硬化性アクリレート組成物、該組成物の作製方法およびそれから作製される物品
フェニルチオエチルアクリレートと、多官能性(メタ)アクリレートと、硬化剤とを含み、該フェニルチオエチルアクリレートが、約400ppm未満のスズおよび約2重量%未満の対応するフェニルチオエタノールを含む組成物。この組成物は、少なくとも1種の不飽和酸をさらに含み得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性アクリレート被覆組成物に関する。より詳細には、本発明は、硬化性アクリレート被覆組成物、該組成物の作製方法および該組成物を用いて作製される物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術による光度増強フィルムは、通常、ポリエステルフィルム上の高屈折率被膜を含む。おそらくポリエステルの固有の曇り性のために、ポリエステルベースの光度増強フィルムは、ポリカーボネートベースのものより輝度が低い。さらに、光学ディスプレイ向けのこのような光度増強フィルムは、長期の性能を保証するための一連の試験に合格しなければならない。該試験の1つ、すなわち、85℃での1000時間の熱エージングでは、ポリカーボネートフィルム上のフェニルチオエチルアクリレートを含有する被膜配合物を含む光度増強フィルムは、許容できない量の曇りおよび輝度の低下を示す。
【0003】
従って、特に、物品の光度が、重要な用件である用途においては、光学的な光度を保持する、すなわち、過度なヘイズを示さない被覆組成物を提供する必要性が存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、硬化性アクリレート被覆組成物を提供する。該組成物は、
(a)次式I
【0005】
【化1】
【0006】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有するフェニルチオエチルアクリレート(以下、PTEAと略すこともある)であって、約400ppm未満のスズを含み、約2重量%未満の次式II
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有する対応するフェニルチオエタノール(以下、PTEと略すこともある)を含むフェニルチオエチルアクリレートと、
(b)少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと、
(c)少なくとも1種の硬化剤と
を含む。
【0009】
追加の実施形態では、硬化性アクリレート被覆組成物は、少なくとも1種の不飽和酸をさらに含む。不飽和酸は、硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約0.1重量%〜1.0重量%に対応する量で存在し得る。
【0010】
他の一実施形態では、本発明は、硬化性アクリレート被覆組成物を調製するための方法を提供する。該方法は、
混合物を形成するために成分(a)〜(c)をブレンドするステップであって、
(a)が、約400ppm未満のスズと、約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEとを含む,式Iを有するPTEAであり、
(b)が、少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートであり、
(c)が、少なくとも1種の硬化剤であるステップと、
該混合物を加熱することにより均一な組成物を形成するステップと
を含む。
【0011】
一実施形態では、本発明は、式Iを有し、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEを含むPTEAと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと
から誘導される構造単位を含む硬化アクリレート組成物を含む物品を提供する。
【0012】
一態様では、本発明は、
(a)式III、
【0013】
【化3】
【0014】
を有し、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IV
【0015】
【化4】
【0016】
を有する対応するPTEを含むPTEAと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと、
少なくとも1種の硬化剤と
を含む硬化性被覆組成物を提供する。
【0017】
一実施形態では、本発明は、式Iを有し、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEを含むPTEAと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと
から誘導される構造単位を含む硬化アクリレート被覆組成物を提供する。
【0018】
一実施形態では、本発明は、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEを含む、式Iを有するPTEAと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと
から誘導される構造単位を含む、基材上の硬化アクリレート被覆組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、アルバマ州バーミンガムのイノバティブマシン社が製造した特注の被膜用機械を示す。この被膜用機械は、巻かれた未被覆の基材フィルム(10)を有する。未被覆基材フィルムは、ウェブ(12)両端間でほどき、ニップロール(16)と流延ドラム(18)の間を通した。硬化性被覆組成物は、ニップロール(16)と流延ドラム(18)の間に置いた被覆ビーズ(14)として施した。流延ドラム(18)の表面には、その外表面に付設した金属製型枠(20)が装備され、金属製型枠は、表面微細構造を有する。Vバルブ(22)を備えた高強度UVランプを使用することにより硬化性被覆組成物を硬化させた。被覆基材フィルムを、ウェブ(12)両端間で再度巻くことにより、被覆基材フィルム(24)を得た。
【0020】
図2は、被覆した基材フィルム(24)を熱エージングにかけるために使用されるアセンブリーを示す。基材(10)と、微細構造(30)を含む硬化アクリレート被膜とを含む被覆基材フィルムを、ポリカーボネートフィルム(28)で被覆し、ガラス固定具(26)内に組み込んだ。
【0021】
図3〜10は、硬化性アクリレート被覆組成物を被膜として使用した場合の被覆基材フィルム(24)内のヘイズ(34)と85℃での時間で表した経過時間(32)の相関関係を示す。
【0022】
本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明、およびその中に含まれる実施例を参照することによって、本発明は、より容易に理解し得る。以下の明細書および続いての特許請求の範囲では、多数の用語が参照されるが、それらは以下の意味を有するものと定義することにする。
【0023】
文脈中別段の明確な指示のない限り、単数形には複数の指示対象が含まれる。
【0024】
「任意選択」は、続いて記述される事象または状況が起きても起きなくてもよく、その記述には、事象が起きる場合および起きない場合が含まれることを意味する。
【0025】
量に関連して使用される修飾語「約」は、記述された値を含み、文脈に指令される意味を有する(例えば、特定の量を測定するのに伴う誤差の程度が含まれる)。
【0026】
本明細書では、「脂肪族基」という用語は、環状でない直鎖または分枝配列の原子からなる、価数が少なくとも1価である基を指す。該配列は、窒素、硫黄、ケイ素、セレンおよび酸素などのヘテロ原子を含んでもよいし、あるいは、炭素および水素のみからなっていてもよい。脂肪族基は、「置換」でも「非置換」でもよい。置換脂肪族基は、少なくとも1個の置換基を含む脂肪族基と定義される。置換脂肪族基は、脂肪族基上で置換するのに利用可能な位置と同数の置換基を含み得る。脂肪族基上で存在し得る置換基として、限定されるものではないが、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン原子が挙げられる。置換脂肪族基として、トリフルオロメチル;ヘキサフルオロイソプロピリデン;クロロメチル;ジフルオロビニリデン;トリクロロメチル、ブロモメチル、ブロモトリメチレン(例えば、−CH2CHBrCH2−)などが挙げられる。便宜上、「非置換脂肪族基」という用語は、本明細書では、非置換脂肪族基を含む「環状でない直鎖または分枝配列の原子」の一部として広範な官能基を包含するものと定義される。非置換脂肪族基の例として、アリル、アミノカルボニル(すなわち、−CONH2)、カルボニル、ジシアノイソプロピリデン(すなわち、−CH2C(CN)2CH2−)、メチル(すなわち、−CH3)、メチレン(すなわち、−CH2−)、エチル、エチレン、ホルミル、ヘキシル、ヘキサメチレン、ヒドロキシメチル(すなわち、−CH2OH−)、メルカプトメチル(すなわち、−CH2SH)、メチルチオ(すなわち、−SCH3)、メチルチオメチル(すなわち、−CH2SCH3)、メトキシ、メトキシカルボニル、ニトロメチル(すなわち、−CH2NO2)、チオカルボニル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリメチルオキシシリプロピル、ビニル、ビニリデンなどが挙げられる。脂肪族基は、少なくとも1個の炭素原子を含むものとして定義される。C1〜C10脂肪族基は、少なくとも1個で、10個以下の炭素原子を含む、置換脂肪族基および非置換脂肪族基が挙げられる。
【0027】
本明細書では、「芳香族基」という用語は、少なくとも1個の芳香族基を含む価数が少なくとも1価である原子配列を指す。少なくとも1個の芳香族基を含む価数が少なくとも1価である原子配列は、窒素、硫黄、セレン、ケイ素および酸素などのヘテロ原子を含んでもよいか、あるいは、炭素および水素のみを含んでもよい。本明細書では、「芳香族基」という用語には、限定されるものではないが、フェニル、ピリジル、フラニル、チエニル、ナフチル、フェニレンおよびビフェニル基が含まれる。述べたように、芳香族基は、少なくとも1個の芳香族基を含む。芳香族基は、必ず、4n+2個の「非局在化」電子を有する環状構造であり、「n」は1に等しいかまたは1を超える整数である。例として、フェニル基(n=1)、チエニル基(n=1)、フラニル基(n=1)、ナフチル基(n=2)、アズレニル基(n=2)、アントラセニル基(n=3)などがある。芳香族基は、非芳香族成分を含んでもよい。例えば、ベンジル基は、フェニル環(芳香族基)とメチレン基(非芳香族成分)とを含む芳香族基である。同様に、テトラヒドロナフチル基は、非芳香族成分−(CH2)4−と縮合した芳香族基(C6H3)を含む芳香族基である。芳香族基は、「置換」でも「非置換」でもよい。置換芳香族基は、少なくとも1個の置換基を含む芳香族基と定義される。置換芳香族基は、芳香族基上で置換するのに利用可能な位置と同数の置換基を含み得る。芳香族基上で存在し得る置換基として、限定されるものではないが、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン原子が挙げられる。置換芳香族基としてトリフルオロメチルフェニル、ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(4−フェニルオキシ)(すなわち、−OPhC(CF3)2PhO−)、クロロメチルフェニル;3−トリフルオロビニル−2−チエニル;3−トリクロロメチルフェニル(すなわち、3−CCl3Ph−)、ブロモプロピルフェニル(すなわち、BrCH2CH2CH2Ph−)などが挙げられる。便宜上、「非置換芳香族基」という用語は、本明細書では、「少なくとも1個の非置換芳香族基を含む価数が少なくとも1価である原子配列」の一部として広範な官能基を包含するものと定義される。非置換芳香族基の例として、4−アリルオキシフェノキシ、アミノフェニル(すなわち、H2NPh−)、アミノカルボニルフェニル(すなわち、NH2COPh−)、4−ベンゾイルフェニル、ジシアノイソプロピリデンビス(4−フェニルオキシ)(すなわち、−OPhC(CN)2PhO−)、3−メチルフェニル、メチレンビス(4−フェニルオキシ)(すなわち、−OPhCH2PhO−)、エチルフェニル、フェニルエテニル、3−ホルミル−2−チエニル、2−ヘキシル−5−フラニル;ヘキサメチレン−1,6−ビス(4−フェニルオキシ)(すなわち、−OPh(CH2)6PhO−);4−ヒドロキシメチルフェニル(すなわち、4−HOCH2Ph−)、4−メルカプトメチルフェニル(すなわち、4−HSCH2Ph−)、4−メチルチオフェニル(すなわち、4−CH3SPh−)、メトキシフェニル、メトキシカルボニルフェニルオキシ(例えば、メチルサリチル)、ニトロメチルフェニル(すなわち、−PhCH2NO2)、トリメチルシリルフェニル、t−ブチルジメチルシリルフェニル、ビニルフェニル、ビニリデンビス(フェニル)などが挙げられる。「C3〜C10芳香族基」という用語には、少なくとも3個、10個以下の炭素原子を含む、置換芳香族基および非置換芳香族基が含まれる。芳香族基1−イミダゾリル(C3H2N2)は、C3芳香族基を表す。ベンジル基(C7H8−)は、C7芳香族基を表す。
【0028】
本明細書では、「脂環式基」という用語は、価数が少なくとも1価であり、環式であるが、芳香族でない原子配列を含む基を指す。本明細書で定義したように、「脂環式基」は、芳香族基を含まない。「脂環式基」は、1つまたは複数の非環式成分を含み得る。例えば、シクロヘキシルメチル基(C6H11CH2−)は、シクロヘキシル環(環式であるが、芳香族でない原子配列)と、メチレン基(非環式成分)とを含む脂環式基である。脂環式基は、窒素、硫黄、セレン、ケイ素および酸素などのヘテロ原子を含んでもよいか、あるいは、炭素および水素のみを含んでもよい。脂環式基は、「置換」でも「非置換」でもよい。置換脂環式基は、少なくとも1個の置換基を含む脂環式基と定義される。置換脂環式基は、脂環式基上で置換するのに利用可能な位置と同数の置換基を含み得る。脂環式基上で存在し得る置換基として、限定されるものではないが、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン原子が挙げられる。置換脂環式基として、トリフルオロメチルシクロヘキシル、ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルオキシ)(すなわち、−OC6H10C(CF3)2C6H10O−)、クロロメチルシクロヘキシル;3−トリフルオロビニル−2−シクロプロピル;3−トリクロロメチルシクロヘキシル(すなわち、3−CCl3C6H10−)、ブロモプロピルシクロヘキシル(すなわち、BrCH2CH2CH2C6H10−)などが挙げられる。便宜上、「非置換脂環式基」という用語は、本明細書では、広範な官能基を包含するとして定義される。脂環式基の例として、4−アリルオキシシクロヘキシル、アミノシクロヘキシル(すなわち、H2NC6H10−)、アミノカルボニルシクロペンチル(すなわち、NH2COC5H8−)、4−アセチルオキシシクロヘキシル、ジシアノイソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルオキシ)(すなわち、−OC6H10C(CN)2C6H10O−)、3−メチルシクロヘキシル、メチレンビス(4−シクロヘキシルオキシ)(すなわち、−OC6H10CH2C6H10O−)、エチルシクロブチル、シクロプロピルエテニル、3−ホルミル−2−テトラヒドロフラニル、2−ヘキシル−5−テトラヒドロフラニル;ヘキサメチレン−1,6−ビス(4−シクロヘキシルオキシ)(すなわち、−OC6H10(CH2)6C6H10O−);4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(すなわち、4−HOCH2C6H10−)、4−メルカプトメチルシクロヘキシル(すなわち、4−HSCH2C6H10−)、4−メチルチオシクロヘキシル(すなわち、4−CH3SC6H10−)、4−メトキシシクロヘキシル、2−メトキシカルボニルシクロヘキシルオキシ)(2−CH3OCOC6H10O−)、ニトロメチルシクロヘキシル(すなわち、NO2CH2C6H10−)、トリメチルシリルシクロヘキシル、t−ブチルジメチルシリルシクロペンチル、4−トリメトキシシリルエチルシクロヘキシル(例えば、(CH3O)3SiCH2CH2C6H10−)、ビニルシクロヘキセニル、ビニリデンビス(シクロヘキシル)などが挙げられる。「C3〜C10脂環式基」という用語には、少なくとも3個、10個以下の炭素原子を含む置換脂環式基および非置換脂環式基が含まれる。脂環式基、2−テトラヒドロフラニル(C4H7O−)は、C4脂環式基を表す。シクロヘキシルメチル基(C6H11CH2−)は、C7脂環式基を表す。
【0029】
前述したように、本発明は一般に、硬化性アクリレート被覆組成物に関する。本発明の硬化性アクリレート被覆組成物は、該組成物を含む物品において曇りが形成される傾向を低減することが発見された。約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEを含む、式Iを有するPTEAを使用すると、硬化性アクリレート被覆組成物から調製される物品における曇りの発達が著しく低減されることが発見された。この硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約0.1重量%〜約1.0重量%に対応する量の不飽和酸を該組成物中に含めると、硬化アクリレート被覆組成物を含む物品における曇りの発現が著しく低減されることが発見された。本発明の硬化性アクリレート被覆組成物は、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEを含む式IのPTEAと、少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと、少なくとも1種の硬化剤とをブレンドすることによって得られる。
【0030】
本発明による硬化性アクリレート被覆組成物は、次式I
【0031】
【化5】
【0032】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、R2は、C1〜C10脂肪族基であり、「n」は、0〜5の値である)によって表され、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式II
【0033】
【化6】
【0034】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有する対応するPTEを含むPTEAを含む。
【0035】
一実施形態では、PTEAは、式III
【0036】
【化7】
【0037】
によって表され、該PTEAは、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IV
【0038】
【化8】
【0039】
を有する対応するPTEを含む。
【0040】
本発明の一実施形態では、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEを含む式IのPTEAは、硬化性アクリレート被覆組成物中に、該組成物の全重量に対して約20重量%〜約60重量%に対応する量で存在する。他の実施形態では、それは、硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約30重量%〜約50重量%に対応する量で存在する。好ましい実施形態では、約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEを含む式IのPTEAは、約35重量%〜約45重量%に対応する量で存在する。
【0041】
硬化性アクリレート被覆組成物において用いる多官能性(メタ)アクリレートは、通常、式V
【0042】
【化9】
【0043】
(式中、R3は、水素またはC1〜C10脂肪族基であり、X1は、OまたはSであり、R4は、C1〜C20脂肪族基、C3〜C30芳香族基、およびC3〜C20脂環式基からなる群から選択され、nは、2〜4の値を有する整数である)の少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートを含む。多様な実施形態では、R4は、アルキレンおよびヒドロキシアルキレンによる二置換ビスフェノールAまたはビスフェノールFエーテル、好ましくはビスフェノールAおよびビスフェノールFの臭素化形などの基を含み得る。好ましい実施形態では、R4は、式VI
【0044】
【化10】
【0045】
(式中、Qは、−C(CH3)2、−CH2−、−C(O)−、−S−、−S(O)−または−S(O)2−であり、Yは、C1〜C6脂肪族基であり、bは、1〜10の値を有する整数であり、mは、0〜4の値を有する整数であり、dは、1〜3の値を有する整数である)を有する。
【0046】
多官能性(メタ)アクリレートは、アクリル酸またはメタクリル酸をジエポキシドと反応させることによって生成する一量体性、二量体性および三量体性化合物を含み得る。通常、用いるジエポキシドは、ビスフェノールAジグリシジルエーテル;ビスフェノールFジグリシジルエーテル;テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル;テトラブロモビスフェノールFジグリシジルエーテル;1,3−ビス−{4−[1−メチル−1−(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−エチル]フェノキシ}−プロパン−2−オール;1,3−ビス−{2,6−ジブロモ−4−[1−(3,5−ジブロモ−4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−1−メチル−エチル]フェノキシ}−プロパン−2−オール等;ならびに上記ジエポキシドの少なくとも1種を含む組合せからなる群から選択される。
【0047】
多官能性(メタ)アクリレート化合物の例として、2,2−ビス(4−(2−(メタ)アクリルオキシエトキシ)フェニル)プロパン;2,2−ビス((4−(メタ)アクリルオキシ)フェニル)プロパン;アクリル酸3−(4−{1−[4−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3,5−ジブロモ−フェニル]−1−メチル−エチル}2,6−ジブロモ−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−プロピルエステル;アクリル酸3−[4−(1−{4−[3−(4−{1−[4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3,5−ジブロモ−フェニル]−1−メチル−エチル}−2,6−ジブロモ−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−プロポキシ]−3,5−ジブロモ−フェニル}−1−メチル−エチル)−2,6−ジブロモ−フェノキシ]−2−ヒドロキシ−プロピルエステル;等、ならびに以上の多官能性(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含む組合せが挙げられる。一実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートは、テトラブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸の反応生成物、すなわち、UCBケミカルズから入手可能な式VIIで表されるRDX51027である。
【0048】
【化11】
【0049】
一実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートは、硬化性アクリレート被覆組成物中に、硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約25〜約75重量%に対応する量で存在する。他の実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートは、硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約30重量%〜約70重量%に対応する量で存在する。好ましい実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートは、硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約55重量%〜約65重量%に対応する量で存在する。
【0050】
一実施形態では、硬化性アクリレート被覆組成物で用いる硬化剤は、それぞれ紫外放射または熱に曝露した場合、硬化性アクリレート被覆組成物の重合を促進するのに有効である、少なくとも1種の光開始剤または少なくとも1種の熱開始剤である。硬化剤として使用するのに適した材料は、米国特許第4576850号、米国特許第6848986号、およびEncyclopedia of Polymer Technologyなどの参考書において確認される。開始剤の例として、有機過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル)、アゾ化合物、キノン、ニトロソ化合物、ハロゲン化アシル、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、イミダゾール、クロロトリアジン、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ジケトン、フェノン、ベンゾインエーテル、ヒドロキシおよびアルコキシアルキルフェニルケトン、チオアルキルフェニルモルホリノアルキルケトンアシルホスフィンオキシド、ならびにそれらの混合物が挙げられる。市販の適切な紫外活性光開始剤の例は、全てチバガイギー社から入手可能な商標名イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア369およびイルガキュア819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド)、BASF社から入手可能な商標名ルシリンTPO−L、およびメルクから入手可能な商標名DAROCUR 1173として販売されている。市販の適切な熱開始剤の例は、全てE.I.デュポンデモニアス社から入手可能な商標名VAZO52、VAZO64およびVAZO 7のアゾ化合物熱開始剤として販売されている。多くの場合において特に有用な硬化剤の例は、市販材料である名称イルガキュア819の光開始剤である。
【0051】
硬化剤は、硬化性アクリレート被覆組成物中に、硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約0.1〜約3.0重量%に対応する量で通常存在する。他の実施形態では、硬化剤は、硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約0.2重量%〜約1.0重量%に対応する量で存在する。好ましい実施形態では、硬化剤は、硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約0.4重量%〜約0.6重量%に対応する量で存在する。
【0052】
一実施形態では、硬化性アクリレート被覆組成物は、少なくとも1種の界面活性剤をさらに含む。本発明の硬化性アクリレート被覆組成物中に存在する少なくとも1種の該界面活性剤(界面活性剤)は、ケイ素含有界面活性剤を通常含む。一実施形態では、硬化性アクリレート被覆組成物において使用されるケイ素含有界面活性剤は、ジメチコンコポリオールを含む。界面活性剤は、硬化被膜が金型表面から離れるのを助けると考えられる。適切な界面活性剤として、ポリアルキレンオキシド改質ポリジメチルシロキサン界面活性剤であるシルウェット(商標)L−77、ポリアルキレンオキシド改質ポリジメチルシロキサン界面活性剤であるシルウェット(商標)L−720、ポリアルキレンオキシド改質ポリジメチルシロキサン界面活性剤であるシルウェット(商標)L−7600、およびポリアルキレンオキシド改質ポリジメチルシロキサン界面活性剤であるシルウェット(商標)L−7602が挙げられ、全て市販されている。一実施形態では、用いる界面活性剤は、シルウェット(商標)L−7602である。
【0053】
界面活性剤は、硬化性アクリレート組成物中に、該組成物の全重量に対して約0.05〜約0.7重量%に対応する量で通常存在する。他の実施形態では、界面活性剤は、該組成物の全重量に対して約0.1重量%〜約0.5重量%に対応する量で存在する。好ましい実施形態では、界面活性剤は、約0.2重量%〜約0.3重量%に対応する量で存在する。
【0054】
他の実施形態では、本発明は、不飽和酸をさらに含む硬化性アクリレート組成物を提供する。一実施形態では、不飽和酸は、次式VIII
【0055】
【化12】
【0056】
(式中R5およびR6は、水素、−C(O)−OH基、C1〜C6脂肪族基、C3〜C20脂環式基、およびC2〜C20芳香族基からなる群から各出現時、独立に選択される)の化合物を含む。適切な不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、メチレンマロン酸、フマール酸、フェニルフマール酸、フェニルチオフマール酸、マレイン酸およびメチレンコハク酸が挙げられる。一実施形態では、用いる酸は、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選択される。好ましい実施形態では、用いる酸は、アクリル酸である。
【0057】
不飽和酸を含む本発明の実施形態では、不飽和酸は、硬化性アクリレート組成物の全重量に対して約0.1〜約1.0重量%に対応する量で通常存在する。好ましい実施形態では、不飽和酸は、硬化性アクリレート組成物の全重量に対して約0.2〜約0.5重量%に対応する量で存在する。
【0058】
硬化性アクリレート被覆組成物は、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外安定剤、色素、着色剤、帯電防止剤および類似物、ならびに以上の添加剤の少なくとも1種を含む組合せからなる群から選択される1つまたは複数の添加剤を、それらが、組成物の重合または最終用途に有害な影響を及ぼさない限り、任意選択でさらに含み得る。特定の添加剤およびその使用量は、過度の実験をすることなく当業者によって選択できる。
【0059】
本発明の硬化性アクリレート被覆組成物は、均一な組成物を生成するための十分な時間有効に混合し、十分に加熱しながらその成分をブレンドすることによって調製し得る。成分に対して有害な影響を及ぼすことなく、該混合物が均一な組成物を形成する温度とは、該混合物をそこまで加熱してもよい温度を指す。例えば、UCB社のRDX51027多官能性(メタ)アクリレート(60重量部(pbw))、400ppmのスズおよび0.16重量%の式IVを有するPTEを含む式IIIを有するPTEA、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア819光開始剤(0.50pbw)、ならびにGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)をブレンドする場合、85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌すると混合物は均一な組成物を形成する。
【0060】
本発明は、硬化性アクリレート被覆組成物、硬化性アクリレート被覆組成物を調製するための方法、硬化性アクリレート被覆組成物から調製される硬化アクリレート被覆組成物、および前記硬化アクリレート被覆組成物を含む物品を提供するものであり、硬化性アクリレート被覆組成物の式Iを有する成分PTEAは、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEを含む。約400ppmを超えるスズでスズ不純物を含有する式Iを有するPTEAは、式Iを有するPTEAを1回または複数回塩基洗浄することによって精製してもよく、これによって存在するスズ量は大きく減少するが、精製を受けた式Iを有するPTEA中に存在する恐れのある式IIを有する対応するPTEの量は、僅かしか増加しない。式Iを有するPTEAは、水性塩基に曝露することによって加水分解すると思われる。式Iを有するPTEAを塩基洗浄するときに用いる条件を慎重に選択すると、式Iを有するPTEAが加水分解して式IIを有する対応するPTEおよび対応する(メタ)アクリル酸になる量が最小になり、式Iを有する精製PTEA中の式IIを有する対応するPTE量は2重量%を超えない。用いる塩基は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよび以上の組合せの水溶液からなる群から一般に選択される。例えば、重炭酸ナトリウムの5重量%溶液を用いて、室温で、2350ppmのスズ、および0.14重量%の式IVを有する対応するPTEを含む式IIIを有するPTEAを一回の塩基洗浄にかけると、400ppmのスズ、および0.16重量%の式IVを有する対応するPTEを含む式IIIを有するPTEAが得られた。
【0061】
本発明は、本発明の硬化性アクリレート被覆組成物から調製される硬化アクリレート被覆組成物を用いて作製される物品をも提供する。硬化性アクリレート被覆組成物から物品を形成する場合、粘性のある混合物であれば穏やかな加熱を行いながら真空などを利用すること、および所望の表面上に流延その他によって組成物のフィルムを形成することによって気泡を除去することがしばしば好ましい。図1を参照して、一実施形態では、放射硬化性アクリレート被覆組成物(14)を未被覆ベースフィルム基材(10)の表面に適用する。組成物(14)は、ベースフィルム基材(10)上に適用してよく、次いで、未硬化組成物被膜を有するベースフィルム基材は、ニップロール(16)、と流延ドラム(18)が画定する圧縮ニップを通過することができる。ここで流延ドラム(18)は微細構造(20)の雌型パターンマスターを有してもよい。未硬化フィルム表面の被覆側に微細構造パターンが確実に刻印されるのに十分なやや高い温度に流延ドラム(18)を維持する。圧縮ニップは、未硬化組成物(14)およびベースフィルム基材(10)に十分な圧力をかけることによって、組成物の被膜厚さを制御し、ベースフィルム基材(10)と流延ドラム(18)との両方が十分に双方向接触をするように組成物を押圧して、未硬化組成物(14)と流延ドラム(18)の間の全ての空気を排除する。放射硬化性組成物は、組成物の被膜を有する表面と反対の表面からベースフィルム基材を通って放射エネルギーを与えることによって硬化し、同時に組成物は、ドラムと十分に接触することによってその硬化組成物層中に微細構造パターンが複製される。
【0062】
一実施形態では、硬化性アクリレート被覆組成物は、光硬化させることによって硬化する。他の実施形態では、光硬化は、紫外(以後、UVと呼称する)放射を用いて行われ、UV放射の波長は、約1800オングストローム〜約4000オングストロームに対応する。こうした放射を発生するのに使用するランプ系として、紫外ランプ、ならびに、例えば、キセノン、ハロゲン化金属、金属アーク、低圧または高圧水銀蒸気放電ランプなどの放電ランプが挙げられる。光硬化とは、非粘着性硬化アクリレート組成物を形成するための重合プロセスと架橋プロセスの両者が含まれることを意味する。
【0063】
一実施形態では、硬化性アクリレート被覆組成物は、加熱硬化、熱硬化または電子線硬化を受けることによって硬化する。他の実施形態では、熱硬化が行われる温度は、通常、約80℃〜約130℃に対応する。好ましい実施形態では、該温度は、約90℃〜約110℃に対応する。他の実施形態では、電子線硬化は、通常、約10キログレイ(kGy)〜約100kGyの電子線照射量で行われる。好ましい実施形態では、電子線照射量は、ポリマーの性質および多官能性添加剤の存在量に応じて約50kGy以下であり、必要とされる照射量は、多官能性添加剤の存在によって減少する。多官能性添加剤が存在すると、使用される電子線照射量に対する限界も創出されることがある。ピークは、昇温せん断の増加の水準は、減少するが硬化以前に存在した水準より依然大きいことになる或る水準に達する。硬化性アクリレート被覆組成物を電子線硬化させるのに、米国特許第5981963号に記載の電子線システムが使用でき。
【0064】
硬化被覆組成物を得るために硬化性アクリレート被覆組成物が必要とする加熱時間は、硬化性アクリレート被覆組成物の成分で決まる。通常、該時間は、約30秒〜約24時間に対応する。他の実施形態では、該時間は、約1分〜約10時間に対応する。好ましい実施形態では、該時間は、約2分〜約5時間に対応する。こうした硬化は、段階的に行ってもよく、部分的に硬化し、しばしば粘着性のない組成物を生成した後、より長期間、または上記の範囲内の温度で加熱することにより十分に硬化させる。
【0065】
一実施形態では、硬化性アクリレート被覆組成物は、UV硬化と加熱硬化の両方を用いてもよい。
【0066】
本発明の硬化性アクリレート被覆組成物を使用して調製された物品のヘイズ値は、図2に記載したアセンブリーを用いて測定する。このアセンブリーは、表面微細構造を含む、ポリカーボネートフィルム(28)で被覆された硬化アクリレート被覆組成物(30)で被覆された基材フィルム(10)からなるガラス固定具(26)からなり、該ポリカーボネートフィルム(28)は、被覆硬化基材フィルムの微細構造表面と接触する。被覆ポリカーボネートフィルムの最初のヘイズは、ASTM D1003に記載の手順に従ってBYK−GARDNER HAZE−GARD PLUSの装置を用いて測定する。次いで、このアセンブリーをオーブン中に入れ、所定の間隔で被覆ポリカーボネートフィルムを取り除き、上記のヘイズの発達を求めるために測定する。
【0067】
一実施形態では、本発明は、硬化性アクリレート被覆組成物から調製された物品を提供する。この組成物から作製し得る物品として、例えば、ブラックライトディスプレイで使用するための、照明管理フィルム、光度増強フィルムなどの光学用品;光学レンズ;フレネルレンズ;光ディスク;ディフューザーフィルム、ホログラフィー基材;または、従来のレンズ、プリズムまたは鏡と組み合わせた基材が挙げられる。
【0068】
本発明の物品は、突起および凹部などの複数の実用的な不連続を含む複製された微細構造を備える表面であって、放射硬化後、金型の詳細部を失うことなく、かつ使用中の多様な条件下でそうした詳細の複製を保持して金型から容易に脱離し得る表面を特徴とする。
【0069】
「微細構造」という用語は、本明細書では、米国特許第4576850号において定義され、説明されているものと同様に使用され、その開示は参照により本明細書に組み込まれている。従って、それは、該微細構造を有する物品の所定かつ所望の実用的な目的または機能を示すまたは特徴づける表面構造を意味する。前記物品の表面内の突起および圧痕などの不連続は、中心線より上の表面形状によって囲まれた面積の和が、該線より下の面積の和に等しいように微細構造を貫通して引かれた平均の中心線の上下に形状がずれており、前記の線は、物品の公称表面(微細構造を有する)に基本的に平行である。前記ずれの高さは、表面の代表的な特徴長さ、例えば1〜30cmにわたって光学または電子顕微鏡によって測定した場合、通常約±0.005〜±750ミクロンとなろう。前記平均の中心線は、ピアノ、凹形、凸形、非球面またはそれらの組合せでよい。前記ずれが、小さいオーダー、例えば、±0.005〜±0.1、または好ましくは±0.05ミクロンであり、前記ずれが、まれまたは最小にしか起らない、すなわち、表面に有意な不連続がない物品は、微細構造保持表面が基本的に「平面」または「平滑」表面である物品であり、そうした物品は、例えば、精密光学要素、または眼科用レンズなどの精密光学界面を備えた要素として有用である。前記ずれが、小さいオーダーで頻繁に起る物品として、反射防止微細構造を有する物品が挙げられる。前記ずれが、大きいオーダー、例えば、±0.1〜±750ミクロンであり、同じまたは異なり、間隔がありまたはランダムもしくは規則性様式で連続である複数の実用的な不連続を含む微細構造に起因している物品は、逆反射立方角板、線状フレネルレンズ、ビデオディスクおよびLMFなどの物品である。微細構造保持表面は、前記の小さいオーダーと大きいオーダー両方の実用的な不連続を含み得る。異質または非実用性不連続は、その量または種類が、前記物品の所定かつ所望の実用性を著しく妨害または侵害しない限り、微細構造保持表面に含まれてもよい。硬化時の収縮がこうした妨害性の異質な不連続をもたらさない特定のオリゴマー性組成物、例えば、2〜6%しか収縮しない組成物を選択することが通常必要また望ましいことがあり、こうした要件は、本発明の硬化性アクリレート組成物によって満たされる。
【0070】
この物品は、強靭性、可撓性、光学的透明性および均一性、ならびに普通の溶媒への耐性などの所望の多様な特性を有する。こうした物品の微細構造は、高い熱寸法安定性、耐磨耗性および耐衝撃性、ならびに物品を大きく180度まで曲げた場合でも完全性を有する。一実施形態では、硬化アクリレート被覆組成物を用いて作製した物品の屈折率は少なくとも1.57である。
【0071】
例示的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、多様な変更をなし、その要素を等価物で代替し得ることは当業者には理解されよう。加えて、本発明の教示の基本的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料に適合させるために本発明の教示に対する多数の改変をなし得る。従って、本発明は、本発明を実施するために企図された最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものでなく、添付の特許請求の範囲の中に入る全ての実施形態を含むことになることを意図するものである。
以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに例示する。
【実施例】
【0072】
以下の実施例は、本発明において特許請求された方法を評価するための詳細な説明を当業者に提供するために記載されるものであり、本発明者らがその発明であると見なすものの範囲を限定するものではない。別段の指示がない限り、部数は重量基準であり、温度は℃である。
【0073】
図2に表されたポリカーボネートフィルムにおいて発現するヘイズ値は、ASTM手順D1003によって測定する。
【0074】
実施例においてPTEAおよびPTEと呼称されるものは、それぞれ、式IIIを有するPTEA、および式IVを有する対応するPTEである。不純物、すなわち、スズ量、およびPTEA中のPTE量は、以下の表に含まれている。
【0075】
実験
比較例1〜5は、不純物PTEおよび不純物スズを含有するPTEAを含む組成物を用いて調製した多層フィルムの性能に及ぼす残留PTEおよび残留スズ触媒の負の影響を例示する。
【0076】
比較例1の硬化性アクリレート被覆組成物を、UCB社のRDX51027エポキシアクリレート(60重量部(pbw))、PTEA(40pbw;0.14重量%のPTEおよび2350ppmのスズ含有)、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア819光開始剤(0.50pbw)、およびGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)を合わせることによって調製した。この混合物を85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌し、均一溶液を得た。
【0077】
比較例2〜5の硬化性アクリレート被覆組成物を、比較例1と類似の方式で調製したが、加えて、以下の表1に示すように組成物に各種の量のPTEを添加した。
【0078】
次いで、ポリカーボネート基材フィルムと、複製微細構造を含む硬化アクリレートフィルム層とを含む多層フィルムを調製する場合に、表1に示した組成物をそれぞれ使用した。アルバマ州バーミンガムのイノバティブマシン社製造の特注被膜用機械を使用して、図1に示すように、多層フィルムを調製した。比較例1で説明したのと同様に調製した硬化性アクリレート被覆組成物5グラムを、ニップロール(16)と流延ドラム(18)の間に被膜ビーズ(14)を置き、ニップロール(16)と流延ドラム(18)の間に未被覆基材フィルムを通過させることによって、比較例1で説明したのと同様に調製した硬化性アクリレート被覆組成物5グラムを、被膜ビーズ(14)としてウェブ(12)全体に適用した。流延ドラムを50℃に保持した。流延ドラムには、その外表面に取り付けた金属金型(20)が装着されており、該金属金型は、表面微細構造を含む。Vバルブを備えた高強度ランプ(20)を用いて、硬化性アクリレート被覆組成物を硬化させた。ウェブ(12)を50フィート/分で動作させた。
【0079】
上記のように調製した多層フィルムの熱エージングを、以下の方式で実施した。図2に示すように、ポリカーボネートフィルム(28)の保護シートとともにガラス固定具(26)内に各フィルムを組み立てた。この方式においてフィルムを組み立てる前に、ASTM D1003に記載の手順に従って、BYK−GARDNER HAZE−GARD PLUSの装置を用いて、ポリカーボネートフィルム(28)の各保護シートのヘイズ%を測定した。次いで、複製した微細構造を含む硬化性アクリレート被覆組成物(24)によって被覆された基材、すなわちこの場合はポリカーボネートフィルムである基材を備えたポリカーボネートフィルム(28)を含むガラス固定具を、約85℃に保持したオーブン中に置いた。様々な時間間隔で、該アセンブリーをオーブンから取り出し、ポリカーボネートフィルム(28)シートのヘイズを上記のように測定した。
【0080】
熱エージング試験の結果を以下の表1に例示し、図3に示す。図3のデータは、硬化性アクリレート被覆組成物中の残留PTEおよび残留スズの存在が、多層フィルム中の複製微細構造のあるフィルム表面に隣接したポリカーボネートフィルム層のヘイズ発達の元であることを示し、従って、隣接したポリカーボネートフィルムが、用いた硬化性アクリレート組成物中に最初から存在するPTEおよびスズの不純物の存在に敏感であることを示している。85℃で1000時間後の約0.4%ヘイズの形成は、望ましくないヘイズの水準であることを示す。
【0081】
【表1】
【0082】
実施例1〜5は、硬化性アクリレート被覆組成物の他の成分と混合する前に用いたPTEAを水性塩基によって1回または複数回洗浄した点を除けば、比較例1で説明したのと同一の硬化性アクリレート被覆組成物を用いた。実施例1〜5は、塩基で洗浄すると、PTEA中に存在するスズの濃度が劇的に減少するが、PTE量は中程度しか増加しないことを例示する。PTEの濃度の増加は、PTEAの加水分解が塩基によって誘起されたためであると考えられる。このような実施例によって、精製PTEA中のスズ不純物濃度が減少すると、この精製PTEAを用いて調製した多層フィルムの性能に対して正の効果があることが実際に示される。
【0083】
実施例1では、PTEA1リットル(スズ2350ppmおよびPTE0.14%を含有)に、5%重炭酸ナトリウム溶液100ミリリットル(ml)を加え、混合物を約1分間激しくシェークした。層を放置して水性層と有機層に分離した。PTEAを含む有機層を分離し、有機層中に硫酸マグネシウム5g/PTEA100gを加えてスラリー化し、ろ過した。分析した結果、塩基で洗浄したPTEA層中には、スズ400ppmおよびPTE0.16%が存在した。表2に記載した変更とともに、上記の精製プロセスを実施例2〜5において使用した。
【0084】
次いで、実施例1〜5の塩基洗浄したPTEAをそれぞれ用いることによって硬化性アクリレート被覆組成物を調製した。実施例1〜5の硬化性アクリレート被覆組成物を、UCB社.のRDX51027エポキシアクリレート(60重量部(pbw))、PTEA(40pbw;表2に記載したような多様な塩基洗浄をしたPTEA)、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア 819光開始剤(0.50pbw)、およびGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)を合わせることによって調製した。該混合物を85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌し、均一溶液を得た。
【0085】
比較例1において説明したのと同様な方式で、ポリカーボネート基材フィルムと、複製微細構造を含む硬化アクリレートフィルム層とを含む多層フィルムを調製する際に、このような硬化性アクリレート被覆組成物をそれぞれ用いた。実施例1〜5の硬化性アクリレート被覆組成物を用いて調製した多層フィルムの熱エージングを、比較例1と同様な方式で実施した。
【0086】
【表2】
【0087】
比較例6では、実施例1〜5で用いたPTEA(当初、塩基洗浄の前、スズ2350ppmおよびPTE0.14%を含有)を塩基洗浄なしで用いることによって比較例1に対して説明したように硬化性アクリレート被覆組成物を調製した。次いで、硬化性アクリレート被覆組成物を用いることによって多層フィルムを調製し、該多層フィルムを上記したような熱エージングにかけた。上記の表2および図4に示すように、比較例6の組成物を用いて調製した多層フィルムに対して得たヘイズ値を、実施例1で得たヘイズ値と比較した。
【0088】
実施例1および比較例6の硬化性アクリレート被覆組成物を用いて調製した多層フィルムに対して得たヘイズ値を示す図4によって例示される結果は、塩基洗浄したPTEAを含む硬化性アクリレート被覆組成物を用いることによって多層フィルムを調製した場合、該フィルムのヘイズへの傾向がより小さいことを示す。
【0089】
実施例6〜9は、硬化性アクリレート組成物を調製するのに用いたPTEAを1回塩基洗浄し、アクリル酸および/またはPTEとも混合した点を除けば、比較例1で説明したのと同一の硬化性アクリレート組成物を用いた。次いで、硬化性アクリレート被覆組成物をそれぞれ用いることによって多層フィルムを調製し、該フィルムを上記のように熱エージングにかけた。実施例6〜9は、フィルムを調製するのに用いた硬化性アクリレート被覆組成物が、アクリル酸および塩基洗浄1回のPTEAを含む場合、多層フィルムの性能が改良されることを例示する。
【0090】
実施例6の硬化性アクリレート被覆組成物を、UCB社のRDX51027エポキシアクリレート(60重量部(pbw))、塩基洗浄1回のPTEA(40pbw;実施例1における調製と同様)、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア819光開始剤(0.50pbw)、およびGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)を合わせることによって調製した。該混合物を85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌し、均一溶液を得た。
【0091】
実施例7、8および9の硬化性アクリレート被覆組成物を、実施例6の硬化性アクリレート被覆組成物に指定量のアクリル酸および/またはPTEを加えることによって調製したが、これらは以下の表3に含まれる。
【0092】
実施例6〜9の硬化性アクリレート被覆組成物を用いて、図2に示したのと同様な多層フィルムを調製し、熱エージング試験を上記のように実施した。
【0093】
以下の表3および図5に示した結果は、1.5%などのより高い濃度のPTEが硬化性アクリレート被覆組成物中に存在する場合でも、アクリル酸は、熱エージング中のヘイズに対する傾向を減少させるのに有効であるように思われることを示す。
【0094】
【表3】
【0095】
実施例10〜12では、硬化性アクリレート被覆組成物を調製するのに用いたPTEAを1回塩基洗浄し、任意選択でPTEをも加えた点を除けば、比較例1で説明したのと同一の硬化性アクリレート被覆組成物を用いた。次いで、硬化性アクリレート被覆組成物をそれぞれ用いることによって多層フィルムを調製し、該フィルムを上記のように熱エージングにかけた。実施例10〜12は、1回塩基洗浄したPTEAを用いて調製した硬化アクリレート被覆組成物により、該組成物を用いて調製した多層フィルムの性能が改良されることを例示する。
【0096】
実施例10の硬化性アクリレート被覆組成物を、UCB社のRDX51027エポキシアクリレート(60重量部(pbw))、塩基洗浄1回のPTEA(40pbw;実施例1における調製と同様)、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア819光開始剤(0.50pbw)、およびGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)を合わせることによって調製した。該混合物を85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌して均一溶液を得た。
【0097】
実施例11および12の硬化性アクリレート被覆組成物を、実施例10の硬化性アクリレート被覆組成物に指定量のPTEを加えることによって調製したが、これらは以下の表4に含まれる。
【0098】
実施例10〜12の硬化性アクリレート被覆組成物を用いて、図2に示したのと同様な多層フィルムを調製し、熱エージング試験を上記のように実施した。
【0099】
以下の表4および図6に示した結果は、硬化性アクリレート被覆組成物の調製において塩基洗浄したPTEAを用いると、硬化性アクリレート被覆組成物中にも存在する恐れのある少量のPTEの存在に対して該組成物が敏感でなくなることを示す。
【0100】
【表4】
【0101】
実施例13〜15は、硬化性アクリレート被覆組成物を調製するのに用いたPTEAを2回塩基洗浄し、任意選択でPTEをも加えた点を除けば、比較例1で説明したのと同一の硬化性アクリレート被覆組成物を用いた。次いで、硬化性アクリレート被覆組成物をそれぞれ用いることによって多層フィルムを調製し、該フィルムを上記のように熱エージングにかけた。実施例13〜15は、2回塩基洗浄したPTEAを用いて調製した硬化アクリレート被覆組成物により、該組成物を用いて調製した多層フィルムの性能が改良されることを例示する。
【0102】
実施例13の硬化性アクリレート被覆組成物を、UCB社.のRDX51027エポキシアクリレート(60重量部(pbw))、塩基洗浄2回のPTEA(40pbw;実施例2における調製と同様)、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア819光開始剤(0.50pbw)、およびGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)を合わせることによって調製した。該混合物を85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌して均一溶液を得た。
【0103】
実施例14および15の硬化性アクリレート被覆組成物を、実施例13の硬化性アクリレート被覆組成物に指定量のPTEを加えることによって調製したが、これらは以下の表5に含まれる。
【0104】
実施例13〜15の硬化性アクリレート被覆組成物を用いて、図2に示したのと同様な多層フィルムを調製し、熱エージング試験を上記のように実施した。
【0105】
以下の表5および図7に示した結果は、硬化性アクリレート被覆組成物の調製において2回塩基洗浄したPTEAを用いると、硬化性アクリレート被覆組成物中にも存在する恐れのある少量のPTEの存在に対して該組成物が敏感でなくなることを示す。
【0106】
【表5】
【0107】
実施例16〜18は、硬化性アクリレート被覆組成物を調製するのに用いたPTEAを3回塩基洗浄し、任意選択でPTEをも加えた点を除けば、比較例1で説明したのと同一の硬化性アクリレート被覆組成物を用いた。次いで、硬化性アクリレート被覆組成物をそれぞれ用いることによって多層フィルムを調製し、該フィルムを上記のように熱エージングにかけた。実施例16〜18は、3回塩基洗浄したPTEAを用いて調製した硬化アクリレート被覆組成物により、該組成物を用いて調製した多層フィルムの性能が改良されることを例示する。
【0108】
実施例13の硬化性アクリレート被覆組成物を、UCB社のRDX51027エポキシアクリレート(60重量部(pbw))、塩基洗浄3回のPTEA(40pbw;実施例3における調製と同様)、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア819光開始剤(0.50pbw)、およびGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)を合わせることによって調製した。該混合物を85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌して均一溶液を得た。
【0109】
実施例17および18の硬化性アクリレート被覆組成物を、実施例16の硬化性アクリレート被覆組成物に指定量のPTEを加えることによって調製したが、これらは以下の表6に含まれる。
【0110】
実施例16〜18の硬化性アクリレート被覆組成物を用いて、図2に示したのと同様な多層フィルムを調製し、熱エージング試験を上記のように実施した。
【0111】
以下の表6および図8に示した結果は、硬化性アクリレート被覆組成物の調製において3回塩基洗浄したPTEAを用いると、硬化性アクリレート被覆組成物中にも存在する恐れのある少量のPTEの存在に対して該組成物が敏感でなくなることを示す。
【0112】
【表6】
【0113】
実施例19〜21は、硬化性アクリレート被覆組成物を調製するのに用いたPTEAを4回塩基洗浄し、任意選択でPTEをも加えた点を除けば、比較例1で説明したのと同一の硬化性アクリレート被覆組成物を用いた。次いで、硬化性アクリレート被覆組成物をそれぞれ用いることによって多層フィルムを調製し、該フィルムを上記のように熱エージングにかけた。実施例19〜21は、4回塩基洗浄したPTEAを用いて調製した硬化アクリレート被覆組成物により、該組成物を用いて調製した多層フィルムの性能が改良されることを例示する。
【0114】
実施例19の硬化性アクリレート被覆組成物を、UCB社.のRDX51027エポキシアクリレート(60重量部(pbw))、塩基洗浄4回のPTEA(40pbw;実施例4における調製と同様)、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア819光開始剤(0.50pbw)、およびGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)を合わせることによって調製した。該混合物を85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌して均一溶液を得た。
【0115】
実施例20および21の硬化性アクリレート被覆組成物を、実施例19の硬化性アクリレート被覆組成物に指定量のPTEを加えることによって調製したが、これらは以下の表7に含まれる。
【0116】
実施例19〜21の硬化性アクリレート被覆組成物を用いて、図2に示したのと同様な多層フィルムを調製し、熱エージング試験を上記のように実施した。
【0117】
以下の表7および図9に示した結果は、硬化性アクリレート被覆組成物の調製において4回塩基洗浄したPTEAを用いると、硬化性アクリレート被覆組成物中にも存在する恐れのある少量のPTEの存在に対して該組成物が敏感でなくなることを示す。
【0118】
【表7】
【0119】
実施例22〜24は、硬化性アクリレート被覆組成物を調製するのに用いたPTEAを5回塩基洗浄し、任意選択でPTEをも加えた点を除けば、比較例1で説明したのと同一の硬化性アクリレート被覆組成物を用いた。次いで、硬化性アクリレート被覆組成物をそれぞれ用いることによって多層フィルムを調製し、該フィルムを上記のように熱エージングにかけた。実施例22〜24は、5回塩基洗浄したPTEAを用いて調製した硬化アクリレート被覆組成物により、該組成物を用いて調製した多層フィルムの性能が改良されることを例示する。
【0120】
実施例22の硬化性アクリレート被覆組成物を、UCB社のRDX51027エポキシアクリレート(60重量部(pbw))、塩基洗浄5回のPTEA(40pbw;実施例5における調製と同様)、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア819光開始剤(0.50pbw)、およびGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)を合わせることによって調製した。該混合物を85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌して均一溶液を得た。
【0121】
実施例23および24の硬化性アクリレート被覆組成物を、実施例22の硬化性アクリレート被覆組成物に指定量のPTEを加えることによって調製したが、これらは以下の表8に含まれる。
【0122】
実施例22〜24の硬化性アクリレート被覆組成物を用いて、図2に示したのと同様な多層フィルムを調製し、熱エージング試験を上記のように実施した。
【0123】
以下の表8および図10に示した結果は、硬化性アクリレート被覆組成物の調製において5回塩基洗浄したPTEAを用いると、硬化性アクリレート被覆組成物中にも存在する恐れのある少量のPTEの存在に対して該組成物が敏感でなくなることを示す。
【0124】
【表8】
【0125】
ヘイズを制御するための本発明の方法の有用性は、式IIIの非置換PTEAを含有するUV硬化性アクリレート被覆組成物を含む物品におけるヘイズの制御を用いて本明細書で実験的に例示されるが、本発明は、多様な置換PTEAを含む組成物であって、一般に、加熱またはUVを用いて硬化し得る組成物を用いて作製される物品におけるヘイズの制御を包含する。従って、以下の説明および実験的な詳細は、非置換PTEAから作製される物品のヘイズの制御に焦点を合わせているが、本発明は、それに限定されることは全くない。広い意味では、本発明は、約400ppm未満のスズおよび約2重量%未満の対応PTEを含有する任意かつ全てのPTEAから作製される物品のヘイズの制御を含む。
【0126】
本発明の好ましい実施形態を特に参照して本発明を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲内で変形および改変を実現し得ることは当業者には理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】被膜用機械を示す図である。
【図2】被覆した基材フィルム(24)を熱エージングにかけるために使用するアセンブを示す図である。
【図3】被覆基材フィルムのヘイズ値と85℃での経過時間の関係を表した図である。
【図4】被覆基材フィルムのヘイズ値と85℃での経過時間の関係を表した図である。
【図5】被覆基材フィルムのヘイズ値と85℃での経過時間の関係を表した図である。
【図6】被覆基材フィルムのヘイズ値と85℃での経過時間の関係を表した図である。
【図7】被覆基材フィルムのヘイズ値と85℃での経過時間の関係を表した図である。
【図8】被覆基材フィルムのヘイズ値と85℃での経過時間の関係を表した図である。
【図9】被覆基材フィルムのヘイズ値と85℃での経過時間の関係を表した図である。
【図10】被覆基材フィルムのヘイズ値と85℃での経過時間の関係を表した図である。
【符号の説明】
【0128】
10 基材フィルム
12 ウェブ
14 被覆ビーズ
16 ニップロール
18 流延ドラム
22 Vバルブ
24 被覆基材フィルム
26 ガラス固定具
28 ポリカーボネートフィルム
30 微細構造
32 経過時間
34 ヘイズ値
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性アクリレート被覆組成物に関する。より詳細には、本発明は、硬化性アクリレート被覆組成物、該組成物の作製方法および該組成物を用いて作製される物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術による光度増強フィルムは、通常、ポリエステルフィルム上の高屈折率被膜を含む。おそらくポリエステルの固有の曇り性のために、ポリエステルベースの光度増強フィルムは、ポリカーボネートベースのものより輝度が低い。さらに、光学ディスプレイ向けのこのような光度増強フィルムは、長期の性能を保証するための一連の試験に合格しなければならない。該試験の1つ、すなわち、85℃での1000時間の熱エージングでは、ポリカーボネートフィルム上のフェニルチオエチルアクリレートを含有する被膜配合物を含む光度増強フィルムは、許容できない量の曇りおよび輝度の低下を示す。
【0003】
従って、特に、物品の光度が、重要な用件である用途においては、光学的な光度を保持する、すなわち、過度なヘイズを示さない被覆組成物を提供する必要性が存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、硬化性アクリレート被覆組成物を提供する。該組成物は、
(a)次式I
【0005】
【化1】
【0006】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有するフェニルチオエチルアクリレート(以下、PTEAと略すこともある)であって、約400ppm未満のスズを含み、約2重量%未満の次式II
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有する対応するフェニルチオエタノール(以下、PTEと略すこともある)を含むフェニルチオエチルアクリレートと、
(b)少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと、
(c)少なくとも1種の硬化剤と
を含む。
【0009】
追加の実施形態では、硬化性アクリレート被覆組成物は、少なくとも1種の不飽和酸をさらに含む。不飽和酸は、硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約0.1重量%〜1.0重量%に対応する量で存在し得る。
【0010】
他の一実施形態では、本発明は、硬化性アクリレート被覆組成物を調製するための方法を提供する。該方法は、
混合物を形成するために成分(a)〜(c)をブレンドするステップであって、
(a)が、約400ppm未満のスズと、約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEとを含む,式Iを有するPTEAであり、
(b)が、少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートであり、
(c)が、少なくとも1種の硬化剤であるステップと、
該混合物を加熱することにより均一な組成物を形成するステップと
を含む。
【0011】
一実施形態では、本発明は、式Iを有し、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEを含むPTEAと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと
から誘導される構造単位を含む硬化アクリレート組成物を含む物品を提供する。
【0012】
一態様では、本発明は、
(a)式III、
【0013】
【化3】
【0014】
を有し、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IV
【0015】
【化4】
【0016】
を有する対応するPTEを含むPTEAと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと、
少なくとも1種の硬化剤と
を含む硬化性被覆組成物を提供する。
【0017】
一実施形態では、本発明は、式Iを有し、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEを含むPTEAと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと
から誘導される構造単位を含む硬化アクリレート被覆組成物を提供する。
【0018】
一実施形態では、本発明は、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEを含む、式Iを有するPTEAと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと
から誘導される構造単位を含む、基材上の硬化アクリレート被覆組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、アルバマ州バーミンガムのイノバティブマシン社が製造した特注の被膜用機械を示す。この被膜用機械は、巻かれた未被覆の基材フィルム(10)を有する。未被覆基材フィルムは、ウェブ(12)両端間でほどき、ニップロール(16)と流延ドラム(18)の間を通した。硬化性被覆組成物は、ニップロール(16)と流延ドラム(18)の間に置いた被覆ビーズ(14)として施した。流延ドラム(18)の表面には、その外表面に付設した金属製型枠(20)が装備され、金属製型枠は、表面微細構造を有する。Vバルブ(22)を備えた高強度UVランプを使用することにより硬化性被覆組成物を硬化させた。被覆基材フィルムを、ウェブ(12)両端間で再度巻くことにより、被覆基材フィルム(24)を得た。
【0020】
図2は、被覆した基材フィルム(24)を熱エージングにかけるために使用されるアセンブリーを示す。基材(10)と、微細構造(30)を含む硬化アクリレート被膜とを含む被覆基材フィルムを、ポリカーボネートフィルム(28)で被覆し、ガラス固定具(26)内に組み込んだ。
【0021】
図3〜10は、硬化性アクリレート被覆組成物を被膜として使用した場合の被覆基材フィルム(24)内のヘイズ(34)と85℃での時間で表した経過時間(32)の相関関係を示す。
【0022】
本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明、およびその中に含まれる実施例を参照することによって、本発明は、より容易に理解し得る。以下の明細書および続いての特許請求の範囲では、多数の用語が参照されるが、それらは以下の意味を有するものと定義することにする。
【0023】
文脈中別段の明確な指示のない限り、単数形には複数の指示対象が含まれる。
【0024】
「任意選択」は、続いて記述される事象または状況が起きても起きなくてもよく、その記述には、事象が起きる場合および起きない場合が含まれることを意味する。
【0025】
量に関連して使用される修飾語「約」は、記述された値を含み、文脈に指令される意味を有する(例えば、特定の量を測定するのに伴う誤差の程度が含まれる)。
【0026】
本明細書では、「脂肪族基」という用語は、環状でない直鎖または分枝配列の原子からなる、価数が少なくとも1価である基を指す。該配列は、窒素、硫黄、ケイ素、セレンおよび酸素などのヘテロ原子を含んでもよいし、あるいは、炭素および水素のみからなっていてもよい。脂肪族基は、「置換」でも「非置換」でもよい。置換脂肪族基は、少なくとも1個の置換基を含む脂肪族基と定義される。置換脂肪族基は、脂肪族基上で置換するのに利用可能な位置と同数の置換基を含み得る。脂肪族基上で存在し得る置換基として、限定されるものではないが、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン原子が挙げられる。置換脂肪族基として、トリフルオロメチル;ヘキサフルオロイソプロピリデン;クロロメチル;ジフルオロビニリデン;トリクロロメチル、ブロモメチル、ブロモトリメチレン(例えば、−CH2CHBrCH2−)などが挙げられる。便宜上、「非置換脂肪族基」という用語は、本明細書では、非置換脂肪族基を含む「環状でない直鎖または分枝配列の原子」の一部として広範な官能基を包含するものと定義される。非置換脂肪族基の例として、アリル、アミノカルボニル(すなわち、−CONH2)、カルボニル、ジシアノイソプロピリデン(すなわち、−CH2C(CN)2CH2−)、メチル(すなわち、−CH3)、メチレン(すなわち、−CH2−)、エチル、エチレン、ホルミル、ヘキシル、ヘキサメチレン、ヒドロキシメチル(すなわち、−CH2OH−)、メルカプトメチル(すなわち、−CH2SH)、メチルチオ(すなわち、−SCH3)、メチルチオメチル(すなわち、−CH2SCH3)、メトキシ、メトキシカルボニル、ニトロメチル(すなわち、−CH2NO2)、チオカルボニル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリメチルオキシシリプロピル、ビニル、ビニリデンなどが挙げられる。脂肪族基は、少なくとも1個の炭素原子を含むものとして定義される。C1〜C10脂肪族基は、少なくとも1個で、10個以下の炭素原子を含む、置換脂肪族基および非置換脂肪族基が挙げられる。
【0027】
本明細書では、「芳香族基」という用語は、少なくとも1個の芳香族基を含む価数が少なくとも1価である原子配列を指す。少なくとも1個の芳香族基を含む価数が少なくとも1価である原子配列は、窒素、硫黄、セレン、ケイ素および酸素などのヘテロ原子を含んでもよいか、あるいは、炭素および水素のみを含んでもよい。本明細書では、「芳香族基」という用語には、限定されるものではないが、フェニル、ピリジル、フラニル、チエニル、ナフチル、フェニレンおよびビフェニル基が含まれる。述べたように、芳香族基は、少なくとも1個の芳香族基を含む。芳香族基は、必ず、4n+2個の「非局在化」電子を有する環状構造であり、「n」は1に等しいかまたは1を超える整数である。例として、フェニル基(n=1)、チエニル基(n=1)、フラニル基(n=1)、ナフチル基(n=2)、アズレニル基(n=2)、アントラセニル基(n=3)などがある。芳香族基は、非芳香族成分を含んでもよい。例えば、ベンジル基は、フェニル環(芳香族基)とメチレン基(非芳香族成分)とを含む芳香族基である。同様に、テトラヒドロナフチル基は、非芳香族成分−(CH2)4−と縮合した芳香族基(C6H3)を含む芳香族基である。芳香族基は、「置換」でも「非置換」でもよい。置換芳香族基は、少なくとも1個の置換基を含む芳香族基と定義される。置換芳香族基は、芳香族基上で置換するのに利用可能な位置と同数の置換基を含み得る。芳香族基上で存在し得る置換基として、限定されるものではないが、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン原子が挙げられる。置換芳香族基としてトリフルオロメチルフェニル、ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(4−フェニルオキシ)(すなわち、−OPhC(CF3)2PhO−)、クロロメチルフェニル;3−トリフルオロビニル−2−チエニル;3−トリクロロメチルフェニル(すなわち、3−CCl3Ph−)、ブロモプロピルフェニル(すなわち、BrCH2CH2CH2Ph−)などが挙げられる。便宜上、「非置換芳香族基」という用語は、本明細書では、「少なくとも1個の非置換芳香族基を含む価数が少なくとも1価である原子配列」の一部として広範な官能基を包含するものと定義される。非置換芳香族基の例として、4−アリルオキシフェノキシ、アミノフェニル(すなわち、H2NPh−)、アミノカルボニルフェニル(すなわち、NH2COPh−)、4−ベンゾイルフェニル、ジシアノイソプロピリデンビス(4−フェニルオキシ)(すなわち、−OPhC(CN)2PhO−)、3−メチルフェニル、メチレンビス(4−フェニルオキシ)(すなわち、−OPhCH2PhO−)、エチルフェニル、フェニルエテニル、3−ホルミル−2−チエニル、2−ヘキシル−5−フラニル;ヘキサメチレン−1,6−ビス(4−フェニルオキシ)(すなわち、−OPh(CH2)6PhO−);4−ヒドロキシメチルフェニル(すなわち、4−HOCH2Ph−)、4−メルカプトメチルフェニル(すなわち、4−HSCH2Ph−)、4−メチルチオフェニル(すなわち、4−CH3SPh−)、メトキシフェニル、メトキシカルボニルフェニルオキシ(例えば、メチルサリチル)、ニトロメチルフェニル(すなわち、−PhCH2NO2)、トリメチルシリルフェニル、t−ブチルジメチルシリルフェニル、ビニルフェニル、ビニリデンビス(フェニル)などが挙げられる。「C3〜C10芳香族基」という用語には、少なくとも3個、10個以下の炭素原子を含む、置換芳香族基および非置換芳香族基が含まれる。芳香族基1−イミダゾリル(C3H2N2)は、C3芳香族基を表す。ベンジル基(C7H8−)は、C7芳香族基を表す。
【0028】
本明細書では、「脂環式基」という用語は、価数が少なくとも1価であり、環式であるが、芳香族でない原子配列を含む基を指す。本明細書で定義したように、「脂環式基」は、芳香族基を含まない。「脂環式基」は、1つまたは複数の非環式成分を含み得る。例えば、シクロヘキシルメチル基(C6H11CH2−)は、シクロヘキシル環(環式であるが、芳香族でない原子配列)と、メチレン基(非環式成分)とを含む脂環式基である。脂環式基は、窒素、硫黄、セレン、ケイ素および酸素などのヘテロ原子を含んでもよいか、あるいは、炭素および水素のみを含んでもよい。脂環式基は、「置換」でも「非置換」でもよい。置換脂環式基は、少なくとも1個の置換基を含む脂環式基と定義される。置換脂環式基は、脂環式基上で置換するのに利用可能な位置と同数の置換基を含み得る。脂環式基上で存在し得る置換基として、限定されるものではないが、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン原子が挙げられる。置換脂環式基として、トリフルオロメチルシクロヘキシル、ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルオキシ)(すなわち、−OC6H10C(CF3)2C6H10O−)、クロロメチルシクロヘキシル;3−トリフルオロビニル−2−シクロプロピル;3−トリクロロメチルシクロヘキシル(すなわち、3−CCl3C6H10−)、ブロモプロピルシクロヘキシル(すなわち、BrCH2CH2CH2C6H10−)などが挙げられる。便宜上、「非置換脂環式基」という用語は、本明細書では、広範な官能基を包含するとして定義される。脂環式基の例として、4−アリルオキシシクロヘキシル、アミノシクロヘキシル(すなわち、H2NC6H10−)、アミノカルボニルシクロペンチル(すなわち、NH2COC5H8−)、4−アセチルオキシシクロヘキシル、ジシアノイソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルオキシ)(すなわち、−OC6H10C(CN)2C6H10O−)、3−メチルシクロヘキシル、メチレンビス(4−シクロヘキシルオキシ)(すなわち、−OC6H10CH2C6H10O−)、エチルシクロブチル、シクロプロピルエテニル、3−ホルミル−2−テトラヒドロフラニル、2−ヘキシル−5−テトラヒドロフラニル;ヘキサメチレン−1,6−ビス(4−シクロヘキシルオキシ)(すなわち、−OC6H10(CH2)6C6H10O−);4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(すなわち、4−HOCH2C6H10−)、4−メルカプトメチルシクロヘキシル(すなわち、4−HSCH2C6H10−)、4−メチルチオシクロヘキシル(すなわち、4−CH3SC6H10−)、4−メトキシシクロヘキシル、2−メトキシカルボニルシクロヘキシルオキシ)(2−CH3OCOC6H10O−)、ニトロメチルシクロヘキシル(すなわち、NO2CH2C6H10−)、トリメチルシリルシクロヘキシル、t−ブチルジメチルシリルシクロペンチル、4−トリメトキシシリルエチルシクロヘキシル(例えば、(CH3O)3SiCH2CH2C6H10−)、ビニルシクロヘキセニル、ビニリデンビス(シクロヘキシル)などが挙げられる。「C3〜C10脂環式基」という用語には、少なくとも3個、10個以下の炭素原子を含む置換脂環式基および非置換脂環式基が含まれる。脂環式基、2−テトラヒドロフラニル(C4H7O−)は、C4脂環式基を表す。シクロヘキシルメチル基(C6H11CH2−)は、C7脂環式基を表す。
【0029】
前述したように、本発明は一般に、硬化性アクリレート被覆組成物に関する。本発明の硬化性アクリレート被覆組成物は、該組成物を含む物品において曇りが形成される傾向を低減することが発見された。約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEを含む、式Iを有するPTEAを使用すると、硬化性アクリレート被覆組成物から調製される物品における曇りの発達が著しく低減されることが発見された。この硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約0.1重量%〜約1.0重量%に対応する量の不飽和酸を該組成物中に含めると、硬化アクリレート被覆組成物を含む物品における曇りの発現が著しく低減されることが発見された。本発明の硬化性アクリレート被覆組成物は、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEを含む式IのPTEAと、少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと、少なくとも1種の硬化剤とをブレンドすることによって得られる。
【0030】
本発明による硬化性アクリレート被覆組成物は、次式I
【0031】
【化5】
【0032】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、R2は、C1〜C10脂肪族基であり、「n」は、0〜5の値である)によって表され、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式II
【0033】
【化6】
【0034】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有する対応するPTEを含むPTEAを含む。
【0035】
一実施形態では、PTEAは、式III
【0036】
【化7】
【0037】
によって表され、該PTEAは、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IV
【0038】
【化8】
【0039】
を有する対応するPTEを含む。
【0040】
本発明の一実施形態では、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEを含む式IのPTEAは、硬化性アクリレート被覆組成物中に、該組成物の全重量に対して約20重量%〜約60重量%に対応する量で存在する。他の実施形態では、それは、硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約30重量%〜約50重量%に対応する量で存在する。好ましい実施形態では、約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEを含む式IのPTEAは、約35重量%〜約45重量%に対応する量で存在する。
【0041】
硬化性アクリレート被覆組成物において用いる多官能性(メタ)アクリレートは、通常、式V
【0042】
【化9】
【0043】
(式中、R3は、水素またはC1〜C10脂肪族基であり、X1は、OまたはSであり、R4は、C1〜C20脂肪族基、C3〜C30芳香族基、およびC3〜C20脂環式基からなる群から選択され、nは、2〜4の値を有する整数である)の少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートを含む。多様な実施形態では、R4は、アルキレンおよびヒドロキシアルキレンによる二置換ビスフェノールAまたはビスフェノールFエーテル、好ましくはビスフェノールAおよびビスフェノールFの臭素化形などの基を含み得る。好ましい実施形態では、R4は、式VI
【0044】
【化10】
【0045】
(式中、Qは、−C(CH3)2、−CH2−、−C(O)−、−S−、−S(O)−または−S(O)2−であり、Yは、C1〜C6脂肪族基であり、bは、1〜10の値を有する整数であり、mは、0〜4の値を有する整数であり、dは、1〜3の値を有する整数である)を有する。
【0046】
多官能性(メタ)アクリレートは、アクリル酸またはメタクリル酸をジエポキシドと反応させることによって生成する一量体性、二量体性および三量体性化合物を含み得る。通常、用いるジエポキシドは、ビスフェノールAジグリシジルエーテル;ビスフェノールFジグリシジルエーテル;テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル;テトラブロモビスフェノールFジグリシジルエーテル;1,3−ビス−{4−[1−メチル−1−(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−エチル]フェノキシ}−プロパン−2−オール;1,3−ビス−{2,6−ジブロモ−4−[1−(3,5−ジブロモ−4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−1−メチル−エチル]フェノキシ}−プロパン−2−オール等;ならびに上記ジエポキシドの少なくとも1種を含む組合せからなる群から選択される。
【0047】
多官能性(メタ)アクリレート化合物の例として、2,2−ビス(4−(2−(メタ)アクリルオキシエトキシ)フェニル)プロパン;2,2−ビス((4−(メタ)アクリルオキシ)フェニル)プロパン;アクリル酸3−(4−{1−[4−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3,5−ジブロモ−フェニル]−1−メチル−エチル}2,6−ジブロモ−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−プロピルエステル;アクリル酸3−[4−(1−{4−[3−(4−{1−[4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3,5−ジブロモ−フェニル]−1−メチル−エチル}−2,6−ジブロモ−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−プロポキシ]−3,5−ジブロモ−フェニル}−1−メチル−エチル)−2,6−ジブロモ−フェノキシ]−2−ヒドロキシ−プロピルエステル;等、ならびに以上の多官能性(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含む組合せが挙げられる。一実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートは、テトラブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸の反応生成物、すなわち、UCBケミカルズから入手可能な式VIIで表されるRDX51027である。
【0048】
【化11】
【0049】
一実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートは、硬化性アクリレート被覆組成物中に、硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約25〜約75重量%に対応する量で存在する。他の実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートは、硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約30重量%〜約70重量%に対応する量で存在する。好ましい実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートは、硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約55重量%〜約65重量%に対応する量で存在する。
【0050】
一実施形態では、硬化性アクリレート被覆組成物で用いる硬化剤は、それぞれ紫外放射または熱に曝露した場合、硬化性アクリレート被覆組成物の重合を促進するのに有効である、少なくとも1種の光開始剤または少なくとも1種の熱開始剤である。硬化剤として使用するのに適した材料は、米国特許第4576850号、米国特許第6848986号、およびEncyclopedia of Polymer Technologyなどの参考書において確認される。開始剤の例として、有機過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル)、アゾ化合物、キノン、ニトロソ化合物、ハロゲン化アシル、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、イミダゾール、クロロトリアジン、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ジケトン、フェノン、ベンゾインエーテル、ヒドロキシおよびアルコキシアルキルフェニルケトン、チオアルキルフェニルモルホリノアルキルケトンアシルホスフィンオキシド、ならびにそれらの混合物が挙げられる。市販の適切な紫外活性光開始剤の例は、全てチバガイギー社から入手可能な商標名イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア369およびイルガキュア819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド)、BASF社から入手可能な商標名ルシリンTPO−L、およびメルクから入手可能な商標名DAROCUR 1173として販売されている。市販の適切な熱開始剤の例は、全てE.I.デュポンデモニアス社から入手可能な商標名VAZO52、VAZO64およびVAZO 7のアゾ化合物熱開始剤として販売されている。多くの場合において特に有用な硬化剤の例は、市販材料である名称イルガキュア819の光開始剤である。
【0051】
硬化剤は、硬化性アクリレート被覆組成物中に、硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約0.1〜約3.0重量%に対応する量で通常存在する。他の実施形態では、硬化剤は、硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約0.2重量%〜約1.0重量%に対応する量で存在する。好ましい実施形態では、硬化剤は、硬化性アクリレート被覆組成物の全重量に対して約0.4重量%〜約0.6重量%に対応する量で存在する。
【0052】
一実施形態では、硬化性アクリレート被覆組成物は、少なくとも1種の界面活性剤をさらに含む。本発明の硬化性アクリレート被覆組成物中に存在する少なくとも1種の該界面活性剤(界面活性剤)は、ケイ素含有界面活性剤を通常含む。一実施形態では、硬化性アクリレート被覆組成物において使用されるケイ素含有界面活性剤は、ジメチコンコポリオールを含む。界面活性剤は、硬化被膜が金型表面から離れるのを助けると考えられる。適切な界面活性剤として、ポリアルキレンオキシド改質ポリジメチルシロキサン界面活性剤であるシルウェット(商標)L−77、ポリアルキレンオキシド改質ポリジメチルシロキサン界面活性剤であるシルウェット(商標)L−720、ポリアルキレンオキシド改質ポリジメチルシロキサン界面活性剤であるシルウェット(商標)L−7600、およびポリアルキレンオキシド改質ポリジメチルシロキサン界面活性剤であるシルウェット(商標)L−7602が挙げられ、全て市販されている。一実施形態では、用いる界面活性剤は、シルウェット(商標)L−7602である。
【0053】
界面活性剤は、硬化性アクリレート組成物中に、該組成物の全重量に対して約0.05〜約0.7重量%に対応する量で通常存在する。他の実施形態では、界面活性剤は、該組成物の全重量に対して約0.1重量%〜約0.5重量%に対応する量で存在する。好ましい実施形態では、界面活性剤は、約0.2重量%〜約0.3重量%に対応する量で存在する。
【0054】
他の実施形態では、本発明は、不飽和酸をさらに含む硬化性アクリレート組成物を提供する。一実施形態では、不飽和酸は、次式VIII
【0055】
【化12】
【0056】
(式中R5およびR6は、水素、−C(O)−OH基、C1〜C6脂肪族基、C3〜C20脂環式基、およびC2〜C20芳香族基からなる群から各出現時、独立に選択される)の化合物を含む。適切な不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、メチレンマロン酸、フマール酸、フェニルフマール酸、フェニルチオフマール酸、マレイン酸およびメチレンコハク酸が挙げられる。一実施形態では、用いる酸は、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選択される。好ましい実施形態では、用いる酸は、アクリル酸である。
【0057】
不飽和酸を含む本発明の実施形態では、不飽和酸は、硬化性アクリレート組成物の全重量に対して約0.1〜約1.0重量%に対応する量で通常存在する。好ましい実施形態では、不飽和酸は、硬化性アクリレート組成物の全重量に対して約0.2〜約0.5重量%に対応する量で存在する。
【0058】
硬化性アクリレート被覆組成物は、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外安定剤、色素、着色剤、帯電防止剤および類似物、ならびに以上の添加剤の少なくとも1種を含む組合せからなる群から選択される1つまたは複数の添加剤を、それらが、組成物の重合または最終用途に有害な影響を及ぼさない限り、任意選択でさらに含み得る。特定の添加剤およびその使用量は、過度の実験をすることなく当業者によって選択できる。
【0059】
本発明の硬化性アクリレート被覆組成物は、均一な組成物を生成するための十分な時間有効に混合し、十分に加熱しながらその成分をブレンドすることによって調製し得る。成分に対して有害な影響を及ぼすことなく、該混合物が均一な組成物を形成する温度とは、該混合物をそこまで加熱してもよい温度を指す。例えば、UCB社のRDX51027多官能性(メタ)アクリレート(60重量部(pbw))、400ppmのスズおよび0.16重量%の式IVを有するPTEを含む式IIIを有するPTEA、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア819光開始剤(0.50pbw)、ならびにGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)をブレンドする場合、85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌すると混合物は均一な組成物を形成する。
【0060】
本発明は、硬化性アクリレート被覆組成物、硬化性アクリレート被覆組成物を調製するための方法、硬化性アクリレート被覆組成物から調製される硬化アクリレート被覆組成物、および前記硬化アクリレート被覆組成物を含む物品を提供するものであり、硬化性アクリレート被覆組成物の式Iを有する成分PTEAは、約400ppm未満のスズ、および約2重量%未満の式IIを有する対応するPTEを含む。約400ppmを超えるスズでスズ不純物を含有する式Iを有するPTEAは、式Iを有するPTEAを1回または複数回塩基洗浄することによって精製してもよく、これによって存在するスズ量は大きく減少するが、精製を受けた式Iを有するPTEA中に存在する恐れのある式IIを有する対応するPTEの量は、僅かしか増加しない。式Iを有するPTEAは、水性塩基に曝露することによって加水分解すると思われる。式Iを有するPTEAを塩基洗浄するときに用いる条件を慎重に選択すると、式Iを有するPTEAが加水分解して式IIを有する対応するPTEおよび対応する(メタ)アクリル酸になる量が最小になり、式Iを有する精製PTEA中の式IIを有する対応するPTE量は2重量%を超えない。用いる塩基は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよび以上の組合せの水溶液からなる群から一般に選択される。例えば、重炭酸ナトリウムの5重量%溶液を用いて、室温で、2350ppmのスズ、および0.14重量%の式IVを有する対応するPTEを含む式IIIを有するPTEAを一回の塩基洗浄にかけると、400ppmのスズ、および0.16重量%の式IVを有する対応するPTEを含む式IIIを有するPTEAが得られた。
【0061】
本発明は、本発明の硬化性アクリレート被覆組成物から調製される硬化アクリレート被覆組成物を用いて作製される物品をも提供する。硬化性アクリレート被覆組成物から物品を形成する場合、粘性のある混合物であれば穏やかな加熱を行いながら真空などを利用すること、および所望の表面上に流延その他によって組成物のフィルムを形成することによって気泡を除去することがしばしば好ましい。図1を参照して、一実施形態では、放射硬化性アクリレート被覆組成物(14)を未被覆ベースフィルム基材(10)の表面に適用する。組成物(14)は、ベースフィルム基材(10)上に適用してよく、次いで、未硬化組成物被膜を有するベースフィルム基材は、ニップロール(16)、と流延ドラム(18)が画定する圧縮ニップを通過することができる。ここで流延ドラム(18)は微細構造(20)の雌型パターンマスターを有してもよい。未硬化フィルム表面の被覆側に微細構造パターンが確実に刻印されるのに十分なやや高い温度に流延ドラム(18)を維持する。圧縮ニップは、未硬化組成物(14)およびベースフィルム基材(10)に十分な圧力をかけることによって、組成物の被膜厚さを制御し、ベースフィルム基材(10)と流延ドラム(18)との両方が十分に双方向接触をするように組成物を押圧して、未硬化組成物(14)と流延ドラム(18)の間の全ての空気を排除する。放射硬化性組成物は、組成物の被膜を有する表面と反対の表面からベースフィルム基材を通って放射エネルギーを与えることによって硬化し、同時に組成物は、ドラムと十分に接触することによってその硬化組成物層中に微細構造パターンが複製される。
【0062】
一実施形態では、硬化性アクリレート被覆組成物は、光硬化させることによって硬化する。他の実施形態では、光硬化は、紫外(以後、UVと呼称する)放射を用いて行われ、UV放射の波長は、約1800オングストローム〜約4000オングストロームに対応する。こうした放射を発生するのに使用するランプ系として、紫外ランプ、ならびに、例えば、キセノン、ハロゲン化金属、金属アーク、低圧または高圧水銀蒸気放電ランプなどの放電ランプが挙げられる。光硬化とは、非粘着性硬化アクリレート組成物を形成するための重合プロセスと架橋プロセスの両者が含まれることを意味する。
【0063】
一実施形態では、硬化性アクリレート被覆組成物は、加熱硬化、熱硬化または電子線硬化を受けることによって硬化する。他の実施形態では、熱硬化が行われる温度は、通常、約80℃〜約130℃に対応する。好ましい実施形態では、該温度は、約90℃〜約110℃に対応する。他の実施形態では、電子線硬化は、通常、約10キログレイ(kGy)〜約100kGyの電子線照射量で行われる。好ましい実施形態では、電子線照射量は、ポリマーの性質および多官能性添加剤の存在量に応じて約50kGy以下であり、必要とされる照射量は、多官能性添加剤の存在によって減少する。多官能性添加剤が存在すると、使用される電子線照射量に対する限界も創出されることがある。ピークは、昇温せん断の増加の水準は、減少するが硬化以前に存在した水準より依然大きいことになる或る水準に達する。硬化性アクリレート被覆組成物を電子線硬化させるのに、米国特許第5981963号に記載の電子線システムが使用でき。
【0064】
硬化被覆組成物を得るために硬化性アクリレート被覆組成物が必要とする加熱時間は、硬化性アクリレート被覆組成物の成分で決まる。通常、該時間は、約30秒〜約24時間に対応する。他の実施形態では、該時間は、約1分〜約10時間に対応する。好ましい実施形態では、該時間は、約2分〜約5時間に対応する。こうした硬化は、段階的に行ってもよく、部分的に硬化し、しばしば粘着性のない組成物を生成した後、より長期間、または上記の範囲内の温度で加熱することにより十分に硬化させる。
【0065】
一実施形態では、硬化性アクリレート被覆組成物は、UV硬化と加熱硬化の両方を用いてもよい。
【0066】
本発明の硬化性アクリレート被覆組成物を使用して調製された物品のヘイズ値は、図2に記載したアセンブリーを用いて測定する。このアセンブリーは、表面微細構造を含む、ポリカーボネートフィルム(28)で被覆された硬化アクリレート被覆組成物(30)で被覆された基材フィルム(10)からなるガラス固定具(26)からなり、該ポリカーボネートフィルム(28)は、被覆硬化基材フィルムの微細構造表面と接触する。被覆ポリカーボネートフィルムの最初のヘイズは、ASTM D1003に記載の手順に従ってBYK−GARDNER HAZE−GARD PLUSの装置を用いて測定する。次いで、このアセンブリーをオーブン中に入れ、所定の間隔で被覆ポリカーボネートフィルムを取り除き、上記のヘイズの発達を求めるために測定する。
【0067】
一実施形態では、本発明は、硬化性アクリレート被覆組成物から調製された物品を提供する。この組成物から作製し得る物品として、例えば、ブラックライトディスプレイで使用するための、照明管理フィルム、光度増強フィルムなどの光学用品;光学レンズ;フレネルレンズ;光ディスク;ディフューザーフィルム、ホログラフィー基材;または、従来のレンズ、プリズムまたは鏡と組み合わせた基材が挙げられる。
【0068】
本発明の物品は、突起および凹部などの複数の実用的な不連続を含む複製された微細構造を備える表面であって、放射硬化後、金型の詳細部を失うことなく、かつ使用中の多様な条件下でそうした詳細の複製を保持して金型から容易に脱離し得る表面を特徴とする。
【0069】
「微細構造」という用語は、本明細書では、米国特許第4576850号において定義され、説明されているものと同様に使用され、その開示は参照により本明細書に組み込まれている。従って、それは、該微細構造を有する物品の所定かつ所望の実用的な目的または機能を示すまたは特徴づける表面構造を意味する。前記物品の表面内の突起および圧痕などの不連続は、中心線より上の表面形状によって囲まれた面積の和が、該線より下の面積の和に等しいように微細構造を貫通して引かれた平均の中心線の上下に形状がずれており、前記の線は、物品の公称表面(微細構造を有する)に基本的に平行である。前記ずれの高さは、表面の代表的な特徴長さ、例えば1〜30cmにわたって光学または電子顕微鏡によって測定した場合、通常約±0.005〜±750ミクロンとなろう。前記平均の中心線は、ピアノ、凹形、凸形、非球面またはそれらの組合せでよい。前記ずれが、小さいオーダー、例えば、±0.005〜±0.1、または好ましくは±0.05ミクロンであり、前記ずれが、まれまたは最小にしか起らない、すなわち、表面に有意な不連続がない物品は、微細構造保持表面が基本的に「平面」または「平滑」表面である物品であり、そうした物品は、例えば、精密光学要素、または眼科用レンズなどの精密光学界面を備えた要素として有用である。前記ずれが、小さいオーダーで頻繁に起る物品として、反射防止微細構造を有する物品が挙げられる。前記ずれが、大きいオーダー、例えば、±0.1〜±750ミクロンであり、同じまたは異なり、間隔がありまたはランダムもしくは規則性様式で連続である複数の実用的な不連続を含む微細構造に起因している物品は、逆反射立方角板、線状フレネルレンズ、ビデオディスクおよびLMFなどの物品である。微細構造保持表面は、前記の小さいオーダーと大きいオーダー両方の実用的な不連続を含み得る。異質または非実用性不連続は、その量または種類が、前記物品の所定かつ所望の実用性を著しく妨害または侵害しない限り、微細構造保持表面に含まれてもよい。硬化時の収縮がこうした妨害性の異質な不連続をもたらさない特定のオリゴマー性組成物、例えば、2〜6%しか収縮しない組成物を選択することが通常必要また望ましいことがあり、こうした要件は、本発明の硬化性アクリレート組成物によって満たされる。
【0070】
この物品は、強靭性、可撓性、光学的透明性および均一性、ならびに普通の溶媒への耐性などの所望の多様な特性を有する。こうした物品の微細構造は、高い熱寸法安定性、耐磨耗性および耐衝撃性、ならびに物品を大きく180度まで曲げた場合でも完全性を有する。一実施形態では、硬化アクリレート被覆組成物を用いて作製した物品の屈折率は少なくとも1.57である。
【0071】
例示的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、多様な変更をなし、その要素を等価物で代替し得ることは当業者には理解されよう。加えて、本発明の教示の基本的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料に適合させるために本発明の教示に対する多数の改変をなし得る。従って、本発明は、本発明を実施するために企図された最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものでなく、添付の特許請求の範囲の中に入る全ての実施形態を含むことになることを意図するものである。
以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに例示する。
【実施例】
【0072】
以下の実施例は、本発明において特許請求された方法を評価するための詳細な説明を当業者に提供するために記載されるものであり、本発明者らがその発明であると見なすものの範囲を限定するものではない。別段の指示がない限り、部数は重量基準であり、温度は℃である。
【0073】
図2に表されたポリカーボネートフィルムにおいて発現するヘイズ値は、ASTM手順D1003によって測定する。
【0074】
実施例においてPTEAおよびPTEと呼称されるものは、それぞれ、式IIIを有するPTEA、および式IVを有する対応するPTEである。不純物、すなわち、スズ量、およびPTEA中のPTE量は、以下の表に含まれている。
【0075】
実験
比較例1〜5は、不純物PTEおよび不純物スズを含有するPTEAを含む組成物を用いて調製した多層フィルムの性能に及ぼす残留PTEおよび残留スズ触媒の負の影響を例示する。
【0076】
比較例1の硬化性アクリレート被覆組成物を、UCB社のRDX51027エポキシアクリレート(60重量部(pbw))、PTEA(40pbw;0.14重量%のPTEおよび2350ppmのスズ含有)、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア819光開始剤(0.50pbw)、およびGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)を合わせることによって調製した。この混合物を85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌し、均一溶液を得た。
【0077】
比較例2〜5の硬化性アクリレート被覆組成物を、比較例1と類似の方式で調製したが、加えて、以下の表1に示すように組成物に各種の量のPTEを添加した。
【0078】
次いで、ポリカーボネート基材フィルムと、複製微細構造を含む硬化アクリレートフィルム層とを含む多層フィルムを調製する場合に、表1に示した組成物をそれぞれ使用した。アルバマ州バーミンガムのイノバティブマシン社製造の特注被膜用機械を使用して、図1に示すように、多層フィルムを調製した。比較例1で説明したのと同様に調製した硬化性アクリレート被覆組成物5グラムを、ニップロール(16)と流延ドラム(18)の間に被膜ビーズ(14)を置き、ニップロール(16)と流延ドラム(18)の間に未被覆基材フィルムを通過させることによって、比較例1で説明したのと同様に調製した硬化性アクリレート被覆組成物5グラムを、被膜ビーズ(14)としてウェブ(12)全体に適用した。流延ドラムを50℃に保持した。流延ドラムには、その外表面に取り付けた金属金型(20)が装着されており、該金属金型は、表面微細構造を含む。Vバルブを備えた高強度ランプ(20)を用いて、硬化性アクリレート被覆組成物を硬化させた。ウェブ(12)を50フィート/分で動作させた。
【0079】
上記のように調製した多層フィルムの熱エージングを、以下の方式で実施した。図2に示すように、ポリカーボネートフィルム(28)の保護シートとともにガラス固定具(26)内に各フィルムを組み立てた。この方式においてフィルムを組み立てる前に、ASTM D1003に記載の手順に従って、BYK−GARDNER HAZE−GARD PLUSの装置を用いて、ポリカーボネートフィルム(28)の各保護シートのヘイズ%を測定した。次いで、複製した微細構造を含む硬化性アクリレート被覆組成物(24)によって被覆された基材、すなわちこの場合はポリカーボネートフィルムである基材を備えたポリカーボネートフィルム(28)を含むガラス固定具を、約85℃に保持したオーブン中に置いた。様々な時間間隔で、該アセンブリーをオーブンから取り出し、ポリカーボネートフィルム(28)シートのヘイズを上記のように測定した。
【0080】
熱エージング試験の結果を以下の表1に例示し、図3に示す。図3のデータは、硬化性アクリレート被覆組成物中の残留PTEおよび残留スズの存在が、多層フィルム中の複製微細構造のあるフィルム表面に隣接したポリカーボネートフィルム層のヘイズ発達の元であることを示し、従って、隣接したポリカーボネートフィルムが、用いた硬化性アクリレート組成物中に最初から存在するPTEおよびスズの不純物の存在に敏感であることを示している。85℃で1000時間後の約0.4%ヘイズの形成は、望ましくないヘイズの水準であることを示す。
【0081】
【表1】
【0082】
実施例1〜5は、硬化性アクリレート被覆組成物の他の成分と混合する前に用いたPTEAを水性塩基によって1回または複数回洗浄した点を除けば、比較例1で説明したのと同一の硬化性アクリレート被覆組成物を用いた。実施例1〜5は、塩基で洗浄すると、PTEA中に存在するスズの濃度が劇的に減少するが、PTE量は中程度しか増加しないことを例示する。PTEの濃度の増加は、PTEAの加水分解が塩基によって誘起されたためであると考えられる。このような実施例によって、精製PTEA中のスズ不純物濃度が減少すると、この精製PTEAを用いて調製した多層フィルムの性能に対して正の効果があることが実際に示される。
【0083】
実施例1では、PTEA1リットル(スズ2350ppmおよびPTE0.14%を含有)に、5%重炭酸ナトリウム溶液100ミリリットル(ml)を加え、混合物を約1分間激しくシェークした。層を放置して水性層と有機層に分離した。PTEAを含む有機層を分離し、有機層中に硫酸マグネシウム5g/PTEA100gを加えてスラリー化し、ろ過した。分析した結果、塩基で洗浄したPTEA層中には、スズ400ppmおよびPTE0.16%が存在した。表2に記載した変更とともに、上記の精製プロセスを実施例2〜5において使用した。
【0084】
次いで、実施例1〜5の塩基洗浄したPTEAをそれぞれ用いることによって硬化性アクリレート被覆組成物を調製した。実施例1〜5の硬化性アクリレート被覆組成物を、UCB社.のRDX51027エポキシアクリレート(60重量部(pbw))、PTEA(40pbw;表2に記載したような多様な塩基洗浄をしたPTEA)、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア 819光開始剤(0.50pbw)、およびGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)を合わせることによって調製した。該混合物を85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌し、均一溶液を得た。
【0085】
比較例1において説明したのと同様な方式で、ポリカーボネート基材フィルムと、複製微細構造を含む硬化アクリレートフィルム層とを含む多層フィルムを調製する際に、このような硬化性アクリレート被覆組成物をそれぞれ用いた。実施例1〜5の硬化性アクリレート被覆組成物を用いて調製した多層フィルムの熱エージングを、比較例1と同様な方式で実施した。
【0086】
【表2】
【0087】
比較例6では、実施例1〜5で用いたPTEA(当初、塩基洗浄の前、スズ2350ppmおよびPTE0.14%を含有)を塩基洗浄なしで用いることによって比較例1に対して説明したように硬化性アクリレート被覆組成物を調製した。次いで、硬化性アクリレート被覆組成物を用いることによって多層フィルムを調製し、該多層フィルムを上記したような熱エージングにかけた。上記の表2および図4に示すように、比較例6の組成物を用いて調製した多層フィルムに対して得たヘイズ値を、実施例1で得たヘイズ値と比較した。
【0088】
実施例1および比較例6の硬化性アクリレート被覆組成物を用いて調製した多層フィルムに対して得たヘイズ値を示す図4によって例示される結果は、塩基洗浄したPTEAを含む硬化性アクリレート被覆組成物を用いることによって多層フィルムを調製した場合、該フィルムのヘイズへの傾向がより小さいことを示す。
【0089】
実施例6〜9は、硬化性アクリレート組成物を調製するのに用いたPTEAを1回塩基洗浄し、アクリル酸および/またはPTEとも混合した点を除けば、比較例1で説明したのと同一の硬化性アクリレート組成物を用いた。次いで、硬化性アクリレート被覆組成物をそれぞれ用いることによって多層フィルムを調製し、該フィルムを上記のように熱エージングにかけた。実施例6〜9は、フィルムを調製するのに用いた硬化性アクリレート被覆組成物が、アクリル酸および塩基洗浄1回のPTEAを含む場合、多層フィルムの性能が改良されることを例示する。
【0090】
実施例6の硬化性アクリレート被覆組成物を、UCB社のRDX51027エポキシアクリレート(60重量部(pbw))、塩基洗浄1回のPTEA(40pbw;実施例1における調製と同様)、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア819光開始剤(0.50pbw)、およびGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)を合わせることによって調製した。該混合物を85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌し、均一溶液を得た。
【0091】
実施例7、8および9の硬化性アクリレート被覆組成物を、実施例6の硬化性アクリレート被覆組成物に指定量のアクリル酸および/またはPTEを加えることによって調製したが、これらは以下の表3に含まれる。
【0092】
実施例6〜9の硬化性アクリレート被覆組成物を用いて、図2に示したのと同様な多層フィルムを調製し、熱エージング試験を上記のように実施した。
【0093】
以下の表3および図5に示した結果は、1.5%などのより高い濃度のPTEが硬化性アクリレート被覆組成物中に存在する場合でも、アクリル酸は、熱エージング中のヘイズに対する傾向を減少させるのに有効であるように思われることを示す。
【0094】
【表3】
【0095】
実施例10〜12では、硬化性アクリレート被覆組成物を調製するのに用いたPTEAを1回塩基洗浄し、任意選択でPTEをも加えた点を除けば、比較例1で説明したのと同一の硬化性アクリレート被覆組成物を用いた。次いで、硬化性アクリレート被覆組成物をそれぞれ用いることによって多層フィルムを調製し、該フィルムを上記のように熱エージングにかけた。実施例10〜12は、1回塩基洗浄したPTEAを用いて調製した硬化アクリレート被覆組成物により、該組成物を用いて調製した多層フィルムの性能が改良されることを例示する。
【0096】
実施例10の硬化性アクリレート被覆組成物を、UCB社のRDX51027エポキシアクリレート(60重量部(pbw))、塩基洗浄1回のPTEA(40pbw;実施例1における調製と同様)、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア819光開始剤(0.50pbw)、およびGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)を合わせることによって調製した。該混合物を85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌して均一溶液を得た。
【0097】
実施例11および12の硬化性アクリレート被覆組成物を、実施例10の硬化性アクリレート被覆組成物に指定量のPTEを加えることによって調製したが、これらは以下の表4に含まれる。
【0098】
実施例10〜12の硬化性アクリレート被覆組成物を用いて、図2に示したのと同様な多層フィルムを調製し、熱エージング試験を上記のように実施した。
【0099】
以下の表4および図6に示した結果は、硬化性アクリレート被覆組成物の調製において塩基洗浄したPTEAを用いると、硬化性アクリレート被覆組成物中にも存在する恐れのある少量のPTEの存在に対して該組成物が敏感でなくなることを示す。
【0100】
【表4】
【0101】
実施例13〜15は、硬化性アクリレート被覆組成物を調製するのに用いたPTEAを2回塩基洗浄し、任意選択でPTEをも加えた点を除けば、比較例1で説明したのと同一の硬化性アクリレート被覆組成物を用いた。次いで、硬化性アクリレート被覆組成物をそれぞれ用いることによって多層フィルムを調製し、該フィルムを上記のように熱エージングにかけた。実施例13〜15は、2回塩基洗浄したPTEAを用いて調製した硬化アクリレート被覆組成物により、該組成物を用いて調製した多層フィルムの性能が改良されることを例示する。
【0102】
実施例13の硬化性アクリレート被覆組成物を、UCB社.のRDX51027エポキシアクリレート(60重量部(pbw))、塩基洗浄2回のPTEA(40pbw;実施例2における調製と同様)、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア819光開始剤(0.50pbw)、およびGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)を合わせることによって調製した。該混合物を85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌して均一溶液を得た。
【0103】
実施例14および15の硬化性アクリレート被覆組成物を、実施例13の硬化性アクリレート被覆組成物に指定量のPTEを加えることによって調製したが、これらは以下の表5に含まれる。
【0104】
実施例13〜15の硬化性アクリレート被覆組成物を用いて、図2に示したのと同様な多層フィルムを調製し、熱エージング試験を上記のように実施した。
【0105】
以下の表5および図7に示した結果は、硬化性アクリレート被覆組成物の調製において2回塩基洗浄したPTEAを用いると、硬化性アクリレート被覆組成物中にも存在する恐れのある少量のPTEの存在に対して該組成物が敏感でなくなることを示す。
【0106】
【表5】
【0107】
実施例16〜18は、硬化性アクリレート被覆組成物を調製するのに用いたPTEAを3回塩基洗浄し、任意選択でPTEをも加えた点を除けば、比較例1で説明したのと同一の硬化性アクリレート被覆組成物を用いた。次いで、硬化性アクリレート被覆組成物をそれぞれ用いることによって多層フィルムを調製し、該フィルムを上記のように熱エージングにかけた。実施例16〜18は、3回塩基洗浄したPTEAを用いて調製した硬化アクリレート被覆組成物により、該組成物を用いて調製した多層フィルムの性能が改良されることを例示する。
【0108】
実施例13の硬化性アクリレート被覆組成物を、UCB社のRDX51027エポキシアクリレート(60重量部(pbw))、塩基洗浄3回のPTEA(40pbw;実施例3における調製と同様)、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア819光開始剤(0.50pbw)、およびGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)を合わせることによって調製した。該混合物を85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌して均一溶液を得た。
【0109】
実施例17および18の硬化性アクリレート被覆組成物を、実施例16の硬化性アクリレート被覆組成物に指定量のPTEを加えることによって調製したが、これらは以下の表6に含まれる。
【0110】
実施例16〜18の硬化性アクリレート被覆組成物を用いて、図2に示したのと同様な多層フィルムを調製し、熱エージング試験を上記のように実施した。
【0111】
以下の表6および図8に示した結果は、硬化性アクリレート被覆組成物の調製において3回塩基洗浄したPTEAを用いると、硬化性アクリレート被覆組成物中にも存在する恐れのある少量のPTEの存在に対して該組成物が敏感でなくなることを示す。
【0112】
【表6】
【0113】
実施例19〜21は、硬化性アクリレート被覆組成物を調製するのに用いたPTEAを4回塩基洗浄し、任意選択でPTEをも加えた点を除けば、比較例1で説明したのと同一の硬化性アクリレート被覆組成物を用いた。次いで、硬化性アクリレート被覆組成物をそれぞれ用いることによって多層フィルムを調製し、該フィルムを上記のように熱エージングにかけた。実施例19〜21は、4回塩基洗浄したPTEAを用いて調製した硬化アクリレート被覆組成物により、該組成物を用いて調製した多層フィルムの性能が改良されることを例示する。
【0114】
実施例19の硬化性アクリレート被覆組成物を、UCB社.のRDX51027エポキシアクリレート(60重量部(pbw))、塩基洗浄4回のPTEA(40pbw;実施例4における調製と同様)、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア819光開始剤(0.50pbw)、およびGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)を合わせることによって調製した。該混合物を85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌して均一溶液を得た。
【0115】
実施例20および21の硬化性アクリレート被覆組成物を、実施例19の硬化性アクリレート被覆組成物に指定量のPTEを加えることによって調製したが、これらは以下の表7に含まれる。
【0116】
実施例19〜21の硬化性アクリレート被覆組成物を用いて、図2に示したのと同様な多層フィルムを調製し、熱エージング試験を上記のように実施した。
【0117】
以下の表7および図9に示した結果は、硬化性アクリレート被覆組成物の調製において4回塩基洗浄したPTEAを用いると、硬化性アクリレート被覆組成物中にも存在する恐れのある少量のPTEの存在に対して該組成物が敏感でなくなることを示す。
【0118】
【表7】
【0119】
実施例22〜24は、硬化性アクリレート被覆組成物を調製するのに用いたPTEAを5回塩基洗浄し、任意選択でPTEをも加えた点を除けば、比較例1で説明したのと同一の硬化性アクリレート被覆組成物を用いた。次いで、硬化性アクリレート被覆組成物をそれぞれ用いることによって多層フィルムを調製し、該フィルムを上記のように熱エージングにかけた。実施例22〜24は、5回塩基洗浄したPTEAを用いて調製した硬化アクリレート被覆組成物により、該組成物を用いて調製した多層フィルムの性能が改良されることを例示する。
【0120】
実施例22の硬化性アクリレート被覆組成物を、UCB社のRDX51027エポキシアクリレート(60重量部(pbw))、塩基洗浄5回のPTEA(40pbw;実施例5における調製と同様)、チバスペシャリティーケミカルズ社のイルガキュア819光開始剤(0.50pbw)、およびGEシリコーンズ社のシルウェット7602シリコーンコポリマー(0.25pbw)を合わせることによって調製した。該混合物を85℃まで加熱し、30分間に数回攪拌して均一溶液を得た。
【0121】
実施例23および24の硬化性アクリレート被覆組成物を、実施例22の硬化性アクリレート被覆組成物に指定量のPTEを加えることによって調製したが、これらは以下の表8に含まれる。
【0122】
実施例22〜24の硬化性アクリレート被覆組成物を用いて、図2に示したのと同様な多層フィルムを調製し、熱エージング試験を上記のように実施した。
【0123】
以下の表8および図10に示した結果は、硬化性アクリレート被覆組成物の調製において5回塩基洗浄したPTEAを用いると、硬化性アクリレート被覆組成物中にも存在する恐れのある少量のPTEの存在に対して該組成物が敏感でなくなることを示す。
【0124】
【表8】
【0125】
ヘイズを制御するための本発明の方法の有用性は、式IIIの非置換PTEAを含有するUV硬化性アクリレート被覆組成物を含む物品におけるヘイズの制御を用いて本明細書で実験的に例示されるが、本発明は、多様な置換PTEAを含む組成物であって、一般に、加熱またはUVを用いて硬化し得る組成物を用いて作製される物品におけるヘイズの制御を包含する。従って、以下の説明および実験的な詳細は、非置換PTEAから作製される物品のヘイズの制御に焦点を合わせているが、本発明は、それに限定されることは全くない。広い意味では、本発明は、約400ppm未満のスズおよび約2重量%未満の対応PTEを含有する任意かつ全てのPTEAから作製される物品のヘイズの制御を含む。
【0126】
本発明の好ましい実施形態を特に参照して本発明を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲内で変形および改変を実現し得ることは当業者には理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】被膜用機械を示す図である。
【図2】被覆した基材フィルム(24)を熱エージングにかけるために使用するアセンブを示す図である。
【図3】被覆基材フィルムのヘイズ値と85℃での経過時間の関係を表した図である。
【図4】被覆基材フィルムのヘイズ値と85℃での経過時間の関係を表した図である。
【図5】被覆基材フィルムのヘイズ値と85℃での経過時間の関係を表した図である。
【図6】被覆基材フィルムのヘイズ値と85℃での経過時間の関係を表した図である。
【図7】被覆基材フィルムのヘイズ値と85℃での経過時間の関係を表した図である。
【図8】被覆基材フィルムのヘイズ値と85℃での経過時間の関係を表した図である。
【図9】被覆基材フィルムのヘイズ値と85℃での経過時間の関係を表した図である。
【図10】被覆基材フィルムのヘイズ値と85℃での経過時間の関係を表した図である。
【符号の説明】
【0128】
10 基材フィルム
12 ウェブ
14 被覆ビーズ
16 ニップロール
18 流延ドラム
22 Vバルブ
24 被覆基材フィルム
26 ガラス固定具
28 ポリカーボネートフィルム
30 微細構造
32 経過時間
34 ヘイズ値
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式I
【化1】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有し、約400ppm未満のスズを含み、約2重量%未満の次式II
【化2】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有する対応するフェニルチオエタノールを含むフェニルチオエチルアクリレートと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと、
少なくとも1種の硬化剤と
を含む組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の不飽和酸をさらに含み、該不飽和酸が、組成物の全重量に対して約0.1〜約1.0重量%に対応する量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記フェニルチオエチルアクリレートが、次式IIIを有し、
【化3】
該フェニルチオエチルアクリレートが、約400ppm未満のスズを含み、該フェニルチオエチルアクリレートが、約2重量%未満の次式IVを有する対応するフェニルチオエタノール
【化4】
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
多官能性(メタ)アクリレートが、次式V
【化5】
(式中、R3は、水素またはC1〜C10脂肪族基であり、X1は、OまたはSであり、R4は、C1〜C20脂肪族基、C3〜C30芳香族基、およびC3〜C20脂環式基からなる群から選択され、「n」は、2〜4の値を有する整数である)によって表される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記多官能性(メタ)アクリレートが、次式VIIによって表される、請求項1に記載の組成物。
【化6】
【請求項7】
前記硬化剤が、紫外硬化剤および熱硬化剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤が、ケイ素含有界面活性剤からなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
前記不飽和酸が、次式VIII
【化7】
(式中、R5およびR6は、水素、−C(O)−OH基、C1〜C6脂肪族基、C3〜C20脂環式基、C2〜C20芳香族基からなる群から、各出現時、独立に選択される)を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項10】
前記不飽和酸が、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項11】
前記フェニルチオエチルアクリレートが、組成物の全重量に対して約35重量%〜約45重量%に対応する量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記多官能性(メタ)アクリレートが、組成物の全重量に対して約55重量%〜約65重量%に対応する量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記不飽和酸が、組成物の全重量に対して0.2重量%〜約0.5重量%に対応する量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項14】
混合物を形成するために成分(a)〜(c)をブレンドするステップであって、
(a)が、次式I
【化8】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、R2は、C1〜C10脂肪族基であり、「n」は、0〜5の値である)を有し、約400ppm未満のスズを含み、約2重量%未満の次式II
【化9】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有する対応するフェニルチオエタノールを含むフェニルチオエチルアクリレートであり、
(b)が、少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートであり、
(c)が、少なくとも1種の硬化剤である
ステップと、
該混合物を加熱することにより均一な組成物を形成するステップとを含む、組成物を調製するための方法。
【請求項15】
次式I
【化10】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、R2は、C1〜C10脂肪族基であり、「n」は、0〜5の値である)を有し、約400ppm未満のスズを含み、約2重量%未満の次式II
【化11】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有する対応するフェニルチオエタノールを含むフェニルチオエチルアクリレートと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと、
少なくとも1種の硬化剤と
から誘導される構造単位とを含む物品。
【請求項16】
硬化剤が、重合を促進するのに有効である光開始剤である、請求項14に記載の物品。
【請求項17】
被覆されたフィルム表面上に複製した微細構造を有する、請求項14に記載の物品。
【請求項18】
硬化アクリレート被覆組成物の屈折率が、少なくとも1.57である、請求項14に記載の物品。
【請求項19】
次式III
【化12】
を有し、約400ppm未満のスズを含み、約2重量%未満の次式IV
【化13】
を有する対応するフェニルチオエタノールを含むフェニルチオエチルアクリレートと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと、
少なくとも1種の硬化剤と
を含む組成物。
【請求項20】
少なくとも1種の不飽和酸をさらに含み、該不飽和酸が、組成物の全重量に対して約0.1重量%〜約1.0重量%に対応する量で存在する、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
次式I
【化14】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有し、約400ppm未満のスズを含み、約2重量%未満の次式II
【化15】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有する対応するフェニルチオエタノールを含むフェニルチオエチルアクリレートと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと
から誘導される構造単位を含む硬化アクリレート被覆組成物。
【請求項22】
次式I
【化16】
(R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有し、約400ppm未満のスズを含み、約2重量%未満の次式II
【化17】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有する対応するフェニルチオエタノールを含むフェニルチオエチルアクリレートと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと
から誘導される構造単位を含む、基材上の硬化アクリレート被覆組成物。
【請求項23】
前記組成物が、次式I
【化18】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有し、約400ppm未満のスズを含み、約2重量%未満の式IIを有する対応するフェニルチオエタノールを含むフェニルチオエチルアクリレートから誘導される構造単位
を含む、基材上の光度増強フィルム。
【請求項24】
ディスプレイを製造するのに使用される、請求項23に記載の光度増強フィルム。
【請求項1】
次式I
【化1】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有し、約400ppm未満のスズを含み、約2重量%未満の次式II
【化2】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有する対応するフェニルチオエタノールを含むフェニルチオエチルアクリレートと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと、
少なくとも1種の硬化剤と
を含む組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の不飽和酸をさらに含み、該不飽和酸が、組成物の全重量に対して約0.1〜約1.0重量%に対応する量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記フェニルチオエチルアクリレートが、次式IIIを有し、
【化3】
該フェニルチオエチルアクリレートが、約400ppm未満のスズを含み、該フェニルチオエチルアクリレートが、約2重量%未満の次式IVを有する対応するフェニルチオエタノール
【化4】
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
多官能性(メタ)アクリレートが、次式V
【化5】
(式中、R3は、水素またはC1〜C10脂肪族基であり、X1は、OまたはSであり、R4は、C1〜C20脂肪族基、C3〜C30芳香族基、およびC3〜C20脂環式基からなる群から選択され、「n」は、2〜4の値を有する整数である)によって表される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記多官能性(メタ)アクリレートが、次式VIIによって表される、請求項1に記載の組成物。
【化6】
【請求項7】
前記硬化剤が、紫外硬化剤および熱硬化剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤が、ケイ素含有界面活性剤からなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
前記不飽和酸が、次式VIII
【化7】
(式中、R5およびR6は、水素、−C(O)−OH基、C1〜C6脂肪族基、C3〜C20脂環式基、C2〜C20芳香族基からなる群から、各出現時、独立に選択される)を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項10】
前記不飽和酸が、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項11】
前記フェニルチオエチルアクリレートが、組成物の全重量に対して約35重量%〜約45重量%に対応する量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記多官能性(メタ)アクリレートが、組成物の全重量に対して約55重量%〜約65重量%に対応する量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記不飽和酸が、組成物の全重量に対して0.2重量%〜約0.5重量%に対応する量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項14】
混合物を形成するために成分(a)〜(c)をブレンドするステップであって、
(a)が、次式I
【化8】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、R2は、C1〜C10脂肪族基であり、「n」は、0〜5の値である)を有し、約400ppm未満のスズを含み、約2重量%未満の次式II
【化9】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有する対応するフェニルチオエタノールを含むフェニルチオエチルアクリレートであり、
(b)が、少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートであり、
(c)が、少なくとも1種の硬化剤である
ステップと、
該混合物を加熱することにより均一な組成物を形成するステップとを含む、組成物を調製するための方法。
【請求項15】
次式I
【化10】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、R2は、C1〜C10脂肪族基であり、「n」は、0〜5の値である)を有し、約400ppm未満のスズを含み、約2重量%未満の次式II
【化11】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有する対応するフェニルチオエタノールを含むフェニルチオエチルアクリレートと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと、
少なくとも1種の硬化剤と
から誘導される構造単位とを含む物品。
【請求項16】
硬化剤が、重合を促進するのに有効である光開始剤である、請求項14に記載の物品。
【請求項17】
被覆されたフィルム表面上に複製した微細構造を有する、請求項14に記載の物品。
【請求項18】
硬化アクリレート被覆組成物の屈折率が、少なくとも1.57である、請求項14に記載の物品。
【請求項19】
次式III
【化12】
を有し、約400ppm未満のスズを含み、約2重量%未満の次式IV
【化13】
を有する対応するフェニルチオエタノールを含むフェニルチオエチルアクリレートと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと、
少なくとも1種の硬化剤と
を含む組成物。
【請求項20】
少なくとも1種の不飽和酸をさらに含み、該不飽和酸が、組成物の全重量に対して約0.1重量%〜約1.0重量%に対応する量で存在する、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
次式I
【化14】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有し、約400ppm未満のスズを含み、約2重量%未満の次式II
【化15】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有する対応するフェニルチオエタノールを含むフェニルチオエチルアクリレートと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと
から誘導される構造単位を含む硬化アクリレート被覆組成物。
【請求項22】
次式I
【化16】
(R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有し、約400ppm未満のスズを含み、約2重量%未満の次式II
【化17】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有する対応するフェニルチオエタノールを含むフェニルチオエチルアクリレートと、
少なくとも1種の多官能性(メタ)アクリレートと
から誘導される構造単位を含む、基材上の硬化アクリレート被覆組成物。
【請求項23】
前記組成物が、次式I
【化18】
(式中、R1は、C1〜C10脂肪族基、C3〜C20芳香族基、およびC3〜C12脂環式基からなる群から、各出現時、独立に選択され、「n」は、0〜5の値である)を有し、約400ppm未満のスズを含み、約2重量%未満の式IIを有する対応するフェニルチオエタノールを含むフェニルチオエチルアクリレートから誘導される構造単位
を含む、基材上の光度増強フィルム。
【請求項24】
ディスプレイを製造するのに使用される、請求項23に記載の光度増強フィルム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2008−535944(P2008−535944A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500808(P2008−500808)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/007920
【国際公開番号】WO2006/096643
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【復代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
【復代理人】
【識別番号】100106138
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 政幸
【復代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/007920
【国際公開番号】WO2006/096643
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【復代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
【復代理人】
【識別番号】100106138
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 政幸
【復代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
【Fターム(参考)】
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