説明

磁気カップリングポンプの駆動装置及び磁気カップリングポンプユニット

【課題】外部への磁束漏れ及び外部磁場の影響を抑える。
【解決手段】磁気カップリングポンプ100の回転軸線Aを基準にして、ポンプの従動磁石19より外側に間隔をあけて従動磁石と対向する駆動磁石219と、強磁性材で形成され回転軸線Aを中心として筒状を成すカップ円筒部221を有し、カップ円筒部の内側に駆動磁石が固定されているカップ220と、回転軸線回りにカップを回転させるモータ210と、常磁性材で形成され、筒状を成し、内側に間隔をあけてカップが配置されている円筒部232を有するケーシング本体231と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動磁石としての永久磁石を回転させることで、従動磁石としての永久磁石が設けられている羽根車を回転させる磁気カップリングポンプの駆動装置、及びこの駆動装置を備えている磁気カップリングポンプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気カップリングポンプユニットとしては、例えば、以下の特許文献1に開示されているものがある。
【0003】
特許文献1に記載の磁気カップリングポンプユニットのポンプは、羽根車と、この羽根車を回転軸線回りに回転可能に支持する動圧軸受部が形成されている固定体と、を有している。羽根車には、永久磁石で形成された従動磁石が設けられている。また、このポンプの羽根車を回転させる駆動装置は、ポンプの従動磁石と磁気結合しつつ回転軸線回りで回転する回転磁界を発生させる回転磁界発生手段を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4108054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の駆動装置は、ポンプ側に設けられている従動磁石と磁気結合する駆動磁石を回転させることでポンプを駆動させるため、外部に磁束が漏れて、外部の電子機器等に悪影響を及ぼすおそれがある、という問題点がある。また、外部に磁性体が存在すると、駆動磁石と従動磁石との磁気結合バランスが崩れ、羽根車の安定回転が損なわれるおそれがある、という問題点もある。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に着目し、外部への磁束漏れ及び外部磁場の影響を抑えることができる磁気カップリングポンプの駆動装置、及びこれを備えている磁気カップリングポンプユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための発明に係る磁気カップリングポンプの駆動装置は、
回転軸線回りに回転可能な羽根車と、永久磁石で形成され該羽根車に固定されている従動磁石とを有する磁気カップリングポンプの駆動装置において、前記磁気カップリングポンプが装着される装着部と、前記装着部に装着された前記磁気カップリングポンプの回転軸線を基準にして、該磁気カップリングポンプの前記従動磁石より外側に間隔をあけて該従動磁石と対向する駆動磁石と、強磁性材で形成され、前記装着部に装着された前記磁気カップリングポンプの回転軸線を中心として筒状を成す筒部を有し、該筒部の内側に前記駆動磁石が固定されている磁石保持環と、前記装着部に装着された前記磁気カップリングポンプの回転軸線回りに、前記磁石保持環を回転させるモータと、常磁性材で形成され、筒状を成し、内側に間隔をあけて前記磁石保持環が配置されている筒部を有する磁気シールド体と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
当該駆動装置では、強磁性材で形成された磁石保持環の内側に駆動磁石を固定しているので、従動磁石と駆動磁石とで形成される磁束のうち、外側に向う磁束及び周方向に向う磁束は、強磁性材で形成された磁石保持環を磁気回路の一部として、この磁石保持環内を通る。このため、当該駆動装置では、従動磁石と駆動磁石とで形成される磁束が磁石保持環より外側に漏れ出る量を極めて少なくすることができる。さらに、当該駆動装置では、磁石保持環の外側に間隔をあけて、常磁性材で形成された磁気シールド体が配されているので、この磁気シールド体の内側から外側への磁束の通り抜けを抑えることができる。
【0009】
よって、当該駆動装置では、磁気シールド体の外部への磁束の漏れを最小限に抑えることができる。
【0010】
また、当該駆動装置では、磁気シールド体の外部に磁性体が存在しても、外部の磁性体からの磁束が、常磁性材で形成された磁気シールド体の内側へ通り抜けるのを抑えることができる。さらに、当該駆動装置では、磁気シールド体の内側に強磁性材で形成された磁石保持環が配されているので、この磁石保持環の外側から内側への磁束の漏れを抑えることができる。
【0011】
以上のように、当該駆動装置では、部材(強磁性材で形成された磁石保持環)内に磁束を積極的に通させて、部材からの磁束の漏れを抑える第一の磁気シールド法と、部材(常磁性材で形成された磁気シールド体)に対する磁束の通り抜けを抑える第二の磁気シールド法とを組み合わせているので、外部への磁束漏れ及び外部磁場の影響を効果的に抑えることができる。特に、当該駆動装置では、第一の磁気シールド法により、部材(強磁性材で形成された磁石保持環)から外側への磁束の漏れを抑えた上で、第二の磁気シールド法により、さらに外側への磁束の通り抜けを抑えているので、極めて効果的に外部への磁束漏れを抑えることができる。
【0012】
ここで、前記駆動装置において、前記磁石保持環及び前記モータを覆う駆動装置ケーシングを備え、前記駆動装置ケーシングは、前記装着部及び前記磁気シールド体を有してもよい。
【0013】
当該駆動装置では、駆動装置ケーシングの外部への磁束漏れ、及び駆動装置ケーシング外部の磁場の影響を抑えることができる
【0014】
また、前記駆動装置において、前記駆動磁石は、ネオジウム磁石で形成されていてもよい。
【0015】
当該駆動装置では、磁力が極めて高いネオジウム磁石を用いるので、駆動磁石を小型軽量化することができ、駆動装置の小型軽量化を図ることができると共に、回転体の回転慣性力を小さくすることできる。
【0016】
また、前記駆動装置において、前記磁気シールド体の前記筒部は、外周側に、前記外側に向って凸形状の冷却フィンが形成されていてもよい。
【0017】
当該駆動装置では、磁気シールド体及び磁気シールド体の内側の温度上昇を抑えることができる。このため、例えば、相対的に高い磁力を持つものの、温度上昇に伴う磁力の低下の割合が大きいNd磁石を駆動磁石にしている場合には、温度上昇に伴う磁力の低下を抑えることができる。
【0018】
また、前記駆動装置において、前記磁気シールド体の少なくとも前記筒部は、前記常磁性材であるアルミニウム合金で形成されていてもよい。
【0019】
当該駆動装置では、磁気シールド体の少なくとも筒部が比重の比較的小さいアルミニウム合金で形成されているので、駆動装置を軽量化することができる。さらに、磁気シールド体の少なくとも筒部が熱伝導率の比較的高いアルミニウム合金で形成されているので、放熱効果を高めることができる。
【0020】
前記問題点を解決するための発明に係る磁気カップリングポンプユニットは、
前記駆動装置と、前記磁気カップリングポンプとを備え、前記磁気カップリングポンプは、前記羽根車を回転可能に覆うポンプケーシングを有し、前記駆動磁石は、前記装着部に装着された前記ポンプの回転軸線を基準にして、前記ポンプケーシングよりも外側に間隔をあけて配置されていることを特徴とする。
【0021】
前記問題点を解決するための発明に係る他の磁気カップリングポンプユニットは、
回転軸線回りに回転可能な羽根車と、永久磁石で形成され、前記羽根車に固定されている従動磁石と、永久磁石で形成され、前記回転軸線を基準にして前記従動磁石よりも外側に間隔をあけて配置されている駆動磁石と、強磁性材で形成され、前記回転軸線を中心として筒状を成す筒部を有し、該筒部の内側に前記駆動磁石が固定されている磁石保持環と、
前記磁石保持環を前記回転軸線回りに回転させるモータと、常磁性材で形成され、前記回転軸線を中心として筒状を成し、内側に間隔をあけて前記磁石保持環が配置されている筒部を有する磁気シールド体と、を備えていることを特徴とする。
【0022】
これらの磁気カップリングポンプユニットでも、上記駆動装置と同様の磁石保持環及び磁気シールド体を備えているので、外部への磁束漏れ及び外部磁場の影響を抑えることができる。
【0023】
ここで、前記磁気カップリングポンプユニットにおいて、前記羽根車は、前記回転軸線を中心として外周面が円筒状を成す円筒部を有し、前記ポンプケーシングは、前記羽根車の前記円筒部を覆い、内周面が円筒状を成して、該円筒部を非接触で回転可能に支持する動圧軸受形成部を有してもよい。
【0024】
当該磁気カップリングポンプユニットでは、羽根車をポンプケーシングに対して非接触で回転可能に支持できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、外部への磁束漏れ及び外部磁場の影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る一実施形態における磁気カップリングポンプユニットの平面図である。
【図2】図1におけるII矢視図である。
【図3】図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】本発明に係る一実施形態における磁気カップリングポンプの断面図である。
【図5】本発明に係る一実施形態における磁気カップリングポンプユニットの縦断面を模式的に描いた模式図である。
【図6】本発明に係る一実施形態における磁気カップリングポンプユニットの要部横断面図である。
【図7】比較例としての磁気カップリングポンプユニットの要部横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る磁気カップリングポンプユニットの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
本実施形態の磁気カップリングポンプユニット1は、図1〜図3に示すように、磁気カップリングポンプ100と、この磁気カップリングポンプ100を駆動させる駆動装置200と、を備えている。
【0029】
本実施形態の磁気カップリングポンプ100は、図4に示すように、密閉型の羽根車10と、この羽根車10を回転軸線A回りに回転可能に覆うポンプケーシング60と、を備えている。
【0030】
ポンプケーシング60には、流体を吐出するための吐出口(図1及び図2参照)7が形成されていると共に、回転軸線Aの延長線上に流体を吸い込むための吸込口6が形成されている。なお、以下では、回転軸線Aが延びている軸線方向Daで、ポンプケーシング60の吸込口6側を前側、その反対側を後側とする。また、回転軸線Aに垂直な方向の径方向Drで、回転軸線Aに近づく向き側を内側、回転軸線Aから遠ざかる向き側を外側とする。
【0031】
羽根車10は、回転軸線Aを中心として設けられた複数の羽根11と、複数の羽根11の前側を覆う前シュラウド20と、複数の羽根11の後側を覆う後シュラウド40と、を有している。この羽根車10は、以上のように、複数の羽根11の前後が前シュラウド20及び後シュラウド40により覆われることにより、密閉型の羽根車を成している。羽根車10の複数の羽根11、前シュラウド20、後シュラウド40は、互いに接合されている。
【0032】
前シュラウド20は、回転軸線Aを中心として円筒状を成し、軸線方向Daの前側の開口がポンプケーシング60の吸込口6と対向する羽根車入口12を成す入口筒部21と、入口筒部21の後端に設けられ、複数の羽根11の前側を覆う前側板部31と、を有している。また、後シュラウド40は、複数の羽根11の後側を覆う後側板部41と、後側板部41に後端に設けられ、回転軸線Aを中心として円柱状の軸部51と、を有している。
【0033】
前シュラウド20の前側板部31及び後シュラウド40の後側板部41は、軸線方向Daから見た形状がいずれも回転軸線Aを中心とした円形である。前側板部31と後側板部41とは、軸線方向Daに離れており、これら前側板部31と後側板部41との間に複数の羽根11が固定されている。前側板部31と後側板部41との間であって径方向Drの外縁は、羽根車出口13を成している。入口筒部21内、及び前側板部31と後側板部41との間であって複数の羽根11の相互間は、羽根車内流路Prを形成している。
【0034】
後シュラウド40の軸部51には、軸線方向Daに回転軸線A上を貫通し、軸部51の後端面53とポンプケーシング60との間と羽根車内流路Prとを連通させる貫通孔56が形成されている。この軸部51には、その外周面52と貫通孔56の内周面との間の位置に、強磁性体で形成された筒状の従動ヨーク19yと、永久磁石で形成された複数の従動磁石19とが埋め込まれている。複数の従動磁石19は、筒状の従動ヨーク19yの外周に設けられている。
【0035】
ポンプケーシング60は、羽根車10の前シュラウド20を覆うポンプ前ケーシング61と、羽根車10の後シュラウド40を覆うポンプ後ケーシング81とを有している。
【0036】
ポンプ前ケーシング61は、吸込ホースが接続される略円筒状の吸込ホース接続管部62と、吸込ホース接続管部62の後端から後側に向って次第に内径が拡径されている拡径管部65と、拡径管部65の後端に設けられ前シュラウド20の入口筒部21の外周面22と間隔を開けて対向する内周面68が形成されている前軸受形成部67と、前軸受形成部67の後端に設けられ前シュラウド20の前側板部31を覆う前ケーシング本体部71と、を有している。
【0037】
吸込ホース接続管部62の前端は開口しており、この開口がポンプケーシング60の吸込口6を成している。
【0038】
前ケーシング本体部71は、前軸受形成部67の後端から外側に広がり、前シュラウド20の前側板部31の前面32と軸線方向Daに間隔をあけて対向する平板リング状の前面対向部72と、回転軸線Aを中心として略円筒状を成し、前面対向部72の外周縁から後側に延びる前本体筒部75と、を有している。前本体筒部75の内周面76の回転軸線Aに対して垂直な断面での形状は、ボリュート形状を成している。この前本体筒部75の内周面76は、前シュラウド20の前側板部31の外周縁と間隔をあけて対向している。
【0039】
ポンプ後ケーシング81は、前ケーシング本体部71の後端に設けられ後シュラウド40の後側板部41を覆う後ケーシング本体部91と、後ケーシング本体部91に設けられ後シュラウド40の軸部51の外周面52と間隔をあけて対向する内周面83が形成されている後軸受形成部82と、後軸受形成部82の後端に設けられ後シュラウド40の軸部51と軸線方向Daに間隔をあけて対向する平板円形の後壁板部85と、を有している。
【0040】
後ケーシング本体部91は、回転軸線Aを中心として略円筒状を成し、前ケーシング本体部71の後端から後側に延びる後本体筒部92と、後本体筒部92の後端から内側に広がり、後シュラウド40の後側板部41の後面42と軸線方向Daに間隔をあけて対向する平板リング状の後面対向部95と、を有している。この後面対向部95の内縁に、ここから後方に延在するよう後軸受形成部82が設けられている。
【0041】
ポンプケーシング60は、図1及び図2に示すように、吐出ホースが接続される略円筒状の吐出ホース接続管部9を有している。略円筒状の吐出ホース接続管部9の軸Adは、回転軸線Aに対して垂直な面に平行である。また、この吐出ホース接続管部9は、その軸Adを通る平面で前後方向に二分割されており、一方が接続管前割部78として、ポンプ前ケーシング61の前本体筒部75に設けられており、他方が接続管後割部98として、ポンプ後ケーシング81の後本体筒部92に設けられている。この吐出ホース接続管部9の外側端は開口しており、この開口がポンプケーシング60の吐出口7を成している。
【0042】
ポンプ前ケーシング61及びポンプ後ケーシング81は、それぞれ、樹脂による一体成形品である。ポンプ前ケーシング61とポンプ後ケーシング81とは、接着剤により接合されている。
【0043】
駆動装置200は、図3及び図5に示すように、回転する出力軸211を有するモータ210と、有底円筒状を成すカップ(磁石保持環)220と、カップ220の内周側に固定されている複数の駆動磁石219と、モータ210及びカップ220を覆う駆動装置ケーシング230と、駆動装置ケーシング230に装着された磁気カップリングポンプ100の装着を維持するためのロック部材250と、を備えている。
【0044】
カップ220は、例えば、強磁性材であるSS400等の炭素鋼で形成され、複数の駆動磁石219のヨークとしての役目を担っている。このカップ220は、円筒状のカップ円筒部221と、このカップ円筒部221の一方の開口を塞ぐ平板円形のモータ接続部225とを有している。モータ接続部225上であって、カップ円筒部221の軸の延長線上には、モータ210の出力軸211が固定されている。カップ円筒部221の内周側には、前述したように複数の駆動磁石219が固定されている。この駆動磁石219は、永久磁石であり、例えば、Nd(ネオジウム)磁石である。
【0045】
カップ円筒部221の内径は、ポンプ後ケーシング81の後軸受形成部82の外径よりも大きい。また、カップ円筒部221の軸から各駆動磁石219の内面までの半径方向の距離の2倍の長さ(以下、磁石配列径とする)は、ポンプ後ケーシング81の後軸受形成部82の外径よりも大きい。
【0046】
駆動装置ケーシング230は、有底円筒状のケーシング本体(磁気シールド体)231と、ケーシング本体231の開口を塞ぐキャップ241と、を有している。
【0047】
ケーシング本体231は、例えば、常磁性材であるAl(アルミニウム)合金で形成されている。ケーシング本体231は、内径がカップ220の外径及びモータ210の外径よりも大きい円筒状のケーシング円筒部232と、ケーシング円筒部232の一方の開口を塞ぐ平板円形のケーシング底部235と、を有している。
【0048】
モータ210は、このケーシング本体231内に入れられ、ケーシング底部235にネジ等で固定されている。ケーシング円筒部232の外周の一部は、径方向Drに凹凸形状を成し、凸部が放熱フィン233を形成している。また、ケーシング円筒部232の他の一部には、モータ210の電源ケーブルを通すための電源ケーブル板234を構成している。
【0049】
キャップ241は、例えば、エンジニアリングプラスチック等の樹脂で形成されている。このキャップ241は、有底円筒状を成しポンプ後ケーシング81の後軸受形成部82及び後壁板部85が内側に嵌まり込むポンプ嵌合部242と、有底円筒状のポンプ嵌合部242の開口縁から外側に広がり平板リング状を成すポンプ受け部244と、ポンプ受け部244の外周縁に形成されケーシング本体231の開口縁部と係合する係合部246と、を有している。なお、このキャップ241は、磁気カップリングポンプ100が装着される装着部を構成している。
【0050】
有底円筒状のポンプ嵌合部242の内径は、ポンプケーシング60の後軸受形成部82の外径と実質的に同じである。よって、キャップ241のポンプ嵌合部242内に、ポンプケーシング60の後軸受形成部82を嵌めることができる。また、このポンプ嵌合部242は、その外径がカップ円筒部221の内径及び前述の磁石配列径よりも小さく、有底円筒状のカップ220内に、このカップ220に固定されている駆動磁石219と非接触状態で入り込んでいる。
【0051】
次に、以上で説明した磁気カップリングポンプユニットの操作、及びこの操作に基づく当該磁気カップリングポンプユニットの動作について説明する。
【0052】
磁気カップリングポンプ10を駆動させる際には、オペレータは、まず、磁気カップリングポンプ100の吸込ホース接続管部62に吸込ホースを接続すると共に、吐出ホース接続管部9に吐出ホースを接続する。
【0053】
次に、ポンプケーシング60の後軸受形成部82を駆動装置ケーシング230のキャップ241のポンプ嵌合部242内に嵌め込んで、磁気カップリングポンプ100を駆動装置200に取り付ける。この際、ポンプケーシング60の後面対向部95とキャップ241のポンプ受け部244とが接する。次に、ロック部材250により、ポンプケーシング60を駆動装置ケーシング230に固定する。
【0054】
磁気カップリングポンプユニット1は、この状態で、磁気カップリングポンプ100の軸部51内に埋め込まれている従動磁石19と、駆動装置200のカップ220に固定されている駆動磁石219とが、径方向Drで非接触状態で対向し、両磁石が磁気結合している。また、モータ210の出力軸211は、磁気カップリングポンプ100の回転軸線Aの延長線上に位置している。
【0055】
なお、以上では、吸込ホースや吐出ホースの接続後に、磁気カップリングポンプ100を駆動装置200に取り付けているが、磁気カップリングポンプ100の取付後に、吸込ホースや吐出ホースの接続を行ってもよい。
【0056】
次に、駆動装置200のモータ210に電力を供給して、このモータ210の出力軸211を回転させ、この出力軸211に固定されているカップ220及びカップ220に固定されている複数の駆動磁石219を回転させる。駆動装置200の駆動磁石219が回転すると、この駆動磁石219と磁気結合している磁気カップリングポンプ100の従動磁石19も、駆動磁石219の回転に伴って、回転軸線A回りに回転する。磁気カップリングポンプ100の従動磁石19は、羽根車10の軸部51内に埋め込まれている。このため、駆動装置200の駆動磁石219が回転すると、この従動磁石19と共に羽根車10は、ポンプケーシング60内で回転軸線A回りに回転する。
【0057】
以上のように、本実施形態では、複数の駆動磁石219の内側に、羽根車10の軸部51を配置し、この軸部51内に従動磁石19を埋め込んだので、駆動磁石の外側に従動磁石を配置するよりも、羽根車10の軸部51の外径を小さくすることができる。よって、本実施形態によれば、羽根車10の小型化及び軽量化を図ることができると共に、羽根車10の回転に関する慣性力を小さくすることができる。
【0058】
ポンプケーシング60内で羽根車10が回転し始めると、図5に示すように、ポンプケーシング60の吸込口6からポンプケーシング60内に流体が吸い込まれる。ポンプケーシング60内に吸い込まれた流体は、羽根車入口12から羽根車10内の羽根車内流路Prに入る。
【0059】
羽根車流路Pr内に入った流体は、回転する複数の羽根11から遠心力を受けて、羽根車出口13から流出した後、ポンプケーシング60の吐出口7から吐出する。
【0060】
羽根車出口13から流出した流体の一部は、ポンプ前ケーシング61の前面対向部72の内面73と前シュラウド20の前側板部31の前面32との間から、ポンプ前ケーシング61の前軸受形成部67の内周面68と前シュラウド20の入口筒部21の外周面22との間を経て、ポンプ前ケーシング61の拡径管部65内に戻る。そして、再び、羽根車入口12から羽根車内流路Prに入る。
【0061】
また、羽根車出口13から流出した流体の他の一部は、ポンプ後ケーシング81の後面対向部95の内面96と後シュラウド40の後側板部41の後面42との間から、ポンプ後ケーシング81の後軸受形成部82の内周面83と後シュラウド40の軸部51の外周面52との間、ポンプ後ケーシング81の後壁板部85の内面86と後シュラウド40の軸部51の後端面53との間、さらに、後シュラウド40の貫通孔56を経て、羽根車内流路Prに戻る。
【0062】
ポンプ前ケーシング61の前軸受形成部67の内周面68の母線と前シュラウド20の入口筒部21の外周面22の母線とは、互いに平行である。言い換えると、前軸受形成部67の内周面68と入口筒部21の外周面22との間隔は、軸線方向Daにおいて一定である。また、ポンプ前ケーシング61の前軸受形成部67の内周面68、及び前シュラウド20の入口筒部21の外周面22の回転軸線Aに対して垂直な断面形状は、いずれも円である。このため、前軸受形成部67の内周面68と入口筒部21の外周面22とは、それぞれ、動圧ラジアル軸受面を成し、両面68,22間を流れる流体が潤滑流体として機能する。よって、羽根車10は、羽根車10の入口筒部21の部分がポンプケーシング60により、径方向Drに非接触で回転可能に支持される。なお、羽根車10の回転開始時等、羽根車10の回転数が低いときには、前軸受形成部67の内周面68の一部と入口筒部21の外周面22の一部とは、互いに接触しており、羽根車10の回転数が所定回転数以上になると、両面68,22間に働く流体の動圧により、内周面68に対して入口筒部21が浮上して、前述したように、羽根車10の入口筒部21が内周面68により非接触で回転可能に支持される。
【0063】
また、ポンプ後ケーシング81の後軸受形成部82の内周面83の母線と後シュラウド40の軸部51の外周面52の母線とは、互いに平行である。言い換えると、後軸受形成部82の内周面83と軸部51の外周面52との間隔は、軸線方向Daにおいて一定である。また、ポンプ後ケーシング81の後軸受形成部82の内周面83、及び後シュラウド40の軸部51の外周面52の回転軸線Aに垂直な断面形状は、いずれも円である。このため、後軸受形成部82の内周面83と軸部51の外周面52とは、それぞれ、動圧ラジアル軸受面を成し、内周面83と外周面52との間を流れる流体が潤滑流体として機能する。よって、羽根車10は、羽根車10の軸部51の部分がポンプケーシング60により、径方向Drに非接触で回転可能に支持される。なお、羽根車10の軸部51も、入口筒部21と同様、羽根車10の回転数が低いときには、後軸受形成部82の内周面83の一部と軸部51の外周面52の一部とは、互いに接触しており、羽根車10の回転数が所定回転数以上になると、両面83,52間に働く流体の動圧により、内周面83に対して軸部51が浮上して、羽根車10の軸部51が内周面83により非接触で回転可能に支持される。
【0064】
以上のように、本実施形態では、羽根車10の入口筒部21及び軸部51の二箇所が、内周面68,83により、径方向Drに非接触で回転可能に支持される、言い換えると、羽根車10が径方向Drに非接触で回転可能に両持ち支持される。しかも、羽根車10は、その重心位置を基準にして前側と後側の二箇所で支持される。よって、本実施形態によれば、回転軸線Aに垂直な軸回りのモーメントが発生しても、羽根車10を安定支持することができる。
【0065】
また、本実施形態では、前述したように、羽根車10の軸部51の外径を小さくすることができるため、この軸部51の周速度を抑えることができる。よって、本実施形態によれば、軸部51の外周面52とポンプ後ケーシング81の後軸受形成部82の内周面83との間を流れる流体に作用するせん断ひずみを小さくすることができ、例えば、流体中にゼリー状の粒等が混じっている場合には、この粒等の損傷を抑えることができる。
【0066】
本実施形態では、ポンプケーシング60に対する羽根車10の軸線方向Daの位置は、羽根車10内の従動磁石19と駆動装置200の駆動磁石219との間の磁気結合力により、保持されている。磁気結合力により保持されている羽根車10の軸線方向Daの位置は、軸線方向Daで互いに対向する羽根車10の面とポンプケーシング60の面とが互いに接触しない位置である。すなわち、本実施形態では、羽根車10は、軸線方向Daに関しても、非接触で回転可能に支持されている。
【0067】
以上のように、本実施形態では、羽根車10内に埋め込まれている従動磁石19と磁気結合している駆動磁石219を回転させることで、従動磁石19と共に羽根車10を回転させている。このため、本実施形態のように、磁気結合を利用して羽根車を回転させるポンプでは、従動磁石や駆動磁石からの磁束が外部に漏れて、外部の電子機器等に悪影響を及ぼすおそれがある。また、このようなポンプでは、外部に磁性体が存在すると、駆動磁石と従動磁石との磁気結合バランスが崩れ、羽根車の安定回転が損なわれるおそれもある。
【0068】
そこで、本実施形態では、図6に示すように、回転軸線Aを中心として、最外周に、有底円筒状で常磁性材であるAl(アルミニウム)合金で形成されたケーシング本体(磁気シールド体)231を配し、その内側に間隔をあけて、有底円筒状で強磁性材であるSS400等の炭素鋼で形成されたヨークとしてのカップ(磁石保持環)220を配し、このカップ(磁石保持環)220の内周側に複数の駆動磁石219を固定し、複数の駆動磁石219の内周側(回転軸線A側)に間隔をあけて複数の従動磁石19を配している。
【0069】
仮に、本実施形態において、図7に示すように、ケーシング本体(磁気シールド体)231及びカップ(磁石保持環)220を配さなければ、従動磁石19と駆動磁石219とで形成される磁束の一部Φsは、駆動磁石219よりも外側に大きくはりだした位置を通ることになる。
【0070】
しかしながら、本実施形態では、強磁性材で形成されたカップ(磁石保持環)220の内周側に駆動磁石219を固定しているので、従動磁石19と駆動磁石219とで形成される磁束のうち、外側に向う磁束及び周方向に向う磁束Φtは、強磁性材で形成されたカップ(磁石保持環)220を磁気回路の一部として、このカップ220内を通る。このため、本実施形態では、従動磁石19と駆動磁石219とで形成される磁束がカップ220より外側に漏れ出る量を極めて少なくすることができる。さらに、本実施形態では、カップ220の外側に間隔(エアーギャップ)をあけて、常磁性材で形成されたケーシング本体(磁気シールド体)231が配されているので、このケーシング本体231の内側から外側への磁束の通り抜けを抑えることができる。
【0071】
よって、本実施形態では、駆動装置ケーシング230の外部への磁束の漏れ最小限に抑えることができる。
【0072】
また、本実施形態では、駆動装置ケーシング230の外部に磁性体が存在しても、この磁性体からの磁束が、常磁性材で形成されたケーシング本体(磁気シールド体)231の内側へ通り抜けるのを抑えることができる。さらに、本実施形態では、ケーシング本体(磁気シールド体)231の内側に強磁性材で形成されたカップ(磁石保持環)220が配されているので、このカップ220の外側から内側への磁束の漏れを抑えることができる。
【0073】
よって、本実施形態では、駆動装置ケーシング230の外部に磁性体が存在しても、従動磁石19と駆動磁石219とで形成される磁束へ影響を最小限に抑えることができる。
【0074】
以上のように、本実施形態では、部材(強磁性材で形成されたカップ220)内に磁束を積極的に通させて、部材からの磁束の漏れを抑える第一の磁気シールド法と、部材(常磁性材で形成されたケーシング本体231)に対する磁束の通り抜けを抑える第二の磁気シールド法とを組み合わせているので、外部への磁束漏れ及び外部磁場の影響を効果的に抑えることができる。特に、本実施形態では、第一の磁気シールド法により、部材(強磁性材で形成されたカップ220)から外側への磁束の漏れを抑えた上で、第二の磁気シールド法により、さらに外側への磁束の通り抜けを抑えているので、極めて効果的に外部への磁束漏れを抑えることができる。
【0075】
また、本実施形態では、前述したように、駆動磁石219としてNd磁石を用いている。このNd磁石は、非常に高い磁力を持つ一方で、温度変化に伴う磁力の変化が大きいという性質がある。例えば、Nd磁石の次に磁力が高いとされているSm‐Co(サマリウム・コバルト)磁石では、温度変化に伴う磁力の変化を示す温度係数が−0.03であるのに対して、Nd磁石の温度係数は−0.09〜−0.12と大きい。すなわち、Nd磁石は、Sm‐Co磁石よりも高い磁力を持つものの、温度上昇に伴う磁力の低下の割合が大きい。
【0076】
そこで、本実施形態では、Nd磁石で形成されている駆動磁石219をカップ220と共に回転させて、この駆動磁石219を空冷すると共に、この駆動磁石219の外周を覆うケーシング本体231に放熱フィン233を形成して、ケーシング本体21内の温度上昇を抑えることで、駆動磁石219の温度上昇を抑えている。
【0077】
なお、以上の実施形態は、ポンプの一例として、動圧軸受型のポンプを例示したが、本発明は動圧軸受型のポンプに限定されるものではなく、磁気結合を利用して羽根車を回転させるタイプのポンプであれば、如何なるポンプに本発明を適用してもよい。
【0078】
また、以上の実施形態では、磁気カップリングポンプ100が駆動装置100に脱着可能なものであるが、ポンプが駆動装置に対して脱着可能でなくてもよく、ポンプと駆動装置とが一体的であってもよい。この場合、駆動装置には、ポンプが装着される装着部を設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1:磁気カップリングポンプユニット、6:吸込口、7:吐出口、9:吐出ホース接続管部、10:羽根車、11:羽根、12:羽根車入口、13:羽根車出口、19:従動磁石、20:前シュラウド、21:入口筒部、22:(入口筒部の)外周面、31:前側板部、32:前面、40:後シュラウド、41:後側板部、42:後面、51:軸部、52:(軸部の)外周面、53:(軸部の)後端面、56:貫通孔、60:ポンプケーシング、61:ポンプ前ケーシング、62:吸込ホース接続管部、65:拡径管部、67:前軸受形成部、68:(前軸受形成部の)内周面、71:前ケーシング本体部、72:前面対向部、73:(前面対向部の)内面、75:前本体筒部、81:ポンプ後ケーシング、82:後軸受形成部、83:(後軸受形成部の)内周面、85:後壁板部、91:後ケーシング本体部、92:後本体筒部、95:後面対向部、96:(後面対向部の)内面、100:磁気カップリングポンプ、200:駆動装置、210:モータ、211:出力軸、219:駆動磁石、220:カップ(磁石保持環)、230:駆動装置ケーシング、231:ケーシング本体(磁気シールド体)、241:キャップ(装着部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線回りに回転可能な羽根車と、永久磁石で形成され該羽根車に固定されている従動磁石とを有する磁気カップリングポンプの駆動装置において、
前記磁気カップリングポンプが装着される装着部と、
前記装着部に装着された前記磁気カップリングポンプの回転軸線を基準にして、該磁気カップリングポンプの前記従動磁石より外側に間隔をあけて該従動磁石と対向する駆動磁石と、
強磁性材で形成され、前記装着部に装着された前記磁気カップリングポンプの回転軸線を中心として筒状を成す筒部を有し、該筒部の内側に前記駆動磁石が固定されている磁石保持環と、
前記装着部に装着された前記磁気カップリングポンプの回転軸線回りに、前記磁石保持環を回転させるモータと、
常磁性材で形成され、筒状を成し、内側に間隔をあけて前記磁石保持環が配置されている筒部を有する磁気シールド体と、
を備えていることを特徴とする磁気カップリングポンプの駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気カップリングポンプの駆動装置において、
前記磁石保持環及び前記モータを覆う駆動装置ケーシングを備え、
前記駆動装置ケーシングは、前記装着部及び前記磁気シールド体を有する、
ことを特徴とする磁気カップリングポンプの駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の磁気カップリングポンプの駆動装置において、
前記駆動磁石は、ネオジウム磁石で形成されている、
ことを特徴とする磁気カップリングポンプの駆動装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気カップリングポンプの駆動装置において、
前記磁気シールド体の前記筒部は、外周側に、前記外側に向って凸形状の冷却フィンが形成されている、
ことを特徴とする磁気カップリングポンプの駆動装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の磁気カップリングポンプの駆動装置において、
前記磁気シールド体の少なくとも前記筒部は、前記常磁性材であるアルミニウム合金で形成されている、
ことを特徴とする磁気カップリングポンプの駆動装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の磁気カップリングポンプの駆動装置と、
前記磁気カップリングポンプと、を備え、
前記磁気カップリングポンプは、前記羽根車を回転可能に覆うポンプケーシングを有し、
前記駆動磁石は、前記装着部に装着された前記ポンプの回転軸線を基準にして、前記ポンプケーシングよりも外側に間隔をあけて配置されている、
ことを特徴とする磁気カップリングポンプユニット。
【請求項7】
回転軸線回りに回転可能な羽根車と、
永久磁石で形成され、前記羽根車に固定されている従動磁石と、
永久磁石で形成され、前記回転軸線を基準にして前記従動磁石よりも外側に間隔をあけて配置されている駆動磁石と、
強磁性材で形成され、前記回転軸線を中心として筒状を成す筒部を有し、該筒部の内側に前記駆動磁石が固定されている磁石保持環と、
前記磁石保持環を前記回転軸線回りに回転させるモータと、
常磁性材で形成され、前記回転軸線を中心として筒状を成し、内側に間隔をあけて前記磁石保持環が配置されている筒部を有する磁気シールド体と、
を備えていることを特徴とする磁気カップリングポンプユニット。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の磁気カップリングポンプユニットにおいて、
前記羽根車は、前記回転軸線を中心として外周面が円筒状を成す円筒部を有し、
前記ポンプケーシングは、前記羽根車の前記円筒部を覆い、内周面が円筒状を成して、該円筒部を非接触で回転可能に支持する動圧軸受形成部を有する、
ことを特徴とする磁気カップリングポンプユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−66258(P2013−66258A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201851(P2011−201851)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【特許番号】特許第4969695号(P4969695)
【特許公報発行日】平成24年7月4日(2012.7.4)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】