説明

硬化性組成物

【課題】 本発明の目的は、耐熱耐光透明性に優れた硬化物を与える硬化性組成物、及び、その硬化性組成物を硬化させて得られる耐熱耐光透明性に優れた硬化物を提供することである。
【解決手段】 必須成分として(A)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2個以上有する有機化合物、(B)ヒドロシリル化触媒、(C)1分子中にSiH基を2個以上有する化合物 を含有する硬化性組成物によって上記の課題が解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温時の接着信頼性および光学的透明性に優れた硬化物を与える変性ポリオルガノシロキサン化合物を含有する硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
透明性が高く耐熱性に優れる光学材料としてアルケニル基を有する有機化合物とSiH基を有するシリコン化合物のヒドロシリル化を用いた熱硬化性樹脂が広く知られている(特許文献1〜3)。ただしこれらは、接着性に欠け、特に高温条件下での接着性に欠けることより、高温条件下で使用するような電子材料、半導体デバイス等に適用する際の信頼性の面で満足行くものではなかった。
【特許文献1】特開平6−263989号公報
【特許文献2】特開2002−317048号公報
【特許文献3】特開2006−291044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、耐熱透明性に優れかつ高温時の接着信頼性を有する硬化物を与える変性ポリオルガノシロキサン化合物を含有する硬化性組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らが鋭意検討の結果、分子内に特定構造を有するSiH基含有ポリオルガノシロキサン化合物を用いることにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
必須成分として(A)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2個以上有する有機化合物、(B)白金化合物、(C)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物を含有する硬化性組成物であり、
成分(C)が、
【0005】
【化10】

【0006】
又は
【0007】
【化11】

【0008】
又は
【0009】
【化12】

【0010】
で表される有機構造を一分子中に有する化合物である硬化性組成物(請求項1)、
必須成分として(A)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2個以上有する有機化合物、(B)白金化合物、(C)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物を含有する硬化性組成物であり、
成分(A)が、
【0011】
【化13】

【0012】
又は
【0013】
【化14】

【0014】
又は
【0015】
【化15】

【0016】
で表される有機構造を一分子中に有する化合物である硬化性組成物(請求項2)、
成分(C)が、下記化合物αとβのヒドロシリル化反応生成物である請求項1もしくは2いずれか一項に記載の硬化性組成物:
(α)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上個有する有機化合物
(β)1分子中にSiH基を3個以上有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサン化合物(請求項3)、
化合物(α)が、下記一般式(I)
【0017】
【化16】

【0018】
(式中Rは水素原子または炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよく、少なくとも1個のRはSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)で表される請求項3に記載の硬化性組成物(請求項4)、
化合物(α)が、ジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸、ジアリルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールS、ビニルフェノール、アリルフェノール、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、へプテン酸、ウンデシレン酸である請求項3に記載の硬化性組成物(請求項5)
成分(A)が、下記一般式(I)
【0019】
【化17】

【0020】
(式中Rは水素原子または炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよく、少なくとも2個のRはSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)で表される請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物(請求項6)、
成分(A)が、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2個以上有する有機化合物であってかつ、エポキシ基を1個以上有する化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物(請求項7)、
成分(A)が、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、トリビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルネンである請求項1および3〜7のいずれか一項に記載の硬化性組成物(請求項8)、
化合物(β)が、下記一般式(II)
【0021】
【化18】

【0022】
(式中R、Rは炭素数1〜10の有機基を表し、nは1〜10、mは0〜10、ただしm+n≧3、の数を表す)で表されるSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサン化合物である請求項1〜8いずれか一項に記載の硬化性組成物(請求項9)、
に関する技術である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、光学的透明性、耐熱性に優れ、さらに高温接着信頼性に優れた硬化性を与え得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(成分(A))
本発明の成分(A)について説明する。
【0025】
成分(A)はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に2個以上含有する有機化合物であれば特に限定されない。有機化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲンのみを含むものであることが好ましい。シロキサン単位を含むものの場合は、ガス透過性やはじきの問題がある。
【0026】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
【0027】
成分(A)の有機化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系化合物に分類できる。
【0028】
有機重合体系化合物としては例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
【0029】
また有機単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系、直鎖、脂環式等の脂肪族炭化水素系、複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0030】
成分(A)のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(III)
【0031】
【化19】

【0032】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
【0033】
【化20】

【0034】
で示される基が特に好ましい。
【0035】
成分(A)のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(IV)で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。
【0036】
【化21】

【0037】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)また、原料の入手の容易さからは、下記式で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が好適である。
【0038】
【化22】

【0039】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は成分(A)の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
【0040】
【化23】

【0041】
【化24】

【0042】
で表される基等が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
【0043】
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、ビニルエーテル基、
【0044】
【化25】

【0045】
で表される基等が挙げられる。
【0046】
成分(A)の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノベンジルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロへキサンジメタノールジビニ
ルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ビスフェノールSのジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、ビニルシクロへキセン、1,5−ヘキサジエン、1,9−デカジエン、ジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、テトラアリルビスフェノールA、2,5−ジアリルフェノールアリルエーテル、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
【0047】
【化26】

【0048】
又は、
【0049】
【化27】

【0050】
で表される化合物の他、従来公知のエポキシ樹脂のグリシジル基の一部あるいは全部をアリル基、もしくは(メタ)アクリロイル基に置き換えたもの等が挙げられる。
【0051】
成分(A)としては、上記のように骨格部分とアルケニル基(SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合)とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、
デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン系化合物、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン系化合物、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン系化合物等が挙げられる。
【0052】
成分(A)のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数は、平均して1分子当たり2〜6個あればよいが、硬化物の力学強度をより向上したい場合には2を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。成分(A)のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子中当たり1個以下の場合は、成分(C)と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならない。一方、成分(A)のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子中当たり6個より多い場合は、変性ポリオルガノシロキサン化合物を合成する際に、ゲル化し易くなり、また、硬化性組成物の貯蔵安定性が悪くなる。
【0053】
成分(A)としては反応性が良好であるという観点からは、1分子中に炭素−炭素二重結合を3個以上含有していることが好ましい。また貯蔵安定性が良好となりやすいという観点からは、1分子中に炭素−炭素二重結合を4個以下含有していることがより好ましい。
【0054】
成分(A)としては、力学的耐熱性が高いという観点および原料液の糸引き性が少なく成形性、取扱い性、塗布性が良好であるという観点からは、分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。
【0055】
成分(A)としては、良好な作業性を得るためには、23℃における粘度が100Pa・s未満のものが好ましく、30Pa・s未満のものがより好ましく、3Pa・s未満のものがさらに好ましい。なお、これらの粘度はE型粘度計によって測定することができる。
【0056】
成分(A)としては、得られる硬化物の着色が少なく、耐光性が高いという観点からは、成分(A)としてはビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましい。
【0057】
特に、耐熱性、耐光性が高いという観点から下記一般式(I)で表されるトリアリルイソシアヌレート及びその誘導体が特に好ましい。
【0058】
【化28】

【0059】
(式中Rは水素原子または炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異
なっていても同一であってもよく、少なくとも2個のRはSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)で表される化合物が好ましい。
【0060】
上記一般式(I)のRとしては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
【0061】
【化29】

【0062】
で示される基等が挙げられる。
【0063】
上記一般式(I)のRとしては、得られる硬化物の各種材料との接着性が良好になりうるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つがエポキシ基を一つ以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、
【0064】
【化30】

【0065】
で示されるエポキシ基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、グリシジル基、
【0066】
【化31】

【0067】
等が挙げられる。
【0068】
上記一般式(I)のRとしては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜50の一価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
【0069】
【化32】

【0070】
で示される基等が挙げられる。
【0071】
上記一般式(I)のRとしては、反応性が良好になるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つが
【0072】
【化33】

【0073】
で示される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、下記一般式(VI)
【0074】
【化34】

【0075】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましく、
3つのRのうち少なくとも2つが下記一般式(VII)
【0076】
【化35】

【0077】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表し、Rは直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基を表す。)で表される有機化合物(複数のRおよびRはそれぞれ異なっていても同一であってもよい。)で示される基であることがさらに好ましい。
【0078】
上記一般式(VII)のRは、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基であるが、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、直接結合あるいは炭素数1〜20の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜10の二価の有機基であることがより好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜4の二価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、
【0079】
【化36】

【0080】
で示される基が挙げられる。
【0081】
また、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、上記一般式(VII)のRとしては、直接結合あるいは2つ以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜48の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、
【0082】
【化37】

【0083】
で示される基等が挙げられる。
【0084】
上記一般式(VII)のRは、水素原子あるいはメチル基であるが、反応性が良好であるという観点からは、水素原子が好ましい。
【0085】
ただし、上記のような一般式(I)で表される有機化合物の好ましい例においても、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に2〜6個含有することは必要である。耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に3個以上含有する有機化合物であることがより好ましい。
【0086】
以上のような一般式(I)で表される有機化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、
【0087】
【化38】

【0088】
で表される化合物が挙げられる。
【0089】
さらに硬化物の接着性向上のためには、エポキシ基を一分子中に有するものが好ましく、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートが挙げられる。
【0090】
また成分(A)としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、
【0091】
【化39】

【0092】
又は
【0093】
【化40】

【0094】
又は
【0095】
【化41】

【0096】
で示される反応性基、
エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
【0097】
これらの官能基を有している場合には得られる硬化物の接着性および強度が高くなりやすく、特に150℃を超えるような高温時の接着信頼性がより高くなりうる。
【0098】
また、得られる硬化物の特に耐熱性が高いという観点より、イソシアヌル酸誘導体またはフェノール誘導体化合物であることが好ましく、具体的な例としては、ジアリルイソシアヌレート、モノアリルイソシアヌレート、ジアリルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールS、ビニルフェノール、アリルフェノール挙げられる。
【0099】
さらに硬化物の透明性、および耐UV性の観点よりイソシアヌル酸誘導体化合物が好ましく、入手容易性の観点より、ジアリルイソシアヌレート、モノアリルイソシアヌレートが特に好ましい。
【0100】
また炭素−炭素二重結合のヒドロシリル化活性の観点より、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、へプテン酸、ウンデシレン酸が好ましい。
【0101】
また成分(A)は、単独又は2種以上のものを用いることが可能である。
(成分(C))
次に、成分(C)について説明する。
【0102】
成分(C)は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物であれば特に限定されるものではなく使用することができ、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物等が挙げられるが、成分(A)との相溶性の観点より、ポリオルガノシロキサン化合物と有機化合物を一部反応させたもの(変性)が好ましい。変性のための反応は特
に限定はされず、付加反応、縮合反応、脱水素反応等が使用できるが、副反応が進行しにくく安定的にSiH基含有化合物が得られやすいという観点より、下記ある化合物(α)と化合物(β)とのヒドロシリル化生成物であることが好ましい。
(化合物(α))
本発明の化合物(α)について説明する。化合物(α)は、上記にある成分(A)と同様のものを使用することができ、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2個以上有する有機化合物であれば特に限定されるものではない。
(化合物(β))
次に、化合物(β)について説明する。
【0103】
化合物(β)については1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のオルガノポリシロキサン化合物であれば特に限定されず、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有するもの等が使用できる。
【0104】
これらのうち、硬化物に柔軟性が付与されるという観点より、
【0105】
【化42】

【0106】
(式中、R10、R11は炭素数1〜10の有機基を表し同一であっても異なっても良く、lは、1〜50、nは1〜50、mは0〜10、ただしm+n≧3、の数を表す。)
で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する鎖状オルガノポリシロキサンが好ましい。またR10、R11は入手性、耐熱性の観点より特にメチル基であるものが好ましく、硬化物の強度が高くなるという観点より、特にフェニル基であるものが好ましい。
【0107】
これらのうち、硬化物の耐熱性が高いという観点より、
【0108】
【化43】

【0109】
【化44】

【0110】
(式中、R12、R13は炭素数1〜6の有機基を表し、nは0〜50の数を表す。)
で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有し、分子中にTまたはQ構造を有するオルガノポリシロキサンが好ましく、R12、R13は入手性、耐熱性の観点より特にメチル基であるものが好ましい。
【0111】
これらのうち、入手性および化合物(α)との反応性が良いという観点からは、さらに、下記一般式(II)
【0112】
【化45】

【0113】
(式中R、Rは炭素数1〜6の有機基を表し同一であっても異なっても良く、nは1〜10、mは0〜10、ただしm+n≧3、の数を表す)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
【0114】
一般式(II)で表される化合物中の置換基R、Rは、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
【0115】
一般式(II)で表される化合物としては、入手容易性及び反応性の観点からは、1,3
,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
【0116】
上記した各種化合物(β)は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
(ヒドロシリル化触媒(成分(B))
硬化触媒(成分(B))および化合物(α)、化合物(β)をヒドロシリル化反応させる場合の触媒としては、例えば次のようなものを用いることができる。白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
【0117】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
【0118】
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0119】
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましいの添加量の下限は、化合物(β)のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は化合物(β)のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
【0120】
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
(化合物(α)、化合物(β)の反応)
変性ポリオルガノシロキサン化合物は、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2〜6個有する有機化合物(化合物(α))、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサン化合物(化合物(β))を、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させることにより得られる化合物である。
【0121】
化合物(α)、化合物(β)の反応の順序、方法としては種々挙げられるが、低分子量体を含有しにくいと言う観点から、過剰の化合物(α)と化合物(β)もしくは過剰の化
合物(β)と化合物(α)とをヒドロシリル化反応させた後、一旦、未反応の化合物(α)もしくは(β)を除く方法がより好ましい。
【0122】
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
【0123】
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
【0124】
ヒドロシリル化反応の際に酸素を使用できる。反応容器の気相部に酸素を添加することで、ヒドロシリル化反応を促進できる。酸素の添加量を爆発限界下限以下とする点から、気相部の酸素体積濃度は3%以下に管理する必要がある。酸素添加によるヒドロシリル化反応の促進効果が見られるという点からは、気相部の酸素体積濃度は0.1%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。
【0125】
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
【0126】
化合物(α)、化合物(β)をヒドロシリル化反応させた後に、溶媒及び/又は未反応の化合物を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる反応物が揮発分を有さないため、該反応物を用いて硬化物を作成する場合に、揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては、例えば、減圧脱揮が挙げられる。減圧脱揮する場合、低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは80℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
【0127】
本発明の製造方法では、目的によって種々の添加剤を使用できる。
(ゲル化抑制剤)
得られる反応物の保存安定性を改良する目的、或いは化合物(α)、化合物(β)をヒドロシリル化反応させた後に、溶媒及び/又は未反応の化合物を減圧脱揮により除去する場合の加熱処理による増粘等の変質を抑制する目的で、ゲル化抑制剤を使用することができる。ゲル化抑制剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。
【0128】
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、ジメチルマレート等のマレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノホスフィン類、ジオルガノホスフィン類、オルガノホスフォン類、トリオルガノホスファイト類等が例示される。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示され
る。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
【0129】
これらのゲル化抑制剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、トリフェニルホスフィンが好ましい。
【0130】
ゲル化抑制剤の添加量は種々設定できるが、使用するヒドロシリル化触媒1モルに対する好ましい添加量の下限は10−1モル、より好ましくは1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。添加量が少ないと、所望の保存安定性や減圧脱揮時のゲル化抑制効果が得られない。添加量が多いと、硬化反応時の硬化阻害剤になり得る。
【0131】
また、これらのゲル化抑制剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(硬化性組成物の調整方法および硬化方法)
硬化性組成物の調製方法は特に限定されず、種々の方法で調製可能である。各種成分を硬化直前に混合調製しても良く、全成分を予め混合調製した一液の状態で低温貯蔵しておいても良い。変性ポリオルガノシロキサン化合物の他に、物性改良の目的で熱可塑性樹脂等の添加剤を使用する場合は、これらの添加剤と硬化触媒である白金化合物を予め混合して貯蔵しておき、硬化直前にそれぞれの所定量を混合して調製しても良い。
【0132】
熱硬化温度としては種々設定できるが、好ましい温度の下限は30℃、より好ましくは60℃、さらに好ましくは90℃である。好ましい温度の上限は250℃、より好ましくは200℃、さらに好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなる。反応温度が高いと着色や隆起することがある。
【0133】
硬化は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。一定の温度で行うより多段階的あるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が、着色が少なく、歪の少ない硬化物が得られやすいという点において好ましい。
(添加剤)
(リン化合物)
本発明の硬化性組成物を光又は熱により硬化させ、特に透明性を要求される用途で使用する場合は、硬化後の色相を改善するために、リン化合物を使用するのが好ましい。リン化合物の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル] ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類から選ばれる酸化防止剤、又は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類から選ばれる着色防止剤が好ましく使用される。
【0134】
リン化合物の使用量は、変性ポリオルガノシロキサン化合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。リン化合物の使用量が0.01重量部より少ないと、色相の改善効果が少なくなる。使用量が10重量部より多くなると、硬化性や硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
(接着性改良剤)
本発明の組成物には、接着性改良剤を添加することもできる。接着性改良剤としては一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
【0135】
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
【0136】
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
【0137】
シランカップリング剤の添加量としては種々設定できるが、変性ポリオルガノシロキサン化合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化性や硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0138】
エポキシ化合物、オキセタン化合物としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、1,4−ビス{(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ}メチル}ベンゼン、ビス{1−エチル(3−オキセタニル)}メチルエーテル、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルへキシロキシメチル)オキセタン等を挙げることができる。
【0139】
エポキシ化合物、オキセタン化合物の添加量としては種々設定できるが、変性ポリオル
ガノシロキサン化合物100重量部に対して、好ましい添加量は1〜50重量部、より好ましくは3〜25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0140】
また、これらのカップリング剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物等は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0141】
本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、カルボン酸類あるいは/および酸無水物類を用いることができ、接着性の向上あるいは/および安定化が可能である。このようなカルボン酸類、酸無水物類としては特に限定されないが、
2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ノルボルネンジカルボン酸、水素化メチルナジック酸、マレイン酸、アセチレンジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、桂皮酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、およびそれらの単独あるいは複合酸無水物が挙げられる。
【0142】
これらのカルボン酸類あるいは/および酸無水物類のうち、得られる硬化物の物性を損ない難いという点においては、好ましいカルボン酸類あるいは/および酸無水物類としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸およびそれらの単独あるいは複合酸無水物等が挙げられる。
【0143】
カルボン酸類あるいは/および酸無水物類を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるいは/およびエポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の範囲は0.1〜50重量部、より好ましくは1〜10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0144】
また、これらのカルボン酸類あるいは/および酸無水物類は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(熱可塑性樹脂)
硬化性組成物には特性を改質する等の目的で、種々の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。熱可塑性樹脂としては種々のものを用いることができるが、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体あるいはメチルメタクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト共重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化成社製オプトレッツ等)、ブチルアクリレートの単独重合体あるいはブチルアクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂、ビスフェノールA、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製APEC等)、ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学社製APEL、日本ゼオン社製ZEONOR、ZEONEX、JSR社製ARTON等)、エチレンとマレイミドの共重合体等のオレフィン−マレイミド系樹脂(例えば東ソー社製TI−PAS等)、ビスフェノールA、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のビスフェノール類やジエチレングリコール等のジオール類とテレフタル酸、イソフタル酸、等のフタル酸類や脂肪族ジカルボン酸類を重縮合させたポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の他、天然ゴム、EPDMといったゴム状樹脂が例示されるがこれに限定されるものではない。
【0145】
熱可塑性樹脂としては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合あるいは/およびSiH基を有していてもよい。得られる硬化物がより強靭となりやすいという点においては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合あるいは/およびSiH基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
【0146】
熱可塑性樹脂としてはその他の架橋性基を有していてもよい。この場合の架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
【0147】
熱可塑製樹脂の分子量としては、特に限定はないが、変性オルガノシロキサン化合物との相溶性が良好となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。逆に、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以上であることが好ましく、100000以上であることがより好ましい。分子量分布(Mw/Mn)についても特に限定はないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
【0148】
熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、好ましい使用量の範囲は硬化性組成物全体の5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%である。添加量が少ないと得られる硬化物が脆くなり易い。添加量が多いと耐熱性(高温での弾性率)が低くなり易い。
【0149】
熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
【0150】
熱可塑性樹脂は変性オルガノシロキサン化合物に溶解して均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、変性オルガノシロキサン化合物に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱可塑性樹脂を変性オルガノシロキサン化合物に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態あるいは/および混合状態としてもよい。
【0151】
熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となり易いという観点からは、粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
(充填材)
硬化性組成物には必要に応じて充填材を添加してもよい。
【0152】
充填材としては各種のものが用いられるが、例えば、石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系充填材、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、無機バルーン等の無機充填材をはじめ
として、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として一般に使用あるいは/および提案されている充填材等を挙げることができる。
(老化防止剤)
本発明で得られる硬化性組成物には老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、ヒンダードフェノール系等一般に用いられている老化防止剤の他、クエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。
【0153】
ヒンダードフェノール系老化防止剤としては、チバスペシャリティーケミカルズ社から入手できるイルガノックス1010をはじめとして、各種のものが用いられる。
【0154】
硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
【0155】
また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(ラジカル禁止剤)
本発明で得られる硬化性組成物にはラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
【0156】
また、これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(紫外線吸収剤)
本発明で得られる硬化性組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。
【0157】
また、これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(溶剤)
得られる反応物が高粘度である場合、溶剤に溶解して用いることも可能である。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、エチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。
【0158】
溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、クロロホルムが好ましい。
【0159】
使用する溶媒量は適宜設定できるが、用いる硬化性組成物1gに対しての好ましい使用量の下限は0.1mLであり、好ましい使用量の上限は10mLである。使用量が少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料
に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。
【0160】
これらの、溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。
(その他添加剤)
本発明の硬化性組成物には、その他、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
(用途)
本発明の硬化性組成物或いは硬化物は種々の用途に用いることができる。従来のエポキシ樹脂接着剤が使用される各種用途に応用することが可能である。
【0161】
例えば、透明材料、光学材料、光学レンズ、光学フィルム、光学シート、光学部品用接着剤、光導波路結合用光学接着剤、光導波路周辺部材固定用接着剤、DVD貼り合せ用接着剤、粘着剤、ダイシングテープ、電子材料、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、高電圧絶縁材料、層間絶縁膜、絶縁用パッキング、絶縁被覆材、接着剤、高耐熱性接着剤、高放熱性接着剤、光学接着剤、LED素子の接着剤、各種基板の接着剤、ヒートシンクの接着剤、塗料、UV粉体塗料、インク、着色インク、UVインクジェット用インク、コーティング材料(ハードコート、シート、フィルム、剥離紙用コート、光ディスク用コート、光ファイバ用コート等を含む)、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、シーリング材料、ポッティング材料、封止材料、発光ダイオード用封止材料、光半導体封止材料、液晶シール剤、表示デバイス用シール剤、電気材料用封止材料、各種太陽電池の封止材料、高耐熱シール材、レジスト材料、液状レジスト材料、着色レジスト、ドライフィルムレジスト材料、ソルダーレジスト材料、カラーフィルター用材料、光造形、太陽電池用材料、燃料電池用材料、表示材料、記録材料、防振材料、防水材料、防湿材料、熱収縮ゴムチューブ、オーリング、複写機用感光ドラム、電池用固体電解質、ガス分離膜に応用できる。また、コンクリート保護材、ライニング、土壌注入剤、蓄冷熱材、滅菌処理装置用シール材、コンタクトレンズ、酸素透過膜の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
【実施例】
【0162】
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明は以下によって限定されるものではない。
【0163】
(合成実施例1)
500mL四つ口フラスコにトルエン100g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン57.49gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温105℃で加熱、攪拌した。ジアリルイソシアヌル酸10.0g、1,4−ジオキサン70.0g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.0186gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から6時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物A」を得た。
【0164】
(合成比較例1)
500mL四つ口フラスコにトルエン100g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン57.49gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温105℃で加熱、攪拌した。トリアリルイソシアヌレート7.9g、トルエン7.9g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.0030gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から6時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物B」を得た。
【0165】
(合成比較例2)
500mL四つ口フラスコにトルエン100g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン57.49gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温105℃で加熱、攪拌した。ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート12.7g、トルエン12.7g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.0112gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から6時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物C」を得た。
【0166】
(実施例1、比較例1、2)
合成実施例1および合成比較例1,2で得た反応物に対し、下記衣実施例1、比較例1,2に示される配合組成で硬化性組成物を作成し、評価を行った結果を表1に示す。
【0167】
【表1】

【0168】
本発明の変性ポリオルガノシロキサン化合物を使用して得られた硬化物は、比較例で作製された硬化物に対して、透明性に優れ高温での接着信頼性に優れる。
【0169】
(実施例1)
ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート 10.15g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)605mg、及びほう酸メチル0.1gを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。また、合成実施例1で調製した反
応物A10g、1−エチニルシクロヘキサノール605mg、(γ―グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(商品名:A−187)0.5gをB液とした。その後A液とB液を混合させたものを遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行った。
【0170】
(比較例1)
トリアリルイソシアヌレート 6.95g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)509mg、及びほう酸メチル0.085gを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。また、比較合成例1で調製した反応物B10g、1−エチニルシクロヘキサノール509mg、(γ―グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(商品名:A−187)0.42gをB液とした。その後A液とB液を混合させたものを遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行った。
【0171】
(比較例2)
ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート9.34g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)580mg、及びほう酸メチル0.097gを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。また、比較合成例2で調製した反応物C10g、1−エチニルシクロヘキサノール580mg、(γ―グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(商品名:A−187)0.48gをB液とした。その後A液とB液を混合させたものを遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行った。
【0172】
(測定、試験)
(硬化物作成)
実施例1、比較例1,2で得られた配合物を2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作製したセルに、この混合液を流し込み、60℃で6時間、続いて70℃で1時間、80℃で1時間、120℃で1時間、150℃で1時間、200℃30分間空気中にて加熱を行い、透明硬質な硬化物を得た。
【0173】
(透明性)
ダイヤモンドカッターで10×30mmにカットした硬化物を、(株)日立製作所製U−3300を用いて、スキャンスピード300nm/minの条件で測定した。目視および500nm、400nmでの光線透過率を透明性の指標とした。
【0174】
(高温接着性)
実施例1、比較例1,2で得られた配合物を用いてのアルミ板(♯280研磨面、25×100mm)に2×2mm□のガラスチップを接着させ、60℃で6時間、続いて70℃で1時間、80℃で1時間、120℃で1時間、150℃で1時間、200℃30分間空気中にて加熱を行い、硬化させ接着性評価用サンプルを作成した。
【0175】
このサンプルをボンドテスター(デイジ社製、シリーズ4000、DS100KGロードセル)で200℃熱板上における接着強度を測定した。サンプル4個を測定し、平均値を接着強度とした。
【0176】
(NMR)バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド製、300MHz NMR装置を用いた。合成でのアリル基の反応率は、反応液を重クロロホルムで1%程度まで希釈したものをNMR用チューブに加えて測定し、未反応アリル基由来のメチレン基のピークと、反応アリル基由来のメチレン基のピークから求めた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
必須成分として(A)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2個以上有する有機化合物、(B)ヒドロシリル化触媒、(C)1分子中にSiH基を2個以上有する化合物を含有する硬化性組成物であり、
成分(C)が、
【化1】

又は
【化2】

又は
【化3】

で表される有機構造を一分子中に有する化合物である硬化性組成物。
【請求項2】
必須成分として(A)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を2個以上有する有機化合物、(B)ヒドロシリル化触媒、(C)1分子中にSiH基を2個以上有する化合物を含有する硬化性組成物であり、
成分(A)が、
【化4】

又は
【化5】

又は
【化6】

で表される有機構造を一分子中に有する化合物である硬化性組成物。
【請求項3】
成分(C)が、下記化合物αとβのヒドロシリル化反応生成物である請求項1もしくは2いずれか一項に記載の硬化性組成物。:
(α)1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上個有する有機化合物
(β)1分子中にSiH基を3個以上有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサン化合物
【請求項4】
化合物(α)が、下記一般式(I)
【化7】

(式中Rは水素原子または炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよく、少なくとも1個のRはSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)で表される、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
化合物(α)が、ジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸、ジアリルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールS、ビニルフェノール、アリルフェノール、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、へプテン酸、ウンデシレン酸である請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
成分(A)が、下記一般式(I)
【化8】

(式中Rは水素原子または炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよく、少なくとも2個のRはSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)で表される、請求項1〜5いずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
成分(A)が、エポキシ基を1個以上有する化合物であることを特徴とする請求項1〜6いずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
成分(A)が、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、トリビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルネンである請求項1および3〜7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
化合物(β)が、下記一般式(II)
【化9】

(式中R、Rは炭素数1〜10の有機基を表し、nは1〜10、mは0〜10、ただしm+n≧3、の数を表す)で表されるSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサン化合物である請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。

【公開番号】特開2009−126892(P2009−126892A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300936(P2007−300936)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】