説明

硬化性組成物

【課題】 高い光沢を示し、且つ、良好な耐汚染性を付与できる耐汚染性付与組成物、及び、良好な耐汚染性を示す水性塗料システム・良好な耐汚染性を有する塗膜を提供することである。
【解決手段】 オルガノシリケート化合物(A)、アルキレンオキシ鎖含有ノニオン乳化剤(B)、アルコキシシラン化合物の加水分解・縮合を促進する化合物(C)、場合によって有機溶剤(D)を組み合わせた均一混合された組成物を水性塗料に添加する。(A)、(C)成分により塗膜の耐汚染性が向上し、上記組成物を配合した塗料より形成された塗膜は、塗膜の親水性が向上し、良好な耐汚染性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料に添加することにより耐汚染性を発現する耐汚染性付与組成物、塗料組成物および該塗料組成物より得られる塗膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塗料の分野においても、公害対策あるいは省資源の観点より、有機溶剤を使用するものから、水溶性あるいは水分散樹脂への転換が試みられている。しかし、水性塗料は溶剤系塗料に比べ、塗膜性能が劣る傾向にあった。こういった状況下、水性塗料においても溶剤系塗料と同等の塗膜物性が要求され、特に耐汚染性といった高度な性能付与が要求されている。
【0003】
また、塗料への耐汚染性付与方法としては、塗料中にオルガノシリケートを配合する方法が知られている(特許文献1)。この方法により、形成した塗膜の親水性が向上し、油性の汚染物質の付着防止に効果があり、また、付着した汚染物質を降雨等の水滴で洗い流すことが可能である。しかしながら、上記方法を水性塗料に適用した場合、オルガノシリケートと水性塗料の相溶性が悪く、表面光沢が極端に低下するという問題があった。
【0004】
これに対し、水性塗料への耐汚染性付与方法としては、オルガノシリケートの変性縮合物を添加する方法が開示されている(特許文献2)。この方法は、オルガノシリケート中のアルコキシ基をポリオキシアルキレン基・アミノ官能基等でエステル交換反応により置換し変性したアルコキシシラン化合物を水性塗料に添加するものである。この方法により、水性塗料との相溶性は改善され、表面光沢の極端な低下は解決された。しかし、オルガノシリケートを変性する場合用いられるエステル交換反応で目的の化合物を確実に得られない。すなわち、再現性に乏しく、耐汚染性発現にバラツキが見られる。また、変性する操作が煩雑であるという欠点を有していた。
【特許文献1】国際公開第94/06870号パンフレット
【特許文献2】国際公開第99/05228号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、良好な耐汚染性を発現し、且つ、高い光沢の塗膜を形成する耐汚染性付与剤と水性塗料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者等は、かかる現状を鑑み、鋭意検討した結果、オルガノシリケート化合物、アルキレンオキシ鎖含有ノニオン乳化剤、アルコキシシラン化合物の加水分解・縮合を促進する化合物を組み合わせた均一混合物を水性塗料に添加する方法を見出した。アルキレンオキシ鎖含有ノニオン乳化剤はオルガノシリケートと相溶性が良好であり、均一組成物となる。また、水性塗料へ添加した場合、均一に分散するため、形成した塗膜が高い光沢値を示す。上記組成物は水を含有しないため、アルコキシシラン化合物の加水分解・縮合触媒を存在させることが可能であり、この存在により水性塗料に添加し、水と接触することにより、オルガノシリケートの加水分解反応を促進し、より高度な耐汚染性を発現する。
【0007】
即ち、本発明は、(A)オルガノシリケート化合物、(B)アルキレンオキシ鎖含有ノニオン系乳化剤、(C)アルコキシシラン化合物の加水分解・縮合を促進する化合物を含む塗料の耐汚染性付与組成物および塗料組成物、また、これらの塗料より得られる塗膜。
【発明の効果】
【0008】
本発明の耐汚染性付与組成物は、低コスト・簡易な操作で製造できる。また、本発明の耐汚染性付与組成物を水性塗料に添加することにより、高い光沢と高度な耐汚染性を示す塗膜を形成する。また、形成した塗膜の耐汚染性のバラツキが少ないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明をその実施の形態に基づき詳細に説明する。
【0010】
(オルガノシリケート)
本発明で使用可能なオルガノシリケート化合物(A)しては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン及びそれらの部分加水分解・縮合物が挙げられる。上記化合物は1種単独でもよく、2種以上を併用しても良い。また、同一分子中に異なったアルコキシシリル基を含有するオルガノシリケートも使用可能である。例えば、メチルエチルシリケート、メチルプロピルシリケート、メチルブチルシリケート、エチルプロピルシリケート、プロピルブチルシリケートなどである。これらの置換基の比率0〜100%の間で任意に変更可能である。また、これらのシリケートの部分加水分解・縮合物も使用可能であると記述したが、縮合度は1〜20程度が好ましい。更に好ましい縮合度の範囲は、3〜15である。
【0011】
上記オルガノシリケートのアルコキシシリル基の官能基のアルコキシ部の炭素数は1〜4を挙げているが、炭素数が少なくなるほど反応性が向上することは一般的に知られている。水性塗料へ添加した場合、炭素数が小さいオルガノシリケート、例えば、メチルシリケートを用いた場合、反応性が高く、良好な耐汚染性を示すが、塗料のゲル化までの時間、すなわち、ポットライフが短くなる。これに対し、炭素数が大きいブチルシリケートを用いた場合、耐汚染性付与率が低下し、ポットライフが長くなる。この耐汚染性とポットライフのバランスを考えると、アルコキシシリル基のアルキル部は1.5〜2.8が好ましい。即ち、メチルシリケートとエチルシリケートの混合物もしくは同一分子中にメチル基とエチル基を有するシリケートがアルキル部1.5と言える。単独で用いる場合は、エチルシリケート40、エチルシリケート48が望ましい。
【0012】
(アルキレンオキシ鎖含有ノニオン乳化剤)
本発明の必須成分であるアルキレンオキシ鎖含有ノニオン乳化剤(B)としては、アルキレンオキシ鎖と疎水有機基を同一分子中に有する化合物であれば良い。アルキレンオキシ鎖としては、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖を有するものが好ましい。
【0013】
アルキレンオキシ鎖含有ノニオン乳化剤の具体例としては、Newcol−562、 Newcol−560、 Newcol−563、 Newcol−564、 Newcol−568、 Newcol−504、 Newcol−506、 Newcol−512、 Newcol−704、 Newcol−710、Newcol−714、 Newcol−723、 Newcol−740(以上、日本乳化剤(株)製)の様なポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、Newcol−862、 Newcol−860、 Newcol−864、 Newcol−804(以上、日本乳化剤(株)製)の様なポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のアルキルアリルエーテル類; Newcol−1103、 Newcol−1105、 Newcol−1100、 Newcol−1110、 Newcol−1120(以上、日本乳化剤(株)製)の様なポリオキシエチレンラウリルエーテル、 Newcol−1203、 Newcol−1204、 Newcol−1210(以上、日本乳化剤(株)製)の様なポリオキシエチレンオレイルエーテル、 Newcol−1807、 Newcol−1820(以上、日本乳化剤(株)製)の様なポリオキシエチレンステアリルエーテル等のアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンステアレート等のアルキルエステル類; Newcol−25、 Newcol−65、 Newcol−85(以上、日本乳化剤(株)製)の様なポリオキシエチレンソルビタン誘導体等が使用可能である。また、プロピレンオキシ鎖を有するノニオン乳化剤としては、プルロニックL−31、L−44、L−64、 L−72、L−101、 L−121、 P−84、 P−103、F−68、F−88、F−108、F−127、25R−1(以上、旭電化工業(株)製)の様なポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共縮合型ノニオン乳化剤が挙げられる。これらのノニオン乳化剤は、1種単独で用いてもよく、また2種以上併用しても良い。
【0014】
後述の(D)成分である有機溶剤を併用する場合は、比較的HLB値(ノニオン乳化剤の親水性度を表す指標)が高いノニオン乳化剤を使用できる。(D)成分を用いない場合、比較的HLB値の低いノニオン乳化剤とそれ以上のHLB値のノニオン乳化剤を併用すると本発明の耐汚染性付与組成物の均一性を保持するのに好ましい。比較的HLB値の低い乳化剤とは水に不溶であると定義づけられる。逆にHLB値が高いノニオン乳化剤は、水に可溶と定義づけられる。上記2種のノニオン乳化剤の組み合わせは多数考えられるが、特に限定されるものではない。比較的HLB値の高いノニオン乳化剤のHLB値は10.5以上が好ましく、更に好ましくは11〜19である。また、HLB値の低いノニオン乳化剤のHLB値は、10以下が好ましく、更に好ましくは3〜9.5である。
【0015】
本発明の耐汚染性付与組成物の必須成分である上記ノニオン乳化剤の機能としては、オルガノシリケート化合物(A)を水性塗料中に均一に分散させることにある。このことが、耐汚染性付与組成物が添加された水性塗料より形成された塗膜が高い光沢値と優れた耐汚染性を示すことに繋がる。
【0016】
上記ノニオン乳化剤の使用量は、オルガノシリケート化合物(A)100重量部に対し、5〜150部である。5重量部未満では、耐汚染性付与組成物が水性塗料中に均一に分散せず、形成した塗膜の光沢値が低下する。また、150重量部以上用いた場合、形成した塗膜の耐水性が悪化する。また、添加した水性塗料の粘度が低下し、作業性が悪化する。ノニオン乳化剤の使用量の更に好ましい使用量は、10〜90重量部である。
【0017】
(アルコキシシラン化合物の加水分解・縮合を促進する化合物)
本発明における(C)成分であるアルコキシシラン化合物の加水分解・縮合を促進する化合物として、有機錫化合物、リン酸エステル化合物単独またはリン酸エステル/アミンの反応物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物などが挙げられる。塗膜の耐汚染性付与の観点から、有機錫化合物、リン酸エステル/アミンの反応物が特に好ましい。
【0018】
有機錫化合物としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫ジオレイルマレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジメトキサイド、ジブチル錫チオグリコレート、オクチル酸錫などが挙げられる。
【0019】
リン酸エステル化合物としては、プロピルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、2―エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジ−2―エチルヘキシルホスフェート、モノイソデシルアシッドホスフェート、ジイソデシルホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェートなどが挙げられる。これらのリン酸エステル化合物と反応させるアミン化合物としては、トリエチルアミン、n−ブチルアミン、ヘキシルアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロウンデセンなどが挙げられる。
【0020】
(C)成分はオルガノシリケート100重量部に対し、1〜50重量部配合することが好ましい。1重量部未満では、耐汚染性付与の効果が低く、50重量部を超えると配合物の安定性が低下する、水性塗料に添加した場合に(C)の存在量が多くなり、塗膜の耐候性が低下する。更に好ましい(C)成分の配合量は、3〜15重量部である。
【0021】
(有機溶剤)
本発明の耐汚染性付与組成物に必要に応じて有機溶剤(D)を配合することが可能である。配合可能な有機溶剤としては、アルコール類、グリコール誘導体、炭化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類などが挙げられる。これらの有機溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。耐汚染性付与組成物にこれらの有機溶剤を配合することにより、組成物の均一性を向上させる効果がある。また、耐汚染性付与組成物を水性塗料に添加した場合、その分散性を向上させる。
【0022】
アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノールなど、グリコール誘導体としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテートなど、炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ドデカンなど、エステル類としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、2,2,4−トリメチルペンタジオール−1,3−モノイソブチレート(CS12)など、ケトン類として、アセトン、メチルエチルケトンなど、エーテル類として、エチルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、THFなどが挙げられる。
【0023】
これらの有機溶剤は1種単独でもよく、また2種以上併用してもよい。これらの中でアルキル鎖が6〜12程度のアルコール類がオルガノシリケートとアルキレンオキシ鎖含有ノニオン乳化剤の相溶性を向上させるのに効果的である。
【0024】
これらの有機溶剤は環境問題の観点から使用しない方が好ましいが、配合する場合の添加量は、オルガノシリケート100重量部に対し、5〜100重量部程度である。
【0025】
(耐汚染性付与組成物の作製方法)
本発明の耐汚染性付与組成物の作成方法としては、上記(A)〜(C)成分、場合によっては(D)成分をを単純に混合・撹拌することで得られる。ノニオン乳化剤である(B)成分の中には、常温で固体のものが存在する。これらの乳化剤は、比較的HLBの高いノニオン乳化剤に属する。この場合、常温で液体であるHLBの低い乳化剤、(D)成分である有機溶剤に予め溶解させておくことが望ましい。また、他の方法としては、物性に影響を与えない程度に加熱することでも対処可能である。それぞれの成分を投入する順序は何れでもよいが、(B)成分と(A)成分、場合によっては(D)成分の均一溶液を作製し、(C)成分を添加することが好ましい。65℃以上の高温にした場合や水分が混入した場合は、(A)成分の縮合反応の進行・(A)成分と(B)成分のエステル交換反応が起り、耐汚染性付与組成物自体が増粘・ゲル化する可能性もある。また、ゲル化しないまでも水性塗料に添加し形成した塗膜の耐汚染性低下・光沢低下等の機能低下する場合があり、注意が必要である。
【0026】
(合成樹脂エマルジョン)
本発明に使用可能な合成樹脂エマルジョンとしては、アクリル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、ポリエステル樹脂エマルジョン、アルキド樹脂エマルジョン、メラミン樹脂エマルジョンなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、これらは単独で使用しても2種以上を併用しても良い。これらの中でコスト、樹脂設計の自由度の高さなどからアクリル樹脂エマルジョンが有利である。
【0027】
アクリル樹脂エマルジョンとしては、アクリル系単量体、及びアクリル系単量体と共重合可能な単量体とをラジカル共重合により得られるものが使用できる。
【0028】
使用可能な上記単量体、としては、特に限定はないが、具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボニルメタクリレートなどの(メタ)アクリレート系単量体; スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビニルエステルやアリル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有ビニル系単量体;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシスチレン、アロニクス5700(東亜合成化学(株)製)、placcelFA−1、placcelFA−4、placcelFM−1、placcelFM−4(以上、ダイセル化学(株)製)、HE−10、HE−20、HP−10、HP−20(以上日本触媒化学(株)製)、ブレンマーPEPシリーズ、ブレンマーNKH−5050、ブレンマーGLM(以上日本油脂(株)製)、水酸基含有ビニル系変性ヒドロキシアルキルビニル系モノマーなどの水酸基含有ビニル系単量体;東亜合成化学(株)製のマクロモノマーであるAS−6、AN−6、AA−6、AB−6、AK−5などの化合物、ビニルメチルエーテル、プロピレン、ブタジエン等が挙げられる。
【0029】
更に、エマルジョンの安定性を向上させることが可能な親水性を有するビニル系単量体も使用可能である。使用可能な親水性基を有するビニル系単量体としては、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−スルホエチルメタクリレートナトリウム、2−スルホエチルメタクリレートアンモニウム、ポリオキシエチレン鎖を有するビニル系単量体及びポリプロピレン鎖を有するビニル系単量体が挙げられる。ポリオキシエチレン鎖を有するビニル系単量体に限定はないが、ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルが好ましく、具体例としては、ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、PME−100、PME200、PME−400、AE−350(以上日本油脂(株)製)、MA−30、MA−50、MA−100、MA−150、RA−1120、RA−2614、RMA−564、RMA−568、RMA−1114、MPG130−MA(以上日本乳化剤(株)製)などが挙げられる。ポリオキシプロピレン鎖を有するビニル系単量体に限定はないが、ブレンマーPP−1000、PP−500、PP−800、AP−400(以上日本油脂(株)製)、RS−30(三洋化成工業(株)製)などが挙げられる。
【0030】
ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの重合性の不飽和結合を2つ以上有する単量体を使用することも可能である。この場合、生成した粒子内部に架橋を有する構造となり、形成した塗膜の耐水性が向上する。
【0031】
また、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロ(メタ)アクリレート、ペンタフルオロ(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有ビニル系単量体を使用することにより高度な耐候性能を有するフッ素含有アクリル系樹脂エマルジョンも作製可能である。
【0032】
また、上記単量体と加水分解性シリル基を有する単量体を共重合することにより、加水分解性シリル基を含有するアクリル樹脂エマルジョンが作製可能である。
【0033】
加水分解性シリル基を含有する単量体としては、取扱いの容易さ、価格の点および反応副生成物が生じない点から、アルコキシシリル基含有ビニル系モノマーが好ましい。アルコシキシシリル基含有ビニルモノマーの具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの加水分解性シリル基含有ビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよいし、また2種以上を併用しても良い。
【0034】
水性塗料にした場合の貯蔵安定性の点からγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシランが特に好ましい。
【0035】
加水分解性シリル基含有単量体は、0.1〜50重量部共重合されることが望ましい。0.1重量部未満では耐水性、耐久性が低下し、50重量部を越えるとエマルジョンが不安定となる。
【0036】
上記のように得られたアルコキシシリル基含有アクリル系エマルジョンは、本発明のアルコキシシラン化合物の加水分解・縮合である(C)成分が混合された場合、架橋反応が進行し、耐水性・耐候性が良好な塗膜となる。
【0037】
本発明に使用できるアクリル樹脂エマルジョンは、通常の方法を採用することで得ることができるが、エマルジョンの粒子径および安定性を考慮すると乳化重合法が好ましい。
【0038】
前記乳化重合法には特に限定がなく、たとえばバッチ重合法、モノマー滴下重合法、乳化モノマー滴下重合法などの各種乳化重合法の中から適宜選択して採用することができるが、本発明においては、特に製造時のエマルジョンの安定性を確保する上で、モノマー滴下重合法および乳化モノマー滴下重合法が好ましい。
【0039】
乳化重合に際しては、通常用いられるイオン性または非イオン性の界面活性剤を用いることができる。
【0040】
イオン性界面活性剤としては、たとえばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアリルエーテルサルフェート、オクチルフェノキシエトキシエチルスルホネート、ポリオキシエチレントリデシルエーテルサルフェートなどのポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤;ラウリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、イソオクチルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩;イミダゾリンラウレート、アンモニウムハイドロオキサイドなどのアンモニウム塩などが代表例として挙げられるが、これらの中では、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤が好ましい。
【0041】
また、非イオン性界面活性剤としては、たとえばポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレン類;L−77、L−720、L−5410、L−7602、L−7607(以上、ユニオンカーバイド社製)などのシリコーンを含む非イオン系の界面活性剤などが代表例として挙げられる。
【0042】
本発明においては、界面活性剤として1分子中に重合性二重結合を有する反応性界面活性剤を用いることができる。また、特に分子内にポリオキシエチレン基を有する反応性界面活性剤を用いた場合には、機械的安定性を向上させることができる。
【0043】
かかる反応性界面活性剤の具体例としては、たとえばアデカリアソープNE−10、NE−20、NE−30、NE−40、SE−10N(以上、旭電化工業(株)製)、Antox−MS−60(日本乳化剤(株)製)、アクアロンRN−20、RN−30、RN−50、HS−10、HS−20、HS−1025(以上、第一工業製薬(株)製)などが挙げられる。
【0044】
前記界面活性剤は、単独または2種以上を混合して用いることができ、その使用量は、重合成分全量100部に対して10部以下、好ましくは0.5〜8部である。
【0045】
重合開始剤としては、特に限定はないが、重合をより安定に行なうために、重合開始剤としてレドックス系触媒を用いることが望ましい。また、重合中の混合液の安定性を保持し、重合を安定に行なうためには、温度は70℃以下、好ましくは40〜65℃であり、pHは5〜9に調整することが好ましい。
【0046】
前記レドックス系触媒としては、たとえば過硫酸カリウムまたは過硫酸アンモニウムと酸性亜硫酸ナトリウムまたはロンガリットとの組み合わせ、過酸化水素とアスコルビン酸との組み合わせ、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物と酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリットなどとの組み合わせなどが挙げられる。特に、有機過酸化物と還元剤との組み合わせが好ましい。
【0047】
前記重合開始剤の使用量は、重合成分全量100部に対して0.01〜10部、好ましくは0.05〜5部である。かかる重合開始剤の使用量が0.01部未満である場合には、重合が進行しにくくなることがあり、10部を超える場合には、生成する重合体の分子量が低下する傾向がある。
【0048】
また、重合開始剤の触媒活性を安定的に付与するために、硫酸鉄などの2価の鉄イオンを含む化合物とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなどのキレート化剤を用いてもよい。かかるキレート化剤の使用量は、重合成分全量100部に対して0.0001〜1部、好ましくは0.001〜0.5部である。
【0049】
重合体の分子量を調節するために連鎖移動剤の添加も可能である。連鎖移動剤としては公知のもの、例えば、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプタン系化合物、クロロホルム、四塩化炭素等の有機ハロゲン化物、スルフィドベンゼン、イソプロピルベンゼン、塩化第二鉄等が挙げられる。
【0050】
アクリル樹脂エマルジョン中の樹脂固形分濃度は、20〜70重量%が好ましく、さらに好ましくは30〜60重量%となるように調整する。かかる樹脂固形分濃度が70重量%を超える場合には、系の濃度が著しく上昇するため、重合反応に伴なう発熱を除去することが困難になったり、重合器からの取り出しに長時間を要するようになる傾向がある。また、樹脂固形分濃度が20重量%未満である場合には、重合操作の面では何ら問題は生じないものの、1回の重合操作によって生じる樹脂量が少なく、経済面で不利となる。
【0051】
なお、本発明に用いられるアクリル樹脂エマルジョンは、平均粒子径が0.02〜1.0μm程度が好ましい。平均粒子径は、重合に用いる乳化剤量で調整することが可能である。
【0052】
本発明に使用できる合成樹脂エマルジョンに、必要に応じて、通常塗料に用いられる顔料(二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、カオリンなどの白色顔料、カーボン、ベンガラ、シアニンブルーなどの有色系顔料)が使用できる。二酸化チタンは顔料のなかでも最も使用量が多く重要である。アルミナ、ジルコアにより表面処理された二酸化チタンを用いることにより光沢、耐候性が向上する。また、造膜剤、コロイダルシリカ、可塑剤、溶剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、紫外線吸収剤などの通常の塗料用成分として使用される添加剤を配合することもできる。
【0053】
(耐汚染性付与組成物の水性塗料への添加)
本発明における耐汚染性付与組成物と水性塗料の混合方法としては、直接、水性塗料に耐汚染性付与組成物を添加すればよい。予め、合成樹脂エマルジョンに耐汚染性付与組成物を添加し、塗料配合剤を配合し、水性塗料とすることが可能である。しかし、この場合、塗料を数ヶ月単位の長期間・50℃以上の高温で貯蔵した場合に物性変化が起こる可能性が示唆される。短期間且つ常温で保存する程度であれば、優れた耐汚染性と高い光沢を保持できる。他の添加法として、予め作製しておいた水性塗料に塗装直前に本発明の耐汚染性付与組成物を添加する方法が挙げられる。この方法であれば、確実に優れた耐汚染性と高い光沢を有する塗膜を形成させることが可能である。また、上記両方の方法を併用することも可能である。即ち、合成樹脂エマルジョンに耐汚染性付与組成物を添加した組成物に配合剤を添加し作製した水性塗料に塗装前に更に耐汚染性付与組成物を添加する方法である。これらの何れの方法も本発明に属するものである。
【0054】
水性塗料と耐汚染性付与組成物の混合比率は、水性塗料中の樹脂固形分100重量部に対し、耐汚染性付与組成物中のオルガノシリケート化合物(A)が2〜40重量部が好ましい。(A)成分が2重量部未満では、耐汚染性能が十分発揮できない。また、40重量部を越えると水性塗料中の樹脂とオルガノシリケート化合物との相溶性が低下することに起因する塗膜光沢の低下が発生する。更に好ましいオルガノシリケート化合物(A)の使用量は、5〜20重量部である。
【0055】
本発明の耐汚染性が付与された水性塗料は、例えば建築内装用、メタリックベースあるいはメタリックベース上のクリアーなどの自動車用、アルミニウム、ステンレスなどの金属直塗用、スレート、コンクリート、瓦、モルタル、石膏ボード、石綿スレート、アスベストボード、プレキャストコンクリート、軽量気泡コンクリート、硅酸カルシウム板、タイル、レンガなどの窯業系直塗用、ガラス用、天然大理石、御影石等の石材用の塗料あるいは上面処理剤として用いられる。また、直塗用だけでなく、水系あるいは溶剤系プライマー上、アクリルゴム上、複層仕上げのトップコート、コンクリート等の無機系基材に水系あるいは溶剤系浸透性吸水防止材上の塗装にも用いられる。
【実施例】
【0056】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0057】
(耐汚染性付与組成物の製造方法:合成例1〜22)
表1、表2に示す成分を(B)、(D)、(A)、(C)の順序で撹拌しながら、投入した。投入終了後、30分撹拌し、合成例1〜22の耐汚染性付与組成物を得た。常温で個体であるN−723、プルロニックF−88、N−1120は加熱・融解させ用いた。合成例1〜22に示す混合組成物は、何れも2層分離・ゲル化等は起こらず、透明な溶液となった。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
(ポリオキシエチレン鎖変性シリケート化合物の合成例)
エチルシリケート40(エチルシリケート部分加水分解縮合物:シリカ残量比率40%)100重量部に平均分子量150のポリオキシエチレングリコール100重量部を混合し、70℃に昇温し1N塩酸水溶液を0.1重量部添加し3時間攪拌した。その後、温度を室温へ下げ水酸化ナトリウムでpH7付近へ中和し、さらに生成したエタノールを減圧除去して、ポリオキシエチレン基でエステル交換されたシリケート化合物を得た。同様の操作を3回実施し、ポリオキシエチレン基でエステル交換されたシリケート化合物、PEGSi1〜3を得た。
【0061】
(合成樹脂エマルジョンの製造例)
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応容器に、脱イオン水33重量部、Newcol−707SF(日本乳化剤(株)製:3%希釈)2.5重量部、酢酸アンモニウム0.15重量部、ロンガリット0.05重量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.04重量部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ50℃に昇温した。表3に示すモノマーの混合物のうち5重量部を滴下して30分間初期重合を行った。上記モノマー混合物の残り95重量部にアクアロンBC1025(第一工業製薬(株)製:有効成分15%)10.25重量部、アクアロンRN30(第一工業製薬(株)製:20%水希釈品)3.5重量部および脱イオン水42.5重量部を加え乳化したモノマーを、3時間かけて等速追加した。同時にロンガリット0.4重量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.3重量部をモノマー追加時に分割投入した。この後、1時間後重合を行った。得られた合成樹脂エマルジョンは25%アンモニア水でpH8に調整した。(E−1〜3)。
【0062】
【表3】

【0063】
(白エナメル塗料の作製方法)
調整した合成樹脂エマルジョンE−1〜3を表4に示す顔料ペーストを用い、表5の塗料化の配合方法に従い塗料化し、水性塗料を得た(F−1〜3)。
【0064】
(DTL乳化物の合成例)
ジブチル錫ジラウレート(DTL)10部、TD−10014(日本乳化剤(株)製の乳化剤)4部、 TD−1006(日本乳化剤(株)製の乳化剤)6部、プロピレングリコール10重量部を配合、撹拌し、徐々に脱イオン水70重量部を添加することによりDTL乳化物を得た。
【0065】
【表4】

【0066】
【表5】

【0067】
(物性評価)
☆塗料の増粘作製した水性塗料に本発明の耐汚染性付与組成物を添加し、2時間後の増粘率を算出した。粘度はBM型粘度計を用い、23℃の恒温で測定した。No.4ローターを用い、6rpmの速度で測定を実施した。増粘率の評価は基準を以下に示す。
〇:増粘率110%以下 △:増粘率200%以下 ×:ゲル化により測定不能
【0068】
☆光沢作製した水性塗料に本発明の耐汚染性付与組成物を添加し、60ミルのアプリケーターで塗装し、14日間室温で養生した。養生後、入射角20°および60°の光沢値を光沢計Multi-Gloss268(ミノルタ(株)製)で測定した。光沢値は、3回測定した値の平均値を算出した。
【0069】
☆耐汚染性の評価折り曲げ曝露板(アルミ板)にエポキシ系中塗り塗料を塗装し、1日室温で養生後、各塗料をスプレー塗装した。この試験板の45度面および垂直面の雨筋および非筋部の汚れを確認した。汚染性は、曝露初期のL*a*b*表色系で表される明度を色彩色差計(ミノルタ(株)製:CR300)で測定し、大阪府摂津市で北面向き屋外曝露を3カ月実施した。曝露前後の明度差の絶対値(ΔL値)を汚染性の尺度とした。ΔL値が小さい方が汚れが少ないことを示す。
◎:ΔL値が2以下 〇:ΔL値が2〜5 △:ΔL値が5〜8 ×:ΔL値が8以上
【0070】
☆水接触角測定サンプル作製アルミ平板上にエポキシ系中塗り塗料を塗装し、1日室温で養生後、各塗料をスプレー塗装し、14日間室温で養生した。
【0071】
☆塗膜の水接触角の測定耐汚染性の指標となる塗膜の水接触角を接触角測定機(協和界面科学(株)製:CA−S150型)を用い測定した。評価は、上記作製サンプルを水に1日間浸漬後と屋外曝露評価後に実施した。
【0072】
表6、表7に作製した水性塗料に耐汚染性付与剤を添加した場合の物性評価結果を示す。
【0073】
【表6】

【0074】
【表7】

【0075】
(実施例1〜5)シリケートの種類を変化させたが、何れも高い塗膜光沢・良好な耐汚染性を示した。シリケートの反応性が高くなると耐汚染性は良好になるが、耐汚染性付与組成物の添加後の増粘率は上昇した。
(実施例2−1〜2−3)合成例2の操作を3回実施し、同様の評価を実施した。耐汚染性のバラツキは見られず、良好な耐汚染性を示した。
(実施例8〜11)ノニオン乳化剤量、有機溶剤の使用、錫種の変更したサンプルを評価したが、何れも高い光沢・良好な耐汚染性を示した。錫量を増量した実施例11は若干の光沢値の低下は見られたが、良好な耐汚染性を示した。
(実施例12、13)(C)成分としてリン酸系の触媒を使用した場合でも、高い光沢と良好な耐汚染性を示した。
(実施例14)耐汚染性付与組成物を増量した場合、更に良好な耐汚染性を示した。
(実施例15、16)使用する水性塗料として、アクリルエマルジョン樹脂を使用したが、良好な耐汚染性を示した。
(比較例1)アクリルシリコンエマルジョン塗料に耐汚染性付与組成物の代わりに錫乳化物を添加したが、耐汚染性は不良であった。
(比較例2)(C)成分を含まない組成物を水性塗料に添加したが、耐汚染性が不良であった。
(比較例3)エチルシリケート単独を水性塗料に添加したが、エチルシリケートが若干分離した。そのまま、塗装したが、大幅な光沢低下が発生した。
(比較例4−1〜4−3)ポリオキシエチレン鎖を有するシリケートを3回合成し、同様の試験を実施したが、耐汚染性のバラツキが大きかった。耐汚染性の指標となる接触角もバラツキが見られた。
【0076】
実施例、比較例の耐汚染性と測定した水接触角に概ね相関性が見られ、50°以下の接触角を示すサンプルは特に良好な耐汚染性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)オルガノシリケート化合物、(B)アルキレンオキシ鎖含有ノニオン系乳化剤、(C)アルコキシシラン化合物の加水分解・縮合を促進する化合物を含み、水を含有しない、塗料の耐汚染性付与組成物。
【請求項2】
(A)成分であるオルガノシリケートが一般式(1)で示される化合物またはその部分加水分解縮合物である請求項1記載の耐汚染性付与組成物。
【化1】

(式中、Rは同じかまたは異なり炭素数1〜4のアルキル基)
【請求項3】
(B)成分がHLB10以下のアルキレンオキシ鎖含有ノニオン系乳化剤とHLB10.5以上のアルキレンオキシ鎖含有ノニオン系乳化剤混合物であることを特徴とする請求項1記載の耐汚染性付与組成物。
【請求項4】
(C)成分が錫化合物であることを特徴とする請求項1記載の耐汚染性付与組成物。
【請求項5】
(C)成分がリン酸エステル単独またはリン酸エステル/アミンの反応物であることを特徴とする請求項1記載の耐汚染性付与組成物。
【請求項6】
有機溶剤(D)を含有することを特徴とする請求項1記載の耐汚染性付与組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載された耐汚染性付与組成物をバインダー成分に添加して得られる塗料組成物。
【請求項8】
前記バインダーが合成樹脂エマルジョンであることを特徴とする請求項7記載の塗料組成物。
【請求項9】
前記合成樹脂エマルジョンがアルコキシシリル基含有エマルジョンであることを特徴とする請求項8記載の塗料組成物。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1つに記載の塗料組成物から得られる塗膜。

【公開番号】特開2008−13771(P2008−13771A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207034(P2007−207034)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【分割の表示】特願2001−318855(P2001−318855)の分割
【原出願日】平成13年10月17日(2001.10.17)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】