説明

磁場の適用によるチェンバー中の粒子分散

本発明は、チェンバーにおける少量の液体中の複数の常磁性粒子をクラスタリングして、分散する方法に関するものであり、前記チェンバーは、第一の壁と、反対側の第二の壁を有し、前記方法は、a)前記複数の常磁性粒子を含む液体を提供するステップと、b)相互に間隔が空けられた第一および第二の正反対の磁極を備え、磁極の間に伸びる第一磁極軸を定める第一磁場発生手段を用いて、前記常磁性粒子を第一磁場にさらすステップであって、前記第一磁極軸(a1)は、前記第一の壁に対して89度未満、望ましくは60度未満の角度(v1)を形成するように、前記磁場発生手段が前記第一の壁に対して配置される、前記常磁性粒子を第一磁場にさらすステップと、c)前記第一磁極軸の方向への移動成分を有する第一移動方向に、前記磁場を移動するステップ、または、代わりに、1回以上、前記磁場の極性を変えるステップと、d)前記磁場を取り去るステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少量の液体における複数の常磁性粒子(paramagnetic particles)を、クラスタリングして、均一的に分散するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
縮小した体積のマイクロ流体システムの使用と、分析の用途のために磁性または常磁性粒子を含むことは周知であり、磁性または常磁性の超微粒子と微粒子は、いくつかの技術的な研究分野において、注目の話題になってきている。機能性超微粒子および機能性微粒子(‘ビーズ(beads)’)は、化学結合のために大きな比表面積を提供し、高分子コロイドまたは微小球溶液(microsphere solution)は、それに特別な特性を与えることで、同じ量の固体を含む溶液に比べて低い粘性を有する。それゆえに、そのような小さい粒子は、生物検定(bio-assay)向けの‘移動性基質(mobile substrate)’として都合よく利用することができる。しかしながら、磁性ビーズの最も顕著な利点の1つは、粒子が磁気的に深く究明され、標準的な化学的または生物学的過程とは独立して、永久磁石または電磁石を用いて操ることができるというところにある。
【0003】
いくつかの古典的な用途、例えば、磁気分離(magnetic separation)は、小型化された流動性または‘ラボチップ(lab-on-a-chip)’システムへの用途がすでに発見されている。当該システムは、試料や試薬の消費を強力に制限する。そのようなシステムにおいて、磁性ビーズは、大きな比表面積で、化学的活性基質(chemically active substrate)を効果的に提供する。磁性ビーズの小型化応用の急発展の分野は、将来の発展に向けて、多くの刺激的な可能性を提供する。それは、非常に多くの専門分野にわたり、磁性ビーズの用意に関係する無機化学からの寄与、それらの機能化を許すように、生化学や医学を経由した寄与、もちろん、磁性の基礎物理や磁性材料の寄与を要求する。生物検定において、大半の重要な機能は、磁性ビーズを用いて実現できる。例えば、試料浄化(sample purification)、試料に固体基質を与えること、混合、ラベル付け、操作および輸送、最終的に、分離である。
【0004】
ラベルまたは捕捉分子で表面が覆われた磁性または常磁性ビーズは、バイオマーカーや生体分子の検出のために幅広く利用され、検定に基づく磁性粒子は、現代の化学的かつ生物学的な診断法において標準になってきている。生体分子の検出は、目標分子と、ラベルで標識を付けられた特異受容体(例えば、抗体)との間で、生体分子認識を用いて一般に成し遂げられる。ラベルは、例えば、放射性同位体、酵素、蛍光性分子、または、荷電分子、または、それらの任意の組合せであるかもしれない。さらに、近年、磁性ビーズは、バイオセンシングためのラベルとして用いられている。
【0005】
これらの磁性ビーズや常磁性ビーズは、磁場を発生させる手段を用いて操られる。常磁性材料を含む液体に対して(極性に関して)、磁場の位置調整は、伝統的に、磁場の磁極は、粒子を含む液体と、ちょうど垂直に配置されるようにする。言い換えれば、当該分野において周知の磁気装置は、常磁性粒子が、相互に間隔が空けられた第一および第二の正反対の磁極を備える磁場発生手段によって、磁場にさらされるように、第一と第二の正反対の磁極を有する磁場を発生させる。それらの磁極は、磁極の間に伸びる磁極軸(pole axis )を定め、磁場発生手段は、磁極軸が液体と90度の角度を形成するように、液体に対して配置される。先行技術の装置の例は、図5Aに示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第2004/0265903号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、常磁性または磁性ビーズを含む少量の溶液は、従来の操作技術を用いて、磁気操作の影響を受けるとき、比較検定の間で不十分な検出限界や重要な標準偏差が、驚くほど観測されている。これは、不十分に高いCV値(検出平均/標準偏差)を結果として生じ、その結果、これまでの常磁性ビーズ技術を用いる小容量の検出装置は、信頼できる検知器具として広く認可されてはいない。
【0008】
本発明者は、観測された不十分に高いCV値(検出平均/標準偏差)の原因を見つけるという目標を定めた。これらの調査を通じて、先行技術に従う流体環境において磁性粒子の操作は、いくつかの物理的制約条件を結果として生じた。磁場に絶えずさらされる粒子は、くっついたり、塊になったりすることが観測され、それによって、それらの主な利点のいくつかが失われる。例えば、周囲の生化学液体と接触している粒子の活性表面/表面加工された表面は、劇的に縮小され、検定機能がひどく損なわれる。さらに、粒子の凝集塊(agglomerate)の間に捕捉された検体種(analyte species)は、(粒子が、他の粒子からの信号を遮蔽する)検定検出手段(assay detection means)に適切に応答できず、それは、さらに信号対雑音比を減少させる。目標検体に結合されていない磁性粒子または常磁性粒子は、検出手段の適用に先立って捨てられる、ある応用において、いくつかの結びつけられていない磁性粒子または常磁性粒子は、凝集塊に閉じ込められ、除去することができない。これらの望まない影響は、バックグラウンド信号を激増させ、信号に基づく検体を減少させる。その結果として、不十分な再現性や信頼性が観測される。
【0009】
よって、少量の試料における、検体の存在や濃度を検出する際に、感度を高め、標準偏差を小さくすることができる、改善された方法や装置に対する、当該分野における要求が存在する。
【0010】
それゆえに、本件発明の1つの目的は、少量の試料において、検体の存在や濃度を検出する際に、感度を高めて標準偏差を小さくすることができる、改善された方法および装置を提供することである。
【0011】
米国特許出願第2004/0265903号は、液体中に浮遊する磁性粒子を分離するためのシステムに関するものである。当該システムは、磁石の軸が環の平面に対して垂直に向けられるように配置される、少なくとも2つの磁石を含む環状材料を含む。最初に、懸濁した磁性粒子を含む反応容器(reaction vessel)は、環状磁石の配列に導入される。磁場のために、粒子は容器の内壁に堆積する。浮遊物は、取り除かれ、数回、洗浄液に置き換えられる。結局、容器と磁気装置(magnetic arrangement)は分離されて、堆積した粒子のかたまりは、容器を動かすか、液体を入れることで再浮遊する。このアプローチの1つの障害は、磁場が取り除かれた後、粒子が容器の壁に付着するということである。それゆえに、付加的な再浮遊ステップは、液体中の粒子の所望の分散を達成するために必要である。これは、マイクロ流体装置(microfluidic arrangement)において、この方法の使用を複雑にする。また、方法は、互いに上に配置される少なくとも2つの環状磁石も必要とし、それは、システムのコストや複雑さを増加させる。さらに、米国特許出願第2004/0265903号における磁気装置の配列は、磁場発生手段が磁性粒子を含む液体を取り囲むほどである。磁場発生手段のそのような配列は、本件発明によると、マイクロ流体システムにおける応用に適していない。
【0012】
それゆえに、クラスタリングして、その後、多数の常磁性粒子を分散するための簡単な方法を提供することは本件発明の別の目的であり、当該方法はマイクロ流体装置に容易に適用できる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
意外にも、本発明の課題は、磁極が粒子を含む液体と垂直となる状態から、磁極が粒子を含む液体に対してほぼ平行になる状態に、試料に適用される磁場の方向を簡単に変更することによって解決された。常磁性粒子に関して、磁場の磁極の位置調整は、何らかの重要性があるとは今まで考えられさえしていない。
【0014】
したがって、本発明は、チェンバーにおける少量の液体中の複数の常磁性粒子をクラスタリングして、その後、分散するための方法に関連するものであり、前記チェンバーは、第一の壁と、反対の位置にある第二の壁を有し、前記方法は、
a)前記複数の常磁性粒子を含む液体を提供するステップと、
b)相互に間隔が空けられた第一および第二の正反対の磁極を備え、磁極の間に伸びる第一磁極軸を定める第一磁場発生手段を用いて、前記常磁性粒子を第一磁場にさらすステップであって、前記第一磁極軸(a1)は、前記第一の壁に対して89度未満、望ましくは60度未満の角度(v1)を形成するように、前記磁場発生手段が前記第一の壁に対して配置される、前記常磁性粒子を第一磁場にさらすステップと、
c)前記第一磁極軸の方向への移動成分を有する第一移動方向に、前記磁場を移動するステップ、または、代わりに、1回以上、前記磁場の極性を変えるステップと、
d)前記磁場を取り去るステップと
を含む。
【0015】
さらに、本発明は、チェンバーにおける複数の常磁性粒子をクラスタリングして、その後、分散するためのシステムに関するものであり、前記システムは、チェンバー装置と磁気装置を含み、
前記チェンバー装置は、前記複数の常磁性粒子を受け入れて収容するために配置されるチェンバーを定める第一の壁と反対の位置にある第二の壁を含み、
前記磁気装置は、a)前記チェンバー装置を受け取るための受け取り手段を含み、相互に間隔が空けられた第一および第二の正反対の磁極を有する第一磁場を発生させて、磁極の間に伸びる第一磁極軸(a1)を定めるための第一磁場発生手段を含み、前記第一磁場発生手段は、前記チェンバーにおける常磁性粒子が前記磁場にさらされるように、そして、前記第一磁極軸(a1)が、前記受け取り手段で受け取られた前記チェンバー装置の前記第一の壁に対して、60度より小さい角度(v1)を形成するように、前記受け取り手段で受け取られた前記チェンバー装置の前記第一の壁に対して配置され、さらに、前記磁場を変えるための手段を含む。
【0016】
さらに、本発明は、200マイクロリットル未満の液体からなる試料において、標的検体(target analyte)の有無の検出のための方法に関するものであり、当該方法は、
(a)検体と、前記検体を固めて、固定することのできる、複数の常磁性粒子とを含む液体を提供するステップと、
(b)相互に間隔が空けられた第一および第二の正反対の磁極を備え、磁極間に伸びる第一磁極軸を定める第一磁場発生手段を用いて、固定された検体を含む前記常磁性粒子を第一磁場にさらすステップであって、前記磁場発生手段は、前記第一磁極軸(a1)が、第一の壁に対して、60度未満の角度(v1)を形成するように、前記第一の壁に対して配置される、前記常磁性粒子を第一次間にさらすステップと、
(c)前記第一磁極軸の方向への移動成分を有する第一移動方向に、前記磁場を移動するステップ、または、代わりに、1回以上、磁場の極性を逆にするステップと、
(d)オプションとして、常磁性粒子を、洗浄および/または検出液を含む、独立したチェンバーに移動するステップ、または、代わりに、洗浄および/または検出液で、チェンバー中の残留液を取り替えるステップと、
(e)前記磁場を取り除くステップと、
(f)前記検体を検出するステップと
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明によるシステムのチェンバー装置の実施形態の透視図を開示する。図示するためカバーは取り除かれている。
【図2】図2は、図1に示されるように、チェンバー装置の図式的な説明である。
【図3】図3は、チェンバー装置のチェンバーの拡大構造断面図である。
【図4】図4は、本発明によるシステムの実施形態の概略図である。
【図5】図5は、先行技術の主要原理と比較した、本発明の主要原理の図式的な解説図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1および図2に示したチェンバー装置は、第一部分(3)と第二部分(5,6)を備えるマイクロ流体チャネルを含む。第一部分(3)は、毛細管チャネル(capillary channel)として形成されたチェンバーであり、本発明に従って方法を実行するときに、磁場にさらされるチェンバーである。しかしながら、第二部分(5,6)も、磁場にさらされるかもしれない。常磁性粒子は、液体の導入に先立って第一部分に存在し、液体とともに導入することができる。
【0019】
さらに、チェンバー装置は、毛細管チャネルに検体(例えば、血液)を含む液体を注入するための注入ゾーン(1)と分離チェンバー(2)とを含む。ただし、液体は、濃縮水と検体を含む液体とに分離される。分離チェンバー(2)は、毛細管チャネル(3)に接続される。この特定の実施形態においては、フィルタと物理的障壁(10)を経由し、当該障壁は、ステップ(10a)または傾斜路/スロープ(10b)として形成することができる。
【0020】
収集チェンバー(4a)は、毛細管チャネル(3)とマイクロ流体チャネルの第二部分との間に形成される。第二部分は、常磁性粒子がチェンバー(3)における検体に結びついた後に、その中で常磁性粒子を洗浄する洗浄チェンバー(5)と、検出が検出ウィンドウ(14)を介してその中で行われる検出チェンバー(6)とを含む。本発明の方法は、粒子の凝集を避けるために、マイクロ流体システムのこれらの部分において用いることができる。洗浄および検出溶液は、マイクロ流体チャネルの第二部分(5,6)に供給することができる。
【0021】
図3に示すように、毛細管チャネル(3)は、第一の壁(12)と、反対の位置にある第二の壁(13)とによって定められ、毛細管チャネルは、複数の常磁性粒子(7)を含む。
【0022】
図4を参照すると、クラスタリングして、その後、多数の常磁性粒子を分散するため発明によるシステムは、前述したチェンバー装置(9)と磁気装置(15)を含む。
【0023】
磁気装置(15)は、チェンバー装置(9)を受け取り、スライド(17)における凹部(16)によって形成される受け取り手段を含み、凹部(16)は、チェンバー装置(9)に、本質的に一致する輪郭を有する。チェンバー装置(9)は、凹部(16)の底部に面する第二の壁(13)を用いて、凹部に配置される。
【0024】
図4に示されるように、スライド(17)は、スピンドル/ナット機構(18)を用いて、チェンバー装置のマイクロ流体チャネル(3,5,6)の長軸方向と平行で、水平に移動可能である。スピンドル/ナット機構(18)は、相互に間隔が空けられた2つの支持部(19)を含み、図示されていないガイドと、スライド(17)に結合されたナット(20)を用いて、長軸方向にスライドを支持して導いている。スピンドル(21)は、支持部(19)における軸受(19)を通り、ナット(20)を通って、伸びている。スピンドル(21)は、矢印(M)を用いて示されるように、第一方向およびその反対方向に、水平にスライド(17)を移動させるためのモーター(22)を用いて、回転するように駆動させることができる。
【0025】
後ほど説明するように、スピンドル/ナット機構は、第一磁場を変化させるための手段を提供する。
【0026】
磁気装置は、さらに、第一磁場発生手段を含む。示された実施形態では、当該手段は、第一磁極軸(P1)を定める、間隔が空けられた第一および第二の正反対の磁極N1およびS1を備える第一永久磁石(23)によって形成される。
【0027】
磁石(23)は、スライド(17)に対して、定位置を有し、スライド(17)の凹部(16)に、受け入れられたチェンバー装置(9)と連携するように配置される。少なくとも、毛細管チャネル(3)に含まれる常磁性粒子(7)は、使用時に、第一磁石(23)の磁場にさらされる。示された実施形態において、第一磁極軸は、チェンバー装置(9)のマイクロ流体チャネルの長軸方向に実質的に平行である。磁極軸または磁場の移動は、器具の機能のために、毛細管チャネルと平行である必要はない。しかしながら、磁場は、チェンバー装置(9)のマイクロ流体チャネルの長軸方向に、毛細管チャネルに含まれた常磁性粒子を、移動することができる。
【0028】
磁場を変化させる手段は、磁場を除去するための手段として用いることもできる。磁場の急激な動きは、粒子によって追従されないので、そのときは、重力によって第一の壁に、粒子が落ちるであろう。あるいは、磁場の除去は、電磁石の場合では、電源をオフすることによって行うことができる。
【0029】
図4に示されるように、磁気装置(15)は、第二磁場発生手段を含み、示された実施形態において、当該手段は、第二磁極軸P2を定める、間隔が空けられた第一および第二の正反対の磁極N2およびS2を備える第二永久磁石(24)によって形成される。
【0030】
示された実施形態において、第二磁石(24)は、第二磁極軸がチェンバー装置のマイクロ流体チャネルの長軸方向に垂直となるように配置され、これにより、使用時に、毛細管チャネルに含まれる常磁性粒子(7)が、第二磁石の磁場にさらされる。
【0031】
好ましくは、1つの磁石(23,24)のみが一度に機能する。別の実施形態では、第一磁石(23)が使用された場合、磁気的なけん引力は、第二磁石(24)よりも、強いことが望ましい。磁石(24)は、磁石(23)のように、すなわち、本発明に従って向きをつけた磁極と同じ方向に、配置することもできる。
【0032】
図5を参照すると、この図は、従来技術の状況と比べて、チェンバー装置の第一の壁と、ほぼ平行な磁場の磁極軸(26)を有する、本発明(B)の原理を説明するただし、磁場の磁極軸は。チェンバー装置(A)の第一の壁と、ほぼ垂直である。
【0033】
磁場発生手段(25)は、磁極間に伸びた第一磁極軸(26)を定める、第一(N)および第二(S)の相互に間隔があけられた正反対の磁極を備える。当該磁場発生手段は、第一磁極軸(a1)が、第一の壁(12)に対して60度未満の角度(v1)を形成するように、第一の壁に対して配置される。(13)は、反対に位置する第二の壁(13)および複数の常磁性粒子(7)を図示する。
【0034】
磁場が、磁場発生手段を経由して、前記チャネルの少なくとも一部に適用される場合、常磁性粒子は、チェンバーの第一の内部表面に引きつけられ、それによって粒子のかたまりが形成される。チェンバーに対して、長軸方向(矢印によって示される方向)に、磁場発生手段を移動させるとき、(A)における粒子のかたまりは、磁気極性を変えずに、粒子の列/かたまりとして解放される。理論によって束縛されることを望まないで、(B)では、粒子は、磁気極性を変えて、より小さなかたまり、および/または、個々の粒子として解放され、重力によって第二の壁(13)上に均一に分散される。少なくとも実践では、B)において、例1で得られた結果から明らかなように、粒子が小さなかたまりおよび/または個々の粒子として解放されることが証明されている。
定義(definition)
本発明との関連において、“常磁性粒子”は、外部印加磁場の存在下で、磁気を帯びるが、磁場にさらされる前では磁気を帯びない粒子を意味する。本発明による常磁性粒子は、例えば、受容体すなわち抗体でコーティングされることによって、対象となる特定検体種を拘束して、動けなくするようにできる。
【0035】
本発明との関連において、“均一に分散する”は、粒子のかたまりの中のほとんどの粒子が、第一に(好ましくは)、個々の粒子として解放されて、第二に、小さなかたまりにおいて、毛細管チャネルの所与の領域上に、ほぼ均一に分離するという分散を意味する。
【0036】
本発明との関連において、“毛細管チャネル”は、流体が通過することのできる細い管またはチャネルを意味する。好ましくは、本発明による毛細管チャネルの直径(または、幅)は、10mm未満である。より好ましくは、本発明による毛細管チャンネルの直径は、5mm未満である。例えば、4mm未満、3mm未満、2mm未満などである。最も好ましい実施形態では、毛細管チャネルは1mm以下の直径を備える。例えば、0.2から1.0mmである。また、チャネルは、非円形形状、例えば、長方形または三角形で形成することができる。その場合では、“直径”はチャネルの中央から外縁への平均距離を基準とする。
【0037】
本発明の目的は、少量液体試料における目標検体の有無を量的に検出するためのシステムおよび方法を開発することである。そして、とりわけ、少量の検体に対して、既存の検定の正確性と精度を改善し、目立たなくてはっきりしない信号を低減あるいは除去し、検体から生じる信号を増強する。
【0038】
驚いたことに、常磁性材料の移動方向に対する磁場の位置調整は、非常に重要であるが分かった。よって、磁場の磁極は、相互に間隔が空けられた第一および第二の磁極を備え、磁極間で第一磁極軸を定めるように磁場を整え、磁場発生手段は、常磁性粒子を含むチェンバーの第一の壁に対して配置されるように磁極間を定め、これにより、第一磁極軸(a1)が、容器の第一の壁に対して60度未満の角度(v1)を形成し、信号強度と雑音の低減に関して、重要な改善を提供することが分かった。さらに、磁場の発明機構は、かなり高い再現性のある検定を結果として生じることが分かった。
【0039】
本発明者らの発見したものは、熱運動が、スピンによって磁場なしにランダムに運動するようになるので、常磁性材料が、外部印加磁場がない場合に、何ら実質的な磁化を保持しないと一般に信じられているから、非常に驚くべきものである。それゆえに、総合的な磁化は、理論上、印加磁場を取り除いたときにゼロに落ちるだろう。さらに、常磁性材料は、キュリー定数に対する例外的に大きな値を除いて、キュリー型の法則(Curie type law)に従う。それゆえに、常磁性粒子が磁性を有しておらず、磁場がない場合に、かたまりにならないと一般的に信じられている。
【0040】
しかしながら、理論によって縛られることなく、本発明により解消された問題の原因は、磁場に置かれているときに、実際には、常磁性粒子が磁気モーメントを得ていると信じられている。当該磁気モーメントは、磁気双極子相互作用によって個々の粒子間で相互作用を起こすのに十分であり、この双極子相互作用は、磁場を除去することによって、簡単に取り除けない。この相互作用は、粒子を、より大きく、しばしば複雑な構造体や集塊にする、自発的なクラスタリングを誘発することができ、再度、減少した信号や、検定の再現性をもたらす。
【0041】
特別な集合体(constellation)において、マイクロ流体と磁性粒子の技術を組み合わせることによって、本発明者らは、臨界パラメータを満たすことは可能であり、同時に、相対的に小型の携帯器具(500グラム以下)において、集合体を適用して、200マイクロリットル未満の試料を分析することができる。
【0042】
従って、1つの実施形態において、発明は、チェンバーにおける少量の液体中の複数の常磁性粒子をクラスタリングし、それに続いて、分散するための方法に関しており、前記チェンバーは、第一の壁と、反対に位置する第二の壁を備え、前記方法は、次のステップを含む。
【0043】
当該方法は、
a)前記複数の常磁性粒子を含む液体を提供するステップと、
b)相互に間隔が空けられた第一および第二の正反対の磁極を備え、磁極間に伸びる第一磁極軸を定める第一磁場発生手段を用いて、前記常磁性粒子を第一磁場にさらすステップであって、前記第一磁極軸(a1)が前記第一の壁に対して60度未満の角度(v1)を形成するように、前記磁場発生手段が前記第一の壁に対して配置される、前記常磁性粒子を第一磁場にさらすステップと、
c)前記第一磁極軸の方向への移動成分を有する第一移動方向に、前記磁場を移動するステップ、または、代わりに、1回以上、前記磁場の極性を変えるステップと、
d)前記磁場を取り去るステップと
を含む。
【0044】
常磁性材料は、特定の検体を含む液体と接触しているとき、および、例えば、常磁性粒子の表面上にコーティングされた受容体すなわち抗体を用いて、その検体が常磁性粒子の表面上で固定されているとき、1つ以上の追加的な操作ステップは、しばしば必要とされる。それゆえに、少量の試料における常磁性粒子の操作は、しばしば、いくつかの処理ステップを要求する。例えば、試料注入、および、粒子と特定の検体を含む試料との接触の1つ以上のステップと、1つ以上の洗浄ステップと、検出目的で使用されるその他液体の1つ以上の注入ステップなどである。これら液体処理ステップのそれぞれの間中、粒子がかたまりにならないことが非常に好ましい。それによって、強度の低下と検定の再現性を結果として生じるかもしれない。
【0045】
したがって、本発明による1つの好ましい実施形態において、ステップa)とb)は、1回以上繰り返される。好ましくは、それに続く液体の注入は、本発明のステップを繰り返すことを結果として生じる。
【0046】
極軸方向に、1回以上の磁場の前後移動は、改善された結果を生じることがさらに観測された。従って、本発明による1つの好ましい実施形態では、前記方法は、ステップc)の後、ステップd)の前に、第一磁極軸(a1)の逆方向の移動成分を有する逆移動方向に、磁場を移動するステップc1)を含む。好ましくは、ステップc)とc1)は、1回以上繰り返される。一方、1回以上、磁場の極性を変更することは、必要な結果を与えることもできる。
【0047】
本発明による第一磁場の配置は、本発明の必須の実施形態であり、磁極軸と液体との間の角度(v1)は90度にできない。しかしながら、理論上、89度よりも小さい角度は、少なくとも常磁性粒子の凝集(agglomeration)の減少を得るのに十分であろう。しかしながら、実際には、60度よりも小さい角度が、先行技術よりも実質的に優れた効果を得るためには好ましい。それゆえに、1つの実施形態では、本発明は、上述されたような方法に関連し、第一磁場発生手段が、第一磁極軸と第一の壁の間の角度(v1)は、0度から60度の間になるように、第一の壁に対して配置される。
【0048】
1つの実施形態では、第一磁場発生手段は、第一磁極軸と第一の壁との間の角度(v1)が0度から50度の間になるように、第一の壁に対して配置される。
【0049】
1つの実施形態では、第一磁場発生手段は、第一磁極軸と第一の壁との間の角度(v1)が0度から40度の間になるように、第一の壁に対して配置される。
【0050】
1つの実施形態では、第一磁場発生手段は、第一磁極軸と第一の壁との間の角度(v1)が0度から20度の間になるように、第一の壁に対して配置される。
【0051】
1つの実施形態では、第一磁場発生手段は、第一磁極軸と第一の壁との間の角度(v1)が0度から10度の間になるように、第一の壁に対して配置される。
【0052】
1つの実施形態では、第一磁場発生手段は、第一磁極軸と第一の壁との間の角度(v1)が0度となるように、第一の壁に対して配置される。
【0053】
磁場発生手段は、永久磁石または電磁石であるかもしれない。磁場発生手段は、回転永久磁石、または、電磁石とすることができ、磁極は、使用中に切り換えることができ、磁場を移動させられる。
【0054】
磁場は、粒子を器具の第一の壁に沿って移動するように、動かさなければならない。あるいは、1回以上の磁場の極性の変化は、粒子の回転を起こすことができる。磁極軸または磁場の移動は、器具の機能のため、チェンバーに平行であることは必須ではない。しかしながら、磁場は、チェンバー装置のマイクロ流体チャネルの長軸方向に、毛細管チャネルに含まれる常磁性粒子を移動できなければならない。それゆえに、本発明による方法の好ましい実施形態では、第一移動方向は、基本的には、第一磁極軸a1)の方向である。さらに、移動が反転することは好ましい。それゆえに、本発明による方法の好ましい実施形態では、移動は反転され、逆移動方向は、基本的には、第一磁極軸a1)の反対方向である。
【0055】
好ましい実施形態では、第一磁場発生手段は、それらが第一の壁と反対側の第二の壁を取り囲まないように配置される。それによって、磁性粒子が、第一磁場発生手段からの印加磁力によって、第二の壁の上にかたまりになることを回避する。もし第二の壁上にかたまったら、ほんの少しの粒子の再分散が、磁力を取り除いた場合に生じる。それは、発生した信号の質と量を順に下げる。第一磁場発生手段の除去後の磁性粒子の再分散が、発生した信号の強さや信頼性を増加させることが分かった。第一の壁から第二の壁への磁性粒子の再分散は、1つの実施形態では、重力によって成し遂げられる。別の実施形態では、第二磁場発生手段が用いられる。これは、とりわけ、チェンバー全体を取り囲む、周知の環状磁石にかんがみると、本発明の方法の主要な利点となる。
【0056】
好ましい実施形態では、第一磁場発生手段は、磁性粒子が第一の壁に引き寄せられて、反対側の第二の壁から取り去られるように配置される。好ましい実施形態では、第一磁場発生手段は、それらが直接第一の壁に接し、直接第二の壁には接しないように配置される。
【0057】
本発明の特定の実施形態において、チェンバーは、例えば、国際公開第06/134546号に記載されたチェンバーとして形成され、複数の常磁性粒子を含むスペースと、磁場を発生するための磁場発生手段と、反対の磁場を発生させるための反対磁場発生手段とを含む。
【0058】
この特定の実施形態において、発明は、上述のステップd)の後に続くステップe)を含む方法に関連する。相互に間隔が空けられた第一および第二の正反対の磁極を備え、磁極の間に伸びる第二磁極軸a2)を定める第二磁場発生手段を用いて、前記常磁性粒子を第二磁場にさらすステップe)を含む。当該第二磁場発生手段は、第二の壁に常磁性粒子を引き寄せるために、第二の壁に対して配置される。第一および第二の磁場発生手段の組合せは、第一磁場を受けてクラスタリングされた後、粒子の再分散を促すために、都合よく用いられる。反対側にある第二の壁に粒子を引き寄せることで、前もってあつめられて、磁場が取り除かれたものの第一の壁に潜在的に引き寄せされた粒子は、それにより、第二磁場発生手段によって第一の壁から取り除くことができる。これは、とりわけ、チェンバー全体を取り囲む、周知の環状磁石にかんがみると、本発明の方法の主要な利点となる。好ましい実施形態では、第二磁場発生手段は、磁性粒子が第二の壁に引き付けられて、反対側の第一の壁から取り去られるように配置される。好ましい実施形態において、第二磁場発生手段は、それらが直接第二の壁に接するように配置される。好ましい実施形態において、第二磁場発生手段は、第二の壁に直接接して、第一の壁には直接接しないように配置される。好ましくは、この特定の実施形態において、第二の壁は、さらに、検体を束縛するために、常磁性粒子を動けなくすることのできる抗体を含む。
【0059】
第二磁場の磁極は、第二の壁に対して、90度よりも小さい角度(v2)を形成するような方法で配置されることは、発明にとって必須ではない。しかしながら、第二磁石は、本発明に従って、すなわち、第二磁極軸(a2)が、第二の壁に対して60度より小さい角度(v2)を形成するように、第二磁場発生手段が、第二の壁に対して配置されるような方法に従って、配置されることが望ましい。1つの実施形態では、第二磁場発生手段は、第二磁極軸と第二の壁との角度(v1)が0から60度の間になるように、第二の壁に対して配置される。
【0060】
1つの実施形態では、第二磁場発生手段は、第二磁極軸と第二の壁との角度(v1)が、0から40度の間になるように、第二の壁に対して配置される。
【0061】
1つの実施形態では、第二磁場発生手段は、第二磁極軸と第二の壁との角度(v1)が、0から20度の間になるように、第二の壁に対して配置される。
【0062】
1つの実施形態では、第二磁場発生手段は、第二磁極軸と第二の壁との角度(v1)が、0から10度の間になるように、第二の壁に対して配置される。
【0063】
1つの実施形態では、第二磁場発生手段は、第二磁極軸と第二の壁との角度(v1)が、0度となるように、第二の壁に対して配置される。
【0064】
好ましくは、常磁性粒子は、抗体などのような受容体でコーティングされる。当該抗体は、対象の検体に結びつくことができる。好ましくは、液体は、常磁性粒子に結びつけられる検体を含む。常磁性粒子に結びつくことのできる検体を含む液体は、血液であるかもしれない。
【0065】
本発明の発明者らが直面した問題は、特に、非常に少量の液体試料中の粒子の操作に関連する問題である。より大きな試料では、粒子の凝集の問題は、試料がすぐに振り落とされ、それによって、粒子の均一な分散をもたらすので、起こらない。それに反して、少量の試料では、試料の振り落としやその他の機械的な操作は、困難または実質的に不可能であり、本発明による方法を使用する場合に観測されるような集塊をうまく分裂させるように導くことができない。
【0066】
それゆえに、本発明の好ましい実施形態において、少量の液体は、常磁性粒子に結びつくことのできる検体を含み、0から500マイクロリットル、特に、0から400マイクロリットル、さらに特に0から300マイクロリットル、さらに特に0から200マイクロリットル、さらに特に0から150マイクロリットル、さらに特に0から100マイクロリットル、さらに特に0から50マイクロリットル、さらに特に0から30マイクロリットルの容量を有する。
【0067】
それゆえに、好ましい実施形態では、複数の常磁性粒子を含むチェンバーは、200マイクロリットルより小さな容量を有する試料に対して適している。もし複数の常磁性粒子のほぼすべてが、試料がチェンバーに注入されたとき、試料中に浮遊するならば、チェンバーは、200マイクロリットルよりも小さな容量を有する試料に対して適している。それゆえに、発明の好ましい実施形態では、分析されるべき試料は、好ましくは、200マイクロリットルよりも小さい容量を有する。よりいっそう好ましい実施形態では、分析されるための試料は150マイクロリットルよりも小さい容量を有し、より好ましくは、100マイクロリットル未満、90マイクロリットル未満、80マイクロリットル未満、70マイクロリットル未満、または、60マイクロリットル未満の容量を有する。よりいっそう好ましい実施形態では、分析されるための試料は、50マイクロリットルよりも小さい容量を有し、より好ましくは、45マイクロリットル未満、40マイクロリットル未満の容量を有する。
【0068】
1つの実施形態では、チェンバーは毛細管チャネルである。望ましい実施形態では、チェンバーは、100マイクロリットルよりも小さい容量を備える。よりいっそう望ましい実施形態では、チェンバーは、90マイクロリットルよりも小さい容量を備え、より好ましくは80マイクロリットル未満、より好ましくは70マイクロリットル未満、60マイクロリットル未満、50マイクロリットル未満または40マイクロリットル未満などのような容量を備える。よりいっそう望ましい実施形態では、チェンバーは、30マイクロリットルよりも小さい容量を備え、さらに好ましくは25マイクロリットル未満、さらに好ましくは20マイクロリットル未満、15マイクロリットル未満、10マイクロリットル未満または5マイクロリットル未満などのような容量を備える。
【0069】
本発明の別の実施形態によれば、方法は、ステップa)からd)で、排他的に構成される。複数の常磁性粒子の、その後の分散を成し遂げるためには、ステップd)に従って、磁場を容易に取り除くことで十分であることが分かっている。それゆえに、付加的な再浮遊ステップは、粒子を分散されるために、必要とされない。これは、特に、マイクロリットル規模で、動作する場合に、発明の方法を大いに簡略化することができる。
【0070】
本発明のさらに別の実施形態によれば、第一磁場発生手段は、単一の磁石からなる。例えば、磁石は棒状であるかもしれない。磁石は、永久磁石あるいはソレノイドであるかもしれない。これは、マイクロ流体に関する装置に対して、容易に実装され得る簡単な実施形態となる。
【0071】
本発明による方法は、望ましくは、チェンバー装置と磁気装置を含むシステムにおいて実行される。それゆえに、1つの実施形態では、本発明は、チェンバーにおける複数の常磁性粒子をクラスタリングして、その後、分散するためのシステムに関連する。前記システムは、チェンバー装置と磁気装置を含み、前記チェンバー装置は、第一の壁と反対側の第二の壁を含み、複数の常磁性粒子を受け取ること、および、収容することのために配置されるチェンバーを定め、前記磁気装置は、a)前記チェンバー装置を受けるための受け取り手段と、b)磁極の間を伸びる第一磁極軸a1)を定める、相互に間隔の空けられた第一および第二の正反対の磁極を有する第一磁場を発生させるための第一磁場発生手段と含み、前記第一磁場発生手段は、前記チェンバー中の常磁性粒子が、磁場にさらされるように、および、前記第一磁極軸(a1)が、前記受け取り手段に受け取られた前記チェンバー装置の前記第一の壁に対して、60度未満の角度(v1)を形成するように、前記受け取り手段に受け取られる前記チェンバー装置の前記第一の壁に対して設置され、さらに、磁場を変化させるための手段を含む。
【0072】
磁場を変化させるための手段とは、例えば、受け取り手段に受け取られたチェンバー装置に対して、第一磁場を動かす手段、および/または、磁場を取り除くための手段、および/または、磁場の極性を反転するための手段を意味する。磁場を変化させるための手段は、磁場を適用および除去するための手段を含むことができる。磁場を変化させるための手段は、第一磁極軸の方向への移動成分を有する、第一移動方向に、第一磁場発生手段を移動させるための手段も含む。磁場を変化させるための手段は、1回以上、磁場を反転させるための手段も含むかもしれない。
【0073】
1つの実施形態では、本発明によるシステムは磁気装置を含み、該磁気装置は、相互に間隔が空けられた第一および第二の正反対の磁極を備え、磁極の間に伸びる第二磁極軸(a2)を定める第二磁気発生手段を含み、前記第二磁場発生手段は、チェンバー中の常磁性粒子が第二磁場にさらされるように、そして、粒子が第二の壁に引き寄せされるように、前記受け取り手段で受け取られた前記チェンバー装置の前記第二の壁に対して、配置される。
【0074】
好ましくは、もし2つ以上の磁場発生手段が用いられたならば、少なくとも1つは本発明に従って配置されなければならない。従って、本発明の1つの実施形態は、システムに関連し、該システムにおいて、第一磁場発生手段は、第一磁極と、受け取り手段に受け取られるチェンバー装置の第一の壁との間で、60度よりも小さい角度(v1)が形成されるように、第一の壁に対して配置され、オプションとして、第二磁場発生手段は、第二磁極と、受け取り手段に受け取られたチェンバー装置の第二の壁との間で、60度よりも小さい角度(v2)が形成されるように、第二の壁に対して配置される。
【0075】
好ましくは、2つ以上の磁場発生手段があるならば、それらは本発明に従ってすべて配置される。したがって、1つの実施形態において、第二磁場発生手段は、第二磁極と第二の壁との間の角度(v1)は、0度から60度の間であり、例えば、0度から40度の間、0度から20度の間、0度から10度の間、0度などのような角度である。
【0076】
好ましくは、チェンバーは、常磁性粒子を含み、試料注入口と結ばれた第一端と、溶液注入口と結ばれた第二端とを有する毛細管チャネルである。
【0077】
本発明の1つの実施形態では、発明の計器(instrument)は、a)複数の常磁性粒子を含む、長軸方向の毛細管チャネルをチャネル装置と、前記チャネル装置を受け取るための受け取り手段を含み、磁場を発生させるための磁場発生手段を含む磁気装置とを含む、装置(device)または器具(apparatus)として記載され得る。
【0078】
さらに、本発明は、200マイクロリットル未満の液体からなる試料において、目標検体の有無の検出のための方法に関するものであり、当該方法は、
(a)検体と、前記検体を固めて、固定することのできる、複数の常磁性粒子とを含む液体を提供するステップと、
(b)相互に間隔が空けられた第一および第二の正反対の磁極を備え、磁極間に伸びる第一磁極軸を定める第一磁場発生手段を用いて、固定された検体を含む前記常磁性粒子を第一磁場にさらすステップであって、前記磁場発生手段は、前記第一磁極軸(a1)が、第一の壁に対して、60度未満の角度(v1)を形成するように、前記第一の壁に対して配置される、前記常磁性粒子を第一磁場にさらすステップと、
(c)前記第一磁極軸の方向への移動成分を有する第一移動方向に、前記磁場を移動するステップ、または、代わりに、1回以上、磁場の極性を反転するステップと、
(d)オプションとして、常磁性粒子を、洗浄および/または検出液を含む、独立したチェンバーに移動するステップ、または、代わりに、洗浄および/または検出液で、チェンバー中の残留液を取り替えるステップと、
(e)前記磁場を取り除くステップと、
(f)前記検体を検出するステップと
を含む。
【0079】
ステップb)において、粒子は、粒子および/または残留試料材料の操作を許すように、クラスタ化される。例えば、残留試料材料を除去すること、および、他の溶液または緩衝剤でそれを置き換えることによって、例えば、ある拘束された種を含む、いくつかの粒子が、動かなくさせられる、特定の表面に、粒子を引き寄せることによって、クラスタ化される。
【0080】
検体種を検出するための手段は、表面弾性波(SAW)検出器、分光光度計、蛍光光度計、CCDセンサーチップ、CCOSセンサーチップ、光電子増倍管(PMT)検出器、または、任意の適切な光検出器の中から選択することができる。
【0081】
好ましい実施形態において、複数の常磁性粒子を含有する液体を含むチェンバーは、1mm2未満、好ましくは、0.1mm2から0.7mm2の横断面積を有する毛細管チャネルである。1つの実施形態において、毛細管チャネルの幅と高さは、それぞれ、約1.0mmおよび約0.2mmである。毛細管チャネルの長さは、5から50mmである。1つの実施形態では、毛細管チャネルの長さは、5から20mmである。1つの実施形態では、毛細管チャネルの長さは、12から20mmである。
【0082】
さらなる実施形態では、本発明は、試料中の目標検体の有無の量的な検出のための、発明のシステムの使用に関する。
例(Examples)
例、ヒト血漿において脳ナトリウム排泄増加性ペプチド(BNP)が検出された場合のCV値
検定(assay)の原理
BNP検定は、直接的な化学発光および2つのモノクローン抗体を用いた両側サンドイッチ免疫学的検定(two-side sandwich immunoassay)である。第一抗体(追跡子)は、BNP(KY)の環状構造に特有である、HRP標識モノクローナルマウス抗ヒト抗体(HRP-labelled monoclonal mouse anti-human BNP antibody)である。固相における第二抗体は、BNPのC末端部分に特有である、ビオチン化モノクローナルマウス抗ヒト抗体(biotinylated monoclonal mouse anti-human antibody)である。当該抗体は、ストレプトアビジンで覆われた常磁性粒子と結合する。血漿サンプルにおいて存在するBNPの量と、光電子増倍管(PMT、Hamamatsu)によって検出される相対的な光の単位(relative light units, RLUs)の量との間に、直接的な関係が存在する。
チェンバー装置と毛細管チャネルの前処理
18のチェンバー装置(図1および2参照)は、黒で製作され、透明なABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン)樹脂で、当該器具の検出窓(14)が製作された。チェンバー装置の全長、高さ、厚さは、それぞれ、おおよそ70mm、35mm、2mmであった。毛細管チャネル(3,5,6)の全長は、おおよそ40mmであり、全チャネル(3,5,6)の幅は、おおよそ1.0mmであった。チャネル(3)の第一部分の深さは、おおよそ0.2mmであり、当該チャネルのその他すべての部分(5,6)の深さは、おおよそ0.5mmであった。常磁性粒子を分配する前に親水性を高めるために、チャネル装置は、2−プロパノール50vol%水溶液で、超音波洗浄され、25W/2sでコロナ処理された。
【0083】
コロナ処理後、緩衝剤(TBS:0.05wt% マウスlgG、0.05wt% ウシ ガンマ ブグロブリン(Bovine Gamma Globulin)、5wt% スクロース、5wt% BSA、0.05vol% ツイーン、1wt% ポリオキシエチレン 10 トリデシル、その他、0.1wt% プロクリン(ProClin)300(防腐剤))で、常磁性粒子が覆われたモノクローナルマウス抗体(BNPに対する抗体)の溶液が作り出され、この溶液のおおよそ1マイクロリットルは、ディスペンサ(Nanodrop ExtY)を用いて、チャネルの第一部分(3)のみが、溶液に覆われるように、チャネルに注入された。当該溶液は、おおよそ15分間、完全に干上がるように放置された。その後、器具は粘着フィルム(PSA)で密封された。
検定の実施
20pg/mlのBNP濃度のヒト血漿は、ほぼ1つのホースラディッシュパーオキシド(Horse Radish Peroxide)分子にそれぞれ共有結合的に結合されるモノクローナルマウスBMP抗体“KY”の溶液に加えられた。BNPおよびマウス抗体KYは、水溶液において、とりわけ、直ちに結合した。約1分の反応時間の後、ヒト血漿水溶液は、第一端(1)を通って中に入れられた。血漿は、直ちに、チェンバーにおいて糖マトリックス(sugar matrix)を溶かし、それによって、チェンバー中の常磁性粒子を再懸濁した。18個のチェンバー装置は、それぞれ9個を含む2グループに分けられた。
【0084】
磁石A(図5参照)(グループA)あるいは磁石B(図5参照)(グループB)は、PSAの上に置かれ、チェンバー(3)の上方を前後に機械的に動かされた。
【0085】
磁石Aグループでは、磁場の磁極は、両方とも、チェンバー装置における液体の流れる方向に対してちょうど垂直に置かれる。磁石Bグループでは、磁場の磁極は、毛細管チャネルの長軸方向に、相互に間隔が空けられるように配置される。チェンバーに対する第一角度(v1)は、0度であった(図5Aおよび5B)。
【0086】
磁石のこの動作は、おおよそ200秒間続けられた。この期間の間中、BNP分子は、抗体KYと、常磁性粒子に特に結合した抗体との間で、サンドウィッチ状のものを形成した。
【0087】
洗浄緩衝剤(TBS:0.05wt% BSA、0.05vol% ツイーン、および0.1wt% ケーソン(Kathon)または0.1wt% プロクリン)は、注入口(8,25,26)を介して注入され、測定領域、洗浄チェンバー、および、廃棄チェンバーの約50%が満たされた。そして、懸濁されたすべての常磁性粒子が、洗浄チェンバーに達するように、磁石に密に接するような方法で、磁石は、チェンバー(3)から洗浄チェンバー(5)にゆっくりと移動された。最低限の常磁性粒子が、約20秒間の転換点で磁石に密に接したままになるような方法で、磁石は、洗浄チェンバー(5)の両端((4a)から(6)へ、および、その反対)の間で前後に動かされた。磁石は、チェンバー装置から非常にすばやく離され、常磁性粒子は、重力によってチェンバーの底に落ちた。洗浄サイクルはもう一度繰り返された。
【0088】
そして、懸濁されたすべての常磁性粒子が、測定領域(14)の中央に達するように、磁石に密に接するような方法で、磁石は、毛細管チェンバー(5)から、チェンバー(6)の検出部分の測定領域(14)の中央に移動させられた。HRPと接触させたときにフォトンを生じる化学発光基質(ピアス(Pierce)社の製品コード37074 Supersignal Elisa Femto Maximum Sensitivity Substrate)は、測定領域(6,14)、洗浄チェンバー(5)、および、廃棄チェンバー(27)の約50%を完全に満たすために加えられた。その後、最小限の常磁性粒子が、約8秒間の転換点で磁石に密に接したままになるように、磁石は、測定領域の両端((6)の全体の長さ)の間で、前後に動かされる。そして、磁石は、毛細管チェンバーから非常にすばやく離され、常磁性粒子は、重力によって、チェンバーの底に沈殿させる。
【0089】
磁石が測定領域から非常にすばやく離されるとすぐに、測定領域の下に位置するPMTが電源投入され、窓を通して伝わるフォトンの数の測定が、120秒間実行される。
【0090】
2つの実験の結果は、以下の表1に示される。
【0091】
【表1】

【0092】
結果および結論
結果は、実験Aに比べて実験Bでは、信号が約1.9倍高いこと、標準偏差が約3.1倍低いことを示している。これは、実験Aに比べて実験Bでは、約5.7倍低く、すばらしく小さなCV値(標準偏差/平均)を結果として生じた。曲線の特性も、2つの実験で異なった。実験Aでは、最大RLU値は、約7秒後に達し、15秒まで最大限のレベルで推移し、約8秒の平坦域をもたらした。実験Bでは、最大RLU値は、約20秒後に達して、40秒まで最大限のレベルで推移し、約20秒の平坦域をもたらした。
【0093】
言及したすべての特性は、クラスタ(実験A)における常磁性粒子の振る舞いと、個々の粒子のように、より小さなクラスタにおける常磁性粒子の振る舞いとの期待された違いを反映する。それゆえに、後者の状況において、光信号の遮蔽は、より小さく生じてより高い信号を生じることが期待され、常磁性粒子のクラスタリングは弱められて、常磁性粒子の沈殿は、よりゆっくりと、最大限のRLU値となるより長い平坦期を生じている。
【0094】
この実験は、明らかに、信号強度の重大な改善を明確に実証し、力線が流れの向きとほぼ平行であるという状況に対して、流れの向きとほぼ直交するその力線に対して移動させる磁場を用いたときのCV値の重大な改善を明確に実証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェンバーにおける少量の液体中の複数の常磁性粒子をクラスタリングして、その後、分散するための方法であって、前記チェンバーは、第一の壁と、反対の位置にある第二の壁を有し、前記方法は、
a)前記複数の常磁性粒子を含む液体を提供するステップと、
b)相互に間隔が空けられた第一および第二の正反対の磁極を備え、磁極の間に伸びる第一磁極軸を定める第一磁場発生手段を用いて、前記常磁性粒子を第一磁場にさらすステップであって、前記第一磁極軸(a1)は、前記第一の壁に対して60度未満の角度(v1)を形成するように、前記磁場発生手段が前記第一の壁に対して配置される、前記常磁性粒子を第一磁場にさらすステップと、
c)前記第一磁極軸の方向への移動成分を有する第一移動方向に、前記磁場を移動するステップ、または、代わりに、1回以上、前記磁場の極性を変えるステップと、
d)前記磁場を取り去るステップと、
を含む方法。
【請求項2】
ステップa)からd)は1回以上繰り返されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップc)の後、ステップd)の前に、前記第一磁極軸(a1)の逆方向への移動成分を有する逆移動方向に、前記磁場を移動するステップc1)を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップc)およびc1)は1回以上繰り返されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第一磁場発生手段は、前記磁性粒子が前記第一の壁に引き付けられて、反対の位置にある前記第二の壁から取り去られるように、配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第一移動方向は、実質的に前記第一磁極軸a1の方向であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記逆移動方向は、実質的に前記第一磁極軸a1の逆方向であることを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップd)の後に続いて、
相互に間隔が空けられた第一および第二の正反対の磁極を備え、磁極の間に伸びる第二磁極軸a2)を定める第二磁場発生手段を用いて、前記常磁性粒子を第二磁場にさらすステップe)を含み、
前記第二磁場発生手段は、前記第二の壁に常磁性粒子を引き付けるために、前記第二の壁に対して配置されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
小容量の液体は、常磁性粒子に結合できる検体を含み、0から500μl、特に、0から400μl、さらに特に0から300μl、さらに特に0から200μl、さらに特に0から150μl、さらに特に0から100μl、さらに特に0から50μl、さらに特に0から30μlの容量を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップa)からd)で、排他的に構成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第一磁場発生手段は、単一の磁石からなることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
チェンバーにおける複数の常磁性粒子をクラスタリングして、その後、分散するためのシステムであって、
前記システムは、チェンバー装置と磁気装置を含み、
前記チェンバー装置は、前記複数の常磁性粒子を受け入れて収容するために配置されるチェンバーを定める第一の壁と反対の位置にある第二の壁を含み、
前記磁気装置は、a)前記チェンバー装置を受け取るための受け取り手段を含み、相互に間隔が空けられた第一および第二の正反対の磁極を有する第一磁場を発生させて、磁極の間に伸びる第一磁極軸(a1)を定めるための第一磁場発生手段を含み、
前記第一磁場発生手段は、前記チェンバーにおける常磁性粒子が前記磁場にさらされるように、そして、前記第一磁極軸(a1)が、前記受け取り手段で受け取られた前記チェンバー装置の前記第一の壁に対して、60度より小さい角度(v1)を形成するように、前記受け取り手段で受け取られた前記チェンバー装置の前記第一の壁に対して配置され、
さらに、前記磁場を変化させるための手段を含む、システム。
【請求項13】
前記磁場を変化させるための手段は、磁場を適用および除去するための手段を含む請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記磁場を変化させるための手段は、前記第一磁極軸の方向への移動成分を有する第一移動方向に、前記第一磁場発生手段を移動するための手段、または、代わりに、磁場を1回以上反転させるための手段を含む請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
前記磁気装置は、相互に間隔が空けられた第一および第二の正反対の磁極を備え、磁極の間に伸びる第二磁極軸(a2)を定める第二磁気発生手段を含み、
前記第二磁場発生手段は、前記チェンバーにおける前記常磁性粒子が第二磁場にさらされるように、そして、前記粒子が前記第二の壁に引き付けられるように、前記受け取り手段で受け取られた前記チェンバー装置の前記第二の壁に対して配置されることを特徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記チェンバーは、前記常磁性粒子を含み、試料注入口と結ばれた第一端と、溶液注入口と結ばれた第二端とを備える毛細管チャネルであることを特徴とする請求項12から15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
200μl未満の液体からなる試料において、目標検体の有無を検出するための方法であって、
a)検体と、前記検体を固めて、固定することのできる、複数の常磁性粒子とを含む液体を提供するステップと、
b)相互に間隔が空けられた第一および第二の正反対の磁極を備え、磁極間に伸びる第一磁極軸を定める第一磁場発生手段を用いて、固定された検体を含む前記常磁性粒子を第一磁場にさらすステップであって、前記磁場発生手段は、前記第一磁極軸(a1)が、第一の壁に対して、60度未満の角度(v1)を形成するように、前記第一の壁に対して配置される、前記常磁性粒子を第一磁場にさらすステップと、
c)前記第一磁極軸の方向への移動成分を有する第一移動方向に、前記磁場を移動するステップ、または、代わりに、磁場の極性を1回以上反転するステップと、
d)オプションとして、前記常磁性粒子を、洗浄および/または検出液を含む、独立したチェンバーに移動するステップ、または、代わりに、洗浄および/または検出液で、チェンバー中の残留液を取り替えるステップと、
e)前記磁場を取り除くステップと、
f)前記検体を検出するステップと
を含む目標検体の有無を検出するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2012−514204(P2012−514204A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544029(P2011−544029)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067863
【国際公開番号】WO2010/076280
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(506388510)アトノミックス アクティーゼルスカブ (9)
【Fターム(参考)】