説明

硬化性樹脂組成物

【課題】 実用的に十分な硬化性を示し、なおかつ、毒性が懸念されるトリブチルスズ化合物を含まない硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】
特定の架橋性シリル基含有官能基を分子内に含有する2種類の硬化性樹脂(P1)と(P2)と、2価のカルボン酸スズ化合物(C)とを含有し、トリブチルスズ化合物を含有しない硬化性樹脂組成物であって、硬化性樹脂(P1)と(P2)の配合割合(質量比)が、硬化性樹脂(P1):硬化性樹脂(P2)=5:95〜95:5であり、かつ、硬化性樹脂(P1)と(P2)の総量100質量部に対して、カルボン酸スズ化合物(C)が0.01〜10質量部含有されることを特徴とする硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室温大気下で硬化可能である、架橋性シリル基を含有する硬化性樹脂組成物に関し、より詳しくは、環境負荷の低減が可能であるとともに、実用上十分な硬化速度を有する硬化性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分子内に架橋性シリル基を有する硬化性樹脂は、シーラント、接着剤、粘着剤、塗料等のベースポリマーとして広く用いられている。この硬化性樹脂は架橋性シリル基が大気中の水分で加水分解し架橋することによって硬化するため、湿気硬化型ポリマーとも呼ばれている。特に架橋性シリル基がアルコキシシリル基である硬化性樹脂は、安全性や臭気が少ないことなどから幅広く用いられている(特許文献1や特許文献2)。
【0003】
硬化性樹脂のなかでも、ジアルコキシシリル基末端のポリマーは諸性能のバランスが良く一般的に用いられている。従来、これらジアルコキシシリル基末端を主成分とするポリマーを、実用的な硬化速度で硬化させるためには、ジブチルスズ化合物が多用されているが、該ジブチルスズ化合物においては、近年その毒性が懸念されているトリブチルスズ化合物が微量に混入する可能性があるという潜在的な問題があった。
【0004】
硬化速度を向上させる方法として、末端構造がジアルコキシシリル基及びトリアルコキシシリル基である硬化性樹脂の併用系(特許文献3)、架橋性シリル基に含まれる珪素原子に結合したα位炭素に非共有電子対を有する酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子が結合された基を有する硬化性樹脂(特許文献4)などが提案されている。しかしながら、特許文献3に示されるような混合系においても、ジブチルスズ化合物が硬化触媒として多用され、また、特許文献4に示されるような特殊な硬化性樹脂においては、有機スズ化合物等の有機金属触媒を本質的に用いないアミン触媒系が本質的に利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭52−73998号公報
【特許文献2】特開昭63−112642号公報
【特許文献3】特許第3413453号公報
【特許文献4】特表2005−514504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、その製造プロセスの関係上、トリブチルスズ化合物の混入の危険性がない、スズ系触媒としては、カルボン酸スズ化合物がある。しかし、カルボン酸スズ化合物はブチルスズ化合物と比較して活性の低下が速いため、添加量に対して得られる硬化促進効果が小さい場合があり、その応用範囲が限られていた。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、カルボン酸スズ化合物を用いても、実用的に十分な硬化性を示し、なおかつ、毒性が懸念されるトリブチルスズ化合物を含まない硬化性樹脂組成物を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような問題を解決するために、本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の組み合わせの硬化性樹脂混合物に、カルボン酸スズ化合物を硬化触媒として用いると、実用的に十分な硬化性を示す硬化性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は、以下の第1〜第10の発明から構成される。
【0009】
すなわち、第1の発明は、下記式(1)で表される架橋性シリル基含有官能基を分子内に含有する硬化性樹脂(P1)と、下記式(2)で表される架橋性シリル基含有官能基を分子内に含有する硬化性樹脂(P2)と、2価のカルボン酸スズ化合物(C)と、を含有し、トリブチルスズ化合物を含有しないことを特徴とする、硬化性樹脂組成物であって、硬化性樹脂(P1)と硬化性樹脂(P2)の配合割合(質量比)が、硬化性樹脂(P1):硬化性樹脂(P2)=5:95〜95:5であり、かつ、硬化性樹脂(P1)と硬化性樹脂(P2)の総量100質量部に対して、カルボン酸スズ化合物(C)が0.01〜10質量部含有されることを特徴とする硬化性樹脂組成物に関するものである。下記2種類の架橋性シリル基含有官能基を有する硬化性樹脂を併用することによって、カルボン酸スズ化合物を用いても実用的に十分な硬化性を示す硬化性樹脂組成物を得ることができる。
−X−SiR(OR3−a ・・・式(1)
(但し、Xは炭素数2〜12の炭化水素基を、Rは炭素数1〜20個の炭化水素基を、Rはフェニル基、炭素数1〜20のアルキル基、及び、2−(ブトキシ)エチル基等に代表されるような炭素数1〜20の有機基から選ばれる一種以上の基を、aは0、1又は2を、それぞれ示す)
−W−CH−SiR(OR3−b ・・・式(2)
(但し、Wは架橋性シリル基に含まれる珪素原子に結合するメチレン基に非共有電子対を有するヘテロ原子が結合している結合官能基を、Rは炭素数1〜20個の炭化水素基を、Rはフェニル基、炭素数1〜20のアルキル基、及び、2−(ブトキシ)エチル基等に代表されるような炭素数1〜20の有機基から選ばれる一種以上の基を、bは0、1又は2を、それぞれ示す)
【0010】
第2の発明は、硬化性樹脂(P1)及び/又は硬化性樹脂(P2)が、さらに分子内にウレタン結合及び/又は尿素結合を含有することを特徴とする、第1の発明に記載の硬化性樹脂組成物に関するものである。なお、本発明においては、硬化性樹脂(P1)及び/又は硬化性樹脂(P2)が分子内に有するウレタン結合及び/又は尿素結合における活性水素は、有機基で置換されていてもよい。したがって、本発明においては、アロファネート結合もウレタン結合の範疇に属するし、ビュレット結合も尿素結合の範疇に属する。分子内にウレタン結合及び/又は尿素結合を有する硬化性樹脂を用いることで、カルボン酸スズ化合物を用いても実用的に十分な硬化性を示す硬化性樹脂組成物を得ることができる。
【0011】
第3の発明は、上記式(1)においてa=1、及び/又は、上記式(2)においてb=1であることを特徴とする、第1又は第2の発明に記載の硬化性樹脂組成物に関するものである。このような硬化性樹脂は、比較的その貯蔵安定性に優れているため好ましい。
【0012】
第4の発明は、硬化性樹脂(P1)及び/又は硬化性樹脂(P2)の主鎖骨格が、ポリオキシアルキレン及び/又はビニル重合体であることを特徴とする、第1〜第3の発明のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物に関するものである。このような硬化性樹脂は、比較的粘度と硬化物物性のバランスが優れているため好ましい。
【0013】
第5の発明は、カルボン酸スズ化合物(C)が、炭素数8〜20のカルボン酸とスズとの塩から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とする、第1〜4の発明のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物に関するものである。このようなカルボン酸スズ化合物は、入手も容易で、触媒効果も高いため好ましい。
【0014】
第6の発明は、さらに、硬化性樹脂(P1)と硬化性樹脂(P2)の総量100質量部に対して、分子内にアミノ基及び架橋性シリル基を有するアミノシラン化合物(D)が0.1〜30質量部含有されることを特徴とする、第1〜第5の発明のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物に関するものである。アミノシラン化合物(D)が含有されることで、硬化性も向上し、硬化性樹脂組成物の接着性も高まるため好ましい。
【0015】
第7の発明は、さらに、硬化性樹脂(P1)と硬化性樹脂(P2)の総量100質量部に対して、炭素数8〜20の炭化水素基がスズ原子に1個以上結合したアルキルスズ化合物(E)から選ばれる1種以上の化合物が0.001〜10質量部、及び/又は、ハロゲン化ホウ素化合物(F)が0.001〜10質量部含有されることを特徴とする、第1〜第6の発明のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物に関するものである。アルキルスズ化合物(E)及び/又はハロゲン化ホウ素化合物(F)を併用することで、さらに硬化性が向上するため好ましい。
【0016】
第8の発明は、第1〜第7のいずれかの発明に係る硬化性樹脂組成物を硬化性成分の主体とするシーラント組成物に関するものである。
第9の発明は、第1〜第7のいずれかの発明に係る硬化性樹脂組成物を硬化性成分の主体とする接着剤組成物に関するものである。
第10の発明は、第1〜第7のいずれかの発明に係る硬化性樹脂組成物を硬化性成分の主体とする粘着剤前駆体組成物に関するものである。
本発明に係る硬化性樹脂組成物を硬化性成分の主体とすることにより、実用十分な硬化速度を有する上に、トリブチルスズ化合物を含有しないシーラント組成物、接着剤組成物、粘着剤前駆体組成物を調製することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、環境負荷の低減と安全性を確保しつつ、実用上十分な硬化速度を与えるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施するための最良の形態を、詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0019】
[硬化性樹脂(P1)について]
本発明における硬化性樹脂(P1)は、分子内に上記式(1)で表される架橋性シリル基含有官能基を有する硬化性樹脂である。本発明で使用される硬化性樹脂(P1)は、作業性などの面から、室温で液状であることが好ましい。上記架橋性シリル基含有官能基は、珪素原子に炭素数2以上の炭化水素基(X)が結合しており、これが主鎖骨格に結合している。また、架橋性シリル基を構成する珪素原子については炭化水素基Xとの結合手以外に架橋性基としてアルコキシル基(OR)が2個結合すると共に、残りの結合手として炭化水素基(R)が1個結合しているものである。アルコキシル基(OR)としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であるのが好ましく、さらに好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。珪素原子の残りの結合手に結合している炭化水素基(R)としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であるのが好ましく、さらに好ましくは、メチル基又はエチル基である。
【0020】
また、硬化性樹脂(P1)の架橋性シリル基は、アルキルジアルコシキシリル基(式(1)において、a=1)又はトリアルコキシシリル基(式(1)において、a=0)であることが、入手の容易さ、硬化物のモジュラス調整の容易さ等の点から好ましく、アルキルジアルコシキシリル基(式(1)において、a=1)あることが、硬化物物性と硬化速度のバランスが取りやすいため特に好ましい。
【0021】
硬化性樹脂(P1)の分子量は特に制限されないが、1,000〜60,000が好ましく、2,000〜40,000がより好ましく、3,000〜20,000が特に好ましい。分子量が1,000を下回ると架橋密度が高くなりすぎることから、硬化物が脆くなる場合があり、分子量が60,000を上回ると粘度が高くなり作業性が悪くなり使用条件が制限される場合がある。
【0022】
硬化性樹脂(P1)の主鎖骨格としては、ポリオキシアルキレン、ビニル重合体(例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等)、飽和炭化水素重合体、不飽和炭化水素重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂及び変成シリコーン樹脂に一般的に用いられている主鎖骨格から選ばれる1種以上の骨格が採用される。特に、本質的にポリオキシアルキレン及び/又はポリ(メタ)アクリレートであることが、入手の容易さや硬化物の皮膜物性等の点から好ましい。ここで、「本質的に」とは、該構造が硬化性樹脂(P1)の主鎖骨格である繰り返し単位の主要素であることを意味する。また、硬化性樹脂(P1)の中に該構造が単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0023】
硬化性樹脂(P1)の市販品としては、シリコーン樹脂又は変成シリコーン樹脂として多数販売されている。例えば、カネカ社製のサイリルシリーズ、カネカMSポリマーシリーズ、MAシリーズ、EPシリーズ、SAシリーズ、ORシリーズ、旭硝子社製のエクセスターシリーズ、デグサジャパン社製のシラン変性ポリアルファオレフィン、信越化学工業社製のKCシリーズ、KRシリーズ、X−40シリーズ、東亞合成社製のXPRシリーズ、綜研化学社製のアクトフローシリーズ等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0024】
本発明における硬化性樹脂(P1)は、架橋性シリル基に加えて、さらにその分子内にウレタン結合及び/又は尿素結合を有する硬化性樹脂であることが好ましい。なお、本発明においては、硬化性樹脂(P1)が分子内に有するウレタン結合及び/又は尿素結合における活性水素は、有機基で置換されていてもよい。したがって、本発明においては、アロファネート結合もウレタン結合の範疇に属するし、ビュレット結合も尿素結合の範疇に属する。
【0025】
このような硬化性樹脂は、従来公知の方法で合成すればよい。例えば、イソシアネート基末端ポリマーにアミノ基含有アルコキシシラン化合物(あるいはメルカプト基含有アルコキシシラン化合物)を反応させる方法や、水酸基末端ポリオールにイソシアネート基含有アルコキシシラン化合物を反応させる方法等が知られている。より具体的には、特許第3030020号公報、特許第3343604号公報、特開2005−54174号公報等に記載の方法で容易に合成することができる。
【0026】
[硬化性樹脂(P2)について]
本発明における硬化性樹脂(P2)は、分子内に上記式(2)で表される架橋性シリル基含有官能基を有する硬化性樹脂である。本発明では、上記式(2)で表されるような、架橋性シリル基に含まれる珪素原子に結合したα位炭素に非共有電子対を有する酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子が結合された化学構造を「α−シラン構造」と表記する。α−シラン構造を選択することにより通常の架橋性シリル基よりも極めて高い湿分反応性を示すことが知られている。
【0027】
上記架橋性シリル基含有官能基には、架橋性シリル基を構成する珪素原子にメチレン基を介して非共有電子対を有するヘテロ原子が結合している結合官能基(W)が結合している。結合官能基(W)とは架橋性シリル基と主鎖をつなぐ構造であり、架橋性シリル基を構成する珪素原子に結合するメチレン基に非共有電子対を有するヘテロ原子が結合していれば特に制限されないが、具体的には(チオ)ウレタン結合、(チオ)尿素結合、(チオ)置換尿素結合、(チオ)エステル結合、(チオ)エーテル結合、などが例示される。さらに当該架橋性シリル基は、この結合官能基(W)を介して主鎖骨格に結合している。
【0028】
また、当該珪素原子については、メチレン基との結合手以外に加水分解性基としてアルコキシ基(OR)が1〜3個結合すると共に、残りの結合手として炭化水素基(R)が2〜0個結合しているものである。
ここで、アルコキシル基(OR)としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であるのが好ましく、メトキシ基又はエトキシ基であるのがより好ましい。珪素原子の残りの結合手に結合している炭化水素基(R)としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基であることが特に好ましい。
【0029】
また、硬化性樹脂(P2)の架橋性シリル基は、アルキルジアルコシキシリル基(式(2)において、b=1)又はトリアルコキシシリル基(式(2)において、b=0)であることが、入手の容易さ、硬化物のモジュラス等の点から好ましく、アルキルジアルコシキシリル基(式(2)において、b=1)あることが、硬化物物性と硬化速度のバランスが取りやすいため特に好ましい。
【0030】
硬化性樹脂(P2)の分子量は特に制限されないが、1,000〜80,000が好ましく、1,500〜60,000がより好ましく、2,000〜40,000が特に好ましい。分子量が1,000を下回ると、架橋密度が高くなり過ぎることから得られる硬化物が脆い物性となる場合があり、分子量が80,000を上回ると、粘度が高くなり作業性が悪くなるため溶剤や可塑剤が多量に必要になるなど配合が制限される場合がある。
【0031】
硬化性樹脂(P2)の主鎖骨格としては、ポリオキシアルキレン、ビニル重合体(例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等)、飽和炭化水素重合体、不飽和炭化水素重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂及び変成シリコーン樹脂に一般的に用いられている主鎖骨格から選ばれる1種以上の骨格が採用される。特に、本質的にポリオキシアルキレン及び/又はポリ(メタ)アクリレートであることが、入手の容易さや硬化物の皮膜物性等の点から好ましい。ここで、「本質的に」とは、該構造が硬化性樹脂(P2)の主鎖骨格である繰り返し単位の主要素であることを意味する。また、硬化性樹脂(P2)の中に該構造が単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0032】
硬化性樹脂(P2)を得るためには、従来公知の方法で合成を行えばよい。例えばポリオール化合物にイソシアネートメチルアルコキシシラン化合物を反応させる方法、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を反応させウレタンプレポリマーを合成した後、ウレタンプレポリマーにメルカプトメチルアルコキシシラン化合物あるいはアミノメチルアルコキシシラン化合物等のアルコキシシリル基の珪素原子のα位炭素に活性水素基を有するヘテロ原子が結合している化合物を反応させる方法等が知られている。なお、ここではトリアルコキシシラン、アルキルジアルコシキシシラン、ジアルキルアルコシキシシランを総称して「アルコキシシラン」と表記している。該アミノメチルアルコキシシラン化合物のアミノ基は、第1級アミノ基であっても第2級アミノ基であってもよいが、第2級アミノ基であるほうが、硬化性樹脂(P2)の粘度が比較的低粘度に調製できるため好ましい。なお、第2級アミノ基を有するアミノメチルアルコキシシラン化合物は、第1級アミノ基を有するアミノメチルアルコキシシラン化合物から誘導することができる。具体的には、第1級アミノ基を有するアミノメチルアルコキシシラン化合物と、α,β−不飽和カルボニル化合物あるいはアクリロニトリル化合物等のアミノ基と共役付加反応を起こす官能基を有する化合物とを反応させる方法などが上げられる。さらに、特表2004−518801、特表2004−536957、特表2005−501146等に記載の方法で容易に合成できる。
【0033】
硬化性樹脂(P2)の市販品としては、Wacker Chemie AG製のGENIOSIL STP−E10、GENIOSIL STP−E30等が挙げられる。
【0034】
本発明は、上記2種類の架橋性シリル基含有官能基を有する硬化性樹脂(P1)及び(P2)を併用することによって、2価のカルボン酸スズ化合物を用いてもブチルスズ化合物と同等の硬化性を示す硬化性樹脂組成物を得ることができるという知見に基づくものである。
【0035】
[2価のカルボン酸スズ化合物(C)について]
本発明における2価のカルボン酸スズ化合物(C)(以下、単に「カルボン酸スズ化合物(C)」と表記することがある)は、2価のスズ原子に1個乃至2個のアシルオキシ基が結合したスズ化合物であり、架橋性シリル基に対して硬化促進剤として作用する化合物乃至物質を指す。
【0036】
上記カルボン酸スズ化合物(C)の具体例としては、オクチル酸スズ、2−エチルヘキサン酸スズ、ネオデカン酸スズ、ラウリン酸スズ、ステアリン酸スズ、オレイン酸スズ、リノール酸スズ、リノレン酸スズ等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、オクチルスズ化合物は市販されており、本発明においてはそれら市販品を用いることができる。カルボン酸スズ化合物(C)の市販品としては、ネオスタンU−28、ネオスタンU−50、ステアリン酸スズ(II)(以上、日東化成社製商品名)等も使用できる。
【0037】
これらの中では、入手の容易さ、化合物の安定性、触媒活性などの観点から、オクチル酸スズ、2−エチルヘキサン酸スズ、ネオデカン酸スズ、ラウリン酸スズ、ステアリン酸スズ、オレイン酸スズ等の炭素数8〜20のカルボン酸とスズとの塩から選ばれる1種以上の化合物が好適に用いられる。
【0038】
[アミノシラン化合物(D)について]
本発明におけるアミノシラン化合物(D)は、分子内にアミノ基と架橋性シリル基を有する化合物である。アミノシラン化合物(D)としては、α−シラン構造を有する低分子アミノシラン化合物は毒性が高いため、α−シラン構造を有さないアミノシラン化合物、つまり、アミノ基の窒素原子と架橋性シリル基の珪素原子との間に炭素原子が2つ以上結合しているアミノシラン化合物が好ましい。
【0039】
上記アミノシラン化合物(D)としては、下記式(3)で示されるアミノシラン化合物(D)、アミノシラン化合物(D)単独の縮合反応生成物、又は、アミノシラン化合物(D)と下記式(4)で示されるシラン化合物(D1)に例示されるような他のシラン化合物との縮合反応生成物等が挙げられる。これらの中では、該アミノシラン化合物(D)中のアミノ基の効果をより発現させやすいことから、アミノシラン化合物(D)、又は、アミノシラン化合物(D)単独の縮合反応生成物がより好ましい。
【0040】
N−R−SiR(OR3−c ・・・式(3)
(但し、R、Rは分子量500以下の有機基又は水素原子を、Rは架橋性シリル基に含まれる珪素原子に結合する炭素原子にヘテロ原子が結合していない有機基を、Rは炭素数1〜20個の炭化水素基を、Rはフェニル基、炭素数1〜12のアルキル基、及び、2−(ブトキシ)エチル基に代表されるような炭素数1〜20の有機基から選ばれる一種以上の基を、cは0、1又は2を、それぞれ示す)
【0041】
Si(R10)(R11)(R12)(OR13) ・・・式(4)
(但し、式中、R10、R11、R12は、フェニル基、分子量500以下のアルキル基、メルカプトプロピル基、ウレイドプロピル基、フェノキシ基、及び、炭素数1〜20のアルコキシ基、2−(ブトキシ)エトキシ基に代表される分子量500以下の有機基から選ばれる一種以上の基をそれぞれ表し、R13はフェニル基、及び、炭素数1〜20のアルキル基、2−(ブトキシ)エチル基に代表される炭素数1〜20の有機基から選ばれる一種以上の基をそれぞれ示す)
【0042】
上記アミノシラン化合物(D)に含まれるアミノ基としては、第1級、第2級、第3級のいずれのアミノ基でもよいが、本発明に係る硬化性樹脂組成物を接着剤、シーラント、粘着剤等の密着性が求められる用途に用いる場合においては、その密着性付与効果がより発現しやすい第1級又は第2級アミノ基が好ましく、第1級アミノ基が特に好ましい。また、上記アミノシラン化合物(D)中に含まれるアミノ基は、1個であってもよく2個以上であってもよい。また、上記アミノシラン化合物(D)に含まれる架橋性シリル基としては、アミノシラン化合物(D)で例示すると、アルキルジアルコキシシリル基(c=1)又はトリアルコキシシリル基(c=0)であることが入手が容易である点、及び、硬化物のモジュラス調整が容易である点から好ましい。上記アミノシラン化合物(D)に含まれる架橋性シリル基は、1個であってもよく2個以上であってもよい。
【0043】
上記アミノシラン化合物(D)の具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、ビス(3−トリメトキシプロピル)アミン、ビス(3−メチルジメトキシプロピル)アミン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−ブチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−プロペニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン等のケチミンシラン化合物も、湿気により第1級アミノ基が生成するため、上記アミノシラン化合物(D)のなかに実質的に含まれる。なかでも、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、又は、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを用いることが、入手が容易であるという点、及び、硬化促進効果が高いという点から好ましい。また、アミノシラン化合物が配合された硬化物は一般的に熱や光によって黄色く変色しやすいことが知られている。このような黄変が好まれない用途に用いる時は、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン等の窒素原子のβ位の炭素に結合する水素原子の数が少ないアミノシラン化合物を用いると黄変が低減されるため好ましい。
【0044】
[シラン化合物(D1)について]
上記シラン化合物(D1)の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン等が例示される。なかでも、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランを用いることが、アミノシラン化合物(D)との縮合反応の容易性の観点から好ましい。
【0045】
アミノシラン化合物(D)単独、あるいは、アミノシラン化合物(D)とシラン化合物(D1)との縮合反応生成物は、従来公知の定法により合成すればよい。具体的には、アミノシラン化合物(D)を水と反応させる方法、あるいは、アミノシラン化合物(D)及びシラン化合物(D1)を水と反応させる方法が挙げられる。アミノシラン化合物(D)単独、あるいは、アミノシラン化合物(D)とシラン化合物(D1)との縮合反応生成物は市販されており、本発明ではそれらを用いることができる。市販品としては、MS3301(チッソ株式会社製商品名)、MS3302(チッソ株式会社製商品名)、X−40−2651(信越化学工業株式会社製商品名)等が挙げられる。
【0046】
上記アミノシラン化合物(D)は、所望の硬化皮膜物性及び/又は硬化速度を得るために適宜選択すればよく、1種単独又は2種以上併用してもよい。上記アミノシラン化合物(D)のなかでは、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン及び、それらから誘導される縮合反応生成物が、入手が容易であるため好ましく、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランが、硬化促進効果が高いという点からより好ましく、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランが、本発明に係る硬化性樹脂組成物を接着剤、シーラント、粘着剤等の密着性が求められる用途に用いる場合において接着性付与効果が高いことから特に好ましい。
【0047】
[アルキルスズ化合物(E)について]
本発明におけるアルキルスズ化合物(E)は、炭素数8〜20の炭化水素基がスズ原子に1個以上結合したアルキルスズ化合物であり、架橋性シリル基に対して硬化促進剤として作用する化合物乃至物質を指す。
【0048】
アルキルスズ化合物(E)の具体例としては、ジオクチルスズジステアレート、ジオクチルスズオキサイド、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジネオデカエート、ジオクチルスズビスエチルマレート、ジオクチルスズビスオクチルマレート、ジオクチルスズビスイソオクチルチオグリコレート、オクチルスズマレート、ジオクチルスズジメトキシド、ジオクチルスズオキサイドとフタル酸ジエステルとの反応生成物、ジオクチルスズオキサイドとエチルシリケートとの反応生成物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、オクチルスズ化合物は市販されており、本発明においてはそれら市販品を用いることができる。オクチルスズ化合物の市販品としては、ネオスタンU−800,ネオスタンU−810,ネオスタンU−820,ネオスタンU−830,ネオスタンU−840,ネオスタンU−850,ネオスタンU−860,ネオスタンU−870、ネオスタンU−780、ネオスタンS−1(以上、日東化成社製商品名)等も使用できる。これらの中では、ネオスタンU−830、ネオスタンU−780、ネオスタンS−1が硬化速度の調整が容易であるため好ましく、硬化促進効果付与が大きいネオスタンU−780、ネオスタンS−1が特に好ましい。
【0049】
[ハロゲン化ホウ素化合物(F)について]
本発明におけるハロゲン化ホウ素化合物(F)は、ハロゲン化ホウ素、及び、ハロゲン化ホウ素とルイス塩基との錯体からなる化合物であり、硬化性樹脂の硬化を極めて促進させる化合物である。
【0050】
三フッ化ホウ素とルイス塩基との錯体からなる化合物の具体例としては、例えば、三フッ化ホウ素のアミン錯体、アルコール錯体、エーテル錯体、チオール錯体、スルフィド錯体、カルボン酸錯体、水錯体等が例示される。上記三フッ化ホウ素の錯体の中では、入手及び配合が容易であることからアルコール錯体又はアミン錯体がより好ましく、安定性と触媒活性を兼ね備えたアミン錯体が特に好ましい。
【0051】
上記三フッ化ホウ素アミン錯体に用いられるアミン化合物としては、アンモニア、モノエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、アニリン、モルホリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、グアニジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、N−メチル−3,3′−イミノビス(プロピルアミン)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、ペンタエチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,9−ジアミノノナン、ATU(3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)、CTUグアナミン、ドデカン酸ジヒドラジド、ヘキサメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジアニシジン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、トリジンベース、m−トルイレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、メラミン、1,3−ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ハンツマン社製ジェファーミン等の複数の第一級アミノ基を有する化合物、ピペラジン、シス−2,6−ジメチルピペラジン、シス−2,5−ジメチルピペラジン、2−メチルピペラジン、N,N′−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)−プロパン、4−アミノプロピルアニリン、ホモピペラジン、N,N′−ジフェニルチオ尿素、N,N′−ジエチルチオ尿素、N−メチル−1,3−プロパンジアミン等の複数の第二級アミノ基を有する化合物、更に、メチルアミノプロピルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノエチルアミン、ラウリルアミノプロピルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−アミノプロピルピペラジン、3−アミノピロリジン、1−o−トリルビグアニド、2−アミノメチルピペラジン、N−アミノプロピルアニリン、エチルアミンエチルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ラウリルアミノプロピルアミン、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、式 HN(CNH)H(n≒5)で表わされる化合物(商品名:ポリエイト、東ソー社製)、N−アルキルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン、N−アルキルピペリジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン等の複環状第三級アミン化合物等の他、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−3−[アミノ(ジプロピレンオキシ)]アミノプロピルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリエトキシシラン等のアミノシラン化合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0052】
上記三フッ化ホウ素アミン錯体は、市販されており本発明ではそれらを用いることもできる。市販品としては、エアプロダクツジャパン株式会社製のアンカー1040、アンカー1115、アンカー1170、アンカー1222、BAK1171等が挙げられる。
【0053】
[配合量について]
本発明においては、硬化性樹脂(P1)100質量部に対して、硬化性樹脂(P2)2〜1000質量部が好ましく、4〜800質量部がより好ましく、6〜500質量部が特に好ましく、10〜200質量部が最も好ましい。2質量部を下回ると硬化速度発現の効果が十分発揮されない場合があり、1000質量部を上回ると硬化性樹脂(P1)の割合が相対的に小さくなるため貯蔵安定性が悪くなる場合がある。硬化性樹脂(P1)及び(P2)は、所望の性能を得るために便宜選択すればよく、1種単独又は2種以上併用してもよい。
【0054】
上記2価のカルボン酸スズ化合物(C)の配合量は、硬化性樹脂(P1)と硬化性樹脂(P2)の総量100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましく、0.1〜1.0質量部が特に好ましい。0.01を下回ると、硬化促進の効果が十分でない場合があり、10質量部を上回ると、配合量を増やしてもそれ以上硬化促進効果が上がらなくなる場合がある。カルボン酸スズ化合物(C)は、所望の硬化速度を得るために便宜選択すればよく、1種単独又は2種以上併用してもよい。
【0055】
上記アミノシラン化合物(D)の添加量は、硬化性樹脂(P1)と(P2)の総和100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1.0〜10質量部が特に好ましい。0.1質量部を下回ると、接着性付与の効果が十分発現されない場合があり、30質量部を上回ると希釈効果が大きくなりすぎて硬化性樹脂(P1)及び(P2)の機能が十分発揮されなくなることがある。上記アミノシラン化合物(D)は、所望の硬化皮膜物性及び/又は硬化速度を得るために適宜選択すればよく、1種単独又は2種以上併用してもよい。
【0056】
上記アルキルスズ化合物(E)の添加量は、硬化性樹脂(P1)と(P2)の総和100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、0.01〜5.0質量部がより好ましく、0.1〜2.0量部が特に好ましい。0.001質量部を下回ると、硬化促進効果が十分発現されない場合があり、10質量部を上回ると硬化促進付与の効果がそれ以上十分発揮されなくなることがある。上記アルキルスズ化合物(E)は、所望の性能を得るために適宜選択すればよく、1種単独又は2種以上併用してもよい。
【0057】
上記ハロゲン化ホウ素化合物(F)の添加量は、硬化性樹脂(P1)と(P2)の総和100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、0.01〜5.0質量部がより好ましく、0.1〜2.0量部が特に好ましい。0.001質量部を下回ると、硬化促進効果が十分発現されない場合があり、10質量部を上回ると硬化促進付与の効果がそれ以上十分発揮されなくなることがある。上記ハロゲン化ホウ素化合物(F)は、所望の性能を得るために適宜選択すればよく、1種単独又は2種以上併用してもよい。
【0058】
[その他の成分]
本発明に係る硬化性樹脂組成物中には、その他の成分として従来公知の任意の化合物乃至物質を配合することができる。たとえば、本発明で用いる硬化性樹脂(P1)及び(P2)以外の各種の硬化性樹脂(エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、オキセタン系樹脂、環状カーボネート系樹脂)及び非硬化性の樹脂(アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等)、非スズ系金属系触媒、カルボン酸化合物等の酸性触媒、上記アミノシラン化合物(D)以外のアミン化合物等の塩基性触媒、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、炭酸カルシウム、クレイ、親水性又は疎水性シリカ系粉体等の充填剤、フェノール樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等の粘着付与剤、アマイドワックス等の揺変剤、酸化カルシウム等の脱水剤、希釈剤、可塑剤、難燃剤、各種液状オリゴマー、老化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、乾性油、各種溶剤等を配合することができる。特に、上述のアミン化合物等の塩基性触媒を配合すると、硬化促進の効果がより高められることがあるため、好適に配合することができる。
【0059】
上記非スズ系金属系触媒としては、第1族のアルカリ金属系金属元素を主体とする化合物として、ナフテン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、オクチル酸カリウム等が、第2族のアルカリ土類金属系金属元素を主体とする化合物として、ナフテン酸マグネシウム、オクチル酸カルシウム、オクチル酸バリウム等が、遷移金属系金属元素を主体とする化合物として、オクチル酸イットリウム、チタンテトラブトキシド、チタンアセチルアセトン錯体、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等、ジルコニウムテトラプロポキシド、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、バナジルアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート、クロムアセチルアセトン錯体、マンガンアセチルアセトン錯体、オクチル酸鉄、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、ニッケルアセチルアセトン錯体、ナフテン酸銅、銅アセチルアセトン錯体等が、第12族の亜鉛族系金属元素を主体とする化合物として、亜鉛アセチルアセトナートモノハイドレート、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛等が、第13族の土類金属系金属元素を主体とする化合物として、アルミニウムアセチルアセトン錯体、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムエチルアセトアセテート錯体、インジウムアセチルアセトン錯体等が、第15族の窒素族系金属元素を主体とする化合物として、ナフテン酸ビスマス、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)等が挙げられる。また、市販品の具体例としては、ナーセムアルミニウム、ナーセムクロム、ナーセム第一コバルト、ナーセム第二コバルト、ナーセム銅、ナーセム第二鉄、ナーセムニッケル、ナーセムバナジル、ナーセム亜鉛、ナーセムインジウム、ナーセムマグネシウム、ナーセムマンガン、ナーセムイットリウム、ナーセムセリウム、ナーセムストロンチウム、ナーセムパラジウム、ナーセムバリウム、ナーセムモリブデニル、ナーセムランタン、ナーセムジルコニウム、ナーセムチタン、ナフテックスCoシリーズ、ニッカオクチックスCoシリーズ、ナフテックスMnシリーズ、ニッカオクチックスMnシリーズ、ナフテックスZnシリーズ、ニッカオクチックスZnシリーズ、ナフテックスCaシリーズ、ニッカオクチックスCaシリーズ、ナフテックスKシリーズ、ニッカオクチックスKシリーズ、ニッカオクチックスBiシリーズ、ネオデカン酸Biシリーズ、プキャットシリーズ、PAシリーズ、ナフテックスZrシリーズ、ニッカオクチックスZrシリーズ、ナフテックスFeシリーズ、ニッカオクチックスFeシリーズ、ナフテックスMgシリーズ、ナフテックスLiシリーズ、ナフテックスCuシリーズ、ナフテックスBaシリーズ、ニッカオクチックス・レアースシリーズ、ニッカオクチックスNiシリーズ等(以上、日本化学産業社製商品名)、オルガチックスZA−40、オルガチックスZA−65、オルガチックスZC−150、オルガチックスZC−540、オルガチックスZC−570、オルガチックスZC−580、オルガチックスZC−700、オルガチックスZB−320、オルガチックスTA−10、オルガチックスTA−25、オルガチックスTA−22、オルガチックスTA−30、オルガチックスTC−100、オルガチックスTC−401、オルガチックスTC−200、オルガチックスTC−750、オルガチックスTPHS等(以上、マツモトファインケミカル社製商品名)、SNAPCURE3020、SNAPCURE3030、VERTEC NPZ等(以上、ジョンソン・マッセイ社製商品名)、ネオスタンU−600、ネオスタンU−660等(以上、日東化成社製商品名)、ケンリアクトNZ01、ケンリアクトNZ33、ケンリアクトNZ39等(以上、ケンリッチ社製商品名)、アルミニウムエトキサイド、AIPD、PADM、AMD、ASBD、ALCH、ALCH−TR、アルミキレートM、アルミキレートD、アルミキレートA、アルゴマー、アルゴマー800AF、アルゴマー1000SF、プレンアクトALM等(以上、川研ファインケミカル社製商品名)、A−1、B−1、TOT、TOG、T−50、T−60、A−10、B−2、B−4、B−7、B−10、TBSTA、DPSTA−25、S−151、S−152、S−181等(以上、日本曹達社製商品名)、オクトープシリーズ、ケロープシリーズ、オリープシリーズ、アセトープシリーズ、ケミホープシリーズ等(ホープ製薬社製商品名)等が挙げられる。なかでも、ジルコニウム化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物、ビスマス化合物からなる群から選ばれる一種以上であると、環境負荷の低減が可能であるとともに、安全性を確保でき、さらに実使用に耐えうる硬化速度が得られやすいという点で好ましい。
【0060】
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、1液性としても2液以上の多液性としても使用することができるが、どの場合においても、水分の存在下で、架橋性シリル基同士が縮重合することによって硬化するものである。したがって、1液性の組成物として使用する場合、保管乃至搬送中は、空気(空気中の水分)と接触しないよう、気密に密封した状態で取り扱われる。そして、使用時には開封して任意の箇所に適用すれば、空気中の水分と接触して硬化性樹脂が硬化するのである。
【0061】
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、従来の硬化性樹脂が適用されていた全ての用途に用いることができる。たとえば、接着剤、シーラント、粘着剤、塗料、コーティング材、目止め材、注型材、被覆材等として用いることができる。特に、本発明に係る硬化性樹脂組成物を主体とすることで、環境負荷が少なく、高い安全性で、且つ、高い硬化速度を有する組成物を提供することができるため、作業時間の短縮が求められているようなシーラント又は接着組成物などの用途に好適に用いることができる。なお、「主体」とは、該組成物が硬化する際の架橋ネットワーク構造において、該硬化性樹脂組成物の架橋性シリル基の縮合による架橋ネットワーク構造が主たる構成成分となることを意味する。
【0062】
また、粘着剤前駆体組成物として使用する場合には、上記の硬化性樹脂組成物に対して、さらに粘着付与樹脂を配合し均一に混合して粘着剤前駆体組成物を得ることもできる。なお、硬化性樹脂組成物と粘着付与樹脂とを均一に混合する場合、たとえば両者の相溶性が不十分な場合などにおいては、有機溶剤を使用してもよい。有機溶剤としては、エタノール等のアルコール類、酢酸エチル、トルエン、メチルシクロヘキサン等が用いられる。また、硬化性樹脂組成物と粘着付与樹脂の相溶性が良好な場合や、有機溶媒が好まれない用途などには、有機溶剤を使用しなくてもよい。また、弱粘着性が求められる用途には、粘着付与樹脂を用いず粘着剤前駆体組成物を得ることもできる。このようにして得られた粘着剤前駆体組成物を、従来公知のテープ基材又はシート基材の表面(片面又は両面)に塗布し、これを硬化させることで粘着剤層を形成することができ、粘着テープ又は粘着シートが得られる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0064】
[硬化性樹脂(P1)の準備]
(エクセスターS2420及びエクセスターG3440STの準備)
硬化性樹脂(P1)として、主鎖がポリオキシプロピレンであり、末端にメチルジメトキシシリル基を有する硬化性樹脂である「エクセスターS2420」(旭硝子社製商品名)、及び、主鎖がポリオキシプロピレンであり、末端にトリメトキシシリル基を有する硬化性樹脂である「エクセスターG3440ST」(旭硝子社製商品名)を準備した。
【0065】
(硬化性樹脂P1−Aの合成)
反応容器内で、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(206.4質量部)を窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、アクリル酸メチル(172.2質量部、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランに対して2モル当量)を1時間かけて滴下し、さらに50℃で7日間反応させることで、分子内にメチルジメトキシシリル基及び第二級アミノ基を有するシラン化合物SE−1を得た。
別の反応容器内で、PMLS4012(旭硝子ウレタン株式会社製商品名、ポリオキシプロピレンポリオール、平均分子量10,000、100質量部)、イソホロンジイソシアネート(4.83質量部)及びジオクチルスズジバーサテート(PMLS4012に対して50ppm)を仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で3時間反応させて、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にイソシアネート基を有するウレタン系樹脂U−1を得た。
さらに上記シラン化合物SE−1(8.39質量部)を添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、上記ウレタン系樹脂U−1中のイソシアネート基と上記シラン化合物SE−1中の第二級アミノ基とを反応させることで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にウレタン結合、活性水素が1個置換されたウレア結合、及び、メチルジメトキシシリル基を有する硬化性樹脂P1−Aを得た。反応終了後、IR測定を行ったところイソシアネート基に帰属される特性吸収(2265cm−1)は観測されなかった。
【0066】
(硬化性樹脂P1−Bの合成)
反応容器内で、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(179.3質量部)を窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、NKエステルS−1800A(新中村工業社製商品名、アクリル酸イソステアリル、324.5質量部、3−アミノプロピルトリメトキシシランに対して1モル当量)を1時間かけて滴下し、さらに50℃で7日間反応させることで分子内にトリメトキシシリル基及び第二級アミノ基を有するシラン化合物SE−2を得た。
別の反応容器内で、ARUFON UH−2000(東亜合成社製商品名、アクリルポリオール、平均分子量11,000、100質量部)、イソホロンジイソシアネート(7.53質量部)及びニッカオクチックスZr12%(T)(日本化学産業社製商品名、オクチル酸ジルコニル、Zr含有率≒12質量%、ARUFON UH−2000に対して200ppm)を仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で3時間反応させた後、さらに100℃で12時間反応させることで、主鎖がアクリル重合体でありその分子内にイソシアネート基を有するウレタン系樹脂U−2を得た。
さらに、上記シラン化合物SE−2(16.03質量部)を添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、上記ウレタン系樹脂U−2中のイソシアネート基と上記シラン化合物SE−2中の第二級アミノ基とを80℃で1時間反応させることで、主鎖がアクリル重合体でありその分子内にウレタン結合、活性水素が1個置換されたウレア結合、及び、トリメトキシシリル基を有する硬化性樹脂P1−Bを得た。反応終了後、IR測定を行ったところイソシアネート基に帰属される特性吸収(2265cm−1)は観測されなかった。
【0067】
[硬化性樹脂(P2)の準備]
(GENIOSIL STP−E10の準備)
硬化性樹脂(P2)として、主鎖がポリオキシプロピレンであり、末端にメチルジメトキシシリル基型のα−シリル構造を有する「GENIOSIL STP−E10」(Wacker Chemie AG.製、メトキシ基等量から換算した分子量約10,000)を準備した。
【0068】
[カルボン酸スズ化合物(C)の準備]
(ネオスタンU−28及びネオスタンU−50の準備)
カルボン酸スズ化合物(C)として、「ネオスタンU−28」(日東化成社製商品名、オクチル酸スズ)、及び、「ネオスタンU−50」(日東化成社製商品名、ネオデカン酸スズ)を準備した。
【0069】
[アミノシラン化合物(D)の準備]
(KBM−903、KBM−603及びKBM−602の準備)
アミノシラン化合物(D)として、「KBM−903」(信越化学工業社製商品名、3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、「KBM−603」(信越化学工業社製商品名、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、及び、「KBM−602」(信越化学工業社製商品名、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を準備した。
【0070】
[アルキルスズ化合物(E)の準備]
(ネオスタンU−820の準備)
アルキルスズ化合物(E)として、「ネオスタンU−820」(日東化成社製商品名、ジオクチルスズジアセテート)を準備した。
【0071】
[ハロゲン化ホウ素化合物(F)の準備]
(三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体の準備)
ハロゲン化ホウ素化合物(F)として、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体を準備した。
【0072】
[塩基性触媒の準備]
(ファーミンOの準備)
塩基性触媒として、ファーミンO(花王社製商品名、オレイルアミン)を準備した。
【0073】
表1〜6に示す配合割合(質量部)で、23±2℃相対湿度50±5%の条件下、各化合物をスパーチュラを用いて30秒間混合した。硬化速度の評価のため、23±2℃相対湿度50±5%の条件下で、皮張り時間を測定した。当該測定においては、各化合物を30秒間混合した直後を開始時間とし、硬化物の表面に形成された皮膜がスパーチュラに転着しなくなった時間を終了時間として、開始時間から終了時間の差を皮張り時間とした。硬化速度の確認は、最長2週間まで行った。また、実施例14及び比較例8における三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体は、表5に示す配合割合(質量部)でKBM−603に混合した後、50℃3日間静置し溶解させた混合物として添加した。それぞれの皮張り時間を表1〜6に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
【表4】

【0078】
【表5】

【0079】
【表6】

【0080】
表1〜6の結果から、本発明に係る硬化性樹脂組成物は、トリブチルスズ化合物の混入の危険性がない2価のカルボン酸スズ化合物を用いながらも、実用的に十分な硬化性を示すことが分かる。また、アミノシラン化合物(D)やアルキルスズ化合物(E)及び/又はハロゲン化ホウ素化合物(F)、他の補助的な硬化促進効果を有する化合物を配合することで硬化速度を調整することが可能であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、従来の硬化性樹脂が適用されていた全ての用途に用いることができる。たとえば、接着剤、シーラント、粘着剤、塗料、コーティング材、目止め材、注型材、被覆材等として用いることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される架橋性シリル基含有官能基を分子内に含有する硬化性樹脂(P1)と、下記式(2)で表される架橋性シリル基含有官能基を分子内に含有する硬化性樹脂(P2)と、2価のカルボン酸スズ化合物(C)と、を含有し、トリブチルスズ化合物を含有しないことを特徴とする、硬化性樹脂組成物であって、硬化性樹脂(P1)と硬化性樹脂(P2)の配合割合(質量比)が、硬化性樹脂(P1):硬化性樹脂(P2)=5:95〜95:5であり、かつ、硬化性樹脂(P1)と硬化性樹脂(P2)の総量100質量部に対して、カルボン酸スズ化合物(C)が0.01〜10質量部含有されることを特徴とする硬化性樹脂組成物。

−X−SiR(OR3−a ・・・式(1)
(但し、Xは炭素数2〜12の炭化水素基を、Rは炭素数1〜20個の炭化水素基を、Rはフェニル基、炭素数1〜20のアルキル基、及び、2−(ブトキシ)エチル基等に代表されるような炭素数1〜20の有機基から選ばれる一種以上の基を、aは0、1又は2を、それぞれ示す)

−W−CH−SiR(OR3−b ・・・式(2)
(但し、Wは架橋性シリル基に含まれる珪素原子に結合するメチレン基に非共有電子対を有するヘテロ原子が結合している結合官能基を、Rは炭素数1〜20個の炭化水素基を、Rはフェニル基、炭素数1〜20のアルキル基、及び、2−(ブトキシ)エチル基等に代表されるような炭素数1〜20の有機基から選ばれる一種以上の基を、bは0、1又は2を、それぞれ示す)

【請求項2】
硬化性樹脂(P1)及び/又は硬化性樹脂(P2)が、さらに分子内にウレタン結合及び/又は尿素結合を含有することを特徴とする、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
上記式(1)においてa=1、及び/又は、上記式(2)においてb=1であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
硬化性樹脂(P1)及び/又は硬化性樹脂(P2)の主鎖骨格が、ポリオキシアルキレン及び/又はビニル重合体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
カルボン酸スズ化合物(C)が、炭素数8〜20のカルボン酸とスズとの塩から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
さらに、硬化性樹脂(P1)と硬化性樹脂(P2)の総量100質量部に対して、分子内にアミノ基及び架橋性シリル基を有するアミノシラン化合物(D)が0.1〜30質量部含有されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、硬化性樹脂(P1)と硬化性樹脂(P2)の総量100質量部に対して、炭素数8〜20の炭化水素基がスズ原子に1個以上結合したアルキルスズ化合物(E)から選ばれる1種以上の化合物が0.001〜10質量部、及び/又は、ハロゲン化ホウ素化合物(F)が0.001〜10質量部含有されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化性成分の主体とするシーラント組成物。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化性成分の主体とする接着剤組成物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化性成分の主体とする粘着剤前駆体組成物。



【公開番号】特開2011−52066(P2011−52066A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200445(P2009−200445)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000105648)コニシ株式会社 (217)
【Fターム(参考)】