説明

硬化性ポリマー混合物

本発明は、加水分解性シラン基と他の官能基とを有するオリゴマーの付加生成物である少なくとも1つのカップリング添加剤と、エポキシ基担持ポリマー及び硬化剤を有する硬化性ポリマー系と、充填剤と、場合により助剤とを含む硬化性ポリマー混合物に関する。 本発明は、更に、相当するポリマーコンクリート混合物及びそれより製造された成形体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、I)カップリング添加剤として、少なくとも1つの加水分解性シラン基及び他の官能基、好ましくはアミノ基、を有する少なくともオリゴマーの付加生成物を少なくとも1つと、II)結合剤として、少なくとも1つのカップリングエポキシ基を有する少なくとも1つの硬化性ポリマーと、少なくとも1つの硬化剤成分と、場合により促進剤とを含む硬化系と、さらにIV)場合により慣用の助剤2つとを含む硬化性の骨材含有ポリマー混合物に関し、その製造及び任意の形状の硬化ポリマー含有成形体、好ましくはポリマーコンクリート、へのその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
種々の組成の硬化性ポリマー混合物は、様々に使用され、ポリマーコンクリートの製造にも使用される。
【0003】
ポリマーコンクリートは、骨材として知られている岩石粒子を結び付ける結合剤として、通常のコンクリートとは異なり、ポリマーを有する。骨材は、多様な岩石粒度を有し得、通常、微細粒子から粗大粒子に及ぶ範囲で使用される。このことは、種々の粒度の混合に応じて、95重量%までの充填度を可能にする。硬化後に、骨材がその中に分布されているポリマーマトリックス、即ちポリマーコンクリートを生じる、エポキシ樹脂系などの種々のポリマーを、ポリマー結合剤として使用することが可能である。
【0004】
優れた機械的性質、例えば曲げ強度、引張強度、圧縮強度及び衝撃曲げ強さ、更に申し分の無い弾性率、を有することは、ポリマーコンクリートの品質にとり重要であり、これは、ポリマーマトリックスと、ポリマーマトリックスにより結合される骨材との間の、非常に良好な相互作用、即ち接着、によってのみもたらされる。この相互作用が更に効果的になればなるほど、ポリマーコンクリートの品質は一層高くなる。このことは、他の使用分野での成形体又は成形品の製造のために製造される、特に高い充填度を有する他の硬化性ポリマー混合物にも当てはまる。
【0005】
更に、まだ硬化していないポリマー混合物は、低い粘度を有するので、加工を平易にでき、かつ充填剤を用いて充填度を増加させ得ることは、極めて重要である。しかしながら、低い粘度にもかかわらず、硬化すべきポリマー混合物の迅速な硬化も可能であらねばならない。
【0006】
充填エポキシシラン樹脂のメカニズムを改良するためにエポキシ−又はアミノ−官能性低分子量アルコキシシランを使用することは、種々の刊行物、例えば、J.Appl.Polym.Sci.2003,87,787;Mat.Res.Soc.Symp.Proc.2002,710,159;Korea Polym.J.1997,5,1760;J.Appl.Polym.Sci.1997,65,1975;Polymer Composites 1987,8,314;J.Adhesion 1985,19,15;Polym.Polym.Composites 1999,7,177;Kunststoffe 1978,68,65又はAdv.Polym.Sci.1989,88,1に記載されている。
【0007】
これらの低分子量のアルコキシシランを使用すると、アルコキシシラン基の加水分解で形成される相対的に大量のアルコールが遊離する。これらのアルコール、例えばメタノール又はエタノールは、揮発性で容易に引火する化合物なので、望ましくない副産物であるばかりか、健康上害がある。例えばメタノールは、吸入、嚥下又は皮膚接触及び他の露出をすると、ヒト及び動物に取り返しのつかぬ害を及ぼすその毒性ゆえに、健康上害がある。
【0008】
更に、多数の使用分野で公知のエポキシ樹脂に基づくポリマー混合物、特にポリマーコンクリート混合物は、望ましい前記の加工特性を有さないか、又はそれから得られる硬化ポリマー製品、好ましくはポリマーコンクリートは、前記機械的性質を満足な程度まで常に有すわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのため、本発明の目的は、環境及び安全性リスクを著しく減じると共に、改良された加工を保証する、エポキシ樹脂に基づく硬化性ポリマー混合物、好ましくはポリマーコンクリート混合物を提供することであり、これから製造される硬化ポリマー組成物、好ましくはポリマーコンクリート、は、前記公知生成物に比べて改良された機械的性質までも有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、
I)カップリング添加剤として、
a)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのアミノシラン及び場合によりチオシラン、又は
少なくとも1つの前記アミノシラン及び/又はチオシランと、少なくとも1つの他のモノアミン及び/又は少なくとも2つのアミノ基を有するポリアミンとの組合わせが、
少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの化合物に付加した少なくともオリゴマーの付加生成物の少なくとも1つ、及び/又は
b)少なくとも1つのモノアミン及び/又は少なくとも2つのアミノ基を有するポリアミンと組み合わされた、少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのイソシアネートシラン及び/又はエポキシシランが、
少なくとも1つの末端ヒドロキシル基及び少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの化合物に付加した少なくともオリゴマーの付加生成物の少なくとも1つ、及び/又は
c)少なくとも1つの加水分解性シラン基及び少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1つのシラン、又は
少なくとも1つの加水分解性シラン基及び少なくとも1つの環状ジカルボン酸無水物基を有する少なくとも1つのシランが、
少なくとも2つの末端アミノ基を有する少なくとも1つの化合物に付加した少なくともオリゴマーの付加生成物の少なくとも1つ、及び/又は
d)場合により少なくとも1つのモノイソシアネート化合物及び/又はエポキシ化合物と組み合わされた、少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのイソシアネートシラン及び/又はエポキシシランが、
少なくとも2つの末端アミノ基を有する少なくとも1つの化合物に付加した少なくともオリゴマーの付加生成物の少なくとも1つ、及び/又は
e)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのアミノシラン及び/又はチオシランが、
少なくとも2つの末端エポキシ基を有する少なくとも1つの化合物に付加した少なくともオリゴマーの付加生成物の少なくとも1つ
と、
II)結合剤として、少なくとも2つのエポキシ末端基を有し、前記エポキシ基と成分I)a)〜成分I)d)のうちの少なくとも1つの成分のアミノ基及び/又は成分I)e)のエポキシ基との相互作用により少なくとも部分的に硬化し得る少なくとも1つのポリマーからなる硬化系と、少なくとも1つの他の硬化剤成分と、場合により促進剤とを含み、
III)骨材として、ポリマー混合物の総重量に対して、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも40重量%、特に好ましくは少なくとも60重量%の無機の、場合により多粒子状の充填剤と、
IV)場合により慣用の助剤と
を含む本発明による硬化性ポリマー混合物、好ましくは硬化性ポリマーコンクリート混合物、の提供により達成される。
【0011】
これらの少なくともオリゴマーの付加生成物の使用は、本発明のポリマー混合物、詳細にはポリマーコンクリート混合物、の加工性の改良を可能にし、優れた機械的性質を有するポリマーコンクリートなどの硬化製品を得ることを可能にすると同時に、遊離されたアルコールの量は、公知の系と比べて、著しく減じられる。このことは、従来技術では、明らかにされておらず、期待もされ得なかった。
【0012】
本発明の硬化性ポリマー混合物中、好ましくはポリマーコンクリート混合物中のカップリング添加剤として、加水分解性シラン基及びアミノ基又はエポキシ基を含有する付加生成物を使用するが、
Ia)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのアミノシラン及び場合によりチオシラン、又は
少なくとも1つの前記アミノシラン及び/又はチオシランと、少なくとも1つの他のモノアミン及び/又は少なくとも2つのアミノ基を有するポリアミンとの組合わせが、
少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの化合物に付加した少なくともオリゴマーの付加生成物の少なくとも1つ、及び/又は
Ib)少なくとも1つの他のモノアミン及び/又は少なくとも2つのアミノ基を有するポリアミンと組み合わされた、少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのイソシアネートシラン及び/又はエポキシシランが、
少なくとも1つの末端ヒドロキシル基及び少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの化合物に付加した少なくともオリゴマーの付加生成物の少なくとも1つ、及び/又は
Ic)少なくとも1つの加水分解性シラン基及び少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1つのシラン、又は
少なくとも1つの加水分解性シラン基及び少なくとも1つの環状ジカルボン酸無水物基を有する少なくとも1つのシランが、
少なくとも2つの末端アミノ基を有する少なくとも1つの化合物に付加した少なくともオリゴマーの付加生成物の少なくとも1つ、及び/又は
Id)場合により少なくとも1つのモノイソシアネート化合物及び/又はエポキシ化合物と組み合わされた、少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのイソシアネートシラン及び/又はエポキシシランが、
少なくとも2つの末端アミノ基を有する少なくとも1つの化合物に付加した少なくともオリゴマーの付加生成物の少なくとも1つ、及び/又は
Ie)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのアミノシラン及び/又はチオシランが、
少なくとも2つの末端エポキシ基を有する少なくとも1つの化合物に付加した少なくともオリゴマーの付加生成物の少なくとも1つ
を使用するのが有利である。
【0013】
少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する化合物として、一般式:
【化1】

[式中、
Aは、エポキシ基、グリシジルオキシ基、イソシアネート基、−SH基、(メタ)アクリレート基、環状ジカルボン酸無水物基又は−N(H)−X基であり、その際、Xは、水素、炭素原子1〜6個を有する、場合により分岐状となったアルキル基、炭素原子6〜10個を有するアリール基、又は炭素原子4〜6個を有するシクロアルキル基であり、これらのXそれぞれは、一級又は二級アミノ基で置換されていてもよく、又は、Aは、mが、整数2の場合に−NH基であり、
は、炭素原子1〜12個を有する、場合により分岐状となったアルキレン基、炭素原子4〜6個を有するシクロアルキレン基、又は炭素原子6〜10個を有するアリーレン基であり、
は、炭素原子1〜7個、好ましくは炭素原子1〜3個を有する、場合により分岐状となったアルキル基、ハロゲン、−O−C(=O)−R基又は−OR基であり、その際、Rは、水素、メトキシエチル基又は炭素原子1〜7個、好ましくは炭素原子1〜3個を有する、場合により分岐状となったアルキル基又は炭素原子4〜6個を有するシクロアルキル基であり、
は、炭素原子1〜7個、好ましくは炭素原子1〜3個を有する、場合により分岐状となったアルキル基、ハロゲン、−O−C(=O)−R基又は−OR基であり、その際、Rは、水素、メトキシエチル基又は炭素原子1〜7個、好ましくは炭素原子1〜3個を有する、場合により分岐状となったアルキル基又は炭素原子4〜6個を有するシクロアルキル基であり、
は、−O−C(=O)−R基、ハロゲン又は−OR基であり、その際、Rは、メトキシエチル基又は炭素原子1〜7個、好ましくは炭素原子1〜3個を有する、場合により分岐状となったアルキル基又は炭素原子4〜6個を有するシクロアルキル基であり、
mは、整数1又は2である化合物が有利である。
【0014】
少なくとも1つの加水分解性シラン基を有するアミノシランとして、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、1−アミノ−2−(ジメチルエトキシシリル)プロパン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルジメチルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、N−3−[アミノ(ポリプロピレンオキシ)]アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリシクロヘキソキシシラン、3−アミノプロピルジシクロヘキソキシメチルシラン、3−アミノプロピルジシクロヘキソキシエチルシラン、N−メチルアミノプロピルトリシクロヘキソキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリシクロヘキソキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジシクロヘキソキシシラン、N−フェニルアミノプロピルメチルジシクロヘキソキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、n−ブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、t−ブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジエトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、(3−トリエトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、N−シクロヘキシルアミノメチルジエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチルシラン及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物の少なくとも1つを使用するのが有利である。
【0015】
少なくとも1つの加水分解性シラン基を有するチオシランとして、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物の少なくとも1つを使用することができる。
【0016】
少なくとも1つの加水分解性シラン基を有するイソシアネートシランとして、3−イソシアネートプロピルジメチルクロロシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、(イソシアネートメチル)メチルジメトキシシラン及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物の少なくとも1つを使用することができる。
【0017】
少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する酸無水物官能性シランとして、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、3−(トリメトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、3−(トリエトキシシリル)プロピルマレイン酸無水物、3−(トリメトキシシリル)プロピルマレイン酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物の少なくとも1つを使用することができる。
【0018】
少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する(メタ)アクリルシランとして、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物の少なくとも1つを使用することができる。
【0019】
更に、少なくとも1つの加水分解性シラン基を有するエポキシシラン化合物として、2−(3,4−(エポキシ)シクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−(エポキシ)シクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、5,6−(エポキシ)ヘキシルトリエトキシシラン、5,6−(エポキシ)ヘキシルトリメトキシシラン、5,6−(エポキシ)ヘキシルメチルジメトキシシラン、5,6−(エポキシ)ヘキシルメチルジエトキシシラン、5,6−(エポキシ)ヘキシルジメチルエトキシシラン、5,6−(エポキシ)ヘキシルジメチルメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物を使用することができる。
【0020】
加水分解性シラン基を含有せず、カップリング添加剤Ia)の製造には場合により使用され、カップリング添加剤Ib)の製造には必ず使用されるアミンとして、少なくとも1つの一級アミノ基又は二級アミノ基、好ましくは少なくとも1つの一級アミノ基を有する化合物を、原則として全て使用することができる。
【0021】
好ましいアミンは、脂肪族アミン、好ましくは場合によりヒドロキシル基及び/又はアルコキシ基で置換されていてよい炭素原子1〜20個を有する脂肪族アミン、場合によりヒドロキシル基及び/又はアルコキシ基で置換されていてよい炭素原子4〜20個を有する脂環式アミン、場合によりヒドロキシル基及び/又はアルコキシ基で置換されていてよい炭素原子6〜24個を有する芳香族アミンである。
【0022】
そのような好ましいアミンは、モノメチルアミン、モノエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、n−ペンチルアミン、t−ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、オレイルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、ビス(トリデシル)アミン、3−メトキシプロピルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、1−フェニルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N−エチルベンジルアミン、2−フェニルエチルアミン、アニリン、o−トルイジン、2,6−キシリジン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,2−ブタンジアミン、1,3−ブタンジアミン、ネオペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(シクロヘキシルアミノ)プロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)エチルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルアミン、ジプロピレントリアミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、ビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、N−(3−アミノプロピル)イミダゾール、モノエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、イソプロパノールアミン、5−アミノ−1−ペンタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、アミノエチルエタノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−プロパンジアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、3−((2−ヒドロキシエチル)アミノ)−1−プロパノール、ジイソプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)アニリン、1−メチル−3−フェニルプロピルアミン、フルフリルアミン、N−イソプロピルベンジルアミン、1−(1−ナフチル)エチルアミン、N−ベンジルエタノールアミン、2−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、エトキシプロピルアミン、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、2−シクロヘキセニルエチルアミン、ピペリジン、ジエチルアミノプロピルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、ヒドロキシノバルジアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、N,N’−ジ−tert−ブチルエチレンジアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである。
【0023】
更に、アミノ末端ポリエーテルを使用することが可能であり、その場合、ポリエーテルは、アルキレンオキサイド、好ましくはエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド、及び/又は場合により他のエポキシド(例えばブチレンオキサイド、スチレンオキサイド)又はテトラヒドロフランをベースとし、かつアミノ基で官能化されている。
【0024】
化合物は、構造に応じて、1個、2個又は2個より多くのアミノ基を有し得る。そのような生成物は、例えばHuntsmanにより、「Jeffamine」の名称で、又はBASFにより「Polyetheramin」の名称で市販されており、例えばM−600、M−1000、M−2005、M−2070、D−230、D−400、D−2000、D−4000、T−403、T−3000、T−5000、Polytetrafuranamine1700、ED−600、ED−900、ED−2003、HK−511、EDR−148、EDR−176、SD−231、SD−401、SD−2001、ST−404という記号表示を有する。
【0025】
更に、アミンとして、樹枝状構造のポリイミン、例えば好ましくはポリエチレンイミン及び/又はポリプロピレンイミン、特に好ましくはポリエチレンイミン、を使用できる。これらのポリイミンは、場合により、アミノ基の部分的アルコキシル化により変性されていてもよい。
【0026】
少なくとも1つの加水分解性シランを有する化合物の、付加生成物Ia)〜Ie)を製造するのに好適な反応相手は、少なくともオリゴマー化合物、好ましくはポリマー化合物である。官能末端基を有するこれらのオリゴマー化合物又はポリマー化合物は、好ましくは多分散性である。即ち均一な鎖長を有さず、かつ多分散形状で、前記シラン化合物を用いる付加反応にも使用される。
【0027】
これらの多分散性で、少なくともオリゴマーの化合物は、好ましくは、加水分解性シラン基を含有する分子的に均一な(即ち単分散性)有機化合物と、付加反応により反応させられる。
【0028】
カップリング添加剤を製造するこの反応は、付加生成物Ia)の場合、末端エチレン性不飽和二重結合を有する好ましくは少なくともオリゴマーの化合物への付加に基づき、その場合、これらの末端二重結合はアクリレート基及び/又はメタクリレート基、好ましくはアクリレート基である。少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのアミノシラン及び場合によりチオシランは、少なくともオリゴマーの化合物に付加される。付加反応では、アミノシラン及び場合によりチオシランと、好ましくは5〜95モル%、特に好ましくは10〜90モル%、極めて特に好ましくは15〜80モル%の二重結合が反応する。場合によっては、好ましくは残りの5〜95モル%、特に好ましくは10〜90モル%、極めて特に好ましくは20〜80モル%の二重結合は、シラン基何れも含有しない他のアミン成分と反応し得る。
【0029】
カップリング添加剤Ib)は、好ましくは、少なくとも1つの末端ヒドロキシル基及び少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくともオリゴマーの化合物への付加により製造される。これらの末端二重結合はアクリレート基及び/又はメタクリレート基、好ましくはアクリレート基である。少なくとも1つの加水分解性シラン基を有するイソシアネートシラン及び/又はエポキシシラン並びにまたシラン官能性でない他のアミン少なくとも1つがオリゴマー化合物に付加される。
【0030】
反応は好ましくは2ステップで実施され、先ず、イソシアネートシラン及び/又はエポキシシランが、少なくともオリゴマーの化合物のヒドロキシル基に付加し、次いで、末端二重結合が、シラン官能性でないモノアミン又はポリアミンと反応する。
【0031】
ここで、ヒドロキシル基がエポキシシラン及び/又はイソシアネートシランと、好ましくは80モル%より高い範囲まで、特に好ましくは90モル%より高い範囲まで、極めて特に好ましくは95モル%より高い範囲まで反応し、二重結合は、シラン官能性でないモノアミン又はポリアミンと、80モル%より高い範囲まで、特に好ましくは90モル%より高い範囲まで、極めて特に好ましくは95モル%より高い範囲まで反応する。
【0032】
付加生成物Ic)を製造するために、好ましくは、少なくとも2つの末端アミノ基を含有する少なくともオリゴマーの化合物への付加が実施される。これらのアミノ基は、好ましくは一級アミノ基及び/又は二級アミノ基、特に好ましくは一級アミノ基である。少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリルシラン又は酸無水物官能性シランが、オリゴマー化合物に付加される。この付加反応では、アミノ基の好ましくは5〜95モル%、特に好ましくは10〜90モル%、極めて特に好ましくは15〜80モル%が、(メタ)アクリレートシラン又は酸無水物官能性シランと反応する。
【0033】
これに対応して、好ましくは5〜95モル%、特に好ましくは10〜90モル%、極めて特に好ましくは20〜85モル%のアミノ基がそのままの形で存在し得る。これらは、この形のままにしておくか又は場合によっては当業者に公知の他の反応により変性させることができる。
【0034】
付加生成物Id)の製造のために、好ましくは、少なくとも2つの末端アミノ基を有する、好ましくは少なくともオリゴマーの化合物への付加が、実施される。アミノ基は、好ましくは一級アミノ基及び/又は二級アミノ基、特に好ましくは一級アミノ基である。少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのイソシアネートシラン及び/又はエポキシシラン並びに場合により少なくとも1つの他のモノイソシアネート化合物及び/又はエポキシ化合物が、オリゴマー化合物へ付加される。この付加反応では、好ましくは5〜95モル%、特に好ましくは10〜90モル%、極めて特に好ましくは15〜80モル%のアミノ基が、イソシアネートシラン及び/又はエポキシシランと反応する。対応して、好ましくは5〜95モル%、特に好ましくは10〜90モル%、極めて特に好ましくは20〜85モル%のアミノ基が未反応の形で存在し得る。これらは、この形のままにしておくか又は場合により、シラン官能性でないイソシアネート又はエポキシドと更に反応させ、かつ場合により使用することができる。
【0035】
付加生成物Ie)の製造のために、好ましくは、少なくとも2つの末端エポキシ基を有する、好ましくは少なくともオリゴマーの化合物への付加が、実施される。少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのアミノシラン及び/又はチオシランが、オリゴマー化合物に付加される。この付加反応では、好ましくは5〜95モル%、特に好ましくは10〜90モル%、極めて特に好ましくは15〜80モル%のエポキシ基が、アミノシランと反応する。対応して、好ましくは5〜95モル%、特に好ましくは10〜90モル%、極めて特に好ましくは20〜85モル%のエポキシ基が未反応の形で存在する。これらは、この形のままにしておくか又は場合により当業者に公知の反応により変性させることができる。
【0036】
カップリング添加剤Ia)〜Ie)を製造する付加反応の各場合に守るべき適切な反応条件は、当業者に公知である。
【0037】
末端エチレン性不飽和二重結合、ヒドロキシル基、エポキシ基及び/又はアミノ基を有する化合物は、好ましくは、少なくとも2つの繰り返し構造単位を有するオリゴマー化合物、特に好ましくは少なくとも4つの繰り返し構造単位を有するポリマー化合物である。適切に変性された末端基を有するポリエーテル、ポリエステル、ポリエステルポリエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミドからなる群から選択される少なくとも1つのポリマー化合物が好ましい。本発明により、ポリカーボネートもポリエステルと定義される。
【0038】
繰り返し構造単位:
【化2】

[式中、Wは、炭素原子1〜15個、好ましくは炭素原子2〜8個、特に好ましくは炭素原子2〜4個を有する脂肪族基、芳香族環又は脂環式環又は芳香族−脂肪族基である]を有する化合物が、好適なポリエーテルである。エーテル基は、鎖に結合する環の一部であってもよい。
【0039】
好ましいポリエーテルは、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリ(トリメチレン)オキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリスチレンオキサイド、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドコポリエーテル、その主鎖にビスフェノールA−単位を含んでもよいポリ(テトラヒドロフラン)、前記ポリエーテルの構造単位からなるコポリマー又は前記ポリエーテルのうち少なくとも2種の混合物である。更に、グリシジルエーテルから誘導され、かつビスフェノールとエピクロロヒドリンとの反応により得られるポリエーテルを使用することも可能である。特に好ましい末端基変性ポリエーテルは、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドプロピレンオキサイドのポリエーテルから誘導される。ポリエーテルは、好ましくは、分子量100〜10000g/モル、特に好ましくは150〜7500g/モル、極めて特に好ましくは200〜3000g/モルを有する。
【0040】
好適な末端基変性ポリエステルは、好ましくは場合により変性された飽和ポリエステル、即ちエチレン性不飽和ではないポリエステル、例えばラクトン、例えばε−カプロラクトン及び/又はδ−バレロラクトン、のポリエステル、並びにまたα、ω−ヒドキシカルボン酸の縮合又はジカルボン酸とジオールの縮合により得られるポリエステルである。ジカルボン酸、その酸ハロゲン化物、酸無水物又はエステルを、酸成分として使用でき、その場合、以下のジカルボン酸:シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、4,4’−オキシ二安息香酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸、4,4’−スルホニル二安息香酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸が特に好適である。
【0041】
飽和ジカルボン酸との反応に好適なジオールは、好ましくはエタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコールである。
【0042】
特に好ましく使用されるポリエステルは、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(δ−バレロラクトン)、カプロラクトン/バレロラクトンコポリエステル、ポリラクチド、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートである。
【0043】
末端基変性ポリエステルとして、繰り返し構造単位:
【化3】

を有するポリカーボネートも挙げられる。ここで、Wは、炭素原子2〜15個、好ましくは炭素原子2〜12個、特に好ましくは炭素原子2〜8個の脂肪族基、又は芳香族基もしくは脂環式基又は芳香族−脂肪族基であり、好ましくはビスフェノールA基又はこれから誘導される基である。カーボネート基は、鎖に結合する環の一部であってもよい。
【0044】
炭酸と他の酸との混合ポリエステル(ポリエステル−ポリカーボネート)も好適である。好ましいポリカーボネートは、ビスフェノールAポリカーボネート、ビスフェノールFポリカーボネート、ビスフェノールAFポリカーボネート、ビスフェノールA及びビスフェノールTMCを基礎とするポリカーボネート並びにまた1,6−ヘキサンジオールを基礎とするポリカーボネートである。本発明により、用語ポリエステルは、ポリカーボネート又はコポリエステルカーボネートも含む。
【0045】
好ましいポリエステルは、分子量150〜15000g/モル、特に好ましくは200〜7500g/モル、極めて特に好ましくは250〜3000g/モルを有するポリエステルである。
【0046】
末端基が変性され、繰り返し構造単位:
【化4】

を有するポリアミドも、カップリング添加剤を製造するのに使用することができる。ポリアミド用の代表的で可能な構造単位は、ε−カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナトラクタム(enatholactam)、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸又はこれらの混合物である。ポリアミドが、ジアミンとジカルボン酸との重縮合により製造される場合、好ましいジアミンは、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、パラ−アミノアニリン又はメタ−キシレンジアミンであり、かつ好ましいジカルボン酸は、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、グルタル酸、テレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸及びナフタレンジカルボン酸である。
【0047】
ジカルボン酸又はジアミンの他に、例えばトリメリト酸及びピロメリト酸などの、官能基を3つ以上有する多官能化合物を、5モル%までの量で使用することもできる。
【0048】
好ましいポリアミドは、分子量150〜15000g/モル、特に好ましくは200〜7500g/モル、極めて特に好ましくは250〜3000g/モルを有するものである。
【0049】
特に好ましく使用されるポリアミドは、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン10、ナイロン2、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6/66、ナイロン6/12、ナイロン6/6Tから誘導される。
【0050】
前記構造単位を有する末端基変性ポリエステルアミドも使用することができる。
【0051】
前記ポリマーは、直鎖状構造、分枝状構造又は星状構造を有してよい。好適な多官能性出発化合物を使用することにより分枝状ポリマー又は星状ポリマーを得ることができる。
【0052】
特に好ましいオリゴマー化合物又はポリマー化合物は、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドのポリエーテル、更にポリ(ε−カプロラクトン)エステルである。
【0053】
変性末端基を有する前記オリゴマー又はポリマーの化合物は、好ましくは多分散性であり、即ちこれらは、均一な鎖長を有さない。これらは、また、前記シラン化合物との反応に多分散の形で使用される。
【0054】
本発明の硬化性ポリマー混合物、好ましくはポリマーコンクリート混合物、は、少なくとも1つの前記カップリング添加剤Ia)〜Ie)を、ポリマー混合物の総重量に対して、好ましくは、5重量%未満、特に好ましくは1重量%未満、極めて特に好ましくは0.5重量%未満含有する。
【0055】
本発明の硬化性ポリマー混合物中の結合剤成分IIとして、少なくとも2つのエポキシ末端基を有する少なくとも1つのポリマーを、少なくとも1つの硬化剤及び場合によっては更に少なくとも1つの追加の架橋剤成分と共に含む硬化系を使用するのが有利である。
【0056】
ポリマーは、そのエポキシ基とカップリング添加剤Ia)〜Id)の少なくとも1つのアミノ基及び/又はカップリング添加剤Ie)のエポキシ基との反応により、少なくとも一部硬化され得る。
【0057】
相当するプロセスが、関連する研究論文、例えばJ.Moeckel,U.Fuhrmann,Epoxidharze−Schluesselwerkstoffe fuer die moderne Technik,Verlag Moderne Industrie,Landsberg/Lech 1996;W.G.Potter,Use of Epoxy Resins,Newnes Butterworth,Sevenoaks 1975;H.Lee,K.Neville,Handbook of Epoxy Resins,McGraw−Hill,ニューヨーク 1982;C.A.May,Epoxy Resins−Chemistry and Technology,Dekker,ニューヨーク 1988;B.Ellis,Chemistry and Technology of Epoxy Resins,Blackie Academic & Professional,ロンドン 1993;N.Kinjo,M.Ogata,K.Nishi,A.Kaneda,Epoxy Molding Compounds as Encapsulation Materials for Microelectronic Devices in:Advances in Polymer Science 1989,Vol.88,pp.1−48;並びにまたこれらの参照文献中に引用された文献に記載されている。相当する記述は、本出願の開示の一部として引用することにより、本明細書の一部を構成する。
【0058】
硬化性ポリマーとして、エポキシ樹脂を形成する、特に好ましくはエピクロロヒドリンと、多価フェノールとの反応、極めて特に好ましくはビスフェノールA及び/又はビスフェノールFとの反応により得られ得る、エポキシ末端基含有ポリマー及びまたはこれらに相当するエポキシ樹脂の混合物を使用するのが好ましい。自己消化性エポキシ樹脂の製造のために、塩素化及び/又は臭素化誘導体を使用することも可能である。誘電特性、吸湿性及び寸法安定性を改良するために、J.Appl.Polymer Sci.2007,106,737及びその中の引用文献に記載されるように、ナフタレン−、スチルベン−、芳香族エステル−、ビフェニル−、フルオレン−、脂環式−又はアダマンタン−系の基を含有する樹脂を使用することも可能である。更に、脂肪族又は脂環式アルコールとエピクロロヒドリンとの反応により得られるポリマーの使用も可能である。
【0059】
エポキシ樹脂系は、粘度を低下するため及び/又は柔軟性を増すために、エポキシ基1つ以上を有する脂肪族、脂環式又は芳香族化合物を含有することもできる。これらは、反応性希釈剤又は反応性軟化剤として作用し、かつそう呼ばれている。その例は、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ポリグリセロールトリグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、ヒマシ油トリグリシジルエーテル、ブテ−2−エン−1,4−ジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、グリシジルネオデカノエート、ペルヒドロビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキシドである。
【0060】
結合剤成分IIの重合のために、硬化剤が併用される。好適な硬化剤は、例えばStoye/Freitag,“Lackharze:Chemie,Eigenschaften und Anwendungen”,Verlag Hanser Fachbuchに、又はDE 10 2005 046 641 A1に、又はUPPC AG,88487 Mietringen−Baltringenからのカタログ“UPPC Lieferprogramm:Epoxidharzhaerter,Epoxidharze,Glycidether”に記載されるように、ポリアミン、カルボン酸無水物、カルボン酸、ポリフェノール、アミノ樹脂、フェノール樹脂、触媒硬化性(catalytically curing)化合物(例えばフェロセン、トリアリールスルホニウム化合物)、好ましくはポリアミン又はカルボン酸無水物である。相当する開示は、本出願に引用することにより、本明細書の一部を構成する。
【0061】
ハロゲン化化合物を硬化剤成分として使用することも可能であり、その際、ハロゲン化化合物は、難燃性成形品を形成する。その例は、塩素化環状酸無水物又は臭素化環状酸無水物である。
【0062】
アミノ基を有する硬化剤成分の例は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族二官能性及び/又は多官能性アミンである。これらには、特に、一級脂肪族ポリアミン(例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン及び類似体、1,3−ペンタンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジプロピレントリアミン、ポリオキシエチレンポリアミン、ポリオキシプロピレンポリアミン、ポリテトラヒドロフランポリアミン、変性脂肪族アミン(例えば、一級アミンと、グリシジルエーテル又はカルボン酸、好ましくは脂肪酸との反応により生成されたアミン又はマンニッヒ塩基)、ヒドロキシル化一級アミン、脂環式アミン、例えばイソホロンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、トリシクロデカントリアミン、芳香族ポリアミン、例えばフェニレンジアミン、メチレンジアニリン、ジアミノジフェニルメタン、ビス(アミノフェニル)スルホン、芳香族脂肪アミン、例えばキシレンジアミンがある。
【0063】
硬化剤として、例えばカルボン酸無水物、例えば無水オルトフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸も使用できる。
【0064】
硬化条件に応じて、慣用の促進剤も場合によっては併用できるので、結合剤成分II)の反応及び硬化は、より低い温度及び/又はかなり短い硬化時間で行なうことができる。慣用の促進剤は、フェノール性化合物又は三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリジメチルアミノメチルフェノール、ジメチルアミノメチルフェノール、ジエチレントリアミノメチルフェノール、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジメチル−p−トルイジンである。これらは、好ましくは、カルボン酸無水物硬化剤と組み合わせて使用される。
【0065】
結合剤成分IIのエポキシ樹脂の硬化は、イソシアネート樹脂と組み合わせて、場合により、ブロックイソシアネート(blocked isocyanate)とも組み合わせて任意に実施することもできる。
【0066】
代表的エポキシ樹脂、硬化剤及び促進剤、並びに場合により他の添加剤と併用されるこれらの使用条件も関連文献、例えばStoye/Freitag,“Lackharze:Chemie,Eigenschaften und Anwendungen”,Verlag Hanser Fachbuch,又はWitco GmbHにより出版された“Technische Information:Oberflaechenschutz”,Bergkamen、第一巻及び第二巻並びにこれらの中に載せられた文献に記載される。相当する開示は、本出願の開示の一部として引用することにより、本明細書の一部を構成する。
【0067】
硬化剤系によっては、高温で硬化を実施するのが有利なこともある。各硬化剤に応じて、どの温度範囲を選択すべきかは当業者には公知であり、その場合、温度は、広い範囲で変化し得るので、例えば硬化は50℃〜150℃で可能である。外部からのエネルギー供給は、種々の手段で、例えば特に炉中の加熱によるか又は好適な照射により行うことができ、いずれの場合にも随意に加圧を組み合わせることができる。
【0068】
各場合に使用される硬化剤及び場合により存在する促進剤系の量は、当業者に公知である。
【0069】
更に、本発明の硬化性ポリマー混合物、好ましくはポリマーコンクリート混合物は、ポリマー混合物の総重量に対して少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも40重量%、特に好ましくは60重量%、特に95重量%までの任意の形状の無機充填剤を、骨材として備える。これらの充填剤が、多粒子状又は繊維状であり、マトリックス物質に不溶である場合、場合により、充填剤は、マトリックス物質中に分散し得る。可能な充填剤が、E.Brandauによる“Duroplastwerkstoffe”,VCH Verlagsgesellschaft,Weinheim 1993及びR.Burnsによる“Polyester Molding Compounds”,Marcel Dekker Inc.,ニューヨーク 1982、またJ.H.Aurer,A.Kasperによる“Unsaturated PolyesterResins”,Verlag Moderne Industrie,Landsberg/Lech 2003中に列挙される。場合により分散性の無機充填剤として、無機ケイ素含有化合物、例えば石英、クリストバライト、焼成シリカ、沈降シリカ、珪灰石、カオリン、雲母、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸バリウム、ガラス粉末、ケイ酸チタン、ケイ酸ジルコニウム、モンモリロナイト、滑石を、好ましくは岩石粒子として全ての粒度範囲で、即ち最微小の粒度から粗大岩石粒度に至るまで使用し、任意の形状のケイ素含有化合物を、好ましくは束ねていない又は束ねた切断繊維又は連続繊維、例えばレイアップ(lay−ups)又は織布として使用し、そしてまた他のマグネシウム、カルシウム、バリウムの酸素含有無機化合物、例えば硫酸バリウム、炭酸カルシウム、特に、また大理石粒子として、石こう、水酸化マグネシウム及び/又は無機アルミニウム化合物、好ましくは水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム(例えばα−アルミナ)及び水酸化酸化アルミニウムを使用するのが好ましい。ケイ素含有化合物を使用するのが特に好ましい。
【0070】
特に好ましい形の充填剤は、粒状もしくは粉末状の充填剤又は繊維からなるレイアップもしくは織布、場合により2つの形状の充填剤混合物である。粒度範囲は、直径として測定して、好ましくは、1μm〜5cm、特に好ましくは10μm〜2cm、極めて特に好ましくは100μm〜2cmである。
【0071】
前に記載のように、本発明のポリマー混合物中の充填剤は、特に、場合により連続構造で、例えば繊維状で酸化ケイ素化合物として存在する。前記繊維は、紐、マット、織布及び/又はレイアップの形状で存在してもよい。場合により、前記充填剤は、多粒子形状のものと一緒に使用できる。
【0072】
更に、本発明の硬化性ポリマー混合物は、必要ならば、助剤IV)として、加工添加剤、例えば離型剤と消泡剤、脱気剤、阻害剤、安定剤、例えば抗酸化剤、光安定剤、熱安定剤及び防炎剤、変性剤、例えば湿潤剤、可塑剤、増粘剤、チキソトロープ剤、耐衝撃性改良剤及び脆性を減じる添加剤(「強靭化剤」として知られている:Polymer 2000,41,3425及びMacromolecules 1999,32,8524を参照)、発泡剤及び/又は表面変性剤、例えば帯電防止剤、疎水性賦与剤(hydrophobicizing agent)、親水性賦与剤(hydrophilicizing agent)、生分解性を改良する添加剤(Journal of Applied Polymer Science 2007,106,684参照)、顔料、湿潤剤及び分散剤、を含有することができる。最終使用目的に応じて、適切な添加剤が、公知の方法で選択される。
【0073】
本発明のポリマー混合物、好ましくはポリマーコンクリート混合物は、公知の方法で、慣用の混合ユニットで、混合物の前記成分を一緒にすることで製造され、その際、ポリマー混合物の加工及び硬化の直前に、好ましくは、カップリング添加剤Iを添加するか、又は充填剤をカップリング添加剤Iの少なくとも一部で処理し、次いで、ポリマーコンクリート混合物の他の成分と一緒にする。
【0074】
本発明により使用される前記のカップリング添加剤Ia)〜Ie)の少なくとも1つ及び前記結合剤系II)を使用すると、低粘性のために取り扱いが容易なポリマー混合物、好ましくはポリマーコンクリート混合物を提供できるのみならず、優れた機械的性質を示し、環境汚染が低く、健康への危険が少ない、任意の形状のポリマー成形品又はポリマーコンクリートなどのポリマー製品を製造できる。
【0075】
そのため、本発明は、更に、硬化性ポリマー混合物、好ましくはポリマーコンクリート混合物に、前記の付加生成物Ia)〜Ie)をカップリング添加剤Iとして使用することも対象とし、前記混合物は、結合剤成分IIとして、エポキシ基とアミノ基との反応により硬化し得る系に基づき、かつポリマー混合物の総重量に対して、好ましくは少なくとも20重量%、特に好ましくは少なくとも40重量%、極めて特に好ましくは少なくとも60重量%の、場合により分散性である無機充填剤を骨材IIIとして備え、かつ慣用の助剤IVを含有してよい。
【0076】
本発明は、更に、硬化性ポリマー混合物、好ましくはポリマーコンクリート混合物に、付加生成物Ia)〜Ie)の少なくとも1つをカップリング添加剤Iとして使用することも対象とし、前記混合物は、結合剤IIとして、エポキシ基とアミノ基との反応により硬化し得る系に基づき、かつポリマー混合物の総重量に対して、好ましくは20重量%、特に好ましくは少なくとも30重量%、極めて特に好ましくは少なくとも50重量%の連続繊維状無機充填剤を骨材IIIとして備え、場合により慣用の助剤IVを備えてよい。
【0077】
こうして得られたこれらのポリマー混合物は、G.Kannebley et al.による“AVK−TV Handbuch”,volumesIとII,フランクフルト2004及びStoye/Freitagによる“Lackharze:Chemie,Eigenschaften und Anwendungen”,Verlag Hanser Fachbuch及びJ.Moeckel/U.Fuhrmannによる“Epoxidharze −Schluesselwerkstoffe fuer die moderne Technik”,Bibiliothek der Technik,volume 51,Verlag Moderne Industrie,Landsberg/Lech 1996に記載される自体公知の方法で硬化させることができる。
【0078】
該当する記述が、参照することにより、本出願の開示の1部を構成する。硬化プロセスは、使用ポリマー系、硬化剤の反応性、場合による促進剤の併用、硬化時間、温度及び硬化すべき系の質量により決定される。硬化は、熱エネルギーを供給せずに、出発温度として室温又は前記したように高温で起こり得る。
【0079】
本発明のポリマー混合物、好ましくはポリマーコンクリート混合物から、任意の形状のポリマー成形品又はポリマーコンクリートを製造できるのは好ましく、例えば建造及び建設、パイプライン建設、装置建設、工具製作、兵器技術、造船、鉄道車両建設、自動車組立て又は航空宇宙用途に使用できる。具体例は、例えばパイプ、樋、シャフト、接続部品、セグメント部材、プレート、タイル、床、床仕上げ材、ライニング、壁、天井、人口大理石、フレーム、多種多様なコンテナ(例えば、給水用及び排水用)、装飾品、流し台、洗面器、タンク、桶、他の容器などの成形体である。他の使用分野は、コンクリート被覆の製造、コンクリート改質剤、腐食防止、電気技術、電子技術である。本発明のポリマー混合物、好ましくはポリマーコンクリート混合物は、建物内部並びに野外の両方に使用でき、更にポリマーコンクリート体、好ましくはポリマーコンクリート成形品、の製造の基礎にも使用できる。そのような成形品は、例えば、居住空間に、事務所に、店舗建造物に、衛生施設に、台所に、美容院に、医療施設に、病院に、空港に、風力タービンに、実験室に、ガストロノミー又は農業に使用される。前記の硬化性ポリマー混合物は、電子技術、電気技術、接着剤、複合材料、包理組成物、製造手段及び道具の分野での用途に使用することもできる。このように、例えば、マイクロ電子部品のカプセル化の分野並びにプリント回路基板の被覆及び積層の分野での使用も可能である。
【実施例】
【0080】
以下のポリマーを実施例で使用する。
【表1】

【0081】
I.カップリング添加剤の製造
カップリン添加剤の製造は、場合により有機溶媒中で実施することができる。以下の記載において、略語GPCは、ゲル浸透クロマトグラフィーを表し、NMRは、核磁気共鳴分光法であり、Mは、数平均分子量であり、PDIは、多分散指数である(即ち、重量平均分子量と数平均分子量との割合:M/M)。Dowanol PMAは、1−メトキシ−2−プロピルアセテートである。
【0082】
カップリング添加剤1:
20.00gの高分子ジアミンA及び9.55gの3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランを、閉鎖可能なねじ蓋付き瓶中で、マグネチックスターラーバーにより室温で3時間撹拌する。生成物:イソシアネート基は完全に反応した(13C−NMR分光法により測定)。
【0083】
カップリング添加剤2:
23.15gのアミノエチルエタノールアミン、71.80gのDowanol PMA及び24.60gの3−アミノプロピルトリエトキシシランを、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及び精密ガラス撹拌機(precision glass stirrer)を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。60.00gの高分子ジアクリレートD(M=400、PDI=1.12)を、20分間にわたり滴加し、その際、温度は28℃を超えない。混合物を6時間撹拌する。生成物:M=670、PDI=1.72、アクリレート基はもはや検出できない(H−NMR分光法による)。得られたカップリング添加剤は、Dowanol PMA中の活性物質の60%濃度溶液である。
【0084】
カップリング添加剤3:
50.00gの高分子トリアミンCを、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及び精密ガラス撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。反応混合物を85℃まで加熱する。43.8gの3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランを、15分間にわたり滴加する。この混合物を85℃で、更に4時間撹拌する。撹拌後、シラン基対エポキシ基の割合は、1:0.08であり(H−NMR分光法により測定)、即ち、エポキシ基の92%が反応していた。85℃で、更に4時間後、エポキシ基は完全に反応したので、その共鳴信号は、シラン基の信号と比べて最早積分(integrate)できない。
【0085】
カップリング添加剤4:
60.00gの高分子ジアクリレートD(M=400、PDI=1.12)及び72.00gのDowanol PMAを、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及び精密ガラス撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。24.60gの3−アミノプロピルトリエトキシシランを15分間にわたり滴加する。続いて、23.15gのアミノエチルエタノールアミンを15分間にわたり滴加する。その際、温度は38℃を超えない。混合物を6時間撹拌する。生成物:M=630、PDI=1.73、アクリレート基はもはや検出され得ない(H−NMR分光法による)。得られたカップリング添加剤は、Dowanol PMA中の活性物質の60%濃度溶液である。
【0086】
カップリング添加剤5:
24.49gの3−メチルアミノプロピルアミン及び49.20gの3−アミノプロピルトリエトキシシランを、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及び精密ガラス撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。90.00gの高分子ジアクリレートDを、45分間にわたり滴加し、その際、温度は30℃を超えない。混合物をさらに7時間撹拌する。生成物:M=730、PDI=1.85、アクリレート基は完全に反応した(H−NMR分光法により測定)。
【0087】
カップリング添加剤6:
12.24gの3−メチルアミノプロピルアミン、122.77gのDowanol PMA及び24.60gの3−アミノプロピルトリエトキシシランを、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及び精密ガラス撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。45.00gの高分子ジアクリレートDを、35分間にわたり滴加し、その際、温度は28℃を超えない。混合物を更に8時間撹拌する。生成物:M=540、PDI=1.58、アクリレート基は完全に反応した(H−NMR分光法により測定)。得られたカップリング添加剤は、Dowanol PMA中の活性物質の40%濃度の溶液である。
【0088】
カップリング添加剤7:
3.53gの3−メチルアミノプロピルアミン、100.38gのDowanol PMA及び30.99gの3−アミノプロピルトリエトキシシランを、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及び精密ガラス撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。32.40gの高分子ジアクリレートDを、35分間にわたり滴加し、その際、温度は45℃を超えない。混合物を更に6時間撹拌する。生成物:M=1340、PDI=1.79、アクリレート基は完全に反応した(H−NMR分光法により測定)。カップリング添加剤は、Dowanol PMA中の活性物質の40%濃度溶液である。
【0089】
カップリング添加剤8:
11.70gの3−メチルアミノプロピルアミン、74.20gのDowanol PMA及び29.50gの3−アミノプロピルトリエトキシシランを、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及び精密ガラス撹拌機を備えた丸底フラスコに装入し、40℃まで加熱する。反応を、窒素流下で実施する。54.00gの高分子ジアクリレートDを、20分間にわたり滴加し、その際、温度は42℃を超えない。混合物を30分間撹拌する。引き続いて、74.20gのDowanol PMAに3.74gのLupasol G20(BASF社の水不含ポリエチレンイミン(分子量約1300g/モル))を溶解させて添加し、混合物を更に6時間撹拌する。生成物:M=910、PDI=1.84、アクリレート基は完全に反応した(H−NMR分光法により測定)。得られたカップリング添加剤は、Dowanol PMA中の活性物質の40%濃度溶液である。
【0090】
カップリング添加剤9:
12.25gの3−メチルアミノプロピルアミン、115.76gのDowanol PMA及び19.92gの3−アミノプロピルトリメトキシシランを、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及び精密ガラス撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。45.00gの高分子ジアクリレートDを、10分間にわたり滴加し、その際、温度は45℃を超えない。混合物を更に6時間撹拌する。生成物:M=860、PDI=2.04、アクリレート基は完全に反応した(H−NMR分光法により測定)。得られたカップリング添加剤は、Dowanol PMA中の活性物質の40%濃度溶液である。
【0091】
カップリング添加剤10:
50.00gの高分子ジアクリレートD及び120.00gのDowanol PMAを、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及び精密ガラス撹拌機を備えた丸底フラスコに装入し、50℃まで加熱する。反応を、窒素流下で実施する。11.05gの3−アミノプロピルトリメトキシシランを10分間にわたり滴加する。混合物を50℃で30分間撹拌する。引き続いて、19.01gの3−メチルアミノプロピルアミンを15分間にわたり滴加する。混合物を50℃で、更に1時間撹拌する。生成物:M=600、PDI=1.54、アクリレート基は完全に反応した(H−NMR分光法により測定)。得られたカップリング添加剤は、Dowanol PMA中の活性物質の40%濃度溶液である。
【0092】
カップリング添加剤11:
11.70gの3−メチルアミノプロピルアミン、70.00gのDowanol PMA及び23.90gの3−アミノプロピルトリメトキシシランを、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及び精密ガラス撹拌機を備えた丸底フラスコに装入し、40℃まで加熱する。反応を、窒素流下で実施する。54.00gの高分子ジアクリレートDを、20分間にわたり滴加し、その際、温度は45℃を超えない。混合物を30分間撹拌する。引き続いて、70gのDowanol PMAに3.74gのLupasol G20(BASF、水不含)を溶解させて添加し、混合物を更に6時間撹拌する。H−NMRスペクトル:生成物中でアクリレート基は完全に反応した。得られたカップリング添加剤は、Dowanol PMA中の活性物質の40%濃度溶液である。
【0093】
カップリング添加剤12:
11.10gの3−メチルアミノプロピルアミン、120.20gのDowanol PMA及び15.03gの3−アミノプロピルトリメトキシシランを、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及び精密ガラス撹拌機を備えた丸底フラスコに装入し、40℃まで加熱する。反応を、窒素流下で実施する。54.00gの高分子ジアクリレートGを、20分間にわたり滴加し、その際、温度は43℃を超えない。混合物を引き続き更に6時間撹拌する。生成物:M=960、PDI=1.69、アクリレート基は完全に反応した(H−NMR分光法により測定)。得られたカップリング添加剤は、Dowanol PMA中の活性物質の40%濃度溶液である。
【0094】
カップリング添加剤13:
10.00gの高分子ジアミンA及び5.08gの3−アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシランを、閉鎖可能なねじ蓋付き瓶中で、マグネチックスターラーバーにより混合し、かつ6時間撹拌する。生成物:アクリレート基はもはや検出不能(H−NMR分光法による)。
【0095】
カップリング添加剤14:
10.00gの高分子トリアミンC及び7.43gの3−アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシランを、閉鎖可能なねじ蓋付き瓶中で、マグネチックスターラーバーにより混合し、かつ6時間撹拌する。生成物:アクリレート基はもはや検出不能(H−NMR分光法による:GPC:M=1000、PDI=1.61)。
【0096】
カップリング添加剤15:
10.00gの高分子ジアミンB及び3.64gの3−アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシランを、閉鎖可能なねじ蓋付き瓶中で、マグネチックスターラーバーにより混合し、かつ6時間撹拌する。生成物:アクリレート基はもはや検出不能(H−NMR分光法による:GPC:M=1000、PDI=1.30)。
【0097】
カップリング添加剤16:
4.00gの高分子ジアミンB及び24.04gのN−エチルピロリドンを、マグネチックスターラーバーを備えた閉鎖可能なねじ蓋付き瓶中に装入する。2.01gの3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物を滴加し、反応混合物を7時間撹拌する。単一付加生成物が、LC/MSにより検出され得る;未反応ジアミンBの信号はもはや存在しない。
【0098】
カップリング添加剤17:
4.00gの高分子トリアミンC及び26.20gのN−エチルピロリドンを、マグネチックスターラーバーを備えた閉鎖可能なねじ蓋付き瓶中に装入する。2.55gの3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物を滴加し、反応混合物を6時間撹拌する。単一付加生成物及び二重付加生成物が、LC/MSにより検出され得る;未反応トリアミンCの信号はもはや存在しない。
【0099】
カップリング添加剤18:
20.00gの高分子ジエポキシドF、9.14gの3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及び0.15gのトリエチルアミンを、閉鎖可能なねじ蓋付き瓶中で、マグネチックスターラーバーにより室温で8時間撹拌する。生成物:NMR分光法により、シラン基対エポキシ基の割合は、1:1.1である(出発物質:1:2、反応終了後の理論値:1:1)。
【0100】
カップリング添加剤19:
20.00gの高分子ジアミンA及び11.51gの3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランを、閉鎖可能なねじ蓋付き瓶中で、マグネチックスターラーバーにより室温で3時間撹拌する。生成物:イソシアネート基は完全に反応した(13C−NMR分光法により測定)。
【0101】
カップリング添加剤20:
20.00gの高分子トリアミンC及び8.6gの3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランを、閉鎖可能なねじ蓋付き瓶中で、マグネチックスターラーバーにより室温で3時間撹拌する。生成物:イソシアネート基は完全に反応した(13C−NMR分光法により測定;GPC:M=700、PDI=7.27)。
【0102】
カップリング添加剤21:
65.80gの3−メチルアミノプロピルアミン、705.40gのDowanol PMA及び134.45gの3−アミノプロピルトリメトキシシランを、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及び精密ガラス撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。270.00gの高分子ジアクリレートDを、40分間にわたり滴加し、その際、温度は33℃を超えない。混合物を更に6時間撹拌する。生成物:M=530、PDI=1.57、アクリレート基は完全に反応した(H−NMR分光法により測定)。得られたカップリング添加剤は、Dowanol PMA中の活性物質の40%濃度溶液である。
【0103】
カップリング添加剤22:
58.50gの3−メチルアミノプロピルアミン、595.00gのDowanol PMA及び119.50gの3−アミノプロピルトリメトキシシランを、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及び精密ガラス撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。270.00gの高分子ジアクリレートDを、40分間にわたり滴加し、その際、温度は33℃を超えない。添加後に、反応混合物を更に30分間撹拌する。次いで、100.00gのDowanol PMAに15.50gのEpominSP−003(住友製、水不含ポリエチレンイミン(分子量約300g/モル))を溶解させて15分間にわたり導入する。混合物を更に6時間撹拌する。生成物:M=510、PDI=1.55、アクリレート基は完全に反応した(H−NMR分光法により測定)。得られたカップリング添加剤は、Dowanol PMA中の活性物質の40%濃度の溶液である。
【0104】
カップリング添加剤23:
50.00gの高分子モノアクリレートE及び0.78gのジラウリン酸ジブチルスズ溶液(キシレン中1%)を、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及び精密ガラス撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。反応混合物を80℃まで加熱する。温度を98℃まで上げながら、27.90gの3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランを5分間にわたり滴加する。冷却して温度を再度80℃まで下げる。混合物を、80℃で更に2.5時間撹拌する。生成物:M=910、PDI=1.38、イソシアネート基は完全に反応し、ヒドロキシ末端基はもはや検出され得ない(13C−NMR分光法により測定)。アクリレート二重結合対シラン基の割合は、1.05:1である(H−NMR分光法により測定:理論値:1:1)。
【0105】
引き続き、反応混合物を30℃まで冷却し、14.65gのベンジルアミンと混合する。混合物を、35℃を越さない温度で、更に8時間撹拌する。アクリレート基は完全に反応した(H−NMR分光法により測定)。
【0106】
II.カップリング添加剤の使用
以後記載の「部」は、常に重量部である。
以下の市販の成分を、実例となるポリマー混合物に使用する。
【表2】

使用充填剤は、石英粉末Millisil W3及びケイ砂F32であった。製品は、Quarzwerke社製である。
【0107】
(A)曲げ強度及びカップリング添加剤により遊離されたアルコールの量の測定
テストプレートの一般的製法
樹脂及び硬化剤を、場合により脱気剤及びカップリング添加剤と一緒にして、最初にポリエチレン製プラスチック容器中でスパチュラを用いて手で撹拌する。
【0108】
充填剤を手で添加し、均一な混合物が得られるまで室温で金属製スパチュラを用いて同様に手で撹拌する。引き続き、高速ミキサー(Pendraulik TD−100、歯付ディスク)により、930回転/分で、1分間、固体を分散させる。
【0109】
分散後に、混合物を型(寸法:21cm×32cm)に流し込み、スパチュラで広げる。このタブレットを机に30回軽く打ちつけ、混合物を圧縮し、脱気させる。
【0110】
加水分解の間に遊離したアルコールの量を、化学量論計算により決定した。
【0111】
実施例A1(カップリング添加剤無し、比較例)
171部のAraldite GY783、95部のAradur 49 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32及び0.1部のBYK−A530から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、36.7N/mmである。
【0112】
実施例A2(低分子量カップリング添加剤、本発明によらない)
171部のAraldite GY783、95部のAradur 49 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32、0.1部のBYK−A530及びカップリング添加剤として0.375部の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(充填剤に対して0.05重量%)から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0113】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、37.5N/mmである。
【0114】
総混合物のkgあたり234mgのエタノールが、完全な加水分解により遊離する。
【0115】
実施例A3(本発明による)
171部のAraldite GY783、95部のAradur 49 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32、0.1部のBYK−A530及び0.375部のカップリング添加剤5(充填剤に対して0.05重量%)から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0116】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、48.7N/mmである。総混合物のkgあたり71mgのエタノールが、完全な加水分解により遊離する。
【0117】
実施例A4(低分子量カップリング添加剤、本発明によらない)
171部のAraldite GY783、95部のAradur 49 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32、0.1部のBYK−A530及びカップリング添加剤として0.75部の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(充填剤に対して0.1重量%)から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0118】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、38.0N/mmである。
【0119】
総混合物のkgあたり461mgのエタノールが、完全な加水分解により遊離する。
【0120】
実施例A5(本発明による)
171部のAraldite GY783、95部のAradur 49 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32、0.1部のBYK−A530及び0.75部のカップリング添加剤7(充填剤に対して0.1重量%の溶液、即ち0.04重量%の活性物質)から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0121】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、46.7N/mmである。
【0122】
総混合物のkgあたり87mgのエタノールが、完全な加水分解により遊離する。
【0123】
実施例A6(低分子量カップリング添加剤、本発明によらない)
171部のAraldite GY783、95部のAradur 49 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32、0.1部のBYK−A530及びカップリング添加剤として2.25部の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(充填剤に対して0.3重量%)から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0124】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、44.9N/mmである。
【0125】
総混合物のkgあたり1378mgのエタノールが、完全な加水分解により遊離する。
【0126】
実施例A7(本発明による)
171部のAraldite GY783、95部のAradur 49 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32、0.1部のBYK−A530及び2.25部のカップリング添加剤8(充填剤に対して0.1重量%の溶液、即ち0.12重量%の活性物質)から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0127】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、50.3N/mmである。
【0128】
総混合物のkgあたり164mgのエタノールが、完全な加水分解により遊離する。
【0129】
実施例B1(カップリング添加剤無し、比較例)
171部のAraldite 784、95部のAradur 43 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32及び0.1部のBYK−A530から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0130】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、22.4N/mmである。
【0131】
実施例B2(低分子量カップリング添加剤、本発明によらない)
171部のAraldite 784、95部のAradur 43 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32、0.1部のBYK−A530及びカップリング添加剤として2.25部の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(充填剤に対して0.3重量%)から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0132】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、33.0N/mmである。
【0133】
総混合物のkgあたり1378mgのエタノールが、完全な加水分解により遊離する。
【0134】
実施例B3(本発明による)
171部のAraldite 784、95部のAradur 43 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32、0.1部のBYK−A530及び2.25部のカップリング添加剤8(充填剤に対して0.3重量%の溶液、即ち0.12重量%の活性物質)から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0135】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、36.8N/mmである。
【0136】
総混合物のkgあたり164mgのエタノールが、完全な加水分解により遊離する。
【0137】
実施例C1(カップリング添加剤無し、比較例)
171部のSIQ−Epox4305、95部のAradur 43 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32及び0.1部のBYK−A530から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、32.2N/mmである。
【0138】
実施例C2(低分子量カップリング添加剤、本発明によらない)
171部のSIQ−Epox4305、95部のAradur 43 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32、0.1部のBYK−A530及びカップリング添加剤として2.25部の3−アミノプロピルトリメトキシシラン(充填剤に対して0.3重量%)から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0139】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、39.5N/mmである。
【0140】
総混合物のkgあたり1184mgのメタノールが、完全な加水分解により遊離する。
【0141】
実施例C3(本発明による)
171部のSIQ−Epox4305、95部のAradur 43 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32、0.1部のBYK−A530及び2.25部のカップリング添加剤9(充填剤に対して0.3重量%の溶液、即ち0.12重量%の活性物質)から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0142】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、46.1N/mmである。
【0143】
総混合物のkgあたり122mgのメタノールが、完全な加水分解により遊離する。
【0144】
実施例D1(カップリング添加剤無し、比較例)
171部のSIQ−Epox4305、95部のAradur 49 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32及び0.1部のBYK−A501から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、49.2N/mmである。
【0145】
実施例D2(低分子量カップリング添加剤、本発明によらない)
171部のSIQ−Epox4305、95部のAradur 49 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32、0.1部のBYK−A501及びカップリング添加剤として2.25部の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(充填剤に対して0.3重量%)から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0146】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、56.1N/mmである。
【0147】
総混合物のkgあたり1378mgのエタノールが、完全な加水分解により遊離する。
【0148】
実施例D3(低分子量カップリング添加剤、本発明によらない)
171部のSIQ−Epox4305、95部のAradur 49 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32、0.1部のBYK−A501及びカップリング添加剤として2.25部の3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(充填剤に対して0.3重量%)から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0149】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、57.2N/mmである。
【0150】
総混合物のkgあたり899mgのメタノールが、完全な加水分解により遊離する。
【0151】
実施例D4(低分子量カップリング添加剤、本発明によらない)
171部のSIQ−Epox4305、95部のAradur 49 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32、0.1部のBYK−A501及びカップリング添加剤として2.25部の3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(充填剤に対して0.3重量%)から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0152】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、50.9N/mmである。
【0153】
総混合物のkgあたり1096mgのエタノールが、完全な加水分解により遊離する。
【0154】
実施例D5(本発明による)
171部のSIQ−Epox4305、95部のAradur 49 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32、0.1部のBYK−A501及び2.25部のカップリング添加剤10(充填剤に対して0.3重量%の溶液、即ち0.12重量%の活性物質)から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0155】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、60.3N/mmである。総混合物のkgあたり65mgのメタノールが、完全な加水分解により遊離する。
【0156】
実施例D6(本発明による)
171部のSIQ−Epox4305、95部のAradur 49 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32、0.1部のBYK−A501及び2.25部のカップリング添加剤11(充填剤に対して0.3重量%の溶液、即ち0.12重量%の活性物質)から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0157】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、61.6N/mmである。
【0158】
総混合物のkgあたり121mgのメタノールが、完全な加水分解により遊離する。
【0159】
実施例D7(本発明による)
171部のSIQ−Epox4305、95部のAradur 49 BD、250部のMillisil W3、500部のケイ砂F32、0.1部のBYK−A501及び2.25部のカップリング添加剤12(充填剤に対して0.3重量%の溶液、即ち0.12重量%の活性物質)から成る混合物を、前記一般的方法により加工し、テストプレートを製造する。
【0160】
完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO 178に準拠するテスト標本を、プレートから切り出す。測定された曲げ強度は、62.8N/mmである。
【0161】
総混合物のkgあたり88mgのメタノールが、完全な加水分解により遊離する。
【0162】
(B)粘度の測定
100部のSIQ−Epox4305、150部のMillisil W8及びカップリング添加剤として表1a(表3)又は表1b(表4)に示された物質1.5部からなる混合物をPendraulik TD−100高速ミキサーにより歯付ディスクを使用して、1865回転/分で2分間かけて均一にする。次いで室温で2分間放置する。粘度は、Brookfield RV粘度計(Brookfield GmbH,Lorch製;スピンドル5)を用いて、23℃で即座に測定した。測定は5rpm及び10rpmで実施した。
【0163】
【表3】

【表4】

【0164】
表1a(表3)と表1b(表4)から、カップリング添加剤として、3−アミノプロピルトリエトキシシランを使用すると、混合物の粘度は、カップリング添加剤を含まない場合に比べ増加するが、他方本発明によるカップリング添加剤は、カップリング添加剤を含まない場合に比べ粘度を減少させることを見てとることができる。カップリング添加剤の替わりに溶剤Dowanol PMAのみを使用した対照例は、カップリング添加剤の粘度低下作用が存在する溶剤の影響に起因しないことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性ポリマー混合物であって、
I)カップリング添加剤として、
a)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのアミノシラン及び場合によりチオシラン、又は
少なくとも1つの前記アミノシラン及び/又はチオシランと、少なくとも1つの他のモノアミン及び/又は少なくとも2つのアミノ基を有するポリアミンとの組合わせが、
少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの化合物に付加した少なくともオリゴマーの付加生成物の少なくとも1つ、及び/又は
b)少なくとも1つのモノアミン及び/又は少なくとも2つのアミノ基を有するポリアミンと組み合わされた、少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのイソシアネートシラン及び/又はエポキシシランが、
少なくとも1つの末端ヒドロキシル基及び少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの化合物に付加した少なくともオリゴマーの付加生成物の少なくとも1つ、及び/又は
c)少なくとも1つの加水分解性シラン基及び少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1つのシラン、又は
少なくとも1つの加水分解性シラン基及び少なくとも1つの環状ジカルボン酸無水物基を有する少なくとも1つのシランが、
少なくとも2つの末端アミノ基を有する少なくとも1つの化合物に付加した少なくともオリゴマーの付加生成物の少なくとも1つ、及び/又は
d)場合により少なくとも1つのモノイソシアネート化合物及び/又はエポキシ化合物と組み合わされた、少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのイソシアネートシラン及び/又はエポキシシランが、
少なくとも2つの末端アミノ基を有する少なくとも1つの化合物に付加した少なくともオリゴマーの付加生成物の少なくとも1つ、及び/又は
e)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのアミノシラン及び/又はチオシランが、
少なくとも2つの末端エポキシ基を有する少なくとも1つの化合物に付加した少なくともオリゴマーの付加生成物の少なくとも1つ
と、
II)結合剤として、少なくとも2つのエポキシ末端基を有し、前記エポキシ基と成分I)a)〜成分I)d)のうちの少なくとも1つの成分のアミノ基及び/又は成分I)e)のエポキシ基との相互作用により少なくとも部分的に硬化し得る少なくとも1つのポリマーからなる硬化系と、少なくとも1つの他の硬化剤成分と、場合により促進剤とを含み、
III)骨材として、ポリマー混合物の総重量に対して、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも40重量%、特に好ましくは少なくとも60重量%の無機の、場合により多粒子状の充填剤と、
IV)場合により慣用の助剤と
を含む、硬化性ポリマー混合物。
【請求項2】
前記ポリマー混合物の総重量に対して、5重量%未満、好ましくは1重量%未満、特に好ましくは0.5重量%未満の前記カップリング添加剤成分I)を含有することを特徴とする、請求項1に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項3】
前記ポリマー混合物の総重量に対して、80重量%未満、好ましくは60重量%未満、特に好ましくは40重量%未満の量で、前記結合剤成分II)が存在することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項4】
無機充填剤として、無機シリコン含有化合物、アルミノケイ酸塩、ケイ酸アルミニウム、並びにアルミニウム及びマグネシウムの無機酸素化合物、好ましくは酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム及び/又は水酸化マグネシウムから選択され、前記無機充填剤は、任意の形状、好ましくは、岩石粒度フラクション及び/又は束ねていない又は束ねた、連続又は切断繊維の形状で、存在することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項5】
連続繊維の形状の、好ましくは紐束、織布又はレイアップのような形状の、酸化ケイ素化合物を、場合により、請求項4に記載の多粒子状形状の充填剤と組み合わせて、無機ケイ素含有化合物として使用することを特徴とする、請求項4に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項6】
前記無機充填剤成分III)は、カップリング添加剤成分I)の少なくとも一部で前処理されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項7】
前記結合剤成分II)中に存在する少なくとも2つのエポキシ末端基を有するポリマーは、少なくとも1つのエポキシ樹脂であり、好ましくは、エピクロロヒドリンと、場合により置換された多価フェノール及び/又は多価脂肪族アルコール又は多価脂環式アルコールとに基づく少なくとも1つのポリマー反応生成物であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項8】
前記結合剤成分II)は、脂肪族ポリアミン及び/又は芳香族ポリアミン、ポリカルボン酸、これらの環状無水物又はこれらのアミド、ポリフェノール、アミノ樹脂、フェノール樹脂、好ましくはポリアミン及び/又は環状カルボン酸無水物を、硬化剤成分として含むことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項9】
前記付加生成物Ia)を製造するのに使用される末端二重結合を有する化合物は、二重結合として、(メタ)アクリレート基、好ましくはアクリレート基を有し、前記付加生成物Ib)を製造するのに使用される化合物は、少なくとも1つの末端ヒドロキシル基と、更に、末端二重結合として、少なくとも1つのアクリレート基又はメタクリレート基、好ましくは少なくとも1つのアクリレート基を有し、前記付加生成物Ic)及び/又は前記付加生成物Id)を製造するのに使用される、末端アミノ基を有する化合物は、アミノ基として、一級アミノ基、二級アミノ基又は三級アミノ基を有し、そのうちの少なくとも1つが一級アミノ基又は二級アミノ基、好ましくは一級アミノ基であり、前記付加生成物Ie)を製造するのに使用される末端エポキシ基を有する化合物は、エポキシ基として、グリシジルエーテル基を有することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項10】
前記付加生成物Ia)〜Ie)のそれぞれは、前記シラン成分と反応する少なくとも1つの付加成分として、少なくとも1つのオリゴマー、好ましくはポリマーの化合物、好ましくは、適切な官能性末端基を有するポリエーテル、飽和ポリエステル、ポリアミド、飽和ポリエステルアミド及び/又は飽和ポリエステルポリエーテルを有することを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項11】
前記ポリエーテル成分、前記ポリエステル成分又は前記ポリエステルポリエーテル成分が、いずれの成分の場合にも、末端基として、少なくとも2つのエチレン性不飽和二重結合を有するか又は少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合及び少なくとも1つの末端ヒドロキシル基を有するか又は少なくとも2つの末端アミノ基を有するか又は少なくとも2つの末端エポキシ基を有することを特徴とする、請求項10に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項12】
少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する化合物として、一般式:
【化1】

[式中、
Aは、エポキシ基、グリシジルオキシ基、イソシアネート基、−SH基、(メタ)アクリレート基、環状ジカルボン酸無水物基又は−N(H)−X基であり、その際、Xは、水素、炭素原子1〜6個を有する、場合により分岐状となったアルキル基、炭素原子6〜10個を有するアリール基、又は炭素原子4〜6個を有するシクロアルキル基であり、これらXのそれぞれは、一級又は二級アミノ基で置換されていてもよく、又は、Aは、mが、整数2の場合に−NH基であり、
は、炭素原子1〜12個を有する、場合により枝分かれしたアルキレン基、炭素原子4〜6個を有するシクロアルキレン基、又は炭素原子6〜10個を有するアリーレン基であり、
は、炭素原子1〜7個、好ましくは炭素原子1〜3個を有する、場合により分岐状となったアルキル基、ハロゲン、−O−C(=O)−R基又は−OR基であり、その際、Rは、水素、メトキシエチル基又は炭素原子1〜7個、好ましくは炭素原子1〜3個を有する、場合により分岐状となったアルキル基又は炭素原子4〜6個を有するシクロアルキル基であり、
は、炭素原子1〜7個、好ましくは炭素原子1〜3個を有する、場合により分岐状となったアルキル基、−O−C(=O)−R基、ハロゲン又は−OR基であり、その際、Rは、水素、メトキシエチル基又は炭素原子1〜7個、好ましくは炭素原子1〜3個を有する、場合により分岐状となったアルキル基又は炭素原子4〜6個を有するシクロアルキル基であり、
は、−O−C(=O)−R基、ハロゲン又は−OR基であり、その際、Rは、メトキシエチル基又は炭素原子1〜7個、好ましくは炭素原子1〜3個を有する、場合により分岐状となったアルキル基又は炭素原子4〜6個を有するシクロアルキル基であり、
mは、整数1又は2である化合物が使用されたことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項13】
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン及びこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの化合物が、少なくとも1つの加水分解性シラン基を有するアミノシランとして使用され、
3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、3−(トリメトキシシリル)プロピルコハク酸無水物及びこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの化合物が、少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する酸無水物官能性シランとして使用され、
(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン及びこれらの混合物から成る群から選択される化合物が、少なくとも1つの加水分解性シラン基を有するエポキシシラン化合物として使用されたことを特徴とする、請求項12に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のアミノシランと、少なくとも2つのアミノ基を有する少なくとも1つのポリアミンとの組合わせは、前記付加生成物Ia)の製造のために使用され、その際、ポリアミンは、少なくとも1つの一級アミノ基、更に少なくとも1つの二級アミノ基又は他の一級アミノ基を有することを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項15】
前記付加生成物Ia)では、5〜95モル%、好ましくは10〜90モル%、特に好ましくは15〜80モル%の(メタ)アクリル二重結合が、アミノシラン及び場合によってはチオシランと反応し、これらの二重結合の残りは少なくとも1つのポリアミンと反応しており、
前記付加生成物Ib)では、OH基が、エポキシシラン又はイソシアネートシランと、80モル%より高い範囲まで、好ましくは90モル%より高い範囲まで、特に好ましくは95モル%より高い範囲まで反応し、(メタ)アクリル二重結合は、モノアミン及び/又はポリアミンと、80モル%より高い範囲まで、好ましくは90モル%より高い範囲まで、特に好ましくは95モル%より高い範囲まで反応しており、
前記付加生成物Ic)では、5〜95モル%、好ましくは10〜90モル%、特に好ましくは15〜80モル%のアミノ基が、(メタ)アクリレートシラン又は酸無水物基を有するシランと反応しており、
前記付加生成物Id)では、5〜95モル%、好ましくは10〜90モル%、特に好ましくは15〜80モル%のアミノ基が、イソシアネートシラン及び/又はエポキシシランと反応しており、
前記付加生成物Ie)では、5〜95モル%、好ましくは10〜90モル%、特に好ましくは15〜80モル%のエポキシ基が、アミノシラン及び/又はチオシランと反応していることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項16】
ポリマー混合物は、硬化性ポリマーコンクリート混合物であることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項17】
硬化性ポリマー混合物、好ましくはポリマーコンクリート混合物への、請求項1、9乃至15のいずれか1項に記載の前記付加生成物Ia)〜Ie)の少なくとも1つのカップリング添加剤としての使用であって、前記混合物は、請求項1、7乃至8のいずれか1項に記載の結合剤としての硬化系に基づき、かつ骨材として、ポリマー混合物の総重量に対して少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも40重量%、特に好ましくは少なくとも60重量%の場合により多粒子状、場合により分散性の無機充填剤又はポリマー混合物の総重量に対して少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも50重量%の連続繊維状無機充填剤を備え、場合により慣用の助剤を備える、付加生成物Ia)〜Ie)の少なくとも1つの使用。
【請求項18】
硬化性ポリマー混合物、好ましくはポリマーコンクリート混合物の製造方法であって、請求項1、9乃至15のいずれか1項に記載の前記カップリング添加剤Ia)〜Ie)の少なくとも1つは、場合により多粒子状、場合により分散性の無機充填剤を骨材として含み、場合により慣用の助剤を含む、請求項1、7乃至8のいずれか1項に記載の硬化系と混合するか、又は場合により織布又はレイアップの形状の連続繊維状無機充填剤としての骨材及び場合により慣用の助剤と組み合わせ、この混合物を公知の方法で重合させて硬化を行うことを特徴とする製造方法。
【請求項19】
前記無機充填剤成分III)は、前記カップリング添加剤成分I)の少なくとも一部で前処理することを特徴とする、請求項18に記載の硬化性ポリマー混合物、好ましくはポリマーコンクリート混合物の製造方法。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の方法により得ることのできる、ポリマー成形品。

【公表番号】特表2012−500311(P2012−500311A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523347(P2011−523347)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/005993
【国際公開番号】WO2010/020401
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(596089399)ビック−ケミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【Fターム(参考)】