説明

破砕ガラス粒子の丸め装置及び破砕ガラス粒子の丸め方法

【課題】破砕ガラス粒子の径の大きなものから小さなものまで簡単な条件設定を行なうだけでエッジ部を丸めたガラス粒を製造することができ操作性と自在性に優れ、また表面に細かな擦過傷が曇りガラス状に形成されたガラス粒を連続的に製造することができ生産性に優れる破砕ガラス粒子の丸め装置を提供する。
【解決手段】破砕ガラス粒子の丸め装置1は、破砕ガラス粒子のガラス軟化点以上ガラス軟化点より200℃高い温度以下に昇温された加熱装置2の空間に貫設され一端側に前記破砕ガラス粒子の供給口6が形成され他端側に排出口9が形成された管体と、前記管体の内周面に配設固定された突出部15と、前記突出部が配設された前記管体を回転させる回転駆動装置12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕ガラス粒子の表面を溶融させてガラス粒を製造する破砕ガラス粒子の丸め装置及び破砕ガラス粒子の丸め方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種ビン,板ガラス,窓ガラス等の廃棄物、ガラス製品工場から発生するスクラップ等を破砕した破砕ガラス粒子は、遊歩道その他の道路の舗装、舗装ブロック、外装ボードその他の建材等の原料として、他の原料と混合して用いられている。また、破砕ガラス粒子のエッジを鈍化させたガラス粒は、その再帰反射性を利用して、道路及び飛行場滑走路等のマーキング、交通標識等に用いられている。
しかしながら、破砕ガラス粒子は鋭いエッジを有しているので、舗装等の表面に露出していると、歩行者が転んだ場合に皮膚をエッジで傷付けるおそれがある等、安全性に問題がある。
このため、破砕ガラス粒子の鋭いエッジを鈍化させて丸みを帯びたガラス粒を製造する破砕ガラス粒子の丸め装置が研究されている。
従来の技術としては、例えば(特許文献1)に、「上部に破砕ガラス粒子の投入のための開口と、前記開口の下方に配設された火炎帯を形成するバーナーと、を有する下方の開口した内側筒体と、前記内側筒体の下部を包囲するように設けられた大径の外側筒体と、前記外側筒体の上部に形成された冷却用空気導入路と、前記外側筒体の下部に配設された排ガス排出路と、を備えた破砕ガラス粒子の丸め装置」が開示されている。
(特許文献2)には、「破砕ガラス粒子と水とを回転ミキサーに入れて回転させ、角のない安全なガラス粒を製造すること」が記載されている。
【特許文献1】特開2000−119028号公報
【特許文献2】実用新案登録第3078721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の破砕ガラス粒の丸め装置は、破砕ガラス粒子を開口から落下させ、火炎を通過した破砕ガラス粒子のエッジを溶融させることによって丸めてガラス粒を製造する装置なので、比較的熱容量の小さな小径の破砕ガラス粒子のエッジを溶融させてガラス粒を製造することはできるが、径が大きく熱容量の大きな破砕ガラス粒子のエッジを丸めることは困難であり自在性に欠けるという課題を有していた。また、破砕ガラス粒子を落下させるため高い位置に開口を設ける必要があり、装置が大型化するという課題を有していた。また、所望するガラス粒を得るためには、破砕ガラス粒子が落下する速度、火炎帯の温度や大きさ、冷却用空気の流量等を最適な条件に設定しなければならず煩雑であるとともに、条件設定が難しく操作性に欠けるという課題を有していた。
(2)破砕ガラス粒子は、内側筒体に配設されたバーナーの火炎の中を自然落下するときに、破砕ガラス粒子の表面、特にエッジ部が溶融され表面張力の作用によってエッジ部が丸められるので、ガラス粒は表面が滑らかになって再帰反射性を有することがあるため、遊歩道その他の道路の舗装、舗装ブロック、外装ボードその他の建材等の原料として用いると、再帰反射が激しくなることがあり、用途が限定されることがあるという課題を有していた。
(3)(特許文献2)に開示の技術は、破砕ガラス粒子と水とを回転ミキサーに入れて回転させ破砕ガラス粒の角をなくすものであるため、ガラス粒を製造するためには、水とガラス粒との分離及びガラス粒の回収、ガラス粒の乾燥という工程が必要になり煩雑であるという課題を有していた。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、破砕ガラス粒子の径の大きなものから小径のものまで簡単な条件設定を行うだけでエッジを丸めたガラス粒を製造することができ操作性と自在性に優れ、また表面に細かな擦過傷が曇りガラス状に形成された再帰反射性に乏しくアンカー効果を有する球状乃至は不定形状のガラス粒を製造することができ、遊歩道その他の道路の舗装、舗装ブロック、外装ボードその他の建材等の原料や人工砂利等として広く用いることができるとともに、舗装面や建材表面等から抜け落ち難い付加価値の高いガラス粒を製造することができ廃棄資源の再利用性に優れ、さらにガラス粒を連続的に製造することができ生産性に優れるとともにコンパクト化が容易な破砕ガラス粒子の丸め装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、破砕ガラス粒子が互いに溶着するのを防止できるとともに、表面が滑らかな破砕ガラス粒子の丸め方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の課題を解決するために本発明の破砕ガラス粒子の丸め装置及び破砕ガラス粒子の丸め方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の破砕ガラス粒子の丸め装置は、破砕ガラス粒子のガラス軟化点以上ガラス軟化点より200℃高い温度以下に昇温される加熱装置と、前記加熱装置に貫設され一端側に前記破砕ガラス粒子の供給口が形成され他端側に排出口が形成された管体と、前記管体の内周面に配設固定された突出部と、前記突出部が配設された前記管体を回転させる回転駆動装置と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)ガラス軟化点以上の温度に昇温された加熱装置に貫設された管体の供給口から破砕ガラス粒子を管体内に供給し、回転駆動装置で管体を回転させると、破砕ガラス粒子が加熱されて表面が溶融し破砕ガラス粒子のエッジ部が軟化され、さらに破砕ガラス粒子が突出部に乗り上げたりしながら管体の内部で複雑な転動運動をするので、丸みを帯びたガラス粒が製造され、製造されたガラス粒を排出口から連続的に排出させることができる。
(2)管体が加熱装置に貫設されているので、管体の他端側の排出口付近は加熱装置の外側にあるため、管体内で加熱され転動されたガラス粒は排出口付近で冷却されガラス軟化点よりも低い温度になって硬化するため、排出口から排出されたガラス粒は互いに溶着したり変形したりすることなく互いに分離し分散された状態のガラス粒を得ることができる。
(3)管体の回転に伴って不定形状の破砕ガラス粒子が突出部に乗り上げたりしながら管体の内部で複雑な転動運動をするので、球状だけでなく不定形状のガラス粒を連続的に製造することができる。
(4)破砕ガラス粒子が管体の内周面を転動するので、衝突や摩擦等によってガラス粒の表面には細かな擦過傷が形成され、曇りガラス状のガラス粒を製造することができる。
(5)加熱装置の温度、回転駆動装置の回転数の条件を設定するだけでガラス粒を製造することができ操作性と自在性に優れ、また破砕ガラス粒子が管体内で加熱されながら転動し排出口へゆっくりと移動していくので、加熱装置や管体が小さくても破砕ガラス粒子の溶融時間を十分に確保できるため、装置をコンパクト化できる。
【0006】
ここで、加熱装置としては、破砕ガラス粒子のガラス軟化点以上ガラス軟化点より200℃高い温度以下に昇温される空間を有するものであれば、特に制限されずに用いることができ、例えば、石油や重油等の液体燃料やプロパン等の気体燃料等を燃焼させた火炎や燃焼ガスを用いて昇温させるもの、電気抵抗発熱体を用いて昇温させる抵抗炉,黒鉛等の電極を用いアークによって発生する熱を利用するアーク炉,導電性の容器や被加熱体に電磁誘導作用によって電流を誘起させて加熱する誘導炉,赤外線炉等の電気炉が用いられる。
なかでも、抵抗炉等の電気炉が好適に用いられる。装置のコンパクト化に有利だからである。なお、誘導炉の場合は、導電材で形成された管体に電磁誘導作用によって電流を誘起させ、管体を直接加熱してもよい。
【0007】
加熱装置は、破砕ガラス粒子のガラス軟化点以上ガラス軟化点より200℃高い温度以下に昇温され管体を加熱する。これは、加熱装置の温度がガラス軟化点より低くなると、破砕ガラス粒子のエッジ部を軟化させ鈍化させることが困難になり、ガラス軟化点より200℃高い温度より高くなると、破砕ガラス粒子の溶融量が多くなりガラス粒が互いに溶着し易くなる傾向がみられ、いずれも好ましくないからである。
具体的には、各種ビン等を破砕した破砕ガラス粒子の場合、850〜950℃に昇温された空間を有する加熱装置が好適に用いられる。丸みを帯び互いに溶着することのないガラス粒を製造できるからである。
【0008】
破砕ガラス粒子としては、薬品用びん,化粧品用びん,食物調味料用びん,飲料用びん等の瓶ガラス、板ガラス、窓ガラス等の廃棄ガラス、ガラス製品工場から発生するスクラップ等を破砕したものが用いられる。
破砕ガラス粒子としては、等価体積径による平均粒径が6〜15mmの範囲に調整されたものが好適に用いられる。なお、等価体積径とは、ある粒子を同じ体積の球体に換算した場合の球体の直径をいう。実験の結果、破砕ガラス粒子の等価体積径による平均粒径が6mmより小さくなると、比較的小さな熱量で溶融されるため管体内で互いに溶着し易くなる傾向がみられ、等価体積径による平均粒径が20mmより大きくなると、管体内での滞留時間にもよるが、破砕ガラス粒子のエッジ部等の表面が溶融し難くなる傾向がみられるため、いずれも好ましくないことがわかった。
また、破砕ガラス粒子は、等価体積径による粒径のばらつきが±10mmの範囲内になるように粒度調整されたものが好適に用いられる。一定の熱量が管体に与えられた場合、粒径の小さな破砕ガラス粒子は溶融し易く粒径の大きな破砕ガラス粒子は溶融し難いため、粒径のばらつきが大きくなるにつれ、粒径の大きな破砕ガラス粒子はエッジ部が丸められ難く、粒径の小さな破砕ガラス粒子は溶融し互いに溶着し易くなることがわかった。
【0009】
管体としては、ステンレス鋼等の金属製や炭化珪素等のセラミック製で横断面が円形状,楕円形状,多角形状等に形成されたものが好適に用いられる。破砕ガラス粒子を転動させ易くするとともにガラス軟化点以上の温度環境下で機械的強度を維持させるためである。
管体は、供給口が形成された一端側から排出口が形成された他端側に向かう下り傾斜、又は、略水平に配設される。管体の下り傾斜及び/又は管体の内周面に配設固定された突出部によって、破砕ガラス粒子に供給口から排出口に向かう回転軸方向の推進力を与えるためである。
なお、突出部がランダムに配設されている場合は、管体は下り傾斜に配設される。下り傾斜によって、破砕ガラス粒子に排出口に向かう推進力を与えるためである。また、突出部が管体の内周面において螺状等に配設されている場合は、管体は略水平又は下り傾斜が形成されるように配設される。管体の回転運動に伴い、突出部によって破砕ガラス粒子に排出口に向かう推進力が与えられるからである。
【0010】
突出部としては、管体の内周面に配設固定された複数の突起、1乃至複数の突条等が用いられる。これらはランダムな位置に配設固定してもよいが、管体の回転運動に伴って破砕ガラス粒子に排出口に向かう推進力が与えられるように全体として螺状等になるような位置に配設固定するのが望ましい。管体内に破砕ガラス粒子を滞留させ難くするためである。
突出部は、ステンレス鋼等の金属製や炭化珪素等のセラミック製で形成することができる。これらを溶接や螺着等によって管体の内周面に配設固定する。
【0011】
突出部の高さは、破砕ガラス粒子の等価体積径による平均粒径の0.5〜2倍に形成するのが望ましい。破砕ガラス粒子が突出部に乗り上げたりしながら管体の内部で複雑な転動運動をするからである。
なお、突出部の高さが、破砕ガラス粒子の等価体積径による平均粒径の0.5倍より低くなるにつれ、突出部の高さが低いので破砕ガラス粒子が突出部に乗り上げても転動運動が単調になりガラス粒の形状に変化が乏しくなる傾向がみられ、破砕ガラス粒子の等価体積径による平均粒径の2倍より高くなるにつれ、突出部が高いので破砕ガラス粒子が突出部に乗り上げ難くそこを避けて転動するようになり転動運動が単調になりガラス粒の形状に変化が乏しくなる傾向がみられ、いずれも好ましくない。
【0012】
回転駆動装置としては、加熱装置の外側に配設され管体を回転軸の回りに直接回転させるもの、加熱装置の外側に配設され管体をベルト,チェーン,ローラ等を介して回転させるもの、加熱装置がベルト式加熱炉等の場合に被加熱物を搬送するチェーンベルト等で管体の外周を摺接して回転させるもの等が用いられる。
管体は左右いずれの方向に回転させてもよいが、突出部が全体として螺状等になるような位置に配設固定されている場合は、管体の回転運動に伴って破砕ガラス粒子に排出口に向かう推進力が与えられるような方向に回転させる。
管体は、破砕ガラス粒子が遠心力によって管体の内周面に押し付けられずに、破砕ガラス粒子が転動できる範囲の回転数で回転される。加熱装置の温度や破砕ガラス粒子の粒径等にもよるが1〜30rpmで回転させるのが好適である。回転数が1rpmより小さくなるにつれ破砕ガラス粒子が活発に転動され難いため丸みを帯び難くなる傾向がみられ、30rpmより大きくなるにつれ破砕ガラス粒子が略球状になり形状が画一化し変化がみられなくなる傾向や遠心力によって管体の内周壁に押し付けられ転動し難くなる傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
なお、回転駆動装置は、回転数が可変調整できるものが好ましい。加熱装置の温度、破砕ガラス粒子の粒径等によって回転数を適宜選択して、所望する形状のガラス粒を得るためである。
【0013】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の破砕ガラス粒子の丸め装置であって、前記突出部に代えて、前記管体の内部に配設された螺状羽根を有する軸体を備え、前記回転駆動装置が、前記軸体を回転させる構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)回転駆動装置で螺状羽根を有する軸体を回転させることで、管体内に供給された破砕ガラス粒子は、加熱装置内の輻射熱で加熱されて表面から軟化され、さらに回転する螺状羽根で供給口から排出口に向かう推進力が与えられるので、管体の内部で転動運動をすることで丸みを帯びたガラス粒が製造され、製造されたガラス粒を排出口から連続的に排出させることができる。
【0014】
ここで、加熱装置、破砕ガラス粒子、管体は、請求項1で説明したものと同様のものなので、説明を省略する。
【0015】
螺状羽根を有する軸体としては、螺状羽根の外縁が管体の下側の内周面に略摺接されるような大きさに形成されたものが用いられる。破砕ガラス粒子を管体の下側の内周面及び螺状羽根面で転動運動させるためである。
【0016】
回転駆動装置としては、加熱装置の外側に配設され軸体を回転軸の回りに直接回転させるもの、加熱装置の外側に配設され軸体をベルトやチェーン等を介して回転させるもの等が用いられる。
回転駆動装置は、軸体を、回転運動に伴って破砕ガラス粒子に排出口に向かう推進力が与えられるような方向に回転させる。なお、回転数が可変調整できるものが好ましい。加熱装置の温度、破砕ガラス粒子の粒径等によって回転数を適宜選択して、所望する形状のガラス粒を得るためである。
【0017】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の破砕ガラス粒子の丸め装置であって、前記突出部が、前記管体の内周面に配設固定された1乃至複数の螺状突条に形成された構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)突出部が1乃至複数の螺状突条に形成されているので、略水平又は下り傾斜に配設された管体を回転させると、管体の回転運動に伴って破砕ガラス粒子に排出口に向かう推進力を与えることができ、破砕ガラス粒子が管体内で必要以上に滞留するのを防止することができる。
【0018】
ここで、螺状突条としては、管体の内周面に螺旋状になるように配設固定された1乃至複数の突条が用いられる。管体の全長に亘って連続して配設されているもの、非連続的に配設されているもの、非連続的に逆方向を向いて配設されているもの等を用いることができる。
【0019】
螺状突条は、軸方向に対するねじれ角αが30〜50°に形成されたものが好適に用いられる。破砕ガラス粒子の排出口への推進力と螺状突条に乗り上げることによる複雑な転動運動とを両立させ、破砕ガラス粒子が管体内で不必要に滞留するのを防止するとともに、複雑な転動運動によってガラス粒の形状に変化を付けるためである。なお、ねじれ角αとは、螺状突条のエッジとこの上の一点を通る回転軸に平行な直線とがなす角をいう。
軸方向に対するねじれ角αが30°より小さくなるにつれ、管体の回転数、螺状突条の高さ、破砕ガラス粒子の粒径等にもよるが、破砕ガラス粒子が短時間で排出口に達しエッジ部が十分丸みを帯びていないガラス粒が製造され易くなる傾向がみられ、50°より大きくなるにつれ、破砕ガラス粒子が螺状突条に乗り上げることなく螺状突条に沿って管体の内周面を転動し易く、ガラス粒の形状が単調になる傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
【0020】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の破砕ガラス粒子の丸め装置であって、前記排出口に、篩いが配設された構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)排出口に篩いが配設されているので、篩い分けによって、製品にならないような微細なガラス粒やガラス粉末を選別したり、ガラス粒の粒径毎に用途に応じて径を揃えたりでき生産性に優れるとともに使用性に優れる。
【0021】
ここで、螺状突条等の突出部は、篩いの部分にも形成されているのが好ましい。破砕ガラス粒子が、篩い網面上を管体の下流側に推進する推進力を与えるためである。
【0022】
本発明の請求項5に記載の破砕ガラス粒子の丸め方法は、ガラス軟化点以上ガラス軟化点より200℃高い温度以下に昇温された管体の内面で破砕ガラス粒子を溶着防止剤とともに転動させ前記破砕ガラス粒子の表面を溶融軟化させて丸みをつけたガラス粒を得る溶融転動工程と、前記溶融転動工程で得られた前記ガラス粒をガラス粉末と擦り合わせ前記ガラス粒の表面に付着した前記溶着防止剤を除去する擦り合わせ工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)破砕ガラス粒子の表面を溶融させ軟化させ管体内で溶着防止剤とともに転動運動をさせる溶融転動工程と、ガラス粒とガラス粉末とを擦り合わせる擦り合わせ工程と、を備えているので、破砕ガラス粒子が転動運動中に互いに溶着するのを防止して丸みを帯びたガラス粒を製造できるとともに、擦り合わせ工程において、溶融したガラス粒の表面に付着した溶着防止剤を除去することができ、表面が滑らかなガラス粒を製造することができる。
(2)フッ酸等を用いた薬品処理でガラス粒の表面から溶着防止剤を除去するのではなく、溶着防止剤が付着したガラス粒とガラス粉末とを擦り合わせるので、これにより発生したガラス粉末と溶着防止剤の混合粉末は、ガラス粒を分離した後、別途溶融させることで塊状のガラス溶融体や、炭酸カルシウムや貝殻等の発泡剤を混合して溶融発泡させることでガラス発泡体にすることができる。これらのガラス溶融体やガラス発泡体は、舗装、舗装ブロック、外装ボードその他の建材等の原料や人工砂利等として用いることができるため、資源として再利用可能であり廃棄資源の再利用性に優れる。一方、フッ酸等の薬品処理の場合は、廃液処理等の工数や設備を要するとともに、フッ酸等に溶解したガラス分の再利用ができずリサイクル性に欠ける。
【0023】
ここで、溶融転動工程としては、請求項1乃至4で説明した破砕ガラス粒子の丸め装置のように、管体内で破砕ガラス粒子を溶融転動させるものが用いられる。
溶着防止剤としては、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ムライト、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の粉末が用いられる。
【0024】
擦り合わせ工程としては、ガラス粒とガラス粉末を容器内に入れ、転動ミル,振動ミル,遊星ミル等のように、容器全体を動かすことによってガラス粒とガラス粉末にエネルギーを伝達しガラス粒とガラス粉末とを擦り合わせる装置、ガラス粒とガラス粉末を入れた容器内に撹拌棒等を入れ、タワーミル,アトライタ等のように、直接エネルギーを伝達しガラス粒とガラス粉末を擦り合わせる装置等を用いることができる。
これらの装置の容器内に、ガラス粒、ガラス粉末とともに水も一緒に入れ、湿式で擦り合わせることもできるが、水は加えず乾式で擦り合わせることが好ましい。乾式の場合、水とガラス粒との分離及びガラス粒の回収、ガラス粒の乾燥等の処理や排水処理が不要で作業性に優れるとともに環境保全性に優れるからである。
ガラス粉末としては、廃棄ガラスやスクラップ等を破砕して破砕ガラス粒子を製造したときに同時に得られる微細化されたガラス粉末を用いるのが好ましい。廃棄資源を有効に利用できるからである。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明の破砕ガラス粒子の丸め装置及び破砕ガラス粒子の丸め方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)管体内で破砕ガラス粒子が加熱されて破砕ガラス粒子のエッジ部が軟化され、さらに破砕ガラス粒子が突出部に乗り上げたりしながら管体の内部で複雑な転動運動をするので、丸みを帯びたガラス粒を排出口から連続的に排出させ製造することができる生産性に優れた破砕ガラス粒子の丸め装置を提供することができる。
(2)管体の他端側の排出口付近は加熱装置の外側にあるため、管体内で加熱され転動されたガラス粒は排出口付近で冷却されガラス軟化点よりも低い温度になって硬化するため、排出口から排出されたガラス粒は互いに溶着したり変形したりすることなく互いに分離し分散された状態のガラス粒を得ることができる破砕ガラス粒子の丸め装置を提供することができる。
(3)管体の回転に伴って不定形状の破砕ガラス粒子が突出部に乗り上げたりしながら管体の内部で複雑な転動運動をするので、球状だけでなく不定形状のガラス粒を連続的に製造することができる。このため、遊歩道その他の道路の舗装、舗装ブロック、外装ボードその他の建材等の原料として用いた場合に、舗装面や建材表面等から抜け落ち難いガラス粒を製造することができ、また水槽等の底や庭等に敷く人工砂利等として用いることのできるガラス粒を製造できる破砕ガラス粒子の丸め装置を提供することができる。
(4)衝突や摩擦等によってガラス粒の表面には細かな擦過傷が形成され、曇りガラス状のガラス粒を製造することができる。このため、製造されたガラス粒は再帰反射性が乏しく、遊歩道その他の道路の舗装、舗装ブロック、外装ボードその他の建材等の原料として広く用いることができる。また、遊歩道その他の道路の舗装、舗装ブロック、外装ボードその他の建材等の原料として用いた場合に、表面の擦過傷がアンカーの役割を果たし、舗装面や建材表面等から抜け落ち難いガラス粒を製造できる破砕ガラス粒子の丸め装置を提供することができる。
(5)加熱装置の温度、回転駆動装置の回転数の条件を設定するだけでガラス粒を製造することができ操作性と自在性に優れ、また破砕ガラス粒子が管体内で加熱されながら転動し排出口へゆっくりと移動していくので、加熱装置や管体が小さくても破砕ガラス粒子の溶融時間を十分に確保できるため、コンパクトな破砕ガラス粒子の丸め装置を提供することができる。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)回転駆動装置で螺状羽根を有する軸体を回転させることで、管体内に供給された破砕ガラス粒子は、加熱装置内の輻射熱で加熱されてエッジ部が軟化され、さらに回転する螺状羽根で供給口から排出口に向かう推進力が与えられるので、管体の内部で転動運動をすることで丸みを帯びたガラス粒を排出口から連続的に排出させ製造できる生産性に優れた破砕ガラス粒子の丸め装置を提供することができる。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)略水平又は下り傾斜に配設された管体を回転させると、管体の回転運動に伴って破砕ガラス粒子に排出口に向かう推進力を与えることができ、破砕ガラス粒子が管体内で必要以上に滞留するのを防止することができ品質の安定性に優れた破砕ガラス粒子の丸め装置を提供することができる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、
(1)製品にならないような微細なガラス粒やガラス粉末を選別することができ、さらにガラス粒の粒径毎に用途に応じて篩い分けができ生産性に優れた破砕ガラス粒子の丸め装置を提供することができる。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、
(1)破砕ガラス粒子が転動運動中に互いに溶着するのを防止して丸みを帯びたガラス粒が得られ、擦り合わせ工程においてガラス粒の表面に付着した溶着防止剤を除去することができ、表面が滑らかなガラス粒の得られる破砕ガラス粒子の丸め方法を提供することができる。
(2)発生したガラス粉末と溶着防止剤の混合粉末を別途溶融させることで塊状のガラス溶融体やガラス発泡体が得られ、舗装、舗装ブロック、外装ボードその他の建材等の原料や人工砂利等として用いることができるため、資源として再利用可能であり廃棄資源の再利用性に優れた破砕ガラス粒子の丸め方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における破砕ガラス粒子の丸め装置の斜視図であり、図2は実施の形態1における破砕ガラス粒子の丸め装置の要部断面図であり、図3(a)は実施の形態1における破砕ガラス粒子の丸め装置の管体の一部の縦断面図であり、図3(b)は図3(a)のA−A線における断面図であり、図4は破砕ガラス粒子の丸め装置の排出口の要部正面図である。
図中、1は実施の形態1における破砕ガラス粒子の丸め装置、2は電気炉等の加熱装置、3,3は加熱装置2の対向する側壁の各々を貫通して形成された貫通孔、4は加熱装置2内に配設された電気抵抗発熱体等の発熱体、5はセラミックス製や金属製等で形成され加熱装置2の貫通孔3,3に貫設された管体、5a,5b,5cは管体5が複数分割された分割管、5d,5dは各々の分割管5a,5b,5cの端部に形成され分割管5a,5b,5cを連結するフランジ、6は管体5の一端の分割管5aに開口した破砕ガラス粒子の供給口、7は破砕ガラス粒子を一旦受け入れるホッパ、8はホッパ7の下部に接続され先端が供給口6内に挿入された供給管、9は管体5の他端の分割管5cの端部側に横長の長孔状に形成された排出口、10は排出口9に配設された篩いであり、10aは排出口9のうち供給口6寄りの排出口9の一部に配設された目開きの小さな篩い網、10bは篩い網10aより大きな目開きで形成され篩い網10aの下流側に隣接して供給口9の一部に配設された篩い網である。なお、排出口9の最下流部は篩い網10a,10bが配設されていないまま開口している。11は管体5の他端の分割管5cの端部に固着され管体5の他端を閉塞する板状等の閉塞部材、11aは排出口9の下方に配設され篩い網10a,10bの幅で区画された箱状のガラス粒回収部、11bは篩い10で所定の粒径に分級されたガラス粒、12は閉塞部材11に接続され管体5を回転軸の回りに回転駆動させる回転駆動装置、13は管体5の他端の分割管5cの外周面に当接され管体5の他端側を支持する管体受けローラ、14は管体5の一端の分割管5aの外周面に当接され管体5の一端側を支持する管体受けローラ、15は管体5の内周面に配設され溶接等で固定された突出部である。
本実施の形態においては、図3に示すように、突出部15は、突条を複数の棒鋼等で形成し屈曲させて、軸方向に対するねじれ角αを30〜50°にして分割管5a内に配設し溶接等で固定した複数条の螺状突条で形成されている。分割管5b,5c内にも同様にして螺状突条からなる突出部15を配設固定し、フランジ5dで接続することで管体5の全長で螺状の突条に形成された突出部15が形成されている。
また本実施の形態においては、図4に示すように、排出口9は、管体5の他端の分割管5cに横桟5eを残して横長に穿設することによって形成されている。また、排出口9には、螺状突条からなる突出部15と交差するように螺状突条からなるじゃま板状の突出部16が配設されている。
また、管体5は供給口6が形成された一端側から排出口9が形成された他端側に向かう下り傾斜が形成されるように配設されている。
また、回転駆動装置12は所定の回転数で管体5を回転させることができるように、回転数を可変調整可能に形成されている。
また、突出部15の高さ(棒鋼等の太さ)は、供給口6から供給される破砕ガラス粒子の等価体積径による平均粒径の0.5〜2倍に形成されている。
【0031】
以上のように構成された実施の形態1における破砕ガラス粒子の丸め装置を用いた破砕ガラス粒子の丸め方法を、図面を参照しながら以下説明する。
予め、薬品用びん,化粧品用びん,食物調味料用びん,飲料用びん等の瓶ガラス、板ガラス、窓ガラス等の廃棄ガラス、ガラス製品工場から発生するスクラップ等を破砕して、等価体積径による平均粒径が6〜15mmの範囲に調整された破砕ガラス粒子を製造する。なお、破砕ガラス粒子は、等価体積径による粒径のばらつきが±10mmの範囲内になるように粒度調整しておく。
次に、回転駆動装置12を駆動して、破砕ガラス粒子が管体5内を転動できる範囲の回転数、例えば1〜30rpmの回転数で管体5を回転させる。加熱装置2を所定の温度に昇温し、管体5がガラス軟化点以上ガラス軟化点より200℃高い温度以下に昇温されたら、所定粒度に調整された破砕ガラス粒子をホッパ7に入れ、供給管8を介して供給口6から管体5内へ、水酸化アルミニウム粉末等の溶着防止剤と一緒に供給する。
管体5内へ供給された破砕ガラス粒子は、下り傾斜に配設された管体5の回転運動に伴い、管体5の内周面を供給口6から排出口9に向かって転動しながら表面から軟化される。また、螺状突条からなる突出部15によって、破砕ガラス粒子は排出口9に向かう推進力が与えられるとともに、破砕ガラス粒子が突出部15に乗り上げたりしながら管体5の内部で複雑に転動し、エッジ部が丸みを帯びたガラス粒が製造され、排出口9から連続的に排出される。また、溶着防止剤がガラス粒子の表面にまぶされた状態になるので、ガラス粒子同士を互いに溶着し難くすることができる(以上、溶融転動工程)。
なお、排出口9に篩い10が配設されているので、始めに、篩い網10aの目開きより小さな径のガラス粒と溶着防止剤が、篩い網10a及び排出口9を通ってガラス粒回収部11aに回収される。次に、篩い網10aの目開きより大きく篩い網10bの目開きより小さな径のガラス粒が、篩い網10b及び排出口9を通ってガラス粒回収部11aに回収される。最後に、篩い網10bの目開きより大きな径のガラス粒が排出口9を通ってガラス粒回収部11aに回収される。また、排出口9に、突出部15と交差するように螺状突条からなるじゃま板状の突出部16が配設されているので、篩い10で分級されるガラス粒と溶着防止剤が、ショートパスを起こすのを防止し、各々の篩い網10a,10bで確実に分級される。
次に、ガラス粒回収部11aに回収されたガラス粒11bのなかには、表面に溶着防止剤が付着したものがあるため、ガラス粉末とともに転動ミル,振動ミル,遊星ミル,タワーミル,アトライタ等の容器内に入れ、ガラス粒とガラス粉末とを擦り合わせることによって、管体5内の転動運動の際にガラス粒の表面に付着した溶着防止剤を除去して、表面が滑らかなガラス粒を製造することができる(以上、擦り合わせ工程)。
【0032】
以上のように、本発明の実施の形態1における破砕ガラス粒子の丸め装置は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)加熱装置2によってガラス軟化点以上の温度に昇温された管体5の供給口6から破砕ガラス粒子を管体5内に供給し、回転駆動装置12で管体5を回転軸の回りに回転させると、破砕ガラス粒子が加熱されて破砕ガラス粒子の表面から軟化され、さらに破砕ガラス粒子が突出部15に乗り上げたりしながら管体5の内部で複雑な転動運動をするので、丸みを帯びたガラス粒が製造され、製造されたガラス粒を排出口9から連続的に排出させることができる。
(2)管体5が加熱装置2に貫設されているので、管体5の他端側の排出口9付近は加熱装置2の外側にあるため、管体5内で加熱され転動されたガラス粒は排出口9付近で冷却されガラス軟化点よりも低い温度になって硬化するため、排出口9から排出されたガラス粒回収部11a内のガラス粒11bは互いに溶着したり変形したりすることなく互いに分離し分散された状態のガラス粒を得ることができる。
(3)管体5の回転に伴って不定形状の破砕ガラス粒子が突出部15に乗り上げたりしながら管体5の内部で複雑な転動運動をするので、球状乃至は不定形状のガラス粒を連続的に製造することができる。
(4)破砕ガラス粒子が管体5の内周面を転動するので、衝突や摩擦等によってガラス粒の表面には細かな擦過傷が形成され、曇りガラス状のガラス粒を製造することができる。
(5)突出部15が螺状突条で形成されているので、管体5を回転させると、管体5の回転運動に伴って破砕ガラス粒子に排出口9に向かう推進力を与えることができ、破砕ガラス粒子が管体5内で必要以上に滞留して過度に加熱され溶融するのを防止することができる。
(6)複数の分割管5a,5b,5cをフランジ5dで接続して長尺の管体5を形成しているので、屈曲させた突条を分割管5a,5b,5cの各々の内周面に溶接等で固定し、分割管5a,5b,5cを接続することで、突出部15を繋ぎ合わせて管体5の全長に亘る螺状突条に形成することができる。短い分割管5a,5b,5cの内周面に屈曲させた突条を溶接等で固定するのは容易なので、管体5の生産性に優れる。
(7)複数の分割管5a,5b,5cをフランジ5dで接続して長尺の管体5を形成しているので、フランジ5dがリブの役目を果たし、加熱装置2で加熱された管体5の機械的強度が低下して撓んだりするのを防止することができる。
(8)回転駆動装置12が管体5の他端部に固着された閉塞部材11に接続されているが、供給口6側の管体5は管体受けローラ14で支持されているだけで端部が拘束されていないので、加熱装置2の稼動・停止に伴う管体5の熱膨張及び収縮によって管体5に応力が発生するのを防止し、管体5の耐久性を高めることができる。
(9)突出部15の高さが破砕ガラス粒子の等価体積径による平均粒径の0.5〜2倍に形成されているので、破砕ガラス粒子が突出部15に乗り上げたりしながら管体5の内部で複雑な転動運動を行い、製造されるガラス粒の形状を変化のある不定形状にすることができる。
(10)螺状突条からなる突出部15が複数条形成されているので、管体5内における破砕ガラス粒子の転動運動をより複雑にして、製造されるガラス粒の形状を変化のある不定形状にすることができる。
(11)螺状突条からなる突出部15のねじれ角αが30〜50°に形成されているので、破砕ガラス粒子の排出口9への推進力と螺状突条に乗り上げることによる複雑な転動運動とを両立させ、破砕ガラス粒子が管体5内で不必要に滞留するのを防止するとともに、複雑な転動運動によってガラス粒の形状に変化を付けることができる。
(12)回転駆動装置12の回転数が可変調整可能に形成されているので、加熱装置2の温度、破砕ガラス粒子の粒径等によって回転数を適宜選択して、所望する形状のガラス粒を得ることができ自在性に優れる。
(13)排出口9に篩い10が配設されているので、製品にならないような微細なガラス粒,ガラス粉末,溶着防止剤を選別することができ、さらにガラス粒の粒径毎に用途に応じて篩い分けができ生産性に優れる。
(14)排出口9に、突出部15と交差するように螺状突条からなるじゃま板状の突出部16が配設されているので、篩い10で分級されるガラス粒と溶着防止剤が、ショートパスを起こすのを防止し、各々の篩い網10a,10bで確実に分級させることができる。
【0033】
また、以上のように構成された実施の形態1における破砕ガラス粒子の丸め装置を用いた破砕ガラス粒子の丸め方法によれば、以下のような作用が得られる。
(1)破砕ガラス粒子の表面を溶融させ軟化させ管体内で溶着防止剤とともに転動運動をさせる溶融転動工程と、ガラス粒とガラス粉末とを擦り合わせる擦り合わせ工程と、を備えているので、破砕ガラス粒子が転動運動中に互いに溶着するのを防止して丸みを帯びたガラス粒を製造できるとともに、擦り合わせ工程において、ガラス粒の表面に付着した溶着防止剤を除去することができ、表面が滑らかなガラス粒を製造することができる。
【0034】
なお、本実施の形態においては、複数条の螺状突条からなる突出部15が管体5の内周面に長手方向の全長に渡って連続して配設された場合について説明したが、連続して配設するのではなく、適当な間隔をあけて非連続に配設することもできる。管体5が下り傾斜に配設されているので、この場合も同様の作用が得られる。
【0035】
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2における破砕ガラス粒子の丸め装置の要部断面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、20は実施の形態2における破砕ガラス粒子の丸め装置、21はステンレス鋼等の金属製等で形成され加熱装置2に略水平に貫設され両端部が閉塞された横断面が略半楕円形等に形成された管体、21aは管体21の上面に形成された切欠き部、22は管体21の一端の上面に形成され開口する破砕ガラス粒子の供給口、23は破砕ガラス粒子を一旦受け入れるホッパ、24はホッパ23の下部に接続され先端が供給口22の上方に配設された供給管、25は管体21の端部側の下面に横長の長孔状に形成された排出口、26aは排出口25に配設された篩いのうち供給口22寄りの排出口25の一部に配設された目開きの小さな篩い網、26bは篩い網26aより大きな目開きで形成され篩い網26aの下流側に隣接して供給口25の一部に配設された篩い網である。なお、排出口25の最下流部は篩い網26a,26bが配設されておらずに開口している。27は排出口25の下方に配設され篩い網26a,26bの幅で区画された箱状のガラス粒回収部、27aは篩い網26a,26bで各々分級されたガラス粒、28は両端部が管体21の両端部を貫通し管体21の長手方向と略平行に貫設された軸体、29は管体21内の軸体28に沿って全長に渡って配設され外縁が管体21の少なくとも下側の内周面と摺接する螺状羽根、30は軸体28の一端部に接続され軸体28を回転軸の回りに回転駆動させる回転駆動装置、31は軸体28の他端側を軸支する軸体軸支部材である。
【0036】
以上のように構成された実施の形態2における破砕ガラス粒子の丸め装置を用いた破砕ガラス粒子の丸め方法を、図面を参照しながら以下説明する。
加熱装置2を所定の温度に昇温し、管体21の周囲がガラス軟化点以上ガラス軟化点より200℃高い温度以下に昇温されたら、回転駆動装置30を駆動して、例えば1〜30rpmの回転数で軸体28を所定の方向に回転させる。
次に、所定粒度に調整された破砕ガラス粒子を水酸化アルミニウム粉末等の溶着防止剤とともにホッパ23に入れ、供給管24を介して供給口22から管体21内へ供給する。管体21内へ供給された破砕ガラス粒子は、軸体28の回転に伴う螺状羽根29の回転運動によって、供給口22から排出口25に向かう推進力が与えられ管体21の下側の内周面を転動されるので、表面から軟化されエッジ部が丸みを帯びたガラス粒が製造され、排出口25から連続的に排出される。
なお、排出口25では、始めに、篩い網26aの目開きより小さな径のガラス粒と溶着防止剤が、篩い網26a及び排出口25を通ってガラス粒回収部27に回収される。次に、篩い網26aの目開きより大きく篩い網26bの目開きより小さな径のガラス粒が、篩い網26b及び排出口25を通ってガラス粒回収部27に回収される。最後に、篩い網26bの目開きより大きな径のガラス粒が排出口25を通ってガラス粒回収部27に回収される。
【0037】
以上のように、実施の形態2における破砕ガラス粒子の丸め装置は構成されているので、実施の形態1に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)回転駆動装置30で螺状羽根29を有する軸体28を回転軸の回りに回転させることで、管体21内に供給された破砕ガラス粒子は、加熱装置2によって加熱されて表面から軟化され、さらに回転する螺状羽根29で供給口22から排出口25に向かう推進力が与えられるので、管体21の内部で転動運動をすることで丸みを帯びたガラス粒が製造され、製造されたガラス粒を排出口25から連続的に排出させることができる。
(2)管体21の上面に切欠き部21aが形成されているので、加熱装置2の輻射熱を管体21の上面に遮られることなく直接利用することができ、加熱装置2の温度を低く設定することができ省エネルギー性に優れる。
【0038】
なお、切欠き部21aを管体21の上面に形成しなくてもよい。この場合は、管体21の機械的強度を高め耐久性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、破砕ガラス粒子の表面を溶融させてガラス粒を製造する破砕ガラス粒子の丸め装置及び破砕ガラス粒子の丸め方法に関し、破砕ガラス粒子の径の大きなものから小径のものまで簡単な条件設定を行うだけでエッジを丸めたガラス粒を製造することができ操作性と自在性に優れ、また表面に細かな擦過傷が曇りガラス状に形成された再帰反射性に乏しくアンカー効果を有する球状乃至は不定形状のガラス粒を製造することができ、遊歩道その他の道路の舗装、舗装ブロック、外装ボードその他の建材等の原料や人工砂利等として広く用いることができるとともに、舗装面や建材表面等から抜け落ち難い付加価値の高いガラス粒を製造することができ廃棄資源の再利用性に優れ、さらにガラス粒を連続的に製造することができ生産性に優れるとともにコンパクト化が容易な破砕ガラス粒子の丸め装置を提供でき、また、破砕ガラス粒子が互いに溶着するのを防止できるとともに、表面が滑らかなガラス粒を製造できる破砕ガラス粒子の丸め方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施の形態1における破砕ガラス粒子の丸め装置の斜視図
【図2】実施の形態1における破砕ガラス粒子の丸め装置の要部断面図
【図3】(a)実施の形態1における破砕ガラス粒子の丸め装置の管体の一部の縦断面図 (b)図3(a)のA−A線における断面図
【図4】実施の形態1における破砕ガラス粒子の丸め装置の排出口の要部正面図
【図5】実施の形態2における破砕ガラス粒子の丸め装置の要部断面図
【符号の説明】
【0041】
1 破砕ガラス粒子の丸め装置
2 加熱装置
3 貫通孔
4 発熱体
5 管体
5a,5b,5c 分割管
5d フランジ
5e 横桟
6 供給口
7 ホッパ
8 供給管
9 排出口
10 篩い
10a,10b 篩い網
11 閉塞部材
11a ガラス粒回収部
11b ガラス粒
12 回転駆動装置
13 管体受けローラ
14 管体受けローラ
15 突出部
20 破砕ガラス粒子の丸め装置
21 管体
21a 切欠き部
22 供給口
23 ホッパ
24 供給管
25 排出口
26a,26b 篩い網
27 ガラス粒回収部
27a ガラス粒
28 軸体
29 螺状羽根
30 回転駆動装置
31 軸体軸支部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕ガラス粒子のガラス軟化点以上ガラス軟化点より200℃高い温度以下に昇温される加熱装置と、前記加熱装置に貫設され一端側に前記破砕ガラス粒子の供給口が形成され他端側に排出口が形成された管体と、前記管体の内周面に配設固定された突出部と、前記突出部が配設された前記管体を回転させる回転駆動装置と、を備えていることを特徴とする破砕ガラス粒子の丸め装置。
【請求項2】
前記突出部に代えて、前記管体の内部に配設された螺状羽根を有する軸体を備え、前記回転駆動装置が、前記軸体を回転させることを特徴とする請求項1に記載の破砕ガラス粒子の丸め装置。
【請求項3】
前記突出部が、前記管体の内周面に配設固定された1乃至複数の螺状突条に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の破砕ガラス粒子の丸め装置。
【請求項4】
前記排出口に、篩いが配設されていることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の破砕ガラス粒子の丸め装置。
【請求項5】
ガラス軟化点以上ガラス軟化点より200℃高い温度以下に昇温された管体の内面で破砕ガラス粒子を溶着防止剤とともに転動させ前記破砕ガラス粒子の表面を溶融軟化させて丸みをつけたガラス粒を得る溶融転動工程と、前記溶融転動工程で得られた前記ガラス粒をガラス粉末と擦り合わせ前記ガラス粒の表面に付着した前記溶着防止剤を除去する擦り合わせ工程と、を備えていることを特徴とする破砕ガラス粒子の丸め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−306642(P2006−306642A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−128751(P2005−128751)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(596172451)株式会社トヨシステムプラント (5)
【Fターム(参考)】