説明

移動体の診断システム

【課題】移動体の診断を自動的に行い、故障を予防すること。
【解決手段】天井走行車16に振動センサを取り付け、走行モータや昇降モータの出力トルク、回転数等と共に、診断装置26へ入力する。診断装置26ではこれらのデータを統計化し、サポートベクトルマシン群68とクラスター解析部70で解析する。異常の疑いの有る天井走行車16をメンテナンスエリアを走行させ、天井走行車16側の異常か、走行レール側の異常かを判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、天井走行車やスタッカークレーン等の有軌道台車、物品の移載装置、工作機械のツール送り装置、等の移動体の診断に関する。
【背景技術】
【0002】
天井走行車システムを例に説明すると、このシステムは主としてクリーンルーム内に設けられるので、人手による点検を嫌う性質がある。またこのシステムは天井付近に設けられるので、点検は容易ではない。その一方で大規模なシステムでは100台以上の天井走行車が運用されるので、システムを維持するには天井走行車の故障を防止するため、異常を早期に検出する必要がある。
【0003】
天井走行車には、各種のエンコーダや地上側のステーションの荷の有無を検出するセンサ、障害物センサ、コントローラや他の天井走行車との通信機器等が搭載されているが、これらの不良は制御上の異常となって現れやすいので、検出は容易である。これに対してモータや車輪、軸受け、カムなどの機構の異常、特に経年変化により徐々に蓄積されて行く異常は、天井走行車を地上へ降ろして分解点検しないと判別できないものが多い。そこで天井走行車を地上へ降ろさずに走行させたまま、特にメカニカルな機構部分の異常を早期に検出できると、本格的な故障の予防に有効である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の課題は、移動体の診断を自動的に行い、故障を予防することにある。
請求項2の発明での追加の課題は、移動体の正常/異常の他に、異常の症状も自動的に求めることができるようにすることにある。
請求項3の発明での追加の課題は、既知の異常データとは異質の異常を見逃さないようにすることにある。
請求項4の発明での追加の課題は、一般に人手による点検が難しい有軌道台車の診断を自動的に行えるようにすることにある。
請求項5の発明での追加の課題は、クリーンルーム内などでの点検の回数を減らし、かつ複数台の天井走行車の異常を早期に検出し、さらに天井走行車の異常か走行レールなどの地上側設備の異常かを弁別できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、有限かつ所定の移動経路に沿って、加速、定速移動及び減速からなる所定の速度パターンに従って移動する移動体の診断システムであって、移動体の振動検出用のセンサと、移動体の移動用モータの状態を監視するための監視手段と、前記センサの出力及び監視手段の出力から、移動体の移動開始から停止までの行程、もしくはこれを加速域、定速域、減速域に区分した区間毎の特徴を示す、複数の特徴量を求めるための特徴量算出手段と、求めた複数の特徴量を多次元ベクトル空間のベクトルとして、該ベクトル空間での位置から移動体の正常/異常を判別するための判別手段、とを設けたことを特徴とする。
【0006】
特徴量は、センサの信号や監視手段の信号を統計化した統計量でも、これらの信号をフィルタバンクやウェーブレット変換、短時間フーリエ変換などで処理して求めたものでも良い。特徴量はセンサの正常/異常と相関が高いもののみを用いても良いが、相関の低いものが寄与しないように判別手段で処理して、相関の有無を評価せずに特徴量としても良い。診断システムには例えば移動体と診断装置とを備え、特徴量は例えば診断装置で算出するが、移動体で算出しても良い。1台のスタッカークレーンや1台の工作機械等を対象とする小規模な診断システムでは、診断装置をスタッカークレーンや工作機械などに内蔵させても良い。
【0007】
好ましくは、前記判別手段を移動体の異常の種別に対応させて複数設ける。
【0008】
また好ましくは、前記ベクトルで正常な移動体から得られたもののみからなるクラスターを記憶するための手段と、移動体から入力された複数の特徴量からなるベクトルが該クラスターに属するか否かを判別するためのクラスター解析手段とを更に設ける。
【0009】
特に好ましくは、移動体が走行レールに沿って走行すると共に物品の昇降を行う有軌道台車で、少なくとも有軌道台車の走行と昇降とに対して正常/異常を診断する。有軌道台車は例えば天井走行車や地上走行の有軌道台車、あるいはスタッカークレーン等とする。
【0010】
最も好ましくは、移動体がクリーンルーム内の天井空間に設けられた走行レールを走行する複数台の天井走行車で、天井走行車に振動検出用のセンサと走行モータ及び昇降モータの状態を監視するための監視手段とを設け、診断装置では、前記センサと監視手段の信号の特徴量からなるベクトルに基づいて、天井走行車の正常/異常を判別し、かつ異常であると判別した天井走行車に対して、走行レールの他の区間でのデータから再診断する。
【発明の効果】
【0011】
この発明では、振動センサと移動用のモータの状態の監視手段により、移動体のメカニカルな状態をチェックする。移動体は有限かつ所定の移動経路に沿って移動し、かつ加速、定速走行、減速からなる所定の速度パターンに従って移動するので、センサや監視手段の信号は同じパターンの信号の繰り返しのはずである。このためセンサや監視手段の信号を特徴量に変換し、多次元ベクトル空間内での位置を調べると、正常か異常かを判別できる。このようにすると正常状態からのずれを高感度で判別できるので、移動体の異常が故障に発展する前に自動的に検出できる。この発明は、センサや通信機器などの電気/電子機器類の異常の診断にも利用できるが、移動用モータや軸受け、車輪、カム、スプロケットなどのメカニカルないしメカトロニクス機器の異常の有無の診断に適している。
【0012】
請求項2の発明では、異常の有無のみでなく、異常の症状、言い換えると異常の種類も同時に判別する。
【0013】
既知の異常データとはタイプが異なる異常データが発生した場合、判別手段では異常を見逃すことがある。例えば判別手段が異常の種類毎に設けられ、判別手段を設けていないタイプの異常が発生した場合、判別手段に多くを期待できない。また判別手段は例えば既知の異常データと正常データとのいき値となる超平面を求めるものであり、既知の異常データからかけ離れている異常データを検出できるかどうかは疑問である。このような場合、請求項3の発明では、正常データのみからなるクラスターに属さないものを検出するので、未知の異常データでも見逃すことが少ない。
【0014】
走行レールに沿って走行し、かつ物品の昇降を行う有軌道台車は、自動倉庫や搬送システムなどでの中心的な装置であり、一般に人手による点検が困難で、かつ稼働率を高く保つ必要がある。請求項4の発明では有軌道台車の異常を自動的にかつ早期に検出できる。
【0015】
請求項5の発明では、クリーンルーム内の高所を走行するため、人手による点検が特に困難な天井走行車の正常/異常を診断し、さらに走行レールなどの地上側設備の異常か天井走行車の異常かも判別できる。このため多数台の天井走行車を備えた天井走行車システムでも、天井走行車の異常が本格的な故障に発展する前に検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明を実施するための最良の形態を示す。
【実施例】
【0017】
図1〜図6に、実施例を示す。図において、2は天井走行車システムで、地上走行の有軌道台車システムや、クリーンルーム内で液晶基板などを搬送するスタッカークレーン、移載装置、あるいは工作機械の刃先台とツールボックスとの間を往復して、ツールを交換するツールエクスチェンジャー、などの移動体でも良い。天井走行車システム2はクリーンルーム内の天井空間を利用して設けられ、4はインターベイルート、6はイントラベイルートで、8はメンテナンスベイルートで、イントラベイルート6の特別な種類である。メンテナンスベイルート8には周回ルート10を設けて、天井走行車16が周回走行できるようにする。12は分岐合流部、14はカーブである。16は天井走行車で、図1の矢印の向きに沿って走行し、例えば100〜数100台程度の天井走行車16が、システム2内に存在する。
【0018】
18はステーションで、半導体処理装置などに設けられ、天井走行車16との間で物品のやりとりを行い、20はバッファで、物品の一時保管に用いる。メンテナンスベイルート8にはメンテナンスエリア22を設けて、天井走行車16の点検、分解、修理などのメンテナンスを行えるようにする。24は天井走行車コントローラで、天井走行車16に対して搬送指令や、メンテナンスベイルート8へ走行してメンテナンスを受ける、などの指令を送信する。26は診断装置で、例えばコントローラ24を介して天井走行車16の状態を受信し、診断を行う。
【0019】
図2に、天井走行車16とその走行レール30とを示す。なおインターベイルートもイントラベイルートも共通の走行レール30を使用する。走行レール30には上部レール31と下部レール32とがあり、下部レール32にリッツ線33を配置して、天井走行車16の受電部40へ非接触給電を行う。34は走行台車で、例えば駆動輪35と従動輪36並びにガイド輪37を備え、走行モータ38により走行する。39は振動センサで、例えば加速度センサなどを用い、走行台車34に取り付けて、そのx方向,y方向,z方向の振動を独立して測定する。
【0020】
受電部40は前記のリッツ線33から非接触給電により受電し、これと同時にリッツ線33を介して天井走行車コントローラや他の天井走行車との間で通信する。41はフレーム、42は横送り部で、ターンテーブル44〜昇降台48を走行レール30の側方に横送りし、前記のバッファとの間で物品を受け渡しする際などに用いる。43は横送りモータである。44はターンテーブルで、回動モータ45を備えて、昇降駆動部46及び昇降台48を水平面内で回動させて、バッファやステーションとの受け渡しに適した向きに昇降台を回動させる。46は昇降駆動部で、昇降モータ47と図示しない吊持材の巻き取り/繰り出しにより昇降台48を昇降させる。
【0021】
49はカバーで、天井走行車16の例えば前後に設け、50は物品で、ここでは半導体カセットである。実施例では各モータ38,43,45,47に対して、サーボ駆動を行うので、その駆動電流などから出力トルクを求め、モータの軸等に設けたエンコーダなどにより、モータの回転数を監視する。また実施例では、走行台車34に振動センサ39を設けたが、これ以外の部分に設けても良く、例えば昇降台48に設けると、搬送中に物品50が受ける振動を測定できる。
【0022】
天井走行車の動作は、加速,定速運動,減速の組合せである。図3の走行速度パターン51の場合、52は加速区間,53は定速区間,54は減速区間で、これらをそれぞれ1つの区間として、各区間での走行台車のx方向,y方向,z方向のそれぞれの振動と、走行モータの出力トルク並びに回転数を監視する。なお定速区間53が長すぎる場合、例えば1秒以上の場合、これを複数の区間に分割しても良い。
【0023】
昇降速度パターン55では、56は下降区間で昇降台を下降させ、区間56の終了後に、昇降台のチャックを動作させて物品を受け渡しする。その後、昇降台を上昇させるのが上昇区間57である。下降区間56や上昇区間57は一般に1秒以下と短いので、これらを分割せずに1つの区間とする。横送り速度パターン58では、59が進出区間で、横送り部により昇降駆動部などを走行レールの側方に進出させ、復帰区間60で昇降駆動部などを復帰させる。進出区間59と復帰区間60との間で、昇降台の動作や物品を受け渡しを行う。進出区間59や復帰区間60はそれぞれ短い区間なので、これらをそれぞれ1つの区間とする。
【0024】
図4に、診断装置26の構成を示すと、天井走行車16はx,y,zの各方向の振動の程度やモータのトルク並びにモータの回転数を送信する。天井走行車16はこれ以外に、現在位置や時刻並びに走行中,昇降台の昇降中、横送り中などの動作内容を送信する。診断装置26の入力インターフェース62は、これらのデータを天井走行車コントローラなどから入力され、例えば生データを記憶部64で記憶し、これらのデータに対する統計量を統計化部66で求める。記憶部64では生データを天井走行車毎に区別して記憶し、後で読み出せるようにする。また天井走行車からのデータが複数に分割して送信される場合、これらを接続して1まとまりのデータとする。記憶部64では、生データを記憶する代わりに、統計化部66で得た統計量を記憶しても良い。
【0025】
統計化部66では天井走行車のデータを統計量に変換する。統計量としては、例えば図3の各区間に対して、振動やモータトルク、あるいはモータの回転数などの、分散,最大値と最小値の差の絶対値,移動平均の分散などを求め、これ以外に平均値や3次あるいは4次のモーメントなどを求めても良い。統計化部66に代えて、フィルタバンクやウェーブレット変換部、短時間フーリエ変換部などのフィルタを設けて、特徴量を抽出しても良い。
【0026】
得られた統計量を一群のSVM群68及びクラスター解析部70へ入力する。SVM群68では診断対象の症状毎にSVM(サポートベクトルマシン)を設け、例えば天井走行車の走行台車のガイドローラが緩んでいることを1つの症状とすると、緩みが無く正常/ガイドローラがやや緩んでいる/ガイドローラが更に緩んでいる、の3段階に、2つのSVMで診断できる。例えば最初のSVMで、ガイドローラの緩みがないものと、ガイドローラがやや緩んでいる及び更に緩んでいるを区別し、第2のSVMで、ガイドローラが正常もしくはやや緩んでいるものと、更に緩んでいるものとを区別する。診断対象の症状毎にSVMを設けることにより、異常を検出すると共にその症状も検出できる。SVMは症状毎に設け、例えばガイドローラの緩みと、駆動輪や従動輪のがたつきは別の症状である。クラスター解析部70では、正常データのみから成るクラスターを抽出し、クラスターの外部に位置するデータが入力されてくると異常であると診断する。この場合症状は診断できない。
【0027】
図5に、1つのSVMでの判別を模式的に示すと、天井走行車からの入力データは、x,y,zの各方向の振動と、モータ回転数,モータのトルクなどから成る多次元のベクトルと見なすことができる。診断の精度を増す必要がある場合、走行レールの直線区間と分岐合流部やカーブ区間などを区別し、これらの種類を示すデータを付加して、走行位置の種類の次元を加えても良い。また空荷か物品を搬送中かなどの影響を考慮して、これらの次元を加えても良い。診断を行うベクトル空間は多次元空間で、SVMは正常データと異常データとを最も確実に弁別する超平面(ベクトル空間よりも1次元次元の低い空間)を発生させる。超平面は一般に各次元のデータの1次結合で表され、正常/異常のラベル付きで入力された教師データからSVMが自動的に発生させる。そしてこの超平面を境として正常データと異常データを弁別でき、入力データが超平面のいずれの側にあるかから正常/異常を診断できる。
【0028】
図6はクラスター解析を模式的に示し、例えば正常データのみの集合を求めて、それらを含むエリアをクラスターとして発生させる。なおクラスターの内部に異常データが含まれないことを確認することが好ましい。異常データを含む場合、クラスターを変形して異常データを除くようにする。入力ベクトルが、正常データのクラスター内に含まれるかどうかを判別し、含まれない場合、異常の疑いがあるものとする。
【0029】
SVM群68以外に、クラスター解析部70を設けるのは、全ての異常モードや全ての種類の異常データを予め収集しておくことが困難なためである。SVM群68では、予期しない異常モードを検出し、あるいは過去の異常データとは異質なデータを異常と判別することは困難である。そこでクラスター解析部70により、正常データから何らかの意味で離れたデータが発生すると検出する。
【0030】
図4に戻り、SVM群68やクラスター解析部70での診断結果はGUI(グラフィカルユーザインターフェース)72やメンテナンス管理部74へ送られ、GUI72を介してのオペレータの入力やメンテナンス管理部74での処理により、天井走行車16に対して、メンテナンスベイルート8へ走行して点検を受ける、もしくは他の区間から再度診断データを送信するなどの指示を行う。この指示は例えば天井走行車コントローラ24を介して行う。
【0031】
天井走行車16に関して何らかの異常を検出した場合、天井走行車に基づく異常か、走行レールなどの側に原因がある異常かが不明な場合がある。そこで他の区間でのデータを基に再診断するか、あるいはメンテナンスベイルート8を走行させて再診断すると、天井走行車の異常か、走行レール側の異常かを判別できる。教師データ入力76からは、統計化部66で得られたデータのうちで診断が終了し、正常もしくは異常を区別できたものを、SVM群68やクラスター解析部70へ入力する。これによってSVM群68での超平面やクラスター解析部70でのクラスターは徐々に学習して変更される。
【0032】
実施例では以下の効果が得られる。
(1) 天井走行車の状態を自動的に診断できる。このためクリーンルーム内に、天井走行車のメンテナンス用に人が出入りすることを最小限に止めることができ、また故障の発生前に異常を検出できる。
(2) SVM群68を用いることにより、異常の検出と共にその症状を判別できる。
(3) クラスター解析部70により、予期しない異常モードでも見逃しを減らすことができる。
(4) ガイドローラのゆるみなどの軽微な異常も検出でき、かつ移動用のモータや軸受け、車輪などの、検出が困難な異常も検出できる。そのためこれらの機器の、経年変化などによる異常も検出できる。
(5) 走行レール側の異常か、天井走行車側の異常かも識別できる。
(6) 加速や定速走行,減速などの各区間での天井走行車の動作は実質的に同じなので、天井走行車が異なっても、また位置が異なっても、正常の場合得られるデータはほぼ同じである。このため天井走行車毎にSVM群やクラスター解析部を設ける必要がなく、多数台の天井走行車のデータを同じSVM群やクラスター解析部で処理できる。
(7) 生データではなく、統計量や特徴量を用いることにより、診断が容易になる。
【0033】
実施例では天井走行車システム2を例としたが、地上走行の有軌道台車システムやクリーンルーム内で物品を搬送するスタッカークレーン、搬送台車とステーションとの間で物品を移載する移載装置、などにも同様に適用できる。また工作機械のツールボックスと刃先台の間でツールを交換するツールエクスチェンジャーなどの場合も同様に適用できる。またSVMに代えて、判別分析などの他の解析手法を用いても良い。

【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】天井走行車システムのレイアウトを示す平面図
【図2】天井走行車と走行レールとを示す一部切欠部付き正面図
【図3】天井走行車の走行、昇降、横送りの速度パターンと、特徴量抽出用の区間とを示す模式図
【図4】実施例の診断装置のブロック図
【図5】SVMによる正常/異常の判別を模式的に示す図
【図6】クラスター解析で用いる正常クラスターを模式的に示す図
【符号の説明】
【0035】
2 天井走行車システム
4 インターベイルート
6 イントラベイルート
8 メンテナンスベイルート
10 周回ルート
12 分岐合流部
14 カーブ
16 天井走行車
18 ステーション
20 バッファ
22 メンテナンスエリア
24 天井走行車コントローラ
26 診断装置
30 走行レール
31 上部レール
32 下部レール
33 リッツ線
34 走行台車
35 駆動輪
36 従動輪
37 ガイド輪
38 走行モータ
39 振動センサ
40 受電部
41 フレーム
42 横送り部
43 横送りモータ
44 ターンテーブル
45 回動モータ
46 昇降駆動部
47 昇降モータ
48 昇降台
49 カバー
50 物品
51 走行速度パターン
52 加速区間
53 定速区間
54 減速区間
55 昇降速度パターン
56 下降区間
57 上昇区間
58 横送り速度パターン
59 進出区間
60 復帰区間
62 入力インターフェース
64 記憶部
66 統計化部
68 SVM(サポートベクトルマシン)群
70 クラスター解析部
72 GUI(グラフィカルユーザインターフェース)
74 メンテナンス管理部
76 教師データ入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有限かつ所定の移動経路に沿って、加速、定速移動及び減速からなる所定の速度パターンに従って移動する移動体の診断システムであって、
移動体の振動検出用のセンサと、移動体の移動用モータの状態を監視するための監視手段と、
前記センサの出力及び監視手段の出力から、移動体の移動開始から停止までの行程、もしくはこれを加速域、定速域、減速域に区分した区間毎の特徴を示す、複数の特徴量を求めるための特徴量算出手段と、
求めた複数の特徴量を多次元ベクトル空間のベクトルとして、該ベクトル空間での位置から移動体の正常/異常を判別するための判別手段、とを設けたことを特徴とする、移動体の診断システム。
【請求項2】
前記判別手段を移動体の異常の種別に対応させて複数設けたことを特徴とする、請求項1の移動体の診断システム。
【請求項3】
前記ベクトルで正常な移動体から得られたもののみからなるクラスターを記憶するための手段と、移動体から入力された複数の特徴量からなるベクトルが該クラスターに属するか否かを判別するためのクラスター解析手段とを、更に設けたことを特徴とする、請求項1または2の移動体の診断システム。
【請求項4】
移動体が走行レールに沿って走行すると共に物品の昇降を行う有軌道台車で、少なくとも有軌道台車の走行と昇降とに対して正常/異常を診断するようにしたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの移動体の診断システム。
【請求項5】
移動体がクリーンルーム内の天井空間に設けられた走行レールを走行する複数台の天井走行車で、
天井走行車に振動検出用のセンサと走行モータ及び昇降モータの状態を監視するための監視手段とを設け、
診断装置では、前記センサと監視手段の信号の特徴量からなるベクトルに基づいて、天井走行車の正常/異常を判別し、かつ異常であると判別した天井走行車に対して、走行レールの他の区間でのデータから再診断を行うようにしたことを特徴とする、請求項4の移動体の診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−315813(P2006−315813A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140726(P2005−140726)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【出願人】(504255685)国立大学法人京都工芸繊維大学 (203)
【Fターム(参考)】