説明

磁気記録再生装置

【課題】トラック間のピッチを狭めた場合においてもトラッキングを高精度に行うことが可能な磁気記録再生装置を提供すること。
【解決手段】本発明の磁気記録再生装置は、基板21と、その一主面に設けられ互いに平行に配列した帯状磁気記録部22と、それらの間にそれぞれ介在する帯状非磁性部23とを備えた磁気記録媒体2、帯状磁気記録部22の1つに対向しその帯状磁気記録部22に向けて電子線を出射する電子線出射部18と、電子線出射部18が対向する帯状磁気記録部22に対向した磁場発生部14と、電子線出射部18が対向する帯状磁気記録部22に対向した磁気検出部15とを備えた記録再生ヘッド7、電子線出射部18に接続され電子線出射部18から電子線出射部18が対向する帯状磁気記録部22に向けて流れた電流量を検出する電流計19、及び電子線出射部18が対向した帯状磁気記録部22に沿って磁気記録媒体2と記録再生ヘッド7とを相対移動させる駆動機構を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録再生装置に係り、特には、熱アシスト磁気記録技術を利用した磁気記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータなどの情報機器の機能は飛躍的に向上しており、そのため、ユーザが扱う情報量も著しく増大している。それゆえ、従来に比べて飛躍的に記録密度の高い情報記録再生装置に対する期待は高まる一方である。
【0003】
情報記録媒体への記録密度を高めるためには、記録マークのサイズを縮小化することが必要である。しかしながら、現在、記録マークのサイズを縮小する上で大きな困難に直面している。以下、ハードディスク装置のような磁気記録再生装置を例に説明する。
【0004】
一般に、磁気記録再生装置に搭載される磁気記録媒体は、記録層に粒度分布の広い多結晶体を使用している。すなわち、一般的な磁気記録媒体の記録層は、粒径の大きなものから粒径の小さなものまで様々な粒径の多結晶体を含んでいる。
【0005】
しかしながら、サイズが過剰に小さな多結晶体は熱揺らぎが大きい。そのため、記録マークを小さくした場合には、1つの記録マークに含まれる多結晶体の数が少なくなり且つ記録マーク間での相互作用が相対的に大きくなるため、記録の安定性が低下するのに加えノイズの増大を生ずる。
【0006】
このような問題は、記録層を構成する多結晶体を熱揺らぎを抑制するに十分な程度のサイズに揃えることによって防止することができる。しかしながら、その場合、情報の書き込みに非常に強い磁場が必要となり、その結果、記録層への情報の書き込みが不可能となるという問題を生ずる。
【0007】
そのような記録層に比較的弱い磁場で情報を書き込み可能とする技術として、磁気記録層の保磁力は加熱することにより低下することを利用した熱アシスト磁気記録技術が知られている。この熱アシスト磁気記録技術で高密度記録を実現するには加熱スポットを小さくすることが有利であり、その手段としては近接場光照射や電子線照射が考えられている。
【0008】
しかしながら、熱アシスト磁気記録技術では厳密な熱設計が必要である。しかも、熱アシスト磁気記録技術で記録密度を高めるためには、トラック間のピッチを狭めることも必要であるが、その場合、隣接トラック間での熱伝導の影響が大きくなり、特に、加熱によるクロスイレースが顕著となる。また、トラック間のピッチを狭めた場合、トラッキングが困難となるため、サーボライタによるサーボ信号の書き込み並びに磁気ヘッドによるサーボ信号の読み出しが不可能となることがある。
【0009】
このような問題に対し、特許文献1は、磁気記録層をトラックに対応して帯状にパターニングすることにより帯状磁気記録部を形成するのとともに隣接トラック同士をそれらの間に介在する帯状非磁性部で磁気的に分離したディスクリート媒体を開示している。このような媒体によると、各隣接トラック間に帯状非磁性部が介在しているため、加熱によるクロスイレースを抑制することができる。
【0010】
また、特許文献1が開示する構造を採用すれば、帯状磁気記録部と帯状非磁性部との配列をトラッキングに利用することが可能であるため、上記のサーボライタによるサーボ信号の書き込みが不要となる。すなわち、記録再生ヘッドに、情報を書き込むべき帯状磁気記録部とその両側に隣接する2つの帯状非磁性部との境界部にそれぞれ対向するように2つの光センサを設ければ、熱アシスト磁気記録を行うべく帯状磁気記録部に照射した近接場光の反射光をそれら光センサで検出することによりトラッキングを行うことができる。
【0011】
しかしながら、そのような構造では、受光可能な反射光量が不十分であるため、トラック間のピッチを狭めた場合などに高いトラッキング精度を実現することができない。また、上記の記録再生ヘッドは、製造自体が困難である。
【特許文献1】特開2000−195002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、トラック間のピッチを狭めた場合においてもトラッキングを高精度に行うことが可能な磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、熱設計が容易な磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、トラック間のピッチを狭めた場合においてもクロスイレースの発生を防止し得る磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一側面によると、基板と、前記基板の一主面に設けられ互いに平行に配列した複数の帯状磁気記録部と、それぞれ前記複数の帯状磁気記録部間に介在する複数の帯状非磁性部とを備えた磁気記録媒体、前記複数の帯状磁気記録部の1つに対向しその帯状磁気記録部に向けて電子線を出射する電子線出射部と、前記電子線出射部が対向する帯状磁気記録部に対向した磁場発生部と、前記電子線出射部が対向する帯状磁気記録部に対向した磁気検出部とを備えた記録再生ヘッド、前記電子線出射部に接続され前記電子線出射部から前記電子線出射部が対向する帯状磁気記録部に向けて流れた電流量を検出する電流計、及び前記電子線出射部が対向した帯状磁気記録部に沿って前記磁気記録媒体と前記記録再生ヘッドとを相対移動させる駆動機構を具備することを特徴とする磁気記録再生装置が提供される。
【0015】
また、本発明の参考例によると、基板と、前記基板の一主面に設けられ互いに平行に配列した複数の帯状磁気記録部と、それぞれ前記複数の帯状磁気記録部間に介在する複数の帯状非磁性部とを備えた磁気記録媒体、前記複数の帯状磁気記録部の1つに対向しその帯状磁気記録部に向けて近接場光を出射する近接場光出射部と、前記近接場光出射部が対向する帯状磁気記録部に対向した磁場発生部と、前記近接場光出射部が対向する帯状磁気記録部に対向した磁気検出部と、前記複数の帯状磁気記録部のうち前記近接場光出射部が対向する帯状磁気記録部に対して一方の側に位置するものと対向した受光部を有する第1の光センサと、前記複数の帯状磁気記録部のうち前記近接場光出射部が対向する帯状磁気記録部に対して他方の側に位置するものと対向した受光部を有する第2の光センサとを備えた記録再生ヘッド、及び前記近接場光出射部が対向する帯状磁気記録部に沿って前記磁気記録媒体と前記記録再生ヘッドとを相対移動させる駆動機構を具備することを特徴とする磁気記録再生装置が提供される。
【0016】
本発明の参考例に係る磁気記録再生装置は、第1の光センサと第2の光センサと駆動機構とに接続された制御部をさらに具備することができる。このような制御部を設けた場合、第1の光センサからの第1の信号と第2の光センサからの第2の信号とに基づいて、磁気記録媒体に対する記録再生ヘッドの相対位置を複数の帯状磁気記録部の配列方向に変化させるように駆動機構の動作を制御することができる。この制御は、例えば、第1の光センサからの第1の信号と第2の光センサからの第2の信号とを比較し且つ第1の信号の大きさと第2の信号の大きさとの差がより小さくなるように行うことができる。
【0017】
本発明の一側面に係る磁気記録再生装置は、電流計と駆動機構とに接続された制御部をさらに具備することができる。このような制御部を設けた場合、電流計からの信号に基づいて、磁気記録媒体に対する記録再生ヘッドの相対位置を複数の帯状磁気記録部の配列方向に変化させるように駆動機構の動作を制御することができる。この制御は、例えば、電流計からの信号の大きさの変動が抑制されるように行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、隣り合う帯状磁気記録部を帯状非磁性部で分離した構造を有する磁気記録媒体を使用するため、トラック間のピッチを狭めた場合においてもクロスイレースを十分に防止することができ、しかも、熱設計が容易である。さらに、本発明では、電流計を設けて熱アシスト磁気記録に使用する電子線をトラッキングに利用可能とすることにより、トラック間のピッチを狭めた場合においてもトラッキングを高精度に行うことが可能となる。
【0019】
すなわち、本発明によると、トラック間のピッチを狭めた場合においてもトラッキングを高精度に行うことが可能な磁気記録再生装置を提供される。また、本発明によると、熱設計が容易な磁気記録再生装置が提供される。さらに、本発明によると、トラック間のピッチを狭めた場合においてもクロスイレースの発生を防止し得る磁気記録再生装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明について、図面を参照しながらより詳細に説明する。なお、各図において、同様または類似する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態及び参考例に係る磁気記録再生装置を概略的に示す斜視図である。図1に示す磁気記録再生装置1において、磁気記録媒体として磁気ディスク2を有している。この磁気記録再生装置1は、磁気ディスク2への情報の書き込みに熱アシスト磁気記録技術を利用するものであり、磁気ディスク2としては、後述するディスクリート磁気記録媒体(ディスクリート磁気ディスク)を使用している。
【0022】
磁気ディスク2はスピンドル3に回転可能に支持されており、スピンドル3には制御回路(図示せず)からの制御信号に応じて動作するモータ(図示せず)が接続されている。図1に示す磁気記録再生装置1では、これにより、磁気ディスク2の回転などを制御可能としている。
【0023】
磁気ディスク2の円周部近傍には固定軸4が配置されており、この固定軸4は、その上下2ヶ所に配置されたボールベアリング(図示せず)を介して磁気ヘッドアセンブリ5を揺動可能に支持している。磁気ヘッドアセンブリ5のボビン部にはコイル(図示せず)が巻きつけられており、このコイルとそれを挟んで対向して配置された永久磁石と対向ヨークとは磁気回路を形成するのとともにボイスコイルモータ6を構成している。このボイスコイルモータ6も制御回路に接続されており、それにより、磁気ヘッドアセンブリ5の先端のヘッドスライダ7を、磁気ディスク2の所望のトラック上へと位置させることを可能としている。
【0024】
磁気ヘッドアセンブリ5は、例えば、駆動コイルを保持するボビン部などを備えたアクチュエータアーム8を有している。このアクチュエータアーム8にはサスペンション9の一端が取り付けられており、サスペンション9の他端にはヘッドスライダ7が取り付けられている。このヘッドスライダ7には、後述する記録再生ヘッドが組み込まれている。
【0025】
サスペンション9上には信号の書き込み及び読み取り用などのリード線(図示せず)が形成されており、これらリード線はヘッドスライダ7に組み込まれた記録再生ヘッドの電極にそれぞれ電気的に接続されている。なお、この磁気記録再生装置1において、情報の記録及び再生は、磁気ディスク2を回転させて、ヘッドスライダ7を磁気ディスク2から浮上させた状態で行う。また、図1に示す磁気記録再生装置1において、制御回路などは制御部を構成しており、スピンドル3に接続されたモータ及びボイスコイルモータ6などは駆動機構を構成している。
【0026】
本発明の実施形態と参考例とでは、主としてヘッドスライダ7の構造が異なっている。以下、実施形態と参考例との相違点について主に説明する。
【0027】
図2は、本発明の参考例に係る磁気記録再生装置1で使用するヘッドスライダ7を概略的に示す平面図である。図2に示すヘッドスライダ7は支持体11を有しており、支持体11の一端部はスライダ部12を構成している。支持体11の他端部の一主面には、微細な孔などの近接場光出射部13と磁場発生部14と磁気センサの磁気検出部15とが一直線上に配列するように設けられ、さらに、その直線に対して対称な位置に及び近接場光出射部13を挟むように1対の光センサの受光部16a,16bが設けられている。このように構成されるヘッドスライダ7は磁気ディスク2に対して、例えば、図3及び図4に示すように配置される。
【0028】
図3は、本発明の参考例に係る磁気記録再生装置1を概略的に示す断面図である。なお、図3では、ヘッドスライダ7と磁気ディスク2との相対位置の理解を容易にするためにその理解に不要な構成部材は省略されており、ヘッドスライダ7の断面構造を説明するためにヘッドスライダ7の向きを90°回転させて描いている。また、図3において、参照番号17は面発光レーザのような光源を示しており、この光源17からの光は近接場光出射部13を通過することにより近接場光として磁気ディスク2に向けて出射される。本参考例では、この近接場光は、熱アシスト磁気記録を行う際に後述する帯状磁気記録部を加熱するのに利用されるのに加え、記録時や再生時に行うトラッキング制御に利用される。
【0029】
図3に示すように、ヘッドスライダ7は、その近接場光出射部13などが設けられた面が磁気ディスク2と対向するように配置される。ヘッドスライダ7をこのように配置すると、モータ10を駆動してスピンドル3に支持された磁気ディスク2を回転させることにより生ずる気流によってヘッドスライダ7を磁気ディスク2から浮上させることができる。
【0030】
図4は、本発明の参考例に係る磁気記録再生装置1を概略的に示す平面図である。なお、図4では、ヘッドスライダ7と磁気ディスク2との相対位置の理解を容易にするためにその理解に不要な構成部材は省略されており、ヘッドスライダ7は透視図として描かれている。
【0031】
図4に示すように、磁気ディスク2は、基板21の一主面上で複数の帯状磁気記録部22と複数の帯状非磁性部23とを交互に配列した構造を有している。このような磁気ディスク2は、ディスクリート磁気記録媒体と呼ばれる。
【0032】
帯状磁気記録部22のそれぞれは磁気記録膜で構成されており、隣り合う帯状磁気記録部22間の距離は一定である。この磁気記録膜は、通常の磁気記録膜で使用されるのと同様の磁気記録材料で構成され得る。
【0033】
帯状磁気記録部22は、基板21の主面に垂直な方向から見た場合に、渦巻線状或いは同心円状の形状を有している。なお、帯状磁気記録部22が同心円状の形状を有している場合、それら帯状磁気記録部22は相互に離間された複数個の円を形成する。一方、帯状磁気記録部22が渦巻線状の形状を有している場合、それら帯状磁気記録部22は相互に接続されて1本の帯を形成する。
【0034】
帯状非磁性部23は、帯状磁気記録部22間に介在するように設けられている。したがって、帯状磁気記録部22が基板21の主面に垂直な方向から見て同心円状の形状を有している場合、帯状非磁性部23は相互に離間された複数個の円を形成する。また、帯状磁気記録部22が渦巻線状の形状を有している場合、帯状非磁性部23は相互に接続されて1本の帯を形成する。
【0035】
帯状非磁性部23は、帯状磁気記録部22の図中縦方向に隣り合うもの同士を磁気的に分離する役割を担っている。また、帯状非磁性部23は、それを構成する材料を適宜選択することにより、クロスイレースを防止し且つ熱設計を容易とし得る。
【0036】
帯状非磁性部23は、通常、非磁性薄膜で構成されるか或いは溝である。帯状非磁性部23が非磁性薄膜で構成される場合、その材料は非磁性材料であれば特に制限はなく、例えば、金などの非磁性金属やSiO2及びAl23などの誘電体を使用することができる。また、帯状非磁性部23が溝である場合、その溝の内側に磁気記録膜は存在していなくてもよく、その溝が完全に埋め込まれなければ溝の底面及び側壁は磁気記録膜で覆われていてもよい。
【0037】
以上のように構成される磁気記録再生装置1で情報の書き込み及び書き込んだ情報の読み出しを行う場合、近接場光出射部13と磁場発生部14と磁気検出部15とがいずれかの帯状磁気記録部22(或いは、トラック)上に位置するようにヘッドスライダ7を両矢印26に示す方向に位置合わせしつつ、磁気ディスク2を回転させることにより、帯状磁気記録部22及び帯状非磁性部23を矢印25で示す方向に移動させる。本参考例では、そのような位置合わせ,すなわちトラッキング,に、1対の光センサ16a,16bを利用する。
【0038】
すなわち、近接場光出射部13から磁気ディスク2に照射した近接場光の反射光を受光部16a,16bで受光して、それら受光部16a,16bを有する1対の光センサで検出する。通常、帯状磁気記録部22と帯状非磁性部23とでは反射率が異なっているので、近接場光出射部13の中心位置とそれに対向する帯状磁気記録部22の中心位置とがずれている場合、それら光センサからの信号が同一となることはない。換言すれば、それら中心位置が一致している場合にのみ、受光部16aを有する光センサからの信号と受光部16bを有する光センサからの信号とは同一となる。したがって、それら光センサからの信号が同一となるようにヘッドスライダ7を両矢印26で示す方向に適宜移動させることにより、トラッキング制御が可能となる。
【0039】
ところで、一般に、磁気ディスク2と記録再生ヘッド7との間の距離は10〜30nm程度である。これは、熱アシスト磁気記録に利用する光の波長と比較しても遥かに短い。そのため、記録再生ヘッド7の近接場光出射部13から或る帯状磁気記録部22に照射された近接場光は、その帯状磁気記録部22で反射されても伝搬光とはならずに近接場光として磁気ディスク2と記録再生ヘッド7との間を満たすこととなる。特に、支持体11の磁気ディスク2との対向面や帯状非磁性部23が金属材料で構成される場合には、表面プラズモンのため反射光は近接場光としてヘッド7の端部にまで及ぶようになる。このように、ヘッド7の端部にまで到達した反射光も上記のトラッキング制御に利用可能である。
【0040】
本参考例に係る磁気記録再生装置1では、トラッキング制御が為されている状態において、1対の光センサの受光部16a,16bは、近接場光出射部13が対向する帯状磁気記録部22の両側に位置する帯状磁気記録部22にそれぞれ対向している。そのため、近接場光出射部13が対向する帯状磁気記録部22の両境界部に受光部16a,16bを対向させる場合とは異なり、受光部16a,16bのサイズや配置の自由度が大きい。そのため、図4に示すように、トラッキング制御が為されている状態において、1対の光センサの受光部16a,16bをそれぞれ複数の帯状磁気記録部22と対向させることができる。
【0041】
この場合、それら光センサのそれぞれの受光部16a,16bのサイズは少なくとも帯状磁気記録部22の幅と帯状非磁性部23の幅との和よりも大きい。換言すれば、図4に示す磁気記録再生装置1において、光センサのそれぞれの受光部16a,16bは、上記の反射光を効率よく集光可能とするのに十分なサイズを有している。そのため、本参考例に係る磁気記録再生装置1によると、トラック間のピッチを狭めた場合においても記録再生ヘッド7の磁気ディスク2に対する両矢印26に示す方向の相対位置のずれを速やかに正すことができる。すなわち、本参考例に係る磁気記録再生装置1では、トラック間のピッチを狭めた場合においてもトラッキングを高精度に行うことができ、したがって、高いCNR(Carrier to Noise Ratio)を実現することが可能である。
【0042】
また、従来技術では、上記のように、記録再生ヘッドに、近接場光出射部と対向する帯状磁気記録部とその両側に隣接する2つの帯状非磁性部との境界部にそれぞれ対向するように2つの光センサを設ける必要があった。すなわち、従来技術では、2つの光センサのそれぞれの受光部を極めて小さなサイズに形成し且つそれら受光部の距離を極めて短くする必要があった。そのため、従来技術では、記録再生ヘッドの製造自体が困難であった。
【0043】
それに対し、本参考例に係る磁気記録再生装置1において、光センサの受光部16a,16bのサイズを大きくすることができ、しかも、それら受光部16a,16b同士を従来技術ほど近づける必要はない。そのため、本参考例に係る記録再生ヘッド7は容易に製造することができる。
【0044】
本参考例において、帯状非磁性部23が溝である場合、帯状磁気記録部22の光反射率と帯状非磁性部23の光反射率との差が十分に大きくなるように溝の深さを設定することが好ましい。また、本参考例において、帯状非磁性部23が非磁性薄膜で構成される場合、帯状磁気記録部22の光反射率と帯状非磁性部23の光反射率との差が十分に大きくなるように帯状磁気記録部22の材料及び帯状非磁性部23の材料を選択することが好ましい。それらの光反射率の差が大きいほど、トラッキング制御をより容易に実施可能とすることやトラッキング精度を向上させることができる。なお、通常、帯状磁気記録部22の材料は反射率の低いものに制限される傾向にある。帯状非磁性部23には反射率の高いものから低いものまで様々な材料を使用可能であるので、帯状非磁性部23の材料として反射率の高い材料を選択すれば、上記の反射率差を容易に実現することができる。
【0045】
以上説明した参考例では、図4に示すように、光センサの受光部16a,16bを、近接場光出射部13と対向する帯状磁気記録部22に隣り合う2つの帯状磁気記録部22と対向するように支持体11に設けたが、光センサの受光部16a,16bの配置はこれに限られるものではない。例えば、近接場光出射部13に対向する帯状磁気記録部22と受光部16aに対向する複数の帯状磁気記録部22との間、及び、近接場光出射部13に対向する帯状磁気記録部22と受光部16bに対向する複数の帯状磁気記録部22との間に、それぞれ1つ以上の帯状磁気記録部22が介在していてもよい。この場合、受光部16a,16bでの集光効率は僅かに低下するが、それら光センサの受光部16a,16bと熱源である近接場光出射部13との距離を広げることができるため、熱揺らぎの影響が低減される。したがって、トラッキング精度をさらに向上させること、すなわち、より高いCNRを実現することが可能となる。
【0046】
また、図4では、簡略化のため、光センサのそれぞれの受光部16a,16bは2つの帯状磁気記録部22と対向可能なサイズで描かれているが、それら受光部16a,16bはより多くの帯状磁気記録部22と対向可能なサイズを有していることが望ましい。一般に、光センサのそれぞれの受光部16a,16bは、2〜1000個の帯状磁気記録部22と対向可能なサイズを有していることが好ましく、10〜200個の帯状磁気記録部22と対向可能なサイズを有していることがより好ましい。
【0047】
次に、本発明の実施形態について説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係る磁気記録再生装置1で使用するヘッドスライダ7を概略的に示す平面図である。図5に示すヘッドスライダ7は支持体11を有しており、支持体11の一端部はスライダ部12を構成している。支持体11の他端部の一主面には、電子線出射部18と磁場発生部14と磁気センサの磁気検出部15とが一直線上に配列するように設けられている。このように構成されるヘッドスライダ7は磁気ディスク2に対して、例えば、図6及び図7に示すように配置される。
【0048】
図6は、本発明の一実施形態に係る磁気記録再生装置1を概略的に示す断面図である。また、図7は、本発明の一実施形態に係る磁気記録再生装置1を概略的に示す平面図である。なお、図6及び図7では、ヘッドスライダ7と磁気ディスク2との相対位置の理解を容易にするためにその理解に不要な構成部材は省略されており、図6では、ヘッドスライダ7はその断面構造を説明するために向きを90°回転させて描かれており、図7では、ヘッドスライダ7は透視図として描かれている。また、図6において、参照番号19は電子線出射部18から磁気ディスク2に照射される電子線の量を測定する電流計を示している。本実施形態では、この電子線は、熱アシスト磁気記録を行う際に帯状磁気記録部22を加熱するのに利用されるのに加え、記録時や再生時に行うトラッキング制御に利用される。
【0049】
以上のように構成される磁気記録再生装置1では、トラッキング制御を行うために電流計19を利用する。すなわち、本実施形態では、電子線出射部18から磁気ディスク2に照射された電子線の量を電流計19で検出する。通常、帯状磁気記録部22と帯状非磁性部23とでは電気抵抗が異なっているので、電流計19からの信号は、電子線出射部18の中心位置とそれに対向する帯状磁気記録部22の中心位置とのずれの程度に応じて変化する。したがって、電流計19からの信号の変化に基づいてヘッドスライダ7を両矢印26で示す方向に適宜移動させることにより、トラッキングを高精度に行うこと,すなわち、高いCNRを実現すること,ができる。
【0050】
また、本実施形態に係る磁気記録再生装置1においては、電子線出射部18からの電子線を熱アシスト磁気記録及びトラッキング制御の双方に利用している。そのため、本実施形態に係る記録再生ヘッド7は、構造が簡略化されており、したがって、容易に製造することができる。
【0051】
本実施形態において、帯状非磁性部23の電気抵抗は帯状磁気記録部22の電気抵抗よりも大きいことが好ましい。この場合、トラッキングをより高精度に行うこと,すなわち、より高いCNRを実現すること,ができる。
【0052】
以上説明した実施形態及び参考例に係る磁気記録再生装置1において、磁気検出部15を有する磁気センサは、プレーナ型のGMR素子であることが好ましい。プレーナ型GMR素子を上記磁気センサとして利用する場合、ウエハのプレーナ型GMR素子を形成した面を磁気ディスク2に対向させることとなる。そのため、記録再生ヘッド7に近接場光出射部13や受光部16a,16bを有する光センサなどを設ける場合には、磁気センサを形成したウエハにそれらも形成することができ、また、ヘッド実装が容易になる。
【0053】
上述した実施形態及び参考例で使用する磁気ディスク2は、例えば、以下の方法で製造することができる。
まず、光ディスクの製造で利用されているように、金型を用いたポリマーの射出成形などにより表面にランド・グルーブのような凹凸構造を有する基板21を形成する。或いは、平坦な表面を有する基板21を用いる場合は、その平坦面上にレジスト膜のような樹脂薄膜を成膜し、この薄膜に金型を押し付けて凹凸構造を転写することにより基板21の表面にランド・グルーブのような凹凸構造を形成する。次いで、基板21の凹凸構造が設けられた面に、スパッタリング法のような通常の気相堆積法などを用いて磁気記録膜を成膜する。このような方法によると、磁気記録膜は基板表面の凸部上だけでなく凹部の底面及び側壁をも覆うように形成される。しかしながら、通常、基板表面の凹凸構造は磁気記録膜にも転写されるため、このような方法により、基板21上に帯状磁気記録部22と帯状非磁性部23とが設けられた磁気ディスク2を得ることができる。
【0054】
また、上記磁気ディスク2は、他の方法で製造することもできる。すなわち、まず、平坦な表面を有する基板21を準備する。次に、基板21の平坦面全体に磁気記録膜を成膜する。次いで、磁気記録膜上にレジスト膜などを成膜し、このレジスト膜に金型を押し当てて凹凸構造を転写する。すなわち、レジストパターンを形成する。その後、このレジストパターンをマスクとして用いて磁気記録膜をエッチングすることにより、基板21上に帯状磁気記録部22と帯状非磁性部23とが設けられた磁気ディスク2を得ることができる。
【0055】
上述した磁気ディスク2の製造方法は、いずれも大量生産に適しており、しかも、帯状磁気記録部22の幅を狭くすることができる。また、上記磁気ディスク2は、これら以外の方法で製造することも可能である。例えば、光リソグラフィや電子線リソグラフィなどを用いた方法や、操作型トンネル顕微鏡や近接場光顕微鏡などの走査型プローブを用いた方法を利用することもできる。光リソグラフィを用いた方法によると、帯状磁気記録部22の幅を狭めることは比較的困難であるが、高い生産性を実現することができる。また、電子線リソグラフィや走査型プローブを用いた方法によると、高い生産性を実現することは困難であるが、帯状磁気記録部22の幅を狭めることができる。なお、これら技術は、上記金型,すなわち原盤,の製造にも利用可能である。
【0056】
以上説明した実施形態及び参考例では、トラッキング制御を行うに当たり、記録再生ヘッド7を両矢印26の方向に移動させたが、記録再生ヘッド7の移動方向は両矢印26で示す方向に限られるものではない。すなわち、記録再生ヘッド7の移動方向は、矢印25と交差する方向であれば特に制限はない。
【0057】
また、上記実施形態及び参考例では、記録や再生の際に、帯状磁気記録部22を矢印25に示す方向に移動させたが、記録再生ヘッド7に対して帯状磁気記録部22を矢印25に示す方向に相対移動させることができれば、帯状磁気記録部22のみを移動させてもよく、記録再生ヘッド7のみを移動させてもよく、或いは、帯状磁気記録部22及び記録再生ヘッド7の双方を移動させてもよい。同様に、上記実施形態及び参考例では、トラッキング制御を行う際に、記録再生ヘッド7を両矢印26の方向に移動させたが、帯状磁気記録部22に対して記録再生ヘッド7を両矢印26に示す方向に相対移動させることができれば、記録再生ヘッド7のみを移動させてもよく、帯状磁気記録部22のみを移動させてもよく、或いは、帯状磁気記録部22及び記録再生ヘッド7の双方を移動させてもよい。
【0058】
さらに、上記実施形態及び参考例では、磁気記録媒体2を磁気ディスクとし、帯状磁気記録部22及び帯状非磁性部23を渦巻線状或いは同心円状とした場合について説明したが、磁気記録媒体2は他の形態であっても良い。例えば、磁気記録媒体2はカードであっても良い。この場合、帯状磁気記録部22及び帯状非磁性部23は直線状とすることが好ましい。
【実施例】
【0059】
以下、本発明の実施例について説明する。
(参考例)
本例では、以下に詳述するように図3及び図4に示す磁気記録再生装置1を作製し、そのトラッキング精度を調べた。
【0060】
すなわち、本例では、波長650nmの面発光レーザ17を使用し、近接場光出射部13のサイズを縦70nm×幅100nm、単磁極書き込み部14のサイズを縦80nm×幅20nmとした。また、プレーナ型GMR素子の読み出し部15のサイズは縦80nm×幅20nmとし、C−MOS光センサの受光部16a,16bのサイズはそれぞれ直径10μmとした。近接場光出射部13と書き込み部14との間の距離は100nmとし、書き込み部14と読み出し部15との間の距離は200nmとした。また、近接場光出射部13と受光部16a,16bのそれぞれとの間の距離は400nmとした。なお、ここで「縦」は帯状磁気記録部22の長手方向に沿った方向を意味し、「横」はそれに垂直な方向を意味している。本例では、以上のように構成されるヘッドスライダ7を、圧電素子を有する2段アクチュエータで支持した。
【0061】
また、本例では、以下の方法で作製した磁気ディスク2を使用した。すなわち、まず、直径2.5インチ(=6.35cm)のガラス基板上に、厚さ30nmのPd下地層(図示せず)、厚さ50nmのTbFeCo膜、及び厚さ50nmのSiO2膜を順次成膜した。なお、TbFeCoは熱アシスト記録用の垂直磁気記録材料である。
【0062】
次に、SiO2膜上にレジストをスピンコートしてレジスト膜を形成した。次いで、金型をレジスト膜に押し当てて、そのレジスト膜に凹凸パターンを転写した。すなわち、レジストパターンを形成した。なお、ここで使用した金型は、電子線リソグラフィ技術及びメッキ法を用いて作製したNi金型であり、そのレジスト膜との接触面には、幅40nm、高さ50nm、間隔70nmの渦巻線状の凸部が設けられている。
【0063】
次いで、そのレジストパターンをエッチングマスクとして用いた反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO2膜の露出部を除去して、底面がTbFeCo膜で構成された渦巻線状の凹部を形成した。さらに、SiO2膜をマスクとして用いてArイオンミリングを行うことにより、TbFeCo膜の露出部及びSiO2膜を除去した。以上のようにして、渦巻線状のTbFeCo膜で構成された帯状磁気記録部22を得た。
【0064】
その後、基板21の帯状磁気記録部22を形成した面全体に厚さ50nmのAl膜を成膜して、帯状磁気記録部22によって形成された渦巻線状の凹部をAlで埋め込んだ。次に、このAl膜を、帯状磁気記録部22の上面が露出するまで化学的機械研磨法(CMP法)によって研磨した。これにより、渦巻線状のAl膜で構成された帯状非磁性部23を得た。さらに、帯状磁気記録部22及び帯状非磁性部23上にダイアモンドライクカーボン保護膜を成膜した。以上のようにして、磁気ディスク2を得た。
【0065】
このようにして得られた磁気ディスク2を磁気力顕微鏡で観察した。その結果、幅70nmの帯状磁気記録部22の幅方向に隣り合う部分が幅40nmの帯状非磁性部23で分離された構造を確認することができた。
【0066】
以上のように構成される磁気記録再生装置1について、面発光レーザ17の照射パワーを1mWとして読み出し時におけるトラッキング精度を調べた。その結果、400Mbpsの読み出し速度でも十分に高精度にトラッキングを行うことができた。また、上記磁気記録再生装置1について、面発光レーザ17の照射パワーを5mWとして書き込み時におけるトラッキング精度を調べた。その結果、100Mbpsの書き込み速度でも十分に高精度にトラッキングを行うことができた。また、クロスイレースの頻度も0.001%以下と十分に抑制されていた。
【0067】
(比較例)
以下に説明する方法で作製した磁気ディスクを使用したこと以外は参考例で説明したのとほぼ同様の構成の磁気記録再生装置を作製した。すなわち、本比較例では、直径2.5インチ(=6.35cm)のガラス基板上に厚さ30nmのPd下地層及び厚さ50nmのTbFeCo膜を順次成膜してなる磁気ディスクを使用した。なお、このようにして得られた磁気ディスクはディスクリート媒体ではないので、参考例で利用したのと同様の方法でトラッキングを行うことは不可能である。そこで、本比較例では、サーボライタを用いて磁気記録膜にサーボ信号を記録し、GMR読み出しヘッドを用いてトラッキングを行った。
【0068】
しかしながら、本比較例に係る磁気記録再生装置では、読み出し速度は150Mbpsが限度であった。また、書き込み速度を100Mbpsとした場合、クロスイレースが0.3%の頻度で観測された。
【0069】
(実施例)
本実施例では、以下に詳述するように図6及び図7に示す磁気記録再生装置1を作製し、そのトラッキング精度を調べた。
【0070】
すなわち、本実施例では、電子線出射部18のサイズを直径50nm、単磁極書き込み部14のサイズを縦80nm×幅20nmとした。また、プレーナ型GMR素子の読み出し部15のサイズは縦80nm×幅20nmとした。電子線出射部18と書き込み部14との間の距離は80nmとし、書き込み部14と読み出し部15との間の距離は200nmとした。なお、ここで「縦」は帯状磁気記録部22の長手方向に沿った方向を意味し、「横」はそれに垂直な方向を意味している。本実施例では、以上のように構成されるヘッドスライダ7を、圧電素子を有する2段アクチュエータで支持した。
【0071】
また、本実施例では、以下の方法で作製した磁気ディスク2を使用した。すなわち、まず、直径2.5インチ(=6.35cm)のガラス基板上に、厚さ30nmのPd下地層(図示せず)、厚さ50nmのTbFeCo膜、及び厚さ50nmのSiO2膜を順次成膜した。なお、TbFeCoは熱アシスト記録用の垂直磁気記録材料である。
【0072】
次に、TbFeCo膜上にレジストをスピンコートしてレジスト膜を形成した。次いで、金型をレジスト膜に押し当てて、そのレジスト膜に凹凸パターンを転写した。すなわち、レジストパターンを形成した。なお、ここで使用した金型は、電子線リソグラフィ技術及びメッキ法を用いて作製したNi金型であり、そのレジスト膜との接触面には、幅40nm、高さ50nm、間隔70nmの渦巻線状の凸部が設けられている。
【0073】
次いで、そのレジストパターンをエッチングマスクとして用いた反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO2膜の露出部を除去して、底面がTbFeCo膜で構成された渦巻線状の凹部を形成した。さらに、SiO2膜をマスクとして用いてArイオンミリングを行うことにより、TbFeCo膜の露出部及びSiO2膜を除去した。以上のようにして、渦巻線状のTbFeCo膜で構成された導電性の帯状磁気記録部22を得た。
【0074】
その後、基板21の帯状磁気記録部22を形成した面全体に厚さ50nmの電気絶縁性SiO2膜を成膜して、帯状磁気記録部22によって形成された渦巻線状の凹部をSiO2で埋め込んだ。次に、このSiO2膜を、帯状磁気記録部22の上面が露出するまで化学的機械研磨法(CMP法)によって研磨した。これにより、渦巻線状のSiO2膜で構成された電気的に絶縁性の帯状非磁性部23を得た。さらに、帯状磁気記録部22及び帯状非磁性部23上にダイアモンドライクカーボン保護膜を成膜した。以上のようにして、磁気ディスク2を得た。
【0075】
このようにして得られた磁気ディスク2を磁気力顕微鏡で観察した。その結果、幅70nmの帯状磁気記録部22の幅方向に隣り合う部分が幅40nmの帯状非磁性部23で分離された構造を確認することができた。
【0076】
以上のように構成される磁気記録再生装置1について、読み出し時におけるトラッキング精度を調べた。なお、読み出し時におけるトラッキングは、電流計19で検出される電流量が1μAでほぼ一定となるように記録再生ヘッド7の位置を制御することにより行った。その結果、500Mbpsの読み出し速度でも十分に高精度にトラッキングを行うことができた。
【0077】
また、上記磁気記録再生装置1について、書き込み時におけるトラッキング精度を調べた。なお、書き込み時には、電子線の照射量を高め、電流計19で検出される電流量が30μAでほぼ一定となるように記録再生ヘッド7の位置を制御することによりトラッキングを行った。その結果、200Mbpsの書き込み速度でも十分に高精度にトラッキングを行うことができた。また、クロスイレースの頻度も0.001%以下と十分に抑制されていた。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態及び参考例に係る磁気記録再生装置を概略的に示す斜視図。
【図2】本発明の参考例に係る磁気記録再生装置で使用するヘッドスライダを概略的に示す平面図。
【図3】本発明の参考例に係る磁気記録再生装置を概略的に示す断面図。
【図4】本発明の参考例に係る磁気記録再生装置を概略的に示す平面図。
【図5】本発明の一実施形態に係る磁気記録再生装置で使用するヘッドスライダを概略的に示す平面図。
【図6】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造装置を概略的に示す図。
【図7】本発明の一実施形態に係る磁気記録再生装置を概略的に示す平面図。
【符号の説明】
【0079】
1…磁気記録再生装置、2…磁気ディスク、3…スピンドル、4…固定軸、5…磁気ヘッドアセンブリ、6…ボイスコイルモータ、7…ヘッドスライダ、8…アクチュエータアーム、9…サスペンション、10…モータ、11…支持体、12…スライダ部、13…近接場光出射部、14…磁場発生部、15…磁気検出部、16a…受光部、16b…受光部、17…光源、18…電子線出射部、19…電流計、21…基板、22…帯状磁気記録部、23…帯状非磁性部、25…矢印、26…両矢印。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の一主面に設けられ互いに平行に配列した複数の帯状磁気記録部と、それぞれ前記複数の帯状磁気記録部間に介在する複数の帯状非磁性部とを備えた磁気記録媒体、
前記複数の帯状磁気記録部の1つに対向しその帯状磁気記録部に向けて電子線を出射する電子線出射部と、前記電子線出射部が対向する帯状磁気記録部に対向した磁場発生部と、前記電子線出射部が対向する帯状磁気記録部に対向した磁気検出部とを備えた記録再生ヘッド、
前記電子線出射部に接続され前記電子線出射部から前記電子線出射部が対向する帯状磁気記録部に向けて流れた電流量を検出する電流計、及び
前記電子線出射部が対向した帯状磁気記録部に沿って前記磁気記録媒体と前記記録再生ヘッドとを相対移動させる駆動機構を具備することを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項2】
前記電流計と前記駆動機構とに接続された制御部をさらに具備し、この制御部は前記磁気記録媒体に対する前記記録再生ヘッドの相対位置を前記複数の帯状磁気記録部の配列方向に変化させるように前記駆動機構の動作を制御し、この制御は前記電流計からの信号に基づいて行われることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録再生装置。
【請求項3】
前記制御部は前記電流計からの信号の大きさの変動が抑制されるように前記駆動機構の動作を制御することを特徴とする請求項2に記載の磁気記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−209960(P2006−209960A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68092(P2006−68092)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【分割の表示】特願2001−87471(P2001−87471)の分割
【原出願日】平成13年3月26日(2001.3.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】