説明

磁気光学体

【課題】磁気光学効果を増大させた磁気光学体を提供する。
【解決手段】磁気光学体2の作製プロセスを示す。溶融石英基板4上には、透光性磁性体薄膜であるBi:YIG膜6が形成される。Bi:YIG膜6の上には、Au膜8が形成される。Au膜8が形成された後、熱処理を行なうことにより、Au膜8がAuナノ粒子10に変化する。その後、Bi:YIG膜12が形成される。このように透過性磁性体薄膜に金属ナノ粒子を複合化させることにより、磁気光学効果を増大させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気光学効果を有する磁気光学体に関し、特に、表面プラズモン共鳴を利用した磁気光学体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透過性磁性体の磁気光学効果は、古くから光アイソレーターやマイクロ波制御デバイスなどの光・高周波領域で利用されてきた。特に、透過性磁性体にYFe12などのガーネット材料を用いたものは、可視光から赤外の波長領域にわたって透明な強磁性体で、高周波領域でも損失が小さいことから、研究が行なわれている。磁気光学効果の1つであるファラデー回転角の波長依存性は、磁性体の組成が決まると材料固有のものとして決定される。このため、例えば、1.55μm帯の光通信波長領域で大きなファラデー回転角を要求する場合や、可視光領域で損失が小さくかつ、磁気光学効果の大きなものが必要な場合など、利用する波長領域に応じて新しい材料の探査が行なわれてきた。
【0003】
近年、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)を利用することにより、磁気光学効果を増大させようという試みが始まっている。例えば、下記非特許文献1に示すように、Belotelovらは、理論計算から、光波長以下の直径を持つ周期的な孔を空けた金属強磁性体に光を入射すると、見かけ上透過率が増大し、大きな磁気光学効果が発現すると述べている。また、非特許文献2に示すように、Abeらは、詳細な理論計算結果から、Fe(核):誘電体(内殻):Ag(外殻)=2:3:5の半径比を持つナノオニオンで、表面プラズモン共鳴によって、Feバルク試料やアモルファスGdTbFeよりもはるかに大きいカー回転角が得られると報告している。
【0004】
また、非特許文献3に示すように、Tomitaらは、YIGに金ナノ粒子を埋め込んだAu−YIG膜を作製し、表面プラズモン共鳴が励起される波長領域でのカー回転角が負の値になったと報告している。
【0005】
また、以下に示す特許文献1では、磁性材料を核とし、その表面に多層膜を配置し、最外殻に金属膜を置く微粒子において、磁気光学効果を変調させる技術が開示されている。また、特許文献2および3では、金属表面に表面プラズモン共鳴を励起させ、ラマン散乱や特殊な分光特性を利用したセンサに関する技術が開示されている。
【非特許文献1】V.I.Beloteov et.al.,J Mag Mag Mat.,No.300,pp e260−e263
【非特許文献2】阿部正紀、日本応用磁気学会第127回研究会、pp.17−24
【非特許文献3】S.Tomita et. al.,Phys Rev Lett.,No.96,P167402(2006)
【特許文献1】特開2004−219415号公報
【特許文献2】特開2007−24870号公報
【特許文献3】特開2006−83451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術は、表面プラズモン共鳴を磁気光学効果に利用しようと示唆するものであるが、磁気光学効果の中でも最も工学的に重要なファラデー効果について言及しているものはない。表面プラズモン共鳴がファラデー効果に影響するか否かを確認することは、透過性磁性体材料の今後の工学的な応用の観点から非常に重要なことである。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、透過性磁性体薄膜に金属ナノ粒子を複合化することにより、磁気光学効果を増大させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1に係る発明は、透光性磁性体薄膜の内部に金属ナノ粒子を複合化させて形成される複合化磁性体薄膜を備える磁気光学体によって構成される。この構成によれば、透過性磁性体薄膜の内部に金属ナノ粒子を複合化させたため、表面プラズモン共鳴により、金属ナノ粒子に誘起される電気分極が大きくなり、これにより、透過性磁性体薄膜の磁気光学効果を増大させることができる。なお、透過性磁性体薄膜の内部に金属ナノ粒子を複合化させるとは、金属ナノ粒子の周囲を透過性磁性体薄膜で覆った状態とすることである。
【0009】
また、本発明は、前記金属ナノ粒子を形成する金属材料は、前記複合化磁性体薄膜を透過する光の波長が380nmから2000nmであることを特徴とする磁気光学体によっても構成することもできる。このように、金属材料を選択することにより、複合化磁性体薄膜を透過する光の波長を決定することができる。なお、複合化磁性体薄膜を透過する光の波長を380nmから2000nmとする金属材料は、例えば、Au、Al、Agなどが挙げられる。
【0010】
また、本発明は、前記金属ナノ粒子を形成する金属材料は、Au、AgあるいはAlであることを特徴とする磁気光学体によって構成することもできる。この構成によれば、誘電体微粒子を混入させることで、短波長(例えば波長400nm)の光を透過させることができ、これに金属材料であるAuなど加えることにより、その波長におけるファラデー回転角が増大する。したがって、磁気光学体の性能指数を増大させることができる。
【0011】
また、本発明は、前記金属ナノ粒子を形成する金属材料は、複数の金属材料を組み合わせたものであることを特徴とする磁気光学体によっても構成することができる。この構成によれば、金属ナノ粒子を形成する金属材料を複数の金属材料を組み合わせることにより、複合化磁性体薄膜を透過する光の波長を変化させることが可能となり、磁気光学体の応用範囲を広げることができる。
【0012】
また、本発明は、複数の金属材料を組み合わせた前記金属ナノ粒子は、AuとAg、AuとAl、AgとAlあるいはAu、Ag、Alの組合せであることを特徴とする磁気光学体によっても構成することができる。この構成によれば、金属ナノ粒子を構成する金属材料を、例えば、AgとAlの組合わせとすることにより、複合化磁性体薄膜を透過する光の波長を400nmから480nmとすることができ、磁気光学体の応用範囲を広げることができる。
【0013】
また、本発明は、前記複合化磁性体薄膜は、金属ナノ粒子に加えて絶縁材料を複合化させることを特徴とする磁気光学体によっても構成することができる。この構成によれば、複合化磁性体薄膜に絶縁材料を複合化させることにより、複合化磁性体薄膜の光損失を低減することができる。したがって、光損失の少ない磁気光学体を実現することができる。
【0014】
また、本発明は、前記絶縁材料は、ナノ粒子であることを特徴とする磁気光学体によっても構成することができる。この構成によれば、絶縁材料がナノ粒子で構成されているため、光損失の少ない磁気光学体を実現することができる。
【0015】
また、本発明は、前記絶縁材料の屈折率は、前記透光性磁性体薄膜の屈折率との差異が40パーセント以内であることを特徴とする磁気光学体によっても構成することができる。この構成によれば、絶縁材料と透光性磁性体薄膜の屈折率の差異が40パーセント以内の場合、光損失を良好に低減することができる。したがって、光損失の少ない磁気光学体を実現することができる。
【0016】
また、本発明は、前記絶縁材料は、SiO、Al、Tb、Sm、Hf、TiO、Ta、PZT、SiN、SiO、NiO、CoOから選択されるうちの1つであることを特徴とする請求項7に記載の磁気光学体によっても構成することができる。この構成によれば、上記の材料の屈折率は、透光性磁性体薄膜との屈折率の値の差が少ないため、複合化磁性体薄膜の光損失を少なくすることができる。
【0017】
また、本発明は、前記絶縁材料の周囲に、強磁性金属薄膜を配置させることを特徴とする磁気光学体によっても構成することができる。この構成によれば、絶縁材料の周囲に強磁性金属薄膜が配置されているため、光損失を低減しつつ、磁気光学効果を増大させることができる。なお、絶縁材料の周囲に強磁性金属薄膜を配置させるとは、絶縁材料である粒子の周りを強磁性金属薄膜で被覆させたり、絶縁材料である粒子の周りの一部に強磁性金属薄膜を付着させることをいう。
【0018】
また、本発明は、前記透光性磁性体薄膜の材料は、ガーネットであることを特徴とする磁気光学体によって構成することもできる。この構成によれば、透光性磁性体薄膜の材料をガーネットとすることで、可視光領域(500nmから2000nm)の光を透過させることができる磁気光学体を実現することができる。
【0019】
また、本発明は、前記透光性磁性体薄膜の材料は、磁性酸化物、磁性窒化物、磁性酸化窒化物あるいはフェライトであることを特徴とする磁気光学体によって構成することもできる。この構成によれば、透光性磁性体薄膜の材料をフェライトとすることで、長波長領域(800nmから2000nm)の光を透過させることができる磁気光学体を実現することができる。
【0020】
また、本発明は、前記複合化磁性体薄膜は、前記透光性磁性体薄膜の上に前記金属ナノ粒子を形成し、該金属ナノ粒子の上に前記透光性磁性体薄膜を成膜することにより形成されることを特徴とする磁気光学体によっても構成することができる。この構成によれば、金属ナノ粒子の上下に透光性磁性体薄膜を配置させることにより、複合化磁性体薄膜を作製することができる。
【0021】
また、本発明は、前記金属ナノ粒子の上に成膜された前記透光性磁性体薄膜の膜厚は、前記金属ナノ粒子の大きさに応じて決定されることを特徴とする磁気光学体によって構成することもできる。この構成によれば、金属ナノ粒子の表面プラズモン共鳴によって発生する高周波電界は、金属ナノ粒子の表面から数十nmの領域に限られていると考えられるため、透光性磁性体薄膜の膜厚を金属ナノ粒子の大きさに応じて決定することにより、良好に磁気光学効果を発生する磁気光学体を作製することが可能となる。
【0022】
また、本発明は、前記金属ナノ粒子の形状または前記金属ナノ粒子の配置は、電子ビームによる描画によって制御されることを特徴とする磁気光学体によって構成することもできる。この構成によれば、電子ビームによる描画により、金属ナノ粒子の大きさ、金属ナノ粒子間の間隔等を制御することができる。これにより、良好に磁気光学効果を発生する磁気光学体を作製することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、透過性磁性体薄膜に金属ナノ粒子を複合化させることにより、磁気光学効果を増大させることができる。また、複数の金属ナノ粒子の材料や、金属ナノ粒子に加えて絶縁材料を複合化させることにより、透過する光の波長を変化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を実施するための最良の形態について、第1の実施形態によってその詳細を具体的に説明する。
【0025】
(Auナノ粒子の形成)
本実施形態の磁気光学体を作製するにあたり、まず、Auナノ粒子の形成ついて検討した。図1にAuナノ粒子の形成条件を示す。溶融石英基板上にAu薄膜を1から10nmの厚さで成膜した。成膜にはスパッタリング法を用いた。ターゲットはAu、スパッタリングガスは空気(Air)、スパッタリング圧は10Pa、スパッタリングパワーは5Wとした。上記のスパッタリング条件により、石英基板上にAu薄膜を成膜した後、アニーリング(熱処理)を行なった。アニーリングの温度は300℃から1000℃、アニーリング時間は10分間とした。
【0026】
このように、Au薄膜を融点に近い温度でアニーリングを行う手法を、多層領域制御法という。この手法は、Au薄膜を熱処理するだけで容易にナノスケールのAu微粒子を得ることができる。また、この手法の制御パラメータは、Au膜厚、熱処理温度、下地層種類など限られており、比較的再現性良くAuナノ粒子を得ることができる。
【0027】
図2に、上記の条件、手法によって得られたAuナノ粒子の表面SEM(走査型電子顕微鏡、Scanning Electron Microscope)像を示す。図2に示すように、直径が約40nmから80nm程度の大きさを持つAuナノ粒子が分散性良く形成されていることがわかった。
【0028】
また、図3に熱処理温度を変化させた場合のAuナノ粒子の直径の変化を示す。図3に示すように、アニーリング温度が300℃の場合は、Auナノ粒子の直径は約100nm程度であり、Auが十分に分離していないと考えられる。一方、アニーリング温度を高くすると、Auの拡散が大きくなるため、Auナノ粒子の直径が大きくなることが分かった。
【0029】
次に、図4に熱処理温度を変化させた場合のAuナノ粒子の透過率スペクトルを示す。図4に示すように、熱処理温度が低い場合は、SPR(表面プラズモン共鳴:Surface Plasmon Resonance)波長は長波長側に現れ、半値幅が大きかった。また、熱処理温度500℃では、約550nmのSPR波長で顕著な透過率の変化が見られた。これは、局在表面プラズモン共鳴によるエネルギー吸収と考えられる。熱処理温度が高い場合は、SPR波長は短波長側に現れ、900℃の熱処理で約525nmの光波長で局在表面プラズモン共鳴が観測された。
【0030】
次に、図5に、Au膜厚を変化させた場合のAuナノ粒子のSEM像、Au粒子の直径および透過率の測定結果を示す。図5に示すように、Au膜厚を変化させた場合でも、Auナノ粒子の直径が30nmから50nmと変化が少ないため、SPR波長の変化は小さかった。また、深さは3から25パーセント変化していた。
【0031】
(Auナノ粒子を複合化した透光性磁性体薄膜の形成)
次に、本発明の実施形態であるAuナノ粒子を複合化した透光性磁性体薄膜の形成について説明する。本実施形態では、透光性磁性体薄膜としては、磁性ガーネット膜の1種であるビスマス置換YIG(Bi0.52.5Fe12、以下Bi:YIGと称す)を用いた。図6に形成プロセスを示す。また、図7にスパッタリングによる形成条件を示す。図6に示すように、溶融石英基板4上にスパッタリング法を用いてBi:YIG膜6を成膜した。スパッタリング条件は、スパッタリングターゲットはBi2.5Fe、スパッタリングガスはAr、スパッタリング圧は4×10−1Pa、スパッタリングパワーは100W、Bi:YIG膜6の膜厚は40nmとした。なお、スパッタリングターゲットには、化学量論組成からずれた組成のものを用いた。これは、このような組成のターゲットを用いることにより、平滑性に優れたBi:YIG膜6が得られるためである。EDXによる組成分析とXRD測定から、このようなターゲットを用いて形成したBi:YIG膜6は、熱処理によりガーネット単相のものが得られることが分かっている。
【0032】
Bi:YIG膜6を形成した後、Au膜8を成膜した。Au膜8の膜厚は1から10nmである。スパッタリング条件は図1に示す条件とした。Au膜8を形成した後、700℃、750℃で10分間アニーリングを行なった。
【0033】
Au膜8のアニーリングにより、Auナノ粒子10を形成した後、Bi:YIG膜12を成膜した。上述したように、多層領域制御法によって得られるAuナノ粒子10の直径は概ね70nm前後であるので、Bi:YIG膜12の膜厚はこのサイズにほぼ合致した膜厚とし、75nmとした。これは、Auナノ粒子10の表面プラズモン共鳴によって発生する高周波電界は、表面から数十nmの領域に限られていることから、このサイズのBi:YIG膜12でなければ顕著な効果が発現しないと考えられたためである。Bi:YIG膜12の成膜のスパッタリング条件は図7に示すものである。成膜されたBi:YIG膜12は、スパッタリング直後はアモルファス状態にあるので、Bi:YIG膜12を一層形成する毎に真空チャンバーから取り出し、750℃でポスト熱処理を行なった。
【0034】
上記の条件で作製したBi:YIG6上のAuナノ粒子10の表面SEM像、Auナノ粒子10の直径および透過率のAu膜厚に対する変化を図8に示す。図8に示すように、Auナノ粒子10は球状に形成されていることがわかる。また、Auナノ粒子10は直径が大きく、SPR波長が長波長側に現れていることが分かる。また、Bi:YIG膜6上でのAuの拡散は大きいことが分かった。
【0035】
次に、上記の条件で作製したAuナノ粒子10を複合化したBi:YIG膜12の断面SEM写真を図9に示す。図9の上側の写真は、Bi:YIG膜6上にAuナノ粒子10を形成したもの(Auナノ粒子/Bi:YIG構造膜)であり、図9の下側の写真は、同じプロセスを繰り返してAuナノ粒子10を内部に含むBi:YIG膜12(Bi:YIG/(Auナノ粒子/Bi:YIG)構造膜)の写真である。
【0036】
次に、Auナノ粒子10を含むBi:YIG膜の透過率スペクトルを図10に示す。図10には、比較のために、Auナノ粒子10を含まない薄膜試料(Bi:YIG single film)の透過率スペクトルもあわせて示す。
【0037】
図4に示した石英基板上にAuナノ粒子を形成した試料と、図10のBi:YIG膜6上にAuナノ粒子10を形成した試料(Au/Bi:YIG)のSPR波長を比較してみると、前者のSPR波長が約525nmであるのに対し、後者では約670nmと長波長側にシフトしていた。また、Auナノ粒子10を内部に含むBi:YIG膜では、共鳴波長は約760nmとなった。この共鳴波長の変化は、Bi:YIGの誘電率が空気および溶融石英よりも大きいことに起因すると考えられる。
【0038】
また、図4に示した石英基板上にAuナノ粒子を形成した試料に対して、Bi:YIGとAuナノ粒子を複合化した試料では、観測した全波長領域において、透過率の減少が見られた。これは、Bi:YIG自体の光吸収損失と、Auナノ粒子による光散乱効果によるものと考えられる。
【0039】
次に、これらの試料のファラデー回転角波長スペクトルを測定したので、これについて説明する。図11に、今回測定に用いた回転検光子法の装置構成を示す。この装置構成において、印加磁界は±5kOe、測定範囲は400から1000nmとした。
【0040】
図12に、上記装置構成を用いて測定したファラデー回転角波長スペクトルを示す。図12の上側の図は、表面プラズモン共鳴波長との対応を示すため図10と同じものである。また、図12の右側の図は、Bi:YIG層の数に対するファラデー角の大きさを示している。図12に示すように、表面プラズモン共鳴が生じる光波長で、ファラデー回転角が増大していることがわかった。例えば、Au/Bi:YIG構造の薄膜試料では、約670nmの波長で最大のプラズモン共鳴が生じ、その同一波長でファラデー回転角が顕著に増大した。これは、ほぼ同じ厚さの単層膜と比較すると、約1.7倍のファラデー角が出現したことになる。
【0041】
このようなファラデー回転角の増大は、以下のように説明することができる。すなわち、特定の波長でAuナノ粒子に局在化した表面プラズモン共鳴が生じ、ナノ粒子近傍に同じ周波数の高周波電界が形成される。この高周波電界は、物質内の電気分極と等価で、Bi:YIG固有の誘電率εに対角成分、非対角成分ともわずかな変調Δεをもたらす。ファラデー回転角は誘電率の大きさで決まるので、テンソル量としての誘電率の変調Δεは、ファラデー回転角の増大に寄与する。
【0042】
以上説明したように、本発明の実施形態である第1の実施形態においては、透光性磁性体薄膜の磁気ガーネット材料であるBi:YIG膜にAuナノ粒子を複合化させたため、磁気光学体2のファラデー角を増大させることができた。したがって、透光性磁性体薄膜の磁気光学効果を増大させることができることが分かった。
【0043】
なお、本実施形態においては、Bi:YIG膜にAuナノ粒子を複合化させたものについて説明したが、これに限らず、Bi:YIG膜に複合化させる金属材料は他の材料を用いることもできる。他の材料としては、例えば、Ag、Alなどが挙げられる。複合化させる金属材料は、現存する金属元素から選択すれば良いが、複合化した磁性体薄膜を透過する光の波長が、380nmから2000nmとなるような金属材料とすることが望ましい。
【0044】
また、本実施形態では、Bi:YIG膜にAuナノ粒子を複合化させたものについて説明したが、Bi:YIG膜に複数の種類の金属材料からなる金属ナノ粒子を複合化させても良い。これにより、金属材料を複合化させた磁性体薄膜の透過する光の波長を変化させることができる。複数種類の金属材料としては、例えば、AgとAlの組合せが挙げられる。この組合せによれば、複合化磁性体薄膜が透過する光の波長を400nmから480nmとすることができる。また、他の金属材料の組合せ、例えば、AuとAlの組合せでも良い。AuとAlを金属材料として組み合わせた場合の特性を図13に示す。金属材料としてAuのみ、Alのみを採用した場合は、図13(a)に示すように、それぞれの材料固有の波長において、ファラデー回転の大きさが決められる。一方、金属材料としてAuとAlを組み合わせた場合、図13(b)に示すように、400nmから600nmにおいてファラデー回転の大きさが合成されたような特性とすることができる。したがって、複数の金属材料を組み合わせた場合は、透過する光の波長を変化させることができる。また、金属材料の組合せは、AuとAg、AuとAgとAlとしても良い。
【0045】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態においては、基板上の薄膜をアニールしたため、Auナノ粒子の大きさおよび配置がランダムなものであった。この薄膜をアニールするという手法は、大きな面積に微粒子を作製することが可能であるという利点を有するが、アニールを行なうことによってAuナノ粒子では問題ないが、Agナノ粒子やAlナノ粒子では、ナノ粒子が酸化するという事実も有している。これに対し、第2の実施形態では、Auナノ粒子をE−beam(電子ビーム)によってドット描画を行なうことにより作製したものである。
【0046】
まず、第1の実施形態によって作製されたAuナノ粒子と、第2の実施形態によって作製されたAuナノ粒子の形状を比較したものを示す。図14は、第1の実施形態によって作製されたAuナノ粒子の電子顕微鏡写真である。また、図15は、第2の実施形態によって作製されたAuナノ粒子の電子顕微鏡写真である。図14および図15によれば、第2の実施形態で作製されたAuナノ粒子は、第1の実施形態で作製されたAuナノ粒子に比べ、等間隔で、かつ同じ粒径で作製されていることがわかる。
【0047】
次に、第2の実施形態のE−beamを用いてAuナノ粒子を作製する製法について詳細に説明する。図16は第2の実施形態の作製プロセスを示す図である。図16では、ポジ型レジストを用いたAuナノ粒子ドットの作製プロセスについて説明する。図16(a)では、溶解石英基板上にレジストが形成される。レジストは、ZEP520−12 Positive Typeが用いられる。Prebakeは200℃、10分、Developmentは1分30秒、Rinseは1分である。次に、図16(b)において、E−beamの照射が行なわれる。E−beamのプローブ電流は100pAである。次に、図16(c)において、Au膜が形成される。Auは、quick cool coaterによりスパッタされる。次に、図16(d)では、レジストがLift−offされ、Auナノ粒子のドットが形成される。その後、Bi:YIG膜が成膜されて、透光性磁性体薄膜が作製されることとなる。
【0048】
上述したAuナノ粒子ドットの形状について、図17を用いて説明する。図17は図16に示す作製プロセスで作製したAuナノ粒子のドットの形状を示す電子顕微鏡写真である。図17に示すように、Auナノ粒子のドットは、長軸方向と短軸方向を有する形状となっており、長軸方向は230nm、短軸方向は154nmであった。
【0049】
図17のような形状のAuナノ粒子を作製した場合、波長λと透過率Tおよびファラデー回転角θFの関係は、図18のグラフに示す関係になると考えられる。図18によれば、波長λに対して透過率Tおよびファラデー回転角θFが2つのピークを持つような関係となっていることが分かる。
次に、第2の実施形態のE−beamを用いたAuナノ粒子の作製プロセスについて説明するが、ネガ型レジストを用いたAuナノ粒子の作製プロセスについて説明する。図19に、ネガ型レジストを用いたAuナノ粒子のドット作製のプロセスを示す。図19(a)において、溶解石英基板上にはAuの薄膜が形成され、その上にレジストが形成される。Auの薄膜はDIBS(Dual−type Ion Beam Suputtering)を用いて形成されるものである。また、レジストはSAL601−SR7 Negative typeが用いられ、Prebakeは95℃で1分、Developmentは1分30秒、Rinseは1分である。次に、図19(b)において、レジストの表面にE−beamが照射される。E−beamのプローブ電流は40pAである。Bakeは115℃で6分間である。次に、図19(c)では、レジストのMillingが行なわれる。次に、図19(d)において、AuのMillingが行なわれる。AuのMilling rateは1分あたり10nmである。MillingはDIBSにより行なわれる。次に、図19(e)に示すように、レジストのリフトオフが行なわれ、Auナノ粒子が形成される。その後、Bi:YIG膜が成膜されて、透光性磁性体薄膜が作製されることとなる。
【0050】
次に、ネガ型レジストを用いて作製されたAuナノ粒子の電子顕微鏡写真を図20に示す。図20は、Millingを行い、Lift−offを行なった後のAuナノ粒子の形状を撮影したものであり、Auナノ粒子のドットの間隔は870nmである。図20に示すように、上記作製方法により、Auナノ粒子は、等間隔、かつ同じ形状で作製されていることが分かる。
【0051】
次に、ネガ型レジストを用いて作製されたAuナノ粒子について、E−beamの照射時間を変化させて作製した場合のAuナノ粒子の電子顕微鏡写真を図21に示す。図21は、Millingを行い、Lift−offを行なった後のAuナノ粒子の形状を撮影したものであり、Auナノ粒子の間隔は870nmである。また、図21に示す4つの写真においては、Dose time(電子の照射時間)はそれぞれ異なっている。図21によれば、電子の照射時間を変化させることにより、Auナノ粒子の直径が変化している様子が分かる。
【0052】
次に、ネガ型レジストを用いて作製されたAuナノ粒子について、Milling前の電子顕微鏡写真を図22に示す。図22は、Auナノ粒子の間隔は720nmである。また、図22に示す3つの写真においては、Dose timeはそれぞれ異なっている。図22によれば、電子の照射時間を変化させることにより、Auナノ粒子の直径が変化している様子が分かる。
【0053】
次に、第2の実施形態の作製方法によって作製されたナノ粒子について、アニールを行なったものの測定結果を説明する。図23は、第2実施形態の作製方法によって作製されたAuナノ粒子とAgナノ粒子のアニール後の形状を示す図である。図23の上側の写真はAuナノ粒子をアニールしたものであり、図23の下側の写真は、Agナノ粒子をアニールしたものである。Auナノ粒子のアニールは800℃で5分間行い、Agナノ粒子のアニールは、500℃で3分間行なった。図23によれば、アニールされたAgナノ粒子は、長軸と短軸を有する楕円形状であることが分かる。このアニールされたAuナノ粒子とAgナノ粒子について、波長に対する透過率の測定結果を図24に示す。図24に示すように、アニールされたAgナノ粒子の透過率は、2箇所のピークを持っていることが分かる。このことは、アニールされたAgナノ粒子の電子顕微鏡による形状が楕円形状であったことに良く一致している。
【0054】
上述したように、E−beamを用いた第2の実施形態においては、Auナノ粒子の形状を所望のものとすることができるため、磁気光学効果を増大させることができる。第2の実施形態では、Auナノ粒子を等間隔に作製することができるとともに、Auナノ粒子の粒径を同一のものとすることができる。また、第2の実施形態では、Auナノ粒子を楕円形状とすることができるため、プラズモン共鳴、そしてそれに伴う磁気光学効果を増大させることができる。また、第2の実施形態は、第1の実施形態と異なり、薄膜のアニールの必要がないため、Auナノ粒子の酸化の影響を抑えることができる。
【0055】
また、第2の実施形態の作製方法を用いてAgナノ粒子を作製し、これをアニールした場合、Agナノ粒子の形状を楕円形にすることができる。これによって、プラズモン共鳴、そしてそれに伴う磁気光学効果を増大させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、Bi:YIG膜にAuナノ粒子を複合化させたが、これに限らず、Bi:YIG膜にAuナノ粒子以外に、SiO、Al、Tb、Sm、Hf、TiO、Ta、PZT、SiN、SiO、NiO、CoOなどの絶縁材料を複合化させても良い。この一例を図25に示す。図25において、Bi:YIG膜14内には、Auナノ粒子16と絶縁材料18が複合化されている。このように、Bi:YIG膜に絶縁材料を複合化させることにより、透過する光の損失を低減することができる。なお、Bi:YIG膜に複合化する絶縁材料は、Bi:YIGの屈折率に対して、比較的近い屈折率を有する材料が望ましく、両者の屈折率の差異は、40パーセント以内であることが望ましい。このように、両者の屈折率を40パーセント以内とすることにより、透過する光の損失を良好に低減することが可能となるのである。
【0057】
また、絶縁材料を複合化させる場合、絶縁材料の周囲に強磁性金属薄膜を形成させたものを用いることもできる。図26は絶縁材料の1つである誘電体(例えばSiO)の周囲に強磁性金属薄膜を形成したものを示す図である。強磁性金属薄膜の形成のさせ方は、図26(a)に示すように、誘電体15の周囲すべてに強磁性金属薄膜17を形成させても良いし、図26(b)に示すように、誘電体15の周囲の一部に強磁性金属薄膜17を形成させても良い。誘電体15の周囲に強磁性金属薄膜17を形成することにより、以下のような効果が期待できる。
【0058】
図27は、誘電体15の周囲に強磁性金属薄膜17を形成したものをAuナノ粒子とともにBi:YIG膜に複合化させたものの特性を示す図である。図27において、一方の特性は、誘電体の周囲に強磁性金属薄膜を形成したものをAuナノ粒子とともにBi:YIG膜に複合化させたものであり、他方の特性は、誘電体の周囲に強磁性金属薄膜を形成しないものをAuナノ粒子とともにBi:YIG膜に複合化させたものである。両者を比較すると、誘電体の周囲に強磁性金属薄膜を形成したものを複合化させた膜の方が大きな磁気光学効果を示していることが分かる。したがって、絶縁材料に強磁性金属薄膜を形成させることにより、プラズモン共鳴、そしてそれに伴う磁気光学効果を増大させることができる。
【0059】
また、本実施形態では、透過性磁性体薄膜の材料として、ガーネット材料であるBi:YIG膜を用いたが、これに限らず、磁性酸化物、磁性窒化物、磁性酸化窒化物あるいはフェライトを用いることもできる。透過性磁性体薄膜の材料を変更することにより、透過する光の波長を変化させることができるため、必要に応じて適宜材料を変更することが可能である。なお、本実施形態の透光性磁性体薄膜、金属薄膜の作製は、様々な方法を用いることができる。例えば、スパッタ法、ゾルゲル法、CVD法、MBE法、微粒子堆積法、エアロゾルデポジション法などが挙げられる。
【0060】
また、本実施形態では、透過性磁性体薄膜の材料として、ガーネット材料であるBi:YIG膜を用いたが、これに限られず、ZnFeOの不規則磁性フェライト材料を用いることもできる。不規則磁性フェライト材料とは、結晶構造を持たない酸化物アモルファスマトリックスの中に、粒径が10nm程度、あるいはそれ以下のフェライト(あるいは構造や組成、酸素含有率がフェライトより低い不完全な磁性酸化物)粒子が高い密度で分散した膜のことである。Bi:YIGに代えて不規則フェライト材料を用いることにより、透過する光の波長を短波長域にシフトさせることができ、短波長域におけるプラズモン共鳴、そしてそれに伴う磁気光学効果を増大させることができる。
【0061】
なお、上述の各実施形態の磁気光学体2は、空間光変調器に利用することができる。図28に空間光変調器20の構成を示す。空間光変調器20は、光を特定の方向に偏向させる偏向器22と、ガラス基板上24に配置された磁気光学体26と、磁気光学体26に偏向された特定方向の光を透過させる検光子28より構成されている。磁気光学体26の磁化方位を所定の方向に制御することにより、それぞれの磁気光学体26を透過した光は偏向面回転を受け、これを検光子28を通して見ることにより、各ピクセルの領域が白い領域と黒い領域に表示される。これにより、空間光変調器20を実現することができる。
【0062】
また、上述の各実施形態の磁気光学体2は、マイクロキャビティ装置に用いることができる。図29は、磁気光学体2がマイクロキャビティ装置30に用いられた例を示す図である。図29において、マイクロキャビティ装置30は、磁気光学体2と、磁気光学体2の両側に配置されたブラッグミラー32を備えている。ブラッグミラー32は異なる種類の材料を繰りかえし積層させて形成される多層膜であり、例えば、SiOとTiの組合せを用いることができる。この構成のマイクロキャビティ装置30によれば、ファブリーペロ共鳴によるファラデー回転角θFの増加に加え、表面プラズモン効果共鳴によるファラデー回転角θFがさらに増大することが予想される。したがって、本発明の磁気光学体2をマイクロキャビティ装置30に用いることにより、マイクロキャビティ装置30のプラズモン共鳴、そしてそれに伴う磁気光学効果を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る第1実施形態の作製プロセスおよび作製条件を示す図である。
【図2】本発明に係る第1実施形態のAuナノ粒子の表面SEM写真である。
【図3】本発明に係る第1実施形態のAuナノ粒子の温度に対する直径を示すグラフである。
【図4】本発明に係る第1実施形態のAuナノ粒子の熱処理温度を変化させた場合の透過率スペクトルの変化を示すグラフである。
【図5】本発明に係る第1実施形態のAu膜厚を変化させた場合のAuナノ粒子のSEM像、Au粒子の直径および透過率の測定結果を示す図である。
【図6】本発明に係る第1実施形態の磁気光学体2の作製プロセスを示す図である。
【図7】本発明に係る第1実施形態の磁気光学体2の作製条件を示す図である。
【図8】本発明に係る第1実施形態のAuナノ粒子の表面SEM像、Auナノ粒子の直径および透過率のAu膜厚に対する変化を示す図である。
【図9】本発明に係る第1実施形態のAuナノ粒子を複合化したBi:YIG膜の断面SEM写真である。
【図10】本発明に係る第1実施形態のAuナノ粒子を含むBi:YIG膜の透過率スペクトルを示すグラフである。
【図11】本発明に係る第1実施形態の回転検光子法の装置構成を示す図である。
【図12】本発明に係る第1実施形態のファラデー回転角波長スペクトルを示すグラフである。
【図13】本発明に係る第1実施形態の波長に対するファラデー回転の大きさを示すグラフである。
【図14】本発明に係る第1実施形態のAuナノ粒子の電子顕微鏡写真である。
【図15】本発明に係る第2実施形態のAuナノ粒子の電子顕微鏡写真である。
【図16】本発明に係る第2実施形態の作製プロセスを示す図である。
【図17】本発明に係る第2実施形態のAuナノ粒子の電子顕微鏡写真である。
【図18】本発明に係る第2実施形態の磁気光学体の特性を示す図である。
【図19】本発明に係る第2実施形態の作製プロセスを示す図である。
【図20】本発明に係る第2実施形態のAuナノ粒子の電子顕微鏡写真である。
【図21】本発明に係る第2実施形態のAuナノ粒子の電子顕微鏡写真である。
【図22】本発明に係る第2実施形態のAuナノ粒子の電子顕微鏡写真である。
【図23】本発明に係る第2実施形態のAuナノ粒子およびAgナノ粒子の電子顕微鏡写真である。
【図24】本発明に係る第2実施形態の磁気光学体の特性を示す図である。
【図25】本発明に係る第1の実施形態の変形例である絶縁材料を複合化させた場合の材料のイメージ図である。
【図26】本発明に係る第1の実施形態の変形例である絶縁材料の周囲に強磁性体金属薄膜を配置させた場合の材料のイメージ図である。
【図27】絶縁材料の周囲に強磁性金属薄膜を配置させた場合の磁気光学体の特性図である。
【図28】本発明に係る第1の実施形態の磁気光学体を空間光変調器に応用した場合の構成図である。
【図29】本発明の磁気光学体をマイクロキャビティ装置に応用した場合の構成図である。
【符号の説明】
【0064】
2 磁気光学体
4 溶融石英基板
6 Bi:YIG膜
8 Au膜
10 Auナノ粒子
12 Bi:YIG膜
14 Bi:YIG
15 誘電体
16 Auナノ粒子
17 強磁性金属薄膜
18 絶縁材料
20 空間光変調器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性磁性体薄膜の内部に金属ナノ粒子を複合化させて形成される複合化磁性体薄膜を備える磁気光学体。
【請求項2】
前記金属ナノ粒子を形成する金属材料は、前記複合化磁性体薄膜を透過する光の波長が380nmから2000nmであることを特徴とする請求項1に記載の磁気光学体。
【請求項3】
前記金属ナノ粒子を形成する金属材料は、Au、AgあるいはAlであることを特徴とする請求項2に記載の磁気光学体。
【請求項4】
前記金属ナノ粒子を形成する金属材料は、複数の金属材料を組み合わせたものであることを特徴とする請求項2に記載の磁気光学体。
【請求項5】
複数の金属材料を組み合わせた前記金属ナノ粒子は、AuとAg、AuとAl、AgとAlあるいはAu、AgおよびAlの組合せであることを特徴とする請求項4に記載の磁気光学体。
【請求項6】
前記複合化磁性体薄膜は、前記金属ナノ粒子に加えて絶縁材料を複合化させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の磁気光学体。
【請求項7】
前記絶縁材料は、ナノ粒子であることを特徴とする請求項6に記載の磁気光学体。
【請求項8】
前記絶縁材料の屈折率は、前記透光性磁性体薄膜の屈折率との差異が40パーセント以内であることを特徴とする請求項6または7に記載の磁気光学体。
【請求項9】
前記絶縁材料は、SiO、Al、Tb、Sm、Hf、TiO、Ta、PZT、SiN、SiO、NiO、CoOから選択されるうちの1つであることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の磁気光学体。
【請求項10】
前記絶縁材料の周囲に、強磁性金属薄膜を配置させることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の磁気光学体。
【請求項11】
前記透光性磁性体薄膜の材料は、ガーネットであることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の磁気光学体。
【請求項12】
前記透光性磁性体薄膜の材料は、磁性酸化物、磁性窒化物、磁性酸化窒化物あるいはフェライトであることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の磁気光学体。
【請求項13】
前記複合化磁性体薄膜は、前記透光性磁性体薄膜の上に前記金属ナノ粒子を形成し、該金属ナノ粒子の上に前記透光性磁性体薄膜を成膜することにより形成されることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の磁気光学体。
【請求項14】
前記金属ナノ粒子の上に成膜された前記透光性磁性体薄膜の膜厚は、前記金属ナノ粒子の大きさに応じて決定されることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の磁気光学体。
【請求項15】
前記金属ナノ粒子の形状または前記金属ナノ粒子の配置は、電子ビームによる描画によって制御されることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の磁気光学体。

【図13】
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【図18】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−268862(P2008−268862A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327380(P2007−327380)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年12月22日 国立大学法人 豊橋技術科学大学主催の「平成18年度 特別実験報告会」に文書をもって発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年2月9日 国立大学法人 豊橋技術科学大学 ベンチャービジネスラボラトリー主催の「第3回 豊橋技術科学大学 産官学交流シンポジウム2007」に文書をもって発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年2月19日 国立大学法人 豊橋技術科学大学主催の「平成18年度 修士学位論文審査会」に文書をもって発表
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【Fターム(参考)】