説明

硬質皮膜及び硬質皮膜被覆工具

【課題】(AlCr)N系皮膜又は(AlCrSi)N系皮膜よりも高硬度で耐酸化性に優れ、同時に熱応力が作用する環境下においても安定して優れた耐摩耗性及び密着強度を発揮し、高温における強度・靱性を高めた硬質皮膜又は該硬質皮膜を被覆した被覆工具を提供することである。
【解決手段】基材表面に被覆する硬質皮膜であって、該硬質皮膜の少なくとも1層は、(Al1−x−y−zNbCrSi)の窒化物、炭化物、硼化物、酸化物、硫化物から選択される1種以上もしくはこれらの固溶体からなり、但し、x、y、zは夫々原子比率を示し、0.04<x<0.40、0.06<y<0.40、0≦z<0.20、0.10<x+y+z<0.50、を満足することを特徴とする硬質皮膜である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、耐摩耗性及び耐熱性が要求される切削工具、金型、軸受け、ダイス、ロール及び内燃機関部品等の耐熱部材などの表面に被覆する硬質皮膜と硬質皮膜を被覆した被覆工具に関する。
【背景技術】
【0002】
被覆工具等の耐摩耗性を向上させることを目的として硬質皮膜をコーティングする技術が開示されている。特許文献1は、硬質皮膜の組成式が(Al100−cで示され、M成分の選択肢から、Nb、Crが存在することが開示されている。特許文献2は、Al、Cr、Siの窒化物からなる皮膜が開示されている。特許文献3は、(AlCr)(NBCO)の組成を有する硬質皮膜が開示されている。特許文献4は、(AlTiNbSi)(ON)の組成を有する硬質皮膜が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特許第3027502号公報
【特許文献2】特開2003−321764号公報
【特許文献3】特開2004−169076号公報
【特許文献4】特開2005−199420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明の課題は、(AlCr)N系皮膜又は(AlCrSi)N系皮膜よりも高硬度で耐酸化性に優れ、同時に熱応力が作用する環境下においても安定して優れた耐摩耗性及び密着強度を発揮し、高温における強度・靱性を高めた硬質皮膜又は該硬質皮膜を被覆した被覆工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、基材表面に被覆する硬質皮膜であって、該硬質皮膜の少なくとも1層は、(Al1−x−y−zNbCrSi)の窒化物、炭化物、硼化物、酸化物、硫化物から選択される1種以上もしくはこれらの固溶体からなり、但し、x、y、zは夫々原子比率を示し、0.04<x<0.40、0.06<y<0.40、0≦z<0.20、0.10<x+y+z<0.50、を満足することを特徴とする硬質皮膜である。上記の構成を採用することにより、高硬度で耐酸化性に優れ、また同時に熱応力が作用する環境下においても安定して優れた耐摩耗性及び密着強度を発揮する硬質皮膜を提供することできる。本願発明の硬質皮膜は総膜厚に対して、10%以上、99%未満からなり、残部が、(SiMe1−u)の窒化物、炭化物、硼化物、酸化物、硫化物から選択される1種以上もしくはこれらの固溶体からなり、但し、MeはCr、Ti、Al、Nb、Yから選択される1種以上、uは原子比率を示し、0.04<u<0.80、を満足する硬質皮膜であることが好ましい。また、該硬質皮膜を工具等へ被覆することにより優れた耐摩耗性を発揮するため、好適である。
【発明の効果】
【0006】
本願発明の硬質皮膜は、高硬度で耐酸化性に優れ、同時に硬度、ヤング率並びに皮膜内に残留する圧縮応力等に代表される皮膜強度が高く、熱応力が作用する環境下においても皮膜剥離を抑制し、安定して優れた耐摩耗性を発揮し、高温における強度・靱性を高めた硬質皮膜又はこれら硬質皮膜を被覆した被覆工具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本願発明の硬質皮膜は、(AlCr)N系及び/又は(AlCrSi)N系皮膜のAl及び/又はSi含有量が多い組成範囲を対象にして、皮膜強度向上に関する検討を行った。その結果、(AlCr)N系及び/又は(AlCrSi)N系皮膜へNbを最適量添加し、組成を最適化することによって、皮膜の密着強度並びに耐酸化性を改善できることを見出し、本願発明を完成させた。以下、本願発明の(AlNbCrSi)系皮膜を、Al必須硬質皮膜と記す。Al必須硬質皮膜におけるNb添加効果は、ZnS型のAlNの析出を抑制することができる。また皮膜硬度及びヤング率を向上させることが可能となり、優れた密着強度が得られる。また、Al及びSi含有量を向上させることができるため、耐酸化性に関しても良好となる。Nb添加は、酸化後に皮膜表面に形成される表面酸化物が、従来の(AlCr)N系及び/又は(AlCrSi)N系皮膜よりも微細構造を示し、酸素の内向拡散を抑制することができる。更に、Nbは融点が1000度以上と高く、密度が小さく、高温における強度と靭性とのバランスに優れている。即ち、Nbは他の高融点金属と広い濃度領域で固溶体、化合物相をもつことができるため、これらの固溶体、化合物相とを複合化させることで高温強度と靭性に優れた特性を有することができる。例えば、析出強化型のNb基合金材料のNb−Si等や、金属間化合物のNb−Al系等、この他にも固溶強化型Nb基合金材料等のNb系耐熱材料を硬質皮膜に存在させることが好適である。また、窒化Nbも高温域で安定な材料として硬質皮膜に存在させることが好適である。窒化Nbには、種々の元素比を有する材料が存在し、NbN,Nb,NbN等がある。この中でもNbNは高温環境における安定性が優れている。この理由は、NbとNの原子間の結合力が高いことによるものと考えられ、高温強度と靭性に優れた特性に影響を及ぼす。Al必須硬質皮膜におけるNb含有量であるx値は、原子比率で、0.04<x<0.40とする。x値が0.04以下の場合、ヤング率が小さく添加効果が確認されず耐摩耗性の改善には至らなかった。x値が0.40以上の場合、硬度と耐熱性改善には至らなかった。好ましいx値は、0.05以上、0.25未満である。Cr含有量であるy値は、0.06<y<0.40とする。y値が0.06以下の場合、皮膜硬度が低く耐摩耗性に乏しい。y値が、0.40以上の場合、ヤング率即ち皮膜強度が低く、耐剥離性に乏しい。Crの一部を、Mo、Wで置換しても良い。Si含有量であるz値は、0≦z<0.20とする。Si添加は皮膜の高硬度化並びに耐酸化性の改善の観点から、含有することが好ましい。しかし、z値が0.20以上の場合、耐酸化性を示すものの、皮膜硬度並びにヤング率が低く耐摩耗性が十分ではない。Al含有量は(1−x−y−z)値で表す。この時の(x+y+z)値の範囲は、0.10<x+y+z<0.50とする。従って、Al含有量は、0.50以上、0.90以下である。Al含有量が0.50未満の場合、皮膜硬度及び耐酸化性が十分ではない。またAl含有量が0.90を超える場合、皮膜硬度が低く耐摩耗性に乏しい。好ましいAl含有量としては、皮膜硬度と耐酸化性の観点から0.55以上、0.75未満である。Al必須硬質皮膜は、Al及びSiの含有量のバランスから基材の直上に被覆する場合は、FCC単一相から構成されることが好ましい。またFCC、HCP相の混合相もしくは非晶質相を含む場合も優れた耐酸化特性を示し、耐熱性が要求される部材等への被覆においてもその効果を発揮する。FCC単一相の場合は、X線回折において(111)面若しくは(200)面に最大強度を示す場合が好適である。また、原子比率で、Al、Nb、Cr、Siの総含有量に対して、1乃至2原子%のYを含む場合、優れた耐酸化性及び皮膜強度を示すことから好ましい。
【0008】
Al必須硬質皮膜は、単一層又は上記組成範囲における積層膜において優れた耐摩耗性を示す。その他、優れた特性を有する機能皮膜との積層をすることも可能であり、好ましい形態である。Al必須硬質皮膜と積層する、優れた特性を有する機能皮膜は、(SiMe1−u)の窒化物、炭化物、硼化物、酸化物、硫化物から選択される1種以上もしくはこれらの固溶体からなり、但し、MeはCr、Ti、Al、Nb、Yから選択される1種以上、uは原子比率を示し、0.04<u<0.80、を満足する機能皮膜である。この機能皮膜は、本願発明の硬質皮膜よりも、高硬度及び若しくは耐酸化性に優れた硬質皮膜である。以下、この機能皮膜をSi必須硬質皮膜と記す。
Al必須硬質皮膜とSi必須硬質皮膜とは特に優れた密着強度を有するため、その相互作用により優れた耐摩耗性を発揮する。Si含有量であるu値は、0.04<u<0.80、とする。u値が0.04以下の場合は、単一層の場合に比べ、耐摩耗性を改善するには至らない。またu値が0.8以上の場合は、皮膜硬度の低下が著しく、機能皮膜としてその効果が顕著に確認できない。Al必須硬質皮膜とSi必須硬質皮膜とを積層する場合の最適な積層構造は、硬質皮膜の総膜厚に対して、Al必須硬質皮膜の占める割合が10%以上、99%未満である。この範囲であれば、積層する効果が顕著になり優れた耐摩耗性を発揮することができる。Al必須硬質皮膜の占める割合が60%以上、99%未満の場合、残留圧縮応力が比較的低く耐チッピング性を重視した切削工具の中でも、特に多刃エンドミル、汎用エンドミル、ドリル、インサート工具に最適である。Al必須硬質皮膜の占める割合が10%以上、60%未満の場合、残留圧縮応力が比較的高く、耐クラック性を重視した切削工具の中でも、特にボールエンドミルに最適である。硬質皮膜の総膜厚に対して、Al必須硬質皮膜が占める割合が10%以上、99%未満とは、2層以上積層することが可能であり、上記範囲の中で積層することも本発明に含まれる。具体的には、2層以上、3000層未満の積層構造が、耐摩耗性の観点から好ましい範囲である。
Si必須硬質皮膜は、高い皮膜硬度並びに残留圧縮応力を有する場合、硬質皮膜の最表層に被覆されることが好ましい積層構造である。また、Si必須硬質皮膜以外にも、例えば密着強化層として、TiN、CrN、(TiAl)N、(AlCr)N等、また摩擦を低減するために硬質皮膜の表層に硬質炭素膜等を被覆する場合等は、本発明の効果を損なわない範囲であれば本発明の効果が確認され、使用分野に応じて適宜変更を施すことができる。
本発明の硬質皮膜は、特に耐熱性に優れ、耐摩耗性に優れることから切削工具へ被覆するとにより、その効果が顕著に確認できる。本願発明の硬質皮膜の被覆方法に関しては、特に限定するものではないが物理蒸着法による被覆が好ましい。物理蒸着法の中でも特にアーク放電式イオンプレーティング(以下、AIPと記す。)法、スパッタリング(以下、SPと記す。)法が好適である。以下、本願発明を実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0009】
本願発明の硬質皮膜をAIP法により被覆した。硬質皮膜の皮膜硬度、ヤング率及び耐酸化性を評価するために、SNGA432形状、Co含有量が10重量%の超微粒子超硬合金製テストピース、切削工具として、Co、V含有量が合計8重量%の超微粒子超硬合金製2枚刃ボールエンドミルを基材とした。脱脂洗浄を十分に実施し、AIP装置の容器内の冶具に配置した。冶具は3回転/分で自公転する。被覆基材温度が500℃となるよう加熱及び排気を行い、Arを容器内に導入した。容器内に設けられた電極間で放電することによりArのイオン化を行い、同時に基材にパルス状のバイアス電圧を印加した。イオン化されたArが基材に衝突することにより基材のクリーニング及び活性化処理を行った。処理後、反応ガスである窒素を容器内に導入し、全体の圧力を3.2Pa、バイアス電圧−80Vを印加することによって硬質皮膜を被覆した。容器内に複数配置したアーク蒸発源に設置された硬質皮膜の金属成分となるターゲットに硬質皮膜の金属成分となる合金ターゲットを設置し、夫々150Aを供給し、ターゲット上で放電を開始し、硬質皮膜を約3μm被覆した。被覆後、基材の温度が200℃以下になるまで冷却し、容器から取り出した。硬質皮膜の組成を表1に示す。夫々組成の異なる従来例、比較例に関しても表1に併記する。表1中には、Al必須硬質皮膜の組成、Si必須硬質皮膜との層構造の詳細について併記する。
【0010】
【表1】

【0011】
図1には表1に示した、本発明例1、2、3、比較例17、18、従来例20、21、22に対して皮膜硬度、ヤング率を測定した結果を示す。測定はナノインデンテーションによる硬度測定法を用いた。詳細は、以下の文献による方法を参照した(W. C. Oliver and、 G. M. Pharr: J. Mater. Res.,Vol.7,No.6,June 1992、1564−1583)。硬質皮膜を被覆したSNGA432形状の試料の逃げ面を斜め5度方向に鏡面研摩した面において、最大押込み深さの10倍以上の膜厚を有する場所を選定し、押込み荷重を49mN、最大荷重保持時間を1秒、荷重負荷、除去速度を0.49mN/秒の測定条件で10点測定した。これらの測定は圧子形状の僅かな変化により、測定結果が左右される場合があるため、従来例20の(TiAl)Nを基準試料として測定し、得られた数値を補正することが好ましい。
図1より、本発明例1、2、3は、比較例17、18、従来例21、22に対して、押し込み硬さ、ヤング率が伴に高い値を示した。一方、従来例20に対して、従来例21、従来例22は高硬度を示すものの、ヤング率が低く、基材との密着強度に乏しかった。比較例17、比較例18は、何れも皮膜硬度が従来例20に対して低い結果となった。
【0012】
本発明例1、2、従来例20、21に対して高温環境下における耐酸化性能を、大気中1100℃で各々0.2、0.5、1、3、9時間保持した後、硬質皮膜表面を走査電子顕微鏡(以下、SEMと記す。)にて酸化物の形態を観察した。評価後の試料に関しX線回折(以下、XRDと記す。)を行い、硬質皮膜、超硬基材の酸化について確認した。図2に、超硬合金基材を900℃で30分保持した場合と無処理の状態のXRD結果を示す。同様に、図3、図4に、従来例20、図5、図6に従来例21の結果を示す。
図2〜図6より、上記酸化環境化において超硬合金基材は複雑な複数の酸化物を形成していることが確認される。即ち、これらの酸化物が形成される場合、硬質皮膜の耐酸化性が乏しいことを示す。従来例20の表面は硬質皮膜がほぼ消滅しており、酸化した超硬合金基材が剥き出しになっていた。従来例21は、1時間保持後、巨大な酸化物が硬質皮膜表面に形成され、図6から、超硬合金の基材表面には硬質皮膜はほぼ消滅しており、酸化した超硬合金基材であると考えられる複数のピークが確認された。
図7に本発明例1の9時間保持後のSEM像を示し、図8にXRD結果を示す。図9に本発明例2の9時間保持後のSEM像を示し、図10にXRD結果を示す。
図7、図8より、本発明例1は9時間保持後、硬質皮膜表面に酸化物を形成した。図9、図10より、Nb及びSiを添加した本発明例2は9時間保持後も硬質皮膜表面は微細な表面構造をしており、大幅に酸化特性が改善された。
これらの結果から(AlCr)N系皮膜にNb又はNbとSiを添加することにより、高温環境下における耐酸化性が大幅に改善されることがわかった。これらは何れもAl含有量一定化で評価した結果であることから、Nb又はNbとSi添加による効果である。
【0013】
切削試験を以下に示す。切削工具の逃げ面摩耗幅が0.1mmに達した切削長又は著しく不安定な加工状態、例えば火花発生、異音、加工面のむしれ、焼け等などの状態に達した時点における切削長を切削寿命として表1中に示した。10m未満の切削寿命は切り捨てて表記した。
(切削条件)
工具:2枚刃ボールエンドミル(半径5mmR)
切削方法:高速仕上げ加工
被削材:マルテンサイト系ステンレス鋼(HRC52)
切り込み:軸方向、1.0mm、径方向、0.2mm
主軸回転数:20kmin−1
テーブル送り:4m/min
切削油:無し、ドライ切削(エアーブロー)
【0014】
表より、切削工具における耐摩耗性の評価結果、本発明例は、従来例、比較例に比べ、耐摩耗性に優れる結果となった。本発明例1から3は、耐摩耗評価においても剥離が著しく抑制され、従来例21、22に対して飛躍的に切削寿命を向上させることができた。Nbを添加することにより、ヤング率の低下を抑制でき、密着強度を大幅に改善することによるものである。本発明例1、6から11は、(AlCrNb)N系の場合を示す。何れの組成においても、従来例、比較例に対して耐摩耗性に優れる結果となった。これらの結果より耐摩耗性の観点から、硬質皮膜内のNbとCr含有量としてはNb含有量よりもCr含有量が多いほうが好ましく、Al含有量としては、0.55を超え、0.80未満がより好ましい結果であった。本発明例2から5は、(AlCrNbSi)N系の場合を示す。Siを添加することにより更に耐摩耗性を改善することができた。(AlCrSiNb)N系は、Nbに対してCr含有量が多いことが好ましく、AlとSiとの総含有量は、0.80未満が耐摩耗性の観点から好ましい結果である。AlとSiとの総含有量は、0.70が最も優れた耐摩耗性を示した。本発明例12から16は、(AlCrNb)N系皮膜と(TiSi)N系皮膜の積層構造とした場合を示す。(TiSi)N系皮膜との積層構造とすることにより更に優れた耐摩耗性を示すことが確認された。本発明例12、13から、(AlCrNb)N系皮膜の膜厚比の小さいほうが、より優れた耐摩耗性を示した。しかし、ドリルやスクエアエンドミルにおいては逆に(AlCrNb)N系皮膜の膜厚比を大きくした方が耐摩耗性に優れる結果が得られている。このときの最適な膜厚比は、80%のときに最も優れた耐摩耗性を示した。積層数及び積層厚さとしては、すべての試料に関し膜厚を3μm前後に固定していることから、積層数を増加させることにより更に耐摩耗性を改善できた。積層する厚さは薄い方が好ましい結果となった。以上のように本発明の硬質皮膜は従来例に比べ、極めて優れた耐摩耗性を示し、同一摩耗条件下において耐摩耗性に優れていることから、更に切削能率を向上させて加工することができた。従来例21、従来例22は高硬度を示すものの、基材との密着強度に乏しく、剥離進行型の摩耗形態を示した。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、皮膜硬度とヤング率との測定結果を示す。
【図2】図2は、超硬合金基材の熱処理前後のXRD結果を示す。
【図3】図3は、従来例20の0.2時間保持後のSEM観察結果を示す。
【図4】図4は、従来例20の所定時間保持後のXRD結果を示す。
【図5】図5は、従来例21の1時間保持後のSEM観察結果を示す。
【図6】図6は、従来例21の所定時間保持後のXRD結果を示す。
【図7】図7は、本発明例1の9時間保持後のSEM観察結果を示す。
【図8】図8は、本発明例1の所定時間保持後のXRD結果を示す。
【図9】図9は、本発明例2の9時間保持後のSEM観察結果を示す。
【図10】図10は、本発明例2の所定時間保持後のXRD結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材表面に被覆する硬質皮膜であって、該硬質皮膜の少なくとも1層は、(Al1−x−y−zNbCrSi)の窒化物、炭化物、硼化物、酸化物、硫化物から選択される1種以上もしくはこれらの固溶体からなり、但し、x、y、zは夫々原子比率を示し、0.04<x<0.40、0.06<y<0.40、0≦z<0.20、0.10<x+y+z<0.50、を満足することを特徴とする硬質皮膜。
【請求項2】
請求項1記載の硬質皮膜において、該硬質皮膜は総膜厚に対して、10%以上、99%未満を有し、残部が、(SiMe1−u)の窒化物、炭化物、硼化物、酸化物、硫化物から選択される1種以上もしくはこれらの固溶体からなり、但し、Meは、Cr、Ti、Al、Nb、Yから選択される1種以上、uは原子比率を示し、0.04<u<0.80、を満足することを特徴とする硬質皮膜。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の硬質皮膜を被覆したことを特徴とする硬質皮膜被覆工具。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−119795(P2007−119795A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309223(P2005−309223)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000233066)日立ツール株式会社 (299)
【Fターム(参考)】