は、それぞれ独立に組立てられて独立に排気される。
【0038】
ロード/アンロード部2は、多数の基板(被加工物)をストックする基板カセットを載置する1つ以上(この例では3つ)のフロントロード部200を備えている。これらのフロントロード部200は、平坦化システムの幅方向(長手方向と垂直な方向)に隣接して配列されている。フロントロード部200には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、又はFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。ここで、SMIF、FOUPは、内部に基板カセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0039】
ロード/アンロード部2には、フロントロード部200の並びに沿って走行機構21が敷設されており、この走行機構21上に基板カセットの配列方向に沿って移動可能な第1搬送機構としての第1搬送ロボット22が設置されている。第1搬送ロボット22は、走行機構21上を移動することによって、フロントロード部200に搭載された基板カセットにアクセスできるようになっている。この第1搬送ロボット22は、上下に2つのハンドを備えており、例えば、上側のハンドを基板カセットに基板を戻すときに使用し、下側のハンドを加工前の基板を搬送するときに使用することで、上下のハンドを使い分けることができるようになっている。
【0040】
ロード/アンロード部2には、フロントロード部200の並びに沿って走行機構21が敷設されており、この走行機構21上に基板カセットの配列方向に沿って移動可能な第1搬送機構としての第1搬送ロボット22が設置されている。第1搬送ロボット22は、走行機構21上を移動することによって、フロントロード部200に搭載された基板カセットにアクセスできるようになっている。この第1搬送ロボット22は、上下に2つのハンドを備えており、例えば、上側のハンドを基板カセットに基板を戻すときに使用し、下側のハンドを加工前の基板を搬送するときに使用することで、上下のハンドを使い分けることができるようになっている。
【0041】
ロード/アンロード部2は、最もクリーンな状態を保つ必要がある領域であるため、ロード/アンロード部2の内部は、装置外部、研磨部3、及び洗浄部4のいずれよりも高い圧力に常時維持されている。また、第1搬送ロボット22の走行機構21の上部には、HEPAフィルタやULPAフィルタなどのクリーンエアフィルタを有するフィルタファンユニット(図示せず)が設けられており、このフィルタファンユニットによりパーティクルや蒸気、ガスが除去されたクリーンエアが常時下方に向かって吹出ている。
【0042】
研磨部3は、基板表面(被加工面)の除去加工が行われる領域であり、第1段階の研磨と第2段階の研磨を連続して行う本発明の第1の実施形態に係る2台の研磨装置30A,30Bと、第3段階の研磨を行う本発明の第2の実施形態に係る2台の研磨装置30C,30Dを内部に有している。これらの研磨装置30A〜30Dは、平坦化システムの長手方向に沿って配列されている。
【0043】
本発明の第1の実施形態に係る研磨装置30A,30Bは、図10に示すように、Gaイオンを含有する液性が中性域のpH緩衝溶液からなる処理液130を内部に保持する容器132を有している。容器132の上方には、処理液130を容器132内に供給する処理液供給ノズル(処理液供給部)133が配置されている。この処理液130として、例えばpH6.86の燐酸緩衝溶液に、処理液130のGaイオンを飽和状態に近づけるために、例えば濃度10ppm以上のGaイオンを添加した溶液が使用される。液性が中性域のpH緩衝溶液のpH(室温25℃での測定換算)は、例えば6.0〜8.0である。
【0044】
容器132の底部には、光透過性の研磨具134が取り付けられていており、容器132の内部に処理液130を注入した時に、研磨具134の上方が処理液130で満たされるようになっている。研磨具134は、例えば光透過性に優れた固体酸性触媒である石英ガラスによって構成されている。研磨具134として、固体塩基性触媒(塩基性の固体触媒)を使用しても良く、また、研磨具134の表面のみに酸性または塩基性の固体触媒層を有するものを使用しても良い。
【0045】
容器132は、回転自在な回転軸136の上端に連結されており、容器132の底板には、回転軸136の周囲に沿ってリング状に延びて研磨具134によって閉塞された開口部132aが形成されている。この開口部134aの直下方に位置して、励起光、好ましくは紫外線を放射する光源140が配置されている。これによって、光源140から放射された励起光、好ましくは紫外線は、容器132の開口部132a内を通過した後、研磨具134の内部を透過して、該研磨具134の上方に達するようになっている。
【0046】
容器132の上方に位置して、表面を下向きにして、例えばGaN基板等の基板142を着脱自在に保持する基板ホルダ144が配置されている。基板ホルダ144は、上下動及び回転自在な主軸146の下端に連結されている。この例では、容器132を回転させる回転軸136及び基板ホルダ144を回転させる主軸146によって、研磨具134と基板ホルダ44で保持した基板(GaN基板)142とを相対移動させる移動機構が構成されているが、どちらか一方を設けるようにしてもよい。
【0047】
さらに、この例では、基板ホルダ144で保持した基板142と研磨具134との間に電圧を印加する電源148が備えられている。この電源148の陽極から延びる導線152aには、スイッチ150が介装されている。
【0048】
また、この例では、容器132の中に処理液130を満たして研磨具134と基板ホルダ144で保持された基板142が浸漬しつつ加工する、いわゆる浸漬型が開示されているが、研磨具134の表面に処理液供給ノズル133から処理液130を滴下することにより基板142と研磨具134の表面に処理液130を供給して処理液存在下で加工する滴下型の加工装置でも良い。
【0049】
図11に示すように、基板ホルダ144は、処理液130が内部に浸入することを防止するカバー160を有しており、このカバー160の内部で、主軸146の下端に連結した駆動フランジ162に、自在継手164及びばね166を有する回転伝達部168を介して、金属製のホルダ本体170が連結されている。
【0050】
ホルダ本体170の下部周囲には、リテーナリング172が昇降自在に配置され、ホルダ本体170の下面(基板保持面)には、該下面と導電性ゴム174との間に圧力空間176が形成できるように、導電性ゴム174が取り付けられている。圧力空間176には、ホルダ本体170内を延びるエア導入路を通じて、エア導入管178が接続されている。更に、金属製のホルダ本体170のフランジ部には引出し電極180が設けられ、この引出し電極180に電源148の陽極から延びる導線152aが接続されている。
【0051】
リテーナリング172と研磨具134が接触する部分において、リテーナリング172の表面の磨耗によりリテーナリング172の表面材質が研磨具134の表面に付着するのを抑制するために、リテーナリング172表面のうち少なくとも研磨具134と接触する部分は、石英、サファイア若しくはジルコニア等のガラス、又はアルミナ、ジルコニア若しくは炭化珪素等のセラミックスのいずれかで構成されることが好ましい。導電性ゴム174としては、例えば導電性クロロプレンゴム、導電性シリコーンゴムまたは導電性フッ素ゴムが挙げられる。
【0052】
これによって、基板ホルダ144のホルダ本体170の下面(基板保持面)に基板142の裏面を吸着等によって保持した時に、基板142の裏面と導電性ゴム174とが接触して基板142の裏面に通電され、更に、この基板142の裏面への通電を維持したまま、圧力空間176内に空気を導入して、基板142を研磨具134に向けて押圧できるように構成されている。
【0053】
このような構成によって、基板142に簡易かつ低抵抗で通電しつつ、基板142を基板ホルダ144で保持することができる。なお、導電性ゴム174に接触させて基板142を基板ホルダ144で保持する時、導電性ゴム174と基板142との間に極導電性グリースを充填できるようにすることが好ましい。
【0054】
図12に示すように、研磨具134の上面の前記容器132の開口部132aに対応する位置には、多数の溝134aが設けられ、この多数の溝134aの底部に金属配線としての金属膜154が蒸着されており、この金属膜(金属配線)154に電源148の陰極から延びる導線152bが接続されている。金属膜154の材質は、耐腐食性のある白金または金であることが好ましい。また、研磨具134の上面に設けられる溝134aは、同心円状であること好ましいが、スパイラル状、放射状または格子状であってもよい。なお、図13に示すように、研磨具134の上面に設けた多数の溝134aの底部に、金や白金等からなる金属線156を埋め込むようにしてもよい。
【0055】
基板ホルダ144の内部には、該ホルダ144で保持した基板142の温度を制御する温度制御機構としてのヒータ158(図10参照)が回転軸146内に延びて埋設されている。容器132の上方に配置される処理液供給ノズル133には、容器132の内部に供給する処理液130を所定の温度に制御する温度制御機構としての熱交換器が必要に応じて設置される。更に、研磨具134の内部には、研磨具134の温度を制御する温度制御機構としての流体流路(図示せず)が設けられている。
【0056】
アレニウスの式で知られるように、化学反応は反応温度が高ければ、それだけ反応速度は大きくなる。このため、基板142、処理液130、研磨具134の温度の少なくとも1つを制御して、反応温度を制御することで、加工速度を変化させながら、加工速度の安定性を向上させることができる。
【0057】
研磨装置30A,30Bには、図9に示すように、研磨具134の表面(上面)を良好な平坦度と適度なラフネスを有するようにコンディショニングする、例えば研磨パッドからなるコンディショニング機構(コンディショナー)190が備えられている。つまり、研磨具134の表面(上面)は、このコンディショニング機構(コンディショナー)190によって、PV(Peak-Valley)0.1〜1μm程度の平面粗さを有するようにコンディショニングされる。この時、必要に応じて、研磨具134の表面に砥粒を含むスラリが供給される。
【0058】
更に、図10に示すように、研磨装置30A,30Bには、前記光源140を一部とした光電流式ダメージ量測定装置201と、同じく前記光源140を一部としたフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定装置202が備えられている。つまり、電源148から延びて基板ホルダ144で保持した基板142に接続される導線152aと電源148から延びて研磨具134の金属膜(金属配線)154に接続される導線152bとを繋ぐ導線152cと、この導線152c内に設置した電流計204と、前記光源140で光電流式ダメージ量測定装置201が構成されている。導線152cにはスイッチ206が介装されている。また、基板134の表面で反射したフォトルミネッセンス光をスペクトル解析し、基板Wのバンドギャップに相当する波長(例えば、365nm)の強度を測定する分光器208と前記光源140でフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定装置202が構成されている。
【0059】
なお、この例では、基板142に励起光を照射して該基板表面を酸化させる光源140を光電流式ダメージ量測定装置201及びフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定装置202の光源としても使用するようにしているが、光電流式ダメージ量測定装置201及びフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定装置202の光源を光源140とは別に設けるようにしてもよい。
【0060】
本発明の第2の実施形態の研磨装置30C,30Dの概要を図14に示す。この研磨装置30C,30Dの上記研磨装置30A,30Bと異なる点は、以下の通りである。すなわち、この研磨装置30C,30Dは、研磨装置30A,30Bで使用されている、例えばpH6.86の燐酸緩衝溶液に、例えば濃度10ppm以上のGaイオンを添加した処理液130の代わりに、例えば、弱酸性の水または空気が溶解した水210が使用されている。また、研磨装置30A,30Bで使用されている研磨具134の代わりに光透過性研磨具212が使用されている。更に、容器132の下方に位置して、基板ホルダ144で保持した基板142の表面に向けて可視の単色光を照射するレーザ光源214と、該表面からの反射光のスペクトル解析を行ってラマン光の強度を測定する分光器216とを有するラマン光式ダメージ量測定装置218が備えられている。
【0061】
なお、この研磨装置30C,30Dには、光源140、光電流式ダメージ量測定装置201及びフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定装置202等は備えられておらず、その他の構成は、研磨装置30A,30Bとほぼ同様である。
【0062】
弱酸性の水または空気が溶解した水210のpHは、例えば3.5〜6.0、好ましくは3.5〜5.5であり、酸、pH緩衝剤または酸化剤(H,オゾン水,過硫酸塩等)を添加することなく、例えば純水や水道水にCOガスや空気等を溶解させることで製造される。この例では、容器132の上方に位置して、純水供給源(図示せず)から延び、内部にガス溶解器220と熱交換器222を設置した水供給ライン(処理液供給部)224が配置されている。これによって、純水供給源から送られてくる純水に、ガス溶解器220でCOガスや空気等のガスを溶解させて、pHを3.5〜6、好ましくは3.5〜5.5にした水210を容器132内に注入し、必要に応じて、容器132に注入される水210の温度を熱交換器222で所定の温度に調整するようにしている。なお、大気中放置することでpHが3.5〜6、好ましくは3.5〜5.5になった純水や水道水を使用しても良い。
【0063】
このように、酸、pH緩衝剤または酸化剤(H,オゾン水,過硫酸塩等)を添加することなく、pHを3.5〜6.0にした弱酸性の水を使用することで、研磨レートの減少を抑えつつ、基板142の表面(被研磨面)にエッチピットが発生することを防止した研磨を行うことができる。水210の代わりに、例えばpH3.5〜6.0、好ましくはpH3.5〜5.5、またはpH8.0以上の電解イオン水を使用してもよい。
【0064】
研磨具212は、図15に示すように、例えば透明なガラス等からなる基材250の表面に、例えばシェアA硬度50〜90で、表面のうち基板と接触する部分に格子位置で配置して光透過用の貫通孔252aを設けた弾性体252を積層し、この弾性体252の表面に真空蒸着等によって中間層254を形成し、更にこの中間層254の表面に真空蒸着等によって導電性部材256を形成して構成されている。このように、弾性体252の表面に、中間層254を介在させつつ、導電性部材256を設けることで、基板142の表面(被研磨面)の長/単周期の凹凸に導電性部材256を容易に追従させることができる。
【0065】
弾性体252は、例えばゴム、樹脂、発泡性樹脂または不織布等からなり、厚さは、例えば0.5〜5mmである。なお、弾性率の異なる2層以上の弾性材を重ね合わせて弾性体を構成するようにしてもよい。
【0066】
中間層254は、例えば厚さが1〜10nmで、弾性体252と導電性部材256との密着性を向上させるために弾性体252と導電性部材256との間に介在され、弾性体252と導電性部材256の両方と密着性が良好な、例えばクロムやグラファイト系(SP2結合)のカーボンからなる。この中間層254を弾性体252の表面に真空蒸着で形成する場合、高温による弾性体252の膨張や変質を抑制するため、イオンスパッタ蒸着法を用いることが好ましい。このことは、中間層254の表面に真空蒸着法で導電性部材256を形成する場合も同様である。
【0067】
導電性部材256は、例えば厚さ100〜1000nmである。これは、厚さが100nm以下では、1時間程度の研磨で導電性部材256が磨耗して実用的ではなく、また厚さが1000nm以上では、研磨時に導電性部材256の表面にひび割れが発生するおそれがあるためである。導電性部材256としては、白金が好ましく使用されるが、上記水210に不溶もしくは微溶(溶解速度10nm/h以下)である金等の他の貴金属、遷移金属(Ag,Fe,Ni,Co等)、グラファイト、導電性樹脂または導電性ゴム等を使用しても良い。
【0068】
研磨装置30C,30Dには、図9に示すように、研磨具212の表面(上面)を良好な平坦度と適度なラフネスを有するようにコンディショニングする、例えば研磨パッドからなるコンディショニング機構(コンディショナー)190が備えられている。
【0069】
この研磨装置30C,30Dによれば、基板ホルダ144で保持した基板142と研磨具212とを水210に浸漬させながら、または研磨具212の上面に水210を滴下しながら、基板142の表面と研磨具212の白金等の導電性部材256とを互いに接触させつつ相対運動させることで基板142の表面を研磨することができる。
【0070】
この研磨のメカニズムは以下のように考えられる。つまり、基板142の表面と研磨具212の白金等の導電性部材256とを互いに接触させつつ相対運動させると、接触部でひずみが発生し、価電子帯電子が伝導帯へと励起されて電子・正孔対が生成される。次に、伝導帯に励起した電子は(仕事関数が大きい)白金等の導電性部材256に移動し、基板表面に正孔が残る。残った正孔に水210中のOHイオンまたはHO分子が作用し、この結果、接触部のみが酸化される。すると、例えばGa,Al,Inの酸化物は、二酸化炭素溶液等の弱酸、弱アルカリまたは電解イオン水に可溶なため、接触部に形成された酸化物は、水210の内部に溶解して基板142の表面から除去される。
【0071】
基板142の表面と研磨具212の白金等の導電性部材256との接触圧は、基板142の反りを解消するとともに、基板142がスリップアウトしたり、研磨具212の導電性部材256が弾性体252から剥がれたりすることを防止するため、例えば0.1〜1.0kg/cmであることが好ましく、0.4kg/cm程度であることが特に好ましい。
【0072】
図9に戻って、研磨装置30A,30Bと洗浄部4との間には、長手方向に沿った4つの搬送位置(ロード/アンロード部2側から順番に第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4とする)の間で基板を搬送する第2(直動)搬送機構としての第1リニアトランスポータ5が配置されている。この第1リニアトランスポータ5の第1搬送位置TP1の上方には、ロード/アンロード部2の第1搬送ロボット22から受け取った基板を反転する反転機31が配置されており、その下方には上下に昇降可能なリフタ32が配置されている。また、第2搬送位置TP2の下方には上下に昇降可能なプッシャ33が、第3搬送位置TP3の下方には上下に昇降可能なプッシャ34が、第4搬送位置TP4の下方には上下に昇降可能なリフタ35がそれぞれ配置されている。
【0073】
研磨装置30C,30Dの側方には、第1リニアトランスポータ5に隣接して、長手方向に沿った3つの搬送位置(ロード/アンロード部2側から順番に第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7とする)の間で基板を搬送する第2(直動)搬送機構としての第2リニアトランスポータ6が配置されている。この第2リニアトランスポータ6の第5搬送位置TP5の下方には上下に昇降可能なリフタ36が、第6搬送位置TP6の下方にはプッシャ37が、第7搬送位置TP7の下方にはプッシャ38がそれぞれ配置されている。更に、研磨装置30Cとプッシャ37との間には、桶と純水ノズルとを有する純水置換部192が、研磨装置30Dとプッシャ38との間にも、桶と純水ノズルとを有する純水置換部194が配置されている。
【0074】
研磨時にスラリ等を使用することを考えるとわかるように、研磨部3は最もダーティな(汚れた)領域である。したがって、この例では、研磨部3内のパーティクルが外部に飛散しないように、定盤等の研磨部の周囲から排気が行われており、研磨部3の内部の圧力を、装置外部、周囲の洗浄部4、ロード/アンロード部2よりも負圧にすることでパーティクルの飛散を防止している。また、通常、定盤等の研磨部の下方には排気ダクト(図示せず)が、上方にはフィルタ(図示せず)がそれぞれ設けられ、これらの排気ダクト及びフィルタを介して清浄化された空気が噴出され、ダウンフローが形成される。
【0075】
洗浄部4は、基板を洗浄する領域であり、第2搬送ロボット40と、第2搬送ロボット40から受け取った基板を反転する反転機41と、基板を洗浄する3つの洗浄ユニット42,43,44と、洗浄後の基板を純水でリンスしてスピンドライする乾燥ユニット45と、反転機41、洗浄ユニット42,43,44及び乾燥ユニット45の間で基板を搬送する、走行自在な第3搬送ロボット46を備えている。これらの第2搬送ロボット40、反転機41、洗浄ユニット42〜44及び乾燥ユニット45は、長手方向に沿って直列に配置され、これらの第2搬送ロボット40、反転機41、洗浄ユニット42〜44及び乾燥ユニット45と、第1リニアトランスポータ5との間に、第3搬送ロボット46が走行自在に配置されている。これらの洗浄ユニット42〜44及び乾燥ユニット45の上部には、クリーンエアフィルタを有するフィルタファンユニット(図示せず)が設けられており、このフィルタファンユニットによりパーティクルが除去されたクリーンエアが常時下方に向かって吹出ている。また、洗浄部4の内部は、研磨部3からのパーティクルの流入を防止するために研磨部3よりも高い圧力に常時維持されている。
【0076】
研磨部3を包囲する隔壁1aには、反転機31と第1搬送ロボット22との間に位置して、シャッタ50が設置されており、基板の搬送時にはシャッタ50を開いて、第1搬送ロボット22と反転機31との間で基板の受け渡しが行われる。また、研磨部3を包囲する隔壁1bには、CMP装置30Bと対面する位置に位置してシャッタ53が、研磨装置30Cと対面する位置に位置してシャッタ54がそれぞれ設置されている。
【0077】
次に、このような構成の平坦化システムを用いて基板の表面を平坦化する処理について説明する。
【0078】
フロントロード部200に搭載した基板カセットから、1枚の基板を第1搬送ロボット22で取出して、反転機31に搬送する。反転機31は、基板を180°反転させた後、第1搬送位置TP1のリフタ32に乗せる。第2トランスポータ5は、横移動を行って、リフタ32上の基板を第1搬送位置TP1または第3搬送位置TP3の一方に搬送する。そして、研磨装置30Aは、その基板ホルダ144でプッシャ32から、研磨装置30Bは、その基板ホルダ144でプッシャ34から基板をそれぞれ受取って、基板表面の第1段階の研磨と第2段階の研磨を行う。
【0079】
つまり、研磨装置30Aでは、表面(被処理面)を下向きにしてGaN基板等の基板142を保持した基板ホルダ144を容器132の上方に移動させ、基板ホルダ144を下降させて、基板142を容器132の内部に保持した処理液130中に浸漬させる。このように基板142と研磨具134との間に処理液130が存在する状態で、光源140から励起光、好ましくは紫外線を放射して、基板142の表面(下面)に励起光、好ましくは紫外線を照射する。この時に照射する励起光の波長は、被加工物のバンドギャップに相当する波長以下、GaNのバンドギャップは3.42eVであるので、GaN基板を加工する場合には、365nm以下の、例えば312nmであることが好ましい。これにより、GaN基板を加工する場合には、GaNを酸化させて、GaN基板の表面にGa酸化物(Ga)を生成させる。
【0080】
なお、基板142と研磨具134との間に、処理液供給ノズル(処理液供給部)133を通して、処理液130を供給しながら研磨を行うようにしてもよい。
【0081】
この時、電源148のスイッチ150をONにして、研磨具134と基板ホルダ144で保持した基板142との間に、研磨具134が陰極となる電圧を印加する。これにより、GaN基板を加工する場合に、GaN基板の表面のGa酸化物(Ga)の生成が促進される。
【0082】
次に、光源140から励起光、好ましくは紫外線を放射したまま、更には、研磨具134と基板142との間に電圧を印加したまま、回転軸136を回転させて研磨具134を回転させ、同時に基板ホルダ144を回転させて基板142を回転させながら下降させ、基板142の表面に研磨具134の表面を、好ましくは0.01〜1.0kgf/cm程度の面圧で接触させる。これは、面圧0.01kgf/cm未満であれば、基板142の反りを矯正して基板142全体を均等に研磨できなくなる可能性があり、面圧が1.0kgf/cm以上であれば、基板142の表面に機械的な欠陥が生じてしまう可能性があるためである。これによって、GaN基板等の基板142の表面に形成されたGa酸化物の研磨具134と接触する部位、つまり凹凸を有する基板142の表面の該凸部先端に形成されたGa酸化物を選択的に削り取って、主に基板142の表面ダメージ除去を目的とした第1段階の研磨を行う。この第1段階の研磨における研磨レートは、例えば〜1000nm/h程度で、加工時間は、例えば5分程度である。
【0083】
この第1段階の研磨時に、例えば、フォトルミネッセンス光式ダメージ量測定装置202の分光器208で、基板134の表面から放出されるフォトルミネッセンス光をスペクトル解析し、基板Wのバンドギャップに相当する波長、例えばGaNにあっては365nmの波長の強度をモニタする。すると、図16に示すように、研磨の進行に伴って、365nmの波長のフォトルミネッセンス光の強度が増加する。そこで、この365nmの波長のフォトルミネッセンス光の強度が所定の値に達するか、または一定となることを検知することで、第1段階の研磨の終点を検知する。
【0084】
第1段階の研磨が終点した時、光源140からの励起光、好ましくは紫外線の放射を継続したまま、スイッチ150をオフにして、研磨具134と基板142との間への電圧の印加を停止し、これによって、主に基板142の表面荒さの改善を目的とした第2段階の研磨を行う。この第2段階の研磨における研磨レートは、例えば〜200nm/h程度で、加工時間は、例えば30分間程度である。この第2段階の研磨時に、例えば、スイッチ206をONにして、基板142と研磨具134の金属膜(金属配線)154とを繋ぐ導線152cに沿って流れる電流を光電流式ダメージ量測定装置201の電流計204で測定する。すると、図17に示すように、研磨の進行に伴って、電流計204を流れる電流値が徐々に増加して、やがてほぼ一定となる。そこで、この電流計204を流れる電流値を測定し、この電流値が所定の値に達するか、または一定となることを検知することで、第2段階の研磨の終点を検知する。
【0085】
第2段階の研磨が終了した後、光源140からの励起光、好ましくは紫外線の放射を停止し、基板ホルダ144を上昇させた後、基板142の回転を停止させる。そして、基板表面を、必要に応じて純水でリンスした後、第2搬送位置TP2でプッシャ33に受渡す。第1トランスポータ5は、プッシャ33上の基板をリフタ35に搬送する。研磨装置30Bにあっても同様に、その基板ホルダ144でプッシャ34から基板142を受取って、第1段階の研磨及び第2段階の研磨を行い、しかる後、研磨後の基板142を第4搬送位置TP4でリフタ35に受渡す。
【0086】
第2搬送ロボット40は、リフタ35から基板から受取り、第5搬送位置TP5でリフタ36に乗せる。第2トランスポータ6は、横移動を行って、リフタ36上の基板を第6搬送位置TP6または第7搬送位置TP7の一方に搬送する。
【0087】
研磨装置30Cは、その基板ホルダ144でプッシャ37から基板を受取って第3段階の研磨を行う。つまり、表面(被処理面)を下向きにしてGaN基板等の基板142を保持した基板ホルダ144を容器132の上方に移動させ、基板ホルダ144を回転させながら下降させて、基板142を容器132の内部に保持した水210の中に浸漬させ、更に、下降させて、回転中の研磨具212の白金等の導電性部材256に、例えば100〜1000hPa(0.1〜1.0kgf/cm)、好ましくは400hPa(0.4kgf/cm)程度の接触圧(押圧力)で基板142の表面を接触させる。このように、基板142と研磨具212の間に水210が存在する状態で、基板142の表面と研磨具212の白金等の導電性部材256とを互い接触させつつ相対運動させ、これによって、基板表面の表面仕上げを目的とした第3段階の研磨を、例えば180分間行う。なお、水供給ライン224を通して、研磨具212の白金等の導電性部材256と基板142の表面との間に水210を供給しながら、第3段階の研磨を行っても良い。
【0088】
この第3段階の研磨時に、基板ホルダ144で保持した基板142の表面に向けて、ラマン光式ダメージ量測定装置218のレーザ光源214から可視の単色光を研磨具212の基材250及び弾性体252に設けた光透過用の貫通孔252aを透過させて照射し、該表面からの反射光を分光器216でスペクトル解析してラマン光の強度を測定する。つまり、前述のように、研磨の進行に伴って、図8に示すように、ラマン光の強度が増加する。そこで、ラマン光の強度が所定の値に達するか、または一定となることを検知することで、第3段階の研磨の終点を検知する。
【0089】
第3段階の研磨を終了した後、基板表面に残った水210を純水置換部192で純水に置換して第6搬送位置TP6に戻す。研磨装置30Dにあっても同様に、その基板ホルダ144でプッシャ38から基板142を受取って、第3段階の研磨(表面仕上げ研磨)を行い、研磨加工後の基板表面に残った水210を純水置換部194で純水に置換して第7搬送位置TP7に戻す。しかる後、純水置換後の基板を、第2トランスポータ6を横移動させて、第5搬送位置TP5に移動させる。
【0090】
第2搬送ロボット40は、第5搬送位置TP5から基板を取出し、反転機41に搬送する。反転機41は、基板を180°反転させた後、第1洗浄ユニット42に搬送する。第3搬送ユニット46は、基板を第1洗浄ユニット42から第2洗浄ユニット43に搬送し、ここで、基板を洗浄する。
【0091】
そして、第3搬送ロボット46は、洗浄後の基板を第3洗浄ユニット44に搬送して、ここで基板の純水洗浄を行った後、乾燥ユニット45に搬送し、ここで基板を純水リンスした後、高速回転させてスピン乾燥させる。第1搬送ロボット22は、スピン乾燥後の基板を乾燥ユニット45から受取り、フロントロード部200に搭載した基板カセットに戻す。
【0092】
なお、上記の例では、第1段階の研磨の終点をフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定装置202で検知するようにしているが、図14に示すラマン光式ダメージ量測定装置218で検知するようにしても良く、または両者を組合せて、例えば平均値で検知するようにしても良い。
【0093】
また、第2段階の研磨の終点を光電流式ダメージ量測定装置200で検知するようにしているが、前記フォトルミネッセンス光式ダメージ量測定装置202または図14に示すラマン光式ダメージ量測定装置218の一方で検知するようにしても良く、または2つ以上のダメージ測定装置を組合せて例えば平均値で検知するようにしても良い。また、第1段階、第2段階の研磨ではGaイオン含有の中性領域のpH緩衝溶液を用いた加工を行ったが、本発明の終点検知は、この加工方法に限定されるものではない。
【0094】
更には、SiCやGaNは可視光を透過するため、基板に可視光を照射し、基板の表裏での反射光による干渉から基板厚さを測定することができる。この光干渉法による膜厚測定装置と上述した研磨の進行状態の監視方法を組合せて、相補的に利用するようにしても良い。
【符号の説明】
【0095】
3 研磨部
10 研磨具
11 基板ホルダ
12 光源
13導線
14 電流計
16 分光器
17 レーザ光源
18 分光器
30A,30B、30C,30D 研磨装置
130 処理液
132 容器
133 処理液供給ノズル(処理液供給部)
134 研磨具
136 回転軸
140 光源
142 GaN基板
144 基板ホルダ
146 主軸
154 金属膜(金属配線)
201 光電流式ダメージ量測定装置
202 フォトルミネッセンス光式ダメージ量測定装置
204 電流計
208 分光器
210 処理液(水)
212 研磨具
214 レーザ光源
216 分光器
218 ラマン光式ダメージ量測定装置
224 水供給ライン(処理液供給部)
256 導電性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液の存在下で、光透過性研磨具と基板表面とを互いに接触させつつ相対運動させて基板表面を研磨する研磨方法において、
基板表面に励起光を照射した時に基板と研磨具に設けた金属配線とを繋ぐ導線に流れる電流値を測定して基板表面のダメージ量を測定する光電流式ダメージ量測定方式、基板表面に励起光を照射した時に該表面から放出されるフォトルミネッセンス光を測定して基板表面のダメージ量を測定するフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定方式、及び基板表面に可視の単色光を照射して該表面からの反射光に含まれるラマン光を測定して基板表面のダメージ量を測定するラマン光式ダメージ量測定方式の少なくとも一つのダメージ量測定方式を用いて基板表面のダメージ量を測定し、該基板表面のダメージ減少量から研磨の進行状態を監視することを特徴とする研磨方法。
【請求項2】
処理液の存在下で、基板表面に励起光を照射し、同時に基板にバイアス電位を印加して基板表面に酸化物を形成し、基板表面に形成された酸化物と研磨具とを互いに接触させつつ相対運動させて酸化物を研磨除去しながら、
基板表面に励起光を照射した時に該表面から放出されるフォトルミネッセンス光を測定して基板表面のダメージ量を測定するフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定方式、及び基板表面に可視の単色光を照射して該表面からの反射光に含まれるラマン光を測定して基板表面のダメージ量を測定するラマン光式ダメージ量測定方式の少なくとも一方のダメージ量測定方式を用いて基板表面のダメージ量を測定し、該基板表面のダメージ減少量から研磨の進行状態を監視することを特徴とする研磨方法。
【請求項3】
処理液の存在下で、基板表面に励起光を照射して基板表面に酸化物を形成し、基板表面に形成された酸化物と研磨具とを互いに接触させつつ相対運動させて酸化物を研磨除去しながら、
基板と研磨具に設けた金属配線とを繋ぐ金属配線に流れる電流値を測定して基板表面のダメージ量を測定する光電流式ダメージ量測定方式、基板表面に励起光を照射した時に該表面から放出されるフォトルミネッセンス光を測定して基板表面のダメージ量を測定するフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定方式、及び基板表面に可視の単色光を照射して該表面からの反射光に含まれるラマン光を測定して基板表面のダメージ量を測定するラマン光式ダメージ量測定方式の少なくとも一つのダメージ量測定方式を用いて基板表面のダメージ量を測定し、該基板表面のダメージ減少量から研磨の進行状態を監視することを特徴とする研磨方法。
【請求項4】
前記基板はGa元素を含有する半導体で、前記処理液はGaイオンを含有する液性が中性域のpH緩衝溶液からなることを特徴とする請求項2または3記載の研磨方法。
【請求項5】
処理液の存在下で、基板表面と研磨具とを互いに接触させつつ相対運動させて基板表面を研磨しながら、
基板表面に可視の単色光を照射して該表面からの反射光に含まれるラマン光を測定して基板表面のダメージ量を測定するラマン光式ダメージ量測定方式を用いて基板表面のダメージ量を測定し、該基板表面のダメージ減少量から研磨の進行状態を監視することを特徴とする研磨方法。
【請求項6】
前記処理液は、弱酸性の水または空気が溶解した水、または電解イオン水で、前記研磨具の前記基板表面に接触する部位には導電性部材が設けられていることを特徴とする請求項5記載の研磨方法。
【請求項7】
処理液を保持する容器と、
前記容器内に前記処理液に浸漬させて配置される光透過性研磨具と、
基板を保持して前記容器内の前記処理液中に浸漬させ前記研磨具に接触させる基板ホルダと、
前記研磨具と前記基板ホルダで保持した基板とを互いに接触させつつ相対移動させる移動機構と、
基板表面に励起光を照射した時に基板と研磨具に設けた金属配線とを繋ぐ導線に流れる電流値を測定して基板表面のダメージ量を測定する光電流式ダメージ量測定装置、基板表面に励起光を照射した時に該表面から放出されるフォトルミネッセンス光を測定して基板表面のダメージ量を測定するフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定装置、及び基板表面に可視の単色光を照射して該表面からの反射光に含まれるラマン光を測定して基板表面のダメージ量を測定するラマン光式ダメージ量測定装置の少なくとも一つのダメージ量測定装置を有することを特徴とする研磨装置。
【請求項8】
光透過性研磨具と、
基板を保持して前記研磨具に接触させる基板ホルダと、
前記研磨具と前記基板ホルダで保持した基板とを互いに接触させつつ相対移動させる移動機構と、
前記研磨具と前記基板ホルダで保持した基板との接触部に処理液を供給する処理液供給部と、
基板表面に励起光を照射した時に基板と研磨具に設けた金属配線とを繋ぐ導線に流れる電流値を測定して基板表面のダメージ量を測定する光電流式ダメージ量測定装置、基板表面に励起光を照射した時に該表面から放出されるフォトルミネッセンス光を測定して基板表面のダメージ量を測定するフォトルミネッセンス光式ダメージ量測定装置、及び基板表面に可視の単色光を照射して該表面からの反射光に含まれるラマン光を測定して基板表面のダメージ量を測定するラマン光式ダメージ量測定装置の少なくとも一つのダメージ量測定装置を有することを特徴とする研磨装置。
【請求項9】
前記基板ホルダで保持して前記容器内の前記処理液内に浸漬させた基板表面に励起光を照射する光源及び基板にバイアス電位を印加する電源の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項7または8記載の研磨装置。
【請求項10】
前記基板はGa元素を含有する半導体で、前記処理液はGaイオンを含有する液性が中性域のpH緩衝溶液からなることを特徴とする請求項9記載の研磨装置。
【請求項11】
前記処理液は、水、空気が溶解した水または電解イオン水で、前記研磨具の前記基板表面に接触する部位には導電性部材が設けられていることを特徴とする請求項7または8記載の研磨装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−125938(P2011−125938A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284491(P2009−284491)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】