破壊性状算出方法
【課題】被破壊物の構造に関わらず、被破壊物の破壊性状を容易かつ精度良く算出する。
【解決手段】破壊性状の算出方法では、衝撃圧測定器を用いて放電衝撃破壊装置1の放電カートリッジ2による衝撃圧の時間的な変化を示す基準衝撃圧波形を求め、放電カートリッジ2の破壊用物質22の量を変更しつつ試験体の破壊試験と基準衝撃圧波形を用いた試験体の破壊性状の数値解析とを繰り返して破壊用物質量−衝撃圧特性を取得し、基準衝撃圧波形および破壊用物質量−衝撃圧特性に基づいて被破壊物9の破壊性状が数値解析により算出される。これにより、基準衝撃圧波形および破壊用物質量−衝撃圧特性を一度求めた後は、被破壊物の構造に関わらず、破壊試験を行うことなく被破壊物の破壊性状を容易かつ精度良く算出することができる。
【解決手段】破壊性状の算出方法では、衝撃圧測定器を用いて放電衝撃破壊装置1の放電カートリッジ2による衝撃圧の時間的な変化を示す基準衝撃圧波形を求め、放電カートリッジ2の破壊用物質22の量を変更しつつ試験体の破壊試験と基準衝撃圧波形を用いた試験体の破壊性状の数値解析とを繰り返して破壊用物質量−衝撃圧特性を取得し、基準衝撃圧波形および破壊用物質量−衝撃圧特性に基づいて被破壊物9の破壊性状が数値解析により算出される。これにより、基準衝撃圧波形および破壊用物質量−衝撃圧特性を一度求めた後は、被破壊物の構造に関わらず、破壊試験を行うことなく被破壊物の破壊性状を容易かつ精度良く算出することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被破壊物の破壊性状を算出する破壊性状算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンクリート構造物や岩石等の被破壊物を破壊する方法として、特許文献1のように、金属細線を介して接続された一対の電極および水等の破壊用物質が収容された破壊容器を、被破壊物に形成された装着孔に挿入し、金属細線に電気エネルギーを短時間にて放電供給することにより破壊用物質を急激に気化させ、気化の際の膨張により被破壊物を破壊する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3773305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような破壊方法により被破壊物を破壊する際に、事前に破壊される範囲や破壊の態様(すなわち、被破壊物に生じる亀裂の幅や分布等の情報を含む破壊性状)を予測することができれば、残存部の健全性や強度低下等、施工計画に有益な情報を得ることができる。
【0005】
しかしながら、実際の破壊工事では、被破壊物は様々な材料にて形成されており、また、様々な構造を有するため、被破壊物の破壊性状を予測するためには、被破壊物と同様の構造等を有する試験体を破壊してその破壊性状を観察する必要があり、破壊性状の予測に多大な労力と時間が必要であった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、被破壊物の構造に関わらず、被破壊物の破壊性状を容易かつ精度良く算出することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、被破壊物の破壊性状を算出する破壊性状算出方法であって、a)金属細線を介して互いに接続された一対の電極および破壊用物質を容器内に収容した放電カートリッジを準備し、前記一対の電極に電気エネルギーを供給して前記金属細線を溶融気化させることにより前記破壊用物質を反応させ、前記破壊用物質の膨張による衝撃圧を衝撃圧測定器にて測定し、測定結果に基づいて衝撃圧の時間的な変化を示す基準衝撃圧波形を求める工程と、b)試験体の内部に、前記放電カートリッジと同様の、または、前記破壊用物質の量を変更した放電カートリッジを収容し、一対の電極に電気エネルギーを供給して前記試験体を破壊し、前記試験体の破壊性状を取得する工程と、c)前記試験体の構造をモデル化し、前記基準衝撃圧波形から複数の入力波形を生成して前記複数の入力波形の衝撃圧が加えられた場合の前記試験体の破壊性状を数値解析により求め、前記b)工程にて取得された破壊性状に相当する破壊性状が得られる入力波形を算出衝撃圧波形として取得する工程と、d)前記b)工程にて使用される前記破壊用物質の量を変更しつつ前記b)工程および前記c)工程を繰り返すことにより、前記破壊用物質の量と前記算出衝撃圧波形との関係を示す破壊用物質量−衝撃圧特性を取得する工程と、e)被破壊物の構造をモデル化し、前記破壊用物質量−衝撃圧特性に基づいて、前記被破壊物の破壊に使用される前記破壊用物質の量から解析用衝撃圧波形を求め、前記解析用衝撃圧波形を用いて数値解析を行うことにより、前記被破壊物の破壊性状を算出する工程とを備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の破壊性状算出方法であって、前記a)工程において、前記衝撃圧測定器の内部空間に前記放電カートリッジが収容され、前記衝撃圧測定器が破壊されることなく前記内部空間に配置された圧力センサにより前記衝撃圧が測定される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の破壊性状算出方法であって、前記c)工程において、前記基準衝撃圧波形の形状をおよそ維持しつつ最大圧力を変更することにより、前記複数の入力波形が生成される。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の破壊性状算出方法であって、前記試験体および前記被破壊物の構造のモデル化において、前記試験体および前記被破壊物に含まれる少なくとも1つの材料の応力−歪み特性が、歪み速度依存性を有する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の破壊性状算出方法であって、前記破壊用物質が自己反応性を有する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の破壊性状算出方法であって、前記試験体および前記被破壊物がコンクリートを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、被破壊物の構造に関わらず、被破壊物の破壊性状を容易かつ精度良く算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】放電衝撃破壊装置の構成を示す図である。
【図2】放電衝撃破壊装置による被破壊物の破壊の流れを示す図である。
【図3】放電衝撃破壊装置と被破壊物とを示す図である。
【図4】被破壊物の破壊性状の算出の流れを示す図である。
【図5】衝撃圧測定器の平面図である。
【図6】衝撃圧測定器の断面図である。
【図7.A】試験体の平面図である。
【図7.B】試験体の断面図である。
【図8.A】試験体の平面図である。
【図8.B】試験体の断面図である。
【図9】測定衝撃圧波形を示す図である。
【図10】火薬発破の際の圧力の時間的変化を示す図である。
【図11】基準衝撃圧波形を示す図である。
【図12】試験体の材料の材料定数を示す図である。
【図13.A】破壊後の試験体を示す図である。
【図13.B】試験体の上面および側面における亀裂を示す図である。
【図14】試験体のコンクリート本体の圧縮強度を示す図である。
【図15】試験体のコンクリート本体の引張強度を示す図である。
【図16】圧縮強度および引張強度に対する歪み速度の影響を示す図である。
【図17】試験体のモデルを示す図である。
【図18.A】試験体のモデルにおける凹部近傍の縦断面図である。
【図18.B】試験体のモデルにおける凹部近傍の横断面図である。
【図19】試験体の算出破壊性状を示す図である。
【図20.A】破壊後の試験体を示す図である。
【図20.B】試験体の上面および側面における亀裂を示す図である。
【図21.A】破壊後の試験体を分解して示す図である。
【図21.B】破壊後の試験体を分解して示す図である。
【図22】試験体の算出破壊性状を示す図である。
【図23.A】破壊後の試験体を示す図である。
【図23.B】試験体の上面および側面における亀裂を示す図である。
【図24】試験体の算出破壊性状を示す図である。
【図25.A】破壊後の試験体を示す図である。
【図25.B】試験体の上面および側面における亀裂を示す図である。
【図26】試験体の算出破壊性状を示す図である。
【図27】破壊用物質量−衝撃圧特性を示す図である。
【図28.A】試験体における最大主歪みのベクトル図である。
【図28.B】試験体における最大主歪みのベクトル図である。
【図29】歪みの時間的変化を示す図である。
【図30】衝撃圧測定器の断面図である。
【図31】衝撃圧測定器の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る放電衝撃破壊装置1の構成を示す図である。放電衝撃破壊装置1は、コンクリート構造物や岩石等の被破壊物に装着される放電カートリッジ2、配線3を介して放電カートリッジ2に接続されるコンデンサ4、および、配線5を介してコンデンサ4に接続される直流電源6を備え、配線3および配線5にはそれぞれ放電スイッチ31および充電スイッチ51が設けられる。図1では、図の理解を容易にするために放電カートリッジ2の一部を断面にて描いている。
【0016】
放電カートリッジ2は、プラスチック等により形成された略円筒状の破壊容器21、破壊容器21内に充填された無酸素環境下または低酸素環境下にて燃焼可能な液状やゲル状の破壊用物質22(すなわち、自己反応性を有する物質)、破壊容器21内に収容された一対の電極23、および、一対の電極23の先端部に接続され、電極23よりも断面積が小さい金属細線24を備える。一対の電極23は、金属細線24を介して互いに接続されるとともに配線3を介してコンデンサ4に接続される。
【0017】
破壊容器21は、上部に開口を有する容器本体211、および、容器本体211の開口を閉塞して容器本体211の内部を密閉する蓋部212を備える。一対の電極23は、破壊容器21の蓋部212を貫通するとともに蓋部212に固定された配線3により破壊容器21に固定されており、電極23および金属細線24は破壊容器21内にて破壊用物質22の内部に位置する。
【0018】
図2は、放電衝撃破壊装置1による被破壊物の破壊の流れを示す図である。放電衝撃破壊装置1により被破壊物の破壊が行われる際には、まず、図3に示すように、ドリル等により被破壊物9に凹部91が形成される(ステップS11)。本実施の形態では、被破壊物9はコンクリートを含む構造物(より具体的には、鉄筋コンクリート構造物)とされる。また、凹部91は深孔状の装填孔とされ、凹部91の深さ方向に垂直な断面は略円形とされる。図3では、図の理解を容易にするために被破壊物9を断面にて描いている。
【0019】
続いて、放電カートリッジ2が被破壊物9の凹部91内(すなわち、被破壊物9の内部)に挿入され、凹部91内に砂等のタンピング材92が充填される(いわゆる、タンピングが行われる)(ステップS12)。次に、被破壊物9の放電衝撃破壊装置1の放電スイッチ31がOFFとされた状態で充電スイッチ51がONとされることにより、直流電源6からコンデンサ4に電気エネルギーが蓄積される。
【0020】
その後、充電スイッチ51がOFFとされ、放電スイッチ31がONとされることにより、コンデンサ4に蓄積された電気エネルギーが、放電カートリッジ2の一対の電極23に供給されて金属細線24が溶融気化する。本実施の形態では、電圧が1kV以上6kV以下、電流の最大値が1kA以上50kA以下、かつ、供給時間が1秒以下の条件下にて、電気エネルギーが一対の電極23に供給される。溶融気化された金属細線24は数千度の金属ガスとなり、コンデンサ4からの電気エネルギーが当該金属ガスにさらに供給されることによりプラズマが発生する。
【0021】
そして、金属細線24の溶融気化およびプラズマ化により発生する高温高圧により、放電カートリッジ2の破壊容器21内において破壊用物質22を反応させて瞬間的に蒸発気化させ、破壊用物質22の気化の際の膨張により生じる衝撃力(すなわち、放電衝撃力)により被破壊物9が破壊される(ステップS13)。放電衝撃破壊装置1では、放電カートリッジ2内の破壊用物質22の量を変更することにより、放電衝撃力を変更することができる。
【0022】
次に、被破壊物9の破壊性状(本実施の形態では、破壊により被破壊物9に生じる亀裂の幅および分布)を被破壊物9の破壊よりも前に算出する破壊性状算出方法について、図4を参照しつつ説明する。図5は、破壊性状の算出に利用される衝撃圧測定器81を示す平面図であり、図6は、衝撃圧測定器81を図5中のA−Aの位置にて切断した断面図である。また、図7.Aおよび図8.Aはそれぞれ、破壊性状の算出に利用される試験体82a,82bの平面図であり、図7.Bおよび図8.Bはそれぞれ、試験体82a,82bを図7.A中のB−Bの位置、および、図8.A中のC−Cの位置にて切断した断面図である。図5ないし図8.Bでは、放電衝撃破壊装置1の放電カートリッジ2も併せて描いている。また、図6、図7.Bおよび図8.Bでは、図の理解を容易にするために、断面よりも奥の構成も破線にて併せて描いている。
【0023】
図5および図6に示すように、衝撃圧測定器81は、正面視において略L字型の第1鋼材811、および、第1鋼材811の下部(すなわち、L字の下側の横線に相当する部位)上に配置される略直方体状の第2鋼材812を備え、第2鋼材812の第1鋼材811に対向する側面には、第2鋼材812の上下方向(図6中の上下方向に一致する。)の全長に亘る溝部813が形成されている。溝部813の上下方向に垂直な断面は図5に示すように略円形とされ、図5および図6に示すように、第1鋼材811と第2鋼材812とが6本のボルト815により結合されることにより、溝部813の側部開口および下部開口が第1鋼材811により閉塞される。これにより、溝部813は上部のみに開口を有する凹部813となる。衝撃圧測定器81は、また、凹部813の内側面および内底面に貼付されるシート状の2つの圧力センサ814を備える。本実施の形態では、圧力センサ814として、Dynasen社製のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)フィルムが利用される。
【0024】
被破壊物9の破壊性状が算出される際には、まず、放電衝撃破壊装置1の放電カートリッジ2が衝撃圧測定器81の凹部813に挿入され(すなわち、衝撃圧測定器81の内部空間に収容され)、凹部813内に砂等のタンピング材810が充填されて突き固められる。本実施の形態では、放電カートリッジ2の破壊容器21内の破壊用物質22(図1参照)の量は10ml(ミリリットル)とされる。
【0025】
続いて、被破壊物9の破壊の際と同様に、放電カートリッジ2の一対の電極23(図1参照)に電気エネルギーが供給され、金属細線24(図1参照)が溶融気化およびプラズマ化する際に発生する高温高圧により、放電カートリッジ2の破壊用物質22(図1参照)を反応させて瞬間的に蒸発気化させる。そして、破壊用物質22の気化の際の膨張により、衝撃圧測定器81が破壊されることなく(すなわち、衝撃圧測定器81の第1鋼材811や第2鋼材812に亀裂等を生じさせることなく)衝撃圧測定器81に衝撃圧が付与され、衝撃圧測定器81の内部空間に配置された圧力センサ814により当該衝撃圧が測定される(ステップS21)。
【0026】
図9は、衝撃圧の発生時からの経過時間と圧力センサ814にて測定された圧力との関係を示す図であり、図中の実線711は、圧力センサ814により取得された圧力の時間的な変化を示す衝撃圧波形(以下、「測定衝撃圧波形711」という。)を示す。図9に示すように、測定衝撃圧波形711では、衝撃圧の発生からおよそ50μ(マイクロ)秒後に圧力が最大値に達し、その後、緩やかに圧力が減少している。
【0027】
ところで、図3に示す放電衝撃破壊装置1による実際の被破壊物9の破壊では、破壊用物質22の気化により凹部91の内壁に加えられる圧力が最大となった後は、被破壊物9に生じた亀裂等から圧力が逃げて急激に減少する。一方、火薬類を被破壊物の凹部内で爆破させて被破壊物を破壊する場合(すなわち、火薬発破が行われた場合)、凹部の内壁に加えられる圧力は、図10に示すように、衝撃圧の発生から数μ秒にて最大値に達した後、急激に減少して衝撃圧発生から約200μ秒後に0となることが一例として知られている。
【0028】
破壊性状の算出では、圧力センサ814による測定結果である測定衝撃圧波形711(図9参照)、および、図10に示す火薬発破時の衝撃圧波形に基づいて、仮に破壊用物質22の気化による衝撃圧が当該衝撃圧により破壊される物体(すなわち、衝撃圧により亀裂が生じる物体)に付与されるとした場合における圧力の時間的な変化を示す基準衝撃圧波形が求められる(ステップS22)。具体的には、図9に示す測定衝撃圧波形711のうち圧力が最大値に達した後の波形が、図10に示す火薬発破時の衝撃圧波形における最大圧力到達後の波形と同様の形状となるように、より具体的には、圧力が最大値から急激に減少するとともに衝撃圧の発生から200μ秒後に0となるように測定衝撃圧波形711が補正される。図11では、補正後の衝撃圧波形である基準衝撃圧波形721を実線にて示し、測定衝撃圧波形711を破線にて示す。
【0029】
基準衝撃圧波形721が求められると、放電カートリッジ2の破壊用物質22(図1参照)を用いて図7.Aないし図8.Bに示す試験体82a,82bを実際に破壊することにより、試験体の破壊性状の取得が行われる。本実施の形態では、それぞれ2個の試験体82a,82bが使用される。試験体82aは、略円柱状の鉄筋コンクリートであり、図7.Aおよび図7.Bに示すように、試験体82aの上面(すなわち、図7.B中の上側の主面)には、平面視における中心線を中心として下方に伸びる凹部821が電動コア抜きドリル等により形成されている。試験体82aは、略円柱状のコンクリート本体822、コンクリート本体822の内部にて上記中心線を中心とする円周上に等間隔に配列された上下方向に伸びる8本の主筋823、および、8本の主筋823と交差するように上下方向に等間隔に配列された円周状の6本の帯筋824を備える。
【0030】
本実施の形態では、試験体82aの上下面の直径は600mmであり、高さは600mmである。また、凹部821の上下方向に垂直な断面は略円形であり、凹部821の上面からの深さは350mmである。主筋823としては長さ500mm、D22のSD(異形棒鋼)345が利用され、帯筋824としてはD10のSD295が利用される。隣接する帯筋824の上下方向の間隔は100mmである。
【0031】
試験体82bは、試験体82aと同様の略円柱状の鉄筋コンクリートであり、図8.Aおよび図8.Bに示すように、試験体82bの上面には、平面視における中心線を中心として下方に伸びる凹部821が電動コア抜きドリル等により形成されている。試験体82bは、略円柱状のコンクリート本体822、コンクリート本体822の内部にて上記中心線を中心とする2つの同心円上にそれぞれ等間隔に配列された上下方向に伸びる8本の主筋823、内側の8本の主筋823と交差するように上下方向に等間隔に配列された円周状の7本の帯筋824、および、外側の8本の主筋823と交差するように上下方向に等間隔に配列された円周状の7本の帯筋824を備える。
【0032】
本実施の形態では、試験体82bの上下面の直径は600mmであり、高さは800mmである。また、凹部821の上下方向に垂直な断面は略円形であり、凹部821の上面からの深さは500mmである。主筋823としては長さ700mm、D22のSD345が利用され、帯筋824としてはD10のSD295が利用される。上下方向にて隣接する帯筋824の上下方向の間隔は100mmであり、内側の7本の帯筋824の上下方向の位置と外側の7本の帯筋824の上下方向の位置とは等しくされる。試験体82a,82bのコンクリート本体822、主筋823および帯筋824のそれぞれの材料定数を図12に示す。
【0033】
破壊用物質22による破壊性状の取得では、まず、ステップS21にて使用された放電カートリッジ2から破壊用物質22の量が5mlに変更された新たな放電カートリッジ2が、図7.Aおよび図7.Bに示す試験体82aの凹部821に挿入され(すなわち、試験体82aの内部に収容され)、凹部821内に砂等のタンピング材826が充填される。続いて、被破壊物9の破壊の際と同様に、放電カートリッジ2の一対の電極23(図1参照)に電気エネルギーが供給され、金属細線24(図1参照)が溶融気化およびプラズマ化する際に発生する高温高圧により、放電カートリッジ2の破壊用物質22(図1参照)を反応させて瞬間的に蒸発気化させる。そして、破壊用物質22の気化の際の膨張による衝撃圧により試験体82aが破壊され、試験体82aの破壊性状(すなわち、亀裂の幅および分布)が取得される(ステップS23)。
【0034】
図13.Aは、破壊後の亀裂が生じた試験体82aの外観を示し、図13.Bは、破壊後の試験体82aの上面および側面に生じた亀裂825の幅および分布を示す図である。図13.Bでは、図示の都合上、試験体82aの側面を展開して描いており、側面の左右方向の中央部が、図中の上面の下側の部位に対応する。図13.Bでは、幅が1.0mm未満の亀裂825を細線にて示し、また、主筋823および帯筋824を破線にて併せて描いている(図20.B、図23.Bおよび図25.Bにおいても同様)。試験体82aの側面には最大幅が数mmの亀裂825が生じており、これらの亀裂825は主筋823や帯筋824におよそ沿って伸びる。試験体82aの側面に生じた亀裂825は、試験体82aの上面および底面に到達するものが多い。また、試験体82aの上面にも亀裂825が生じている。
【0035】
次に、図12に示す材料定数に基づいて、試験体82aの各材料(コンクリート本体822、主筋823および帯筋824)の静的な応力−歪み特性が定義され、さらに、各材料の歪み速度依存性を考慮して試験体82aの構造の動的なモデル化が行われる。換言すれば、試験体82aの構造のモデル化では、試験体82aの各材料の応力−歪み特性が歪み速度依存性を有する。
【0036】
静的なモデル化では、圧縮側は、応力の下降域を含めた簡略化した履歴モデルを用い、引張側は、軟化域に1/4モデルを踏襲している。図14および図15はそれぞれ、試験体82aのコンクリート本体822の圧縮強度および引張強度を示す図であり、図中の●印(ε’=0s−1)が静的な圧縮強度および引張強度を示す。このとき、数1に示す破壊エネルギーGfは78.8N/mとなり、数2に示す引張応力が0となる時の亀裂の幅wは0.2mmとなる。なお、数1および数2における圧縮強度fcおよび引張強度ftは図12に示す値が用いられ、粗骨材の最大寸法dmaxは20mmである。また、亀裂の幅wを特性長さLch(本実施の形態では、代表長さである100mm)により除することにより歪みに変換している。
【0037】
【数1】
【0038】
【数2】
【0039】
一方、動的なモデル化では、歪み速度ε’の影響は、歪み速度ε’が30s−1以下の範囲では数3および数4のように表され、歪み速度ε’が30s−1よりも大きい範囲では数5および数6のように表される。なお、数3ないし数6におけるfcdおよびftdはそれぞれ動的な圧縮強度および引張強度を表し、fcsおよびftsはそれぞれ静的な圧縮強度および引張強度を表す。また、各係数α、β、γ、δは、数7ないし数10に示す値である。
【0040】
【数3】
【0041】
【数4】
【0042】
【数5】
【0043】
【数6】
【0044】
【数7】
【0045】
【数8】
【0046】
【数9】
【0047】
【数10】
【0048】
数3ないし数6に示す歪み速度ε’の影響は図16のように表され、当該歪み速度ε’の影響を考慮した動的な圧縮強度および引張強度は、図14および図15中において●印以外の印(ε’=0.01〜100s−1)にて示される。図16の横軸は歪み速度を示し、縦軸は、静的な圧縮強度および引張強度に対する動的な圧縮強度および引張強度の割合を示す。
【0049】
試験体82aのモデル化では、試験体82aの形状および作用荷重(すなわち、放電カートリッジ2による衝撃圧)の対称性を考慮して、図17に示す1/4モデルが用いられ、試験体82aの中心線を通る切り出し面827の条件を面対称としている。また、試験体82aの底面の境界条件を剛表面への面接触としている。主筋823および帯筋824(図7.Aおよび図7.B参照)はトラス要素としてモデル化し、コンクリート本体822と主筋823および帯筋824とは完全付着としている。コンクリート本体822には、8節点ソリッドの低減積分要素を用い、凹部821の要素分割は周方向に16分割(1/4モデルでは4分割)としている。図18.Aおよび図18.Bはそれぞれ、試験体82aのモデルにおける圧力作用部である凹部821の底部近傍の部位(図17中に丸印を付して示す。)の縦断面図および横断面図を示し、図中の矢印は凹部821に作用する圧力を示す。
【0050】
試験体82aのモデル化が終了すると、ステップS22にて求められた基準衝撃圧波形を入力波形として、当該入力波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82aの破壊性状が数値解析により求められる。本実施の形態では、数値解析手法としてFEM(有限要素法)が用いられ、試験体82aの破壊終了後、十分な時間が経過したとみなせる時刻(すなわち、歪みが一定値に収束したとみなせる時刻であり、例えば、衝撃圧の発生から3000μ秒後)における試験体82aの最大主歪み(引張歪み)の分布が、試験体82aの破壊性状として求められる。
【0051】
続いて、数値解析により求められた破壊性状(以下、「算出破壊性状」という。)と図13.Bに示す試験体82aの実際の破壊性状(すなわち、ステップS23にて取得された破壊性状)とが比較され、算出破壊性状が実際の破壊性状に相当し、同等とみなせる場合は、入力波形が算出衝撃圧波形として取得される。一方、算出破壊性状が実際の破壊性状に相当しない場合は、基準衝撃圧波形に基づいて次の入力波形が生成される。次の入力波形は、基準衝撃圧波形の形状をおよそ維持しつつ基準衝撃圧波形の最大圧力を変更することにより(本実施の形態では、基準衝撃圧波形全体に所定の値を乗じることにより)生成される。
【0052】
そして、次の入力波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82aの算出破壊性状が求められ、算出破壊性状と実際の破壊性状とが比較される。被破壊物9の破壊性状算出方法では、試験体82aの実際の破壊性状に相当する算出破壊性状が得られるまで、基準衝撃圧波形に基づいて新たな入力波形が生成されて新たな入力波形について算出破壊性状と実際の破壊性状との比較が行われ、実際の破壊性状に相当する算出破壊性状が得られた入力波形が算出衝撃圧波形として取得される。換言すれば、基準衝撃圧波形から複数の入力波形を生成し、当該複数の入力波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82aの破壊性状を数値解析により求め、実際の破壊性状に相当する破壊性状が得られる入力波形が算出衝撃圧波形として取得される(ステップS24)。
【0053】
図19は、算出衝撃圧波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82aの算出破壊性状を示す図である。図19では、試験体82aの1/4モデルを中心線とは反対側および中心線側からそれぞれ見た斜視図を示す(図22、図24および図26においても同様)。図19に示す算出破壊性状では、試験体82aの側面において放電カートリッジ2のおよその位置に水平方向の歪み(すなわち、亀裂に対応する歪み)が生じており、主筋823に沿って伸びる上下方向の歪みが生じている。また、試験体82aの上面において帯筋824に沿う多角形の歪みが生じている。これらの歪みは、図13.Bに示す試験体82aの実際の破壊性状における亀裂825の分布に良く整合している。また、図19に示す算出破壊性状からは、試験体82aの内部において主筋823に沿う亀裂が生じていることがわかる。
【0054】
1個目の試験体82aについて算出衝撃圧波形が取得されると、破壊用物質22の量が10mlである新たな放電カートリッジ2(すなわち、ステップS21にて使用された放電カートリッジ2と同様の新たな放電カートリッジ2)が、2個目の試験体82aの凹部821(図7.Aおよび図7.B参照)に挿入される。換言すれば、1個目の試験体82aの破壊時から破壊用物質22の量が変更される(ステップS25,S26)。続いて、ステップS23に戻り、1個目の試験体82aの破壊の際と同様に、凹部821内にタンピング材826が充填され、放電カートリッジ2に電気エネルギーが供給されて破壊用物質22が蒸発気化する。そして、破壊用物質22の気化の際の衝撃圧により、試験体82aが図20.Aに示すように破壊され、図20.Bに示すように、試験体82aの破壊性状が取得される(ステップS23)。試験体82aの側面には最大幅が20mm〜30mmの亀裂825が生じており、これらの亀裂825は主筋823や帯筋824におよそ沿って伸びる。試験体82aの側面に生じた亀裂825は、破壊用物質22の量が5mlの場合と同様に、試験体82aの上面および底面に到達するものが多く、また、試験体82aの上面にも亀裂825が生じている。
【0055】
2番目の試験体82aは、コンクリート本体822のうち主筋823および帯筋824よりも外側の部位が内側の部位から分離されるまで破壊されており、主筋823および帯筋824よりも外側の部位は、図21.Aに示すように、複数のコンクリート塊として容易に撤去可能な状態となっている。図21.Bは、コンクリート本体822の主筋823および帯筋824よりも外側の部位が撤去された後の試験体82aを示す。図21.Bに示す破壊後の試験体82aでは、主筋823および帯筋824はいずれも破断されていない。
【0056】
次に、ステップS22にて求められた基準衝撃圧波形から複数の入力波形を生成し、当該複数の入力波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82aの破壊性状を、上述の試験体82aのモデルを用いて数値解析により求め、実際の破壊性状に相当する破壊性状が得られる入力波形が算出衝撃圧波形として取得される(ステップS24)。図22は、算出衝撃圧波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82aの算出破壊性状を示す図であり、図22に示す算術破壊性状における歪みの分布は、図20.Bに示す試験体82aの実際の破壊性状における亀裂825の分布に良く整合している。また、図22に示す算出破壊性状から、試験体82aの内部において主筋823に沿う亀裂が生じていることもわかる。
【0057】
続いて、破壊用物質22の量が10mlである新たな放電カートリッジ2が、図8.Aおよび図8.Bに示す試験体82bの凹部821に挿入される(ステップS25,S26)。そして、ステップS23に戻り、試験体82aの破壊の際と同様に、凹部821内にタンピング材826が充填され、放電カートリッジ2に電気エネルギーが供給されて破壊用物質22が蒸発気化する。破壊用物質22の気化の際の衝撃圧により、試験体82bは図23.Aに示すように破壊され、図23.Bに示すように、試験体82bの破壊性状が取得される(ステップS23)。
【0058】
試験体82bの側面には最大幅が数mmの亀裂825が生じており、これらの亀裂825は主筋823や帯筋824におよそ沿って伸びる。試験体82bの側面に生じた亀裂825は、試験体82aの場合とは異なり、試験体82bの上面および底面に到達するものは少なく、また、試験体82bの上面には亀裂825は生じていない。このような試験体82aと試験体82bとの破壊性状の差は、試験体の上下方向の長さや放電カートリッジ2の上下方向の位置に起因していると考えられる。
【0059】
次に、試験体82bの構造が試験体82aと同様の方法によりモデル化される。そして、ステップS22にて求められた基準衝撃圧波形から複数の入力波形が生成され、当該複数の入力波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82bの破壊性状が、試験体82bのモデルを用いて数値解析により求められ、実際の破壊性状に相当する破壊性状が得られる入力波形が算出衝撃圧波形として取得される(ステップS24)。図24は、算出衝撃圧波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82bの算出破壊性状を示す図であり、図24に示す算術破壊性状における歪みの分布は、図23.Bに示す試験体82bの実際の破壊性状における亀裂825の分布に良く整合している。また、図24に示す算出破壊性状から、試験体82bの内部において主筋823に沿う亀裂が生じていることもわかる。
【0060】
算出衝撃圧波形が取得されると、破壊用物質22の量が15mlである新たな放電カートリッジ2が、2個目の試験体82bの凹部821(図8.Aおよび図8.B参照)に挿入される(ステップS25,S26)。続いて、ステップS23に戻り、1個目の試験体82bの破壊の際と同様に、凹部821内にタンピング材826が充填され、放電カートリッジ2に電気エネルギーが供給されて破壊用物質22が蒸発気化する。そして、破壊用物質22の気化の際の衝撃圧により、試験体82bが図25.Aに示すように破壊され、図25.Bに示すように、試験体82bの破壊性状が取得される(ステップS23)。試験体82bの側面には最大幅が数mmの亀裂825が生じており、これらの亀裂825は主筋823や帯筋824におよそ沿って伸びる。試験体82bの側面に生じた亀裂825は、破壊用物質22の量が10mlの場合と同様に、試験体82bの上面および底面に到達するものは少なく、また、試験体82bの上面には亀裂825は生じていない。
【0061】
次に、ステップS22にて求められた基準衝撃圧波形から複数の入力波形が生成され、当該複数の入力波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82bの破壊性状が、上述の試験体82bのモデルを用いて数値解析により求められ、実際の破壊性状に相当する破壊性状が得られる入力波形が算出衝撃圧波形として取得される(ステップS24)。図26は、算出衝撃圧波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82bの算出破壊性状を示す図であり、図26に示す算術破壊性状における歪みの分布は、図25.Bに示す試験体82bの実際の破壊性状における亀裂825の分布に良く整合している。また、図26に示す算出破壊性状から、試験体82aの内部において主筋823に沿う亀裂が生じていることもわかる。
【0062】
このように、準備された全ての試験体について、放電カートリッジ2の破壊用物質22の量を変更しつつステップS23,S24が繰り返され(ステップS25)、試験体の破壊に用いられた破壊用物質22の量とステップS24にて取得された算出衝撃圧波形との関係を示す破壊用物質量−衝撃圧特性が取得される(ステップS27)。図27は、破壊用物質量−衝撃圧特性の一例として、破壊用物質22の量とこれに対応する算出衝撃圧波形の最大圧力との関係を示す図である。図27に示すように、破壊用物質22の量が5ml、10mlおよび15mlの場合の最大圧力はそれぞれ、1.5kN/mm2、1.8kN/mm2、および、2.0kN/mm2である。
【0063】
ここで、試験体82a,82bにおける上下方向に垂直な断面における歪みについて説明する。図28.Aおよび図28.Bはそれぞれ、試験体82a,82bを放電カートリッジ2が配置される位置にて上下方向に垂直に切断した断面における最大主歪みのベクトル図であり、上述の数値解析による試験体82a,82bの破壊性状の取得時に算出されたものである。
【0064】
図28.Aに示すように、試験体82aの中心近傍(すなわち、凹部821近傍)では、径方向に垂直な方向(以下、「接線方向」という。)に大きな歪みが生じており、主筋823および帯筋824の位置(以下、「配筋位置」という。)にて歪みの方向が半径方向へと変化する。また、配筋位置から外側に離れた位置と外側縁との間の領域では、再び接線方向の歪みが卓越している。図28.Bに示すように、試験体82bの中心近傍(すなわち、凹部821近傍)では、接線方向に大きな歪みが生じており、内側の配筋位置と外側の配筋位置との間の領域では接線方向の歪みが卓越している。図28.Aおよび図28.Bに示すように、試験体82a,82bでは、主筋823および帯筋824により歪みの方向が変化し、主筋823および帯筋824に沿う、または、主筋823および帯筋824から外側に向かう亀裂が生じる。
【0065】
図29は、図28.Aおよび図28.B中において丸で囲んで示す主筋823と配筋位置との交差位置におけるコンクリート本体822および帯筋824の歪みの時間的変化を示す図である。図29に示すように、試験体82aでは、帯筋824に生じた歪みは歪みの発生から約500μ秒後に約0.3%にて静定し、コンクリート本体822の帯筋824よりも外側の部位に生じた歪みは約1500μ秒後に約6%にて静定する。また、試験体82bでは、内側および外側の帯筋824に生じた歪みはそれぞれ、歪みの発生から約500μ秒後に約0.4%および約0.2%にて静定し、コンクリート本体822の内側の帯筋824と外側の帯筋824との間の部位に生じた歪みは約500μ秒後に約1.0%にて静定し、コンクリート本体822の外側の帯筋824よりも外側の部位に生じた歪みは約2000μ秒後に約6%にて静定する。
【0066】
このように、コンクリート本体822の帯筋824と外縁との間の部位における歪みが他の部位よりも大きくなっているが、これは、試験体の中心から外縁に向かって進行する圧力波が外縁(すなわち、自由端)にて反射し、後続の圧力波と当該部位において重なって歪みが成長したことによるものと考えられる。また、図29では、歪みの時間的変化を示す曲線の勾配が歪み速度ε’を表すことになり、コンクリート本体822の帯筋824と外縁との間の部位ではε’が数10s−1と比較的大きい値をとる。このことから、数値解析の精度を向上するためには、試験体82a,82bのモデル化において歪み速度依存性を考慮することが好ましいといえる。
【0067】
破壊用物質量−衝撃圧特性の取得が終了すると、上述の試験体82a,82bのモデル化に準じた手法により、被破壊物9の構造のモデル化が行われる。続いて、ステップS27にて取得された破壊用物質量−衝撃圧特性に基づいて、被破壊物9の破壊に使用される破壊用物質22の量から解析用衝撃圧波形が求められる。本実施の形態では、図27に示すグラフから、被破壊物9の破壊に使用される破壊用物質22の量に対応する最大圧力が求められ、基準衝撃圧波形721(図11参照)の最大値に対する当該最大圧力の割合を基準衝撃圧波形721に乗じることにより解析用衝撃圧波形が求められる。そして、解析用衝撃圧波形を用いてFEMによる数値解析を行うことにより、解析用衝撃圧波形を有する衝撃圧が被破壊物9の凹部91の内壁に加えられた場合の被破壊物9の破壊性状が、試験体82a,82bの破壊性状取得の場合と同様に算出される(ステップS28)。
【0068】
被破壊物9の破壊性状の算出は、被破壊物9の実際の破壊よりも前に、破壊用物質22の量、放電カートリッジ2が挿入される凹部91の深さや位置等を様々に変更しつつ行われ、所望の破壊性状となるように、破壊用物質22の量や凹部の深さおよび位置等が決定される。その結果、被破壊物9の破壊作業の最適化(すなわち、安全性の向上や作業コストの低減等)が実現される。
【0069】
本実施の形態に係る破壊性状の算出方法は、破壊性状の算出精度をより高くするという観点からは、試験体82a,82bおよび被破壊物9が同種の構造を有する(すなわち、単一の同じ材料、または、複数種類の材料の同様の組合せにて形成される)ことが好ましいが、当該算出方法は、必ずしも試験体82a,82bと同様の鉄筋コンクリート構造物である被破壊物9のみに適用されるわけではなく、試験体82a,82bとは異なる構造の被破壊物(例えば、コンクリートのみにより形成された構造物や岩石)にも適用可能である。この場合、被破壊物の構造をモデル化した上で、上述のステップS22,S27にて取得された基準衝撃圧波形、および、破壊用物質量−衝撃圧特性に基づいて求められた解析用衝撃圧波形を用いて数値解析を行うことにより、被破壊物の破壊性状が求められる。
【0070】
以上に説明したように、本実施の形態に係る破壊性状の算出方法では、衝撃圧測定器81を用いて基準衝撃圧波形を求め、試験体82a,82bの破壊試験と試験体82a,82bの破壊性状の数値解析とに基づいて算出衝撃圧波形を取得して破壊用物質量−衝撃圧特性を取得し、基準衝撃圧波形および破壊用物質量−衝撃圧特性に基づいて被破壊物9の破壊性状が算出される。これにより、基準衝撃圧波形および破壊用物質量−衝撃圧特性を一度求めた後は、被破壊物の構造に関わらず、破壊試験を行うことなく被破壊物の破壊性状を容易かつ精度良く算出することができる。
【0071】
また、ステップS21において、衝撃圧測定器81の凹部821(すなわち、内部空間)に放電カートリッジ2が収容され、衝撃圧測定器81が破壊されることなく凹部821に配置された圧力センサ814により衝撃圧が測定されることにより、図9に示す測定衝撃圧波形711を精度良く取得することができる。これにより、ステップS22において、測定衝撃圧波形711に基づいて図11に示す基準衝撃圧波形721を精度良く求めることができる。その結果、ステップS28において、被破壊物の破壊性状をより精度良く算出することができる。
【0072】
ステップS24では、基準衝撃圧波形の形状をおよそ維持しつつ最大圧力を変更することにより、複数の入力波形を容易に生成することができる。また、ステップS24では、試験体82a,82bの構造のモデル化が、試験体82a,82bに含まれる材料の応力−歪み特性が歪み速度依存性を有する状態で行われ、ステップS28では、被破壊物9の構造のモデル化が、試験体82a,82bのモデル化と同様に、被破壊物9に含まれる材料の応力−歪み特性が歪み速度依存性を有する状態で行われる。これにより、試験体82a,82bおよび被破壊物9の破壊性状を取得する際の数値解析の精度を向上することができ、試験体82a,82bおよび被破壊物9の破壊性状をさらに精度良く算出することができる。
【0073】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0074】
ステップS21では、図5および図6に示す衝撃圧測定器81とは異なる構造を有する衝撃圧測定器により衝撃圧が測定されてもよい。例えば、図30および図31に示す衝撃圧測定器81aは、厚肉の鉄管816、鉄管816の上下の開口を閉塞する鉄板817、鉄管816の内側面に貼付されるアクリル製のプレート818、および、平滑面であるプレート818の内面に貼付された圧力センサ814を備え、鉄管816の内部空間に位置する放電カートリッジ2の周囲には珪砂819が充填される。衝撃圧測定器81aでは、鉄管816の高さは180mm、外径は76.3mm、肉厚は7.0mmであり、鉄管816内の圧力センサ814により衝撃圧が測定される。
【0075】
上記実施の形態では、ステップS23において2種類の試験体82a,82bが用いられているが、ステップS23において用いられる試験体は1種類でも3種類以上でもよい。また、試験体の形状は、数値解析を容易に行うというて観点からは円柱とされることが好ましいが、円柱以外の様々な形状(例えば、角柱)とされてもよい。実際の破壊工事では、コンクリート構造物が被破壊物とされることが多いため、ステップS23にて用いられる試験体はコンクリートを含むことが好ましいが、コンクリート以外の他の材料により形成されてもよい。
【0076】
ステップS24では、数値解析手法として、FEMに代えてDEM(個別要素法)やRBSM(剛体バネモデル)等が用いられてもよい。試験体82a,82bや被破壊物9のモデル化では、試験体82a,82bおよび被破壊物9に含まれる少なくとも1つの材料の応力−歪み特性が歪み速度依存性を有することにより、数値解析による破壊性状の取得精度が向上される。
【0077】
上記実施の形態では、凹部91は被破壊物9に形成された穴であるが、被破壊物9に形成された溝部が凹部91として利用されてもよい。また、上述の放電衝撃破壊装置1は、例えば、トンネルにおける仕上げ破壊作業やコンクリート構造物の解体作業、水中における破壊作業、その他、発破作業が制限される破壊・解体作業に利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
9 被破壊物
2 放電カートリッジ
21 破壊容器
22 破壊用物質
23 電極
24 金属細線
81,81a 衝撃圧測定器
82a,82b 試験体
721 基準衝撃圧波形
813 凹部
814 圧力センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、被破壊物の破壊性状を算出する破壊性状算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンクリート構造物や岩石等の被破壊物を破壊する方法として、特許文献1のように、金属細線を介して接続された一対の電極および水等の破壊用物質が収容された破壊容器を、被破壊物に形成された装着孔に挿入し、金属細線に電気エネルギーを短時間にて放電供給することにより破壊用物質を急激に気化させ、気化の際の膨張により被破壊物を破壊する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3773305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような破壊方法により被破壊物を破壊する際に、事前に破壊される範囲や破壊の態様(すなわち、被破壊物に生じる亀裂の幅や分布等の情報を含む破壊性状)を予測することができれば、残存部の健全性や強度低下等、施工計画に有益な情報を得ることができる。
【0005】
しかしながら、実際の破壊工事では、被破壊物は様々な材料にて形成されており、また、様々な構造を有するため、被破壊物の破壊性状を予測するためには、被破壊物と同様の構造等を有する試験体を破壊してその破壊性状を観察する必要があり、破壊性状の予測に多大な労力と時間が必要であった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、被破壊物の構造に関わらず、被破壊物の破壊性状を容易かつ精度良く算出することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、被破壊物の破壊性状を算出する破壊性状算出方法であって、a)金属細線を介して互いに接続された一対の電極および破壊用物質を容器内に収容した放電カートリッジを準備し、前記一対の電極に電気エネルギーを供給して前記金属細線を溶融気化させることにより前記破壊用物質を反応させ、前記破壊用物質の膨張による衝撃圧を衝撃圧測定器にて測定し、測定結果に基づいて衝撃圧の時間的な変化を示す基準衝撃圧波形を求める工程と、b)試験体の内部に、前記放電カートリッジと同様の、または、前記破壊用物質の量を変更した放電カートリッジを収容し、一対の電極に電気エネルギーを供給して前記試験体を破壊し、前記試験体の破壊性状を取得する工程と、c)前記試験体の構造をモデル化し、前記基準衝撃圧波形から複数の入力波形を生成して前記複数の入力波形の衝撃圧が加えられた場合の前記試験体の破壊性状を数値解析により求め、前記b)工程にて取得された破壊性状に相当する破壊性状が得られる入力波形を算出衝撃圧波形として取得する工程と、d)前記b)工程にて使用される前記破壊用物質の量を変更しつつ前記b)工程および前記c)工程を繰り返すことにより、前記破壊用物質の量と前記算出衝撃圧波形との関係を示す破壊用物質量−衝撃圧特性を取得する工程と、e)被破壊物の構造をモデル化し、前記破壊用物質量−衝撃圧特性に基づいて、前記被破壊物の破壊に使用される前記破壊用物質の量から解析用衝撃圧波形を求め、前記解析用衝撃圧波形を用いて数値解析を行うことにより、前記被破壊物の破壊性状を算出する工程とを備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の破壊性状算出方法であって、前記a)工程において、前記衝撃圧測定器の内部空間に前記放電カートリッジが収容され、前記衝撃圧測定器が破壊されることなく前記内部空間に配置された圧力センサにより前記衝撃圧が測定される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の破壊性状算出方法であって、前記c)工程において、前記基準衝撃圧波形の形状をおよそ維持しつつ最大圧力を変更することにより、前記複数の入力波形が生成される。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の破壊性状算出方法であって、前記試験体および前記被破壊物の構造のモデル化において、前記試験体および前記被破壊物に含まれる少なくとも1つの材料の応力−歪み特性が、歪み速度依存性を有する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の破壊性状算出方法であって、前記破壊用物質が自己反応性を有する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の破壊性状算出方法であって、前記試験体および前記被破壊物がコンクリートを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、被破壊物の構造に関わらず、被破壊物の破壊性状を容易かつ精度良く算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】放電衝撃破壊装置の構成を示す図である。
【図2】放電衝撃破壊装置による被破壊物の破壊の流れを示す図である。
【図3】放電衝撃破壊装置と被破壊物とを示す図である。
【図4】被破壊物の破壊性状の算出の流れを示す図である。
【図5】衝撃圧測定器の平面図である。
【図6】衝撃圧測定器の断面図である。
【図7.A】試験体の平面図である。
【図7.B】試験体の断面図である。
【図8.A】試験体の平面図である。
【図8.B】試験体の断面図である。
【図9】測定衝撃圧波形を示す図である。
【図10】火薬発破の際の圧力の時間的変化を示す図である。
【図11】基準衝撃圧波形を示す図である。
【図12】試験体の材料の材料定数を示す図である。
【図13.A】破壊後の試験体を示す図である。
【図13.B】試験体の上面および側面における亀裂を示す図である。
【図14】試験体のコンクリート本体の圧縮強度を示す図である。
【図15】試験体のコンクリート本体の引張強度を示す図である。
【図16】圧縮強度および引張強度に対する歪み速度の影響を示す図である。
【図17】試験体のモデルを示す図である。
【図18.A】試験体のモデルにおける凹部近傍の縦断面図である。
【図18.B】試験体のモデルにおける凹部近傍の横断面図である。
【図19】試験体の算出破壊性状を示す図である。
【図20.A】破壊後の試験体を示す図である。
【図20.B】試験体の上面および側面における亀裂を示す図である。
【図21.A】破壊後の試験体を分解して示す図である。
【図21.B】破壊後の試験体を分解して示す図である。
【図22】試験体の算出破壊性状を示す図である。
【図23.A】破壊後の試験体を示す図である。
【図23.B】試験体の上面および側面における亀裂を示す図である。
【図24】試験体の算出破壊性状を示す図である。
【図25.A】破壊後の試験体を示す図である。
【図25.B】試験体の上面および側面における亀裂を示す図である。
【図26】試験体の算出破壊性状を示す図である。
【図27】破壊用物質量−衝撃圧特性を示す図である。
【図28.A】試験体における最大主歪みのベクトル図である。
【図28.B】試験体における最大主歪みのベクトル図である。
【図29】歪みの時間的変化を示す図である。
【図30】衝撃圧測定器の断面図である。
【図31】衝撃圧測定器の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る放電衝撃破壊装置1の構成を示す図である。放電衝撃破壊装置1は、コンクリート構造物や岩石等の被破壊物に装着される放電カートリッジ2、配線3を介して放電カートリッジ2に接続されるコンデンサ4、および、配線5を介してコンデンサ4に接続される直流電源6を備え、配線3および配線5にはそれぞれ放電スイッチ31および充電スイッチ51が設けられる。図1では、図の理解を容易にするために放電カートリッジ2の一部を断面にて描いている。
【0016】
放電カートリッジ2は、プラスチック等により形成された略円筒状の破壊容器21、破壊容器21内に充填された無酸素環境下または低酸素環境下にて燃焼可能な液状やゲル状の破壊用物質22(すなわち、自己反応性を有する物質)、破壊容器21内に収容された一対の電極23、および、一対の電極23の先端部に接続され、電極23よりも断面積が小さい金属細線24を備える。一対の電極23は、金属細線24を介して互いに接続されるとともに配線3を介してコンデンサ4に接続される。
【0017】
破壊容器21は、上部に開口を有する容器本体211、および、容器本体211の開口を閉塞して容器本体211の内部を密閉する蓋部212を備える。一対の電極23は、破壊容器21の蓋部212を貫通するとともに蓋部212に固定された配線3により破壊容器21に固定されており、電極23および金属細線24は破壊容器21内にて破壊用物質22の内部に位置する。
【0018】
図2は、放電衝撃破壊装置1による被破壊物の破壊の流れを示す図である。放電衝撃破壊装置1により被破壊物の破壊が行われる際には、まず、図3に示すように、ドリル等により被破壊物9に凹部91が形成される(ステップS11)。本実施の形態では、被破壊物9はコンクリートを含む構造物(より具体的には、鉄筋コンクリート構造物)とされる。また、凹部91は深孔状の装填孔とされ、凹部91の深さ方向に垂直な断面は略円形とされる。図3では、図の理解を容易にするために被破壊物9を断面にて描いている。
【0019】
続いて、放電カートリッジ2が被破壊物9の凹部91内(すなわち、被破壊物9の内部)に挿入され、凹部91内に砂等のタンピング材92が充填される(いわゆる、タンピングが行われる)(ステップS12)。次に、被破壊物9の放電衝撃破壊装置1の放電スイッチ31がOFFとされた状態で充電スイッチ51がONとされることにより、直流電源6からコンデンサ4に電気エネルギーが蓄積される。
【0020】
その後、充電スイッチ51がOFFとされ、放電スイッチ31がONとされることにより、コンデンサ4に蓄積された電気エネルギーが、放電カートリッジ2の一対の電極23に供給されて金属細線24が溶融気化する。本実施の形態では、電圧が1kV以上6kV以下、電流の最大値が1kA以上50kA以下、かつ、供給時間が1秒以下の条件下にて、電気エネルギーが一対の電極23に供給される。溶融気化された金属細線24は数千度の金属ガスとなり、コンデンサ4からの電気エネルギーが当該金属ガスにさらに供給されることによりプラズマが発生する。
【0021】
そして、金属細線24の溶融気化およびプラズマ化により発生する高温高圧により、放電カートリッジ2の破壊容器21内において破壊用物質22を反応させて瞬間的に蒸発気化させ、破壊用物質22の気化の際の膨張により生じる衝撃力(すなわち、放電衝撃力)により被破壊物9が破壊される(ステップS13)。放電衝撃破壊装置1では、放電カートリッジ2内の破壊用物質22の量を変更することにより、放電衝撃力を変更することができる。
【0022】
次に、被破壊物9の破壊性状(本実施の形態では、破壊により被破壊物9に生じる亀裂の幅および分布)を被破壊物9の破壊よりも前に算出する破壊性状算出方法について、図4を参照しつつ説明する。図5は、破壊性状の算出に利用される衝撃圧測定器81を示す平面図であり、図6は、衝撃圧測定器81を図5中のA−Aの位置にて切断した断面図である。また、図7.Aおよび図8.Aはそれぞれ、破壊性状の算出に利用される試験体82a,82bの平面図であり、図7.Bおよび図8.Bはそれぞれ、試験体82a,82bを図7.A中のB−Bの位置、および、図8.A中のC−Cの位置にて切断した断面図である。図5ないし図8.Bでは、放電衝撃破壊装置1の放電カートリッジ2も併せて描いている。また、図6、図7.Bおよび図8.Bでは、図の理解を容易にするために、断面よりも奥の構成も破線にて併せて描いている。
【0023】
図5および図6に示すように、衝撃圧測定器81は、正面視において略L字型の第1鋼材811、および、第1鋼材811の下部(すなわち、L字の下側の横線に相当する部位)上に配置される略直方体状の第2鋼材812を備え、第2鋼材812の第1鋼材811に対向する側面には、第2鋼材812の上下方向(図6中の上下方向に一致する。)の全長に亘る溝部813が形成されている。溝部813の上下方向に垂直な断面は図5に示すように略円形とされ、図5および図6に示すように、第1鋼材811と第2鋼材812とが6本のボルト815により結合されることにより、溝部813の側部開口および下部開口が第1鋼材811により閉塞される。これにより、溝部813は上部のみに開口を有する凹部813となる。衝撃圧測定器81は、また、凹部813の内側面および内底面に貼付されるシート状の2つの圧力センサ814を備える。本実施の形態では、圧力センサ814として、Dynasen社製のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)フィルムが利用される。
【0024】
被破壊物9の破壊性状が算出される際には、まず、放電衝撃破壊装置1の放電カートリッジ2が衝撃圧測定器81の凹部813に挿入され(すなわち、衝撃圧測定器81の内部空間に収容され)、凹部813内に砂等のタンピング材810が充填されて突き固められる。本実施の形態では、放電カートリッジ2の破壊容器21内の破壊用物質22(図1参照)の量は10ml(ミリリットル)とされる。
【0025】
続いて、被破壊物9の破壊の際と同様に、放電カートリッジ2の一対の電極23(図1参照)に電気エネルギーが供給され、金属細線24(図1参照)が溶融気化およびプラズマ化する際に発生する高温高圧により、放電カートリッジ2の破壊用物質22(図1参照)を反応させて瞬間的に蒸発気化させる。そして、破壊用物質22の気化の際の膨張により、衝撃圧測定器81が破壊されることなく(すなわち、衝撃圧測定器81の第1鋼材811や第2鋼材812に亀裂等を生じさせることなく)衝撃圧測定器81に衝撃圧が付与され、衝撃圧測定器81の内部空間に配置された圧力センサ814により当該衝撃圧が測定される(ステップS21)。
【0026】
図9は、衝撃圧の発生時からの経過時間と圧力センサ814にて測定された圧力との関係を示す図であり、図中の実線711は、圧力センサ814により取得された圧力の時間的な変化を示す衝撃圧波形(以下、「測定衝撃圧波形711」という。)を示す。図9に示すように、測定衝撃圧波形711では、衝撃圧の発生からおよそ50μ(マイクロ)秒後に圧力が最大値に達し、その後、緩やかに圧力が減少している。
【0027】
ところで、図3に示す放電衝撃破壊装置1による実際の被破壊物9の破壊では、破壊用物質22の気化により凹部91の内壁に加えられる圧力が最大となった後は、被破壊物9に生じた亀裂等から圧力が逃げて急激に減少する。一方、火薬類を被破壊物の凹部内で爆破させて被破壊物を破壊する場合(すなわち、火薬発破が行われた場合)、凹部の内壁に加えられる圧力は、図10に示すように、衝撃圧の発生から数μ秒にて最大値に達した後、急激に減少して衝撃圧発生から約200μ秒後に0となることが一例として知られている。
【0028】
破壊性状の算出では、圧力センサ814による測定結果である測定衝撃圧波形711(図9参照)、および、図10に示す火薬発破時の衝撃圧波形に基づいて、仮に破壊用物質22の気化による衝撃圧が当該衝撃圧により破壊される物体(すなわち、衝撃圧により亀裂が生じる物体)に付与されるとした場合における圧力の時間的な変化を示す基準衝撃圧波形が求められる(ステップS22)。具体的には、図9に示す測定衝撃圧波形711のうち圧力が最大値に達した後の波形が、図10に示す火薬発破時の衝撃圧波形における最大圧力到達後の波形と同様の形状となるように、より具体的には、圧力が最大値から急激に減少するとともに衝撃圧の発生から200μ秒後に0となるように測定衝撃圧波形711が補正される。図11では、補正後の衝撃圧波形である基準衝撃圧波形721を実線にて示し、測定衝撃圧波形711を破線にて示す。
【0029】
基準衝撃圧波形721が求められると、放電カートリッジ2の破壊用物質22(図1参照)を用いて図7.Aないし図8.Bに示す試験体82a,82bを実際に破壊することにより、試験体の破壊性状の取得が行われる。本実施の形態では、それぞれ2個の試験体82a,82bが使用される。試験体82aは、略円柱状の鉄筋コンクリートであり、図7.Aおよび図7.Bに示すように、試験体82aの上面(すなわち、図7.B中の上側の主面)には、平面視における中心線を中心として下方に伸びる凹部821が電動コア抜きドリル等により形成されている。試験体82aは、略円柱状のコンクリート本体822、コンクリート本体822の内部にて上記中心線を中心とする円周上に等間隔に配列された上下方向に伸びる8本の主筋823、および、8本の主筋823と交差するように上下方向に等間隔に配列された円周状の6本の帯筋824を備える。
【0030】
本実施の形態では、試験体82aの上下面の直径は600mmであり、高さは600mmである。また、凹部821の上下方向に垂直な断面は略円形であり、凹部821の上面からの深さは350mmである。主筋823としては長さ500mm、D22のSD(異形棒鋼)345が利用され、帯筋824としてはD10のSD295が利用される。隣接する帯筋824の上下方向の間隔は100mmである。
【0031】
試験体82bは、試験体82aと同様の略円柱状の鉄筋コンクリートであり、図8.Aおよび図8.Bに示すように、試験体82bの上面には、平面視における中心線を中心として下方に伸びる凹部821が電動コア抜きドリル等により形成されている。試験体82bは、略円柱状のコンクリート本体822、コンクリート本体822の内部にて上記中心線を中心とする2つの同心円上にそれぞれ等間隔に配列された上下方向に伸びる8本の主筋823、内側の8本の主筋823と交差するように上下方向に等間隔に配列された円周状の7本の帯筋824、および、外側の8本の主筋823と交差するように上下方向に等間隔に配列された円周状の7本の帯筋824を備える。
【0032】
本実施の形態では、試験体82bの上下面の直径は600mmであり、高さは800mmである。また、凹部821の上下方向に垂直な断面は略円形であり、凹部821の上面からの深さは500mmである。主筋823としては長さ700mm、D22のSD345が利用され、帯筋824としてはD10のSD295が利用される。上下方向にて隣接する帯筋824の上下方向の間隔は100mmであり、内側の7本の帯筋824の上下方向の位置と外側の7本の帯筋824の上下方向の位置とは等しくされる。試験体82a,82bのコンクリート本体822、主筋823および帯筋824のそれぞれの材料定数を図12に示す。
【0033】
破壊用物質22による破壊性状の取得では、まず、ステップS21にて使用された放電カートリッジ2から破壊用物質22の量が5mlに変更された新たな放電カートリッジ2が、図7.Aおよび図7.Bに示す試験体82aの凹部821に挿入され(すなわち、試験体82aの内部に収容され)、凹部821内に砂等のタンピング材826が充填される。続いて、被破壊物9の破壊の際と同様に、放電カートリッジ2の一対の電極23(図1参照)に電気エネルギーが供給され、金属細線24(図1参照)が溶融気化およびプラズマ化する際に発生する高温高圧により、放電カートリッジ2の破壊用物質22(図1参照)を反応させて瞬間的に蒸発気化させる。そして、破壊用物質22の気化の際の膨張による衝撃圧により試験体82aが破壊され、試験体82aの破壊性状(すなわち、亀裂の幅および分布)が取得される(ステップS23)。
【0034】
図13.Aは、破壊後の亀裂が生じた試験体82aの外観を示し、図13.Bは、破壊後の試験体82aの上面および側面に生じた亀裂825の幅および分布を示す図である。図13.Bでは、図示の都合上、試験体82aの側面を展開して描いており、側面の左右方向の中央部が、図中の上面の下側の部位に対応する。図13.Bでは、幅が1.0mm未満の亀裂825を細線にて示し、また、主筋823および帯筋824を破線にて併せて描いている(図20.B、図23.Bおよび図25.Bにおいても同様)。試験体82aの側面には最大幅が数mmの亀裂825が生じており、これらの亀裂825は主筋823や帯筋824におよそ沿って伸びる。試験体82aの側面に生じた亀裂825は、試験体82aの上面および底面に到達するものが多い。また、試験体82aの上面にも亀裂825が生じている。
【0035】
次に、図12に示す材料定数に基づいて、試験体82aの各材料(コンクリート本体822、主筋823および帯筋824)の静的な応力−歪み特性が定義され、さらに、各材料の歪み速度依存性を考慮して試験体82aの構造の動的なモデル化が行われる。換言すれば、試験体82aの構造のモデル化では、試験体82aの各材料の応力−歪み特性が歪み速度依存性を有する。
【0036】
静的なモデル化では、圧縮側は、応力の下降域を含めた簡略化した履歴モデルを用い、引張側は、軟化域に1/4モデルを踏襲している。図14および図15はそれぞれ、試験体82aのコンクリート本体822の圧縮強度および引張強度を示す図であり、図中の●印(ε’=0s−1)が静的な圧縮強度および引張強度を示す。このとき、数1に示す破壊エネルギーGfは78.8N/mとなり、数2に示す引張応力が0となる時の亀裂の幅wは0.2mmとなる。なお、数1および数2における圧縮強度fcおよび引張強度ftは図12に示す値が用いられ、粗骨材の最大寸法dmaxは20mmである。また、亀裂の幅wを特性長さLch(本実施の形態では、代表長さである100mm)により除することにより歪みに変換している。
【0037】
【数1】
【0038】
【数2】
【0039】
一方、動的なモデル化では、歪み速度ε’の影響は、歪み速度ε’が30s−1以下の範囲では数3および数4のように表され、歪み速度ε’が30s−1よりも大きい範囲では数5および数6のように表される。なお、数3ないし数6におけるfcdおよびftdはそれぞれ動的な圧縮強度および引張強度を表し、fcsおよびftsはそれぞれ静的な圧縮強度および引張強度を表す。また、各係数α、β、γ、δは、数7ないし数10に示す値である。
【0040】
【数3】
【0041】
【数4】
【0042】
【数5】
【0043】
【数6】
【0044】
【数7】
【0045】
【数8】
【0046】
【数9】
【0047】
【数10】
【0048】
数3ないし数6に示す歪み速度ε’の影響は図16のように表され、当該歪み速度ε’の影響を考慮した動的な圧縮強度および引張強度は、図14および図15中において●印以外の印(ε’=0.01〜100s−1)にて示される。図16の横軸は歪み速度を示し、縦軸は、静的な圧縮強度および引張強度に対する動的な圧縮強度および引張強度の割合を示す。
【0049】
試験体82aのモデル化では、試験体82aの形状および作用荷重(すなわち、放電カートリッジ2による衝撃圧)の対称性を考慮して、図17に示す1/4モデルが用いられ、試験体82aの中心線を通る切り出し面827の条件を面対称としている。また、試験体82aの底面の境界条件を剛表面への面接触としている。主筋823および帯筋824(図7.Aおよび図7.B参照)はトラス要素としてモデル化し、コンクリート本体822と主筋823および帯筋824とは完全付着としている。コンクリート本体822には、8節点ソリッドの低減積分要素を用い、凹部821の要素分割は周方向に16分割(1/4モデルでは4分割)としている。図18.Aおよび図18.Bはそれぞれ、試験体82aのモデルにおける圧力作用部である凹部821の底部近傍の部位(図17中に丸印を付して示す。)の縦断面図および横断面図を示し、図中の矢印は凹部821に作用する圧力を示す。
【0050】
試験体82aのモデル化が終了すると、ステップS22にて求められた基準衝撃圧波形を入力波形として、当該入力波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82aの破壊性状が数値解析により求められる。本実施の形態では、数値解析手法としてFEM(有限要素法)が用いられ、試験体82aの破壊終了後、十分な時間が経過したとみなせる時刻(すなわち、歪みが一定値に収束したとみなせる時刻であり、例えば、衝撃圧の発生から3000μ秒後)における試験体82aの最大主歪み(引張歪み)の分布が、試験体82aの破壊性状として求められる。
【0051】
続いて、数値解析により求められた破壊性状(以下、「算出破壊性状」という。)と図13.Bに示す試験体82aの実際の破壊性状(すなわち、ステップS23にて取得された破壊性状)とが比較され、算出破壊性状が実際の破壊性状に相当し、同等とみなせる場合は、入力波形が算出衝撃圧波形として取得される。一方、算出破壊性状が実際の破壊性状に相当しない場合は、基準衝撃圧波形に基づいて次の入力波形が生成される。次の入力波形は、基準衝撃圧波形の形状をおよそ維持しつつ基準衝撃圧波形の最大圧力を変更することにより(本実施の形態では、基準衝撃圧波形全体に所定の値を乗じることにより)生成される。
【0052】
そして、次の入力波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82aの算出破壊性状が求められ、算出破壊性状と実際の破壊性状とが比較される。被破壊物9の破壊性状算出方法では、試験体82aの実際の破壊性状に相当する算出破壊性状が得られるまで、基準衝撃圧波形に基づいて新たな入力波形が生成されて新たな入力波形について算出破壊性状と実際の破壊性状との比較が行われ、実際の破壊性状に相当する算出破壊性状が得られた入力波形が算出衝撃圧波形として取得される。換言すれば、基準衝撃圧波形から複数の入力波形を生成し、当該複数の入力波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82aの破壊性状を数値解析により求め、実際の破壊性状に相当する破壊性状が得られる入力波形が算出衝撃圧波形として取得される(ステップS24)。
【0053】
図19は、算出衝撃圧波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82aの算出破壊性状を示す図である。図19では、試験体82aの1/4モデルを中心線とは反対側および中心線側からそれぞれ見た斜視図を示す(図22、図24および図26においても同様)。図19に示す算出破壊性状では、試験体82aの側面において放電カートリッジ2のおよその位置に水平方向の歪み(すなわち、亀裂に対応する歪み)が生じており、主筋823に沿って伸びる上下方向の歪みが生じている。また、試験体82aの上面において帯筋824に沿う多角形の歪みが生じている。これらの歪みは、図13.Bに示す試験体82aの実際の破壊性状における亀裂825の分布に良く整合している。また、図19に示す算出破壊性状からは、試験体82aの内部において主筋823に沿う亀裂が生じていることがわかる。
【0054】
1個目の試験体82aについて算出衝撃圧波形が取得されると、破壊用物質22の量が10mlである新たな放電カートリッジ2(すなわち、ステップS21にて使用された放電カートリッジ2と同様の新たな放電カートリッジ2)が、2個目の試験体82aの凹部821(図7.Aおよび図7.B参照)に挿入される。換言すれば、1個目の試験体82aの破壊時から破壊用物質22の量が変更される(ステップS25,S26)。続いて、ステップS23に戻り、1個目の試験体82aの破壊の際と同様に、凹部821内にタンピング材826が充填され、放電カートリッジ2に電気エネルギーが供給されて破壊用物質22が蒸発気化する。そして、破壊用物質22の気化の際の衝撃圧により、試験体82aが図20.Aに示すように破壊され、図20.Bに示すように、試験体82aの破壊性状が取得される(ステップS23)。試験体82aの側面には最大幅が20mm〜30mmの亀裂825が生じており、これらの亀裂825は主筋823や帯筋824におよそ沿って伸びる。試験体82aの側面に生じた亀裂825は、破壊用物質22の量が5mlの場合と同様に、試験体82aの上面および底面に到達するものが多く、また、試験体82aの上面にも亀裂825が生じている。
【0055】
2番目の試験体82aは、コンクリート本体822のうち主筋823および帯筋824よりも外側の部位が内側の部位から分離されるまで破壊されており、主筋823および帯筋824よりも外側の部位は、図21.Aに示すように、複数のコンクリート塊として容易に撤去可能な状態となっている。図21.Bは、コンクリート本体822の主筋823および帯筋824よりも外側の部位が撤去された後の試験体82aを示す。図21.Bに示す破壊後の試験体82aでは、主筋823および帯筋824はいずれも破断されていない。
【0056】
次に、ステップS22にて求められた基準衝撃圧波形から複数の入力波形を生成し、当該複数の入力波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82aの破壊性状を、上述の試験体82aのモデルを用いて数値解析により求め、実際の破壊性状に相当する破壊性状が得られる入力波形が算出衝撃圧波形として取得される(ステップS24)。図22は、算出衝撃圧波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82aの算出破壊性状を示す図であり、図22に示す算術破壊性状における歪みの分布は、図20.Bに示す試験体82aの実際の破壊性状における亀裂825の分布に良く整合している。また、図22に示す算出破壊性状から、試験体82aの内部において主筋823に沿う亀裂が生じていることもわかる。
【0057】
続いて、破壊用物質22の量が10mlである新たな放電カートリッジ2が、図8.Aおよび図8.Bに示す試験体82bの凹部821に挿入される(ステップS25,S26)。そして、ステップS23に戻り、試験体82aの破壊の際と同様に、凹部821内にタンピング材826が充填され、放電カートリッジ2に電気エネルギーが供給されて破壊用物質22が蒸発気化する。破壊用物質22の気化の際の衝撃圧により、試験体82bは図23.Aに示すように破壊され、図23.Bに示すように、試験体82bの破壊性状が取得される(ステップS23)。
【0058】
試験体82bの側面には最大幅が数mmの亀裂825が生じており、これらの亀裂825は主筋823や帯筋824におよそ沿って伸びる。試験体82bの側面に生じた亀裂825は、試験体82aの場合とは異なり、試験体82bの上面および底面に到達するものは少なく、また、試験体82bの上面には亀裂825は生じていない。このような試験体82aと試験体82bとの破壊性状の差は、試験体の上下方向の長さや放電カートリッジ2の上下方向の位置に起因していると考えられる。
【0059】
次に、試験体82bの構造が試験体82aと同様の方法によりモデル化される。そして、ステップS22にて求められた基準衝撃圧波形から複数の入力波形が生成され、当該複数の入力波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82bの破壊性状が、試験体82bのモデルを用いて数値解析により求められ、実際の破壊性状に相当する破壊性状が得られる入力波形が算出衝撃圧波形として取得される(ステップS24)。図24は、算出衝撃圧波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82bの算出破壊性状を示す図であり、図24に示す算術破壊性状における歪みの分布は、図23.Bに示す試験体82bの実際の破壊性状における亀裂825の分布に良く整合している。また、図24に示す算出破壊性状から、試験体82bの内部において主筋823に沿う亀裂が生じていることもわかる。
【0060】
算出衝撃圧波形が取得されると、破壊用物質22の量が15mlである新たな放電カートリッジ2が、2個目の試験体82bの凹部821(図8.Aおよび図8.B参照)に挿入される(ステップS25,S26)。続いて、ステップS23に戻り、1個目の試験体82bの破壊の際と同様に、凹部821内にタンピング材826が充填され、放電カートリッジ2に電気エネルギーが供給されて破壊用物質22が蒸発気化する。そして、破壊用物質22の気化の際の衝撃圧により、試験体82bが図25.Aに示すように破壊され、図25.Bに示すように、試験体82bの破壊性状が取得される(ステップS23)。試験体82bの側面には最大幅が数mmの亀裂825が生じており、これらの亀裂825は主筋823や帯筋824におよそ沿って伸びる。試験体82bの側面に生じた亀裂825は、破壊用物質22の量が10mlの場合と同様に、試験体82bの上面および底面に到達するものは少なく、また、試験体82bの上面には亀裂825は生じていない。
【0061】
次に、ステップS22にて求められた基準衝撃圧波形から複数の入力波形が生成され、当該複数の入力波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82bの破壊性状が、上述の試験体82bのモデルを用いて数値解析により求められ、実際の破壊性状に相当する破壊性状が得られる入力波形が算出衝撃圧波形として取得される(ステップS24)。図26は、算出衝撃圧波形の衝撃圧が加えられた場合の試験体82bの算出破壊性状を示す図であり、図26に示す算術破壊性状における歪みの分布は、図25.Bに示す試験体82bの実際の破壊性状における亀裂825の分布に良く整合している。また、図26に示す算出破壊性状から、試験体82aの内部において主筋823に沿う亀裂が生じていることもわかる。
【0062】
このように、準備された全ての試験体について、放電カートリッジ2の破壊用物質22の量を変更しつつステップS23,S24が繰り返され(ステップS25)、試験体の破壊に用いられた破壊用物質22の量とステップS24にて取得された算出衝撃圧波形との関係を示す破壊用物質量−衝撃圧特性が取得される(ステップS27)。図27は、破壊用物質量−衝撃圧特性の一例として、破壊用物質22の量とこれに対応する算出衝撃圧波形の最大圧力との関係を示す図である。図27に示すように、破壊用物質22の量が5ml、10mlおよび15mlの場合の最大圧力はそれぞれ、1.5kN/mm2、1.8kN/mm2、および、2.0kN/mm2である。
【0063】
ここで、試験体82a,82bにおける上下方向に垂直な断面における歪みについて説明する。図28.Aおよび図28.Bはそれぞれ、試験体82a,82bを放電カートリッジ2が配置される位置にて上下方向に垂直に切断した断面における最大主歪みのベクトル図であり、上述の数値解析による試験体82a,82bの破壊性状の取得時に算出されたものである。
【0064】
図28.Aに示すように、試験体82aの中心近傍(すなわち、凹部821近傍)では、径方向に垂直な方向(以下、「接線方向」という。)に大きな歪みが生じており、主筋823および帯筋824の位置(以下、「配筋位置」という。)にて歪みの方向が半径方向へと変化する。また、配筋位置から外側に離れた位置と外側縁との間の領域では、再び接線方向の歪みが卓越している。図28.Bに示すように、試験体82bの中心近傍(すなわち、凹部821近傍)では、接線方向に大きな歪みが生じており、内側の配筋位置と外側の配筋位置との間の領域では接線方向の歪みが卓越している。図28.Aおよび図28.Bに示すように、試験体82a,82bでは、主筋823および帯筋824により歪みの方向が変化し、主筋823および帯筋824に沿う、または、主筋823および帯筋824から外側に向かう亀裂が生じる。
【0065】
図29は、図28.Aおよび図28.B中において丸で囲んで示す主筋823と配筋位置との交差位置におけるコンクリート本体822および帯筋824の歪みの時間的変化を示す図である。図29に示すように、試験体82aでは、帯筋824に生じた歪みは歪みの発生から約500μ秒後に約0.3%にて静定し、コンクリート本体822の帯筋824よりも外側の部位に生じた歪みは約1500μ秒後に約6%にて静定する。また、試験体82bでは、内側および外側の帯筋824に生じた歪みはそれぞれ、歪みの発生から約500μ秒後に約0.4%および約0.2%にて静定し、コンクリート本体822の内側の帯筋824と外側の帯筋824との間の部位に生じた歪みは約500μ秒後に約1.0%にて静定し、コンクリート本体822の外側の帯筋824よりも外側の部位に生じた歪みは約2000μ秒後に約6%にて静定する。
【0066】
このように、コンクリート本体822の帯筋824と外縁との間の部位における歪みが他の部位よりも大きくなっているが、これは、試験体の中心から外縁に向かって進行する圧力波が外縁(すなわち、自由端)にて反射し、後続の圧力波と当該部位において重なって歪みが成長したことによるものと考えられる。また、図29では、歪みの時間的変化を示す曲線の勾配が歪み速度ε’を表すことになり、コンクリート本体822の帯筋824と外縁との間の部位ではε’が数10s−1と比較的大きい値をとる。このことから、数値解析の精度を向上するためには、試験体82a,82bのモデル化において歪み速度依存性を考慮することが好ましいといえる。
【0067】
破壊用物質量−衝撃圧特性の取得が終了すると、上述の試験体82a,82bのモデル化に準じた手法により、被破壊物9の構造のモデル化が行われる。続いて、ステップS27にて取得された破壊用物質量−衝撃圧特性に基づいて、被破壊物9の破壊に使用される破壊用物質22の量から解析用衝撃圧波形が求められる。本実施の形態では、図27に示すグラフから、被破壊物9の破壊に使用される破壊用物質22の量に対応する最大圧力が求められ、基準衝撃圧波形721(図11参照)の最大値に対する当該最大圧力の割合を基準衝撃圧波形721に乗じることにより解析用衝撃圧波形が求められる。そして、解析用衝撃圧波形を用いてFEMによる数値解析を行うことにより、解析用衝撃圧波形を有する衝撃圧が被破壊物9の凹部91の内壁に加えられた場合の被破壊物9の破壊性状が、試験体82a,82bの破壊性状取得の場合と同様に算出される(ステップS28)。
【0068】
被破壊物9の破壊性状の算出は、被破壊物9の実際の破壊よりも前に、破壊用物質22の量、放電カートリッジ2が挿入される凹部91の深さや位置等を様々に変更しつつ行われ、所望の破壊性状となるように、破壊用物質22の量や凹部の深さおよび位置等が決定される。その結果、被破壊物9の破壊作業の最適化(すなわち、安全性の向上や作業コストの低減等)が実現される。
【0069】
本実施の形態に係る破壊性状の算出方法は、破壊性状の算出精度をより高くするという観点からは、試験体82a,82bおよび被破壊物9が同種の構造を有する(すなわち、単一の同じ材料、または、複数種類の材料の同様の組合せにて形成される)ことが好ましいが、当該算出方法は、必ずしも試験体82a,82bと同様の鉄筋コンクリート構造物である被破壊物9のみに適用されるわけではなく、試験体82a,82bとは異なる構造の被破壊物(例えば、コンクリートのみにより形成された構造物や岩石)にも適用可能である。この場合、被破壊物の構造をモデル化した上で、上述のステップS22,S27にて取得された基準衝撃圧波形、および、破壊用物質量−衝撃圧特性に基づいて求められた解析用衝撃圧波形を用いて数値解析を行うことにより、被破壊物の破壊性状が求められる。
【0070】
以上に説明したように、本実施の形態に係る破壊性状の算出方法では、衝撃圧測定器81を用いて基準衝撃圧波形を求め、試験体82a,82bの破壊試験と試験体82a,82bの破壊性状の数値解析とに基づいて算出衝撃圧波形を取得して破壊用物質量−衝撃圧特性を取得し、基準衝撃圧波形および破壊用物質量−衝撃圧特性に基づいて被破壊物9の破壊性状が算出される。これにより、基準衝撃圧波形および破壊用物質量−衝撃圧特性を一度求めた後は、被破壊物の構造に関わらず、破壊試験を行うことなく被破壊物の破壊性状を容易かつ精度良く算出することができる。
【0071】
また、ステップS21において、衝撃圧測定器81の凹部821(すなわち、内部空間)に放電カートリッジ2が収容され、衝撃圧測定器81が破壊されることなく凹部821に配置された圧力センサ814により衝撃圧が測定されることにより、図9に示す測定衝撃圧波形711を精度良く取得することができる。これにより、ステップS22において、測定衝撃圧波形711に基づいて図11に示す基準衝撃圧波形721を精度良く求めることができる。その結果、ステップS28において、被破壊物の破壊性状をより精度良く算出することができる。
【0072】
ステップS24では、基準衝撃圧波形の形状をおよそ維持しつつ最大圧力を変更することにより、複数の入力波形を容易に生成することができる。また、ステップS24では、試験体82a,82bの構造のモデル化が、試験体82a,82bに含まれる材料の応力−歪み特性が歪み速度依存性を有する状態で行われ、ステップS28では、被破壊物9の構造のモデル化が、試験体82a,82bのモデル化と同様に、被破壊物9に含まれる材料の応力−歪み特性が歪み速度依存性を有する状態で行われる。これにより、試験体82a,82bおよび被破壊物9の破壊性状を取得する際の数値解析の精度を向上することができ、試験体82a,82bおよび被破壊物9の破壊性状をさらに精度良く算出することができる。
【0073】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0074】
ステップS21では、図5および図6に示す衝撃圧測定器81とは異なる構造を有する衝撃圧測定器により衝撃圧が測定されてもよい。例えば、図30および図31に示す衝撃圧測定器81aは、厚肉の鉄管816、鉄管816の上下の開口を閉塞する鉄板817、鉄管816の内側面に貼付されるアクリル製のプレート818、および、平滑面であるプレート818の内面に貼付された圧力センサ814を備え、鉄管816の内部空間に位置する放電カートリッジ2の周囲には珪砂819が充填される。衝撃圧測定器81aでは、鉄管816の高さは180mm、外径は76.3mm、肉厚は7.0mmであり、鉄管816内の圧力センサ814により衝撃圧が測定される。
【0075】
上記実施の形態では、ステップS23において2種類の試験体82a,82bが用いられているが、ステップS23において用いられる試験体は1種類でも3種類以上でもよい。また、試験体の形状は、数値解析を容易に行うというて観点からは円柱とされることが好ましいが、円柱以外の様々な形状(例えば、角柱)とされてもよい。実際の破壊工事では、コンクリート構造物が被破壊物とされることが多いため、ステップS23にて用いられる試験体はコンクリートを含むことが好ましいが、コンクリート以外の他の材料により形成されてもよい。
【0076】
ステップS24では、数値解析手法として、FEMに代えてDEM(個別要素法)やRBSM(剛体バネモデル)等が用いられてもよい。試験体82a,82bや被破壊物9のモデル化では、試験体82a,82bおよび被破壊物9に含まれる少なくとも1つの材料の応力−歪み特性が歪み速度依存性を有することにより、数値解析による破壊性状の取得精度が向上される。
【0077】
上記実施の形態では、凹部91は被破壊物9に形成された穴であるが、被破壊物9に形成された溝部が凹部91として利用されてもよい。また、上述の放電衝撃破壊装置1は、例えば、トンネルにおける仕上げ破壊作業やコンクリート構造物の解体作業、水中における破壊作業、その他、発破作業が制限される破壊・解体作業に利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
9 被破壊物
2 放電カートリッジ
21 破壊容器
22 破壊用物質
23 電極
24 金属細線
81,81a 衝撃圧測定器
82a,82b 試験体
721 基準衝撃圧波形
813 凹部
814 圧力センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被破壊物の破壊性状を算出する破壊性状算出方法であって、
a)金属細線を介して互いに接続された一対の電極および破壊用物質を容器内に収容した放電カートリッジを準備し、前記一対の電極に電気エネルギーを供給して前記金属細線を溶融気化させることにより前記破壊用物質を反応させ、前記破壊用物質の膨張による衝撃圧を衝撃圧測定器にて測定し、測定結果に基づいて衝撃圧の時間的な変化を示す基準衝撃圧波形を求める工程と、
b)試験体の内部に、前記放電カートリッジと同様の、または、前記破壊用物質の量を変更した放電カートリッジを収容し、一対の電極に電気エネルギーを供給して前記試験体を破壊し、前記試験体の破壊性状を取得する工程と、
c)前記試験体の構造をモデル化し、前記基準衝撃圧波形から複数の入力波形を生成して前記複数の入力波形の衝撃圧が加えられた場合の前記試験体の破壊性状を数値解析により求め、前記b)工程にて取得された破壊性状に相当する破壊性状が得られる入力波形を算出衝撃圧波形として取得する工程と、
d)前記b)工程にて使用される前記破壊用物質の量を変更しつつ前記b)工程および前記c)工程を繰り返すことにより、前記破壊用物質の量と前記算出衝撃圧波形との関係を示す破壊用物質量−衝撃圧特性を取得する工程と、
e)被破壊物の構造をモデル化し、前記破壊用物質量−衝撃圧特性に基づいて、前記被破壊物の破壊に使用される前記破壊用物質の量から解析用衝撃圧波形を求め、前記解析用衝撃圧波形を用いて数値解析を行うことにより、前記被破壊物の破壊性状を算出する工程と、
を備えることを特徴とする破壊性状算出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の破壊性状算出方法であって、
前記a)工程において、前記衝撃圧測定器の内部空間に前記放電カートリッジが収容され、前記衝撃圧測定器が破壊されることなく前記内部空間に配置された圧力センサにより前記衝撃圧が測定されることを特徴とする破壊性状算出方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の破壊性状算出方法であって、
前記c)工程において、前記基準衝撃圧波形の形状をおよそ維持しつつ最大圧力を変更することにより、前記複数の入力波形が生成されることを特徴とする破壊性状算出方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の破壊性状算出方法であって、
前記試験体および前記被破壊物の構造のモデル化において、前記試験体および前記被破壊物に含まれる少なくとも1つの材料の応力−歪み特性が、歪み速度依存性を有することを特徴とする破壊性状算出方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の破壊性状算出方法であって、
前記破壊用物質が自己反応性を有することを特徴とする破壊性状算出方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の破壊性状算出方法であって、
前記試験体および前記被破壊物がコンクリートを含むことを特徴とする破壊性状算出方法。
【請求項1】
被破壊物の破壊性状を算出する破壊性状算出方法であって、
a)金属細線を介して互いに接続された一対の電極および破壊用物質を容器内に収容した放電カートリッジを準備し、前記一対の電極に電気エネルギーを供給して前記金属細線を溶融気化させることにより前記破壊用物質を反応させ、前記破壊用物質の膨張による衝撃圧を衝撃圧測定器にて測定し、測定結果に基づいて衝撃圧の時間的な変化を示す基準衝撃圧波形を求める工程と、
b)試験体の内部に、前記放電カートリッジと同様の、または、前記破壊用物質の量を変更した放電カートリッジを収容し、一対の電極に電気エネルギーを供給して前記試験体を破壊し、前記試験体の破壊性状を取得する工程と、
c)前記試験体の構造をモデル化し、前記基準衝撃圧波形から複数の入力波形を生成して前記複数の入力波形の衝撃圧が加えられた場合の前記試験体の破壊性状を数値解析により求め、前記b)工程にて取得された破壊性状に相当する破壊性状が得られる入力波形を算出衝撃圧波形として取得する工程と、
d)前記b)工程にて使用される前記破壊用物質の量を変更しつつ前記b)工程および前記c)工程を繰り返すことにより、前記破壊用物質の量と前記算出衝撃圧波形との関係を示す破壊用物質量−衝撃圧特性を取得する工程と、
e)被破壊物の構造をモデル化し、前記破壊用物質量−衝撃圧特性に基づいて、前記被破壊物の破壊に使用される前記破壊用物質の量から解析用衝撃圧波形を求め、前記解析用衝撃圧波形を用いて数値解析を行うことにより、前記被破壊物の破壊性状を算出する工程と、
を備えることを特徴とする破壊性状算出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の破壊性状算出方法であって、
前記a)工程において、前記衝撃圧測定器の内部空間に前記放電カートリッジが収容され、前記衝撃圧測定器が破壊されることなく前記内部空間に配置された圧力センサにより前記衝撃圧が測定されることを特徴とする破壊性状算出方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の破壊性状算出方法であって、
前記c)工程において、前記基準衝撃圧波形の形状をおよそ維持しつつ最大圧力を変更することにより、前記複数の入力波形が生成されることを特徴とする破壊性状算出方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の破壊性状算出方法であって、
前記試験体および前記被破壊物の構造のモデル化において、前記試験体および前記被破壊物に含まれる少なくとも1つの材料の応力−歪み特性が、歪み速度依存性を有することを特徴とする破壊性状算出方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の破壊性状算出方法であって、
前記破壊用物質が自己反応性を有することを特徴とする破壊性状算出方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の破壊性状算出方法であって、
前記試験体および前記被破壊物がコンクリートを含むことを特徴とする破壊性状算出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7.A】
【図7.B】
【図8.A】
【図8.B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13.A】
【図13.B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18.A】
【図18.B】
【図19】
【図20.A】
【図20.B】
【図21.A】
【図21.B】
【図22】
【図23.A】
【図23.B】
【図24】
【図25.A】
【図25.B】
【図26】
【図27】
【図28.A】
【図28.B】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7.A】
【図7.B】
【図8.A】
【図8.B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13.A】
【図13.B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18.A】
【図18.B】
【図19】
【図20.A】
【図20.B】
【図21.A】
【図21.B】
【図22】
【図23.A】
【図23.B】
【図24】
【図25.A】
【図25.B】
【図26】
【図27】
【図28.A】
【図28.B】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2011−47803(P2011−47803A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196663(P2009−196663)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人 日本コンクリート工学協会、コンクリート工学年次論文集 第31巻(2009)、第781〜786ページ、2009年6月15日
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人 日本コンクリート工学協会、コンクリート工学年次論文集 第31巻(2009)、第781〜786ページ、2009年6月15日
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
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