説明

神経組織に流動を供給するためのシステム

提供されるのは減圧を供給するための神経導管と入れ子構造のマニホルドとを含む装置である。更に提供されるのは、減圧供給源、神経導管、及び入れ子構造のマニホルド、ならびにマニホルドと減圧供給源との間に流体連結を提供するための導管を具えるシステムである。更に提供されるのは、損傷した神経組織部位で上述の神経導管及びマニホルドを移植するステップと、減圧をマニホルドに印加するステップとを具え、これによって神経組織の修復又は再増殖を刺激する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年12月31日付けの米国仮特許出願第61/142,053号及び米国仮特許出願第61/142,065号に対する優先権を各々について主張する。本出願は更に2009年8月18日付けの米国仮特許出願第61/234,692号、及び2009年9月1日付けの米国仮特許出願第61/238,770号に対する優先権を主張する。前述の出願の各々は全体が引用によって本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本出願は一般的には組織工学に関し、特に損傷した神経組織の治療に用いるのに好適な装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
臨床研究及び診療によって、組織部位の近くに減圧を供給することで、組織部位で新しい組織の増殖が増大及び促進することを示してきた。この事象の用途は多数あり、減圧の印加は特に創傷の治療において成功してきた。この治療(一般に医療業界で「陰圧創傷治療」、「減圧治療」、又は「真空治療」と称される)は、迅速な治癒及び肉芽組織の形成の増加を含む多くの利益を提供する。一般的に、減圧は多孔性パッド又は他のマニホルドデバイスを通して組織に印加されてきた。多孔性パッドは組織に減圧を分配し、組織から引き出された流体を通すことが可能な孔を含む。この多孔性パッドは多くの場合、治療を促進する他の要素を有するドレッシング剤内に組み込まれる。骨格部は更に欠損部に配置して、欠損部への組織の増殖を支持できる。骨格部は通常生体吸収性であり、新しい組織をその場所に維持する。
【発明の概要】
【0004】
減圧治療用の骨格部は、例えば、国際公開第08/091521号、国際公開第07/092397号、国際公開第07/196590号、国際公開第07/106594号に記載されている。現行の減圧治療用の骨格部の妥当性は現行の創傷治療の知識に照らして評価できる。身体組織の損傷によって、止血(数秒ないし数時間)、炎症(数時間ないし数日)、修復(数日ないし数週間)、及び再構築(数週間ないし数か月)を含む連続した治療段階で創傷治療反応が生じる。高レベルの相同性は創傷治療プロセスの初期段階においてほとんどの組織型に存在する。しかしながら、様々な組織の治療段階は時間の経過とともに分化を開始し、異種の成長因子、サイトカイン、及び細胞が関与する。創傷治療反応の後期段階は前期段階に従属し、反応の各要素の時間的パターンと相互関係において複雑度が増している。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
損傷した組織の機能の正常な修復、再生、及び回復を促進するためのストラテジーは、この治療反応、特に後者の態様内の特定のステップを支持及び促進する方法に注目されてきた。この目的のために、成長因子、サイトカイン、細胞外基質(ECM)類似体、外来性細胞、及び様々な骨格部の技術は単独で、又は相互に組合わせて適用されてきた。ある水準の成功はこのアプローチを用いて実現されてきたが、いくつかの主要な難題が残ったままである。1の主要な難題は、創傷治療反応での各々のサイトカイン及び成長因子の時期的及び協調的な影響によって、適切な時間及び正しい協調パターンで個々の外来性要因を添加する能力が複雑になることである。外因性細胞の誘導によって更に、潜在的な免疫原性による更なる複雑性ならびに細胞の生存率を維持する困難性に直面する。
【0006】
合成的及び生物学的な骨格部は、内因性細胞の付着、移動、及びコロニー形成を増大する3次元構造を提供するのに用いられる。今日では、ほぼすべての骨格部は、生物学と協働するようになされた概念で設計されている。しかしながら、従来の骨格部の技術は内因性タンパク質、サイトカイン、成長因子、及び細胞が多孔性骨格部の間質内に受動的に流入することに依存している。このように、内在性細胞の骨格部へのコロニー形成は、血管要素から距離が離れることによって制限され、組織の種類にかかわらず骨格部の拡散制限内で栄養的支持を提供する。更に骨格部は、長い修復プロセスや移植部の線維性被膜の形成を引き起こす免疫原生反応又は異物反応を引き出しうる。総じて、これらの複雑性によって、損傷部位での機能的な組織の再生の更なる低下が全面的に生じうる。
【0007】
したがって、特異化した組織の修復や再構築のための更なるシステムを提供することは有効である。本発明はこのようなシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書中に記載の例示的な実施形態の装置、システム、及び方法はマニホルド及び神経導管の移植を通して、神経組織の修復及び再生の能動的な誘導を提供する。一実施形態においては、減圧治療を提供し、かつ患者における神経組織の増殖を促進するための、損傷した神経部位での移植に適用可能な神経導管及び入れ子構造のマニホルドを具える装置が提供され、マニホルドは損傷した神経組織部位で減圧を提供及び分配する。本発明によるマニホルドは更に、減圧を更に分配し、組織の増殖のための構造上の基質を提供する骨格材料に連結できる。
【0009】
別の実施形態においては、減圧治療を提供し、かつ患者における神経組織の増殖を促進するための、減圧を供給するための減圧供給源と、組織部位での移植に適用可能な神経導管と入れ子になるマニホルドとを具えるシステムが提供され、マニホルドは減圧供給源と流体連結される。このようなシステムは更に、減圧を更に分配し、組織の増殖のための構造上の基質を提供するマニホルドに連結された骨格材料を具えることができる。更なる実施形態においては、このようなシステムは更に流体捕捉用のキャニスター及び/又は減圧制御用のバルブを具えてもよく、マニホルド及び減圧供給源と流体連結され、かつその間に配置される。更なる実施形態においては、本発明によるシステムは更に、マニホルド及び損傷した神経組織と流体連結する流体供給源を具える。
【0010】
更なる実施形態においては、減圧治療を提供し、かつ患者における神経組織損傷部位での神経組織の増殖を促進するための、組織部位で神経導管及び入れ子構造のマニホルドを移植するステップを具える方法が提供され、マニホルドは損傷した神経組織部位で減圧を提供する。マニホルドは更に骨格材料に連結でき、骨格材料は神経組織の増殖のための構造上の基質を提供する。特定の実施形態においては、本方法は更に流体供給源に流体連結したマニホルドを提供するステップを具え、流体供給源は流体をマニホルド及び損傷した神経組織に送達するのに用いることができる。更なる実施形態においては、流体供給源は1以上の生理活性化合物を含む流体を具えてもよく、限定しないが抗生物質、抗ウイルス剤、サイトカイン、ケモカイン、抗体及び増殖因子を含む。
【0011】
例示した実施形態の他の目的、特徴、及び利点は以下の図面及び詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、神経導管と第1の実施形態のマニホルドと神経誘導部を有する骨格部とを具える、切断した神経を修復するための減圧システムの概略投影図であり、神経導管の一部がマニホルド及び骨格部を示すように除去されている。
【図2】図2は、神経導管と第2の実施形態のマニホルドと神経誘導部を有する骨格部とを具える、切断した神経を修復するための減圧システムの概略投影図であり、神経導管の一部がマニホルド及び骨格部を示すように除去されている。
【図3】図3は、図1及び2で示した減圧システムの骨格部及び神経誘導部の概略投影図である。
【図4】図4は、図3で示した神経誘導部の3の実施形態の概略側面図である。
【図5】図5は、図3で示した第4の実施形態の神経誘導部の概略投影図である。
【図6】図6は、図1及び2におけるシステムの概略投影図であり、損傷した神経を包囲する神経導管を示している。
【図7】図7は、図1及び2に示したシステムのための流体制御システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の例示的な実施形態の詳細な説明においては、本出願の一部を形成する添付の図面に対する引用がなされている。これらの実施形態は当該技術分野の当業者が本発明を実行可能な程度に詳細に記載されており、他の実施形態を利用してもよく、論理構成の変更、機械的変更、電気的変更、化学的変更は本発明の精神又は範囲を逸脱することなくなされうることは理解されよう。当該技術分野の当業者が本明細書中に記載の実施形態を実行可能とするのに必要のない細部を回避するため、この記載は当該技術分野の当業者に既知の特定の情報を省略する可能性がある。以下の詳細な説明は従って、限定的な意味で解釈すべきではなく、例示的な実施形態の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0014】
図1によると、例えば損傷した神経といった欠損部を修復するように患者の身体の組織部位に減圧を印加するための減圧治療システム100が開示される。損傷した神経は狭窄するか、部分的に切断するか、若しくは切断するか、あるいは疾患の結果として部分的に退化しうる。例えば、図1における損傷した神経は、患者の中枢神経系(CNS)に相対的な近位部分104と遠位部分106とを有する切断した神経102である。切断した神経102は切断又は退化した神経損傷部位108で損傷している。切断した神経102は神経損傷部位108で分岐していてもしていなくてもよい。用語「神経損傷部位(nerve damage site)」は本明細書中で用いられるように、任意の神経組織上又は内部に位置する創傷部又は欠損部のことであり、限定しないが切断又は部分的に切断した神経、退化又は部分的に退化した神経、及び圧迫又は狭窄した神経を含む。例えば、減圧式組織治療は現存の神経組織の修復又は再増殖を向上するか、あるいは移植した(grafted、transplanted)神経組織及び/又は細胞の増殖を促進するために用いてもよい。
【0015】
減圧治療システム100は、切断した神経102を神経損傷部位108で取り囲む神経導管110を具え、神経導管110の一部は神経損傷部位108を示すように除去されている。神経導管110は形状が略管状であり、神経損傷部位108と、損傷していない近位部分104及び遠位部分106の一部を閉塞する。神経導管110は神経損傷部位108の表面とともに神経の間隙部114、すなわち、神経導管110の内側面112と、神経損傷部位108の表面との間に内腔空間を形成する内側面112を有する。減圧治療システム100は更に、減圧を供給するための減圧供給源115と、第1の導管125を介して減圧供給源115に流体連結したマニホルド120とを具える。マニホルド120は形状が略管状又は略円柱状であり(例えば、同時係属中の米国特許出願第12/648,463号に開示された、引用によって本明細書中に組み込まれるマニホルド参照)、神経の間隙部114に配置されている。マニホルド120の多様な形状は神経の損傷の種類に依存し、この特定の実施形態においては、管形状が神経の間隙部114の一部を占有する。マニホルド120は更に、組織の増殖及び修復のための構造を提供する骨格材料134を含むことができる。減圧治療システム100は更に、導管125を介して減圧供給源115とマニホルド120との間で流体連結されるキャニスター130を具えて、骨格部134及び神経の間隙部114から引き出される血液又は滲出液といった体液を回収する。一実施形態においては、減圧供給源115及びキャニスター130は単一の筐体構造に統合される。
【0016】
減圧システム200の更なる実施形態は図2に示され、実質的に減圧システム100と同様である。減圧治療システム200は、切断した神経102を神経損傷部位108で取り囲む神経導管110を具え、神経導管110の一部は神経損傷部位108を示すために除去されている。神経導管110は形状が略管状であり、神経損傷部位108と、損傷していない近位部分104及び遠位部分106の一部を閉塞する。神経導管110は外側面113と、神経損傷部位108の表面とともに神経の間隙部114、すなわち、神経導管110の内側面112と、神経損傷部位108の表面との間に内腔空間を形成する内側面112とを有する。減圧システム200は更に、減圧を供給するための減圧供給源115と、第1の導管125を介して減圧供給源115に流体連結したマニホルド220とを具える。マニホルド220(例えば、同時係属中の米国特許出願第12/648,458号に開示された、引用によって本明細書中に組み込まれるマニホルド参照)は、マニホルドチャンバ221内に含まれ、フレンジ222はマニホルドチャンバ221を固定するようにマニホルドチャンバ221の一方の端部から神経導管110に延在する。マニホルドチャンバ221の他方の端部はマニホルド220が第1の導管125と流体連結を維持するように第1の導管125に連結される。マニホルドチャンバ221は、神経の間隙部114と第1の導管125との間のマニホルド220の流体連結を維持するように実質的に不透過性の任意の生体適合性材料で構成できる。マニホルドチャンバ221は、マニホルド220が神経損傷部位108の表面を取り囲む神経の間隙部114と流体連結するようにフレンジ222によって神経導管110に固定されるが、神経の間隙部114の外部に配置されている。特定の態様においては、フレンジ222は接着剤で神経導管110に固定する。更に一部の用途においては、減圧治療が完了した後にフレンジ222及びマニホルドチャンバ221を神経導管110から脱離できるように、フレンジ222は神経導管110に脱離可能に固定される。一実施形態においては、マニホルド220は神経導管110の壁部を通って延在して、神経の間隙部114と直接的に流体連結する。別の実施形態においては、神経導管110が多孔性である場合に、マニホルド220が外側面113に隣接位置されて、神経導管110の多孔壁を介して神経の間隙部114と流体連結するように、フレンジ222が神経導管110の外側面113に固定される。
【0017】
本明細書中で用いられるように、用語「連結した(coupled)」は別個の対象を介した直接的な連結又は間接的な連結を含む。用語「連結した(coupled)」は更に、構成の各々が同一の材料部分から形成されるために、相互に連続的である2以上の構成を包含する。更に、用語「連結した(coupled)」は化学的、機械的、熱的、又は電気的な連結を含んでもよい。流体連結は、流体が指定の部分又は位置で連通することを意味する。
【0018】
本明細書の文脈においては、用語「減圧(reduced pressure)」は一般的には、治療を受ける組織部位での雰囲気圧未満の圧力のことである。多くの場合においては、この減圧は患者が位置する場所の気圧未満である。用語「真空(vacuum)」及び「陰圧(negative pressure)」は組織部位に印加される圧力を記載するのに用いられうるが、組織部位に印加される実際の圧力は、通常の完全真空に伴う圧力より有意に大きくなりうる。この体系と一致して、減圧又は真空圧の増加は絶対圧の相対的な減少のことであり、減圧又は真空圧の低下は絶対圧の相対的な増加のことである。用語「−Δp」は減圧の変化を意味する。本明細書中で用いられるように、−Δpの増大(すなわち、負値が大きくなること)は陰圧(すなわち、雰囲気圧からの圧力の変化が大きくなること)を意味する。減圧治療は一般的に、減圧を−5mmHgないし−500mmHgで、より通常には−5mmHgないし−300mmHgで印加し、限定しないが、−50mmHg、−125mmHg、又は−175mmHgを含む。減圧は特定の圧力レベルで一定であっても、経時的に変化してもよい。例えば、減圧は周期的に印加及び停止してもよく、経時的に増減させてもよい。
【0019】
図1ないし3、ならびに説明の簡略のために集合的にマニホルド20とするマニホルド120及び220によると、システム100及び200は更に、神経の間隙部114に内部配置され、マニホルド20の片側又は両側でマニホルド20と流体連結する、例えば骨格誘導部135といった1以上の骨格誘導部を具備する骨格構造134を具える。骨格誘導部135は形状が略管状の切頭体であり、底面の開口部136は切頭体の底面端部にあり、頂面の開口部137は切頭体の他の端部にある。骨格誘導部135は神経の間隙部114に配置され、かつ、頂面の開口部137がマニホルド20の近位側にある場合に近位部分104に面し、あるいは頂面の開口部137がマニホルド20の遠位側にある場合に遠位部分106に面する底面の開口部136よりも、頂面の開口部137がマニホルド20の近くに配置されるように内部で定位される。特に、システム100、200の骨格構造134は骨格誘導部135、141、143、145、147、及び149(集合的に「骨格誘導部」)を具備する6の骨格誘導部(4つのみ図1及び2に示される)を具え、骨格誘導部135、141、及び143は、近位部分104に面するその底面の開口部よりもその頂面の開口部がマニホルド20に近くなるようにマニホルド20の近位側に配置される。しかしながら、本発明によるシステムは1、2、3、4、5、6、7、又は8以上の骨格誘導部を具えてもよい。同様に、骨格誘導部145、147、及び149は、遠位部分106に面するその底面の開口部よりもその頂面の開口部がマニホルド20に近くなるようにマニホルド20の遠位側に配置される。骨格誘導部は同心円リング部139a及びリブ部139bによって例示されるように、骨格構造の材料又は網様の材料139で形成してもよい。いずれかの実施形態においては、骨格誘導部はタンパク質吸収用及び線維形成のための開始位置用に神経の間隙部114内のノードとして機能する。骨格誘導部の構造は更に、底面の開口部136から頂面の開口部137及び減圧源、すなわちマニホルド20への神経の間隙部114内部の速度の遅い流体を運搬及び定位する。骨格誘導部は任意の生体適合性材料を含んでもよいが、好適には生体吸収性材料である。
【0020】
骨格構造134は更に、各々の骨格誘導部の頂面の開口部を通って切断した神経102の近位部分104から遠位部分106まで延在する1以上の神経誘導部160を具えてもよい。神経誘導部160は近位部分104と遠位部分106との間を更に延在する繊維束162を形成してもよく、限定しないが100もの神経誘導部160を具える。神経誘導部160は更に、切断した神経102の近位部分104及び/又は遠位部分106に流体連結及び/又は機械的に連結してもよい。更に、神経誘導部160はマニホルド20と流体連結及び/又は機械的に連結してもよい。上述のように線維形成が開始すると、骨格誘導部は骨格誘導部の頂面の開口部及び骨格誘導部間の線維形成を促進する神経誘導部160の方向に流体を運搬及び定位し、最終的には骨格誘導部の底面の開口部の間で延在する。特に図3によると、線維形成は、神経誘導部160によって生成される経路に沿って増殖する線維151によって示されるように、骨格誘導部の頂面の開口部の方向への、かつ神経誘導部160に沿った直接的な流動とともに開始する。線維151は限定しないがフィブリン、コラーゲン、プロテオグリカン、及びラミニンといった一時的な基質線維、あるいは神経線維又は支持細胞型といった細胞系構造を構成してもよい。一時的な基質線維及び細胞系線維は内在性の宿主供給源、あるいは外来性の流体の誘導で得られる。線維形成によって線維151の密度が増加すると、線維153に示されるように線維形成は骨格誘導部の底面の開口部の間で外側に展開する。最終的には、線維155は頂面の開口部が相互に対向する骨格誘導部、例えば骨格誘導部135及び145間で形成し始める。神経誘導部160は骨格構造134の全体を通る細胞の移動及び増殖を誘導するように作用し、生体吸収性材料といった任意の生体適合性材料を含んでもよい。特定の場合においては、神経誘導部はコラーゲン又はフィブリンといった生物学的材料からなる。
【0021】
ここで図3及び4によると、神経誘導部160の3の実施形態は破線の矢印161によって示した方向の流動とともに示され、神経誘導部162、164、及び166を具える。神経誘導部162、164、及び166の各々は神経の間隙部114に速度の遅い流体由来のタンパク質及び細胞を結合して、線維形成を促進するための突出部を具える繊維材料のストランドを含む。特に、神経誘導部162及び164はそれぞれ、神経の間隙部114内の流動性に依存して流動の方向、及び流動の逆方向に、原線維誘導部162及び164のストランドから延在する小さな羽枝部163及び165を含む。代替的に、神経誘導部166はフック形状の突出部167を含み、神経誘導部164の羽枝部165のように流動と逆向きに整列することなく、神経の間隙部114を介したタンパク質結合部位及び開始部位の線維形成を促進する。繊維突出部163、165、及び167は更に、神経の間隙部114内の流動性によって要求されうるように、切断した神経102の近位部分104又は遠位部分106のいずれかに延在する方向に定位されうる。一般的には、繊維突出部163、165、及び167をそれぞれ具える神経誘導部162、164、及び166は例えばコラーゲン又はフィブリンといった他の骨格部の材料用に記載したのと同一の材料からなる。図5によると、神経誘導部160は上述及び図4に示した直線形態以外の形態を有する繊維材料のストランドを含んでもよい。例えば、神経誘導部168のストランドは、長軸が破線の矢印161に示したような神経の間隙部114を通る流動に略平行な螺旋形状に形成される。神経誘導部168は更に、例えば、神経誘導部162の羽枝部163と同様の羽枝部169といった突出部がストランドから延在していてもよい。
【0022】
神経導管110は図1及び2に示され、その一部がマニホルド120、220を示すために除去され、図6における閉鎖した神経導管410のように神経損傷部位108を完全に取り囲むように示されている。マニホルド120、220が神経損傷部位108に挿入された後で、神経導管410は1以上の縫合手段415又は当該技術分野で既知のその他の締結デバイスを用いることによって密封できる。神経導管410は生体吸収性材料又は生体不活性材料を含んでもよい。神経導管のために用いられうる材料は限定しないが、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸とグリコリドとの共重合体(PLGA)、ポリビニルピロリドン、ポリカプロラクトン、ポリカルボナート、ポリフマラート、カプロラクトン、ポリアミド、ポリサッカライド(アルギナート(例えば、アルギン酸カルシウム)及びキトサンを含む)、ヒアルロン酸、ポリヒドロキシブチラート、ポリヒドロキシバレラート、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、ポリホスファゼン、ポリ酸無水物、ポリアミノ酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリラート、ポリウレタン、ポリアクリラート、エチレン酢酸ビニルの重合体及び他のアリール置換型の酢酸セルロースならびにその誘導体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、テフロン(Teflon:登録商標)、及びナイロンを含む。特定の態様においては、生物学的(例えば、精製又は組換え型)材料を用いて、限定しないがフィブリン、フィブロネクチン、又はコラーゲン(例えば、DURAMATRIX(商標))を含む神経導管を形成してもよい。
【0023】
神経導管110、410は図6に示すように近位の神経断端と遠位の神経断端との間の間隙部にわたって取付けられる連続した略管状の構造にできる。このような略管状の神経導管の例は神経誘導部とも称され、限定しないがNEURAGEN(登録商標)及びNEUROFLEX(商標)のコラーゲン導管を含む。神経導管は更に、切断又は損傷した(例えば、狭窄した)神経の周りに配置され、縫合といった閉鎖手段で密封される外被部で形成してもよい。外被型の神経導管の特異的な実施例は限定しないが、NEUROMEND(商標)及びNEURAWRAP(商標)のコラーゲン導管を含む。特定の態様においては、グリアのような非神経細胞の浸潤を排除するように、損傷した神経を取り囲む材料からなる。いくつかの実施形態においては、神経導管の材料は透過性であり、これによって流体及びタンパク質因子が導管を通って拡散可能となる。例えば、神経導管における孔は導管の内腔への細胞の侵入を排除する程度に小さくできる(例えば、孔の内径又は平均内径は約5μmないし50μm、10μmないし30μm、又は10μmないし20μmである)。従って、減圧が導管の内側に印加される場合に、流体及びタンパク質は圧力勾配によって導管の内腔に引き込まれうる。当業者は導管の直径が任意の特定の神経の用途のために調整できることを理解するであろう。一般的には、導管は約5、4、3、2.5又は2mmといった、約6.0mm未満の内径を含む。
【0024】
図7によると、減圧システム100、200、700は更に第1の導管125に動作可能に連結してマニホルド120、220に印加中の減圧を測定する圧力センサ740を具えてもよい。システム100、200、700は更に、圧力センサ740及び減圧供給源115に電気的に接続される制御ユニット745を具えてもよい。圧力センサ740は神経の間隙部114内の減圧を測定し、更には第1の導管125が血液又は他の体液で閉塞されているかどうかを示すことができる。圧力センサ740は更に、減圧供給源115によって第1の導管125を通ってマニホルド120、220に適用中の減圧治療を調整する制御ユニット745へのフィードバックを提供する。減圧システム100、200、700は更に、第2の導管752を介して第1の導管125に流体連結し、かつ制御ユニット745に動作可能に連結される流体供給部750を具えてもよい。流体供給部750は限定しないが抗菌剤、抗ウイルス剤、細胞増殖促進剤、洗浄流体、抗体、又は他の化学活性剤を含む増殖剤及び/又は治療剤を神経損傷部位108に送達するのに用いられうる。システム100、200、700は更に:第2の導管752に配置されてそこを通る流動を制御する第1のバルブ754と;減圧供給部115と、第1の導管125と第2の導管752との間の連結部との間にある第1の導管125に配置されて減圧の流動を制御する第2のバルブ756と;を具える。制御ユニット745は第1及び第2のバルブ754、756に動作可能に連結され、それぞれ、減圧及び/又は流体供給部750からの流体のマニホルド120、220への送達を、患者に実施中の特定の治療による要求に応じて制御する。流体供給部150は上に示したように流体を送達してもよいが、更に、マニホルド120、220に空気を送達して、治療を促進し、かつ神経損傷部位108の場所の廃液を促進してもよい。
【0025】
本明細書中で用いられるように、用語「マニホルド(manifold)」は組織部位に減圧を誘導し、組織部位に流体を送達し、あるいは組織部位から流体を除去するのを補助するように構成した物質又は構造のことである。マニホルドは、マニホルドの周りの組織の領域に提供され、かつそこから除去される流体の分配を改善するように内部連結される複数の流路又は経路を含むことができる。マニホルドの例は限定しないが、流路を形成するように構成される構造要素を有するデバイス、連続気泡発泡体といった気泡発泡体、多孔性組織の収集体、ならびに、流路を含むか、あるいは含むように硬化させた流体、ゲル、及び発泡体を含んでもよい。マニホルドの詳細な説明及び本発明によるその使用は以下に提供される。
【0026】
用語「骨格部(scaffold)」は本明細書中で用いられるように、細胞の増殖及び/又は組織の形成用の構造的な基質を提供する、創傷部又は欠損部に、又はその中に構成される物質又は構造のことである。骨格部は多くの場合3次元の多孔性構造である。骨格部は細胞、増殖因子、細胞外基質成分、栄養剤、又は他の物質で注入、コーティング、又は構成できる。骨格部は基質を通る流動を誘導することによってマニホルドの特徴を呈することができる。マニホルドは流動を骨格部及び組織に送達でき、減圧治療の文脈においてはマニホルドは骨格部と流体連結できる。骨格部の詳細な説明及び本発明によるその使用は以下に提供される。
【0027】
このように、本明細書で開示する発明は、構成化したマニホルド、及び選択的に機能的な組織の再生に必要な細胞移動、分化、及び同様の挙動用の骨格材料を提供可能な顕微鏡規模、ナノスケール規模又はメゾスコピック規模でのパターン化したタンパク質の組織化の制御を可能にする細胞レベルに基づく流動のパターンを制御するための方法及び装置を開示する。組織の修復及び再生に関する技術の現況の受動的な性質と比較して、本明細書中に開示の方法、骨格部、マニホルド、流体供給源、及びシステムは、骨格部又は組織空間の細胞コロニー形成を誘導するための生化学的及び物理的な手掛りで、内在性のタンパク質の蓄積及び一時的な基質の組織化を促進することによって、能動的なメカニズムを提供する。従って本発明は、誘導される流動の能動的な力を利用することによって現行の技術を向上させ、流動の影響下で生物学の必要性に基づきマニホルド及び骨格部を設計することで機構を構成する。流動のベクトル及び経路を利用して、タンパク質の蓄積と細胞のコロニー形成を向上させる。本明細書中に提供されるシステムは、骨格部を通る健常組織の縁部又は組織部位から切れ目なく遷移して一時的な基質ネットワークの構築を促進するように設計されて、機能的な組織の連続体を促進する。
【0028】
従って、本明細書中に開示の装置、方法、及びシステムは機能的な回復を促進するための、移植した骨格部を介する、あるいは組織部位内部での組織再生の能動的な誘導手段を提供する。この能動的な誘導は制御した流動のメカニズムを通して生じ、初期段階の身体の自己自然治癒プロセスを開始又は増大するのに用いることができ、マニホルドは制御した流動を生成するのに必要な能動的な誘導を提供できる。特に、マニホルドが提供する制御した流動のベクトルは、骨格部への細胞及びタンパク質の流入の誘導を促進するのに用いてもよい。組織部位又は骨格部内での特定の流動経路の生成によって、マニホルド、骨格部、又は組織空間内でのコラーゲン及びフィブリンといったタンパク質のパターン化した蓄積が生じうる。サイトカイン、増殖因子、及び一時的な基質内に結合する細胞からの生化学的な手掛りは、一時的な基質及び細胞外基質の天然で物理的な手掛りと連携して作用して、治療の修復段階中に内在性細胞の更なる移動を誘導できる。これらの手掛りは健常組織から生じ、かつ骨格部又は組織空間を通過して、組織化された組織の再生のための経路の連続的な誘導を促進する生物学的な連続体を構築するように作用する。
【0029】
その目的のために、本開示は流動の原理に基づく特定の生物学的ニーズで設計した固有のマニホルド技術を提供する。特定の態様においては、本発明は創傷治療、流動(又は勾配)賦活型の組織工学に対する新しいアプローチに関する。未発達の形態においては、このアプローチは、内在性又は外来性のいずれかの流体の組織空間内、組織空間外、あるいは組織空間を通る移動の制御のための、組織化したタンパク質の蓄積及び/又はサイトカイン及び増殖因子の空間濃度に対する勾配を形成し、次いで一方向に定位した一時的な基質を形成する流動の供給源又は発生器に関与する。本明細書中に記載されている組織空間は限定しないが、神経組織損傷部位を取り囲む部位を含む。
【0030】
神経組織空間内、神経組織空間を通る、あるいは神経組織空間外への流動は、マニホルド及び/又は骨格部を具えるシステムへの更なる要素の含有を通して精製及び誘導できる。システムの協調要素は制御されたタンパク質の吸収、基質の組織化、及び特定の細胞型の組織化したコロニー形成に影響及び誘導しうる程度に十分に細かい流動パラメータ、経路及びパターンを形成するように設計される。システムの個々の要素は以下の通りである。
【0031】
[流動の供給源又は発生器]
流動は機械的、化学的、及び/又は電気的ポテンシャルの変化を誘導する方法又は装置によって神経組織空間内に、神経組織空間を通って、あるいは神経組織空間の外に誘発される。これらの流動の発生器は、内在性又は外来性の流体の部位又は貯蔵部から、流体発生器又はその延長部の要素(すなわち、マニホルド又は骨格部)の配置位置までのポテンシャルの勾配又は変化のいずれかを提供する。一実施形態においては、流動の供給源は減圧供給源を具える。本発明によるシステム及び装置は更に、マニホルドに印加される陰圧の用途及び量を制御するバルブ又はバルブのアレイを具えてもよい。特定の態様においては、本明細書中に記載の神経導管及び/又はマニホルドは圧力センサを具える。従って、いくつかの実施形態においては、供給源によって印加される陰圧の量はマニホルド又は神経導管において、あるいは組織損傷部位で感知される陰圧の量に基づいて制御される。
【0032】
[マニホルド]
流動発生器は流動を刺激するための駆動力となる。マニホルドは流動の供給源又は発生器と組織空間との間の流動のパターンを精製するための装置である。大規模レベルの流動は、マニホルド/骨格部及び最終的には組織空間内への微小規模の流動経路用の開始部位を形成するように、単一地点に、あるいは複数の選択的に配置された地点に局在化を誘導すべく用いられる特定のマニホルドによって精製される。マニホルドは更に、組織空間から流体を除去するための導管として、かつ組織空間に外来性の流体を送達するための装置として作用させてもよい。
【0033】
マニホルドは一般的には、機械的、化学的、電気的、又は同様の変化を適用し、かつ、本明細書中ではタンパク質、細胞、及び他の同様の成分といった流体、気体、及び他の変形可能な物質の移動として規定される、流動の変化に変換するのを補助するように作用する物理的な物質又は構造のことである。このようにこの物理デバイスは、上に規定のように骨格部における流体の移動を変換することが可能な圧力、流体、及び同様の物質の放出又は除去のための単一地点又は複数の地点を含む。このことは限定しないが、マニホルドに存在する内腔又は複数の内腔を通って骨格部に細胞及び/又は治療成分といった外来性因子を誘導することを含みうる。更に本明細書中で用いられるように、マニホルドは骨格部から流動の点供給源に戻る流動の移入又は誘導のための単一の地点又は複数の地点を含む。
【0034】
マニホルドによって分配される流動は、組織化の方法において宿主内のその常駐位置から組織空間又は骨格部への内在性のタンパク質、増殖因子、サイトカイン、及び細胞の移動を誘導できる。これらの経路に沿った流動の構築によって、宿主を骨格部に連結する界面の内在性ネットワークを生成するタンパク質の蓄積及び一時的な基質を生じさせる。この基質の拡張部は、選択的に配置したマニホルドの流動の開始部位を通して骨格部内に構築でき、流動は骨格部の設計を促進する。組織化されたタンパク質の蓄積及び一時的な基質は、骨格部及び組織空間を通して誘導された経路に沿った細胞の接着及び移動を刺激する生化学的及び物理的な機構を提供する。タンパク質、成長因子、及び細胞の得られた内在性ネットワークは、次の段階の身体の自己組織修復及び再生メカニズムを構築できる基礎を提供する。
【0035】
定位置にある場合、マニホルドは、存在する場合に流動発生源及び骨格部と連携して動作する。流動発生源は限定しないが、陰圧の発生器、正圧の発生器、及び浸透圧流動の発生器を含む。マニホルドで構築された流動の勾配は更に、骨格部を通って精製され、流動の勾配を骨格部に送達して、必要に応じて骨格部を通して特定の欠損部に対する流動を最適化する。本明細書中に開示した実施形態の多くは、組織の再生を誘導する目的で、選択的に物理的な骨格部を通して圧力の変化等を制御された流体の移動に変換することができるマニホルドである。これらの実施形態は一般的に、特定の組織の再生における具体的な用途に特定されるがその特定の組織に限定されない。
【0036】
組織再生の目的で流動を誘発する目標を実現するために、前述の機械的、化学的又は電気的な刺激は、物理的な基質又は骨格部に向けて1の勾配供給源から変換して、タンパク質の吸収、基質の組織化、細胞の移動、及び他の組織の再生に関連する挙動において細胞レベルの変化を誘発しなければならない。これらの変更は本質的に多変量であり、創傷部位又は所望の組織再生部位に適用されるように、骨格部に印加された圧力の物理的変化を誘発する機械的変化、タンパク質及び/又はイオン濃度の勾配を誘発し、流動を誘発できる浸透圧の勾配を生成する化学的変化、あるいは点供給源からの電気信号の伝播を可能にする電流/イオン交換の勾配を生成する電気的変化を含むことができる。しかしながら出願人は、勾配及び流動が組織の修復又は増殖における有効な結果を誘発する任意の特定のメカニズムに縛られていないと理解されよう。これらの勾配を組織に有効に伝達するために、物理的なデバイスは流動の経路をその供給源から骨格部又は組織部位に誘導することが必要となり、その逆も真である。
【0037】
いくつかの実施形態においては、マニホルドは、含有する骨格部に対し、あるいは骨格部内に密接に付着した物理的構造を含み、機械的、化学的、電気的、又は本質的に同様のものかどうかにかかわらず、その点供給源から骨格材料までこれらの変化を誘導する手段として物理的パラメータの変更を伝播するよう作用する。骨格部の位置を基準としたこのマニホルドの配置は、制御及び誘導された特定の組織型の再生を促進するのに極めて重要となりうる。例えば、再生が近位の神経断端から遠位の神経断端まで最初に一方向に生じる末梢神経では、神経導管の長さに沿って、更にその遠位の末端方向にマニホルドを配置し、その端部に向かって再生を誘導するのを補助することは重要である。しかしながら、遠位の断端由来の可溶性因子がその供給源方向に神経の再生に誘導するために重要であることを示されてきたため、骨格部/導管の最も遠位面にマニホルドを配置しないことが更に重要である。
【0038】
マニホルドは生体吸収性材料又は生体不活性材料を含みうる。実施例は、医療用シリコーンの高分子、金属、ポリ塩化ビニル(PVC)、及びポリウレタンといった生体非吸収性材料を含む。コラーゲン、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸とグリコリドとの共重合体(PLGA)、ポリサッカライド、ヒドロキシアパタイト、又はポリエチレングリコール、又はそれらの組合わせといった生体吸収性高分子を更に用いてもよい。いくつかのマニホルドは更に、生体非吸収性材料及び生体吸収性材料の混合物である。一般的には、骨格部に用いられる材料は更に、マニホルドを構成するよう用いてもよく、このような材料は更に以下に詳細に述べられる。特定の態様においては、マニホルド材料は生体吸収性の改善のために高空隙部分を含むよう構成される。
【0039】
[支持部]
マニホルドチャンバ及び/又はフレンジといったマニホルドの支持構造は任意の許容可能な生体適合性材料を含みうる。支持構造は一般的には不透過性であり、マニホルドの圧力を維持するためにマニホルドを取り囲む。
【0040】
フレンジといった支持部の一部はマニホルド及び神経導管を連結する特定の態様においては、フレンジはフィブリン接着剤、シアノアクリアート、又は他の生物学由来の接着剤といった接着剤で神経導管の外側面に接着される。支持部は更に化学メカニズム、熱メカニズム、浸透圧メカニズム、機械メカニズム(スナップ又は他の締りばめ、ねじ山等)、磁力メカニズム、及び静電メカニズムといった接着剤以外の可逆メカニズムを介して神経導管に連結してもよい。マニホルドは神経導管から支持部を脱離するために(例えば、治療の完了時に)連結メカニズムの作用を反転させる薬剤を送達するのに用いてもよい。例えば、静電連結は塩溶液の誘導を通して解放してもよく、生体適合性の溶媒を用いて接着剤を脱離してもよい。
【0041】
[骨格部]
生物学的かつ合成的な骨格部は組織の修復や再生のためのタンパク質の付着及び細胞の内殖を支持すべく組織工学の分野で用いられる。骨格部の技術における現在の技術水準は、タンパク質の吸収及び細胞の移動について周囲の組織空間の固有の特徴に依存している。本発明で用いる骨格部はマニホルドに連結され、組織部位に流動の経路を誘導すべく物理的誘導部を提供し、接着性タンパク質及び細胞の動作及び移動のための経路を生成し、各々が組織空間内の所定のパターンの組織化における一時的な基質の構築に不可欠である。流動で誘発される及び勾配で誘発される組織の生成用に記載の方法及び装置は、骨格部の設計に直接的な意味を有する。この文脈内では、骨格部は流体供給源からマニホルド内の1以上の流動開始点までの細胞レベルのパターンに、組織空間内の流動の経路を精製するように作用する。骨格部はマニホルドの性質を具現化してもよく、組織部位内の流動経路を精製用にマニホルドと連携して組合せてもよい。特定の態様においては、骨格部は、改良された生体吸収特性の改善用の高空隙部分を含む網状構造である。
【0042】
骨格部は更に、漏斗誘導部及び神経誘導部といった本明細書中に記載のような保持構造を具えることができる。例えば、漏斗誘導部は神経損傷部位で細胞又は増殖因子の拡散及び/又は移動を誘導するのに用いてもよい。いくつかの場合においては、2、3、4、5、6、7、又は8以上の漏斗誘導部といった多数の漏斗誘導部が骨格部に含まれる。漏斗誘導部は疎水性材料を含んでもよく、かつ神経組織が神経損傷部位に成長した際に分解するように生体吸収性であってもよい。漏斗誘導部は更に、例えば運搬による、速度の遅い流体の移動の誘導を補助するように親水性であってもよい。漏斗誘導部は更に、生体吸収特性が漏斗誘導部の狭幅な端部ないし広幅な端部で異なっていてもよい。例えば、漏斗誘導部の狭幅な端部は、組織の再増殖が生じるときに狭幅な端部の開口部が広くなるように速い速度で吸収させてもよい。同様に多数の漏斗誘導部が骨格部に含まれる態様においては、神経損傷部位の近位端に近い漏斗誘導部は、神経損傷部位の近位端に近い漏斗構造の方がより迅速に吸収するように、速い速度で吸収する材料を含んでもよい。
【0043】
骨格部における神経誘導部は更に、組織の増殖又は再増殖が生じるときに誘導部が吸収するように生体吸収性材料を含んでもよい。上に詳述したように、神経誘導部は突出部(例えば、羽枝部)又はフック構造を含んでもよく、かつ神経損傷部位で骨格部を通って延在するように略直線状であっても螺旋を形成してもよい。特定の態様においては、神経誘導部及び関連する構造(例えば、繊維突出部及びフック部)は神経損傷部位で細胞の増殖又は移動を誘導する。いくつかの実施形態においては、繊維構造はその構造の一部として生理活性分子を含む。例えば、繊維構造は繊維の長手方向に沿って細胞の増殖を向上させる増殖因子、又は細胞又は増殖因子を繊維に結合する(抗体といった)結合成分とを含み、神経組織の増殖又は再増殖を向上させてもよい。
【0044】
好適な骨格部、漏斗、及び繊維材料の限定しない例は、フィブリン、コラーゲン、フィブロネクチンといった細胞外基質のタンパク質と、合成高分子又は天然高分子とを含み、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸とグリコリドとの共重合体(PLGA)、ポリビニルピロリドン、ポリカプロラクトン、ポリカルボナート、ポリフマラート、カプロラクトン、ポリアミド、ポリサッカライド(アルギナート(例えば、アルギン酸カルシウム)及びキトサンを含む)、ヒアルロン酸、ポリヒドロキシブチラート、ポリヒドロキシバレラート、ポリジオキサノン、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、ポリホスファゼン、ポリ酸無水物、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリラート、ポリウレタン、ポリアクリラート、エチレン酢酸ビニルの重合体及び他のアリール置換型の酢酸セルロースならびにその誘導体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、テフロン(Teflon:登録商標)、及びナイロンといった生体吸収性高分子又は生体非吸収性高分子を含む。骨格部は更にヒドロキシアパタイト、サンゴ由来のアパタイト(coralline apatite)、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム若しくは他のカルボナート、バイオガラス、同種移植片、自家移植片、異種移植片、脱細胞化組織、又は上述の任意の複合体といったセラミックを含むことができる。特定の実施形態においては、骨格部はコラーゲン、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸とグリコリドとの共重合体(PLGA)、ポリウレタン、ポリサッカライド、ヒドロキシアパタイト、又はポリエチレングリコールを含む。更には、骨格部は骨格部の別個の領域にあるか、又は非共有結合若しくは共有結合した2又は3以上の材料の組合せ(例えば、ポリエチレンオキシドとポリプロピレングリコールとのブロック共重合体、あるいは三量体といった共重合体)、あるいはそれらの組合せを含んでもよい。好適な基質材料は例えば「Ma及びElisseeff,2005」及び「Saltzman,2004」で考察されている。
【0045】
[生理活性物質]
特定の態様においては、本発明による装置及び方法は生理活性物質に関連する。生理活性物質は、いくつかの場合においては、マニホルド又は骨格材料に直接組み込まれる(すなわち、生理活性マニホルド及び/又は骨格部を生成する)。例えば、コラーゲン又はフィブリンのといった組織の増殖を促進する薬剤が、マニホルド又は骨格材料上に、あるいはその中に直接組み込んでもよい。同様に、異常な免疫応答を回避する必要がある適用例(例えば、組織移植片)においては、ラパマイシンといった免疫調整剤をマニホルド又は骨格構造に組み込んでもよい。
【0046】
更なる態様においては、可溶性の生理活性物質は組織部位を通る流動によって、組織の損傷部位に誘導できる。例えば、マニホルドは流体供給源と流体連結してもよく、かつ、生理活性物質は流体供給源に誘導し、これによってマニホルド及び損傷した神経組織に誘導してもよい。
【0047】
様々な用途で有用な生理活性増殖因子の限定しない例は、成長ホルモン(GH)、骨形成タンパク質(BMP)、形質転換増殖因子−α(TGF−α)、TGF−β、線維芽細胞増殖因子(FGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)、インターロイキン、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、又は神経成長因子(NGF)である。
【0048】
[神経組織の修復及び設計]
本明細書に開示した装置とシステムは、以下のものを含む様々な状況において、神経組織の修復及び設計に用いることができる。
【0049】
[欠損組織の修復と再生]
流動発生器はマニホルド及び/又は骨格部と組合わせて、損傷又は機能不全の部位で欠損組織の再生を誘導することができる。外傷、外科手術、火傷、又は他の原因(例えば、伝染又は自己免疫性疾患)により欠損した組織は、本発明の方法、骨格部、マニホルド、流動供給源、及びシステムを用いて再生を引き起こすことができる。機能的な神経組織は再生するように誘導される。
【0050】
[組織の疾患状態の進行の遅延]
流動発生器はマニホルド及び/又は骨格部と組合わせて、例えば、自己免疫疾患に生じるような患部の神経組織の疾患の進行を遅らせることができる。
【0051】
[組織生存率の維持]
流動発生器はマニホルド及び/又は骨格部と組合わせて、例えば、試験管内での研究、生体外での骨格部又は移植の調製、又は生体内の移植用に外植された組織の生存率を維持できる。マニホルドと組合わせた流動発生器を用いて、組織に流動を提供し、組織からの不要物の除去を制御できる。
【0052】
[組織の拡大]
流動発生器はマニホルド及び/又は骨格部と組合わせて、現存ずる組織の拡大を促進できる。本発明の方法、骨格部、マニホルド、流動供給源及びシステムを用いて、更なる組織の量を必要又は要求する場合に組織の増殖を誘導できる。
【0053】
[組織形成の促進]
流動発生器はマニホルド及び/又は骨格部と組合わせて、自然治癒反応での組織形成率を加速できる。本発明の方法、骨格部、マニホルド、流動供給源、及びシステムを用いて、一時的な基質の形成を増大し、その安定した配置を実現し、細胞の組織空間への補充を補助することで細胞の増殖を促進できる。
【0054】
[特定の経路に沿った幹細胞の分化の刺激]
流動発生器はマニホルド及び/又は骨格部と組合わせて、幹細胞又は他の多能性細胞の特定の分化系列への分化を刺激できる。本発明の方法、骨格部、マニホルド、流動供給源及びシステムを用いた流動を印加することによって、多能性細胞を、組織空間での増殖を促進するのに必要な特定の細胞分化系列に誘導できる。
【0055】
[タンパク質、基質、細胞、又は医薬品の生体内環境への誘導]
流動発生器はマニホルド及び/又は骨格部と組合わせて、外来性増殖因子、タンパク質、細胞、又は医薬品を組織空間に誘導し、組織の修復、再生、及び/又は維持を増強できる。
【0056】
[生体内への移植のための生体外における基質生成]
流動発生器はマニホルド及び/又は骨格部と組合わせて、後の生体内の移植に用いることができる生体外で基質の形成を促進できる。
【0057】
[移植組織の統合の促進]
流動発生器はマニホルド及び/又は骨格部と組合わせて、移植組織の宿主環境への統合を促進できる。このことは、自家移植片、同種移植片、又は異種移植片の移植に適用できる。
【0058】
[生体外の基質(ECM)の蓄積及び定位の誘導]
流動発生器はマニホルド及び/又は骨格部と組合わせて、細胞及び組織により発現されるECMの蓄積及び定位の誘導を先導する。ECMの定位の誘導は、後の細胞層及び組織の付着及びコロニー形成を組織化及び誘導するのに影響を与える。
【0059】
[文献]
米国特許第4,787,906号
米国特許第6,103,255号
米国特許第6,135,116号
米国特許第6,365,146号
米国特許第6,695,823号
米国特許第6,696,575号
米国特許第6,767,334号
米国特許第6,814,079号
米国特許第6,856,821号
米国特許第6,936,037号
米国特許第6,951,553号
米国特許第6,994,702号
米国特許第7,004,915号
米国特許第7,070,584号
米国特許第7,077,832号
米国特許第7,108,683号
米国特許第7,160,553号
米国特許第7,186,244号
米国特許第7,214,202号
米国特許第7,279,612号
米国特許第7,316,672号
米国特許第7,346,945号
米国特許第7,351,250号
米国特許第7,384,786号
米国特許公開第2003/0225347号
米国特許公開第2005/0260189号
米国特許公開第2007/0123895号
米国特許公開第2008/0033324号
米国特許公開第2008/0208358号
米国仮特許出願第61/142,053号
米国仮特許出願第61/142,065号
Andersonら,Tissue Eng.,13:2525−38,2007
Brodyら,J.Biomed.Mater.Res.B:Appl.Biomater.,83:16−43,2007
Gemmitiら,Tissue Eng.,12:469−79,2006
Lagoら,IEEE Trans.Biomed.Eng.,54:1129−37,2007
Maら,Scaffolding in Tissue Engineering,2005
Manwaringら,Biomaterials,22:3155−3168,2001
Manwaringら,Biomaterials,25:3631−3638,2004
Mercierら,Biomaterials,26:1945−1952,2005
Mikosら,J.Biomed.Mater.Ref,27:183−189,2004
Normanら,Ann Biomed Eng.,34:89−101,2006
国際公開第00/38755A2号
国際公開第00/61206A1号
国際公開第03/018098A2号
国際公開第03/092620A2号
国際公開第04/060148A2号
国際公開第04/105576A2号
国際公開第05/009488A2号
国際公開第05/033273A2号
国際公開第06/004951号
国際公開第06/127853号
国際公開第07/067685A2号
国際公開第07/092397A2号
国際公開第07/106589A2号
国際公開第07/106590A2号
国際公開第07/106591A2号
国際公開第07/106592A2号
国際公開第07/106594A2号
国際公開第07/133555A2号
国際公開第07/133556A2号
国際公開第07/143060A2号
国際公開第07/196590号
国際公開第08/013896A2号
国際公開第08/036162A2号
国際公開第08/036359A2号
国際公開第08/036361A2号
国際公開第08/042481A2号
国際公開第08/091521A2号
Pfisterら,Neurosurgery,60:137−41,2007
Saltzman,Tissue Engineering:Engineering Principles for the Design of Replacement Organs and Tissues,2004
Sachlosら,Cells and Mat,5:29−40,2003
Segvichら,J.Biomed.Mater.Res.B:Appl Biomater.,84B:340−349,2008
Shimkoら,J Biomed Mater.Res.B:Appl.Biomater.,73:315−24,2005
Takahashiら,Cell,126:663−76,2006
Tanら,Bone,41:745−751,2007
Tanら,Biochem.Biophys.Res.Comm.,369:1150−1154,2008
Walshら,Tissue Eng.,11:1085−1094,2005
Wenら,Handbook of Nanostructured Biomaterials and Their Applications in Nanobiotechnology,1−23,2005
【0060】
本明細書中に引用した総ての文献は引用によって本明細書中で組み込まれている。本明細書における文献の考察は単に著者によってなされた主張を要約することだけを目的としており、任意の文献が従来技術を構成することを承認するものではない。出願人は引用文献の正確性及び妥当性を検証する権利を確保している。
【0061】
上述の点から、本発明の利点が得られ、他の利点が達成されることは理解されるであろう。様々な変更は本発明の範囲から逸脱することなく上述の方法及び組成物においてなされる場合、上述の記載に含まれ、かつ添付の図面に示される総ての事項は例示として解釈することを目的とするものであり、限定を意味しない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経の組織部位の欠損部に減圧を供給するための装置であって、当該装置が:
形状が略管状であり、かつ内腔壁が前記組織部位と前記内腔壁との間の内腔空間に流体を含むように前記組織部位を取り囲む神経導管と;
前記減圧を前記欠損部に分配するように減圧を受容するための連結部を有するマニホルドと;
形状が略管状の切頭体であり、底面の開口部が一方の端部にあり、頂面の開口部が他方の端部にある少なくとも1の骨格誘導部を具える骨格部と;
を具え、前記少なくとも1の骨格誘導部が前記内腔空間に内部配置されて前記マニホルドと流体連結し、かつ該内部で定位されて前記底面の開口部よりも前記頂面の開口部が前記マニホルドの近くに配置され、これによって前記少なくとも1の骨格誘導部が堆積した基質を組織化すること、細胞の結合を促進すること、あるいは前記内腔空間を通る細胞の移動を誘導することによって、前記組織部位での組織の増殖を促進することを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記欠損部が切断した神経であることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記欠損部が前記少なくとも1の骨格誘導部の前記頂面の開口部を通って延在する、狭窄したか、部分的に切断したか、あるいは退化した神経であることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1の骨格誘導部が実質的に非多孔性であることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1の骨格誘導部が細胞を捕集する程度の小さな孔を具えることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1の骨格誘導部が疎水性材料からなることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記骨格部が前記内腔空間と前記少なくとも1の骨格誘導部の前記頂面の開口部とを通って略長軸方向に延在する少なくとも1の神経誘導部を更に具えることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、前記少なくとも1の神経誘導部が前記神経の組織部位と流体連結することを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項7に記載の装置において、前記少なくとも1の神経誘導部が前記マニホルド及び前記少なくとも1の骨格誘導部と流体連結することを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項7に記載の装置において、前記少なくとも1の神経誘導部が前記内腔空間に延在する繊維質の突出部を具えることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項7に記載の装置において、前記少なくとも1の神経誘導部が略直線状であることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項7に記載の装置において、前記少なくとも1の神経誘導部が生体吸収性であることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、前記少なくとも1の神経誘導部がコラーゲン又はフィブリンを含むことを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、前記マニホルドが前記神経の遠位側の近くに配置されることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置において、前記マニホルドが前記神経の遠位側に優先的に減圧を供給することを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項1に記載の装置において、前記マニホルドが生体不活性材料又は生体吸収性材料からなることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置において、前記マニホルドは形状が略管状又は略円柱状であり、前記神経導管の前記内腔空間に配置されることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置において、前記マニホルドが前記神経導管の壁部を通って延在し、前記内腔空間と流体連結することを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項1に記載の装置において、前記骨格部が発泡材料又はゲル材料から形成されることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置において、前記骨格部が生理活性物質を含むことを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置において、前記生理活性物質が抗生物質、抗体、及び増殖因子のうちの少なくとも1つであることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項20に記載の装置において、前記生理活性物質が成長ホルモン(GH)、骨形成タンパク質(BMP)、形質転換増殖因子−α(TGF−α)、TGF−β、線維芽細胞増殖因子(FGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)、インターロイキン、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、又は神経成長因子(NGF)であることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項1に記載の装置において、前記神経導管が開口部を形成する長手方向の切片を含み、これによって前記神経導管が前記組織部位の周りに移植可能になり、1以上の閉止要素で密封可能になることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項1に記載の装置において、前記神経導管が生体不活性材料からなることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項1に記載の装置において、前記神経導管が生体吸収性材料からなることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項25に記載の装置において、前記神経導管がコラーゲンからなることを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項1に記載の装置において、前記神経導管が孔を具えることを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項27に記載の装置において、前記孔が前記神経導管を取り囲む組織から前記内腔空間への細胞の侵入を排除する程度に小さいことを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項28に記載の装置において、前記孔の直径が約5μmないし約50μmであることを特徴とする装置。
【請求項30】
神経の組織部位の欠損部に減圧を供給するためのシステムであって、当該システムが:
減圧を供給するための圧力供給源と;
形状が略管状であり、かつ内腔壁が前記組織部位と前記内腔壁との間の内腔空間に流体を含むように前記組織部位を取り囲む神経導管と;
前記減圧を前記欠損部に分配するように前記圧力供給源に流体連結されるマニホルドと;
形状が略管状の切頭体であり、底面の開口部が一方の端部にあり、頂面の開口部が他方の端部にある少なくとも1の骨格誘導部を具える骨格部と;
を具え、前記少なくとも1の骨格誘導部が前記内腔空間に内部配置されて前記マニホルドと流体連結し、かつ該内部で定位されて前記底面の開口部よりも前記頂面の開口部が前記マニホルドの近くに配置され、これによって前記少なくとも1の骨格誘導部が堆積した基質を組織化すること、細胞の結合を促進すること、あるいは前記内腔空間を通る細胞の移動を誘導することによって、前記組織部位での組織の増殖を促進することを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記欠損部が切断した神経であることを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記欠損部が前記少なくとも1の骨格誘導部の前記頂面の開口部を通って延在する、狭窄したか、部分的に切断したか、あるいは退化した神経であることを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1の骨格誘導部が実質的に非多孔性であることを特徴とするシステム。
【請求項34】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1の骨格誘導部が前記細胞を捕集する程度の小さな孔を具えることを特徴とするシステム。
【請求項35】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1の骨格誘導部が疎水性材料からなることを特徴とするシステム。
【請求項36】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記骨格部が前記内腔空間と前記少なくとも1の骨格誘導部の前記頂面の開口部とを通って略長軸方向に延在する少なくとも1の神経誘導部を更に具えることを特徴とするシステム。
【請求項37】
請求項36に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1の神経誘導部が前記神経の組織部位と流体連結することを特徴とするシステム。
【請求項38】
請求項36に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1の神経誘導部が前記マニホルド及び前記少なくとも1の骨格誘導部と流体連結することを特徴とするシステム。
【請求項39】
請求項36に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1の神経誘導部が前記内腔空間に延在する繊維質の突出部を具えることを特徴とするシステム。
【請求項40】
請求項36に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1の神経誘導部が略直線状であることを特徴とするシステム。
【請求項41】
請求項36に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1の神経誘導部が生体吸収性であることを特徴とするシステム。
【請求項42】
請求項41に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1の神経誘導部がコラーゲン又はフィブリンを含むことを特徴とするシステム。
【請求項43】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記マニホルドが前記神経の遠位側の近くに配置されることを特徴とするシステム。
【請求項44】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記マニホルドが前記神経の遠位側に優先的に減圧を供給することを特徴とするシステム。
【請求項45】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記マニホルドが生体不活性材料又は生体吸収性材料からなることを特徴とするシステム。
【請求項46】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記マニホルドは形状が略管状又は略円柱状であり、前記神経導管の前記内腔空間に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項47】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記マニホルドが前記神経導管の壁部を通って延在し、前記内腔空間と流体連結することを特徴とするシステム。
【請求項48】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記骨格部が発泡材料又はゲル材料から形成されることを特徴とするシステム。
【請求項49】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記骨格部が生理活性物質を含むことを特徴とするシステム。
【請求項50】
請求項49に記載のシステムにおいて、前記生理活性物質が抗生物質、抗体、及び増殖因子のうちの少なくとも1つであることを特徴とするシステム。
【請求項51】
請求項49に記載のシステムにおいて、前記生理活性物質が成長ホルモン(GH)、骨形成タンパク質(BMP)、形質転換増殖因子−α(TGF−α)、TGF−β、線維芽細胞増殖因子(FGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)、インターロイキン、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、又は神経成長因子(NGF)であることを特徴とするシステム。
【請求項52】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記神経導管が開口部を形成する長手方向の切片を含み、これによって前記神経導管が前記組織部位の周りに移植可能になり、1以上の閉止要素で密封可能になることを特徴とするシステム。
【請求項53】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記神経導管が生体不活性材料からなることを特徴とするシステム。
【請求項54】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記神経導管が生体吸収性材料からなることを特徴とするシステム。
【請求項55】
請求項54に記載のシステムにおいて、前記神経導管がコラーゲンからなることを特徴とするシステム。
【請求項56】
請求項30に記載のシステムにおいて、前記神経導管が孔を具えることを特徴とするシステム。
【請求項57】
請求項56に記載のシステムにおいて、前記孔が前記神経導管を取り囲む組織から前記内腔空間への細胞の侵入を排除する程度に小さいことを特徴とするシステム。
【請求項58】
請求項57に記載のシステムにおいて、前記孔の直径が約5μmないし約50μmであることを特徴とするシステム。
【請求項59】
神経の組織部位の欠損部に減圧を供給するための方法であって、当該方法が:
形状が略管状であり、かつ内腔壁が前記組織部位と前記内腔壁との間の内腔空間に流体を含むように前記組織部位を取り囲む神経導管を移植するステップと;
減圧を受容し、かつ前記減圧を前記欠損部に分配するように前記内腔空間と流体連結するマニホルドを移植するステップと;
形状が略管状の切頭体であり、底面の開口部が一方の端部にあり、頂面の開口部が他方の端部にある少なくとも1の骨格誘導部を具える骨格部を移植するステップであって、前記少なくとも1の骨格誘導部が前記内腔空間に内部配置されて前記マニホルドと流体連結し、かつ該内部で定位されて前記底面の開口部よりも前記頂面の開口部が前記マニホルドの近くに配置されるステップと;
前記内腔空間に流体を含むように前記組織部位を取り囲んで前記神経導管を密封するステップと;
前記マニホルドを介して前記組織部位に減圧を印加するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項60】
神経の組織部位の欠損部を修復又は再生するための方法であって、当該方法が:
形状が略管状であり、かつ内腔壁が前記組織部位と前記内腔壁との間の内腔空間に流体を含むように前記組織部位を取り囲む神経導管を移植するステップと;
減圧を受容し、かつ前記減圧を前記欠損部に分配するように前記内腔空間と流体連結するマニホルドを移植するステップと;
形状が略管状の切頭体であり、底面の開口部が一方の端部にあり、頂面の開口部が他方の端部にある少なくとも1の骨格誘導部を具える骨格部を移植するステップであって、前記少なくとも1の骨格誘導部が前記内腔空間に内部配置されて前記マニホルドと流体連結し、かつ該内部で定位されて前記底面の開口部よりも前記頂面の開口部が前記マニホルドの近くに配置されるステップと;
前記内腔空間に流体を含むように前記組織部位を取り囲んで前記神経導管を密封するステップと;
前記マニホルドを介して前記組織部位に減圧を印加するステップと;
を具え、前記減圧の印加によって前記欠損部の修復及び再生を促進することを特徴とする方法。
【請求項61】
神経の組織部位の欠損部に減圧を供給するための装置であって、当該装置が:
内腔壁が前記組織部位を取り囲み、かつ前記組織部位と前記内腔壁との間に内腔空間を形成する神経導管と;
前記減圧を前記欠損部に分配するように減圧を受容するための連結部を有するマニホルドと;
形状が、一方の端部の底面の開口部と、他方の端部の頂面の開口部との間を延在する略管状の切頭体である骨格部と;
を具え、当該骨格部が前記内腔空間に内部配置されて、前記頂面の開口部が前記マニホルドの近くに定位されることを特徴とする装置。
【請求項62】
請求項61に記載の装置において、前記欠損部が切断した神経であることを特徴とする装置。
【請求項63】
請求項61に記載の装置において、前記欠損部が前記骨格部の前記頂面の開口部を通って延在する、狭窄したか、部分的に切断したか、あるいは退化した神経であることを特徴とする装置。
【請求項64】
請求項61に記載の装置において、前記骨格部が実質的に非多孔性であることを特徴とする装置。
【請求項65】
請求項61に記載の装置において、前記骨格部が細胞及びタンパク質を結合する程度の小さな孔を具えることを特徴とする装置。
【請求項66】
請求項61に記載の装置において、前記骨格部が疎水性材料又は親水性材料からなることを特徴とする装置。
【請求項67】
請求項61に記載の装置において、前記骨格部が前記内腔空間と前記骨格部の前記頂面の開口部とを通って延在する少なくとも1の神経誘導部を更に具えることを特徴とする装置。
【請求項68】
請求項67に記載の装置において、前記少なくとも1の神経誘導部が前記神経の組織部位と流体連結することを特徴とする装置。
【請求項69】
請求項67に記載の装置において、前記少なくとも1の神経誘導部が前記マニホルド及び前記骨格部と流体連結することを特徴とする装置。
【請求項70】
請求項67に記載の装置において、前記少なくとも1の神経誘導部が前記内腔空間に延在する繊維質の突出部を具えることを特徴とする装置。
【請求項71】
請求項67に記載の装置において、前記少なくとも1の神経誘導部が略直線状であることを特徴とする装置。
【請求項72】
請求項67に記載の装置において、前記少なくとも1の神経誘導部が生体吸収性であることを特徴とする装置。
【請求項73】
請求項72に記載の装置において、前記少なくとも1の神経誘導部がコラーゲン又はフィブリンを含むことを特徴とする装置。
【請求項74】
請求項61に記載の装置において、前記マニホルドが前記神経の遠位側の近くに配置されることを特徴とする装置。
【請求項75】
請求項61に記載の装置において、前記マニホルドが前記神経の遠位側に優先的に減圧を供給することを特徴とする装置。
【請求項76】
請求項61に記載の装置において、前記マニホルドが生体不活性材料又は生体吸収性材料からなることを特徴とする装置。
【請求項77】
請求項61に記載の装置において、前記マニホルドは形状が略管状又は略円柱状であり、前記内腔空間に配置されることを特徴とする装置。
【請求項78】
請求項61に記載の装置において、前記マニホルドが前記神経導管の壁部を通って延在し、前記内腔空間と流体連結することを特徴とする装置。
【請求項79】
請求項61に記載の装置において、前記骨格部が発泡材料又はゲル材料から形成されることを特徴とする装置。
【請求項80】
請求項61に記載の装置において、前記骨格部が生理活性物質を含むことを特徴とする装置。
【請求項81】
請求項80に記載の装置において、前記生理活性物質が抗生物質、抗体、及び増殖因子のうちの少なくとも1つであることを特徴とする装置。
【請求項82】
請求項80に記載の装置において、前記生理活性物質が成長ホルモン(GH)、骨形成タンパク質(BMP)、形質転換増殖因子−α(TGF−α)、TGF−β、線維芽細胞増殖因子(FGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)、インターロイキン、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、又は神経成長因子(NGF)であることを特徴とする装置。
【請求項83】
請求項61に記載の装置において、前記神経導管が開口部を形成する長手方向の切片を含み、これによって前記神経導管が前記組織部位の周りに移植可能になり、1以上の閉止要素で密封可能になることを特徴とする装置。
【請求項84】
請求項61に記載の装置において、前記神経導管が生体不活性材料からなることを特徴とする装置。
【請求項85】
請求項61に記載の装置において、前記神経導管が生体吸収性材料からなることを特徴とする装置。
【請求項86】
請求項85に記載の装置において、前記神経導管がコラーゲンからなることを特徴とする装置。
【請求項87】
請求項61に記載の装置において、前記神経導管が孔を具えることを特徴とする装置。
【請求項88】
請求項87に記載の装置において、前記孔が前記神経導管を取り囲む組織から前記内腔空間への細胞の侵入を排除する程度に小さいことを特徴とする装置。
【請求項89】
請求項88に記載の装置において、前記孔の直径が約5μmないし約50μmであることを特徴とする装置。
【請求項90】
請求項61に記載の装置において、前記マニホルドが前記骨格部と流体連結することを特徴とする装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2012−513847(P2012−513847A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543716(P2011−543716)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/069715
【国際公開番号】WO2010/078347
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】