説明

硬化型接着剤を内蔵した粘着ラベル

【課題】従来の粘着ラベルと同程度の簡便さで貼付でき、被着物から剥がれ落ちない粘着ラベルを提供する。
【解決手段】粘着ラベル100は表面層3と粘着層5と離型紙7から形成され、粘着層5は、粘着剤9と、一液湿気硬化型の接着剤11とを有する。離型紙7を粘着層5より剥がし、被着物に貼付すると、表面層3は粘着剤9により被着物に固定される。その後、接着剤11が空気中の水分(図示せず)と、粘着層5中で反応し硬化することで、粘着ラベル100は接着作用により被着物に強固に固定され、剥がれ落ちることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着物から剥がれ落ちにくい粘着ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着ラベルは粘着層の粘着剤により被着物に固定される。これはICタグラベルにおいても同様である。(例えば、特許文献1図7参照)
粘着剤は粘着ラベルを一時的に被着物に固定するのは可能であるが、時間の経過により粘着力は弱くなる。たとえば、ICタグラベルを箱に粘着貼付して使用する場合、この箱が一回のみ使用される間には粘着力は維持され、ICタグラベルが剥がれ落ちることは少なかった。しかし、近年の環境意識の高まりから、箱を使い捨てせずに再利用することが多くなり、時間の経過により粘着力が低下したICタグラベルが、再利用した際に剥がれ落ちることがあった。
【0003】
そのため、ICタグラベルが剥がれ落ちないように、箱に固定する必要がある。それには射出成型で一体化する方法や、一度貼付したICタグラベルの上から硬化型接着剤を塗布して固定する方法などが行われていた。
【0004】
一方、さまざまな物質をマイクロカプセル化し、利用することは広く行われており、香料をマイクロカプセル化し、そのマイクロカプセルをスクラッチカードに使用し、カードの真偽判定に利用することが行われている。(例えば、特許文献2図1参照)
【0005】
【特許文献1】特開2007−140904号公報
【特許文献2】特開2001−47777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のICタグラベルの箱への固定方法では、コストが高い、取り付け方法が煩雑であるなどの問題点があった。
【0007】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、従来の粘着ラベルと同程度の簡便さで貼付でき、剥がれ落ちにくい粘着ラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、第1の発明は表面層と粘着層と離型紙が積層され、離型紙を剥離して粘着層によって表面層を被着物に固定する粘着ラベルにおいて、前記粘着層は、粘着剤と、一液湿気硬化型の接着剤とを有することを特徴とする粘着ラベルである。
【0009】
接着剤はマイクロカプセル化された、イソシアネート基を有する変性ウレタンポリマー樹脂であることが望ましい。
粘着層と表面層の間にICタグのインレットが設けてもよく、インレットおよび表面層が樹脂にモールドされていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る粘着ラベルは、貼付して必要により加圧するという簡便な作業を行うだけで、被着物に強固に固定され、剥がれ落ちにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、第1の実施形態に係る、一液湿気硬化型の接着剤11を有する粘着ラベル100を示す図である。表面層3の下には粘着層5があり、使用前の粘着層5を保護する離型紙7が設けられている。粘着層5は、粘着剤9と、一液湿気硬化型の接着剤11を有している。
【0013】
使用する材料について説明する。
表面層3としては、樹脂フィルムや紙基材を用いることができる。樹脂フィルムとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PET‐G(テレフタル酸‐シクロヘキサンジメタノール‐エチレングリコール共重合体)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニレンサルフイド)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体)、ポリアクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリウレタンなどの素材が使用される。また、紙基材としては、上質紙、コート紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、ラテックスやメラミン含浸紙などが使用できる。特に、表面に印刷やプリンター印字する場合は、上質紙、コート紙の紙基材が特に好ましい。
【0014】
離型紙7としては特に限定されるものではないが、グラシン紙などが用いられる。
【0015】
本明細書で粘着剤という場合は、徐々に粘度が顕著に上昇することなく、いつまでも中間的なタック状態を保つものを言うものとする。また、本明細書で接着剤という場合は、貼付直後は粘度の低い液体であるが、貼付後に反応により硬化するものをいう。
【0016】
粘着剤9としては、ポリアクリル酸エステル、ゴム系粘着剤、シリコーン粘着剤、ポリ塩化ビニルなどの各種材料を使用する。
【0017】
接着剤11としては、一液湿気硬化型の接着剤であれば特に限定されないが、好ましくは、イソシアネート基を有する変性ウレタンポリマー樹脂である。
【0018】
イソシアネート基を有する変性ポリウレタンポリマー樹脂は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有する。イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーは、水酸基(OH)を2個以上有するポリオール化合物とイソシアネート基(NCO)を2個以上有するポリイソシアネート化合物とをイソシアネート基が過剰となるように、即ちNCO/OH当量比が、1より大となるように反応させることにより得られる。
【0019】
ポリオール化合物とは、炭化水素の複数個の水素を水酸基で置換したアルコール類の総称であり、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、及びこれらの混合ポリオール等を挙げることができる。
【0020】
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタン等の2価アルコール;グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の多価アルコール;エチレンジアミン、芳香族ジアミンなどのジアミン類;ソルビトール等の糖類の1種または2種以上に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの1種または2種以上を付加して得られるポリオール;ポリオキシテトラメチレンオキサイド等を挙げることができる。
【0021】
ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、あるいはその他の低分子ポリオールの1種または2種以上と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、あるいはその他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸の1種または2種以上との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトン等の開環重合体等を挙げることができる。
【0022】
その他のポリオールとしては、主鎖が炭素−炭素結合よりなるポリオール、例えば、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素添加されたポリブタジエンポリオール等や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の低分子ポリオールを好適に挙げることができる。これらのポリオールは、単独でも2種以上併用してもよい。
【0023】
ポリイソシアネート化合物としては、通常のポリウレタン樹脂の製造に用いられる種々のものがある。具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネートおよびこれらの変性品、1,5−ナフタレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
図1を用いて、第1の実施の形態に係る粘着ラベル100の使用方法を説明する。
離型紙7を粘着層5より剥がし、粘着ラベル100を被着物に貼付する。粘着層5中の粘着剤9の粘着作用により表面層3が被着物に固定される。その後、時間経過により、粘着層5が有する一液湿気硬化型の接着剤11と、空気中の水分(図示せず。以下同様。)が粘着層5中で反応して硬化する。硬化した接着剤11の接着作用により表面層3は、強固に被着物に固定される。
【0025】
第1の実施の形態によれば、貼付という簡便な作業を行うだけで、粘着ラベル100は接着剤11により被着物に強固に接着され、箱を再利用しても剥がれることは無い。
【0026】
従来の粘着ラベルはプラスチック製品上では十分に固定することができず、剥がれやすかった。しかし、粘着ラベル100は、接着作用によりプラスチック製品にも強固に固定することが可能である。耐久性の低い紙製のダンボール箱だけでなく、耐久性の高いプラスチック製の箱にも粘着ラベルを貼付することができ、箱を再利用しやすくなる。
【0027】
また、粘着ラベル100は、貼付直後は粘着作用のみにより固定されているために、接着剤11が硬化するまでの間、張り直しや位置の微調整が可能である。その後、最適な貼り付け位置において、接着剤11が硬化し、接着作用により粘着ラベル100を強固に固定することが可能である。つまり、粘着ラベル100は、貼付初期は張り直し可能ながら、貼付後には強固に固定される
【0028】
次に、第2の実施形態について説明する。
図2は、第2の実施形態に係る、一液湿気硬化型の接着剤のマイクロカプセル15を有する粘着ラベル200を示す図である。以下の実施形態で、第1の実施形態に係る粘着ラベル100と同一の様態を果たす要素には同一の番号を付し、重複した説明は避ける。表面層3の下には粘着層13があり、使用前の粘着層13を保護する離型紙7が設けられている。粘着層13は、粘着剤9と、一液湿気硬化型の接着剤のマイクロカプセル15を有している。
【0029】
図3は接着剤のマイクロカプセル15の構成を示し、接着剤のマイクロカプセル15は、一液湿気硬化型の接着剤12が、マイクロカプセルの壁17によりマイクロカプセル化したものである。マイクロカプセル化することにより、接着剤12は外界との接触が抑えられ反応しない。圧力によるマイクロカプセルの壁17の破壊や、マイクロカプセル15の除放性により、接着剤12はマイクロカプセル15より放出され、粘着層13中で空気中の水分と反応し硬化する。除放性は、接着剤12が壁17を浸透して染み出すか、反応により壁17が破れることにより生じる。
【0030】
接着剤12としては、接着剤11に用いるものと同様のものが使用される。
【0031】
図3のような形状のマイクロカプセルだけでなく、壁17が球内部にも存在してもよく、形状は球形でなくてもよい。また、壁17の材料により、マイクロカプセル15の破壊強度や、除放性は調節できる。
【0032】
マイクロカプセル化は、真空蒸着法、静電合体法、噴霧造粒法、気中懸濁法等の物理的・機械的手法による方法や、界面重合法、in‐situ重合法、コンプレックスコアセルベーション法、有機溶剤系からの相離法、液中乾燥によるマイクロカプセル化法、融解分散冷却法によるマイクロカプセル化法、液中硬化被覆マイクロカプセル化法等の物理化学方法及び化学的方法が挙げられる。
【0033】
上記のマイクロカプセル化において、物理的・機械的手法による方法では、壁膜材として、でん粉、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等の水溶性物質、セルロースアセテート、エチルセルロース、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリエチレン、ニトロセルロース、シリコーン等の非水溶性物質、ステアリン酸、パルミチン酸、グリセリルステアレート等のワックス類等を用いてマイクロカプセル化を行う。
【0034】
また、物理化学的方法及び化学的方法では、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスルフォンアミド、エポキシ化合物、ポリスンフォネート、ポリカーボネート、ポリオール、ポリイソシアナート、ポリアクリル酸、アクリレート化合物、ポリアミン、ポリサルファイド、尿素、ゼラチン、ゴム、エチルセルロース、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸塩、ワックス、脂肪酸、ポリエチレン、ポリビニルアルコール等を用いてマイクロカプセル化を行う。
【0035】
マイクロカプセル15の破壊強度が、200N/cmから1000N/cmの範囲であれば、粘着ラベル100の製造中に破壊されないが、貼付後の加圧により破壊され、好ましい。また、直径が100nmから100μmの範囲であれば、マイクロカプセル15の大きさを粘着層13の厚み以下にでき、マイクロカプセル15が表面層3の粘着や接着を妨げることは無く、好ましい。
【0036】
図2を用いて、第2の実施の形態に係る粘着ラベル200の使用方法を説明する。
離型紙7を粘着層5より剥がし、粘着ラベル200を被着物に貼付する。粘着層13中の粘着剤9の粘着作用により表面層3が被着物に固定される。その後、ローラーでの加圧や時間経過により、接着剤のマイクロカプセル15から接着剤12が放出され、空気中の水分と粘着層13中で反応して硬化する。硬化した接着剤12の接着作用により表面層3は、強固に被着物に固定される。
【0037】
第2の実施の形態によれば、貼付するという簡便な作業を行うだけで、粘着ラベル200は接着剤12により被着物に強固に接着され、箱を再利用しても剥がれることは無い。また、接着剤12をマイクロカプセル化することで、粘着ラベル200は、保管中に空気中の水分と接着剤12が反応することを完全に防ぐことができ、粘着ラベル200は粘着ラベル100よりも保管安定性が高い。
【0038】
次に第3の実施形態に係る粘着ラベル300について説明する。
図4は、第3の実施形態に係る、一液湿気硬化型の接着剤11を有し、インレット25を有する粘着ラベル300を示す図である。離型紙7と粘着層5の上にICタグのインレット25が設けられ、インレット25の上に粘着層27と表面層3が設けられている。粘着層5は、粘着剤9と、一液湿気硬化型の接着剤11を有している。
【0039】
インレット25は、ベースフィルム19と、その上に配設されたアンテナパターン21と、アンテナパターン21に接続されたICチップ23とで構成される。ICチップ23は、制御部、情報記憶のためのメモリ部、非接触型IC無線通信部などを備えるものである。
【0040】
ベースフィルム19としては、表面層3に用いることができる樹脂フィルムと同様のものが使用される。
【0041】
図4を用いて、第3の実施の形態に係る粘着ラベル300の使用方法を説明する。
離型紙7を粘着層5より剥がし、粘着ラベル300を被着物に貼付する。粘着層5中の粘着剤9の粘着作用によりインレット25および表面層3が被着物に固定される。その後、接着剤11が、空気中の水分と粘着層5中で反応して硬化する。硬化した接着剤11の接着作用によりインレット25および表面層3は、強固に被着物に固定される。
【0042】
第3の実施の形態によれば、貼付するという簡便な作業を行うだけで、粘着ラベル300は接着剤11により被着物に強固に接着され、箱を再利用しても剥がれることは無い。空港や宅配などの物流分野、工場内での工程管理において、粘着ラベル300は箱から剥がれ落ちることは無く、そのために箱は再利用が可能になり、従来のICタグラベルに比べてコストの面でも環境負荷の面でも有利である。
【0043】
次に第4の実施形態に係る粘着ラベル400について説明する。
図5は、第4の実施形態に係る、一液湿気硬化型の接着剤のマイクロカプセル15を有し、インレット25を有する粘着ラベル400を示す図である。離型紙7と粘着層13の上にICタグのインレット25が設けられ、インレット25の上に粘着層27と表面層3が設けられている。粘着層13は、粘着剤9と、接着剤のマイクロカプセル15を有している。
【0044】
図5を用いて、第4の実施の形態に係る粘着ラベル400の使用方法を説明する。
離型紙7を粘着層5より剥がし、粘着ラベル400を被着物に貼付する。粘着層5中の粘着剤9の粘着作用によりインレット25および表面層3が被着物に固定される。その後、ローラーでの加圧や時間経過により、接着剤のマイクロカプセル15から接着剤12が放出され、空気中の水分と粘着層13中で反応して硬化する。硬化した接着剤12の接着作用によりインレット25および表面層3は、強固に被着物に固定される。
【0045】
第4の実施の形態によれば、貼付するという簡便な作業を行うだけで、粘着ラベル400は接着剤12により被着物に強固に接着され、箱を再利用しても剥がれることは無い。接着剤12をマイクロカプセル化することで、粘着ラベル400は粘着ラベル300よりも保管安定性が高い。さらに、粘着ラベル400は箱から剥がれ落ちることは無く、そのために箱は再利用が可能になり、従来のICタグラベルに比べてコストの面でも環境負荷の面でも有利である。
【0046】
次に第5の実施形態に係る粘着ラベル500について説明する。
図6は、第5の実施形態に係る、一液湿気硬化型の接着剤11を有し、インレット25と表面層3が樹脂29にモールドされている粘着ラベル500を示す図である。インレット25、粘着層27、表面層3は、樹脂29にモールドされ一体化されている。樹脂29には粘着層5と離型紙7が設けられている。粘着層5は、粘着剤9と、一液湿気硬化型の接着剤11を有している。
【0047】
樹脂29として、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体)などの汎用樹脂や、PC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)などの汎用エンプラ(エンジニアリング改質プラスチック)、LCP(液晶ポリマー)やPPS(ポリフェニレンサルフイド)などの耐熱性に優れたスーパーエンプラなどが使用される。また、柔軟性が必要な場合には、樹脂29として、オレフィン系エラストマー(TPO)、塩ビ系エラストマー(TPVC)、スチレン系エラストマー(TBC)、ウレタン系エラストマー(TPU)、ポリエステル系エラストマー(TPEE)、ポリアミド系エラストマー(TPAE)、フッ素系エラストマー、シンジオタクチック1・2PB系エラストマー、塩素系エチレンコポリマー架橋ポリマーアロイ、塩素系ポリエチレン(CPE)、エステル・ハロゲン系ポリマーアロイ型エラストマーや、天然ゴム(cis‐ポリイソプレン)、合成ゴム(ポリブタジエン系、ブタジエン・アクリロニトリル系、クロロプレン系)や、シリコン樹脂などを使用してもよい。
【0048】
図6を用いて、第5の実施の形態に係る粘着ラベル500の使用方法を説明する。
離型紙7を粘着層5より剥がし、粘着ラベル500を被着物に貼付する。粘着層5中の粘着剤9の粘着作用により樹脂29が被着物に固定される。その後、接着剤11が、空気中の水分と粘着層5中で反応して硬化する。硬化した接着剤11の接着作用により樹脂29は、強固に被着物に固定される。
【0049】
第5の実施の形態によれば、貼付するという簡便な作業を行うだけで、粘着ラベル500は接着剤11により被着物に強固に接着され、箱を再利用しても剥がれることは無い。ICチップ23が樹脂29にモールドされているため、耐衝撃性、耐候性、耐水性、耐溶媒性、防汚性などを高めることができる。粘着ラベル500がプラスチック製の箱に貼付された場合には、非常に耐久性が高い、ICタグラベルが設けられた箱となる。
【0050】
次に第6の実施形態に係る粘着ラベル600について説明する。
図7は、第6の実施形態に係る、一液湿気硬化型の接着剤のマイクロカプセル15を有し、インレット25と表面層3が樹脂29にモールドされている粘着ラベル600を示す図である。インレット25、粘着層27、表面層3は、樹脂29にモールドされ一体化されている。樹脂29には粘着層13と離型紙7が設けられている。粘着層13は、粘着剤9と、接着剤のマイクロカプセル15を有している。
【0051】
図7を用いて、第6の実施の形態に係る粘着ラベル600の使用方法を説明する。
離型紙7を粘着層5より剥がし、粘着ラベル600を被着物に貼付する。粘着層13中の粘着剤9の粘着作用により樹脂29が被着物に固定される。その後、ローラーでの加圧や時間経過により、接着剤のマイクロカプセル15から接着剤12が放出され、空気中の水分と粘着層5中で反応して硬化する。硬化した接着剤12の接着作用により表面層3は、強固に被着物に固定される。
【0052】
第6の実施の形態によれば、貼付するという簡便な作業を行うだけで、粘着ラベル600は接着剤12により被着物に強固に接着され、箱を再利用しても剥がれることは無い。接着剤12をマイクロカプセル化することで、粘着ラベル600は、保管中に空気中の水分と接着剤12が反応することを完全に防ぐことができ、粘着ラベル600は粘着ラベル500よりも保管安定性が高い。さらに、本発明に係るICタグラベルは箱から剥がれ落ちることは無く、そのために箱は再利用が可能になり、従来のICタグラベルに比べてコストの面でも環境負荷の面でも有利である。ICチップ23が樹脂29にモールドされているため、耐衝撃性、耐候性、耐水性、耐溶媒性、防汚性などを高めることができ、粘着ラベル500がプラスチック製の箱に貼付された場合には、非常に耐久性が高い、ICタグラベルが設けられた箱となる。
【0053】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る粘着ラベルの好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しえることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1の実施の形態に係る粘着ラベル100を示す図。
【図2】第2の実施の形態に係る粘着ラベル200を示す図。
【図3】一液湿気硬化型の接着剤のマイクロカプセル15を示す図。
【図4】第3の実施の形態に係る粘着ラベル300を示す図。
【図5】第4の実施の形態に係る粘着ラベル400を示す図。
【図6】第5の実施の形態に係る粘着ラベル500を示す図。
【図7】第6の実施の形態に係る粘着ラベル600を示す図。
【符号の説明】
【0055】
100、200、300、400、500、600………粘着ラベル
3………表面層
5………粘着層
7………離型紙
9………粘着剤
11………接着剤
12………接着剤
13………粘着層
15………接着剤のマイクロカプセル
17………壁
19………ベースフィルム
21………アンテナパターン
23………ICチップ
25………インレット
27………粘着層
29………樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面層と粘着層と離型紙が積層され、離型紙を剥離して粘着層によって表面層を被着物に固定する粘着ラベルにおいて、
前記粘着層は、粘着剤と、一液湿気硬化型の接着剤とを有することを特徴とする粘着ラベル。
【請求項2】
前記接着剤がマイクロカプセルに含まれていることを特徴とする前記請求項1記載の粘着ラベル。
【請求項3】
前記接着剤が、イソシアネート基を有する変性ウレタンポリマー樹脂であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の粘着ラベル。
【請求項4】
前記粘着層と前記表面層の間にICタグのインレットが設けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項3記載の粘着ラベル。
【請求項5】
前記インレットおよび前記表面層が樹脂にモールドされていることを特徴とする請求項4記載の粘着ラベル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−31388(P2009−31388A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192969(P2007−192969)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】