説明

神経障害性疼痛の代用マーカー

本開示は、神経障害性疼痛ならびに薬物もしくは薬物候補の神経栄養活性あるいは他の活性を評価するための、方法および組成物を提供する。この開示される方法において、皮膚生検試料由来の組織抽出物中のある遺伝子の発現が、関係する最終結果の代理として役立つ。本発明は、皮膚生検試料を非組織学的に、神経障害性疼痛の状態を反映する遺伝子(類)(「神経障害性疼痛代用マーカー」。「損傷・疾患マーカー」とも呼ばれる)の発現に関して評価することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は2004年2月20日に出願された米国特許出願第10/784,004号の優先権を主張し、この出願は、本明細書中にその全体が参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、神経学および薬理学の分野にある。本発明は、概して、神経障害性疼痛を評価する方法ならびに、神経障害を処置するための薬物あるいは薬物候補の生物学的活性を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
疼痛を伴う神経障害は、異痛あるいは痛覚過敏等の、自発的および/または異常な刺激誘発性疼痛によって特徴づけられる。神経障害性疼痛の症状としては、しばしば、自発的痙攣痛、もしくは灼熱痛、伝激痛、または正常であれば無害な刺激によって引き起こされる疼痛が挙げられる。神経障害性疼痛は神経から生じ、即ち、末梢神経系もしくは中枢神経系における一次病変あるいは機能不全から始まる、あるいはこれに起因する(例えば非特許文献1を参照のこと)。神経障害性疼痛は、感染性因子(例えばヘルペスウイルス等)、代謝疾患(例えば糖尿病等)、神経組織変性疾患(例えば多発性硬化症等)、神経損傷(例えば切断もしくは癌による神経圧迫等)等に起因する神経損傷の結果として発生しうる。慢性神経障害性疼痛に対する現在の薬理学的治療ならびに非薬理学的治療は、部分的な緩和を提供するのみであり、その成果は個々の患者において幅広く異なる。
【0004】
末梢神経系に影響を及ぼす状態によって、知覚細繊維の欠損および/または髄鞘脱落等の病態生理学変化が生じる。当該変化は、皮膚にて組織学的に観察することができる。実際、皮膚生検材料の組織学的評価は、神経障害性疼痛あるいは末梢神経障害を有する患者の末梢神経状態を評価するための認められた方法となっている(非特許文献2)。このアプローチによって、疾患における神経損傷、ならびに治療に伴う神経再生/再支配の進行の評価が可能となる。計数する診断基準としては、表皮神経線維密度、皮膚−表皮接合部を横切る繊維の数等が挙げられる。皮膚生検は、時間経過に応じて複数の部位にて実施することができ、これによって表皮神経支配の空間時間的特性を評価することができる。しかしながら、皮膚生検の組織学的分析は、大きな労力および時間を消費する作業である。
【0005】
従って、当該分野においては、神経障害性疼痛および末梢神経障害の処置および評価のための新しい方法を開発する必要がある。
【非特許文献1】Merskey and Bogdik (1994) Classification of Chronic Pain: Descriptions of Chronic Pain Syndromes and Definitions of Pain Terms, 2nd ed., Seattle: IASP Press
【非特許文献2】Griffin et al., (2001) Curr. Opin. Neurol., 14:655−659
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、皮膚生検試料を非組織学的に、神経障害性疼痛の状態を反映する遺伝子(類)(「神経障害性疼痛代用マーカー」。「損傷・疾患マーカー」とも呼ばれる)の発現に関して評価することができるという認識に由来する。当該遺伝子の発現は、迅速且つ定量的な様式で皮膚生検材料ホモジェネートにて測定することができる。皮膚パンチ生検試料におけるこの遺伝子(類)の発現が、神経障害性疼痛あるいは末梢神経障害に対する薬物もしくは薬物候補の有益な効果と相関するのであれば、この読み出した情報(read out)は、神経障害性疼痛および/または末梢神経障害の軽減に関係する薬物活性の代用マーカー(「神経栄養活性の代用マーカー」)を表す。さらに、神経障害性疼痛の状態に拘わらず、皮膚パンチ生検試料中の遺伝子発現を、薬物もしくは薬物候補のインビボでの生物学的活性の読み出した情報(「神経栄養因子のインビボでの生物学的活性の生体マーカー」、あるいは短くして「神経栄養因子の生体マーカー」。「神経栄養因子への曝露のマーカー」とも呼ぶ)として使用することができる。
【0007】
一局面において、本発明は、神経障害性疼痛の代用マーカーを同定する方法を提供する。この神経障害性疼痛の代用マーカーを同定する方法は、以下の工程を包含する:
(a)神経障害性疼痛の条件下にある第1皮膚生検試料を得る工程;
(b)神経障害性疼痛が実質的にない条件下にある第2皮膚生検試料を得る工程;
(c)この第1試料およびこの第2試料から組織抽出物を調製する工程;ならびに
(d)この組織抽出物中の少なくとも1種の核酸の量またはタンパク質の量を決定する工程。この第1試料の核酸の量または該タンパク質の量と、この第2試料の同じ核酸の量または同じタンパク質の量との間の差異は、この核酸またはこのタンパク質が神経障害性疼痛の代理マーカーであることを示す。
【0008】
別の一局面において、本発明は、当該代用マーカーを使用する、神経障害性疼痛のレベルを評価する方法を提供する。神経障害性疼痛の代用マーカーを使用する、神経障害性疼痛のレベルを評価する方法は、以下の工程を包含する:
(a)神経障害性疼痛の条件下にある第1皮膚生検試料を得る工程;
(b)神経障害性疼痛が実質的にない条件下にある第2皮膚生検試料を得る工程;
(c)この第1試料およびこの第2試料から組織抽出物を調製する工程;ならびに
(d)この組織抽出物中の少なくとも1種の核酸の量またはタンパク質の量を決定する工程であって、この核酸またはタンパク質は、神経障害性疼痛の代理マーカーである、工程。第1試料中の核酸の量またはタンパク質の量と、第2試料中の同じ核酸の量またはタンパク質の量の間の差異は、神経障害性疼痛のレベルを示す。
【0009】
別の一局面において、本発明は、例えば、神経障害性疼痛のレベルに対する化合物または組成物の効果を評価することにおいて、化合物もしくは組成物の神経栄養活性を評価する方法を提供する。この方法は以下を包含する:
(a)神経障害性疼痛を有する哺乳動物にその化合物または組成物を投与する工程;
(b)この哺乳動物から少なくとも1つの皮膚生検試料を得る工程;
(c)この皮膚生検試料から組織抽出物を調製する工程;ならびに
(d)この組織抽出物中の核酸またはタンパク質である、神経障害性疼痛の代理マーカーの少なくとも1種の量を決定する工程。
工程(d)において決定された核酸の量またはタンパク質の量と、この化合物または組成物の非存在下で発現される同じ核酸の量または同じタンパク質の量との差異は、神経障害性疼痛に対するこの化合物または該組成物の効力のレベルを示す。
【0010】
別の一局面において、本発明は、神経栄養因子のインビボでの生物学的活性の生体マーカーを同定する方法、ならびに当該生体マーカーを使用する、神経栄養因子のインビボでの生物学的活性を評価する方法を提供する。神経栄養因子のインビボでの生物学的活性の生体マーカーを同定する方法は、以下を包含する:
(a)哺乳動物にその因子を投与する工程;
(b)この哺乳動物から少なくとも1つの皮膚生検試料を得る工程;
(c)この皮膚生検試料から組織抽出物を調製する工程;ならびに
(d)この組織抽出物中の少なくとも1種の核酸の量またはタンパク質の量を決定する工程。
工程(d)において決定された核酸の量またはタンパク質の量と、この因子の非存在下で発現される同じ核酸の量または同じタンパク質の量との差異は、この核酸またはタンパク質がこの因子のインビボでの生物学的活性の生体マーカーであることを示す。
【0011】
別の一局面において、本発明は、神経栄養因子のインビボでの生物学的活性の生体マーカーを使用する、当該因子のインビボでの生物学的活性を評価する方法を提供する。神経栄養因子のインビボでの生物学的活性を評価する方法は、以下を包含する:
(a)哺乳動物にその因子を投与する工程;
(b)この哺乳動物から少なくとも1つの皮膚生検試料を得る工程;
(c)この皮膚生検試料から組織抽出物を調製する工程;ならびに
(d)この組織抽出物中の少なくとも1種の核酸の量またはタンパク質の量を決定する工程。
工程(d)において決定された核酸の量またはタンパク質の量と、この因子の非存在下で発現される同じ核酸の量または同じタンパク質の量との差異は、この因子が生物学的に活性であることを示す。
【0012】
例示的実施形態において、評価の対象となる神経栄養因子は、アルテミン(artemin)(ニューブラスチン(neublastin)あるいはエノビン(enovin)とも呼ばれる)であり、これはグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)ファミリーのメンバーである。
【0013】
ヒトおよびラットの神経障害性疼痛代用マーカー、神経栄養活性の代用マーカー、および神経栄養因子のインビボでの生物学的活性の生体マーカーの、例示となるヌクレオチド配列ならびに/またはアミノ酸配列もまた提供する(表1および1aを参照のこと)。
【0014】
【表1】

* SMP−神経障害性疼痛の代用マーカー;
SMN−神経栄養活性の代用マーカー;
BMN−神経栄養因子の生体マーカー。
** この表ならびに全ての表において、DNAは、任意の核酸(例えばmRNAおよびDNAを含む)を指す。
【0015】
【表1a】

本発明の様々な実施形態は、以下の説明において記載されるか、あるいは、この説明から理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明を導く実験において、ラットを片側脊髄神経結紮(SNL)に供して、片側性神経障害性疼痛を誘導した。SNLの後、一部のラットには、神経障害性疼痛を緩和することが示されている神経栄養因子であるアルテミン(Gardell et al. (2003) Nature Med., 9(11):1383−1389)を全身的に投与した。誘発された神経障害性疼痛は、行動試験を用いて評価した。次に、両側から皮膚試料を採取し、組織抽出物を調製した。これらの組織抽出物由来のRNAを、アフィメトリクスGeneChipTMで発現分析し、様々な試料中の遺伝子発現プロフィールを測定した。
【0017】
組織は不均質であるため、通常、組織試料における小規模な転写の変化を検出するのは難しく、特にこの変化が少数の細胞亜集団に限定される場合、あるいは間接的な影響の結果である場合に困難である。こうした難点にも拘わらず、本発明は、一部、皮膚生検試料ホモジェネート中の遺伝子発現の検出可能な変化が、神経障害性疼痛の状態を反映しているという発見ならびに実証に基づく。
【0018】
特に、本発明の方法を用いて、その発現レベルが神経障害性疼痛に相関する遺伝子(神経障害性疼痛の代用マーカー)を同定することができる。また本発明を用いて、特に、少なくとも部分的にはアルテミン処置によってその発現レベルが正常化されるこれらの遺伝子のサブセット(神経栄養活性の代用マーカー)を同定することもできる。本発明を用いて、神経障害性疼痛の状態に拘わらず、発現レベルが生物学的に活性なアルテミンの存在と相関する遺伝子のさらなるセット(神経栄養活性の生体マーカー)を同定することもできる。
【0019】
(神経障害性疼痛の代用マーカー)
本発明は、哺乳動物において神経障害性疼痛の代用マーカーを同定する方法を提供し、この方法は以下を包含する:
(a)神経障害性疼痛の条件下にある第1皮膚生検試料を得る工程;
(b)神経障害性疼痛が実質的にない条件下にある第2皮膚生検試料を得る工程;
(c)この第1試料およびこの第2試料から組織抽出物を調製する工程;ならびに
(d)この組織抽出物中の少なくとも1種の核酸の量またはタンパク質の量を決定する工程。
ここでこの第1試料の核酸の量またはタンパク質の量と、この第2試料の同じ核酸の量または同じタンパク質の量との間の差異は、この核酸またはこのタンパク質が神経障害性疼痛の代理マーカーであることを示す。いくつかの実施形態において、第1試料中のこの核酸またはタンパク質の量は、第2試料中の同じ核酸あるいはタンパク質の量と、例えば2倍、3倍、4倍、5倍、8倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、80倍、100倍、あるいは100倍以上異なる。この差異(「倍数変化」とも称する)は、関連する遺伝子の下方制御もしくは上方制御と神経障害性疼痛との相関関係を示す。発現の倍数変化がより大きくなるほど、かつ/または神経障害性疼痛との相関性が高くなるほど、その核酸またはタンパク質は、神経障害性疼痛の代用マーカーとしてより好ましい。
【0020】
第1試料および第2試料は、同一の哺乳動物から得られてもよいし、別々の哺乳動物から得られてもよい。例えば、第1試料および第2試料は、同一の哺乳動物の皮膚の別々の領域から得ることができ、一つは神経障害性疼痛または末梢神経障害に罹患している領域であり、もう一方は、疼痛または神経障害に罹患していない領域である。別の例において第1試料および第2試料は、同一の哺乳動物の皮膚の同じ領域から得られるが、異なるタイミングで得られ得る。例えば、第1試料を、神経障害性疼痛を誘発する前に採取し、第2試料を、神経障害性疼痛を誘発後に得る。さらに別の例において、第1試料を神経障害性疼痛に罹患している領域から採取し、第2試料を、処置後に同じ領域から得ることができる。あるいは、第1試料ならびに第2試料を、別々の哺乳動物から得ることができ、統計分析を用いて共通するコントロールを参照して、核酸あるいはタンパク質の量を比較する。
【0021】
ラットにて神経障害性疼痛の代用マーカーを同定する例示的方法は、実施例において提供される。308のラット核酸(表2)を、これらの例示的方法に従って同定した。続いて対応するタンパク質配列およびヒトオルソログを、GenBankTM等の公に利用可能なデータベースを用いて同定した。162のラットタンパク質配列(表3)、160のヒト核酸配列(表4)、および160のヒトタンパク質配列(表5)を、このようにして同定した。
【0022】
本発明は、哺乳動物における神経障害性疼痛のレベルを評価する方法を提供し、この方法は、以下を包含する:
(a)神経障害性疼痛の条件下にある第1皮膚生検試料を得る工程;
(b)神経障害性疼痛が実質的にない条件下にある第2皮膚生検試料を得る工程;
(c)この第1試料およびこの第2試料から組織抽出物を調製する工程;ならびに
(d)この組織抽出物中の少なくとも1種の核酸の量またはタンパク質の量を決定する工程であって、この核酸またはタンパク質が神経障害性疼痛の代用マーカーである、工程。
ここでこの第1試料の核酸の量またはタンパク質の量と、この第2試料の同じ核酸の量または同じタンパク質の量との間の差異は、神経障害性疼痛のレベルを示す。いくつかの実施形態において、第1試料中のこの核酸の量またはタンパク質の量は、第2試料中の同じ核酸の量またはタンパク質の量と、例えば2倍、3倍、4倍、5倍、8倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、80倍、100倍、または100倍以上異なる。関連する神経障害性疼痛の代用マーカーの発現レベルにおける差異(「倍数変化」)は、神経障害性疼痛のレベル、すなわち程度と相関する。一般に、神経障害性疼痛の代用マーカーが呈する倍数変化の値が大きければ大きいほど、神経障害性疼痛の程度がより大きいことを示す。
【0023】
本明細書に記載したように、第1試料および第2試料は、同一の哺乳動物から得てもよいし、別々の哺乳動物から得てもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、神経障害性疼痛の代用マーカーは核酸である。例示的実施形態において、この核酸は、配列番号1〜308、好ましくは、配列番号1〜42のラットヌクレオチド配列のうちのいずれか一つの非重複部分配列を含む。別の例示的実施形態において、神経障害性疼痛の代用マーカーは、配列番号471〜630、好ましくは、配列番号471〜493のヒトヌクレオチド配列のうちのいずれか一つの非重複部分配列を含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、神経障害性疼痛の代用マーカーはタンパク質である。例示的実施形態において、このタンパク質は、配列番号309〜470、好ましくは、配列番号309〜333のラットタンパク質配列のうちのいずれか一つの非重複部分配列を含む。別の例示的実施形態において、神経障害性疼痛の代用マーカーは、配列番号631〜790、好ましくは、配列番号631〜653のヒトタンパク質配列のうちのいずれか一つの非重複部分配列を含む。
【0026】
神経障害性疼痛が発生する可能性のある状態、ならびにこのため診断または処置の過程において評価を必要とし得る状態としては、外傷的(医原的なものを含む)神経損傷、虚血性神経障害、神経圧迫/エントラップメント、多発性神経障害(遺伝性、代謝性、毒性、炎症性;感染性、腫瘍随伴性、栄養性、アミロイド症ならびに脈管炎におけるもの)、神経叢損傷神経根圧迫、切断手術後の断端痛および幻肢痛、帯状疱疹/帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛および舌咽神経痛、癌関連神経障害(腫瘍の神経浸潤、外科的神経損傷、照射誘発神経損傷、化学療法誘発神経障害に起因する)、脳卒中(梗塞あるいは出血)、多発性硬化症、脊髄損傷、脊髄空洞症/延髄空洞症、癲癇、ならびに空間占拠性病変(space−occupying lesion)が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な傷害の例としては、糖尿病性神経障害、AIDSの感覚神経障害ならびに抗レトロウイルス毒性神経障害、特発性細繊維神経障害、らい病、ファブリー病が含まれる。さらに、神経障害性疼痛を評価する方法を用いて、例えば実施例にて記載したラットにおけるSNL誘発神経障害性疼痛等の、実験動物にて誘発された神経障害性疼痛を評価することができる。
【0027】
本発明の方法を用いる痛みの評価は、薬理学的処置および/または非薬理学的処置の過程にて実施され得る。神経障害性疼痛の非薬理学的処置としては、経皮的電気神経刺激、脊髄刺激、運動皮質刺激、脳深部刺激、減圧術、神経腫切除、神経切離、グリセリン注入、神経病変/神経根病変の高周波処理、後根入口帯病変、ならびに脊髄神経路切断術が挙げられる。
【0028】
(神経栄養活性の代用マーカー)
神経障害性疼痛の代用マーカーのサブセットは、神経障害性疼痛を軽減する化合物または組成物を用いる処置の結果として正常化されると予測される。
【0029】
従って、本発明は、哺乳動物における神経障害性疼痛のレベルに対する化合物または組成物の影響を評価する方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:
(a)神経障害性疼痛を有する哺乳動物にその化合物または組成物を投与する工程;
(b)この哺乳動物から少なくとも1つの皮膚生検試料を得る工程;
(c)この皮膚生検試料から組織抽出物を調製する工程;ならびに
(d)この組織抽出物中の少なくとも1種の核酸の量またはタンパク質の量を決定する工程であって、この核酸またはタンパク質は、神経障害性疼痛の代理マーカーである工程。
ここで工程(d)において決定された核酸の量またはタンパク質の量と、この化合物または組成物の非存在下で発現される同じ核酸の量または同じタンパク質の量との差異は、神経障害性疼痛に対するこの化合物または組成物の効力のレベルを示す。
【0030】
この化合物あるいは組成物の非存在下で発現される核酸の量またはタンパク質の量は、任意の適切な方法によって測定することができる。一方法において、その試料中の核酸の量またはタンパク質の量は、化合物または組成物の非存在下での同じ哺乳動物あるいは別の哺乳動物から得られた別の試料中で発現される同じ核酸の量あるいは同じタンパク質の量と比較される。コントロール試料は、分析前、分析中、または分析後に採取され得る。別の方法では、この試料中の核酸の量またはタンパク質の量は、1つ以上の内部基準の量と比較される。内部基準は所定の条件下での発現レベルが既知である核酸またはタンパク質である。最も代表的には、この基準は、ハウスキーピング遺伝子(例えば、アクチンまたはGAPDH)等の様々な条件下で比較的一定のままである遺伝子である。
【0031】
いくつかの実施形態において、工程(d)において決定される量は、その化合物または組成物の非存在下で発現される同じ核酸または同じタンパク質の量と、例えば2倍、3倍、4倍、5倍、8倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、80倍、100倍、または100倍以上異なる。正常な状態(実質的に神経障害性疼痛のない状態)におけるベースライン発現レベルへ向かって神経障害性疼痛の関連する代用マーカーの発現レベルが「正常する」とは、その化合物または組成物が神経障害性疼痛を軽減することを示す。神経障害性疼痛の条件と「正常化」(「倍数変化が戻る」)条件での発現レベルの差異は、評価の対象である化合物または組成物の神経栄養活性のレベルを示す。一般に、倍数変化が戻る値が大きければ大きいほど、その化合物または組成物が、神経障害性疼痛の処置において、より大きな効力を呈すると予測される。倍数変化が戻る値が大きいほど好ましいが、特定の神経障害性疼痛の代用マーカーに関する倍数変化が戻る値は、対応する、そのマーカーの倍数変化の値を実質的に超えないことが好ましい。
【0032】
ラットにおける神経障害性疼痛のレベルに対する化合物または組成物の影響を評価する例示的方法を、実施例において提供する。107のラット核酸(表6)を、これらの方法に従って同定した。続いて対応するタンパク質配列およびヒトオルソログを、GenBankTM等の公に利用可能なデータベースを用いて同定した。65のラットタンパク質配列(表7)、76のヒト核酸(表8)、ならびに76のヒトタンパク質配列(表9)をこの方法で同定した。
【0033】
いくつかの実施形態において、神経栄養活性の代用マーカーは核酸である。例示的実施形態において、この核酸は、配列番号791〜897、好ましくは、配列番号791〜814のラットヌクレオチド配列の内のいずれか1つの非重複部分配列を含む。別の例示的実施形態では、神経栄養活性の代用マーカーは、配列番号963〜1038、好ましくは、配列番号963〜979のヒトヌクレオチド配列の内のいずれか1つの非重複部分配列を含む核酸である。
【0034】
いくつかの実施形態において、神経栄養活性の代用マーカーはタンパク質である。例示的実施形態において、このタンパク質は、配列番号898〜962、好ましくは、配列番号898〜914のラットタンパク質配列の内のいずれか1つの非重複部分配列を含む。別の例示的実施形態では、神経栄養活性の代用マーカーは、配列番号1039〜NO:1114、好ましくは、配列番号1039〜1055のヒトタンパク質配列の内のいずれか1つの非重複部分配列を含むタンパク質である。
【0035】
いくつかの実施形態において、評価の対象となる化合物または組成物は、神経栄養因子である、あるいは神経栄養因子を含む。「神経栄養因子」は、神経栄養活性を持つ化合物であり、例えば生殖、生存、成長、または神経の正常な生理学的機能の維持に影響を及ぼす化合物である。神経栄養活性は、当該分野で公知である1つ以上の方法によって評価/測定することができ、例えば以下の方法がある:
(1)RETキナーゼ受容体活性化ELISA(KIRA)(Milbrandt et al. (1998) Neuron, 20:245;Sadick et al. 1996, Anal. Biochem., 1996. 235(2):207);
(2)コリンアセチルトランスフェラーゼ酵素アッセイ(Leibrock et al. (1989) Nature, 341:149);
(3)ドーパミン作動性ニューロンを用いるH−ドーパミン取り込みアッセイ(Lev−Fen et al. (1993) Science, 260:1130);あるいは、
(4)ラットクロム親和性細胞腫由来細胞系PC12アッセイ(Ernfors et al., (1991) Nature, 350:1756;Darling et al. (1984) Methods for preparation and assay of nerve growth factor”, Cell Culture Methods for Molecular and Cellular Biology, vol. 4 (Barnes et al.編),pp.79−83, Alan R. Liss, New York;Bradshaw (1978) Ann. Rev. Biochem, 47:191)。
【0036】
例示的実施形態において、評価される神経栄養因子はアルテミンである。神経栄養因子の他の例としては、GDNFファミリーの他のメンバー(例えばGDNF、ニューチュリン(neurturin)、パーセフィン(persephin))、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン(neutrotrophin)−3(NT−3)、白血球遊走阻止因子(LIF)、インターロイキン6(IL6)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、ミッドカイン、ニューロトロフィン(neutrotrophin)−4(NT−4)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、プレイオトロフィン、表皮増殖因子(EGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、ならびにインスリン様成長因子1型(IGF−1)が挙げられる。さらに別の神経栄養因子の例としては、これらの神経栄養因子あるいはそれらの各々の受容体のアゴニストおよびアンタゴニストが挙げられる。アゴニストおよび/またはアンタゴニストの例としては、神経栄養因子に対する抗体、あるいは、それらの受容体およびその受容体の可溶性形態(例えば、GFR−α(ニューチュリンに対する受容体);RETα4(パーセフィンに対する受容体);GFRα3(アルテミンに対する受容体);TrkA(NGFに対する受容体);TrkB(BDNFに対する受容体;TrkC(NT−3に対する受容体);gp130/LIFRβ(LIFに対する受容体);およびgp130(IL6に対する受容体))が挙げられる。
【0037】
いくつかの実施形態において、評価の対象となる化合物または組成物は、神経障害を処置するための薬物もしくは薬物候補であり、これには本明細書にて記載される神経栄養因子が含まれる。現在、神経障害性疼痛の処置のために使用され、よって、神経栄養活性に関して評価され得るる薬物の例としては、抗鬱薬(アミトリプチリン、マプロチリン、選択的セロトニン再取り込み阻害剤)、抗癲癇剤(ガバペンチン、カルバマゼピン、クロナゼパン、ラモトリジン、トピラメート、フェニトイン)、局所麻酔薬、メキシレチン、バクロフェン、クロニジン、ケタミン、デキストロファン、トラマドール、グアネチジン、ならびにオピオイド類(モルヒネ、メタドン、ケトベミドン、フェンタニル)が挙げられる。
【0038】
(神経栄養因子の生体マーカー)
本発明は、「神経栄養因子(本明細書で記載されているもの)」の生物学的活性の生体マーカーを同定する方法を提供する。この方法は以下を包含する:
(a)哺乳動物に、この因子を投与する工程;
(b)この哺乳動物から少なくとも1つの皮膚生検試料を得る工程;
(c)この皮膚生検試料から組織抽出物を調製する工程;ならびに
(d)この組織抽出物中の少なくとも1種の核酸の量またはタンパク質の量を決定する工程。
ここで工程(d)において決定されたこの核酸の量またはタンパク質の量と、この因子の非存在下で発現される同じ核酸または同じタンパク質の量との差異は、この核酸またはタンパク質が、この因子のインビボでの生物学的活性の生体マーカーであることを示す。いくつかの実施形態において、工程(d)で決定された量は、その因子の非存在下で発現される同じの核酸の量または同じタンパク質の量と、例えば2倍、3倍、4倍、5倍、8倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、80倍、100倍、または100倍以上異なる。生物学的に活性な神経栄養因子の存在に起因する発現レベルの差異を、「生体マーカー倍数変化」と名付ける。生体マーカー倍数変化の値が大きければ大きいほど、その核酸あるいはタンパク質は神経栄養因子の生物学的活性の生体マーカーとしてより好ましい。いくつかの生体マーカー(例えば配列番号1120および配列番号1126)は、疼痛の代用マーカーともなる。すなわち、これらマーカーは、神経障害性疼痛および生物学的に活性な神経栄養活性の存在の双方に相関する。さらに、これら生体マーカーのいくらか(例えば配列番号1120および配列番号1126)は、神経栄養活性の代用マーカーとして役立ち得る。
【0039】
化合物または組成物の非存在下で発現される同じ核酸または同じタンパク質の量は、任意の適切な方法によって測定され得る。皮膚生検試料は、同一の哺乳動物から得られてもよいし、別個の哺乳動物から得られてもよい。
【0040】
ラットにおける「神経栄養因子」の生物学的活性の生体マーカーを同定する例示的方法を、以下の実施例において提供する。49のラットの核酸(表10)を、以下の方法に従って同定した。さらに13のラット核酸(表16)を、実施例2に従って同定した。次に、対応するタンパク質配列およびヒトオルソログを、GenBankTM等の公に利用可能なデータベースを用いて同定した。15のラットタンパク質配列(表11)、29のヒト核酸配列(表12)、および29のヒトタンパク質配列(表13)を同じように同定した。さらに、11のラットタンパク質配列(表17)、12のヒト核酸配列(表18)、および12のヒトタンパク質配列(表19)が、表16にある配列に対応すると同定された。
【0041】
本発明は神経栄養因子の生物学的活性を評価するための方法を提供し、この方法は、以下を包含する:
(a)哺乳動物に、この因子を投与する工程;
(b)この哺乳動物から少なくとも1つの皮膚生検試料を得る工程;
(c)この皮膚生検試料から組織抽出物を調製する工程;ならびに
(d)この組織抽出物中の少なくとも1種の核酸の量またはタンパク質の量を決定する工程であって、この核酸またはタンパク質は、この神経栄養因子の生物学的活性の生体マーカーである工程。
ここで工程(d)において決定されたこの核酸の量またはタンパク質の量と、この因子の非存在下で発現される同じ核酸の量または同じタンパク質の量との差異は、この因子が生物学的に活性であることを示す。いくつかの実施形態において、工程(d)で決定される量は、その因子の非存在下で発現される同じの核酸の量または同じタンパク質の量と、例えば2倍、3倍、4倍、5倍、8倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、80倍、100倍、または100倍以上異なる。
【0042】
化合物または組成物の非存在下で発現される同じ核酸の量または同じタンパク質の量は、任意の適切な方法で測定することができる。皮膚生検試料は、同一の哺乳動物から得手もよいし、別個の哺乳動物から得てもよい。
【0043】
例示的実施形態において、評価の対象となる神経栄養因子は、GDNFファミリーのメンバーであるアルテミンである。
【0044】
いくつかの実施形態において、神経栄養因子の生物学的活性の生体マーカーは核酸である。例示的実施形態(例1を参照のこと)において、この核酸は、配列番号1115〜1163、好ましくは、配列番号1115〜1120のラットヌクレオチド配列の内のいずれか1つの非重複部分配列を含む。別の例示的実施形態において、神経栄養因子の生物学的活性の生体マーカーは、配列番号1179〜1207、好ましくは、配列番号1179〜1182のヒトヌクレオチド配列の内のいずれか1つの非重複部分配列を含む。
【0045】
さらに別の例示的実施形態(例2を参照のこと)において、この核酸は、配列番号1252〜1264、好ましくは、配列番号1252〜1256のラットヌクレオチド配列の内のいずれか1つの非重複部分配列を含む。別の例示的実施形態において、神経栄養因子の生物学的活性の生体マーカーは、配列番号1276〜1287、好ましくは、配列番号1276〜1280のヒトヌクレオチド配列の内のいずれか1つの非重複部分配列を含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、神経栄養因子の生物学的活性の生体マーカーはタンパク質である。例示的実施形態(例1に関連する)において、このタンパク質は、配列番号1164〜1178、好ましくは、配列番号1164〜1166のラットタンパク質配列の内のいずれか1つの非重複部分配列を含む。別の例示的実施形態において、神経栄養因子の生物学的活性の生体マーカーは、配列番号1208〜1236、好ましくは、配列番号1208〜1211のヒトタンパク質配列の内のいずれか1つの非重複部分配列を含む。
【0047】
さらに別の例示的実施形態(例2に関連する)において、このタンパク質は、配列番号1265〜1274、好ましくは、配列番号1265〜1269のラットタンパク質配列の内のいずれか1つの非重複部分配列を含む。別の例示的実施形態において、神経栄養因子の生物学的活性の生体マーカーは、配列番号1288〜1299、好ましくは、配列番号1288〜1292のヒトタンパク質配列の内のいずれか1つの非重複部分配列を含む。
【0048】
(その他一般的な方法)
皮膚生検を得るための様々な方法が利用できる。侵襲を最小にするには、吸引カプセルを30〜90分間皮膚上に置いて水疱を発症させることによって表皮を除去することである。真皮−表皮結合部にてこの表皮を清潔に分離する(Kennedy et al. (1999) Muscle Nerve, 98:323−329;米国特許第6,071,247号)。このアプローチは痛みがなく、また全ての血管は真皮乳頭内の表皮の下にて終末しているので、出血することなく行うことができる。こうした理由のため、この方法は、例えば糖尿病患者の脚等に対して特に安全であり得る。別のアプローチは、単純な皮膚パンチ生検である。この手順もまた、よく許容される。生検の直径が3mm以下に限られる場合、縫合の必要がない。生検部位は肉芽形成によって治癒し、小円形の瘢痕が残るが徐々に消散する。
【0049】
RNAレベルまたはタンパク質レベルでの発現レベルは、従来の方法を用いて測定し得る。発現レベルは通常、試料および/またはコントロール中の総RNA量もしくは総タンパク質量に対して評価および/または標準化され、代表的には、アクチンあるいはGAPDH等のハウスキーピング遺伝子である。RNAレベルは、例えば定量的PCR(例えばTaqManTM PCRまたはRT−PCR等)、ノーザンブロット、またはRNAレベルを測定するための他の任意の方法(例えば、Sambrook et al. (編) Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989、またはLodie et al. (2002) Tissue Eng., 8(5):739−751)、あるいはこの実施例において記載されるもの等によって決定されうる。タンパク質レベルは、例えば、ウエスタンブロット、ELISA、酵素活性アッセイ法、あるいはタンパク質レベルを決定するための他の任意の方法(例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al. (編) New York; John Wiley and Sons, 1989)に記載されている)によって決定されうる。
【0050】
本発明の方法では、同一の型あるいは異なる型の1つ以上のマーカーを使用することができる。例えば、1種類、2種類、3種類、4種類、5種類あるいは5種類以上の核酸および/または1種類、2種類、3種類、4種類、5種類あるいは5種類以上のタンパク質を、(a)神経障害性疼痛、(b)神経障害性疼痛に対する化合物または組成物の影響、ならびに/あるいは(c)神経栄養因子の生物学的活性の評価に関する読み出した情報のために使用することができる。
【0051】
この実施例にて示される代表的な方法は、齧歯類を使用して実施されているが、当業者は、このような手順が、他の哺乳動物で、またヒト患者において臨床的に利用可能な変数の範囲内で首尾よく実施され得ることを認識する。例えば、神経障害性疼痛を有するヒト患者から皮膚生検が得られ、本明細書で記載したものと同様の検査に供される。ヒト試料に関しては、市販されているか、または特注のヒト遺伝子アレイを使用することができる(例えばアフィメトリクスTM Human Genome set U133、U133A、ならびにU95)。
【0052】
本明細書で使用される「非重複部分配列」という用語は、その部分配列が存在する配列に特有である部分配列を指す。いくつかの実施形態において、非重複部分配列は少なくとも、例えば10ヌクレオチド、15ヌクレオチド、20ヌクレオチド、30ヌクレオチド、40ヌクレオチド、50ヌクレオチド、70ヌクレオチド、100ヌクレオチド、200ヌクレオチド、300ヌクレオチド、400ヌクレオチド、500ヌクレオチド、1000ヌクレオチド、あるいは1500ヌクレオチドの長さである。
【0053】
以下の配列ならびにこれらの非重複部分配列の全部あるいは一部は、特定の実施形態から除外され得る:(a)配列番号8、15、100、171、199、244にて示されるラットDNA SMP;(b)配列番号315、318、408、420にて示されるラットタンパク質SMP;(c)配列番号476、 478、568、578にて示されるヒトDNA SMP;(d)配列番号636、638、728、738にて示されるヒトタンパク質SMP;(e)配列番号798および834にて示されるラットDNA SMN;(f)配列番号903にて示されるラットタンパク質SMN;(g)配列番号967にて示されるヒトDNA SMN;(h)配列番号1043にて示されるヒトタンパク質SMN;ならびに(i)米国特許出願公開第US2003/0216341号にて開示されている配列。
【0054】
【表2−1】

【0055】
【表2−2】

【0056】
【表2−3】

【0057】
【表2−4】

【0058】
【表2−5】

【0059】
【表2−6】

【0060】
【表2−7】

【0061】
【表2−8】

【0062】
【表2−9】

【0063】
【表2−10】

【0064】
【表2−11】

【0065】
【表2−12】

【0066】
【表2−13】

【0067】
【表3−1】

【0068】
【表3−2】

【0069】
【表3−3】

【0070】
【表3−4】

【0071】
【表3−5】

【0072】
【表3−6】

【0073】
【表3−7】

【0074】
【表4−1】

【0075】
【表4−2】

【0076】
【表4−3】

【0077】
【表4−4】

【0078】
【表4−5】

【0079】
【表4−6】

【0080】
【表4−7】

【0081】
【表5−1】

【0082】
【表5−2】

【0083】
【表5−3】

【0084】
【表5−4】

【0085】
【表5−5】

【0086】
【表5−6】

【0087】
【表5−7】

【0088】
【表6−1】

【0089】
【表6−2】

【0090】
【表6−3】

【0091】
【表6−4】

【0092】
【表6−5】

【0093】
【表7−1】

【0094】
【表7−2】

【0095】
【表8−1】

【0096】
【表8−2】

【0097】
【表8−3】

【0098】
【表9−1】

【0099】
【表9−2】

【0100】
【表9−3】

【0101】
【表10−1】

【0102】
【表10−2】

【0103】
【表11】

【0104】
【表12】

【0105】
【表13】

【0106】
【表16】

【0107】
【表17】

【0108】
【表18】

【0109】
【表19】

【実施例】
【0110】
(実施例1)
(脊髄神経結紮とアルテミン処置)
Kim and Chung (1992) Pain, 50:355−365の手順に従って、オスのSprague(Srague)−Dawleyラットに片側脊髄神経結紮(SNL)を施した。運動機能不全のラットは除外した。麻酔したラットのL脊髄神経およびL脊髄神経を露出させ、4−0シルク縫合糸で堅く結紮した。実際に結紮を行わない擬似手術を同様に行った。
【0111】
ラットアルテミン(113アミノ酸;配列番号1237)を単離して、E.coli封入体から再折りたたみし、精製して>98%の均一性とした(Gardell et al. (2003) Nature Med., 9(11):1383−1389)。(ヒトアルテミンのアミノ酸配列は、配列番号1238にて示されている)。精製したアルテミンはSDS−PAGEによって還元二量体として移動し、サイズ排除クロマトグラフィーおよび逆相HPLCによって、単一のピーク(24kDa)として溶出された。受容体結合性、細胞ベースのc−RETキナーゼ活性化(Sanicola et al., (1997) Proc. Natl. Acd. Sci. USA, 94:6238−6243)、ならびに感覚神経の生存を評価することによって、この精製生成物が、GDNFに特徴的なシステインノットジスルフィドパターンを含有し、且つインビトロにおいて十分に活性であることを確認した。脊髄神経結紮術後3日目、5日目、7日目、10日目、12日目、および14日目に、アルテミン(1mg/kg)を皮下注射した。
【0112】
(行動アッセイ)
Hargreaves et al. (1988) Pain, 32:77−88によって記載されているように、熱刺激に対する痛覚過敏性を評価した。有害な放射熱に反応して後足を引っ込める潜伏時間を測定した。40秒の最大カットオフによって組織損傷は防がれた。
【0113】
触覚引っ込め(tactile withdrawal)閾値は、8つの較正済みvon Freyフィラメント(Stroelting, Wood Dale, Illinois)(0.41 gから15 g。)を使用して後足を探針することによって測定した。各フィラメントは、Chaplan et al. (1994) J. Neurosci. Methods, 53, 55−63によって記載されているアップダウン法を用いて後足底表面へ当てた。刺激強度を連続して増減させることによって、引っ込め閾値を決定し、ディクソン非パラメーター検定を用いて算出した(Dixon (1980) Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol., 20:441−462)。
【0114】
神経結紮誘発触覚および熱痛覚過敏、ならびに神経障害性疼痛行動に対するアルテミンの効果の行動確認の後、続く遺伝子発現プロファイリングのために、脊髄神経結紮後14日目(アルテミン注射ならびに行動試験の後)に、L4真皮節から皮膚試料を採取した。できるだけ多くの体毛を除去するよう皮膚を剃り、全部で12の皮膚試料を採取して瞬間凍結した。4つのグループの各ラットから3つずつ得た:(1)ビヒクル処置+SNL損傷(損傷の同側)、(2)ビヒクル処置+SNL損傷(損傷の反対側)、(3)アルテミン処置+SNL損傷(損傷の同側)、ならびに(4)アルテミン処置+SNL損傷(損傷の反対側)。
【0115】
(総RNAの精製)
TRIzolTM試薬(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)中でUltra−Turrax T8(IKA−Werke, Staufen, Germany)を製造者の手順書に従って使用して、瞬間凍結した皮膚試料をホモジェナイズした。RNeasyTM Miniカラム(Qiagen, Valencia, CA)を製造者の手順書に従って使用して、100μgの総RNAをさらに精製した。
【0116】
(プローブ標識、ハイブリダイゼーション、ならびにスキャニング)
皮膚生検試料に由来するmRNAを、アフィメトリクス Rat Genome U34A、U34B、ならびにU34C GeneChipsTMプローブアレイ上でプロファイリングした。これらのアレイは、24,000を超えるmRNA遺伝子転写物、ならびにUniGeneTMデータベースのBuild 34にあるEST配列、加えてGeneBankTM110の全長配列を含有する。GeneChipsTMプローブアレイは、オリゴヌクレオチドプローブをガラス表面上で直接合成することによって作製されている。各25 merのオリゴヌクレオチドプローブは、1つの遺伝子に対して一意に相補的であり、約16対のオリゴヌクレオチドプローブを使用して、アレイ中に示される遺伝子各々の転写レベルを測定する。
【0117】
試料の標識、ハイブリダイゼーション、ならびに染色は、AffymetrixTM Techinical Manual (701021 rev 1)内の、GeneChipTM Expression Analysis(Affymetrix, Santa Clara, CA)用Eukaryotic Target Preparationのプロトコルに従って実行した。概略を述べると、42℃で1時間のインキュベーションにて、1倍の第1鎖緩衝液(Invitorogen, Carlsbad, CA)中で、5μgの精製した総RNAを、200 U のSuperScriptTM II(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)および0.5μgの(dT)−T7プライマー(配列番号1239)と共に20μLの第1鎖反応に使用した。第2鎖合成は、1倍の第2鎖緩衝液(Invitrogen)中にて、40 UのE. coli DNAポリメラーゼ、2 UのE. coli RNアーゼH、10 UのE. coli DNAリガーゼを添加し、その後16℃で2時間のインキュベーションすることによって行った。GeneChipTM Sample Cleanup Moduleを製造者の手順書(Affymetrix)に従って使用し、この第2鎖合成反応物を精製した。精製したcDNAは、BioArrayTM高収量RNA転写標識キット(Enzo Life Sciences, Parmingdale, NY)を製造者の手順書に従って使用して増幅し、70〜120μgのビオチン標識cRNA(相補RNA)を作製した。ラットゲノムU34 A、B、ならびにC のGeneChipTMプローブアレイを、GeneChipTM Hybridazation Oven640 (Affymetrix)にて、製造者の手順書に従って前もってハイブリダイズさせた。30μLの1倍の断片化緩衝液100 mM KOAc、30 mM MgOAc中にて、15μgの標識cRNAを95℃で35分間断片化した。断片化した標識cRNAは、100 mM MES、1 M Na+、20 mM EDTA、0.01% TweenTM20、0.5 mg/mLアセチル化BSA、0.1 mg/mLニシン精子DNA、コントロールオリゴB2、およびコントロール転写物bioB 1.5 pM、bioC 5 pM、bioD 25 pM、ならびにcre 100 pMを含有する1倍ハイブリダイゼーション緩衝液300μL中に再び懸濁し、製造者の手順書(Affymetrix, Santa Clara, CA)に従ってGeneChipTMプローブアレイにハイブリダイズさせた。このハイブリダイズしたGeneChip(登録商標)プローブアレイを洗浄して、ストレプトアビジン−フィコエリスリン(phycoerythrinin)(Molecular Probes, Eugene, OR)を用いて染色し、抗体増殖の手順書を用いて、ビオチン化抗ストレプトアビジン(Vector Laboratories, Burlingame, CA)(Sigma, Saint Louis, MO)GeneChipTM Fluidics Station 400(Affymetrix)で増殖させた。GeneArrayTMスキャナー(Hewlett Packard, Corvallis, OR)を使用して、このGeneChipTMプローブアレイをスキャニングした。
【0118】
(データの解析)
2つの独立した解析アプローチ(Rosetta ResolverTMおよび、独自の順列ベースのベイズ統計モデル)を使用して、生体マーカーならびに代用マーカーを同定した。
【0119】
Rosetta ResolverTMソフトウエア(Rosetta Biosoftware, Kirkland, WA)を使用して、以下の分析技術を行った。
【0120】
ANOVA分析のため、三連の試料を、1つのグループと見なした。目的の比較は、以下を包含する:
1)ビヒクル処置対アルテミン処置、反対側真皮節
2)ビヒクル処置対アルテミン処置、同側真皮節
3)反対側対同側、ビヒクル処置真皮節
4)反対側対同側、アルテミン処置真皮節。
【0121】
発現レベルがグループ間で有意に異なる(p≦0.01)ことが分かった遺伝子に基づいて、遺伝子リストを作成した。続いてこれらの遺伝子を、倍数変化値の有意性(p≦0.01)に関して検定した。4つの比較事項の各々ついての最終遺伝子リストには、双方の判定基準を通過した遺伝子を含めた。凝集型階層的クラスター法(ヒューリスティク・クライテリア=平均連鎖(average link)、類似性尺度=ユークリッド距離、クラスタリングに使用する強度/Z値)によって、互いからの各比較において、この最終遺伝子リストが2つの群によく分離していることを確認した。
【0122】
順列ベースのベイズ分析を以下のように行った。全ての遺伝子について、順列に基づいたアプローチを使用して、グループ内(同一処置動物間)および試料グループ比較間の、全ての可能性のあるペアワイズに関して発現強度値の対数比の分布を作製した。
【0123】
例えば、3匹の同一処置ラットから、上記に概説した4種の処置状況の各々に関して、3つのグループ内ペアワイズ比較を得た。このように、計12のグループ内対数比と、6つの可能なグループ間比較に関する9のグループ間対数比を得た(表14)。これは、チップA、B、およびCについて行った。
【0124】
【表14】

比率計算は全て、AffymetrixTM MAS5アプリケーションを使用して行った。AffymetrixTM MAS5アプリケーションは、Affymetrix Microarray Suite User’s Guide Version 5.0 (2001)に記載されているアフィメトリクスTM独自のエラーモデルを使用して、バックグラウンド補正強度(完全一致シグナル強度とミスマッチシグナル強度との差)の比を要約している。デフォルトパラメーターを使用してシグナル強度を定量した(アルファ 1=0.04;アルファ 2=0.06;タウ=0.015;ノイズ(RawQ)=2.800;スケール因子(SF)=1.000 ;標準化因子(NF)=1.000;ガンマ1L=0.0025;ガンマ1H=0.0025;ガンマ2L=0.003;ガンマ2H=0.003;揺らぎ(Perturbation)=1.1)。要約されたシグナル対数比を関連づけられたP値と共に統計分析用に出力した。
【0125】
先の対数比の分布を使用して、グループ間比較対数比のP値(事後確立)を更新した。グループ内対数比分布が有意に異なる(p<0.05)グループ間の対数比分布を伴う遺伝子を、識別的に発現される(differentially expressed)遺伝子として選択した。任意の比較についての要約した対数比を、そのグループの全順列対数比の誤差重み付け平均として予測した。
【0126】
脊髄神経結紮損傷が影響を及ぼし(ビヒクル処置の同側真皮節対反対側真皮節)、よって神経障害性疼痛行動と相関する308の遺伝子を、表2に列挙する。
【0127】
アルテミン神経栄養活性の代用マーカーを同定するために、目的の特異的プロフィールを有する遺伝子(例えば、損傷後に上方制御され、次にアルテミン投与に伴い通常レベルまで下方制御される遺伝子)を、反対側ビヒクル処置真皮節対同側ビヒクル処置真皮節ならびに、同側ビヒクル処置真皮節対同側アルテミン処置真皮節を比較する遺伝子リストを交差することによって見出した。このように同定した107のアルテミン神経栄養活性の代用マーカーを表6に列挙する。
【0128】
アルテミンのインビボでの生物学的活性の生体マーカーを同定するため、反対側ビヒクル処置真皮節対反対側アルテミン処置真皮節、ならびに同側ビヒクル処置真皮節対同側アルテミン処置真皮節を比較するリストに共通する遺伝子を同定した。続いて反対側真皮節および同側真皮節において、アルテミンによって同じ方向に制御される遺伝子を同定した。このように、49のアルテミンの生物学的活性の生体マーカーを同定し、これらを表10に列挙する。図7は、TaqManTM分析で未確認のBMNの例を示す。
【0129】
代用マーカーならびに生体マーカーの有効性を確認するために、好ましい神経栄養活性の25の代用マーカーおよび、5つの好ましい生体マーカーを、転写物の存在を確認するための配列分析に使用した。配列分析には、ラットゲノム配列に対するアフィメトリクスTMターゲット配列のBLASTTM検索が含まれる。次に、エキソン、EST、ならびに推定転写物の有無に関してゲノムの座を調べた。転写の証拠に基づいて遺伝子の優先順位を決定し、以下に記載されるようにTaqManTM検証を行った(Holland et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:7276−7280も参照)。
【0130】
(TaqManTM分析)
TrizoleTM(Invitrogen)精製ラット皮膚RNAは、RNeasyTM Miniキット(Qiagen)を製造者の手順書に従って使用して、さらに精製した。Amplification Grade Deoxyribonuclease 1(Invitrogen)を用いてこのRNAを処理し、あらゆる夾雑DNAを除去した。続いてこのRNAをHigh−Capacity cDNA Archive Kit(Applied Biosystems)を用いるcDNA合成のための鋳型として使用した。その結果得られるcDNAを、TaqManTM分析のためのPCR鋳型として使用した。
【0131】
Primer Express 1.5 ソフトウエア(Applied Biosystems)の「TaqMan MGB Probe and Primer Design」機能を使用して、アフィメトリクス・ターゲット配列のためのプライマーならびにプローブ配列を作製した(例えば、rc_AA818804_at RG−U34C、rc_aa818120_at RG−U34C、ならびにX14812_at RG−U34Aについては表15を参照)。
【0132】
【表15】

また、PCRアンプリコン、加えて各遺伝子の5’および3’末端に10 bpを追加したものに及ぶオリゴマーを合成した。Applied Biosystemsによってプライマーならびに6FAM標識プローブを合成し、標準法に従いcDNA鋳型との反応にて始動させた。反応はデフォルト条件を使用したABI PrismTM 7700 Sequence Detectorにて実行し、データはSequence Detection Software v1.9.1(Applied Biosystems)を使用して解析した。アンプリコンオリゴマーの10倍稀釈シリーズを使用して同時PCR反応を実行し、各プライマーとプローブの組み合わせに関して標準曲線を作製した。各試験反応についてのサイクル閾値(Ct)をアンプリコン標準曲線と比較し、mRNAの相対量を決定した。また、TaqManTM Rodent GAPDH Control Reagents(Applied Biosystems)を用いてcDNA試料を解析し、各試料中のGAPDH mRNAの量を決定した。各代用マーカー遺伝子のシグナルをGAPDHコントロールで得られたシグナルで割って、試料を標準化した。この結果を図1〜6に示す。
【0133】
図1〜6に示す遺伝子発現パターンは、アフィメトリクス解析の結果と相応する。これらの遺伝子は全て、非損傷状態(ビヒクル/反対側、ならびにアルテミ/同側)では低レベルで発現され、損傷状態(ビヒクル/同側)においては上方制御され、アルテミン処置後(アルテミン/同側)に少なくとも部分的に正常化される。この発現プロフィールは、ラット脊髄神経結紮モデルにおいてこれらの遺伝子が、アルテミン活性の代用マーカーとして作用することに一致する。
【0134】
(実施例2:アルテミン曝露生体マーカーの測定)
(曝露生体マーカーの試料)
損傷されていないオスのSprague−Dawleyラットに、アルテミンまたはビヒクルを投与し、続いて実施例1のように真皮節L4を処理した。以下のグループの内の3匹ずつから左右の真皮節L4に対応する18個の試料を作製した:(1)非損傷+アルテミン処置、(2)非損傷+ビヒクル処置、(3)未処置。
【0135】
(データの解析)
2つの独立した解析アプローチ(Rosetta ResolverTMならびにAffymetrix/MAS5.0TM)を用いて、アルテミン曝露生体マーカーを同定した。
【0136】
Rosetta ResolverTMソフトウエア(Rosetta Biosoftware, Kirkland, WA)を使用して、以下の解析法を実行した。左右3つずつの試料を、ANOVA分析のための1つのグループと見なした。目的の比較には以下が含まれる:
1)未処置対ビヒクル処置非損傷真皮節;
2)未処置対アルテミン処置非損傷真皮節;ならびに、
3)ビヒクル処置対アルテミン処置非損傷真皮節。
【0137】
発現レベルがグループ間で有意に異なる(p≦0.01)ことが分かった遺伝子に基づき、遺伝子リストを作成した。続いてこれらの遺伝子を、倍数変化値および倍数変化の程度における有意性(p≦0.05)について検定した(−2≧Z値≧2)。各比較についての最終遺伝子リストには、3つの判定基準を全て通過した遺伝子を含めた。
【0138】
アルテミンのインビボでの生物学的活性の生体マーカーを同定するため、未処置対アルテミン処置真皮節ならびにビヒクル処置対アルテミン処置真皮節を比較するリストに共通する遺伝子を同定した。次に、未処置とビヒクル処置との間で変化しない、これらの遺伝子のセットをアルテミン曝露の生体マーカーとして同定した(BMN)。
【0139】
Affymetrix/MAS5TM分析は、以下のように行った。この方策には、(i)動物の左側と右側の間、あるいは(ii)動物の反対側での同一の処理、において識別的に発現されたAffyIDを最初に同定し、これによって動物内における不均一性を示す工程を含んだ。次に、皮膚における、遺伝子発現に対する全身性アルテミン投与の影響を理解するために、全ての処置を比較した。上記(i)もしくは(ii)にて見出されるか、またはビヒクルのみの処置によって変化したと判定されたAffyIDTMは、最終的な考察から除いた。
【0140】
アフィメトリクス(登録商標)Microarray Suite User’s guide Version 5.0 2001に記載されているアフィメトリクス(登録商標)独自のエラーモデルを使用してバックグラウンド補正強度(完全一致シグナル強度とミスマッチシグナル強度との差)を用いるアフィメトリクス(登録商標)MAS5ソフトウエアを使用して、発現強度値の全ての可能性のあるペアワイズ比を作出した。ペアワイズ比のため、MAS5はウィルコクソンの符号付順位検定を用いて、どのAffyIDが変化し(増加あるいは減少「I/D」。)、どれが変化していないか(「NC」)を判定した。
【0141】
上記(i)および(ii)の比較を示す比の半数より多くが「NC」を呈する必要があり;そうでなければ、AffyIDを考察から除いた。左対右の比較に関して、3つの全てのチップに渡って23の全比率を考察し、358のAffyIDTMを落とした。動物観比較については、全てのチップに対して27個の全比率を考察し、1,375個のAffyIDTMを落とした。
【0142】
処理間の比較については、27の比を作出し、各比較について考察した(1チップ当たり9)。9つの比のうち少なくとも8つが、さらなる分析のための考察されるように一定して増加あるいは減少していなければならない。
【0143】
アルテミン処置と未処置ならびにビヒクル処置とを比較する遺伝子リストを交差させると、10個のAffyIDTMがアルテミン曝露マーカーの候補であることが分かった。
【0144】
これら2つの解析を交差させた際に、2つのAffyIDTMを共通して見出した。これら2つの解析を統合することによって得られる13の遺伝子を、アルテミン曝露の生体マーカーとして表16に列挙する。
【0145】
ヌクレオチド配列に対する全ての言及は、所定の配列に相補的な配列を包含すると理解すべきである。全ての刊行物および特許、ならびにアクセッション番号によって本開示に引用された配列は全て、本明細書にその全体が参考として援用される。参考として援用される資料が本明細書と矛盾するか、あるいは相反する場合、本明細書が全てのこのような資料に取って代わる。
【0146】
surrmarkers021705.ST25.txt、サイズが4,689,920バイトの2004年2月17日作製のファイルを含む、「神経障害性疼痛の代用マーカー(「Surrogate Markers of Neuropathic Pain」)と表題されたCD−ROMにて本明細書と共に提出する資料は、本明細書に参考として援用される。
【0147】
本明細書に記載された具体的な実施形態は、例示のみのために提供されるものであり、あらゆる面において、限定することを意図するものではない。本明細書および実施例は例示としてのみみなされ、本発明の真の範囲および趣旨は、以下の請求項によって示すことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】図1は、脊髄神経結紮損傷(SNL)およびアルテミン治療を受けたラットのL4真皮節における、rc_AA818804_at(配列番号18および配列番号799)の遺伝子発現のTaqManTM分析の結果を示す。この遺伝子は、損傷を受ける前は低レベルで、損傷後はより高レベルで、損傷後にアルテミン処置を行った後は正常に近いレベルで発現する。
【図2】図2は、SNLおよびアルテミン処置を受けたラットのL4真皮節における、X14812_at(配列番号37および配列番号813)の遺伝子発現のTaqManTM分析の結果を示す。この遺伝子は、損傷を受ける前は低レベルで、損傷後はより高レベルで、損傷後にアルテミン処置を行った後は正常に近いレベルで発現する。
【図3】図3は、SNLおよびアルテミン処置を受けたラットのL4真皮節における、rc_AA818120_at(配列番号31および配列番号808)の遺伝子発現のTaqManTM分析の結果を示す。この遺伝子は、損傷を受ける前は低レベルで、損傷後はより高レベルで、損傷後にアルテミン処置を行った後は正常に近いレベルで発現する。
【図4】図4は、SNLおよびアルテミン処置を受けたラットのL4真皮節における、rc_AA946094_at(配列番号2および配列番号791)の遺伝子発現のTaqManTM分析の結果を示す。この遺伝子は、損傷を受ける前は低レベルで、損傷後はより高レベルで、損傷後にアルテミン処置を行った後は正常に近いレベルで発現する。
【図5】図5は、SNLおよびアルテミン処置を受けたラットのL4真皮節における、X07314cds_at(配列番号11および配列番号796)の遺伝子発現のTaqManTM分析の結果を示す。この遺伝子は、損傷を受ける前は低レベルで、損傷後はより高レベルで、損傷後にアルテミン処置を行った後は正常に近いレベルで発現する。
【図6】図6は、SNLおよびアルテミン処置を受けたラットのL4真皮節における、M27151_at(配列番号22および配列番号801)の遺伝子発現のTaqManTM分析の結果を示す。この遺伝子は、損傷を受ける前は低レベルで、損傷後はより高レベルで、損傷後にアルテミン処置を行った後は正常に近いレベルで発現する。
【図7】図7は、SNLおよびアルテミン処置を受けたラットのL4真皮節における、rc_AI072712_at(配列番号1118)の遺伝子発現のアフィメトリクス(Affymatrix)分析の結果を示す。損傷の状態に拘わらず、この遺伝子は、ビヒクル処理試料にて比較的高レベル得で発現し、アルテミン処置後に遙かに低いレベルで発現する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における神経障害性疼痛の代理マーカーを同定する方法であって、該方法は:
(a)神経障害性疼痛の条件下にある第1皮膚生検試料を得る工程;
(b)神経障害性疼痛が実質的にない条件下にある第2皮膚生検試料を得る工程;
(c)該第1試料および該第2試料から組織抽出物を調製する工程;ならびに
(d)該組織抽出物中の少なくとも1種の核酸またはタンパク質の量を決定する工程;
を包含し、ここで該第1試料の該核酸の量または該タンパク質の量と、該第2試料の同じ核酸の量または同じタンパク質の量との間の差異は、該核酸または該タンパク質が神経障害性疼痛の代理マーカーであることを示す、方法。
【請求項2】
前記第1試料中の前記核酸または前記タンパク質の量は、前記第2試料中の同じ核酸の量または同じタンパク質の量とは少なくとも2倍異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1試料および前記第2試料は、同じ哺乳動物から得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記哺乳動物は齧歯類である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記哺乳動物はヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記核酸または前記タンパク質は、筋特異的である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
哺乳動物における神経障害性疼痛のレベルを評価する方法であって、該方法は:
(a)神経障害性疼痛の条件下にある第1皮膚生検試料を得る工程;
(b)実質的に神経障害性疼痛がない条件下にある第2皮膚生検試料を得る工程;
(c)該第1試料および該第2試料から組織抽出物を調製する工程;ならびに
(d)該組織中の少なくとも1種の核酸の量またはタンパク質の量を決定する工程であって、該核酸または該タンパク質は、神経障害性疼痛の代理マーカーである、工程;
を包含し、ここで該第1試料中の該核酸の量または該タンパク質の量と、該第2試料中の同じ核酸の量または同じタンパク質の量との間の差異は、神経障害性疼痛のレベルを示す、方法。
【請求項8】
前記第1試料中の前記核酸の量または前記タンパク質の量は、前記第2試料中の同じ核酸の量または同じタンパク質の量とは少なくとも2倍異なる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1試料および前記第2試料は、同じ哺乳動物から得られる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記哺乳動物は齧歯類である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記核酸は、配列番号1〜308のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記核酸は、配列番号1〜42のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記タンパク質は、配列番号309〜470のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記タンパク質は、配列番号309〜333のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記哺乳動物はヒトである、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
前記核酸は、配列番号471〜630のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
前記核酸は、配列番号471〜493のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
前記タンパク質は、配列番号631〜790のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項19】
前記タンパク質は、配列番号631〜653のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項20】
前記代理マーカーは筋特異的である、請求項7に記載の方法。
【請求項21】
哺乳動物における神経障害性疼痛のレベルに対する化合物または組成物の効果を評価する方法であって、該方法は:
(a)神経障害性疼痛を有する該哺乳動物に該化合物または該組成物を投与する工程;
(b)該哺乳動物から少なくとも1つの皮膚生検試料を得る工程;
(c)該皮膚生検試料から組織抽出物を調製する工程;ならびに
(d)該組織抽出物中の少なくとも1種の核酸の量またはタンパク質の量を決定する工程であって、該核酸または該タンパク質は、神経障害性疼痛の代理マーカーである、工程;
を包含し、ここで工程(d)において決定された該核酸の量または該タンパク質の量と、該化合物または該組成物の非存在下で発現される同じ核酸の量または同じタンパク質の量との差異は、神経障害性疼痛に対する該化合物または該組成物の効力のレベルを示す、方法。
【請求項22】
前記工程(d)において決定された量は、前記化合物または前記組成物の非存在下で発現される同じ核酸または同じタンパク質の量とは少なくとも2倍異なる、請求項21に記載に方法。
【請求項23】
前記化合物または前記組成物は、神経栄養因子である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記神経栄養因子は、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)ファミリーに属する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記神経栄養因子はアルテミンである、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記哺乳動物は齧歯類である、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記核酸は、配列番号791〜897のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記核酸は、配列番号791〜814のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、 請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記タンパク質は、配列番号898〜962のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記タンパク質は、配列番号898〜914のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記哺乳動物はヒトである、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記核酸は、配列番号963〜1038のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
前記核酸は、配列番号963〜979のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
前記タンパク質は、配列番号1039〜1114のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項35】
前記タンパク質は、配列番号1039〜1055のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項36】
前記核酸またはタンパク質は筋特異的である、請求項21に記載の方法。
【請求項37】
神経栄養因子の生物学的活性の生体マーカーを同定する方法であって、該方法は:
(a)哺乳動物に、該因子を投与する工程;
(b)該哺乳動物から少なくとも1つの皮膚生検試料を得る工程;
(c)該皮膚生検試料から組織抽出物を調製する工程;ならびに
(d)該組織中の少なくとも1種の核酸またはタンパク質の量を決定する工程;
を包含し、ここで工程(d)において決定された該核酸の量または該タンパク質の量と、該因子の非存在下で発現される同じ核酸または同じタンパク質の量との差異は、該核酸または該タンパク質が、該因子のインビボでの生物学的活性の生体マーカーであることを示す、方法。
【請求項38】
前記工程(d)において決定された量は、前記因子の非存在下で発現される同じ核酸の量または同じタンパク質の量とは少なくともお2倍異なる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記神経栄養因子は、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)ファミリーに属する、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記神経栄養因子はアルテミンである、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記核酸または前記タンパク質は筋特異的である、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
神経栄養因子のインビボでの生物学的活性を評価する方法であって、該方法は:
(a)哺乳動物に該因子を投与する工程;
(b)該哺乳動物から少なくとも1つの皮膚生検試料を得る工程;
(c)該皮膚生検試料から組織抽出物を調製する工程;ならびに
(d)該組織抽出物中の少なくとも1種の核酸の量またはタンパク質の量を決定する工程;
を包含し、ここで工程(d)において決定された該核酸の量または該タンパク質の量と、該因子の非存在下で発現される同じ核酸の量または同じタンパク質の量との差異は、該因子が生物学的に活性であることを示す、方法。
【請求項43】
前記工程(d)において決定された量は、前記因子の非存在下で発現される同じ核酸の量または同じタンパク質の量とは少なくとも2倍異なる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記核酸または前記タンパク質は、神経障害性疼痛の代理マーカーである、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記核酸または前記タンパク質は、前記因子の神経栄養活性の代理マーカーである、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記神経栄養因子は、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)ファミリーに属する、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記神経栄養因子はアルテミンである、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記哺乳動物は齧歯類である、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記核酸は、配列番号1115〜1163のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項50】
前記核酸は、配列番号1252〜1264のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項51】
前記核酸は、配列番号1115〜1120のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項52】
前記核酸は、配列番号1252〜1256のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項53】
前記タンパク質は、配列番号1164〜1178のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項54】
前記タンパク質は、配列番号1265〜1274のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項55】
前記タンパク質は、配列番号1164〜1166のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項56】
前記タンパク質は、配列番号1265〜1269のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項57】
前記哺乳動物はヒトである、請求項42に記載の方法。
【請求項58】
前記核酸は、配列番号1179〜1207のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項59】
前記核酸は、配列番号1276〜1287のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項60】
前記核酸は、配列番号1179〜1182のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項61】
前記核酸は、配列番号1276〜1280のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項62】
前記タンパク質は、配列番号1208〜1236のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項63】
前記タンパク質は、配列番号1288〜1299のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項64】
前記タンパク質は、配列番号1208〜1211のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項65】
前記タンパク質は、配列番号1288〜1292のアミノ酸配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項66】
前記核酸またはタンパク質は筋特異的である、請求項42に記載の方法。
【請求項67】
哺乳動物における神経障害性疼痛のレベルに対するアルテミンの効果を評価する方法であって、該方法は:
(a)神経障害性疼痛を有する哺乳動物にアルテミンを投与する工程;
(b)該哺乳動物から少なくとも1つの皮膚生検試料を得る工程;
(c)該皮膚生検試料から組織抽出物を調製する工程;ならびに
(d)該組織抽出物中の少なくとも1種の核酸の量を決定する工程であって、該核酸は、配列番号791〜814のヌクレオチド配列のうちのいずれか1つの非重複部分配列を含む、工程;
を包含し、ここで工程(d)において決定された該核酸または該タンパク質の量と、該化合物または該組成物の非存在下で発現される同じ核酸または同じタンパク質の量との差異は、神経障害性疼痛に対する該化合物または該組成物の効力のレベルを示す、方法。
【請求項68】
前記工程(d)において決定された量は、前記アルテミンの非存在下で発現される同じ核酸の量または同じタンパク質の量とは少なくとも2倍異なる、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記哺乳動物は齧歯類である、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
神経障害性疼痛は、脊髄神経損傷により引き起こされる、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
実質的に神経障害性疼痛がない条件にある第2の皮膚生検試料を得る工程を包含する、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
前記第1試料および前記第2試料は、同じ哺乳動物から得られる、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記第1皮膚生検試料は、前記脊髄神経損傷に対して対側性の第1部位から得られ、前記第2皮膚生検試料は、前記脊髄神経損傷に対して同側性の第2部位から得られる、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記核酸またはタンパク質は筋特異的である、請求項67に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−536913(P2007−536913A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554241(P2006−554241)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/005250
【国際公開番号】WO2005/083125
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【Fターム(参考)】