説明

移動体検出装置

【課題】回転検出装置1のセンサ信号の変化量が小さくなることを抑制する。
【解決手段】平歯車10が回転してTMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値よりも大きくなり第1電流I1が第2電流I2に比べて小さくなりトランジスタTr2が第2電流I2を減らし、TMR10bの抵抗値がTMR10aの抵抗値に比べて小さくなりトランジスタTr4のドレイン端子の電位が低下しトランジスタTr5のオン抵抗が低下して共通接続端子53の出力信号レベルが低下する。TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値よりも小さくなり第1電流I1が第2電流I2に比べて増大し、トランジスタTr2が第2電流I2を増やし、TMR10bの抵抗値がTMR10aの抵抗値に比べて大きくなり、トランジスタTr4のドレイン端子の電位が上昇してトランジスタTr5のオン抵抗が上昇して共通接続端子53の出力信号レベルが上昇する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性体からなる検出対象の移動を検出す移動体検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、検出対象としての平歯車(ロータ)に対してバイアス磁界を発生するバイアス磁石と、バイアス磁界の変化に伴い抵抗値が変化する2つの磁気素子が直列接続される第1の磁気素子パターンと、バイアス磁石の変化に伴い抵抗値が変化する2つの磁気素子が直列接続される第2の磁気素子パターンとを用いて平歯車の回転を検出するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、第1の磁気素子パターンはその2つの磁気素子の共通接続端子が出力信号を出力する出力端子を構成する。第2の磁気素子パターンはその2つの磁気素子の共通接続端子が出力信号を出力する出力端子を構成する。
【0004】
ここで、平歯車が回転すると、バイアス磁石から発生する磁力線(磁気ベクトル)が回転方向に変位する。これに伴い、第1、第2の磁気素子パターンの出力信号が変化する。そして、第1の磁気素子パターンの出力信号と第2の磁気素子パターンの出力信号とをコンパレータにより比較して、平歯車の回転角度を示す検出信号を出力することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−337922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、第1の磁気素子パターンの出力信号と第2の磁気素子パターンの出力信号とをコンパレータによって比較することにより、平歯車の回転角度を検出することができるものの、平歯車とバイアス磁石との間の距離が離れると、磁力線の回転方向の変位量(すなわち、角度変化量)が小さくなる。このため、第1、第2の磁気素子パターンの出力信号の変化量がそれぞれ小さくなる。よって、コンパレータによって第1、第2の磁気素子パターンの出力信号を比較することが難しくなる。
【0007】
このような問題は、回転する平歯車を検出対象とするのではなく、検出対象の変位を検出する装置にも、生じると考えられる。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、検出対象とバイアス磁石との間の距離が離れても、出力信号の変化量が小さくなることを抑制するようにした移動体検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、電源(Vdd)とグランドとの間に並列接続される第1、第2のトランジスタ(Tr1、Tr2)を備え、前記第1、第2のトランジスタのゲート端子が前記第1のトランジスタのグランド側端子に接続されるカレントミラー回路(43)と、
前記第1のトランジスタとグランドとの間に配置されてピン層を有する第1の磁気抵抗素子(10a)と、
前記第2のトランジスタとグランドとの間に配置されてピン層を有する第2の磁気抵抗素子(10b)と、
一定電圧を出力する定電圧回路(42、75)と、
前記第1のトランジスタと前記第1の磁気抵抗素子との間に配置される第3のトランジスタ(Tr3)と、前記第2のトランジスタと前記第2の磁気抵抗素子との間に配置される第4のトランジスタ(Tr4)とを備え、前記第3、第4のトランジスタのゲート端子に対して前記定電圧回路の出力電圧が与えられて前記第1、第2の磁気抵抗素子に対して前記定電圧回路の出力電圧に基づく一定電圧をそれぞれ与える電圧出力回路(44)と、
前記第2、第4のトランジスタ(Tr2、Tr4)の間に配置されて前記第4のトランジスタの電源側端子の電位に応じて作動する第5のトランジスタ(Tr5)と、を備え、
前記第1、第2の磁気抵抗素子は前記ピン層の磁化方向が互いに異なるように配置されており、前記第1、第2の磁気抵抗素子は、それぞれ、バイアス磁石(20)から発生する磁束密度のうち前記ピン層の磁化方向の成分の変化に伴って抵抗値が変化するものであり、
磁性体からなる検出対象(10)の移動に伴って前記第1、第2の磁気抵抗素子で検出される磁束密度が変化する際に前記第5のトランジスタ(Tr5)は、
前記第1の磁気抵抗素子の抵抗値が前記第2の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて大きくなり、前記電源から前記第1の磁気抵抗素子に流れる第1電流(I1)が、前記電源から前記第2の磁気抵抗素子に流れる第2電流(I2)に比べて小さくなり、前記第1電流の減少に伴って前記第2のトランジスタが前記第2電流(I2)を減らし、また前記第2の磁気抵抗素子の抵抗値が前記第1の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて小さくなったとき、この抵抗値の減少に伴って前記第2電流を増やすように作動して前記第5のトランジスタ(Tr5)の電源側端子と前記第2のトランジスタ(Tr2)のグランド側端子との間の共通接続端子(53)から出力される信号レベルを低下させて、
前記第1の磁気抵抗素子の抵抗値が前記第2の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて小さくなり、前記第1電流が前記第2電流(I2)に比べて増大し、前記第1電流の増大に伴って前記第2のトランジスタが前記第2電流を増大させ、また前記第2の磁気抵抗素子の抵抗値が前記第1の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて大きくなったとき、この抵抗値の増大に伴って前記第2電流を減らすように作動して前記第2、第5のトランジスタの共通接続端子(53)から出力される信号レベルを上昇させることを特徴とする。
【0010】
請求項1に係る発明によれば、検出対象の移動に伴って第1の磁気抵抗素子の抵抗値が第2の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて大きくなり、かつ第2の磁気抵抗素子の抵抗値が第1の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて小さくなり、また検出対象の移動に伴って第1の磁気抵抗素子の抵抗値が第2の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて小さくなり、かつ第2の磁気抵抗素子の抵抗値が第1の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて大きくなる。
【0011】
このように第1、第2の磁気抵抗素子の抵抗値が相反する方向に変化することを利用して、第1電流(I1)および第2電流(I2)を増減させることにより、第2、第5のトランジスタの共通接続端子の出力信号のレベルを変化させることができる。したがって、検出対象とバイアス磁石との間の距離が離れても、出力信号の変化量が小さくなることを抑制することができる。
【0012】
ここで、本発明の移動とは、検出対象の位置が他の位置に変位すること以外に、検出対象が回転することも含むものである。
【0013】
請求項2に記載の発明では、前記検出対象(10)が移動する際に、前記第1の磁気抵抗素子の抵抗値が前記第2の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて大きくなり、かつ前記第2の磁気抵抗素子の抵抗値が前記第1の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて小さくなる第1の状態と、前記第1の磁気抵抗素子の抵抗値が前記第2の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて小さくなり、かつ前記第2の磁気抵抗素子の抵抗値が前記第1の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて大きくなる第2の状態とが交互に繰り返されるようになっていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明では、前記検出対象(10)が移動する際に、前記バイアス磁石(20)から発生する磁束密度が零である磁束密度零部位(A)が前記第1、第2の磁気抵抗素子を繰り返し通過することにより、前記第1の状態と前記第2の状態とが交互に繰り返されるようになっていることを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、検出対象が移動する際に、磁束密度零部位(A)が第1、第2の磁気抵抗素子を繰り返し通過する。このため、第1、第2の磁気抵抗素子で検出される磁束密度の変化量を十分に確保することができる。よって、第1、第2の磁気抵抗素子の抵抗値の変化量を確保することができる。これにより、第1電流の変化量および第2電流の変化量をそれぞれ確保できる。よって、第2電流を増大或いは減少させる役割を第5のトランジスタが確実に果たすことができるので、検出対象とバイアス磁石との間の距離が離れても、出力信号の変化量が小さくなることを確実に抑制することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、前記第3のトランジスタ(Tr3)とグランドとの間において前記第1の磁気抵抗素子(10a)に並列接続されて、抵抗値が制御される可変抵抗素子(11c)と、
前記第2、第5のトランジスタ(Tr2、Tr5)の間の共通接続端子(53)から出力される信号に応じて、前記第1の磁気抵抗素子で検出される磁束密度の変化に対して、前記電源から前記第1、第3のトランジスタ(Tr1、Tr3)に流れる電流(I1)がヒステリシスを持って変化するように、前記可変抵抗素子(11c)の抵抗値を制御する制御回路(70)とを備えることを特徴とする。
【0017】
したがって、請求項4に係る発明によれば、第1の磁気抵抗素子で検出される磁束密度がハンチングしても、第1、第3のトランジスタに流れる電流(I1)の増減を繰り返すことを抑制することができる。よって、第5、第2のトランジスタ(Tr5)の共通接続端子(53)から出力される信号レベルを安定化させることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明では、前記第3のトランジスタとグランドとの間において前記第1の磁気抵抗素子に並列接続される第1の抵抗素子(11a)と、
前記第4のトランジスタとグランドとの間において前記第2の磁気抵抗素子に並列接続される第2の抵抗素子(11b)とを備え、
前記第1の磁気抵抗素子と前記第1の抵抗素子との合成抵抗値と前記第1の磁気抵抗素子の磁束密度との関係を示す特性と、前記第2の磁気抵抗素子と前記第2の抵抗素子との合成抵抗値と前記第2の磁気抵抗素子の磁束密度との関係を示す特性とが、相反関係に近づくように前記第1、第2の抵抗素子の抵抗値が設定されていることを特徴とする。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、第1、第2の磁気抵抗素子のばらつきにより、第1の磁気抵抗素子の抵抗値と磁束密度との関係を示す特性と、第2の磁気抵抗素子の抵抗値と磁束密度との関係を示す特性とが互いに相反する関係になっていなくても、第1、第2の抵抗素子を用いて第1、第2の磁気抵抗素子のばらつきを補正することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明では、前記第1、第2の磁気抵抗素子は、それぞれ、トンネル磁気抵抗素子であることを特徴とする。
【0021】
一般的に、トンネル磁気抵抗素子ではそのトンネル層の破壊を防ぐため印加電圧を低くする必要がある。
【0022】
請求項1に係る発明によれば、上述の如く、第1、第2の磁気抵抗素子には、定電圧回路の出力電圧に基づく一定電圧が与えられる。このため、定電圧回路の出力電圧を調整することにより、第1、第2の磁気抵抗素子の印加電圧を調整できる。したがって、トンネル磁気抵抗素子としての第1、第2の磁気抵抗素子の印加電圧を低く設定することは容易である。
【0023】
また、トンネル磁気抵抗素子は、巨大磁気抵抗素子(GMR)に比べて、磁束密度の変化に対する抵抗値の変化量が大きい。このため、磁束密度の変化量が小さくても、第1電流(I1)の変化量、および第2電流(I2)の変化量をそれぞれ大きくすることができる。このため、出力信号の変化量を大きくすることができる。
【0024】
請求項7に記載の発明では、前記第1、第2の磁気抵抗素子は、それぞれの前記ピン層の磁化方向が逆向きになるように配置されていることを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の発明では、前記第1、第2の磁気抵抗素子は、それぞれの前記ピン層の磁化方向が、前記バイアス磁石のS極とN極とを結ぶ方向に対して平行になるように配置されていることを特徴とする。
【0026】
したがって、第1、第2の磁気抵抗素子で検出される磁束密度の変化量を十分に確保できる。よって、第1、第2の磁気抵抗素子の抵抗値の変化量を十分に確保することができる。
【0027】
これに加えて、上述の請求項7に係る発明のように、第1、第2の磁気抵抗素子は、それぞれのピン層の磁化方向を逆向きになるように配置すれば、第1、第2の磁気抵抗素子で検出される磁束密度の変化量を大きくすることができる。よって、第1、第2の磁気抵抗素子の抵抗値の変化量を大きくすることができる。
【0028】
請求項9に記載の発明では、前記第1、第2の磁気抵抗素子は、互いの前記ピン層の磁化方向が直角に交差するように配置されていることを特徴とする。
【0029】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態における回転検出装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1の回転検出装置の電気回路構成を示す図である。
【図3】図1のバイアス磁石とTMRとの配置を示す図である。
【図4】図1のバイアス磁石とTMRとの配置を示す図である。
【図5】図1のTMRの磁束密度と抵抗値との関係を示す特性図である。
【図6】図1のTMRの磁束密度と抵抗値との関係を示す特性図である。
【図7】本発明の第2実施形態の回転検出装置の電気回路構成を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態の回転検出装置の電気回路構成を示す図である。
【図9】本発明の第4実施形態の回転検出装置の電気回路構成を示す図である。
【図10】本発明の第5実施形態における回転検出装置の概略構成を示す図である。
【図11】第5実施形態の着磁ロータの構成を説明するための図である。
【図12】第5実施形態のTMRに印加される磁場方向およびピン層の磁化方向を示す図である。
【図13】第5実施形態の変形例におけるTMRに印加される磁場方向およびピン層の磁化方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0032】
(第1実施形態)
図1に本発明に係る回転検出装置1の第1実施形態を示す。図1は回転検出装置1の概略構成を示す図である。
【0033】
図1の回転検出装置1は、TMR10a、10bを用いて、検出対象としての平歯車10の回転を検出するためのもので、TMR10a、10b以外に、バイアス磁石20および回路チップ30を備える。
【0034】
平歯車10は、鉄などの磁性体材料からなるロータである。バイアス磁石20は、永久磁石からなるもので、例えば平歯車10の径方向(図中左右方向)にS極およびN極が並ぶように配置されている。本実施形態のバイアス磁石20は、例えばN極が平歯車10の外周部に向けられている。バイアス磁石20としては、例えば略正方形の板状に形成されたものである。
【0035】
回路チップ30は、TMR10a、10bを含む回転検出回路が実装される回路基板であって、バイアス磁石20上に搭載されている。なお、回転検出装置1の回路構成は後述する。
【0036】
TMR10a、10bは、回路チップ30上に配置されている。TMR10a、10bは、バイアス磁石20のうち平歯車10側に位置する。TMR10a、10bは、それぞれ、トンネル層およびピン層を有する周知のトンネル磁気抵抗素子である。
【0037】
本実施形態のTMR10a、10bのそれぞれのピン層の磁化方向が、バイアス磁石20のS極とN極とを結ぶ方向に平行になっている。TMR10a、10bは、ピン層の磁化方向が、互いに逆方向に向くように配置されている。
【0038】
なお、図1中矢印Taは、TMR10aのピン層の磁化方向を示し、図1中矢印TbはTMR10bのピン層の磁化方向を示している。
【0039】
図2に本実施形態の回転検出装置1の回路構成を示す。回転検出装置1は、抵抗素子R1、R2、R3、R4、コンデンサ40、ツェナーダイオード41、定電圧回路42、カレントミラー回路43、電圧出力回路44、トランジスタTr5、Tr6、バッファ回路47、およびインバータ回路48を備える。
【0040】
抵抗素子R1は、コンデンサ40とともに、電源Vddのプラス電極とグランドの間で直列接続されて、ローパスフィルタ回路を構成している。
【0041】
ツェナーダイオード41は、抗素子R1とコンデンサ40との間の共通接続端子50とグランドとの間に接続されて、共通接続端子50とグランドとの間の過電圧を吸収する過電圧保護素子を構成する。
【0042】
定電圧回路42は、抵抗素子R2を介して共通接続端子50から与えられる電圧に応じて、一定の電圧を出力する。具体的には、定電圧回路42は、トランジスタ42a、42bを備える。トランジスタ42a、42bは、抵抗素子R2とグランドとの間で直列接続されている。トランジスタ42a、42bは、nMOSトランジスタであって、それぞれのゲート端子がドレイン端子に接続されている。このことにより、トランジスタ42a、42bのうち電源側トランジスタ42aのゲート端子とドレイン端子との間の共通接続端子52から一定電圧が出力されることになる。一定電圧は、トランジスタ42a、42bのスレッショルド電圧により設定されるものである。
【0043】
カレントミラー回路43は、トランジスタTr1、Tr2を備える。トランジスタTr1、Tr2は、pMOSトランジスタであって、共通接続端子50とグランドとの間で並列接続されている。トランジスタTr1、Tr2のゲート端子は、トランジスタTr1のドレイン端子に共通接続されている。
【0044】
電圧出力回路44は、トランジスタTr3、Tr4を備えている。トランジスタTr3は、トランジスタTr1とグランドとの間に配置されている。トランジスタTr4は、トランジスタTr2とグランドとの間に配置されている。トランジスタTr3とグランドとの間には、TMR10aが配置されている。トランジスタTr4とグランドとの間には、TMR10bが配置されている。
【0045】
トランジスタTr3、Tr4のゲート端子には、定電圧回路42の出力電圧が与えられる。したがって、定電圧回路42の出力電圧VからトランジスタTr3のスレッショルド電圧Vth1を引いた一定電圧(V−Vth1)がTMR10aの両端子間に加わることになる。定電圧回路42の出力電圧VからトランジスタTr4のスレッショルド電圧Vth2を引いた一定電圧(V−Vth2)がTMR10bの両端子間に加わることになる。
【0046】
トランジスタTr5は、トランジスタTr2、Tr4の間に配置されるnMOSトランジスタである。
【0047】
バッファ回路47は、トランジスタTr5のゲート端子とソース端子との間に配置されて、共通接続端子52の電位に応じてトランジスタTr5を制御する回路である。
【0048】
図1において、便宜上、バッファ回路47として、インバータ回路の回路記号を用いて記しているが、バッファ回路47は、共通接続端子52の電位に応じて出力信号のレベルを連続的に変化させるものである。具体的には、共通接続端子52の電位が上昇すると、バッファ回路47の出力信号レベルが低下して、共通接続端子52の電位が低下すると、バッファ回路47の出力信号レベルが上昇する。共通接続端子52は、トランジスタTr5のソース端子とトランジスタTr4のドレイン端子との間の共通接続端子である。
【0049】
インバータ回路48は、共通接続端子53から出力される信号に応じてハイレベル信号或いはローレベル信号を出力する。共通接続端子53は、トランジスタTr2のドレイン端子とトランジスタTr5のドレイン端子との間の共通接続端子である
トランジスタTr6は、電源Vaaとグランドとの間で配置されて、インバータ回路48の出力信号に応じてオンオフする。抵抗素子R3、R4は、トランジスタTr6と電源Vaaとの間に直列接続されている。抵抗素子R3、R4の間の共通接続端子54からセンサ信号が出力される。センサ信号は、後述するように平歯車10の回転角度を示すものである。
【0050】
なお、本実施形態の電源Vddの出力電圧は、電源Vaaの出力電圧と異なる電圧値に設定されている。
【0051】
次に、本実施形態の回転検出装置1の作動について説明する。図3、図4は
バイアス磁石20とTMR10a、10bとの配置を示す図である。図5はTMR10aの抵抗値と磁束密度との関係を示す特性図、図6はTMR10bの抵抗値と磁束密度との関係を示す特性図である。
【0052】
まず、平歯車10が回転して、平歯車10の山部10aがバイアス磁石20に近づく第1の状態(図1参照)と、平歯車10の谷部10bがバイアス磁石20に近づく第2の状態とを交互に繰り返すことになる。
【0053】
このように第1の状態と第2の状態とが繰り返されることにより、バイアス磁石20から生じる磁力線の分布が交互に変わる。
【0054】
第1の状態では、図4に示すように、0mTラインAがTMR10a、10bに対して平歯車10の反対側に位置する。0mTラインAは、バイアス磁石20から発生する磁束の密度が零となる磁束密度零部位である。
【0055】
第2の状態では、図3に示すように、0mTラインAがTMR10a、10bに対して平歯車10側に位置する。このため、平歯車10が回転することによって、0mTラインAがTMR10a、10bを繰り返し通過することになる。すなわち、0mTラインAがTMR10a、10bを含む範囲を繰り返し往復することになる。
【0056】
ここで、TMR10a、10bは、ピン層の磁化方向の磁束密度に応じて抵抗値が変化する。TMR10a、10bは、ピン層の磁化方向が互いに逆方向に向けられている。このため、TMR10a、10bは、磁束密度と抵抗値との関係を示す特性が、互いに相反する関係になっている。
【0057】
このため、図5に示すように、TMR10aでは、磁束密度が零から正方向に大きくなるほど、抵抗値が最大値に向かって大きくなりその後最大値で飽和し、磁束密度が零から負方向に大きくなるほど、抵抗値が最小値に向かって小さくなり最小値に到達すると最小値で飽和する。TMR10bは、図6に示すように、磁束密度が零から正方向に大きくなるほど、抵抗値が最小値に向かって小さくなり最小値に到達すると最小値で飽和し、磁束密度が零から負方向に大きくなるほど、抵抗値が最大値に向かって大きくなりその後最大値で飽和する。
【0058】
ここで、本実施形態のTMR10a、10bはバイアス磁石20の着磁方向に平行に配置されている。着磁方向は、バイアス磁石20のN極からS極に向かう方向である。
【0059】
このため、0mTラインAがTMR10a、10bに対して平歯車10の反対側に移動すると、TMR10a、10bで検出される磁束密度が正側に増加する。したがって、TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値よりも大きくなって最大値になり、TMR10bの抵抗値がTMR10aの抵抗値よりも小さくなり最小値になる(図5、図6参照)。
【0060】
0mTラインAがTMR10a、10bに対して平歯車10側に移動すると、TMR10a、10bで検出される磁束密度が負側に増加する。このため、TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値よりも小さくなり最小値になり、TMR10bの抵抗値がTMR10bの抵抗値よりも大きくなり最大値になる(図5、図6参照)。
【0061】
ここで、第1の状態では、上述の如く、TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値に比べて大きくなることにより、第1電流I1が第2電流I2よりも小さくなる。
【0062】
ここで、第1電流I1は、電源Vddから抵抗素子R1、トランジスタTr1、Tr3、およびTMR10aを通してグランドに流れる電流である。第2電流I2は、電源Vddから抵抗素子R1、トランジスタTr2、Tr5、Tr4、およびTMR10bを通してグランドに流れる電流である。
【0063】
このような第1電流I1の減少に伴い、トランジスタTr3のドレイン端子の電位が上昇する。このドレイン端子の電位の上昇に伴って、トランジスタTr2のゲート端子の電位が上昇する。このため、トランジスタTr2は、第2電流I2を減少させるように作動する。
【0064】
第1の状態では、TMR10bの抵抗値がTMR10aの抵抗値に比べて小さくなる。このため、上述の如く減少した第2電流I2をトランジスタTr4がTMR10b側に流しても、トランジスタTr4のドレイン端子の電位は低下する。このドレイン端子の電位の低下に伴って、バッファ回路47の入力端子の電位が低下する。このため、バッファ回路47の出力信号のレベルが上昇する。これにより、トランジスタTr5は、そのオン抵抗を減少させることにより、第2電流I2を増やすように作動する。このため、トランジスタTr2、Tr5の間の共通接続端子53から出力される出力信号のレベルが低下する。これに伴い、インバータ回路48がハイレベル信号をトランジスタTr6に出力する。よって、トランジスタTr6がオンするので、抵抗素子R3、R4の共通接続端子54からローレベル信号をセンサ信号として出力する。
【0065】
また、第2の状態では、TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値に比べて小さくなることにより、第1電流I1が第2電流I2に比べて大きくなる。これに伴い、トランジスタTr2のドレイン端子の電位が低下する。このドレイン端子の電位の低下に伴って、トランジスタTr2のゲート端子の電位が低下する。このため、トランジスタTr2は、第2電流I2を増やすように作動する。
【0066】
第2の状態では、TMR10bの抵抗値がTMR10aの抵抗値に比べて大きくなる。このため、上述の如く、トランジスタTr2が第2電流I2を増やすように作動させると、トランジスタTr4のドレイン端子の電位は上昇する。
【0067】
このドレイン端子の電位の上昇に伴って、バッファ回路47の入力端子の電位が上昇する。このため、バッファ回路47の出力信号のレベルが低下する。これにより、トランジスタTr5はそのオン抵抗を増大させることにより、第2電流I2を減らすように作動することになる。このため、トランジスタTr2、Tr5の間の共通接続端子53の出力信号のレベルが上昇する。これに伴い、インバータ回路48がローレベル信号をトランジスタTr6に出力する。よって、トランジスタTr6がオフするので、抵抗素子R3、R4の共通接続端子54からハイレベル信号をセンサ信号として出力する。
【0068】
このように、平歯車10が回転して第1の状態と第2の状態とを交互に繰り返す。このことにより、TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値に比べて大きくなり、かつTMR10bの抵抗値がTMR10aの抵抗値に比べて小さくなる状態と、TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値に比べて小さくなり、かつTMR10bの抵抗値がTMR10aの抵抗値に比べて大きくなる状態とが交互に繰り返すことになる。このため、共通接続端子54から出力されるセンサ信号の信号レベルがローレベルとハイレベルとに交互に切り替わることになる。
【0069】
以上説明した本実施形態によれば、平歯車10が回転する際に、TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値に比べて大きくなると第1電流I1が減少し、この第1電流I1の減少に伴ってトランジスタTr2のゲート端子の電位が上がる。これに伴い、トランジスタTr2が第2電流I2を減らすように作動する。このとき、TMR10bの抵抗値がTMR10aの抵抗値に比べて小さくなるので、トランジスタTr4のドレイン端子の電位が下がる。このため、バッファ回路47の出力信号のレベルが上昇する。よって、トランジスタTr5のオン抵抗が低下して共通接続端子53出力信号のレベルが低下する。
【0070】
一方、TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値に比べて小さくなると第1電流I1が増大し、トランジスタTr2のゲート端子の電位が上がる。これに伴って、トランジスタTr2が第2電流I2を増やすように作動する。このとき、TMR10bの抵抗値がTMR10aの抵抗値よりも大きくなる。このため、トランジスタTr4のドレイン端子の電位が上がる。したがって、バッファ回路47の出力信号のレベルが低下する。よって、トランジスタTr5のオン抵抗が増大して共通接続端子53の出力信号のレベルが上昇することを特徴とする。
【0071】
したがって、平歯車10とバイアス磁石20との間が離れていても、平歯車10が回転する際に、0mTラインAがTMR10a、10bを繰り返し通過するように構成することにより、平歯車10が回転する際のTMR10a、10bの抵抗値の変化量を十分に確保することができる。これに伴い、トランジスタTr4のドレイン端子の電位の変化量を十分に確保できるので、バッファ回路47によりトランジスタTr5のオン抵抗の増減を確実に制御することができる。よって、共通接続端子53(54)から出力される信号レベルの変化量が小さくなることを抑制することができる。
【0072】
本実施形態では、第1、第2の磁気抵抗素子としてTMR10a、10bを用いている。一般的に、TMR(トンネル磁気抵抗素子)は、GMR(巨大磁気抵抗素子)に比べて、磁束密度の変化に対する抵抗値の変化量が大きい。このため、磁束密度の変化量が小さくても、第1電流I1の変化量、および第2電流I2の変化量をそれぞれ大きくすることができる。したがって、共通接続端子52の電位の変化量を大きくすることができる。よって、バッファ回路47によりトランジスタTr5のオン抵抗の変化量を大きくすることができる。よって、共通接続端子53から出力される信号レベルの変化量を大きくすることができる。
【0073】
本実施形態では、平歯車10の回転に伴って、TMR10a、10bの抵抗値rを最小値から最大値までの範囲(最小値≦r≦最大値)内で変化させることができる。このため、TMR10a、10bの抵抗値の変化量を十分に大きくすることができるので、トランジスタTr4のドレイン端子の電位の変化量をより確実に確保できるので、共通接続端子53、54から出力される信号の変化量が小さくなることを確実に抑制することができる。
【0074】
本実施形態では、上述の如く、TMR10aの両端子間には、定電圧回路42の出力電圧VからトランジスタTr3のスレッショルド電圧Vth1を引いた一定電圧(V−Vth1)が与えられる。TMR10bの両端子間には、定電圧回路42の出力電圧VからトランジスタTr4のスレッショルド電圧Vth2を引いた一定電圧(V−Vth2)が与えられる。このため、TMR10a、10bの印加電圧は、定電圧回路42の出力電圧VおよびトランジスタTr3、Tr4のスレッショルド電圧Vth1、Vth2により設定されることになる。
【0075】
ここで、一般的に、TMR10a、10bではそのトンネル層の破壊を防ぐため印加電圧を低くする必要がある。
【0076】
これに対して、本実施形態では、上述の如く、TMR10a、10bの印加電圧は、定電圧回路42の出力電圧VおよびトランジスタTr3、Tr4のスレッショルド電圧Vth1、Vth2により設定されるので、TMR10a、10bの印加電圧を低く設定することが容易である。
【0077】
また、TMR単体に加わる印加電圧を下げるために、複数のTMRを電源のプラス電極とグランドとの間に直列接続するように構成することも考えられるものの、複数のTMRを用いることにより回転検出装置1のサイズの大型化を招く恐れがある。
【0078】
これに対して、本実施形態では、上述の如く、TMR10a、10bといった2つのTMRを用いるだけなので、回転検出装置1のサイズの大型化を未然に抑制できる。
【0079】
本実施形態の回転検出装置1は、トランジスタTr1、Tr2、Tr3、Tr4、Tr5、Tr6といった数少ない6個のトランジスタを用いて構成されている。このため、回転検出装置1の回路規模の増大化を抑えることができる。
【0080】
(第2実施形態)
本第2実施形態では、TMR10a、10bの磁束密度と抵抗値との関係を示す特性のばらつきを補正する例について説明する。図7は本実施形態の回転検出装置1の回路構成示す。
【0081】
回転検出装置1は、図7に示すように、図1の回転検出装置1に抵抗素子11a、11bを追加した構成になっている。
【0082】
抵抗素子11aは、トランジスタTr3とグランドとの間でTMR10aと並列接続されている。抵抗素子11bは、トランジスタTr4とグランドとの間でTMR10bと並列接続されている。
【0083】
まず、抵抗素子11aの抵抗値とTMR10aの抵抗値との合成抵抗値をr1とし、抵抗素子11bの抵抗値とTMR10bの抵抗値との合成抵抗値をr2とする。
【0084】
そして、抵抗素子11a、11bは、TMR10aの磁束密度と合成抵抗値r1との関係を示す特性と、TMR10bの磁束密度と合成抵抗値r2との関係を示す特性とが相反するように補正する。
【0085】
以上説明した本実施形態によれば、TMR10a、10bの〈磁束密度−抵抗値の特性〉がばらつきにより相反する関係になっていなくても、抵抗素子11a、11bにより、TMR10aの磁束密度と合成抵抗値r1との関係を示す特性と、TMR10bの磁束密度と合成抵抗値r2との関係を示す特性とが相反関係になる。
【0086】
ここで、TMR10a、10bの〈磁束密度−抵抗値の特性〉が製造によるばらつきによって、相反関係になっていないときには、平歯車10が回転してTMR10a、10bで検出される磁束密度が変化しても、平歯車10が回転する際にTMR10a、10bの抵抗値の変化量を確保できない場合がある。
【0087】
これに対して、本実施形態では、上述の如く、抵抗素子11a、11bにより、TMR10aの磁束密度と合成抵抗値r1との関係を示す特性と、TMR10bの磁束密度と合成抵抗値r2との関係を示す特性とを相反関係にすることができる。したがって、平歯車10が回転して0mTラインAがTMR10a、10bを繰り返し通過する際に、平歯車10が回転する際のTMR10a、10bの抵抗値を逆方向に確実に変化させることができる。よって、共通接続端子52の電位の変化量、ひいてはバッファ回路47の出力信号のレベルの変化量を十分に確保できる。このため、上述の第1実施形態と同様に、共通接続端子53、54から出力される出力信号レベルの変化量を十分に確保することができる。
【0088】
(第3実施形態)
本第3実施形態では、電源VddからトランジスタTr1、Tr3に流れる第1電流I1が、TMR10aで検出される磁束密度の変化に対して、ヒステリシスを持って変化させるようにした例について説明する。図8は本実施形態の回転検出装置1の回路構成示す。
【0089】
回転検出装置1は、図8に示すように、図1の回転検出装置1に可変抵抗素子11c、抵抗素子11d、および制御回路70を追加した構成になっている。可変抵抗素子11cは、トランジスタTr1とグランドとの間でTMR10aに対して並列に配置されている。抵抗素子11dは、トランジスタTr4とグランドとの間でTMR10bに対して並列に配置されている。本実施形態の可変抵抗素子11cの最大値Rmaxは、抵抗素子11dの抵抗値と同一値に設定されている。制御回路70は、インバータ回路48の出力電圧に応じて可変抵抗素子11cの抵抗値を制御する。
【0090】
このように構成される本実施形態の回転検出装置1では、上記第1実施形態で説明したように、TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値に比べて大きくなり、第1電流I1が第2電流I2に比べて小さくなっているとき、インバータ回路48の出力信号レベルがハイレベルになる。このとき、制御回路70が可変抵抗素子11cの抵抗値を最小値Rminに設定する。このため、TMR10aで検出される磁束密度が多少変動しても、電源VddからトランジスタTr1、Tr3に流れる第1電流I1の値に変動が生じることを抑制することができる。
【0091】
一方、TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値に比べて小さくなり、第1電流I1が第2電流I2に比べて大きくなっているとき、インバータ回路48の出力信号レベルがローレベルになる。このとき、制御回路70が可変抵抗素子11cの抵抗値を最大値Rmaxに設定する。このため、TMR10aで検出される磁束密度が多少変動しても、電源VddからトランジスタTr1、Tr3に流れる第1電流I1の値に変動が生じることを抑制することができる。
【0092】
以上説明した本実施形態によれば、制御回路70は、インバータ回路48の出力信号に応じて、可変抵抗素子11cの抵抗値を制御する。このことにより、トランジスタTr1、Tr3に流れる第1電流I1が、TMR10aで検出される磁束密度の変化に対して、ヒステリシスを持って変化させることができる。このため、インバータ回路48の出力信号レベルが変化する際に、TMR10aで検出される磁束密度に多少変動しても、トランジスタTr1、Tr3に流れる第1電流I1の値の確実に増大、或いは減少させることができる。この結果、共通接続端子53、54から出力される出力信号においてチャタリングが生じることを未然に防ぐことができる。
【0093】
(第4実施形態)
上記第1〜第3実施形態では、トランジスタ42a、42bから構成される定電圧回路42を用いた例について説明したが、これに代えて、図9に示すように、本第4実施形態では、トランジスタTr3、Tr4のゲート端子に一定電圧を出力する定電圧回路として例えばバンドギャップ基準電圧発生回路(図中BGRと記す)75を用いてもよい。
【0094】
(第5実施形態)
上記第1〜第4実施形態では、平歯車10としての検出対象とバイアス磁石20とを別々に設けた例について説明したが、これに代えて、検出対象およびバイアス磁石を一体化した着磁ロータ76(図10参照)を用いる本第5実施形態について説明する。
【0095】
本実施形態の着磁ロータ76は、図10に示すように、円盤状に形成されている。着磁ロータ76の外周側には、リング状の磁石76aが設けられている。磁石76aは、複数のS極と複数のN極とから構成されている。磁石76aでは、S極とN極とが外周方向にて交互に並べられている。本実施形態の磁石76aは、6個のS極と6個のN極とから構成されている。
【0096】
本実施形態では、TMR10a、10bのピン層の磁化方向(図10中Ta、Tbと記す)を着磁ロータ76の径方向に対する直行方向とする。具体的には、TMR10aのピン層の磁化方向(図10中Taと記す)を、着磁ロータ76の径方向に対する直行方向のうち一方向Ybとする。TMR10bのピン層の磁化方向(図10中Tbと記す)を、着磁ロータ76の径方向に対する直行方向のうち一方向Ybと逆方向である他方向Yaとする(図12参照)。
【0097】
図11において、説明の簡素化のために、円弧状の磁石76aを2つのS極と2つのN極とを直線状(図中上下方向)に並べたものを示す。
【0098】
着磁ロータ76が回転する際に、TMR10a、10bが磁極中央(A1点、A2点)に対向する直前と直後では、TMR10a、10bで検出される磁場方向(磁束密度の方向)が、切り替わる。
【0099】
具体的には、磁石76aのうち図中の下側S極の中央(A0点)から下側N極の中央(A1点)までの領域に対して、TMR10a、10bが対向しているときには、TMR10a、10bは、一方向Yb(図12参照)の磁束密度を検出する。
【0100】
このため、TMR10aは、そのピン層の磁化方向と同一方向の磁束密度を検出する。そして、TMR10bは、そのピン層の磁化方向と逆方向の磁束密度を検出する。したがって、TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値に比べて大きな値になっている。TMR10bの抵抗値がTMR10aの抵抗値に比べて小さな値になっている。例えば、TMR10aの抵抗値が最大値であり、TMR10bの抵抗値が最小値である。
【0101】
次に、着磁ロータ76の回転に伴って、磁石76aのうち図中の下側N極の中央(A1点)から上側S極の中央(A2点)までの領域に対して、TMR10a、10bが対向するときには、TMR10aは、そのピン層の磁化方向と逆方向の磁束密度を検出する。そして、TMR10bは、そのピン層の磁化方向と同一方向の磁束密度を検出する。したがって、TMR10aの抵抗値が低下してTMR10bの抵抗値に比べて小さな値になり、TMR10bの抵抗値がTMR10bの抵抗値に比べて大きな値になる。例えば、TMR10aの抵抗値が最小値になり、TMR10bの抵抗値が最大値になる。
【0102】
次に、磁石76aのうち図中の上側S極の中央(A2点)から上側N極の中央(A3点)までの領域に対して、TMR10a、10bが対向しているときには、TMR10aは、そのピン層の磁化方向と同一方向の磁束密度を検出する。そして、TMR10bは、そのピン層の磁化方向と逆方向の磁束密度を検出する。したがって、TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値に比べて大きな値になっている。TMR10bの抵抗値がTMR10aの抵抗値に比べて小さな値になっている。例えば、TMR10aの抵抗値が最大値であり、TMR10bの抵抗値が最小値である。
【0103】
以上説明した本実施形態によれば、着磁ロータ76が回転する際に、磁極中央(A1点、A2点、A3点)がTMR10a、10bに対向する位置に到達する毎に、TMR10a、10bで検出される磁束密度の方向が、順次、切り替わる。ここで、TMR10a、10bのピン層の磁化方向は、互いに逆向きになるように設定されている。このため、磁極中央(A1点、A2点、A3点)がTMR10a、10bに対向する位置に到達する毎に、TMR10a、10bのうち一方のTMRの抵抗値が他方のTMRの抵抗値に比べて大きくなり、他方のTMRの抵抗値が小さくなる。これにより、上記第1実施形態と同様、カレントミラー回路43、電圧出力回路44、トランジスタTr5、Tr6、およびバッファ回路47、インバータ回路48が作動して、抵抗素子R4、R5の共通接続端子54からセンサ信号を出力する。このため、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0104】
(他の実施形態)
上述の第5実施形態では、TMR10aのピン層の磁化方向を一方向Ybとし、TMR10bのピン層の磁化方向を他方向YaとするようにTMR10a、10bを配置した例について説明したが、これに代えて、TMR10aのピン層の磁化方向を他方向Yaとし、TMR10bのピン層の磁化方向を一方向YbとするようにTMR10a、10bを配置してもよい(図12(b)参照)。
【0105】
上述の第5実施形態では、TMR10a、10bのピン層の磁化方向を着磁ロータ76の径方向に対する直行方向に向けるようにTMR10a、10bを配置した例について説明したが、これに代えて、TMR10a、10bのピン層の磁化方向を着磁ロータ76の径方向とするようにTMR10a、10bを配置してもよい。
【0106】
この場合、例えば、TMR10aのピン層の磁化方向を着磁ロータ76の径方向内側Ycとし、TMR10bのピン層の磁化方向を着磁ロータ76の径方向外側Ydとする。
【0107】
そして、着磁ロータ76が回転することにより、図11の着磁ロータ76の磁極端(BO点、B1点、B2点、B3点、B4点)にTMR10a、10bが対向する直後では、TMR10a、10bで検出される磁束密度の方向(磁場方向)が切り替わる。
【0108】
具体的には、図11の着磁ロータ76の下側S極(BO点〜B1点)に対して、TMR10a、10bが対向しているときには、TMR10a、10bは、径方向内側Yc(図13参照)の磁束密度を検出する。このため、TMR10aは、そのピン層の磁化方向と同一方向の磁束密度を検出する。そして、TMR10bは、そのピン層の磁化方向と逆方向の磁束密度を検出する。したがって、TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値に比べて大きな値になっている。TMR10bの抵抗値がTMR10aの抵抗値に比べて小さな値になっている。例えば、TMR10aの抵抗値が最大値であり、TMR10bの抵抗値が最小値である。
【0109】
次に、着磁ロータ76の回転に伴って、図11の着磁ロータ76の下側N極(B1点〜B2点)に対して、TMR10a、10bが対向しているときには、TMR10a、10bは、径方向外側Yd(図13参照)の磁束密度を検出する。このため、TMR10aは、そのピン層の磁化方向と逆方向の磁束密度を検出する。そして、TMR10bは、そのピン層の磁化方向と同一方向の磁束密度を検出する。したがって、TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値に比べて小さな値になる。TMR10bの抵抗値がTMR10aの抵抗値に比べて大きな値になる。例えば、TMR10aの抵抗値が最小値になり、TMR10bの抵抗値が最大値になる。
【0110】
次に、着磁ロータ76の回転に伴って、図11の着磁ロータ76の上側S極(B2点〜B3点)に対して、TMR10a、10bが対向しているときには、TMR10a、10bは、径方向内側Yc(図13参照)の磁束密度を検出する。このため、TMR10aは、そのピン層の磁化方向と同一方向の磁束密度を検出する。そして、TMR10bは、そのピン層の磁化方向と逆方向の磁束密度を検出する。したがって、TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値に比べて大きな値になっている。TMR10bの抵抗値がTMR10aの抵抗値に比べて小さな値になっている。例えば、TMR10aの抵抗値が最大値であり、TMR10bの抵抗値が最小値である。
【0111】
次に、着磁ロータ76の回転に伴って、図11の着磁ロータ76の上側N極(B3点〜B4点)に対して、TMR10a、10bが対向しているときには、TMR10a、10bは、径方向外側Yd(図13参照)の磁束密度を検出する。このため、TMR10aは、そのピン層の磁化方向と逆方向の磁束密度を検出する。そして、TMR10bは、そのピン層の磁化方向と同一方向の磁束密度を検出する。したがって、TMR10aの抵抗値がTMR10bの抵抗値に比べて小さな値になる。TMR10bの抵抗値がTMR10aの抵抗値に比べて大きな値になる。例えば、TMR10aの抵抗値が最小値になり、TMR10bの抵抗値が最大値になる。
【0112】
以上により、上記第5実施形態と同様、着磁ロータ76が回転することにより、TMR10a、10bの抵抗値が繰り返し相反する方向に変化する。よって、上記第5実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0113】
また、TMR10aのピン層の磁化方向を着磁ロータ76の径方向内側Ycとし、TMR10bのピン層の磁化方向を着磁ロータ76の径方向外側Ydとする場合に限らず、TMR10aのピン層の磁化方向を着磁ロータ76の径方向外側Ydとし、TMR10bのピン層の磁化方向を着磁ロータ76の径方向内側Ycとしてもよい。
【0114】
上述の第1〜第5の実施形態では、TMR10a、10bのピン層の磁化方向を互いに逆方向にする例について説明したが、これに限らず、TMR10a、10bのピン層の磁化方向としては、互いに異なる方向であって、かつバイアス磁石20の着磁方向に直交する方向を除く方向であれば、どのような方向に向けてもよい。例えば、TMR10a、10bのピン層の磁化方向を互いに直交する方向に向けてもよい。
【0115】
上述の第1〜第5の実施形態では、TMR10a、10bを用いて、検出対象(10、76)の回転を検出する回転検出装置1に本発明を適用した例について説明したが、これに代えて、TMR10a、10bを用いて、検出対象の変位を検出する移動体検出装置に本発明を適用してもよい。
【0116】
ここで、図11は、説明の簡素化のために、リング状の磁石76aの一部として、2つのS極と2つのN極とを図示上下方向にて並べたものを示しているが、実際に、図11のように、S極とN極とが交互に直線方向に並べられて構成される移動体を用いて、この移動体が直線方向(図示上下方向)に変位する場合には、上記第5の実施形態と実質的に同様に、TMR10a、10bで検出される磁束密度の方向(磁場方向)が切り替わる。このため、上記第5の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0117】
上述の第1〜第4の実施形態では、バイアス磁石20のN極が平歯車10の外周部に向けられている例について説明したが、これに限らず、平歯車10の回転に伴って、TMR10a、10bのうち一方のTMRの抵抗値が他方のTMRの抵抗値に比べて大きくなり、かつ他方のTMRの抵抗値が一方方のTMRの抵抗値に比べて小さくなるのであれば、平歯車10に対してバイアス磁石20をどのように配置してもよい。バイアス磁石20のS極を平歯車10の外周部に向けてもよい。
【0118】
上述の第1〜第4の実施形態では、平歯車10の回転に伴って、TMR10a、10bの抵抗値rが最小値から最大値までの範囲(最小値≦r≦最小値)で変化するようにした例について説明したが、これに代えて、TMR10a、10bの抵抗値rを最小値および最大値を含まない範囲(最小値<r<最小値)で変化させるようにしてもよい。
【0119】
上述の第1〜第4の実施形態では、平歯車10の回転に伴って、0mTラインAがTMR10a、10bを通過するようにした例について説明したが、これに代えて、0mTラインAがTMR10a、10bを通過しない範囲で、バイアス磁石20の磁束分布を変化させてTMR10a、10bの抵抗値を変化させるようにしてもよい。
【0120】
上述の第1〜第4の実施形態では、平歯車10の回転に伴って、共通接続端子54から出力されるセンサ信号のレベルが繰り返し変化するようにした例について説明したが、これに代えて、平歯車10の回転に伴って、センサ信号のレベルがハイレベル及びローレベルのうち一方から他方に変わることを一度だけ実施するようにしてもよい。
【0121】
上述の第1〜第4の実施形態では、トランジスタTr1〜Tr6として、pMOSトランジスタやnMOSトランジスタといった電界効果型トランジスタを用いた例について説明したが、これに代えて、トランジスタTr1〜Tr6としてバイポーラトランジスタを用いてもよい。
【0122】
上述の第1〜第4の実施形態では、回転検出装置1において、ツェナーダイオード41としての過電圧保護素子を用いた例について説明したが、これに代えて、回転検出装置1において、過電圧保護素子を用いないようにしてもよい。
【0123】
上述の第1〜第5の実施形態では、ピン層を有する磁気抵抗素子として、TMR(トンネル磁気抵抗素子)を用いた例について説明したが、これに代えて、GMR(巨大磁気抵抗素子)を用いてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1 回転検出装置
10a TMR
10b TMR
11a 抵抗素子
11b 抵抗素子
11c 可変抵抗素子
20 バイアス磁石
30 回路チップ
40 コンデンサ
41 ツェナーダイオード
42 定電圧回路
42a トランジスタ
42b トランジスタ
43 カレントミラー回路
44 電圧出力回路
47 インバータ回路
48 インバータ回路
50 共通接続端子
51 共通接続端子
52 共通接続端子
53 共通接続端子
54 共通接続端子
70 制御回路
75 バンドギャップ基準電圧発生回路
76 着磁ロータ
Tr1 トランジスタ
Tr2 トランジスタ
Tr3 トランジスタ
Tr4 トランジスタ
Tr5 トランジスタ
Tr6 トランジスタ
R1 抵抗素子
R2 抵抗素子
R3 抵抗素子
R4 抵抗素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源(Vdd)とグランドとの間に並列接続される第1、第2のトランジスタ(Tr1、Tr2)を備え、前記第1、第2のトランジスタのゲート端子が前記第1のトランジスタのグランド側端子に接続されるカレントミラー回路(43)と、
前記第1のトランジスタとグランドとの間に配置されてピン層を有する第1の磁気抵抗素子(10a)と、
前記第2のトランジスタとグランドとの間に配置されてピン層を有する第2の磁気抵抗素子(10b)と、
一定電圧を出力する定電圧回路(42、75)と、
前記第1のトランジスタと前記第1の磁気抵抗素子との間に配置される第3のトランジスタ(Tr3)と、前記第2のトランジスタと前記第2の磁気抵抗素子との間に配置される第4のトランジスタ(Tr4)とを備え、前記第3、第4のトランジスタのゲート端子に対して前記定電圧回路の出力電圧が与えられて前記第1、第2の磁気抵抗素子に対して前記定電圧回路の出力電圧に基づく一定電圧をそれぞれ与える電圧出力回路(44)と、
前記第2、第4のトランジスタ(Tr2、Tr4)の間に配置されて前記第4のトランジスタの電源側端子の電位に応じて作動する第5のトランジスタ(Tr5)と、を備え、
前記第1、第2の磁気抵抗素子は前記ピン層の磁化方向が互いに異なるように配置されており、前記第1、第2の磁気抵抗素子は、それぞれ、バイアス磁石(20)から発生する磁束密度のうち前記ピン層の磁化方向の成分の変化に伴って抵抗値が変化するものであり、
磁性体からなる検出対象(10)の移動に伴って前記第1、第2の磁気抵抗素子で検出される磁束密度が変化する際に前記第5のトランジスタ(Tr5)は、
前記第1の磁気抵抗素子の抵抗値が前記第2の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて大きくなり、前記電源から前記第1の磁気抵抗素子に流れる第1電流(I1)が、前記電源から前記第2の磁気抵抗素子に流れる第2電流(I2)に比べて小さくなり、前記第1電流の減少に伴って前記第2のトランジスタが前記第2電流(I2)を減らし、また前記第2の磁気抵抗素子の抵抗値が前記第1の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて小さくなったとき、この抵抗値の減少に伴って前記第2電流を増やすように作動して前記第5のトランジスタ(Tr5)の電源側端子と前記第2のトランジスタ(Tr2)のグランド側端子との間の共通接続端子(53)から出力される信号レベルを低下させて、
前記第1の磁気抵抗素子の抵抗値が前記第2の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて小さくなり、前記第1電流が前記第2電流(I2)に比べて増大し、前記第1電流の増大に伴って前記第2のトランジスタが前記第2電流を増大させ、また前記第2の磁気抵抗素子の抵抗値が前記第1の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて大きくなったとき、この抵抗値の増大に伴って前記第2電流を減らすように作動して前記第2、第5のトランジスタの共通接続端子(53)から出力される信号レベルを上昇させることを特徴とする移動体検出装置。
【請求項2】
前記検出対象(10)が移動する際に、前記第1の磁気抵抗素子の抵抗値が前記第2の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて大きくなり、かつ前記第2の磁気抵抗素子の抵抗値が前記第1の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて小さくなる第1の状態と、前記第1の磁気抵抗素子の抵抗値が前記第2の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて小さくなり、かつ前記第2の磁気抵抗素子の抵抗値が前記第1の磁気抵抗素子の抵抗値に比べて大きくなる第2の状態とが交互に繰り返されるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の移動体検出装置。
【請求項3】
前記検出対象(10)が移動する際に、前記バイアス磁石(20)から発生する磁束密度が零である磁束密度零部位(A)が前記第1、第2の磁気抵抗素子を繰り返し通過することにより、前記第1の状態と前記第2の状態とが交互に繰り返されるようになっていることを特徴とする請求項2に記載の移動体検出装置。
【請求項4】
前記第3のトランジスタ(Tr3)とグランドとの間において前記第1の磁気抵抗素子(10a)に並列接続されて、抵抗値が制御される可変抵抗素子(11c)と、
前記第2、第5のトランジスタ(Tr2、Tr5)の間の共通接続端子(53)から出力される信号に応じて、前記第1の磁気抵抗素子で検出される磁束密度の変化に対して、前記電源から前記第1、第3のトランジスタ(Tr1、Tr3)に流れる電流(I1)がヒステリシスを持って変化するように、前記可変抵抗素子(11c)の抵抗値を制御する制御回路(70)とを備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の移動体検出装置。
【請求項5】
前記第3のトランジスタとグランドとの間において前記第1の磁気抵抗素子に並列接続される第1の抵抗素子(11a)と、
前記第4のトランジスタとグランドとの間において前記第2の磁気抵抗素子に並列接続される第2の抵抗素子(11b)とを備え、
前記第1の磁気抵抗素子と前記第1の抵抗素子との合成抵抗値と前記第1の磁気抵抗素子の磁束密度との関係を示す特性と、前記第2の磁気抵抗素子と前記第2の抵抗素子との合成抵抗値と前記第2の磁気抵抗素子の磁束密度との関係を示す特性とが、相反関係に近づくように前記第1、第2の抵抗素子の抵抗値が設定されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の移動体検出装置。
【請求項6】
前記第1、第2の磁気抵抗素子は、それぞれ、トンネル磁気抵抗素子であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の移動体検出装置。
【請求項7】
前記第1、第2の磁気抵抗素子は、それぞれの前記ピン層の磁化方向が逆向きになるように配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の移動体検出装置。
【請求項8】
前記第1、第2の磁気抵抗素子は、それぞれの前記ピン層の磁化方向が、前記バイアス磁石のS極とN極とを結ぶ方向に対して平行になるように配置されていることを特徴とする請求項7に記載の移動体検出装置。
【請求項9】
前記第1、第2の磁気抵抗素子は、互いの前記ピン層の磁化方向が直角に交差するように配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の移動体検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−15449(P2013−15449A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149212(P2011−149212)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】