説明

磁気センサー

【課題】本発明は、遮音制振性、放射線遮蔽性、透磁性を有し、更に耐摩耗性、滑り抵抗性を有する磁気センサーを提供することにある。
【解決手段】基材(23)上に電気炉酸化スラグ粒状物(8) を合成樹脂、ゴムおよびエラストマーからなる組から選ばれた一種また二種以上の混合物である分散媒中に分散させた分散層(24) を形成した積層板(22)からなる磁気センサーを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高強度で遮音制振性、電磁波遮蔽性、透磁性を有し、更に耐摩耗性、滑り抵抗性を有する磁気センサーに関するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の課題は盲人をガイドする磁気ステッキの磁気センサーとして使用され、遮音制振性、電磁波遮蔽性、透磁性、耐摩耗性あるいは滑り抵抗性等の機能性を有する積層板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記従来の課題を解決するための手段として、本発明は基材(23)上に電気炉酸化スラグ粒状物(8) を合成樹脂、ゴムおよびエラストマーからなる組から選ばれた一種また二種以上の混合物である分散媒中に分散させた分散層(24) を形成した積層板(22)からなる磁気センサーを提供する。通常該基材(23)は金属板、電気炉酸化スラグを添加しないモルタル硬化層、木質板、セラミック板からなる組から選ばれる。該分散層中には上記分散媒100重量部に対して上記電気炉酸化スラグ粒状物(8) が100〜1000重量部の範囲で混合されていることが望ましく、更に該分散層(24)中には電気炉酸化スラグ粒状物(8) 100重量部に対して高比重金属粉末および/または高比重金属酸化物粉末20〜50重量部が混合されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0004】
〔作用〕
電気炉酸化スラグ粒状物(8) は比重が3.3〜4.1と高いので基材(23)上に形成される分散層(24)に大重量を与える。しかも該電気炉酸化スラグ粒状物(8) は球状で表面に多数の微細な凹凸を有するので、該分散層(24)に音波が入射した場合、該音波は該電気炉酸化スラグ粒状物(8) の微細な凹凸表面で乱反射され、その結果該分散層(24)内で音波は減衰し、更に該電気炉酸化スラグ粒状物(8) は前記したように中空体であるから吸音効果も有する。その結果該分散層(24) は厚みを増大させなくても良好な遮音制振性を有する。
【0005】
更に該電気炉酸化スラグ粒状物(8) は高硬度のフェライト系の鉱物を多量に含むから、該分散層(14,24) は電磁波遮蔽性、透磁性を合わせ有し、添加量の多い場合には分散層(14,24) の表面に電気炉酸化スラグ粒状物による無数の小突起が形成され、該分散層(14,24) 表面は滑り抵抗性、耐摩耗性を有する。このように上記分散層(14,24)は多機能性を基材(13,23) に付与する。
【0006】
〔効果〕
該電気炉酸化スラグ粒状物(8) は従来は整地材等の土木用にしか利用されていなかったものであり、安価に提供出来そして本発明によりこのような電気炉酸化スラグ粒状物(8) の有効利用が可能になる。
【0007】
本発明においては、金属板、木質板等の基材に滑り抵抗性、遮音制振性、電磁波遮蔽性、透磁性、耐摩耗性等の機能性を簡単に付与することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1および図2は本発明の実施例1を示すものである。
【図1】電気炉スラグ粒状物製造装置の説明図
【図2】電気炉スラグ粒状物の粒度分布を示すグラフ図3および図4は本発明の実施例2を示すものである。
【図3】積層板の斜視図
【図4】積層板の使用状態図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を以下に詳細に説明する。
〔分散媒〕
本発明に使用される分散媒としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレンターポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ウレタン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化型ポリエステル等のような熱硬化性樹脂等の合成樹脂、アクリルゴム、ブチルゴム、ケイ素ゴム、ウレタンゴム、フッ化物系ゴム、多硫化物系ゴム、グラフトゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリブテンゴム、イソブテン−イソプレンゴム、アクリレート−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ピリジン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、アクリロニトリル−クロロプレンゴム、スチレン−クロロプレンゴム等の合成ゴムや天然ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−水素添加ポリオレフィン−スチレン共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーやブタジエン−スチレンプロック共重合体、スチレン−ゴム中間ブロック−スチレン共重合体等のブロック共重合体等のエラストマーおよびこれらの二種以上の混合物である。
該分散媒に粘弾性を与える場合には上記合成樹脂、ゴム、またはエラストマーに可塑剤、鉱油、瀝青質等を混合する。またアクリル系合成樹脂の場合にはブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の高級アクリレートを共重合してもよい。
上記合成樹脂、ゴムまたはエラストマーは通常溶液またはエマルジョンの形態で提供されるが、例えばエポキシ樹脂やウレタン樹脂の場合にはこれらのプレポリマーは流動性を有するので、無溶剤の形態でも提供される。
【0010】
〔電気炉酸化スラグ粒状物〕
本発明に言う電気炉酸化スラグは、通常CaO10〜26重量%、SiO8〜22重量%、MnO4〜7重量%、MgO〜8重量%、FeO13〜32重量%、Fe9〜45重量%、Al4〜16重量%、Cr1〜4重量%程度含み、更に微量成分としてTiO0.25〜0.70重量%、P0.15〜0.50重量%、S0.005〜0.085重量%程度含み、安定な鉱物組成を得るためのFeを20〜45重量%程度含むものであり、天然骨材成分に含まれる粘土、有機不純物、塩分を全く含まず、不安定な遊離石灰、遊離マグネシアあるいは鉱物も殆ど含まない。
【0011】
上記電気炉酸化スラグを粒化して粒状物を製造するには、該電気炉酸化スラグの溶融物を高速回転する羽根付きドラムに注入し、該溶融物を該羽根付きドラムによって破砕粒状化し、粒状化した該溶融物を水ミスト雰囲気中で急冷処理する方法が採られる。該羽根付きドラムは複数個配置して複数段の破砕粒状化を行なってもよい。
このようにして得られる電気炉酸化スラグの粒状物は通常5mm以下の粒径を有し、粒径2.5mm以下のものは略球状であり、比重は3.3〜4.1の範囲にあり、表面にはひび割れ等の欠陥はなく、微細な凹凸を有しまた中空構造のものからなるかまたは中空構造のものを含んでいる。
【0012】
〔高比重金属粉末〕
本発明で使用される高比重粉末とは、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、モリブデン、銅、鉛、亜鉛、例えばステンレススチール等の合金の粉末であり、比重は7g/cm以上、粒径は50μm以下であることが望ましい。
【0013】
〔高比重金属酸化物〕
本発明に使用される高比重金属酸化物としては、上記高比重金属の酸化物がある。更に本発明においては使用可能な高比重酸化物粉末としては、鋼材を溶断する際に発生するスケール粉がある。このようなスケール粉は略球状の中空体でフェライトであり、電気炉酸化スラグ粒状物と同じような機能を付加することが出来る。
【0014】
〔第3成分〕
上記分散層(24) には更に例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、アルミナ、シリカ、ケイ藻土、ドロマイト、石膏、タルク、クレー、アスベスト、マイカ、ガラス繊維、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、石粉、ジルコニア粉、リンター、リネン、サイザル、木粉等の充填材、多価イソシアナート、多価アミン、エポキンド等の架橋剤、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、パラフィン、ロウ等の滑剤、鉱物油、DOP、DBP等の可塑剤、架橋促進剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤等が添加されてもよい。
【0015】
〔基材〕
本発明の基材(23) としては、例えば鋼板、ステンレススチール板、アルミニウム板等の金属板、電気炉酸化スラグを添加しないモルタル硬化層、木質板、セラミック板等が主たるものであるが、その他プラスチック板、プラスチック発泡体板、繊維板等も本発明の基材として使用される。上記木質板としては、木材単板、合板、ハードボード、パーチクルボード、中密度木質繊維板(MDF)等が含まれる。
【0016】
〔配合〕
本発明の分散層(24) においては、通常上記分散媒(固形分)100重量部に対して上記電気炉酸化スラグ粒状物が100〜1000重量部の範囲で添加される。更に本発明の分散層中に高比重金属粉末および/または高比重金属酸化物粉末を添加する場合には、電気炉酸化スラグ粒状物100重量部に対して高比重金属粉末および/または高比重金属酸化物粉末20〜50重量部が混合される。
【0017】
上記したように、本発明の分散媒は通常溶液、エマルジョン、無溶剤流動物の形態で提供されるので、本発明の積層板を製造するには、通常上記分散媒に電気炉酸化スラグその他を配合して塗料とし、該塗料を上記基材表面に塗布し乾燥および/または硬化せしめる。
【0018】
〔実施例1〕(電気炉スラグ粒状物の製造)
図1に本発明の電気炉スラグ粒状物(以下スラグ粒状物と略す)(8) を製造する装置を示す。
即ち1500℃前後の電気炉酸化スラグ溶融物(1) を取鍋(2) からシューター(3) に移し、該シューター(3) から高速回転する羽根付きドラム(4,5) に注入する。該製鋼スラグ溶融物(1) は該羽根付きドラム(4,5) によって細破砕されて粒状化し、該電気炉酸化スラグ溶融物の粒化物(1A)は急冷チャンバー(6) 内にスプレー装置(7) からスプレーされる水ミストによって急冷される。そしてこのようにして得られたスラグ粒状物(8) は備蓄容器(9) 内に備蓄される。
該スラグ粒状物(8) は略球状の中空体であり、表面にはひび割れ等の欠陥はなく、微細な凹凸が有り、高硬度(ビッカース硬さで755、モース硬さで6程度)を有し耐摩耗性に優れており、真比重は3.84、絶乾比重は3.52、耐火度は1100℃で、透磁性、誘電性、耐酸性、耐アルカリ性等にも優れている。
該スラグ粒状物(8) の粒度分布を図2に示す。
【0019】
〔実施例2〕
下記の処方の混合物を調製した。
電気炉酸化スラグ粒状物(5mm以下) 200重量部
スチレン−ブタジエンゴムラテックス(50重量%固形分) 50 〃
酸化亜鉛 0.5 〃
硫黄 0.5 〃
上記混合物をミキサーで3分間混練した。得られた混練物をセラミック円板(23)に塗布し、100℃で15分加熱キューアーを行なった。このようにして図3に示すようなセラミック円板(23)と分散層(24)(表層部)とからなる円板状積層板(22)を得た。
該積層板(22)は図4に示すように道路舗装内に配列埋設され、盲人をガイドするための、磁石ステッキ(25)の磁気センサーとして使用される。上記積層板(22)の分散層(24)(表層部)の透磁率を測定した結果、H=1000Oのとき、μ=2.15であった。
【符号の説明】
【0020】
8 電気炉スラグ粒状物
22 磁気センサー(積層板)
23 セラミック円板
24 分散層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に電気炉酸化スラグ粒状物を合成樹脂、ゴムおよびエラストマーからなる組から選ばれた一種また二種以上の混合物である分散媒中に分散させた分散層を形成した積層板からなることを特徴とした磁気センサー。
【請求項2】
該基材は金属板、電気炉酸化スラグを添加しないモルタル硬化層、木質板、セラミック板からなる組から選ばれる請求項1に記載の磁気センサー。
【請求項3】
該分散層中には上記分散媒100重量部に対して上記電気炉酸化スラグ粒状物が100〜1000重量部の範囲で混合されている請求項1または2に記載の磁気センサー。
【請求項4】
該分散層中には電気炉酸化スラグ粒状物100重量部に対して高比重金属粉末および/または高比重金属酸化物粉末20〜50重量部が混合されている請求項1〜3に記載の磁気センサー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−136563(P2011−136563A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2784(P2011−2784)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【分割の表示】特願2001−270247(P2001−270247)の分割
【原出願日】平成13年9月6日(2001.9.6)
【出願人】(394026079)株式会社星野産商 (12)
【Fターム(参考)】