説明

硬化性組成物、硬化性樹脂転写フイルム、スペーサーの製造方法、液晶表示装置用基板及び液晶表示装置

【課題】基板上に硬化性樹脂層を形成した後の、経時による、現像性及びスペーサーとして適用したときの液晶表示装置の表示ムラの劣化を抑制可能な硬化性組成物及び硬化性樹脂転写フイルムの提供。
【解決手段】分岐及び/又は脂環構造を有する基、酸性基、及びエチレン性不飽和結合を有する基を側鎖に有する樹脂(A)、重合性化合物(B)及びベンゼン環に、(4,6−ビストリハロメチル−S−トリアジン−2−イル)基又は2−(5−トリハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)エテニル基と、n価の基を有する、2以上のポリベンゼンの構造の開始剤(C)を少なくとも含んでなることを特徴とする硬化性組成物及びこの組成物を用いて形成された硬化性樹脂層を仮支持体上に有する硬化性樹脂転写フイルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、硬化性樹脂転写フイルム及びスペーサーの製造方法、並びにこの方法により作製されたスペーサーを備えた液晶表示装置用基板、及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置は、高画質画像を表示する表示装置に広く利用されている。液晶表示装置は一般に、一対の基板間に所定の配向により画像表示を可能とする液晶層が配置されており、この基板間隔、すなわち液晶層の厚みを均一に維持することが画質を決定する要素の一つであり、そのために液晶層の厚みを一定に保持するためのスペーサーが配設されている。この基板の間の厚みは一般に「セル厚」と称され、セル厚は通常、前記液晶層の厚み、換言すれば、表示領域の液晶に電界をかけている2枚の電極間の距離を示すものである。
【0003】
スペーサーは、従来ビーズ散布により形成されていたが、近年では、硬化性樹脂組成物を用いてプロキシミティー露光により位置精度の高いスペーサーが形成されるようになってきている。このような硬化性樹脂組成物を用いて形成されたスペーサーは、フォトスペーサーと呼ばれている。
【0004】
硬化性樹脂組成物を用いてパターニング、アルカリ現像、及びベークを経て作製されたフォトスペーサーについては、そのスペーサドットの圧縮強度が弱く、パネル形成時に塑性変形が大きくなる傾向を有している。高画質の画像表示には、これに起因して液晶層の厚みが設計値より小さくなる等して均一性が保持できない問題や、画像ムラを生ずるといった問題がないことが要求される。また、硬化性樹脂組成物の液安定性、液晶表示装置の高精度化の点では、硬化性樹脂組成物のアルカリ現像残渣が生じないことも重要である。
さらには近年、生産調整のため、硬化性樹脂組成物及び硬化性樹脂転写フィルムを用いて硬化性樹脂層をガラス基板に積層した後、一旦ラック等に保管され、一定時間経過した後、露光以降のプロセス行なわれることがある。このような場合、保管する時間の影響により現像性、力学特性(変形回復率など)及び表示性などが悪化することがあった。
【0005】
プロキシミティー露光による位置精度の高いスペーサーに関しては、エチレン性不飽和カルボン酸及び/又はエチレン性不飽和カルボン酸無水物とエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物と他のエチレン性不飽和化合物との共重合体と、トリハロメチルトリアジン類を含有する感放射線性樹脂組成物により、プロキシミティー露光によってもマスクパターンの設計サイズを忠実に再現でき、かつスペーサーとして必要な強度、耐熱性等に優れた表示パネル用スペーサーを形成する方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら上記の方法では低温で保管された組成物では良好な性能が得られるものの安定性が悪く、常温で保管された組成物を塗布すると、塗布ムラが発生したり、塗布不可能な場合があった。
これを改良すべく、側鎖にカルボキシル基を有するセグメントA、側鎖にエステル結合を介して重合性二重結合を有する化合物が結合したセグメントB、及び、非イオン性のセグメントCとからなる共重合体を含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物が提案されている。(例えば、特許文献2参照)
【0006】
また、液晶層の厚さ(セル厚)を一定に保つためのスペーサー形成技術として、スペーサー形成用にアリル基を有する樹脂を用いることが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
これらの提案では液安定性が改善されるものの、硬化性樹脂層をガラス基板に積層して、一定時間経過した後、露光プロセス行うと現像性、力学特性(変形回復率など)及び表示性などが悪化することがあった。
【特許文献1】特開2002−278064号公報
【特許文献2】特開2005−62620号公報
【特許文献3】特開2003−207787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の課題を解決することを目的とする。即ち、本発明は、液安定性が良好な硬化性組成物、基板上に硬化性樹脂層を形成した後の、経時による、現像性及びスペーサーとして適用したときの液晶表示装置の表示ムラの劣化を抑制可能な硬化性組成物及び硬化性樹脂転写フイルム、硬化性組成物又は硬化性樹脂転写フイルムを用いたスペーサーの製造方法、並びにこの方法により作製されたスペーサーを備えた液晶表示装置用基板、及び高品質な画像を表示可能な液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、鋭意検討の結果、特定の共重合体と開始剤とを組み合わせることにより上記課題が達成されることを見出した。
即ち、本発明は、
<1> 分岐及び/又は脂環構造を有する基、酸性基、及びエチレン性不飽和結合を有する基を側鎖に有する樹脂(A)、重合性化合物(B)及び下記一般式(I)で表される開始剤(C)を少なくとも含んでなることを特徴とする硬化性組成物である。
【0009】
【化1】

【0010】
式中、Tは(4,6−ビストリハロメチル−S−トリアジン−2−イル)基又は2−(5−トリハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)エテニル基を、Yはn価の基を、nは2以上の整数を表す。ベンゼン環はT以外の置換基を有していてもよい。
【0011】
<2> 前記脂環構造を有する基が、置換基を有していてもよい炭素数6以上の環状構造を有する基であることを特徴とする<1>に記載の硬化性組成物である。
【0012】
<3> 微粒子(D)を更に含むことを特徴とする<1>又は<2>に記載の硬化性組成物である。
【0013】
<4> 前記微粒子(D)の平均粒子径が5〜50nmであり、硬化性組成物中の全固形分に対する質量比率が5〜50質量%であることを特徴とする<3>に記載の硬化性組成物である。
【0014】
<5> 前記微粒子(D)がコロイダルシリカであることを特徴とする<3>又は<4>に記載の硬化性組成物である。
【0015】
<6> 仮支持体上に、少なくとも硬化性樹脂層を有する硬化性樹脂転写フイルムであって、前記硬化性樹脂層が、<1>乃至<5>のいずれか1つに記載の硬化性組成物を用いて形成されたことを特徴とする硬化性樹脂転写フイルムである。
【0016】
<7> 前記硬化性樹脂層と前記仮支持体との間に、中間層及び/又は熱可塑性樹脂層を有することを特徴とする<6>に記載の硬化性樹脂転写フイルムである。
【0017】
<8> <1>乃至<5>のいずれか1つに記載の硬化性組成物を用いて、塗布することで支持体上に硬化性樹脂層を形成する工程を有することを特徴とするスペーサーの製造方法である。
【0018】
<9> <6>又は<7>に記載の硬化性樹脂転写フイルムを用いて、加熱及び/又は加圧により支持体上に硬化性樹脂層を転写する工程を有することを特徴とするスペーサーの製造方法である。
【0019】
<10> <8>又は<9>に記載のスペーサーの製造方法により製造したスペーサーを備えたことを特徴とする液晶表示装置用基板である。
【0020】
<11> <10>に記載の液晶表示装置用基板を備えたことを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、液安定性が良好な硬化性組成物、基板上に硬化性樹脂層を形成した後の、経時による、現像性及びスペーサーとして適用したときの液晶表示装置の表示ムラの劣化を抑制可能な硬化性組成物及び硬化性樹脂転写フイルム、硬化性組成物又は硬化性樹脂転写フイルムを用いたスペーサーの製造方法、並びにこの方法により作製されたスペーサーを備えた液晶表示装置用基板、及び高品質な画像を表示可能な液晶表示装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の硬化性組成物、硬化性樹脂転写フイルム、スペーサーの製造方法、液晶表示装置用基板及び液晶表示装置について詳細に説明する。
【0023】
<硬化性組成物>
本発明の硬化性組成物は、分岐及び/又は脂環構造を有する基、酸性基、及びエチレン性不飽和結合を有する基を側鎖に有する樹脂(A)、重合性化合物(B)及び下記一般式(I)で表される開始剤(C)を少なくとも含んでなることを特徴とする。
【0024】
【化2】

【0025】
式中、Tは(4,6−ビストリハロメチル−S−トリアジン−2−イル)基又は2−(5−トリハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)エテニル基を、Yはn価の基を、nは2以上の整数を表す。ベンゼン環はT以外の置換基を有していてもよい。
【0026】
本発明の硬化性組成物によれば、本発明の硬化性組成物を用いて基板上に硬化性樹脂層を形成した後の、経時による、現像性及びスペーサーとして適用したときの液晶表示装置の表示ムラの劣化を抑制することが可能となる。また、本発明の硬化性組成物を液体として用いた際に、良好な液安定性を実現可能となる。
【0027】
以下、本発明の硬化性組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
−樹脂(A)−
本発明に係る樹脂(A)は、分岐及び/又は脂環構造を有する基:X(xモル%)、酸性基:Y(yモル%)、及びエチレン性不飽和結合を有する基:Z(zモル%)を側鎖に有し、必要に応じてその他の基:L(lモル%)を有していてもよい。分岐及び/又は脂環構造を有する基、酸性基、エチレン性不飽和結合を有する基は、それぞれが異なる側鎖中に含まれていてもよいし、一部が組み合わされて同じ側鎖中に含まれていてもよいし、全てが同じ側鎖中に含まれていてもよい。
【0028】
なお、本明細書中において、(メタ)アクリロイル基はアクリロイル基又はメタクリロイル基を表し、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル又はメタクリルを表し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを表す。
【0029】
−分岐及び/又は脂環構造を有する基:X−
前記「分岐及び/又は脂環構造を有する基」について説明する。
まず、分岐構造を有する基としては、炭素原子数3〜12個の分岐状のアルキル基が挙げられる。具体的には、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、i−アミル基、t−アミル基、3−オクチル基、t−オクチル基等が挙げられる。これらの中でも、i−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基等が好ましく、さらにi−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が好ましい。
【0030】
脂環構造を有する基としては、炭素原子数5〜20個の脂環式炭化水素基が挙げられる。具体的には、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基、及びトリシクロペンタニル基等が挙げられる。
本発明においては、前記脂環構造を有する基が、置換基を有していてもよい炭素数6以上の環状構造を有する基であることが好ましい。具体的には、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、トリシクロペンテニル基、トリシクロペンタニル基等が好ましく、更にシクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロペンテニル基等が好ましい。
【0031】
前記分岐及び/又は脂環構造を有する基を含有する単量体としては、スチレン類、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類などが挙げられ、(メタ)アクリレート類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリレート類である。
【0032】
前記分岐構造を有する基を含有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸t−アミル、(メタ)アクリル酸sec−iso−アミル、(メタ)アクリル酸2−オクチル、(メタ)アクリル酸3−オクチル、(メタ)アクリル酸t−オクチル等が挙げられ、その中でも、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等が好ましく、さらに好ましくは、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸t−ブチル等である。
【0033】
前記脂環構造を有する基を含有する単量体の具体例としては、炭素原子数5〜20個の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的な例としては、(メタ)アクリル酸(ビシクロ〔2.2.1]ヘプチル−2)、(メタ)アクリル酸−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3−メチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3,5−ジメチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3−エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸−3−メチル−5−エチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3,5,8−トリエチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3,5−ジメチル−8−エチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ−4,7−メンタノインデン−5−イル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ−4,7−メンタノインデン−1−イルメチル、(メタ)アクリル酸−1−メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−ビシクロ〔3.1.1〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸−3,7,7−トリメチル−4−ヒドロキシ−ビシクロ〔4.1.0〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フエンチル、(メタ)アクリル酸−2,2,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、などが挙げられる。これら(メタ)アクリル酸エステルの中でも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸フエンチル、(メタ)アクリル酸1−メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシルなどが好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸−2−アダマンチルが特に好ましい。
【0034】
前記脂環構造を有する基を含有する単量体の具体例としては、更に下記一般式(1)又は(2)で表される化合物が挙げられる。ここで、一般式(1)、(2)において、xは1又は2を表し、Rは水素又はメチル基を表す。m及びnはそれぞれ独立に0〜15を表す。一般式(1)、(2)の中でも、x=1又は2、m=0〜8、n=0〜4が好ましく、m=1〜4、n=0〜2がより好ましい。一般式(1)又は(2)で表される化合物の好ましい具体例として、下記化合物D−1〜D−5、T−1〜T−8が挙げられる。
【0035】
【化3】

【0036】
【化4】

【0037】
【化5】

【0038】
前記脂環構造を有する基を含有する単量体は適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、日立化成工業(株)製:FA−511A、FA−512A(S)、FA−512M、FA−513A、FA−513M、TCPD−A、TCPD−M、H−TCPD−A、H−TCPD−M、TOE−A、TOE−M、H−TOE−A、H−TOE−M等が挙げられる。これらの中でも現像性に優れ、変形回復率に優れる点で、FA−512A(S),512Mが好ましい。
【0039】
−酸性基:Y−
前記酸性基としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホンアミド基、リン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。これらの中でも、現像性、及び硬化膜の耐水性が優れる点から、カルボキシ基、フェノール性水酸基であることが好ましい。
【0040】
前記酸性基を有する単量体としては、特に制限はなく、スチレン類、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類などが挙げられ、(メタ)アクリレート類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリレート類である。
【0041】
前記酸性基を有する単量体の具体例としては、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、α−シアノ桂皮酸、アクリル酸ダイマー、水酸基を有する単量体と環状酸無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0042】
前記水酸基を有する単量体と環状酸無水物との付加反応物に用いられる水酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記環状酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0043】
前記市販品としては、東亜合成化学工業(株)製:アロニックスM−5300、アロニックスM−5400、アロニックスM−5500、アロニックスM−5600、新中村化学工業(株)製:NKエステルCB−1、NKエステルCBX−1、共栄社油脂化学工業(株)製:HOA−MP、HOA−MS、大阪有機化学工業(株)製:ビスコート#2100等が挙げられる。これらの中でも現像性に優れ、低コストである点で(メタ)アクリル酸等が好ましい。
【0044】
−エチレン性不飽和結合を有する基:Z−
前記「エチレン性不飽和結合を有する基」としては、特に制限はないが、(メタ)アクリロイル基が好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基は、エステル基、アミド基、カルバモイル基などの2価の連結基を介して樹脂(A)の側鎖に導入されるが、該2価の連結基に特に制限はない。樹脂(A)の側鎖にエチレン性不飽和結合を有する基を導入する方法は公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、酸性基を持つ繰り返し単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、ヒドロキシル基を持つ繰り返し単位にイソシアネート基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、イソシアネート基を持つ繰り返し単位にヒドロキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法などが挙げられる。
その中でも、酸性基を持つ繰り返し単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法が最も製造が容易であり、低コストである点で好ましい。
【0045】
前記エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては特に制限はないが、例えば、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物が好ましい。
【0046】
【化6】

【0047】
ただし、前記構造式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Lは有機基を表す。
【0048】
【化7】

【0049】
ただし、前記構造式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Lは有機基を表す。Wは4〜7員環の脂肪族炭化水素基を表す。
【0050】
前記構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物の中でも、構造式(1)で表される化合物が構造式(2)よりも好ましい。前記構造式(1)及び(2)においては、L及びLがそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレン基のものがより好ましい。
【0051】
前記構造式(1)で表される化合物又は構造式(2)で表される化合物としては、特に制限はないが、例えば、以下の例示化合物(1)〜(10)が挙げられる。
【0052】
【化8】

【0053】
−その他の基:L−
樹脂(A)は、必要に応じてその他の基を有していてもよく、該その他の基を樹脂(A)に導入するための単量体としては、特に制限はなく、例えば分岐及び/又は脂環構造をもたない(メタ)アクリル酸エステル;スチレン;ビニルエーテル基、二塩基酸無水物基、ビニルエステル基又は炭化水素アルケニル基等を有する単量体などが挙げられる。
前記ビニルエーテル基としては、特に制限はなく、例えば、ブチルビニルエーテル基などが挙げられる。
【0054】
前記二塩基酸無水物基としては、特に制限はなく、例えば、無水マレイン酸基、無水イタコン酸基などが挙げられる。
前記ビニルエステル基としては、特に制限はなく、例えば、酢酸ビニル基などが挙げられる。
前記炭化水素アルケニル基としては、特に制限はなく、例えば、ブタジエン基、イソプレン基などが挙げられる。
【0055】
樹脂(A)中におけるその他の単量体の含有率としては、モル組成比で、0〜30モル%であることが好ましく、0〜20モル%であることがより好ましい。
【0056】
樹脂(A)の具体例としては、例えば、下記化合物P−1〜P−35で表される化合物が挙げられる。
【0057】
【化9】

【0058】
【化10】

【0059】
【化11】

【0060】
【化12】

【0061】
【化13】

【0062】
【化14】

【0063】
【化15】

【0064】
―樹脂(A)の製造方法―
樹脂(A)は、単量体を(共)重合反応させて(共)重合体を得る工程及びエチレン性不飽和基を該(共)重合体に導入する工程の二段階の工程を経て製造することができる。
まず、(共)重合反応は種々の単量体を用いて実施され、特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、重合の活性種については、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合などを適宜選択することができる。これらの中でも合成が容易であり、低コストである点からラジカル重合であることが好ましい。また、重合方法についても特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、バルク重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法などを適宜選択することができる。これらの中でも、溶液重合法であることがより望ましい。
【0065】
−分子量−
樹脂(A)の重量平均分子量は、10,000〜100,000が好ましく、12,000〜60,000が更に好ましく、15,000〜45,000が特に好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、樹脂(A)の製造適性、現像性の点で望ましい。また、溶融粘度の低下により形成された形状が潰れ難い点で、架橋不良となり難い点で、また、現像でのスペーサー形状の残渣がない点で好ましい。
【0066】
−ガラス転移温度−
樹脂(A)として好適なガラス転移温度(Tg)は、40〜180℃であることが好ましく、45〜140℃であることはより好ましく、50〜130℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するスペーサーが得られる。
【0067】
−酸価−
樹脂(A)として好適な酸価は、とりうる分子構造により好ましい範囲は変動するが、一般には20mgKOH/g以上であることが好ましく、50mgKOH/g以上であることがより好ましく、70〜130mgKOH/gであることが特に好ましい。酸価が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するスペーサーが得られる。
【0068】
前記樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)が40〜180℃であり、かつ重量平均分子量が10,000〜100,000であることが良好な現像性、力学強度を有するスペーサーが得られる点で好ましい。
更に、前記樹脂(A)の好ましい例は、好ましい前記分子量、ガラス転移温度(Tg)、及び酸価のそれぞれの組合せがより好ましい。
【0069】
本発明に係る樹脂(A)は、分岐及び/又は脂環構造を有する基:X(xモル%)と、酸性基:Y(yモル%)と、エチレン性不飽和結合を有する基:Z(zモル%)とをそれぞれ別の共重合単位に有する少なくとも3元共重合以上の共重合体であることが変形回復率、現像残渣、レチキュレーションの観点から好ましい。具体的には、前記X,Y,Zを含有する各々の単量体を少なくとも1つ共重合させてなる共重合体が好ましい。
前記樹脂(A)の前記各成分の共重合組成比については、ガラス転移温度と酸価を勘案して決定され、一概に言えないが、分岐及び/又は脂環構造を有する基は10〜70モル%が好ましく、15〜65モル%が更に好ましく、20〜60モル%が特に好ましい。分岐及び/又は脂環構造を有する基が前記範囲内であると、良好な現像性が得られると共に、画像部の現像液耐性も良好である。
また、酸性基は5〜70モル%が好ましく、10〜60モル%が更に好ましく、20〜50モル%が特に好ましい。酸性基が前記範囲内であると、良好な硬化性、現像性が得られる。
また、エチレン性不飽和結合を有する基は10〜70モル%が好ましく、20〜70モル%が更に好ましく、30〜70モル%が特に好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基が前記範囲内であると、顔料分散性に優れると共に、現像性及び硬化性も良好である。
【0070】
樹脂(A)の含有量としては、本発明の硬化性組成物全固形分に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。樹脂(A)と併用して後述のその他の樹脂を本発明の硬化性組成物に含有することができるが、樹脂(A)のみが好ましい。
【0071】
−その他の樹脂−
樹脂(A)と併用することができるその他の樹脂としては、アルカリ性水溶液に対して膨潤性を示す化合物が好ましく、アルカリ性水溶液に対して可溶性である化合物がより好ましい。
アルカリ性水溶液に対して膨潤性又は可溶性を示す樹脂としては、例えば、酸性基を有するものが好適に挙げられ、具体的には、エポキシ化合物にエチレン性不飽和二重結合と酸性基とを導入した化合物(エポキシアクリレート化合物)、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体、エポキシアクリレート化合物と、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体との混合物、マレアミド酸系共重合体、などが好ましい。
前記酸性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、などが挙げられ、これらの中でも、原料の入手性などの観点から、カルボキシル基が好ましく挙げられる。
【0072】
−樹脂(A)とその他の樹脂の比率−
前記樹脂(A)と前記その他の樹脂との合計の含有量としては、本発明の硬化性組成物全固形分に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。該固形分含有量が、5質量%未満であると、後述する硬化性樹脂層の膜強度が弱くなりやすく、該硬化性樹脂層の表面のタック性が悪化することがあり、70質量%を超えると、露光感度が低下することがある。
【0073】
−重合性化合物(B)−
本発明において、重合性化合物(B)として公知の組成物を構成する成分を好適に用いることができ、例えば、特開2006−23696号公報の段落番号[0011]に記載のモノマー又はオリゴマーや、特開2006−64921号公報の段落番号[0040]〜[0049]に記載の重合性モノマーが挙げられる。
【0074】
前記樹脂(A)との関係において、重合性化合物(B)の樹脂(A)に対する質量比率((B)/(A)比)が0.5〜2.0であることが好ましく、0.6〜1.4であることはより好ましく、0.7〜1.2であることが特に好ましい。(B)/(A)比が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するスペーサーが得られる。
【0075】
−開始剤(C)−
本発明に係る開始剤(C)は、下記一般式(I)で表される。
【0076】
【化16】

【0077】
式中、Tは(4,6−ビストリハロメチル−S−トリアジン−2−イル)基又は2−(5−トリハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)エテニル基を、Yはn価の有機基を、nは2以上の整数を表す。ベンゼン環はT以外の置換基を有していてもよい。nとしては、2〜6が好ましく、2〜4が更に好ましい。
【0078】
n価の基Yとしては、特に限定されるものではないが、例えば、末端に−COO−、−O−、−N(CH)−、−N(C)−、−N(CHOCOCH)−、−N(CHOCO)−、−NH−、−N(CH)CO−、−N(C)CO−もしくは−NHCO−を有する脂肪族若しくは芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの中でも、末端に−COO−、−O−、−N(C)−、−N(CHOCOCH)−、−NH−、−N(C)CO−もしくは−NHCO−を有する脂肪族若しくは芳香族炭化水素等が好ましく、末端に−COO−、−O−、−N(C)−、−NH−、もしくは−NHCO−を有する脂肪族若しくは芳香族炭化水素等が更に好ましい。
【0079】
開始剤(C)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0080】
【化17】

【0081】
【化18】

【0082】
【化19】

【0083】
【化20】

【0084】
上記化合物例中、Tは(4,6−ビストリハロメチル−S−トリアジン−2−イル)基を表し、Acはアセチル基を表す。
【0085】
上記化合物例に係る化合物は以下の式1又は式2の方法により、合成することができる。
【0086】
【化21】

【0087】
【化22】

【0088】
上記式中、Xはハロゲン原子を、Y、Y1は2価の基を、Uは,−O−、−NR−もしくは−NHCO(C64)O−を、Zはハロゲン原子または置換スルホニルオキシ基を、Rは水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。すなわち、式1はビスベンゾニトリルとトリハロアセトニトリルを反応させるものであり、式2はトリアジン骨格を有するフェノールまたはアニリン誘導体を2官能の酸ハライド,活性ハライドまたは活性スルホン酸エステル等を用いて、2量化するものである。同様に3量体以上のものも常法に従い合成される。
【0089】
開始剤(C)の含有量としては、樹脂(A)に対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
【0090】
−微粒子(D)−
本発明の硬化性組成物は、微粒子(D)を含有することが好ましい。微粒子(D)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2003−302639号公報[0035]〜[0041]に記載の体質顔料が好ましく、中でも良好な現像性、力学強度を有するスペーサーが得られるという観点からコロイダルシリカが好ましい。
【0091】
微粒子(D)の平均粒子径は、高い力学強度を有するスペーサーが得られることから、5〜50nmであることが好ましく、10〜40nmであることがより好ましく、15〜30nmであることが特に好ましい。
【0092】
また、微粒子(D)の含有量は、高い力学強度を有するスペーサーが得られることから、本発明における硬化性組成物中の全固形分に対する質量比率が5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが特に好ましい。
【0093】
−溶媒−
本発明の硬化性組成物においては、上記成分の他に、更に溶媒を含有してもよい。溶媒の例としては、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。本発明の硬化性組成物を液体として用いる際の溶媒の含有量は粘度等を勘案して適宜調整することができ、例えば、硬化性組成物中に50〜90質量%含まれることが好ましく、60〜85質量%含まれることが更に好ましい。
【0094】
−その他の成分−
本発明の硬化性組成物は、必要に応じてその他の成分として組成物を構成する公知の成分を好適に用いることができる。その他の成分の具体例としては、例えば、特開2006−23696号公報の段落番号[0014]〜[0020]に記載の成分や、特開2006−64921号公報の段落番号[0053]に記載の成分が挙げられる。
【0095】
<硬化性樹脂転写フイルム>
本発明の硬化性樹脂転写フイルムは、仮支持体上に、少なくとも本発明の硬化性組成物を用いて形成された硬化性樹脂層を有することを特徴とする。硬化性樹脂層の膜厚は、0.2〜2.0μm程度が好ましく、更には0.2〜0.9μmが好ましい。
本発明の硬化性樹脂転写フイルムによれば、本発明の硬化性樹脂転写フイルムを用いて基板上に硬化性樹脂層を形成した後の、経時による現像性及びスペーサーとして適用したときの液晶表示装置の表示ムラの劣化を抑制することが可能となる。
【0096】
本発明の硬化性樹脂転写フイルムは、仮支持体上に、少なくとも本発明の硬化性組成物を用いて形成された硬化性樹脂層を有するものであるが、必要に応じて硬化性樹脂層と前記仮支持体との間に、中間層及び/又は熱可塑性樹脂層を有していてもよい。以下、本発明の硬化性樹脂転写フイルムを構成する各成分について詳細に説明する。
【0097】
(仮支持体)
本発明において仮支持体としては、可撓性を有し、加圧若しくは加圧及び加熱下においても著しい変形、収縮若しくは伸びを生じないことが必要である。そのような支持体の例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等を挙げることができ、中でも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。仮支持体の厚みは5〜300μmが適当であり、特に20〜150μmが好ましい。
【0098】
(熱可塑性樹脂層)
熱可塑性樹脂層に用いる成分としては、特開平5−72724号公報に記載されている有機高分子物質が好ましく、ヴイカーVicat法(具体的にはアメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が約80℃以下の有機高分子物質より選ばれることが特に好ましい。
【0099】
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル或いはそのケン化物の様なエチレン共重合体、エチレンとアクリル酸エステル或いはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル及びそのケン化物の様な塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロンの様なポリアミド樹脂等の有機高分子が挙げられる。
尚、熱可塑性樹脂層の乾燥厚さは、2〜30μmが一般的であり、5〜20μmが好ましく、7〜16μmが特に好ましい。
【0100】
(中間層)
本発明の硬化性樹脂転写フイルムにおいては、複数の塗布層の塗布時、及び塗布後の保存時における成分の混合を防止する目的から、中間層を設けることが好ましい。該中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜を用いることが好ましく、この場合、露光時感度がアップし、露光機の時間負荷が減り、生産性が向上する。
該酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。これらの内、特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組み合わせである。尚、中間層の乾燥厚さは、0.2〜5μmが一般的であり、0.5〜3μmが好ましく、1〜2.5μmが特に好ましい。
【0101】
(保護フイルム)
硬化性樹脂層の上には、硬化性樹脂転写フイルムの貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために薄い保護フイルムを設けることが好ましい。保護フイルムは仮支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、硬化性樹脂層から容易に分離されねばならない。保護フイルム材料としては例えばシリコーン紙、ポリオレフィン若しくはポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。尚、保護フイルムの厚さは、4〜40μmが一般的であり、5〜30μmが好ましく、10〜25μmが特に好ましい。
【0102】
(硬化性樹脂転写フイルムの作製方法)
本発明の硬化性樹脂転写フイルムは、仮支持体上に熱可塑性樹脂層を構成する組成物を溶解した塗布液(熱可塑性樹脂層用塗布液)を塗布し、乾燥することにより熱可塑性樹脂層を設け、その後熱可塑性樹脂層上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤からなる中間層材料の溶液を塗布、乾燥し、その後硬化性樹脂層を、中間層を溶解しない溶剤を用いて塗布、乾燥して設けることにより作製することができる。
また、前記の仮支持体上に熱可塑性樹脂層及び中間層を設けたシート、及び保護フイルム上に硬化性樹脂層を設けたシートを用意し、中間層と硬化性樹脂層が接するように相互に貼り合わせることによっても、更には、前記の仮支持体上に熱可塑性樹脂層を設けたシート、及び保護フイルム上に硬化性樹脂層及び中間層を設けたシートを用意し、熱可塑性樹脂層と中間層が接するように相互に貼り合わせることによっても、作製することができる。
【0103】
尚、上記作製方法における塗布は、公知の塗布装置等によって行うことができるが、本発明においては、スリット状ノズルを用いた塗布装置(スリットコータ)によって行うことが好ましい。スリットコータの好ましい具体例等は後述する。
【0104】
<スペーサーの製造方法>
本発明の第一のスペーサーの製造方法は、本発明の硬化性組成物を用いて、塗布することで支持体上に硬化性樹脂層を形成する工程を有することを特徴とする。また、本発明の第二のスペーサーの製造方法は、本発明の硬化性樹脂転写フイルムを用いて、加熱及び/又は加圧により支持体上に硬化性樹脂層を転写する工程を有することを特徴とする。
【0105】
硬化性組成物の塗布は、公知の塗布法、例えば、スピンコート法、カーテンコート法、スリットコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、あるいは米国特許第2681294号明細書に記載のポッパーを使用するエクストルージョンコート法等により行なうことができる。中でも、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリット状ノズルあるいはスリットコータによる方法が好適である。
本発明の硬化性組成物を用いて塗布により硬化性樹脂層を形成する場合には、本発明の硬化性組成物に溶剤を適量添加し、組成物の粘度を使用する塗布法に適した粘度に調製して用いられる。硬化性組成物の塗布後、塗布により形成された塗膜を乾燥させることにより硬化性樹脂層が得られる。
【0106】
硬化性樹脂転写フイルムを用いる場合、仮支持体上に膜状に形成された硬化性組成物を支持体面に加熱及び/又は加圧したローラー又は平板で圧着又は加熱圧着することによって貼り合せた後、仮支持体を剥離することにより硬化性樹脂層を支持体上に形成する。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法が挙げられ、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
【0107】
硬化性樹脂層の形成される支持体としては、例えば、透明基板(例えばガラス基板やプラスチックス基板)、透明導電膜(例えばITO膜)付基板、カラーフィルタ付きの基板(カラーフィルタ基板ともいう。)、駆動素子(例えば薄膜トランジスタ[TFT])付駆動基板、などが挙げられる。支持体の厚みとしては、700〜1200μmが一般に好ましい。
【0108】
硬化性樹脂層を形成した後、支持体上に形成された硬化性樹脂層を露光及び現像してパターニングする(パターニング工程)。パターニング工程の具体例としては、特開2006−64921号公報の段落番号[0071]〜[0077]に記載の形成例や、特開2006−23696号公報の段落番号[0040]〜[0051]に記載の工程などが、本発明においても好適な例として挙げられる。パターニング工程を経ることにより、所望の形状を有するスペーサーが得られる。
【0109】
本発明のスペーサーは、ブラックマトリクス等の黒色遮蔽部及び着色画素等の着色部を含むカラーフィルタを形成した後に形成することができる。
前記黒色遮蔽部及び着色部とスペーサーとは、硬化性組成物を塗布する塗布法と硬化性組成物からなる硬化性樹脂層を有する転写材料を用いる転写法と、を任意に組合せて形成することが可能である。
前記黒色遮蔽部及び着色部並びに前記スペーサーはそれぞれ硬化性組成物から形成できる。具体的には、例えば、基板に液体の硬化性組成物を直接塗布することにより硬化性樹脂層を形成した後に、露光・現像を行い、前記黒色遮蔽部及び着色部をパターン状に形成する。その後、別の液体の硬化性組成物を前記基板とは異なる別の基板(仮支持体)上に設置して硬化性樹脂層を形成することにより作製された硬化性樹脂転写フイルムを用い、この硬化性樹脂転写フイルムを前記黒色遮蔽部及び着色部が形成された前記基板に密着させて硬化性樹脂層を転写した後に、露光・現像を行うことによりスペーサーをパターン状に形成することができる。このようにして、スペーサーが設けられたカラーフィルタを作製することができる。
【0110】
<液晶表示装置用基板>
本発明の液晶表示装置用基板は、前記本発明のスペーサーの製造方法により製造したスペーサーを備えたものである。スペーサーは、支持体上に形成されたブラックマトリクス等の表示用遮光部の上やTFT等の駆動素子上に形成されることが好ましい。また、ブラックマトリクス等の表示用遮光部やTFT等の駆動素子とスペーサーとの間にITO等の透明導電層(透明電極)やポリイミド等の液晶配向膜が存在していてもよい。
【0111】
例えば、スペーサーが表示用遮光部や駆動素子の上に設けられる場合、該支持体に予め配設された表示用遮光部(ブラックマトリクスなど)や駆動素子を覆うようにして、例えば硬化性樹脂転写フイルムの硬化性樹脂層を支持体面にラミネートし、剥離転写して硬化性樹脂層を形成した後、これに露光、現像、加熱処理等を施してスペーサーを形成することによって、本発明の液晶表示装置用基板を作製することができる。
本発明の液晶表示装置用基板には更に、必要に応じて赤色(R)、青色(B)、緑色(G)3色等の着色画素が設けられていてもよい。
【0112】
<液晶表示素子>
前記本発明の液晶表示装置用基板を用いて液晶表示素子を構成することができる。液晶表示素子の1つとして、少なくとも一方が光透過性の一対の支持体(本発明の液晶表示装置用基板を含む。)間に液晶層と液晶駆動手段(単純マトリックス駆動方式及びアクティブマトリックス駆動方式を含む。)を少なくとも備えたものが挙げられる。
【0113】
この場合、本発明の液晶表示装置用基板は、複数のRGB画素群を有し、該画素群を構成する各画素が互いにブラックマトリックスで離画されているカラーフィルタ基板として構成できる。このカラーフィルタ基板には、高さが均一で変形回復性に優れたスペーサーが設けられるため、該カラーフィルタ基板を備えた液晶表示素子は、カラーフィルタ基板と対向基板との間にセルギャップムラ(セル厚変動)の発生が抑えられ、色ムラ等の表示ムラの発生を効果的に防止することができる。これにより、作製された液晶表示素子は鮮やかな画像を表示できる。
【0114】
また、液晶表示素子の別の態様として、少なくとも一方が光透過性の一対の支持体(本発明の液晶表示装置用基板を含む。)間に液晶層と液晶駆動手段とを少なくとも備え、前記液晶駆動手段がアクティブ素子(例えばTFT)を有し、かつ一対の基板間が、高さが均一で変形回復性に優れたスペーサーにより所定幅に規制して構成されたものが挙げられる。
この場合も、本発明の液晶表示装置用基板は、複数のRGB画素群を有し、該画素群を構成する各画素が互いにブラックマトリックスで離画されたカラーフィルタ基板として構成されている。
【0115】
本発明において使用可能な液晶としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、強誘電液晶が挙げられる。
また、前記カラーフィルタ基板の前記画素群は、互いに異なる色を呈する2色の画素からなるものでも、3色の画素、4色以上の画素からなるものであってもよい。例えば3色の場合、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3つの色相で構成される。RGB3色の画素群を配置する場合には、モザイク型、トライアングル型等の配置が好ましく、4色以上の画素群を配置する場合にはどのような配置であってもよい。カラーフィルタ基板の作製は、例えば2色以上の画素群を形成した後既述のようにブラックマトリックスを形成してもよいし、逆にブラックマトリックスを形成した後に画素群を形成するようにしてもよい。RGB画素の形成については、特開2004−347831号公報等を参考にすることができる。
【0116】
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、本発明の液晶表示装置用基板を備えて構成されたものである。また、本発明の液晶表示装置は、前記液晶表示素子を設けて構成されたものであってもよい。すなわち、互いに向き合うように対向配置された一対の基板間を既述のように、本発明のスペーサーの製造方法により作製されたスペーサーで所定幅に規制し、規制された間隙に液晶材料を封入(封入部位を液晶層と称する。)して構成されており、液晶層の厚さ(セル厚)が所望の均一厚に保持されるようになっていてもよい。
【0117】
液晶表示装置における液晶表示モードとしては、STN型、TN型、GH型、ECB型、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、VA型、IPS型、OCB型、ASM型、その他種々のものが好適に挙げられる。中でも、本発明の液晶表示装置においては、最も効果的に本発明の効果を奏する観点から、液晶セルのセル厚の変動により表示ムラを起こし易い表示モードが望ましく、セル厚が2〜4μmであるVA型表示モード、IPS型表示モード、OCB型表示モードに構成されるのが好ましい。
【0118】
本発明の液晶表示装置の基本的な構成態様としては、(a)薄膜トランジスタ(TFT)等の駆動素子と画素電極(導電層)とが配列形成された駆動側基板と、対向電極(導電層)を備えた対向基板とをスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、(b)駆動基板と、対向電極(導電層)を備えた対向基板とをスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、等が挙げられ、本発明の液晶表示装置は、各種液晶表示機器に好適に適用することができる。
【0119】
液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、側工業調査会、1994年発行)」に記載がある。本発明の液晶表示装置には、本発明の液晶表示装置用基板を備える以外に特に制限はなく、例えば前記「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載された種々の方式の液晶表示装置に構成することができる。中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置を構成するのに有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)、1996年発行)」に記載がある。
【0120】
本発明の液晶表示装置は、既述の本発明の液晶表示装置用基板を備える以外は、電極基板、偏光フイルム、位相差フイルム、バックライト、視野角補償フイルム、反射防止フイルム、光拡散フイルム、防眩フイルムなどの様々な部材を用いて一般的に構成できる。これら部材については、例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島健太郎、(株)シーエムシー、1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表良吉、(株)富士キメラ総研、2003等発行)」に記載されている。
【実施例】
【0121】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」及び「部」は質量基準である。
【0122】
前記化合物構造P−1で表される樹脂(A)の合成方法を下記合成例1に示す。
(合成例1)
反応容器中に1−メトキシ−2−プロパノール(ダイセル化学工業(株)製) 8.57部をあらかじめ加え90℃に昇温し、イソプロピルメタクリレート 6.27部、メタクリル酸 5.15部、アゾ系重合開始剤(和光純薬社製、V−601) 1部、及び1−メトキシ−2−プロパノール8.57部からなる混合溶液を窒素ガス雰囲気下、90℃の反応容器中に2時間かけて滴下した。滴下後4時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
次いで、前記アクリル樹脂溶液に、ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.025部、及びテトラエチルアンモニウムブロマイド 0.084部を加えた後、グリシジルメタクリレート 5.41部を2時間かけて滴下した。滴下後、空気を吹き込みながら90℃で4時間反応させた後、固形分濃度が45%になるように1−メトキシ−2−プロピルアセテート(MMPGAC)を添加することにより調製し、不飽和基を持つ前記化合物構造P−1で表される樹脂溶液を得た。該樹脂の分子量Mwは30000であった。
なお、前記化合物構造P−1で表される樹脂の分子量Mwは、重量平均分子量のことを示し、前記分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用いて測定した。
【0123】
次いで、前記化合物構造P−25、P−29〜P−35及びP−21で表される樹脂の合成方法を下記合成例2〜合成例10に示す。
【0124】
(合成例2〜10)
前記化合物構造P−25、P−29〜P−35及びP−21で表される樹脂の合成は前記化合物構造P−25、P−29〜P−35及びP−21中のx:l:y:zが表1に記載のモル比(モル%)になるように、表1のxユニットに記載の各化合物、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、及びグリシジルメタクリレート等の添加量を変更し、重量平均分子量が30000になるように合成した以外は、合成例1と同様の方法により不飽和基を持つ前記化合物構造P−25、P−29〜P−35及びP−21で表される樹脂溶液を得た。
【0125】
【表1】

【0126】
表1において[1]は特開2002−278064号公報の実施例1に使用された合成1のバインダーを、[2]は特開2003−207787の実施例1<熱可塑性樹脂層用塗布液H1>記載のメタクリル酸/アリルメタクリレート共重合体(モル比)=20/80(重量平均分子量=4万)を、[3]は特開2005−62620号公報の実施例1に使用のバインダーを、[4]はIRUGACURE907(チバスペシャリティケミカルズ社製)を、[5]はベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体((モル比)=76/24、重量平均分子量4万)を、ADMAは2−アダマンチルメタクリレートを表す。
【0127】
(実施例1):転写法
−硬化性樹脂転写フイルムの作製−
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)上に、下記処方Aからなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させ、乾燥層厚16.5μmの熱可塑性樹脂層を形成した。
【0128】
〔熱可塑性樹脂層用塗布液の処方A〕
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 … 25.0部
(=55/11.7/4.5/28.8[モル比]、重量平均分子量90,000)
・スチレン/アクリル酸共重合体 … 58.4部
(=63/37[モル比]、重量平均分子量8,000)
・2,2−ビス〔4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン
… 39.0部
・界面活性剤1(メガファックF−780−F、大日本インキ化学工業株式会社製)
… 10.0部
・メタノール … 90.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール … 51.0部
・メチルエチルケトン … 700部
【0129】
次に、形成した熱可塑性樹脂層上に、下記処方Bからなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させて、乾燥層厚1.6μmの中間層を積層した。
〔中間層用塗布液の処方B〕
・ポリビニルアルコール … 3.22部
(PVA−205、鹸化率88%、(株)クラレ製)
・ポリビニルピロリドン … 1.49部
(PVP K−30、アイエスピー・ジャパン株式会社製)
・メタノール … 42.3部
・蒸留水 … 524部
【0130】
次に、形成した中間層上に更に、下記表2に示す処方1からなる硬化性樹脂層用塗布液(硬化性組成物)を塗布、乾燥させて、乾燥層厚3.5μmの硬化性樹脂層を積層した。
【0131】
【表2】

【0132】
表2において、化合物構造P−1(45%)溶液*2における分子量Mwは30000;溶媒比率=MMPGAC/1−メトキシ−2−プロパノール(wt/wt) = 0.3664)である。
【0133】
表2において、化合物1は以下のとおりである。
【0134】
【化23】

【0135】
以上のようにして、PET仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/硬化性樹脂層の積層構造に構成した後、硬化性樹脂層の表面に更に、カバーフィルムとして厚み12μmのポリプロピレン製フィルムを加熱・加圧して貼り付け、硬化性樹脂転写フイルム(1)を得た。
【0136】
−カラーフィルタ基板の作製−
特開2005−3861号公報の段落番号[0084]〜[0095]に記載の方法でブラックマトリクス、R画素、G画素、B画素を有するカラーフィルタを作製した。次いで、カラーフィルタ基板のR画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリクスの上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。
【0137】
−スペーサーの作製−
得られた硬化性樹脂転写フイルム(1)のカバーフィルムを剥離し、露出した硬化性樹脂層の表面を、上記で作製したITO膜がスパッタ形成されたカラーフィルタ基板のITO膜上に重ね合わせ、ラミネーターLamicII型〔(株)日立インダストリイズ製〕を用いて、線圧100N/cm、130℃の加圧・加熱条件下で搬送速度2m/分にて貼り合わせた。その後、PET仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離除去し、硬化性樹脂層を熱可塑性樹脂層及び中間層と共に転写した(層形成工程)。
【0138】
次に、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、マスク(画像パターンを有する石英露光マスク)と、該マスクと熱可塑性樹脂層とが向き合うように配置したカラーフィルタ基板とを略平行に垂直に立てた状態で、マスク面と硬化性樹脂層の中間層に接する側の表面との間の距離を100μmとし、マスクを介して熱可塑性樹脂層側から露光量90mJ/cmにてプロキシミティー露光した。なお、硬化性樹脂層を転写してからプロキシミティー露光を行うまでの期間は23℃、55%RHで20分以内とした。
【0139】
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30%含有、商品名:T−PD2(富士フイルム(株)製)を純水で12倍(T−PD2を1部と純水11部の割合で混合)に希釈した液)を30℃で50秒間、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し、熱可塑性樹脂層と中間層とを除去した。引き続き、このガラス基板の上面にエアを吹きかけて液切りした後、純水をシャワーにより10秒間吹き付け、純水シャワー洗浄し、エアを吹きかけて基板上の液だまりを減らした。
引き続き、炭酸Na系現像液(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットルの炭酸ナトリウム、5%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有;商品名:T−CD1(富士フイルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて29℃で50秒間、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し、スペーサーのパターン像を得た。
引き続き、洗浄剤(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有;商品名:T−SD3(富士フイルム(株)製))を純水で10倍に希釈した液を用いて33℃で20秒間、コーン型ノズル圧力0.02MPaにてシャワーで吹きかけ、形成されたパターン像の周辺の残渣除去を行ない、所望のスペーサーパターンを得た(パターニング工程)。
【0140】
次に、スペーサーパターンが設けられたカラーフィルタ基板を、240℃下で50分間加熱処理を行ない(熱処理工程)、スペーサーを作製した。
得られたスペーサーパターンは、直径15μm、平均高さ3.2μmの円柱状であった。尚、平均高さは、得られたスペーサ1000個を三次元表面構造解析顕微鏡(メーカー:ZYGO Corporation、型式:New View 5022)を用い、ITOの透明電極形成面からの最も高い位置を測定し、その平均をスペーサーの平均高さとした。
【0141】
<液晶表示装置の作製>
別途、対向基板としてガラス基板を用意し、上記で得られたカラーフィルタ基板の透明電極上及び対向基板上にそれぞれPVAモード用にパターニングを施し、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
【0142】
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリックス外枠に相当する位置に紫外線硬化樹脂のシール剤をディスペンサ方式により塗布し、PVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板をUV照射した後、熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。
【0143】
次いで、赤色(R)LEDとしてFR1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、緑色(G)LEDとしてDG1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、青色(B)LEDとしてDB1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)を用いてサイドライト方式のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
【0144】
(実施例2)
実施例1において、硬化性樹脂層用塗布液の処方1の化合物構造P−1の代わりに、合成例2の化合物構造P−25を用いた以外は、実施例1と同様の方法でスペーサーと液晶表示装置を作成した。得られたスペーサーパターンは、直径15μm、平均高さ3.2μmの円柱状であった。
【0145】
(実施例3〜14)
実施例2において、硬化性樹脂層用塗布液の処方1の化合物1の代わりに、それぞれ下記化合物2〜7、9〜14に変更した以外は、実施例2と同様の方法でスペーサーと液晶表示装置を作成した。得られたスペーサーパターンは、いずれも直径15μm、平均高さ3.2μmの円柱状であった。
【0146】
【化24】

【0147】
【化25】

【0148】
【化26】

【0149】
【化27】

【0150】
【化28】

【0151】
【化29】

【0152】
【化30】

【0153】
【化31】

【0154】
【化32】

【0155】
【化33】

【0156】
【化34】

【0157】
【化35】

【0158】
(実施例15):塗布法
−スペーサーの作製(液レジ法)−
上記で作製したITO膜がスパッタ形成されたカラーフィルタ基板のITO膜上に、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーターMH−1600(エフ・エー・エス・アジア社製)にて表3に示す下記処方を塗布した。引き続き、真空乾燥機VCD(東京応化社製)を用いて30秒間溶媒の一部を乾燥させて塗布膜の流動性をなくした後、120℃で3分間プリベークして膜厚3.5μmの硬化性樹脂層を形成した(層形成工程)。
【0159】
【表3】

【0160】
表3において、化合物構造P−25(45%)溶液*2における分子量Mwは30000;溶媒比率=MMPGAC/1−メトキシ−2−プロパノール(wt/wt) = 0.3664)である。
【0161】
続いて、実施例1と同様のパターニング工程及び熱処理工程により、カラーフィルタ基板上にスペーサーを作製した。但し、露光量は300mJ/cm、炭酸Na系現像液による現像は23℃、60秒間とした。得られたスペーサーパターンは、直径15μm、平均高さ3.2μmの円柱状であった。
【0162】
スペーサーの作製後、このカラーフィルタ基板を用い、実施例1と同様にして、液晶表示装置を作製した。
【0163】
(実施例16〜23)
実施例3において、P−25の代わりに表に示すバインダー(P29〜35、P21)を用いた以外は、実施例3と同様の方法でスペーサーと液晶表示装置を作成した。得られたスペーサーパターンは、直径15μm、平均高さ3.2μmの円柱状であった。
【0164】
(比較例1)
実施例15において、樹脂(A)をP−25から特開2002−278064号公報の実施例1で使用した合成1のバインダーに、開始剤(C)を化合物2から、下記化合物8(2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン)に変更し、全固形分濃度及び組成物中のハイドロキノンモノメチルエーテル濃度をあわせた以外は実施例15と同様の方法でスペーサーと液晶表示装置を作成した。得られたスペーサーパターンは、直径15μm、平均高さ3.2μmの円柱状であった。
【0165】
【化36】

【0166】
(比較例2)
実施例3において、化合物構造P−25の代わりに、特開2003−207787の実施例1<熱可塑性樹脂層用塗布液H1>記載のメタクリル酸/アリルメタクリレート共重合体(モル比)=20/80(重量平均分子量=4万)を用い、開始剤(C)を化合物2から、下記化合物15(2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン)に変更し、全固形分濃度及び組成物中のハイドロキノンモノメチルエーテル濃度をあわせた以外は実施例3と同様の方法でスペーサーと液晶表示装置を作成した。得られたスペーサーパターンは、直径15μm、平均高さ3.2μmの円柱状であった。
【0167】
【化37】

【0168】
(比較例3)
実施例15において、樹脂(A)をP−25から特開2005−62620号公報の実施例1に使用のバインダーに、開始剤(C)を化合物2から、IRUGACURE907(チバスペシャリティケミカルズ社製)に変更し、全固形分濃度及び組成物中のハイドロキノンモノメチルエーテル濃度をあわせた以外は実施例15と同様の方法でスペーサーと液晶表示装置を作成した。得られたスペーサーパターンは、直径15μm、平均高さ3.2μmの円柱状であった。
【0169】
(比較例4)
実施例3において、開始剤(C)を化合物2から、化合物−15(2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン)に変更した以外は実施例3と同様の方法でスペーサーと液晶表示装置を作成した。得られたスペーサーパターンは、直径15μm、平均高さ3.2μmの円柱状であった。
【0170】
(比較例5)
実施例3において、樹脂(A)をP−25からベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体((モル比)=76/24、重量平均分子量4万)に変更し、固形分濃度及び溶剤組成を合わせた以外は実施例3と同様の方法でスペーサーと液晶表示装置を作成した。得られたスペーサーパターンは、直径15μm、平均高さ3.2μmの円柱状であった。
【0171】
[評価]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂層用塗布液、スペーサー及び液晶表示装置に対して下記評価を実施した。得られた結果を表4に示す。
【0172】
−変形回復率−
スペーサーの各々について、微小硬度計(DUH−W201、(株)島津製作所製)により次のようにして測定を行ない、評価した。測定は、50μmφの円錘台圧子を採用し、最大荷重50mN、保持時間5秒として、負荷−除荷試験法により行なった。この測定値から下記式により変形回復率〔%〕を求め、下記基準にしたがって評価した。測定は、22±1℃、50%RHの環境下で行った。
変形回復率(%)=(加重開放後の回復量[μm]/加重による変形量[μm])×100
【0173】
〈評価基準〉
5:変形回復率が90%以上であった。
4:変形回復率が87%以上90%未満であった。
3:変形回復率が85%以上87%未満であった。
2:変形回復率が80%以上85%未満であった。
1:変形回復率が75%以上80%未満であった。
0:変形回復率が75%未満であった。
【0174】
−現像性−
「−スペーサーの作製−」の段階において、プロキシミティー露光後、各実施例及び比較例の現像条件と同様の条件で現像し、形成したスペーサー周辺部分のSEM観察を行い周辺に残渣が残っているか否かを確認した。
【0175】
〈評価基準〉
5: 残渣がまったく見られない。
4: パターン周辺に微かな残渣が見られた。
3: パターン周辺に若干の残渣が見られた。
2: パターン周辺とパターン近傍の基板上に残渣が見られた。
1: 基板上所々に残渣が確認できた。
【0176】
−ラミネート適性<ラミ泡>評価−
カラーフィルタ基板に硬化性樹脂転写フイルムの硬化性樹脂層を転写した状態について、仮支持体剥離後、光学顕微鏡にてラミネート状態を観察し、カラーフィルタ基板と硬化性樹脂層との間に気泡(ラミ泡)が存在するか否かを観察した。
【0177】
<評価基準>
3:ラミ泡がまったく無い。
2:ラミ泡が、パターン形成箇所以外に発生した。
1:ラミ泡がパターン形成部に発生した。
【0178】
−レチキュレーション−
硬化性樹脂転写フイルムを45℃/75%RH環境下で24時間放置した後、放置後の硬化性樹脂転写フイルムの表面を顕微鏡を用いて観察し、下記基準にしたがって目視による評価を行なった。
【0179】
〈評価基準〉
4:細かい「しわ」等の発生は、全く認められなかった。
3:細かい「しわ」等の発生が僅かに認められたが、実用上使用可能な程度であった。
2:細かい「しわ」等の発生が少し認められた。
1:細かい「しわ」等の発生がかなり認められた。
【0180】
−表示ムラ−
液晶表示装置の各々について、グレイのテスト信号を入力させたときのグレイ表示を目視及びルーペにて観察し、表示ムラの発生の有無を下記評価基準にしたがって評価した。
【0181】
〈評価基準〉
5:液晶セルのいずれの箇所にも表示ムラは全く認められなかった。
4:液晶セルの四つ角にのみ僅かな表示ムラが認められた。
3:液晶セルの四辺の縁取り部分にのみ僅かな表示ムラが認められた。
2:液晶セルの中央部分にも表示ムラが認められた。
1:液晶セルの全面に顕著な表示ムラが認められた。
【0182】
−保存性(液安定性)−
硬化性樹脂層用塗布液を25℃で1週間保存した後、各実施例及び比較例の条件と同様の条件で仮支持体に塗布、若しくはカラーフィルタ基板に塗布を行ない、前記の三次元表面構造解析顕微鏡でムラの厚みを10点測定し、評価基準にしたがって評価した。
【0183】
〈評価基準〉
5:硬化性樹脂層のムラが±0.5%未満で極めて良好。
4:硬化性樹脂層のムラが±1%未満で良好。
3:硬化性樹脂層のムラが±3%未満で普通。
2:硬化性樹脂層のムラが±3%以上で悪い。
1:粘度上昇が顕著で塗布が出来なかった。
【0184】
−保存性(現像性)−
カラーフィルタ基板に塗布またはラミネートにより硬化性樹脂層を積層した後、23℃/55%RHの温湿度で24時間放置した後、プロキシミティー露光し、各実施例又は比較例の現像条件と同様の条件で現像し、形成したスペーサー周辺部分のSEM観察を行い周辺に残渣が残っているか否か確認し、評価基準にしたがって評価した。
【0185】
〈評価基準〉
5: 残渣がまったく見られない。
4: パターン周辺に微かな残渣が見られた。
3: パターン周辺に若干の残渣が見られた。
2: パターン周辺とパターン近傍の基板上に残渣が見られた。
1: 基板上所々に残渣が確認できた。
【0186】
−保存性(表示ムラ)−
カラーフィルタ基板上に塗布または転写により硬化性樹脂層を積層し、23℃/55%RHの温湿度で24時間放置した後、プロキシミティー露光し、各実施例又は比較例の現像条件と同様の条件で現像し作成した液晶表示装置の各々について、グレイのテスト信号を入力させたときのグレイ表示を目視及びルーペにて観察し、表示ムラの発生の有無を下記評価基準にしたがって評価した。
【0187】
〈評価基準〉
5:液晶セルのいずれの箇所にも表示ムラは全く認められなかった。
4:液晶セルの四つ角にのみ僅かな表示ムラが認められた。
3:液晶セルの四辺の縁取り部分にのみ僅かな表示ムラが認められた。
2:液晶セルの中央部分にも表示ムラが認められた。
1:液晶セルの全面に顕著な表示ムラが認められた。
【0188】
−保存性(変形回復率)−
カラーフィルタ基板上に塗布または転写により硬化性樹脂層を積層し、23℃/55%RHの温湿度で24時間放置した後、プロキシミティー露光し、各実施例又は比較例の現像条件と同様の条件で現像し作成したスペーサーの各々について微小硬度計(DUH−W201、(株)島津製作所製)により次のようにして測定を行ない、評価した。測定は、50μmφの円錘台圧子を採用し、最大荷重50mN、保持時間5秒として、負荷−除荷試験法により行なった。この測定値から下記式により変形回復率〔%〕を求め、下記基準にしたがって評価した。測定は、22±1℃、50%RHの環境下で行った。
変形回復率(%)=(加重開放後の回復量[μm]/加重による変形量[μm])×100
【0189】
〈評価基準〉
5:変形回復率が90%以上であった。
4:変形回復率が87%以上90%未満であった。
3:変形回復率が85%以上87%未満であった。
2:変形回復率が80%以上85%未満であった。
1:変形回復率が75%以上80%未満であった。
0:変形回復率が75%未満であった。
【0190】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐及び/又は脂環構造を有する基、酸性基、及びエチレン性不飽和結合を有する基を側鎖に有する樹脂(A)、重合性化合物(B)及び下記一般式(I)で表される開始剤(C)を少なくとも含んでなることを特徴とする硬化性組成物。
【化1】


式中、Tは(4,6−ビストリハロメチル−S−トリアジン−2−イル)基又は2−(5−トリハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)エテニル基を、Yはn価の基を、nは2以上の整数を表す。ベンゼン環はT以外の置換基を有していてもよい。
【請求項2】
前記脂環構造を有する基が、置換基を有していてもよい炭素数6以上の環状構造を有する基であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
微粒子(D)を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記微粒子(D)の平均粒子径が5〜50nmであり、硬化性組成物中の全固形分に対する質量比率が5〜50質量%であることを特徴とする請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記微粒子(D)がコロイダルシリカであることを特徴とする請求項3又は4に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
仮支持体上に、少なくとも硬化性樹脂層を有する硬化性樹脂転写フイルムであって、前記硬化性樹脂層が、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の硬化性組成物を用いて形成されたことを特徴とする硬化性樹脂転写フイルム。
【請求項7】
前記硬化性樹脂層と前記仮支持体との間に、中間層及び/又は熱可塑性樹脂層を有することを特徴とする請求項6に記載の硬化性樹脂転写フイルム。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の硬化性組成物を用いて、塗布することで支持体上に硬化性樹脂層を形成する工程を有することを特徴とするスペーサーの製造方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の硬化性樹脂転写フイルムを用いて、加熱及び/又は加圧により支持体上に硬化性樹脂層を転写する工程を有することを特徴とするスペーサーの製造方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のスペーサーの製造方法により製造したスペーサーを備えたことを特徴とする液晶表示装置用基板。
【請求項11】
請求項10に記載の液晶表示装置用基板を備えたことを特徴とする液晶表示装置。

【公開番号】特開2009−79140(P2009−79140A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249976(P2007−249976)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】