説明

移動体マップ装置、その処理方法及びプログラム

【課題】地図情報のメモリ容量を効率的に低減させつつ、地図情報の更新を適切に行うことができる移動体マップ装置、その処理方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】移動体マップ装置は、地図情報を記憶する第1記憶手段と、移動体の現在位置を検出する位置検出手段と、移動体の移動状態を検出する状態検出手段と、第1記憶手段の地図情報の中から、移動体の現在位置を含む所定領域を読出す読出手段と、第1記憶手段の地図情報から読み出された所定領域を、一時的に記憶する第2記憶手段と、位置検出手段により検出された移動体の現在位置と、状態検出手段により検出された移動体の移動状態と、に基づいて、移動体が所定領域内から外れるときの移動体の移動位置を予測する移動予測手段と、を備える。読出手段は、第1記憶手段の地図情報の中から、移動予測手段により予測された移動位置を含む所定領域を予め読出し、第2記憶手段に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体が移動を行うための地図情報を記憶部から読み出す移動体マップ装置、その処理方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、移動体が搭載するセンサにより検出されたデータと、移動体が搭載している地図情報と、を移動体自身が比較して、目的地に移動する自律移動技術の開発が行われている。ここで、移動体の移動範囲が増加するに従って、移動体が記憶する地図情報の情報量は増加することとなる。このため、移動体に搭載される地図情報を記憶するためのメモリ容量が増加し、コスト増加に繋がる虞がある。
【0003】
この問題を解決すべく、例えば、複数エリアに分割した地図情報を記憶する第1記憶手段と、移動ロボットの移動に応じて現在位置エリアの地図情報を第1記憶手段から読み出し、第2記憶手段に記憶させ、第2記憶手段に記憶された現在位置エリアの地図情報に基づき移動ロボットの移動を制御する移動ロボット装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−021023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示す移動ロボット装置においては、移動ロボットの移動に応じて第2記憶手段に記憶された現在位置エリアの地図情報を更新するため、例えば、移動体が複数の方向へ移動可能な場合などに、現在位置エリアの地図情報の無駄な更新を行う可能性があり、更新が適切に行えない虞がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、地図情報のメモリ容量を効率的に低減させつつ、地図情報の更新を適切に行うことができる移動体マップ装置、その処理方法及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、地図情報を記憶する第1記憶手段と、移動体の現在位置を検出する位置検出手段と、前記移動体の移動状態を検出する状態検出手段と、前記第1記憶手段の前記地図情報の中から、前記移動体の現在位置を含む所定領域を読出す読出手段と、前記読出手段により前記第1記憶手段の地図情報から読み出された前記所定領域を、一時的に記憶する第2記憶手段と、前記位置検出手段により検出された前記移動体の現在位置と、前記状態検出手段により検出された前記移動体の移動状態と、に基づいて、前記移動体が前記所定領域内から外れるときの前記移動体の移動位置を予測する移動予測手段と、を備え、前記読出手段は、前記第1記憶手段の前記地図情報の中から、前記移動予測手段により予測された前記移動位置を含む所定領域を予め読出し、前記第2記憶手段に記憶させる、ことを特徴とする移動体マップ装置である。この一態様によれば、地図情報のメモリ容量を効率的に低減させつつ、地図情報の更新を適切に行うことができる。
【0008】
この一態様において、前記第2記憶手段に記憶された前記所定領域内には、前記所定領域の中心から所定範囲が設定されており、前記移動予測手段は、前記所定領域内の所定範囲から外れるときの前記移動体の移動位置を予測してもよい。
【0009】
この一態様において、前記読出手段は、前記第2記憶手段に既に記憶されている前記所定領域と、新たに読み出す前記所定領域とのオーバーラップする領域の読出しを行わなくてもよい。これにより、第1記憶手段から読出す地図情報の情報量を低減できるため、処理負荷を軽減することができる。
【0010】
この一態様において、前記地図情報の各小領域は、前記小領域が少なくとも屋内、屋外及び屋内外の境界のうちいずれに位置するかを決める所属情報を夫々含み、前記読出手段は、前記位置検出手段により検出された前記移動体の現在位置が屋内にあると判断したとき、前記各小領域の所属情報に基づいて、前記前記地図情報の所定領域のうち前記屋内の小領域のみを読出し、前記第2記憶手段に記憶させ、前記位置検出手段により検出された前記移動体の現在位置が屋外にあると判断したとき、前記各小領域の所属情報に基づいて、前記地図情報の所定領域のうち前記屋外の小領域のみを読出し、前記第2記憶手段に記憶させ、前記位置検出手段により検出された前記移動体の現在位置が屋外の境界にあると判断したとき、前記各小領域の所属情報に基づいて、前記地図情報の所定領域の全ての小領域を読出し、前記第2記憶手段に記憶させ、前記第2記憶手段の所定領域の更新を夫々行ってもよい。これにより、移動体が屋内又は屋外を移動していることが地図情報の各小領域の所属情報を用いて明確に識別できるため、移動体の現在位置を正確に検出することができる。
【0011】
この一態様において、前記第2記憶手段に記憶された前記地図情報の所定領域に基づいて、前記移動体の移動を制御する制御手段を更に備えていてもよい。これにより、制御手段は移動体を高速かつ高精度に制御することができる。
【0012】
この一態様において、前記状態検出手段は、前記移動体の移動速度、移動加速度、及び移動方向のうち少なくとも1つを検出してもよい。
【0013】
この一態様において、前記読出手段は、前記第1記憶手段の前記地図情報の中から、前記移動予測手段により予測された前記移動位置を中心とした所定領域を予め読出し、前記第2記憶手段に記憶させてもよい。これにより、第2記憶手段の更新後、ロボットが全方位どの方向へ移動したとしても、第2記憶手段の更新が再度必要になるまでの時間にバラツキがなくなるため、更新が必要な時間を予測し易くなり、他の制御を組み込み易くなる。
【0014】
他方、上記目的を達成するための本発明の一態様は、移動体の現在位置を検出するステップと、前記移動体の移動状態を検出するステップと、第1記憶手段の地図情報の中から、前記移動体の現在位置を含む所定領域を読出すステップと、前記第1記憶手段の地図情報から読み出された前記所定領域を、一時的に第2記憶手段に記憶するステップと、前記検出された移動体の現在位置と、前記検出された移動体の移動状態と、に基づいて、前記移動体が前記所定領域内から外れるときの前記移動体の移動位置を予測するステップと、前記第1記憶手段の地図情報の中から、前記予測された移動位置を含む所定領域を予め読出し、前記第2記憶手段に記憶させるステップと、を含む、ことを特徴とする移動体マップ装置の処理方法であってもよい。
【0015】
また、上記目的を達成するための本発明の一態様は、第1記憶手段の地図情報の中から、前記移動体の現在位置を含む所定領域を読出す処理と、前記第1記憶手段の地図情報から読み出された前記所定領域を、一時的に第2記憶手段に記憶させる処理と、前記検出された移動体の現在位置と、前記検出された移動体の移動状態と、に基づいて、前記移動体が前記所定領域内から外れるときの前記移動体の移動位置を予測する処理と、前記第1記憶手段の地図情報の中から、前記予測された移動位置を含む所定領域を予め読出し、前記第2記憶手段に記憶させる処理と、をコンピュータに実行させる、ことを特徴とする移動体マップ装置のプログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、地図情報のメモリ容量を効率的に低減させつつ、地図情報の更新を適切に行うことができる移動体マップ装置、その処理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1に係る移動体マップ装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る地図情報の一例を示す図である。
【図3】(a)所定領域内に設けられた所定範囲を示す図である。(b)所定領域内に設けられた所定範囲を示す図である。(c)所定領域内に設けられた所定範囲を示す図である。
【図4】移動体の現在位置に応じて第2記憶部に記憶される地図情報の所定領域を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る移動体マップ装置の処理方法の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る第2記憶部に記憶される地図情報の所定領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本発明の実施の形態1に係る移動体マップ装置10は、例えば、任意の位置に自律的に移動できるように構成された移動ロボットなどの移動体3に搭載されている。図1は、本実施の形態1に係る移動体マップ装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【0019】
本実施の形態1に係る移動体マップ装置10は、地図情報1を記憶する第1記憶部2と、移動体3の現在位置P1を検出する位置検出部4と、移動体3の移動状態を検出する状態検出部5と、移動体3の移動位置P2を予測する移動予測部6と、第1記憶部2の地図情報1から所定領域7を読み出す読出部8と、読出された所定領域7を一時的に記憶する第2記憶部9と、移動体3の移動を制御する制御部11と、を備えている。
【0020】
移動体マップ装置10は、移動体3の移動に応じて、第1記憶部2に記憶された地図情報1の中から、移動体3の現在位置P1を含む所定領域7を適宜読出し、読出した所定領域7を第2記憶部9に記憶させ、その更新を行う。そして、制御部11は、第2記憶部9の所定領域7を用いて、移動体3の移動を制御する。
【0021】
第1記憶部2は、第1記憶手段の一具体例であり、格子状に複数の小領域(例えば、8m×8m)1aに等分割された地図情報1を記憶している(図2)。また、各小領域は、センサの分解能に応じて更に小さな領域(例えば、0.05m×0.05m)に分割されている。なお、小領域1aの分割方法は、上記方法に限らず任意の分割方法が適用可能である。地図情報1には、例えば、移動体3の走行路や障害物などの情報が含まれている。また、第1記憶部2は、例えば、大容量のハードディスク装置などから構成されている。なお、第1記憶部2は移動体3に設けられる構成であるが、移動体3外に設けられる構成であってもよい。この場合、移動体3は、無線あるいは有線などを介して、第1記憶部2の地図情報1を取得することができる。
【0022】
第2記憶部9は、第2記憶手段の一具体例であり、読出部8により第1記憶部2の地図情報1から読み出された所定領域7を、一時的に記憶する。第2記憶部9は、例えば、RAM(Random Access Memory)などのメモリにより構成されている。
【0023】
位置検出部4は、位置検出手段の一具体例であり、移動体3に搭載された距離センサ41やGPS(Global Positioning System)装置などを用いて、移動体3の現在位置P1を検出する。距離センサ41は、例えば、超音波センサ、ミリ波センサ、カメラ、などで構成されている。位置検出部4は移動予測部6に接続されており、検出した移動体3の現在位置P1を移動予測部6に対して出力する。
【0024】
状態検出部5は、状態検出手段の一具体例であり、移動体3に搭載された検出センサ51を用いて移動体3の移動状態を検出する。ここで、上記検出センサ51は、例えば、車輪速度センサ、速度センサ、加速度センサ、姿勢センサ、ジャイロセンサ、などで構成されている。また、移動体3の移動状態としては、例えば、移動体3の移動速度、移動加速度、移動方向などが含まれる。状態検出部5は移動予測部6に接続されており、検出した移動体3の移動状態を移動予測部6に対して出力する。
【0025】
移動予測部6は、移動予測手段の一具体例であり、位置検出部4からの移動体3の現在位置P1と、状態検出部5からの移動体3の移動状態と、に基づいて、移動体3が所定領域7内から外れるときの移動位置P2を予測する。例えば、移動予測部6は、状態検出部5からの移動体3の移動速度及び移動方向を用いて、移動体3が現在位置P1から移動して、移動体3が所定領域7内から外れるときの移動位置P2を予測する。
【0026】
なお、移動予測部6は、状態検出部5からの移動体3の移動速度、移動加速度、及び移動方向を用いて、移動体3が所定領域7内から外れるときの移動位置P2をより高精度に予測してもよい。また、移動予測部6は、移動体3が過去に移動した際の移動データなどを用いて移動位置P2を予測してもよい。移動予測部6は読出部8に接続されており、予測した移動体3の移動位置P2を読出部8に対して出力する。
【0027】
読出部8は、読出手段の一具体例であり、第1記憶部2の地図情報1の中から、位置検出部4により検出された移動体3の現在位置P1を含む所定領域(5マス×5マス)7を読出し、読出した地図情報1の所定領域7を第2記憶部9に記憶させる(図2)。
【0028】
例えば、読出部8は、位置検出部4により検出された移動体3の現在位置P1の所定領域から外れると判断したとき、第1記憶部2の地図情報1の中から、位置検出部4により検出された移動体3の現在位置P1を中心とした所定領域7を読出し、第2記憶部9に記憶させることで、所定領域7の更新を行う。このように、読出部8は、移動体3がこれから移動するのに必要な範囲の所定領域7のみを、第1記憶部2の全体の地図情報1から部分的に読出し、第2記憶部9に記憶させることで、第2記憶部9の記憶容量を効率的に減少させている。
【0029】
また、読出部8は、第1記憶部2の地図情報1の中から、移動予測部6により予測された移動体3の移動位置P2を中心とした所定領域7を予め読出し、第2記憶部9に記憶させる。これにより、移動体3が所定領域7から外れるときに、予め読出し記憶された所定領域7を用いて第2記憶部9の所定領域7を迅速に更新することができる。
【0030】
なお、読出部8は、第1記憶部2の地図情報1の中から、所定領域7と隣接する領域(例えば、所定領域7の周囲(7マス×7マス))を予め読出し、所定領域7と共に第2記憶部2に記憶させていてもよい。これにより、所定領域7の更新時において、第1記憶部2からの読出すデータ量が低減されるため、処理の高速化を図ることができる。
【0031】
所定領域7は、例えば、一定面積を有する矩形状に形成されているが、これに限らず、任意の形状及び面積で設定可能である。また、所定領域7内には、所定領域7の中心から所定範囲(例えば、矩形状の枠)71が設定されているが、これに限らず、任意に所定範囲71を設定できる。
【0032】
この場合、読出部8は、位置検出部4により検出された移動体3の現在位置P1の所定領域の所定範囲から外れると判断したとき、第1記憶部2の地図情報1の中から、位置検出部4により検出された移動体3の現在位置P1を中心とした所定領域7を読出し、第2記憶部9に記憶させることで、所定領域7の更新を行う。
また、移動予測部6は、位置検出部4からの移動体3の現在位置P1と、状態検出部5からの移動体3の移動状態と、に基づいて、移動体3が所定領域7内の所定範囲71から外れるときの移動位置P2を予測する。
【0033】
例えば、所定領域7において、移動体3の現在位置P1が所定範囲(中心の9つのマス(1マスが8m×8m))71内にある状態(図3(a))から、移動体3の現在位置P1が移動し所定範囲71から外れる(枠にかかる)状態(図3(b))になると、予め読み出された所定領域7に更新される(図3(c))。ここで、例えば、移動体3の移動速度を6km/h(V=1.67m/sec)とした場合に、V<時間T(第1記憶部2から第2記憶部9へのメモリ転送時間)を満たす必要があり、この条件を満たさない場合、移動体3は一旦停止する安全機能を有している。
【0034】
このように、移動体3の現在位置P1が所定範囲71内にあるときは、所定領域7の更新を行わず、所定範囲71外に外れるときだけ所定領域7の更新を行う。これにより、例えば、移動体3が最終目的位置付近で作業を行ったり、移動中に障害物を回避することで、その現在位置近傍を往来することが多々存在するが、その場合でも所定領域7の無駄な更新を行うことが無く、処理負荷の軽減に繋がる。
【0035】
以上により、移動体3の現在位置P1に応じて、第2記憶部9に記憶された地図情報1の所定領域7がタイムリーかつ連続的に更新される(図4)。このように、読出部8は、移動体3の移動に応じて、移動体3がこれから移動する必要範囲の所定領域7のみを、第1記憶部2の全体の地図情報1から部分的に読出し、読出した所定領域7を用いて第2記憶部9の所定領域7を更新する。したがって、第2記憶部9には、その時点で移動体3の走行に必要となる地図情報1の一部のみが常時記憶されるため、第2記憶部9の記憶量を効率的に低減することができ、処理速度の向上及びコスト低減にも繋がる。
【0036】
なお、読出部8は、上記所定領域7の更新において、第2記憶部9に既に記憶された所定領域7とオーバーラップする領域の読出しを行わないようにしてもよい。この場合、読出部8は、第1記憶部2の地図情報1の中から、移動予測部6により予測された移動位置P2を中心とした所定領域7のうち上記オーバーラップした領域を除いた領域を読出し、その新たに読出した領域と、第2記憶部9に既に記憶された所定領域7のオーバーラップした領域と、を用いて、所定領域7を生成し、第2記憶部9に記憶させる。これにより、第1記憶部2から読出す地図情報1の情報量を低減できるため、処理負荷を軽減することができ、更新時間を短縮することができる。
【0037】
また、通常、第2記憶部9の所定領域7の更新完了前に移動体3が所定領域7から外れるのを防止するために、第2記憶部9には、現在記憶されている所定領域7と、第1記憶部2から新たに読み出した所定領域7と、を記憶する必要があるが、一方で、上記のように、オーバーラップする領域の読出しを行なわないことで、第2記憶部9は必要最低限の地図情報を記憶していればよいこととなる。
【0038】
制御部11は、制御手段の一具体例であり、第2記憶部9に記憶された地図情報1の所定領域7に基づいて、移動体3の移動を制御する。このように、大容量で処理速度が遅い第1記憶部2に記憶された地図情報1の中から、その時点で走行に必要な所定領域7のみを読出し第2記憶部9に記憶させ、制御部11はこの処理速度の速い第2記憶部9の所定領域7を常時用いて移動体3の移動を制御する。したがって、制御部11は、移動体3を高速かつ高精度に制御することができる。
【0039】
なお、移動体マップ装置10は、例えば、制御処理、演算処理等を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUによって実行される制御プログラム、演算プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)、処理データ等を記憶するRAM等からなるマイクロコンピュータを中心にして、ハードウェア構成されている。
【0040】
図5は、本発明の実施の形態1に係る移動体マップ装置の処理方法の一例を示すフローチャートである。
【0041】
まず、位置検出部4は、距離センサ41を用いて、移動体3の現在位置P1を検出し(ステップS101)、検出した移動体3の現在位置P1を移動予測部6に対して出力する。また、状態検出部5は、移動体3の検出センサ51を用いて移動体3の移動状態を検出し(ステップS102)、検出した移動体3の移動状態を移動予測部6に対して出力する。
【0042】
次に、移動予測部6は、位置検出部4からの移動体3の現在位置P1と、状態検出部5からの移動体3の移動状態と、に基づいて、移動体3が所定領域7内から外れるときの移動体3の移動位置P2を予測し(ステップS103)、予測した移動体3の移動位置P2を読出部8に対して出力する。
【0043】
その後、読出部8は、第1記憶部2の地図情報1の中から、移動予測部6により予測された移動体3の移動位置P2を中心とした所定領域7を予め読出し(ステップS104)、読出した地図情報1の所定領域7を第2記憶部9に一時的に記憶させる(ステップS105)。
【0044】
さらに、読出部8は、位置検出部4からの移動体3の現在位置P1が、所定領域7に設定された所定範囲71内から外れると判断したとき、予め読出した移動位置P2を含む所定領域7を用いて第2記憶部9の所定領域7を更新する(ステップS106)。制御部11は、第2記憶部9に記憶され逐次更新される地図情報1の所定領域7を用いて移動体3の移動を制御する。
【0045】
以上、本実施の形態1に係る移動体マップ装置10において、読出部8は、第1記憶部2の地図情報1の中から、位置検出部4により検出された移動体3の現在位置P1を含む所定領域7を読出し、読出した地図情報1の所定領域7を第2記憶部9に記憶させる。これにより、第2記憶部9には、その時点で移動体3の走行に必要となる地図情報1の一部のみが常時記憶されるため、第2記憶部9の記憶量を効率的に低減することができ、処理速度の向上及びコスト低減にも繋がる。また、読出部8は、第1記憶部2の地図情報1の中から、移動予測部6により予測された移動体3の移動位置P2を中心とした所定領域7を予め読出し、第2記憶部9に記憶させる。これにより、移動体3が所定領域7から外れるときに、予め第1記憶部2の地図情報1から読出し第2記憶部9に記憶された所定領域7を用いて、迅速に所定領域7の更新を行うことができる。すなわち、地図情報のメモリ容量を低減させつつ、地図情報の更新を適切に行うことができる。
【0046】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る移動体マップ装置10において、第1記憶部2に記憶された地図情報1の各小領域1aは、小領域1aが少なくとも屋内、屋外及び屋内外の境界(屋内及び屋外の両方を含む)のうちいずれに位置するかを決める所属情報を夫々含み(図6)、読出部8は、位置検出部4により検出された移動体3の現在位置P1と、第1記憶部2の対応する小領域1aの所属情報と、に基づいて、第1記憶部2の地図情報1から所定領域7を読出し、第2記憶部9に記憶させてもよい。
【0047】
例えば、読出部8は、位置検出部4により検出された移動体3の現在位置P1が屋内にあると判断したとき、各小領域1aの所属情報に基づいて、地図情報1の所定領域7のうち屋内の小領域1aのみを読出し、第2記憶部9に記憶させる。これにより、移動体3が屋内を移動している場合には屋内のみを移動することとなる。このため、第1記憶部2に記憶された地図情報1の所定領域7のうち、必要な屋内の小領域1aのみを第2記憶部9に読出し、不要な屋外の小領域1aの読出しを抑制できる。
【0048】
また、読出部8は、位置検出部4により検出された移動体3の現在位置が屋外にあると判断したとき、各小領域1aの所属情報に基づいて、地図情報1の所定領域7のうち屋外の小領域1aのみを読出し、第2記憶部9に記憶させる。これにより、移動体3が屋外を移動している場合には屋外のみを移動することとなる。このため、第1記憶部2に記憶された地図情報1の所定領域7のうち、必要な屋外の小領域1aのみを第2記憶部9に読出し、不要な屋内の小領域1aの読出しを抑制できる。
【0049】
さらに、読出部8は、位置検出部4により検出された移動体3の現在位置P1が屋内外の境界にあると判断したとき、各小領域1aの所属情報に基づいて、地図情報1の所定領域7のうち全ての小領域1aを読出し、第2記憶部9に記憶させる。移動体3が屋内外の境界を移動している場合には屋内及び屋外の両方を移動する可能性がある。このため、第1記憶部2に記憶された地図情報1の所定領域7のうち、必要な屋内及び屋外の小領域1aを第2記憶部9に読出す。
【0050】
以上、本実施の形態2に係る移動体マップ装置10によれば、不要な地図情報1の所定領域7の読出しを抑制し、所定領域7の更新を適切に行うことができる。また、従来の移動体のように、レーザセンサなどを用いて現在位置を検出する場合、例えば、屋外と屋内とを画成し、レーザを透過するガラス等の障害物が存在する場合に移動体の現在位置を正確に検出できない場合がある。一方、本実施の形態2に係る移動体マップ装置10によれば、移動体3が屋内又は屋外を移動していることが地図情報の各小領域1aの所属情報を用いて明確に識別できるため、移動体3の現在位置P1を正確に検出することができる。
【0051】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0052】
上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、例えば、図5に示す処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0053】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0054】
1 地図情報
2 第1記憶部
3 移動体
4 位置検出部
5 状態検出部
6 移動予測部
7 所定領域
8 読出部
9 第2記憶部
10 移動体マップ装置
11 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を記憶する第1記憶手段と、
移動体の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記移動体の移動状態を検出する状態検出手段と、
前記第1記憶手段の前記地図情報の中から、前記移動体の現在位置を含む所定領域を読出す読出手段と、
前記読出手段により前記第1記憶手段の地図情報から読み出された前記所定領域を、一時的に記憶する第2記憶手段と、
前記位置検出手段により検出された前記移動体の現在位置と、前記状態検出手段により検出された前記移動体の移動状態と、に基づいて、前記移動体が前記所定領域内から外れるときの前記移動体の移動位置を予測する移動予測手段と、を備え、
前記読出手段は、前記第1記憶手段の前記地図情報の中から、前記移動予測手段により予測された前記移動位置を含む所定領域を予め読出し、前記第2記憶手段に記憶させる、ことを特徴とする移動体マップ装置。
【請求項2】
請求項1記載の移動体マップ装置であって、
前記第2記憶手段に記憶された前記所定領域内には、前記所定領域の中心から所定範囲が設定されており、
前記移動予測手段は、前記所定領域内の所定範囲から外れるときの前記移動体の移動位置を予測する、ことを特徴とする移動体マップ装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の移動体マップ装置であって、
前記読出手段は、前記第2記憶手段に既に記憶されている前記所定領域と、新たに読み出す前記所定領域とのオーバーラップする領域の読出しを行わない、ことを特徴とする移動体マップ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項記載の移動体マップ装置であって、
前記地図情報の各小領域は、前記小領域が少なくとも屋内、屋外及び屋内外の境界のうちいずれに位置するかを決める所属情報を夫々含み、
前記読出手段は、
前記位置検出手段により検出された前記移動体の現在位置が屋内にあると判断したとき、前記各小領域の所属情報に基づいて、前記前記地図情報の所定領域のうち前記屋内の小領域のみを読出し、前記第2記憶手段に記憶させ、
前記位置検出手段により検出された前記移動体の現在位置が屋外にあると判断したとき、前記各小領域の所属情報に基づいて、前記地図情報の所定領域のうち前記屋外の小領域のみを読出し、前記第2記憶手段に記憶させ、
前記位置検出手段により検出された前記移動体の現在位置が屋外の境界にあると判断したとき、前記各小領域の所属情報に基づいて、前記地図情報の所定領域の全ての小領域を読出し、前記第2記憶手段に記憶させ、
前記第2記憶手段の所定領域の更新を夫々行う、ことを特徴とする移動体マップ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちいずれか1項記載の移動体マップ装置であって、
前記第2記憶手段に記憶された前記地図情報の所定領域に基づいて、前記移動体の移動を制御する制御手段を更に備える、ことを特徴とする移動体マップ装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか1項記載の移動体マップ装置であって、
前記状態検出手段は、前記移動体の移動速度、移動加速度、及び移動方向のうち少なくとも1つを検出する、ことを特徴とする移動マップ御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちいずれか1項記載の移動体マップ装置であって、
前記読出手段は、前記第1記憶手段の前記地図情報の中から、前記移動予測手段により予測された前記移動位置を中心とした所定領域を予め読出し、前記第2記憶手段に記憶させる、ことを特徴とする移動マップ御装置。
【請求項8】
移動体の現在位置を検出するステップと、
前記移動体の移動状態を検出するステップと、
第1記憶手段の地図情報の中から、前記移動体の現在位置を含む所定領域を読出すステップと、
前記第1記憶手段の地図情報から読み出された前記所定領域を、一時的に第2記憶手段に記憶するステップと、
前記検出された移動体の現在位置と、前記検出された移動体の移動状態と、に基づいて、前記移動体が前記所定領域内から外れるときの前記移動体の移動位置を予測するステップと、
前記第1記憶手段の地図情報の中から、前記予測された移動位置を含む所定領域を予め読出し、前記第2記憶手段に記憶させるステップと、を含む、ことを特徴とする移動体マップ装置の処理方法。
【請求項9】
第1記憶手段の地図情報の中から、前記移動体の現在位置を含む所定領域を読出す処理と、
前記第1記憶手段の地図情報から読み出された前記所定領域を、一時的に第2記憶手段に記憶させる処理と、
前記検出された移動体の現在位置と、前記検出された移動体の移動状態と、に基づいて、前記移動体が前記所定領域内から外れるときの前記移動体の移動位置を予測する処理と、
前記第1記憶手段の地図情報の中から、前記予測された移動位置を含む所定領域を予め読出し、前記第2記憶手段に記憶させる処理と、をコンピュータに実行させる、ことを特徴とする移動体マップ装置のプログラム。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−168763(P2012−168763A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29554(P2011−29554)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】