説明

研磨表面を有するフレキシブルな平面状基材

熱硬化性樹脂の少なくとも1つの初期縮合物の水溶液または水性分散液を、フレキシブルな平面状基材の上面および/または下面に、未被覆の乾燥基材に対して少なくとも5〜90質量%の量で塗布し、該初期縮合物を架橋させ、かつ処理された該基材を乾燥させることによって得られることを特徴とする、研磨表面を有するフレキシブルな平面状基材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨表面を有するフレキシブルな平面状基材と、家庭での、および産業界における、表面の清浄用のワイピングクロス(Wischtuecher)としてのその使用とに関する。
【0002】
WO01/94436からは、メラミン/ホルムアルデヒド縮合生成物をベースとする弾性発泡体の製造法が公知である。この方法の場合、メラミン/ホルムアルデヒド初期縮合物、乳化剤、発泡剤、硬化剤、および場合により通常の添加剤を含有する水溶液または水性分散液が、120℃〜300℃に加熱させられることによって発泡させられ、かつ該初期縮合物は架橋させられる。メラミン対ホルムアルデヒドのモル比は、1超:2である。該モル比は、例えば1:1.0から1:1.9の間にある。そのようにして得られる連続気泡のフレキシブルな発泡体は、主に、建築物および建築物部材の断熱用および遮音用に、車両および航空機の室内の断熱用および遮音用に、ならびに、例えば冷凍倉庫における低温断熱用に使用される。該発泡体は、断熱包装材料および緩衝包装材料としても、ならびに架橋メラミン樹脂の高い硬度に基づき、軽度に研磨作用を持つ清掃スポンジ、研磨スポンジおよび艶出しスポンジ用にも用いられる。
【0003】
US−B6,713,156には、他の物体への摩擦に際して、その表面が研磨作用を発揮する平面状基材が記載される。そのような研磨基材は、例えば、ポリマーを平面状下地(Unterlage)、例えばノンウーブンまたは紙上に吹き付け、発泡または印刷することによって、該ポリマーをその上に不均一に施与し、かつ硬化させることによって得られる。その際、ポリマーの硬化は素早く行われなければならない。なぜなら、該ポリマーの不均一な施与が基材の研磨作用の原因になっているからである。使用されるポリマー組成物は、−10℃を上回る最小造膜温度(MFT)を有し、かつ少なくとも0℃、たいてい20℃〜105℃のTgを有する少なくとも1つのポリマーを含有する。該ポリマー組成物は、添加剤、例えば可塑剤、架橋剤、デンプン、ポリビニルアルコール、ホルムアルデヒドと共に熱硬化可能な作用物、例えばメラミン、尿素およびフェノールを20質量%まで含有してよい。施与量は、ノンウーブンおよび他の多孔性基材に対して、一般的に20質量%を上回り、好ましくは30〜50質量%である。不均一にポリマーで被覆された基材は、例えば、家庭での、および産業界における、研摩クロス(Scheuertuecher)として、およびワイピングクロスとして、化粧用ワイプとして、および傷口治療用の綿球として使用される。
【0004】
US2005/0202232からは、少なくとも1つのシート状のメラミンフォーム層および少なくとも1つの補強層とから成る製品が公知である。メラミンフォームとして、BASF AktiengesellschaftのBasotect(R)が挙げられる。Basotect(R)は、メラミン/ホルムアルデヒド縮合生成物をベースとする連続気泡発泡体である。シート状のメラミンフォーム層およびセルロース繊維または天然あるいは合成の紡織繊維からの同様にシート状の補強層は、例えばホットメルト接着剤により互いに接合される。しかしながら、それらは補強層の種類に依存して、例えば熱および場合により圧力の作用によって直接互いに組み合わせることもできる。少なくともシートの一面にメラミンフォーム層を有する、そのようにして得られる製品は、該メラミンフォーム層の高い硬度ゆえに、家庭での、および産業界における、表面の清浄用および保護用の商品として使用される。好ましくは、これは使用後に処分される使い捨て商品である。たいてい、それは5mm未満、好ましくは0.85〜2mmの厚さを持つクロスである。
【0005】
それぞれ尿素、メラミンおよびホルムアルデヒドとからの縮合物をベースとする水性バインダーまたは粉末として、BASF Aktiengesellschaft,67056 LudwigshafenのKauramin(R)およびKaurit(R)として販売される膠および含浸用樹脂が、家具産業および建築産業において、薄板状の木質材料、例えばパーティクルボード、合板およびセキ板の製造のために使用される(技術情報 Kaurit(R)を参照のこと)。含浸用樹脂で含浸された紙類は、硬質の表面を有する。そのような製品は、例えばラミネートフロアの表面において、または家具の装飾において見られる(技術情報 Kauramin(R)を参照のこと)。
【0006】
紙の湿潤強度を高めるために、例えば、紙の製造に際して、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂が、シート形成前に紙料に添加される(例えばUrecoll(R) K,BASF Aktiengesellschaft,67056 Ludwigshafen)。紙料中に存在する樹脂の量は、乾燥紙料に対して、例えば約0.5〜1質量%である。
【0007】
使用後に使い捨てられることが意図されている、公知のワイピングクロス、例えばキッチンペーパーまたはティッシューは、殊に湿潤状態では、十分なワイピング効果を保証するために満足のいく安定性を有さない。
【0008】
比較的古いEP出願06116165からは、少なくとも1つの仕上げ加工剤による紙および紙製品の仕上げ加工法が公知であり、その際、紙または紙製品の上面および/または下面に、少なくとも1つの仕上げ加工剤がパターンの形で塗布される。この方法の場合、公知の仕上げ加工法と比較して、より少量の仕上げ加工剤が、匹敵する特性を有する紙類を製造するために必要とされる。仕上げ加工剤として、なかでもメラミン/ホルムアルデヒド樹脂および尿素/ホルムアルデヒド樹脂も考慮に入れられる。
【0009】
本発明は、家庭での、および産業界における、表面の清浄用の研磨表面を有する基材を提供するという課題に基づく。
【0010】
該課題は、本発明によれば、熱硬化性樹脂の少なくとも1つの初期縮合物の水溶液または水性分散液を、フレキシブルな平面状基材の上面および/または下面に、未被覆の乾燥基材に対して、少なくとも5〜90質量%の量で塗布し、該初期縮合物を架橋させ、かつ処理された該基材を乾燥させることによって得られる、研磨表面を有するフレキシブルな平面状基材により解決される。
【0011】
研磨表面とは、この表面が他表面をおおって移動した場合に、該他表面に摩擦作用(Reibwirkung)もしくは研摩作用(Scheuerwirkung)を及ぼすことであると理解されるべきである。例えばティッシューからの紙類が使用に際して実際には研摩作用を示さない一方で、本発明による基材は、ガラス、金属またはプラスチックからの表面のワイピングに際して、これらの表面の清浄に所望されている研摩作用を発揮する。しかしながら、その際、該研摩作用はエメリーペーパーのものよりずっと僅かであるので、本発明による基材は、汚れを除去するために僅かな研摩作用のみが所望されており、そのため本発明による基材を用いてワイピングされた材料の表面が実際に傷つけられることのない全ての適用に関して考慮に入れられる。本発明による製品は、好ましくは使い捨て商品として用いられるが、しかしながら−そのつどの適用次第では−繰り返し使用することも可能である。
【0012】
平面状基材のための例は、紙、厚紙、ボール紙、織物、編物および不織布である。紙、厚紙およびボール紙は、全ての種類のセルロース繊維から製造され得、天然セルロース繊維からのみならず、新しい繊維("バージン繊維")と混合して頻繁に用いられる再製繊維、殊に古紙からの繊維から製造され得る。該繊維は水中でパルプへと懸濁され、該パルプは網上でシート形成下で脱水させられる。パルプを製造するための繊維質として、製紙業におけるそれに関して慣例の全ての品質、例えば木材パルプ、漂白化学パルプおよび未漂白化学パルプならびに全ての一年生植物からの紙料が考慮に入れられる。木材パルプには、例えば砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、加圧式砕木パルプ、セミケミカルパルプ、高収率化学パルプおよびリファイナー・メカニカル・パルプ(RMP)が含まれる。化学パルプとして、例えば硫酸塩パルプ、亜硫酸塩パルプおよびソーダパルプが考慮に入れられる。好ましくは、未漂白クラフトパルプとも称される、未漂白化学パルプが使用される。紙料を製造するために適した一年生植物は、例えばイネ、コムギ、サトウキビおよびケナフである。本発明による製品用の平面状基材を表す紙製品の坪量は、例えば7.5〜500g/m2、好ましくは10〜150g/m2、殊に10〜100g/m2である。とりわけ有利な平面状基材は、ティッシューからの紙類ならびに構造化された表面を持っている紙類、例えば家庭で通常用いられるキッチンペーパーである。そのような紙製品は、例えば10〜60g/m2の坪量を有する。使用される平面状基材は一層から成っていてよいか、または例えば、なお湿潤な層を製造直後に重ね合わせ、かつ圧縮するか、または既に乾燥した層を、相応する接着剤により互いに接着することによって、複数の層から構成されていてよい。
【0013】
同様に平面状基材として考慮に入れられる、織物、編物および不織布(ノンウーブン)は、通常、紡織繊維または紡織繊維の混合物から成る。このための例は、木綿、セルロース、麻、羊毛、ポリアミド、例えばナイロン、Perlon(R)またはポリカプロラクタム、ポリエステルおよびポリアクリロニトリルからの繊維である。
【0014】
平面状基材の厚さは、例えば0.01〜100mm、好ましくは0.05〜10mmである。それは、たいてい0.05〜3mmの範囲内にある。該平面状基材は、例えばウェブまたはシートの形で存在する。そのような材料は可撓性である。該材料はその可撓性を、熱硬化性樹脂の塗布および硬化後にも失わないでおり、すなわち該熱硬化性樹脂は、高くても、未処理の基材の可撓性がなんとか引き続き保持されるような量で塗布されるべきである。未処理の基材の可撓性は、たしかに該熱硬化性樹脂の施与に基づき減少するが、しかしながら、該樹脂の量は、例えば家具用単板において通例である、剛性の、曲げられない構造が生じないように計量される。本発明により被覆された紙は、決して脆性であってはならず、かつ曲げた場合に、および折り畳んだ場合に、ガラスのように破砕するべきではない。本発明により被覆されたボール紙も同様になお破壊させずに曲げることが可能であるが、しかしながら、被覆されなかったボール紙と比べて本質的に改善されたワイピング作用を有する。
【0015】
研磨表面を有するフレキシブルな平面状基材を製造するために、平面状基材、例えば不織布、織物、編物、紙、厚紙およびボール紙がまず、少なくとも1つの熱硬化性樹脂の初期縮合物の水溶液または水性分散液で処理される。該熱硬化性樹脂の初期縮合物は、メラミン/ホルムアルデヒド初期縮合物、尿素/ホルムアルデヒド初期縮合物、尿素/グリオキサール初期縮合物およびフェノール/ホルムアルデヒド初期縮合物の群から選択されている。
【0016】
好ましくは、メラミンおよびホルムアルデヒドとからの初期縮合物が使用され、その際、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比は、1超:2である。好ましくは、熱硬化性樹脂として、メラミンおよびホルムアルデヒドとからの初期縮合物が使用され、その際、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比は、1:1.0〜1:1.9である。メラミン/ホルムアルデヒド初期縮合物は、メラミンに加えて他の熱硬化性形成剤(Duroplastbildner)を50質量%まで、好ましくは20質量%まで、かつホルムアルデヒドに加えて他のアルデヒドを50質量%まで、たいてい20質量%まで縮合導入された形で含有してよい。熱硬化性形成剤として、例えばアルキル置換メラミンおよびアリール置換メラミン、尿素、ウレタン、カルボン酸アミド、ジシアンジアミド、グアニジン、スルフリルアミド、スルホン酸アミド、脂肪族アミン、グリコール、フェノールおよびフェノール誘導体が考慮に入れられる。アルデヒドとして、例えばホルムアルデヒドを縮合物中で部分的に置き換えるために、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、トリメチロールアセトアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、フルフロール、グリオキサール、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒドおよびテレフタルアルデヒドを使用してよい。
【0017】
初期縮合物は、場合により少なくとも1つのアルコールでエーテル化されていてよい。このための例は、C1〜C18−一価アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、シクロペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−オクタノール、デカノール、パルミチルアルコールおよびステアリルアルコール、多価アルコール、例えばグリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ブタンジオール−1,4、ヘキサンジオール−1,6、3〜20個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール、片末端封鎖されたグリコールおよびポリアルキレングリコール、プロピレングリコール−1,2、プロピレングリコール−1,3、ポリプロピレングリコール、ペンタエリトリトールおよびトリメチロールプロパンである。
【0018】
熱硬化性樹脂の製造は従来技術に含まれる(Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry,Sixth Completely Revised Edition,Wiley−VCH Verlag GmbH Co.KgaA,Weinheim,"Amino Resins",Vol.2,Seiten 537−565(2003)を参照のこと)。
【0019】
その際、好ましくはメラミンおよびホルムアルデヒドとからの初期縮合物の水溶液または水性分散液から出発される。固体濃度は、例えば5〜95質量%であり、好ましくは、それは10〜70質量%の範囲内にある。初期縮合物の溶液または分散液は、たいてい少なくとも1つの硬化剤を含有する。特定の場合には、縮合のために慣例の硬化剤を別個に平面状基材に施与してもよい。通常、硬化剤として、熱硬化性樹脂のさらなる縮合を触媒する酸性化合物が用いられる。これらの量は、該樹脂に対して、例えば0.01〜70質量%、好ましくは0.05〜60質量%である。適した硬化剤は、例えば無機酸および有機酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、アミドスルホン酸ならびに酸無水物、例えばマレイン酸無水物またはイタコン酸無水物または酸とアンモニアまたはアミンとの塩ならびに硫酸水素ナトリウムおよび塩化マグネシウムである。
【0020】
熱硬化性樹脂の初期縮合物の水溶液または水性分散液は、場合により、さらに界面活性剤を含有してよい。適しているのは、例えば非イオン性、アニオン性およびカチオン性の界面活性剤ならびに少なくとも1つの非イオン界面活性剤および少なくとも1つのアニオン性界面活性剤とからの混合物、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤とからの混合物、複数の非イオン性界面活性剤からの混合物または複数のカチオン性界面活性剤からの混合物または複数のアニオン性界面活性剤からの混合物である。
【0021】
界面活性剤として、例えば全ての表面活性剤が考慮に入れられる。適した非イオン性表面活性物質のための例は、エトキシル化されたモノアルキルフェノール、ジアルキルフェノールおよびトリアルキルフェノール(エトキシル化度:3〜50、アルキル基:C3〜C12)ならびにエトキシル化された脂肪アルコール(エトキシル化度:3〜80;アルキル基:C8〜C36)である。このための例は、BASF AGの商標Lutensol(R)またはUnion Carbideの商標Triton(R)である。とりわけ有利なのは、一般式
n−Cx2x+1−O(CH2CH2O)y−H,
[式中、xは、10〜24の範囲内の整数、有利には12〜20の範囲内の整数である]のエトキシル化された線状脂肪アルコールである。変数yは、好ましくは5〜50、とりわけ有利には8〜40の範囲内の整数を表す。エトキシル化された線状脂肪アルコールは、通常、種々のエトキシル化度を有する様々のエトキシル化された脂肪アルコールの混合物として存在する。変数yは、本発明の枠内で平均値(数平均)を表す。さらに、適した非イオン性表面活性物質は、コポリマー、殊にエチレンオキシドおよび少なくとも1つのC3〜C10−アルキレンオキシドとのブロックコポリマー、例えば式
RO(CH2CH2O)y1−(BO)y2−(A−O)m−(B'O)y3−(CH2CH2O)y4R',
[式中、mは、0または1を表し、Aは、脂肪族、脂環式または芳香族のジオールから誘導された基、例えばエタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、シクロヘキサン−1,4−ジイル、シクロヘキサン−1,2−ジイルまたはビス(シクロヘキシル)メタン−4,4'−ジイルを表し、BおよびB'は、互いに無関係に、プロパン−1,2−ジイル、ブタン−1,2−ジイルまたはフェニルエタニルを表し、互いに無関係に、2〜100の数を表し、かつY2およびY3は、互いに無関係に、2〜100の数を表し、その際、y1+y2+y3+y4の合計は、好ましくは20〜400の範囲内にあり、これは1000〜20000の範囲内の数平均分子量に相当する]のトリブロックコポリマーである。好ましくは、Aは、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイルまたはブタン−1,4−ジイルを表す。Bは、好ましくはプロパン−1,2−ジイルを表す。
【0022】
それ以外に、表面活性物質として、Zonyl(R)(DuPont)の商標名で市販されている、フッ素で置換されたポリアルキレングリコールが適している。
【0023】
表面活性物質として、非イオン性界面活性剤以外に、アニオン性およびカチオン性の界面活性剤も考慮に入れられる。該表面活性物質は、それ単独で、または混合物として使用することができる。ただし、このための前提条件は、該表面活性物質が互いに相溶性であること、つまり互いに沈殿物を生じないことである。この前提条件は、例えば、そのつど1つの化合物種からの混合物に、ならびに非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤とからの混合物および非イオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤とからの混合物に当てはまる。適したアニオン性表面活性剤のための例は、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウムおよびジオクチルスルホコハク酸ナトリウムである。
【0024】
カチオン性界面活性剤のための例は、第四級アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩、例えばジメチル−C12〜C18−アルキルベンジルアンモニウムクロリド、第一級、第二級および第三級の脂肪アミン塩、第四級アミドアミン化合物、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩およびアルキルオキサゾリニウム塩である。
【0025】
とりわけ有利なのは、たいていアルカリ液で中和された形において使用される、例えば硫酸でエステル化された(場合によりアルコキシル化された)アルコールのようなアニオン性界面活性剤である。さらなる通常の乳化剤は、例えば、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸エステルである。さらに、アニオン性乳化剤として、リン酸または亜リン酸のエステルならびに脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸も使用してよい。通常の乳化剤は、文献中に詳細に記載されている(例えばM.Ash,I.Ash,Handbook of Industrial Surfactants,Third Edition,Synapse Information Resources Inc.を参照のこと)。
【0026】
少なくとも1つの初期縮合物の水溶液または水性分散液は、界面活性剤を10質量%までの量で含有してよい。それが界面活性剤を含有する場合、好ましくは溶液中または分散液中で存在する界面活性剤の量は0.01〜5質量%である。
【0027】
初期縮合物の水溶液または水性分散液は、場合により、さらなる通常の添加剤、例えば着色剤、殺生剤、粒子状の無機化合物、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、マーブルおよびコランダムを含有してよい。無機化合物の平均粒径は、例えば1nm〜500μmである。これらの添加剤の量は、溶液または分散液に対して、例えば0〜100質量%、好ましくは0〜25質量%である。初期縮合物の水溶液または水性分散液は、それ以外に、さらに少なくとも1つの芳香剤または香料を含有してよい。そのような物質が使用される場合、その量は、溶液または分散液に対して、例えば0.1〜5質量%、たいてい0.2〜1質量%である。好ましくは、本発明によるフレキシブルな平面状基材は、他表面への摩擦に際して研摩作用を発揮する、例えば炭化ケイ素または酸化アルミニウムのような材料を含まない。
【0028】
初期縮合物の水溶液または水性分散液は、それ以外に、少なくとも1つの高分子添加剤0〜20質量%を含有してよい。このための例は、N−ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸およびアクリル酸およびメタクリル酸の塩、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルホネート、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレン、ブタジエンを重合導入して含有するポリマー、例えばスチレンおよびブタジエンとからのコポリマー、スチレン、ブタジエンおよびアクリル酸とからのコポリマー、スチレン、アクリロニトリルおよびブタジエンとからのコポリマー、ポリアクリロニトリル、アクロレインのコポリマー、アルキルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、アルキルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリアミド、ポリエステルおよびポリホルムアルデヒドである。
【0029】
本発明による製品を製造するために、初期縮合物の溶液または分散液(以下で"調製溶液"とも称される)は、基材に面全体にわたって塗布するか、またはそれにパターンの形で塗布するかのいずれかであってよい。該調製溶液は、平面状基材に施与する前に、例えば空気または他のガスの混入によって発泡させてもよい。次いで硬化および乾燥後に、フォームで被覆されている、該フォームの気泡が、Basotect(R)のようなメラミンおよびホルムアルデヒドをベースとする熱硬化性樹脂からの公知の発泡体とは対照的に、例えば1〜1000nmのナノメートル範囲における平均直径を有する平面状基材が得られる。
【0030】
該調製溶液は、好ましくは未発泡状態で、そのつど考慮に入れられる下地に塗布される。該調製溶液は、例えば、噴霧塗布、ナイフ塗布、ロール塗布、印刷塗布によってか、または当業者に公知である、他の適した技術的な装置、例えばサイズプレス、フィルムプレス、エアブラシ、カーテンコーティングユニットにより、平面状下地に塗布することができる。好ましくは、樹脂が基材に侵入することを低下させるために、非接触法または平面状基材への出来る限り小さい圧力を用いた方法が適用される。
【0031】
片面またはそれに両面に、同時にまたは連続してのいずれかで施与してよい。調製溶液により平面状基材に施与される熱硬化性樹脂の量は、未被覆の乾燥した平面状基材の坪量に対して、例えば5〜90質量%、好ましくは10〜80質量%、殊に20〜70質量%である。
【0032】
それゆえ該量は、普通、紙の製造に際して、紙料への湿潤紙力増強剤の添加による紙の湿潤増強仕上げのために用いられる量より明らかに多く、かつ平面状基材をメラミン/ホルムアルデヒド樹脂で被覆することによる装飾シートの製造のために適用される量より本質的に少ない。そのつど基材に施与される初期縮合物の量は、本発明による製品の可撓性、柔軟性および取り扱い性に決定的な影響を与える。
【0033】
それ以外に、調製溶液もしくは硬化樹脂を基材に分散させることは、本発明による製品の可撓性に著しい影響を与える。該調製溶液は、例えば不均一に下地に塗布され得、その際、該調製溶液は下地を面全体で覆うが、しかしながら、その上に均一には分散されていない。さらなる一変法は、該調製溶液をパターンに従って平面状基材に印刷する点にある。そのようして、例えばとりわけ可撓性の製品が、該調製溶液を平行ストリップの形で、または点状に下地に印刷する場合に得られる。
【0034】
該調製溶液を平面状下地に塗布した後、熱硬化性樹脂の架橋および熱硬化性樹脂の初期縮合物のコートを備え付けた平面状基材の乾燥が行われ、その際、架橋および乾燥は同時にまたは連続して進行させてよい。好ましい一実施態様は、該熱硬化性樹脂を湿潤雰囲気で架橋させ、かつ生成物をその後に乾燥させる点にある。樹脂の熱硬化および生成物の乾燥は、例えば40〜250℃、好ましくは50〜200℃、とりわけ有利には80〜140℃の温度範囲内で行ってよい。乾燥工程は、例えばガス乾燥機中またはIR乾燥機中でも行ってよい。そのつど適用される温度が高ければ高いほど、それだけ一層、乾燥装置中で乾燥されるべき材料の滞留時間は短くなる。所望される場合、本発明による生成物は、乾燥後になお300℃までの温度に温度処理することができる。300℃より高い温度も、樹脂を硬化するために適用することができるが、しかしながら、その時に必要とされる滞留時間は非常に短い。
【0035】
家庭での、および産業界における、表面の清浄用のワイピングクロスとして使用される、フレキシブルな平面状基材が得られる。それらは殊に、金属、ガラス、陶磁器、プラスチックおよび木材からの物体の表面清浄用の研磨ワイピングクロスとして適している。本発明による製品は、殊に使い捨て商品として適しているが、しかしながら、場合により、繰り返し使用することができる。なかでも、下地として織物または不織布を含有するような本発明による製品の場合、繰り返し使用される。
【0036】
実施例の中の百分率表示は、文脈から他に明らかでない限り、質量パーセントを意味する。
【0037】
実施例
調製溶液1
メラミンおよびホルムアルデヒドとからの粉末状の初期縮合物(Kauramin(R) KMT 773(powder,BASF))および水とから20%の水溶液を、完全脱塩水をビーカーに装入し、該粉末をゆっくりと入れ、かつ混合物を引き続き1時間、最も高い段階に調整されたUltra−Turrax(R)で処理することによって製造した。その後、初期縮合物の該水溶液を、ひだ付き濾紙を介して濾過した。この溶液30gに、ギ酸3.5g(100%)およびフッ素で置換された表面活性剤100μl(Zonyl(R) FS 300,DuPont)を加えて、かつ混合物を6分間、70℃の温度にて乾燥庫内で貯蔵した。
【0038】
実施例1
53g/m2の坪量を有する23.8cm×25.7cmの大きさの一枚のキッチンペーパー(TORK(Premium)−キッチンペーパー)に、調製溶液1の一部を0.2のナイフコーターにより片面だけに施与した。塗布された樹脂の量は、乾燥キッチンペーパーに対して37%であった。クロスが破れるのを防ぐために、保護紙を下敷きとしてあてがった。被覆された材料を、次いでアルミニウムからの薄板に載置し、かつ15分間、60℃および90%の湿度にて空調庫内で乾燥させた。引き続き、調製溶液1で被覆されたクロスを15分間、70℃にて乾燥庫内で貯蔵した。その後、紙は乾燥し、かつ架橋していた。該紙は、73g/m2の坪量を有していた。
【0039】
実施例2
36g/m2の坪量を有する34.3cm×24.1cmの大きさの紙の試験体(TORK(Universal)Wiper 320−実験用ペーパー(Laborrolle))を、実施例1の中で示される方法に従って、一面に調製溶液1で被覆し、乾燥および架橋させた。下地に施与された樹脂の量は26%であった。被覆された基材の坪量は、その後45g/m2であった。
【0040】
実施例3
53g/m2の坪量を有する34.3cm×24.1cmの大きさの紙の試験体(TORK(Universal)Wiper 320−実験用ペーパー)に、調製溶液1を片面だけに噴霧した。塗布された樹脂の量は、乾燥紙に対して25%であった。被覆された試験体を、実施例1の中で示されるように乾燥および架橋させた。この試験体の坪量は66g/m2であった。
【0041】
実施例4
53g/m2の坪量を有する34.3cm×24.1cmの大きさの紙の試験体(TORK(Universal)Wiper 320−実験用ペーパー)に、調製溶液1を両面に噴霧した。全体の塗布された樹脂の量は、未被覆の紙に対して51%であった。被覆された試験体を、実施例1の中で示されるように乾燥および架橋させた。その後、この試験体の坪量は80g/m2であった。
【0042】
実施例5
80g/m2の坪量を有する黒色の紙を、実施例1の中で示される方法に従って被覆、乾燥および架橋させた。該紙に施与された樹脂の量は、未被覆の乾燥紙に対して35%であった。該紙の表面は、樹脂を有する線条が目に見えることなく均一に被覆されていた。被覆、乾燥および架橋された該紙は、108g/m2の坪量を有していた。
【0043】
実施例6
22.0cm×16.3cmの寸法(Legamaster−イレーザーシート(Loeschblatt)(テーブルクロス))および47g/m2の坪量を有する紙を、実施例1の中で示されるように被覆、乾燥および架橋させた。該紙に塗布された樹脂の量は、未被覆の乾燥紙に対して67%であった。そのようにして処理された試験体の坪量は79g/m2であった。
【0044】
実施例7
22.0cm×16.3cmの寸法(Legamaster−イレーザーシート(テーブルクロス))および47g/m2の坪量を有する紙を、実施例4の中で記載されるように、両面に調製溶液1を噴霧し、乾燥および架橋させた。全体の施与された樹脂の量は、未被覆の乾燥紙に対して27%であった。そのようにして処理された試験体の坪量は60g/m2であった。
【0045】
実施例に従って得られる被覆された紙を、ワイピングクロスとしてのその適性に関して試験し、かつ市販の未被覆の紙と比較した。このために、テストされるべき試験体を、13mmの直径および600gの質量を有する円筒形ポンチの一面に接着剤によりそれぞれ固定した。振動機に、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂(Resopal(R))からの表面を有する薄板を据え付けた。該薄板の表面を、引き続きパーマネントマーカーで汚した(Permanent Marker Eding 3000)この面に円筒形ポンチを設置し、その際、試験されるべき試験体と接着されている該ポンチの面は、そのつどResopal(R)からの薄板上に載っていた。該薄板の清浄されるべき箇所を、完全脱塩水0.5mlで湿らせた。振動機は、5cmの該薄板の水平偏向にて20回の往復ストローク/分で作動させた。40回のストローク後に該薄板の清浄が達成されなかった場合(薄板上のマーキングの除去)、新しい試験体を円筒形ポンチに接着させ、かつ、それに伴って試験を継続した。実施したテストおよびその際に得られた結果は、次の表の中で示されている。
【0046】
【表1】

【0047】
Resopal(R)からの薄板を"Alpina Weiss"で被覆し、かつワックスクレヨンで汚した。その後、次の清浄クロスを用いた試験を実施した:
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨表面を有するフレキシブルな平面状基材において、該平面状基材が、熱硬化性樹脂の少なくとも1つの初期縮合物の水溶液または水性分散液を、フレキシブルな平面状基材の上面および/または下面に、未被覆の乾燥基材に対して少なくとも5〜90質量%の量で塗布し、該初期縮合物を架橋させ、かつ処理された該基材を乾燥させることによって得られることを特徴とする、研磨表面を有するフレキシブルな平面状基材。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂の初期縮合物が、メラミン/ホルムアルデヒド初期縮合物、尿素/ホルムアルデヒド初期縮合物、尿素/グリオキサール初期縮合物およびフェノール/ホルムアルデヒド初期縮合物の群から選択されていることを特徴とする、請求項1記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項3】
熱硬化性樹脂として、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1超:2である、メラミンおよびホルムアルデヒドとからの初期縮合物が用いられることを特徴とする、請求項1または2記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項4】
熱硬化性樹脂として、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1:1.0〜1:1.9である初期縮合物が用いられることを特徴とする、請求項3記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項5】
前記基材が、不織布、織物、編物、紙、厚紙およびボール紙の群から選択されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項6】
前記基材が、セルロース繊維からの紙または不織布であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項7】
前記初期縮合物の溶液または分散液が、少なくとも1つの硬化剤を含有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項8】
前記初期縮合物の溶液または分散液が、少なくとも1つの界面活性剤を含有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項9】
前記初期縮合物の溶液または分散液が、少なくとも1つの高分子添加剤0〜20質量%を含有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項10】
前記初期縮合物の溶液または分散液が、基材に面全体で塗布されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項11】
前記初期縮合物の水溶液または水性分散液が、基材にパターンの形で塗布されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項12】
初期縮合物の水溶液で処理された前記基材が、50〜250℃の範囲内の温度で硬化および乾燥させられることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項13】
前記熱硬化性樹脂の量が、未被覆の乾燥基材に対して5〜90質量%であることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項14】
家庭での、および産業界における、表面の清浄用のワイピングクロスとしての、請求項1から13までのいずれか1項記載のフレキシブルな平面状基材の使用。

【公表番号】特表2010−516506(P2010−516506A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546737(P2009−546737)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050673
【国際公開番号】WO2008/090136
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】