説明

移動はんだ付け用はんだ鏝

【課題】はんだ付けすべきピン状端子の列の方向に壁などの障壁がある場合でも、上記ピン状端子を障害なくはんだ付けすることができる移動はんだ付け用はんだ鏝を得る。
【解決手段】はんだ鏝22における鏝先23の先端面35に、移動はんだ付け時にピン状端子38が通過する端子嵌合溝39を、上記はんだ鏝22の移動方向に上記先端面35を横断するように形成すると共に、該端子嵌合溝39に溶けたはんだを供給するためのはんだ供給溝40を、該端子嵌合溝39と交差する向きに上記先端面35を横断するように形成し、かつ、該はんだ供給溝40の一端に、糸はんだ24の先端を当接させて溶融させるためのはんだ溶融溝42を連設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICやLSIなどの電子部品のピン状端子をプリント配線基板にはんだ付けするのに用いるはんだ鏝に関するものであり、さらに詳しくは、プリント配線基板にはんだ鏝の鏝先の先端面を当接または近接させた状態で、上記ピン状端子の列に沿って該はんだ鏝を移動させながらはんだ付けを行う、移動はんだ付け用のはんだ鏝に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11及び図12には、従来の移動はんだ付け用はんだ鏝1における鏝先2の形状と、このはんだ鏝1を使用した移動はんだ付け方法とが示されている。上記はんだ鏝1の鏝先2の先端面3は、該はんだ鏝1の中心軸線Lに対して傾斜しており、この先端面3に端子嵌合溝4が形成されると共に、この端子嵌合溝4の一端に、該端子嵌合溝4に糸はんだ5を溶融させて供給するためのはんだ供給溝6が連設されている。このはんだ供給溝6は、上記端子嵌合溝4の一端から該端子嵌合溝4と同じ方向に延びていて、該端子嵌合溝4に対して傾斜している。
【0003】
図11に示すように、上記はんだ鏝1を使用して電子部品のピン状端子7をプリント配線基板8の環状端子9にはんだ付けするときは、該はんだ鏝1を移動方向前方側に傾けることによって鏝先2の先端面3をプリント配線基板8に平行に当接させ、その状態で、該はんだ鏝1の移動方向前方側に配置したはんだノズル10から糸はんだ5を上記はんだ供給溝6に連続的に供給しながら、該はんだ鏝1を、上記端子嵌合溝4内をピン状端子7が次々と通過するように該ピン状端子7の列に沿って矢印方向に移動させる。そうすると、溶融した糸はんだ5が上記端子嵌合溝4内に流れ込み、表面張力によりはんだ滴となって該端子嵌合溝4内に一旦保持されたあと、該端子嵌合溝4内を通過するピン状端子7と接触することによって該ピン状端子7に沿って流れ落ち、冷やされて固化することにより、はんだ12で該ピン状端子7と上記環状端子9とがはんだ付けされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のはんだ鏝1は、上述した鏝先構造のため、はんだ付けの際に該はんだ鏝1を移動方向前方側に傾けると共に、糸はんだ5の供給を該はんだ鏝1の移動方向前方側から行わなければならず、そのためには、上記はんだノズル10をはんだ鏝1の移動方向前方側に配置しなければならない。このため、例えば図13に示すように、部品11の高い壁11aの間にプリント配線基板8が取り付けられていて、これらの壁11aに向かってピン状端子7の列が延びているような場合には、上記はんだノズル10が壁11aにぶつかってしまうため、上記はんだ鏝1を使用して移動はんだ付けを行うことができない。
【0005】
そこで本発明の技術的課題は、はんだ付けすべきピン状端子の列の方向に壁などの障壁があるような場合でも、これらの障壁に関係なく上記ピン状端子をはんだ付けすることができる、使用性に勝れた移動はんだ付け用はんだ鏝を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、鏝先の先端面に端子嵌合溝を有し、はんだ付けすべきピン状端子の列を備えたプリント配線基板に上記先端面を当接または近接させた状態で、糸はんだを溶融させて上記端子嵌合溝内に供給しながら、該端子嵌合溝内を上記ピン状端子が次々と通過するようにはんだ鏝を該ピン状端子の列に沿って移動させることにより、上記各ピン状端子をプリント配線基板にはんだ付けする移動はんだ付け用の上記はんだ鏝において、上記鏝先の先端面に、上記端子嵌合溝が、該先端面を上記はんだ鏝の移動方向に横断するように形成されると共に、該端子嵌合溝に溶けたはんだを供給するためのはんだ供給溝が、該端子嵌合溝と交差する向きに形成され、かつ、該はんだ供給溝の一端に、糸はんだの先端を当接させて溶融させるためのはんだ溶融溝が連設されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明において好ましくは、上記はんだ溶融溝が、上記はんだ供給溝の一端から上記鏝先の基端部側に向けて形成され、該基端部側に行くに従って次第にはんだ鏝の軸線から遠ざかる方向に傾斜していることである。
また、上記はんだ溶融溝の溝幅が上記はんだ供給溝の溝幅より広く、また、該はんだ供給溝の端部の上記はんだ溶融溝が連なる部分の溝幅が、該はんだ溶融溝の溝幅に合わせて広げられていることが望ましい。
【0008】
本発明においては、上記端子嵌合溝の溝幅及び深さが一定であると共に、上記はんだ供給溝の溝幅及び深さが一定であり、かつ、これらの端子嵌合溝とはんだ供給溝との溝幅及び深さが互いに等しくても構わない。
本発明において好ましくは、上記端子嵌合溝とはんだ供給溝とが十字状に交差していることであり、また、上記鏝先の先端面が、はんだ鏝の軸線に対して直交する平面であることである。
【0009】
また、本発明によれば、請求項1から6の何れかに記載されたはんだ鏝と、該はんだ鏝の鏝先に糸はんだを供給するはんだノズルとを有し、該はんだノズルが、上記はんだ鏝の前面側の位置に、ノズル先端を上記はんだ溶融溝に向けた姿勢で上記はんだ鏝の移動方向と交差する向きに配置されていることを特徴とする移動はんだ付け用はんだ付けヘッドが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、はんだ鏝の鏝先の先端面に、端子嵌合溝をはんだ鏝の移動方向に向けて形成すると共に、該端子嵌合溝に溶けた糸はんだを供給するためのはんだ供給溝を該端子嵌合溝と交差する向きに形成し、さらに、該はんだ供給溝の一端に連なるはんだ溶融溝を形成したので、該はんだ溶融溝に糸はんだを供給するはんだノズルを、はんだ鏝の移動方向と交差する向きに配置することができる。この結果、はんだ付けすべきピン状端子の列に沿ってはんだ鏝を移動させる場合に、その移動方向に部品から立ち上がった壁等の障壁があっても、上記はんだノズルがこの障壁とぶつかり合うことがないため、上記ピン状端子を確実にはんだ付けすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る移動はんだ付け用はんだ鏝の一実施形態について説明する。図1には、自動はんだ付け機に取り付けられて移動はんだ付けを行うはんだ付けヘッド20が示されている。このはんだ付けヘッド20は、鏝ホルダ21に鉛直に保持されたはんだ鏝22と、該はんだ鏝22の下端の鏝先23に該はんだ鏝22の前面側から糸はんだ24を供給するはんだノズル25とを有するもので、上記鏝ホルダ21から延出する取付部材27により図示しない上記自動はんだ付け機に取り付けられている。そして、この自動はんだ付け機により、上記はんだ鏝22を、図1において紙面に垂直な方向に移動させてはんだ付けを行うものである。
【0012】
上記はんだ鏝22は、ステンレス等の金属素材からなる外筒28の内部に図示しない電気ヒーターを内蔵すると共に、該外筒28の先端部(下端部)に、銅製の上記鏝先23を該外筒28の先端から真っ直ぐ下方に向けて延出するように保持させたもので、上記電気ヒーターからの熱を上記鏝先23に伝達してはんだ付けを行うものである。上記外筒28と鏝先23とは互いに同心状に配置されていて、それらの中心軸線ははんだ鏝22の軸線Lと一致している。
【0013】
また、上記はんだノズル25は、上記鏝ホルダ21に連結されたノズル支持機構に支持されている。このノズル支持機構は、上記鏝ホルダ21からはんだ鏝22の前面側に延出する支持アーム30と、該支持アーム30に上下方向に位置調節自在に取り付けられた支持棒31と、該支持棒31の下端部にはんだ鏝22の軸線Lと直交する取付軸32によって傾斜角度を調節自在なるように連結されたノズルホルダ33とを有し、このノズルホルダ33に上記はんだノズル25が、上記取付軸32と平行な軸線を中心にして傾斜角度を調節自在なるように保持されている。
【0014】
上記はんだノズル25は、細長い円筒形をしていて、上記はんだ鏝22の前面側に配置されることにより、該はんだ鏝22の移動方向と交差する方向に延びており、その先端のはんだ送出口は、上記はんだ鏝22の鏝先23の先端部分に向けられている。そして、はんだ付け時に、図示しないはんだ供給装置からこのはんだノズル25を通じて、決められた量の糸はんだ24が、上記鏝先23に連続して供給されるようになっている。
上記鏝先23に対するはんだの供給位置及び供給角度は、上記支持棒31の位置を上下に調節すると共に、上記ノズルホルダ33またははんだノズル25の傾斜角度を調整することによって自由に変更することができる。
【0015】
上記はんだ鏝22の鏝先23は、円柱状をしていて、該鏝先23の先端部分は図2−図6に示すように構成されている。即ち、該鏝先23の先端部分は、円柱の側面を軸線Lに対して傾斜する4つの平らな傾斜面34a,34b,34c,34dにカットしたような形(四角錐台のような形)をしており、該鏝先23の先端面35は、正方形の平面をなしている。この先端面35は、はんだ鏝22の軸線Lに対して直交しており、はんだ付け時にプリント配線基板36の上面に平行に当接または近接した状態に配設される。しかし、上記先端面35は、はんだ鏝の移動方向に長いかまたは該移動方向と直交する方向に長い長方形であっても良い。
上記先端面35の外周の4つの稜角部のうち、少なくともはんだ鏝22の移動方向前方側に位置する稜角部35aは、該先端面35が上記プリント配線基板36の上面に沿って移動する際に該上面にある凹凸に引っ掛かりにくくするため、面取り加工しておくことが望ましい。
上記鏝先23の前面には、軸線Lと平行な平坦面34eが、上記傾斜面34aに連なるように形成されている。
【0016】
上記鏝先23の先端面35には、図4、図5及び図7に示すように、はんだ付けのための端子嵌合溝39と、該端子嵌合溝39に溶融したはんだを供給するためのはんだ供給溝40とが、十字状に交差した状態に形成されている。上記端子嵌合溝39は、はんだ付け時にはんだ鏝22が移動する方向、即ち、該はんだ鏝22の左右方向に上記先端面35を横断しており、上記はんだ供給溝40は、上記はんだ鏝22の移動方向と交差する方向、即ち、該はんだ鏝22の前後方向に上記先端面35を横断している。
【0017】
上記端子嵌合溝39の溝幅W1及び深さD1は、はんだ付け時にピン状端子38がこの端子嵌合溝39内をはんだ付けのために必要な隙間を保って通過することができ、かつ、一つのピン状端子38と環状端子41とがはんだ付けされたあと次のピン状端子38と環状端子41とがはんだ付けされるまでの間、溶融した糸はんだが表面張力によりはんだ滴として該端子嵌合溝39内に一時的に保持され得るような大きさである。また、この端子嵌合溝39の溝幅W1及び深さD1は、該端子嵌合溝39全体について一定である。
【0018】
一方、上記はんだ供給溝40の溝幅W2及び深さD2は、溶融した糸はんだ24がこのはんだ供給溝40を通じて上記端子嵌合溝39にスムースに流れ込み得るような大きさであり、図示の例では、上記端子嵌合溝39の溝幅W1及び深さD1と等しく、かつ、該はんだ供給溝40全体についてこれらの溝幅W2及び深さD2は一定である。しかし、このはんだ供給溝40の溝幅W2及び深さD2は、溶融した糸はんだ24が上記端子嵌合溝39にスムースに流れ込み得るようなものであれば、必ずしも上記端子嵌合溝39の溝幅W1及び深さD1と等しくなくても良く、僅かに大きくても僅かに小さくても構わない。
【0019】
上記はんだ供給溝40の一端には、糸はんだ24の先端を当接させて溶融させるためのV字形やU字形あるいはそれらに類似する形をしたはんだ溶融溝42が連設されている。このはんだ溶融溝42は、はんだ鏝22の前面側に形成されたもので、上記はんだ供給溝40の端部から上記鏝先23の基端部側に向けて上記傾斜面34aと平行に延びていて、該鏝先23の基端部側に行くに従って次第にはんだ鏝22の軸線Lから遠ざかる方向に傾斜している。しかし、上記はんだ溶融溝42は、必ずしも上記傾斜面34aと平行でなくても良い。また、上記はんだ溶融溝42とはんだ供給溝40とが連なる部分は、滑らかな曲面に形成されていても良い。
【0020】
上記はんだ溶融溝42の溝幅W3は、各種径の糸はんだ24に対応できるように、上記はんだ供給溝40の溝幅W2より広く形成されている。また、このはんだ溶融溝42が連なる上記はんだ供給溝40の端部の溝幅は、該はんだ溶融溝42の溝幅W3に合わせて広げられており、このため、該はんだ供給溝40の端部には、上記はんだ溶融溝42の溝形状に合わせて傾斜する溝縁部40aが形成されている。しかし、細い糸はんだ24を使用するような場合には、上記はんだ溶融溝42の溝幅W3は上記はんだ供給溝40の溝幅W2と同じであっても構わない。
【0021】
上記鏝先23には、その表面全体に鉄メッキが施されると共に、濡れ面以外の部分に上記鉄メッキの上から硬質クロムメッキが施されており、上記濡れ面には、はんだメッキが施されている。該濡れ面は、はんだ付け時に溶けたはんだが広がる面であって、上記先端面35と、上記端子嵌合溝39の溝内面、上記はんだ供給溝40の溝内面、及び上記はんだ溶融溝42の溝内面とによってこの濡れ面が形成されている。
【0022】
図7には、上記はんだ鏝22を使用して移動はんだ付けを行っている時の鏝先23の様子が部分的に示されている。図示しない電子部品を内蔵する部品43の上に上記プリント配線基板36が水平に取り付けられ、該プリント配線基板36に形成された複数の環状端子41から、上記電子部品の複数のピン状端子38が上向きに突出している。
【0023】
上記はんだ鏝22は、上記プリント配線基板36に対して垂直に配置され、鏝先23の先端面35が該プリント配線基板36の上面に平行に当接するかまたは僅かなギャップを介して近接した状態に配設されている。その状態で該はんだ鏝22を、上記はんだ溶融溝42に糸はんだ24を連続的に供給しながら上記ピン状端子38の列に沿って矢印方向Aに移動させると、上記端子嵌合溝39内をピン状端子38が次々と通過し、上記糸はんだ24によって該ピン状端子38と上記環状端子41とが次々とはんだ付けされる。
【0024】
このとき、上記はんだ溶融溝42に押し当てられた糸はんだ24は、該はんだ溶融溝42の熱により直ちに溶融し、該はんだ溶融溝42から上記はんだ供給溝40を通じて上記端子嵌合溝39内に流れ込み、表面張力によりはんだ滴となってこれらのはんだ供給溝40及び端子嵌合溝39内に一旦保持される。そして、該端子嵌合溝39内をピン状端子38が通過する際に、このはんだ滴が該ピン状端子38と接触することによって該ピン状端子38に沿って流れ落ち、固化するため、固化したはんだ滴24aによって該ピン状端子38と上記環状端子41とがはんだ付けされる。
一つのピン状端子38が環状端子41にはんだ付けされて端子嵌合溝39から退出したあと、次のピン状端子38が該端子嵌合溝39内に進入して来るまでの間、溶融した糸はんだ24は、上述したように、表面張力によりはんだ滴として上記端子嵌合溝39及びはんだ供給溝40内に一時的に保持される。
【0025】
このようにして、適量の糸はんだ24を連続的に供給しながらはんだ鏝22をピン状端子38の列に沿ってプリント配線基板36上を移動させることにより、各ピン状端子38と環状端子41とが次々とはんだ付けされることになる。
その際、上記糸はんだ24を、はんだ鏝22の鏝先23に対して該はんだ鏝22の移動方向と直交する方向、即ち該はんだ鏝22の前面側から供給することにより、はんだノズル25が該はんだ鏝22の移動方向前方側に向けて大きく延出することがないため、はんだ鏝22の移動方向に部品43から立ち上がった壁43a等の障壁があっても、上記ピン状端子38と環状端子41とを確実にはんだ付けすることができる。
【0026】
図8には、はんだ鏝22の鏝先23の異なる構成例が示されている。この構成例では、鏝先23の先端面35のはんだ供給溝40に対してはんだ鏝22の移動方向前方側に位置する第2面部分35Bを、はんだ鏝22の移動方向後方側に位置する第1面部分35Aより、軸線L方向に僅かに後退させている。換言すれば、上記第1面部分35Aと第2面部分35Bとの間に僅かな段差を形成している。これにより、はんだ付け時に該先端面35を上記プリント配線基板36の上面に沿って移動させる際に、上記第2面部分35Bとプリント配線基板36の上面との間に僅かな隙間を介在させることで、鏝先23の先端面35が該プリント配線基板36の上面の凹凸に引っ掛かりにくいようにしている。
【0027】
図示した実施形態においては、鏝先23の先端面35を軸線Lに対して直角な面とすることにより、はんだ鏝22をプリント配線基板36に垂直に当接させるかまたは近接させた状態ではんだ付けを行うようにしているが、ピン状端子38の列と部品43の壁43aとの間隔がそれほど近くないような場合には、はんだ鏝22を移動方向に若干傾けた状態ではんだ付けを行うこともできる。この場合に、鏝先23の先端面35は、軸線Lに対して必要な角度だけ傾斜した状態に形成され、また、上記端子嵌合溝39の溝底は、該先端面35と平行をなすように形成される。
【0028】
また、上記はんだ供給溝40は、必ずしも上記端子嵌合溝39に対して十字状に交差している必要はなく、図9に示すように、鏝先23の前面側(傾斜面34a側)から上記端子嵌合溝39にちょうど連なる位置まで形成されることにより、該端子嵌合溝39にT字状に連なっていても良い。
あるいは、図10に示すように、上記はんだ供給溝40の、端子嵌合溝39よりも鏝先23の後面側(傾斜面34c側)に延在する溝部分40bを、先端面35の端部にまで達しないように形成することもできる。
さらに、上記鏝先23の先端面35は、必ずしも矩形である必要はなく、円形や楕円形等であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る移動はんだ付け用はんだ鏝の実施形態を示す側面図である。
【図2】鏝先の部分拡大図側面図である。
【図3】鏝先の部分拡大図正面図である。
【図4】鏝先の下面図である。
【図5】図3におけるV−V線での断面図である。
【図6】図2におけるVI−VI線での断面図である。
【図7】移動はんだ付け時の状態を示す要部正面図である。
【図8】鏝先の異なる構成例を示す部分側面図である。
【図9】鏝先のさらに異なる構成例を示す部分側面図である。
【図10】鏝先のさらに異なる構成例を示す部分側面図である。
【図11】従来のはんだ鏝による移動はんだ付け時の状態を示す要部正面図である。
【図12】従来のはんだ鏝の要部の側面図である。
【図13】移動はんだ付けの対象となる部品の一例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0030】
22 はんだ鏝
23 鏝先
24 糸はんだ
25 はんだノズル
35 先端面
36 プリント配線基板
38 ピン状端子
39 端子嵌合溝
40 はんだ供給溝
42 はんだ溶融溝
L 軸線
W1 端子嵌合溝の溝幅
W2 はんだ供給溝の溝幅
W3 はんだ溶融溝の溝幅
D1 端子嵌合溝の深さ
D2 はんだ供給溝の深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏝先の先端面に端子嵌合溝を有し、はんだ付けすべきピン状端子の列を備えたプリント配線基板に上記先端面を当接または近接させた状態で、糸はんだを溶融させて上記端子嵌合溝内に供給しながら、該端子嵌合溝内を上記ピン状端子が次々と通過するようにはんだ鏝を該ピン状端子の列に沿って移動させることにより、上記各ピン状端子をプリント配線基板にはんだ付けする移動はんだ付け用の上記はんだ鏝において、
上記鏝先の先端面に、上記端子嵌合溝が、該先端面を上記はんだ鏝の移動方向に横断するように形成されると共に、該端子嵌合溝に溶けたはんだを供給するためのはんだ供給溝が、該端子嵌合溝と交差する向きに形成され、かつ、該はんだ供給溝の一端に、糸はんだの先端を当接させて溶融させるためのはんだ溶融溝が連設されていることを特徴とする移動はんだ付け用はんだ鏝。
【請求項2】
上記はんだ溶融溝は、上記はんだ供給溝の一端から上記鏝先の基端部側に向けて形成され、該基端部側に行くに従って次第にはんだ鏝の軸線から遠ざかる方向に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のはんだ鏝。
【請求項3】
上記はんだ溶融溝の溝幅が上記はんだ供給溝の溝幅より広く、また、該はんだ供給溝の端部の上記はんだ溶融溝が連なる部分の溝幅が、該はんだ溶融溝の溝幅に合わせて広げられていることを特徴とする請求項1または2に記載のはんだ鏝。
【請求項4】
上記端子嵌合溝の溝幅及び深さが一定であると共に、上記はんだ供給溝の溝幅及び深さが一定であり、かつ、これらの端子嵌合溝とはんだ供給溝との溝幅及び深さが互いに等しいことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のはんだ鏝。
【請求項5】
上記端子嵌合溝とはんだ供給溝とが十字状に交差していることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のはんだ鏝。
【請求項6】
上記鏝先の先端面が、はんだ鏝の軸線に対して直交する平面であることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のはんだ鏝。
【請求項7】
請求項1から6の何れかに記載されたはんだ鏝と、該はんだ鏝の鏝先に糸はんだを供給するはんだノズルとを有し、該はんだノズルが、上記はんだ鏝の前面側の位置に、ノズル先端を上記はんだ溶融溝に向けた姿勢で上記はんだ鏝の移動方向と交差する向きに配置されていることを特徴とする移動はんだ付け用はんだ付けヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−147255(P2010−147255A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322978(P2008−322978)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(390014834)株式会社ジャパンユニックス (21)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】