磁性ガラス粒子、それらの製造方法、及びそれらの使用
【課題】ガラス表面をもつナノ・サイズの磁性粒子の作製方法の提供。
【解決手段】磁性体をゾル中に懸濁し、その懸濁液を2−ノズル・スプレイドライヤーによりスプレイードライし、そのスプレイドライ粉末を焼結して磁性ガラス粒子組成物を得る。磁性ガラス粒子組成物を含む懸濁液と生物物質を含むサンプルとを液体中で接触させ、その液体から生物物質を分離する。特に、自動化処理によるDNA又はRNAの精製に有用である。
【解決手段】磁性体をゾル中に懸濁し、その懸濁液を2−ノズル・スプレイドライヤーによりスプレイードライし、そのスプレイドライ粉末を焼結して磁性ガラス粒子組成物を得る。磁性ガラス粒子組成物を含む懸濁液と生物物質を含むサンプルとを液体中で接触させ、その液体から生物物質を分離する。特に、自動化処理によるDNA又はRNAの精製に有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ガラス表面を有し、そして基本的に球状の磁性粒子に関する。本願発明は、それら及びそれらの懸濁液の作り方、そして特に自動化工程による生物物質の精製のためのそれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
多くの生物物質、特に核酸は、自然環境からのそれらの単離の点から見て特有の難題を示す。一方で、それらは非常に低濃度で存在し、そしてもう一方で、それらはそれらの単離又は、特に生物特異的なアッセイにおける計測を難かしくする多くの他の固体及び溶解物の存在中にしばしば見出される。
【0003】
生物特異的な結合アッセイは、特有の分析物、例えば核酸又は特有の分析物であるポリペプチドの検出を可能にし、そして診断及び生物分析の分野で重要な役割をもつ。
【0004】
ハイブリダイゼーション・アッセイは、核酸分析物、例えばRNA及びDNAの分子検出のために特異的な塩基対形成を利用する。したがって、18〜20ヌクレオチドの長さをもつオリゴヌクレオチド・プローブは、ヒト・ゲノム内の選択した配列の特異的な認識を可能にしうる。このオリゴヌクレオチド・プライマーの選択的な結合を利用する他のアッセイはUS 4,683,195に記載のポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)である。この方法は、数サイクルのうちにデオキシヌクレオチド三リン酸の存在下、熱安定性ポリメラーゼにより特定の核酸領域を検出可能なレベルまで選択的増幅する。
【0005】
核酸は、それらがプローブに基づくアッセイに使用される前に混成混合物から通常は抽出されるべき、比較的複雑な分析物である。
【0006】
核酸の抽出にはいくつかの方法がある:
−配列依存的又は生物特異的な方法として、例えば:
・アフィニティー・クロマトグラフィー
・ビーズ上に固定したプローブへのハイブリダイゼーション
−配列非依存的又は物理学的−化学的方法として、例えば:
・例えばフェノール−クロロホルムによる液体−液体抽出
・例えば純エタノールによる沈殿
・ろ紙による抽出
・臭化セチル−トリメチル−アンモニウムといったミセル形成剤による抽出
・固定化インターカレート色素、例えばアクリジン誘導体への結合
・シリカ・ゲルすなわち珪藻土への吸着
・カオトロピック条件下での磁性ガラス粒子(MGP)すなわち有機シラン粒子への 吸着
近年、それらのガラス表面に結合する性質の利用により、それらの自然環境からの核酸の分離のための多くの手段及び材料が提案されている。例えば、Proc. Natl. Acad. USA 76, 615-691 (1979)においてフリントすりガラスによりヨウ化ナトリウムの存在するアガロース・ゲル内でフリントすりガラスに核酸を結合する手順が提案されている。
【0007】
過塩素酸ナトリウムの存在するガラス皿上の細菌からのプラスミドDNAの精製は、Anal. Biochem. 121, 382-387 (1982)に記載されている。
【0008】
DE−A 37 34 442において、酢酸を用いたファージ粒子の沈殿によりグラス・ファイバー・フィルター上の1本鎖M13ファージDNAの分離及び過塩素酸によるファージ粒子の溶解が記載されている。グラス・ファイバー・フィルターに結合した核酸は、洗浄され、そしてその後メタノール含有トリス/EDTA緩衝液により溶出される。
【0009】
ラムダ・ファージからのDNA精製のための類似の方法が、Anal. Biochem. 175, 196-201 (1988)に記載されている。
【0010】
前記方法は、カオトロピック塩溶液中において核酸のガラス表面への選択的な結合、そして夾雑物、例えばアガロース、タンパク質又は細胞残渣からの分離を伴う。夾雑物からガラス粒子を分離するために、前記粒子が遠心分離されるか又は液体はグラス・ファイバー・フィルターを通されるかのいずれかでありうる。しかしながら、これは多量のサンプルの処理に前記方法を使用させない制限的なステップである。
【0011】
ガラス表面に覆われた磁性粒子は生物材料の単離に相当な利点を提供することが、証明される。磁性粒子が磁場と接触しない場合、重力がそれらを沈殿させる唯一の力である。それらは溶液を振ることにより再懸濁されうる。磁場を利用しない沈殿手順はその粒子表面での生物材料の固定よりもゆっくりと進む。これは特に核酸に当てはまる。磁性粒子は、磁石を使ってサンプル液中の特定の位置に容易に集められうる。前記の液体はその後粒子から、つまり固定された生物物質から分離される。
【0012】
塩及びエタノールの添加による析出の後、核酸を固定するための磁性粒子の使用は、Anal. Biochem. 201, 166-169 (1992)及びPCT GB91/00212に記載される。この手順において、核酸は前記磁性粒子に吸着される。前記吸着物は磁場を利用し、そして洗浄ステップを行なうことによりもとの溶媒から分離される。1回の洗浄ステップの後、核酸はトリス緩衝液中に溶解される。しかしながら、この方法は前記析出が核酸について選択的でないという不利な点をもつ。それどころか、さまざまな固体及び不溶性物質が同様に吸着される。その結果、この手順に存在するかもしれない特異的な酵素反応の有意な量の全ての阻害物質の除去に使用できない。
【0013】
磁性の多孔質ガラスは、多孔質の特定のガラス基質中に磁性粒子を含み、そしてストレプトアビジンを含む層に覆われている市販品も使用できる。ビオチンに共有結合的に結合するように生物学的物質が複合体調製ステップにおいて修飾されるならば、この製品は生物学的物質、例えばタンパク質又は核酸の分離のために利用されうる。磁化できる特定の吸着剤が、自動サンプル調製において能率的であり、そして好適であることを示した。超常磁性色素、並びにフェリ磁性及び強磁性色素が、この目的のために使用されうる。
【0014】
当業者によれば粒子は、小さな直径を有する固体物質である。このような粒子はしばしば色素とも呼ばれる。
【0015】
それらの物質は磁石、すなわち例えば強磁性又は超常磁性物質に引きつけられる磁性体ともしばしば呼ばれる。超常磁性は、当技術分野において有利な、そして好ましいものと理解される(例えばUS 5,928,958;US 5,925,573;EP 757 106)。ガラス又は有機シラン表面は、生物特異的捕捉反応に利用するためにしばしば機能的なものにされる、例えばUS 5,928,958、US 5,898,071、US 5,925,573、EP 937 497、US 4,554,088、又はUS 4,910,148。あるいは、ガラス、又は有機シラン表面は、それらの親水性、及び/又は陽電性を変更するためにさまざまな溶媒又は塩により処理されうる、例えばUS 5,438,127。しかしながら、ガラス、又はシラン表面の非誘導体化シラノール基が、DE 195 20 964、DE 195 37 985、WO96/41840、WO96/41811、EP 757 106、又はUS 5,520,899に記載の好適な反応条件下で純粋な物理的−化学的力による吸着のために使用されうる。典型的には、磁性核又は磁性核集合体は、酸又は塩基触媒ゾル−ゲル法により形成されるガラス表面により覆われる。これらはコア−シェル粒子と呼ばれる。そのガラス殻が色素のサイズ及び形状の点で特有な層の薄さを有するとき(例えばDE 195 20 964を参照のこと)、ガラス殻は、例えば磁性酸化金属に加えて作製された粒子のサイズ及び形状を確認する雲母のような非磁性補助物を含みうる(例えばDE 195 37 985及び関連のWO96/41811を参照のこと)。高い界面活性を得るために、高い多孔度を有するガラス材料が使用される(例えばEP 757 106;WO99/26605を参照のこと)。さらに、複合磁性粒子が記載されている、例えばシリカ粒子からの無機シリカ基質(EP 757 106)又はガラスとシリカ・ゲルの混合物(WO95/06652)により覆ったシリカ被覆酸化鉄。
【0016】
本発明により解決される問題は、サンプル調製のための、そして生物学的アッセイのための、特に自動化された方法のための改良された特性を有する磁性ガラス粒子として知られうる。
【発明の開示】
【0017】
本技術分野における磁性ガラス粒子の欠陥は、本発明の発見により克服される。
【0018】
磁性ガラス粒子組成物を提供することが本発明の1つの目的である。本発明による磁性ガラス粒子(MGPs)は、ガラス中への小さな磁性核の固体分散系である。MGPsは比較的小さく、そして基本的に球状である。MGPs組成物の非磁性細粒の含有量は、それらの調製方法のために非常に少ない。これは、MGPsの懸濁液をゆっくりと沈殿させる効果をもち、そしてそれにより自動化されうる分子生物学における方法のために有利に使用されうる。本発明の1の態様において、本発明によるMGPsの組成物及び懸濁液を提供する。本発明の他の態様において、MGPsの組成物のための方法を提供する。本発明のさらなる他の態様において、本発明によるMGPsを使用するDNA又はRNAの精製方法を提供する。
【0019】
基本的に球状であり、そして小さな直径をもち、さらに少なくとも1の、直径5〜500nmの磁性体を含むところの磁性ガラス粒子組成物を提供することは本発明の目的の1つである。これは半減時間値t1/2 により定量化される沈殿動力学における驚くべき結果を有する(実施例6を参照のこと)。前記半減時間値は、特定の容量の成分から50%の粒子が沈殿するまでの時間の長さである。イソプロパノール中での前記組成物の3mg/ml重量毎容量の懸濁液の沈殿に関する半減期は、3分、好ましくは4分、より好ましくは6分より長い。しかし、最も好ましい半減期の値は、10分より長いか又は20分より長い。より小さく、そして理想的な球により近いことで、より長くMGPsが懸濁されるであろう。これは、理想的な球に似ている形態に近づけることで、2以上の粒子が互いに凝集し、そして沈殿をより早める凝集を構築する可能性をより低くする事実により明らかにされる。これらのデータを実施例6に示しそして高解像走査型電子顕微鏡像を図4〜図10において見ることができる。これは、シリンジに引き込まれる必要以上の量からの一定のMGP懸濁液容量の反復的な投与がより容易(質量MGP /容量に関してより正確なデリバリー)にしながら、そのMGP懸濁液を含む保存容器の厳しくそして頻繁な混合を減らすことが求められる自動化方法のための利点を有する。
【0020】
本発明によるMGPsは、非常に小さな非凝集磁性体を散在させたガラス滴である。磁性体と呼ばれるそれらのものは、磁石に引きつけられる、すなわち、例えば強磁性体又は超常磁性体である。特にそれらがまだ前磁化されていない場合、好ましくは、強磁性材である。本明細書中における前磁化(Premagnetization)は、残留磁気を増加させる、磁石との接触を意味すると理解される。好ましい磁性材は、例えば磁鉄鉱(Fe3 O4 )又はFe2 O3 、好ましくはγ−Fe2 O3 のような鉄又は酸化鉄である。原則として、バリウム・フェライト、ニッケル、コバルト、Al−Ni−Fe−Co合金又は他のフェリ若しくは強磁性体を利用しうるであろう。前記磁性体は、例えば磁性色素でありうる。磁性体のサイズはナノスケールの範囲にある、すなわち本発明により、その直径は5〜500nm、好ましくは10〜200nm、最も好ましくは15〜50nmである。好適な磁性色素はCERAC社により製造され、それは23nmの平均直径をもち、そしてγ−Fe2 O3 から成る。(BET−表面50m2 /g、CERAC:P.O. Box 1178, Milwaukee, Wisconsin 53201-1178 USA; 商品番号I−2012)。本発明による磁性ガラス粒子は、そのMGPsが高解像走査型電子顕微鏡により測定されるよう0.5μm〜5μm、好ましくは1μm〜2μmの粒子直径をもち、これに対してその磁性体が上述のように5〜500nm、好ましくは10〜200nm、最も好ましくは15〜50nmの直径をもつ事実によりさらに特徴づけられる。したがって、本発明のMGPsは、高解像走査型電子顕微鏡により測定される磁性色素核に対する磁性ガラス粒子の1対10より小さな直径比により特徴づけられる。これらの直径比並びに粒子のサイズ及び形状を決定するであろうあらゆる挿入担体の存在により、そのMGPsの外形及び取り込まれる磁性体の数が製造条件により決定される。本発明によるMGPsは、微細多孔質であるが、しかし高次な構造がありそのために6m2 /g超の比較的大きな表面を有する。好ましくは、本発明による磁性ガラス粒子は5〜100m2 /gの、好ましくは5〜90m2 /gの、より好ましくは10〜50m2 /gの範囲の、最も好ましくは15〜30m2 /gの範囲の表面積を有する。この表面は、DE 195 37 985に記載される粒子のサイズの約2倍である。これはオートメーション化された市販の装置を用いたBraunauer-Emett-Teller法により決定されうる(実施例4を参照のこと)。普通はBET法と呼ばれる、この方法についての解説は、S. Braunauer. The Adsorption of Gases and Vapors, Vol. 1, Princeton University Press, 1943を参照のこと。例えば、優先的に着目のサンプルEJ0096.5R−01(製造条件の概要については実施例1、及び表1〜表3を参照のこと)は、26.8525m2 /gのBET−表面、2.3058m2 /gの微細多孔面積、及び24.9132nmの平均細孔直径をもつ。これは細孔表面は全表面の10%未満であり、そして磁性ガラス粒子が微細多孔質であることを意味する。
【0021】
細孔(pore)は、粒子の外側の表面の凹部であると理解される。その表面は、表面上の凹部の中に引かれた垂直の線が粒子の隣接環境の方向に少なくとも1度粒子を切断するところの粒子の中まで及ぶ。加えて、細孔は粒子内の、その細孔の1の半径より大きな深さにまで及ぶ。ドイツ特許出願第DE 198 54 973.3号又は同第DE 198 55 259.9号と比較した際に、より遅い沈殿動力学、より広い表面、及び凝集を抑える球状の形態は、核酸診断における吸着剤としてのより良好な機能的な性能の形でそれら自身が明らかにする(実施例3,5、及び7を参照のこと)。この特徴は、いわゆるTaqMan(商標)アッセイにおけるしきいサイクル、シグナル対ノイズ比、及び静的に確証されたより低い検出限界の変化により定量化されうる。このアッセイ方法は、WO92/02638、及び関連の米国特許第US 5,210,015号、同第US 5,804,375号、同第US 5,487,972号に記載される。放射性トレーシング実験(実施例5.2を参照のこと)は、本技術分野で知られる基準物質と比較した場合、DNA及びRNAについての結合性質が同じであることを示した。驚いたことに、製造条件は、放射性トレーシング実験における性質に影響する。本発明のMGPタイプのさらなる利点は、乾燥工程の間亀裂、及び内部構造(ガラス滴内の小さな磁性核の固体分散系)によるガラス殻に関連する損傷をもたらしうるガラス層の緊張がないことである。これは、画像作製(image-producing)法により調べられる(実施例3を参照のこと)。
【0022】
本発明の他の態様は、磁性粒子の懸濁液である。MGPsの組成物に液体を加え、そしてその懸濁液を混ぜて均質にすることで懸濁液を作製することは当業者にとって自明である。本発明による液体は、磁性粒子の安定性に影響しない、そして均質な懸濁液の作製のために利用されうるところのあらゆる液体を含みうる。
【0023】
好ましくは分子生物学における工程、特にデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)の精製工程であって、特定の条件下、それらの物質のガラス粒子への結合を利用する上記工程に好適である液体が使用される。好ましい液体は、アルコール又はそれらと水とのあらゆる混合物あるいはケトンを含む。アルコールは、本発明により好ましくはRがn>=Oである一般式−(−CH2 )n −CH3 を意味する一般式R−OHの一級、二級又は三級アルコールを含むであろう。しかしながら、他のアルコールもそれらが、例えばグリセロールのように分子生物学用途に好適であれば使用されうる。特に好適には、前記アルコール、すなわちイソプロパノール、エタノール又はそれらと水の混合物、好ましくは80容のイソプロパノールと20容の水の混合物である。本発明の態様において、前記液体には、例えばアセトンといったケトンが含まれる。本発明の好ましい態様においてそれらの懸濁液は、5〜60mg/mlのMGPsを含む。本発明の他の態様において、MGPsは、場合により2〜8 mol/l、そして好ましくは4〜6 mol/lの濃度においてカオトロピック物質を含みうる水性緩衝溶液中に懸濁される。カオトロピック塩は、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウム又は塩酸グアニジニウムである。他の化合物であることもできる。本発明によるカオトロピック物質は、液状の水の構造を乱し、そしてDNA又はRNAを含む溶液中にこの作用物質が存在した場合、DNA又はRNAが本発明によるMGPsに結合することに対して効果を有するあらゆる化学物質である。好適な水性緩衝溶液を作り出すことは、当業者にとって自明のことである。分子生物学の目的において、好適な緩衝液系は、例えばSambrook et al. (1989), Molecular Cloning, Cold Spring Harbor University Press, New York, NY, USA 中に見出されうる。好ましい緩衝物質は、トリス−ヒドロキシメチルアミン(TRIS)、リン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N′−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)、それらの塩又は他の好適な物質である。加えて、例えばNaCl,KCl又はCaClのような溶液のイオン強度を変える物質又は、例えばエチレン−ジアミン−四酢酸(EDTA)若しくはそれらの塩のような金属陽イオン錯化剤である物質が提供されうる。当業者に知られる生物学的物質もまた提供されうる。本発明の他の態様において、前記MGPs懸濁液は、DNA又はRNAを場合によりタンパク質、脂肪酸、炭水化物、及び生物起源の他の材料との混合物の形でさらに含みうる。本発明の他の態様において、前記液体は、アルコール、ケトン、水性緩衝溶液、カオトロピック物質、溶液のイオン強度を変更する物質、錯化剤、生物材料、前記の特徴を有する全てのDNA又はRNAの混合物を含みうる。
【0024】
本発明の他の態様において、本発明による懸濁液を含む試験管又は反応容器を提供する。前記の管はプラスチックで作られうるが、しかし大きな構造物の一部、例えば96又は384ウェル型のマイクロタイタープレートの一部でもありうる。本発明のさらなる他の態様において、磁性ガラス粒子の組成物又はその懸濁液を含む保存容器を提供する。
【0025】
本発明の他の態様において、本発明による磁性ガラス粒子又はその懸濁液を含む保存容器を含むキットの部品を提供する。前記キットは、DNA又はRNAの精製のために使用されうる。本技術分野で知られる前述のキットは、例えば96又は384ウェル型のマイクロタイタープレートといった精製手順の間に使用されるプラスチック製品又は、例えばEppendorf, Hamburg, Germany により製造されたまさに普通の反応管をさらに含む。前記キットは、DNA又はRNAをそこに結合するときの磁性ガラス粒子の洗浄ステップに好適な洗浄溶液をさらに含みうる。多くの場合、前記洗浄溶液は、使用前に希釈しなくてはならない保存溶液として提供される。前記キットは、溶出液、すなわち磁性ガラス粒子に結合したDNA又はRNAを溶出するための溶液又は緩衝液(例えばTE:10mMトリス、1mM EDTA、pH8.0)あるいは純水をさらに含みうる。さらに、核酸、すなわちDNA又はRNAの精製方法に使用されうる補足的な試薬を提供しうる。本発明の1の態様において、本発明によるキットの部品は、核酸の精製に使用されうる。
【0026】
本発明の1の態様において、MGPs組成物は、すでに記載した懸濁液の作製に使用されうる。
【0027】
本発明の他の態様において、本発明による懸濁液は、それらを含む、他の生物物質をともなう混成混合物からの核酸、すなわちRNA又はDNAの精製に使用されうる。それにより、着目の核酸を少量でしか含まない混合であっても、異なる核酸の混合物を精製しうる。精製効果は、特定の条件のもとでの、例えば特定の濃度のカオトロピック物質の存在下での磁性ガラス粒子に結合するDNA又はRNAの性質に起因する。好ましくは、結合DNA又はRNAをともなうMGPsは、好ましくは70容のエタノールと30容の水の割合の混合物(「70%エタノール」)によりその後少なくとも1回洗浄される。その後、条件を逆方向に変え、例えばカオトロピック物質の濃度を下げて、MGP粒子に結合したDNA又はRNAを溶出する。好ましくは、これは例えば重力又は磁石の使用による磁性ガラス粒子の小粒化、そしてごく少量のカオトロピック物質を含むか又はそれを全く含まない溶液内への再懸濁により行われる。あるいは、前記溶液は、ごく少量のカオトロピック物質か又それを全くともなわない溶液により希釈されうる。精製されたDNA又はRNAは、すぐに他の反応のために使用されうる。
【0028】
本発明によるMGPsの製造方法を提供することは本発明の1つの目的である。本発明によるガラスはケイ素を含む非結晶材料であることは理解される。ガラスは他の物質、例えばB2 O3 (0〜30%)、Al2 O3 (0〜20%)、CaO(0〜20%)、BaO(0〜10%)、K2 O(0〜20%)、Na2 O(0〜20%)、MgO(0〜18%)、Pb2 O3 (0〜15%)を含みうる。ガラスは、低いパーセンテージ(0〜5%)の多数の他の酸化物、例えばMn2 O3 ,TiO2 ,As2 O3 ,Fe2 O3 ,CuO,CoO等を含むこともできる。
【0029】
本発明による特に好ましいものは、WO96/41811に記載のゲル−ゾル法を用いて形成され、そしてその後乾燥、及び圧縮されるガラスである。この方法の基本原理は既知であり、そして例えばC.J. Brinker, G.W. Scherer“Sol Gel Science-The Physics and Chemistry of Sol Gel Processing”, Academic Press Inc. 1990, Sol-Gel Optics, Processing and Applications, Lisa C. Klein, Ed., Kluwer Academic Publishers 1994, p.450以降、そしてDE−A−1941191,DE−A−3719339,DE−A−4117041,DE−A−4217432、及びWO96/41811に記載された。ゲル−ゾル法において、主に、ネットワーク形成成分であるアルコキシド、例えばSiO2 ,B2 O3 ,Al2 O3 ,TiO2 ,ZrO2 ,GeO2 は、例えばアルコール溶液中の他の成分の酸化物及び塩と結び付いて、そしてその後加水分解される。以下の方程式は、ホウ酸アルミニウムケイ酸ナトリウムガラス(sodium boroaluminium silicate glass)の作成手順を記載する:
【0030】
【化1】
【0031】
水を加え開始成分の加水分解処理を開始させる。アルカリ・イオンがケイ酸エステルの加水分解速度に触媒効果を有するため、この反応工程は比較的速い。いったんガラスを形成したら、それを熱処理により乾燥及び密度を上げて(又は圧縮して)ガラスを形成しうる。
【0032】
本発明の1の態様において、ガラス基質は、図1及び図2に図式的に示され、そして実施例1に詳細に記載されるとおり酸又は塩基触媒ゾル−ゲル合成により作製される。ここで、使用するものは、最初は固体要素を液相中に分散し(=ゾル)、そして処理の後にそれらをハニカム模様(honeycomb pattern)のように連結する(=gel)ところのコロイド性の系で作られる。析出物の量から計算したガラス(コードEJ)の組成は、70.67 Mol% SiO2 、14.33 Mol% B2 O3 、5.00 Mol% Al2 O3 、4.00 Mol% K2 O、2.00 Mol% CaO、4.00 Mol% ZnOであった。ガラス(コードRN)の組成は、74 Mol% SiO2 、15 Mol% B2 O3 、5.00 Mol% Al2 O3 、4.00 Mol% K2 O、2.00 Mol% CaOであった。ガラス(コードEP)の組成は、73.61 Mol% SiO2 、14.93 Mol% B2 O3 、5.21 Mol% Al2 O3 、4.17 Mol% K2 O、2.08 Mol% CaOであった。
【0033】
前記の反応は以下のとおり:
酸触媒、例えば:
【0034】
【化2】
【0035】
又はアルカリ触媒、例えば:
【0036】
【化3】
【0037】
のいずれかで表現される。三次元ネットワークを形成する対応の酸化物に対する異った水酸化縮合物、すなわち格子間部位を占める金属イオンを有するSiO2 /B2 O3 /Al2 O3 の非結晶性ガラス基質である。先に解説したアルカリ性及びアルカリ土類金属イオンに加え、例えばZn2+及びZr2+といった遷移金属イオンがネットワーク変更物質として基質内に取込まれうる。
【0038】
【化4】
【0039】
本発明の他の態様において、前記ガラスは、本技術分野で知られる原料SiO2 、及びアルカリ又はアルカリ土類金属の炭酸塩、Na2 CO3 ,K2 CO3 又はCaCO3 の融解による方法で作製されうる。その方法は以下のとおり:
【0040】
【化5】
【0041】
と表現されうる。しかしながらほとんどの場合において、純粋なケイ酸基でなく、ホウ酸−アルミン酸−ケイ酸−基質である、すなわちネットワーク構築要素の一部のSiO2 は、B2 O3 及びAl2 O3 により置き換えられていると考える。
【0042】
ゾル:色素の比は、本願発明により提供される磁性粒子の産出量に多大な影響をもつ。前記ゾルが、当業者の技術により今までとおりポンプで吸い上げ、そして吹きつけられうることがこの方法にとって不可欠である。
【0043】
粉末を作り出すために、前記スラリーを好ましくは、図1及び実施例1.3に記載のとおり二流体ノズル(two-fluid nozzle)を通して吹きつける。好適なスプレードライ装置は、Nubilosa Molekularzerstaeubung, Ladisch GmbH & Co. KG, Konstanz, Germany、例えば「Labor-Zerstaeubungstrockner (Type LTK) 」によるか又はBuechi AG, Uster, Switzerland、例えば「Mini Spray Dryer (Type B-191)」により製造される。
【0044】
磁性核対ガラス殻の直径比が1対10未満、好ましくは1:10〜1:1000であるため、その動力学、又は取込まれる磁性核若しくはそれらの非活性担体の数は、粒子の形状及びサイズではなく製造条件、特にスプレードライの間の条件が決定する。言い換えれば、サイズ分布、ガラス滴の形状を決定し、そしてそれによりMGPsを変更するであろうところの、スプレードライ手順の間の圧力、噴射口温度、出口温度、及び流速の選択は、自由である。
【0045】
スプレー圧を上げる場合、そのサイズ分布は、低いμ−範囲に移動するであろう。スプレードライ工程の温度低下は、溶媒のよりゆっくりとした蒸発をもたらし、そしてそれによりMGPsの形態は理想の形状により近づくであろう、すなわちxy及びxz平面における半径の比は約1になるであろう。前記半径の比は、0.8〜1.2、好ましくは0.9〜1.1の間で変化するであろう。
【0046】
本発明の好ましい態様においては、ノズルは加熱される。噴射口温度は120℃〜500℃、好ましくは170℃〜230℃又は150℃〜230℃、最も好ましくは150℃〜200℃又は190℃〜210℃又は200℃若しくはわずかに低いかである。出口温度はゾル及び溶媒の沸点に依存し、そして溶媒の沸点より高いか、同じか、又はわずかに、すなわち10℃未満下回るかでありうる。エタノールを溶媒として使用する場合、それは50℃〜300℃、好ましくは70℃〜150℃、最も好ましくは80℃〜110℃である。その最適温度は90℃〜100℃である。ノズル圧は3bar より高く、好ましくはそれは4〜6bar に調節される。当業者は、厳密なパラメーターが使用されるスプレードライ装置に依存するであろうことを理解する。しかしながら、当業者は、本発明の教示をあらゆる他のスプレードライに移し、そして本願発明の開示を考慮することによりパラメーターを見つけ出しうる。Master : Spray Drying Handbook, Fifth Edition, John Wiley & Sons, 1991, New Yorkに記載の方策は、他の設定のために選ぶべきパラメーターを見つけ出す方法に当業者を導きうる。好ましくは、当業者は彼らのスプレードライ装置のマニュアルを調べるか又はそのスプレードライ装置製造業者の技術サービスに連絡する。
【0047】
産生量を最適化するために、高密化又は焼結温度をできるだけ高くすべきである、すなわち融解限界をわずかに下回る。しかしながら、それが高すぎる場合、互いにくっついて、そしてふるい分けされなくてはならない凝集塊を形成するであろう。低すぎた場合、MGPsは最適な高密化がなされないであろう。非常に高温での粒子のさらなる処理は、磁性特性の損失をもたらす。非常な高温は、それゆえ控えられるべきである。厳密な温度はガラスの組成に依存するが、400℃〜1200℃である。EJガラス組成の場合、焼結温度は720℃〜770℃、好ましくは約750℃である。本発明の教示を考慮する際に各ガラス組成について前記温度を見つけ出すことは当業者の技術の範疇である。本発明により、スプレードライMGP粉末は、図2に表わされた、そして実施例1.4に記載されたとおりさらに処理されうる。好ましくは、前記粉末を、200℃で1時間加熱し、場合により室温まで冷やされ、そして窒素雰囲気中、1K/分の加熱速度により750℃(高密化又は焼結温度)まで加熱され、そしてその温度で1時間保持される。その後、炉を150℃まで冷まし、そして大気中、再度200℃で1時間加熱する。室温まで冷ました後、その粉末をふるい(50μm)に移し、そして30分間ふるいにかける。ふるいがけしたサンプルを瓶に詰め、200℃で4時間滅菌し、次に80℃まで冷ます。その後そのガラス容器をオーブンから取り出し、滅菌したホイルで覆い、そして蓋をする。
【0048】
驚いたことに、本発明による磁性粒子は、サンプルからの生物材料の単離のために特に適している。さらに、核材料は天然資源であるためほとんど環境問題を引き起こさない。その上、本発明による粒子は、安価で、そして製造が容易である。
【0049】
本発明の他の目的は、生物物質をその粒子表面に結合する条件下、液体中に生物物質を含むサンプルを本発明による磁性粒子と接触させることにより生物物質を単離し、そしてその生物物質をその液体から分離する手順である。本発明により前記用語「液体中」は磁性粒子を加える前に加えられうる液体を意味する。しかしながら、それは、サンプル自体の粘性が低い、及びサンプル自体が液体の場合にその結果として磁性ガラス粒子を加える前に固形物質の添加により行われうるサンプル調製のためにサンプルにさらなる液体又は緩衝液が加えられてはならない状況をも含まれるべきである。試薬添加の指示は、方法の要件により変化しうる。
【0050】
生物物質は、特有の又は分子的な基準をもつ物質を意味することが理解される。それらは、特に細胞、例えばウイルス又は細菌、並びに多細胞生物から分離された細胞、例えばヒト及び動物細胞、例えば白血球、そして免疫学的活性低分子、及び高分子である。核酸、例えばDNA又はRNAは特に好ましい。本発明の1の態様において、標的核酸が濃度の点で微量成分である(又は少量でしか存在しない)特有の核酸の混合物を精製する。本発明により、標的核酸は着目の核酸、すなわちその存在がヒト又は動物の特定の症状又は疾患を示すものとして調べられるべき核酸であるべきである。例えば、(例えばB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス又はヒト免疫不全ウイルス由来の)ウイルス配列の存在は、個々の個体が特定のウイルスに感染していることを示す。その後、このウイルス配列は標的配列となる。他の標的配列は、例えば遺伝性疾患、例えば鎌状赤血球性貧血といった特定の疾患又は特定の型の癌に対する個体の素因を示す配列である。この例は、本発明について説明的であり、範囲を定めるものではない。
【0051】
本発明によるサンプルは、臨床サンプル、例えば血液、血清、うがい水、尿、脳髄液、痰、便、生検検体、及び骨髄サンプルを含む。前記サンプルは、環境分析、食品分析又は、例えば細菌培養、ファージ・ライセート、及び増幅手順、例えばPCRの産物からの分子生物学研究のために使用されるタイプのものでもありうる。
【0052】
記載した手順は、天然又は修飾された生物学的物質の分離に使用されうる。天然の生物学的物質は、その構造が天然の生物学的物質と比較して不可逆的に修飾されることのなかった物質であると理解される。これはどのような方法であっても修飾することができないサンプルの他の成分を意味するものではない。修飾した生物学的物質は、天然に存在しない物質、例えば反応性の、検出が可能な、固定化の可能なそれらの基に接着することにより修飾される核酸を含む。この1つの例は、ビオチン化核酸である。特定の場合において、前記サンプルは前処理なしに本発明の分離手順に使用されうる。しかしながら、多くの場合においては、前記サンプルはサンプル中に含まれる生物物質を遊離する適当な方法を用いて溶解されなくてはならない。
【0053】
サンプルの溶解手順は当業者により知られ、そして事実上、化学的、酵素的又は物理的でありうる。これらの手順の組合わせも応用できる。例えば、溶解は超音波、高圧を用いて、剪断力により、アルカリを用いて、溶剤又はカオトロピック生理的食塩溶液、あるいはプロテアーゼ又はリパーゼを使って行われうる。核酸を得るための溶解手順に関して、専門の文献、Sambrook et al. : Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Addition, Cold Spring Harbour Laboratory Press, Cold Spring Harbour, NY、及びAusubel et al. : Current Protocols in Molecular Biology 1987, J, Wiley and Sons, NYを参照のこと。
【0054】
分離されるべき生物物質に加え、サンプルは液体中に他の成分、例えば細胞残渣、タンパク質、塩、及び分離されない他の物質を含むこともできる。好ましくは生物物質を天然形で含むこのサンプルを、標的生物物質をその粒子表面に結合する条件下、粒子と接触させる。このための条件は含まれる生物物質のタイプに依存するが、基本的には既知である。それらは生物物質をその表面に結合させる方法にも依存する。免疫学的相互作用が結合に利用される場合、免疫複合体の形成に好適な条件を選ばなくてはならない。修飾された核酸を使用する場合、結合は修飾に対応する核酸の基を介して行われうる、例えばビオチンを介したストレプトアビジン・コートした表面との結合。しかしながら、核酸について、特にガラスへの核酸の直接の結合が好ましい、なぜなら特に、核酸を修飾しなくてもよく、そして天然の核酸さえ結合できるからである。ガラス粒への天然核酸の結合手順は従来技術に記載の手順に類似しうる。それは2〜8 mol/lそして好ましくは4〜6 mol/lの濃度のカオトロピック塩の存在下で好ましくは行われる。カオトロピック塩はヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウム又は塩酸グアニジニウムでありうる。他の化合物でも可能である。
【0055】
サンプルを前記粒子と接触させるために、サンプルをその粒子と混合し、そして結合が起こるのに十分な期間インキュベートする。当業者は、非磁性粒子により処理を行う手順からインキュベーション・ステップの継続期間に一般に精通している。このステップは、さまざまな時点で表面に固定された生物物質の量を測定することにより最適化されうる。10秒間〜30分間のインキュベーション時間が核酸にとって適当でありうる。
【0056】
粒子が、インキュベーション期間にそれ自身が流体と分離してしまうか、又は懸濁液は長時間損われずに維持されるかは、磁性粒子のサイズ及びタイプに依存する。粒子が小さくそして非磁化である場合、懸濁液は長時間損われずに維持される。粒子が大きなサイズである場合、粒子はインキュベーション期間の間に流体と分離してしまう。
【0057】
固定化は、好ましくは固定すべき物質の溶解度を下げることによる析出を介して行われない。むしろ、固定化は生物特異的相互作用(捕獲分子)又は吸着に基づく。これは非特異的に含まれることからの混入物を大いに妨げる。
【0058】
インキュベーションの後、生物学的物質は、液体から分離される。これは、一般的に磁場を利用することにより磁性粒子に結合した物質を分離することによって実現される。例えば、前記磁性粒子を、インキュベーションが行われた試験管壁に引き寄せることができる。次にその磁性粒子に結合されなかったサンプル内容物を含む液体を除去しうる。用いる除去方法は、インキュベーションを行った試験管の種類に依存する。好適なステップは、ピペッティング又は吸収による前記液体の除去を含む。
【0059】
必要であれば、次に、前記磁性粒子は、洗浄溶液を用いて1回以上浄化されうる。生物学的物質を粒子表面から遊離させることなく、できるだけ徹底的に望ましくない夾雑物を洗い流す洗浄液を使用する。好ましくはこの洗浄ステップは、粒子を前記洗浄液とともにインキュベートすることによって行われる。好ましくは粒子を、例えば振り混ぜ又は最初の磁場と異なる磁場を利用することにより、このステップの間に再懸濁させる。好ましくは汚染された洗浄液は、まさに生物学的物質の結合についての前記ステップのサンプルの様に除去される。
【0060】
最後の洗浄ステップの後、前記磁性粒子は減圧により軽く乾燥されうるか又は流体を蒸発させうる。アセトンを用いる前処理ステップも行われる。必要とされる場合、本方法により精製された生物学的物質は、磁性粒子から分離されうる。このステップは、その生物学的物質を磁性粒子に結合した方法にも依存する。前記生物学的物質が天然の核酸であり、そして磁性粒子がガラス・コート粒子である場合、その核酸は本発明による粒子から低い塩含有量を有する溶出緩衝液を用いて除かれうる。この種類の緩衝液は、DE 3724442及びAnalytical Biochemistry 175, 196-201 (1988)から知られる。低い塩含有量を有する溶出緩衝液は、特に0.2 mol/l未満の含有量を有する緩衝液である。特に好ましい態様において、溶出緩衝液はトリスを含む。特殊な他の態様において、溶出緩衝液は脱塩した水である。本発明による手順の利点は、流体から生物学的物質を分離することが非常に容易な点である。従来技術において、夾雑物からガラス粒子を分離するために遠心分離ステップを用い又はその生物学的物質がガラス繊維フィルターに結合される場合には、流体をフィルターに通した。これは、大量サンプルの処理を難かしくする制限的なステップである。生物学的物質は、本発明による粒子を用いてより効果的に夾雑物から分離されうる。特に、特定の酵素反応の阻害剤を本発明により大いに除去しうる。
【0061】
好ましい態様において、本発明の粒子は溶解混合物に加えられる。吸着が起こるのに好適な期間の後−これは機械的な撹拌により最適化されうる−その粒子は、検出されるべきでない余分な細胞成分を含む周囲の流体から分離される。これは、好ましくは磁石を容器壁のそばに置くことにより磁場を利用することで行われる。
【0062】
まだ存在しているであろうすべての夾雑物を除去すべく、洗浄が好ましくは測定されるべき核酸をガラス表面から遊離させない流体により行われる。ガラス表面から核酸を分離する試薬条件を有する溶出緩衝液を加え核酸をガラス表面から外す。これらの条件は、特に低塩条件である。意図された核酸のさらなる使用に依存して、前記液体はここで粒子から分離され、そしてさらに処理されうる。この分離ステップは、好ましくは粒子を溶出液から分けるための磁場の利用を介して行われる。
【0063】
本発明の好ましい態様は、例えばWO99/16781に記載のようなオートメーション化しうる方法における本発明のMGPsの使用である。オートメーション化しうる方法は、ヒトによる外部からの制御又は力をわずかにともなうか又は全くともなわずに作動が可能である装置又は機械により実行されるのに好適な、方法の中のステップを意味する。自動化方法は、方法の中のステップが、ヒトによる外部からの制御又は力をわずかにともなうか又は全くともなわずに作動が可能である装置又は機械により実行されるのに好適であることを意味する。方法の準備ステップだけはヒトの手により行われるべきである、例えば保存容器を満たし、そして備え付けなくてはならず、ヒトによる供されるべきサンプルの選択であり、そしてさらなるステップは当業者に知られる、例えば制御コンピューターの操作である。前記装置又は機械は、液体を自動的に加えるか、サンプルを混ぜるか又は特定の温度でインキュベーション・ステップを実行しうる。典型的には、そのような機械又は装置は、1つのステップ又は命令を指定するプログラムを実行するコンピューターにより制御されたロボットである。好ましい自動化方法は、高処理量様式で実行される方法であり、これは、方法及び短時間にサンプルの高処理量のために最適化される、利用機械又は装置を意味する。
【0064】
他の態様において、本発明によるMGPsは、いくつかの反応ステップが手作業により行われることを意味する半自動化過程に使用される。本発明の好ましい態様において、本発明によるMGPsを含む懸濁液は保存容器から取出され、そして一部が別の反応容器に加えられる。反応容器は、究極的にはそこで反応を実行しうる96又は384以上のウェルを含むマイクロタイタープレート形である、プラスチック製の反応試験管でありうる。しかしながら、これらの容器は他の素材、例えば鋼鉄から作られうる。
【0065】
本発明の好ましい態様は、検出ステップが引き続く精製方法又は増幅及び検出ステップが引き続く精製方法である。標的核酸(target nucleic or nucleic acid)又は着目の核酸は、非標的核酸の混合物中に含まれうる、さらに上述の特定の核酸の混合物中の微量成分でさえありうる。好適なDNA検出方法は、当業者に知られ、そしてSambrook et al. : Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Addition, Cold Spring Harbour Laboratory Press, Cold Spring Harbour, NY及びAusubel et al. : Current Protocols in Molecular Biology 1987, J. Wiley and Sons, NYといった標準的な教本に記載されている。DNA検出ステップの前にもありうるさらなる精製ステップは、例えば沈殿ステップとして行われる。前記検出方法は、二重鎖内に挿入され、そしてその吸光度を変化させる臭化エチジウムのような特定の染料の結合又は挿入を含みうるがそれだけに制限されない。精製されたDNAは、場合により制限的消化の後に電気泳動により分けられ、そしてその後に可視化される。特異的な配列へのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを利用し、そして引き続いて上記ハイブリッドを検出する、プローブに基づくアッセイもある。当業者に知られているさらなるステップの後にDNAの配列決定することも可能である。最近の方法は特異プローブがそれに結合されるシリコンチップに多様なDNA配列を適用し、そして相補的な配列が結合するときにシグナルを発生する。
【0066】
本発明による好ましい方法は、検出可能な量までの標的配列の特異的増幅であるところの、リガーゼ連鎖反応、及びポリメラーゼ連鎖反応といった増幅方法である。時に好ましい検出方法は、WO92/02638及びそれに対応する米国特許第US 5,210,015号、同第US 5,804,375号、同第US 5,487,972号に記載のTaqMan(商標)法である。この方法は、シグナルを発生させるためにポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性を利用する。詳細には、核酸はサンプルと標的核酸の1の領域に対しての相補的な配列を含むオリゴヌクレオチド及び同じ標的核酸配列の鎖の、しかし上記第1のオリゴヌクレオチドにより定義される核酸配列を含まない第2の領域に対し相補的な配列を含む標識されたオリゴヌクレオチドを、ハイブリダイゼーション条件の間に上記第1オリゴヌクレオチドの3′末端が上記標識オリゴヌクレオチドの5′末端に隣接するような第1オリゴヌクレオチド及び標識オリゴヌクレオチドにアニールした標的核酸を含む二重鎖の混合物を作り出すための接触を含む工程により検出される。次に5′→3′ヌクレアーゼ活性をもつ鋳型依存性ポリメラーゼによりアニールした標識オリゴヌクレオチドを切断するために、上記ポリメラーゼの5′→3′ヌクレアーゼ活性をもたせ、そして標識切片が遊離するのに十分な条件下でこの混合物を処理する;前記標識オリゴヌクレオチドの加水分解により発生したシグナルを検出及び/又は計測する。TaqMan(商標)技術は、固層結合された反応複合体を形成し、そして検出可能にする必要性を取除く。
【0067】
より一般的な言葉で言えば、増幅及び/又は検出反応が複数の標的の同時検出のための均質溶液相多重アッセイ(homogeneous solution-phase multiplex assay)(実施例7.2を参照のこと)である検出ステップがそれに引き続く生物学的物質の精製手順を開示する。
【0068】
本発明の他の態様において、記載の精製手順を、以下に記載の方法の1つを用いた増幅手順、好ましくはブロッキング・オリゴヌクレオチドの使用と組合わせる。多くの場合増幅、特に微量の標的核酸の増幅に関係した問題は、低い温度(40℃までの室温)での耐熱性ポリメラーゼの活性である。この温度でプライマー・オリゴヌクレオチドはしばしば互いに又はバックグラウンド核酸に非特異的に結合し、そしてポリメラーゼにより伸長される。これは反応成分の損失及び高いレベルのバックグラウンド・シグナルを引き起こし、そしてその結果として感度の低下を引き起こす。これは誤った陽性結果をももたらす。ポリメラーゼの非特異的活性を避けるために、「ホット・スタート」−PCR(Chou et al., 1992, Nucl. Acid Res 20, 1717-1723)、共有結合性修飾ポリメラーゼ(例えばAmpliTaq Gold, Perkin Elmer)又は抗体(Scalice et al., J. Immunol. Methods, 172, 147-163, 1994)、及びオリゴヌクレオチド(Dang and Jayasena, JMB 264, 268-278, 1996; US 5,763,173; US 5,693,502)の様ないくつかの方法が示されている。本発明によりブロッキング・オリゴヌクレオチドは、前述の温度までポリメラーゼの活性中心を封鎖しうるオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、例えば実施例7.2.2.1.3に記載のアプタマーでありうる。
【0069】
本発明の他の態様において、アプタマー(例えば実施例7.2.2.1.3を参照のこと)及び/又は修飾プライマー(例えば実施例7.2.2.1.3を参照のこと)を単独で増幅反応及びこれに続く検出方法に使用しうる。これは有益な効果をもち、そしてそれ自体が優れた結果を提供する発明であるとみなされうる。本発明の好ましい態様において、3′末端核酸塩基、アデニンがp−(t−ブチル)−ベンジル残基により修飾される。3′−1位にそれを含むさらなる修飾は、EP 866 071 A2(本明細書に援用)に記載される。
【0070】
さらに他の態様において、後に検出ステップが引き続く生物学的物質の精製のための本発明は、アニーリング温度がポリメラーゼ−アプタマー複合体の分離温度を8℃未満、好ましくは3℃未満上回る、少なくとも5サイクルのポリメラーゼ連鎖反応のために開示される。
【実施例】
【0071】
以下の実施例は、本発明の態様を説明するための助けとなる。
【0072】
1 実施例1:磁性ガラス粒子の製造
SiO2 及びアルカリ−又はアルカリ土類炭酸塩(Na2 CO3 ,K2 CO3 ,CaCO3 )の様な未加工の原料を一緒に融解した。
反応様式は以下のとおりである:
【0073】
【化6】
【0074】
しかしながら、たいていの場合において、シリケート、ボレート、及びアルミネートの混成基質を使用する、すなわち、適切な基質構成物質であるSiO2 はB2 O3 及びAl2 O3 により部分的に置き換えられている。
【0075】
あるいは、ガラスをゾル−ゲル反応を介して合成しうる。反応様式は以下のとおりである:
我々の場合は、酸触媒ゾル−ゲル反応、例えば
【0076】
【化7】
【0077】
又は塩基触媒、例えば
【0078】
【化8】
【0079】
のいずれかである。
利点:アルコールがスプレードライの間に容易に蒸発する;理想的には表面上への塩の再結晶化がない。
したがって、アルコラートを水酸化物に変え、水を排除するために対応の酸化物を生じる。
次にこれらは、例えば以下:
【0080】
【化9】
【0081】
のように基質結合のセパレーターとして特定の酸化金属成分をその中に包埋する、SiO2 /B2 O3 /Al2 O3 から成る3次元の非晶性ガラス基質を形成する。本明細書に記載した実験のために、ガラス成分を塩基触媒ゾル−ゲル合成により製造した。全ての実験で用いたガラスの組成は(別に示されない限り)以下のとおりであった:
70.67 Mol% SiO2 、14.33 Mol% B2 O3 、5.00 Mol% Al2 O3 、4.00 Mol% K2 O、2.00 Mol% CaO、4.00 Mol% ZnO
(反応によりもたらされる個々の抽出物の質量から計算)
1.1 調査した磁性色素の説明
異なるタイプの磁性色素を調査し、そして表1に概要を示した。
【0082】
1.2 コート・ゾル(EJ組成物)の製造
抽出物を加熱できる撹拌容器に以下の順序及び量で加える。
【0083】
【化10】
【0084】
その後容器を閉じる。ゾルを70℃まで加熱して、そして一晩中(15時間)撹拌する。液中に浸した温度センサーにより温度を調節する。次にゾルを90℃まで加熱し、そしてアルコール/水の混合物(エタノール:3781ml、H2 O:1512ml)を500ml/hの速さで加える。前述の混合物の添加の後、容器を20℃まで冷ます。蓋を空け、そして10249gの磁性色素(CERAC)を強く撹拌しながら加える。調製したゾルをホースによりスプレー・ドライヤーに移す。
【0085】
1.3 スプレードライ
スプレー・ドライヤーの噴射口を200℃に調節する。ノズル圧を6bar に調節し、そしてそのノズルをエタノールにより3分間冷却する。次にホースをガラス容器の出口につなぎ、そして色素含有ゾルを超音波デバイス(200w)を通してスプレー・ドライヤーの二流体ノズル(two fluid nozzle)(開口部の直径:2mm;部品製造業者:Nubilosa, Type 1B1VVS1)へ110m/分の速さで押し出す。スプレー・ドライヤー・装置を図3に図解の形で示す。最初の2分間に形成された粒子を捨てる。ゾルの完璧なスプレーの後、粒子をともなうサイクロ(登録商標)ン(AVO、図3を参照のこと)の下の容器を取り出し、そしてその粒子を次のステップに記載のとおりさらに処理する。
【0086】
ゾルを含む色素を撹拌容器内で懸濁した粒子の沈殿を妨げるために撹拌する。そのゾルをポンプ(SP)を用いて容器からノズルに移す。電熱器(EWT)により加熱した窒素を乾燥用のガスとして使用する。コート色素を乾燥用チャンバー(T)からサイクロ(登録商標)ン(ZY)に移す。乾燥した粉末をサイクロ(登録商標)ン下の容器(AVO)から取り出す。非常に細かい粒子をフィルター(SF)により窒素から除去する。スプレー・ドライヤーを過度の圧力で使用しドライヤー内への空気の取込みを防ぐ。ガスの流れをガス送風機(AV)により作り出す。
【0087】
1.4 スプレードライ粉末のさらなる処理
前記粉末をセラミックのボールに移し、そして1K/分の加熱速度で200℃まで炉の中で加熱する。次に温度を200℃で1時間保持し、そしてその後オーブンを室温まで冷ます。ボールを1時間当り60lの窒素によりリンスされる27lの容積をもつガス炉(atmosphere furnace)に移す。その炉を1K/分の加熱速度で750℃まで加熱し、そしてその温度で1時間保持する。次に炉を150℃まで冷まし、そして1時間当たり60lの空気によりリンスする。炉を2K/分の加熱速度で200℃まで加熱し、そしてその温度で1時間保持し、そしてその後室温まで冷ます。粉末をふるい(50μm)に移し、そして30分間ふるいにかける。その後、ふるいにかけたサンプルをガラス容器に詰め、1K/分の加熱速度で200℃まで加熱し、その温度で4時間保持し、そして次に80℃まで冷まされるオーブンにより蓋をせずに滅菌する。次にそのガラス容器を炉から取り出し、滅菌したホイルにより覆い、そして蓋により閉じた。
【0088】
重要な工程パラメーターの概要は表2及び表3にあり、製造した個々のサンプルをいくつかのデータとともに表3に示す。各サンプルは固有のコードをもつ。最初の2文字は用いたガラスの化学的性質(以下を参照のこと)を表し、そして次の4つの数字は製造工程(表2を参照のこと)をコードする。その数字の後に用いた色素(表1を参照のこと)を記載する。前記の文字Rは微細内容物が除かれていないことを意味するのに対して、Eは微細内容物がエタノールにより除かれていることを意味する。最後の2つの数字はロット番号を表す。抽出物の量から計算したガラス(コードEJ)の組成は、70.67 Mol% SiO2 、14.33 Mol% B2 O3 、5.00 Mol% Al2 O3 、4.00 Mol% K2 O、2.00 Mol% CaO、4.00 Mol% ZnOであった。ガラス(コードRN)の組成は、74 Mol% SiO2 、15 Mol% B2 O3 、5.00 Mol% Al2 O3 、4.00 Mol% K2 O、2.00 Mol% CaOであった。ガラス(コードEP)の組成は、73.61 Mol% SiO2 、14.93 Mol% B2 O3 、5.21 Mol% Al2 O3 、4.17 Mol% K2 O、2.08 Mol% CaOであった。
【0089】
2 実施例2:高解像走査型電子顕微鏡検査
MGPの表面、サイズ、及び形態の情報を得るために、我々はJEOL社により製造された高解像走査型電子顕微鏡(JSM)により調査を行った。サンプルを電気伝導性の両面接着テープによりサンプル・ホルダー上に広げ、30mAの電流で36秒間金によりスパッタする。表面を推測するために、放出した2次電子(トポグラフィー(topography))、及び後方散乱電子(オーダー・ナンバー・コントラスト)を観察する。使用した主な電子電圧は、10kV(2次電子)又は25kV(後方散乱電子)であった。
【0090】
図4は磁性色素(BM)として酸化鉄(III)により覆われた雲母によるMGPsを示す。非収縮性材料上で層が収縮し始める場合の粒子のスプレードライに由来するガラス殻の亀裂をはっきりと見ることができる(乾燥性亀裂)。さらにより大きな磁性粒子(10〜60μm)を1つも含まない多数の球状粒子を見ることができる。磁性核をもたないこれらの球体(非磁性微細成分)は磁場により除去できず、PCR反応に移され、そしてこの反応を妨げる。
【0091】
磁性色素(平均粒子サイズ23nm)が層に張力を生じさせないためスプレードライ処理の間に亀裂が作られないため、CERAC色素による粒子(図5を参照のこと)には亀裂がない。さらに、小さなCERAC粒子は、そこに含まれた非磁性粒子がないため微細成分内に取込まれもする。その粒子は、雲母による粒子よりも相当小さくもあり、それは同じ倍率のこれらの図において観察されうる。他の磁性色素によるMGPsを図6〜図10に同じ倍率で示す。
【0092】
3 実施例3:MGPsの物理的調査
実際の機能試験の前にMGPsの評価を与えるために、HREM調査に加えてさらに物理的計測をMGPsについて行った。水中での鉄の溶解度、磁力、微細成分、密度について知ることは興味深かった。以下にその実験を記載し、そして結果を示した。
【0093】
3.1 吸光度計測
前記の微細粒が除かれているかどうか試験するために、1000mgの加熱処理し、そしてふるいがけした粉末を50ml容遠心管(Sarstedt)に量りとり、40mlの水を加え、そして振りまぜて分散させる。次にその管を、全体を埋める高さを有する超音波バス(Sonorex (RX 102H; 120/240W))に入れ、そして磁性分離機(Roche Diagnostics GmbH RD Art. Nr. 1858 025)に乗せる。3.5分間の磁性分離の後、液体を磁石の向かい側の15mlマークの高さでパスツール・ガラス・ピペットにより容器から取り、そして5mm石英キュベット(Type 110-QS, Hellma)に満たす。その上清の吸光度をUV−VIS−NIR分光計(Hitachi U-3000)により脱イオン水で満たした対応のキュベットに対して計測する。計測の範囲は、偶発的な夾雑物の吸収バンドに関するこの波長範囲を調査するために1nmきざみで200〜1100nmとした。280nm及び400nmの波長での吸光度を参考として測った。
【0094】
3.2 密度計測
密度計測のために、ガス・ピクノメーター(AccuPyc 1330, Fa.Micromeritics)を使用する。ヘリウム6.0をガスとして使用する。装置を市販の標準物質(容量概知の金属ビーズ)により標準化する。さらに、サンプルを少なくとも150℃で1時間乾燥し、そして次に計測容器に満たし、そして計量する。計測容器をガス・ピクノメーター内に入れた後、10の洗浄サイクル及び5の計測サイクルを平均容量及び標準偏差を測定するために用いた。
【0095】
3.3 溶解度の計測
コート及び加熱処理サンプルの鉄溶解度をInductive Coupled Plasma-Atomic Emission分光法(JY24,ISA社)により測定する。そのために、1gのサンプルを50ml容ポリプロピレン管に移し、滅菌水で満たし、そして60℃の温度で20時間保持する。次に、サンプルを0.2μmシリンジ・フィルターによりろ過し、そしてそのろ液を計測する。4の単独測定を259.940nmの波長で実施し、そしてそこから平均値を計算する。
【0096】
3.4 磁力の計測
磁力を計測するために、MGPsで完全に満たしたPP−計量用試験管(Licefa社、Art. Nr. V2-3)を計量する。ステンシルの助けにより、このサンプル容器を、その管の蓋を閉じたままにできるように真ちゅうをのせたLDPE管(Kartell社、TS735)の中央に置く。前記容器を他のステンシルの助けにより天秤(検出精度0.1g)の中央に配置する。天秤の平衡化の後、円柱形の磁石(直径:30mm;高さ:113.5mm;材質:サマリウム−コバルト2/17)を含むプラスチック・カプセルを天秤の上に配置する。
【0097】
その結果、天秤のMGPsは重力に逆らって引き寄せられることでその重量が減少する。平衡状態の調整(1.5分)の後、サンプルの重量損失を測定し、そしてその値を250mg MGPについて正規化する。
【0098】
3.5 結果
EJ組成物及び異なる色素によるMGPsの物理的特徴づけの結果を表3に概要として示す。吸光度の値はCERAC色素を用いた場合、非常に低いことが注目に値する。これは、小さなCERAC色素(23nm)が各磁性ガラス粒子内に取込まれうることでの非磁性微細成分の欠如により説明されうる。CERAC−MGPsの密度は非常に高いわけではない。これは沈殿速度に決定的な影響をもつ。磁力は、大きな変動の影響下に置かれるが、しかしながらそれはCERAC色素の使用により明らかに影響をうける。CERAC−MGPsは水への鉄の比較的高い漏出を有する。しかしながら、10倍多い量であってもPCR反応にいかなる影響をも示さなかった。
【0099】
要するに、前記物理的特性には、異なる色素の間での全く違いがないが、CERAC−MGPsが非常に少ない微細成分を有することを言明しうる。
【0100】
4 実施例4:BET表面に対する磁性核色素及びスプレー・ドライヤーの効果
表面をMicromeriticsのデバイス(Type ASAP 2400)を用いて測定した。計測を液体窒素温度で行った。窒素5.0を計測用ガスとして、そしてヘリウム4.6を不活性ガスとして用いた。典型的には、5gのサンプルを1回の計測に用いた。MGPsの表面はDNA及びRNAの分離の役割を果たす。優れた表面はより多くのDNAを同じ質量のMGPsにより結合しうる。それは少ないMGPsを使用し、そして同じ成果を得ることをも可能にする。これはPCR反応内に夾雑物として導入されうるアルコールの減少を意味する粒子間の体積を減らす効果をもつ。いくつかのサンプルについての計測したBET表面のデータを表4に概要として示す。大きなスプレー・ドライヤーで製造したサンプルの表面を比較する場合、小さな色素(BASF FA, STREM、及びCERAC)によるサンプルは比較的大きな表面を有し、一方大きなMerck色素は小さな表面を有することに留意すべきである。これは大きな磁気粒子が大きなMGPsを生じるのに対し、小さな磁性粒子がスプレー・ドライ処理の間の球状滴中に取込まれ、したがって同じようなスプレー条件下で同じような表面を有するという事実により生じうる。BASF CE−SU粒子は、小さな粒子(BASF FA, STREM、及びCERAC)と大きなMerck粒子の間に分類されるサイズを有する。Merck粒子との対比において、その粒子が非常に滑らかなガラス表面を有するので、それらは構造的な表面を持たない。これは小さな表面をもたらす。より高い圧力が小さなスプレー・ドライヤーにより用いられ、そしてこのスプレー・ドライヤーのノズルは大きなスプレー・ドライヤーのそれよりも異常に小さい。これはより小さな粒子を生じ、それにより表面が著しく減少する。これは実施例5.2.1の結果とよく一致している。
【0101】
さらなる物理的調査の結果に対する磁性色素又はスプレー圧のあらゆる効果は、前述の亀裂形成及び微細成分に対する効果を除いて認められない。しかしながら、表面の計測だけは機能的な効果の結果への直接的なつながりを示す。他の物理的効果の結果はこの直接的なつながりを示さない。
【0102】
5 実施例5:放射性トレーシングによる結合試験
核酸の抽出へのそれらの適合性に関してMGPの評価のためのいくつかの方法がある。精製前後の260nmでの吸光度の測定は、感度が低く、そして少量の標的核酸を臨床材料から抽出する状況に類似しない。例えばPCR,RT−PCR,NASBA又は他の類似物によるような核酸の増幅方法に頼る機能的な評価方法の結果は、たいてい十分な説得力がない。さらに、標的ゲノムのわずかなコピーの測定に好適なこれらの方法は、サンプル材料又はサンプル調製処理からの物質による妨害の影響を受けやすい。
【0103】
放射性物質結合試験はサンプル調製処理の段階的な分析を可能にする好適な分析方法である。成果データは完全なデータではないが、必ず言及の粒子の性能に相関する。
【0104】
5.1 実験プロトコール
最初に、放射性標識DNA又はRNAを32P−標識デオキシヌクレオシド又はヌクレオシド−三リン酸の存在下でのPCR又はインビトロにおける転写処理により酵素的に合成する。次に、この標識DNA又はRNAを遊離のヌクレオシド−三リン酸から分離し、含有量を測定し、そして確定した希釈液を調製する。少量の標識DNA又はRNAを実験前に各サンプルに加える。サンプル調製の間に、全ての核酸はカオトロピック物質存在下、MGPsに結合する。そのMGPsを磁力の使用によりペレット形成し、そして上清を捨てることができる。前記ペレットを洗浄し、そして結合した核酸を、反応条件の反転により、すなわち低塩の溶出緩衝液の添加により高めた温度で溶出する。結合の後、そして場合により洗浄ステップの後、前記粒子上清のアリコートをフィルター上にスポットする。前記溶出液、及び水中に再分散させたMGPを同様にフィルター上にスポットし、その後乾かす。最後に、そのフィルターをベータ・カウンターにより計測し、そして各サンプル調製についての分布を計算する。
【0105】
5.1.1 放射性標識DNAの調製
5.1.1.1 A.1.1.試薬
− Expand High Fidelity PCR装置(Roche Molecular Biochemicals Cat. No. 732641 )
− dNTPミックス(Roche Molecular Biochemicals Cat. No. 1277049)
− デオキシシチジン5′−アルファ−P32三リン酸dCTP 3000Ci/mmol( Amersham Cat. No. PB 10205)
− ランダム−DNA(Roche Cat. No. 1029053)濃度1ng/ml
− 放射性トレーサー・プライマー1(配列番号1)濃度5,3OD260 /ml
− 放射性トレーサー・プライマー2(配列番号2)濃度5,2OD260 /ml
− QIA Quick PCR精製キット(Qiagen Cat. No. 28104)
5.1.1.2 反応
− 29.5μl二重滅菌水
− 5μl Expand High Fidelity緩衝液
− 二重滅菌水により希釈した2.5μl dNTP ミックス(1:10)
− 1μl放射性トレーサー・プライマー1(配列番号1)
− 1μl放射性トレーサー・プライマー2(配列番号2)
− 0.3μl 32P−dCTP
− 10μlラムダ−DNA
− 0.75μl Expand High Fidelity−酵素ミックス
5.1.1.3 増幅
− 2分間94℃
− 10サイクル(10秒間、94℃/30秒間、60℃/60秒間、72℃)
− 20サイクル(10秒間、94℃/30秒間、60℃/60秒間、72℃+10秒 間、72℃伸長毎サイクル)
− 7分間72℃
− 4℃
5.1.1.4 精製
− QIA Quick PCR 精製プロトコール(Qiagen)による
5.1.1.5 希釈
二重滅菌水によるDNAを1:10に希釈し、そしてベータ線計数管により計測する。
【0106】
5.1.2 A.2.放射性標識RNAの調製
5.1.2.1−試薬
− SP6/T7転写キット(Roche Molecular Biochemicals Cat. No. 999644)
− ウリジン5′−alpha−P32三リン酸UTP 3000Ci/mmol(Amersham Cat. No. PB 10203)
− プラスミドpBKBH10S、EcoRIにより線状化し100μg/mlで
− High Pure RNA精製キット(Roche Molecular Biochemicals Cat. No. 1828665)
5.1.2.2−反応
− 2μl 10×緩衝液
− 3μl NTPミックス(AGC)
− 1μl UTP(二重滅菌水により)
− 5μl 32P−UTP
− 7μl 線状化プラスミド
− 1μl RNAse阻害剤(Roche Molecular Biochemicals Cat. No. 802808)
− 1μl T7 RNA−ポリメラーゼ
5.1.2.3 転写及びDNase消化
− 37℃で20分間インキュベーションし、
− 2μlのRNase不含DNaseを加え、
− 37℃で10分間インキュベートし、
− 178μlの二重滅菌水を加える。
【0107】
5.1.2.4−精製
− High Pure RNA 分離プロトコール(Roche Molecular Biochemicals)による。
【0108】
5.1.2.5−希釈
二重滅菌水によりRNAを1:30に希釈し、そしてベータ線計数管により計測する。
【0109】
5.1.3−放射性サンプルの調製
5.1.3.1−試薬
− 陰性血漿
− プロテイナーゼK 濃度20mg/ml(例えばRoche Id. Nr. 1942387)
− ポリ−A−RNA(例えばRoche Id. Nr. 108626)濃度1mg/ml;溶解緩衝液によ り1:1000(体積/体積比)に希釈
− 溶解緩衝液(50mMトリスpH7.0、15%(v/v)ポリドカノール、5Mイソ チオシアン酸グアニジニウム、1mM DTT)
− 60mg/ml又は6mg/mlでイソプロパノール中に懸濁した(ガラス組成物EJ及び 異なる核色素(BM, MMB, CERAC, STREM, BASF-FA, BASF-CE)による)BGP
− 洗浄緩衝液(20mMトリスpH7.5、20mM NaCl、70%(v/v)エタノ ール)
− 溶出液:二重滅菌水
− 補助物質:Whatman GF/Dフィルター
5.1.3.2− 反応(1.5mlプロトコール)
− 80μlのプロテイナーゼKに
− 410μlの陰性血漿を加え、そして混合し、
− 500μlの溶解緩衝液を加え、そして混合し、
− 10μlの放射性標識DNA又はRNAを加え、そして混合し、
− 振り混ぜながら室温で10分間インキュベートし、
− 500μlのMGP懸濁液(濃度6mg/ml)を加え、混合し、
− 振り混ぜながら室温で20分間インキュベートし、
− 磁性セパレーター(Dynal)により2分間分離し、
− 上清を除き、そして300μlをフィルター上にスポットし、
− 750μlの洗浄液を加え、ボルテックスし、2分間分離し、
− 上清を除き、最終的に375μlの上清をフィルター上にスポットし、
− 洗浄手順を2度くり返し、
− 100μlの溶出液を加え、サーモミキサーにより80℃で5分間インキュベート し、
− 磁石ホルダーにより2分間分離し、上清をフィルター上にスポットし、
− フィルターを乾燥オーブンにより75℃で60分間乾燥し、
− フィルターをシンチレーション管に移し、5mlのシンチレーション液を加え、そし てベータ線計数管により計測する。
【0110】
5.1.3.3−実験プロトコール(1mlプロトコール)
− 25μlのプロテイナーゼKに
− 415μlの陰性プラスミドを加え、そして混合し、
− 500μlの溶解緩衝液を加え、そして混合し、
− 10μlの放射性標識DNA又はRNAを加え、そして混合し、
− 振り混ぜながら室温で5分間インキュベートし、
− 50μlのMGP懸濁液(濃度60mg/ml)を加え、混合し、
− 振り混ぜながら室温で20分間インキュベートし、
− 磁性セパレーター(Dynal)により2分間分離し、
− 上清を除き、そして300μlをフィルター上にスポットし、
− 700μlの洗浄緩衝液を加え、ボルテックスし、2分間分離し、
− 上清を除き、最終的に350μlをフィルター上にスポットし、
− 洗浄手順を2度くり返し、
− 120μlの溶出液を加え、サーモミキサーにより80℃で10分間インキュベー トし、
− 磁石ホルダーにより2分間分離し、上清をフィルター上にスポットし、
− 100μlの溶出液を加え、再懸濁し、そしてMGPsをフィルター上にスポット し、
− フィルターを乾燥オーブンにより75℃で60分間乾燥し、
− フィルターをシンチレーション管に移し、5mlのシンチレーション溶液を加え、そ してベータ線計数管により計測する。
【0111】
5.2 放射性トレーシング実験の結果
5.2.1 RNA単離に対する磁性核色素又はスプレー・ドライの影響
EJガラス化学及びナノ−又はマイクロの範囲のさまざまな色素(MMB, CERAC等)を用いて異なるスプレー・ドライヤー(Buechi又はNubilosa)で製造された異なるMGPタイプをウイルス−陰性貯留物質からの核酸の抽出でのそれらの振る舞いに関して実施例5.1.3.2による放射性トレーシング法により特徴づけした。RNAパラメーターはその試験の内で最も高感度であることが証明し、そしてその結果、パラメーターとして選ばれた。図11は、溶出液中に少量の結合RNAしか見ることができなかったため、BASF−CEが核材料として好適ではないことを示す。6bar でBuechi装置によりスプレーされたEJ/CERAC粒子は、Nubilosa装置によりスプレーされた基準EJ/MMBの性能を示した。
【0112】
5.2.2 DNA又はRNAの単離に対するスプレー処理パラメーターの影響
異なるスプレー圧のNubilosa装置により製造された異なるMGPタイプを実施例5.1.3.3により比較する。基準粒子は、EJ/MMB MGPである。DNA及びRNA結合特性を調査する。DNAパラメーターがスプレー圧への非依存を示すのに対し、RNAパラメーターは顕著な性能の違いを示す。Nubilosa装置により1.5bar のスプレー圧によって製造したEJ/CERACの性能は、基準のそれよりも低い。1.5〜3.4bar 変化したスプレー圧への依存により1連の中でより低い性能が存在する(〜30%)。4.3bar でスプレーされる粒子は、1.5bar でスプレーされた粒子の性能の90%に達する(図12を参照のこと)。前記実験は、MGP製造に関する処理パラメーターと試験における性能の直接的なつながりを証明する。スプレー圧の増加は低い試験性能をもたらすが、特定のスプレー圧からの開始は、粒子特性をより良好な性能をもたらすように改善することに留意すべきである。
【0113】
5.2.3 RNA及びDNAの単離に対するさまざまなMGP製造パラメーターの影響
これらの実験は、スプレー圧の変異がより良好な性能を有するMGPsをもたらすかどうかの結果を導くはずである。
【0114】
そのため、MGPsを、スプレーガスとして窒素を用いて1.5bar ,4.3bar 、及び6bar の圧力でNubilosa装置により製造する。
【0115】
完全な乾燥処理を得るために、スプレー・ドライヤーの噴射口及び出口温度をさらに下げる。RNA単離に対するこれらの因子の影響を、基準としてEJ/MMB MGPを用いて実施例5.1.3.3により調査する。
【0116】
結果(図13を参照のこと)は、スプレー温度の低下により引き起こされる、そして予測しえなかった劇的な性能低下の驚くべき効果を示す。スプレー圧の上昇により基準に似た性質の性能を達成することは可能であった。優れた懸濁液安定性に付随して、結果として、これらの粒子は基準よりも優れている。
【0117】
6 実施例6:磁性ガラス粒子の沈殿分析
6.1 実験プロトコール
Kontron Instruments製のUrikon分光光度計モデル930を磁性ガラス粒子の沈殿性質の評価のために使用する。この分光光度計を、物差しの目盛りにそってキュベットの可変調節を可能にするために変更する。計測のためにキュベットを、650nmの波長をもつ計測ビームが内容物の高さの2/3の位置(物差しの位置は7.5)でキュベットを横切る位置にセットする。4mlの容量及び1cmの光路長を有するポリスチレン製のマクロ・キュベットを用いる。計測に先立ち、較正を純粋な懸濁溶媒に対して単ビーム法により行う。MGPを、典型的には3mg/mlの質量/容量比で懸濁媒質中に均質に分散させ、そして直ちに計測する。時間による吸光度の変化を前述の650nmの波長で連続的に観察する。
【0118】
異なるサンプルの沈殿速度の比較のために使用される物理的な量は特定の懸濁媒質における半減期(t1/2)である。これはキュベットの上部3分の1における懸濁液の吸光度が計測の開始時の半量になるまでの時間である。吸光度の低下は、粒子の沈殿、及び付随する試験容量の上部3分の1のクリアランスにより生じる。
【0119】
前記デバイスは、さらにキュベットの下方の磁石の据えつけを可能にする。そのため、磁気分離の速度を計測しうる。
【0120】
6.2沈殿分析の結果
6.2.1 実験1:
ナノ−又はマイクロメートルの範囲のさまざまな核、及びEJガラス化学反応により製造されたいくつかのMGPタイプを、それらの沈殿及び分離性質、すなわちキュベットの下の磁石の有無について分光光学的に評価する。質量/容量は、この場合6mg/mlである。前記懸濁媒質は、イソプロパノールと溶解緩衝液の1:1混合物である。結果は概要を示す。CERACタイプからの粒子は懸濁液の安定性において明らかな優位性を示すが、磁気分離についての劣性は示さない(図14も参照のこと)。
【0121】
6.2.2 実験2:
EJガラス化学反応により製造されるCERACタイプからのさまざまなMGPsの沈殿性質を純粋なイソプロパノール中で評価する。
【0122】
主要な製造パラメーターは、以下のとおりである。
【0123】
EJ0100.5R−01−1.5bar のスプレー圧、230℃の噴射口温度、Nub ilosa装置
EJ0108.5R−01−4.3bar のスプレー圧、230℃の噴射口温度、Nub ilosa装置
EJ0096.5R−01−6.0bar のスプレー圧、150℃の噴射口温度、Bue chi装置
EJ0096.5R−01を図15に示す。これらのビーズは、大きな球状で、高次構造表面を有し、そして主に0.5〜5μmのサイズである。低い圧力及び高温でスプレーされたサンプルEJ0100.5R−01は主に変形したμ−スケールの粒子から成る(EJ0100.5Rと機能的当量を示す、図16を参照のこと)。最後に、EJ0096.5R−01のような粒子は、MGP懸濁液の液体の移動について最も有用である懸濁液の顕著な沈殿の遅延を示す(図14bを参照のこと)。結果を概要の形で示す。
【0124】
7 実施例7:PCRによる機能試験
7.1 異質系機能分析:Perkin Elmer Gene Amp 9600(商標)によるPCRにより増幅し、そして変更したElecsys 1010(商標)による化学発光標識検出プローブを用いる生物特異的結合により検出する。
【0125】
7.1.1 全般的な考え方
サンプル(例えば血漿)中のウイルス粒子をプロテアーゼ及び高濃度のカオトロピック塩、及び界面活性剤の存在により溶解する。次に遊離核酸をガラス表面に物理学化学的吸収のために微粒子吸収体(=MGP)を加え、その後に磁気による分離及び加えられたビーズ、すなわち結合型/遊離型吸収体の洗浄が引き続く。最後に、ビーズからの結合した核酸の分離(溶出)を吸収に対して反対にした反応条件下、すなわち低い塩の緩衝液によるか又は滅菌水によってでさえ実行される。次に溶出物のアリコートをPCRマスター・ミックスと混合し、溶出物内に発見される核酸の増幅を始める。この反応は以下の等式により特徴づけられる。
【0126】
Ni=No×(1+E)n
ここで、
No=ポリメラーゼ連鎖反応開始時の分子数
Ni=ポリメラーゼ連鎖反応終了時の分子数
E=増幅効率=0≦E≦1
n=反応サイクル数=典型的には20≦n≦35
少なくとも1のビオチン化プライマーによるPCRの後、ビオチン・タグ化増幅物をハイブリダイゼーション緩衝液及び検出プローブと混合する。インキュベーションの後、ストレプトアビジン・コートビーズを加え、引き続いてもう1度インキュベーションする。最後にそのビーズを洗浄し、シグナル緩衝液を加え、そして増幅された核酸結合の量、すなわち血漿サンプル中のウイルス混入量に相関する化学発光シグナル強度を計測する。
【0127】
当業者は1mlプロトコールを手作業で実行することもできる。
【0128】
7.1.2 実験プロトコール
7.1.2.1 試薬
7.1.2.1.1 サンプル調製
プロテイナーゼK、グリセロール/Cα−酢酸による液体、20mg/mlポリ−A−RNA、1mg/ml、使用レベルは溶解緩衝液による1:1000希釈液溶解緩衝液、以下の
・トリス緩衝液、50mmol/l、pH7.0(それぞれ、1.0及び抽出器プロトコール)、又は4.0(1.5mlプロトコール)
・ポリドカノール、15%(v/v)(それぞれ1.0及び抽出器プロトコール)、又はTriton(商標)X−100 20%(v/v)(15mlプロトコール)
・イソチオシアン酸グアニジニウム、5mol/l
・1mmol/l DTTから成る。
【0129】
− EJ/BM,EJ/MMB又はEJ/CERACタイプの磁性ガラス粒子(MGP )を60mg/mlでイソプロパノール(純度99.8%)中に懸濁させる。
【0130】
− 洗浄緩衝液は以下の
・トリス緩衝液、20mmol/l、pH7.5
・60%エタノール/水(それぞれ、1.0及び抽出器プロトコール)、又は70%(1.5mlプロトコール)
・NaCl,20mmol/l
から成る。
【0131】
溶出液=二重滅菌水
増幅/マスター・ミックス:
− PCR緩衝液、以下の
緩衝媒質
RT−PCR(ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)):250mmol/l ビシン(bicine)/KOH pH8.2,557mmol/l K−酢酸、40%グリセロール
HBV−PCR(B型肝炎ウイルス(HBV)):20mmol トリス−HCL pH8.3,100mmol/l KCl,0.012% Brij35(=2倍濃度)
金属陽イオン、MgCl2 (HBV−PCR)3mmol/l又はMnCl2 (RT−PCR)2.5mmol/l(HCV)、及び1.25mmol/l(HIV)
デオキシヌクレオシド三リン酸(dATP,dGTP,dCTP,dTTP,dUTP)
分析物特異的な正プライマー
分析物特異的な逆プライマー
ウラシル−N−グリコシダーゼ(UNG)
DNAポリメラーゼ(それぞれ、HBV又はHIV/HCVのためのTaq又はTthポリメラーゼ)100μlに容量調節するための鉱物質を除いた水(分子生物学グレード)から成る。
増幅後のUNG停止試薬
− N−ラウロイルサルコシン(例えばRoche Id.Nr.133895)、1%(w/v);
増幅物100μl当たり5μl
7.1.2.1.2 検出
ハイブリダイゼーション緩衝液(例えばRoche Id.Nr.1930273)
化学発光標識検出プローブ
HCV(Roche BMO 28.140336)、作業原液=8.0nmol/l
HIV(Roche BMO 28.540948)、作業原液=7.8nmol/l
HBV(Roche BMO 28.540917)、作業原液=9.2nmol/l
SAで覆ったECLビーズ(例えばRoche Id.Nr.1865943-001)
変性溶液(例えばRoche Id.Nr.1930257)
Pro Cell(例えばRoche Id.Nr.1717685)
Clean Cell(例えばRoche Id.Nr.1717642)
7.1.2.1.3 プライマー及びプローブ
【0132】
【表1】
【0133】
7.1.2.2 反応条件及び試験手順
サンプル調製
→ 1.0ml手作業プロトコール;=>実験1に使用される実施例7.3.1を参照のこと
425μlの血漿サンプルに25μlのプロテイナーゼKを加え、ボルテックスし、500μlの溶解緩衝液を加え、機械的な撹拌(Eppendorfミキサーにより1300rpm)しながら室温で5分間インキュベートし、
50μlのイソプロパノール中に懸濁したMGP(濃度60mg/ml)を加え、ボルテックスし、そしてローラー・ミキサーにより室温で20分間インキュベートし、
Dynal磁気セパレーターを用いて磁気分離し(2分間);
結合されていない画分を吸引を通して除き、そして700μlまで水を加え、ボルテックスし、分離し、吸引し;
あと4回洗浄手順をくり返し、
120μlのDEPC水を加え、ボルテックスし、そして蓋のないカップによりEppendorfサーモミキサーにより1300rpm 、80℃で10分間溶出し、
ビーズをDynal磁気セパレーターにより水性上清(=溶出液)から分離し(2分間)、
溶出液をこの先使用するまで冷凍しておく。
【0134】
→ 屋内設置型抽出器による自動化プロトコール;=>実験2及び3に使用される(実施例7.3.2及び実施例7.3.3を参照のこと)
基本的には前記同じ手順及び試薬セットである。さらに、アモールドRNA(amoured RNA)内部標準(IC、以下を参照のこと)をそれぞれの、そしてどのサンプルにもスパイクさせ、抽出工程を約40℃で一定温度とし、そして容量を2ml総量の溶解ミックス、すなわち以下の
50μl IC
50μl プロテイナーゼK
850μl サンプル
1000μl 溶解緩衝液
100μl MGP懸濁液
2200μl 洗浄緩衝液、5回の洗浄ごとに
125μl 溶出液
に調節する。
【0135】
→ 1.5ml手作業プロトコール;=>実験4で使用される(実施例7.3.4)
420μlの血漿サンプルに80μlのプロテイナーゼKを加え、ボルテックスし、
500μlの溶解緩衝液を加え、機械的な撹拌(Eppendorfミキサーにより1300rpm)をともない室温で5分間インキュベートし、
500μlのイソプロパノール中に懸濁したMGP(濃度60mg/ml)を加え、ボルテックスし、そしてローラー・ミキサーにより室温で20分間インキュベートし、
Dynal磁気セパレーターを用いて磁気分離し(2分間);
結合されていない画分を吸引を通して除き、そして700μlまで洗浄緩衝液を加え、ボルテックスし、分離し、吸引し;
あと4回洗浄手順をくり返し、
100μlのDEPC水を加え、カップを閉じて、ボルテックスし、そしてEppendorfサーモミキサーによって1300rpm 、80℃で15分間溶出し、
ビーズをDynal磁気セパレーターにより水性上清(=溶出液)から分離し(2分間)、
溶出液をこの先使用するまで冷凍しておく。
【0136】
【表2】
【0137】
PCRの後、UNGを、使用レベルが濃度1%のラウリルサルコシンの添加により妨害する。
【0138】
温度サイクルの一覧は以下のとおりである:
【0139】
【表3】
【0140】
変更したElecsys 1010(商標)による検出
【0141】
【表4】
【0142】
7.2 均質系機能分析:Cobas Taqman(商標)による5′ヌクレアーゼ・アッセイ・テクノロジー
7.2.1 全般的な考え方
ウイルス粒子の溶解、並びにサンプルから抽出された核酸の吸着、精製、及び溶出を前記のとおり実施する(実施例7.1.2を参照のこと)。再び、標的分子の増幅を以下の等式により説明する。
【0143】
Ni=No×(1+E)n
ここで、
No=ポリメラーゼ連鎖反応開始時の分子数
Ni=ポリメラーゼ連鎖反応終了時の分子数
E=増幅効率=0≦E≦1
n=反応サイクル数=この場合において典型的には40≦n≦60
しかしながら、5′ヌクレアーゼ・テクノロジーにより、増幅及び検出反応のそれぞれは密接に絡み合い、そして溶液相の中で起こっている、すなわち固相の固定及び対応の洗浄ステップをもたない(=均質系PCR)。この最後に、2の特有の化学修飾を有する検出プローブをPCRマスターミックスに加える。これら修飾の1つは、プローブの骨格に共有結合させた蛍光発生的レポーター基(R、例えば6−カルボキシ−フルオレッセインの誘導体)であり、もう1つは上記レポーターの蛍光発光を吸収することができ、そしてそれをクエンチする色素(例えばポリメチン−シアニン誘導体)(消光剤)である。前記消光剤はプローブ骨格の5′末端に典型的には付着する、それに対して前記レポーターは妨害状態を形成する一定のヌクレオチドだけ消光剤から間隔をおいて置かれるオリゴ配列中に配置される。これらのプローブは、標的核酸(センス又はアンチセンス鎖)にプライマー(逆又は正)の3′末端の間近に結合する。プライマーが標的にアニールし、そしてDNAポリメラーゼがプライマー:標的ハイブリッドに結合するとすぐに伸長が始まる。酵素の5′ヌクレアーゼ活性のために、複製鎖の合成と並行してポリメラーゼはプローブ結合部位に到達するとすぐに前記プローブを切断し、レポーターと消光剤が切り離され、そして蛍光シグナルが計測できるようになる。この工程はサイクルごとにくり返され、そして反応の終了時の試薬の消耗まで溶液中にますます多くの蛍光レポーターを蓄積する。なので、シグナル対時間のプロットにおいて、シグモイド成長曲線を生じる。より大きなN0 、そしてより初期のシグナル曲線ほど高いノイズ・レベルを現す。
【0144】
前記蛍光シグナルがバックグラウンド・シグナルと有意に区別されうる点であるところの時間軸上の点は、しきいサイクル(ct)と呼ばれる。ctは分析感度の指標である:小さなct値ほどその分析は高感度である。ct値は別の数学的操作、例えば除外(cut−off)法(一定の因子により増幅された平均バックグラウンド・シグナル強度は除外シグナル強度をもたらし正から負を識別する)又はシグナル対時間曲線の最初の微分の最大値の位置(すなわち勾配きつさの特徴)若しくは時間軸上の第2の微分最大値の位置を計算し、そしてctとして定義する方法により算出されうる。
【0145】
この増幅/検出テクノロジーは、PCRのリアルタイム測定だけでなく、閉管での処理をももたらす、すなわち標準的な手順との比較において、PCR管は溶出液及びマスターミックスのピペッティングの後、閉じられたままであり、これは効果的に汚染の危険性を減らす。
【0146】
その上、異なるウイルス種についてのプライマー及びプローブ・セット(つまり、異なる分析分子及び標的配列)を1つのマスターミックス中に組合わせて使用する場合、検査を受けた個体のウイルス感染に依存した同時の多重増幅/検出反応の実行が可能である。これはいわゆる多重アッセイの基礎である。
【0147】
さらには、MGPの一般的性質に基づくサンプル調製により、サンプル中に存在する全ての核酸は、配列の特徴とは無関係に粒子表面への物理化学的吸着により抽出される。これは破裂させたヒトの血球、例えば白血球から放出されるヒトDNA(hDNA)をも含み、そのタイターは、血液サンプル提供者の個々の生理学的又は病理学的状態により大きく異なる。例えばSLEのような自己免疫疾患の場合、hDNAレベルは相当に上昇しているであろう。前述のように、与えられたサンプル中に存在するhDNA及び1以上の病因性核酸は共に抽出される、異なる配列特異性のさまざまな核酸の混合物を形成する。それらはポリヌクレオチドのマトリックスを形成し、区別なく抽出され、その後には適切な反応条件下、特異的なプライマー及びプローブを介した標的核酸の配列特異的な増幅及び検出が続く。
【0148】
SLEの場合、血漿中に4000ng/mlのhDNAの、そして血漿1ml当たりウイルス・ゲノムRNA50コピー、及びゲノムRNA当たり10000ヌクレオチドの低いウイルス感染の病理的レベルが得られる。1ヌクレオチド当たり約325ダルトン(1ダルトン=1.66×10-24g)とすると、血漿1ml当たり標的RNA50コピーつまり500000ヌクレオチドは約2.7×10-7ngとなり、約1:10+12 の標的:非標的核酸の相対量をもたらす、さらに工程全体を観察するために、人工の核酸構築物、好ましくは天然の標的と共に抽出され、そして共に増幅される改変ウイルス粒子内に包まれ(外装され)、サンプルに加えられうる。この内部標準(IC)は、識別しうる放射特徴を有する異なるレポーター基の点で標的特異性プローブと異なるIC検出プローブのための特有のプローブ結合領域が特色となっている。したがって、ICシグナルは標的シグナルから識別されうる、そして上記ICはサンプル中に存在することが知られているので、観察物質として機能しうる。このように、多重ラベルは多重アッセイ・テクノロジーの有用性を広げる。前記内部標準(IC)は、WO98/00547に記載されている。
【0149】
7.2.2 実験プロトコール
7.2.2.1 試薬
7.2.2.1.1 サンプル調製
前記(実施例7.1.2=>屋内設置型抽出器による自動化プロトコール)を参照のこと。
【0150】
7.2.2.1.2 5′ヌクレアーゼ・アッセイ、反応物及び反応条件
【0151】
【表5】
【0152】
* グリセロールの残りを、酵素ZO5(Tth−DNAポリメラーゼの突然変異タンパク質)及びUNG(ウラシル−N−グリコシダーゼ)を介して加える。
【0153】
全ての試験パラメーターに関する全般的な複合温度リサイクルの概要は以下のとおりである:
【0154】
【表6】
【0155】
【表7】
【0156】
DNAポリメラーゼ−アプタマー複合体の融解温度=51.7℃(=50%解離)
化学的誘導体化用語
いくつかのオリゴヌクレオチドは、アルキルホスファチジル・リンカーに共役したペンタメチン−ジ−インドカルボシアニン(Pharmacia Biotech Cy5-N-ホスホルアミド酸エチル)であるCy5により誘導体化され、そして消光剤(Q);λEX=630nm、λEM=665nmとして機能する。いくつかのオリゴヌクレオチドは、2−(アミノ−シクロヘキシル−)プロパン−1,3−ジオール・リンカーと共役した6−カルボキシ−フルオレッセイン(Biogenex, CX-FAM-ホスホルアミド酸)であるFAMにより誘導体化され、そして標的に対するレポーター(R);λEX=485nm、λEM=515nmとして機能する。いくつかのオリゴヌクレオチドは、2−(アミノ−シクロヘキシル−)プロパン−1,3−ジオール・リンカーに共役したヘキサクロロ−6−カルボキシ−フルオレッセイン(Biogenex, CX-HEX-ホスホルアミド酸)により誘導体化され、そして内部標準に対するレポーター(R);λEX=530nm、λEM=585nmとして機能する。
【0157】
7.2.2.1.4 反応条件
反応条件を実験結果の中に記載する(実施例7.3を参照のこと)。
【0158】
7.2.2.1.5 他の材料
− ウイルス陰性血漿(0−マトリックス(0-Matrix)、単一血漿又は貯留血漿)、
例えばクエン酸血漿又はEDTA血漿
− ウイルス陽性血漿又はウイルス含有培養上清、これらは適切な割合で0−マトリッ クスと混合することにより特定のウイルス力価に調節するために使用されうる。
【0159】
− あるいは:調査されるべき標的配列を有するインビトロ転写産物
− ヒト胎盤DNA(a.ゲノムDNA、Sigma cat.no.D4642;b .断片化DNA、Sigma cat.no.D3287)、細胞内物質の促進さ れた放出をもたらし、そしてそれにより血中DNA/RNAレベルが高められた病 理的状況、例えばSLE又は溶血といった自己免疫疾患)をまねるためにサンプル に加えた。
【0160】
7.3 機能試験の結果
7.3.1 実験1
EJ/CERACタイプの、それぞれ異なるMGPサンプルを7.1に記載の方法により調査する。試験の変数はスプレー圧とした:
EJ0100.5R−1.5bar
EJ0106.5R−2.5bar
EJ0107.5R−3.5bar
EJ0108.5R−4.3bar
スプレー圧の減少により、すなわち平均ビーズ直径が小さくなる方向に向かうと、非特異的結合(USB)が減少するのに対して、シグナル対ノイズ比を上昇させる高い特異的シグナル産生を変化させないことを証明できた。
【0161】
ウイルス力価調製用0.5×GGはHBVの場合、約100sgu /ml(sgu=シグナル産生単位)であり、そしてHIVの場合、約150sgu /mlである。データを表7に概要として示す。
【0162】
7.3.2 実験2
それぞれEJ/MMB及びEJ/CERACの各2の変異型を複合貯留(MP)及び個体(PL)血漿サンプルとの結合において、実施例7.2に記載の方法を用いて機能の上で比較する。EJ0047.2R(MMB)及びEJ0100.5R(CERAC)は標準的な条件下、すなわち1.5bar 、230℃の噴射口温度及び約110℃の出口温度でスプレーされる。EJ0102.2R(MMB)及びEJ0108.5R(CERAC)は、スプレー条件(噴射口温度を200℃〔MMB〕まで下げ、そしてスプレー圧を4.3bar 〔CERAC〕まで上げた)に関する発展的変異型である。結果は表8に概要として示され、より早いしきいサイクル及び/又は大きなシグナルの差異(飽和シグナルからノイズを引いたレベルS−N)により例示されるより高い感度を獲得するためのCERACナノ核粒子の性能を示す。
【0163】
7.3.3 実験3
EJ/MMB及びEJ/CERACタイプのいくつかのMGP調製物(表9を参照のこと)を実施例7.2に記載の方法を用いて機能の上で比較する。結果は表10に概要として示され、そしてより早いしきいサイクル又は個々のアッセイに関係のないより高いヒット率により例示されるより高い感度を獲得するためのEJ0096.5R−01型粒子の性能を示す。
【0164】
7.3.4 実験4
EJ/MMB及びEJ/CERACタイプのいくつかのMGP調製物を吸着のためのインキュベーションが振り混ぜながらか又はそれなしに実施されるかで、実施例7.1に記載の方法を用いて機能の上で比較する。それについて、沈殿速度が決め手となる、すなわち沈殿速度が早いほど分析物との相互作用から外され、沈殿物を形成する粒子の数が多くなる。それに反して、沈殿速度が遅い場合、液体からの分析物分子が吸着剤表面に吸着されうる時間はより長くなる。結果は11(EJ0047.2Rを基準として用いた)に概要として示され、機械的撹拌をともなわないときの性能の損失は、MMBの場合に最も高く(>40%)(本願発明の特徴とは著しく異なる)、そしてCERACの場合に最も低いか又は実質的に損失していない(この組の中で本発明の特徴に最も近い)。
【0165】
異なるタイプのMGPの機能性を徹底的に評価できるようにするために、性能指標を以下の方法により各タイプについて計算した:
→ 各タイプのMGPについていくつかのバッチの溶出液、及び各力価レベルのそれぞれを1つの溶出液プールに貯める。
【0166】
→ 各溶出液プール中から、3の増幅を各アッセイ(HIV,HCV,HBV)について行った。
【0167】
→ 各増幅産物を変更したElecsys 1010(商標)により単回で計測した。
【0168】
→ シグナルをMGPの各タイプ、アッセイ、及び力価レベルについて平均する。
【0169】
→ シグナル対ノイズ(S/N)因子をMGPの各タイプ、及びアッセイのそれぞれについて計算する、すなわち0−マトリックス(陰性)について低い力価(弱い活性)、及び0−マトリックスについての上昇した力価。
【0170】
→ S/N因子をそのときどきにMGPの基準タイプに対して正規化する。
【0171】
→ MGPの各タイプ、全てのアッセイの累積、及び力価レベルについての正規化S/N因子の合計;感度の側面を明言するために、低い力価範囲に関するS/N因子を高い力価レベルのそれに関連して2倍に加重する。
【0172】
→ 得られた合計は、調査された各タイプのMGPに関する性能指標を定める。
【0173】
7.3.5 実験5
さまざまなタイプのMGPを、10mmol/lトリス,pH8.0、1mM EDTA、20μg/ml ポリA−RNA、及び0.05% NaN3 を含む希釈液中にさまざまな力価レベルまで希釈され、そして貯留血漿中にスパイクされたHCVインビトロ転写産物の抽出に使用した。
【0174】
ヒト・バックグラウンドDNA(hBG−DNA)をそれぞれのサンプルに0又は4000ng/mlでスパイクした。驚いたことに、表12に提示したデータにより証明されるとおり、ビーズを選択することによりhBG−DNAによる干渉の減少が可能である。
【0175】
7.3.6 実験6
さまざまなタイプのMGPをHCV陽性血漿サンプル処理のために使用した。ヒト・バックグラウンドDNA(hBG−DNA)をそれぞれのサンプルに0又は4000ng/mlでスパイクした。再び、ビーズ・サイズ及びビーズ形状の顕著な影響が観察されている。本発明によるMGP特性を最もよく表すMGP調製物EJ0096.5Rは、表13に提示したデータにより示されるとおり、ct値の最小限の移動、及び特異的シグナル産生(S−N)の損失の減少の両方に関して非常にはっきりとした利点を示す。
【0176】
【表8】
【0177】
【表9】
【0178】
【表10】
【0179】
【表11】
【0180】
【表12】
【0181】
【表13】
【0182】
【表14】
【0183】
【表15】
【0184】
【表16】
【0185】
【表17】
【0186】
【表18】
【0187】
【表19】
【0188】
【表20】
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】ゾル合成及びスプレードライによる製造に関するフロー図。
【図2】未処理MGPの調製に関するフロー図。
【図3】Nubilosaによるスプレー・ドラヤー生産の概略図。詳細を実施例1.3以降の本明細書中に記載する。
【図4】Merck色素BMによるMGPの高解像走査型電子顕微鏡画像。
【図5】CERAC色素によるMGPの高解像走査型電子顕微鏡画像。
【図6】Merck色素MMBによるMGPの高解像走査型電子顕微鏡画像。
【図7】Strem色素によるMGPの高解像走査型電子顕微鏡画像。
【図8】BASF色素FAによるMGPの高解像走査型電子顕微鏡画像。
【図9】BASF色素CE−HQによるMGPの高解像走査型電子顕微鏡画像。
【図10】BASF色素CE−SUによるMGPの高解像走査型電子顕微鏡画像。
【図11】RNA分離に対する磁性核色素又はスプレー・ドライヤーの影響(スプレー・ドライヤー:Buechi(B)又はNubilosa(N))。
【図12】DNA又はRNA分離に対するパラメーター「スプレー圧」の影響。
【図13】RNA分離に対するさまざまなMGP製造パラメーターの影響(スプレー圧、(L=空気、N=窒素)、噴射口温度(E)又は出口温度(A))。
【図14a】さまざまな懸濁媒質における種々のMGPsの沈殿特性。
【図14b】さまざまな懸濁媒質における種々のMGPsの沈殿特性。
【図15】サンプルEJ0096.5R−01のHREM画像;CERAC色素によるMGP。
【図16】EJ0100.5R−01のHREM画像、低圧及び高温でスプレーされ、主に変形したμ−スケールの粒子により構成される。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ガラス表面を有し、そして基本的に球状の磁性粒子に関する。本願発明は、それら及びそれらの懸濁液の作り方、そして特に自動化工程による生物物質の精製のためのそれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
多くの生物物質、特に核酸は、自然環境からのそれらの単離の点から見て特有の難題を示す。一方で、それらは非常に低濃度で存在し、そしてもう一方で、それらはそれらの単離又は、特に生物特異的なアッセイにおける計測を難かしくする多くの他の固体及び溶解物の存在中にしばしば見出される。
【0003】
生物特異的な結合アッセイは、特有の分析物、例えば核酸又は特有の分析物であるポリペプチドの検出を可能にし、そして診断及び生物分析の分野で重要な役割をもつ。
【0004】
ハイブリダイゼーション・アッセイは、核酸分析物、例えばRNA及びDNAの分子検出のために特異的な塩基対形成を利用する。したがって、18〜20ヌクレオチドの長さをもつオリゴヌクレオチド・プローブは、ヒト・ゲノム内の選択した配列の特異的な認識を可能にしうる。このオリゴヌクレオチド・プライマーの選択的な結合を利用する他のアッセイはUS 4,683,195に記載のポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)である。この方法は、数サイクルのうちにデオキシヌクレオチド三リン酸の存在下、熱安定性ポリメラーゼにより特定の核酸領域を検出可能なレベルまで選択的増幅する。
【0005】
核酸は、それらがプローブに基づくアッセイに使用される前に混成混合物から通常は抽出されるべき、比較的複雑な分析物である。
【0006】
核酸の抽出にはいくつかの方法がある:
−配列依存的又は生物特異的な方法として、例えば:
・アフィニティー・クロマトグラフィー
・ビーズ上に固定したプローブへのハイブリダイゼーション
−配列非依存的又は物理学的−化学的方法として、例えば:
・例えばフェノール−クロロホルムによる液体−液体抽出
・例えば純エタノールによる沈殿
・ろ紙による抽出
・臭化セチル−トリメチル−アンモニウムといったミセル形成剤による抽出
・固定化インターカレート色素、例えばアクリジン誘導体への結合
・シリカ・ゲルすなわち珪藻土への吸着
・カオトロピック条件下での磁性ガラス粒子(MGP)すなわち有機シラン粒子への 吸着
近年、それらのガラス表面に結合する性質の利用により、それらの自然環境からの核酸の分離のための多くの手段及び材料が提案されている。例えば、Proc. Natl. Acad. USA 76, 615-691 (1979)においてフリントすりガラスによりヨウ化ナトリウムの存在するアガロース・ゲル内でフリントすりガラスに核酸を結合する手順が提案されている。
【0007】
過塩素酸ナトリウムの存在するガラス皿上の細菌からのプラスミドDNAの精製は、Anal. Biochem. 121, 382-387 (1982)に記載されている。
【0008】
DE−A 37 34 442において、酢酸を用いたファージ粒子の沈殿によりグラス・ファイバー・フィルター上の1本鎖M13ファージDNAの分離及び過塩素酸によるファージ粒子の溶解が記載されている。グラス・ファイバー・フィルターに結合した核酸は、洗浄され、そしてその後メタノール含有トリス/EDTA緩衝液により溶出される。
【0009】
ラムダ・ファージからのDNA精製のための類似の方法が、Anal. Biochem. 175, 196-201 (1988)に記載されている。
【0010】
前記方法は、カオトロピック塩溶液中において核酸のガラス表面への選択的な結合、そして夾雑物、例えばアガロース、タンパク質又は細胞残渣からの分離を伴う。夾雑物からガラス粒子を分離するために、前記粒子が遠心分離されるか又は液体はグラス・ファイバー・フィルターを通されるかのいずれかでありうる。しかしながら、これは多量のサンプルの処理に前記方法を使用させない制限的なステップである。
【0011】
ガラス表面に覆われた磁性粒子は生物材料の単離に相当な利点を提供することが、証明される。磁性粒子が磁場と接触しない場合、重力がそれらを沈殿させる唯一の力である。それらは溶液を振ることにより再懸濁されうる。磁場を利用しない沈殿手順はその粒子表面での生物材料の固定よりもゆっくりと進む。これは特に核酸に当てはまる。磁性粒子は、磁石を使ってサンプル液中の特定の位置に容易に集められうる。前記の液体はその後粒子から、つまり固定された生物物質から分離される。
【0012】
塩及びエタノールの添加による析出の後、核酸を固定するための磁性粒子の使用は、Anal. Biochem. 201, 166-169 (1992)及びPCT GB91/00212に記載される。この手順において、核酸は前記磁性粒子に吸着される。前記吸着物は磁場を利用し、そして洗浄ステップを行なうことによりもとの溶媒から分離される。1回の洗浄ステップの後、核酸はトリス緩衝液中に溶解される。しかしながら、この方法は前記析出が核酸について選択的でないという不利な点をもつ。それどころか、さまざまな固体及び不溶性物質が同様に吸着される。その結果、この手順に存在するかもしれない特異的な酵素反応の有意な量の全ての阻害物質の除去に使用できない。
【0013】
磁性の多孔質ガラスは、多孔質の特定のガラス基質中に磁性粒子を含み、そしてストレプトアビジンを含む層に覆われている市販品も使用できる。ビオチンに共有結合的に結合するように生物学的物質が複合体調製ステップにおいて修飾されるならば、この製品は生物学的物質、例えばタンパク質又は核酸の分離のために利用されうる。磁化できる特定の吸着剤が、自動サンプル調製において能率的であり、そして好適であることを示した。超常磁性色素、並びにフェリ磁性及び強磁性色素が、この目的のために使用されうる。
【0014】
当業者によれば粒子は、小さな直径を有する固体物質である。このような粒子はしばしば色素とも呼ばれる。
【0015】
それらの物質は磁石、すなわち例えば強磁性又は超常磁性物質に引きつけられる磁性体ともしばしば呼ばれる。超常磁性は、当技術分野において有利な、そして好ましいものと理解される(例えばUS 5,928,958;US 5,925,573;EP 757 106)。ガラス又は有機シラン表面は、生物特異的捕捉反応に利用するためにしばしば機能的なものにされる、例えばUS 5,928,958、US 5,898,071、US 5,925,573、EP 937 497、US 4,554,088、又はUS 4,910,148。あるいは、ガラス、又は有機シラン表面は、それらの親水性、及び/又は陽電性を変更するためにさまざまな溶媒又は塩により処理されうる、例えばUS 5,438,127。しかしながら、ガラス、又はシラン表面の非誘導体化シラノール基が、DE 195 20 964、DE 195 37 985、WO96/41840、WO96/41811、EP 757 106、又はUS 5,520,899に記載の好適な反応条件下で純粋な物理的−化学的力による吸着のために使用されうる。典型的には、磁性核又は磁性核集合体は、酸又は塩基触媒ゾル−ゲル法により形成されるガラス表面により覆われる。これらはコア−シェル粒子と呼ばれる。そのガラス殻が色素のサイズ及び形状の点で特有な層の薄さを有するとき(例えばDE 195 20 964を参照のこと)、ガラス殻は、例えば磁性酸化金属に加えて作製された粒子のサイズ及び形状を確認する雲母のような非磁性補助物を含みうる(例えばDE 195 37 985及び関連のWO96/41811を参照のこと)。高い界面活性を得るために、高い多孔度を有するガラス材料が使用される(例えばEP 757 106;WO99/26605を参照のこと)。さらに、複合磁性粒子が記載されている、例えばシリカ粒子からの無機シリカ基質(EP 757 106)又はガラスとシリカ・ゲルの混合物(WO95/06652)により覆ったシリカ被覆酸化鉄。
【0016】
本発明により解決される問題は、サンプル調製のための、そして生物学的アッセイのための、特に自動化された方法のための改良された特性を有する磁性ガラス粒子として知られうる。
【発明の開示】
【0017】
本技術分野における磁性ガラス粒子の欠陥は、本発明の発見により克服される。
【0018】
磁性ガラス粒子組成物を提供することが本発明の1つの目的である。本発明による磁性ガラス粒子(MGPs)は、ガラス中への小さな磁性核の固体分散系である。MGPsは比較的小さく、そして基本的に球状である。MGPs組成物の非磁性細粒の含有量は、それらの調製方法のために非常に少ない。これは、MGPsの懸濁液をゆっくりと沈殿させる効果をもち、そしてそれにより自動化されうる分子生物学における方法のために有利に使用されうる。本発明の1の態様において、本発明によるMGPsの組成物及び懸濁液を提供する。本発明の他の態様において、MGPsの組成物のための方法を提供する。本発明のさらなる他の態様において、本発明によるMGPsを使用するDNA又はRNAの精製方法を提供する。
【0019】
基本的に球状であり、そして小さな直径をもち、さらに少なくとも1の、直径5〜500nmの磁性体を含むところの磁性ガラス粒子組成物を提供することは本発明の目的の1つである。これは半減時間値t1/2 により定量化される沈殿動力学における驚くべき結果を有する(実施例6を参照のこと)。前記半減時間値は、特定の容量の成分から50%の粒子が沈殿するまでの時間の長さである。イソプロパノール中での前記組成物の3mg/ml重量毎容量の懸濁液の沈殿に関する半減期は、3分、好ましくは4分、より好ましくは6分より長い。しかし、最も好ましい半減期の値は、10分より長いか又は20分より長い。より小さく、そして理想的な球により近いことで、より長くMGPsが懸濁されるであろう。これは、理想的な球に似ている形態に近づけることで、2以上の粒子が互いに凝集し、そして沈殿をより早める凝集を構築する可能性をより低くする事実により明らかにされる。これらのデータを実施例6に示しそして高解像走査型電子顕微鏡像を図4〜図10において見ることができる。これは、シリンジに引き込まれる必要以上の量からの一定のMGP懸濁液容量の反復的な投与がより容易(質量MGP /容量に関してより正確なデリバリー)にしながら、そのMGP懸濁液を含む保存容器の厳しくそして頻繁な混合を減らすことが求められる自動化方法のための利点を有する。
【0020】
本発明によるMGPsは、非常に小さな非凝集磁性体を散在させたガラス滴である。磁性体と呼ばれるそれらのものは、磁石に引きつけられる、すなわち、例えば強磁性体又は超常磁性体である。特にそれらがまだ前磁化されていない場合、好ましくは、強磁性材である。本明細書中における前磁化(Premagnetization)は、残留磁気を増加させる、磁石との接触を意味すると理解される。好ましい磁性材は、例えば磁鉄鉱(Fe3 O4 )又はFe2 O3 、好ましくはγ−Fe2 O3 のような鉄又は酸化鉄である。原則として、バリウム・フェライト、ニッケル、コバルト、Al−Ni−Fe−Co合金又は他のフェリ若しくは強磁性体を利用しうるであろう。前記磁性体は、例えば磁性色素でありうる。磁性体のサイズはナノスケールの範囲にある、すなわち本発明により、その直径は5〜500nm、好ましくは10〜200nm、最も好ましくは15〜50nmである。好適な磁性色素はCERAC社により製造され、それは23nmの平均直径をもち、そしてγ−Fe2 O3 から成る。(BET−表面50m2 /g、CERAC:P.O. Box 1178, Milwaukee, Wisconsin 53201-1178 USA; 商品番号I−2012)。本発明による磁性ガラス粒子は、そのMGPsが高解像走査型電子顕微鏡により測定されるよう0.5μm〜5μm、好ましくは1μm〜2μmの粒子直径をもち、これに対してその磁性体が上述のように5〜500nm、好ましくは10〜200nm、最も好ましくは15〜50nmの直径をもつ事実によりさらに特徴づけられる。したがって、本発明のMGPsは、高解像走査型電子顕微鏡により測定される磁性色素核に対する磁性ガラス粒子の1対10より小さな直径比により特徴づけられる。これらの直径比並びに粒子のサイズ及び形状を決定するであろうあらゆる挿入担体の存在により、そのMGPsの外形及び取り込まれる磁性体の数が製造条件により決定される。本発明によるMGPsは、微細多孔質であるが、しかし高次な構造がありそのために6m2 /g超の比較的大きな表面を有する。好ましくは、本発明による磁性ガラス粒子は5〜100m2 /gの、好ましくは5〜90m2 /gの、より好ましくは10〜50m2 /gの範囲の、最も好ましくは15〜30m2 /gの範囲の表面積を有する。この表面は、DE 195 37 985に記載される粒子のサイズの約2倍である。これはオートメーション化された市販の装置を用いたBraunauer-Emett-Teller法により決定されうる(実施例4を参照のこと)。普通はBET法と呼ばれる、この方法についての解説は、S. Braunauer. The Adsorption of Gases and Vapors, Vol. 1, Princeton University Press, 1943を参照のこと。例えば、優先的に着目のサンプルEJ0096.5R−01(製造条件の概要については実施例1、及び表1〜表3を参照のこと)は、26.8525m2 /gのBET−表面、2.3058m2 /gの微細多孔面積、及び24.9132nmの平均細孔直径をもつ。これは細孔表面は全表面の10%未満であり、そして磁性ガラス粒子が微細多孔質であることを意味する。
【0021】
細孔(pore)は、粒子の外側の表面の凹部であると理解される。その表面は、表面上の凹部の中に引かれた垂直の線が粒子の隣接環境の方向に少なくとも1度粒子を切断するところの粒子の中まで及ぶ。加えて、細孔は粒子内の、その細孔の1の半径より大きな深さにまで及ぶ。ドイツ特許出願第DE 198 54 973.3号又は同第DE 198 55 259.9号と比較した際に、より遅い沈殿動力学、より広い表面、及び凝集を抑える球状の形態は、核酸診断における吸着剤としてのより良好な機能的な性能の形でそれら自身が明らかにする(実施例3,5、及び7を参照のこと)。この特徴は、いわゆるTaqMan(商標)アッセイにおけるしきいサイクル、シグナル対ノイズ比、及び静的に確証されたより低い検出限界の変化により定量化されうる。このアッセイ方法は、WO92/02638、及び関連の米国特許第US 5,210,015号、同第US 5,804,375号、同第US 5,487,972号に記載される。放射性トレーシング実験(実施例5.2を参照のこと)は、本技術分野で知られる基準物質と比較した場合、DNA及びRNAについての結合性質が同じであることを示した。驚いたことに、製造条件は、放射性トレーシング実験における性質に影響する。本発明のMGPタイプのさらなる利点は、乾燥工程の間亀裂、及び内部構造(ガラス滴内の小さな磁性核の固体分散系)によるガラス殻に関連する損傷をもたらしうるガラス層の緊張がないことである。これは、画像作製(image-producing)法により調べられる(実施例3を参照のこと)。
【0022】
本発明の他の態様は、磁性粒子の懸濁液である。MGPsの組成物に液体を加え、そしてその懸濁液を混ぜて均質にすることで懸濁液を作製することは当業者にとって自明である。本発明による液体は、磁性粒子の安定性に影響しない、そして均質な懸濁液の作製のために利用されうるところのあらゆる液体を含みうる。
【0023】
好ましくは分子生物学における工程、特にデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)の精製工程であって、特定の条件下、それらの物質のガラス粒子への結合を利用する上記工程に好適である液体が使用される。好ましい液体は、アルコール又はそれらと水とのあらゆる混合物あるいはケトンを含む。アルコールは、本発明により好ましくはRがn>=Oである一般式−(−CH2 )n −CH3 を意味する一般式R−OHの一級、二級又は三級アルコールを含むであろう。しかしながら、他のアルコールもそれらが、例えばグリセロールのように分子生物学用途に好適であれば使用されうる。特に好適には、前記アルコール、すなわちイソプロパノール、エタノール又はそれらと水の混合物、好ましくは80容のイソプロパノールと20容の水の混合物である。本発明の態様において、前記液体には、例えばアセトンといったケトンが含まれる。本発明の好ましい態様においてそれらの懸濁液は、5〜60mg/mlのMGPsを含む。本発明の他の態様において、MGPsは、場合により2〜8 mol/l、そして好ましくは4〜6 mol/lの濃度においてカオトロピック物質を含みうる水性緩衝溶液中に懸濁される。カオトロピック塩は、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウム又は塩酸グアニジニウムである。他の化合物であることもできる。本発明によるカオトロピック物質は、液状の水の構造を乱し、そしてDNA又はRNAを含む溶液中にこの作用物質が存在した場合、DNA又はRNAが本発明によるMGPsに結合することに対して効果を有するあらゆる化学物質である。好適な水性緩衝溶液を作り出すことは、当業者にとって自明のことである。分子生物学の目的において、好適な緩衝液系は、例えばSambrook et al. (1989), Molecular Cloning, Cold Spring Harbor University Press, New York, NY, USA 中に見出されうる。好ましい緩衝物質は、トリス−ヒドロキシメチルアミン(TRIS)、リン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N′−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)、それらの塩又は他の好適な物質である。加えて、例えばNaCl,KCl又はCaClのような溶液のイオン強度を変える物質又は、例えばエチレン−ジアミン−四酢酸(EDTA)若しくはそれらの塩のような金属陽イオン錯化剤である物質が提供されうる。当業者に知られる生物学的物質もまた提供されうる。本発明の他の態様において、前記MGPs懸濁液は、DNA又はRNAを場合によりタンパク質、脂肪酸、炭水化物、及び生物起源の他の材料との混合物の形でさらに含みうる。本発明の他の態様において、前記液体は、アルコール、ケトン、水性緩衝溶液、カオトロピック物質、溶液のイオン強度を変更する物質、錯化剤、生物材料、前記の特徴を有する全てのDNA又はRNAの混合物を含みうる。
【0024】
本発明の他の態様において、本発明による懸濁液を含む試験管又は反応容器を提供する。前記の管はプラスチックで作られうるが、しかし大きな構造物の一部、例えば96又は384ウェル型のマイクロタイタープレートの一部でもありうる。本発明のさらなる他の態様において、磁性ガラス粒子の組成物又はその懸濁液を含む保存容器を提供する。
【0025】
本発明の他の態様において、本発明による磁性ガラス粒子又はその懸濁液を含む保存容器を含むキットの部品を提供する。前記キットは、DNA又はRNAの精製のために使用されうる。本技術分野で知られる前述のキットは、例えば96又は384ウェル型のマイクロタイタープレートといった精製手順の間に使用されるプラスチック製品又は、例えばEppendorf, Hamburg, Germany により製造されたまさに普通の反応管をさらに含む。前記キットは、DNA又はRNAをそこに結合するときの磁性ガラス粒子の洗浄ステップに好適な洗浄溶液をさらに含みうる。多くの場合、前記洗浄溶液は、使用前に希釈しなくてはならない保存溶液として提供される。前記キットは、溶出液、すなわち磁性ガラス粒子に結合したDNA又はRNAを溶出するための溶液又は緩衝液(例えばTE:10mMトリス、1mM EDTA、pH8.0)あるいは純水をさらに含みうる。さらに、核酸、すなわちDNA又はRNAの精製方法に使用されうる補足的な試薬を提供しうる。本発明の1の態様において、本発明によるキットの部品は、核酸の精製に使用されうる。
【0026】
本発明の1の態様において、MGPs組成物は、すでに記載した懸濁液の作製に使用されうる。
【0027】
本発明の他の態様において、本発明による懸濁液は、それらを含む、他の生物物質をともなう混成混合物からの核酸、すなわちRNA又はDNAの精製に使用されうる。それにより、着目の核酸を少量でしか含まない混合であっても、異なる核酸の混合物を精製しうる。精製効果は、特定の条件のもとでの、例えば特定の濃度のカオトロピック物質の存在下での磁性ガラス粒子に結合するDNA又はRNAの性質に起因する。好ましくは、結合DNA又はRNAをともなうMGPsは、好ましくは70容のエタノールと30容の水の割合の混合物(「70%エタノール」)によりその後少なくとも1回洗浄される。その後、条件を逆方向に変え、例えばカオトロピック物質の濃度を下げて、MGP粒子に結合したDNA又はRNAを溶出する。好ましくは、これは例えば重力又は磁石の使用による磁性ガラス粒子の小粒化、そしてごく少量のカオトロピック物質を含むか又はそれを全く含まない溶液内への再懸濁により行われる。あるいは、前記溶液は、ごく少量のカオトロピック物質か又それを全くともなわない溶液により希釈されうる。精製されたDNA又はRNAは、すぐに他の反応のために使用されうる。
【0028】
本発明によるMGPsの製造方法を提供することは本発明の1つの目的である。本発明によるガラスはケイ素を含む非結晶材料であることは理解される。ガラスは他の物質、例えばB2 O3 (0〜30%)、Al2 O3 (0〜20%)、CaO(0〜20%)、BaO(0〜10%)、K2 O(0〜20%)、Na2 O(0〜20%)、MgO(0〜18%)、Pb2 O3 (0〜15%)を含みうる。ガラスは、低いパーセンテージ(0〜5%)の多数の他の酸化物、例えばMn2 O3 ,TiO2 ,As2 O3 ,Fe2 O3 ,CuO,CoO等を含むこともできる。
【0029】
本発明による特に好ましいものは、WO96/41811に記載のゲル−ゾル法を用いて形成され、そしてその後乾燥、及び圧縮されるガラスである。この方法の基本原理は既知であり、そして例えばC.J. Brinker, G.W. Scherer“Sol Gel Science-The Physics and Chemistry of Sol Gel Processing”, Academic Press Inc. 1990, Sol-Gel Optics, Processing and Applications, Lisa C. Klein, Ed., Kluwer Academic Publishers 1994, p.450以降、そしてDE−A−1941191,DE−A−3719339,DE−A−4117041,DE−A−4217432、及びWO96/41811に記載された。ゲル−ゾル法において、主に、ネットワーク形成成分であるアルコキシド、例えばSiO2 ,B2 O3 ,Al2 O3 ,TiO2 ,ZrO2 ,GeO2 は、例えばアルコール溶液中の他の成分の酸化物及び塩と結び付いて、そしてその後加水分解される。以下の方程式は、ホウ酸アルミニウムケイ酸ナトリウムガラス(sodium boroaluminium silicate glass)の作成手順を記載する:
【0030】
【化1】
【0031】
水を加え開始成分の加水分解処理を開始させる。アルカリ・イオンがケイ酸エステルの加水分解速度に触媒効果を有するため、この反応工程は比較的速い。いったんガラスを形成したら、それを熱処理により乾燥及び密度を上げて(又は圧縮して)ガラスを形成しうる。
【0032】
本発明の1の態様において、ガラス基質は、図1及び図2に図式的に示され、そして実施例1に詳細に記載されるとおり酸又は塩基触媒ゾル−ゲル合成により作製される。ここで、使用するものは、最初は固体要素を液相中に分散し(=ゾル)、そして処理の後にそれらをハニカム模様(honeycomb pattern)のように連結する(=gel)ところのコロイド性の系で作られる。析出物の量から計算したガラス(コードEJ)の組成は、70.67 Mol% SiO2 、14.33 Mol% B2 O3 、5.00 Mol% Al2 O3 、4.00 Mol% K2 O、2.00 Mol% CaO、4.00 Mol% ZnOであった。ガラス(コードRN)の組成は、74 Mol% SiO2 、15 Mol% B2 O3 、5.00 Mol% Al2 O3 、4.00 Mol% K2 O、2.00 Mol% CaOであった。ガラス(コードEP)の組成は、73.61 Mol% SiO2 、14.93 Mol% B2 O3 、5.21 Mol% Al2 O3 、4.17 Mol% K2 O、2.08 Mol% CaOであった。
【0033】
前記の反応は以下のとおり:
酸触媒、例えば:
【0034】
【化2】
【0035】
又はアルカリ触媒、例えば:
【0036】
【化3】
【0037】
のいずれかで表現される。三次元ネットワークを形成する対応の酸化物に対する異った水酸化縮合物、すなわち格子間部位を占める金属イオンを有するSiO2 /B2 O3 /Al2 O3 の非結晶性ガラス基質である。先に解説したアルカリ性及びアルカリ土類金属イオンに加え、例えばZn2+及びZr2+といった遷移金属イオンがネットワーク変更物質として基質内に取込まれうる。
【0038】
【化4】
【0039】
本発明の他の態様において、前記ガラスは、本技術分野で知られる原料SiO2 、及びアルカリ又はアルカリ土類金属の炭酸塩、Na2 CO3 ,K2 CO3 又はCaCO3 の融解による方法で作製されうる。その方法は以下のとおり:
【0040】
【化5】
【0041】
と表現されうる。しかしながらほとんどの場合において、純粋なケイ酸基でなく、ホウ酸−アルミン酸−ケイ酸−基質である、すなわちネットワーク構築要素の一部のSiO2 は、B2 O3 及びAl2 O3 により置き換えられていると考える。
【0042】
ゾル:色素の比は、本願発明により提供される磁性粒子の産出量に多大な影響をもつ。前記ゾルが、当業者の技術により今までとおりポンプで吸い上げ、そして吹きつけられうることがこの方法にとって不可欠である。
【0043】
粉末を作り出すために、前記スラリーを好ましくは、図1及び実施例1.3に記載のとおり二流体ノズル(two-fluid nozzle)を通して吹きつける。好適なスプレードライ装置は、Nubilosa Molekularzerstaeubung, Ladisch GmbH & Co. KG, Konstanz, Germany、例えば「Labor-Zerstaeubungstrockner (Type LTK) 」によるか又はBuechi AG, Uster, Switzerland、例えば「Mini Spray Dryer (Type B-191)」により製造される。
【0044】
磁性核対ガラス殻の直径比が1対10未満、好ましくは1:10〜1:1000であるため、その動力学、又は取込まれる磁性核若しくはそれらの非活性担体の数は、粒子の形状及びサイズではなく製造条件、特にスプレードライの間の条件が決定する。言い換えれば、サイズ分布、ガラス滴の形状を決定し、そしてそれによりMGPsを変更するであろうところの、スプレードライ手順の間の圧力、噴射口温度、出口温度、及び流速の選択は、自由である。
【0045】
スプレー圧を上げる場合、そのサイズ分布は、低いμ−範囲に移動するであろう。スプレードライ工程の温度低下は、溶媒のよりゆっくりとした蒸発をもたらし、そしてそれによりMGPsの形態は理想の形状により近づくであろう、すなわちxy及びxz平面における半径の比は約1になるであろう。前記半径の比は、0.8〜1.2、好ましくは0.9〜1.1の間で変化するであろう。
【0046】
本発明の好ましい態様においては、ノズルは加熱される。噴射口温度は120℃〜500℃、好ましくは170℃〜230℃又は150℃〜230℃、最も好ましくは150℃〜200℃又は190℃〜210℃又は200℃若しくはわずかに低いかである。出口温度はゾル及び溶媒の沸点に依存し、そして溶媒の沸点より高いか、同じか、又はわずかに、すなわち10℃未満下回るかでありうる。エタノールを溶媒として使用する場合、それは50℃〜300℃、好ましくは70℃〜150℃、最も好ましくは80℃〜110℃である。その最適温度は90℃〜100℃である。ノズル圧は3bar より高く、好ましくはそれは4〜6bar に調節される。当業者は、厳密なパラメーターが使用されるスプレードライ装置に依存するであろうことを理解する。しかしながら、当業者は、本発明の教示をあらゆる他のスプレードライに移し、そして本願発明の開示を考慮することによりパラメーターを見つけ出しうる。Master : Spray Drying Handbook, Fifth Edition, John Wiley & Sons, 1991, New Yorkに記載の方策は、他の設定のために選ぶべきパラメーターを見つけ出す方法に当業者を導きうる。好ましくは、当業者は彼らのスプレードライ装置のマニュアルを調べるか又はそのスプレードライ装置製造業者の技術サービスに連絡する。
【0047】
産生量を最適化するために、高密化又は焼結温度をできるだけ高くすべきである、すなわち融解限界をわずかに下回る。しかしながら、それが高すぎる場合、互いにくっついて、そしてふるい分けされなくてはならない凝集塊を形成するであろう。低すぎた場合、MGPsは最適な高密化がなされないであろう。非常に高温での粒子のさらなる処理は、磁性特性の損失をもたらす。非常な高温は、それゆえ控えられるべきである。厳密な温度はガラスの組成に依存するが、400℃〜1200℃である。EJガラス組成の場合、焼結温度は720℃〜770℃、好ましくは約750℃である。本発明の教示を考慮する際に各ガラス組成について前記温度を見つけ出すことは当業者の技術の範疇である。本発明により、スプレードライMGP粉末は、図2に表わされた、そして実施例1.4に記載されたとおりさらに処理されうる。好ましくは、前記粉末を、200℃で1時間加熱し、場合により室温まで冷やされ、そして窒素雰囲気中、1K/分の加熱速度により750℃(高密化又は焼結温度)まで加熱され、そしてその温度で1時間保持される。その後、炉を150℃まで冷まし、そして大気中、再度200℃で1時間加熱する。室温まで冷ました後、その粉末をふるい(50μm)に移し、そして30分間ふるいにかける。ふるいがけしたサンプルを瓶に詰め、200℃で4時間滅菌し、次に80℃まで冷ます。その後そのガラス容器をオーブンから取り出し、滅菌したホイルで覆い、そして蓋をする。
【0048】
驚いたことに、本発明による磁性粒子は、サンプルからの生物材料の単離のために特に適している。さらに、核材料は天然資源であるためほとんど環境問題を引き起こさない。その上、本発明による粒子は、安価で、そして製造が容易である。
【0049】
本発明の他の目的は、生物物質をその粒子表面に結合する条件下、液体中に生物物質を含むサンプルを本発明による磁性粒子と接触させることにより生物物質を単離し、そしてその生物物質をその液体から分離する手順である。本発明により前記用語「液体中」は磁性粒子を加える前に加えられうる液体を意味する。しかしながら、それは、サンプル自体の粘性が低い、及びサンプル自体が液体の場合にその結果として磁性ガラス粒子を加える前に固形物質の添加により行われうるサンプル調製のためにサンプルにさらなる液体又は緩衝液が加えられてはならない状況をも含まれるべきである。試薬添加の指示は、方法の要件により変化しうる。
【0050】
生物物質は、特有の又は分子的な基準をもつ物質を意味することが理解される。それらは、特に細胞、例えばウイルス又は細菌、並びに多細胞生物から分離された細胞、例えばヒト及び動物細胞、例えば白血球、そして免疫学的活性低分子、及び高分子である。核酸、例えばDNA又はRNAは特に好ましい。本発明の1の態様において、標的核酸が濃度の点で微量成分である(又は少量でしか存在しない)特有の核酸の混合物を精製する。本発明により、標的核酸は着目の核酸、すなわちその存在がヒト又は動物の特定の症状又は疾患を示すものとして調べられるべき核酸であるべきである。例えば、(例えばB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス又はヒト免疫不全ウイルス由来の)ウイルス配列の存在は、個々の個体が特定のウイルスに感染していることを示す。その後、このウイルス配列は標的配列となる。他の標的配列は、例えば遺伝性疾患、例えば鎌状赤血球性貧血といった特定の疾患又は特定の型の癌に対する個体の素因を示す配列である。この例は、本発明について説明的であり、範囲を定めるものではない。
【0051】
本発明によるサンプルは、臨床サンプル、例えば血液、血清、うがい水、尿、脳髄液、痰、便、生検検体、及び骨髄サンプルを含む。前記サンプルは、環境分析、食品分析又は、例えば細菌培養、ファージ・ライセート、及び増幅手順、例えばPCRの産物からの分子生物学研究のために使用されるタイプのものでもありうる。
【0052】
記載した手順は、天然又は修飾された生物学的物質の分離に使用されうる。天然の生物学的物質は、その構造が天然の生物学的物質と比較して不可逆的に修飾されることのなかった物質であると理解される。これはどのような方法であっても修飾することができないサンプルの他の成分を意味するものではない。修飾した生物学的物質は、天然に存在しない物質、例えば反応性の、検出が可能な、固定化の可能なそれらの基に接着することにより修飾される核酸を含む。この1つの例は、ビオチン化核酸である。特定の場合において、前記サンプルは前処理なしに本発明の分離手順に使用されうる。しかしながら、多くの場合においては、前記サンプルはサンプル中に含まれる生物物質を遊離する適当な方法を用いて溶解されなくてはならない。
【0053】
サンプルの溶解手順は当業者により知られ、そして事実上、化学的、酵素的又は物理的でありうる。これらの手順の組合わせも応用できる。例えば、溶解は超音波、高圧を用いて、剪断力により、アルカリを用いて、溶剤又はカオトロピック生理的食塩溶液、あるいはプロテアーゼ又はリパーゼを使って行われうる。核酸を得るための溶解手順に関して、専門の文献、Sambrook et al. : Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Addition, Cold Spring Harbour Laboratory Press, Cold Spring Harbour, NY、及びAusubel et al. : Current Protocols in Molecular Biology 1987, J, Wiley and Sons, NYを参照のこと。
【0054】
分離されるべき生物物質に加え、サンプルは液体中に他の成分、例えば細胞残渣、タンパク質、塩、及び分離されない他の物質を含むこともできる。好ましくは生物物質を天然形で含むこのサンプルを、標的生物物質をその粒子表面に結合する条件下、粒子と接触させる。このための条件は含まれる生物物質のタイプに依存するが、基本的には既知である。それらは生物物質をその表面に結合させる方法にも依存する。免疫学的相互作用が結合に利用される場合、免疫複合体の形成に好適な条件を選ばなくてはならない。修飾された核酸を使用する場合、結合は修飾に対応する核酸の基を介して行われうる、例えばビオチンを介したストレプトアビジン・コートした表面との結合。しかしながら、核酸について、特にガラスへの核酸の直接の結合が好ましい、なぜなら特に、核酸を修飾しなくてもよく、そして天然の核酸さえ結合できるからである。ガラス粒への天然核酸の結合手順は従来技術に記載の手順に類似しうる。それは2〜8 mol/lそして好ましくは4〜6 mol/lの濃度のカオトロピック塩の存在下で好ましくは行われる。カオトロピック塩はヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウム又は塩酸グアニジニウムでありうる。他の化合物でも可能である。
【0055】
サンプルを前記粒子と接触させるために、サンプルをその粒子と混合し、そして結合が起こるのに十分な期間インキュベートする。当業者は、非磁性粒子により処理を行う手順からインキュベーション・ステップの継続期間に一般に精通している。このステップは、さまざまな時点で表面に固定された生物物質の量を測定することにより最適化されうる。10秒間〜30分間のインキュベーション時間が核酸にとって適当でありうる。
【0056】
粒子が、インキュベーション期間にそれ自身が流体と分離してしまうか、又は懸濁液は長時間損われずに維持されるかは、磁性粒子のサイズ及びタイプに依存する。粒子が小さくそして非磁化である場合、懸濁液は長時間損われずに維持される。粒子が大きなサイズである場合、粒子はインキュベーション期間の間に流体と分離してしまう。
【0057】
固定化は、好ましくは固定すべき物質の溶解度を下げることによる析出を介して行われない。むしろ、固定化は生物特異的相互作用(捕獲分子)又は吸着に基づく。これは非特異的に含まれることからの混入物を大いに妨げる。
【0058】
インキュベーションの後、生物学的物質は、液体から分離される。これは、一般的に磁場を利用することにより磁性粒子に結合した物質を分離することによって実現される。例えば、前記磁性粒子を、インキュベーションが行われた試験管壁に引き寄せることができる。次にその磁性粒子に結合されなかったサンプル内容物を含む液体を除去しうる。用いる除去方法は、インキュベーションを行った試験管の種類に依存する。好適なステップは、ピペッティング又は吸収による前記液体の除去を含む。
【0059】
必要であれば、次に、前記磁性粒子は、洗浄溶液を用いて1回以上浄化されうる。生物学的物質を粒子表面から遊離させることなく、できるだけ徹底的に望ましくない夾雑物を洗い流す洗浄液を使用する。好ましくはこの洗浄ステップは、粒子を前記洗浄液とともにインキュベートすることによって行われる。好ましくは粒子を、例えば振り混ぜ又は最初の磁場と異なる磁場を利用することにより、このステップの間に再懸濁させる。好ましくは汚染された洗浄液は、まさに生物学的物質の結合についての前記ステップのサンプルの様に除去される。
【0060】
最後の洗浄ステップの後、前記磁性粒子は減圧により軽く乾燥されうるか又は流体を蒸発させうる。アセトンを用いる前処理ステップも行われる。必要とされる場合、本方法により精製された生物学的物質は、磁性粒子から分離されうる。このステップは、その生物学的物質を磁性粒子に結合した方法にも依存する。前記生物学的物質が天然の核酸であり、そして磁性粒子がガラス・コート粒子である場合、その核酸は本発明による粒子から低い塩含有量を有する溶出緩衝液を用いて除かれうる。この種類の緩衝液は、DE 3724442及びAnalytical Biochemistry 175, 196-201 (1988)から知られる。低い塩含有量を有する溶出緩衝液は、特に0.2 mol/l未満の含有量を有する緩衝液である。特に好ましい態様において、溶出緩衝液はトリスを含む。特殊な他の態様において、溶出緩衝液は脱塩した水である。本発明による手順の利点は、流体から生物学的物質を分離することが非常に容易な点である。従来技術において、夾雑物からガラス粒子を分離するために遠心分離ステップを用い又はその生物学的物質がガラス繊維フィルターに結合される場合には、流体をフィルターに通した。これは、大量サンプルの処理を難かしくする制限的なステップである。生物学的物質は、本発明による粒子を用いてより効果的に夾雑物から分離されうる。特に、特定の酵素反応の阻害剤を本発明により大いに除去しうる。
【0061】
好ましい態様において、本発明の粒子は溶解混合物に加えられる。吸着が起こるのに好適な期間の後−これは機械的な撹拌により最適化されうる−その粒子は、検出されるべきでない余分な細胞成分を含む周囲の流体から分離される。これは、好ましくは磁石を容器壁のそばに置くことにより磁場を利用することで行われる。
【0062】
まだ存在しているであろうすべての夾雑物を除去すべく、洗浄が好ましくは測定されるべき核酸をガラス表面から遊離させない流体により行われる。ガラス表面から核酸を分離する試薬条件を有する溶出緩衝液を加え核酸をガラス表面から外す。これらの条件は、特に低塩条件である。意図された核酸のさらなる使用に依存して、前記液体はここで粒子から分離され、そしてさらに処理されうる。この分離ステップは、好ましくは粒子を溶出液から分けるための磁場の利用を介して行われる。
【0063】
本発明の好ましい態様は、例えばWO99/16781に記載のようなオートメーション化しうる方法における本発明のMGPsの使用である。オートメーション化しうる方法は、ヒトによる外部からの制御又は力をわずかにともなうか又は全くともなわずに作動が可能である装置又は機械により実行されるのに好適な、方法の中のステップを意味する。自動化方法は、方法の中のステップが、ヒトによる外部からの制御又は力をわずかにともなうか又は全くともなわずに作動が可能である装置又は機械により実行されるのに好適であることを意味する。方法の準備ステップだけはヒトの手により行われるべきである、例えば保存容器を満たし、そして備え付けなくてはならず、ヒトによる供されるべきサンプルの選択であり、そしてさらなるステップは当業者に知られる、例えば制御コンピューターの操作である。前記装置又は機械は、液体を自動的に加えるか、サンプルを混ぜるか又は特定の温度でインキュベーション・ステップを実行しうる。典型的には、そのような機械又は装置は、1つのステップ又は命令を指定するプログラムを実行するコンピューターにより制御されたロボットである。好ましい自動化方法は、高処理量様式で実行される方法であり、これは、方法及び短時間にサンプルの高処理量のために最適化される、利用機械又は装置を意味する。
【0064】
他の態様において、本発明によるMGPsは、いくつかの反応ステップが手作業により行われることを意味する半自動化過程に使用される。本発明の好ましい態様において、本発明によるMGPsを含む懸濁液は保存容器から取出され、そして一部が別の反応容器に加えられる。反応容器は、究極的にはそこで反応を実行しうる96又は384以上のウェルを含むマイクロタイタープレート形である、プラスチック製の反応試験管でありうる。しかしながら、これらの容器は他の素材、例えば鋼鉄から作られうる。
【0065】
本発明の好ましい態様は、検出ステップが引き続く精製方法又は増幅及び検出ステップが引き続く精製方法である。標的核酸(target nucleic or nucleic acid)又は着目の核酸は、非標的核酸の混合物中に含まれうる、さらに上述の特定の核酸の混合物中の微量成分でさえありうる。好適なDNA検出方法は、当業者に知られ、そしてSambrook et al. : Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Addition, Cold Spring Harbour Laboratory Press, Cold Spring Harbour, NY及びAusubel et al. : Current Protocols in Molecular Biology 1987, J. Wiley and Sons, NYといった標準的な教本に記載されている。DNA検出ステップの前にもありうるさらなる精製ステップは、例えば沈殿ステップとして行われる。前記検出方法は、二重鎖内に挿入され、そしてその吸光度を変化させる臭化エチジウムのような特定の染料の結合又は挿入を含みうるがそれだけに制限されない。精製されたDNAは、場合により制限的消化の後に電気泳動により分けられ、そしてその後に可視化される。特異的な配列へのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを利用し、そして引き続いて上記ハイブリッドを検出する、プローブに基づくアッセイもある。当業者に知られているさらなるステップの後にDNAの配列決定することも可能である。最近の方法は特異プローブがそれに結合されるシリコンチップに多様なDNA配列を適用し、そして相補的な配列が結合するときにシグナルを発生する。
【0066】
本発明による好ましい方法は、検出可能な量までの標的配列の特異的増幅であるところの、リガーゼ連鎖反応、及びポリメラーゼ連鎖反応といった増幅方法である。時に好ましい検出方法は、WO92/02638及びそれに対応する米国特許第US 5,210,015号、同第US 5,804,375号、同第US 5,487,972号に記載のTaqMan(商標)法である。この方法は、シグナルを発生させるためにポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性を利用する。詳細には、核酸はサンプルと標的核酸の1の領域に対しての相補的な配列を含むオリゴヌクレオチド及び同じ標的核酸配列の鎖の、しかし上記第1のオリゴヌクレオチドにより定義される核酸配列を含まない第2の領域に対し相補的な配列を含む標識されたオリゴヌクレオチドを、ハイブリダイゼーション条件の間に上記第1オリゴヌクレオチドの3′末端が上記標識オリゴヌクレオチドの5′末端に隣接するような第1オリゴヌクレオチド及び標識オリゴヌクレオチドにアニールした標的核酸を含む二重鎖の混合物を作り出すための接触を含む工程により検出される。次に5′→3′ヌクレアーゼ活性をもつ鋳型依存性ポリメラーゼによりアニールした標識オリゴヌクレオチドを切断するために、上記ポリメラーゼの5′→3′ヌクレアーゼ活性をもたせ、そして標識切片が遊離するのに十分な条件下でこの混合物を処理する;前記標識オリゴヌクレオチドの加水分解により発生したシグナルを検出及び/又は計測する。TaqMan(商標)技術は、固層結合された反応複合体を形成し、そして検出可能にする必要性を取除く。
【0067】
より一般的な言葉で言えば、増幅及び/又は検出反応が複数の標的の同時検出のための均質溶液相多重アッセイ(homogeneous solution-phase multiplex assay)(実施例7.2を参照のこと)である検出ステップがそれに引き続く生物学的物質の精製手順を開示する。
【0068】
本発明の他の態様において、記載の精製手順を、以下に記載の方法の1つを用いた増幅手順、好ましくはブロッキング・オリゴヌクレオチドの使用と組合わせる。多くの場合増幅、特に微量の標的核酸の増幅に関係した問題は、低い温度(40℃までの室温)での耐熱性ポリメラーゼの活性である。この温度でプライマー・オリゴヌクレオチドはしばしば互いに又はバックグラウンド核酸に非特異的に結合し、そしてポリメラーゼにより伸長される。これは反応成分の損失及び高いレベルのバックグラウンド・シグナルを引き起こし、そしてその結果として感度の低下を引き起こす。これは誤った陽性結果をももたらす。ポリメラーゼの非特異的活性を避けるために、「ホット・スタート」−PCR(Chou et al., 1992, Nucl. Acid Res 20, 1717-1723)、共有結合性修飾ポリメラーゼ(例えばAmpliTaq Gold, Perkin Elmer)又は抗体(Scalice et al., J. Immunol. Methods, 172, 147-163, 1994)、及びオリゴヌクレオチド(Dang and Jayasena, JMB 264, 268-278, 1996; US 5,763,173; US 5,693,502)の様ないくつかの方法が示されている。本発明によりブロッキング・オリゴヌクレオチドは、前述の温度までポリメラーゼの活性中心を封鎖しうるオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、例えば実施例7.2.2.1.3に記載のアプタマーでありうる。
【0069】
本発明の他の態様において、アプタマー(例えば実施例7.2.2.1.3を参照のこと)及び/又は修飾プライマー(例えば実施例7.2.2.1.3を参照のこと)を単独で増幅反応及びこれに続く検出方法に使用しうる。これは有益な効果をもち、そしてそれ自体が優れた結果を提供する発明であるとみなされうる。本発明の好ましい態様において、3′末端核酸塩基、アデニンがp−(t−ブチル)−ベンジル残基により修飾される。3′−1位にそれを含むさらなる修飾は、EP 866 071 A2(本明細書に援用)に記載される。
【0070】
さらに他の態様において、後に検出ステップが引き続く生物学的物質の精製のための本発明は、アニーリング温度がポリメラーゼ−アプタマー複合体の分離温度を8℃未満、好ましくは3℃未満上回る、少なくとも5サイクルのポリメラーゼ連鎖反応のために開示される。
【実施例】
【0071】
以下の実施例は、本発明の態様を説明するための助けとなる。
【0072】
1 実施例1:磁性ガラス粒子の製造
SiO2 及びアルカリ−又はアルカリ土類炭酸塩(Na2 CO3 ,K2 CO3 ,CaCO3 )の様な未加工の原料を一緒に融解した。
反応様式は以下のとおりである:
【0073】
【化6】
【0074】
しかしながら、たいていの場合において、シリケート、ボレート、及びアルミネートの混成基質を使用する、すなわち、適切な基質構成物質であるSiO2 はB2 O3 及びAl2 O3 により部分的に置き換えられている。
【0075】
あるいは、ガラスをゾル−ゲル反応を介して合成しうる。反応様式は以下のとおりである:
我々の場合は、酸触媒ゾル−ゲル反応、例えば
【0076】
【化7】
【0077】
又は塩基触媒、例えば
【0078】
【化8】
【0079】
のいずれかである。
利点:アルコールがスプレードライの間に容易に蒸発する;理想的には表面上への塩の再結晶化がない。
したがって、アルコラートを水酸化物に変え、水を排除するために対応の酸化物を生じる。
次にこれらは、例えば以下:
【0080】
【化9】
【0081】
のように基質結合のセパレーターとして特定の酸化金属成分をその中に包埋する、SiO2 /B2 O3 /Al2 O3 から成る3次元の非晶性ガラス基質を形成する。本明細書に記載した実験のために、ガラス成分を塩基触媒ゾル−ゲル合成により製造した。全ての実験で用いたガラスの組成は(別に示されない限り)以下のとおりであった:
70.67 Mol% SiO2 、14.33 Mol% B2 O3 、5.00 Mol% Al2 O3 、4.00 Mol% K2 O、2.00 Mol% CaO、4.00 Mol% ZnO
(反応によりもたらされる個々の抽出物の質量から計算)
1.1 調査した磁性色素の説明
異なるタイプの磁性色素を調査し、そして表1に概要を示した。
【0082】
1.2 コート・ゾル(EJ組成物)の製造
抽出物を加熱できる撹拌容器に以下の順序及び量で加える。
【0083】
【化10】
【0084】
その後容器を閉じる。ゾルを70℃まで加熱して、そして一晩中(15時間)撹拌する。液中に浸した温度センサーにより温度を調節する。次にゾルを90℃まで加熱し、そしてアルコール/水の混合物(エタノール:3781ml、H2 O:1512ml)を500ml/hの速さで加える。前述の混合物の添加の後、容器を20℃まで冷ます。蓋を空け、そして10249gの磁性色素(CERAC)を強く撹拌しながら加える。調製したゾルをホースによりスプレー・ドライヤーに移す。
【0085】
1.3 スプレードライ
スプレー・ドライヤーの噴射口を200℃に調節する。ノズル圧を6bar に調節し、そしてそのノズルをエタノールにより3分間冷却する。次にホースをガラス容器の出口につなぎ、そして色素含有ゾルを超音波デバイス(200w)を通してスプレー・ドライヤーの二流体ノズル(two fluid nozzle)(開口部の直径:2mm;部品製造業者:Nubilosa, Type 1B1VVS1)へ110m/分の速さで押し出す。スプレー・ドライヤー・装置を図3に図解の形で示す。最初の2分間に形成された粒子を捨てる。ゾルの完璧なスプレーの後、粒子をともなうサイクロ(登録商標)ン(AVO、図3を参照のこと)の下の容器を取り出し、そしてその粒子を次のステップに記載のとおりさらに処理する。
【0086】
ゾルを含む色素を撹拌容器内で懸濁した粒子の沈殿を妨げるために撹拌する。そのゾルをポンプ(SP)を用いて容器からノズルに移す。電熱器(EWT)により加熱した窒素を乾燥用のガスとして使用する。コート色素を乾燥用チャンバー(T)からサイクロ(登録商標)ン(ZY)に移す。乾燥した粉末をサイクロ(登録商標)ン下の容器(AVO)から取り出す。非常に細かい粒子をフィルター(SF)により窒素から除去する。スプレー・ドライヤーを過度の圧力で使用しドライヤー内への空気の取込みを防ぐ。ガスの流れをガス送風機(AV)により作り出す。
【0087】
1.4 スプレードライ粉末のさらなる処理
前記粉末をセラミックのボールに移し、そして1K/分の加熱速度で200℃まで炉の中で加熱する。次に温度を200℃で1時間保持し、そしてその後オーブンを室温まで冷ます。ボールを1時間当り60lの窒素によりリンスされる27lの容積をもつガス炉(atmosphere furnace)に移す。その炉を1K/分の加熱速度で750℃まで加熱し、そしてその温度で1時間保持する。次に炉を150℃まで冷まし、そして1時間当たり60lの空気によりリンスする。炉を2K/分の加熱速度で200℃まで加熱し、そしてその温度で1時間保持し、そしてその後室温まで冷ます。粉末をふるい(50μm)に移し、そして30分間ふるいにかける。その後、ふるいにかけたサンプルをガラス容器に詰め、1K/分の加熱速度で200℃まで加熱し、その温度で4時間保持し、そして次に80℃まで冷まされるオーブンにより蓋をせずに滅菌する。次にそのガラス容器を炉から取り出し、滅菌したホイルにより覆い、そして蓋により閉じた。
【0088】
重要な工程パラメーターの概要は表2及び表3にあり、製造した個々のサンプルをいくつかのデータとともに表3に示す。各サンプルは固有のコードをもつ。最初の2文字は用いたガラスの化学的性質(以下を参照のこと)を表し、そして次の4つの数字は製造工程(表2を参照のこと)をコードする。その数字の後に用いた色素(表1を参照のこと)を記載する。前記の文字Rは微細内容物が除かれていないことを意味するのに対して、Eは微細内容物がエタノールにより除かれていることを意味する。最後の2つの数字はロット番号を表す。抽出物の量から計算したガラス(コードEJ)の組成は、70.67 Mol% SiO2 、14.33 Mol% B2 O3 、5.00 Mol% Al2 O3 、4.00 Mol% K2 O、2.00 Mol% CaO、4.00 Mol% ZnOであった。ガラス(コードRN)の組成は、74 Mol% SiO2 、15 Mol% B2 O3 、5.00 Mol% Al2 O3 、4.00 Mol% K2 O、2.00 Mol% CaOであった。ガラス(コードEP)の組成は、73.61 Mol% SiO2 、14.93 Mol% B2 O3 、5.21 Mol% Al2 O3 、4.17 Mol% K2 O、2.08 Mol% CaOであった。
【0089】
2 実施例2:高解像走査型電子顕微鏡検査
MGPの表面、サイズ、及び形態の情報を得るために、我々はJEOL社により製造された高解像走査型電子顕微鏡(JSM)により調査を行った。サンプルを電気伝導性の両面接着テープによりサンプル・ホルダー上に広げ、30mAの電流で36秒間金によりスパッタする。表面を推測するために、放出した2次電子(トポグラフィー(topography))、及び後方散乱電子(オーダー・ナンバー・コントラスト)を観察する。使用した主な電子電圧は、10kV(2次電子)又は25kV(後方散乱電子)であった。
【0090】
図4は磁性色素(BM)として酸化鉄(III)により覆われた雲母によるMGPsを示す。非収縮性材料上で層が収縮し始める場合の粒子のスプレードライに由来するガラス殻の亀裂をはっきりと見ることができる(乾燥性亀裂)。さらにより大きな磁性粒子(10〜60μm)を1つも含まない多数の球状粒子を見ることができる。磁性核をもたないこれらの球体(非磁性微細成分)は磁場により除去できず、PCR反応に移され、そしてこの反応を妨げる。
【0091】
磁性色素(平均粒子サイズ23nm)が層に張力を生じさせないためスプレードライ処理の間に亀裂が作られないため、CERAC色素による粒子(図5を参照のこと)には亀裂がない。さらに、小さなCERAC粒子は、そこに含まれた非磁性粒子がないため微細成分内に取込まれもする。その粒子は、雲母による粒子よりも相当小さくもあり、それは同じ倍率のこれらの図において観察されうる。他の磁性色素によるMGPsを図6〜図10に同じ倍率で示す。
【0092】
3 実施例3:MGPsの物理的調査
実際の機能試験の前にMGPsの評価を与えるために、HREM調査に加えてさらに物理的計測をMGPsについて行った。水中での鉄の溶解度、磁力、微細成分、密度について知ることは興味深かった。以下にその実験を記載し、そして結果を示した。
【0093】
3.1 吸光度計測
前記の微細粒が除かれているかどうか試験するために、1000mgの加熱処理し、そしてふるいがけした粉末を50ml容遠心管(Sarstedt)に量りとり、40mlの水を加え、そして振りまぜて分散させる。次にその管を、全体を埋める高さを有する超音波バス(Sonorex (RX 102H; 120/240W))に入れ、そして磁性分離機(Roche Diagnostics GmbH RD Art. Nr. 1858 025)に乗せる。3.5分間の磁性分離の後、液体を磁石の向かい側の15mlマークの高さでパスツール・ガラス・ピペットにより容器から取り、そして5mm石英キュベット(Type 110-QS, Hellma)に満たす。その上清の吸光度をUV−VIS−NIR分光計(Hitachi U-3000)により脱イオン水で満たした対応のキュベットに対して計測する。計測の範囲は、偶発的な夾雑物の吸収バンドに関するこの波長範囲を調査するために1nmきざみで200〜1100nmとした。280nm及び400nmの波長での吸光度を参考として測った。
【0094】
3.2 密度計測
密度計測のために、ガス・ピクノメーター(AccuPyc 1330, Fa.Micromeritics)を使用する。ヘリウム6.0をガスとして使用する。装置を市販の標準物質(容量概知の金属ビーズ)により標準化する。さらに、サンプルを少なくとも150℃で1時間乾燥し、そして次に計測容器に満たし、そして計量する。計測容器をガス・ピクノメーター内に入れた後、10の洗浄サイクル及び5の計測サイクルを平均容量及び標準偏差を測定するために用いた。
【0095】
3.3 溶解度の計測
コート及び加熱処理サンプルの鉄溶解度をInductive Coupled Plasma-Atomic Emission分光法(JY24,ISA社)により測定する。そのために、1gのサンプルを50ml容ポリプロピレン管に移し、滅菌水で満たし、そして60℃の温度で20時間保持する。次に、サンプルを0.2μmシリンジ・フィルターによりろ過し、そしてそのろ液を計測する。4の単独測定を259.940nmの波長で実施し、そしてそこから平均値を計算する。
【0096】
3.4 磁力の計測
磁力を計測するために、MGPsで完全に満たしたPP−計量用試験管(Licefa社、Art. Nr. V2-3)を計量する。ステンシルの助けにより、このサンプル容器を、その管の蓋を閉じたままにできるように真ちゅうをのせたLDPE管(Kartell社、TS735)の中央に置く。前記容器を他のステンシルの助けにより天秤(検出精度0.1g)の中央に配置する。天秤の平衡化の後、円柱形の磁石(直径:30mm;高さ:113.5mm;材質:サマリウム−コバルト2/17)を含むプラスチック・カプセルを天秤の上に配置する。
【0097】
その結果、天秤のMGPsは重力に逆らって引き寄せられることでその重量が減少する。平衡状態の調整(1.5分)の後、サンプルの重量損失を測定し、そしてその値を250mg MGPについて正規化する。
【0098】
3.5 結果
EJ組成物及び異なる色素によるMGPsの物理的特徴づけの結果を表3に概要として示す。吸光度の値はCERAC色素を用いた場合、非常に低いことが注目に値する。これは、小さなCERAC色素(23nm)が各磁性ガラス粒子内に取込まれうることでの非磁性微細成分の欠如により説明されうる。CERAC−MGPsの密度は非常に高いわけではない。これは沈殿速度に決定的な影響をもつ。磁力は、大きな変動の影響下に置かれるが、しかしながらそれはCERAC色素の使用により明らかに影響をうける。CERAC−MGPsは水への鉄の比較的高い漏出を有する。しかしながら、10倍多い量であってもPCR反応にいかなる影響をも示さなかった。
【0099】
要するに、前記物理的特性には、異なる色素の間での全く違いがないが、CERAC−MGPsが非常に少ない微細成分を有することを言明しうる。
【0100】
4 実施例4:BET表面に対する磁性核色素及びスプレー・ドライヤーの効果
表面をMicromeriticsのデバイス(Type ASAP 2400)を用いて測定した。計測を液体窒素温度で行った。窒素5.0を計測用ガスとして、そしてヘリウム4.6を不活性ガスとして用いた。典型的には、5gのサンプルを1回の計測に用いた。MGPsの表面はDNA及びRNAの分離の役割を果たす。優れた表面はより多くのDNAを同じ質量のMGPsにより結合しうる。それは少ないMGPsを使用し、そして同じ成果を得ることをも可能にする。これはPCR反応内に夾雑物として導入されうるアルコールの減少を意味する粒子間の体積を減らす効果をもつ。いくつかのサンプルについての計測したBET表面のデータを表4に概要として示す。大きなスプレー・ドライヤーで製造したサンプルの表面を比較する場合、小さな色素(BASF FA, STREM、及びCERAC)によるサンプルは比較的大きな表面を有し、一方大きなMerck色素は小さな表面を有することに留意すべきである。これは大きな磁気粒子が大きなMGPsを生じるのに対し、小さな磁性粒子がスプレー・ドライ処理の間の球状滴中に取込まれ、したがって同じようなスプレー条件下で同じような表面を有するという事実により生じうる。BASF CE−SU粒子は、小さな粒子(BASF FA, STREM、及びCERAC)と大きなMerck粒子の間に分類されるサイズを有する。Merck粒子との対比において、その粒子が非常に滑らかなガラス表面を有するので、それらは構造的な表面を持たない。これは小さな表面をもたらす。より高い圧力が小さなスプレー・ドライヤーにより用いられ、そしてこのスプレー・ドライヤーのノズルは大きなスプレー・ドライヤーのそれよりも異常に小さい。これはより小さな粒子を生じ、それにより表面が著しく減少する。これは実施例5.2.1の結果とよく一致している。
【0101】
さらなる物理的調査の結果に対する磁性色素又はスプレー圧のあらゆる効果は、前述の亀裂形成及び微細成分に対する効果を除いて認められない。しかしながら、表面の計測だけは機能的な効果の結果への直接的なつながりを示す。他の物理的効果の結果はこの直接的なつながりを示さない。
【0102】
5 実施例5:放射性トレーシングによる結合試験
核酸の抽出へのそれらの適合性に関してMGPの評価のためのいくつかの方法がある。精製前後の260nmでの吸光度の測定は、感度が低く、そして少量の標的核酸を臨床材料から抽出する状況に類似しない。例えばPCR,RT−PCR,NASBA又は他の類似物によるような核酸の増幅方法に頼る機能的な評価方法の結果は、たいてい十分な説得力がない。さらに、標的ゲノムのわずかなコピーの測定に好適なこれらの方法は、サンプル材料又はサンプル調製処理からの物質による妨害の影響を受けやすい。
【0103】
放射性物質結合試験はサンプル調製処理の段階的な分析を可能にする好適な分析方法である。成果データは完全なデータではないが、必ず言及の粒子の性能に相関する。
【0104】
5.1 実験プロトコール
最初に、放射性標識DNA又はRNAを32P−標識デオキシヌクレオシド又はヌクレオシド−三リン酸の存在下でのPCR又はインビトロにおける転写処理により酵素的に合成する。次に、この標識DNA又はRNAを遊離のヌクレオシド−三リン酸から分離し、含有量を測定し、そして確定した希釈液を調製する。少量の標識DNA又はRNAを実験前に各サンプルに加える。サンプル調製の間に、全ての核酸はカオトロピック物質存在下、MGPsに結合する。そのMGPsを磁力の使用によりペレット形成し、そして上清を捨てることができる。前記ペレットを洗浄し、そして結合した核酸を、反応条件の反転により、すなわち低塩の溶出緩衝液の添加により高めた温度で溶出する。結合の後、そして場合により洗浄ステップの後、前記粒子上清のアリコートをフィルター上にスポットする。前記溶出液、及び水中に再分散させたMGPを同様にフィルター上にスポットし、その後乾かす。最後に、そのフィルターをベータ・カウンターにより計測し、そして各サンプル調製についての分布を計算する。
【0105】
5.1.1 放射性標識DNAの調製
5.1.1.1 A.1.1.試薬
− Expand High Fidelity PCR装置(Roche Molecular Biochemicals Cat. No. 732641 )
− dNTPミックス(Roche Molecular Biochemicals Cat. No. 1277049)
− デオキシシチジン5′−アルファ−P32三リン酸dCTP 3000Ci/mmol( Amersham Cat. No. PB 10205)
− ランダム−DNA(Roche Cat. No. 1029053)濃度1ng/ml
− 放射性トレーサー・プライマー1(配列番号1)濃度5,3OD260 /ml
− 放射性トレーサー・プライマー2(配列番号2)濃度5,2OD260 /ml
− QIA Quick PCR精製キット(Qiagen Cat. No. 28104)
5.1.1.2 反応
− 29.5μl二重滅菌水
− 5μl Expand High Fidelity緩衝液
− 二重滅菌水により希釈した2.5μl dNTP ミックス(1:10)
− 1μl放射性トレーサー・プライマー1(配列番号1)
− 1μl放射性トレーサー・プライマー2(配列番号2)
− 0.3μl 32P−dCTP
− 10μlラムダ−DNA
− 0.75μl Expand High Fidelity−酵素ミックス
5.1.1.3 増幅
− 2分間94℃
− 10サイクル(10秒間、94℃/30秒間、60℃/60秒間、72℃)
− 20サイクル(10秒間、94℃/30秒間、60℃/60秒間、72℃+10秒 間、72℃伸長毎サイクル)
− 7分間72℃
− 4℃
5.1.1.4 精製
− QIA Quick PCR 精製プロトコール(Qiagen)による
5.1.1.5 希釈
二重滅菌水によるDNAを1:10に希釈し、そしてベータ線計数管により計測する。
【0106】
5.1.2 A.2.放射性標識RNAの調製
5.1.2.1−試薬
− SP6/T7転写キット(Roche Molecular Biochemicals Cat. No. 999644)
− ウリジン5′−alpha−P32三リン酸UTP 3000Ci/mmol(Amersham Cat. No. PB 10203)
− プラスミドpBKBH10S、EcoRIにより線状化し100μg/mlで
− High Pure RNA精製キット(Roche Molecular Biochemicals Cat. No. 1828665)
5.1.2.2−反応
− 2μl 10×緩衝液
− 3μl NTPミックス(AGC)
− 1μl UTP(二重滅菌水により)
− 5μl 32P−UTP
− 7μl 線状化プラスミド
− 1μl RNAse阻害剤(Roche Molecular Biochemicals Cat. No. 802808)
− 1μl T7 RNA−ポリメラーゼ
5.1.2.3 転写及びDNase消化
− 37℃で20分間インキュベーションし、
− 2μlのRNase不含DNaseを加え、
− 37℃で10分間インキュベートし、
− 178μlの二重滅菌水を加える。
【0107】
5.1.2.4−精製
− High Pure RNA 分離プロトコール(Roche Molecular Biochemicals)による。
【0108】
5.1.2.5−希釈
二重滅菌水によりRNAを1:30に希釈し、そしてベータ線計数管により計測する。
【0109】
5.1.3−放射性サンプルの調製
5.1.3.1−試薬
− 陰性血漿
− プロテイナーゼK 濃度20mg/ml(例えばRoche Id. Nr. 1942387)
− ポリ−A−RNA(例えばRoche Id. Nr. 108626)濃度1mg/ml;溶解緩衝液によ り1:1000(体積/体積比)に希釈
− 溶解緩衝液(50mMトリスpH7.0、15%(v/v)ポリドカノール、5Mイソ チオシアン酸グアニジニウム、1mM DTT)
− 60mg/ml又は6mg/mlでイソプロパノール中に懸濁した(ガラス組成物EJ及び 異なる核色素(BM, MMB, CERAC, STREM, BASF-FA, BASF-CE)による)BGP
− 洗浄緩衝液(20mMトリスpH7.5、20mM NaCl、70%(v/v)エタノ ール)
− 溶出液:二重滅菌水
− 補助物質:Whatman GF/Dフィルター
5.1.3.2− 反応(1.5mlプロトコール)
− 80μlのプロテイナーゼKに
− 410μlの陰性血漿を加え、そして混合し、
− 500μlの溶解緩衝液を加え、そして混合し、
− 10μlの放射性標識DNA又はRNAを加え、そして混合し、
− 振り混ぜながら室温で10分間インキュベートし、
− 500μlのMGP懸濁液(濃度6mg/ml)を加え、混合し、
− 振り混ぜながら室温で20分間インキュベートし、
− 磁性セパレーター(Dynal)により2分間分離し、
− 上清を除き、そして300μlをフィルター上にスポットし、
− 750μlの洗浄液を加え、ボルテックスし、2分間分離し、
− 上清を除き、最終的に375μlの上清をフィルター上にスポットし、
− 洗浄手順を2度くり返し、
− 100μlの溶出液を加え、サーモミキサーにより80℃で5分間インキュベート し、
− 磁石ホルダーにより2分間分離し、上清をフィルター上にスポットし、
− フィルターを乾燥オーブンにより75℃で60分間乾燥し、
− フィルターをシンチレーション管に移し、5mlのシンチレーション液を加え、そし てベータ線計数管により計測する。
【0110】
5.1.3.3−実験プロトコール(1mlプロトコール)
− 25μlのプロテイナーゼKに
− 415μlの陰性プラスミドを加え、そして混合し、
− 500μlの溶解緩衝液を加え、そして混合し、
− 10μlの放射性標識DNA又はRNAを加え、そして混合し、
− 振り混ぜながら室温で5分間インキュベートし、
− 50μlのMGP懸濁液(濃度60mg/ml)を加え、混合し、
− 振り混ぜながら室温で20分間インキュベートし、
− 磁性セパレーター(Dynal)により2分間分離し、
− 上清を除き、そして300μlをフィルター上にスポットし、
− 700μlの洗浄緩衝液を加え、ボルテックスし、2分間分離し、
− 上清を除き、最終的に350μlをフィルター上にスポットし、
− 洗浄手順を2度くり返し、
− 120μlの溶出液を加え、サーモミキサーにより80℃で10分間インキュベー トし、
− 磁石ホルダーにより2分間分離し、上清をフィルター上にスポットし、
− 100μlの溶出液を加え、再懸濁し、そしてMGPsをフィルター上にスポット し、
− フィルターを乾燥オーブンにより75℃で60分間乾燥し、
− フィルターをシンチレーション管に移し、5mlのシンチレーション溶液を加え、そ してベータ線計数管により計測する。
【0111】
5.2 放射性トレーシング実験の結果
5.2.1 RNA単離に対する磁性核色素又はスプレー・ドライの影響
EJガラス化学及びナノ−又はマイクロの範囲のさまざまな色素(MMB, CERAC等)を用いて異なるスプレー・ドライヤー(Buechi又はNubilosa)で製造された異なるMGPタイプをウイルス−陰性貯留物質からの核酸の抽出でのそれらの振る舞いに関して実施例5.1.3.2による放射性トレーシング法により特徴づけした。RNAパラメーターはその試験の内で最も高感度であることが証明し、そしてその結果、パラメーターとして選ばれた。図11は、溶出液中に少量の結合RNAしか見ることができなかったため、BASF−CEが核材料として好適ではないことを示す。6bar でBuechi装置によりスプレーされたEJ/CERAC粒子は、Nubilosa装置によりスプレーされた基準EJ/MMBの性能を示した。
【0112】
5.2.2 DNA又はRNAの単離に対するスプレー処理パラメーターの影響
異なるスプレー圧のNubilosa装置により製造された異なるMGPタイプを実施例5.1.3.3により比較する。基準粒子は、EJ/MMB MGPである。DNA及びRNA結合特性を調査する。DNAパラメーターがスプレー圧への非依存を示すのに対し、RNAパラメーターは顕著な性能の違いを示す。Nubilosa装置により1.5bar のスプレー圧によって製造したEJ/CERACの性能は、基準のそれよりも低い。1.5〜3.4bar 変化したスプレー圧への依存により1連の中でより低い性能が存在する(〜30%)。4.3bar でスプレーされる粒子は、1.5bar でスプレーされた粒子の性能の90%に達する(図12を参照のこと)。前記実験は、MGP製造に関する処理パラメーターと試験における性能の直接的なつながりを証明する。スプレー圧の増加は低い試験性能をもたらすが、特定のスプレー圧からの開始は、粒子特性をより良好な性能をもたらすように改善することに留意すべきである。
【0113】
5.2.3 RNA及びDNAの単離に対するさまざまなMGP製造パラメーターの影響
これらの実験は、スプレー圧の変異がより良好な性能を有するMGPsをもたらすかどうかの結果を導くはずである。
【0114】
そのため、MGPsを、スプレーガスとして窒素を用いて1.5bar ,4.3bar 、及び6bar の圧力でNubilosa装置により製造する。
【0115】
完全な乾燥処理を得るために、スプレー・ドライヤーの噴射口及び出口温度をさらに下げる。RNA単離に対するこれらの因子の影響を、基準としてEJ/MMB MGPを用いて実施例5.1.3.3により調査する。
【0116】
結果(図13を参照のこと)は、スプレー温度の低下により引き起こされる、そして予測しえなかった劇的な性能低下の驚くべき効果を示す。スプレー圧の上昇により基準に似た性質の性能を達成することは可能であった。優れた懸濁液安定性に付随して、結果として、これらの粒子は基準よりも優れている。
【0117】
6 実施例6:磁性ガラス粒子の沈殿分析
6.1 実験プロトコール
Kontron Instruments製のUrikon分光光度計モデル930を磁性ガラス粒子の沈殿性質の評価のために使用する。この分光光度計を、物差しの目盛りにそってキュベットの可変調節を可能にするために変更する。計測のためにキュベットを、650nmの波長をもつ計測ビームが内容物の高さの2/3の位置(物差しの位置は7.5)でキュベットを横切る位置にセットする。4mlの容量及び1cmの光路長を有するポリスチレン製のマクロ・キュベットを用いる。計測に先立ち、較正を純粋な懸濁溶媒に対して単ビーム法により行う。MGPを、典型的には3mg/mlの質量/容量比で懸濁媒質中に均質に分散させ、そして直ちに計測する。時間による吸光度の変化を前述の650nmの波長で連続的に観察する。
【0118】
異なるサンプルの沈殿速度の比較のために使用される物理的な量は特定の懸濁媒質における半減期(t1/2)である。これはキュベットの上部3分の1における懸濁液の吸光度が計測の開始時の半量になるまでの時間である。吸光度の低下は、粒子の沈殿、及び付随する試験容量の上部3分の1のクリアランスにより生じる。
【0119】
前記デバイスは、さらにキュベットの下方の磁石の据えつけを可能にする。そのため、磁気分離の速度を計測しうる。
【0120】
6.2沈殿分析の結果
6.2.1 実験1:
ナノ−又はマイクロメートルの範囲のさまざまな核、及びEJガラス化学反応により製造されたいくつかのMGPタイプを、それらの沈殿及び分離性質、すなわちキュベットの下の磁石の有無について分光光学的に評価する。質量/容量は、この場合6mg/mlである。前記懸濁媒質は、イソプロパノールと溶解緩衝液の1:1混合物である。結果は概要を示す。CERACタイプからの粒子は懸濁液の安定性において明らかな優位性を示すが、磁気分離についての劣性は示さない(図14も参照のこと)。
【0121】
6.2.2 実験2:
EJガラス化学反応により製造されるCERACタイプからのさまざまなMGPsの沈殿性質を純粋なイソプロパノール中で評価する。
【0122】
主要な製造パラメーターは、以下のとおりである。
【0123】
EJ0100.5R−01−1.5bar のスプレー圧、230℃の噴射口温度、Nub ilosa装置
EJ0108.5R−01−4.3bar のスプレー圧、230℃の噴射口温度、Nub ilosa装置
EJ0096.5R−01−6.0bar のスプレー圧、150℃の噴射口温度、Bue chi装置
EJ0096.5R−01を図15に示す。これらのビーズは、大きな球状で、高次構造表面を有し、そして主に0.5〜5μmのサイズである。低い圧力及び高温でスプレーされたサンプルEJ0100.5R−01は主に変形したμ−スケールの粒子から成る(EJ0100.5Rと機能的当量を示す、図16を参照のこと)。最後に、EJ0096.5R−01のような粒子は、MGP懸濁液の液体の移動について最も有用である懸濁液の顕著な沈殿の遅延を示す(図14bを参照のこと)。結果を概要の形で示す。
【0124】
7 実施例7:PCRによる機能試験
7.1 異質系機能分析:Perkin Elmer Gene Amp 9600(商標)によるPCRにより増幅し、そして変更したElecsys 1010(商標)による化学発光標識検出プローブを用いる生物特異的結合により検出する。
【0125】
7.1.1 全般的な考え方
サンプル(例えば血漿)中のウイルス粒子をプロテアーゼ及び高濃度のカオトロピック塩、及び界面活性剤の存在により溶解する。次に遊離核酸をガラス表面に物理学化学的吸収のために微粒子吸収体(=MGP)を加え、その後に磁気による分離及び加えられたビーズ、すなわち結合型/遊離型吸収体の洗浄が引き続く。最後に、ビーズからの結合した核酸の分離(溶出)を吸収に対して反対にした反応条件下、すなわち低い塩の緩衝液によるか又は滅菌水によってでさえ実行される。次に溶出物のアリコートをPCRマスター・ミックスと混合し、溶出物内に発見される核酸の増幅を始める。この反応は以下の等式により特徴づけられる。
【0126】
Ni=No×(1+E)n
ここで、
No=ポリメラーゼ連鎖反応開始時の分子数
Ni=ポリメラーゼ連鎖反応終了時の分子数
E=増幅効率=0≦E≦1
n=反応サイクル数=典型的には20≦n≦35
少なくとも1のビオチン化プライマーによるPCRの後、ビオチン・タグ化増幅物をハイブリダイゼーション緩衝液及び検出プローブと混合する。インキュベーションの後、ストレプトアビジン・コートビーズを加え、引き続いてもう1度インキュベーションする。最後にそのビーズを洗浄し、シグナル緩衝液を加え、そして増幅された核酸結合の量、すなわち血漿サンプル中のウイルス混入量に相関する化学発光シグナル強度を計測する。
【0127】
当業者は1mlプロトコールを手作業で実行することもできる。
【0128】
7.1.2 実験プロトコール
7.1.2.1 試薬
7.1.2.1.1 サンプル調製
プロテイナーゼK、グリセロール/Cα−酢酸による液体、20mg/mlポリ−A−RNA、1mg/ml、使用レベルは溶解緩衝液による1:1000希釈液溶解緩衝液、以下の
・トリス緩衝液、50mmol/l、pH7.0(それぞれ、1.0及び抽出器プロトコール)、又は4.0(1.5mlプロトコール)
・ポリドカノール、15%(v/v)(それぞれ1.0及び抽出器プロトコール)、又はTriton(商標)X−100 20%(v/v)(15mlプロトコール)
・イソチオシアン酸グアニジニウム、5mol/l
・1mmol/l DTTから成る。
【0129】
− EJ/BM,EJ/MMB又はEJ/CERACタイプの磁性ガラス粒子(MGP )を60mg/mlでイソプロパノール(純度99.8%)中に懸濁させる。
【0130】
− 洗浄緩衝液は以下の
・トリス緩衝液、20mmol/l、pH7.5
・60%エタノール/水(それぞれ、1.0及び抽出器プロトコール)、又は70%(1.5mlプロトコール)
・NaCl,20mmol/l
から成る。
【0131】
溶出液=二重滅菌水
増幅/マスター・ミックス:
− PCR緩衝液、以下の
緩衝媒質
RT−PCR(ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)):250mmol/l ビシン(bicine)/KOH pH8.2,557mmol/l K−酢酸、40%グリセロール
HBV−PCR(B型肝炎ウイルス(HBV)):20mmol トリス−HCL pH8.3,100mmol/l KCl,0.012% Brij35(=2倍濃度)
金属陽イオン、MgCl2 (HBV−PCR)3mmol/l又はMnCl2 (RT−PCR)2.5mmol/l(HCV)、及び1.25mmol/l(HIV)
デオキシヌクレオシド三リン酸(dATP,dGTP,dCTP,dTTP,dUTP)
分析物特異的な正プライマー
分析物特異的な逆プライマー
ウラシル−N−グリコシダーゼ(UNG)
DNAポリメラーゼ(それぞれ、HBV又はHIV/HCVのためのTaq又はTthポリメラーゼ)100μlに容量調節するための鉱物質を除いた水(分子生物学グレード)から成る。
増幅後のUNG停止試薬
− N−ラウロイルサルコシン(例えばRoche Id.Nr.133895)、1%(w/v);
増幅物100μl当たり5μl
7.1.2.1.2 検出
ハイブリダイゼーション緩衝液(例えばRoche Id.Nr.1930273)
化学発光標識検出プローブ
HCV(Roche BMO 28.140336)、作業原液=8.0nmol/l
HIV(Roche BMO 28.540948)、作業原液=7.8nmol/l
HBV(Roche BMO 28.540917)、作業原液=9.2nmol/l
SAで覆ったECLビーズ(例えばRoche Id.Nr.1865943-001)
変性溶液(例えばRoche Id.Nr.1930257)
Pro Cell(例えばRoche Id.Nr.1717685)
Clean Cell(例えばRoche Id.Nr.1717642)
7.1.2.1.3 プライマー及びプローブ
【0132】
【表1】
【0133】
7.1.2.2 反応条件及び試験手順
サンプル調製
→ 1.0ml手作業プロトコール;=>実験1に使用される実施例7.3.1を参照のこと
425μlの血漿サンプルに25μlのプロテイナーゼKを加え、ボルテックスし、500μlの溶解緩衝液を加え、機械的な撹拌(Eppendorfミキサーにより1300rpm)しながら室温で5分間インキュベートし、
50μlのイソプロパノール中に懸濁したMGP(濃度60mg/ml)を加え、ボルテックスし、そしてローラー・ミキサーにより室温で20分間インキュベートし、
Dynal磁気セパレーターを用いて磁気分離し(2分間);
結合されていない画分を吸引を通して除き、そして700μlまで水を加え、ボルテックスし、分離し、吸引し;
あと4回洗浄手順をくり返し、
120μlのDEPC水を加え、ボルテックスし、そして蓋のないカップによりEppendorfサーモミキサーにより1300rpm 、80℃で10分間溶出し、
ビーズをDynal磁気セパレーターにより水性上清(=溶出液)から分離し(2分間)、
溶出液をこの先使用するまで冷凍しておく。
【0134】
→ 屋内設置型抽出器による自動化プロトコール;=>実験2及び3に使用される(実施例7.3.2及び実施例7.3.3を参照のこと)
基本的には前記同じ手順及び試薬セットである。さらに、アモールドRNA(amoured RNA)内部標準(IC、以下を参照のこと)をそれぞれの、そしてどのサンプルにもスパイクさせ、抽出工程を約40℃で一定温度とし、そして容量を2ml総量の溶解ミックス、すなわち以下の
50μl IC
50μl プロテイナーゼK
850μl サンプル
1000μl 溶解緩衝液
100μl MGP懸濁液
2200μl 洗浄緩衝液、5回の洗浄ごとに
125μl 溶出液
に調節する。
【0135】
→ 1.5ml手作業プロトコール;=>実験4で使用される(実施例7.3.4)
420μlの血漿サンプルに80μlのプロテイナーゼKを加え、ボルテックスし、
500μlの溶解緩衝液を加え、機械的な撹拌(Eppendorfミキサーにより1300rpm)をともない室温で5分間インキュベートし、
500μlのイソプロパノール中に懸濁したMGP(濃度60mg/ml)を加え、ボルテックスし、そしてローラー・ミキサーにより室温で20分間インキュベートし、
Dynal磁気セパレーターを用いて磁気分離し(2分間);
結合されていない画分を吸引を通して除き、そして700μlまで洗浄緩衝液を加え、ボルテックスし、分離し、吸引し;
あと4回洗浄手順をくり返し、
100μlのDEPC水を加え、カップを閉じて、ボルテックスし、そしてEppendorfサーモミキサーによって1300rpm 、80℃で15分間溶出し、
ビーズをDynal磁気セパレーターにより水性上清(=溶出液)から分離し(2分間)、
溶出液をこの先使用するまで冷凍しておく。
【0136】
【表2】
【0137】
PCRの後、UNGを、使用レベルが濃度1%のラウリルサルコシンの添加により妨害する。
【0138】
温度サイクルの一覧は以下のとおりである:
【0139】
【表3】
【0140】
変更したElecsys 1010(商標)による検出
【0141】
【表4】
【0142】
7.2 均質系機能分析:Cobas Taqman(商標)による5′ヌクレアーゼ・アッセイ・テクノロジー
7.2.1 全般的な考え方
ウイルス粒子の溶解、並びにサンプルから抽出された核酸の吸着、精製、及び溶出を前記のとおり実施する(実施例7.1.2を参照のこと)。再び、標的分子の増幅を以下の等式により説明する。
【0143】
Ni=No×(1+E)n
ここで、
No=ポリメラーゼ連鎖反応開始時の分子数
Ni=ポリメラーゼ連鎖反応終了時の分子数
E=増幅効率=0≦E≦1
n=反応サイクル数=この場合において典型的には40≦n≦60
しかしながら、5′ヌクレアーゼ・テクノロジーにより、増幅及び検出反応のそれぞれは密接に絡み合い、そして溶液相の中で起こっている、すなわち固相の固定及び対応の洗浄ステップをもたない(=均質系PCR)。この最後に、2の特有の化学修飾を有する検出プローブをPCRマスターミックスに加える。これら修飾の1つは、プローブの骨格に共有結合させた蛍光発生的レポーター基(R、例えば6−カルボキシ−フルオレッセインの誘導体)であり、もう1つは上記レポーターの蛍光発光を吸収することができ、そしてそれをクエンチする色素(例えばポリメチン−シアニン誘導体)(消光剤)である。前記消光剤はプローブ骨格の5′末端に典型的には付着する、それに対して前記レポーターは妨害状態を形成する一定のヌクレオチドだけ消光剤から間隔をおいて置かれるオリゴ配列中に配置される。これらのプローブは、標的核酸(センス又はアンチセンス鎖)にプライマー(逆又は正)の3′末端の間近に結合する。プライマーが標的にアニールし、そしてDNAポリメラーゼがプライマー:標的ハイブリッドに結合するとすぐに伸長が始まる。酵素の5′ヌクレアーゼ活性のために、複製鎖の合成と並行してポリメラーゼはプローブ結合部位に到達するとすぐに前記プローブを切断し、レポーターと消光剤が切り離され、そして蛍光シグナルが計測できるようになる。この工程はサイクルごとにくり返され、そして反応の終了時の試薬の消耗まで溶液中にますます多くの蛍光レポーターを蓄積する。なので、シグナル対時間のプロットにおいて、シグモイド成長曲線を生じる。より大きなN0 、そしてより初期のシグナル曲線ほど高いノイズ・レベルを現す。
【0144】
前記蛍光シグナルがバックグラウンド・シグナルと有意に区別されうる点であるところの時間軸上の点は、しきいサイクル(ct)と呼ばれる。ctは分析感度の指標である:小さなct値ほどその分析は高感度である。ct値は別の数学的操作、例えば除外(cut−off)法(一定の因子により増幅された平均バックグラウンド・シグナル強度は除外シグナル強度をもたらし正から負を識別する)又はシグナル対時間曲線の最初の微分の最大値の位置(すなわち勾配きつさの特徴)若しくは時間軸上の第2の微分最大値の位置を計算し、そしてctとして定義する方法により算出されうる。
【0145】
この増幅/検出テクノロジーは、PCRのリアルタイム測定だけでなく、閉管での処理をももたらす、すなわち標準的な手順との比較において、PCR管は溶出液及びマスターミックスのピペッティングの後、閉じられたままであり、これは効果的に汚染の危険性を減らす。
【0146】
その上、異なるウイルス種についてのプライマー及びプローブ・セット(つまり、異なる分析分子及び標的配列)を1つのマスターミックス中に組合わせて使用する場合、検査を受けた個体のウイルス感染に依存した同時の多重増幅/検出反応の実行が可能である。これはいわゆる多重アッセイの基礎である。
【0147】
さらには、MGPの一般的性質に基づくサンプル調製により、サンプル中に存在する全ての核酸は、配列の特徴とは無関係に粒子表面への物理化学的吸着により抽出される。これは破裂させたヒトの血球、例えば白血球から放出されるヒトDNA(hDNA)をも含み、そのタイターは、血液サンプル提供者の個々の生理学的又は病理学的状態により大きく異なる。例えばSLEのような自己免疫疾患の場合、hDNAレベルは相当に上昇しているであろう。前述のように、与えられたサンプル中に存在するhDNA及び1以上の病因性核酸は共に抽出される、異なる配列特異性のさまざまな核酸の混合物を形成する。それらはポリヌクレオチドのマトリックスを形成し、区別なく抽出され、その後には適切な反応条件下、特異的なプライマー及びプローブを介した標的核酸の配列特異的な増幅及び検出が続く。
【0148】
SLEの場合、血漿中に4000ng/mlのhDNAの、そして血漿1ml当たりウイルス・ゲノムRNA50コピー、及びゲノムRNA当たり10000ヌクレオチドの低いウイルス感染の病理的レベルが得られる。1ヌクレオチド当たり約325ダルトン(1ダルトン=1.66×10-24g)とすると、血漿1ml当たり標的RNA50コピーつまり500000ヌクレオチドは約2.7×10-7ngとなり、約1:10+12 の標的:非標的核酸の相対量をもたらす、さらに工程全体を観察するために、人工の核酸構築物、好ましくは天然の標的と共に抽出され、そして共に増幅される改変ウイルス粒子内に包まれ(外装され)、サンプルに加えられうる。この内部標準(IC)は、識別しうる放射特徴を有する異なるレポーター基の点で標的特異性プローブと異なるIC検出プローブのための特有のプローブ結合領域が特色となっている。したがって、ICシグナルは標的シグナルから識別されうる、そして上記ICはサンプル中に存在することが知られているので、観察物質として機能しうる。このように、多重ラベルは多重アッセイ・テクノロジーの有用性を広げる。前記内部標準(IC)は、WO98/00547に記載されている。
【0149】
7.2.2 実験プロトコール
7.2.2.1 試薬
7.2.2.1.1 サンプル調製
前記(実施例7.1.2=>屋内設置型抽出器による自動化プロトコール)を参照のこと。
【0150】
7.2.2.1.2 5′ヌクレアーゼ・アッセイ、反応物及び反応条件
【0151】
【表5】
【0152】
* グリセロールの残りを、酵素ZO5(Tth−DNAポリメラーゼの突然変異タンパク質)及びUNG(ウラシル−N−グリコシダーゼ)を介して加える。
【0153】
全ての試験パラメーターに関する全般的な複合温度リサイクルの概要は以下のとおりである:
【0154】
【表6】
【0155】
【表7】
【0156】
DNAポリメラーゼ−アプタマー複合体の融解温度=51.7℃(=50%解離)
化学的誘導体化用語
いくつかのオリゴヌクレオチドは、アルキルホスファチジル・リンカーに共役したペンタメチン−ジ−インドカルボシアニン(Pharmacia Biotech Cy5-N-ホスホルアミド酸エチル)であるCy5により誘導体化され、そして消光剤(Q);λEX=630nm、λEM=665nmとして機能する。いくつかのオリゴヌクレオチドは、2−(アミノ−シクロヘキシル−)プロパン−1,3−ジオール・リンカーと共役した6−カルボキシ−フルオレッセイン(Biogenex, CX-FAM-ホスホルアミド酸)であるFAMにより誘導体化され、そして標的に対するレポーター(R);λEX=485nm、λEM=515nmとして機能する。いくつかのオリゴヌクレオチドは、2−(アミノ−シクロヘキシル−)プロパン−1,3−ジオール・リンカーに共役したヘキサクロロ−6−カルボキシ−フルオレッセイン(Biogenex, CX-HEX-ホスホルアミド酸)により誘導体化され、そして内部標準に対するレポーター(R);λEX=530nm、λEM=585nmとして機能する。
【0157】
7.2.2.1.4 反応条件
反応条件を実験結果の中に記載する(実施例7.3を参照のこと)。
【0158】
7.2.2.1.5 他の材料
− ウイルス陰性血漿(0−マトリックス(0-Matrix)、単一血漿又は貯留血漿)、
例えばクエン酸血漿又はEDTA血漿
− ウイルス陽性血漿又はウイルス含有培養上清、これらは適切な割合で0−マトリッ クスと混合することにより特定のウイルス力価に調節するために使用されうる。
【0159】
− あるいは:調査されるべき標的配列を有するインビトロ転写産物
− ヒト胎盤DNA(a.ゲノムDNA、Sigma cat.no.D4642;b .断片化DNA、Sigma cat.no.D3287)、細胞内物質の促進さ れた放出をもたらし、そしてそれにより血中DNA/RNAレベルが高められた病 理的状況、例えばSLE又は溶血といった自己免疫疾患)をまねるためにサンプル に加えた。
【0160】
7.3 機能試験の結果
7.3.1 実験1
EJ/CERACタイプの、それぞれ異なるMGPサンプルを7.1に記載の方法により調査する。試験の変数はスプレー圧とした:
EJ0100.5R−1.5bar
EJ0106.5R−2.5bar
EJ0107.5R−3.5bar
EJ0108.5R−4.3bar
スプレー圧の減少により、すなわち平均ビーズ直径が小さくなる方向に向かうと、非特異的結合(USB)が減少するのに対して、シグナル対ノイズ比を上昇させる高い特異的シグナル産生を変化させないことを証明できた。
【0161】
ウイルス力価調製用0.5×GGはHBVの場合、約100sgu /ml(sgu=シグナル産生単位)であり、そしてHIVの場合、約150sgu /mlである。データを表7に概要として示す。
【0162】
7.3.2 実験2
それぞれEJ/MMB及びEJ/CERACの各2の変異型を複合貯留(MP)及び個体(PL)血漿サンプルとの結合において、実施例7.2に記載の方法を用いて機能の上で比較する。EJ0047.2R(MMB)及びEJ0100.5R(CERAC)は標準的な条件下、すなわち1.5bar 、230℃の噴射口温度及び約110℃の出口温度でスプレーされる。EJ0102.2R(MMB)及びEJ0108.5R(CERAC)は、スプレー条件(噴射口温度を200℃〔MMB〕まで下げ、そしてスプレー圧を4.3bar 〔CERAC〕まで上げた)に関する発展的変異型である。結果は表8に概要として示され、より早いしきいサイクル及び/又は大きなシグナルの差異(飽和シグナルからノイズを引いたレベルS−N)により例示されるより高い感度を獲得するためのCERACナノ核粒子の性能を示す。
【0163】
7.3.3 実験3
EJ/MMB及びEJ/CERACタイプのいくつかのMGP調製物(表9を参照のこと)を実施例7.2に記載の方法を用いて機能の上で比較する。結果は表10に概要として示され、そしてより早いしきいサイクル又は個々のアッセイに関係のないより高いヒット率により例示されるより高い感度を獲得するためのEJ0096.5R−01型粒子の性能を示す。
【0164】
7.3.4 実験4
EJ/MMB及びEJ/CERACタイプのいくつかのMGP調製物を吸着のためのインキュベーションが振り混ぜながらか又はそれなしに実施されるかで、実施例7.1に記載の方法を用いて機能の上で比較する。それについて、沈殿速度が決め手となる、すなわち沈殿速度が早いほど分析物との相互作用から外され、沈殿物を形成する粒子の数が多くなる。それに反して、沈殿速度が遅い場合、液体からの分析物分子が吸着剤表面に吸着されうる時間はより長くなる。結果は11(EJ0047.2Rを基準として用いた)に概要として示され、機械的撹拌をともなわないときの性能の損失は、MMBの場合に最も高く(>40%)(本願発明の特徴とは著しく異なる)、そしてCERACの場合に最も低いか又は実質的に損失していない(この組の中で本発明の特徴に最も近い)。
【0165】
異なるタイプのMGPの機能性を徹底的に評価できるようにするために、性能指標を以下の方法により各タイプについて計算した:
→ 各タイプのMGPについていくつかのバッチの溶出液、及び各力価レベルのそれぞれを1つの溶出液プールに貯める。
【0166】
→ 各溶出液プール中から、3の増幅を各アッセイ(HIV,HCV,HBV)について行った。
【0167】
→ 各増幅産物を変更したElecsys 1010(商標)により単回で計測した。
【0168】
→ シグナルをMGPの各タイプ、アッセイ、及び力価レベルについて平均する。
【0169】
→ シグナル対ノイズ(S/N)因子をMGPの各タイプ、及びアッセイのそれぞれについて計算する、すなわち0−マトリックス(陰性)について低い力価(弱い活性)、及び0−マトリックスについての上昇した力価。
【0170】
→ S/N因子をそのときどきにMGPの基準タイプに対して正規化する。
【0171】
→ MGPの各タイプ、全てのアッセイの累積、及び力価レベルについての正規化S/N因子の合計;感度の側面を明言するために、低い力価範囲に関するS/N因子を高い力価レベルのそれに関連して2倍に加重する。
【0172】
→ 得られた合計は、調査された各タイプのMGPに関する性能指標を定める。
【0173】
7.3.5 実験5
さまざまなタイプのMGPを、10mmol/lトリス,pH8.0、1mM EDTA、20μg/ml ポリA−RNA、及び0.05% NaN3 を含む希釈液中にさまざまな力価レベルまで希釈され、そして貯留血漿中にスパイクされたHCVインビトロ転写産物の抽出に使用した。
【0174】
ヒト・バックグラウンドDNA(hBG−DNA)をそれぞれのサンプルに0又は4000ng/mlでスパイクした。驚いたことに、表12に提示したデータにより証明されるとおり、ビーズを選択することによりhBG−DNAによる干渉の減少が可能である。
【0175】
7.3.6 実験6
さまざまなタイプのMGPをHCV陽性血漿サンプル処理のために使用した。ヒト・バックグラウンドDNA(hBG−DNA)をそれぞれのサンプルに0又は4000ng/mlでスパイクした。再び、ビーズ・サイズ及びビーズ形状の顕著な影響が観察されている。本発明によるMGP特性を最もよく表すMGP調製物EJ0096.5Rは、表13に提示したデータにより示されるとおり、ct値の最小限の移動、及び特異的シグナル産生(S−N)の損失の減少の両方に関して非常にはっきりとした利点を示す。
【0176】
【表8】
【0177】
【表9】
【0178】
【表10】
【0179】
【表11】
【0180】
【表12】
【0181】
【表13】
【0182】
【表14】
【0183】
【表15】
【0184】
【表16】
【0185】
【表17】
【0186】
【表18】
【0187】
【表19】
【0188】
【表20】
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】ゾル合成及びスプレードライによる製造に関するフロー図。
【図2】未処理MGPの調製に関するフロー図。
【図3】Nubilosaによるスプレー・ドラヤー生産の概略図。詳細を実施例1.3以降の本明細書中に記載する。
【図4】Merck色素BMによるMGPの高解像走査型電子顕微鏡画像。
【図5】CERAC色素によるMGPの高解像走査型電子顕微鏡画像。
【図6】Merck色素MMBによるMGPの高解像走査型電子顕微鏡画像。
【図7】Strem色素によるMGPの高解像走査型電子顕微鏡画像。
【図8】BASF色素FAによるMGPの高解像走査型電子顕微鏡画像。
【図9】BASF色素CE−HQによるMGPの高解像走査型電子顕微鏡画像。
【図10】BASF色素CE−SUによるMGPの高解像走査型電子顕微鏡画像。
【図11】RNA分離に対する磁性核色素又はスプレー・ドライヤーの影響(スプレー・ドライヤー:Buechi(B)又はNubilosa(N))。
【図12】DNA又はRNA分離に対するパラメーター「スプレー圧」の影響。
【図13】RNA分離に対するさまざまなMGP製造パラメーターの影響(スプレー圧、(L=空気、N=窒素)、噴射口温度(E)又は出口温度(A))。
【図14a】さまざまな懸濁媒質における種々のMGPsの沈殿特性。
【図14b】さまざまな懸濁媒質における種々のMGPsの沈殿特性。
【図15】サンプルEJ0096.5R−01のHREM画像;CERAC色素によるMGP。
【図16】EJ0100.5R−01のHREM画像、低圧及び高温でスプレーされ、主に変形したμ−スケールの粒子により構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
a)5〜500nmの直径を有する磁性体をゾルの中に懸濁し、
b)その懸濁液を2−ノズル・スプレードライヤーによりスプレードライし、そして
c)そのスプレードライ粉末を焼結する、
ステップを含む磁性ガラス粒子組成物の製造方法。
【請求項2】
前記2−ノズル・スプレードライヤーの噴射口(inlet)温度が120℃〜500℃であり、出口(outlet)温度がそのゾルの沸点により選ばれ、そしてスプレー圧が少なくとも3bar である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2−ノズル・スプレードライヤーの噴射口温度が170℃〜230℃である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記2−ノズル・スプレードライヤーの噴射口温度が190℃〜210℃である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スプレー圧が4〜6bar である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ゾルが溶媒としてエタノールを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記出口温度が50℃〜300℃である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記出口温度が90℃〜100℃である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記焼結温度が400℃〜1200℃である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記焼結温度が720℃〜770℃である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法により得ることができる磁性ガラス粒子。
【請求項12】
5〜500nmの平均直径を有する少なくとも1種類の磁性体を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法によって得られる磁性ガラス粒子組成物であって、イソプロパノール中、上記組成物の3 mg/ml重量毎容量の懸濁液の沈降半減期が3分より長い前記磁性ガラス粒子組成物。
【請求項13】
前記磁性体が10〜200nmの平均直径を有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記磁性体が15〜50nmの平均直径を有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記半減期が6分より長い、請求項12〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記磁性体が23nmの平均直径を有する、請求項12〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記磁性体対ガラス殻の直径比が1対10より小さい、請求項12又は16に記載の組成物。
【請求項18】
前記磁性ガラス粒子が0.5μm〜5μmの平均直径を有する、請求項12〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記磁性ガラス粒子が微小孔性である、請求項12〜18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記磁性ガラス粒子の多孔質表面(pore surface)が表面全表面の10%未満である、請求項12〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記磁性体が超常磁性である、請求項12〜20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記磁性体がフェリ磁性体又は強磁性体である、請求項12〜21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記磁性体が鉄又は酸化鉄を含む、請求項12〜22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
前記酸化鉄がFe3 O4 又はγ−Fe2 O3 である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記磁性ガラス粒子が4m2 /gより広い表面積を有する、請求項12〜24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
前記磁性ガラス粒子が5〜100m2 /gの範囲の表面積を有する、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記磁性ガラス粒子が10〜50m2 /gの範囲の表面積を有する、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記磁性ガラス粒子が15〜30m2 /gの範囲の表面積を有する、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記磁性ガラス粒子が基本的に球状である、請求項12〜28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
液体中に請求項12〜29のいずれか1項に記載の磁性ガラス粒子組成物を含む懸濁液。
【請求項31】
請求項12〜29のいずれか1項に記載の組成物又は請求項30に記載の懸濁液を含む試験管。
【請求項32】
請求項31に記載の試験管を含む部品から成るキット。
【請求項33】
以下の:
a)その生物物質をそのガラス表面に直接結合する条件下、請求項12〜29のいずれか1項に記載の組成物、請求項11に記載の磁性ガラス粒子、又は請求項30に記載の懸濁液と、生物物質を含むサンプルとを液体中で接触させ、そして、
b)その液体から上記生物物質を分離する、
ことを含む生物材料の単離方法。
【請求項34】
前記方法が自動化されている、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が高処理量様式である、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項1】
以下の:
a)5〜500nmの直径を有する磁性体をゾルの中に懸濁し、
b)その懸濁液を2−ノズル・スプレードライヤーによりスプレードライし、そして
c)そのスプレードライ粉末を焼結する、
ステップを含む磁性ガラス粒子組成物の製造方法。
【請求項2】
前記2−ノズル・スプレードライヤーの噴射口(inlet)温度が120℃〜500℃であり、出口(outlet)温度がそのゾルの沸点により選ばれ、そしてスプレー圧が少なくとも3bar である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2−ノズル・スプレードライヤーの噴射口温度が170℃〜230℃である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記2−ノズル・スプレードライヤーの噴射口温度が190℃〜210℃である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スプレー圧が4〜6bar である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ゾルが溶媒としてエタノールを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記出口温度が50℃〜300℃である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記出口温度が90℃〜100℃である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記焼結温度が400℃〜1200℃である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記焼結温度が720℃〜770℃である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法により得ることができる磁性ガラス粒子。
【請求項12】
5〜500nmの平均直径を有する少なくとも1種類の磁性体を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法によって得られる磁性ガラス粒子組成物であって、イソプロパノール中、上記組成物の3 mg/ml重量毎容量の懸濁液の沈降半減期が3分より長い前記磁性ガラス粒子組成物。
【請求項13】
前記磁性体が10〜200nmの平均直径を有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記磁性体が15〜50nmの平均直径を有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記半減期が6分より長い、請求項12〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記磁性体が23nmの平均直径を有する、請求項12〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記磁性体対ガラス殻の直径比が1対10より小さい、請求項12又は16に記載の組成物。
【請求項18】
前記磁性ガラス粒子が0.5μm〜5μmの平均直径を有する、請求項12〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記磁性ガラス粒子が微小孔性である、請求項12〜18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記磁性ガラス粒子の多孔質表面(pore surface)が表面全表面の10%未満である、請求項12〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記磁性体が超常磁性である、請求項12〜20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記磁性体がフェリ磁性体又は強磁性体である、請求項12〜21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記磁性体が鉄又は酸化鉄を含む、請求項12〜22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
前記酸化鉄がFe3 O4 又はγ−Fe2 O3 である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記磁性ガラス粒子が4m2 /gより広い表面積を有する、請求項12〜24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
前記磁性ガラス粒子が5〜100m2 /gの範囲の表面積を有する、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記磁性ガラス粒子が10〜50m2 /gの範囲の表面積を有する、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記磁性ガラス粒子が15〜30m2 /gの範囲の表面積を有する、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記磁性ガラス粒子が基本的に球状である、請求項12〜28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
液体中に請求項12〜29のいずれか1項に記載の磁性ガラス粒子組成物を含む懸濁液。
【請求項31】
請求項12〜29のいずれか1項に記載の組成物又は請求項30に記載の懸濁液を含む試験管。
【請求項32】
請求項31に記載の試験管を含む部品から成るキット。
【請求項33】
以下の:
a)その生物物質をそのガラス表面に直接結合する条件下、請求項12〜29のいずれか1項に記載の組成物、請求項11に記載の磁性ガラス粒子、又は請求項30に記載の懸濁液と、生物物質を含むサンプルとを液体中で接触させ、そして、
b)その液体から上記生物物質を分離する、
ことを含む生物材料の単離方法。
【請求項34】
前記方法が自動化されている、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が高処理量様式である、請求項33又は34に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図14a】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14b】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図14a】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14b】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−193421(P2006−193421A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19516(P2006−19516)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【分割の表示】特願2001−537749(P2001−537749)の分割
【原出願日】平成12年11月17日(2000.11.17)
【出願人】(591005589)ロッシュ ディアグノスティクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【分割の表示】特願2001−537749(P2001−537749)の分割
【原出願日】平成12年11月17日(2000.11.17)
【出願人】(591005589)ロッシュ ディアグノスティクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (14)
【Fターム(参考)】
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